衆議院

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第3号 平成22年5月11日(火曜日)

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平成二十二年五月十一日(火曜日)

    午後二時十六分開議

 出席委員

   委員長 今村 雅弘君

   理事 岡本 充功君 理事 郡  和子君

   理事 中川  治君 理事 柚木 道義君

   理事 吉田  泉君 理事 秋葉 賢也君

   理事 木村 太郎君 理事 東  順治君

      網屋 信介君    五十嵐文彦君

      石田 芳弘君    石津 政雄君

      稲富 修二君    緒方林太郎君

      大西 健介君    金森  正君

      岸本 周平君    櫛渕 万里君

      後藤 英友君    笹木 竜三君

      城島 光力君    白石 洋一君

      菅川  洋君    空本 誠喜君

      高野  守君    高橋 英行君

      橘  秀徳君    玉木 朝子君

      土肥 隆一君    花咲 宏基君

      本多 平直君    松岡 広隆君

      松本 大輔君    三輪 信昭君

      宮崎 岳志君    谷田川 元君

      柳田 和己君    伊吹 文明君

      柴山 昌彦君    田中 和徳君

      棚橋 泰文君    中村喜四郎君

      馳   浩君    細田 博之君

      高木 陽介君    小泉 龍司君

      鳩山 邦夫君

    …………………………………

   財務大臣         菅  直人君

   文部科学大臣       川端 達夫君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            福島みずほ君

   国務大臣

   (国家戦略担当)     仙谷 由人君

   国務大臣

   (行政刷新担当)     枝野 幸男君

   内閣府副大臣       古川 元久君

   内閣府副大臣       大塚 耕平君

   総務副大臣        渡辺  周君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   国土交通副大臣      馬淵 澄夫君

   総務大臣政務官      階   猛君

   国土交通大臣政務官    藤本 祐司君

   会計検査院事務総局第一局長            鵜飼  誠君

   会計検査院事務総局第三局長            斉藤 邦俊君

   会計検査院事務総局第四局長            金刺  保君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           杉浦 信平君

   参考人

   (日本銀行企画局長)   雨宮 正佳君

   決算行政監視委員会専門員 尾本 哲朗君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  石津 政雄君     高野  守君

  田嶋  要君     岸本 周平君

  高橋 英行君     白石 洋一君

  松本 大輔君     空本 誠喜君

  伊吹 文明君     柴山 昌彦君

  石原 伸晃君     棚橋 泰文君

  二階 俊博君     馳   浩君

同日

 辞任         補欠選任

  岸本 周平君     稲富 修二君

  白石 洋一君     松岡 広隆君

  空本 誠喜君     橘  秀徳君

  高野  守君     花咲 宏基君

  柴山 昌彦君     伊吹 文明君

  棚橋 泰文君     石原 伸晃君

  馳   浩君     二階 俊博君

同日

 辞任         補欠選任

  稲富 修二君     田嶋  要君

  橘  秀徳君     松本 大輔君

  花咲 宏基君     緒方林太郎君

  松岡 広隆君     高橋 英行君

同日

 辞任         補欠選任

  緒方林太郎君     石津 政雄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 分科会設置に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 分科会における政府参考人出頭要求に関する件

 分科会における参考人出頭要求に関する件

 歳入歳出の実況に関する件

 行政監視に関する件


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     ――――◇―――――

今村委員長 これより会議を開きます。

 歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行企画局長雨宮正佳君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房審議官杉浦信平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

今村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。五十嵐文彦君。

五十嵐委員 民主党の五十嵐文彦でございます。

 早速質問に入ります。

 最初に、二十年度決算の歳入欠陥について伺いたいと思います。

 二十年度決算の最大の問題は、御存じのとおり歳入欠陥でございます。リーマン・ショックというのは、二〇〇八年九月十五日の連邦裁判所破産申請というものが直接の事件でございますので、その影響で世界的な金融不安が起きたということでございます。時期的に見て補正予算で対応ができたはずでありますが、補正後なお最終的に二兆千六百十六億円もの税収不足を来した。その見込み違いを犯したのはなぜか、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

菅国務大臣 平成二十二年度の予算では、当初、五十三・六兆円の税収を見込んでおりました。それに対して、九月以降の世界的な景気後退を踏まえて、七・一兆円の大幅な減額補正を行って、補正後の予算額が四十六・四兆と見込んだところであります。しかし、結果的には、決算額が四十四・三兆と、さらに二・二兆下回ったということになります。

 これは、補正予算編成時点で想定した落ち込みを超えて企業収益等の経済状況が落ち込んだことによる、そういう判断を超えての経済状況の落ち込みによるもの、このように理解しております。(発言する者あり)

 平成二十年度のことであります。失礼しました。

五十嵐委員 実は、財政当局は、すべてこのような税収見積もりについてはかた目かた目に見積もるのが当然なんだろうと思いますね。この落ち込みについては、その額の大きさ、乖離の大きさからいって、やはり見込みとしては相当誤ったなという感じがいたします。また後ほど議論をいたします。

 日銀納付金についても、四千六百五十七億円の見込み違いが起きております。年度途中に円安・ドル高から急激な円高に移行したせいだというふうには伺っておりますが、アメリカや欧州の金融機関がこのリーマン・ショックで受けた傷の深さを考えると、結果として、ユーロ安というもの、ドル安というものは当然予測ができたはずですから、これはなぜ四千六百五十七億円もの見込み違いになったのか、日銀当局からお伺いをしたいと思います。

雨宮参考人 お答え申し上げます。

 今御質問のありました予算の計上ということですと、私どもではございませんで、財政当局の方の見積もりでございますので、直接、見積もりの変更については私はお答えを申し上げる立場ではございませんが、私どもの日本銀行の収益、先生御案内のとおり、私ども銀行業で、調達した資金を運用してございますので、為替あるいは市況の変動等に大きな影響を受けるということでございます。

 ただし、見積もりと実際の差につきましては、これは財政当局のお見積もりでございますので、ここでのお答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

五十嵐委員 ただ、勝手に財務省だけが見積もるはずはないので、当然、日銀との間で、それはお仕事をされているわけですから、その業績の見通しを聞いた上で見積もるはずなんです。しかも、年度途中で起きたことであって、これは当初との見込み違いじゃないですから、四千六百五十七億円というのは。補正を終えてなおこれだけの差額が出た、見誤りが出たというのはやはり問題だと私は思います。

 そもそも、二〇〇五年から六年にかけて、エール大のロバート・シラー教授、エコノミストのピーター・シフさん、それから、日本でも私どもがふだんいろいろ御教示をいただいています中前忠さんなどが、米国のサブプライムローンの破綻を早くから警告されていました。私どもは、その名前も知っておりましたし、その破綻の規模も約十兆ドル、一千兆円に上るのではないかという話を早くから聞いておりました。

 そして、そうした状況の中にあって、日本の自動車メーカーなどが急激な設備投資や増産体制を日米双方でしいています。危険だという認識があってもおかしくなかったと思います。それは、民間のことですから、直接何かするということはないと思いますが、警戒をしてよろしかったと私は思います。それはなぜそういうことにならなかったのか、お伺いをしたいということです。

雨宮参考人 お答え申し上げます。

 当時、私ども日本銀行といたしましても、米国の住宅市場で行き過ぎが生じまして、これが調整局面を迎える可能性があるということは、リスク要因としては認識してございました。そうした認識は、私どもが半年に一度公表いたします展望レポートといったものを通じて明らかにしてございますが、先生御指摘のとおり、率直に申し上げて、アメリカのバブルの大きさ、あるいはその影響の大きさにつきましては十分予測がついていなかったということは確かであろうかと思います。

 この点は、私ども日本銀行だけではございませんで、世界の中央銀行、政策当局にとって非常に重い宿題、課題を投げたものでございまして、具体的には、経済、物価の安定を確保するためには、実際に、アメリカのバブルのときには、物価は安定して金融の不均衡が発生したわけでございますので、こうした金融の不均衡といったリスク要因をどのように勘案して政策を行うべきかという非常に重い宿題を負っているというふうに理解してございます。

五十嵐委員 いろいろなことがあったにせよ、まず、起きてからの対応にやはり問題があると私は思うのです。先ほど、いみじくも雨宮局長の方から、予算の見込みというのは財務省がするものだというお答えがあったわけですけれども、財務省と日銀との間にアコードといいますか調整があって、十分な協議があってしかるべきだ。

 実は、ないしょ話と言うとあれですけれども、財務省の国際局の某幹部と少し前に雑談をしたことがありまして、そのときにこのときのことを私が申し上げたら、いや、日銀には自分の方から、財務省の方から警告はしていたんですよというようなことを言っておられました。

 私どもは日銀の独立性強化のためにずっと働いてきたつもりでありますけれども、こうした政策については綿密な協議が必要だと思いますが、このときに、足りていたのか足りていなかったのかというのは大変疑問に思います。そのことについて日銀と財務省当局との間の十分な連携がとれていたのかどうか、そういう観点からもう一度答弁をいただきたいと思います。

雨宮参考人 お答え申し上げます。

 私どもと財務省御当局、あるいは政府一般との意見交換の場ということでお答えを申し上げますと、もともと、むしろ、おつくりいただいた日本銀行法の中に、金融政策決定会合において政府からの出席者の方々と意見交換をやる仕組みがあるということはまず制度として確立されております上に、その他多方面、各方面におきましてそれなりの意見交換は行わせていただいておりまして、そうしたいろいろなチャネルを通じまして意見交換は行っているつもりでございます。

五十嵐委員 その後の対応は比較的スムーズだったというふうに評価をいたしておりますけれども、やはり、いざというときが起きたときのさらなる綿密な協議というのをしていただきたいなと思います。

 次に、アメリカの方の対応でございますけれども、アメリカの危機対応策というのは、資産担保証券融資制度、TALFといいますが、あと、官民共同投資ファンド、PPIP、これらをつくったり拡充したりするということが中心でありました。これは、連邦準備制度理事会、FRBが米国債を抱え込んで、バランスシートを肥大化させる中で乗り切ろうとしているというふうに判断をできると思います。

 今後、十年間に九兆ドル超、九百兆円弱の財政赤字の増大が予想されます。先ほど申しましたように十兆ドル近いロスがあったと思われるからでありますけれども、そうすると、長期的に見てドル安が進むと思いますが、どう思われますか。

菅国務大臣 為替の予測というのはいろいろな要素があって、日米間でいえば、今言われたようなアメリカの経済の状況、そういう点だけをとらえれば、今、五十嵐さんが言われたようなことも一つの予測かと思いますが、現実には、リーマン・ショックの後の実需経済の落ち込みというのは、場合によれば世界の先進国の中でも日本が一番大きかったこともありまして、この間の経緯を見ておりますと、いろいろな変化はもちろん御存じのとおりでありますが、単に一方的に円高になったというよりも、円高がかなり進んだ後、政権交代後の十二月ごろからはやや戻して、現在の九十二、三円の水準に戻っている、これが現実の動きだと認識しています。

五十嵐委員 それは、短期的にはいろいろあるというのは当たり前のことでありますが、アメリカのロスが最終的には十兆ドルに達するだろうというその大きさから見て、あるいは今のアメリカの戦費調達等の財政事情から見て、長期的にはドル安が進むだろうというのは多分肯定をされるのではないかと思います。

 そうすると、そのような中で、だからこそ、例えば中国の温家宝首相は、〇九年二月には米国債買い増し路線を見直すと受け取れる発言を行っています。そして実際に、昨年十月以降、十一月からことし二月まで、統計が出ている四カ月間連続で中国は米国債の保有残高を減らし続けております。合計六百八億ドルと承知をいたしておりますけれども、これは大変な額に上るわけですね。

 一方、日本は、この間も一貫して保有残高をふやし続けております。長期的にドル安の懸念がある中で、これは放置をすれば大損をするリスクがあるということであります。保有米国債購入時の日本の平均レートは一ドル百二十円と聞いておりますが、もっと円安のレートだったのではないかなと思いますが、この点は確かめられますか。

菅国務大臣 ちょっとそこまで具体的な質問通告をいただいていませんでしたので、もし必要であれば後ほどお知らせします。

五十嵐委員 いや、百二十円というのは財務省当局の方から聞いた。私は、百三十八円ではないかなというふうに思っていたので、思ったより円高の水準での平均買い価格だなというふうに思っていたわけで、今お聞きしたところでございますが、まあ、それはいいです、技術的な話ですから。

 そもそも、今の時代に過大な外貨準備を持つ必要はないというのが経済の世界では常識であります。せいぜい輸入月額の三カ月分、日本でいえば二十兆円程度で十分ではないか。百兆円の外貨準備を今、日本は持っておりますけれども、その多くを米国債で運用している。そのリスクは大変大きく、これは、いわゆる埋蔵金の中の一つ、埋蔵金どころか死蔵金であり、場合によっては時限爆弾になるわけであります。

 私は、この状況を中国のようにうまく切り抜けていくべきであるというふうに思いますが、特に一つ提案をさせていただきたいのは、今、ドル建てで支払っている思いやり予算とか国連機関の分担金、あるいは防衛予算、そうしたものがあると思うんですが、これを、いわば手形である米国債で支払ったら日本のリスクは軽減できる。そして、米ドルで払うのと米国債で払うのでは、金利の変動のリスクはよそのところに分担していただくことになりますけれども、直接的には払う額は同じですからドル安にはなりません。これは一つの方法かと思いますが、こうした方法でリスクの軽減を、日本の国益を考えて図るべきではないでしょうか。

菅国務大臣 まず、先ほどの御質問に少し答えられなかったので補足させていただきますが、為替評価損がゼロになる為替レートは、一ドル約百二十二円であるということであります。

 それから、今、全体として、五十嵐委員の方から、一兆ドル、百兆円に近い外貨準備が過大ではないかという趣旨の中で、それを減らす方策も提案をいただいております。

 私も、財務大臣になっていろいろ聞く中で、それ以前からですが、果たしてこれだけのものが必要であるかということの若干の、他の国々とも比べて非常に大きいものですから、そういうある種の疑問は今も持っております。

 そして、それを減らす方法として、いろいろな、今言われたような、もともと外貨で払わなければいけないものについて、そこから払うという形で減らしていくというのは一つの道筋ではないかと思っております。

 ただ、もう一方で、これも御存じだと思いますが、一般的に言えば、保有している外貨を売って円にかえるということは円高を誘発することになりますので、そういう意味では、今以上の円高を求めるということにつながることは避けなければならないということもあります。

 また、今の日本のいろいろなお金のやりとりの中で言うと、持つとすれば、今、中身は公表はしておりませんけれども、やはり米国のドルないしはそういった債券等が中心になるというのは、一般的には御理解をいただけるんじゃないかと思っております。

五十嵐委員 先ほど言いましたように、ドル建てで今までも払っている分については、米国債で払ってもそれは手形に振りかわるだけですから、円高誘導にはならないというふうに考えます。いろいろな工夫をしてうまくやっていくべき、日本もそのリスクを軽減すべきだ、また、日本の国債の保有を米政府がきちんと評価するように私は求めていくべきだと思います。

 時間がありませんので、次に移ります。

 私は、今、事業仕分けを政府は一生懸命されておりますけれども、貴重な国民の財産である税金や保険料等を効率的に使うという観点から行われているんだと思いますが、その方策の中でいろいろな、ただ削るだけではない考え方もあると思って、一つ例として申し上げたいと思うんです。

 道路にかかる橋ですね。これについては、十五メートル以上の自治体管理の橋は、今、十五万四千橋あると承知をしております。二〇〇九年現在で、五十年以上経過した老朽橋は八%の一万二千橋ですが、二〇二九年にはこれが五一%になる、七万八千橋に急増いたします。放置すれば防災対策上も極めて危険でありますが、これを早目に、今のうちに予防保全型の維持管理手法を導入すれば、寿命が延びてコストが大幅に縮減されると聞いております。

 これは総務省の推計によるんですが、大変ラフな試算とは思いますが、全国の二メートル以上の橋梁、六十八万橋、これをすべて予防保全型維持管理に変えていくと、今後五十年間に何と十七兆四千億円ものコストダウンが図れる、総務省自体がそう推計をしているわけです。

 国土交通省は、現在、十五メートル以上の道路橋の点検、診断、長寿命化修繕計画策定事業というのを行っておられますが、この実施率を見ると、都道府県、政令市は合わせて九〇%と、まあまあいい成績なんですが、市区町村では、橋梁数で七三%、団体数で六一%が未実施でございます。これは、私は大変危険だと。余り新聞等で出てきていませんけれども、結構小さい橋では落ちたというところがあるようでございます。

 これから大きな地震が予想される地域もあり、これを放置するのは大変な問題だと私は思います。また、我が国財政を考えても、これをきちんとやっていくべきだと思います。一橋当たり診断経費は二十万円というふうに聞いておりますが、橋の数が多いものですから、費用負担、市区町村は大変な負担になります。また、もう一方で、土木技術士、技術者ですね、これが市町村段階で不足している。そこで、なかなか進まないのではないかと思っております。

 ところが、一つ朗報がありまして、奈良県では、今年度から、市町村管理の橋の点検、長寿命化計画作成を受託することとし、今年度予算に約一千九百万円を計上しているというふうに聞いています。この奈良モデルを全国に広めることによって、要するに県が市町村の仕事を逆に請け負う、下請をするという形になりますが、これは画期的なことではないかな、これによって十分にこの計画を進めることができると思いますが、国土交通省の見解を伺いたいと思います。

藤本大臣政務官 五十嵐委員にお答えいたします。

 私がお答えしようとしたことを大体説明していただいてしまったんですが、御承知のとおり、これまで新規でいろいろな橋、まあ橋だけに限らず、公共事業、道路等もつくってきたんですが、これからは整備、建設から利用へ、そういう時代へと変えていかなければいけない。その中で、維持管理コストというのがこれからもどんどんどんどんふえていくという中でも、やはり新規につくるよりははるかにコストダウンになるだろうというふうに思っております。

 ただ、先生御指摘のとおり、市区町村に対しては、その修繕計画、長寿命化計画の策定であるとか、そういったところがまだ進んでいない。その多くの理由が、財政的な面と技術的助言部分、この二つが大きいところだということで我々としては把握をしておりますので、その奈良県のモデルを参考に、我々としても、例えば地方整備局の職員の技術を活用しながら、その対策についての技術的助言を行っていくとか、あるいは財政的支援でいくと、社会資本整備総合交付金によって自由度が増しましたので、地公体の道路の点検であるとか計画の策定であるとか、あるいはかけかえ、修繕、こういったところに、その自治体自治体の事情に合わせた形で使えるようにしていきたい、そのように考えております。

五十嵐委員 高速道路でもそうなんですが、この調子でどんどんつくり続けたら、維持管理だけでもう全部予算が食われてしまうという時代が間もなく来てしまうだろうと私は思います。

 官僚も、それから政治家も、実績をつくるためには新規の道路や橋の方をつくりたいんですよ。だけれども、それをやっていたのでは、実は国民の利益にならない。今ある橋あるいは今ある道路の方が実は利用度は高いわけですね、当然。利用率が高いと予測されるところからつくっているわけですから。そういう既設の施設の維持管理に重点配分する方が、実は国民にとって大変な、より大きな利益になるという考え方を私は政府全体として持つべきだと思いますが、もう時間が来ました。

 一言だけ財務省からこの考え方について伺って、終わりにします。

野田副大臣 五十嵐委員の御指摘のように、高度経済成長時代に集中した橋であるとかトンネル等の、これは、さっき五十年以上経過した橋梁のお話をされましたけれども、今後どんどんとふえてくると思います。

 委員御指摘のとおり、新規施設というよりも、既存施設の維持管理、更新の重要性がますます大事になってくるということは、共通認識として持ちたいと思います。

 以上でございます。

五十嵐委員 終わります。

今村委員長 次に、石田芳弘君。

石田(芳)委員 民主党の石田芳弘です。

 私は、三年前まで地方の一自治体の市長をやっておりましたので、一地方自治体の市長の経験から国の財政運営の疑問をただすというスタンスで、きょうは御質問したいと思います。

 まず一つは、今、ヨーロッパ発の大変な、世界的に情報が回っておりますが、ギリシャの問題です。ギリシャの国家財政が破綻の危機に陥っている。マスコミの報道によりますと、日本はいいのか、次は日本じゃないか、こういう報道も、心配もあるくらいですね。

 事実、これは財務省が十日発表された国の借金、ことしの三月末、昨年度末の時点で八百八十二兆九千二百三十五億、過去最大という発表をされましたし、一年先の一一年の三月末ではさらにふえて九百七十三兆に膨らむ予定だ、こういう公式な発表があるわけです。

 私は自治体側から見ていますと、夕張が財政再生団体、要するに破綻自治体という烙印を押されたわけですね。夕張でも公債費比率が三五%を超したんですよ。地方は一つの基準があるんですが、国家はない。これはどう見てもおかしいし、僕は心配でしようがないんですね。

 そこで、質問は、財政のバランスがこのままでいいのか、本当にギリシャの状況を見ていいのか、それからギリシャから何を学ぶか。一方で、有名なオピニオンリーダー、財務省のOBの方ですが、榊原英資さんなんかは、日本は家計資産が千四百九十兆円あるから十分カバーできる、国債発行に余裕がある、こういうような説もありまして、私も実際どうなのかなという、自信がありません。

 そこで、野田副大臣、私の最も敬愛する政治家の一人でありますし、将来大変な影響力を持つ方ですので、本音で、御自分のお考えでひとつ教えていただきたいと思っています。よろしくお願いいたします。

野田副大臣 石田委員の御質問にお答えしたいと思います。

 日本の財政に対する大変強い危機意識からの御質問だというふうに思いますが、少しギリシャと日本は事情が違うところがございまして、まず昨年の十月にギリシャでも政権交代がございました。そこで前政権でずっと公表していた財政の数値、統計に不備があったということが明らかになって、この結果、対GDP比で財政赤字が三・数%と公表していたものが、実は一二%を超えているということがわかったことが財政危機の発端でございました。という特殊事情からスタートしているということと、ギリシャの国債の保有はほとんどが外国であるということも、これは日本とは違うだろうと思います。

 ただし、これは対岸の火事ではなくて他山の石とすべきというのは、御承知のとおり、先ほど数字のお話をされましたけれども、国と地方の長期債務の残高でいうと、二〇一〇年度末に八百六十二兆円になる見通しであります。これは対GDP比で一八一%、主要先進国の中では最悪の水準でございますので、やはり財政健全化の道筋を、今、夕張の例もとりました、何をメルクマールにするかということが今大事だと思いますけれども、六月までに、国家戦略室を中心に財政運営戦略と中期財政フレームをつくるということになっていますが、これをもって市場の信認を得られるように頑張っていきたいというふうに思います。

 税収が九兆円落ち込むというのは、昭和二十一年以来ですから、極めて厳しい財政状況であるということは、委員と共通認識として持ちたいと思います。

石田(芳)委員 もうちょっと突っ込んで質問したいんですけれども、時間の関係がありますから次へ行きます。

 次は、大塚副大臣に地方分権について御質問したいと思います。

 地方分権、今は地域主権と言っていますが、官対官の関係に限定して私は質問したいものですから、地方分権という言葉を使わせてください。

 実は、私が犬山市長になりましたのは平成七年の四月で、その一カ月後に地方分権推進法が成立しました。それから小泉さんの三位一体改革まで十二年間、私は市長をやっていましたから、この地方分権がずっと進捗するのに合わせて、私の仕事は地方分権をやろうということでやってきただけに、自分の経験から現場の報告をしたいと思うんです。

 地方分権推進法が成立して、その後地方分権推進委員会というのができまして、諸井虔さんという方が委員長になられて全国タウンミーティングをやられた。そのときの話を私は聞いていまして、地方分権は明治以来の大改革なんだ、中央対地方の関係を全く逆転する、これは私にとっては本当に、坂の上の雲みたいな、青空にぽっかりと浮かんだ国家ビジョンだったんです、実にクリアな国家ビジョン。物すごい感動したんですが、ところが、十二年間、これがなかなか進んでいない。実感として、やはり今でもワンサイドなんですよ。中央が権限と財源を完全に握っている、ワンサイドなんです。

 権限でいうと、市長というのは、朝来まして、書類に判こを押す。その判この大部分が中央からの関与、いわゆる行政指導、通達行政なんですね。通達という言葉はなくなったと言っていますが、実質、残っていますよ。通知、通達に判を押すことばかりなんです。しかも部長通達。まあ、政務官までの通達は納得できますよ。ところが、局長通達、部長通達、課長通達まであるんです。通達のオンパレードなんですよ。

 私は本当にイメージとして、中国で昔、足が大きくならないように纏足という習慣がありましたけれども、地方の自治体の職員は、頭、脳を纏足されてしまっているんです。自由に発想できない。本当にぐんと縮められちゃって、脳が小さくなってしまっているんです。だから、こんな地方分権だといったって、これは、まず権限を移譲すること。

 それから、財源のことを言います。財源は、これはよく使われることですが、地方が仕事を六やって、しかし税源は四ですね。中央は、仕事は四しかやらないのに、税源が六ある。この逆ざや現象、これが最大の問題なんです。これで対等と言えないですよ。ですから、結局は、地方には慢性的にお金が足りない、中央は構造的にお金があるから地方へいろいろな制度で持ってくる。こういうことで、この構図が直らないんです。

 歴史家のトインビーが、自己決定できない組織は結局は衰亡してくる、こういうことを言っていますけれども、地方が格差が広がるということは、これは構造的に衰亡しているんですよ。これが中央集権の構造なんです。

 大塚副大臣、どう思われますか。

大塚副大臣 石田委員にお答え申し上げます。

 改革派の市長として国と地方の関係を熟知しておられる委員の御質問でございますので、今の御指摘については私も全く同感でございます。

 また、ちょうど市長で御在任をしておられた間に地方分権が進まなかったというその事実に基づいて、現政権では、地方分権とあえて言わずに、地域主権という言い方もしているわけでございますが、地域の、あるいは地方の自主性と、そして自主的な財源を確保できる方向で、今、鋭意検討を進めている最中でございます。

 御指摘のあった権限移譲を含め、一括交付金の問題等々、ことしの夏の地域主権戦略大綱にしっかり盛り込むべく作業をしておりますので、石田委員におかれても御指導を賜りたいというふうに思っております。

石田(芳)委員 とにかく、大塚副大臣、地方は本当にこのままではますます疲弊していきます。これは、スキームを変えてどんと権限と財源を移譲すれば、地方は力があるんです、潜在力があります。ですから、その持てる潜在力を発揮できるような御支援をひとつお願いしたいと思っています。

 それから三番目、総務副大臣、三位一体改革について御質問したいと思います。

 これは最初の質問と二回目の質問とも関連してきますが、結局、私は、体験から、これは中央の構造を変えなきゃいけないなと思ったのは、補助金と交付税交付金の二つについて、三位一体ですから、この二つについて私の経験を話したいと思うんです。

 私は十二回、小規模ですが、自分の町の予算を編成しました。そのときに、補助金というものについて、例えば、わかりやすく言います。

 自分の町に、自治体に自由になるお金が一億あるとしますね、一億。その一億は、本来は、本当にそこの、自分の町、住民の要望するものに一億を使わなければいけません。

 ところが、補助メニューがいっぱいありますからね、各省の。自治体の職員は、その補助メニューをいっぱい調べてきまして予算編成をやるんです。補助メニューを使いますと、簡単に言いますと、国が二分の一、県が四分の一、自分の自治体で四分の一ですから、四分の一のお金で一事業やれるわけですね。ですから、一事業二千五百万で事業をやれるわけです。そうすると、自由になるお金が一億ありますと、補助事業を使いますと四億の事業がやれるんですよ。

 これがわななんです。何かたくさん仕事をやった、市民に対して、おれは政治力があるんだ、こういうふうにアピールすることができるわけですね。これがわなで、本当に必要なものじゃなくて、金太郎あめの補助金メニューに手を染めていくんです、全国どの自治体でも。そして、予算をつくって、中央からの、いろいろ義務づけ、枠づけやらいっぱいついた、最初の、通達、関与だらけの補助メニューでぶくぶくとバブルの予算案を編成する、こういうわけですね。そういう構造なんですよ、補助金が。まず、これを一つ頭に入れておいてください。

 それからもう一つ、交付税交付金のことです。

 これも、率直に告白しますけれども、私もモラルハザードを起こしていたんですけれども、私が最初、市長に就任したころ、不交付団体だったんです、私の自治体、犬山市は。そうすると、議会も住民も、不交付団体はお金もらえぬよ、交付団体にしたらお金来るよ、こういう議論があるんですね。ですから、研究したんです。どうやったらお金、交付税交付金がもらえるかと。

 簡単なんですよ。これは無駄遣いすればいいんです。行政サービスをふやせばいいんです。要するに分母をふやせばいいですからね。例えば農道を市道につけかえるとか、それから、一番簡単なのは借金するんですよ。起債のつく事業をどんどんやれば、これは分母がふえまして、交付税交付金が来るんです。簡単なんですよ。そういうからくりなんですよ。からくりでイコールわななんです。

 こうやって無駄な、やらなくてもいいことをどんどん全国が、本当にみんな自治体がやって、今日の冒頭の、日本じゅうが自治体ぐるみでバブルの予算案を組み、それを執行してきた、こういうように私には思えてしようがないんですね。合併特例債なんかも、私はその中の一つだというふうに思っています。

 それからもう一つ、一括交付金、大塚副大臣も言われましたけれども。一括交付金が何か非常にこれはいいようですが、これも、そもそものベストは補助金をなくすことです。その分、地方の税源としておろすこと、これが三位一体改革の本旨だったわけですね。

 そこで、私ども、三位一体改革は、あれが出てきたときに、なるほどと思って、これはなかなかいいアイデアだと思ったんです。思ったんですが、これが結局は、地方の自治体は三位一体改革で税源がそれほど来なくて、交付税交付金も減らされた、パイが減らされたということで、大変な不評なんですね。そういう現場の声です。

 そのようなことを全部ひっくるめて、三位一体改革の総括と、これから三位一体改革の行方をどういうふうに持っていかれようとしているのか。どうぞ副大臣。

渡辺副大臣 石田委員とは、東海四県で、一時期、同じ時期に地方議会の議員をやっております。その後、犬山市長に転じられまして、大変改革派の市長として名をはせられたことは私も強く記憶しておるところでございます。

 本来ならば、税源も移譲した上で、補助金と交付税の改革をするはずだった。当時のやりとりを見ますと、全国知事会等とのやりとりの中では、国税を地方税に移管する、たしか自動車関係の諸税だったと思いますが、自動車重量税の国税部分を地方に本来は移管するというような話も当時は浮上していたようでございますが、結果として、交付税はカットされる、補助金はカットされる、そして税源の移譲は三兆円だったということで、その差額は自助努力で埋めなければならないことになった。

 当時、少々地方税収入が右肩上がりのような景気回復基調のところでありましたけれども、結果としては、人員の削減、市長時代にも人員削減に取り組まれて、また、特殊勤務手当や四役の勤勉手当をなくすというような、いろいろな行政改革に取り組まれたと思いますが、地方はぎりぎりのところまで歳出カットに取り組んだということでございます。

 総括をするといえば、やはり税源移譲を伴わなかった補助金と交付税のカットでありまして、これはまさに、自主財源の少ない地方にとっては大変厳しいものになった。それがいまだに尾を引いているというふうに思っております。

 一つだけつけ加えて申し上げれば、今、私は総務省の所管の公益法人を三日に一遍ぐらい回っておりますが、犬山市長としての御経験からぜひ取り上げていただきたいのは、地方自治体が国の公益法人に対して負担金や会費をいっぱい払っているんですね。地方がまさに自主財源を必要とすると言いながら、予算の要望に来ながら、反面で、国にはさまざまな負担金や分担金や会費を払っております。これを一回、一つの自治体が一体どれぐらい負担しているのか、どこかで声を上げていただきたい。

 国に言うと、総務省からにらまれると、何か後でしっぺ返しを食らうんじゃないかと思ってなかなか首長さんが声を上げないんですが、ぜひ、改革派の市長を御経験された中で、そういう地方の国に召し上げられている実態も含めて、自主財源の確保のためにも一緒に努力してまいりたいなと思っております。

石田(芳)委員 渡辺副大臣、どうもありがとうございました。

 渡辺副大臣はよく地方のことを御存じですし、今もお話ありましたように、大体、知事会とか市長会、私は市長会のことはよく知っていますけれども、あれは総務省のかいらいですよ。だから、まず総務省を、要するに政治主導で、解体とまで言うとちょっと過激ですけれども、まず総務省の官僚主導を打破することが私はやはり地方分権の非常に大事な肝みたいな気がするんです。ぜひ渡辺副大臣の才能とパワーで頑張ってください。御激励申し上げまして、以上で終わります、委員長。

 ありがとうございました。

今村委員長 次に、馳浩君。

馳委員 自由民主党の馳です。

 大学入試センターの事業仕分けについてお伺いをします。

 先月二十八日に行われました事業仕分けにおいて、大学入試センターはどのような評価結果となりましたか。

枝野国務大臣 お答え申し上げます。

 評価者においては、試験問題の印刷等に関し、いまだ随意契約が残っており、さらなるコスト削減を図るべき、自己収入の拡大について、利用者である大学の負担が本当に適正かどうかを含め再検討すべき、運営費交付金に依存しない経営体制を確立すべき等のコメントがあり、ワーキンググループとしては、コスト縮減、自己収入の拡大に努めた上で当該法人が実施との結論となりました。

馳委員 四月十一日の報道にもありましたが、枝野大臣は、大学入試問題に国の関与は要らないのではと、民営化も検討するとおっしゃっておられました。今回のこの仕分けの結果を踏まえて、民営化は断念するというふうに受け取ってよろしいのでしょうか。

 また、そもそも大臣は、民営化という表現を使われましたが、どういう形態の民営化を念頭に置いて発言をされたのか、教えていただきたいと思います。

枝野国務大臣 これは四月の十日でしょうか、私がお話を申し上げた趣旨が若干正確に伝わっていないなというふうには思っておりまして、民間的にできる余地があるのではないかという問題意識を申し上げましたが、民営化すべきであるというような結論として申し上げたわけではございません。

 実際に私の意識の中で想定しておりましたのは、国費が入っている部分が非常に小さい、大部分は受験料で賄われている、まず実際に仕分けの議論においてもそういったことが議論されて、先ほどの評価者の皆さんの取りまとめのように、国からの支出なしでできるのではないか、そうすれば、その組織の運営のあり方としては、民間的にみずからが受験料等の収入に基づいて試験を行って、それで収支が合うというような意味で、民間的にできるのではないか、そういった意味でございます。

 若干私の発言が誤解をされるような発言であったとすれば、そこは反省しなきゃいけないと思っておりますが、想定していたような議論になったなというふうには思っているところでございます。

馳委員 私も、きょう尋ねてよかったと思います。

 枝野さんからこういうふうにおっしゃっていただきましたが、川端大臣としては、入試センターの民営化という報道が先走りをいたしました、このことについて、どういうふうに考えていたのかをお伺いいたしたいと思いますし、私自身は、入試問題の守秘義務という問題を考えると、すべて民営化とか、民営化的にというふうなものとはちょっとなじまないのかなと思っておりますが、いかがでしょうか。

川端国務大臣 私も、今の委員が御指摘の報道を見たときに、会見で聞かれました。これはホームページにも多分残っていると思いますし、検索してみてください。

 記憶をひもときますと、入試センターの位置づけというのは、入学試験にとって極めて大きな位置づけになっていて、間違っても受験生の部分に混乱、不安があってはいけないと同時に、今までの試験の継続性、あるいは質の保証、試験問題の中身の保証、そして大学との関係を含めてしっかりと担保されなければいけない。経営的に無駄を排するとか、合理化して効率をよくするとか、そういう視点の切り口で検討することは幾らでもあるというふうに思うけれども、この入試センター試験において国の関与で一定のコントロールのもとに行われなければならないというものだと認識していると、その当時もお答えしましたし、今もそう思っております。

馳委員 そこで、そもそも、大学入試センターが実施をするセンター試験、これは法的には実施主体はだれで、そしてセンター自身はどういう役割を担っているのか、この法的根拠、これをまず尋ねたいと思います。

川端国務大臣 独立行政法人大学入試センター法というのが平成十一年十二月二十二日に制定をされておりまして、この第三条で、独立行政法人大学入試センターは、大学に入学を志願する者に対し大学が共同して実施する試験に関する業務を行うことにより、大学の入学者の選抜の改善を図り、もって大学云々ということが書いてあります。

 この法文に基づきますと、センター試験は大学が共同して実施するもの、そして、独立行政法人大学入試センターはこの共同して実施される試験に関する業務を行うということになっておりまして、そういう意味では、実施主体は、法的に大学が共同して実施する、その実務を独立行政法人が担う、こういう位置づけになっていると承知しております。

馳委員 私も法律にそんなに詳しくないですが、第三条をよく読むと、実施の主体は大学であって、センターは業務の一部を請け負うという形で協力をする、こういうふうな役割分担でいいと思うんです。

 枝野大臣もそういう理解をされているということでよろしいですね。

枝野国務大臣 法律の理解としてそういうことだというふうに認識しております。

馳委員 ところが、実際にはどうなのか。これは、一般の受けとめ方もそうですし、あるいは実態としてはどうなのか。

 これは、大学が共同して実施をするといいながらも、実施をする主体がないんですよ。ないんです。大学が行うべきものであるにもかかわらず、大学が共同して実施をするために受け皿となるような機関というものはないんですよ。法律に従って、センターがやっているわけですね。どう見てもセンターが主体的にやっている。それに大学側が協力をして相乗りをしているような、こういうふうな印象をどうしても受けてしまうということなんですね。私は、ここがちょっと問題があるのではないかなと思って、これから指摘をさせていただきたいんです。

 つまり、先ほど枝野大臣から仕分けの結果も示されたところでありますが、本来は実施主体である大学側が、センター試験を利用している大学側こそがコスト意識を持たなければいけないんじゃないのかな、この法律の趣旨に従うと。協力しているのはセンターなんだから。そのセンターももちろん運営についてのコスト意識を持つのは当然でありますが、そもそも持つべきは大学側なんじゃないのかなと思いますが、私の指摘をどう受けとめられますか、枝野さん。

枝野国務大臣 御指摘を今初めて伺いまして、少なくとも深く精査をしているわけではございませんが、もちろん、運営を実施しているセンターとしても、十分な、さらなるコスト意識を持って、できるだけ安い受験料等で受験、入試をしていただきたいというふうに思いますが、当然、それを委託している、法的に委託する立場になっている各大学の方としても、受験料が少しでも安くできるようにということのコスト意識を持って、センターと協力、連携すべきところはしていただくというのは、していただいているとは思うんですが、そういった意識をしっかりと持っていただくべきではないかというふうに思います。

馳委員 大臣おっしゃるとおりだと思います。

 そこで、私もちょっと調べてみたんですが、具体的に大学側が持つべきコスト意識についてということで、平成二十年度の決算で、各大学が試験当日に行う試験監督経費、これが二十億五千万円。試験監督経費、二十億五千万円をセンターが大学に支払っているんですね。おかしいんじゃないのかというのが私のまず指摘なんです。

 どういうことかというと、大学側は事業の実施主体、発注者であるわけでありますから、試験監督経費なんというのは大学自身が自分たちで持つべき問題であって、むしろ負担すべきなのは大学側なんじゃないのかな。まず、この決算の項目を見て私は素朴に、大学側が法的に実施主体なんだから、試験監督経費なんというのは自分たちでやりなさいよと、つい私は決算の項目を見ながら突っ込んでしまったんです。

 これは川端さんと枝野さんの両方に、私の指摘に対してどう思われるか、まずお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 前段の質問から含めて、形としてはまさに大学が共同して主体として行って、その事務を受けているのがセンターであるということですが、言われたように、それをまとめて、共同してという共同の事業体があるわけではありませんので、事実上は、その試験は実務を含めてすべてをセンターがやっているという意味で、外から見たら主体が違うのではないかという見方は、そういう見方をされることは、現実的な形から見ればあり得るのかなと。

 ただ、法的意味も含めて、経過から見ますと、各国立大学は全部これを実施する、使う、公立大学も全部使うということは決めておりますし、現に全部使っている。そして、私立大学はそれぞれの希望ということですので、主体的に彼らが判断してやっていることは間違いがないんですが、実務的にはこういう形になっている。

 そこで、実務としてやるときに、センターの受験料という形で、要る費用を全部まとめた形でセンターが集めている、受験生から。そうしますと、その中で、問題をつくったり採点をしたり、いわゆるデリバリーをしたりという費用以外に、受験の会場での試験監督等々の人手が要るということで、大学の試験監督経費という形で、決算でいいますと、各大学が試験当日に行う試験監督で二十・五億円、各大学が試験当日に行う試験場警備の経費が一・一億円、試験実施委員会経費が三億五千万等々、大学配分経費三十三・九億円、合計では、センターは検定料で九十八・四億円のうち約三分の一を大学に払っている。

 これは、先ほど先生いみじくも御指摘ありましたように、何か実施本部みたいなものがありますと、ここが受験生の検定料を集めて、そしてその中で、問題をつくったりしてくれるセンターに払い、大学はそれで自分たちの分で使うということも一つのやり方かもしれませんが、実務上、全部をセンターが事務を受けているということで、こういう形になっているということは御理解をいただきたいと思います。

枝野国務大臣 今の川端大臣の御発言の趣旨であるというふうに、仕分けでも直接に今のような話の議論が出てきたわけではございませんが、そういった仕組みの中で、今のような実態でお金の出入りがあるけれども、そこは制度で、それをもっとわかりやすくすると、かえって間接効果でコストが余計にかかりますねみたいな、そんなことは、仕分けのときだったか仕分けの準備のときだったかも出てきておりまして、共通の認識を持っております。

馳委員 改めて、この試験監督経費というのはもちろんセンター側が大学に払っているんですが、センターが払うというよりも、受験料から賄われているんですね。この二十・五億円は何ぞやといえば、土日にやっているから、要は土日の出勤手当の分なのかなと思うんです。

 大学は、それぞれ独自に試験やいろいろな行事もやっていたら、土日に職員が出れば振りかえ休日を使えばいいじゃないですか。こういう試験の監督というのは、本来の大学の業務じゃないんですか。だったら、振りかえすれば二十・五億円なんか出さなくていいんですよ。センターが出すんじゃなくて、受験生の受験料になっているんですよ。受験料は全部で九十六億円ほどありますけれども、そこから二十・五億円分差し引けばどうなりますかと考えたら、一万八千円の受験料のうち三千五百円ぐらい安くしてあげられるんですよ、私のつたない算数の計算でも。

 そもそも、振りかえ休日にして、土日にやる、本来のあなたたちの業務でしょう、職員さん、あるいは大学の経営者の皆さん。土日に出てこいというのだったらば、いや、出てきて仕事をするのならば、その分は振りかえ休日、長期休業期間にとればいいじゃないですかと私は率直に、素直に、素朴にというか、思うんですね。

 では、川端大臣、そして枝野大臣、私のこの指摘をどう思われますか。

川端国務大臣 現実に、この二十億円強が土日の試験監督のある種の労務費として支払われている部分がほとんどであることは事実でございます。そして、入試センターの試験を実施することが、平日に行って本来の教育研究業務に支障を来さないようにということで土日にやっているということで、その分の労務費は、発生した分は当然払わねばならない。先生が御指摘なのは、だれが払うのかということだと思います。

 それで、先ほど申し上げましたように、大学が個々にみずからの大学の入学試験をしている場合は、本来業務として大学の負担でやっておりますが、この費用は受験料として受験生から多分徴収している部分で賄っているんだというふうに思います。そういう意味から申しますと、今回、検定料自体をセンターが一括して集めるという方式をとっている、財布を一つにしたという意味では、そこからこちらへ出すということは制度上は特段問題はないと思っています。

 問題は、振りかえで全部賄えるのではないかということですが、一つは、平日の教育研究に支障がないようにという意味でいうと、一斉に休むかどうかは別にしまして、結果的には平日に休むことになるということと、必ずしもその大学が提供した労務全部を見ているわけではありません。そういう意味で、振りかえにみんながなじむか、個々の対応によって違いがありますので、会計の整理上でいえば振りかえというのはなかなか技術的に難しいと、この御質問のあるときに問い合わせをして聞きました。

 以上です。

枝野国務大臣 直接今回の仕分けの議題になって話題になっている話ではございませんし、主務大臣は文部科学大臣でございますので、どこまでお話をしていいのか難しいんですが、行政刷新という観点からは、少しでもコストを削減していただきたいということは委員の御指摘のとおりなんであります。

 一方で、今、川端大臣がおっしゃられたような事情や、それから、これは仕分けの準備のところで議論があったんですけれども、受験生が受験をする大学と、実際に、二次試験といいますか、出願して入学をする学生さんの数というのは必ずしもぴったり一致をしているわけではない中でいろいろなことをやっていただいていますので、非常に定員が少なかったりとか受験生が少ないけれども、そこでセンター試験の受験をする人の数は相対的に多いようなケースとか、逆のケースとかというのをどう考えるのかとか、そういうことを考えると、必ずしも単純にはいかないということがございます。

 今川端大臣もおっしゃられたような視点も含めて、これはむしろ、全体としてのコストを削減して受験生の負担をできるだけ小さくしていただくということを、ガバナンスのあり方として、現状では中期計画等の中で、どういう計画でどう下げていくかということを、それぞれの、入試センターという組織と、あるいは各大学とそして文部科学省との間で協議、御検討いただくことではないかなというふうに思っております。

馳委員 私は、川端大臣も枝野大臣も、応援のつもりできょうこの質問を準備してきたんですよ。さっきの答弁だったら、今までの政権と変わらないじゃないですかとあえて私は言いますよ。

 つまり、大学にとって入学者を選抜するということ、また高校側からでも、ある意味では大学入試センターの試験というのは、高校三年間でどの程度の学力を身につけたかという、その水準の向上を目指して、一つの目安にもなっておりますね。

 こういう観点から考えると、それを実施し参加をする大学、ましてや大学は、参加と言いましたけれども、法律的には実施主体になっているわけですから、本来業務として教授や准教授、職員の皆さん方は参加をし、長期休業期間中においてその分はお休み、代休をとってね、こういうふうなことで、コスト意識を持って、これは大学にとっての本来業務なんだという位置づけを、もっと自覚を持てと、むしろ政治主導で、川端大臣と枝野大臣からびしっと言ってほしいなというのが私のきょうの質問の一つの趣旨でもあったんですけれども。

 では、枝野さん、どうぞ。

枝野国務大臣 非常に具体的なことを御指摘いただいて、また大事な具体的なことだと思うんですが、まずは行政刷新の立場からは、先日の事業仕分けでも、先ほど申しましたとおり、自己収入の拡大について、利用者である大学の負担が本当に適正かどうかを含め再検討すべきというコメントを前提に、コスト縮減、自己収入の拡大に努めた上でという結論を出しております。この結論をまだ行政刷新会議に報告しておりませんので、その報告を踏まえて、それぞれの所管官庁、つまり文部科学省でもいろいろ検討いただくということになります。

 そうした中で、トータルとして、本来の主たる実施主体である大学が適正なコスト負担をしていただいた上で、できるだけ受験生の負担を下げていただくということに向けて積極的に努力をしていただくということについては強い意欲を持っておりますし、また川端大臣もそういった問題意識を持っていただいているというふうに理解をしております。

馳委員 では、もう一点だけ指摘して終わります。

 実施主体である大学側の応分の負担という観点から、似たような関連質問をいたしますが、まず、私立の大学でセンター試験のみで合格者を判定している学部や、そういう学部を持っている大学。同じく、私立大学で、キャンパスが狭くて、試験会場を提供せず、しかし試験監督者を派遣して、ちゃっかりと謝金までもらっている大学。こういうのは相乗り状態のような感じですね。これは大学間において、大学と大学の間で不公平じゃないのかなと私は思いますし、そういうちゃっかり組は応分の負担を大学側がすべきではないかと私は思うんですよ。

 ちなみに、最初に申し上げたセンター試験のみで合格者を判定している私学、これは全体の募集定員に占める割合、どのぐらいあるんでしょうか。

 このことを踏まえた上で、まず川端大臣に私の指摘に対してお答えいただきたいし、また枝野大臣にも、やはり応分の負担を大学がみずからするという姿勢を貫いてほしいなと思うんですが、お二人にお答えをお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 まず数字でありますが、大学入試センター試験のみで合否判定を行っているという、私立大学の中では幾つかあります。そういう中で、募集人員は、その対象としては四万六千二百九十七人、私立大学募集人員全体の一〇・四%、一割であります。ただ、大学の入試自体全部を、大学全体、学部全体をセンター試験のみで合否判定を行っているところはありません。一部ということです。

 そこで、先生おっしゃるように、小規模の学校は、会場も提供せず、どこかの試験会場へ人だけ派遣をして、さっきの話では日当をもらっている。そして試験は、その部分は全部結果をもらっている。一定の試験結果の通知の手数料というのは払っているようですけれども、試験実施に対してはある種のフリーライドをしているのではないかという御指摘は、実態から見たらあると思います。

 そして今回、こういう仕分けの対象としてメスを入れていただきました。そして今、それもきっかけとして、先生からいろいろな御指摘の中で、どこが主体なのか、そして、コスト意識はどこが持っているからインセンティブが働いているのかということに関しては、やはり幾つもの検討すべき課題が浮き彫りになってまいりました。幾つか先生御指摘いただいたとおりであります。

 そういう意味で、これを機会に、改めて、各大学がみずからの仕事としてどこまでの負担をするべきなのか、そして公平性はどこまで担保されるのか、しっかりと検討してまいりたいというふうに思っています。

 大変いい御指摘をいただいたというふうに思っております。

枝野国務大臣 まず、仕分けでも具体的に、私立大学が一部ただ乗りしているような状況ではないかというような御指摘を受けました。また、これについては、本当に単純にそう言い切れるのかどうかという疑問もその場でも出されておりますが、今のような御指摘があるのは、ある意味当然だというふうに思います。そうした意見もあることを踏まえて、今、川端大臣からおっしゃっていただいたように、検討していただく。

 それからもう一点は、キャンパスを提供しているところとしていないところ、しているんだからその分会場費をもらうとかというわけでもなく、逆に、していないから負担をするわけでもなくということなわけですが、では、提供しているからどれぐらいのコストになるんだ、だから、これを帳簿上計算して、こっちはそれをしていないんだから、こっちはしているんだからとかみたいなことをやった方がいいのかどうかというのは、これはちょっとトータルな、ガバナンスのあり方として御検討を文部科学省でしていただいた方がいいかな、あるいは入試センターでしていただいた方がいいかなと。

 つまり、複雑な会計にすればするほど、そこに、国民がわかりにくくて、相手はまやかしがしやすくなるという構造があります。わかりやすい会計であるほど、それは国民からもわかりやすい、この場合は、受験料を負担する受験生からもわかりやすいということになります。

 ですから、現状は非常にシンプルといいますか、その限りの分についてはシンプルにやっていただいていて、そのままの方がいいのか、それとも、キャンパスを貸したからとか、先生が試験官に出ているとか出ていないとか、それが何人だとかということを、複雑な帳簿上のやりとりをした方がいいのか。個人的には、実は余りそういうことをしない方が、それでそれぞれが納得して参加していただいている中においてはいいのではないかなと思いますが、そういった精査をこれからしていただくということかなと思っています。

 いずれにしろ、仕分けといいますか、我々の改革に対して御支援をいただく御質問をいただいて、大変感謝を申し上げます。

馳委員 終わります。

今村委員長 次に、棚橋泰文君。

棚橋委員 自由民主党の棚橋泰文です。

 まず、菅財務大臣にお伺いいたします。

 まず、あなたは鳩山内閣の副総理でいらっしゃいますね。

菅国務大臣 はい、そうです。

棚橋委員 であれば、現実に内閣総理大臣鳩山由紀夫さんが機能していない中であなたが内閣の最高責任者ですから、まず、本質的なことを幾つかお答えください。

 最低でも県外、これは民主党を中心とする政権の公約でしょうか。

菅国務大臣 副総理という役割は、必ずしも法律的に、あるとすれば、総理がおられないときの代理をするという順位が一位ということはありますけれども、特にそれ以上、私の知る限り規定はありません。アメリカ大統領の場合は大統領に何かあったときにはというのは順位が全部決まっていますが、そういう意味で、必ずしもすべてを総理にかわってどうこうという位置ではないということはしっかり申し上げておかなければならないと思っております。

 そういう意味で、今の御質問については、そういう発言が総理からあったということは承知をしておりますが、私に対する質問であれば私に対する質問としてお聞きいただかないと、総理が言われたことについてということで、かわりには残念ながら答弁はいたしかねます。

棚橋委員 総理のかわりに聞いているわけではありません。あなたは副総理であり、内閣を構成する国務大臣です。政権を担当している内閣の一員なんですよ。

 公約なのか公約でないのか、わからないのか、簡潔にお答えください。

菅国務大臣 私の記憶が間違っていなければ、さきの衆議院選挙のマニフェストに文書で明記されていたかということでいえば、文書ではそういう言い方にはなっていなかったと思っております。

 ただ、総理が、当時まだ野党の代表であったわけですが、代表として選挙の折にそういう趣旨のことを発言されたということで、一般的な言い方で言えば、広い意味では、それを代表としてのというのか党としてのというのかということの微妙なニュアンスの差はありますけれども、やはり党を代表する立場の、まさに代表でありますから、広い意味ではやはり公約というふうに有権者の皆さんに受けとめられるのは、それはそういうふうに受けとめられることは十分に理解されます。

棚橋委員 公約ですね。

 では、もう少し伺います。

 総理は五月末までに決着と言っていますが、これは、内閣としても当然五月末までに沖縄の米軍基地問題に関しては決着をさせるんですね。

菅国務大臣 総理がそういう方向で全力を挙げておられる、そういう意味で五月末ということを言われております。これは、総理御自身が何度も繰り返し言われているように、私としてそういうつもりで、覚悟でやっておられるということを言われています。

 内閣としてという言い方をもし手続上のことまでとして言われるということであれば、別に閣議決定をしていついつまでにということを決めたことはありません。

棚橋委員 つまり、閣議として決定していないから鳩山由紀夫さんのひとり言だ、そういうことですね。

 では、もう少し伺います。

 私はこれから申し上げる政策に関しては基本的に愚策だと思っておりますが、たしか民主党はガソリン税を中心とする暫定税率は廃止すると公約したはずですが、それはどうなりましたか。

菅国務大臣 いろいろな言い方をされるのは、こういう議論ですから、私も多少は激しいことを言ってきた方ですから、あえてそれを反論まではいたしませんが、閣議決定をいたしていないということを申し上げたわけで、そのことと、総理の発言は総理の発言として大きな重みを持っているということは当然のことだと思っております。

 それから、ガソリン税、つまりは暫定税率のことをおっしゃっていると思いますが、これについては、さきの衆議院選挙のマニフェストで暫定税率を廃止するということを公約に掲げました。

 結果として、それはそのとおりには実現ができませんでした。もちろん道路特定財源から外すということにはなりましたが、できませんで、それに対しては、総理の方から謝罪とともに二つの理由を挙げられました。

 一つは、二五%削減という方向性を出されたこととの整合性、さらには、九兆円余りの、いわゆる税収が当時の前の政権下の見積もりよりも下がったことなども含めた財政的な問題等から、十分にそのことが実現できなかったということについては、謝罪を含めて総理の方からもお話がありましたし、私もその点は、国民の皆さんに、公約どおりできなかったことについては申しわけない、このように思っております。

棚橋委員 つまり、うそをついていたんじゃないですか。

 では、もう少し伺いますが、高速道路の原則無料化というのはどうなりましたか。これも愚策だと思いますが。

菅国務大臣 すべてをかわりに答えなければいけないのかどうかはありますが、愚策であるかないかという議論でいえば、私とはかなり違います。

 私は、最大の愚策は、つくった高速道路を使わないで二十年も三十年もそのままにしておくこと、これほどの愚策はない。例えば、本州―四国の三本の橋でも、片道五千円とか七千円とか、アクアラインも当初は四千円しました。そういう形でべらぼうに高いものをつくって、べらぼうに高い見積もりを立てて、そして実際にはほとんど車が走らない。これほどの愚策はないじゃないですか。

 そういう中で、もともと、御存じだと思いますが、高速道路の法律はその間で償還が終われば無料にしていくということだったのを、プール方式で全国の整備をしていくという形に変えてやってきたわけでありまして、そういうことを考えたときに、高速道路を無料化するという考え方は、私は、政策の判断として十分あった、今でもあると。

 しかし、それを実行するに当たって、初年度としての試行的な形を、それが十分であったかなかったかの議論は当然ありますけれども、そういう形で、かなり限定的ではありますけれども、ある部分でスタートをしているのが今日だと。愚策だとは全く思っておりません。

棚橋委員 高速道路を使わない人間の税金まで投入して無料化するのは愚策です。

 その上で、あなたは質問に答えていない。高速道路の無料化というマニフェストの公約はどうなったのかと私は聞いているんです。開き直る前に質問に答えてください。

菅国務大臣 高速道路を使っていない人の税金を使うのはおかしいと言われましたが、これこそ大間違いの議論ですよ。高速道路を走っている車は、二つお金を出しているんですよ。少なくとも、私たちが言うまでは特定財源だったガソリン税と、そして高速道路使用料と、二重に払っているんですよ。そして、ガソリン税については高速道路の建設には一円も充てられなかったんですよ、従来は。

 つまり、二重取りをされているんですよ。二重取りをされている人に対して、少なくとも、高速道路をガソリン税で一円もそれに充てていない人に対して、私たちは、先ほど申し上げたように、いろいろな考え方はありますけれども、ある段階で償還が終わったら無料にしようというのがもともとの考え方であったことも含めて、ある基準のもとで無料化して、それを使った方が日本経済をマクロ的に見たときに効果があるという考え方に基づいて提案したのであって、少なくとも、使っていない人の税金を使ったという、そういう間違った認識は改めてもらわなければなりません。

棚橋委員 答弁してください、できないのはわかりますけれども。(発言する者あり)していない。使っていない人の税金を使っています。

 その上で、今、菅さんは、マクロ経済から見たときに高速道路無料化の方が経済の活性化、効果があると言いましたが、では、乗数効果的にはどうなるんですか。

菅国務大臣 私も、おかげで乗数効果ということについて大分勉強させていただきました。

 今の棚橋さんの質問が普通の意味の乗数効果ということでいえば、建築をしたときに、その翌年なり翌々年なり、せいぜい三年ぐらいのGDPに対する……(棚橋委員「質問に答えてください」と呼ぶ)答えていますよ。今あなたが聞いたんじゃないですか。そういうことに対する効果であって、例えば、私が高校時代に東京―大阪の新幹線ができましたが、四千億円でした。しかし、それがもたらした経済効果、生産性を向上させた効果は乗数効果といったようなものでははかれない、もっと大きな長い目の効果があったわけであります。

 そういう意味で、今言われましたその乗数効果というのを、本州―四国の橋の効果ということであれば、それは、当時であればそれが一であったのか、一・五であったのか、二であったのか、その当時のデータを調べたらわかりますけれども、少なくとも、使わなければ単なる建設の乗数効果だけであって、東京―大阪の新幹線が大きな経済効果を生んだのとは全く違うということ。

 ですから私は、この間、第一の道の失敗について申し上げているのは、そういう古い考え方は今は通用しない第一の道だということで申し上げているんです。

棚橋委員 残念なことに、乗数効果について勉強なさっていないということがわかっただけでした。そういう古いはぐらかし答弁は、もうこの国会では通用しないということを申し上げます。

 もう少し申し上げます。

 子ども手当二万六千円、これは現金支給で実現するんですか。

菅国務大臣 私が全部答えさせていただいていいのかどうかあれですけれども、少なくとも、マニフェストの中で二万六千円というものを子ども手当にしたいということで、初年度一万三千円についていろいろな工夫の中で実行し、法律も通していただきました。近くは支給が始まるものと思っております。

 二年度以降について、できるだけマニフェストに沿って実現をしたいとは考えておりますけれども、党の方あるいは内閣の方でも議論が出ておりまして、その議論の中には、野党の皆さんからも、必ずしも現金給付だけにこだわらないで、実物給付を取り入れた方がいいのではないかといったような議論もあって、現在、党と内閣の中で議論を進めていただいている、このような状況にあります。

棚橋委員 できるだけでいいんですか。マニフェストで出すと約束してあるじゃないですか、書いてあるじゃないですか。

 私は、この子ども手当というのは制度的に致命的な欠陥があると思いますよ。外国に住む外国人の子供、ここにはお金は出る。日本に住んでいる、海外に保護者が単身赴任している御家庭にはお金が出ないという、子供に着目したものではなくて、七月の参議院選挙の前に、六月までにお金をばらまいて選挙対策をやりたいというのが見え見えな、致命的な制度欠陥があると思いますが、少なくとも、あなた方は約束したんじゃないですか。できるだけでいいんですか。

菅国務大臣 私もこの国会にいて野党の方がかなり長いわけでありますので、そのときそのときの政権が言われていることが、いや、約束はしたけれども大したことはないと言って居直られた総理大臣もありました。だから、それで済むとは申し上げておりません。それで済むとは……(発言する者あり)

今村委員長 静粛に、静粛に願います。

菅国務大臣 それで済むとは思っておりませんが、しかし、よりいい方向で変えるという可能性を初めから一切否定する必要は、私は、国民のために、全くありません。

 まして、財政を含めて少なくとも大きな変化が今起きているわけですよ。ギリシャの問題も含めた大きな変化が起きているわけですよ。そういう中において、これからの日本をどうするかということを考えながら、同時に、約束をしたことはまさにできる限り約束を守る方向で努力したいということを申し上げているわけで、私はそのことがおかしいとは全く思いません。

棚橋委員 では、これから参議院選挙も、まず民主党のマニフェストは、できる限り頑張りますというのを最初に入れてください。

 大体、今ギリシャの話がありましたが……(発言する者あり)

今村委員長 静粛に願います。

棚橋委員 公債発行残高、国の借金が税収よりも多いような予算を組んだのは鳩山内閣じゃないですか。この内閣でこの借金はどうやって返していくんですか。詳細に通告をしてありますので、どのようにしてプライマリーバランスを黒字に持っていくのか。

 子ども手当に関しても、要は、財政の財源を何にも考えずに去年約束したから、今みたいに急に日本のためにとか白々しいことを言うわけであって、本当はあのとき財源を考えていなかったんでしょう。どうやってプライマリーを黒字にするんですか。詳細に質問をしてありますので、お答えください。

菅国務大臣 大変いい御質問をいただいて、ありがたいと思っております。

 今年度で新規の国債発行は四十四兆三千億でありました。一年前には、さきの内閣の税収の見通しが大きく誤っておりまして、その穴埋めを含めて五十三兆円の国債発行額になりました。私たちが政権を担当した時点では既に一次補正が出ておりましたから、四十四兆余りの国債発行額に加えて、税収が九兆下がったものですから、五十三兆円になったことは御存じのとおりです。

 いろいろな数字がありますが、八百兆前後の公債残高のうち、相当部分は、少なくともこれまでの、つまり民主党政権以前の政権の段階でそういうものが積み上がったということは、これはだれも否定できないわけでありまして、それを含めて、これから、六月の中期財政フレームあるいは財政運営戦略を仙谷大臣のもとの戦略室を中心に打ち出して、この財政再建の方向性を国民の皆さんにしっかりお示しするということで、現在作業が進んでいるということであります。

 少なくとも、質問をされる以上は、自分たちの時代に生み出した借金も含めてのプライマリーバランスでありますから、四十四兆三千億だけのプライマリーバランスではないわけですから、それは単年度のGDP比はかなり大きいですけれども、そういうことを考えて御質問をいただきたいと思います。

棚橋委員 まず、菅大臣に質問に答えるようにきちんと言ってください。全部はぐらかしです。

 それから、一つ言っておきますが、あなたも厚生大臣をやっているんですよ。あなたも政府側に入った経験があるんですよ。その部分もきちんと覚えておいてください。

 今、公債発行残高、八百兆前後と言いましたが、公債発行残高、八百兆前後ですか。八百何兆ですか、兆の単位でいいですから、教えてください。公債発行残高とおっしゃいました。

菅国務大臣 二〇一〇年度末の現在の予想といいましょうか、今年度末の、当初予算の結果でいうこの年度末を考えますと、国だけで六百六十三兆円、そして国と地方の合計が八百六十二兆円程度ということで、八百兆単位のことであることはそう間違っていないと思いますが、違いますか。

棚橋委員 全然違います。公債発行残高が六百兆円台なのと、政府短期証券の債務も含めた八百八十三兆の借金がある、この違いもわからないであなたは言っているんですよ。だから、あなたみたいな財務大臣のもとでは、皆、経済あるいはこの国の運営が不安だから、将来に向けて設備投資や人を雇おうとしない、だから景気がよくならないんです。

 では、あなたが約束している、GDP名目三%、実質二%よくなるということですが、その具体的な根拠、内需がどれだけ上がり、外需がどれだけ上がり、設備投資がどれだけ押し上げ効果があるのか、これも詳細に質問していますので、あなたが挙げた数字ですから、お答えください。

菅国務大臣 政府短期証券とかいろいろ確かにあって、その辺のことはよく知っています。しかし、その部分について言えば、約百兆円の外貨が一方であるわけでありますから、少なくとも百兆規模の政府の証券が発行されていて借金があっても、それにほぼ相当する百兆円分の、一兆ドルの外貨があるわけでありますから、そういうものについてどういう計算をするか、いろいろな計算の仕方があります。ですから、今申し上げた、国及び地方の長期債務残高について申し上げた数字は決して間違ってはおりません。

 それから、先ほど話のあった三%の名目成長、二%の実質成長というのは、昨年の十二月の三十日に新成長戦略の基本方針という中で打ち出した数字だと思います。確かに、私が責任者で、まとめていただいたものであります。

 しかし、これは、いろいろな、もちろん六項目にわたる分野を想定して、この程度の新たな雇用や、この程度の新たないわば財政的な効果を積算といいましょうか、ある程度合算しておりますけれども、基本的には目標値という位置づけで提起をいたしました。そして、これについても、今、国家戦略室を中心に肉づけをお願いして、同じく六月中には新成長戦略の肉づけしたものをより詳しい形で、あるいはいろいろな考え方をより明確にした形でお示ししたい、このように考えております。

棚橋委員 答えがありません。目標値であるということ自体も驚くべきことですが、事前に私は通告しているんですよ。では、その目標値の二%、三%のうち、外需がどれだけ押し上げ、内需がどれだけ拡大し、設備投資はどうなんですかと具体的に質問しています。目標値の中で、当然のことながら数字を積み上げているんでしょう。

 お答えください。答弁になっていません。

菅国務大臣 目標値と言ったのは、私が今この場で言ったのではなくて、もともとの文書をお読みになっていればそう書いてあるということを申し上げているんですよ。決して私が、そのときには見通しがこうなると言っているのを、今になって、見通しじゃありません、目標値ですと言っているのではないんです。

 それから、積み上げというのも部分的にはいろいろあります。ただ、率直に申し上げて、九月十六日に新しい政権ができて、そして十二月の三十日、それも遅い遅いと皆さん方に言われましたが、九月ですから、十月、十一月、十二月、三カ月余りの間に二次補正とそして今年度の予算案を確定し、それに加えて、この成長戦略の基本方針をまとめ上げました。ですから、そういった基本方針ということを言っているのもそういう位置づけで、それについての肉づけは六月にはしっかり出しますので、ぜひ期待をしてお待ちをいただきたいと思います。

棚橋委員 期待できません。答えがないじゃないですか。私、通告しているんです。二%、三%の根拠はと。輸出がどれだけ伸び、外需がどれだけ引っ張り、内需がどれだけ押し上げ、設備投資がどれだけふえるんですか。目標値なら目標値で、いいかげんな数字を言ったんですか。菅さんがかつて民主党代表だったときに、東証で、民主党政権になれば株価が二倍か三倍になると言ったと私は予算委員会で聞いたら、そんなことは覚えていないと言いましたが、そういうスタンスで二%、三%と言っているんですか。

 もう一度答えてください。質問通告しています。

 菅財務大臣にお伺いします。外需がどれだけ押し上げ、内需がどれだけ押し上げ、設備投資がどうなるか。

 菅さんに聞いております。お願いいたします。

仙谷国務大臣 成長戦略を今担当しております仙谷でございますが、私の方からちょっと棚橋先生にお答えをいたしたいと存じます。

 成長戦略で、目標として名目三%、二%というふうに書いてありますのは、二〇一〇年から二〇年までの十年間の平均の成長率の目標値というふうに書いてあるんですね。

 何か棚橋先生がおっしゃるものだったら、十年間の外需が幾ら積み上がって、内需が幾ら積み上がってというふうなことを書け、あるいはそういうことを内訳を申し述べよ、こういうお話のようでありますが、それは幾ら何でも、自民党時代でも、マクロ経済の目標値あるいは見通し、機械的計算といろいろございましたけれども、そういうことは、マクロ経済的な考え方としては、やはりこれには、もしそんなことを要求されるとすれば無理があるのではないか。

 現に、麻生政権時代、その前の政権時代に行われた展望とか、あるいは中長期の道行きを考えるための機械的計算で書かれておったものが、昨年度、二〇〇九年度の名目、実質成長率として、どういうものとしてあらわれてきたのか。リーマン・ショックがどうのこうのというふうに言われるかもわかりませんが、これは惨たんたる見込み違い。あるいは、目標を立てようが、上下一〇%も違うような成長率になってきて、何が機械的な成長なんだ、何が急回復シナリオなんだということになる話ではないかと思っておりまして、そこは我々は、目標値としては平均三%、二%を着実に実施していくための政策をとるけれども、しかし、それは逐次見直しとか、改めてここから再構築するよというふうな話が出てくるのが政治であり政策展開ではないか、こういうふうに私は考えております。

棚橋委員 残念ながら、菅大臣からは答弁がなかったし、今、仙谷大臣のおっしゃったことを要約すると、要は二%、三%というのは適当につくった数字なんだからわからないということですね。わかりました。

 以上で質問を終わります。

今村委員長 次に、柴山昌彦君。

柴山委員 自由民主党、ネクスト・ジャパン無駄撲滅副担当の柴山昌彦です。

 菅大臣にお伺いします。

 私は、ことし一月二十一日に、予算委員会で、民主党の議員の方々が壮絶なやじを飛ばす中、プライマリーバランスについてお伺いしました。あのとき大臣は、プライマリーバランスを軽視するわけではないが、歳出の中身あるいは成長戦略、そういうものを組み立てる中から、ことしの五月、六月には中期財政フレームを出していただくことになっているので、その中で財政再建の道筋も打ち出していきたい、そう答弁されました。間違いありませんね。

菅国務大臣 先ほどの御質疑でも申し上げましたように、現在、中期財政フレーム、さらには財政運営戦略を仙谷大臣のもとの国家戦略室を中心に六月を目途に取りまとめを進めていただいている、このように承知しております。

柴山委員 答弁は簡潔にお願いします。

 複数の報道で、四月二十八日に財務省が民主党に示した試算によりますと、仮に社会保障費などを抑制して名目成長率が二・七%まで回復しても、民主党のマニフェストを実行すれば、二〇一三年度の歳出と歳入の差額は実に今年度の四十四兆円から五十八・四兆円にまで拡大するとのことですが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 この四月二十八日に、そういう報道があったことは、私も、質問がありましたので調べてみて承知をしておりますが、財務省がそうした試算を民主党に提示したという報道は間違いです。

 そうではなくて、このメンバーの中の方が、一部は確かに財務省の、皆さんにもお示ししている後年度負担といいましょうか、そういうものも含めた資料を出されたということで、それを報道の方が財務省が出したものというふうに間違って報道されたということです。

柴山委員 いずれにせよ、根拠のない数字ではないわけですから、大幅な増税なくしてマニフェストを完全実施することが不可能であるということは今や明らかであると考えます。

 そのような中で、菅大臣あるいは枝野大臣、お二人のマニフェストの変更についてのお考えを改めてお聞かせください。特に枝野大臣は、さいたま市の講演の中でマニフェストの見直しについて言及されたとのことですが、事実関係も含めてお答えください。まず、菅大臣。

今村委員長 もう一回言ってください。菅大臣ですか。

柴山委員 マニフェストの変更についてお答えください。まず菅大臣、そして報道がありました枝野大臣、どうぞ。

菅国務大臣 先ほど来申し上げていますように、マニフェストについて、今年度の予算の中で、少なくとも初年度分について、子ども手当等実行できたものと、それから一部実行できないものがありました。

 そして今、来年度に向けて党と内閣の方でもさらに議論をしておりまして、先ほど来申し上げていますように、マニフェストについてはできる限り実行するということと同時に、この日本の財政、経済が、持続可能な形で、ギリシャのようなことにならないようにやっていくにはどうすべきか、こういうことも当然ながらあわせて考えていかなければならない、このように思っております。

枝野国務大臣 私は、政権交代前から一貫して、マニフェストはきちっと守るべきであるというマニフェスト原理主義の立場に立っております。ただし、その大前提は、客観情勢が変更ない限りはマニフェストは約束どおりやらなければいけない、これがマニフェストを軸にした政権交代選挙の基本的な位置づけである、その考え方は全く変わっておりません。

 ただし、前提となっている状況が変わっているとき、四年間ある間には、社会状況、経済状況、いろいろなものが変化をいたします、それに対応することも政治の一つの重要な役割だというふうに思っております。

 特に、財政問題との兼ね合いでいえば、前政権の経済運営の失敗によって法人税収が当初の想定よりも約九兆円落ち込んでいる、このことがプライマリーバランスの問題を初めとして日本の財政状況に想定外の大きな悪影響を与えている、このことをしっかりと考慮に入れて、マニフェストを最大限守っていくことをやっていくということだと思っています。

柴山委員 状況の変化により、急激な税収の落ち込み、先ほど五十嵐議員も御質問されていたようですけれども、そういう御指摘がありました。

 ところが、リーマン・ショックの前、民主党の前原誠司元副代表は、前回の参議院選公約で掲げた農家の戸別所得補償制度や、先ほどお話が出ました暫定税率の廃止などの実行について中央公論にこう書いています。繰り返します。リーマン・ショックの前です。

 行革だけによる捻出は絶対無理だ。参院選のマニフェストをまとめるとき、当時の政策責任者の間では財源の根拠が希薄だとの難色が示されたと聞いているが、最後は小沢さんのえいやだったと、小沢さんの責任を指摘しています。また、民主党が最もしてはいけないのは、国民に耳当たりのいいことばかり言って仮に政権をとったときにやっぱりできませんとなること、すぐに自民党に政権が返る、最悪だと述べておられるんです。

 藤井財務大臣に至っては、だめだったらごめんなさいと言えばいい、そういうふうにおっしゃっているではありませんか。

 マニフェストを変更するのであれば、昨年の総選挙が平成の一大詐欺選挙だったと率直に認めた上で、前のマニフェストで多数を得た衆議院を解散して民意を問うべきだと指摘をさせていただきたいと思います。

 菅大臣は御退室いただいて結構です。

 続きの質問に行かせていただきます。(発言する者あり)

今村委員長 御静粛に願います。

柴山委員 枝野大臣にお伺いします。

 四月の独立行政法人を対象とした事業仕分けで、国庫返納額が一兆円を超えました。大臣は、二〇一一年度予算に向けてかなり大きな資金を確保できた、あるいはこういうことを続けていけば無駄はなくなると御満悦のようですけれども、一兆円というのはストックでありますから、一回だけの効果であります。ですので、先ほど申し上げたような経常的な歳入歳出のバランスの回復に役立つものではありません。

 年間の歳出削減額はわずか六百億円にとどまり、これは先ほど申し上げた五十八・四兆円のギャップのわずか一千分の一ですよ。一万円の赤字をなくそうというときに十円無駄をなくしたからといってそうそう満足もしておられないと思うんですけれども、大臣は本当にこの事業仕分けという手法で税金の無駄遣いを撲滅できるとお思いなんでしょうか。

枝野国務大臣 私は一度も、事業仕分けだけで無駄を撲滅できるなどという趣旨のことを申し上げたことはございません。それから、先ほどの、前原現大臣の過去の論文での引用をされておりましたが、行政改革だけで、フローの九兆円の、マニフェストで約束をした財源を出すなどということは一度も申し上げたことはございません。

 無駄を撲滅する。無駄を撲滅するというのは不断にやっていかなきゃならないことであって、たとえプライマリーバランスが確保されたとしても、無駄の撲滅のことは不断にやり続けなければならない。そのための一つの有力な手段として事業仕分けは大事であるというふうに思っております。

 と同時に、財源をしっかりと確保するためには、事業仕分けなどで行っている狭い意味での無駄の撲滅と、そして政策の優先順位をつけて、無駄とは言えないかもしれないけれども、優先順位の低い事業はあきらめていただくということを含めて、四年後に九兆円のフローの財源を出す、そこに向けて一歩一歩着実に進んでいるというふうに思っております。

柴山委員 そういう手法でいいかどうかは後ほどお伺いしますけれども……(発言する者あり)いや、後ほどお伺いします。

 そもそも、今回の事業仕分け第二弾で提言された事業の見直しなどはきちんと守られるんでしょうか。

枝野国務大臣 これは、第一弾のときもそうでしたけれども、今回も、今回の事業仕分けにおける結論が最終決定だとは申し上げておりません。

 しかしながら、第一弾についても、大方は、特にすぐに実行できるものについては本年度予算の予算案策定に生かされているというふうに思っておりますし、この後、実際に予算の執行がなされ始めている中で、昨年の事業仕分けの指摘がどういうふうになっているのかということをフォローアップして、そこで不十分なものについてはさらに改善を求めていくつもりでおりますし、あるいは、昨年の事業仕分けで指摘をされたことについて、二年後、三年後に実行できるという部分もございます。

 今回の事業仕分けについては、そこで出された、先ほど御指摘いただいた一兆円余りの埋蔵金の話については、これは来年度予算に反映できるというふうに思っておりますが、組織、制度を変えるということを通じて、独立行政法人制度やその組織が持っている無駄を生み出しやすい構造を変えていくということを主たる目的としておりまして、最終的にどういう組織形態にすることが、事業仕分けでの指摘を踏まえた対応として適切であるかということをしっかりとこれから組み立ててまいります。

 もちろん、個別に申し上げれば、廃止と言ったものがどういう形で改革をされるかということについて、すべてが全く同じということにはならないとは思っていますけれども、前回同様、おおむねその趣旨は生かされた結論になるというふうに認識をしております。

柴山委員 大臣、あれだけ公開の場で結論づけたのに、いざ予算が提出されたら、さしたる情報公開もなく、それがないがしろになる可能性があるというのは、これはいかにも国民としてはおかしいと感じるということだけは指摘をさせていただきたいと思います。

 また、世界第二位でなぜ悪いとの発言が物議を醸した次世代スーパーコンピューター開発のように、世論が大きく仕分けの結果に反発したり、ノーベル賞学者のように著名な応援団がいたりする事業については風見鶏のように方針を見直し、声なき声で反対する者がいる場合にはそのまま平気で予算を切り捨てるというようなことでは、削りやすいところから予算を削っていると前の政権を批判する資格はありませんから、そのことだけはぜひ申し上げたいというように思っております。

 次の質問に移らせていただきます。

 独立行政法人評価委員会という仕組みがあります。これは、独法通則法に定められている民間の方を入れる形で事業の見直しをする、そういう仕組みで、既存の仕組みとしてビルトインされているわけなんです。この機能を強化すれば、事業仕分けにかわるものとはならないんですか。

枝野国務大臣 まず申し上げておきたいと思いますが、例えばスーパーコンピューターについて、事業仕分けの指摘を声が大きい声に基づいて変えたという事実は全くございません。

 もともと事業仕分けの結論も、現在の、あの時点で世界一速いコンピューターを当初の予定どおり、途中でいろいろな状況の変更があったにもかかわらずただ続けているということに対しては、廃止を含めた抜本的な見直しが必要だという指摘はいたしました。それを踏まえて、しっかりとその事業の目的、趣旨を整理し直して、位置づけをし直して、その上で予算要求をしていただいているというふうに認識をしておりまして、仕分けの趣旨に基づいた結論になっているということをまず御理解いただきたいというふうに思っております。

 それから、今御指摘のところでございますが、現在のビルトインされている評価の仕組みというものが機能しているのであれば、自民党政権からの独立行政法人における無駄はなかったはずでありますが、現実にそうではない。つまり、今の仕組みだけでは必ずしも機能していないということは、現実に先日の事業仕分けでもいろいろな問題点が指摘をされて、廃止とか縮減とかという結論も幾つも出ているということで証明をされているというふうに思っています。(柴山委員「だから強化すればいいんじゃないですか」と呼ぶ)

 強化をするという仕組みの改革についても、どういう仕組みが本当の意味での強化になるのかということを含めて、今回の事業仕分けの結果を踏まえた上で。この事業仕分けは、先ほど申しましたとおり、恒常的にこういった形で無駄に対応していくということが必要だというふうに思っておりますが、独立行政法人をターゲットにした事業仕分けをまた来年も再来年もやるという意味ではございませんで、今回、独立行政法人の評価の強化なども含めた制度のあり方を抜本的に見直す入り口として独立行政法人の事業仕分けを行ったものであります。

 その結果として、現在までの評価システムが必ずしも有効に生きていない部分があるという現実の結果が出ていますので、そのことを踏まえて、組織のあり方や、それから評価、チェックのあり方も含めて、この結果に基づいて対応していくということでございまして、やったからこそ、その問題点がより明るみになっているんだというふうに思っています。

柴山委員 事業仕分けの効用を盛んに主張しておられますけれども、既にこの国会が、政治家が入って、あるいは外部の人にも時には参考人という形で来ていただいて、予算や決算をチェックすることになっているわけですよ。

 この決算行政監視委員会がまず、無駄の撲滅ということについて、既に議事録もオープンにするような形で仕分けをする機会になっているわけですから、ここの質疑の仕方や報道の仕方を変えたりして、国民が関心を持てるように考えていただきたい、そのことを私は申し上げたいと思います。決算行政監視委員会がこれからもっと開かれたオープンなものに、そして実質的な実のあるものになるように、ぜひ与野党の壁を越えて、ちょっとこれは私の意見ですので、要望ですので申し上げたいと思います。

 続きまして、次の質問に行きたいと思います。

 枝野大臣は、二十八日実施された事業仕分けで、大学病院などに資金を貸し付ける国立大学財務・経営センター、これについて議論をされましたけれども、八事業のうち七事業が廃止と判定され、残る一つの東京連絡所の運営も別法人と統合を求められました。

 これは事実上、センターの廃止という結論だと私は思いますけれども、元三重大学長の豊田長康理事長は、そもそも民主党政権における公募で選考されて、この四月に就任したばかりなんです。仕分け後に、大学と病院の役に立つことが地域住民のためと張り切っていたのに大変残念だ、過去のことが話題になって、私のプランニングは仕分けの作業の中で話題にならなかったと嘆いておられました。こんなことになるんだったら、なぜわざわざ選考のための金と時間を使ったんですか。

枝野国務大臣 先ほどの御要望については、私も過去にこの委員会の委員長をさせていただいておりますが、行政府に対して要望される趣旨ではないのかなというふうに認識をいたしております。国会の中で委員会の運営のあり方等については御議論をいただければ、行政府としてはそれにきちっと協力というか対応させていただくということを申し上げたいというふうに思っております。

 今の御指摘でございますが、まず一つは、御指摘のとおり、公募によって新しい理事長が四月一日付で任命されました。これは、従来の官僚天下りポストというものが問題であるということから、公募というシステムによって、より透明性の高い形で独法の役員を選んでいくという方針に基づいているものであります。

 そして、当該法人が廃止になるかどうかというのは、四月一日の段階でも別に廃止という議論が出ていたわけでもありませんし、当然のことながら、内閣として決められたルールに基づいて、これは文部科学省で公募されたというふうに理解をしております。

 さらに加えて申し上げますと、事実上の廃止ということをおっしゃられましたが、当該法人の事業仕分けの公表を既にされていると思いますけれども、評価の結論のところを申し上げますと、例えば、一番主たる業務だと思いますが、貸付事業でございますが、評価者からは、各国立大学の自立が重要であり、独自にファイナンスする方式にできるだけ早く改めるべき、基本的に民間金融機関で対応できるよう国としてもバックアップすべき等というコメントなのに基づいて、当該事業は廃止、ファイナンスに関し、各大学の自立を促進と結論をいたしております。

 今の読み上げましたコメントでもおわかりのとおり、現状で直ちに廃止をしたら各国立大学病院のファイナンスについては十分に機能しないということも議論の中で十分に出た上でこういった結論を出しているのでありまして、仮に廃止をするとしても、それにかわってしっかりと各大学病院がファイナンスできるための仕組みづくりということに一定の時間とエネルギーをかけなければならない。

 なおかつ、先ほど申しましたとおり、この事業仕分けは、すべて一〇〇%同じことをやるかどうかということではありません。最終決定ではございません。これから、独法の新しく公募で選ばれた理事長さん等の御意見を聞きながら、主体的には文部科学省を中心にして、この仕分け結果を踏まえて、それぞれの事業のあり方、そして組織のあり方について、最終的な結論が時間をかけて導かれます。

 ちなみに申しますと、前政権において独立行政法人、特殊法人の改革等をした場合にも、組織そのものが変わるまでには、議論を始めてから五年ほどかかっています。私どもは、四年間の任期のうちに、組織改革も含めた独立行政法人の改革を前政権よりもスピードアップして行おうと思っております。

柴山委員 ただ、一たん理事長は前職を退職しているんですよ。要するに、民主党のこの間のプロセスとしては、極めて見通しが甘かったと私は言わざるを得ません。

 最後に、時間もなくなりましたのでお伺いさせていただきます。

 枝野大臣は、四月二十日に国立大学財務・経営センターの東京事務所を視察された上でいろいろと批判をされていますけれども、あなたがいらっしゃる内閣府の行政刷新会議の事務局の利用形態も、かなり問題があると言わざるを得ません。

 私は、自民党の無駄撲滅プロジェクトチーム事務局長の平将明議員とともに、四月二十三日にこの事務局を見に行かせていただきました。百二十度の角度がついたブーメラン形の変わった机が、三台の頂点を合わせてつけて、Yの字のようにしてずらっと並んでいるんですよ。そして、その価格は、いすとのセットで十六万六千二百十五円。そして、隣の国家戦略室の分も含めて、計八十二セット、千三百六十二万九千六百三十円で購入した、こういう報道がありました。

 これは、普通の机で余っているものも探せば、こんなにかからなかったんじゃないんですか。レイアウトについて、一体どういう検討が行われていたんでしょうか。

古川副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 柴山議員も外務政務官をやられて、役所の中のオフィスの状況がどうなっているかは御存じだと思いますが、極めて旧来型で、こうした官僚的な、今までの行政の硬直的な発想というものからすると、今、民間企業にお勤めになっていたわけでありますから、柴山議員もよく民間企業などのオフィスなんかもわかっていると思いますが、やはり時代に合わせて変わっていっているわけであります。

 そういう意味では、今回、新政権のもとで発足した国家戦略室、そして行政刷新会議、いずれも、従来の行政のそうした発想を超えた新しい発想のもとで、今までの行政というものを刷新し、そしてまた大きな戦略を立てていこう、そういった意味では、オフィスの形というものも変えていく必要があるだろうと。

 ですから、もともと机やいすがストックとして十分な数がありませんでしたから、新規に購入をしなければいけない、そういう状況にありました。そういう意味で、新しいいすや机等を購入するに当たって、これまでの行政で使っていた同じものじゃなくて、新しいコンセプトに合った形、そうしたものを私どもとしては導入していく。

 そういった意味で、これまで、通常、役所におきましては、役職に応じて机、いすの規格が異なって、皆さん御存じのように、役職が上になると窓際にいて大きな机や大きないすに座っている、そういうものを一切やめて、上級職員も一般職員も同じ規格で、別に上の者が窓際に座るとかそういう差をなくしました。フラットにした。隣に座っている高木議員なんか、そうすべきだなというふうに思っていらっしゃるような顔をしていらっしゃいますけれども……(発言する者あり)

今村委員長 答弁は簡潔にお願いします。

古川副大臣 また、通常、審議官以上の職員の場合には個室が割り振られているわけでありますが、この国家戦略室、行政刷新会議の場合には、そういう個室もなくして、みんなが同じ部屋で、みんなが同じ机で、そして同じいすでやる。そういうことによりまして、トータルとしては、通常の行政組織、これまでよりもコストも削減できる、そういう形でのオフィスのデザインを、そして新しい形をつくらせていただいたということでございます。

柴山委員 時間がないので、その当否についてはまた別の機会で議論させていただきます。

 最後に、福島大臣がいらっしゃっていますので、短く一問だけお伺いしたいと思います。

 きょうお配りした、これは消費者委員会の事務局の山王パークタワーにおけるオフィスなんですね。これは、実は、消費者委員会の運営経費に二億八千八百万円、トータルで計上されているんですけれども、実にその三分の一以上の一億八百万円が、この山王パークタワーの借り賃で吹き飛んでいるんです。

 それで、このレイアウトを見て、一体何人の方でこのスペースを使っているのか、それについてだけ、短く最後に御答弁ください。

福島国務大臣 御質問、本当にありがとうございます。

 事務局の数を消費者委員会の機能強化のためにふやしまして、十六名から、現在、二十三名の事務局、それから消費者委員でやっております。

 御質問、本当にありがとうございます。

 自民党時代に、この山王パークタワー、八億円で賃貸借契約をいたしました。私が消費者担当大臣になり、その金額はやはり余りに高く、引っ越しも含め検討をいたしました。しかし、引っ越しをするとなると、二カ月間ぐらいLANの中止だとか、また、引っ越し費用、もう一回改装費用、お金がかかり、あらゆる計算をして、もう一回やり直しました。

 まず、賃料を減額してもらうということで、当時、合わせて八億三百万円だった年間賃料を、一億五千三百万円減額をしていただきました。四階入居面積のすべて及び五階入居面積の一部を返上いたしました。消費者委員会におきましても、これは、一億三千百万円だったのを一億五百万円、二千六百万円減額をいたしました。柴山先生も私も弁護士ですが、交渉をして、これだけ、やはり国民の皆さんの税金を本当に有効に使うということのために、一部返上した上で、一億五千三百万円減額。おっしゃった消費者委員会も、二千六百万円減額をしました。

 消費者委員会は重要な機能を持っており、野党の議員からも機能強化をすべきだと言われています。ですから、これは大事に使い、機能強化もし、そして、賃料の点についても、これ以上安くはなかなかならないかもしれませんが、返上した上で使っているということを申し上げます。

柴山委員 違うんですね。野田大臣のときには、いわゆるコンニャクゼリー問題ですとか、あるいはシンドラーエレベータ事件ですとか、消費者被害が非常に続出している中で、この消費者委員会というものを非常に大きな形で推進していかなければいけないという時代的な背景があったんです。

 それで結局、今大臣がおっしゃったように、こういうようなことで見直しということを行っていただくのは結構ですけれども、それでもなおかつ、今の、二十人に比べて八百二十二平米というのは私はいかにも過大だと思いますし、委員十名のところを二百四十平米です。

 これについて、もし自民党がそのままでいいというんだったら、政権交代する必要はないわけなんですよ。だから、しっかりと無駄の撲滅ということをやらないのであれば、しっかりと、できないというふうにおっしゃってください。

 質問を終わります。

今村委員長 福島消費者及び食品安全担当大臣、簡潔にお願いします。

福島国務大臣 消費者基本法をつくり、国民の皆さんからも消費者委員会の機能強化が大変言われております。これは、与野党問わず、国会の中でも特別委員会で言われております。

 スペースを有効に活用し、実際、一億何千万と減額をしましたけれども、それに見合うものをきちっとやってまいります。

今村委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 きょうは、枝野行政刷新担当大臣と、国交省から馬淵副大臣に来ていただきまして、先日行われました事業仕分けについて、特に都市再生機構、URの、中でも賃貸住宅事業の問題について質問させていただきたいと思います。

 まず、枝野さんの方にお伺いしたいのは、先日、事業仕分けで決定をいたしましたこの賃貸住宅事業の結論、それをちょっとお伺いしたいと思うんですが。

枝野国務大臣 結論として取りまとめた発言を丁寧に読み上げさせていただきます。

 賃貸住宅事業に関しては、事業自体を廃止して民間にゆだねるというのがお一人、事業の実施は各自治体、民間の判断に任せるという方がお二人、残り全員十人が、当該法人が実施し、事業規模は縮減という形になっております。

 ただ、この当該法人というのは、URを積極的に指しているものではなくて、全員のコメントで恐らく共通している意見が、高齢者・低所得者住宅供用といった政策目的の部分、市場家賃部分は切り分ける、その上で、政策目的については自治体あるいは国で、市場家賃部分は民営化、民間に売却、段階的に民間にシフトをしていくべきという、全員の意見がこれに集約されていました。その方向で整理をしていただければというのが結果であります。

高木(陽)委員 事業仕分けについては、私ども、これはすごく評価しているんですね。というよりは、二〇〇五年の衆議院選のマニフェストで、事業仕分けという言葉を使ってマニフェストに掲げたのは公明党だけなんです。その後、連立政権でしたから、行革推進法のときに、この事業仕分けという概念をその法律に盛り込みました。ただ、それが実現するところまではいかないで中途半端な形に終わったということで、政権交代が行われまして、今の政権がこの事業仕分けをしっかりやろうと。これはしっかり評価したいと思うんです。

 特にこのURの問題については、天下りの問題、そしてまた随意契約の問題等々も指摘をされましたけれども、こういったものは変えていかなければいけないと思います。

 ただ、きょう話題といたしますこの賃貸住宅の問題、これはかなり今生活している方がいらっしゃるという現実問題としてどうしていくか。今、大臣の方から御答弁いただきました、高齢者・低所得者向け住宅供給は自治体または国に移行し、市場家賃部分は民間に移行する方向で整理するという一つの結論がある中で、仕分け人の方々は、廃止が一名で、今申し上げたような判断をしたのは二名、当該法人が十名、ただ、その当該法人というのも、今お話のあったように内容がいろいろとある。

 まず一つ指摘をしておきたいのは、民主党政権の一つの売りは公開性、透明性だと思うんですね。事業仕分けというのは、ネットでも公開をされて多くの人たちがごらんになられた。あそこでのやりとりはみんな見ているんですけれども、その後の、だれがこういう判断を下したのか、その仕分け人の方が。マルをつけたのはだれか、バツをつけたのはだれか、そして、そこでどういう判断になったのかもすべて公開すべきだと思うんですね。

 もちろん、いろいろな判断もあると思うんです。私が資料として持っているというか公開されている、廃止が一名、または当該法人実施が十名だけ、こういうようなものを見て、何でこういう判断になるんだろうと素朴な疑問を持つわけですね。今、大臣が説明をしてくれるからわかるわけです。でも、特にこの賃貸事業は、多くの人たちが今住んでいる、すごく不安を持っているんです。そういう方々の、なぜそういう結論になるんだろう、こういった不安に対してやはりすべて全面公開する。

 これから公益法人の問題も第二弾、第二弾というか、公益法人問題もやられるというふうに伺っていますし、この事業仕分けの問題をいろいろやるに当たって、そういう細部まで公開していく、こういう姿勢についてどうでしょうか。

枝野国務大臣 今御指摘のとおり、公開性、透明性、しっかりと高めることが必要だというふうに思っております。

 これは民間の方と国会議員とございまして、民間の方については、記名ではありますけれども、そこは例えば将来、情報公開の対象になるのかというようなことを情報公開部局とも相談、確認しているんですが、情報公開法の趣旨からすれば、名前は出さなくてもいいのが現在の情報公開法の趣旨であるというようなこともございます。

 ただ、書いていただいたコメントをすべて一覧にして、それは現時点でもインターネット上を含めて公開をしています。これを冊子にしてまとめてお配りをするということの準備も進めておりまして、全体としての議論のやりとりと、そして、それぞれの評価者の書いていただいた具体的な評価コメントを総合的に取りまとめ役が判断をして先ほどのような評価になっておりまして、この各評価者のコメントの欄を、一人一人の分、だれがどう書いたかは書いてありませんが、全部載せております。

 それを見ていただければ、先ほどの取りまとめが、私自身はこの仕分け自体に参加しておりませんでしたが、なるほどなというふうに私自身は理解、納得しておりますので、これをできるだけ見ていただけるようにしていきたいと思っております。

高木(陽)委員 やり方の問題についてはいろいろとあると思うんですが、例えば地方自治体でやっている事業仕分けは、その場で手を挙げてもらったりだとかそういう形にして、本当に見えている。国だからこそ、やはりもっと見せていかなければいけないんだろうなと。

 もっと言えば、事業仕分け自体が法的な根拠が今ない中で民間の方にもやっていただくということで、今そういう御配慮をされていると思うんですが、やはり今後、まさに当事者がいる問題ですから、この賃貸事業というのはURの問題というよりも住んでいる方の問題ということで、こういったことをしっかりとやっていただきたいというふうに要望だけはしておきたいと思います。

 その上で、URの賃貸住宅の現状ですね。これが高度経済成長時代にスタートいたしまして、現在、特に高齢者の入居が多いと思うんです、この割合。あと、URといっても、昔の公団住宅といってもイメージできない人がいっぱいいるんですね。そういった部分で、地域別にどういうような状態になっているのか。これは国交省に聞きたいと思います。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 UR賃貸住宅の現状ということで、高齢者の割合、また地域別のストック数ということでございます。

 平成二十年度末時点で、全国三十都道府県で約七十六万戸のストックがございますが、その九六%は東京、大阪、名古屋、福岡、四大都市圏に所在しておりまして、入居者につきましては、六十五歳以上の高齢者世帯が全国で約三割、うち単身世帯が一割となっております。

 以上でございます。

高木(陽)委員 今、六十五歳以上の方々、いわゆる高齢者と言われる方々、人口の比率からいってもまだ二〇%台。ところが、このURの場合には三割に達している、かなり高齢化が進んでいる。しかも四大都市圏に九六%集中しているということでございますから、実はこの三十都道府県以外の方々というのはイメージできないんですね。

 一つ例を挙げますと、自公連立政権のときですけれども、渡辺喜美さんが、UR、もう民営化しちゃえ、こういうような雑駁なというか、言われまして、当時国交大臣だった冬柴国土交通大臣とかなりバトルがありました。そのときに冬柴さんが言ったのは、今指摘をしていただいた高齢者の方がもう三〇%以上、もっと言いますと年金生活者の方です、そういった方々が、もし民営化された場合、そういうふうになりますと、民営化というと利益を出さなきゃいけませんから、家賃を上げる、または売却をする、そういった部分はどうするんですか、こういうふうに冬柴さんは言った。

 ところが、メディアというのはそういう細かい部分というのは報道しないで、渡辺さんが出てきて、ゼロ回答ですよと言う。その一瞬で冬柴さんが悪者になっちゃうんですね。

 だから、こういったことをやはり丁寧にやっていかなければいけないなと思う中で、実は平成十九年に、私も国土交通委員会でかかわりまして、議員立法で住宅セーフティーネット法という法律、正式な名称を言いますと住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律、ここで、定義で、第二条なんですけれども、セーフティーネット住宅として、「独立行政法人都市再生機構又は地方住宅供給公社が整備する賃貸住宅」、いわゆるURの住宅を位置づけている。ここら辺に対する認識、これは国交副大臣及び行政担当大臣、どのように思っているか、ちょっとお答えいただきたいと思います。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 今、委員御指摘のとおり、いわゆる住宅セーフティーネット法におきましては、UR賃貸住宅も公的賃貸住宅の一つとして位置づけられております。したがいまして、既存ストックの有効活用並びに適切な供給促進、このことを促進することが必要だということで承知しております。

 また、附帯決議でも、もうよく御案内だと思いますが、セーフティーネットとしての役割の充実に努めること、また、医療、介護、子育て支援等の施設の整備促進が図られるように支援に努めることということで、これらに関しても、私ども、十分このことを踏まえながら進めていくというふうに認識しております。

枝野国務大臣 私としても、今、馬淵さんから御説明させていただきました趣旨、大変重要であるというふうに認識をしております。

高木(陽)委員 今お二方から、セーフティーネットとしての住宅、こういう位置づけをしっかりと御答弁いただきました。これは議事録に残りますから、政府としてしっかりその点は踏まえていただきたいなと。今住んでいる方々のセーフティーネットを守っていくんだ、こういう認識だと思います。

 その上で、事業仕分けの判定にありました、地方公共団体にお渡しをする、こういった話があるんですけれども、今、公営住宅法のもとで、公営住宅の現状はどのようになっているか、具体的に戸数及び募集状況というのはどうなのか、これをちょっとお伺いしたいと思うんです。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 全国の公営住宅、管理戸数といたしましては、平成二十年度末時点で約二百十八万戸、そして、平成二十年度中に募集した公営住宅の戸数としては、新築、空き家合わせて約九万戸となっております。応募倍率につきましては、同じく平成二十年度の数値でありますが、全国平均で八・六倍となっておりまして、とりわけ都市圏においては、東京圏二十・七倍、東京都全体ですと二十八・四倍というように、大変過密な倍率となっています。

 以上でございます。

高木(陽)委員 今、公営住宅の現状、いわゆる地方公共団体が管理をしている住宅のことについて伺いましたが、二百十八万戸、倍率は今、平均して八・九倍、東京の場合は二十倍なんですね。

 これはどういうことかというと、今、地方公共団体が新たな公営住宅をつくらないんです。特に東京都は、石原知事になりまして、東京都の住宅局というのはなくなったんです。室になっちゃった、管理はしているんですけれども。ただ、二十倍、いわゆる入りたい人がいるわけですね。ところが、低所得、そういう人は入れない。こういう現状がある中でもつくっていかない。これは、管理できないとか財政的な問題だとか、いろいろな理由があるんでしょうね。

 そういったものの現状が一つある中で、この事業仕分けの結論のように、セーフティーネットとして、では、これは地方公共団体にお渡しできるか、こういう現実論になってくるんですね、財政の問題。特にURの場合には、長年ずっと建設をしてきた負債を持っていますね。十一兆の負債がある。これらを、例えば売却をする、売却するところは民間ですからそれはいいでしょうけれども、地方公共団体に移管した場合、その負債はどうなりますか。

枝野国務大臣 御指摘のように、自治体に移管をさせていただくとしたら、受けていただけるかどうか、その場合に、負債の問題をどうするのかというのは大変深刻な問題でございまして、したがって、この仕分け自体、私は直接参加しておりませんので想像でございますが、取りまとめ役も、地方自治体または国ということで、実は、地方自治体と決めつけをしておりません。

 ここのところは、地方分権、地域主権、そしてそれに伴う財源の問題なども総合的に議論をして、なおかつ、その負債の処理の問題をどうしていくのかということもあわせて丁寧に進めていって、現実的に、セーフティーネットとしての高齢者や低所得者の皆さんが現に住んでいる、場合によっては、空き室があってニーズがあるというような状況の中ではそれも生かすということも含めて、そのセーフティーネットとしての機能がちゃんと、どこかに押しつけるのではなくて、国の責任で、どこかでしっかりやっていただくということを丁寧にやっていきたいというふうに思っております。

高木(陽)委員 地方公共団体が受け入れるかどうか、こういった現実論もあると言った。その場合に、国というのが、今お言葉でも出てきましたし、仕分けの結果なんですが、これは国営住宅というのはないんですね。そうなると、国営住宅として国がいわゆる運営管理する、そういった法律もつくらにゃいかぬ。そうすると、結局は負債をそのまま担う、こういうことになりますね。

 実は、枝野大臣が、これは地元で講演をされたんですかね、モルガン・スタンレー証券が発信をされたクレジットコメントというものがありまして、「都市再生機構 枝野大臣が国費負担増加の可能性に言及」、こういうようなお話がございまして、そういう負債の問題だとか、いろいろと問題意識としてある。これはすごく大切なことだと思います。ここに、「その上で、事業仕分けの結論にしたがって、市場家賃部分を民間に移行し、高齢者・低所得者向けの住宅の供給は地方自治体または国に移行した場合、「ダイレクトに税金をつっこまなければいけない部分が増えるかもしれない」」と。そういう形になるわけですね。

 事業仕分けというのは、無駄というか、お金を何とか使わないでいこう、こういう発想。ところが、その結論でやっちゃうと、逆にお金がかかってしまうという可能性を示唆された。だから、ここは本当に慎重にやっていただかないと。今までURの住宅というのは、居住者の方々の家賃で借金を返していこう、こういう流れでありましたからね。

 まさにここでもう一つ御質問をさせていただきたいのは、公共団体に移管した場合、例えば公営住宅として位置づけちゃった場合は、公営住宅法のもとで家賃が決まっている。一方、URはURで、UR並みの家賃、市場家賃に今ずっと移行していますから、この家賃の差額というのもありますね。今現在住んでいる人がいる。移管されるのはいいんですけれども、いわゆる契約の大家さんがかわるわけですね。では、そのときの家賃、これはどうなりますか。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 仮に地方公共団体に移管するとした場合に、この家賃、差額分ということでありますが、現行の制度上、これもよく御案内だと思いますが、国が家賃引き下げ費用のおおむね二分の一を補助するとなっておりまして、地方公共団体からすれば、移管費用の相当部分が財政負担として残るということになります。

 この地方の公共団体での家賃の水準とURの賃貸住宅の水準、平均を比較しましても、全国平均で公営住宅が二万五百九円、URが六万九千百八十六円、このように賃料に差がございますので、同等の水準にするとなると、一定程度の負担が発生するということになります。

枝野国務大臣 御指摘のような、今答弁させていただいたようなこともありますので、一律に断定的に結論を出せていないということだというふうに認識をしております。

 ただ、仕分けの趣旨としては、セーフティーネットの部分とセーフティーネットではない一般の賃貸ディベロッパーと一緒じゃないかという部分とを分けて、丁寧に区別して議論をしろという趣旨であるというふうに思っておりまして、そういった意味では、冬柴元大臣が御苦労をされたようなことのないような段取りでここまで議論をさせてきていただいているというふうに思っております。

 完全に民間と競合している部分については、何らかの形で切り分けて、公的な関与を必要としない形にしたいというのが仕分けの結果でございますが、それ以外のまさにセーフティーネットの部分については、できれば自治体にお願いをしたいけれども、今のような問題を含めて丁寧に結論を、国土交通省とも御相談しながら、あるいは関係者の皆さんともさらに御相談しながら、さらには、もしかすると、個々の団地ごとに状況を丁寧に分析しながらやっていかなければならないというふうに思っております。

高木(陽)委員 今大臣が、個々の団地とやらなきゃいけないみたいなことを言っていただいて、それは本当にありがたいと思うんですね。

 どういうことかというと、実は、渡辺大臣当時、私たちは申し入れで、URの賃貸住宅で本当に居住者の方々を守ってもらいたい、だから現場を見てもらいたいと言ったんですね。そうしたら、渡辺さんというのは結構パフォーマンスのうまい方で、テレビカメラを引き連れてURを見に行くんです。どこを見に行ったか。豊洲ですよ。一番いいマンションですね。それを見上げながら、すごいな、これはもう民間でできるじゃないか、売っ払え、こういう話になって、それだけが映像で残るんです。

 私が言っていたのは、例えば、私も東京多摩地区に住んでいます。多摩ニュータウンがありまして、築四十年以上、エレベーターがない、階段で五階まで行くわけですよ。小学校だとかも廃校になっている。もう子供がいないんです。そういったところをちゃんと見てもらいたい、こういうふうに言ったわけですね。ところが、全然そんなのは見向きもしないで、パフォーマンスだけやられる。これはかなり問題があるだろうなと思うんですね。

 民主党の皆さん方もパフォーマンスもうまいので、そういうことだけじゃなくて、本当の意味でその実態を見ていただきたいなと思うんです。

 もう少し言うと、これは国会議員だけじゃないんです。まさに地方自治体とも絡みながらやっている中で、民主党の皆さん方、今回、三百八議席をとって政権をとった。そういう地方としっかりと連携をとってもらいたいと思うんですね、特に政府は。やはり一人で全部見ることはできません。

 もっと言いますと、冒頭に申し上げた、三十都府県しかない、そうなりますと、いわゆるイメージできないんですね。地元にあると、公団の自治協の人なんかとも話を聞いたりして、ああ、大変だなとわかるんですけれども、そうじゃないと、実は渡辺さんの栃木にはないんですね、そうすると、こんなのはもう売っ払っていいじゃないか、こういう話になってしまう。

 もう一つ、これは枝野さんももう御存じだと思うんですけれども、今のURの構造、別に私もURを守ろうなんて思っていないんです。いわゆる無駄を本当に省いてもらいたいし。ただ、民間でもできるぐらいなもので収益をとって、高齢者や低所得者の家賃を減額する、こういうのに回しているという部分がありますね。それを自前でやるようになるわけです。国からもその補助が出ています。でも、それがなくなった場合、民間に売った場合には、それはすべて公的な税金をもっと投入していく。果たしてそれがいいのかどうか。

 ただ、これからの高齢社会で、今の住宅がすべてこれでいいのか、このままでいいのかというと、そうじゃないですね。さっきお話しした、公営住宅の、八・九倍ですか、東京で二十倍、こういった問題も含めて、これからもっとそういう住宅難民が出てくる。これをもっと総合的にとらえていかないと、ただURの賃貸の問題だけで議論した場合には、これはまた、移管するにしても、いわゆるセーフティーネットとして守っていくにしても、かなり限界があるだろうなと。だから、そういったものを含めて総合的な住宅政策を担ってもらいたいなと思うんです。

 もう一つお伺いしたいのは、団地ですよね、UR。そうなりますと、一つの棟に、低所得者、高齢者も住んでいるんですが、そうじゃない方も住んでいるんです。そうなると、これは高齢者用住宅だから地方に移管する、もしくはセーフティーネットの住宅としてやるんだといった場合に、そこに住んでいる、まだ年金生活になっていないそういう方もいらっしゃる、切り分けられないんですね。これについてはどう思われますか。

枝野国務大臣 もちろん、そこで部屋ごとに分けて処理することはできませんので、それは仕分けの議論の中でも当然の前提にしていたかというふうに思っています。

 今も御指摘いただいた豊洲のようなケースと、それから、実際にかなり低所得者の皆さん、高齢者の皆さんのセーフティーネットになっている部分と、もしかすると真ん中辺のところの判断が微妙ということはあるかもしれません。そういったことについても丁寧にやっていかなきゃいけないと思っていますが、それぞれの団地ごとにということで整理をした上で、その上で、御指摘のありましたとおり、新しくて普通の高級マンションの方で稼いだ金でというところがあります。

 私は、そういうやり方で、お金が税金なのかそういった形なのかということのあいまいな形でやっていくと、結局、長い目で見たらいろいろな無駄が生じるのではないかという問題意識を持っておりますが、短期的には、非常に財政が厳しい、財務大臣の立場も考慮しなければいけないとは思っておりますので、そこのところの段取り等については丁寧に進めていきたいというふうに思っております。

高木(陽)委員 先ほどから何度も、丁寧にやっていくというお言葉をいただきまして、行政刷新の担当の大臣である枝野さんと国交省副大臣の馬淵さん、それぞれが、こうやって丁寧にやっていこう、こういう意識を持っていただいている。そういうことをこの委員会で答弁し議事録に残ったということは、これは本当に大きなことで、公団の自治協の皆さん、きょうも来ておられるんですけれども、安心した部分もあると思うんですね。

 やはり現場の声を聞いてもらいたいと思うんです。やはり現場の声が大事だと思いますし、実は、四月の三十日に全国公団自治協が、幹事会ということで声明を出しています、「行政刷新会議ワーキンググループによる、UR賃貸住宅の民営化に道を開く「仕分け」に抗議し、国が責任をもつ公共住宅として継続させることを要求します」という。だから、考え方は、セーフティーネットの部分は一致していると思うんです。読まれているかもしれません。

 ただ、ここで、ちょっとえっと思ったのは、私も議事録というか、あと映像もニュースなんかでもいろいろと見まして、そのときに、仕分け人の方々の認識、こういうふうに公団自治協は指摘している。「仕分け人のなかには、賃貸住宅経営には多額の国費がつぎ込まれていると事実に反することを言い、「公営住宅は一千万戸ある」と荒唐無稽の数字(実際は二百十九万戸)をあげて言い張ったり、公営住宅とUR住宅の違いさえわかっていない人がいたり、都市再生機構のあり方を議論するのはとうてい無理なレベルの方も見受けられたのです。」こういう指摘があるんですね。

 もちろん、いろいろな素人の目で見る、まさに国民目線というのも必要なんですけれども、やはり、七十六万戸、二百万人の人たちの生活がかかわる問題を知らないで議論されるというのは、これは問題じゃないかなと思うんです。

 しかも、それをわずか一時間ぐらいのところで、まあ事前の勉強もされたんでしょう。でも、事前に勉強されるなら、公営住宅が一千万戸もある、そういうのもちゃんとやってもらいたいな、このようにも思うんですね。

 先ほど私、申し上げました。事業仕分け自体は必要なことだと思いますし、これは与野党を超えてしっかり応援もしなきゃいけない部分だと思うんです。ところが、やはりそういう本当の現場、それで、申しわけないですけれども、仕分け人の人たちというのは結構エリートの方、そうすると、住宅問題を実感したことがないんですよ。高収入で、ある意味では、高級マンションを買うか、または戸建て、または賃貸でもそういうところへ入れる、そういう方々ですから、そういう方が、今、年金生活をして本当につめに火をともしながらやっている感覚、こういったこと、これも国民目線だと思うんですよ。

 もちろん、仕分け人でパフォーマンスをやられて、何となくURというのは悪そうだな、天下りがいっぱいいて随契もいっぱいあって、これはこれでやらなきゃいけない、メスを入れなきゃいけない。でも、この賃貸のまさに生活の部分は、まさに政治主導というなら、これは馬淵さんも枝野さんも、そしてまたほかの方々もしっかりと見ていただいて、現場の声をしっかりと受けとめてこの問題というものを解決していただきたい、このことを最後に申し上げて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

今村委員長 この際、分科会設置の件についてお諮りいたします。

 平成二十年度決算外二件審査のため、四個の分科会を設置することとし、分科会の区分については

 第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府、警察庁、金融庁)、外務省、環境省所管のほか、他の分科会所管以外の国の会計

 第二分科会は、総務省、財務省、文部科学省、防衛省所管

 第三分科会は、厚生労働省、農林水産省、経済産業省所管

 第四分科会は、法務省、国土交通省所管

以上のとおりといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 次に、分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 なお、分科員の配置及び主査の選任につきましては、追って公報をもって御通知いたします。

 次いで、お諮りいたします。

 分科会審査の際、最高裁判所当局から出席説明の要求がありました場合には、これを承認することとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 次に、分科会審査の際、政府参考人の出席を求める必要が生じました場合には、出席を求めることとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 次に、分科会審査の際、日本銀行及び独立行政法人等の役職員から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人として出席を求めることとし、その人選等諸般の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 分科会審査は、来る十七日月曜日及び十八日火曜日の二日間行います。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時散会


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