衆議院

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第5号 平成20年5月23日(金曜日)

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平成二十年五月二十三日(金曜日)

    午前八時五十分開議

 出席委員

   委員長 枝野 幸男君

   理事 木村 太郎君 理事 坂本 哲志君

   理事 平田 耕一君 理事 福井  照君

   理事 松野 博一君 理事 前田 雄吉君

   理事 横光 克彦君 理事 上田  勇君

      麻生 太郎君    石原 伸晃君

      岩屋  毅君    浮島 敏男君

      江藤  拓君    木原  稔君

      坂井  学君    杉村 太蔵君

      冨岡  勉君    西銘恒三郎君

      西本 勝子君    林   潤君

      広津 素子君    福岡 資麿君

      矢野 隆司君    安井潤一郎君

      山本  拓君    与謝野 馨君

      金田 誠一君    小宮山泰子君

      高山 智司君    津村 啓介君

      寺田  学君    平岡 秀夫君

      松木 謙公君    松本 大輔君

      松本  龍君    坂口  力君

      谷口 和史君    鈴木 宗男君

      玉沢徳一郎君

    …………………………………

   総務大臣         増田 寛也君

   財務大臣         額賀福志郎君

   文部科学大臣       渡海紀三朗君

   農林水産大臣       若林 正俊君

   内閣府副大臣       山本 明彦君

   財務副大臣        森山  裕君

   厚生労働大臣政務官    伊藤  渉君

   国土交通大臣政務官    金子善次郎君

   会計検査院事務総局第二局長            小武山智安君

   会計検査院事務総局第三局長            真島 審一君

   会計検査院事務総局第四局長            鵜飼  誠君

   会計検査院事務総局第五局長            高山 丈二君

   政府参考人

   (国家公務員倫理審査会事務局長)         高木 達也君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            寺崎  明君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   真砂  靖君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   中村 明雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         合田 隆史君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      舌津 一良君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         磯田 文雄君

   政府参考人

   (文化庁次長)      高塩  至君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総括審議官)         大森 雅夫君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 原田 保夫君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  鈴木 久泰君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  長岡 憲宗君

   参考人

   (東日本高速道路株式会社代表取締役社長)     井上 啓一君

   参考人

   (本州四国連絡高速道路株式会社代表取締役副社長) 星野  満君

   決算行政監視委員会専門員 菅谷  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十三日

 辞任         補欠選任

  丸谷 佳織君     谷口 和史君

同日

 辞任         補欠選任

  谷口 和史君     丸谷 佳織君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百六十六回国会、内閣提出)

 平成十八年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百六十六回国会、内閣提出)

 平成十八年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百六十六回国会、内閣提出)

 平成十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百六十六回国会、内閣提出)

 平成十八年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百六十六回国会、内閣提出)

 歳入歳出の実況に関する件

 行政監視に関する件

 中央省庁の補助金等交付状況、事業発注状況に関する予備的調査についての報告


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     ――――◇―――――

枝野委員長 これより会議を開きます。

 平成十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)、平成十八年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)、平成十八年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)、平成十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)、平成十八年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)、以上の各件を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件につきましては、第百六十八回国会におきまして既に説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

枝野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

枝野委員長 次に、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、参考人として東日本高速道路株式会社井上啓一代表取締役社長及び本州四国連絡高速道路株式会社星野満代表取締役副社長の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

枝野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として総務省総合通信基盤局寺崎明局長、財務省主計局真砂靖次長、財務省理財局中村明雄次長、防衛省運用企画局徳地秀士局長及び防衛省経理装備局長岡憲宗局長の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

枝野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

枝野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂口力委員。

坂口委員 久しぶりにここに立たせていただきまして、きょうは、額賀大臣の心の中を少しずつお伺いさせていただきたいというふうに思っております。

 今委員長からもお話がありましたように、予備費のことを中心にして、決算委員会でありますから、過去のどうであったかということを議論するのが中心だというふうに思いますが、過去の話ではなくて、これからの話をきょうは少しお聞きしたいというふうに思っています。

 ことしももうあっという間に五月になりまして、五月も末を迎えてまいりまして、いよいよもう来月は六月でございます。六月という月は、その次の年の予算の大枠と申しますか方向性と申しますか、そうしたことを決め始める月でもあろうかというふうに思いますが、二〇一一年度までのプライマリーバランスの黒字化というのは、これはいかなることがあっても変えることはない、ここは、財務大臣のお気持ちの中ではコンクリートされたものだというふうに受け取らせていただいてよろしいでしょうか、それとも、いや、そんなこともないんだ、決めは決めだけれども、まだかなり流動的なことはあるんだ、こういうお気持ちなんでしょうか。まずその辺からお聞きをしたいと思います。

額賀国務大臣 坂口先生におかれましては、もう社会保障の問題とかさまざまな政策課題について精通をなさっておりまして、全部御承知の上で御質問されていると思っております。

 おっしゃるとおり、二〇〇九年の基本方針、経済財政諮問会議でも本格的な議論がこれから始まろうとしているわけでございますけれども、政府としては、やはり日本の経済を安定成長というかきちっとした成長路線に乗せていくことが一つの大きなテーマであります。と同時に、史上最悪の水準と言われる国家財政をどういうふうに立て直していくかというのがもう一つの柱であります。その指標となるのが、坂口委員のおっしゃる、二〇一一年にプライマリーバランスを黒字化させるということであります。

 これは、我々の時代にきちっと債務を解消していくことによって、後の世代にその先送りをしないということが一つあると思います。と同時に、国際的にも、日本の財政再建路線というものがどういうふうに着実に進められていくのかということについて注目をしております。したがって、例えば日本国国債の格付等においても、トリプルAからどんどん格付が下がってきまして、ところが、二〇〇六年のあの基本方針を決定したことによって若干上方修正されたという経緯もあるわけでございます。

 そういうように、国債市場における問題もありますので、私どもは、しっかりとこのプライマリーバランスの黒字化というものを堅持していかなければならない。

 そして、財政面では、歳出歳入の一体改革を進めることによってこれを実現していくことが大事であるというふうに思っております。歳出については、無駄を省き、と同時に、そのお金の使い方も、成長路線に結びつくような形で歳出の方向を考えていかなければならないというふうに思っております。必要なサービスは継続していかなければならないということも大事なことであるというふうに思っております。

坂口委員 二〇一一年までのプライマリーバランスにつきましては、これは大体固まっているというふうに受け取らせていただきました。

 それで、そういたしますと、限られた財源でありますから、その限られた財源を重点配分する以外にない。最近の福田総理の御発言を聞いておりますと、例えば高齢者医療制度については気を配らなければならない、あるいは中国で大きな地震がありまして、日本でも、例えば学校の耐震改修など、教育の方にも目を配らなければならない、あるいはまた、サミットもありまして、環境問題には今まで以上に取り組まなければならないと。重点にされる分野というのはかなりだんだんだんだん広がってきているという感じを受けるわけでございます。

 そんなに広げていいのかなというふうにこちらが心配するほど広がってきているような気もいたしますが、重点配分というのは、何を重点にするかということについて、財務大臣はどうお考えでしょうか。財務大臣のお気持ちの中の重点とは一体何なんでしょうか。少しそこをお話しいただけませんか。半時間でございますから、余り大演説をやられましても私の時間がなくなりますので、簡潔明瞭にお話しいただければありがたいと思います。

額賀国務大臣 おっしゃるように、政策課題はたくさんあるわけでございます。おっしゃるように、教育の問題も大事であるし、あるいはまた、少子高齢化問題で、少子化対策とか高齢者の皆さん方にどういうふうに安心をしていただくかということも大切なことでございます。しかし、そういう政策をやっていくことは大事でありますけれども、私は、基本的には、スクラップ・アンド・ビルドの考え方が大事であるというふうに思っております。

 バブル経済崩壊以降、かつての高度成長時代の延長線上で今日の日本の発展を継続できるとは思っておりません。したがって、構造改革というものが喫緊の問題として、ここ数年我々は取り組んできたわけであります。

 橋本内閣のときに六大改革というものを掲げて、その中に、教育改革もあるし、行財政改革もあるし、産業構造改革もあるし、あるいは社会保障改革もありました。そういうことについてそれぞれ取り組んできたわけでございます。と同時に、官僚主導から政治主導でなければならないという政治決定の、意思決定のシステムの改革もあったわけでございます。我々はこの改革がまだ途上にあるというふうに認識する必要があると思っております。それぞれの分野できちっと改革をしていくことが大事であると思っております。

 その中で、財政構造改革におきましても、例えば、社会保障においても、ODAにおいても、教育においても、これはプライマリーバランスを達成するためには一定の経済成長を維持しながら相当な歳出改革をしなければならない、歳出削減をしなければならないということをこれまで努力してきたわけでございますから、その延長線上で歳出の振り分け方というものをよく吟味していかなければならないというふうに私は思っております。

 経済成長については、やはり技術革新が大事だというふうに思っております。そのために、科学技術の振興策については、ほかの分野は歳出削減、マイナスでございましたけれども、一%から三%のマイナスでありましたけれども、科学技術の振興についてはプラスで来たわけでございます。したがって、技術立国日本、と同時に、やはり物の豊かさだけではなくて、我々が目指すべきは、文明国家、文化国家、そういうものをどういうふうに高度なものにしていくかということが大事なことではないのかというふうに思っております。

 それから、国際社会、グローバル化の中で、やはり門戸を開いていかなければならないということが大事なことであると思っております。日本は、それはもうずっと昔から、日本の国が右に行くか左に行くか、内向きか外向きかというふうに判断を迫られたときは、常に門戸を開放してきたというふうに思っております。それは隋、唐の時代からそうであった、それが我々の文化あるいは文明の発展、経済の発展に寄与してきた、そういう方向で政策をつくっていくことが大事だというふうに思っております。

坂口委員 社会保障の問題も出していただきました。社会保障につきましては、これも二〇一一年度までの五年間で国費ベースで一兆一千億の圧縮をするということが今まで固められてまいりました。これは、全体の枠のどこまで決まっているかというお話を最初にお聞きして、プライマリーバランスのところは一応固めているというお話だったと思うんですが、その中でこの一兆一千億の圧縮の話は固まった部分に入っているんですか、それともここはまだ流動的な部分に入っているんでしょうか。その辺の財務大臣の心の中の割り振りはどうなっておりますか。

額賀国務大臣 私は、来年度の骨太方針をつくる際にも二〇〇六年の財政再建路線あるいはまた経済成長路線の車の両輪の政策は堅持していかなければならない、したがって、社会保障の面においても、公共事業においても、歳出削減をしていくという原則は揺るぎないものにしなければならないというふうに思っております。

 そういう中で、この秋には、道路特定財源、あるいはまた、二〇〇九年度には年金の国庫負担を二分の一に引き上げていかなければならないということ等々の抜本的な税制改革の議論がなされていくわけでございます。私は、このときに、そういう日本国家運営の基本の問題として、そういう全体的な構想をこの際議論していただきたいというふうに思っております。

 したがって、これは、消費税を含めて、所得、法人、資産、多方面にわたって議論をしていただいて、国民の皆さん方に将来の姿をお示しする中で、二十一年度予算はこういう第一歩を踏み出すという形が望ましいと思っております。これは、我々政府・与党だけでは具体的な実行ができないわけでございますから、与野党の間で、国会の場でしっかりと議論をして、着実に実行ができるような形にしていくことが国会の責任でもあるし政府・与党の責任でもあるというふうに思っているところでございます。

坂口委員 ありがとうございました。

 今、お話をお伺いして、ここの部分はそうがんじがらめになっているわけではないというふうにお聞きをしたわけでありまして、余りここは深追いしますといけませんので、これだけにさせていただきたいというふうに思います。

 いずれにいたしましても、財政を切り詰めるか、それともサービスの方を切り下げるか、あるいは新しい財源をつくるか、方向はそんなにたくさんあるわけでありまして、そうしたことの選択肢の中から決めていかなければならないわけであります。

 財務省が財政制度等審議会に介護保険の問題でありますとか雇用保険の問題を提言されたということが新聞に出まして、私も少し驚きながらそれを拝見したわけであります。これはもうすべては財政の中に入っているわけでありますから、財務省で全般的なことを御議論になる、それは当然のことだというふうに私も思います。しかし、その中で介護保険なら介護保険という一つのエリアを絞って取り上げられる、そして、その中で自己負担を一割を二割にするというような発言がある。ここまで参りますと、そうすると、それではほかの省庁はやることがないではないか、財務省に全部やってもらったらもうほかの省庁は要らぬのではないかという話にもなってくるわけであります。

 いささかここは、財務省なのか、これは審議会での御議論なのか定かにできない部分もありますけれども、少しここは踏み込み過ぎている、そこまで具体的におっしゃるんですか、こういうふうに言いたい気持ちになってくるわけでありますが、ここのところは、そういう議論もあるという程度のことなのか、それとも、もう少し、いや、ここはそういうふうにしてほしいというふうに、率直にそう思っているということなのか、ここは大臣でなくても、担当の局長さんないし他の方でも結構でございますが、その辺のところを少し話を聞かせていただきたいと思います。

真砂政府参考人 事実関係のものですから、私の方から答弁をさせていただきたいと思います。

 先生御指摘の資料でございますが、これは五月の十三日に財政制度等審議会に提出した試算でございます。これは、あくまでも審議会における議論の参考となるように機械的な試算を行ったものでございまして、介護保険について具体的に財務省として見直しの提案をしたという性格のものではございません。

 いずれにしましても、介護給付というのは今後とも経済の成長を上回って増加していくということが見込まれておりまして、こうした給付の増加を放置すれば、保険料、税の大幅な引き上げをしていかざるを得ないという状況でございまして、こうした状況は先生よく御案内のとおりでございます。

 こうした状況を踏まえますと、介護保険制度を持続可能なものとしていくためには、やはり給付の合理化あるいは効率化は避けられない、必要な改革をしていかなきゃいかぬというふうに考えているところでございまして、平成二十一年度から新しい事業計画が始まるわけでございますが、それに向けまして今後とも厚生労働省とよく議論を詰めていきたいというふうに考えているところでございます。

坂口委員 介護なら介護の問題一つを取り上げましても、一割負担でお願いをしていくのか、国民の皆さんに二割負担をお願いするのかというのは大問題でありまして、これはそう簡単に決められる話ではありません。その前に、介護のサービスの中身をどうしていくのか、あるいはまた、保険料を出していただいております皆さん方の範囲を一体拡大をするのか、しないのか、そうしたことも議論をしなければならないし、大きな議論をしなければならないわけであります。

 そうした議論がまだこれから進むという段階のところで、財務省の方から、世論をリードするというおつもりなのかどうかはわかりませんけれども、とにかく一割を二割にしたらどうだという意見を先に出されるというのは、少し財務省として行き過ぎているのではないか、もう少しここは謙虚に、それぞれの省と議論をしていただきながら進めていただくのが筋ではないだろうかというふうに私は思っております。

 これは単なる一つの試算だというお話でございましたが、それは試算には違いないというふうに思いますけれども、試算もいろいろでございますから、余り先走ってやられると、そうすると国民の側からのそれに対するしっぺ返しも来るということを覚悟しなければなりません。例えば、障害者の問題にいたしましても、ある程度財政的な問題を中心にして案をつくりましたけれども、これはやはりサービスを受ける皆さん方の御意見というものが非常に強く出て、そして後でまたもう一度やり直すということがありましたし、また後期高齢者の問題も、今まさしくまた議論になっていて、国民の皆さん方の御意見をもう少しお聞き入れをして、どうしていくかというような話になってきている。同じパターンがずっと繰り返されてきているんですね。

 これは政府・与党にとりましても決して好ましいことではない。それなら初めからちゃんとなぜそうやらなんだという話になってくるわけでありますが、立法府の方、とりわけ与党の立法府の方は、そこまで具体的なことをなかなか聞かされていないものですから、でき上がってしまって、そしてその後で、こういうことになっておりますということを言われても、なかなかそこまでそんな、聞かなかったではないかというような話になってきて、そういうことならもう一遍やり直すかという話になってくる。それは決していいことではないというふうに思っております。したがって、その経過の中でもう少し丁寧にこれは議論を進めていただかなければいけないことではないかというふうに思います。

 時間がなくなってきましたから、もう一つだけお聞きしますが、福田総理が消費者、生活者主役の政治というのを言われました。これは今までの総理がなかなか言われなかったことを言われたというふうに私は思います。過去におきましては、宮沢元総理が、これは生活者主役の政治というふうに言われましたか、中心の政治というふうに言われたのだったか、少し記憶が定かではありませんけれども、そういうことをおっしゃったことはありますけれども、それ以外には、生活者、消費者と並べて、この主役の政治ということを言われたということはなかったというふうに思います。アメリカにおきましては、ケネディが消費者の問題、消費者優先の政治ということを掲げて、その基本的な考え方を明らかにしたという経緯がございます。

 大変いいことをおっしゃったと私は評価をいたしているわけでありますが、評価はいたしておりますが、それじゃ、各省庁のその後の動きを見ておりまして、消費者庁ですか、新しい庁をつくるというお話はございますけれども、その消費者の皆さん方の意見をもっと積極的に取り入れていく、そういうことに対する改革がずっと行われようとしているかというと、必ずしもそうではない。例えば、経済財政諮問会議に民間議員が四名お見えになっておりますが、学者の先生は別として、そのほかは産業側と申しますか生産者側の代表の皆さん方であります。

 日本の将来の骨格を決めていくというその中で、それじゃ生産者側の人だけでいいのか、もう少し消費者を代弁するような人をその中に入れていくべきではないかというふうに私はかねてから思っておりましたけれども、今回図らずも福田総理がそういう御発言になったというのは一つの大きな転換期ではないかというふうに思いますし、経済財政諮問会議のことを全部財務大臣にお聞きするというのは少し無理もあるというふうに思いますし、そこは承知の上で私も言っているわけでございますが。

 財務省なら財務省の中にも財政審があるわけでありますが、そうした中にもう少し消費者の代表の人たちを入れていくというようなことができるのかどうか、あるいはしようとしておみえになるつもりがあるのかどうかということを、これは最後の質問と思いますが、お聞きをしたいと思います。

額賀国務大臣 坂口先生のおっしゃることは非常にこれからの重要なテーマであると、共通の認識を持つものであります。

 日本の経済自体、あるいはまた我々の生活すべてが、従来の量中心から、やはり中身をどういうふうに充実をさせていくのか、量から質への転換が図られていることであるというふうに思っております。バブル経済時代、我々は、お金をもうけることを最高の目標にしてきた嫌いがどうも戦後の経済生活の中にはあったと思います。したがって、お金をもうけたら、結果的に、土地を買ったりあるいはまた外国のビルを買ったりという程度の発想しかなかった。しかし、我々の、究極の人間の目標というのは、お金は手段であって、お金をどう使うかという発想がなかったと思うんです。最終的には、お金は、やはり文化、文明、我々の生活の充実、豊かさ、そういうところに向けられていくべきものであった。

 そういう意味においては、生活者、消費者を中心にして、そして、江戸時代の庶民文化のように、そういう中身をよりよくすることによって、この戦後の文化をつくり上げていく必要があるのではないかという思いがいたします。その意味で、坂口先生がおっしゃるように、私どもは、生活者あるいはまた消費者の立場に立って、本当の豊かな文化、生活、そういったものを形成していかなければならないというふうに思います。

 経済のシステムも、やはりGDPの六割は消費であります。だから、その消費を物の豊かさだけではなくて精神的、文化的な豊かさに結びつけていく、それによって経済の成熟した社会の中での豊かさを追求していく、そういったことが大事なことではないのかというふうに思っております。

 財政制度審議会でもいろいろな専門家の人をきちっとメンバーに入れたらどうだという御提言もありましたので、先般、社会保障制度の問題についても、医療関係の専門家に来ていただいて、そして考え方を聞いたり、あるいは自治体の市長さんだとかそういう方々に出てもらって話を聞いたりしております。

 したがって、これは広範囲に国民の意思、国民の意見を聞くことによって充実したものにしていく必要がある。坂口先生の御提言をしっかり受けとめて対応していきたいというふうに思っております。

坂口委員 ありがとうございました。

枝野委員長 次に、寺田学委員。

寺田(学)委員 四十五分のお時間をいただきまして、質疑をさせていただきたいと思います。

 まずは、平成十八年度の予備費の使用等について、一点、二点、お伺いしたいと思います。

 まず、平成十八年度一般会計予備費使用の中において、内閣府の所管で、国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取り組みに積極的かつ主体的に寄与するため自衛隊が実施する協力支援活動等に必要な経費ということで、約百億弱の予備費が使われたという話になっております。

 さまざま事情変化というものがございますので、予備費というものは計上され、使われていく、そして、後で決算という形でその内容を知るということはいたし方ない制度だと思いますが、できれば、一番チェックが厳しくできる本予算の中での予算計上というのが本来の姿であると思います。

 まず、このいわゆるテロ対策費に関して本予算で計上できなかったというような事情というものはどこにあるのか、御答弁いただけたらと思います。

長岡政府参考人 旧テロ対策特措法につきましては、内閣総理大臣は、協力支援活動等の対応措置を実施する必要があると認めるときは、活動の内容、期間等について定める基本計画を作成し、閣議の決定を求めなければならないというふうにされていたところでございます。

 この基本計画につきましては、平成十三年十一月の法律の施行以降、毎年五月それから十一月に期限を迎えまして、その都度期間を半年ずつ延長して実施をしてまいりました。そういったことから、平成十七年度に行われました平成十八年度の当初予算編成の時点におきましては、そのときありました既存の基本計画の期限、これが平成十八年の五月一日まででございましたので、それ以降の活動につきましては内閣として意思決定が行われていなかったという事情がございます。

 したがいまして、平成十八年度の当初予算編成時点におけるそのときの基本計画の期限までの所要経費、これが十八年の四月一日から五月一日まででございますけれども、それについては政府として決定があるということで当初予算で措置をさせていただきまして、その後、基本計画がさらに延長されたということに伴って必要となったそれ以降の経費でございます、五月二日から年度末まででございますけれども、その経費につきましては予備費によって対応させていただいたということでございます。

寺田(学)委員 今、御事情の方をさまざま御答弁いただきましたが、できる限りのことは本予算の方に計上すべきだというふうな視点には立たせていただきたいと思います。

 今回の百億弱の中においても、航海経費であるとか特別協力支援活動等の手当、そういうものはあらかた予見可能ではあったのではないかなという見方もありますが、そういうものまで本予算計上されずに予備費で最終的に処理されるという形になったのはなぜなんでしょうかということを御答弁いただきたいと思います。

長岡政府参考人 先ほど御答弁させていただきましたように、予算編成の時点におきましては、政府の決めます基本計画におきまして五月までの活動が決定をされておりまして、それ以降は政府として決定をされていないという考え方でございまして、今御指摘の諸経費につきましても同じような考え方で、現在、そのときの基本計画のある時点までということを当初予算では計上させていただいたわけでございます。

 これは、考え方はそういうことで整理をさせていただいたということでございます。

寺田(学)委員 御事情はあると思います。しかし、何度も申し上げるとおり、できる限り本予算に合わせて、国会のチェックという機能をより充実させていくような形で予算と決算というものが議論されていく形が望ましいというふうに思っております。

 予備費に関しましては、ほかにもさまざまあると思いますが、きょう同僚議員を含めて議論させていただきたいと思いますので、予備費については以上にしたいと思います。

 残りの時間を使いまして、平成十八年度の決算にかかわることですが、いわゆる電波利用料の無駄遣いというようなことが昨今報道されていることもありまして、そのことに関して質疑をさせていただきたいというふうに思っております。

 政府提出の電波法が、衆議院での修正を経て、参議院で昨日可決されたという話をお伺いしました。総務省の皆様に対しましては、法案が通ったと喜んでおられた次の日に、また決算という形で、質疑でまた夜なべをさせてしまったことは大変申しわけないと思うんですが、私自身、民主党として、修正案の中に一つの意見というのを盛り込ませていただいたと思っております。

 御省から出された資料というものが衆議院の修正の後に出てきたこともあって、今回、修正して我が党も賛成したわけでありますが、いわゆる電波利用料が本当に適切に使われているかどうか、今後も不適切な使われ方がしないように法律で縛っていけるかということであると、非常に疑問点が残るところであります。合法ではあるがいかがなものかというような支出がこれからも起きてしまうのではないかなということがありますので、そういうことが起こらないためには、これからの総務省の内部的なチェックと規律というものが求められるというふうに思っております。

 ですので、そういうことで質問したいと思うんですが、あわせて、この電波利用料に関して調べて、そして委員会等でも質問させていただきますと、正直申しまして、これほど内部告発みたいなものが来るとは思っておりませんでした。まだ総務省の方から資料を詳しくいただく前に、匿名でいろいろなお手紙をいただきまして、内部の者ですが、電波利用料でテレビとか冷蔵庫とかテニスボールを買っていると思いますというようなお手紙でした。その中には、温水便座を購入した総合通信局もあるはずですというような具体的なお話がありました。

 そういう意味で、いろいろ追及させていただいたんですが、資料というものがなかなか出てこなかったものですから、衆議院を通過してしまって、その後、参議院の採決の前に出てきたという形になっていると思います。

 そういう意味において、さまざま、総務省の内部、いわゆる地方の総合局におきましても、中の職員の方々が、この支出というのは適正なのかどうかということに疑問を持ちながらやっているという現状であると思っています。

 そういう意味で、本当にこれから総務省の中においての規律というものを求めるべく質疑をさせていただきたいと思うんですが、まず、いわゆるレクリエーション費というものに関しまして、めんたいこづくりであるとか旅行のバスであるとかさまざま、額は少ないと言われる部分はあるでしょうけれども、使われておりました。

 それはそれで、総務省としては今後使わないようにするという一つの指針を出されましたが、それ以外の、いわゆる免許人、およそ免許人というのは、携帯電話を持たれている方は全部免許人になると思いますが、電波利用料七百億円を納めている方々の御理解が得られないような支出もあるということは、総務省としても認められているところだと思います。

 それで、参議院での質疑の御答弁の内容をもう少し詳しくお伺いしたいんですが、法令上は問題がないが免許人の理解が得られないであろうということで、今後の支出は控えたいというようなお話もありました。

 まず、そもそも、この理解が得られないというのはどういうことなんでしょうか。局長でも結構です、御答弁いただけますか。

寺崎政府参考人 電波利用料は、広義の手数料というその性格上、受益と負担のバランスが求められているところだと思います。

 しかしながら、レクリエーションへの支出につきましては、電波利用料を負担していただいている免許人等が、その受益のためにこういうことに使われるであろうという理解と乖離があるという意味で、電波利用料の使途としては適切でないため免許人等の理解が得られないと申し上げたものでございます。

 レクリエーションとして行われていたテニスや映画鑑賞等、全体で四十四万円ですが、のように電波利用料共益事務における必然性が外見上わかりにくいものにつきましては免許人等の理解が得られないのではないかと考えている、こういうことでございます。

寺田(学)委員 理解が得られる得られないというものが一つの支出の判断になるということの御答弁だったと思いますが、そもそも、理解が得られるか得られないかというのはだれが判断するのかということもあると思います。そしてもう一つ、理解が得られなければ支出できないのかということもあると思います。

 本来であれば、法律の中で理解の得られるものだけ限定して支出を決めるべきですが、残念ながら、法律の中では漠とした部分でしか決まっておらず、実質的に総務省の中で支出するかどうかが決められるような仕組みに残念ながらまだなっているというふうに私は思っています。

 そういう意味で、局長でもいいですのでもう一度お伺いしますが、理解が得られないものは支出しないんでしょうか、今後。イエス・オア・ノーで結構です。

寺崎政府参考人 先ほどちょっと法令のお話がありましたけれども、法令につきましては、国家公務員法第七十三条で、職員の勤務能率の発揮及び増進のために、保健、レクリエーション、厚生等の計画を樹立し云々といった規定がありますので、そういった意味でちょっと法令のことを触れさせていただいたわけでありまして、今、寺田委員御指摘のように、理解が得られないものは支出しないというふうに考えます。

寺田(学)委員 それでは、理解が得られるか得られないかは、どのような基準をもって、だれが判断するんでしょうか。局長、御答弁をお願いします。

寺崎政府参考人 基本的には、当然、支出するときに文書決裁でやっていきますので、我々も今ちょっと、その基準等とかそういったようなものも検討しておりますので、具体的な例示でわかりやすいものを策定して、特に地方局ですけれども、そういったところに、地方局に通知いたしまして、今いろいろな階層で決裁とかそういったことが行われていますから、そういったことが適正に行われるようやっていきたいと思っています。

寺田(学)委員 理解が得られる得られないの基準を今検討しているというお話ですが、一つ、レクリエーション費に関しては理解が得られないという結論に達しているということは、何かしらの基準があるはずだと思うんですが、そのレクリエーション費も含めて、なぜ理解が得られないということに達したか、その基準というものはどのようなものだったんでしょうか。

寺崎政府参考人 先ほど申しましたけれども、電波利用共益事務における必然性が外見上わかりにくいものにつきましては免許人等の理解が得られないということで、電波利用共益費ということから考えたときに、距離が遠い近いという言い方はよくないかもしれませんけれども、そういった意味で免許人等の理解が得られないのではないかと考える、そういったものを想定しています。

寺田(学)委員 はっきりとした基準がないわけですよね。さすがにレクリエーション費なんというのは聞こえが悪いな、こういうものは早目に、理解が得られないということで今後支出しないということにされるんだと思います。

 それとともに、局長が御答弁の中で、フラワーアレンジメント料というような話に関して、いかがなものかと思いますというような御答弁をされています。このいかがなものかというものは、適切な支出だったということなのか、不適切な支出であったということなのか、いずれかだと思うんですが、どちらなんでしょうか。

寺崎政府参考人 それは実は私の答弁でございましたので申し上げますが、フラワーアレンジメントの支出につきましても、レクリエーション費用と同様に、電波利用料を負担していただいている免許人等が、その受益のためにこういうことに使われるであろうという理解と乖離があるという意味におきまして、電波利用料の使途としては適切でないということで、いかがなものかというふうに申し上げたつもりでございます。

寺田(学)委員 なるほど。適切ではないということですね。

 御答弁の中をずっと調べたんですが、適切、不適切という言葉は一つもなかったものですから。このようなフラワーアレンジメント料というのは適切ではなかったということなんだと思います。御返金されるかどうかというのは今後検討されると思うんですが。

 いずれにせよ、法律は通ってしまいましたが、これから御省の中で、七百億円ものいわゆる電波利用料を、法律の縛りも、まあそれなりにはありますが、ないまま、具体的な支出に関しては御省がこれから独自に、適切か不適切かということを判断しながらやっていくわけですけれども、できる限り国会の中で、それが、どのようなものが適切で、どのようなものが不適切かというものは、一個一個お伺いしながら、一つの基準の輪郭というものを御答弁いただけたらというふうに思うんです。

 基本的に、レクリエーション費も含めて、このフラワーアレンジメントのような、およそ電波とは関係ないけれども、電波のことに関する職員が働いている場所の経費ということなんだと思いますが、さまざま支出されております。一部マスコミには四千万とかという数字が出ていますが、考え方によってはそれはゼロになるでしょうし、考え方によっては四千万以上になるというような事情があると思います。

 そういう意味で、具体的な基準というものを、一つ一つ具体例をもとに御答弁いただきたいと思うんですが、職員の給与計算ソフトというものも電波利用料で支出をされております。一つ、この支出から基準というものの輪郭をお伺いしたいんですが、こういうものは適切なんでしょうか、不適切なんでしょうか。

寺崎政府参考人 電波利用料は、電波共益、そういった電波利用料事務の処理に充てるということになっておりますので、当然、人件費といったものが見込まれております。人件費を見込んでいるということになりますと、当然、そういう電波監視業務をやる上で、人がいて、それから、それを取り巻く庁舎、あるいはさらに電波監視車という車とか、そういったような必須のものが多々あります。

 そういった中で、当然、そういう全体の事務が進むためには、そういう人件費をどうするのかといったようなソフトも必要になってくるわけでありまして、そういった給与計算のためのソフト等を電波利用料で賄うことについては問題ないというふうに考えております。

寺田(学)委員 これは適切だと。まあ、働いている人に直接かかわることだからということなんだと思います。

 それでは、永年勤続表彰の写真撮影並びに局長の写真を撮るためのお金とか、そういうたぐいのものはいかがでしょうか。適切でしょうか。

寺崎政府参考人 表彰というのは、先ほどちょっと、寺田先生、法律のこととかそういうのを言うのはちょっとお嫌いかもしれませんけれども、職員の厚生、そういった観点から、表彰といったようなものも含まれているところがございますので、例えば、通常業務をやっていて、しっかりやった人に対しては表彰をする、そういったようなものがあるわけでございまして、それの表彰というものに対する支出というのは認められているところがございます。

 そういった観点から、写真まで含めるかどうかというところはあろうかと思うんですけれども、その辺はちょっと私もよく考えてみたいと思っていますけれども、表彰そのものについては認められているというふうに考えています。

寺田(学)委員 一応メンションしていただきましたけれども、法律上どうこうというのはあれだと言うんですが、いずれにせよ、総務省として、これは法律ですべて合法、適法の範囲といいながら不適切だという、わけのわからない、グレーゾーンにあるものを列挙しているわけですけれども、そういう意味においてはすべて合法なんだと思います。

 合法というのは、法律である程度支出が認められている範囲であるからこそ合法だと言われていると思うんですが、だからこれが適切なんだという理由というのは、今の議論においては成り立たないというふうに思っております。

 ですので、一個一個やっていくのもなんですが、もう一つ、セクシュアルハラスメントについての職場研修用ビデオ教材の購入。だんだんおよそ電波利用料のデの字もついてこないような形になってきていると思いますが、これはいかがなんですか。

寺崎政府参考人 これはセクシュアルハラスメントに関する職場研修用のビデオの購入費だと思いますけれども、先ほど申しましたように、電波利用料によりまして進めていく業務を行う上で、人件費が当然含まれまして、人を使うといった意味から、その人件費を出している人に関するところの必要な経費については、当然、一般会計で働いている人間と電波利用料財源で働いている人間がいるわけですけれども、例えば、そういう職場の研修用として必要なものについては、ソフトを購入した場合、一般会計の、人数比で案分してそういったものを購入しているといったようなところでございます。

 そういった意味では、こういったようなセクシュアルハラスメントについての職場研修用ビデオ、この中身が本当にいいかどうかというのは私もちょっと確認してみないとわからないんですけれども、そういったものが、逆に言うと、研修用だからといって即だめといったようなものでもないので、それが本当に業務に必須であるものであれば認められると思います。

寺田(学)委員 電波利用に関する業務をされている職場はセクシュアルハラスメントの率が高いんでしょうか。こういうものというのは別に電波利用にかかわる業務をしていなくてもあるものだと思いますが、何でそんなものを電波利用料という特別なものだけで出すんでしょうか。

寺崎政府参考人 これは、例えば、監視業務をやっておりますと、事務所として独立の、三浦とかそういったところに監視の単独の事務所がございます。そういったところでは、ずっと職員はそこで仕事をしていくわけですけれども、そういったところでも、逆に言うと、そういう職場研修といったようなものは当然あり得るわけでありまして、そこは電波利用料を使って行うことについては問題ないと思います。

 ですから、先ほど私申しましたけれども、セクシュアルハラスメントの職場研修ビデオを、ちょっと私も中身をよく精査していないんですけれども、そういったようなものがどういうものであるかによってまた適切でないのかどうかといったところが言えるのではなかろうかと思います。

寺田(学)委員 中身を見てみなきゃわからない、より具体的にその必要性を精査するんだというようなお話がありますが、では、十一もある地方の局のこういうような内容を本省の局長が判断するんですか。そういうことはおよそできないであろうから、一つの基準、私は限定列挙するべきだと思いますが、限定列挙した内規をもって使う使わないというものをやるべきだと思うんです。

 本当に、今局長御答弁されたとおり、研修内容みたいなものを、よかったか悪かったかということを、以前のものをチェックするのか、今後のものに対してチェックするのか、わかりませんが、そういうような形で適切、不適切をこれから判断していくということでしょうか。局長、いかがですか。

寺崎政府参考人 今、セクシュアルハラスメントについての職場研修ビデオが適切かどうかという御質問があったので、私も、ちょっと言いたかったことは、そういう職場研修のための費用については電波利用料、当然、職員が、電波利用料の費用で人件費が賄われておりますので、その人のための研修の費用というのは電波利用料で賄って差し支えないと思っています。

 それはそれとして、セクシュアルハラスメントについての職場研修ビデオがそういうところで本当に必要かどうかについては、私は、これは今個別の話として挙げられましたので、そういったものについては、逆に言いますと、どういうものが必要であるかどうかという点からよく見て判断する必要があるというふうにお答えしたわけであります。

 ですから、先ほど私も、これから基準をちょっとつくって明確にしていくというふうに申し上げましたけれども、今先生御指摘いただいた、何点かグレーの話をいただいておりますので、こういったものに対してきちんと、さらに、ほかのものも相当件数がいっぱい、今までのデータがありますので、そういったものを見て、例示で、こういったものはいい、こういったものは悪いという作業を今開始しているところでございます。

寺田(学)委員 電波にかかわる業務をされている方に電波利用料を充ててその業務の支出を賄っていくということに関しては、別に異存はありません。ただ、その支出内容がどのようなものであるかということを、是非が問われるでしょうし、今後どのような基準でやっていくのかということだと思います。

 およそ、本省の中で、地方のいわゆる局がどのような具体的な、ビデオの内容であるとか研修の内容であるとか、そういうものを調べるのは私は無理だと思います。そういうものがあるからこそ、何かしらはっきりとした例示、誤解のない、理解がすべて得られるような明確な基準が必要だと思うんです。

 余り邪推して考えるのもあれなんですが、今までレクリエーション費で使っていたものを、レクリエーションではなくて研修なんだというふうに言い方を変えれば、幾らでもそんなものは支出できるわけですよ。セクシュアルハラスメントのビデオ研修というようなことが本当にセクシュアルハラスメントのためだけに役に立つのか、そもそもそれを、いわゆる電波、こういうもので出していいのかどうかということも議論があると思います。

 そういうことで、基準をつくられるということですが、いつまでに、どのような形で、どのような形でというのは、私は限定列挙が一番必要だと思いますが、限定列挙、ホワイトリストのような形でやるのか、ブラックリストのような形でやるのか、どのような形でお考えになられているんでしょうか。

寺崎政府参考人 基本的には、いいもの悪いものを例示でわかるようにわかりやすく示して、それで、当然疑義が出てくるようなものが出てくると思いますが、そういったものにつきましては個別に本省に聞くような、そういう指示を出しまして、そういう通達を出すつもりでおります。できるだけ早くやりたいと思っています。

寺田(学)委員 できるだけ早くというのは、別に何月何日までとは言いませんが、大体どれぐらいのめどなんでしょう。

寺崎政府参考人 私どもも、ちょうどデータを全部もう一回見詰め直した上できちっとしたいと思っていますので、きょうが五月の二十三日ですので、ちょっと時間がかかり過ぎるかもというおしかりを受けるかもしれませんけれども、膨大なデータをちょっともう一度チェックさせていただきたいと思っておりますので、六月中に出したいと思っています。

寺田(学)委員 膨大な調査ということで、地方の局十一局に関しては段ボール一箱分ぐらいで、それは、手分けしたら、うちの事務所でも、ざっくりとしたものですが、一、二時間で見ることができました。六月までかけるということは、それは十年、何年とは言いませんが、ここ数年分ぐらい、平成十八年度分だけじゃなく、過去の分まで調べて、どのようなレクリエーション費があったかも含めて、そしてグレーなものがどういうものがあったかということも含めて御調査されるということでしょうか。よろしいですか。

寺崎政府参考人 電波利用料は三年ごとにやってきておりますので、ちょうど法律で、二十年度以降ですか、そういったものを今般お認めいただいているところでございますので、今私どもがちょっと見ているのが十九年度、十八年度、十七年ですか、この三カ年分をまとめて見ようかというようなことで、十八年度も先生のところにお出ししてありますので、その十八年度を今スタートして見ているところでございます。

寺田(学)委員 総務大臣が本会議の方に出られるということですので、最後一言、最後というか、出られる前に今もろもろのことに関して、まだ質疑をしたいと思っていますが、大臣としてのこれからの考え方を述べていただければと思います。

増田国務大臣 こういったレクリエーションなどの費用として、映画鑑賞券ですとかフラワーアレンジメントですとか、およそ受益人の理解の範囲あるいは国民の理解の範囲を超えるようなものに充てられていたということについて、おわびを申し上げなければいけないと思っています。

 それから、私は、最終的に、基準をできるだけ細かく、わかるようにつくれという指示をしてありますが、その基準をまず国民の皆さん方に公表した上で内部規律を高めていきたい、できるだけ早くそれはやりたいというふうに思います。

 それからあと、いずれにしても、最終的には社会通念などで判断せざるを得ない部分があると思いますが、大事なことは、結果として何に充てたのかということを公表するということが大事でありますので、今回も初めて結果としてこういうものに費用が充てられたということから、これは寺田議員がいろいろな作業の結果なども含めて出てきたわけでありますので、毎年毎年、今の決算関係資料ですとそういったことがつまびらかになっておりません。

 ですから、年度が終わった後、七月下旬ぐらいまでにはこの決算関係資料が取りまとめられますので、その際にホームページで、特に電波利用料の使途、これは予算の目の中でずっと分かれておりますが、その中の特に庁費の部分、庁費の中もレクリエーション費とか備品とか消耗品とかいろいろ分かれていますが、そういったいわゆる目細ごとに、どういうものに充てられたのかということをはっきりとお示しして、それで社会的な、もしおかしいという批判があればまたおのずからそういう支出は抑えられるということになると思いますので、そういった、結果として使用したものが何に使用したものか、できるだけ詳しくホームページなどにおいて公表できるようにいたしたい、そういうふうに思っております。

寺田(学)委員 大臣も参議院の本会議があると思います、ぜひ御退席していただきたいと思います。

 電波利用料という形で議論していますが、違う見方からすると、これは一般財源というか電波利用料以外の、今度は税金になると思いますが、それからは支出をしてもいいと。そこに電波利用料との違いはあるのかどうか。

 先ほど電波業務にかかわる方、電波業務にかかわらない方という分け方がありましたが、支出において不適切だと言われたことを、それは電波にかかわる人、かかわらない人はまず別ですけれども、こういうようなお金の使われ方は全体的にやめるのか、それとも、電波利用料のみにおいて、このようなレクリエーション費、そしてまた合法だけれども不適切というグレーな、グレーというか正直そういう部分は実質的には黒だと思いますけれども、そういうところの支出を行っていくのかやめるのか、いかがな感じでしょうか。

寺崎政府参考人 今回の方針は、レクリエーション経費への支出につきまして電波利用料を負担していただいている免許人等の理解を得がたいという観点から、電波利用料については行わないということにしているものでございます。

 一般財源につきましては、国家公務員にも勤労者、労働者という側面がございまして、国家公務員法におきましてレクリエーションの実施に努めなければならないということとされているため、勤労者に対する福利厚生事業として考える必要があるものと承知しています。

寺田(学)委員 ちょっと御答弁がはっきりしなかったんですが、一般財源からは出すということでよろしいんですか。

寺崎政府参考人 レクリエーションにつきましては、職務の勤務能率の発揮や増進につながる面がございまして、電波利用料財源の職員に対して今後どのような方法でレクリエーションを行うことが適当か、これは年度内の話がございますので、どういうやり方がいいのかどうか、関係方面と相談して検討してまいりたいと思っています。要するに、一般会計のように使うかどうか、そういうことを含めまして検討してまいりたいと思います。

寺田(学)委員 使うかどうか御検討されるんでしょうが、今回、電波利用料に関するレクリエーション費に至ってはおよそ免許人の理解が得られない、いわば内容が不適切だということをお認めになられておきながら、一般財源では使う可能性の余地を残すというのは、余りすっきりとした理屈ではないと思うんですね。

 私も、前、民間企業にいましたが、それなりに大きい会社でしたが、めんたいこづくりまで私は会社から出してもらったような記憶もありませんし、今も出してもらっているわけはないと思います。一般的な民間の感覚でいいますと、レクリエーション費をこんなに、いわば会社から出してもらったり、自分の懐以外で出してもらうというのはおよそないのではないかな、恵まれている部類の会社に入るんだろうな、この役所の対応というものは。およそ一般的な社会通念からはずれているということは御指摘したいと思います。

 いろいろいただいた内部からの告発文書、それは真偽のほどはいろいろあると思いますが、それに沿って少し質問したいんです。

 まさかとは思いますが、一つ、研修所で何かマッサージチェアみたいなものを見たという内部の方からの指摘もありました。ぜひともこれも国会で取り上げてほしいというようなことでありましたので、あるかないかはまだ、きのう通告しようと思ったのですが、問題数が多いということで削りましたけれども。まさかないと思いますが、そのようなことが、買われるような環境にあったかどうかも含めて、あるかないか、もし御存じだったら御答弁いただきたいですし、こういうような情報に関してどのようなお考えを持たれているのか、局長、御答弁いただきたいと思います。

寺崎政府参考人 私は、ちょっとその辺、済みませんが承知しておりませんけれども、寺田先生のところにお出しした資料ではないというふうに理解しておりますけれども。

寺田(学)委員 出していただいた資料というものを今回皆さんの机の上にも出しましたが、具体的に書かれているものもあれば、ボールペン等四十四万円とか、買ったものを一つの代表として、等ということでさまざままとめられて支出をしているというのがかなりあるんですね。だから、そういう意味において、僕のところに出した資料の中にはなかったですねということをもってないということはまず最終的には言えないと思いますので、そういうような情報もありましたのでぜひ御精査いただきたいですし、後ほど真偽のほども明らかにしていただきたいと思うんです。

 内部からの御指摘の中において、今回調べたのは七百億ぐらいあるうちの五十億、いわゆる地方の総合局に渡された部分ですが、残りの六百五十億、六百億ちょっとは本省で使われているわけです。その本省の中の本当に大きな支出を占めるのが、いわゆる研究開発費というところが大きな柱になっていると思います。

 この公募研究や調査研究の支出は非常に怪しいというのが内部からのお話でした。その文書を少し読みますと、請求者から上がってきた請求書、しかも内容の細かさも全然ないような総枠のみのものをノーチェックで支出していますというふうに言われています。

 どうなんでしょう、このようなケースに当たらないものもあるとは思いますが、これは通告させていただいていると思いますけれども、いわゆる本省が支出している研究開発、委託研究も含めて、どのような形で支出を決定されているのか。そのときに、いわゆる公募に合格したというのか選ばれたというのかわかりませんが、そういう方からの請求書というものは、まさかこの内部の方からの情報のとおり、総枠のみというようなものを総務省としてお認めになっていることはないでしょうか。いかがですか。

寺崎政府参考人 ちょっと私もそれを聞いてびっくりしているんですけれども、電波利用料予算の執行に当たりましては、一般競争入札、研究開発関係あるいは一般公募による企画競争を活用して、経費の効率的使用、契約の透明性に努めています。

 実際に平成十九年を見ると、約二百九十億円の契約を実施しておりますけれども、研究開発関係ですね、一般競争入札が百二十二億円、一般公募による企画競争が百四十九億円で、随意契約が十八億円、そういうようなパーセンテージです。

 事務費につきましては、委託先との契約締結に基づき、経費の妥当性について確認しております。確認の仕方は、積算の中身を一つずつ見る、そういうようなことをやっております。事務の実施前におきましても、事務費が適切な額となるよう、そういったことで努めているというようなことでございます。

 今度は、実際に払う段階ですけれども、委託した事務が終了した後、経費の証拠書類、伝票、領収書等、こういったものを確認を行うなど、細目まで厳密なチェックを行って適正な支出のみに経費を支払う、こういう手続でやっております。

寺田(学)委員 それでは、この匿名で寄せられた内部の方のお話による総枠のみで支出するということはあり得ない、まさしくそういうものがないように、全部経費に関しましても領収書をいただいてチェックしておるということでよろしいですか。御確認のために御答弁いただきたいと思います。

寺崎政府参考人 済みません、先ほどの二百九十億の数字は研究開発のほかのものもちょっと入っていた数字なので、申しわけありませんでした。

 それで、今先生おっしゃったとおりのチェックをやっております。

寺田(学)委員 ぜひ、そのチェックされている内容、少しお時間かかっても構いませんから、どのような形で見積書が上がってきて支出されているのかということの紙も後で御提出いただきたいというふうに思っております。今うなずかれておりますので、御答弁は必要ないと思います。

 では、どういうところに支出しているかという話になりますが、先ほど言われたとおり、二百何十億というロットですから、非常に多くのところに出されていると思います。その中で、独法の情報通信研究機構、財団法人テレコム先端技術研究支援センター、国際通信経済研究所、全国陸上無線協会、社団法人電波産業会等、今挙げたものは全部天下り先ですけれども、そういうところに十二億円やら何億円というものを出して、再委託されているのかどうかわかりませんけれども、その中での支出というものは本当に怪しいものがある、疑われる余地というのはあると私は思っています。

 その中で、今、本当に領収書等も全部含めてやられるんだということですので、無駄遣いがないとは思いますが、その再委託先等も含めてチェックをされているのか。まさか独法だけで調査をやっているということはないと思いますので、それ以降のものに関してもチェックされているんでしょうか。そこら辺、今把握の範囲だけで結構ですけれども、いかがなものでしょうか。

寺崎政府参考人 独法で電波利用料で委託したものが再委託というのはないという理解なんですけれども、何か私も、済みません、申しわけないんですけれども、少し具体的に言っていただけるとちょっと出てくるのかもしれませんが。

寺田(学)委員 いわば、情報通信研究機構であるとかに十二億六千万とかいう形で研究委託を出していますけれども、いわゆる独法やら社団法人やら財団やらが調べる研究とかにおいてもう一つ下のレベルに何か研究の部分委託みたいなものもされていて、その中に関してさまざまな支出というものが含まれていることもあり得るというふうに思っております。

 そういう意味において、今一義的に電波産業会に委託されたんであれば、その産業会の中において研究開発されているんだとすれば、その電波産業会から上がってきた領収書というものですべて適正に研究されているかどうかというのは把握できると思うんですが、いや、再委託、部分委託も含めて、ない、すべて一次的に総務省が委託したところでやっているんだというんであればそれはそれで結構ですけれども、もしそういうことがあったとしたらそういう疑念は持たれかねないということで質問しておりますので、事実関係も含めて御答弁いただけたらと思います。

寺崎政府参考人 確かに、委託研究した場合、委託先から、例えば単純作業とかそういったものをさらに委託しているケースというのはあると思います。そのときの再委託したところの中身については、恐らく契約を結んでいる形でやるので、先ほど、私、領収書等確認してというふうに申し上げましたので、そういった中で領収書は確認していると思いますけれども、再委託先のチェックをどうしているかについては、私も今又聞きみたいな話になっていますので、そこはちょっと調べてみます。済みません。

寺田(学)委員 こちらとしてもいろいろ調べたいというふうに思っていますが、十二億もの研究開発費、それは毎年毎年で考えれば物すごい量が、天下り団体と決めつけるのはよくないですが、総務省の方も、やめられた方も含めて在籍をされ、例えば民放の会社の社長であるとか、だあっと、いわば肩書だけが載っているような団体がすべての業務を行っているとはにわかに信じがたいなというふうな単純な疑念がありましたので、そういうような御質問をさせていただきました。

 もちろんそういうところの中において、ここは匿名のものですから余り信憑性があると即座に言い切れないけれども、そういうところでいろいろな、例えば宴会に使っているという話も聞きましたとか、そういうような話まで内部の方々が、それは悪意を持っているのかもしれませんけれども、私の方に複数の方がそこら辺の調査研究に関しても怪しいと思いますというような話をされておりました。非常に具体的な内容も含まれていたものですから信憑性もあるなということで質問させていただいて、できればというか、当然のことながら、御省の中においても非常に強い問題意識を持って、無駄遣いのされないようにこれからもしていただきたいと思います。

 ちょっと時間がもうなくなりましたので、今後も、六月中に出される基準というもの、できれば私はホワイトリストのような形で出すべきだと思いますが、そういうようなものも精査させていただきますし、以後、これからもうみを出すということもあるでしょうから、前総務大臣もいらっしゃるのもなんなんですけれども、以前の分も含めていろいろ調べていただいて、適正なものを出していただきたいというふうに思います。

 それと、今回この問題をやってみて非常に思ったのが、新聞社とテレビ局の対応の違い、興味の持ち方の違いというものを、主観的ですが、感じました。そういう意味において、いわば、テレビ局がどう思っているのかわかりませんが、新聞社の方は何か伸び伸びとこういう問題に対して食いついてくるんですが、現場のテレビ局の方は、ううん、電波にかかわることは、総務省さん怖いからなみたいなことも愚痴でおっしゃっておられました。それは、別に健全な権力の行使だということであれば私は構わないんですが、何かしらマスコミを萎縮させるような、今、電波行政になっているのかな、具体的な運用ということではなくて、構図としてそうなってしまっているのかなと。

 我が党としては、以前から電波の割り当てに関しましては第三者委員会をつくってそこでやるべきだというような議論もさせていただきましたけれども、今回こういう問題を扱ってみて、そういう必要性というものを非常に強く感じました。そこら辺も含めて、これから適正な電波行政というものを行っていただきたいと思います。

 何かお手を挙げられたようですけれども、御答弁があれば御答弁を求めますが、ないようであればこれで終わりたいと思います。

枝野委員長 次に、津村啓介委員。

津村委員 民主党の津村啓介でございます。

 本日は、平成十八年度の予備費支出に関連いたしまして新型インフルエンザ関連の支出についての御質問を用意しておりますけれども、きょうはお忙しい中お二人の参考人の方にお越しいただいておりますので、先に高速道路の関係の質問を幾つかさせていただきまして、その後、厚生労働省さんへの御質問という形で進めさせていただきたいと思います。

 まず、本四高速の方がお見えになっていると思うんですが、お伺いしたいと思います。

 明石大橋がことしで十周年、そして瀬戸大橋がことしで二十周年ということで、大きな節目の年ということで、今、交通量や料金引き下げの問題など、大変注目をさせていただいているところですが、まず本四道路の交通量につきまして、平成二十年度入り後の状況を御説明いただきたいと思います。

星野参考人 お答えいたします。

 平成二十年四月の本四三ルートの県境断面での合計交通量は百十六万四千三百三十四台でございまして、昨年四月に比べ約二万台、率にいたしまして二%程度低くなってございます。

 なお、ルート別に申し上げますと、県境にある大鳴門橋はマイナス三%、瀬戸大橋は一〇〇%ちょうど、多々羅大橋はプラス一%でございました。この要因は、ゴールデンウイークの前半に当たります四月の末の連休の並びが、昨年は三連休になってございましたが、ことしは飛び石であったというような、そういう観光に起因する原因が挙げられると思います。

 なお、ゴールデンウイークの交通量でございますが、四月二十六日から五月六日までの十一日間の本四三ルートの県境断面合計交通量で申し上げますと、七十万三千四百七十六台でございまして、昨年の同期に比べまして、約五万七千台、率にして七%程度低くなってございます。こちらも、ことしのゴールデンウイークはまとまった休みのとりづらい休日配置となっていたことによるものと考えておるところでございます。

 以上でございます。

津村委員 ゴールデンウイークについても、三ルート別にお答えいただけませんか。

星野参考人 お答えいたします。

 ゴールデンウイーク十一日間の交通量でございますが、県境断面で申し上げます。大鳴門橋につきましてはマイナス八%、瀬戸大橋につきましてはマイナス六%、多々羅大橋につきましてはマイナス八%ということで、三県境断面、三ルート合計ではマイナス七%ということでございます。

 以上でございます。

津村委員 続きまして、国土交通省さんと本四高速さんにお伺いをいたしますが、実は、私、この料金引き下げの問題につきまして、先月、四月九日の決算行政監視委員会でも取り上げさせていただいておるわけですけれども、その際、平井副大臣にお尋ねをいたしました。料金引き下げを今後どういうふうに進めていきますかという問いに対しまして、副大臣から、「今の高速道路料金の値下げと、この瀬戸大橋を含む値下げにつきましては、今後十年間で実施する料金値下げが平均一割引きとなる水準を基本として、約二兆円の債務を国が承継することとして、所要の措置を盛り込んだ法案を実は今提出して審議をいただいているという状況があります。」、これは四月九日時点の話です。

 それに、さらに具体的な時期についてお伺いしたところ、「衆議院において法律案の審議をいただいている際には、その後の参議院での速やかな御審議を経て、秋ごろの導入を目標としておりましたが、現時点では、その導入時期を断定することはちょっとできなくなっております。」という御答弁をいただきました。

 当時、四月九日ですから、まだ道路の特例法が審議中だったということを踏まえての御答弁だと思いますが、状況は変わりまして、現在、道路特定財源の特例法は成立をしているということでございます。今後の具体的な検討スケジュールをどのように今固めていらっしゃるんでしょうか。

金子大臣政務官 お答え申し上げます。

 高速道路の料金引き下げにつきましては、御案内のとおり、民営化の会社の自主性を尊重するという基本的な枠組みがあるわけでございます。現在、準備は進めている状態にございますが、御案内のとおりの国会のこれまでの審議、あるいは一般財源化の問題等々がございます。

 そういう中にありまして、関係する機関との必要な調整をこれから行っていかなきゃならないという基本的な背景がございますが、現時点で申し上げますと、これから料金を引き下げる、基本的に、副大臣が答弁したというお話がございましたが、その想定のもとに、国土交通省といたしましては、約一割程度の引き下げということを目途に準備を進めているわけでございます。

 御案内のとおり、財特法によりまして、国民や地方自治体の考え方も、意見を聴取するという建前になっておりますので、これには大体一カ月程度はかかるんじゃないだろうかというような見通しを持っているところでございます。具体的な意見の聞き方等々につきましては、各会社の方で、地域の実情等を踏まえて判断されていくもの、このように考えております。

 いずれにいたしましても、国交省といたしましては、この高速道路の料金の引き下げについては国民からの強い要望もあると承知いたしているところでございまして、できる限り速やかに導入できるよう関係機関と調整を図っていきたい、このように考えております。

津村委員 今、地域のそれぞれの実情に応じてというお話がありましたが、それは各高速道路会社が別々のやり方で結構だということですか。

金子大臣政務官 基本的には、聞き方というものにつきましてはそれほどの大きな差はないと思いますが、それにしても、それぞれの地域でいろいろな事情がある場合もあるわけでございますから、基本的には会社の自主性を尊重するという建前になっておりますので、そういう観点からお答えした次第でございます。

津村委員 国民の意見の聞き方というのはいろいろあると思いますが、例えば地方自治体とか一部の団体に部屋の中でいろいろお話を聞くパターンもあれば、いわゆるパブリックコメントみたいな形で、オープンな形で聞くやり方もあると思うんですが、どちらを主として想定されているんでしょうか。

金子大臣政務官 ただいま御指摘ございましたが、基本的には、パブリックコメント方式と申しますか、そんなところじゃないかと。ただ、それはあくまでも自主的にその会社が判断するということでございますけれども、常識的にはそんなことじゃないかというふうに思っております。

津村委員 それから、時期についてもう一回お伺いいたしますけれども、前回の平井副大臣の御答弁では、つまり、当初は秋ごろの導入を目標としていたということを一つ明言されている一方で、何しろ国会情勢で、これは、政府としてはもうどうしてもわからないからわかりませんということをお答えになっていたと思うんですが、国会でのこの法案処理はもう終わっているわけで、あとはもう、一般財源化云々の議論も含めて、政府の中でのお話ですから、そこは、政府としての時期というのはもう少しはっきりとお答えいただいていいんじゃないかと思いますけれども。

金子大臣政務官 基本的には、できるだけ早く、先ほどもお答え申し上げたところでございますが、国民からの要望も非常に強いところでございますので関係機関と速やかに調整を図っていきたい、このように考えているところでございます。

津村委員 秋というのができるだけ速やかというので、よくわかりませんが、今年度ということでよろしいんですね。

金子大臣政務官 国土交通省といたしましては、そのように考えております。

津村委員 それでは、本四高速にもお伺いいたします。

 今、パブリックコメントを常識的にはとおっしゃいましたが、パブリックコメント方式を一つ念頭に置きながら、あとは、各高速道路会社の自主性を尊重して国民の意見を聞くというお話がございましたが、どういう具体的な検討スケジュールをお考えでしょうか。

星野参考人 お答えいたします。

 この五月十三日に、高速道路利便増進事業につきまして定められました法律が成立いたしましたのを受けまして、本四高速といたしましても、国とも御相談の上、地元、地方公共団体等の意見を伺いつつ、日本高速道路保有・債務返済機構と連携いたしまして、本四道路の料金割引に関する利便増進計画の案を作成し、利用される皆様の御意見を伺いたいと考えておるところでございます。

 利用される皆様の御意見を伺うパブリックコメントの実施に当たりましては、限られた時間でございますので、その中で、本四道路を御利用いただく方々や地元の方々からできるだけ多くの意見を伺いたい、このように考えておりまして、皆様方への周知の仕方についていろいろと工夫してまいりたい、このように考えているところでございます。

 また、パブリックコメントを実施いたしました後、さらにこれを踏まえまして計画を詰めていくことになりますが、本四会社といたしましても、関係機関と御協力させていただきまして、できるだけ速やかに新たな割引が導入できるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

津村委員 料金引き下げの関係団体云々というところについて少し掘り下げたいと思うんですが、地方自治体から大変関心の高い問題で、これまでも私に限らずいろいろな委員が国会で取り上げてきたテーマでもあるかと思います。

 これまで地方自治体からどのような要望が上がっていると把握されているのか、そして、それをどう、パブリックコメントの中なのか外なのかわかりませんが、反映させていくお考えなのかということと、それから、先ほど国交省としては今年度中に実現させたいということをおっしゃいましたが、それは本四高速さんとしても同じということを確認させてください。

星野参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げました利便増進計画に基づく料金引き下げにつきましては、国交省の御方針に従いまして、私ども、できるだけ速やかにやってまいりたい、このように考えております。

 それから、地方自治体から、地元からどのような料金引き下げにつきましての要望が上がっているかということでございますが、これまで地元の地方自治体から、地域活性化のため、利用しやすい料金への引き下げ、それから他の高速道路で実施されている割引制度の導入といった要望がたびたび上がってございます。例えば、Uターン割引、周遊割引、通勤通学等々でございます。

 私どもといたしましても、料金割引につきましては、高速道路機構への貸付料の支払いに支障のない範囲で企画割引という形で実施してきておりまして、これまでに、与島Uターン割引や架橋記念割引のほか、四国周遊往復割引、本四二橋めぐり割引クーポン、あるいは、JR新幹線、レンタカー、宿泊とセットになりました、しまなみフリー悠遊クーポン、あるいは、飛行機とレンタカー、宿泊のセットになりました空港レンタカーETC割引などの企画割引を実施してきてございます。

 今後は、これらを拡充いたしますとともに、地域と連携いたしまして、例えば宿泊とセットになった周遊割引など、民営化会社としていろいろなノウハウを発揮いたしまして、新たな割引の具体化、開発に努めてまいりたい、このように考えてございます。

 なお、減収を伴います割引につきましては、本四道路に係る債務の確実な返済に支障を来すと考えられておりますので、会社の努力のみでは実施が困難と考えているところでございます。

 財特法が成立いたしまして、これに基づく本四高速の料金割引の導入が可能となっておりますので、これに関しまして、まず地方自治体から、物流強化、観光振興のための新たな割引の実施が求められているところでございます。

 本四会社は、国、地方自治体等と連携いたしまして、平成十九年度より社会実験を実施しております。今後、この社会実験の効果の検証結果を踏まえまして、本法律に基づき、国、日本高速道路保有・債務返済機構、地方自治体等と協議しながら、利便増進計画を作成するなど、本格割引の実施に向けて努力する所存でございます。

 以上でございます。

津村委員 少し具体的な話を取り上げていきたいと思います。

 与島という島が真ん中にありまして、そのUターン割引を、今までは企画物として、二日間だけとか、期間を限定して昨年度まで行われてきた。多くの場合、半額にして交通量が二〇〇%を超えるというケースが、時々ですけれども、あったものですから、これはずっと半額にしても減収にならないんじゃないかということで、今年度からは上半期ずっとやるということで今取り組みをされていると思います。

 仄聞するところでは、現在、もう一カ月半たちますけれども、二〇〇%を超えて大変好調だと。その背景としては、与島まで行くのは半額だということがかなり皆さんに浸透しているから宣伝効果も十分あるのだということかと思いますが、少し具体的な数値として、与島Uターン割引の現在の交通量、そしてその評価をお伺いしたいと思います。

星野参考人 お答えいたします。

 与島Uターン割引は、平成十七年度より実施してまいりましたが、いずれも、観光シーズンやイベント等があわせて行われた時期を中心に、期間を限って実施してきたところでございます。

 今年度は、四月から九月末までの期間に連続して実施するということで、観光シーズン等以外の時期も含めました効果を把握したいという新たな踏み出しをしたわけでございます。

 ただいまのところ、四月のUターン交通量の実績が上がってございますが、軽自動車等及び普通車全体では六千六百台の御利用をいただいておりまして、これは割引を実施していない平成十七年四月と比べますと約二・四倍の増加となっておりまして、まずは好調な成績でスタートしたと考えておるところでございます。

 以上でございます。

津村委員 冒頭の御質問で、私はゴールデンウイークの三ルートの利用のことをお伺いしました。そこでは、今回、曜日構成のこともあって、どちらかというと減っているというお話があったわけですが、この与島については、そういう要因があったにもかかわらず、二四〇%、二・四倍ということですから、半額にしても、一・二倍の収益というか増収、二〇%の増収という計算になるのだと思います。

 今、代表取締役がおっしゃられたように、まさに減収にならなければこれからも検討されていくのかな、まさにイベントがないときでもこういう効果が上がっているのだということかと思いますが、これから下半期、今回、上半期、四月から九月までということで今のところは区切っていらっしゃいますが、前回の四月九日の委員会の際に、恒久化についても実現に向けて前向きに検討していくというようなお話を、正確な文言は覚えていませんが、いただいておりますけれども、まずは、今年度下半期も継続するお考えをお持ちかどうかということが一点、それから、恒久化についてどうお考えになるか、あわせてお伺いします。

星野参考人 お答えいたします。

 下半期も割引を引き続くのかという御質問でございますが、会社といたしましては、まず現在行っております上半期の実績を見た上での判断になると考えておりますが、好調な結果を得まして下半期も引き続き割引を行いたいと考えているところでございます。その後は、恒久化の実現に向けてさらなる努力をする所存ということで私どもは考えているところでございます。

 以上でございます。

津村委員 次に、本四架橋の整備効果について伺っていきたいというふうに思います。

 こちらも、現在、道路特定財源の大きな議論の中で、高速道路全般についてBバイCそのほか議論をされているところでありますけれども、本四架橋については、高速道路会社も別にして、少し特殊な扱いをしてきた経緯もありますので、その整備効果について改めて注目をしているところです。実は、これは一年半ほど前に、去年の三月だったと記憶していますが、たしか予算委員会の分科会か何かで、ことしが二十周年になるから一年かけて整備効果を検証してほしいということをお願いして、それをやりますというふうに一年半前にお答えになったんですが、現時点でまだされていない。これだけ道路のことが議論になっている現時点でもまだされていないということを、四月九日に確認させていただきました。

 急いでやっていただくということになっているわけですけれども、現在の検討状況についてお伺いしたいということと、それから、その際に御答弁が、最後、時間がなくて駆け足の御答弁だったので、少ししり切れトンボになっていましたが、鉄道も含めた、瀬戸大橋は大変特殊な橋で、ほかの道路と違って鉄道も併用されているので、整備効果はその鉄道利用分も含めてきちんと検証しなければいけない多少特殊な橋だということだと思うんですが、その検証もしていただくということについて確認をさせてください。

星野参考人 お答えいたします。

 本四架橋の整備効果につきましては、例えば個別の事例の分析もございます。それから、BバイCの検討もございます。それから、マクロ経済効果分析もございます。

 個別の整備効果につきましては、いろいろ事例を集めまして分析をいたしまして、現在最終取りまとめを行っているところでございまして、近々公表する予定でございます。

 それから、BバイCの計測の実施に当たりましては、国土交通省における最新の道路交通調査に基づいた将来予測交通量や費用対効果分析手法の検討状況を踏まえながら、年度内を目途に取りまとめる予定でございます。

 また、鉄道も含めました本四架橋の効果分析につきましては、国土交通省及びJR四国と緊密な連携、調整をしながらこれも実施してまいりたい、このように考えているところでございます。

 なお、最後のマクロ経済分析につきましては、委員御指摘のとおり、私ども若干作業がおくれておりまして、申しわけなく思っているところでございます。

 当初は、前回行いました経済モデルをそのまま用いまして、時点修正することによってマクロ経済分析ができる、このように考えておったわけでございますけれども、この間の社会経済状況が大きく変わりまして、当初使っておりました経済モデルの構造では現実に合わないということがわかってまいりました。現在、経済モデルそのものの再構築をしているところでございまして、若干の作業の時間を要しているものでございますが、できるだけ早く結果を出したい、このように作業を急いでいるところでございます。

 以上でございます。

津村委員 マクロ経済効果分析についてはわかりました。また、BバイCについてもわかりました。

 先ほど、個別の整備効果について近々の公表を目途に今取りまとめ中ということを伺いましたが、これは多分国土交通の関係の方はごらんになれる資料なんだと思いますけれども、「国土交通」という雑誌の四月号に本四連絡橋の整備効果ということで、ダイジェストが載っております。

 これについての内容を少し御説明いただきたいということと、あわせまして、ここには載っていないんですが、農業も含めた地域の産業への影響ということ、それから、私の友人たちといいますか知人たちの目に見えた変化として、岡山に住んでいる人が香川大学に自宅から通うとか、あるいは岡山大学の学生が香川から電車で通うとかいうことがしばしばあるんですけれども、これは橋がなければあり得ないことだと思うんですが、こういったケースも含めて、少し個別に中身を御紹介ください。

星野参考人 お答えいたします。

 本四架橋の整備効果、先ほどお持ちの国土交通省の機関誌に載っているものはそのダイジェストでございますが、幾分事例的に御紹介をさせていただきたいと存じます。

 まず、架橋前と架橋後を比較した効果の具体例でございますが、大鳴門橋の開通、これが県境断面では初めての開通でございますが、昭和五十九年度と平成十八年度を比較いたしますと、本四間の自動車通行台数は二・六倍になってございます。また、本四間の交流人口は一・八倍ということで、年間五千万人を超える人数ということで、急拡大しているところでございます。

 また、架橋前にはほとんどなかったがその後非常に新たな分野が急展開したという具体例といたしましては高速バスでございまして、本四間を連絡する高速バスが、特に明石海峡大橋開通後、京阪神と四国を結ぶ路線を中心に大幅に増加しておりまして、平成十八年度には一日当たり三百四十三往復が走っております。年間約四百八十万人に御利用していただきまして、四国と近畿、中国地方を結ぶ足として非常に大きなウエートを持つに至っております。

 これらの整備効果につきましては、先ほども申し上げましたが、取りまとめの最終段階に入っておりまして、近々公表する予定でございます。

 なお、農業関係あるいは通勤通学関係でございますが、農業関係につきましては非常に顕著な例が幾つも見出されております。

 例えば、高知県産のミョウガ、ミョウガはショウガの一種でございますけれども、鮮度保持が命でございますが、従前は空輸でやっておりました。これをトラック輸送ができることになりましたので、非常に出荷量が年々増加しておりまして、東京卸売市場に占める割合は既に七六%、大阪中央卸売市場に占める割合は九二%というように、ほぼ独占状態にまで発展してございます。

 それから、阿波尾鶏、これは徳島県の地鶏のブランド名でございますが、これも高速道路を使いました冷凍冷蔵輸送によりまして、中国、近畿はおろか関東地方などにも販路を拡充しておるものでございまして、平成十四年に既に全国シェア第一位となってございます。

 愛媛県のタイの養殖、これも輸送技術が発展いたしまして、高速道路を活用することによって全国シェア一位。

 それから、香川県のレタスは、これも遠方まで出荷が可能になりましたので、特に東京卸売市場で、近郊産は冬場が品薄になるんです。その品薄の時期に香川県のレタスがぐっとシェアを伸ばしておって、約二〇%のシェアがあるというように、大きな拡大をしているところでございます。

 なお、瀬戸大橋の対岸にございます岡山大学と香川大学の入学者の出身地を見てまいりますと、これも瀬戸大橋開通前と開通後ではかなり学生さんの出身地が変わってまいりまして、例えば、岡山大学では対岸の四国地方出身者の学生の割合が一三%から二〇%に大きくふえております。また、香川大学でも、対岸の中国地方の出身の学生が二九%から三五%ということで、香川、岡山、中国地方との一体化が急激に増加している、このように考えているところでございます。

 以上でございます。

津村委員 東日本高速の方にも一問御質問させていただきます。

 東京湾のアクアラインができまして、たしか昨年ですか十年が経過したということだと思いますが、こちらもやはり本四の長大橋と同じで交通量の計画と実績に大きな乖離が生じているということで、料金体系も含めてこのままでよいのかということを、私自身も、たしか四月だったと思いますが、菅直人代表代行を含め民主党の仲間たちと、海ほたる、それから木更津の駅前の最近の状況など視察にお邪魔したこともございます。

 これも、本四架橋と同様に、そろそろきちんとした効果の分析ということをしていただきたいと思いますが、現在の御予定についてお伺いいたします。

井上参考人 御質問にお答えいたします。

 アクアラインの料金、普通車で開通当初四千円ということでございましたけれども、順次引き下げてまいりまして、十二年に三千円、十四年にETC車について二千三百二十円ということで、道路公団時代も順次引き下げてまいりましたが、民営化した後、十九年の八月から料金の社会実験で、現在は、通勤時間帯につきまして普通車料金を千五百円にまで引き下げております。

 これに伴いまして、交通量、先生御指摘のように平成九年に開通したんですが、その次の年では一万台の交通量でございましたけれども、社会実験導入によりまして、十四年には一万三千七百台、それから十九年には一万九千七百台ということで、開通当初の約二倍程度近くまで交通量は伸びてきております。

 それで、交通量等いろいろな整備効果分析、開通から二年たちました十一年に報告をまとめておりますけれども、その際にも、今後の取り組みの状況等も踏まえて一定期間経過後改めて評価するということになっておりまして、当社としても分析する必要があると認識しておりまして、現在行っています料金引き下げの社会実験、それから、当時と比べまして周辺の道路のネットワークも随分整備されてまいりました、そういうようなことでの整備の見通し、それから、現在国土交通省で行われております交通量、十七年のセンサスを踏まえた分析、それから社会情勢の変化等を踏まえまして、できるだけ早く分析をしたい、改めて分析したいというふうに考えております。

 以上です。

津村委員 御答弁ありがとうございます。

 もう少し本四道路の維持管理費について伺っていくんですが、少し時間が押しておりますので、事前の通告の問いを少しまとめてお伺いしていきます。

 維持管理費が最近減少傾向にあると思いますが、その縮減の背景についてと、また、四月に、維持管理作業の中で十六歳の作業員の方が海面七十メートルの高さから転落をされて亡くなったという事故がありました。危険な箇所で十八歳未満の方が就労することは禁止をされているんだと思いますが、その危険箇所かどうかという認識も含めて、今捜査当局を含めて議論されているところと思います。そこの事案の中には入っていきませんが、本四道路の維持管理費の縮減の背景と、今回の転落事故がそういう縮減、コスト削減に無理があったからではないかという指摘に対しての御答弁をお願いいたします。

星野参考人 お答えいたします。

 コストの縮減の背景、維持管理費のコスト縮減の背景でございますが、平成十五年十二月十二日に、道路関係四公団民営化の基本的枠組みにつきまして、政府・与党申し合わせの中で、管理費につきまして、平成十四年度と比較して平成十七年度までに三割のコスト縮減を図ることとされました。

 それを受けまして、平成十七年度の維持管理費は、平成十四年度と比較いたしまして三四%の縮減をいたしております。それ以前から本四高速におきましてはコストの縮減を進めておったところでございますが、平成十四年度からさらにコスト縮減を加速したということでございます。

 このコスト縮減に当たりましては、安全性に十分配慮をしております。清掃頻度のサービスレベルや一般橋梁の塗りかえ計画、設備更新計画等の見直しを行いまして、また効率的な施設運転等による電気料の縮減等々、いろいろな工夫を凝らしながら進めてきたところでございます。

 なお、今般、四月一日に、瀬戸大橋の北備讃瀬戸大橋におきまして、塗装作業員の方が海面に転落して死亡される事故がございました。お亡くなりになりました方に対しまして謹んで御冥福をお祈り申し上げますとともに、御家族の皆様には心よりお悔やみ申し上げたいと存じます。

 先生御指摘の点でございますが、こういう転落事故が発生したがコスト縮減で無理があったのではないかというようなことかと存じますが、今回の転落事故が生じました工事は塗装の塗りかえ工事でございまして、この工事費は適正な基準に基づきまして算定しておりまして、場所は瀬戸大橋という非常に高い高所作業でございますが、その高所作業に伴う安全費も適切に計上しているところでございます。したがいまして、現時点におきましては、管理費のコスト縮減がこの工事の事故の原因によるものではない、このように考えているところでございます。

 以上でございます。

津村委員 本四高速さんへの最後の御質問にいたしますが、再発防止策を四月の三十日に中間報告書という形で取りまとめられたということをお聞きしております。その中間報告における再発防止策の骨子で結構ですのでポイントと、これは中間報告となっていますが確実に実現をされるということなのか、その点を確認させていただいて、本四高速さんへの最後の質問とします。

星野参考人 お答えいたします。

 この事故の再発防止につきましては、事故が生じました後、次の日でございますけれども、事故再発防止の専門家も含むメンバーを入れまして墜落事故再発防止検討委員会を立ち上げまして、四月三十日に中間報告を取りまとめて公表させていただいたところでございます。

 再発防止対策は各種各様にわたりますが、今回の事故の原因が、けた外面作業車、これは移動可能な橋梁の作業用の足場でございますが、その足場にけたの中の管理通路から乗り移るときに、正規の乗り込み口を通らずに手すりを乗り越えて移動しようとした行動が原因かと考えられますので、正規の乗り込み口を新たに数をふやして、できるだけそういう近道行動をしないようにする、あるいは、年少者が危険な業務に従事することのないように、高所作業では年少者の従事を禁止する、その他安全教育をさらに徹底する等の措置を講じたものでございます。

 以上でございます。

津村委員 最後とは申し上げたんですけれども、先ほどの十八歳、十六歳という年齢のことを一つポイントとしてお伺いしたかったんですが、今触れられていなかったように思いますけれども、そこの点、最後、確認させてください。

星野参考人 先ほども若干触れさせていただきましたが、当該現場は高所での塗装作業が主体の現場でございます。したがいまして、年少者の行える作業というのは極めて限定的でございます。そういうことで、極めて限定されているということからも、今後は、年少者を危険作業に従事させることを予防するために、予防のために、十八歳未満の年少者は当該作業現場に入場させないというようにしたものでございます。

 以上でございます。

津村委員 時間が限られておりますので、厚生労働省さんに、新型インフルエンザの話ですけれども、少しまとめてお伺いをいたします。

 政府は、新型インフルエンザ対策強化に必要な経費として、平成十九年三月に七十二億円の予備費使用を閣議決定しております。この予備費使用によって現在生じている効果と、今後さらに期待される効果についてお伺いするということが一点。

 それから、もう一つ、通告の中では飛びまして四つ目か五つ目あたりになると思います。プレパンデミックワクチンの事前接種に関連いたしまして、現在、有効性と安全性を検討する研究を実施しているということかと思いますが、これは一千万人の方に接種をするという計画の優先順位その他が大変関心を集めていると思いますけれども、その研究のスケジュールと、実際にいつごろ接種を、何月ごろできそうなのかという時期、そして、その優先順位のあり方について、今は社会機能維持者とか医療従事者ということを言われていますが、例えば子供とか妊婦さんとかを優先するべきという議論もあるようですが、そこの見解もお伺いします。

伊藤大臣政務官 お答えいたします。

 まず、十八年度の予備費によって講じた対策は、平成十九年一月に宮崎県及び岡山県において高病原性鳥インフルエンザH5N1が相次いで発生をし、新型インフルエンザの発生に備えた一層の対応を行う必要性、緊急性が高まってきた状況の中で、新型インフルエンザ対策行動計画が改定されたことを受けまして、平成十八年度中に直ちに対応する必要があると考えられたところから行ったことでございます。

 この新型インフルエンザ対策は多岐にわたるものでございますけれども、当時の状況の中で、一つは、ウイルスに暴露した者に対して抗インフルエンザウイルス薬の予防投与を行うことで、地域封じ込めを含めた新型インフルエンザ発生初期における感染拡大の防止を図ること、もう一つが、ウイルスの変異に対応した新たな株のワクチンを製造、備蓄すること、三つ目が、検疫官のための感染症防護服及び検査機器の整備充実を図り、新型インフルエンザの国内への侵入を防止すること、こういったことを行うことが特に重要であると考えられまして、この点について、平成十九年三月に新型インフルエンザ対策行動計画に新たに盛り込まれたところでございます。

 これらの対策について、新型インフルエンザがいつ発生するかわからないといった状況の中で、できる限り早く対応することが必要となり、平成十八年度予備費を使用することによって、こうした対応がいち早くできるようになったものでございます。

 ワクチンの事前接種等のことでございますけれども、国が備蓄しているプレパンデミックワクチン、これについては、現時点におけるトリ・ヒト感染のインフルエンザウイルスをもとに製造しておりまして、その有効性の度合いは実際に新型インフルエンザが発生してからでなければわからないこと、また、ワクチンの生産能力には一定の限界があることから、患者を直接診療する医療従事者や、社会機能を維持するために流行中でも職務に従事しなければならない者に対して、フェーズ4になった時点で直ちに接種することとしているところでございます。

 医療従事者、社会機能の維持にかかわる者以外の者に対するプレパンデミックワクチンの接種については、いまだ発生していない感染症を対象にしており、その安全性や有効性についてさらなる研究等の積み重ねが必要であり、引き続き検討が必要と考えております。このため、まず今年度、六千人を対象にプレパンデミックワクチンを用いた臨床研究を実施し、ワクチンの有効性や安全性について評価を行い、その結果を踏まえて、医療従事者や、先ほど申し上げました社会機能を維持することにかかわる者、御指摘のとおり約一千万人に対する接種について検討をしているところでございます。

 臨床研究については、夏ごろに接種できるよう準備が進められておりまして、できる限り、今年度中に結果を出せるのではないかと聞いております。

 また、お子様や妊婦の方についての御指摘でございますが、子供さんや妊婦の方についての接種については、まだその有効性の度合い等が、実際に新型インフルエンザが発生してからでなければわからない等の状況を踏まえまして、現段階では、プレパンデミックワクチンを接種する対象とは考えておりません。今後、まず安全性などの知見の集積などが必要でありまして、高い水準での安全性が確認をされた場合、このプレパンデミックワクチンの接種対象のあり方についても検討していきたい、そのように考えております。

枝野委員長 時間が過ぎておりますので。

津村委員 質問を終わります。

枝野委員長 これにて各件についての質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

枝野委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 平成十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)、平成十八年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)、平成十八年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)、平成十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)、平成十八年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)の各件について採決いたします。

 各件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

枝野委員長 起立多数。よって、各件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

枝野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

枝野委員長 次に、歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として国家公務員倫理審査会高木達也事務局長、文部科学省大臣官房合田隆史総括審議官、文部科学省大臣官房舌津一良文教施設企画部長、文部科学省高等教育局磯田文雄私学部長、文化庁高塩至次長、国土交通省大臣官房大森雅夫総括審議官、国土交通省道路局原田保夫次長及び国土交通省航空局鈴木久泰局長の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

枝野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

枝野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉沢徳一郎委員。

玉沢委員 本日は、与党の同僚の皆さんからの御配慮によりまして三十分の質問の時間をいただきましたので、特に若林農林水産大臣に、今、世界が穀物の高騰で非常に厳しい情勢にあります、食料不足も極めて深刻な状況になっております。我が国として、この事態にどのように対処していくべきであるかという観点から御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、お米の問題を取り上げていきたいと思います。

 今まで世界一の輸出を行ってまいりましたベトナム、第二位の輸出国でありましたインドを初めとしまして、バングラデシュ、カンボジア、インドネシア等、軒並みに米の輸出禁止に踏み切っております。国際的に絶対量が不足する状況を迎えております。

 こうした中、政府は、フィリピンに対しまして、我が国が保有しておるMA米から二十万トン、国内米から五万トンを提供するということを決定したやに聞き及んでおるわけでございますが、私は、これを実行するということは極めて大事なことであると思いまして、高く評価したいと思います。

 ただ、この提供はどういう取り扱いを行うか。WTOの農業貿易上は、商業ベースで行うということが大事ではないかと思います。しかし、食料援助という考えもあります。どういうような取り扱いを行うお考えであるか、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

若林国務大臣 委員が今お話しになりましたように、フィリピンの方から、今のフィリピンにおきます食料事情、とりわけ米の需給事情が悪化しているということから、フィリピンの農業長官の方から私あてに要請の書簡が参っております。

 その書簡によりますと、我が国が持っておりますミニマムアクセスの米について、二十万トンを供与してもらいたいということでございました。しかし、その要請には、今委員が御指摘になりましたような、援助としてやってもらいたいのか、それとも商業ベースを通じて相対の取引でやってもらいたいのか、その点、書簡は明確でございません。そこで、フィリピン側の意向をさらに今確認しているところでございますが、そのことを踏まえて政府部内で検討をしていきたい、こう思っております。

玉沢委員 私は、このMA米は、我が国の国民の税金で買ったものでありまして、WTO上の考え方からいいますならば、農業貿易という概念で輸出するべきではないか、こういうふうに思いますので、私の意見を申し述べさせていただきます。

 次に、小麦、トウモロコシ、大豆等の高騰の問題について取り上げてまいりたいと思います。

 いろいろな要素があるわけでございますが、この中の一つに、こうした穀物の高騰の最大の要因になっておりますのが、アメリカが石油の高騰に対応して、穀物からエタノールの生産を決定して、かなりの量の穀物を、将来は三割ぐらいまで対象にするという考えもあるようでございますが、エタノール生産に踏み切ったことによりまして穀物の高騰が、これが大きな要素になってきたということは否めない。したがいまして、小麦、トウモロコシ、大豆は軒並み二年前に比べまして三倍の国際価格になっております。これは、世界に与える影響は非常に大きいと私は思うんです。

 日本としましても、アメリカの穀物の最大のユーザーですよ、消費国ですよ。これが、アメリカの政策決定によりまして三倍にも上げられた価格でこれを購入しなければならない、これは最大の被害をこうむるという考えも成り立つんではないかと私は思うんです。

 アメリカは石油の生産国ですよ。また、資源も穀物以外にたくさん持っているわけですね。だから、何も穀物をエタノールに転化するということをしなくても済む国なんですね。だから、アメリカの大生産国としての立場から考えますならば、世界に安定的な食料を供給するという義務は大きなものがあると私は思うんです。

 したがいまして、今まで私どもも農業交渉等いろいろやってまいりました経緯がありますけれども、この際、私は、日本がアメリカに対しましてただ黙っているんではなくして、協議を申し入れまして、この政策の変更等についてもしっかりと物を言うときが来ているんではないか、こう思うんです。これは、単に日本だけではなくして、世界の消費する国民、国家が同様の問題を抱えている、こう思うわけでございますので、それらを代表してでも、またアメリカと同盟国である我が国としましても、この事態をできるだけ避けるような措置をとる必要がある、こう考えるわけですが、大臣の御見解を賜りたいと思います。

若林国務大臣 今、世界の食料、とりわけ穀物の需給が逼迫をいたしまして、委員が御指摘のように穀物価格は異常な高騰を示しているところでございます。

 この穀物、食料価格の高騰の原因についてはいろいろ言われておりますけれども、四つほどあると考えております。

 一つは、中国やインドなどの途上国の経済発展に伴って食料需要が増大をしております。とりわけ、質的に変化しまして、畜産物消費などが伸びますとえさの需要がさらに拡大していく、そういう世界全体の需要の中で、中国、インドなどの途上国の需要が増大しているということが一つ。二つ目は、豪州、やはり食料供給、輸出国でありますが、豪州が二年連続の干ばつがある、また地球温暖化などの地球規模の気象変動によりまして、供給面で変動があったということが二つ目にございます。三つ目は、原油価格が異常に高騰しておるために資材費だとか輸送費といったようなものの上昇がございまして、そのことが他穀物の価格を押し上げているということが三つ目でございます。そして四つ目、委員が御指摘のように、穀物をバイオ燃料用の材料として使うという需要が増大しているといったような要因が実は複雑に影響した結果、生じてきているものというふうに思うのでございます。

 しかし、いずれにしましても、バイオエタノールを初めとしたバイオ燃料というものにトウモロコシなどの穀物が使われているということも一つの要因であるということについては、私どもはそれは重大な問題だというふうに認識しているわけでございます。そこで、穀物価格の高騰などに悪影響が生ずるような事態は厳に避けなければならないということを基本に考えているわけでございます。

 このために、我が国自身としては、稲わらだとか間伐材といった、食料と競合しないセルロース系の原料を活用したバイオ燃料を生産するという、いわば日本型のバイオ燃料の生産拡大策を推進するということにしておりまして、諸外国に対しても、食料供給と競合しない形でのバイオ燃料の生産拡大の重要性を主張しているところでございます。

 ことしの二月にバンコクにおきまして、我が国が主催をして、アジア地域の諸国に対しましてこのような考え方を申し上げているわけでございますが、バイオ燃料政策についての国際シンポジウムというのを開催いたしたところでございます。ここでは、中国、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、ブルネイ、八カ国が参加いたしておりますが、ここのパネルディスカッションなどにおきましても我が国の考え方というものを述べまして、必要な政府間協力をしていこうじゃないかということで論議を行っているわけでございまして、食料の安定供給に最大限の注意を払いながらバイオ燃料政策を進める必要があるということについては、その場で共通の認識を得ているところでございます。

 現時点におきまして、米国が穀物を原料としてエタノールを生産しているということは、これ自身は米国内の諸事情を踏まえて米国政府が判断をする、そしてまた実施しているというものでありますが、一方で、委員が御指摘のように、このことが国際的な食料価格高騰の一因になっているというふうに指摘されてもおりますし、我が方もこれが要因の一つであると考えているところ、北海道の洞爺湖サミット、あるいはこれに向けて関係閣僚会合などが行われておりますが、この点を踏まえて、食料価格高騰問題について議論をするということで準備を進めているところでございます。

 FAOの総会が六月の初めにローマで行われますが、国連の事務総長の要請がありまして、食料サミットというふうにしたいというお話があり、我が国からは福田総理が出席をする予定で進めております。私も同行いたします。OECDもその後、食料問題を討議することになっております。

 このようないろいろな場面を通じまして、基本的には食料に悪い影響を与えるような形のバイオエタノール生産というものには慎重に対処すべきであるということを通じて、一貫して言っているところでございます。

    〔委員長退席、横光委員長代理着席〕

玉沢委員 大臣がおっしゃられましたように、穀物高騰に四つの原因がある、これは私も認めるところでありますけれども、その四つの中で具体的に問題解決に近づけるのは何かということを考えた場合は、穀物の大生産国であるアメリカが生産量の三割もエタノール生産に使う、こういうことはもうちょっと慎重にやるべきではないかということを二国間で申し入れするというぐらいの気概を持って私はやっていただきたい。

 本日から、MA米の取り扱いをめぐってアメリカの理解を得られるかどうかということで、日米協議が行われる。実務者会議だと思いますけれども、そういうところでもアメリカに注意を喚起していくということは大事じゃないか、私はこう思います。

 したがいまして、再度、大臣のお考えを、アメリカに対してもっとやるということを、ひとつ決意を込めてやっていただきたい。いかがですか。

    〔横光委員長代理退席、委員長着席〕

若林国務大臣 委員が今お話しになりましたMA米の取り扱いに関して、日米間の実務者レベルの協議がきょう、あす行われるわけでございます。

 まず、このことについて申し上げますと、MA米を輸入した後どのように使っていくかということにつきましては、我が国独自の判断でございまして、アメリカの了解や承認をもらわなきゃいけないものであるとは考えておりません。

 アメリカの方は、MA米は国内消費を前提にしているものだということをかねて主張しておりますが、我が方は、入れた後これをどう活用していくかというのは、加工用あるいはえさ用、いろいろな用途があるわけですけれども、援助用にも既に四分の一ぐらいは今までも使ってきているわけでございまして、そういう意味で、アメリカの承認を得なきゃならないような案件だと思っておりません。

 しかし、アメリカの主張は、国内で消費すべきであるということをずっと言ってきている中で、今回のこういう異常な状況を踏まえて、アメリカの方も、これは特例として日本のMA米を援助に使うということについては歓迎する、そういう姿勢でいるわけでございます。歓迎をするということが、これはアメリカの判断ですから、そのこと自身は我が方はとかくコメントすることはないんですけれども、私の方は、何も緊急事態でなければならない、援助というものが必要である限り我が国の判断でこれを使えると考えているわけでございます。

 そのことが中心のような、しかもハイレベルでもない事務協議でございますから、公式の協議の場で、委員がおっしゃるような形で、エタノール生産原料としてトウモロコシを使うことについて、そこで話をするという場ではないわけでございます。

 しかし、いろいろな場面を通じまして、我が国は、最大の穀物の輸入国であると同時に、特に配合飼料の原料として、えさ原料としてトウモロコシを大量に購入しているわけで、この値上がりが日本の畜産を直撃しているという事情にございます。そういう意味で、トウモロコシの価格の上昇は、いろいろな用途がある中でも、我が方は畜産飼料の需要国として、こういうものが大幅に上昇していくという状況については重大な関心を持っているということは伝えていかなきゃいけないことだと思っております。

玉沢委員 そこで、我々は、WTOにおきましてはかねてから、農業貿易条約におきましては輸出国側に有利な条項になっているんじゃないか、輸入国側には不利な条項が多いんではないか、こういうことを指摘して、その改正を主張してまいったところです。

 今回の場合におきましても、米の場合でもおわかりのとおり、輸出国が勝手に輸出禁止を行ってもWTO上は何らの罰則もないんですね。ところが、輸入国が輸入制限をすると非常に大きな罰則を科せられる。これは非常に不公平なものがあると私は思います。

 我々はこれを是正すべく主張してきたわけでございますけれども、今回、ファルコナー議長の第二次改訂案がWTO交渉の中で示されました。しかし、こうした不公平なところに対する配慮というものは全くなされていないんじゃないかと思うんですね。あるとすれば大臣から指摘していただきたいと思いますが。いずれにしろ、これは是正していかなきゃならぬものがある。

 WTOは、食料不足になった場合のことを想定した協定が何にもないんですね。私は、世界の食料が高騰して食料が不足してくる、こういうふうな事態になった場合におきましては、WTOの農業貿易に対する非常に大きなポイントとなっておる、非貿易的関心事項に配慮して協定をつくるというところがありますね。こういうところを十分考えまして、やはり自由貿易というものが農業貿易の中で大きな比重を占めるわけでございますが、食料が不足になってきた場合におきましては、各国がみずからの国の農業というものを保護して生産力を上げていく、それで対応する、いわゆる食料安保の概念というものを何らかの形でWTOの協定の中に入れていかなきゃいかぬ、私はそう思うわけでございまして、こういう点についての大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

若林国務大臣 委員は農産物貿易について長年にわたって大変御努力をいただいてまいりましたし、農林大臣としてもこのWTO交渉の進め方について責任者として活躍をいただいてきたわけでございますので、十分御承知だと思いますけれども、今度のWTOの交渉に当たりまして、我が国は早い段階からいわゆる日本提案と称するものを公式に出しておりまして、その日本提案の基本というのは、やはり、委員が御指摘になっておりますように、農産物の貿易というのは、その性格の特性から見まして、輸出国と輸入国との間にバランスのとれた貿易ルールがなければならないところ、どうも輸出国側に偏した形で農産物の貿易ルールというのが決められてきたし、また決められようとしていることに対して、我が国の立場から、輸出、輸入ともにバランスがとれたものでなければならない。

 特に、開かれた貿易秩序ということが基本であることはよくわかるんですけれども、食料の安全保障の確保といったような農業の多面的な機能でありますとか、それぞれの各国が異なる条件のもとでおります中で、各国とも国民に対して食料を安定的に供給していくということは国家の責任だという考え方をそれぞれの国が持っているわけでありまして、そういう意味では、それぞれの国の農業が維持継続できるということを基盤にする、これを重視しなきゃならないということを主張してきているわけでございます。その意味で、各国が多様な農業を行う、それぞれが共存できるということを基本理念にしてお互いが認め合うということが重要であるというふうに認識してきたところでございます。

 そういう面で、今までの協定上は、輸出制限を輸出国側がやることについて実質的には何ら制約になるような条項がなかったということは委員の御指摘のとおりでございますけれども、実は、その日本提案を受けまして、ファルコナーが既に出しましたファルコナーの議長改訂案というのがございまして、現行の農業協定の内容を前進させるような議長提案になっております。

 それは、輸出制限するときには通報を義務づける、その義務を強化する、そして制限する場合は九十日以内に通報しなきゃいけないとか、毎年更新しなきゃいけない。あるいは、今あるそういう輸出制限規定というものは撤廃をする。そして新規に措置する場合には、期間は原則一年以内だ、最長でも十八カ月ということで、一年以内に撤廃をしなければいけない。そして先進国、途上国問わず規制の対象にするというようなものでありました。

 しかし、我が方はこれでは不十分だというふうに考えておりまして、この四月三十日の農業委員会におきまして、我が国とスイスとが共同提案になりまして、さらに強化した新しい提案をいたしております。

 その提案は、通報は完全に義務化するということでございます。そして、通報がありましたときに、輸入国の要請によって輸出国は協議をしなければならないし、その協議中は輸出規制について何らかの制約をしていかなきゃいけないというようなこと。そして、協議の場というものが明確にされていませんけれども、例えば農業委員会において協議をする、協議が調わなかったときはどうするといったようなルールを明確にすべきではないかということを提案しているわけでございます。

 ところが、この間出ました再々議長改訂案にはその点が触れられていないんですね。我が方は、これについてはなお不満であるということで、二十六日から始まります、ハイレベルでありますが、農業担当者間の協議において、ファルコナー議長のもとで再度この点を主張していきたいと思っております。

 かなりの国がこれに賛同を示しているわけでございますが、ファルコナー議長の非公式の見方としては、しかしまだ盛り上がりが足りないということでございます。

 特に、今具体的に輸出規制をしている国々は、途上国の国内の事情によって輸出規制をかけている国がアジアの場合かなりあるわけですね。そういう途上国の立場というものも、国内の、自国の食料の安定のためにどうしてもやむを得ないといったような事情はかなりあるようでございまして、それらについての配慮をどうするか。その点がないと、一義的に、一律にこれをかけるというのはいかがなものかといった意見がいろいろな国々から私の方に寄せられているところでございます。

 しかし、何らかの形で輸出規制についてはルール化していくということが大事だというふうに認識しております。

玉沢委員 時間が限られてまいりましたので、結論を急ぎます。

 大臣は、この前、FAOのディウフ事務局長とお会いになりまして、食料安保については意見を同じくするということを確認されたようでありますが、来月はFAOのもとで食料サミットが開かれまして、福田総理が出席すると聞いておりますけれども、そういう場においても、我が国はやはり輸入国、消費国であるということのグループの先頭に立って、世界の国々にこの実情を訴えまして、そして安定的な食料の供給というものが行われるように、また食料安保というものがいかに重要であるかということも加えて主張する、こういうことが大事じゃないか、私はこう思うわけでございます。

 それで、今WTOの交渉が八年目を迎えています。初年度に、一九九九年の十二月にシアトルの閣僚会議で始まったんですが、アメリカはそのとき原則すべて自由化で、農業補助金も全部外せという主張だったんですよ。それで決裂に追い込んだんですよ。そして八年たつわけです。ところが、この間にアメリカは、価格が下がってきたら、二〇〇二年に国内の農業補助を主目的とする農業法を成立させたじゃないですか。今回も上下両院で新農業法が成立している。五年間に二千億ドルの援助を行うという内容ですよ。

 こういうような勝手なことをやっている国を相手に、もう少し国際的な責任というものを持って、安定的な食料の供給をすると同時に、WTOにおきましても各国の農業が共存できるようやっていく、こういうような方向に向けてアメリカも努力すべきであるということを我が国は主張していく必要があるんじゃないか。

 この四月から食料安全保障課がせっかく新設されたわけでありますから、大臣の決断に敬意を表するわけでございますが、どうか食料戦略をしっかり打ち立ててこれから対応していただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

枝野委員長 次に、小宮山泰子委員。

小宮山(泰)委員 民主党の小宮山泰子でございます。決算で質問させていただきます。

 本当に今、税金の使われ方というものが大きな話題に上っております。そして、日本は今、大変な経済状況というか、日本の赤字を考えれば、どこをしっかり支出し、そしてしないのか、変えていくのかという大きな瀬戸際にも来ているんだと確信しております。

 そこで、まず最初に、著作権について伺いたいと思います。

 昨今、海外のDVDとかいろいろな著作権が切れるということで、日本と海外での差があったりということも話題にも上っていると思います。これについては、まだ多くの方は知らないという場合もあるかと思うんですが、今、著作権の戦時加算問題ということが取り上げられることがあります。これについて、今、日本の中においてはどういうふうな取り組みをされているのか、概要について簡潔に御説明いただければと思います。

高塩政府参考人 今先生からお話のございました、著作権の保護期間の戦時加算の問題でございますけれども、これは、我が国の著作権法のもとにおきます著作権保護期間の特例でございまして、連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律に規定されているところでございます。この法律は、昭和二十七年のサンフランシスコ平和条約の第十五条(c)に基づくものでございます。

 具体的には、連合国及びその国民が戦前に取得した著作権につきましては、戦争開始時であります一九四一年、昭和十六年十二月八日から当該国との平和条約発効までの期間の日数、また、戦中に取得した著作権につきましては、戦争開始時ではなくてその取得時から起算した日数を、通常の著作権の保護期間に加算して保護されるというものでございます。

 この戦時加算の対象国につきましては、平和条約の締結国のうち、条約の発効時までに著作権関連条約によりまして我が国が著作権を保護する義務を負っていた国でございまして、通常の保護期間であります著作権につきましては我が国では死後五十年ということでございますけれども、多くは、この五十年に約十年程度の保護期間が加算ということでございます。

 今先生からお話ございましたように、この問題につきましては、私ども文化庁といたしましても、検討すべき重要な課題というふうに認識をいたしております。その一方で、この問題は、サンフランシスコ平和条約との関係などから、その取り扱いには慎重な検討が必要とされるということもございます。

 私どもでは、昨年の知財推進計画二〇〇七におきましてこの戦時加算の問題も触れられているということから、現在、文化審議会の著作権分科会の方で検討を行っているところでございまして、私どもといたしましては、この審議会での審議状況も踏まえまして、その課題の整理分析を鋭意進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

小宮山(泰)委員 著作権というものは、音楽や映像、映画だけではなく、執筆また文学においても、今後の日本にとっては多くの分野に非常に大きな意味を果たすものでもあります。

 この点に関しましては、著作権の七十年への延長、賛否両論ありますけれども、延長に合わせて戦時加算の解消を目指す、そういった意見も多くあるということは認識しているところでもありますので、ぜひ今後、この問題については、熱意を持ち、そして解消に向けて調査検討もさらに進めていただければと思っております。

 その点に関して、何かございますでしょうか。

高塩政府参考人 ただいま御答弁申し上げましたように、この問題につきましては、今、私どもの著作権分科会の方で審議を行っているところでございます。

 その課題の整理分析を踏まえまして、ただ一方で、これはサンフランシスコ平和条約という我が国の戦後の基本的な条約の枠組みの中で決まっているということでございまして、そういった問題との関係もございますけれども、その取り扱い等につきまして、関係の外務省などとも相談をしてまいりたいというふうに考えております。

小宮山(泰)委員 ありがとうございます。

 戦争というもの、今、世界のいろいろなところで、各地、紛争等もございます。やはり、そのとき何が起こるのかということを日本人自身もこういった戦時加算の問題を通して知っていくことというのも重要なことだと思いますし、これからこの問題を多くの人が共有し、そして解消していくということも重要だと思いますので、ぜひ文科省さんが中心となり、外務省とともに頑張っていただければと思っております。

 さて、昨年のこの決算行政監視委員会におきまして、私、国家公務員のアルバイトについて質問もさせていただきました。これについては、その質問をさせていただいた際には、下村官房副長官からは、法的には問題のないことではありますが、事前承認の仕組みやさらなる徹底ということについては、改めてきちっと各省庁に働きかけをされていくという答弁をいただきました。

 この点に関しまして、その後何か動きがあり、対応されたのか。大変高額にわたる、利益関係のある業者さん、民間企業からの講演依頼と金銭の授受という、疑いたくはないんですが、ある意味、疑うことの可能なそういった事例も中には含まれていたこともあります。その後どういった対応をされたのか、お聞かせください。

高木政府参考人 昨年五月二十五日の本委員会におきまして、委員から、贈与等報告書制度に関しまして、職員が講演等を行い多額の報酬を受ける場合には、事前にチェックをするなど実効性のある仕組みにすべきではないか、そういう御指摘があったところでございます。

 国家公務員倫理規程では、職員が利害関係者からの依頼に応じて報酬を受けて講演等を行おうとする場合には、あらかじめ各府省の倫理監督官の承認を得なければならない、そういうことにされております。

 この点に関しまして、国家公務員倫理審査会におきましては、講演等の承認につきまして、各府省の倫理監督官に対しまして、昨年の十一月の二十八日でございますが、国家公務員倫理審査会長の通知を発出いたしました。

 中身といたしましては、講演等の承認に当たっては、講演等の依頼元である利害関係者との職務上の利害関係の状況、それから、当該利害関係者からの依頼の頻度などを勘案し、講演等をすることが公正な職務の執行に対する国民の疑惑を招かない、疑惑や不信を招くおそれがないよう慎重に判断するようにしてほしいという指導を行ったところでございます。

小宮山(泰)委員 その指導の結果どういった傾向があるということは、何か把握されていますでしょうか。

高木政府参考人 十一月の話でございますので、その後これによってどういう状況の変化があったかというのは、今のところ、まだ把握はできてはおりません。

小宮山(泰)委員 把握はできていらっしゃらないとおっしゃっていますけれども、やはりそういった指導がされたことによって、今までの規程等の厳粛な運用等に努力をされているということが聞こえております。

 しかし、この問題、昨年お出しいただきました贈与等報告書というものは、表にしていただいたんですけれども、やはりきちんとデータベース化したりするということは非常に大切なのではないかなと思います。昨年もそうでしたけれども、議員においても、また大臣においても、贈与等報告書がどういった形で管理をされているかという現場を見た方というのは、なかなかいないかと思います。これは、一枚ずつ書かれた紙をファイルにおさめて、そして、ずっと棚におさめてあるという形でなっております。

 これに関しては、閲覧可能であるという点においては、正直申し上げまして、議員立法でできたということもありますが、不正を防いだり、そういった、人間、欲があるものでありますから、それを抑えるという意味では非常に大きな役割を果たしているとも思えるんですが、では、実際に公務員の皆さんが出した贈与等報告書というものがきちんと活用されているのか、次なる抑止力になるのかということを考えると、あのまま棚にずらっと並んでいるものではわからないのではないかという思いがしてなりません。

 特に、平成十八年度の国家公務員の倫理の保持に関する状況及び倫理の保持に関して講じた施策に関する報告、平成十九年の九月に出た分の数を考えますと、総務省がまとめた形のものになりますと、各省庁の合計で一万三千二百七十九件、そのうち二万円を超す贈与報告の件数というのは七千二百十五件ありました。

 省庁別に申し上げますと、厚生労働省が四千二百九十八件、法務省が二千六件、文部科学省が千四百四件、国土交通省が四百九十三件、あとは、特定独立行政法人の合計としては四千二十八件あり、それぞれで言えば、厚生労働省は、二万円以上を超すのは三千三百四十件、法務省であれば、二万円以上を超すのは九百三十九件、文科省では七百八十件、国土交通省では百四十七件、特定独立行政法人では三千六百八十件もの二万円を超す報告書が含まれています。

 これだけありますと、なかなか調べるというのも大変でもありますし、また、一枚ずつになっておりますので、どういった傾向があるのかとか、そういった意味では、やはり把握するということが、去年の例から見て、また指導を出されたという観点においても必要なんだと思います。

 ちなみに、これは利益関係があっても、運用はこれから厳しくされるということもあるとは思うんですが、各省庁が監督をする、また許可をされていくというのは、国家公務員倫理規程第九条の講演等の承認についてということでありますが、これは平成十九年十一月二十八日に出されたということでありますが、これは、承認をおろすのは各府省の倫理監督官ということで、あて先はなっております。

 それでは、この倫理監督官というのはどういった方が主になられるのか、これは通告はしておりませんが、教えていただけますか。

高木政府参考人 倫理監督官と申しますのは、基本的には各省の事務次官でございます。

小宮山(泰)委員 ありがとうございます。

 各省庁、件数が先ほど述べたように違いますので一概には言えませんが、全体では一万三千二百七十九件もあるわけですから、これはやはり、何かおかしいなと思ったとき、また、専門の知識をお持ちの方とかによってその業界的なものの講演料の基準が違うということも、昨年の質問以来、随分指摘も受けました。これを考えていきますと、その倫理監督官が、どれだけそういったことに関し、また、ある程度人事異動もありますので、各役職において、ずっと毎年この時期には講演があるとか、そういったいろいろなことが、この出していただいた報告書においてわかるかと思うんです。

 今、手書きですし、事務次官が主に許可を与えるということになれば、膨大な情報量を持たなければならないとも思えます。本当に、あれは調べるのは大変だと思います。昨年も、そういう意味では、人事院の皆様も大変御苦労もされている部分もあるかと思います。

 この点に関しましては、これを出していただいたからには、もう少し監督官がきちんと監督を果たせるような、そういう意味では、これは、外に出すのではなく、内部のためにおいても、また効率化やいろいろな面においても、やはりデータベースという、エクセルとか様式が決まっておりますので、各項目、入れる項目というのはそんなに差異はないと思いますので、余り労力をかけることなくできるかと思います。

 この点に関して、データベースなりにして、しっかりと管理をしていくということはできるのでしょうか。その点、お答えください。

高木政府参考人 贈与等報告書の各省各庁の長への提出期間というのは、報告対象期間である四半期がございまして、一日から十四日までということになっております。職員は基本的には三カ月分を一括して出します。それで、各省各庁の長、それは不適当なふぞろいがないかどうかとかについて審査をします。その審査をした上で、四半期ごとに多分ファイルをされて、そして、先生がごらんになったような形で置かれているということが多いんだろうとは思っております。

 その報告書自体、データベースみたいになっておりませんので、全体像をつかむとか、ある特定の人がどれぐらいかとか、その辺がつかみにくくなっているということは、御指摘のところもあるかと思っております。ただ、贈与等報告書とか、その件数というのはかなり莫大な数字に上ります。それをデータ化していくということになると、非常にそれなりのコストもかかるし人数もかかるんじゃないかな、そういう感じがしてはおります。

 私ども審査会としては、当面、どちらにしても、事前チェックというのがあるわけですから、そこをまず厳正にやっていただくということ、それは倫理規程九条の関係でございますね。それから、事後に出てきたものについても、おかしなものがないかどうか、本当に当該報酬の受領が適正かどうかという視点を持った審査というものをきちんと徹底させていくということが一番重要なことではないかなという認識は持っております。

 データ化の問題でございますが、それは各省各庁の長が行う運用の話ということになろうかと思いますが、そういう意味で、一義的に各省各庁の長にゆだねられているところでございます。先ほど申し上げましたとおり、その実現に当たりましては、コストの問題とか人員の問題とかあるかもしれません。今後、各府省の贈与等報告書の保存の状況を踏まえ、各府省の意見を聞きながら検討していく必要があるのではないか、そういうふうに考えておるところでございます。

小宮山(泰)委員 ありがとうございます。ぜひ検討していただきたいと思います。

 昨年、データベースというか、一覧にしていただいたのもエクセルを使っておりましたので、そういう意味では難しい作業ではないとは思います。ただ、件数が多い省庁とそうでない省庁によって随分とその手間がかかるかどうかというのは確かに違うとは思いますので、この点は、やはり、それぞれ各課等も当然人事は異動していくものでもありますので、ここをぜひしっかりしていただきたいと思います。

 この後に、私、先般から非常に話題になっておりますタクシー券の半券のことをさせていただくんですが、これも、半券がありまして、この場合ですと報告書ですね、そして、それを一覧にしっかりと書いて、そこで確認をとるというような形を、もとのものを書き写すという作業をされていらっしゃいます、もともとは手書きになっているようでありますが。

 こういったことも考えると、その場その場で終わらせていけば、さほど手間はかからないのではないかというふうに考えます。保存期間、積み重なっていってしまって、何かあったときに初めて調べ始めるから大変なのであって、常にすぐに調べられるんだ、わかるんだということが、出された報告書一枚一枚では何もわからない、問題がなくても、トータルで見るとやはり疑いを持つというようなことも、もちろん考えたくはないですが、あり得ますので、この点が本当に倫理を守るという意味において重要だと思いますので、ぜひ検討、もしくはぜひ先に進んでいただくことをお願いいたします。

 さて、今ちょっと触れさせていただきました、国土交通省出先機関のタクシー券利用の状況ということで、先般、民主党といたしましても、関東地方整備局の方に視察に行かせていただきました。これはもともと、きちんと情報提供というか資料も提出いただいて、そして、国交省の方からは、量が多いので地方整備局の現場でお見せしますという文書での回答もいただいていたものでありますが、実際行ってみたら、全然違うことを現場ではおっしゃるし、そういった非常にたらい回しのようなことが起こってしまったからこそのいろいろな問題が起きたということは、まず最初に、私もその現場にいた者として述べさせていただきたいと思います。

 しかし、私も、あの騒動の中というんでしょうか、正直申し上げまして、今、タクシーの半券、どこにだれがどう乗ったかということを確かに証明する、また、わかるものではありますが、それがどこにあるのか、しまってあるのかも、そして、これは見せられないと頑張ってくるあの異様な姿というのを見ますと、疑いたくはないけれども、どうしても、何か隠しているんじゃないか、何かいけないことをやっているのではないかと勘ぐりたくなってしまう、そういう問答が何度も何度も地方整備局において行われてしまったのも事実でもあります。

 そこで、この問題については、三月から参議院の方でも随分と質疑にはなっております。現在、三月末までの書類及び十八年度の資料がどのような状態になっているのか、その点について教えてください。

大森政府参考人 お答えいたします。

 平成十八年度そして十九年度のタクシー券、先生のおっしゃる使用簿、そして使用済みタクシー券の現時点での保存状況についてお答え申し上げます。

 まず、タクシー券の使用簿などでございますが、平成十八年度につきましては、東北、近畿、中国、四国及び九州の五地方整備局において保存されております。同じく、平成十九年度分につきましては、八すべての地方整備局において保存されておりますが、そのうち、関東整備局におきましては一部の部署に限られているということでございます。

 また、先生、半券とおっしゃられましたけれども、使用済みのタクシー券につきましては、平成十八年度分については、近畿及び九州の二地方整備局において保存されておりまして、同じく平成十九年度分につきましては、東北、関東、中部、近畿、中国及び九州の六地方整備局において保存されておりますが、そのうち、関東地方整備局におきましては一部の部署に限られているという状況でございます。

 以上でございます。

小宮山(泰)委員 残っているところと残っていないところがある。また、タクシー券の半券を残しているところもあるけれども、それを書き写している使用簿、局によってはこれは違う名前も使っているということも伺いましたが、その点に関しまして、十八年度、まだ私たち、国会においては決算も終わっておりません、今この審議をしているわけでありますけれども、そういう意味においては、やはり保存期間というものもそうですが、どこにだれが乗っていたかをきちんと精査し終わるまでは保存するべきものではないのかという思いもあります。

 どうして半券または使用簿が保存されていないのか、主に十八年度ですね、この点に関して御見解があればお聞かせください。

大森政府参考人 タクシー券の使用状況につきましては、タクシー会社に支払う金額、月単位でやっておりますけれども、そういった金額などにつきましては、検査調書に整理をしまして、五年間保存をさせていただいております。そういったものは会計検査院の検査の対象となるものでございまして、我々としては、そういった形で今まで書類としては整理をさせていただいたということでございます。

 ただ、個々の使用状況について、そこはなかなかわからないではないかというような御指摘もあります。我々としても、今後、そういう個々の使用状況についてもきちっと整理をする必要があるというようなことで、今年三月、そういった書類の保存期間等々も一律的に定めまして、本省及び各地整、徹底するようにしたところでございます。

小宮山(泰)委員 これは、五年間で道路特定財源から二十三億円、国土交通省関連の七つの特別会計、全体で、合計では八十一億円がタクシーに使われているということもあります。これだけあればもっといろいろなことができたはずだと国民の方も思うし、また私も、先週末、地元に帰っていたときに、中小企業や個人企業の経営者の方々が、領収書や使った半券などを残していないなどということは私たちの常識では考えられない、ここはもっときちんとやってほしい、自分たちだったら五年、七年、しっかりととっているんだと非常に怒りを持っておっしゃられました。私もそう思います。

 大きくは、確かにまじめに働いていらっしゃるんでしょう。しかし、働いていたのか働いていないのか、個別にきちんとそれを精査することができないような状態というのは一刻も早く解決をしなければなりません。

 また、タクシーの使用については、この数年、例えば厚生労働省の管轄、防衛省の管轄、沖縄でもありました、やはり不正使用、私的利用というものも、実際、現実としてはありましたし、それで既に処分も行われたと聞いております。この点に関しては、今、私、調べておりますが、非常に残念ながら、地方整備局や国土交通省の全体の中においては、この八十一億という国民の税金を使うことに対して、その説明責任が後ほど来るんだということをやはり軽く見ていたのではないかと疑わざるを得ないところでもあります。

 先ほど、四月一日からのことを少し述べられました。冬柴大臣が、四月一日以降はタクシーチケットの使用について整備をきちっとしなければ使わないということを表明されております。そして、規定に関しても、三月二十八日付で、この使用について、通達というんでしょうか、また、やり方についても変えられるということで伺っております。

 それでは、三月三十一日までの過去の分というのは、今後、それまでは保存期間の規定がないというところで運用されていたわけですから、これに関しまして、三月三十一日までの、以前のものは保存されていくのか。やはり五年間保存されるべきであるというふうに思います。もう既に破棄されて、ないものもありますが、あるものは絶対に破棄させてはならないと思いますので、その点に関しましてどのような対応をされるのか、お聞かせください。

金子大臣政務官 お答えいたします。

 ただいま先生御指摘の点でございますが、このタクシー券の使用の問題につきましては、やはり、どこに責任を持たせて管理をしていくかというところが最も大切なところだというふうに思います。

 そういう中で、先ほど来からお話もございましたように、国土交通省といたしましては、三月の二十八日でございますが、新しくタクシーの使用等に関する基準というものを制定して、五年、一年ということを決めたわけでございますが、その中で、いわゆる管理の責任者という位置づけ、これもしっかりしてやっていかなきゃならないというようなことで対応するということにいたしているところでございます。

 ただいま御指摘の点でございますが、これは過去、さまざま問題点もあった、これは反省をしなきゃならない点も多々あるわけでございますが、それはそれとして、今後につきましては、きちっとやっていく、この態度で臨んでいくという覚悟を決めているわけでございます。

 その中で、ただいま御指摘の、それまでの分はどうなんだということでございますが、これにつきましても、今般の国会等の御議論、あるいは、つくりました基準等の趣旨を踏まえて、当分の間は保存していきたい、このように考えているところでございます。

小宮山(泰)委員 当分の間というのは、どの期間なんでしょうか。

金子大臣政務官 基本的には、これまでの国会の御議論等もございましたが、五年、一年の基本をベースに置きながら考えていきたい、このように思っております。

小宮山(泰)委員 基本に考えていきたいということは、まだ考えがまとまっていないということで理解していいんでしょうか。

金子大臣政務官 五年、一年の基準で考えてまいりたいと思います。

小宮山(泰)委員 答弁になっていないと思います。

 五年、一年の考え方というのは、どちらかによって大きく違うと思いますが、五年というなら五年にしていただかなければ保存期間とならないかと思います。

金子大臣政務官 五年というのは、基本的にはタクシー乗車券の使用簿等まとめたものでございます。一年というのは、使用済みのタクシー乗車券と申しますか、これはタクシーの乗車券申込書兼領収書と請求書とあわせたものでございますが、使用済みのタクシー乗車券、これは一年、それから、それらを管理責任者がきちっとまとめた帳簿でございますが、これは五年、こういう形でございます。

小宮山(泰)委員 結局、新しい規定の中で判こを押すところばかりふえて、本来であるならば、過去の分についても、しっかり残すものは残さなければならないんだと思います。

 正直申し上げまして、上司の判こが二つふえるんですよ、今度の保存の形は。結局、その分の手間がかかるだけで、そんなことをしなくても、出した方とその場で確認をして、使用簿というか、領収書等の添付をきちんとして、それを五年残せば何かあったときに調べられるということだと思いますので、その方が重要であって、手間ばかりふやして、今度は、その使った方ではなくて、上司の許可を得たから、そこも責任は負うんだから大丈夫だろうというようなそういう発想では、いつまでたっても、手間ばかりふえて、結局のところ、右から左にどんどんどんどん判こを押して、責任がとれない、そういった事態も想定されると思います。

 ここはきちんと、四月一日のものから残すことにはなっておりますが、それ以前に関しても。一年で破棄ができるから十八年度のものがなくなっているわけです。規定があるところはしっかり一年残っているんです。そして、この問題が提起されたのが三月ですので、私は、やはりここは捨てるべきではない。一年を過ぎたけれども、年度がかわったけれども、捨てない方がいいということで、規定があったところはかなりの率で、この半券も含めて、使用簿もきちんと残っているということが明らかだと思いますので、この点は、ぜひ五年ということで、政務官、そういった方向で決断をしていただけるように、三月三十一日までの分も、残っているものについてはそういう運用をしていただきたいと思います。

金子大臣政務官 先生御指摘の点でございますが、過去の分につきましては、一応、五年程度保存させていただきたいと思っております。

小宮山(泰)委員 ありがとうございます。ぜひお願いいたします。

 さて、本当にこれは残されなければならないというところはあると思います。やはり会計検査院の方も、後から問題が起こったときは非常に御苦労されるんだと思います。こういった資料がなくなってしまっている部分というものに関しては、タクシー券の使用簿また利用簿のたぐいが、半券もない、証拠がないといったようなときはどのようにされるのか。本当に努力しかないといえばないんですが、そういう意味においては、今後そういった過去のものも残されるということに関して何か御見解がありましたらお聞かせいただければと思います。

真島会計検査院当局者 一般論でのお答えになろうかと思いますが、やはり、会計経理を処理された以上は、その処理について説明をする責任が生じるわけでございますので、その説明がきちんとなされるように書類等は整備されていただきたい、かように考えております。

小宮山(泰)委員 書類等の整備というのは大変重要だと思います。

 私も、ことし、国交委員会や予算委員会で、入り口のない地下駐車場の問題というのを質疑させていただきました。これは、追加予算で三十億以上使われるという、入り口をつくるのに使うというようなこともありました。しかし、これは調べていくと、資料を保存する期間が過ぎているがために、最初にどういった計画であったか、何が起こったのか、だれがどうしたのかということを調べるのが非常に難しいということもございました。

 これからは、やはり資料というものも、また予算書もそうですけれども、事業が何か行われていた場合の予算書等、そういった続いているものに関しては、五年の保存期間を過ぎたものでも、これは保存されるべきものがたくさんあるのではないかというふうに考えております。

 ここで会計検査院に伺いたいんですけれども、これは各省庁、基本的なルールの上にのっとって会計検査院は検査するわけですが、道路工事などは本当に何十年、二十年、三十年と工事をするものがあります。そうなりますと、当初の予算計画やいろいろなものが保存期間を超しているということにおいては、各省庁で保存期間というものはある意味設定が延長ができる、また保存ができるというようなことも伺っておりますが、やはり会計検査院としては、何かあったときはそういった資料が保存されている方が望ましいとお考えなのか、一般論でも構いませんので教えていただければと思います。

真島会計検査院当局者 一般論として申し上げますと、各省庁が保存期間を定めている文書につきまして、その期間を超えてさらに保存が必要であるということであれば、各省庁の判断で保存期間を延長していただけるもの、このように期待しております。

小宮山(泰)委員 金子政務官におかれましても、このことはぜひ国交省でさらに議論を深めていただければと思います。

 さて、この深夜のタクシーに乗って帰るという問題でありますけれども、根本的には働き方の問題もあるのではないか。深夜にならなければいけないというこの現実を考えるならば、ここを改善しない限りは、結局のところ、同じようにタクシーを使って帰らざるを得ない。特に傾向としては首都圏の方が非常に多い。つまり、電車でその地方整備局まで来て、夜、電車がなくなったので帰る。また、これはお話にあったんですけれども、地方の整備局では、ほかのもう少し離れたところであれば、最初からマイカーで行っているからタクシーを使わないんだなんていう話も聞こえてまいりました。

 そして、現場に行ったときにも、サービス残業をされているというような話もありました。以前いただいた資料の中には、仮に、遅くまで残業して、翌朝は年休扱いで少しずつおくれる、朝十一時とか十二時に出勤をされるといった例も見受けられる、そしてまた夜が遅くなるという悪循環も招くのではないか。これはやはり、官僚個人にとっても、ワーク・ライフ・バランスというものからもよくないのではないかと考えます。

 万が一サービス残業という話があるならば労働基準法違反の疑いも出てくるかと思いますが、この際、勤務実態等、やはりこういったものをもっと明らかにし、根本的な原因……。

 政務官、突然で申しわけないですけれども、定刻の勤務時間というのを、何時から何時か御存じですか。

金子大臣政務官 九時半から六時十五分ということだと思います。

小宮山(泰)委員 九時半から六時十五分。

金子大臣政務官 本省でございます。

小宮山(泰)委員 この時間で基本的にきちんと終われば、正直申し上げまして、タクシーに乗る必要はないんですよ。そうなると、やはり人事の動きとか、もちろんそういう働き方というのをしっかりと見なければならないんだと思いますので、この点をぜひ改善する。また、この件があったからこそ、公務員制度というもの、今改革ということが言われておりますが、この点をしっかりと進めていっていただきたいと思いますが、この点に関して何かございますか。

金子大臣政務官 仕事の種類もさまざまあるわけでございまして、どうしても深夜にならざるを得ない事情があることも先生も御承知のことだと思います。

 ただ、全体的に申し上げれば、やはり仕事のやり方というものは、無駄がなくて効率的にやっていく、そういう姿勢は、国土交通省に限らず、どこの省でも同じことではないか、このように思いますので、今後とも、仕事のやり方等につきましては、関係者の方々の御協力も得ながらやっていかなきゃならない、このように考えております。

小宮山(泰)委員 この点を解決しない限りはこの問題は最終的には解決できないんだと考えますので、両面をあわせて、使い方について、そしてそれがなぜ使われたかということに関しても、ぜひしっかりとした報告等を出していただければと思います。

 時間がなくなってきて申しわけございません。財団法人空港環境整備協会についてお伺いしていきたいと思います。

 これは、三年前に民主党の松野頼久代議士も質問をし、その後、いろいろな改善をされたというふうに伺っております。この点に関して、ぜひ説明を簡潔にお願いしたいと思います。

枝野委員長 航空局長、簡潔にお願いします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 空港環境整備協会は、国が管理しております空港の駐車場につきまして運営を行っておりまして、その収益を生かして国の環境対策の補完をしておる団体でございますけれども、今運営しておる駐車場は十九に減らしておりまして、例えば、北九州空港が新しくなりまして新北九州空港になりましたので、ここは新しく公募をいたしまして、合人社という会社が落としましたが、料金も少し引き下げをしたりしております。それから、米子空港につきましては、鳥取県の方に移しまして、鳥取県が無料化をしておる、そんな状況にございます。

小宮山(泰)委員 全部で十九ありまして、ほとんどが、実は、環境整備というもの、環境対策費というものを使わないところはほかのところがやる、財団がやる、また国や地方自治体がやっているということでもありますし、また、ここは、駐車場を所有するところであれば国有財産使用料というのをしっかりとお払いいただいておりまして、これも三年前、平成十七年度までは大体年間二十六億円が国に入る形をとっていたのが、しっかりと評価を毎年し直して、三十六億円の使用料が入るというふうに努力をされています。努力をされているという結果かわかりませんが、全体の収入等は、平成十八年度では、ここの財団では九十三・七億円収入がある、支出の中では、国有財産では今言った約三十六億円、そして環境対策費などでは十三億円を支出されています。

 考えてみれば、人件費と維持費ということでは四六%も占めておりますので、まだまだ業務改善の余地はあるのかなと言えますし、ここが駐車場で収入を得られる根拠となっている環境対策費は、その残りのような十三億円、総体ということでもあれば、もう少しここは考えられるかなと思います。

 しかし、この点、努力していることは評価をいたしますし、また、使用して駐車場で売り上げを得たならば国にちゃんと戻すという姿勢に関しては、大いに評価したいと思います。

 本当に時間がなくなって申しわけないんですけれども、この点に関しまして考えますと、私がずっと追いかけております財団法人駐車場整備機構、こちらの方に至っては、地下につくって、大体九百九十五億円の建設費、四十二億円の空調とか設備費の負担をその財団が持って、正直言ってただで使っている形で、収入は何十億かしっかり毎年毎年もらっておきながら、結果として一円も国には入れない。

 これは前にも指摘いたしましたけれども、これから解散に向かうということにおいては、こうやってちゃんと、駐車場の使用をしたら、そしてその中から使用料も払い、自分たちの事業もきちんとやる、人件費もきちんと取っているという財団が片や国交省の管轄であるわけですから、ここはしっかりと、解散の前に、どうなっていたのか、そこによって幾ら財団におりていたのか、これも財源が国民の税金から出ているわけですから、返していただくものは返していただく、そういう発想がない限りはいつまでたっても無駄がなくならないと思いますので、ぜひこの点も御検討いただきたい。

 また、その決意がございましたら、うなずいていただいております金子政務官から一言いただいて、質問を終わらせたいと思います。

枝野委員長 時間が経過していますので、端的にお願いします。

金子大臣政務官 個々の具体的な内容につきましてはともかくでございますが、先生御指摘の点も当然の視点でございます。そういう観点から、今後の検討の中で、料金収入等につきましても、国への帰属等々についてもよく検討してまいりたい、このように思います。

小宮山(泰)委員 ありがとうございました。

枝野委員長 次に、松本大輔委員。

松本(大)委員 民主党の松本大輔です。

 学校の耐震化について、それを促進させるために必要な対策の検討に着手をしたという報道がなされております。

 この学校の、公立小中学校の耐震化、所管しているのは文科省のどの部ですか。大臣、お答えください。

渡海国務大臣 文教施設企画部であります。

松本(大)委員 学校の耐震化促進については、我が党も既に法案を提出しております。国の補助率の引き上げを盛り込んだ内容であります。ですから、耐震化を加速させるべきだということについては大いにやったらいいというふうに思うんですが、それを所管している文教施設企画部、先月、前部長が汚職事件で逮捕されるというような事件がありました。一体全体、こういう部が耐震化を所管していて本当にいいんだろうか、あるいは、本来耐震化に使われるべきであったはずのお金がどうも無駄なことに使われてきたんじゃないか、命を守るはずの予算がどこかほかに流れていたんじゃないか、こういった国民の疑念を晴らせなければ、これは幾ら耐震化を促進させるとおっしゃられても、国民は一方では納得しない、こういうことではないかと思います。

 ですから、耐震化そのものは大いにやるべきだというふうに思いますが、まずは徹底的にこの文教施設企画部の汚職問題についてうみを出し切る覚悟があるのかどうか、そういった国民の疑念を晴らせるのかどうか、きょうはそういった観点から質問をさせていただきたいというふうに思います。

 時間の関係もありますので、事件の概要については、通告しましたが、省きます。お手元に参考資料をお配りしました。新聞報道等もおつけしておりますので、こちらをごらんいただきたいというふうに思います。

 文部科学委員会等でも何度かこの問題は取り上げられてきたわけでありますけれども、なぜ、国立大学等が発注する工事なのに、文科省に贈賄する必要があったのか。国立大学が発注する工事なんですから、国立大学と業者との間で何かあったというのなら、まだ、ああそうかということでありますけれども、なぜそれは文科省の文教施設企画部長だったのか、ここが構造的な問題を示唆しているというふうに私は思っているんですね。

 お尋ねしますが、この文教施設企画部というのは、いまだに現場の国立大学法人の契約、受発注、こういったところまで強いコントロール下に置いている、大学が法人化されたけれども、いまだに強い統制下にあるんだ、こういう事実があるんでしょうか。確認させてください。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 平成十六年に国立大学が法人化されましてからは、いわゆる契約事務そのものはすべて国立大学法人等で行っていることであります。文部科学省にあります文教施設企画部は、補助金を交付する、そういうような関係になっておるところでございます。

松本(大)委員 補助金を交付するだけだとおっしゃるんですが、であれば、やはり、なぜ文教施設企画部長との間で贈収賄ということが起こるのかというところは、率直に申し上げて釈然としないんですね。

 フローチャートのようなものを参考資料でお配りしました。「国立大学法人等の事業決定のスキーム」というものであります。

 だから、実際には、補助金の交付だけを担当していて、表の左下の方ですね、設計、工事の入札契約手続というのは各国立大学法人がやりますよ、こういうことなんです。では、国立大学法人で、こういった契約の発注をされたり、それから、このスキームでいうと上の方の、六月中旬、施設費要求書、こういった形で文科省の文教施設企画部との間の概算要求の際の予算の積み上げの際、あるいは補助金の申請、こういった担当窓口になるのは各国立大学法人の施設部、こういうことですね。

 この施設部が実態はどうなのかということをちょっとお伺いしたいんですが、現在、国立大学の施設部、ポストは部課長で二百ほどあるというふうに伺いましたけれども、この二百ポストのうちで文科省の文教施設企画部出身者が占めているのは何人なのか、そしてそれは大学の法人数で見ると何法人中の何法人になるのか、お答えください。

合田政府参考人 御指摘ございましたように、平成二十年五月一日現在で、国立大学法人の施設系部課長として在職をする者、これはちょうど二百名でございます。これが、八十三大学で二百人ということでございます。このうち、文教施設企画部経験者、これは六十五名でございます。この六十五名は、三十七大学、三十七法人に六十五名が在籍をしているということでございまして、三二・五%という状況になってございます。

松本(大)委員 二百ポストがあって六十五人、大学数に換算すると八十三大学中の三十七大学ということで、人数で三割、大学数で見れば四割以上に文教施設企画部出身者が行っている、こういうことなんですよ。

 ですから、実態上は、契約の発注であるとか、文科省の文教施設企画部との概算要求とか補助金申請の窓口になる国立大学法人の施設部の人も、文科省の文教施設企画部の出身者が、大学数でいえば四割、人数でいえば三割以上を占めているということなんですね。

 逆に、本省、文科省の文教施設企画部には一体どのぐらい人がいて、そのうち何人ぐらい国立大学採用の人がいるのかということもあわせて聞いてみました。

 そうすると、文教施設企画部というのは百十人の島だということでありました。この百十人のうちの八十人ぐらいが、もともとは国立大学で施設系の職員さんとして採用されて、今は文教施設企画部に行っていらっしゃる、こういうことだったんですね。

 つまり、これはお互いに行き来しているんですよ。国立大学で施設系の職員さんとして採用される、採用されてしばらくたつと、今度は文科省の文教施設企画部に転任試験を受けて異動する、何年か文科省で学んで、仕事をして、そして何年かたつと別の大学法人に施設部の部課長としてまた出ていく。

 逆もまたしかりなんですよ。文科省の本省で文教施設企画部として採用された方も、係長、主任級になると、各大学法人の課長ポストとしてある人は出向されて、そして何年かたつとまた本省に戻ってくる、場合によっては、その先に部長としてまた大学に行くこともある、こういうことなんですよ。

 つまりは、大学は法人化されて補助金の決定とかそういうことしかやっていないんだ、強いコントロール下にはないんだというふうにおっしゃいましたが、これは人事の上ではいまだに一体ということじゃないですか。これは出向じゃなくて異動ですよ、異動。本店と支店の関係に等しいじゃないですか、お互いに行ったり来たりしているんですから。

 もっと悪いのは、補助金の申請側と補助金の査定側が、立場を変えながら、お互い同じ村同士で査定し合っているということなんですよ。

 これは、国立大学が法人化されたとはいえ、やはり名ばかりの法人化だったんじゃないか。その象徴的事例がこの激しい人事交流にあると大臣は思われませんか。これは見直すべきじゃないですか。

渡海国務大臣 委員が御指摘になっている点について、どういう視点からそれを御指摘いただいているかということについては、私は承知をいたしているつもりでございます。そういう前提のもとに、結局、そういうことによって疑義が生じないようにするということが非常に大事であろうというふうに考えております。

 これは、ほかの件でも、例えば事務局長というポストがございますから、そういったポストについても、従来の国立大学の中で行われていたさまざまな、要はある意味、内部の人事ですね、そういうものが、独立行政法人という新たな形になったにもかかわらず引き続き行われているのではないか、こういう疑義が、これは文部科学委員会でも指摘があったわけでございまして、今、委員の御指摘があったような、そういう疑義が生じないようにするためにはこれからどうしていかなきゃいけないのかということを、この施設部も含めて、私はつくっていかなきゃいけないんだろうというふうに思っております。

 ただ、一点言えば、これはまだ移行して、それは遅いじゃないかと言われますが、四、五年のことでありますから、そのことだけをもって、これは構造的に今まずいことが起こっているということを断定することはできないんじゃないか。

 やはり人事交流というのは、基本的に、お互いがそれによって適切な業務執行が行われるということであれば、私はあっていいと思いますよ。これは天下りの問題もはっきり私は申し上げております。ただし、そこにおいて疑義を生じるような構造的な問題が存在しているとするならば、そのことにはしっかりとメスを入れていかなきゃいけないというのが基本的な私のとらえ方でございます。

松本(大)委員 大臣、大学法人化の際に自主、自律、自己責任と大見えを切られたわけですから、法人化自体を見直すのならともかく、法人化を前提にしてこれからもやっていくんだということであれば、やはり人事交流は、現役出向というような、戻ってくることを前提で、文科省の非常に強い中央統制の象徴のような人事をこのまま続けてはいけない。それは、先ほども申し上げたように、申請側と査定側が同じ村の人だと、これはやはりお手盛りという批判を受けるでしょう、こういうことなんですよ。それはやはり法人化の趣旨を没却することになりますから、法人化という前提に立たれるのであれば、現役出向の制度はぜひ早急に見直しをしていただきたいということを申し上げておきます。

 人の流れということでは、もう一つ、天下り、これも非常に気になるところなんですよ。このフローチャートというか、配付資料の一枚目、事業決定のスキームのところで、先ほど、文科省としては補助金の交付に絡んでいるだけで、その先の契約の発注というのは国立大学法人がやっているんですよ、こういうことだったんですが、その国立大学法人の発注先、受注業者ですね、こことの間で一体どういう関係にあるのかというのが気になるところであります。

 実際、今回の事案の、逮捕された倉重容疑者は、旧文部省の御出身の、お亡くなりになられましたが、ある参議院議員の方の秘書をされていて、その参議院議員の方が会長を務めていらっしゃった文教施設協会という社団法人ですかね、この文教施設協会の会員企業に非常に多くの方が天下りをされている、こういうことが指摘をされております。

 文部科学委員会でも何度か取り上げられておりましたが、調査期間を十三年から十九年の間に天下った人に限っていたり、あと国立大学法人採用の方が漏れていたりとかいろいろありましたので、改めてちょっと全容を教えていただきたいと思います。

 国立大学の施設部、それから本省の文教施設企画部、ここからこの文教施設協会会員企業に天下りをされた実績というのを先日お調べいただきました。五月現在、正会員は百七社ということで、先般質疑で取り上げられた百二十八社よりは、この事件の発覚もあったんでしょうか、減っているみたいです。

 この百七社の中で、何社に対して何名の方が天下りをされているのか、未回答のところもあったのか、お答えください。

合田政府参考人 お答えをいたします。

 今、文教施設協会の正会員百七社というお話がございました。私ども、この百七社に加えまして、賛助会員の二十六社と、それから専門会員三十七社、合わせて百七十社につきまして調査をさせていただきました。(松本(大)委員「正会員だけでいいです」と呼ぶ)はい。

 それでは正会員について申し上げさせていただきますと、正会員百七社のうち、私どもの調査で把握できた限りでは、四十五社に四十六名が現在、先生御指摘の文教施設企画部経験者もしくは国立大学法人施設部部課長経験者が在籍をしているという状況でございます。(松本(大)委員「未回答は」と呼ぶ)未回答は七社でございます。

松本(大)委員 私が聞いた限りでは、未回答六社というふうに聞いていたのですが、ちょっとそれはもう一度確認をしていただきたいと思います。

 つまりは、逮捕された倉重容疑者が秘書をしていた、旧文部省出身の、お亡くなりになられた故参議院議員の方が会長を務めていらっしゃった文教施設協会、そこの会員企業、正会員の企業に対して、国立大学法人の施設部あるいは文科省の文教施設企画部御出身の方が四十五社に四十六名天下りをされている。先ほどの答弁に従えば、未回答が七社ということでありましたから、回答済みの百社の正会員のうち、四十五社に対して四十六名が天下りをされている、こういうことなんですよ。つまり、この文教施設協会の会員企業のほぼ半数に、そういう大学の施設部や文科省の文教施設企画部経験者がほぼ一人ずつ天下りをされている、こういうことなんですね。

 受注率というのはどうなんでしょうか。過去五年間の国立大学の発注額に占める比率の推移というのを調べていただきました。端的にお答えください。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 文教施設協会会員企業、これは先ほどの数字とちょっと違うわけでありますが、平成十九年度時点の正会員百二十八社、賛助会員二十九社、専門会員三十七社について、国立大学施設整備工事の受注実績を私どもで把握している数字で申し上げますと、過去五年間の一千万円以上の工事の受注実績としては、平成十五年度、三百三十九件で一千四十三億四千五百五十四万九千円、平成十六年度、二百五件、七百三十三億一千五百四十八万三千円、平成十七年度、百八十六件、三百九十七億三千九百五十八万八千円、平成十八年度、二百九十件、六百九十二億一千九百五十万二千円、平成十九年度、三百三十七件、一千三百九億一千九百六十一万六千円でございます。

 合計でいいますと、五年間で一千三百五十七件、金額が四千百……(松本(大)委員「いいです、比率だけ教えてください」と呼ぶ)はい、わかりました。

 これら五年間の総発注工事に対する件数の割合でいえば……(松本(大)委員「件数は要らないから金額だけ教えてください」と呼ぶ)はい。

 総金額に対する受注の金額の割合は約五〇・四%となっております。これは、いわゆる発注件数でいいますと二割ですので、金額が非常に大きいということでありますけれども、その理由は……

松本(大)委員 理由は聞いてないです。

 お聞きになられたとおりなんですね。この文教施設協会の会員企業、正会員だけに限っても、回答のあったおよそ百社に対して、百社のうちの四十五社に四十六名が天下りをしている。そして、そういった文教施設協会の会員企業が、国立大学法人の過去五年間の発注事業の半数以上を受注しているんですよ。

 今回の事案、新聞報道等も添付しましたけれども、どうも一覧表を横流ししていたんじゃないかとか、受注調整が行われていたんじゃないかとか、こういった報道を見るにつけて、先ほども聞きました、国立大学法人から文科省の文教施設企画部へ、そこからまた国立大学法人に戻って、さらにその下の受注業者、文教施設協会会員企業へ、こういう人の流れ、添付しましたこのスキームでいうと、概算要求から契約の発注まで一気通貫のシステムですよ。ずぶずぶとまでは言わないかもしれませんが、こういった人の流れ、金の流れというのを放置しておいては、やはりこれは不正の温床じゃないか、そういった疑念がぬぐい去れません。

 大臣、これは後で、大臣の前に、せっかくきょうは行革事務局の担当の副大臣にお越しいただいていますので。

 去年、国家公務員法改正が行われましたね。それに伴って、文科省の本省職員や国立大学の法人の職員のこういった受注先への再就職、これが現状どうで、新人材バンク設立後はどうなるのか、お答えください。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 昨年、委員御指摘のように、国家公務員法が改正されました。これは、天下りを根絶するというのが主な目的で改正をされました。したがいまして、国家公務員の再就職につきましては、官民人材交流センターにまず一元化をされました。各府省によるあっせんは禁止をされたところであります。そして、営利企業等の地位についている元職員の出身省庁への働きかけも規制をしております。さらに、これらに関する不正行為に対しまして、刑罰を導入しているところであります。

 また、これらの規制は、国の職員が国立大学法人または非特定独立行政法人に再就職する場合や、国の元職員が国立大学法人または非特定独立行政法人に再就職して出身省庁への働きかけを行った場合についても適用されるということになっております。

松本(大)委員 これは一元化されますということですが、その移行期間というか三年間は、今、同意人事が注目されていますけれども、再就職等監視委員会の同意に基づいて各省庁のあっせんは残るわけですし、出身省庁への働きかけということについても、これは禁止期間は二年だけですよね。二年たてばそれはオーケーだ。

 しかも、その二年の間も、別に再就職したOB本人が働きかけをしなくても、先日、石井先生があいさつ状の例を出していらっしゃいましたけれども、要するに、このたび当社ではこれこれこういう文教施設企画部出身者の方を受け入れて業容の拡大を図っております、ついてはよろしくというようなあいさつ状を送っておくと。これは要するに、再就職したOBが直接働きかけをしなくても、その抜け道のようなものが今も存在しているし、この後も残り続けるということなんですよ。

 今、国会に出されている基本法、国家公務員法の改正案、これでもこういったものは是正されていないですよね。しかも、自分の再就職を働きかけることは禁止だと言っているけれども、企業側の要請という形をとれば問題ないわけじゃないですか。要するに、これはざる法なんですよ。こういった数々の問題が指摘されているのに、今全く手が打たれていない。

 大臣、これはやはり閣議でも声高におっしゃった方がいいんじゃないですか、本当にこんなざる法を放置しておいていいのかと。天下りはやはり禁止すべきだと思われませんか。

渡海国務大臣 私は、ルールをしっかりつくるべきだというふうに主張をいたしております。一概に、一くくりにと言った方がいいのかもしれませんが、公務員の皆さんの人生というものは、私は別に官僚の皆さんを守ろうとか、そんなことじゃないですよ、やはりあるんですよ。そのことに対して我々はちゃんと回答を出して、そして、これこれこうだから天下りは一切いけませんという制度ができない以上、これはやはりルールをしっかりする、これがまず第一義的にやることだということを、この前の委員会でも実は申し上げました。

 そのルールとは一体何か。例えば、今回のことに関して言うならば、これは事業の発注ということですね。それで、それが、要は情報が流れたことによって有利に働いたということでありますから、有利に働かないようにすること、しかも、情報が先に渡らないという仕組みをどうやってつくるか、こういったバリアはいっぱいつくれるわけですね。そのことと公務員法をどうするかという議論は、私は少し分けて考えたい。

 そして、今は松本議員は公務員のお話をされました。このことについては、今、山本副大臣からお話をされたと思います。これはいろいろ国会で議論をしていただいているわけでありますし、まさに今国家公務員法の、民主党さんが、それは間違っている、もっとこういうルールをつくれと御主張されたらいいと思うんですね。そして、一切禁止する、これも一つの考え方だと思います。私は、いい人材がそれで集まるかなという心配を正直しております。

 次の選挙が終わったら政権がかわるかもしれないわけでありますから、そのことも考えていただいたら、いや、我々はかわるつもりはありません。誤解しないでください。しかし、そういうことをいろいろ考えると、やはり優秀な人材に公務員として働いていただくということも前提に、全体像としてどういう設計をするかという議論を大いに国会でやっていただきたいというふうに思っております。

 ですから、質問のお答えとしては、そのことのみをもって天下り、天下りに問題がないとは言いません。問題があるんですから、その問題を解決するためには、一切禁止するという方法が正しいのか、それとも、別のいろいろな、今ルールがありますから、このルールが甘ければ、もっとルールをきつくするということが必要なのか、そういう議論をしっかりとすべきだというのが閣議でも私が主張している理論でございまして、国民の皆さんにこれでわかっていただけるかどうか、これは私の考えでありますから。

 優秀な人材が霞が関に集まるということに非常に今危惧を持っておりますから、悪いことをした官僚の皆さんにはしっかりと責任をとってもらわなきゃいけないですけれども、これが基本的な私の考えだということを正直に申し上げておきたいと思います。

松本(大)委員 副大臣、どうもありがとうございました。御退席いただいて結構です。

 大臣、再就職がなければいい人材が集まらないと。最初から再就職を期待して手を挙げているんだったら、来ていただかなくていいじゃないですか。優秀な人なら、勤め上げる、そういう気概を持っている人に来てもらえばいいんですよ。ですから、我々、定年延長も含めて提案をしているわけですよ。

 有利に働かないようにというふうな話もありましたけれども、今回の調査についてちょっとお伺いしたい。(渡海国務大臣「ちょっと、いいですか」と呼ぶ)いや、いいです。ちょっと時間が、だって、多分これは切られるでしょう、最後。私も時間がないんだから。済みませんね、大臣、また文科委員会でじっくりやりましょう。

 調査について、せっかく通告してありますから、いろいろ調べてもいただきましたから、ちょっと聞かせてください。

 再就職そのものは否定されるべきじゃないんだというふうに、有利に働かないようにということをおっしゃっていますけれども、国民の目から見た際に、本当にそうなのかな、有利に働いているんじゃないのというところを晴らしていかないと、冒頭にも申し上げたように、耐震化を所管するこの文教施設企画部にその資格が本当にあるんですか、本来は命を守るはずの予算が無駄なところに消えていませんかということになるわけですから、うみを出し切れと。そのための調査チームの立ち上げだというふうに私は理解をしております。

 では、今回の案件は極めて特殊な例なんだ、再就職があるから起こった話じゃないんです、今回の大島さんとか倉重さんというのは極めて特殊な例であって、天下りとか現役出向とか、そういう人事が直接の原因じゃないんです、構造的な問題じゃないんですとおっしゃるのであれば、この調査がどこまで進んでいるのか、ぜひ聞かせていただきたいんですよ。

 これは、倉重さん以外に接触があったのかどうか、職員の方には聞いていらっしゃるんですか。ゴルフや会食を一緒になさったかどうか、調査チームでは聞いていらっしゃるんでしょうか。

合田政府参考人 お答えをいたします。

 今回の調査チームによる聞き取り調査におきましては、本省職員及び職員OBを対象といたしまして、倉重被告人とのゴルフ、会食の有無等について聞くとともに、それ以外の業者等と同様の事実があるかどうかということについても聞き取りをしているところでございます。

 なお、先ほど、正会員百七社の中で未回答七社と申し上げましたが、六社が正しい数字でございます。おわびを申し上げて、訂正をさせていただきます。

松本(大)委員 聞き取りをしているところということですが、聞き取り、いつやったんですか。

合田政府参考人 この調査チームは、今回の事件の発覚後、四月七日に発足をいたしまして、その後、直ちに本省職員、職員OBの聞き取りに着手をしたところでございます。

 これにつきましては、いろいろと記憶をたどって事実を確認していくという作業がございますので、現在も継続中ということでございます。

松本(大)委員 これは、OBの人数、十一人だというふうに以前答えられていますよね。たった十一人の方の調査に、四月の七日から尋ねられていて、いまだに記憶があいまいなまま一カ月過ぎ去ったと。

 調査は終わっていないということですか。いつ確定するんですか。あったのか、ないのか、これはいつ確定させるんですか。そんな無責任な答弁でいいんですか。

合田政府参考人 お答えを申し上げます。

 聞き取り対象の職員は、文教施設企画部長OB及び技術参事官OB、合計十一名に加えまして、文教施設企画部の課長補佐級以上の三十二名、それから、その他の、文教施設企画部以外の省内の課長級以上百七名につきまして聞き取り調査を行っているところでございます。

松本(大)委員 わかりました。では、順に聞いていきますよ。

 現職の人は三十二名ということでしたよね。先日の委員会で、倉重さんとゴルフや会食を一緒にしたという人は四ないし五名ということでしたよね。

 では、この三十二名のうち、同様に、それ以外の業者と同様の接触があった人は何名だったんですか。

合田政府参考人 お答えを申し上げます。

 この三十二名のうち、倉重被告人あるいは倉重被告人が所属しております五洋建設、ペンタビルダーズという会社の関係者以外の業者とのおつき合いがあった、ゴルフ、会食等のつき合いがあったという者は現時点ではおりませんけれども、しかし、これはまだ現段階で確定的なことを申し上げられる段階ではないと思っておりまして、今後さまざまな聞き取り調査を進める中で確定をしてまいりたいというふうに考えております。

松本(大)委員 現段階ではなくて、後で覆ることがあるんですか。それは責任を持った調査と言えますか。どうですか。

渡海国務大臣 松本委員、御理解をいただきたいのは、私も、同じ問題意識で、遅いじゃないかということでぐんぐんやってきましたよ。

 まず、十六日までは、捜査が進んでいたということがありますね、これはこれから裁判が起こりますけれども。そういったことで、一定の限界があったということです。

 我々は、例えば本人から聞き取るという手段以外に、それをたどっていく手段以外に方法というのは余り持ち得ないわけです。今やっと、実は御本人から、御本人というのは被疑者からですよ、その被疑者に接見ができる状態になった。これは弁護士がいらっしゃいますからよくわかると思いますけれども。

 そういう状況でありますから、物事を確定的に、今の段階で確定するといっても、それは十六日以降にやっとそういう状況ができたということでありますから、今までわかっているところはこういうことですというお答えは、どうしてもそういうお答えしかできないということは御理解をいただきたいというふうに思います。

 我々は、何も隠しているわけでも、実は一生懸命やっているんです。やっているんですが、警察じゃありませんから、調査方法も限界がありますから、その中でやれることを今一生懸命やっている。これからは裁判も起こされます。この裁判の資料というものも提示されます。そういうことも含めて、やるべきことはしっかりやっていきます。そのことは今お約束もできますし、私は自分の責任にかけて申し上げることができるというふうに思っておりますので、どうか、そういったことであのような答え方になるということだけは御理解をいただきたいというふうに思います。

松本(大)委員 ちょっと聞いていて釈然としないのは、要するに、警察の捜査がありました、警察は恐らくまず今回の案件から中心にやっているわけですよね。逮捕者、倉重さんが逮捕されました、だから、倉重さんとの接触があったかどうかについては、それはお互いに確認できない以上は、四ないし五名、まだ確定できませんよ、これならまだわかりますが、倉重さん以外とゴルフや会食はあったんですかと聞いていることについて、現段階では確定していないと。直接関係しないじゃないですか、それは。

渡海国務大臣 時間を使うつもりはありませんが、結構記憶というのはあいまいなんですね、そうは言いますけれども。これは私も自分で自信はありませんよ、本当に、正直。そういえばそういうことがあったかなと、まあ一年、二年ぐらいなら。

 ですから、それについて今の段階で断定して物を言えと言われましても、こういう事実があったから、おまえ、こういうときにこういうことをやったんじゃないかということは言えたとしても、それはなかなか難しい、そういうことも御理解をいただきたい。何も隠しているつもりもありませんし、我々は一生懸命やっているということは御理解をいただきたいというふうに思います。

松本(大)委員 これが一般の人ならわかりますけれども、公務員倫理法ということでしっかり規定をされているわけですから、いや、記憶があいまいですで済む話じゃないでしょう、大臣。国民は納得しませんよ、こんなの。

 前回の参議院の決算委員会でも職員の服務規律の徹底のあり方ということをおっしゃっていますけれども、そんな、現段階ではとりあえずありません、捜査が進んで、もしも倉重さんが何か白状されちゃったら、ああ、ばれちゃったかというような心証をやはり国民は受けますよ。それは文科省にとっても、うそをついた職員、うそをつかれたのであればね、だれにとっても都合のいい答弁で、非常に無責任な回答だという心証を持ちませんか、国民は。

渡海国務大臣 私は今非常に重いポストに座っておりますから、そんな無責任に申し上げているつもりは全くありません。それは追及していただいて結構でございますけれども、しかし、これが実は今ある種の限界なんです。そのことは御理解いただきたい。これで我々は何も終わったというふうには思っておりません。しかし、一生懸命やって、わかっているところが今これなんです。ですから、今正直にそのことを申し上げているということを御理解いただきたい。

 私は、この件について、納得がいくまで、御質問があったらお答えします。ただ、要は、そういうこともあるんだということを御理解していただいて、今、チームリーダーからは現在のところという答え方になっているというふうに御理解をいただきたいと思っております。

    〔委員長退席、横光委員長代理着席〕

松本(大)委員 きょうはこの後に本会議がありますから、何か途中で切られるのもあれなので、もう一回ちょっと整理をしていただいて、これは文部科学委員会で私はまた引き続きやりますから、残った問題は。これからも、やはり耐震化を訴えるのであればその前にまずうみを出し切れ、そうでないと納税者の理解は得られない、こういう立場で御質問させていただきますので、ぜひ抜本改革に踏み切る覚悟で次回の答弁に臨んでいただければというふうに思います。

 終わります。

     ――――◇―――――

横光委員長代理 この際、御報告いたします。

 去る平成十九年十一月二十一日、調査局長に命じました中央省庁の補助金等交付状況、事業発注状況に関する予備的調査につきまして、去る十六日、第二次の報告書が提出されましたので、御報告いたします。

 なお、報告書につきましては、同日、委員長から議長に対し、その写しを提出いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五十四分散会


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