第3号 平成26年6月16日(月曜日)
平成二十六年六月十六日(月曜日)午後一時開議
出席委員
委員長 松浪 健太君
理事 今村 雅弘君 理事 河野 太郎君
理事 平 将明君 理事 橘 慶一郎君
理事 武藤 容治君 理事 柚木 道義君
理事 桜内 文城君 理事 伊藤 渉君
秋本 真利君 大岡 敏孝君
鬼木 誠君 勝沼 栄明君
菅野さちこ君 工藤 彰三君
熊田 裕通君 小林 茂樹君
坂本 剛二君 笹川 博義君
島田 佳和君 白石 徹君
瀬戸 隆一君 田畑 毅君
武井 俊輔君 武部 新君
武村 展英君 辻 清人君
中川 俊直君 福田 達夫君
務台 俊介君 村上誠一郎君
八木 哲也君 山田 美樹君
玉木雄一郎君 野田 佳彦君
山井 和則君 河野 正美君
谷畑 孝君 宮沢 隆仁君
石井 啓一君 青柳陽一郎君
畑 浩治君 吉川 元君
小泉 龍司君 長崎幸太郎君
…………………………………
内閣総理大臣 安倍 晋三君
財務大臣 麻生 太郎君
総務大臣 新藤 義孝君
文部科学大臣 下村 博文君
厚生労働大臣 田村 憲久君
農林水産大臣 林 芳正君
経済産業大臣 茂木 敏充君
国土交通大臣 太田 昭宏君
環境大臣 石原 伸晃君
防衛大臣 小野寺五典君
国務大臣
(復興大臣) 根本 匠君
国務大臣
(拉致問題担当)
(防災担当) 古屋 圭司君
国務大臣
(科学技術政策担当) 山本 一太君
国務大臣
(経済再生担当)
(経済財政政策担当) 甘利 明君
国務大臣
(行政改革担当)
(国家公務員制度担当) 稲田 朋美君
財務副大臣 古川 禎久君
復興大臣政務官 小泉進次郎君
衆議院事務次長 向大野新治君
会計検査院長 河戸 光彦君
会計検査院事務総局次長 鈴木 繁治君
会計検査院事務総局第一局長 田代 政司君
会計検査院事務総局第二局長 山本 泉君
会計検査院事務総局第五局長 藤崎 健一君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 山崎 和之君
政府参考人
(財務省主計局次長) 太田 充君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局長) 岡崎 淳一君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 森北 佳昭君
政府参考人
(防衛省人事教育局長) 豊田 硬君
決算行政監視委員会専門員 平川 素行君
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委員の異動
六月十二日
辞任 補欠選任
村上 史好君 畑 浩治君
同日
辞任 補欠選任
畑 浩治君 村上 史好君
同月十六日
辞任 補欠選任
熊田 裕通君 中川 俊直君
國場幸之助君 八木 哲也君
武井 俊輔君 鬼木 誠君
野田 佳彦君 山井 和則君
馬淵 澄夫君 玉木雄一郎君
村上 史好君 畑 浩治君
同日
辞任 補欠選任
鬼木 誠君 武井 俊輔君
中川 俊直君 熊田 裕通君
八木 哲也君 務台 俊介君
玉木雄一郎君 馬淵 澄夫君
山井 和則君 野田 佳彦君
畑 浩治君 村上 史好君
同日
辞任 補欠選任
務台 俊介君 山田 美樹君
同日
辞任 補欠選任
山田 美樹君 武部 新君
同日
辞任 補欠選任
武部 新君 國場幸之助君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
平成二十一年度一般会計歳入歳出決算
平成二十一年度特別会計歳入歳出決算
平成二十一年度国税収納金整理資金受払計算書
平成二十一年度政府関係機関決算書
平成二十一年度国有財産増減及び現在額総計算書
平成二十一年度国有財産無償貸付状況総計算書
平成二十二年度一般会計歳入歳出決算
平成二十二年度特別会計歳入歳出決算
平成二十二年度国税収納金整理資金受払計算書
平成二十二年度政府関係機関決算書
平成二十二年度国有財産増減及び現在額総計算書
平成二十二年度国有財産無償貸付状況総計算書
平成二十三年度一般会計歳入歳出決算
平成二十三年度特別会計歳入歳出決算
平成二十三年度国税収納金整理資金受払計算書
平成二十三年度政府関係機関決算書
平成二十三年度国有財産増減及び現在額総計算書
平成二十三年度国有財産無償貸付状況総計算書
――――◇―――――
○松浪委員長 これより会議を開きます。
平成二十一年度決算外二件、平成二十二年度決算外二件及び平成二十三年度決算外二件を議題といたします。
本日は、各件について締めくくり総括質疑を行います。
この際、お諮りいたします。
各件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官山崎和之君、財務省主計局次長太田充君、厚生労働省職業安定局長岡崎淳一君、国土交通省水管理・国土保全局長森北佳昭君及び防衛省人事教育局長豊田硬君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松浪委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
―――――――――――――
○松浪委員長 質疑に入るに先立ちまして、質疑者各位に申し上げます。質疑時間は申し合わせの時間を厳守されるようお願いいたします。
また、政府におかれましても、各質疑者の質疑時間は限られておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武藤容治君。
○武藤(容)委員 自由民主党の武藤容治です。
質問の冒頭に当たりまして、桂宮様の御薨去に関しまして、謹んで哀悼の意を表させていただきます。
いよいよ、きょうは、こういう形で、総理も御出席賜りまして、決算行政委員会の締めくくり総括ということでございます。トップバッターを務めさせていただきますけれども、時間もわずかでございますので、貴重な時間をいただきましたこと、改めて感謝を申し上げるとともに、きょうはテレビも入っていますので、この決算行政監視委員会という形も国民の御理解を得たいと思っておりますので、そういう意味で、国益に担うような質疑をいただけるように、心からお願いを申し上げておきたいと思います。
まずは、安倍政権が誕生して一年半、本当に総理におかれましては、日夜、休む間もなく、経済力を軸に日本を取り戻す、力強い決意を持って我が国を牽引し、確実に実をつけておられますことに心から崇敬の念をあらわさせていただくとともに、また、国際社会においても、日本のアイデンティティーというものを取り戻すことに全力を尽くされておられますことに畏敬の念を持って、まさに総理には、本当に御苦労さまでした。
そしてまた、この国会も、百五十日間という通常国会も、いよいよ残すところ一週間という形になりました。本当に総理におかれましては、まだまだ御決断の要る大きな問題を抱えておられますので、ひとつ、お体も御自愛されながらも、しっかりと我々も一生懸命バックアップさせていただきますので、今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
さて、この締め総も、きょうは、実は三年間分、二十一年度から二十三年度までという、三年間というものの決算の締めくくりであります。
実は、私も、二十一年の選挙で見事に敗れまして国会を去りまして、新たにまた国政復帰をさせていただきましたが、二十年から二十一年の決算行政委員会の理事をさせていただきました。そういう思いで復活をしてまいりましたら、三年間も決算がたまっているという状況でございまして、きょうは、この辺の、決算行政監視委員会というものの役割もやはり御説明しなきゃいけないところでありますけれども、きょうのこの日をやっと迎えられたなという、感無量なところもございます。
決算行政委員会というのは、ここでちょっと御説明をしておかなきゃいけないと思いますけれども、国民の目からいうと、ちょっといかつい名前でありますので。
衆議院が、会計検査院が行う決算等の審査を通じて行政監視、問題点の把握をして、次期の予算への反映を目指すものであります。加えて、総務省の行う評価、監視、また、国民からの行政に関する苦情も踏まえた審査をするところで、行政上の問題点を抽出し、行政制度、施策の改善、あるいは、法令改正が必要であると認められた事項は、その所管官公署に対して勧告を行う委員会であります。すなわち、国民の負託を受けて、国会としての行政監視の責務を実行するかなめであると私は思っています。
後ほど、委員会としての、予算執行の実績とその効果、会計検査院の検査報告などに対して議決案を採決しますが、本来は、前年度の結果に対しての精査内容を次年度に反映できるようにせねばならない委員会であると思っています。
三年間まとめて審議をするわけでありますけれども、検査院は毎年、法に定められたとおり報告をされておられるわけでありまして、それゆえ、これは、国会が議決をしていないという国会の怠慢であるというふうに思っております。
決算行政監視委員会というところは、慣例で野党第一党から委員長が配されておりますけれども、政権に対して誹謗など、政局に利用されては国会の権威というものを著しく阻害させてしまいますので、平成十年、第百四十一回の国会で、国会法の改正で旧決算委員会が改組された際に、運営の申し合わせとして、国会情勢にかかわりなく活動する慣行を確立するように努めると申し合わせがされたと認識しております。
きょうは、新藤大臣にも、所轄ではないんですけれども、この委員会に私の質問の時間でわざわざおいでいただきました。二〇一一年に決算行政監視委員長の、小委員長としてお務めになられました。そして、国会仕分けということで小委員会も開催をされて、大変御造詣の深い大臣だというふうに思っております。
このような形で三年間たまってしまった状況について、これは所管大臣としてではなくて、先輩委員長、先輩として、このような状況についてのお考えを、まずお気持ちをお聞きしたいと思います。
○新藤国務大臣 そういったチャンスをいただけることをありがたく思っています。
そして、私は、今委員が冒頭申されましたように、この決算行政監視委員会というのは極めて重要な役目を持っていると。それは、決算という予算を執行した後の事後チェック、これを行って次の予算に反映させること。それからもう一つは、行政監視機能をつけ加えたというのは、現在進行形の予算、それから事業、政策、これをチェックすることができるんです。そして、それらはいずれも、できるだけ早く政策に反映させなければいけない。
そういう意味において、決算行政監視委員会というのが平成十年にできました。だけれども、私が委員長になるまで、残念ながら、行政監視質疑というのが一度も開かれておりませんでした。決算質疑と一般質疑だったんです。ですから、決算と行政監視をきちんと位置づけて、そしてその中で、小委員会をつくったというのは、参考人と政府とそして議員が一緒になって、三つどもえで議論できる、そういうスタイルをこれで実現をさせようということで、初めて国会版の仕分けというようなものもやらせていただきました。
ですから、私たちは、当時、平さんも理事でした。それから、河野さんは、その前に仕分けのことをいろいろ提案をいただきました。民主党も、柚木さんもそうです。これは、自民党、民主党、その他の政党、与野党なく、国会議員として立法府の行政監視機能を高めようということで始めたんです。
したがって、法案審議や予算審議に影響されることなく、これは粛々とやらなければならないと私たちは考えて、そういうマニュアルをつくったんですが、残念ながら、これが三カ年まとめて今までになってしまったということ。
私が委員長になったときに、二十年度のものをとりあえず議決いたしました。そして、二十一、二十二で審議を始めたんですけれども、委員会を開かせてもらえないんですよ、結局、大臣の日程がとれない、法案審査が優先だと言って。ですから、こういった大事なものができなくて、二十一、二十二をやりながら、二十三も加えて現在に至るということなんです。
ですから、きょうはそういった議決をしていただくのはとてもありがたいことだと思いますが、立法府の一員として、この決算行政監視委員会は、これはその他の委員会とは違う、また別の権能を持ってぜひ活性化させていただきたい、このように私は考えております。
○武藤(容)委員 本当に新藤大臣のおっしゃるとおりだというふうに思います。
私も、昨年九月でしたけれども、当時の谷畑委員長さんのもとに、欧州各国ですが、イギリスから入ってベルギー、そしてフランスという形で視察に行かせていただきました。
名前は違いますけれども、大体この我が決算行政監視委員会と同じ、財政委員会なり決算委員会なりにお邪魔をし、そして、会計検査院さんが一緒に同行されまして、各国の会計検査院も視察をさせていただきました。会計検査院が一緒ですので、大変真面目な視察だったというふうに思っていますけれども。
やはりフランスなんかの会計検査院に伺わせていただいたときも、全員が司法官でありまして、大変、二百年という長い歴史を持って、その歴史に裏づけられた威厳と、ちょっとある意味では非常にお高い方だったんですが、やはりそれなりにしっかりとした国への公正中立な見方というのをつくづく感じましたし、英国でも、これもやはり百五十年ぐらいだと思いましたけれども、英国議会では最も古い下院決算委員会というところにもお邪魔させていただきました。
いずれにしても、今、新藤先生がおっしゃられたように、会派を超えて、やはり責務に対してしっかり誇りを持ってやられているということは、そして国の権威を高められているということに対しては、まさに先生おっしゃられたとおりに感じました。
英国では、これは今委員長がいろいろ検討されていますけれども、VFMといういわゆる会計検査院の調査、年間六十件ぐらいをまとめて英国議会の財務委員会が審査をして、財務省の改善報告とともに、本会議で承認されることということをやられているようでありますけれども、いろいろ聞いてみると、英国の委員の方も、専ら留任の方が多くて、そして、かけ持ちはなし。ですから、本当の、この決算業務だけに携わられて、それこそ週二、三回委員会を持たれて、このVFMというものに対しての審査等をやられているというのが現実でありました。
正直、我が国、今後、この決算行政監視委員会というのは、新藤先生のように、思いは当然多いんですけれども、委員は当然ですけれども、理事でさえ実は少数会派というのはやはりかけ持ちをやっていまして、なかなか、二、三回委員会をやるといっても、これはもう正直なところ、現実、不可能に近いんだろうと思います。
今回、松浪委員長の方で大分決算の改革案というものを議論していただいていますけれども、現実、本来、国としてのあり方を考えれば、やはり英国なりフランスなり、そういう模範たるところを我々はしっかり受けとめていかなきゃいけないんだろう、こんな思いでおります。
ただ、これを改革するとなると、国対マターであったり、国会法の改正で今回議運扱いになるんだろうと思いますけれども、ここはちょっと所轄である財務大臣の御意見も頂戴したいと思いますけれども、やはり本来、国の税の使い方等々、これについてはしっかりとした形で、この委員会自体が会計検査院とともにしっかりとした形をするには、やはりこの改革というものがどうしてもそういう観点からも必要かと思いますけれども、では、まずは元委員長の新藤大臣に、その辺からまたもう一回お聞きしたいと思います。
○新藤国務大臣 私どもは、自分たちの委員会のときに、マニュアルといいますか、この決算行政監視委員会を年間どういうふうに回していくかという、そういったルールを理事会合意でつくってあるんです。ですから、委員長や理事の方は御承知だと思いますが、時期を決めて、きちんとテーマを定めて作業していく、そういうサイクルをつくることが重要であって、そんな特別な改革ではなくて、それは理事会の合意と各党の合意ができればいいわけなので、ぜひやっていただきたいと思います。
ちなみに、私どもがやりました行政監視の質疑は、これは明治以来初めてのことです。
それから、それに基づいて決議をやりました。最終的には勧告も出せるんです。全委員会の中で勧告を持っているのはここの委員会だけなんですよ。
ですから、ぜひそういったものを活用していただきたいと思いますし、今すぐにでもそのサイクルというのは確立できる、私はこのように考えております。
○武藤(容)委員 これは、我々理事を初めとして、やはりこれもまた委員が理事会を通じて協議していかなきゃいけない問題だと思っていますので、きょうは本当に、そういう意味では、御見識をいただきましてありがとうございました。
ただ、いろいろ国会を見ておりますと、これは実は、衆議院もこういう決算行政監視委員会でやっていますけれども、参議院でも、もう既にテレビでも国民の方もごらんになっていると思いますけれども、別々にやはりこういう審査の形をやっております。それぞれ本題で、時々のテーマに合った真摯な議論をされていればいいんですけれども、何か今まで見ていると、時たま、やはり政局とかいろいろな形で、いわゆるちょっと違った議論をしているんじゃないかというところは国民の皆さんからも声をお聞きしているところであります。
この辺も、ちょっと経緯を聞いてみるといろいろ深い、長い歴史があるみたいで、この辺については我々もまた参考にしなきゃいけないとは思っていますけれども、まず、この衆参別々にやる根拠について、これは財務大臣ですか、お願いいたします。
○麻生国務大臣 極めて長い歴史があります。
帝国議会、明治二十七年の帝国議会で明治二十四年の決算が国会に初めて提出をされて以来、別々にそうするという慣例になっておりまして、決算は、第八回の帝国議会において、議決しても貴族院には送付しないということを議会で議決されておるというのが歴史です。
加えて、法律的に見ましても、これは日本国の憲法でも、決算につきましては、国会に提出しなければならないと決めてありますのに対して、予算は、審議を経て議決しなければならないと書いてあるのと、決算とは全然あれが違っておるというのが現実でありまして、決算に対しましては、予算や法律案とは異なっていまして、憲法上または法律上からも、国会としての議決が求められておりません。
決算を両院別々に提出して、両院が独立別個に審査するというのは、先ほど申し上げましたように、明治二十八年以来からのあれでして、第八回の議会において議決をされた上での決定でもありますので、これはなかなかそう簡単に、この話を直すとなれば、これは全員協議で、協議の方法、仕方がありますから、我々の行政の立場で申し上げられる話ではございません。
○武藤(容)委員 大変、本当に長い歴史がある話でありますので、いわゆる当委員会のあり方、そして、ある意味で、国会改革という形の中で、参議院も交えてやはりこれは方向的には検討していかなきゃいけない問題だろう、そんなように思っております。
お時間もきょうは余りないので、我々と大事な関係にある会計検査院のことについてもちょっと触れておかなくてはいけないと思います。
会計検査院は、憲法第九十条一項の規定に基づいて毎年検査を実施しまして、それを報告して、会計検査院法第二十条によって、正確性、合規性、経済性、効率性、有効性の観点から検査を実施されておられます。そして、結果を、検査報告、国会及び内閣に対する報告、国会からの検査要請事項に関する報告として国会に報告されておられます。
検査院の方は、検査報告によって、一年間にされた検査対象機関による是正改善のうち、補助金等の返還あるいは経費の節減、収益の増加など、財政、財務面での効果を試算されておられます。
二十三年の試算は、財務上の是正改善効果は七百五十五件、一・一兆円と公表されています。二十二年はどうかというと、九百八十一件、千三百四十億円。一年で随分違う結果が出ております。
また、政府が予算編成に当たって決算というものを反映していくわけですけれども、会計検査院の公表では、二十三年度は二十一年度を反映して一・四兆円、二十二年度に基づき二十四年度予算は四百五十二億円を反映して、徹底した予算の効率化ができたと公表されておられます。
大分この辺の数字が毎年何か随分変わっておられるんですけれども、毎年、会計検査院は、基本方針というものを出されて、この制度を実行されているということだろうと思います。
この前もちょっと会計検査院の方にいろいろ話を聞いたんですけれども、基本方針はそれなりに大体、毎年そう変わらないんですけれども……
○松浪委員長 武藤君に申し上げます。定刻の時間を過ぎております。
○武藤(容)委員 はい。
そういうことで、その年によって大分この辺が、基準というものがありながらも、結果的には大分違っちゃうということになりますので、最後に申し上げますけれども、会計検査院のあり方も、ある意味で、我々としては、やはり国民の代表として、しっかり国のいわゆる健全財政という形の大きな位置づけとして、当委員会の改革ともども、その辺についても我々としては監視していかなきゃいけないんだろう。
そんな思いで、時間が来ましたので質問は終わらせていただきますけれども、本当に、総理を初めとして、このような形での、我々の決算という形の委員会の位置づけをぜひ国の再生にも結びつけていただくように総理にもお願いを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
○松浪委員長 この際、橘慶一郎君から関連質疑の申し出があります。武藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。橘慶一郎君。
○橘委員 自由民主党の橘でございます。
冒頭、桂宮様の御薨去に対しまして御冥福をお祈り申し上げながら、私は出身が富山県でありますので、冒頭、ゆかりの万葉集を一首詠んで質問をするということにしております。よろしくお願いしたいと思います。
梅雨どきでありまして、雨粒が池の蓮の上で玉になっている姿が美しいという歌を詠んで、質問に入らせていただきます。
万葉集巻十六、三千八百三十七番。
ひさかたの雨も降らぬか蓮葉に溜まれる水の玉にあらむ見む
それでは、よろしくお願いいたします。(拍手)
会計検査院さんの平成二十一年度から二十三年度決算に係る指摘事項を中心に、大変お忙しいところ出ていただいております安倍総理初め閣僚の皆様方に、順次質問をさせていただきたいと思います。
特に基金事業、言ってみれば単年度予算の例外になります基金事業、その残高の取り扱い、そしてまた、国の情報システム、電子政府に向けての政府の取り組み、こういったところを、会計検査院報告も見せていただきながら、順次質問をさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。
基金事業というのは、単年度予算ではなかなか措置しづらい政策課題の解決のために用いられるものでありますけれども、やはり残高は適正に管理していかなければいけない、そして大事な限られた歳入を効果的に活用していかなければならないと思います。検査院報告の中には、基金あるいは積立金、剰余金の返納を求めるものも幾つも見受けられる状況であります。
そこでまず、基金事業の制度としての必要性、また執行面の留意点につきまして、政府の見解を麻生財務大臣にお伺いいたします。
○麻生国務大臣 これは、御質問がありましたように、地方公共団体また民間の法人等々含めまして、こういった事業者に対して、複数年度にわたって事業が継続するという、各年度の所要額がなかなか五年も前、三年も前に見込みがたいという場合もありますので、その必要から設置されたものでして、こういったものは、その基金を起こしておられる事業者に対して、これは公共団体も民間も入りますけれども、補助金などの交付を行っておるのは御存じのとおりです。
一方、基金事業者は、基金の形で国が支出をしておりますので、単年度決算ですので、資金を年度を超えて保有する、そのために、当然のことですが、基金の必要性についてまず十分に精査をしていただく、所管しておられる大臣の監督下にありますので、執行状況などを適切に管理していただく、この二つは極めて重要だろうと思っております。
したがいまして、御存じのように、基金シートというのを作成させていただいておりますが、地方公共団体でつくられております基金の調査というものを通じて基金の執行状況を把握させていただき、私どもの方で把握して、それを公表するという形でこの基金の透明性をなるべく確保させていただきたいと考えております。
○橘委員 どうもありがとうございます。
基金シートによる残高の管理、ここを最後は質問させていただくわけですが、その前に、それこそ麻生大臣が総理でいらっしゃった平成二十年、リーマン・ショック、大変大きな経済の落ち込みがありまして、その後、東日本大震災が平成二十三年ということであります。
この間、非常に大きな、なかなか単年度では解決できない政策課題をうまく解決に導くために、例えば緊急雇用創出事業臨時特例基金、これは、厚生労働省さんから都道府県の方に、こういう基金を積ませて、そして、未曽有の失業者が出そうだというときに、これを言ってみれば底支えをした。そういうことで、これは政権を超えてずっとここまで運用されてきているものだと思います。
この際、この基金が景気、雇用の下支えに果たした役割を田村厚生労働大臣に総括いただきたいと思います。
○田村国務大臣 委員おっしゃられましたとおり、リーマン・ショック、世界的な大変な大きな出来事であり、多くの雇用が日本でも失われたわけであります。また、その後、東日本大震災、未曽有の震災の中において、本当に多くの方々が大変な困難になったわけでありまして、その中において、どうやって地域の復興に向かって雇用をつくっていくか、大きな課題でありました。
今言われました緊急雇用創出事業臨時特例交付金でございますが、都道府県に基金を造成いたしまして、それぞれ実情が違いますので、それぞれの地域に合った雇用をつくっていただく、こういう目的でございまして、七十八万人、これは二十一、二十二、二十三年度でありますけれども、七十八万人の雇用を創出したということでございまして、大変大きな効果があったというふうに考えております。
○橘委員 ありがとうございます。
失業者の数が三百万人内外というような中での七十八万人の雇用というのは、非常に大きな効果があったと思うわけであります。
ただ、この雇用情勢も、今、アベノミクスということで、景気が非常に浮揚してまいりまして、有効求人倍率も非常にいい数字になってきている。やはり、政策課題が順次変わっていくわけであります。そのときに、基金の残高を、先ほど麻生大臣からお話ございましたように、基金シート等でやはり適時適切に管理をしていかなきゃいけないということだと思います。
残念ながら、予算編成の段階では、この性質上、これだけの金額がかかるということはなかなかセットしづらい、どうしてもやはり少しは余裕を見て積まなきゃいけないということもあるんだと思います。しかし、どこかで、年度が終わったときとか、あるいは次の予算を編成する前であるとか、適時的確に基金の残高あるいは基金の状況というものを管理していく必要があると思っております。
この辺はどのように進めておられるのか、また、塩漬けになったような状態になっているものであれば返納を求める必要がある場合もあると思いますが、このあたりの取り組みがどうなっているのか、稲田行政改革担当大臣にお伺いいたします。
○稲田国務大臣 私が就任いたしましてから、行政事業レビューの中に基金シートというのを新たに導入いたしまして、昨年は、各府省の補助金等で造成された基金について、基金シートでその執行状況や使途を明らかにしております。また、本年度から、都道府県に造成された基金についても、新たに執行状況等を公表し、透明性の向上を図っているところであります。
御指摘の基金の滞留状況については、行政事業レビューというのは、各府省がみずから自律的にその事業の内容を点検し、無駄遣いを排除するというものでありますので、まずは自己点検ということを行っていただくのが第一でございますが、行政改革の立場からも、各府省による自律的な行政事業レビュー、基金シートを回しておられるかということを、管理監督が十分であるかというところをチェックし、使用見込みの低い基金があれば国庫返納を促してまいりたいというふうに考えております。
また、予算についてですが、基金シートは九月末に公表されます。また、地方公共団体に造成された基金の執行状況は十月末に公表されることになっておりまして、これらの情報は予算編成過程において有効に活用されるべきものというふうに考えております。
○橘委員 ありがとうございます。
ここで、基金のお話から情報システムの話へとつないでいきたいわけでありますが、会計検査院の指摘事項の中には、各府省の情報システムについて、最適化を図り、費用対効果を踏まえてシステム構築を求める、こういうことを求めているわけであります。
要は、例えば、この基金シートにいたしましても、当然それはそれぞれの省庁で管理されていかなきゃならない、あるいは、各都道府県で管理されていくのは当然であります。しかし、そこにある財務情報というものは、できるだけ瞬時に、そして、余り手間暇かけずに集められたらこれにこしたことはない。例えば、そういったシートを全部紙でもらってきて、そこで電卓をたたいて計算するというようなことがあっては、なかなかこれは寂しいな、こういう感じもするわけであります。
そこで、最近、コンピューターを使う情報システムの中には、クラウドコンピューティングサービスというものが出てきております。要は、そういったそれぞれのコンピューターを使っている方々が、クラウド上にある、雲ですけれども、そこにあるシステムを利用すれば、そこに例えば様式を置いておけば、そこの様式にみんなが打ち込むことによって、きょうが締め切りですよといったら、その日に、瞬時に、よし、残高はこれだけです、ちゃんとこう答えが出てくるようなことも夢ではないのではないかと思っております。
ただし、このためには、サイバーセキュリティーの問題であったり、当然、このシステムをどう構築するかとか、いろいろな問題があると思いますが、稲田行政改革担当大臣にお伺いしたいのは、こういう取り組みをすることによって、まだまだ適時的確な把握とか便利になっていく世の中になるんじゃないか、この辺のお考えを、ちょっと提案型の質問になりますが、お伺いをさせていただきたいと思います。
○稲田国務大臣 行革事務局の事務量の負担の軽減という点からも質問いただいていることに感謝をいたします。
御指摘のクラウドサービスに関しましては、昨年の六月に閣議決定された世界最先端IT国家創造宣言において、「クラウドの徹底活用により、大規模な効率化と縦割りを打破したシームレスな連携、変化への迅速かつ柔軟な対応力の向上を図り、効率的な行政運営と徹底したコスト削減を実現する。」という方針が示されております。
先ほど委員も御指摘になりましたように、非常に事務の効率化、迅速化というメリットがある一方で、初期の費用がかかるとか、あと保守費用などの追加コストの問題、また、行革部局として費用に見合う効果があるのかどうかという点なども総合的に検証して取り組む必要があるというふうに考えております。
○橘委員 前向きな取り組みということについて、またぜひ前向きに御検討いただければ大変うれしいなと思っております。
そこで、この情報システム、今たまたまこの基金シートをまとめて瞬時にということを申し上げましたが、こういった情報システムを整備することというのは二つの利点があると思うんですね。
一つは、霞が関、各省庁、こういったところの仕事をもっともっと見直して効率化をしていくという点が一点。
そしてもう一点、国のいろいろな手続というのは、国民や企業の皆様ともいろいろやったりとったりがあるわけであります、各種申請、申告関係。そういったときに、逆に、国民の皆様にとっても、スマートなワンストップとか瞬時な行政サービスというのができるのであれば、これは大変メリットが大きい。それこそ電子政府ということから、やはり経済成長へもつなげていけるんじゃないかな、そんな思いを持っているわけであります。
そこでまず、今申し上げたことのうちの第一点目の各省庁の業務の効率化でありますが、こういった電子政府あるいは情報システムの整備、あるいはペーパーレス化、あるいはクラウドコンピューティング、こういったことを利用して、まだまだ各省庁の業務をスリム化、あるいはいい意味でスマート化していけるんじゃないか、これを行政の管理という視点から、新藤総務大臣、大変お世話になりましたけれども、ぜひお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。
○新藤国務大臣 まさにその仕事を橘前政務官にやっていただいたわけでありまして、政務官、一生懸命お務めいただきました。
私どもとすれば、今、安倍内閣は、これまでの低迷した経済を立て直して持続可能な成長軌道に乗せることと、それから財政再建をやらなきゃいけない、この二つを同時達成しなければいけない。したがって、行政の効率化を図ることと、それからコストカットを図る、これを達成しなければいけない。その決め手となるのがICT、いわゆる行政の電子化ではないか、このように位置づけているわけであります。
今委員がちょっと触れていただきましたけれども、各省庁で千五百システムあります。給料計算も旅費計算も、それから物品調達も全部ばらばらにやっているんです。一本でできます。
それから、いろいろな仕事が、自分で契約も、何万回線も持っちゃっているんです。ですから、これを徹底してやろうではないかと。
それから、電子決裁も、私ども総務省は九〇%を超えていますけれども、実際には全省庁で一〇%平均です。ペーパーレス化なんかすぐできるんですよ。ですから、もうこれは絶対にやると決めて、徹底的に今お願いをしている、こういう最中です。
それから、オンライン申請も、これは現状では四一%といいますが、一番大きいのは、今来ている厚生労働大臣のところなんです。全体の三分の一弱ぐらいございます。年金とか雇用保険関係の申請は四%しかオンライン申請していないんですよ。
ですから、逆に言えば、こういう部分に手を入れることによって、徹底したコストカットとそれから行政の効率化ができる。
私どもは、年間経費でこの固定経費の大体三割をカットできると思っています。それから、業務時間は二五%カットできる。これは大体六、七年かかりますが、もう既に計画を立てて始めています。ですから、着々と、信念を持って、必ずやるというこの覚悟が必要だ、このように思っているわけでございます。
○橘委員 ありがとうございました。
今大臣からお触れいただいたことを、オンラインの利用の状況ということでパネルにしてまいりました。
決して、厚生労働省さん、四%だから大変だというのではなくて、四%は宝の山であります。あと九六%伸ばせば世の中全然よくなるわけでありまして、いろいろなお取り組みをされているその実態、現状をぜひ御答弁賜りたいと思います。
○田村国務大臣 ハローワーク等々の電子化等々を進める中において効率化を図っていこうということで、今、新藤大臣からも号令がかかって、我々も一生懸命努力をしておる最中でありますが、年間の申請件数が非常に多いのは社会保険、労働保険というものでございます。これは徐々にオンライン化が進んでいるんですが、まだ四・二%、まだまだ低い。
原因をいろいろと分析いたしますと、申請や届け出の頻度に比べて、電子証明書、これが取得するのになかなか費用や手間がかかる。それから、そもそも手続が非常に細かくて難しいものでありますから、どうしても窓口に行って相談しながら申請することを希望されるということがございます。
そういうことも含めて、まずは申請内容の簡素化を進めるなり、また一方で、企業に、訪問するときに、こういうようなオンライン化を周知していく。あらゆる機会でやっていきたいと思っていますし、世界的にどうやってこのような社会保険のようなものがオンライン化されているのかということも研究しながら、これは進めるという方向、そんな方向の中でこれからいろいろな知恵を出してまいりたい、このように考えております。
○橘委員 どうもありがとうございます。
現場のハローワークさん、あるいは年金事務所さん、一生懸命取り組んでおられるわけであります。ぜひ、現場でいろいろな工夫をされている、そういったものも吸い上げていただいて、そしてまた、社会保険労務士さんとか企業の、そういったユーザー側の御意見もとっていただいて、この宝の山を本当の宝にしていただけるよう、よろしくお願いしたいと思うわけであります。
以上、きょういただいておる時間の中で、基金の問題から電子政府の推進というところまでお話を進めてまいりました。
今、安倍総理のもとで日本再興戦略の改訂版も準備されているというふうに聞いておりますけれども、これから、二十八年度にはマイナンバー制度も入ってまいります。経済成長への寄与あるいは国民生活の利便性の向上、電子政府に期待されるところは大きいと思います。ぜひ最後に総理のお取り組みに対する御見解あるいは思いを聞かせていただいて、質問を終わらせていただきます。
○安倍内閣総理大臣 ただいま橘委員が指摘をされたように、電子政府を進めていくことによって、三つ大きな利点が、国民そして国家、政府にあると思いますね。
まず第一点は、今、厚労大臣とのやりとりにあったように、政府の行政運営の効率化でありまして、厚生労働省にはまだまだ大きな宝の山が眠っている、これをしっかりとやっていくことによって行政経費をがんと削減できますから、それはまさに国民にお返しをしていくことができるということではないか。さらには、電子政府を進めていくことによって便利になっていく、国民の皆さんにとって公共サービスの利便性が上がっていく。さらには、生産性がぐっと上がっていきますから、経済成長にも大きく貢献するのではないか。この三点、極めて有益ではないかと思います。
さらなる体制の強化を図るために、今後、IT総合戦略本部のもとに新たにeガバメント閣僚会議を立ち上げる予定であります。
今後とも、政府全体のIT政策の司令塔である遠藤政府CIOを強力にバックアップしつつ、行政のIT化と業務改革を一体的に進めて、効率的、効果的な行政運営を実現していきたいと考えております。
○橘委員 総理、ありがとうございました。
ぜひ、eガバメント、そして遠藤CIOのもとにさらに前進いただきますようお祈りを申し上げ、また、しっかり応援させていただくことをお誓い申し上げて、質問を終わらせていただきます。
きょうはありがとうございました。
○松浪委員長 次に、伊藤渉君。
○伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。
私からも、重ねまして、桂宮様の御逝去に当たりまして、心から御冥福をお祈り申し上げます。
さて、続きまして、今回の決算、少々時間がかかってしまいましたが、平成二十一年、二〇〇九年から、二十三年、二〇一一年までの三カ年の決算でございます。これらの決算を今後の政策に生かしていく、こうした観点から御質問をさせていただきたいと思います。
平成二十一年の夏に解散・総選挙が行われまして、政権が交代をいたしました。大変に高い期待を得てスタートをした前政権でございましたけれども、その期待を形にすることができずに、今再び我々は政権を奪還して、日本のかじ取りを任されるに至ったというふうに認識をしております。
前政権は、徹底した無駄の削減と福祉の充実により家庭を直接温めて景気を浮揚させる、フレーズは決して悪くなかったと思います。しかし、国民が実感をするところに至らなかったことが最大の問題であったのだろう、こういうふうに思います。
よって、我々は、何としても、力強い、裾野の広い、着実な景気回復を国民が実感できるようにしていかなければならない。その二年目の挑戦に入ったところでございます。
そこで、まず最初に、中小・小規模企業へのアベノミクス効果を行き渡らせるための対策についてお伺いをいたします。
パネルを出しましたが、まず、財務省の法人企業統計に基づいて現状の把握を試みました。
最初のグラフは、製造業及び非製造業における人員、役員数と従業員数の和でございますけれども、その推移を示しております。このグラフでは、絶対値よりも、右側に書いてございますその比率に着目をしていただきたいと思います。
雇用の約五〇%は、緑色の実線で示した中小の非製造業によって賄われていることがわかります。ここで言う中小企業は、統計の関係から、資本金一億円未満、一千万円以上の企業を対象としております。次が、紫色の実線で示した大手の非製造業で約二三%、続いて、青色の実線で示した中小の製造業が約一五%、最後に、赤色の実線で示した大手の製造業は約一一%となっております。
つまり、緑色と青色の実線で示した中小の非製造業及び製造業だけで約六五%の雇用が賄われていることがわかります。資本金一千万円未満の企業を含めれば、中小・小規模企業での雇用は約七割となります。
また、資本金一億円以下の欠損法人の割合、少しデータは古いのですが、平成二十三年度で約六〇%が欠損法人、一千万円以下では約七五%が欠損法人となります。
つまり、現在議論されております法人税等の議論、これは、あくまでグローバルなマーケットで戦う大企業にとっては一定の効果が見込まれるものと思われますけれども、国内の景気、雇用を支えるローカルなマーケットでしのぎを削る中小企業には別途対策が必要になる、そのことは総理もよく御承知のことと思います。
そこで、最初の問いに入ります。
持続的な景気回復を実現すべく、賃金上昇、消費拡大という好循環を生み出すためには、グローバルなマーケットで戦う大企業への対策と同時に、国内の景気、雇用を支えるローカルなマーケットでしのぎを削る中小企業への効果的な政策のさらなる推進が必要だと考えますけれども、総理の御所見と今後の具体的な中小・小規模企業対策についてお伺いをいたします。
○安倍内閣総理大臣 全国の三百八十五万社の中小企業、小規模事業者は、まさに地域の経済そして雇用を支えているわけでありまして、景気が回復したなという実感は、この皆さんが、本当に景気が回復してきたな、こう感じていただかなければならないわけでありますが、昨年末の日銀の短観におきましては、非製造業の中小企業の方々が二十一年ぶりに景況感プラスに転じたわけでございます。これは、私どもが進めてきた経済政策の効果の結果、やっとそこまでは来たわけでございますが、もっと本当の実感、よくなったと、これは先行きですから、よくなったと思っていただくことが大切だろうと思います。
こうした全国津々浦々の中小企業、小規模事業者が元気にならない限り日本経済の真の再生はない、こう思っております。
こうした認識のもとに、政権について以来、法律、予算、税制などの振興策を矢継ぎ早に実現をしているところでございまして、ものづくり補助金等につきましても、これもサービス業に広げまして、頑張っていこうというところ、あるいは、そういうところが、かつ給与を上げたところは優先的にその補助金が行くような、そういう配慮も行っているところでございます。
一昨日、島根県と鳥取県を訪問させていただきまして、地域の中小企業、小規模事業者を元気にするためには、各地の特産品が有名になって全国で売れるようになることが極めて重要ではないか、こう痛感をいたしました。このため、ふるさと名物の開発から知名度向上、そして販売促進まで、関係省庁一丸となって応援する法律などの支援策を講じていきたいと考えております。
○伊藤(渉)委員 次に、やはり法人企業統計から作成した、製造業及び非製造業における、真ん中の表が営業利益、そして一番下が労働生産性、この推移をごらんいただきたいと思います。なお、ここで示す労働生産性は、経年変化の傾向を把握するためだけに使用するため、営業利益と人件費のみから算出しておりますことをお断り申し上げます。
真ん中の営業利益の推移を見ますと、最も営業利益が大きいのが紫色の実線で示した大手の非製造業、続いて、緑色の実線で示した中小の非製造業と赤色の実線で示しました大手の製造業が交錯をしながら推移し、一番下に青色の実線で示した中小の製造業が来ます。
一方、下の労働生産性を見ますと、最も生産性が高いのが赤色の実線で示した大手の製造業となり、次に、紫色の実線で示した大手の非製造業、そして、青色の実線で示した中小の製造業と緑色の実線で示した中小の非製造業は同じような値で推移をしていることがわかります。
二つ目の問いに入りますけれども、こうした統計を見ますと、国内景気を押し上げるための賃金の上昇、消費の拡大という好循環を生み出すためには、中小企業対策に加えまして、特に大手の非製造業部門の労働生産性の向上に向けた対策が必要になるのではないか。具体的には、この部門こそ賃金のアップを実現していく必要があるというふうに考えるに至りました。
ここで再び、総理の御所見と成長戦略の策定に当たっての今後の方針についてお伺いをいたします。
○安倍内閣総理大臣 デフレを脱却し、経済を再生させていく上においては、賃金の上昇、そして、それによって消費の拡大につながっていくという経済の好循環を実現することが極めて重要であります。その観点から、政労使の会議を立ち上げ、政府からも、この好循環に入っていくためにも経営者の皆さんに協力をしていただきたい、こういう異例のお願いをしたところでございます。
その結果、ことしの春闘では、連合が先日、四日でありますが、公表した集計結果によりますと、月例賃金について、一人当たりの平均賃上げ額が五千九百八十一円、賃上げ率は二・〇八%、過去十年の同時期比で見て最高の水準となっております。
また、経団連が先月発表した集計結果によりますと、大手企業ではありますが、夏の一時金は、前年と同一企業比で、加重平均で八・八%増、八十八万九千四十六円、これは過去三十年間で最高の伸び率になってきているなど、近年にない賃上げの動きが力強く広がっております。デフレ脱却と経済再生に向けた大きな原動力となると手応えを感じているところでございます。
こうした賃上げの動きを継続していくことが大切でありまして、ことしだけではなくて来年もそういう結果が出てくるように全力を尽くしていきたい、経済の好循環を実現していきたいと思います。
こうした好循環を持続的なものとするために、成長戦略の改定に向けて、今、御党とも一緒に議論を進めているところでありますが、今は最終段階にあるわけでありまして、この中で、例えば、サービス産業におけるITやデータの活用、そして介護従事者の負担を下げるロボットの導入などによりイノベーションを推進していくとともに、また、コーポレートガバナンスを強化していくことで収益性、生産性向上を重視した企業経営を後押ししていくことなど、労働生産性を高めるための施策をしっかりと盛り込んでいきたいと考えておりますし、インパクトのある政策パッケージを取りまとめて、日本経済全体が一変するとのメッセージを強力に打ち出していく考えであります。
○伊藤(渉)委員 ありがとうございます。
総理の発信は大変強いメッセージを持ちますので、引き続き、中小・小規模企業、ここに対しての総理のバックアップとなる力強い御発言をこれからもぜひともお願いしたいと思います。
次に、これも再三取り上げられておることですけれども、建設産業の人手不足の対応について、太田国土交通大臣にお伺いをいたします。
今回の決算対象となる平成二十一年から二十三年の三カ年を含めまして、公共投資の削減や常軌を逸した価格下落が続きまして、結果として担い手の減少が生じ、ここに来て、その問題が顕在化をしてきてしまいました。最盛期、平成九年には四百五十五万人いた建設技能者は、平成二十二年には三百三十一万人まで減少をいたしました。その後の取り組みで、平成二十五年現在、三百三十八万人まで回復をしてきたという状況でございます。
一昨年の政権交代後、太田国土交通大臣による、二度にわたって約二割の労務単価の引き上げ、防災、減災という観点から安定した公共投資の実現、また、今国会では、議員立法により公共工事の品質確保の促進に関する法律、及び建設業法等の改正を実施し、将来にわたっての公共工事の品質の確保、それを可能にする中長期的な担い手の育成、確保、ダンピング受注の防止、下請契約を含む請負契約の適正化、そこに従事する者の賃金、安全衛生等の労働環境の改善、それらを可能にするために必要な多様な入札制度の導入、活用が法律に明記されたことは、画期的なことでございます。
また、メンテナンス元年と銘打たれまして、昨年より、防災、減災への取り組みの一環として、インフラの長寿命化計画の策定も本格化をし、着実に環境の整備が進み始めております。
結果として、現場の状況は改善の傾向をたどっておりますものの、まだまだ技能労働者の不足が深刻であると、つい先日も建設業界の皆様との懇談の中でお伺いをしたところでございます。
そこで、お伺いをいたします。
これまでの離職者の復帰や、次世代を担う若手の入職者の拡大、業界全体の質の向上に資する社会保険加入の推進など、建設業界全般の根本的な立て直しに全力を挙げていただいていると承知をしておりますけれども、さらなる取り組みと今後の見通しについて、太田国土交通大臣の御所見と御決意をお伺いいたします。
○太田国務大臣 御指摘のとおり、人材をどう確保するかということは、これから、建設業界のみならず各分野で、人手不足、そして担い手不足、特にブルーカラーといいますか職人さん、そうした者が不足をしてくる、これにどう対応するか、どう支援するかということが大きな課題だというふうに思っています。
外国人の方にもということで、外国人材の活用ということにつきまして、緊急措置を四月にとらせていただいたんですが、何といっても日本国内の人材ということが大事だというふうに思います。年齢がいっている、高齢化しているから現場に立てないと言っているような状況があったわけですが、実は、これから公共事業も大事な役割であるということが認識をされてきまして、ここに戻ってきているという状況がございます。
次の、若者をどう育てるかということでは、何といっても処遇改善ということが大事、それから、この業種に誇りが持てるということが大事、そして、企業経営的にも長い間ずっと見通しがきくということをすることが大事。これらのことを受けまして、労務単価の引き上げ等もさせていただいているところです。
あわせて、女性の活用、女性が活躍をしていただける。建設業界、土木の場合はドボジョという名前がついているそうでありますけれども、建設業界でも非常に活躍を現実にしていただいているので、女性の活躍ということについてもしっかりと支援をしていきたいというふうに思っておるところであります。
○伊藤(渉)委員 現場のことをよく理解いただいている大臣として、業界からも大変期待が高いので、引き続きの取り組みをよろしくお願いしたいと思います。
次に、成長戦略のかなめになる科学技術イノベーションの取り組みについて、山本一太担当大臣にお伺いをいたします。
理化学研究所のSTAP細胞の問題によりまして日本の科学技術の信頼が損なわれてしまったことは、まことに遺憾でございます。再発防止の確立、ガバナンスの強化を急いで、再建に向けて全力で取り組んでいただきたいと思います。
時間も迫ってきておりますので、早速質問に入りますけれども、この科学技術の施策でございますけれども、現場にはまだまだたくさんのシーズがあろうかと思います。こうしたシーズを形にするためには、科学技術施策に精通をした鋭い目を持った人を、もっと積極的に現場に近いところに予算と権限を与えて投入して、日本じゅうを行脚しながらこの成長の種、シーズを発見して実業化に向けての橋渡しを担っていく、いわゆる目ききをさらに組織として強化をして、世界で最もイノベーションに適した国の実現に向けて取り組みをしていくべき、こう考えますけれども、山本一太担当大臣の御所見をお伺いいたします。
○山本国務大臣 イノベーションの鍵となる技術の芽は、委員おっしゃったように、すぐれた中小企業にもあると思います。世界で最もイノベーションに適した国の実現に向けて、目ききの役割を行う人材が重要だというのは、まさに御指摘のとおりだと思います。
五月二十三日の総合科学技術・イノベーション会議に原案が提出されました科学技術イノベーション総合戦略二〇一四、この中で、イノベーションの触媒、目ききの役割を担う人材、具体的に言うと、ニーズを適時的確に把握し、ニーズに応える提案ができる人材等のことですが、こうした方々が不可欠となっているとしておりまして、これらの人材を国全体で継続的かつ安定的に育成、確保する仕組みの整備を重点的に推進するという一文を挿入しております。
アメリカの国防高等研究局、委員御存じだと思いますが、DARPAのプログラムマネジャーは、ある技術がどういうところに使えるかということを探るために、実は、全国の研究現場を渡り歩いております。
これを参考にして、過去の概念を覆すようなイノベーションの種となるハイリスク、ハイインパクトな研究を推進する革新的研究開発推進プログラム、いわゆるImPACTですが、ImPACTにおいても、プログラムマネジャーが、新たなイノベーションのシーズに関して、必要な技術は何なのか、誰がその技術を持っているのか、これをみずからの足で稼いで調査をして、プログラムを組み立てていく、こういう仕組みを取り入れております。
こうした取り組みを通じて、世界で最もイノベーションに適した国の実現に努めてまいりたいと思います。
○伊藤(渉)委員 最後、端的にお伺いします。
四面を海に囲まれた我が国にとって、海上輸送を支える海運、造船、舶用工業といった海事及び港湾産業、これは極めて重要な役割を担っておりますが、これまでの決算から見ても、まだまだ我が国の取り組みは不十分と指摘をせざるを得ません。
世界の海上貿易を担っている海事産業は、グローバルな国際経済の動きと極めて密接な関係を有しており、最近では、著しい成長を見せている海洋石油、天然ガス開発市場など、世界では新しい動きが出てきております。
この新たな成長分野に我が国の海事及び港湾産業の展開を図ることは極めて重要と考えますけれども、今後の展望、取り組みについて、太田国土交通大臣に最後にお伺いをして、私の質問を終わります。
○太田国務大臣 海洋国家日本として、造船を初めとして大きく活躍をして成長を図ってきたというのは事実でありますが、さらに、石油、天然ガス開発、そうしたことについてもこうした技術が生きるということ、これが成長につながっていくというふうに思っています。
ブラジル等でもう既に始まっておりますが、この技術を生かして、掘削船とかあるいは基地、こうしたことを造船業の延長線上でやる、これは非常に大きな力になると思いますし、海運会社も石油の生産等々について力を入れている。
パナマ運河が来年いよいよ拡大されて、そして、世界の物流は、シェールガスを初めとして、大きく流れが変わり、北極海航路も動き出している。こういう中で、日本のすぐれた技術を生かして成長に結びつけていくよう、しっかりバックアップしたいというふうに考えておるところでございます。
○伊藤(渉)委員 ありがとうございました。以上で終わります。
○松浪委員長 次に、山井和則君。
○山井委員 まず最初に、民主党を代表しまして、桂宮様の御薨去に対しまして、心より御冥福をお祈り申し上げたいと思います。
三十分の質問時間をいただきまして、ありがとうございます。私からは、決算とも関連しまして、このたびの成長戦略、そしてその目玉について、御質問を安倍総理にさせていただきたいと思っております。安倍総理には全て質問通告をさせていただきましたので、総理の答弁をお願い申し上げます。
今回、成長戦略という中で、五月一日、イギリス・ロンドンで安倍総理は講演をされました。こちらのフリップにございますように、有名な講演ですね。ドリルの刃となって労働改革と年金運用改革を、ドリルの刃となってやっていくと。
どんな改革をするのかなと思いましたら、ここに書いてありますように、「労働の制度は、新しい時代の、新しい働き方に合わせ、見直しを進めます。」これを、「ドリルの刃は、最大速度で回転しています。」
ドリルの刃を最大速度で回転して労働改革をしていく。具体的にどういうことかと思いましたら、残業代ゼロ制度、別名ホワイトカラーエグゼンプション。安倍総理が第一次安倍政権で行われようとして頓挫をしたのが、この残業代ゼロ制度でありました。
簡単に御説明をさせていただきますと、残業代は、管理職には払われておりません。管理職以外の一般社員には、労働基準法によりまして、残業代が払われているわけであります。しかし、今回の残業代ゼロ制度というのは、一般社員であっても残業代をゼロにしていく、そういう制度でありまして、この制度、今、年収が一千万円以上とかいろいろ議論は出ておりますが、どんどんこの年収要件が下がって拡大していってしまうのではないかというふうに私は心配をしております。
実際、きょうも配付資料に書きましたけれども、七年前、第一次安倍政権で取り組まれたときは、日本経団連が年収四百万円以上ということを要望されたわけですね。ところが、最終的に年収九百万円以上で何とかやろうとした。
しかし、次の資料にもありますように、二〇〇七年一月十七日。十六日に決定があったわけですね、現段階で国民の理解が得られていると思えないというふうに安倍総理が述べられて、この残業代ゼロ法案というのは、七年前に一度、安倍総理が断念をされたわけです。
そして今回、下に産経新聞も配付資料でありますけれども、「対象は年収一千万円以上 残業代ゼロ 関係閣僚が合意」。産経新聞の六月十二日の朝刊に記事が出ております。
そこで、安倍総理にお伺いしたいんですが、七年前、第一次安倍政権で、この残業代ゼロ、ホワイトカラーエグゼンプションができなかった。今回、成長戦略の目玉としてやろうとされている。七年前に頓挫した残業代ゼロ制度と今回の残業代ゼロ制度、どのように違うんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 そもそも、まず、委員は、残業代ゼロ、そういうレッテルを張っていますが、さすがに、そのレッテルにもちょっと自信がないのでクエスチョンマークをつけているようでありますけれども、そういう考えでは全く考え方が異なるわけであります。
創造的な仕事と能力を持った方々を、どれだけ長く働いたかということで評価することが適切だとは言えないわけでありまして、日本人の創造性を解き放って付加価値を高めていくためには、残業代という概念がないような時間で働く、そういう人々がそういう世界で成果を上げていく、上がった成果に対して評価をしていくことが大切であります。極めてクリエーティブな仕事をしている人たちにとっては、いわば時間という制約ではなくて、そういうひらめきが起こったら集中的に仕事をしていくわけでありまして、そこで結果を出していくということになります。それが、短時間で成果が上がる場合もあるわけであります。
そしてさらに、私から、希望しない人には適用しない。そもそも、希望しない人には適用されないんです。そして、対象は、職務の範囲が明確で、高い職業能力を持つ人材に限定をします。それ以外の一般の勤労者の方々は対象にしません。そして、働き方の選択によって賃金が下がることのないように、しっかりと手当てをしてまいります。それを前提として検討するように、関係閣僚に対して指示をしたところであります。
今の御説明をすると、最初、山井委員が話されたときに、大変なことが始まるのかなと思った多くの方は御安心をしていただいたのではないか、こう思うところであります。
そこで、私の目指す労働改革は、子育て、介護等の事情を抱える方、高度な専門性を持つプロフェッショナルな方など、さまざまな方が柔軟に働き方を選べるようにするものであります。現在、政府内部で検討を進めているところでありまして、今後、与党とも協議を行いまして、成長戦略の改定に向けてしっかりと方向性を出していきたい。その上において、制度の詳細について、今後、関係審議会において検討を行うこととしているところであります。
いずれにいたしましても、労働環境は大きく変わったわけでありまして、春闘で直近十年間で最高水準の賃上げを実現し、そしてボーナスにおいても過去三十年間で最高の伸び率、有効求人倍率は政権をとって以来十七カ月連続で改善をしているわけであります。
つまり、その中におきまして、使用者側もいい環境、いい賃金を提供しなければ、だんだん人が集まってこなくなっているという状況ができつつあるということも申し添えておきたいと思います。
○山井委員 最初に申し上げますが、きょう配付資料にも書いておりますが、別に残業代ゼロと私だけが呼んでいるわけではなく、朝日新聞でも産経新聞でもそういうふうに報道されているということを申し上げたいと思います。
そしてまた、安倍総理は、本人が希望しないとこの制度の対象にならないということですが、これは幹部候補生などが対象になると言われていますが、やはりそれは、上司や会社側から、こういう制度を将来の幹部であるあなたにはやってほしいと言われたら、なかなか本人は断れない、そういうものだというふうに私は思います。
おまけに、安倍総理、今私が質問したことに結局お答えになりませんでしたね。七年前には、現段階では国民の理解が得られていると思えないといって断念をされたんです、この制度、ホワイトカラーエグゼンプション、残業代ゼロ制度。今回とどう違うんですか。
○安倍内閣総理大臣 前回も、その制度自体が悪かったのかどうかということよりも、残念ながら理解が得られていなかったということであります。
そして、もう既に山井委員が御指摘になったように、今回は一千万円以上ということでございますし、そしてまた、国民の理解を得る上において、今こういう機会も与えていただいておりますので、御本人がそもそも了解をしなければそれは適用にならないということも含めて、今、条件を明示させていただいたところでございます。
そういうことも含めて、国民の皆様に対する理解を進めていくことがこれからは十分に可能ではないか、こう考えている次第でございまして、その点が七年前とは大きく違うというところでございます。
○山井委員 七年前でも、本人の了解が必要なのは、そんなことは当たり前だと私は思いますし、結局、七年前は九百万円以上で失敗したから今回は一千万円以上ということかというふうに思います。
そこで、これについては、経団連の方からは、少なくとも一〇%程度の方を対象にしてほしい、そういう要望が来ているわけであります。「全労働者の一割は対象に」と、少なくともというふうに経団連の会長はおっしゃっておられます。
ということは、全労働者は五千万人おられますから、一割ということは、五百万人ぐらい対象にするようにということを要望されております。さらに、七年前の要望でも、四百万円以上というのが経団連の要望でありました。
そこで、安倍総理にお伺いしたいんですが、今、一千万円以上ということを安倍総理おっしゃいましたけれども、これはずっと一千万円以上なんですか。それとも、この制度を導入して何年かたったら、八百万円や六百万円というふうに年収要件が下がる可能性はあるんですか。安倍総理、お願いいたします。
○田村国務大臣 今総理からお話がありましたとおり、成長戦略の改訂版に載せるべく、今検討をいたしております。
これは骨格が決まってまいりましたら制度設計するわけでありまして、制度設計の中で、少なくとも一千万以上というような言い方をいたしておりますけれども、妥当な、つまり、今委員がおっしゃられたとおり、例えば、労働者が納得しなくたって、そう迫られたらそうせざるを得ないんじゃないかと言われましたが、そのような交渉力のある、そのような金額というのはどれぐらい給与をもらわれている方であろうと。
あわせて申し上げれば、先ほど、以前のホワイトカラーエグゼンプションと一緒じゃないかと言われましたが、これに関しては、以前は、まさに自己管理型の労働制、課長さんのことを言われましたよね、労働時間を自分で管理できる、そういうような視点から前回は提案をさせていただいたわけでありますが、今回は、成果を評価する、労働時間ではかるのではなくて成果を評価する働き方、こういう方々に限定をいたしておりますので、おのずから変わってくるわけでございます。
そういうところを含めて、交渉力のある、そういう年収、こういうものを設定してまいりたい、詳細が決まった上で、その後のいろいろなことは形を示してまいりたい、このように考えております。
○山井委員 安倍総理、質問通告もしておりますので、安倍総理からお答えください。ここは重要なところです。
なぜならば、国民にとっては、一千万円以上の方々だけの話なのか、導入時はそうだけれども、将来的に八百万円、六百万円と年収要件が下がってくるかは非常に重要な、重要な問題ですから、安倍総理、お答えください。安倍総理、お答えください。単純な質問ですから、安倍総理、これは成長戦略の目玉と……(安倍内閣総理大臣「事実関係だから」と呼ぶ)違います、安倍総理の考えを聞いているんです。質問通告もしていますので、安倍総理、お願いいたします。
○松浪委員長 田村大臣、手短にお願いします。
○田村国務大臣 今から、まず、金額がどうなるか、これは話し合って決めていきます。その後に関しましては、経済状況もいろいろと変わってまいります。先ほども言いました、交渉力のある年収は幾らであるか、そういうことを勘案して、その後に関していろいろな議論をしてまいるということであります。
○山井委員 安倍総理、逃げないでください。質問通告もしっかりしてあります。この年収要件は下がる可能性はあるんですか。
○安倍内閣総理大臣 これは担当大臣がいるんですから。あなたが聞いているのは事実関係でしょう。(山井委員「違います。総理の考えを聞いております。」と呼ぶ)いや、ですから、私の考えというよりも、厚生労働大臣がお答えしていることが事実ですよ。これは厚生労働大臣に任せているんですから。ですから、交渉力のあるということで、現在では一千万円ですよ。
つまり、これは、だんだん、今、労働市場もタイトになっている中において、かつ一千万円以上であれば、企業にとってその人材は絶対に必要なんですよ。つまり、そういう人材が必要の中において、その中で、あなたはどういう働き方がいいですかという中において選択をしていく、そういう時代なんですよ。山井さんもちょっと考え方が大分もう古いんですよね、はっきりと申し上げまして。新しい時代で、グローバルの中で勝ち抜いていかなければいけない、企業も勝ち抜いていかなければ雇用も確保できないんですよ。よって、国民にとっても、しっかりと収入の場が確保できないという中にあるわけですね。
その中で、今大臣がお答えをしたように、現時点では一千万円ということが目安になるわけでありまして、しかし、経済というのは生き物ですから、これは、我々は今、デフレ脱却はできていませんが、デフレではないという状況をつくりました。完全にデフレ脱却をして、物価安定目標に向かってちゃんと進んでいけば、これは一千万円がむしろ、だんだん状況としては上がっていくということになります。
しかし、逆に、世界経済が大きく変化する中において、これは、いわば、お金の価値がまた変わってくれば、それは当然そういうことが起こるわけでありますが、いずれにいたしましても、今、ポイントは、大臣がお答えをしたように、いわば、働いている人がしっかりと交渉をするという、交渉力を持つ金額ということで、今答弁をさせていただいたとおりでございます。
○山井委員 これも質問通告してありますので安倍総理に改めて聞きますが、それでは、この法案、労働基準法の改正ということで来年にも出てくるのではないかと思いますが、幾ら以上の年収の方を対象にするということは法案に明記をされるんですか、安倍総理。
○松浪委員長 田村大臣、手短に願います。
○田村国務大臣 先ほど申し上げました。これは成長戦略改訂版の中にこれを盛り込んでまいります。その上で制度設計するわけであります。
これは、当然のごとく、いろいろな議論をします。党内でも議論いたしますが、事業主の代表者、それから労働界の代表者、さらには学識者、こういう方々に入っていただいて、いろいろと議論をいただいて最終的な制度設計に向かっていくわけでありまして、その中において、どのような形で盛り込むか、法案の中に盛り込むのか、ほかの方法であるのか、それはそこでいろいろな議論をさせていただきながら、我々としては、最終的に厚生労働省として、大臣として決定をさせていただきたい、このように考えております。
○山井委員 これは本当に、どんどん年収要件が下がっていくかどうかは、雇用政策にとって一番重要です。
私は、安倍総理がおっしゃってわからないのは、私の考えは古いとおっしゃいますが、私は今、労働時間が延びたり、残業が延びたり、過労死が深刻化する中で、いかに労働者の健康を守っていくか、そして企業を成長させるか、非常に重要な課題だと思っております。残業代をゼロにするのがなぜ新しい考えなのか、よくわかりません。
今も、法案に年収要件の額を入れるのかどうかわからないという無責任な答弁が田村大臣からありましたが、安倍総理に改めてお伺いをさせていただきます。
千二百万円の年収要件で有料職業紹介の規制緩和、これは、年収千二百万円以上の経営管理者、科学技術者からの手数料徴収を容認するということで、規制緩和が二〇〇二年にされました。しかし、何と翌年にはもう五百万円も下がって、七百万円以上の方には手数料徴収を容認すると。国会審議を経ずに、政省令や告示の変更で簡単に年収要件というのは下がってしまいます。
ですから、私は安倍総理にお聞きしたいのは、一千万円、一千万円とおっしゃいますが、これが将来八百万や六百万、中所得者に下がるのかどうかというのは、国民が一番知りたいことなんです。安倍総理が、ドリルの刃となって最大速度で回転して労働改革していく。この一千万円の収入要件というのは、将来この有料職業紹介のように下がる可能性はありますか、安倍総理。
○安倍内閣総理大臣 これは、もう田村大臣が答えて、先ほど私が答えたことが全てでありますが、要は、今、山井委員は、過労死をするかもしれないような人たちはどうするんだと。それは絶対あってはならないことでありますから、我々はそれをしっかりとやらなければいけない。
そういう意味においては、労働基準局もちゃんとさらにその仕事を徹底していくというのは当然のことであります。そのことをより一層ちゃんと徹底していくということを前提に、かつ、今回の新たな労働時間制度については、希望しない人には適用しない、そして対象は、職務の範囲が明確で、高い職業能力を持つ人材に限定をしていく、それ以外の一般の勤労者の方々は対象にしない、そしてさらに、働き方の選択によって賃金が下がることがない、この三原則の中において対応していくということであります。
その絶対額については、今後、経済の状況が変化をしていく中にあって、その金額がどうかということはありますよ。しかしそれは、今の段階で、言われている八百万円とか六百万円という水準の方々に、今の物価水準等において、賃金水準においてそういう方々に適用ということは、今はもちろん、それはこの三原則から外れるわけでありますし、そこのところは、今後もこの三原則は変わらないということであります。
○山井委員 ということは、安倍総理、これは重要なことです、労働者派遣法でも、最初は少しだけ緩和しますが、どんどんどんどん拡大していっているんですね。ですから私は、今回この一千万円というのがアリの一穴になるのではないかというふうに、金額がどんどん下がっていくのではないか。実際、有料職業紹介では、千二百万が翌年に七百万円に下がっているんです。国会審議もなしに下がっているんです。
安倍総理、そうしたらお聞きしますが、五年後も十年後も一千万円から下がらないということでよろしいですか。安倍総理、安倍総理、お願いします。(発言する者あり)
○松浪委員長 御静粛に願います。
○安倍内閣総理大臣 経済というのは生き物ですから、将来の全体の賃金水準、そして物価水準というのは、これはなかなかわからないわけですよ。
そこで、例えば年金においても、安定的な制度とするために、年金額も、物価が下がっていけば、物価スライドでこれは下がっていくじゃないですか。四月から下がった。これは民主党も賛成したわけですね。つまり、その意味において、では、例えば十年前に、十年後に年金額は絶対下がらないんですねと言われても、それは答えられないわけでありまして、それは、現役との関係において代替率がこれぐらいですよという形で答えていくわけであります。
ですから、先ほど来申し上げておりますように、現在の段階における賃金の全体的な状況からすれば、今の一千万円ということであれば、今の段階で八百万円、あるいは六百万円、四百万円の方々は、それは当然入らないということは明確であります。そして、今後については、先ほど申し上げましたような三原則にのっとってしっかりと進めていくということであります。
○山井委員 そこをはっきりしていただきたいと思います。
三原則の中には年収要件は入っておりませんから、今後については、八百万や六百万に下がる可能性は否定されないということでよろしいですか。総理。
○田村国務大臣 総理が何度も申しておりますけれども、要するに、お金の価値がどうなるかという問題は当然ありますよね。例えば、仮に、所得水準がみんな一遍に下がっていって今の十分の一になったときとは違うわけですよね、これは。ですから、そういうような経済の状況だとか所得の状況に応じてどうなるかということは、将来は、これはなかなか予見できないことであります。
ただ、一つ言えることは、山井委員が思い描いておられるような方々、つまり、それほど所得が多くない、働いている方全般の中で余り所得が多くない方々まで適用にすることは考えていないわけであります。あくまでも、仕事をする、労働契約を結ぶときに交渉力のある方、このような職務ならば私としてはこれは労働契約は結べないと言えるような、そんな交渉能力のあるような方ということでありますから、そのような年収をしっかりと稼げる方であります。
○山井委員 いや、私がこういうことを聞いているのは、先ほども言いましたように、経団連は、現に、少なくとも一〇%、五千万人の労働者からすれば五百万人は適用されるようにということを要望しているわけですね。それで、四百万円以上という年収要件を七年前に要望しておられる、実際に。だから私は聞いているわけです。
それで、安倍総理も逃げておられるのは、今後は三要件とおっしゃいましたが、三要件の中には肝心の年収要件は入っていないんです。
安倍総理、今後も年収要件は、物価の変動とかはいいですよ、それよりも大幅に下がるということはないということでいいですか。それによって、国民はそのことを一番今知りたがっているわけですから、安倍総理、お願いいたします。
○安倍内閣総理大臣 これは、繰り返しになりますが、希望しない人には適用しないというわけでありますし、また、ポイントの一つは、対象が、職務の範囲が明確で、高い職業能力を持つ人材に限定をしている、そこにポイントがあるわけでありまして、その中において、我々は大体一千万円という年収の額をお示ししているわけでありまして、ここは、我々がまさに一つの考え方としてお示しをしているということであります。
いわば、この一千万円というラインにおいて、この三要件というもので現在考えているわけでございまして……(山井委員「今後は」と呼ぶ)今後については、先ほど来、田村大臣もお答えをさせていただきましたように、それは、全体の賃金水準、あるいは物価動向もありますが、そういうものも勘案しながら当然それは決まっていくということになるんだろうと思いますが、それであっても、この三要件は変わらないということになるわけであります。
○山井委員 ということは、この三要件には年収要件は入っていませんから、将来的には年収は幾らになるかわからない。ということは、経団連が言っているように、四百万円以上とか、全労働者の一〇%ということになる可能性もあるわけですか、安倍総理。
○安倍内閣総理大臣 それは将来の予測ですから、これはわかりませんよ。
例えば、国会議員の歳費だってわかりませんよ、十年後、幾らになっているか。それは全体の平均収入とかかわりがあるわけでありますから、全体の平均収入が果たして今、絶対幾らかということは、絶対そうだということは明確には言えないわけであります。
もちろん、今、置かれている予測値はありますよ。この予測値で、我々がしっかりと二%の物価安定目標を達成して三%の成長をしていくということであれば、一千万円を切るということはもちろんないわけでありますが、しかし、それが絶対そうだとは、絶対とは経済においては言えないのは当たり前でありまして、そこは市場主義の経済でありますから、それはないわけでありますが、繰り返しになりますが、我々は三条件、経団連の言っていることと、私たちは政府として今申し上げていることでありますから、そこは違うわけでありますから、私たちは、申し上げていることは、この三条件の範囲、これは明確であるということでございます。
○山井委員 今、三条件、三条件とおっしゃっていますが、重要なのは、この三条件には、ここに書いてありますように、「希望しない人には、適用しない。」「対象を絞り込む。」「賃金が減ることの無いように適正な処遇を確保する。」ということで、肝心の年収要件は入っていないんです。
ですから、改めてお聞きしますが、この三要件、これは、はっきり言いまして、どうとでも解釈できるんですね。非常に曖昧な定義です。ですから、私も、今、安倍総理が将来のことはわからないと言ったのは非常にびっくりしました。ということは、この三要件には年収要件は入っていないということは、将来、経団連が要望しているような、一〇%、五百万人程度、あるいは四百万円の年収制限ということにもなる可能性があるかもしれないということですか、安倍総理。
○安倍内閣総理大臣 制度の詳細におきましては、先ほど申し上げましたように、今後、関係審議会で行うことになります。その審議会で行う上においては、先ほど申し上げました三要件の上に、この詳細な設計を行っていくということになります。
○山井委員 安倍総理、今、制度の詳細とおっしゃいましたが、年収要件が一千万円なのか四百万円なのかは詳細じゃないんです。これは根本なんです。
高所得者だけなのか、中所得者まで入るのか。国民が一番不安に思っているのは、ただでさえ、今、生活が苦しい、また長時間労働がある、その中で、私は高所得者にこの残業代ゼロ制度も反対ですが、中所得者に入るのはもっともっと反対ですから、安倍総理、そうしたら、これは中所得者に将来的にもしかしたら、この三要件に合致したら、中所得者の方も残業代ゼロ制度が入る可能性があるということですか。安倍総理。
○松浪委員長 田村大臣、手短に願います。
○田村国務大臣 何度も申し上げておりますが、職務の範囲が明確で、職業能力の高い方が対象、これに絞り込むというふうに総理から我々は指示をいただいておるわけであります。そういう方がどういう方かということをお考えいただければ、それはもう御理解いただけるんじゃないのか。
多分、山井委員が思い描いておられるような方は、対象にならないということであります。
○山井委員 これは国民の皆さんも非常に心配しているところです。残業代がなくなって賃金が減るんじゃないか、残業代がなくなって長時間労働になるんじゃないか。
安倍総理、これは、中所得者には将来的には絶対に広がらないということでよろしいですか。というのが、この三条件だと、中所得者も入りますよ、中所得者で専門的能力が高い人は入る危険性がありますから。いかがですか、安倍総理。
○安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、我々の方は一千万円ということを目途としているわけであります。そして、当然、その人は、希望しない人には適用しないという中において、交渉力がある人、山井さんが言った御懸念が顕在化しないような、そういう対象を思い描いているわけであります。
まさに、創造的な仕事をしている、専門性の高い仕事をしている、そういう人たちが、むしろ、今の労働時間制では、その範疇の中で仕事をしていることによってかえって効率性が下がるという方々もおられるわけでありますから、そういう方々に、選択肢、もっと自分の生産性を上げていきたい、自分の能力を生かしていきたいという人、もっと自分の能力を開花したいという人たちにそういう働き方ができるようにしていく、そういう制度であるということを重ねて申し上げたいと思います。(発言する者あり)
○山井委員 この委員会席から、本人の希望なんだ、本人の希望なんだとおっしゃいますが、私はそれは机上の空論だと思います。幹部候補生で残業代ゼロの制度でやってくれと言われたら、それは多くのサラリーマンの方々は断ることがなかなかできません。
それに、安倍総理、今もお答えになっていなかったのが、希望しない人には適用しないということですが、もう時間が来ましたので最後に一問だけお聞きしますが、最後にお答えください、中所得者にはこの三条件に合致しても適用しないんですか、するんですか。安倍総理、最後お願いします。安倍総理、逃げないでください、これは大事な質問です。中所得者には適用するんですか、しないんですか。(発言する者あり)
○松浪委員長 御静粛に願います。御静粛に願います。(山井委員「安倍総理、最後の質問ですからお答えください。中所得者には適用するんですか、しないんですか、安倍総理」と呼ぶ)
田村大臣、手短に願います。
○田村国務大臣 何度も申し上げております。時間ではかるのではないんです。成果ではかるような、そういうような職種、能力のある方、そういう方にまさに適用するわけでございますので、その十分に合致するような年収の方だというふうに御理解ください。
○山井委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○松浪委員長 この際、柚木道義君から関連質疑の申し出があります。山井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。柚木道義君。
○柚木委員 民主党の柚木道義でございます。
安倍総理、よろしくお願いいたします。
先ほど来、山井委員から、雇用制度のあり方について、まさに成長戦略の目玉ということでやりとりがされております。
私は民主党の所属議員ですが、きょうは野党それぞれの委員の方がこの後質問をされます、実は、超党派で、若手を中心に、新しい社会保障制度を考える研究会というのをやっているんですね。その中でこういうことも議論しているんです、まさにこの雇用制度の問題、あり方、いわゆる労働規制緩和、こういったことを進める、進めない、あるいは進めるにしてもそのやり方、それによって本当に生産性が高まっていくのかどうなのか。
例えば、御存じのことと思いますが、北欧の事例では、デンマークなどでは、フレキシキュリティー、つまりフレキシビリティーとセキュリティー、まさに柔軟性と安全性をセットにして、柔軟な、そういった雇用環境をつくり出すその前提として、日本よりもはるかに手厚い、例えば失業給付の額、期間、さらには若年層への戦略的な雇用支援、日本の予算の三倍以上をかけて北欧諸国がやっている。
そういったあり方であったり、そのフレキシキュリティーのまさにモデルともなっているフィンランドでも、御案内だと思いますが、日本は世界で男女共同参画百五位、これからの脱却、総理がまさにおっしゃっていることと私も共通しますが、他方で、こういったことを進めていく上では、単に産業技術のイノベーションだけではなくて、まさにワーク・ライフ・バランス・イノベーションともいうべき、制度のイノベーション、これをセットで進めていくことが、フィンランドは〇一から〇四年まで国際競争力世界一位です、その相乗効果で世界一位の座を獲得しているということを、この間、大使館の方とやりとりしたら、おっしゃっていました。
あるいは、オランダの事例もあります。日本のようないわゆる雇用維持型のワークシェアではなくて、本当に、同一労働同一賃金、そしてワークシェアを組み合わせて、雇用創出型の、そしてまた、それがワーク・ライフ・バランスを前に進めていくというような、戦略的な、まさにワーク・ライフ・バランス・イノベーションともいうべき施策を取り組んで、これも日本ともやはり大きく、規制緩和の中でも派遣労働の話、同一労働同一賃金セットであればそういったことも当然実現していくわけですが、そうではない。
いろいろな視点から、実は超党派で議論しているわけです。つまり、まさに成長戦略、労働生産性、予算の使い方、決算のあり方、直結する議論をさせていただいているわけです。
その中で、私、先ほどの問題の中で、一つ気になることがあるんですね。残業代ゼロ制度、言う言わない、それは報道のあり方もあるでしょう、しかし、後ろで聞いている官僚の皆さんが笑っているんですね、この議論を。
安倍総理、このホワイトカラーエグゼンプション、残業代ゼロ制度は、公務員の方にも当然適用されるんですね。いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 これまでの議論においては、労働基準法が適用される労働者を想定した議論が行われているわけでありまして、労働基準法が適用されない国家公務員については、現時点で特定の方向性を持つものではありません。
一般論としては、勤務時間や手当に関することも含めて、国家公務員の勤務条件については、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度の中で、民間準拠の原則や公務の特殊性などを踏まえて対応することとされているわけでありまして、地方公務員についても、国家公務員の動向を踏まえて検討していきたいと考えております。
○柚木委員 確認をさせていただきますが、まさに、産業競争力会議、安倍総理が議長をされているこの産業競争力会議のペーパーの中には、残業代ゼロ制度について、公務員の長時間労働問題の是正徹底について年内をめどに検討するということを明記されているんですね。
私が委員会の中でも何度も確認をさせていただきましたらば、今の御答弁もそういう趣旨だと私は理解しますが、残業代ゼロ制度に現段階で公務員の方々は検討対象になっていない、そして、にもかかわらず、時短の方は率先して公務員の皆さんが取り組んでいく、こういう議論に、今、産業競争力会議の中でなっているわけですね。
先ほど来、本当に年収要件をどうするか、これはもちろん、私自身は、総理は率直に御答弁されていて、いろいろな今後の経済状況の中で決まっていくというのは、そういう意味では年収要件も柔軟に運用されるんだろうと理解したわけですが、しかし、そうであるならば、民間の方にはこの制度が適用されて公務員の方々には適用されない、こういうことでは国民の皆さんは納得されないと思いますが、総理、いかがですか。
○田村国務大臣 まず、非現業の国家公務員の方々はエグゼンプションです、労働基準法適用対象外、除外されております。現業の方々、地方公務員の方々は、労働基準法を適用される部分がある。その中において、外れるものもあります。それ相応の中においての、いろいろな制度の中に動いておるわけであります。
我々が先ほど来申し上げておるのは、決して、いろいろな仕事をやっておる、つまり、時間ではかれるような、そういう働き方の方々を対象にしているんじゃないんですよ、これは。成果を評価する、つまり、ワーク・ライフ・バランスも逆にこれでよくなっていただけるような、そういう方々を対象にしておりますので、ちょっと、多分、委員と我々とでは議論がかみ合っていないんじゃないか、このように思うわけでございまして、御理解をいただければありがたいというふうに思います。
○柚木委員 まさに元お役所の方である、安倍総理もよく御存じの、元財務官僚の高橋洋一さんが、この問題についてこういうふうに述べられているんですね。
公務員というのは、まさにエグゼンプションなんだけれども、時間外割り増し、残業代が出るんだ、そういうふうに解説するのがより正しい説明なんだということをおっしゃっていて、その上で、こういうふうに言われているんですね。このホワイトカラーエグゼンプションの議論も、前に進めるのであれば、これはまさに官民イコールフッティングにすべきだ、例えば、労働基準法の適用部分と適用除外を定型部分と非定型部分とで分けて考えればイコールフッティングは可能だ、そういうことを述べているんです。
元官僚の方であってもこういうふうな整理をされているということも含めて、やはり私は、国民の皆さんに対して、今の確かに国家公務員法の中で規定をされているいろいろな賃金のあり方、それも踏まえつつも、やはりイコールフッティングの議論を進めていくということでなければ、これは国民の皆さんから見て、民間の労働者には適用するけれども公務員の方はそれとは別枠ですよ、こういう官民格差のあるような話を、本当に国民の皆さんの、これは私は、きょう、本当に時間があれば一つ一つ丁寧にやっていきたいんですが。
皆さんの資料にもおつけしておりますよ。資料の二をごらんください。
これは、まさに、残業代ゼロ制度を導入すれば労働生産性が上がる、時短につながる、こういう前提で議論していますが、私がこの質問通告でやりとりをしたときに、担当の役所の方は、では、残業代ゼロ制度を導入したら残業は減るんですか、その明確なエビデンスはどこにあるんですかと言ったら、そういったものは特にありません、そういうことをおっしゃるんですよ。
しかし、他方で、ここに書いてありますように、これは裁量労働も含めて、こういったまさに成果主義をより端的な導入を進めていくことによって、逆に、その適用除外者になることで当人の労働時間が平均的に長くなる、これは慶応大学、早稲田大学の方の共同のレポートですが、こういうような逆のエビデンスというのが出てきているんですよ。
何で、残業代ゼロ制度を導入したら残業が減るという科学的な根拠がないのに、これが成長戦略の目玉になるのか、こういう視点もあります。
それから、それ以降の資料の三、四、五、六ページもごらんください。労災の認定件数であります。これは過去最多です、最新の二十四年度。しかも、自殺をされている方が非常にふえています。そして、それとパラレルな現象でもありますが、パワハラもふえています。
今回、この制度を導入していくことで、その次に新聞報道の記事もつけております。
例えば、金融機関などで働かれる方、一千万円以上、対象になられる方、当然想定されます。まさにそういった方が、本当に断るなんという選択肢はなかった、自分も、そういう形で新しい制度で頑張らないかと言われて同意をした。あるいは、休日に手当すらつかない中で、上司の決裁がなければ仕事も進まず、裁量といっても自分で労働時間なんてコントロールできない、単なる残業代不払い制度だという心配を現場の方がされている。そして最後に、下線を引いておきましたが、「残業をないものとすれば、時間あたりの生産性は上がるだろうが、働き過ぎを防ぐ解決にはならない。人件費を抑えたい企業側に都合がいい制度だ」と。
つまり、仮に目先の生産性が見かけ上は上がったとしても、例えば、このようないろいろな、過労死、過労自殺、まさに過労死防止法をこの国会の中で成立させよう、そういうさなかで逆行するようなこういう議論が出てきて、そして、もっと言えば、こういった不安定雇用が進んでくると、実は治安も悪化する、そういったレポートもたくさんあるんです。社会的なコストが増大をして、むしろ国全体の生産性が下がる、こういった視点のレポートもある中で、こういった議論が今出てきているということについては、我々はこれは謙虚に受けとめた上で議論していかなければいけないと思うんですね。
改めて、ぜひ、総理に伺いますが、今回、こういう、公務員の方と民間の方とはイコールフッティングで考えるということを研究する、検討するお考えはおありですか。
○安倍内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、今我々が検討しているのは、年収大体一千万円以上に該当する方々であって、そして、いわば創造的な仕事にかかわっている人たち、権限もはっきりをしている、仕事の中身もはっきりをしている、いわば成果主義で働いた方がその人にとっても成果が上がっていく、そういう方々に限っているわけでありまして、そういう方々も、みずから同意をしていくわけでありますから、みずからも、こういう働き方の方が自分の生産性も上がるし、自分のワーク・ライフ・バランスも向上すると考えて判断をするわけでありまして、マイナスではないんですよ、その人にとっても。
ですから、この人にマイナスだから公務員もマイナスにしろという考え方でこの問題を捉えるべきではないんだろう、このように思うわけでありますし、そもそも、先ほど田村大臣が御指摘をさせていただきましたように、労働基準法が適用されていない労働者であるということ、非現業の方々はそうでありますから、それは、今の時点ではこの議論の対象とはしていないということであります。
今後、例えば、では、公務員の中でも、そういうクリエーティブな仕事をしていて、そういう対象があるかどうかということを考えていって、その人たちはむしろそういう働き方をした方がクリエーティブだ、また、生産性も上がってくるし、ワーク・ライフ・バランスも向上されるということになってくるとすれば、それはまた、人事院の勧告制度という中にありますが、そういう中で検討されることはあるかもしれませんが、それは研究していくということはあるかもしれない、このように思います。
いずれにせよ、今回は一千万円を対象にしている人たちですから、その人たちが働き方をこういうふうに変えたからといって治安が悪化するというのは、私は、余りにもそれは飛躍的ではないかと思うわけでありまして、いずれにせよ、働き過ぎを防止するために法令遵守の取り組みを強化する、それを具体化することが労働改革の大前提であるということは、重ねて申し上げておきたいと思います。
○柚木委員 資料の六ページ目にもおつけをしておきましたが、アメリカの事例。
まさに欧米を参考に、今、産業競争力会議で議論がされているわけですが、まさに残業代ゼロ大国とも言われるアメリカでは一歩先を行っているわけでありまして、実は、この制度の導入によってホワイトカラーの実に九割近くが残業代ゼロになって、これがだんだん拡大していってこういう結果になって、さらに、長時間労働がむしろ蔓延して貧困が広がったとして、規制強化に転じているんです。一歩先を行っているはずのアメリカが規制強化に転じている、一周おくれの議論を我が国でしているという見方もできないわけじゃないんです。
こういうことも含めて、ぜひ、もう少し、本当にどういう状況になり得るのかということを、客観的な検証を進めながら、この議論をやるのならやるべきだと思います。
私は、誤解をされないように申し上げておきますと、この残業代ゼロ制度は、官民ともに導入反対です。こんなことをして、まさにアメリカでこういうような状況も起きていて、私は、むしろ賃金が下がることで経済にも悪影響を与えて、マイナスの循環が起こらないかということを心配しているんです。
だから、やるべきではないという前提で、しかし、やるのであれば官民イコールフッティングじゃないと、国民の皆さんから見て不公平じゃないかということを申し上げているんですね。
ちなみに、高橋さんはこういうことも言われています。総理、これは御存じですか、こういう実情を。私は驚きました。先ほど言われたように、クリエーティブな仕事なら結構なんですが、残業のことで、高橋さんが財務官僚のころのことです、ほとんどの部署で総じて言えば、残業をしていない、有名な国会待機も、いわゆる連絡先待機といって、国会質問が来たらすぐに呼び出してくれと誰かに頼んで帰宅していた、しかし、残業をしていないにもかかわらず残業代はしっかりとついていた、残業予算の平等な割り振りのためであると。
こういうことがあるのを、総理、御存じですか。総理です。総理がこういうことを御存じないと、議論をするということですから。
○松浪委員長 田村大臣、手短に願います。
○田村国務大臣 詳しいお話は、また担当の方からお聞きをいただけばいいと思いますが、いいですか、国家公務員で少なくとも一千万円以上の方というのは管理職以上でありまして、管理職は今でも、御承知のとおり、残業代は出ないわけであります。そう考えると、国家公務員適用、適用とおっしゃられますけれども、そもそも対象がどうも違っている。
ましてや、もう少し申し上げれば、アメリカとは働き方が違うんですよ。アメリカはジョブ型で、職務が限定しています。アメリカが基準を上げたのは、導入以来、賃金が上がっているのに一回も限度額を変えていないから、賃金が上がったのに合わせて上げただけの話でありますから。先ほど来、山井委員がおっしゃっておられた、そのような話なわけであります。
いずれにいたしましても、我が国は、何でもやる働き方です。ですから、労働時間で労働量というのをはかっている働き方が多い。
今回はそうじゃないんです、成果で評価できるような、つまり、ある意味、時間をかけても成果が出ないんです。発想力や構想力があって、短い時間でも評価が出る、そういうような働き方、それに限定をいたしておりますので、どうも委員と我々とその対象が違っているので、かみ合わないような気がいたしますが、どうか御理解をいただきますようお願いいたします。
○柚木委員 総理、先ほど私が紹介したような、こういう残業についての実際の役所の現場、もちろん一生懸命対応されている方もいれば、これは一部の事例かもしれません。
しかし、こういうような実情がある中で、今、もちろん国家公務員法上のいろいろな賃金の諸手当がついているわけですが、他方で、国民の皆さん全体を対象として残業代ゼロ制度の議論が進んでいる中で、この残業の今のあり方、一例を紹介したわけですが、こういう状況にあっても、公務員の皆さんはクリエーティブな仕事だから適用の除外でいいんだ、そういう整理で本当に国民の皆さんが納得されるかどうか。
これは総理の御感覚をぜひ御答弁ください。
○安倍内閣総理大臣 先ほど私がクリエーティブな仕事の場合は検討すると言ったのは、そもそもこれは基準法の対象外でありますし、非現業でない方々を対象とはしていないわけでありますが、その中においても、公務員でも研究職の方々がいますから、そういう皆さんは、そういう中で、クリエーティブな仕事であれば、そういう発想があるのであれば、その対象にするという研究もなされてもいい、しかし、当然これは人事院との関連にもなってくる話だということを申し上げたわけでございます。
先ほど来、田村大臣も私も申し上げているとおり、いわば、成果主義と、時間ではかる、これは大分違うわけでありますから。他方、成果は上がっているけれども、周りがみんな残業しているから、むしろ、結果は出ているのに、残業していないと働いていないのではないかということを言われる場合だって、それはあるわけでありまして、これはいろいろな考え方があるんだろうと思いますよ。
つまり、成果主義でいった場合、短時間で自分は成果を出せると思った方は、当然、これは一千万円以上の方々で、自分も同意をして、最終的にはそういう対象になっていくということではないか、このように思います。
○柚木委員 私はやはり、一部の方とかそういうような整理ではなくて、そういう実情もある中で、国民の皆さん、働いている方が、今回、公務員の方の扱いと働いている方一般の扱いとがこういう区分をされることが、本当に、官民格差という受けとめ方をされるんじゃないかという視点を、やはりこの懸念を拭えないんです。
なぜならば、次に、年金基金の運用についても同様の視点を持たざるを得ないからなんです。
これは、GPIFの運用割合を、今後、国内株式運用比率を二〇%程度まで引き上げていく、こういったような方向感が出されているわけですが、そういうことであれば、当然、いわゆる公務員年金も同様に割合を上げていく、こういう整理で、安倍総理、よろしいんですか。安倍総理です。
○松浪委員長 麻生大臣。(柚木委員「済みません、安倍総理で。財務大臣、ごめんなさい、登録をお願いしていませんので」と呼ぶ)
○麻生国務大臣 担当ですので。
現在、国家公務員共済組合連合会とかいろいろ、地方公務員の共済組合もありますが、それから私学共済等々、幾つもあろうと思いますけれども、こういった共済組合というのが幾つもあるのは御存じのとおりなんですが、これにおきます基本ポートフォリオの見直しというものを行って、リスク性の資産の割合を高めたというのは、昨年の十二月に既に、KKR、国家公務員共済の方でこれを行わせていただいたのはもう御存じのとおりです。
したがいまして、今後これが、平成の二十七年には共済年金と厚生年金が一元化をされることになる予定でありますので、そうなりますと、KKRの積立年金の運用というものは、GPIF、いわゆる厚生年金の部分と他の共済との共通の積立金基本方針のもとで実施されることになるということなんだと思っておりますので、そういったものに関しましては、KKRの基本ポートフォリオにも同様のことが求められるということになるんだと思っております、基本的に。合併すればの話ですよ。
○柚木委員 大変恐縮ながら、麻生財務大臣、私も個人的には、青年会議所の大先輩でもあって、尊敬申し上げておりますが、きょうは御登録をお願いしておりませんし、実際に書面にもついておりませんので、ぜひ総理にお伺いさせてください。
総理、この年金の運用については、運用リスクをとることで確かにふえるかもしれません。他方で、減った場合の処理、損失スキームについては全くできておりません。誰が責任をとるかも全く明確ではありません。というか、むしろ、とれません、そんなものは。
国民の皆さんの年金が毀損したとき、特に基礎年金の方々は、年金財政検証の中でも、満額六万四千円が四万五千円になるというような試算まで出ている中で、さらに影響、あおりを受ける可能性もあるんです。そういう中で、では、公務員共済年金の方々はどうかというと、しっかり安全運用しているわけです。今の議論とは違うスキームでこれまで運用してきたわけです。
ですから、私は、今の財務大臣の説明も、これは、現場の役所の方とやりとりした中で、まあ、なるほどなという理解ですよ。確かに、共通のモデルポートフォリオをつくるんです。しかし、それを受けて、それぞれの、国共済なら国共済が自分たちのポートフォリオをつくるわけで、全く同じ運用割合になるわけではないんですね。ということは、まさに、一般国民の皆さんにはリスク運用がより高まっていく方向の中で、公務員の方は安心安全運用、こういう状況が今後も続くということになるんです。
こういう考え方自体を、これは総理、国民の皆さんから見て本当に理解されるかどうか、総理のお言葉でお答えください。
○安倍内閣総理大臣 まず、では、なぜポートフォリオを変えるかということでありまして、それは、損になることをするわけがないじゃないですか、大切な年金をお預かりして運用しているんですから。
そして、我々が政権をとった、事実上、私が総裁になって以降と言ってもいいかもしれませんが、その後、二十四兆円、これは運用はプラスになっているんですよ。そして、なぜそうなったかといえば、成長志向に変わったからであって、デフレから脱却しつつあるんですよ。
デフレ下にあっては、国債を主な運用先にするというのは、それは一つの考え方でありますよ。デフレ下ではなくて、さらに、我々は今、デフレを脱却しようとしている中においては、二%の物価安定目標を達成しようとしている、そして達成しつつある、そして経済が成長しているわけであります。一月、二月、三月は、これは駆け込み需要はあったとはいえ、六・七%という成長を記録したわけであります。
そういう成長をしている中において、同じように国債を中心に運用しているのであれば、むしろ年金の受給者あるいは年金を納めている方々に対して不誠実な運用というふうに言えますよ。そこはしっかりと、ちゃんと先を読んだ運用をするのは私は当然のことではないか、こう考えているわけであります。
そこで、まさに新しいモデルを検討しているわけでありまして、ポートフォリオの見直しを含めて、これはしっかりと機動的に対応していく必要があるんだろうと思います。
そして、国家公務員の共済の年金積立金の運用についても、今後の賃金、物価上昇を視野に入れて、ポートフォリオの見直しを含め、機動的に対応していきます。
また、現在は、国家公務員共済年金は、現役世代に対する受給者の比率が、成熟度と言っていますが、比較的高いことを重視した資産構成になっておりますが、平成二十七年十月の厚生年金と共済年金の財政の一元化に伴いまして、共済年金の資産構成は、今後、GPIFや三共済が共同で定めるモデルポートフォリオに則して定めていくことになるわけであります。具体的な資産構成については、国家公務員共済組合連合会において、専門的知見に基づいて検討されるものと考えております。
○柚木委員 私は、そこはもう見解が異なるかもしれませんが、先ほどの答弁に関して言えば、国民の皆さんは、基本的に、そのポートフォリオ、もちろんいろいろな形で組み合わせてリスクを減らすけれども、リスクゼロということはあり得ない中で、では、リスクをとってまで本当にふやしてほしいと思っているのか、そうではなくて、これ以上は減らないように、まさに財政検証のような形が見えている中で、これ以上減らないでほしいというふうに思っているのか。これについては、もう少し謙虚に、やはり私は、年金をこれから受けられる方、あるいは受給者の方の声をもう少し聞く場があってもいいと思いますよ。
では、もう一遍確認しますけれども、そういう運用の考え方はわかりました、考え方自体は。しかし、では、国内の株式比率、GPIFの運用割合を二〇パーなら二〇パーにしたときに、本当に共済年金の方々というのは同じウエートにするのかしないのか、これについてちょっとわかりやすくお答えいただけませんか。総理です。
○松浪委員長 田村厚生労働大臣、手短に願います。
○田村国務大臣 基本的に、モデルポートフォリオを合わせるわけでありますので、その中で何を買うか、これはそれぞれの共済の御判断でありますけれども、ポートフォリオを合わせていくという意味においては、その比率というものはモデルという形で三共済合わせていく。これはGPIFが示す基本ポートフォリオというものを手本にしてつくっていくということでございますので、中身を買う、その中で何を買うかというのはそれぞれの共済ということになろうというふうに考えております。
○柚木委員 ということは、結果的に、やはりこの運用のリスクについては、当然、同じ運用、ポートフォリオの組み方をしないということですから、官民格差という言い方なのかは別として、違いは出てくると。総理、お答えください。
○安倍内閣総理大臣 先ほど私が答弁をしていることだったんですが、今後、GPIFや三共済が共同で定めるモデルポートフォリオに則して定めていくことになるわけでありまして、つまり、ポートフォリオというのは、国債とか日本の株式あるいは外国の株式等々があるわけでありますから、さまざまな金融商品がありますから、その詳細についてはこれは別途もちろん考えていくわけでありますが、モデルポートフォリオに則して定めていくことになるということであります。
○柚木委員 ということは、では、国内株式の二〇パーなら二〇パーの運用の割合については、これは、一緒になるかどうかというのは、当然、則して考えていくということですから、違うこともあり得るんだと思いますが、そうなると、私はやはり、国民の皆さんから見て、まさにこれは官民格差というか、本当にこれまでも公務員の皆さんは非常に慎重な運用をしてきたわけですよね。そういうようなことに私はなりかねないと。
ポートフォリオの組み方というのはもちろんそれぞれお考えがあるということでしたが、私は、実際の運用のウエート、割合自体もイコールフッティングにすべきだ、やるんだったらもちろん一元化をして、来年一元化するわけですから、事務局機能も含めて、そういった流れを考えていくことの方が国民目線だと思いますよ。
それぞれ、私は、今回の残業代ゼロ制度にしても、あるいは、今国会ではまだ議論に結局なりませんでしたが、派遣労働法の議論にしても、そしてまたこのGPIFの運用にしても、この後本当は法人減税の話もしたいんですが、もう時間がありませんが、それぞれ、これはやはり企業からしてみれば、非常に大企業優遇というか、法人減税も三割が対象ですね、企業は。そして他方で、これは賃上げされたとしても、残業代が仮に下がれば賃上げ効果なんかは吹き飛ぶわけですから。
私が大変不可解なのは、資料の七ページ目にもつけておきましたが、このタイミングで、今回、経団連は新しく会長がかわられましたが、その新会長が、何で経団連の献金が、これは民主党になって中止していたわけですが、再開をするのかということですよ。私の意見じゃなしに、ここに書かれている。労働の規制緩和や法人減税などの、まさにそういった利益誘導を図るようでは国民本位である政策決定をゆがめると。こういう見え方、これは複数の社説でも書かれていますよ。
何で、安倍総理、このタイミングで経団連の献金を再開する必要があるんですか。受け手側の代表としてお答えいただけますか。
○安倍内閣総理大臣 自民党としては、経団連のみならず、党に献金をしていただく方々の浄財で党の運用を行っているわけでございますから、それは、まとまってそれぞれいろいろな団体が献金をしていただくことは大変ありがたいことだと思っておりますが、今回、我々が依頼をしているわけではないわけでございます。ですから、経団連として、今、自主的に、経団連としてのあり方を考える上において一つの考え方を示されたのではないか、こう思っているところでございます。
いずれにいたしましても、繰り返しになりますが、我々、別に、GPIFと公務員の皆さんの年金を、いわば差をつけて、公務員の方を安全にということを考えているわけでは全くないわけでありまして、まさにこれは、少し、今までの運用においても、先ほど申し上げましたように、成熟度が違うということで、年金支払いのための積立金の取り崩し需要も相対的に高いために、満期や元利払いの金額が確定している国内債券への投資をより重視しているところでありまして、今まではそういう運用をしていたわけでありますが、今回はモデルポートフォリオに則して定めることになり、今後、具体的な資産構成については、先ほども申し上げましたが、国家公務員共済組合連合会において、専門的知見に基づき検討されるものと考えているところでございます。
○柚木委員 時間が来たので終わりますが、この経団連の献金のあり方については、相手の方が勝手に下さるんだからいいじゃないですかという議論は、私は決して国民目線ではないということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
太田大臣、済みませんでした。
○松浪委員長 この際、玉木雄一郎君から関連質疑の申し出があります。山井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。玉木雄一郎君。
○玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。
行政監視の観点から、二つの具体的事業を取り上げて質問いたしたいと思います。
まず一つ目は、これは何度も厚生労働委員会で田村大臣とやりとりをさせていただきました、短期集中特別訓練事業です。
お手元の資料一をごらんください。
ニートの方々などに短期の職業訓練を施す。私は事業の目的は否定をいたしません。しかし、少なくとも、この事業、三つの問題があると思っています。
まず一つは、厚生労働省の担当者が、入札公示の前日に、後に一旦落札することになる独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構、いわゆるJEEDに出かけていって、あす、こういう入札公示を行います、金額は二十億です、こういう内容ですということを説明に行っているわけですね。そして、その後、二次会でカラオケに行ったということは田村大臣の答弁からも明らかになりました。つまり、官製談合の疑いがある事業であるということが一点。
二つ目は、二番目に書いていますけれども、これはもともと、天下り団体である中央職業能力開発協会、JAVADAといいますけれども、ここに百四十九億円のお金を補正予算で積んで実施しようとする内容であります。このJAVADAには、実は昨年、会計検査院から、七百五十億の予算が、これは要らないので返せということで、返還をいたしております。しかし、にもかかわらず、その直後に編成をした補正予算で約百五十億の予算をまた積み増して、まるでゾンビのように基金が復活をして、このゾンビ基金から事業を行っているという点が二点目。
そして三点目は、これは田村大臣とも何度もやりとりをさせていただきましたけれども、こういった疑惑が生じたこともあって、一旦落札をしたJEEDさん、辞退をされて、そして二回目の入札をやり直しましたね、田村大臣。しかし、どこも入札に応じるところが出てきませんでした。
そして、出てこないので、(パネルを示す)ここに書いていますけれども、一回目やって、JEEDが一回落としますけれども、疑惑が出て、一回これでだめになります。ワンアウト。二回目、もう一回やったんですけれども、これは誰も出てこなくて、ツーアウトですよ。それで、田村大臣が何度もおっしゃったのは、地域を分割し、また事業を二つに分けて、都合、六つに分けて二つに割りますから、十二の箱ができるわけですね。細かく切って切って、三回目の入札をしました。ある部分については、四地域、出てきましたけれども、例えばキャリア形成のための支援事業についてはどこも応募するところがなかったということで、事実上、三回連続入札がうまくいっていないんですね。スリーアウトです。
にもかかわらず、これをさらにやろうとしているのは、私、問題があると思うんです。
そもそも、この事業は平成二十五年度の補正予算でやりました。これは麻生大臣とも何度もやりとりをしましたけれども、消費税増税に伴って景気が腰折れしてはいかぬということで組んだ予算であります。
しかし、こういうことがあって、執行が大幅におくれています。もう今、暑い夏が来ようとしていますね。もともと補正ですから、二十五年度末までで執行しなきゃいけないのが、二十六年度まで来て、その二十六年度ももう半分終わろうとしていますよ。
大臣、この予算は、やはり一旦ここでこれはやめて、国庫返納するべきじゃないですか、百五十億円。いかがでしょう。
○田村国務大臣 契約をしていく手続の中において、非常に不的確な、そういう行動がありました。でありますから、私も、即座にこれは再入札をかけました。同じ条件じゃなければ、これは公平性が担保できない。しかし、それではやはり、とっていただくところがありませんでした。
言われたとおり、分割しました。分割をして六つのブロックに分けましたけれども、四つは、訓練を実施していただく、そういう事業者はおられました。でありますから、この四つに関しましては、これから事業を実施してまいります。委員もおっしゃったとおり、必要な事業であります。
ただ、残りの二つ、これは、さらにこれから努力しても、なかなか、落札いただける、そういうような予想が我々も立ちません。でありますから、百五十億の中において、七十億、これは四ブロックという形でありますけれども、残りの約半分は、これは国庫返納をさせていただきたい、このように考えております。
あわせて、やはり、JEEDしかなかなか仕事としてとれない、ほかにやれないというもの、これは野党からも御指摘ありました、こういうものに関しては、企画競争入札のような、何でも入札というんじゃなくて、契約のあり方、これはもう一度考えるべきだ、こういう御意見も多かったものでありますから、それに関しましても検討させていただきたい、このように考えております。
○玉木委員 田村大臣、ありがとうございます。
当委員会は決算行政監視委員会なので、しっかりと行政のお金の使い方をチェックして、改めるところがあれば改めていただくという観点から、今、約半額でありますけれども、国庫返納していただくということを明確におっしゃっていただいたので、これは私は評価をしたいと思います。
ただ、大臣、これは無理して執行せずに、これからやっていく中で、キャリア形成のところが出てこなければ、これもやはり余り無理をされずに国庫に返す、これは国民にお金を返すということでありますから、半額にとどまらず、百億、百五十億、場合によっては全額私は返してもいいと思っていますので、そこは冷静に、真摯に検討いただきたいと思います。
二つ目の事業について、またJEED絡みですけれども、取り上げたいと思います。
高齢者を雇ったら、そこに七十万円を上げます、簡単に言うと、こういう事業です。特別会計、労働保険特会の雇用勘定から出ている事業でありますけれども、これはまず事実関係を聞きたいんですが、平成二十五年度、大体二千人強の高齢者をこの事業で対象にしようとしていましたけれども、この二千人強を対象にしていた事業、二十五年度の実績を教えてください。
○岡崎政府参考人 高齢者雇用安定助成金制度、二つのコースがありますが、そのうち、今先生が御指摘になりました雇い入れ助成の方、これは一件のみでございます。
○玉木委員 ちょっと今聞こえにくかったと思うので、テレビをごらんの皆さんも、今の答えをまとめました。(パネルを示す)
これは、七十億の事業ですよ、平成二十五年度。それで、目標は二千人ぐらいを対象にしていて、実績は何と一年間で一人ですよ、一人。
私は、これは、いろいろ、最初の事業なので、一人、ちょっとけしからぬと思いますが、仮に認めるとしましょう。問題は、平成二十五年でこういう実績にもかかわらず、翌年、つまり、今進行している平成二十六年、予算が何とふえているんですよ。私はこれは大きな問題だと思うんです。予算編成の問題だと思います。
そこで、総理にお聞きしたいと思います。
厚生労働省の予算に限りません、実は、今も進行している年度の実績なんかを次の年度の予算編成に反映しにくい構造があります。決算でさえなかなか反映されにくいんですが、現在進行している年度の予算、これはなかなか次の、例えば来年度の二十七年度予算には反映されにくいんですが、総理、これはやはり何らかの工夫をして、次の予算編成にぜひこういった実績、進行の実態を生かすべきだと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 確かに、まず、この決算委員会の役割は、予算が所期の目的のとおり執行されているかどうかということをしっかりとチェックし、そして次の年の予算に反映をさせていくことだろう、このように思いますが、しかし、その仕組みにおいても、なかなかそれが反映されにくくなっているというのは、委員の御指摘のとおりなんだろう、このように思います。
この決算の委員会においてどのような運営をしていくかというのは、まさに国会においてお決めをいただきたい、このように思いますが、今玉木委員が御指摘になった事業につきましては、そうした大きな問題があるのは事実でございますから、執行状況等について厚生労働省において把握をし、事業内容を必要であれば見直しをしていくという指示をしていきたい、このように思っております。
○玉木委員 私、執行率の低い事業をいろいろ見ましたけれども、これはひどいと思いませんか、麻生大臣。財務省の査定というのは何をしているんですかね。こんなのはなかなか見たことがないですよ。
総理に、私、これは最後、提案して終わりたいと思うんですが、法人税の減税を総理は考えておられます。ただ、この事業の原資は雇用保険料です。これは、赤字、黒字に関係なく、企業は雇用保険料を含む社会保険料を払っていますね。税も重いかもしれないけれども、社会保険料負担はとりわけ中小企業は重いんですよ。
こんなことをやって余すのであれば、雇用保険料を下げたらどうですか。私は、これが一番、中小企業も含めた成長戦略になると思います。もしこういうことをやったら、私は中小企業の皆さんもすごい喜んでくれると思いますけれども、最後、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 雇用保険ですから、労働者のための保険でありますから、その中におきまして、高齢者の雇用というのは、雇用保険を払っている人々が将来年をとってそういう雇用の場が与えられる、そして、だんだん高齢者がふえている中において高齢者の活力、人材を生かしていくというのは大切でありますから、その目的としてはよかったんですが、しかし、所期の目的をまさに果たしていないということでありまして、これを、だからやめる、この政策自体をやめるということではなくて、実際に所期の目的を果たすように見直しを行っていくことが大切だろう、このように思います。
○松浪委員長 麻生大臣、手短に願います。
○麻生国務大臣 言いっ放しで、国民に間違ったメッセージが伝わるといかがなものかと思いますので。これは民主党がつくられた予算案ですからね。(玉木委員「違いますよ」と呼ぶ)そうですよ。(玉木委員「二十五年度予算ですよ」と呼ぶ)二十五年。
それで、余った分に関しましては、執行率は予定以上に低かったが、既にこの部分に関しては全額国に返還をされております。
○玉木委員 正しい認識を財務大臣が持っていないことは非常に残念であります。
質問を終わります。
○松浪委員長 次に、谷畑孝君。
○谷畑委員 日本維新の会の谷畑孝でございます。
私は、昨年、決算行政監視委員会の委員長ということを仰せつかりました。名前のように、決算行政監視委員会という、大変重い委員長をお受けさせていただきました。私も長い間国会議員をさせてもらっていますけれども、決算行政にかかわるということは初めてでありまして、戸惑うことも多かったわけでございます。
そこで、この決算行政監視委員会というのは非常に大事な委員会だ、改めてそう感じました。それはやはり、約九十兆円近い予算が執行されるわけでありますけれども、この予算は国民の税金です。これを、いわゆる会計検査院等を含めて、しっかりと各省庁に対して審査、検査をして、そして勧告をする。特に、税金が無駄遣いをされていないかどうか、こういう視点で検査をするわけですから、これは非常に重いと私は思います。
しかも、私ども決算委員会の委員としても、しっかりと会計検査院と連携をしながら、そしてそれをチェックしていく、こういうことですから、この委員会というのは非常に大事な委員会である、改めてそのように思ったわけでございます。
また、監視業務ということにつきましては、これは先ほど、新藤総務大臣のときに小委員会をつくられて、いわゆる東日本大震災のときの予算で、捕鯨に関する、いわゆる鯨に対する予算が震災予算の項目に入っておったり、あるいは、北海道の自衛隊の官舎を建てる、このことがまたその予算に入っていたり、そういうことの中で、行政監視というのが、それでいいのか、そういうようなことがこの委員会で行われたと思っています。
そういう意味では、この委員会というのは、決算そして監視と非常に大事な任務を担っている、そういうふうに改めて感じたわけでございます。
さて、麻生大臣にお聞きするんですけれども、私、委員長をさせてもらって、二十一年、二十二年、二十三年度の決算がまさしく議決されない、そのままで二十六年度の予算がもう執行している。これは、民間でいえば、決算というのはやはりしっかりやって、会社が利益を上げたのかどうか、そして株主に対して利益配当をしっかりして、そういうことによって会社の信用があると思うんです。そういうことのできない会社は、私は、まさしくこの世から抹殺されるし、信用されないし、資金繰りもできない、こういうように思うわけであります。
麻生財務大臣は、ここの主管大臣でもありますし、もちろん、民間会社の経営者でもありましたので、その点についてひとつ、どのような見解を持っておられるのか、ちょっと教えをいただきたいと思います。
○麻生国務大臣 これは谷畑先生、御指摘のあるまでもなく、基本的に、この国会というところは決算より予算、会社では予算より決算、大分違いがあるのは事実だと、私どもは当選したころからそう思っておりましたので、今おっしゃられた意味もよくわかっているところです。
この内容は、次年度以降の予算の編成をやっていくに当たりましていろいろ参考にさせていただかなきゃいかぬということなので、極めて重要な問題であることははっきりしております。これは、財政を健全化するという意味においてもすごく大事なことだと思っております。
二十四年度の決算においては昨年度の十一月の十九日に既に提出をさせていただいていると思っておりますが、平成十四年ぐらいまでは翌年の一月だったものが、平成十五年度から、前の年の十一月、二カ月早くなった。予算編成に間に合うということも考えて、平成十五年度から十一月になったんだと理解をいたしております。
いずれにしても、この決算審議が三年間、何も決算がなされていなかったというのは、それはそのときの国会運営の話だと思いますので、国会の御判断によるもので、私どもの方から申し上げる話ではないのですが、いずれにしても、決算の審議というものに当たりましては、今後とも最大限に活用させていただきたいものだと思っております。
○谷畑委員 麻生大臣もおっしゃったように、やはりちゃんと予算が執行されて、そしてしっかりと決算をして、それを議決していくんだと。しかも、その議決の中で、いろいろな視点の中で議決されたものがまた次の予算に反映をされて、少しでも無駄がないよう、そういうような効率のいい執行ができる、そういう形が非常に大事だ。
そういった意味で、我々も、決算行政監視委員会としても、しっかりとそういう立場で審議をしていかなきゃならぬ、そういうことを、私も委員長をさせていただいて、つくづくそう感じたわけでございます。
さて、それで、この委員会においては、やはり会計検査院という仕事は非常に大事な仕事だと思います。
ところが、いわゆる会計検査院というのは、我々から見ると何かうっとうしい感じもするし、怖い感じもするし、何かもう我々とかけ離れてしまった遠い人だという、そんな感じがしてならないのですけれども、きょうは、ぜひひとつ、この決算委員会においては会計検査院という仕事は非常に大事だと私は思いますので、まず、この会計検査院というのはどういう理念を持ち、あるいは、どういうような、いわば社会的な意義というのか、あるいは、そういうルールというのか、また、どういう視点で審査、検査をしていくのか。また、そういう検査をした結果がどういうふうに報告されて、どのような効果を出しておるのか。
そこらを少し、きょうはテレビが入っておりますので、ちょっとわかりやすく国民の皆さんに教えていただきたい、こういうように思います。会計検査院の御意見をお聞きいたします。
○河戸会計検査院長 会計検査院は、内閣から独立した憲法上の機関として、国や国の出資法人等の会計経理を監督し、その適正を期し、かつ、是正を図るという職責を有しております。
そして、正確性、合規性、経済性、効率性、有効性といった多角的な観点から検査を行い、その結果、違法または不当と認めた事項がある場合は、不当事項として毎年度の検査報告に掲記するとともに、同種事態が多数見受けられる場合は、発生原因を分析するなどして、制度の運営等の改善を図るよう意見を表示し、または処置を要求するなどしておるところでございます。
○谷畑委員 会計検査院の報告は、この委員会にも提出されるんですけれども、これぐらいの分厚いもので、なかなか読みづらいものだとも思います。しかも、こういう委員会でそれで議論をするということは少なくて、どうしても予算委員会と同じような、皆、各大臣が出席できるということもあったりして、予算委員会と変わらないような委員会になってしまっている、そんなことをつくづく思うわけであります。
やはり、この決算委員会というのは、会計検査院の報告というのは非常に大事だし、この報告に基づいて我々が審議をしたり、税金の無駄遣いがないよう、そういう視点が非常に大事だろう、そんなことを思います。
さて、きょうは、同僚の議員からも少し、武藤先生からも質問にありました。私も委員長として、イギリス、フランスそしてベルギー、決算委員会、会計検査院というところに視察をさせていただきました。そのときにもやはり、さすが歴史のある国というのは違うなということをつくづく感じました。
イギリスでは、会計検査院の報告が六十本ほど出されて、週に二回、常会で議論をするということです。週に二回です。しかも、下院では一番忙しい委員会になっている。だから、委員というのは兼務できないということです。もちろん、そこで活躍する委員というのは、また時の内閣がしっかりとそれを見詰めて、大事な任務に、言葉はおかしいですけれども、出世するというのか、そういう伝統があるということであります。
また、フランスでは、司法権を持っているということですから、これはやはり相当な力を持って会計検査院が検査をする、こういうことだろうと思うんですね。
そういうことで、多少国は違いますけれども、私もこうして一年、委員長をさせてもらって、やはり予算委員会とまた違った視点で、時には、各それぞれの党派性を超えて、国民の税金がしっかりと執行されているかどうかという視点、そういうような議論をしていく、そういう場でなけりゃならぬと思います。もちろんこれは、委員長、またこういう国会の改革だとか、そういう状況の中にあろうかと思うんですけれども。
これで最後にしたいので、安倍総理、せっかく最初からずっとこの決算委員会の議論を聞かれていますので、少しまた総理という立場からは違うだろうけれども、国会改革の立場かもわかりませんけれども、少し所見がありましたら、お聞きしたいなと思います。
○安倍内閣総理大臣 国会におけるこの決算の審議は、まさに予算が所期の目的に沿って正しく執行されているかどうかということについて、きっちりと国会の場において審議をしていくわけでありまして、そして、その審議の結果を受けて次の予算に反映をさせていく。その緊張感が、予算を執行していく上において、行政府においてしっかりとこの所期の目的を果たせるように執行していかなければいけないということにつながっていくんだろうと思いますので、極めて重要であろう、このように私は思います。
今までも、各政府におきまして、こうした御審議を次年度の予算に反映させるように努力をしてきたんだ、このように思います。
そして、この決算行政監視委員会における審議は、政府において効率的、効果的に行政運営を行っていく上で重要な機能を果たしている、このように考えているわけでございまして、まさに今回対象となった決算について、正しくこれは執行されたかどうか、所期の目的を果たしているかどうかということについて、場合によっては細部についても議論されることが、行政府側の、予算を執行していく側に対してのまさに緊張感となり、そして責任感となっていくのではないかと思いますので、そのような活発な御議論を期待したいと思います。
○谷畑委員 決算についてはこれぐらいで質問を終えたいと思っています。
次に、震災復興について少し議論をしていきたい、こう思っています。
ことしの三月で東日本大震災から三年、もう三年三カ月たちました。一万八千五百人余りの人たちがこの震災で亡くなっていきました。二十六万人の避難生活者の人がなおおられる。そして、四万四千戸のプレハブがあり、十万人の皆様がそこで暮らしているということです。
三年三カ月前、私も少し振り返りましたら、地元で国会報告がありまして、飛行機に乗ろうということで、ちょうど浜松町のモノレールのビルに上がったときに、がたがたがたがたっと大きな地震が来まして、もうビルはこんなに揺れていましたので、これは大変なことだなということで、しかも時間が長かったです。そして、それが終わってモノレールに乗ろうとするんですけれども、上から少し落下物があったりして、もうモノレールはとまっておりました。
私はそれでも、浅はかで、地震があっても空は地震がないだろうから飛行機は飛んでいるかもわからないと思いまして、下へおりてタクシーを拾うんですけれども、下はもうビルからずっと人が、道路はもう人だらけでございました。
それでも飛行場に行きましたら、もうパニック状況で、テレビの映像を見てびっくりしました。家は流されているわ、自動車は流されていくわ、これはもう大変だ、帰るどころじゃないということで、諦めて宿舎に向かうんですけれども、これがもう、車は動かないわ、大変なパニックでして、やっとの思いで十二時近く、もう夜中近くに宿舎にたどり着くというようなことでございました。案の定、今私が申し上げましたように、未曽有の大惨事であった、私はそう思うんです。
それから私も、募金活動を含めて、しかも現地、そして当時は経済産業委員会の理事をやっていましたから、一緒になって、質問等を含めてさせていただいたり、そういうことでかかわってきました。
そのときの印象は、ずっと募金活動に立ちましたけれども、これは大変な反響というのか、小さい子供もお母さんと一緒になってカンパを、ぜひ東日本に届けてやってほしい、たくさんの募金が集まって、ああ、やはりうれしいな、東日本頑張れ、日本頑張れ、こういう感じで、私も本当にうれしくなったわけであります。
そして三周年、国立劇場で参加させてもらいまして、少し時間があったものですから、じっくりと目をつぶりながらこの三年間をずっと振り返って、もちろん、天皇陛下の御臨席もありましたし、安倍総理の決意もありましたし、また被災者の皆さんの決意がありました。ことしは、三年三カ月、私はやはり、風化するんじゃなくて、しっかりと我々も復旧復興のことについて一丸となっていかなきゃならないんじゃないかな、そういうふうに思っています。
きょうはテレビも入っていますので、安倍総理、ぜひひとつ、あの国立劇場で語ったことも私も物すごく印象に残っていますし、ぜひ、三年になり、これから復旧復興のために、改めた決意をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
○安倍内閣総理大臣 復興は、安倍政権の最重要課題の一つであります。私も、総理に就任以来、十五回、被災地に足を運んでまいりました。被災地の方々の声に耳を傾け、そして現場主義を徹底するように指示をしてきたところでございます。
昨年の春の段階においては、用地取得が難しいという声が大変多かったんですね。なかなか仮設住宅から出ることもできないし、いつどこに何戸住宅が建設されるかということがわからない、そういう計画がなかったわけでございまして、見通しも立っていなかったのでありますが、こうした状況を踏まえまして、我々は用地取得の迅速化などの加速化措置を講じた結果、現在は、高台移転や災害公営住宅の建設が進んでいます。
また、福島県におきましても、避難指示解除の動きが始まっているわけでございますが、しかし、まだ二十六万人の方々が困難な生活を強いられているわけでありまして、復興は道半ばでございます。
また、大切なことは、住まいと同時に、被災した方々が将来に夢を持てるためには、なりわいが大切でございまして、暮らしを支えるなりわいの再建が重要な課題であります。このため、先日、根本大臣が取りまとめました産業復興創造戦略のもとに、復興庁が司令塔機能を発揮いたしまして、関係省庁の有効な施策を総動員して、官民一丸となって産業復興を強力に推進していきたいと考えています。
今後とも、復興のステージがだんだん上がっていくわけで、復興が進むにおきまして復興のステージが上がっていくわけでありますが、上がっていけば上がった段階で新たな課題が出てくるわけでございますが、現場の声を丁寧に伺いながら、きめ細やかに解決を進めていきながら、被災者の皆様に寄り添いながら、しっかりと復興を進めていきたい、被災している方々がもとの生活に戻れるように全力を尽くしていく決意でございます。
○谷畑委員 どうもありがとうございました。
次に、小泉復興政務官に少しお聞きしたいと思っています。
小泉政務官とも、一年間、国対で朝から晩まで一緒にさせていただいて、今、政務官ということであります。
小泉政務官が、自由民主党の青年局ということで、三月十一日、一カ月に一回、仲間の議員と一緒に被災地にずっと入られて頑張ってこられたということ、これは私は本当に敬意を表します。なかなかできるものじゃないと思います。
そういう中で、一カ月一カ月、行ってこられて、その中では、孤独死で亡くなっていく人、それから肉親を失う人、大変な悲惨な姿を見てきたと思います。そういう中で頑張っている姿を見てこられたと思うので、まず最初に、どういう印象を持たれて、政治家としてどういう使命感を持ったのか、一言お願いしたいと思います。
○小泉大臣政務官 谷畑委員には、私が野党のまだ一期生のときに国対で大変鍛えていただきまして、本当にありがとうございました。今、こうやって向き合っていることも、不思議な縁を感じます。
また、青年局の被災地への毎月十一日の訪問について御質問をいただきましたが、実は安倍総理も、私の、歴代の青年局長の大先輩でありまして、麻生副総理も歴代青年局長でありまして、きょうこれから御答弁もあると思いますが、古川財務副大臣は、私の前任の青年局長であります。前任の古川青年局長がいなければ、私も青年局長になることはありませんでした。
こういった中で、今おわかりをいただきたいのは、このチーム・イレブンという毎月十一日の被災地訪問は、私の事業ではなくて、自民党青年局の事業になったということです。今、松本洋平青年局長が私の後任を務めてくださっておりますが、これは、私から、続けてくださいとお願いをしたわけではありません。まさにこれが自民党の青年局の伝統だと思いますけれども、あうんの呼吸で、これが今でも継続をされております。
そういった現場で、一人一人、仮設住宅の方、また、町中の産業をこれから復興しようと頑張っている方、この方々の顔が、名前が、私には浮かびます。二月の十一日に初めてこれで行ったときに、福島県のリンゴ農家の阿部さんのお宅に行ったこと。陸前高田のキャピタルホテルの女性支配人の人首さん。そして、大船渡で、私に対して初めて、亡くなったお孫さんと息子さんの骨を京都の西本願寺に納骨して、私の復興はこれで終わった、そういうふうに話してくれたおじいちゃん。
そういった方々の顔と名前を思い出しながら、根本大臣のリーダーシップのもと、今まで積み重ねたことを形にすべく、これからも継続して頑張っていきたいと思っております。
○谷畑委員 いやいや、びっくりしました。各歴代の青年局長は皆総理になっておるということですから、総理の可能性も十分あるということで、ぜひひとつまた頑張っていただきたいなと思います。
それで、もう一言だけ。議員として活動するということ、そこで持つ感性と、政府に入ると、なかなか、ミスマッチというのか、自分がこうしたいと思っても、いろいろな意味でできない場合があると思います。真面目に考えれば考えるほど、悩みが深いときも出てくると思います。ここはやはり、小泉という政治家として、しっかりと根本大臣を支えて、政務官としていい仕事をしてもらわないかぬ、そう思いますので、ぜひひとつ頑張っていただきたいということ、もうこれは答えはいいですので、そういうことを申し上げて、次に行きたいと思います。
それでは、大臣、お待たせいたしました。
やはり震災の復旧復興というのは、根本大臣、要約すれば三つの視点だと思うんです。やはり、生きるためには住むところが大事なので、十万人もプレハブに住んでいる、これは一日も早くしっかりとしたところに住んでいただくということが大事だと思うんですね。それから二つ目は、高台に移転するわけですから、これは難しかったと思います、まず住民の合意をとるのに。
私は、プレハブを視察に行ったときに、ずっと、ある言葉が今でも耳から離れないんです。それは、高台にプレハブがあったんですけれども、海が見えなくて、海で被害を受けたんだけれども、やはりあの海の景色がいい、そういう声が聞こえました。だから、一応、日がたつに従って、やはり海のところで暮らしたい、こういうものはあると思うんです、ある意味で言ったら。
そういう意味では、もう三年たってきましたから、やはり高台移転の場合でも、思ったより、入居者がどんどん減ってくる可能性があるし、そういう場合、しゃくし定規で、いや、補助金、これはあかんで、これもあかんで、こういうことではならないと思うんですね。だから、そこらの点も含めて、少しお聞きしたいということ。
とりあえず、それで仕切ります。根本大臣、よろしくどうぞ。
○根本国務大臣 今のお話のとおり、やはり住宅なんですね。ですから、私も復興大臣として心がけてきたこと、小泉政務官からも現場現場に行っていろいろな進言を受けていますが、やはり大事なのは、現場主義に立つということと、要はいかにして迅速化するか、これが大事なんですね。そのためには、いろいろな隘路がありますから、制度上のネックをどんどんどんどん解決していく、これが必要だと思います。
それから、今の高台移転の話は、例えば住宅についても丁寧に、住民の合意が大事で、いかにして住民の合意をとっていくか。例えば、復興公営住宅などにしても、あるいは高台移転の予定地にしても、住民の皆様のアンケート調査をとりながら、適時適切に見直しをしながら、そして、しっかりとした用地を供給し、あるいは災害公営住宅を供給するということでやっております。
委員のおっしゃるとおりに、高台移転も非常に時間がかかりますから、住民の合意をしっかりととるということと、それから、具体的な加速化措置、制度の改革措置、これをどんどん進めていって、一日でも早く、一戸でも早く住宅をつくって、安定した生活に戻っていただく、これが何よりも大事だと思います。
○谷畑委員 どんどん時間が過ぎてしまって、持ち時間がなくなってしまいました。
根本復興大臣、ぜひひとつ、あとは心のケアの問題だとか、それから、今、安倍総理もおっしゃったように、今は復興事業ということで仕事はあろうかと思いますけれども、やはり長いスタンスで仕事というものに若い人たちもつけるような、そういうことも、今、安倍総理大臣がおっしゃったように、そういうようにひとつお願いしたいと思います。
それでは、国交大臣に少し、これも一問で終わります。
私は、この問題提起というのは非常におもしろいなと思うんです。
それは、実は安倍総理の昭恵夫人が五月の二十四日に仙台市内でフォーラムを開催されて、いわゆる大規模な防潮堤建設、これがやはり、環境とかリアス式海岸とか、いろいろ含めての住まいの景観というのか、そういうものはどうなのか、この問題提起というのは、私は案外大事だと思うんです。
僕らも旅をして、やはりリアス式海岸を見たり、いろいろ見るんですけれども、どんどんどんどん巨大防波堤を建てるということを、役所というのは一旦計画するとなかなかやめられない面もあるんです。
本来は安倍総理に聞きたいんですけれども、夫婦げんかが起こってもいかぬと思いまして、この点は、太田大臣、ひとつよろしく、一言でいいですので、コメントをいただいたらありがたいと思います。
○太田国務大臣 防潮堤につきましては、高さと構造、その両面がありまして、高さという点では、一定の高さ、数十年から百数十年に一回の高さというものを基準として提示している。それから、構造ということでいうならば、そこに私たちは緑の防潮堤というようなことを、環境も含めてやらせていただいているというような状況にございます。
ですから、防潮堤の計画につきましては、町の安全であるということ、あるいはハードとソフトの組み合わせであるということ、環境保全という面であるということ、周辺の環境、まちづくり、さまざまな調和というものも考えた上で、海岸管理者であります県などが適切に定める、これが基本でございます。
そういう点では、いろいろな形が具体的に話し合いで出てきていまして、今まで、まちづくりで、水が入っても高台に行くからいいんだということであれば、L1と言われた基準よりも低いということをやっているところもありますし、防潮堤を下げて砂浜を再び復活させるというところもありますし、さまざまな形で話し合いが進んできて、現在建設されているところが多くなってきている、こんな状況でございます。
御指摘のように、いろいろな形を、住民の合意を得て県などが決めるという形、よくお話を聞いてやるというのが大事だというふうに思います。
○谷畑委員 もう少し議論したいんですけれども、ちょっと時間がなくなってしまいました。あと、もう残された時間は五分以内ということで回ってきましたので、安倍総理と最後に少しお話をしたいと思っています。
実は、安倍総理の支持率が高い、この原点は何だろう。もちろん、外交あるいは安全保障だとかいろいろな要素もあろうかと思いますけれども、二十年間閉塞した社会で、やはりデフレから脱却するというアベノミクスというのは、大変なインパクトというのか、期待というのかは高いと思います。事実、大きな成果が、実は上がってきたと思います。
それで、もう時間がありませんので、いわゆる国家戦略特区六つ、大阪、関西圏もそのうちの一つに認定をされて、非常に私どもも心強く思っていますし、これを、何とかアイデアを生かして、その成長戦略に乗って関西復権の柱にしたい、こういうように実は思っています。
この柱は何かと申しますと、京都大学、これは再生医療の山中教授もおられましたし、大阪は昔、江戸時代から、道修町といって、八代将軍吉宗の時代に、薬種、いわゆる薬問屋に許可されて、全国に薬を発送する、こういう仕事を担ったものですから、大阪が薬の、言うたら拠点なんですね。だから、この戦略拠点はぜひ薬ということになっています。
まず安倍総理に、いわゆる製薬関係の状況は、アメリカがトップで、スイスで、日本は三番目。しかもこのジャンルというのは、医療機器であったり製薬であったりして、成長が見込めるところであると思うんです。ぜひ、我々も頑張っていきますので、総理としては、創薬の関係で世界に発信できるような、そういうことを一言、力強い言葉をいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 まさに谷畑委員が指摘をされたように、この医薬品産業は、一つは国民の健康の向上そして医療の向上に大きく寄与する、このように思いますが、同時に、付加価値型、知識集約型産業でありますから、資源の乏しい日本にとっては今後の経済成長の中核となる重要な産業だ、こう思っております。
国際競争力の維持強化を図るためには、大学と研究機関等におけるすぐれた研究成果を確実に実用化につなげていくための支援を行っていく必要があるわけでありまして、このため、先日成立をいたしました法律に基づきまして、内閣に司令塔となる健康・医療戦略推進本部を設置し、政府一丸となって創薬支援を行っていくこととしております。また、日本医療研究開発機構を設立いたしまして、基礎から実用化まで切れ目ない支援を行うとともに、平成二十六年度予算では大幅に研究費の拡大を図ったところであります。医薬品産業の国際競争力の維持強化のため、今後とも政府一体となって支援をしていきたい。
大阪府、大阪市がこの方面で熱心なことも私は承知をしているわけでありまして、政府のみならず、地域とも協力をしながら、この分野に力を入れていきたいと思います。
○谷畑委員 さらに、安倍総理、ちょっと言いにくいかもわかりませんけれども、今までは大阪が創薬支援の戦略の拠点であったわけです、それは医療基盤研究所にあったわけですけれども。今回、日本医療研究開発機構というのが来年発足して、これは本部は東京にあるわけです。だから、いわゆる創薬司令が東京に移るんじゃないか、こう心配しています。
ところが、ありがたいことに、菅官房長官は、大阪の現機能を後退させるつもりはない、こう言ってくれておるんですけれども、総理、同じようなことを一言言っていただいたらありがたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 御心配をしておられると思いますが、日本医療研究開発機構の設立後も、大阪を初め関西における創薬支援の機能が低下をすることがないように十分に配慮をしてまいります。
○谷畑委員 ありがとうございました。終わります。
○松浪委員長 この際、財務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。麻生財務大臣。
○麻生国務大臣 先ほど、私の玉木議員への答弁中、高年齢者雇用安定助成金を民主党政権における予算編成で創設したものと申し上げておりましたが、これは一年間違えておりまして、二十五年度の自民党政権における予算で創設したものでありました。おわびして訂正をさせていただきます。
○松浪委員長 この際、河野正美君から関連質疑の申し出があります。谷畑君の持ち時間の範囲内でこれを許します。河野正美君。
○河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。谷畑先輩の後を受けまして、十八分間、質問をさせていただきたいと思います。
〔委員長退席、桜内委員長代理着席〕
本日は、テレビ入りということでございまして、簡単に自己紹介から始めさせていただきますが、私、ここに来るまで、医師として二十年来、きょうおられる麻生財務大臣の出身地の隣町である福岡県糟屋郡篠栗町を中心に、地域医療に従事してまいりました。
御承知のように、医療機関というものは、人員配置基準等がございますので、多くの労働力が必要とされ、地方におきましては非常に大きな雇用の場所でもあります。また、我が国が高齢化社会を迎える中で、地域医療を守ることは、住みなれた地域で終末期が迎えられる、あるいは、雇用の確保によって若者がふるさとで暮らし続けることができる、それによって、おじいちゃん、おばあちゃんに孫の面倒を見ていただくことなどで待機児童などの問題もなくなってくるかもしれない、さまざまな意味で、医療を守るということはメリットがあるものだと思っております。
一方で、平成二十三年度の国民医療費は三十八兆五千八百五十億円、前年度の三十七兆四千二百二億円から一兆一千六百四十八億円、三・一%の増加となっております。これは平成元年度の倍になっておりまして、今後も高齢化が一層進む中で、医療費の増加を何とかしたいという政府の見解も理解できるものであります。また、二〇二五年問題などとも言われますが、いわゆる団塊の世代の方々が七十五歳に達する二〇二五年ごろには極めて危機的状況が訪れるとお考えになっているのかもしれません。
こういった状況も踏まえまして、税と社会保障の一体改革ということで、消費税を上げて、医療が崩壊することのないように、社会保障を守っていこうということだと思います。
しかし、医療を守るはずの消費税によって医療が崩壊してしまう、そういった懸念がございます。これは、いわゆる控除対象外消費税額という問題でございます。
お手元の資料もしくはパネルをごらんください。
まず、消費税制度について簡単に振り返りたいと思います。
配付いたしました資料、消費税は、物を買ったりサービスを受けたり、そういったことを受けた最終消費者が負担する仕組みというふうになっております。しかし、これにも例外がございます。幾つかの例外がありまして、今までにも麻生大臣にはたびたびお答えいただいているところでございますけれども、医療は非課税ということで、社会保険診療は課税されておりません。医療以外にも、お示ししていますように、授業料であるとか、あるいは賃貸住宅の家賃、火葬にかかわる費用、そういったものも非課税となっているわけであります。
しかし、医療とこれらの非課税の対象が根本的に異なる点、これが、医療費以外は自由価格ということであります。医療以外の分野では、仕入れや設備投資にかかった消費税を勘案した上で、価格を設定することができます。しかし、医療費だけは公定価格でございますので、勝手に消費税分を上乗せして設定するということはできません。余りいい言葉ではないかもしれませんが、薄利多売などという言葉がございますが、医療は、先ほど来お話ししたように、人員配置基準であるとか、医師一人当たりが診てよい人数というものの基準もございますので、薄利でもあり、多売もできないというような業界だというふうに認識しております。
医療機関は、医療機器や設備、医薬品、診療材料を購入する際、消費税分を含めて支払っております。しかし、社会保険診療において医療機関を受診された患者さんは、消費税は非課税であるということのために、消費税分は負担していないことになっています。消費税分を負担しているのは基本的には医療機関であり、この負担が医療機関の経営に無視できない影響を与えているわけでございます。これが控除対象外消費税額、いわゆる損税といったような問題であります。
今までの政府の御見解では、医療機関に対して、消費税分は診療報酬で手当てをしているというふうに言われてきたことだと思います。しかし、診療報酬の中に消費税分が含まれているとすれば、患者さんは窓口でその部分の三割なりを支払っておられるわけでございますので、実際は消費税分を負担させているということになると思いますけれども、消費税は非課税である、消費税分は診療報酬で手当てというこの考え方、田村厚労大臣、いかがなのでしょうか。
〔桜内委員長代理退席、委員長着席〕
○田村国務大臣 診療報酬の中身それぞれ、いろいろなものが入っておるわけでありますが、当然、仕入れ分に関しましては消費税がかかっているわけであります。ただ、診療行為という意味からすれば、それは消費税はかからないわけなので、最終的に、診療報酬がかかっているかいないかというと、それは診療報酬はかかっていないということに、医療を受けられる方々にしてみればそういう形になっておるわけであります。結果的に損税というような形で医療機関がそれを払っておるではないか、こういう御指摘は以前からあるわけでありますが、ただ、それは、診療報酬の中の点数として一定程度見てきているというのが今までの答えであるわけであります。
ちなみに、今回八%に、診療報酬を引き上げるときに、これは、一・三六%、特に初診・再診料を中心に、基本的なところに点数をつけさせていただいたということでございます。
これから一〇%に関してどうするかというようなさまざまな御意見があるわけでございまして、関係者といろいろと御議論をさせていただきながら、一〇%引き上げ時のこの損税問題に関しましてはしっかりと対応してまいりたい、このように考えております。
○河野(正)委員 ありがとうございました。
携帯電話なども日々新しく進化していっております。携帯電話で写真撮影などもする機会が多いと思いますけれども、最近は大変きれいな画像が写るんじゃないかと思います。
患者さんにとりましても、CTやMRIなど、やはり少しでも新しいもので、診断能力にすぐれた性能のもので検査を受けたいというのが当然のことだと思います。そうなりますと、医療機関としましては、高額な医療機器を購入せざるを得ないということになってくるわけであります。
また、近年、南海トラフ地震などを初めとした災害対策というものが想定されております。そういった中で、医療機関に、災害時にけがをされた方などが多く運び込まれてくるであろうという中で、病院が倒壊していたというのでは、これはもう話にならないことになります。そうなりますと、耐震化診断であるとか、あるいはそれに伴う耐震化改修工事、新築工事、そういったもので高額の支出が予想されてくるわけであります。
安倍総理大臣、麻生財務大臣、田村厚生労働大臣、本日お並びのお三方の大臣におかれましては、従前より大変に医療分野に精通された方々であると認識をいたしております。まさかこのままの状態を放置して地域医療を崩壊に至らせるようなことはないと信じておりますけれども、私、心配性でございますので、ぜひ、この控除対象外消費税額の問題についてどう考えておられるかをお尋ねしていきたいと思います。
お手元の資料をごらんください。
では、医療機関がどれぐらい負担を強いられているか、日本医師会の資料をもとにお示しをいたしております。ごらんのように、消費税五%の時点で、社会保険診療報酬のおおむね二・二%というふうに言われておりました。これが一〇%となれば、右の方にありますように、四・四%程度になるであろうというふうに試算されております。
手術などを行って地域で中核を担う総合病院などは、大体年間百億円程度の収入はあると思いますので、簡単に考えますと、毎年二億二千万円。これが一〇%の消費税となりますれば、医療費抑制の昨今、収入が変わらない中で、つまり、みずから身を切って二億二千万円さらに出す、四億四千万円の負担が生じるわけであります。
資料では若干、有床診療所が低く試算されているようですけれども、昨年、有床診療所におきまして大変に不幸な火災死亡事故がありましたので、今後、スプリンクラーなど、有床診療所におかれましても高額な設備投資が考えられてくると思いますし、いずれにしても、医療機関は非常に厳しい状況にあると思います。
病気になった方から税金を取ることなく、なおかつ消費税負担で医療崩壊を来らせることがないようにということで、医師会などは、医療も課税、そしてゼロ税率ということを提言されていると思います。我が日本維新の会におきましても、片山虎之助税制調査会会長のもとで、こういった方向性で議論をしてきているところであります。
今国会で私が提出いたしました質問主意書におきまして、消費税率が八%の時点で医療機関等が負担する控除対象外消費税額は幾らぐらいになるのかということをお尋ねしましたところ、一・五兆円という回答をいただきました。
来年、消費税は再度引き上げられて一〇%になるということが予定されているところでございます。改めまして麻生財務大臣にお尋ねいたしますが、医療機関が負担する控除対象外消費税額、一〇%になるとすれば、幾らぐらいとお考えでしょうか。
○麻生国務大臣 過日御質問をいただきましたけれども、社会保障診療というものを、消費税率一〇%に仮に上がったとしたときに、いわゆるゼロ税率の導入をした場合、幾つかの条件がありますけれども、仕入れにかかわる還付が生じるということはマイナスになりますので、そうなりますと、その額は、一定の仮定で、ある程度機械的に計算させていただくことになりますけれども、過日、八%時に一兆五千億と申し上げましたが、これが、一〇%になりますと約一・九兆円前後になろうかと想定いたしております。
○河野(正)委員 これは、病院経営にとって決して無視できるような額ではございません。経営を大きく圧迫する要因となってくると思います。
ことし四月の八%引き上げ時には、現時点では顕著な変化は見られないかもしれませんが、このまま対応しなければ、我が国の医療提供体制を崩壊する決定打となりかねないものと危惧しております。そうした危機感を共有していらっしゃるでしょうか。
地域における医療提供体制を壊しかねない。地域の医療提供体制を維持するためにも、遅くとも一〇%の引き上げ時には抜本的な対策をとっておく必要があるのではないでしょうか。安倍総理の御見解をお願いいたします。
○安倍内閣総理大臣 今の御質問いただいている件については、三%、消費税を導入した際にも、また五%に引き上げる際にも、随分議論になったわけでございますが、結果として、診療報酬で対応していこう、財源を確保するということになったわけでございます。
いずれにせよ、税制抜本改革法において、医療に係る課税のあり方については引き続き検討することとされておりまして、引き続き、与党の議論の状況等を踏まえて検討をしていきたいと考えております。
○河野(正)委員 ずっとそういうふうに検討が続いているわけでございまして、今後非常に大変な問題になってくるんじゃないのかなと思っています。
そもそも、昨年の通常国会の段階におきましては、八%引き上げ時に、高額投資についてはこの消費税問題を検討するということになっていたはずであります。
麻生大臣、田村大臣と、まさにこの部屋で、予算委員会でありましたけれども、高額とは幾らぐらいなんでしょうかという議論をさせていただきました。しかし結局、八%になった時点では何も進まないまま、現在に至っているんじゃないのかなと思います。
与党の税調におかれましては、食料品等の軽減税率について議論があっていたかと思います。対象品目を精米、お米に限れば、消費税一%当たり二百億円の減収額であるとか、全ての飲食料品を対象とすれば同じく一%当たり六千六百億円減収であるとか、試算しておられるようであります。
医療のゼロ課税ということになりますと、こういった軽減税率でもなかなか進んでおられない状況を鑑みますと、非常に難しい問題なのではないかなというふうに思っておりますけれども、一〇%に上げたときに検討などということでは、先送りしている間に、地域から医療機関あるいは介護の機関がなくなってしまう、地域医療が崩壊してくるというふうに考えております。
病気になって、見てくれるところがない、あるいは働く場所も地域からなくなってしまう、こういったことを看過することはできないと思っています。また、これから欧米諸国並みに消費税が二〇%あるいは三〇%と上がっていくという議論が出るとすれば、早急に抜本的な対策をとっておかなければならないというふうに思っております。
繰り返しになりますけれども、医療に精通された方の多い安倍内閣におきまして、現内閣におきまして、ぜひとも抜本的に、スピード感を持って対応していただきたいと思いますけれども、安倍総理、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 もちろん、今の医療制度あるいは医療保険制度をしっかりと次の世代に引き渡していかなければいけないと思います。
その上においては、医療機関がその責任を果たすことができる状況を、我々は環境をつくっていく必要を感じているところでございます。そうした観点から今後検討をしていきたいと思います。
○河野(正)委員 麻生大臣も手を挙げていらっしゃったので、よろしければ。
○麻生国務大臣 これは河野先生よく御存じのように、結構、目に見えているだけの話だけではなくて、まず、医療機関が課税業者ということになるわけですから、そうすると、消費税申告のために記帳していただかないかぬ。ただでさえ、今は、面倒くさいとか、厚生省からのあれが大変だと言っておられるところに、加えて今度は財務省が入ってくるんですよ。これは結構大変だろう。これはお医者さんがみんな言うから、そのとおりに申し上げておりますが。
さらに、その消費税申告のために記帳ができるということにしますと、そうすると、今は、小規模な医療機関というものは、御存じのように、いわゆる事務負担というものを配慮して、早い話が、所得税、法人税においては概算で経費は計上させていいということで認めている、いわゆる特例制度というものを継続するのはおかしいじゃないか、それができるなら何でやらないんだと言われると、これまた、少額医療をやっておられる、河野病院みたいな大きなところじゃないところは、結構騒ぎになりますよ。
ということは十分に考えておかれないといかぬのだと思いますので、これはちょっと、私どもとしては、この話をさせていただくには、いろいろ幅広い検討をしていただかないといかぬことなんだ、私どもはそう思っております。
○河野(正)委員 ありがとうございました。
しかし、先ほどお話ししましたように、地域の中核となるような病院は、収入が変わらない中で二億二千万ぐらい上がるとすれば、何人雇用を多く雇えるんでしょうか。それだけ、患者さんに説明する、あるいは記帳する職員というのは、二億二千万円自腹を切るのであれば、たくさん雇えるわけで、雇用ももっとふえてくると思います。
そういった意味も含めて、とにかく消費税問題については、きょうは問題提起で終わりますけれども、しっかりと早く検討していかなければいけない。先ほど麻生大臣が私の病院のことも言っていただきましたけれども、そういった病院も含めて、全ていろいろ意見があると思いますので、しっかりと議論をとにかく進めていただいて対応していかなければ、消費税によって地域医療が崩壊するという可能性があることを最後に確認させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○松浪委員長 この際、宮沢隆仁君から関連質疑の申し出があります。谷畑君の持ち時間の範囲内でこれを許します。宮沢隆仁君。
○宮沢(隆)委員 日本維新の会の宮沢隆仁です。恐らく、日本維新の会のと言えるのも本日が最後になるだろうと思われますので、よろしくお願いいたします。
日本維新の会分党後は、私は石原代表のグループに所属いたしました。まだ名前は決まっていない新党ですが、党是は次世代と自立。そして、その思想的支柱となるのは、新保守という言葉であります。
新党のガバナンスや政策については二カ月ほどでまとめる予定ですが、私は、個人的には、パラダイムシフトというものを促す政党にしたいと思っております。
このパラダイムシフト、横文字ですが、意識改革、価値観の転換、発想の転換などの意味で用いられております。特にことしは、日本という国家を次世代に引き継ぐために、あらゆる分野で、国民一人一人、官僚そして政治家がパラダイムシフトしなければいけない時代に生きていることを自覚するべきであろうと思います。
では、国民目線で、今、国民が最もはらはらどきどきしている集団的自衛権について質問いたします。
私は昭和三十年生まれで、安倍総理とほぼ同世代であります。昭和三十年代、安倍総理は東京で、私は長野市で、少年時代を過ごしました。昭和三十年代はまだ戦後の気配が残っておりまして、安倍総理もそうだったと思いますが、私は母から、日本はもう絶対に戦争をやっちゃだめだということをしつこく言われたのを覚えております。戦時中と戦後を生きてこられた日本の多くの高齢者の皆様は、ほぼ同じ心境だと思います。もちろん、安倍総理御自身も、絶対に戦争は避けなければならないと肝に銘じて、集団的自衛権行使の議論を進めていらっしゃることと思います。
実は私、元脳外科医なのですが、外科医として仕事をしていましても、想定されるあらゆる危機、さらに想定できない危機に対しても速やかに対応できるように準備をし、体制を整えておくという姿勢は極めて重要であります。現在の北東アジア及び南シナ海、さらにウクライナや中東の安全保障環境を見ますと、いつでも有事に対応できるようにすることと、それから、抑止力としてできるだけ早く集団的自衛権を行使できる状況にしておくことは、賢明な現実的選択と考えます。個別的自衛権や警察権のみで速やかに対応できるとは、私には思えません。
総理におかれましては、閣議決定に向けて、与党内での協議も白熱していることと思いますが、日本の安全保障政策について、国民に向けて、現時点での安倍総理の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 恐らく二十年前、三十年前はもちろんのことでありますが、我が国の防空識別圏に重ねて他国が防空識別区を設定してくるとは、恐らく考えていなかったんだろうと思います。尖閣に対するいわば攻勢も、我が国の領海に定期的に入れてくるということも考えられなかったわけでありますし、南シナ海においてナインドットという線を引いて、その中において、ベトナムやあるいはフィリピンに対して一方的に力を背景とした現状変更の試みがあるとはなかなか想像できなかったわけでありますし、また北朝鮮が我が国を全てミサイルの射程に入れて、核の開発を着々と進めていくということもなかなか想像できなかった時代もあったわけでございますが、それが今現在の現状であります。
その中におきまして、私は、総理大臣として、また政府として、国民の命とそして平和な暮らしに責任を持っている中において、あらゆる状況にしっかりと対応できることが大切でありますし、対応できることが、これは抑止力となって、結果として地域の平和と安定に大きく寄与していくことになるんだろう、このように思います。
集団的自衛権については、現在、与党において協議を行っているところでございまして、集中的に徹底的に議論を進めていただきたいと思っています。その上で、国民の命と暮らしに責任を持つ内閣総理大臣として、決めるべきときは決めなければいけないと考えているところでございまして、今後しっかりと検討を進めていただきたいと思っているところでございます。
○宮沢(隆)委員 ありがとうございました。
とにかく、今テレビで見ていらっしゃる国民のために、まずは国民が安心できるように、閣議決定の後には、自衛隊が活躍する際の、例えば地理的制限ですとか武器行使の定義、あるいは使用する武器の種類等、すなわちその歯どめについて、わかりやすく説明をできるような議論をしていただきたいと思います。これは私自身の望みでもあります。
では、次の質問に移ります。
既に、この決算行政監視委員会のあり方についてはいろいろな指摘がされ、新藤大臣の答弁で、歴史もよくわかりました。改めて、図でもって、この委員会のことを、ちょっともう一回、私も含めて理解できるように説明してみたいと思います。
左上、上から、国会、会計検査院、内閣、財務大臣あるいは財務省、各省庁が並んでおります。それぞれが一年の中でどの時期にどのような仕事をしているかを示しております。
それから最下段、各省庁において平成二十四年度予算の執行が進みますと、四月から七月にかけて出納整理が行われ、その結果が財務省に報告され、決算結果は会計検査院に送付され、その結果はさらに財務省に戻されます。会計検査院では、年間を通しても随時チェックをしているということであります。最終的な会計検査院の結果を含めて、決算の結果は年末に、最下段ですね、国会に送られ、予算編成及び審議の際に参考にされます。
一方で、最上段が決算の審議をする場を一応あらわしているんですが、結局、一番端に「国会改革?」と書いてありますが、いわゆる国会の中の、先ほどから出ている審議のおくれとかそういう問題と同時に、いわゆる予算編成とこの決算の委員会の連携というのがなかなかとれていないように思えます。
もう一回まとめますと、この決算行政監視委員会は、最上段に示しますように、各省庁の予算執行の問題点を洗い出し、審議し、追及する場でなければいけないのですが、審議時間も、開催回数が少ないので、前々年度の決算の結果を予算編成に反映させようとしても、期間は数カ月しかなく、極めて浅い議論しかできない。それで、今回のように三年分の決算審議が滞り、採決もされていないというような状況になってしまいます。まずはこの状況を、この図を介して国民の皆さんに理解をしていただきたいと思います。
それから会計検査院ですが、ちょっと具体的なお話をしますと、先ほど谷畑先生もおっしゃいましたが、復興関連事業でのいわゆる検査の甘さがずっと指摘されております。この点については、ちょっと院長にお答えいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○河戸会計検査院長 会計検査院は、復興関連の事業につきまして、国会法第百五条の規定に基づく国会からの検査要請を受けまして、東日本大震災からの復興等に対する事業の実施状況等について検査を実施いたしましたほか、東日本大震災からの復旧復興事業における入札不調について、東日本大震災等の被災者を救助するために設置するなどした応急仮設住宅の供与等の状況についてなどの事項について検査を実施し、検査報告に掲記するなどしてきております。
会計検査院といたしましては、復興関連の事業につきまして、従来、法令に基づき厳正に検査を行っているところでございますが、ただいま先生からいただいておりますような御指摘も真摯に受けとめ、今後とも一層努力してまいる所存でございます。
○宮沢(隆)委員 会計検査院の問題点についてはあちこちから聞きますので、ぜひよろしくお願いいたします。
田中秀明氏執筆の「日本の財政」という本を読んだのですが、その中で、例えば、今言った新年度の予算編成に過去の決算が反映できないとか、官僚も政治家も決算に余り関心を持てていない、予算執行に不正があっても政治的に責任が問われるだけで終わってしまう、それから、当初予算に関心が過度に集中して補正予算の多用につながっているというような指摘につながっております。
それから、続けてお話ししてしまいますと、国会改革についても、これは今までどなたも指摘されていないんですが、では具体的にどういう国会改革をすべきかということは、ちょっと私なりに考えたんですが、やはり議論の時間をふやすには通年国会にするとか、あるいは国会の機動力を上げるために一院制にするというようなアイデアがあるかと思うんですが、これも一種のパラダイムシフトだろうと思うんですね。
これらのことを総合的に勘案して、麻生財務大臣にちょっとコメントをいただければと思います。
○麻生国務大臣 宮沢先生、これは国会の話でありますので、役所と少し違うところもあるというのは前提にして。
国会において、ある程度十分な審議というものをお願いし、その上で、その結果を次年度以降の予算に反映させていくということは、予算の効率化とか、また財政健全化の観点から極めて重要、もうこれははっきりしておると思っております。
ただ、国政改革についての御意見ですが、決算行政監視委員会におけます審議というものは、各役所役所が予算執行や事務事業のあり方を見直していく上で極めて重要な機能を果たしているんだと私は考えておるんですが、委員会の具体的なあり方というものについては、これは国会において御判断をしていただくということになりますので、政府から意見を、こうすべきだとかああすべきだということを申し上げるのは、差し控えさせていただきたいと存じます。
○宮沢(隆)委員 それもごもっともだと思います。やはり国会の側がこのシステムを何とかしようとしない限りは、何も改善しないだろうと思います。
その点については、今そちらにいらっしゃる松浪健太委員長もかなり問題意識を持っておられて、御自身もその改革を進めておられるようなので、ぜひ推進していただければと思います。
決算行政監視システムについてはこのぐらいにいたします。
次は、最後ですが、私、もともと医師なんですけれども、国民へのメッセージということでちょっとお話をさせていただきます。
昨年三月の予算委員会で安倍総理に紹介させていただいたこの四字熟語、考動志民という言葉ですが、実はこれは、健康長寿日本一、すなわち世界一なんですね、長野県民を見ていて私の頭に浮かんだ造語です。これは私の造語です。意味は、常に物事を深く考え、あるいは勉強し、活発に活動し、志を持って生きる民という意味です。
これは実は、いわゆる脳を扱っているドクターは患者さんにすごく勧めている話で、日常生活の中でこれをやってくださいと言っているぐらいの話です。医学的にも脳機能を正常に維持するために重要な生き方であり、認知症発症率も恐らく下げられると思われます。
ぜひ国民の皆様に、自立を促すためにも、いわゆる生き方のパラダイムシフトとして、日々この考動志民を思い浮かべながら積極的に生きていただければなというのが私の思いであります。
昨年三月も安倍総理にはコメントをいただいたんですが、改めてお願いしたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 ただいま、長野県の県民、市民を念頭に置いて、この言葉、考動志民を考えられたということであります。
長野県の県民の一人当たりの医療費は日本で一番低いわけでありますが、まさに、それぞれ県民の方々が高い意識を持って自己の健康を管理している結果でもあるだろうと思いますし、また、年をとっても地域や社会とかかわりを持ちながら動いている、そして深く物事を考えてい続ける結果でもあろう、そしてそういう志を持っている結果なんだろう、このように思っておりますが、そういう姿勢を、またそういう取り組みを全国に展開していきたい、このように思っております。
かつては、財務大臣の地元の福岡県は一人当たりの医療費が一番高かったわけでありまして、この差がどこから出てくるかということもよく見ながら、そして、そういう考え方を持って生きる人々は、結局、人生をより豊かに生きることにつながっていくのではないか、このように思うところでございます。
○宮沢(隆)委員 前向きなコメントを本当にありがとうございました。
終わります。ありがとうございました。
○松浪委員長 次に、青柳陽一郎君。
○青柳委員 結いの党の青柳陽一郎でございます。
本日は、決算行政委員会の質疑で十五分の時間をいただきました。関係各位の御配慮に感謝を申し上げます。
短い時間なので、早速議論に入ってまいりたいと思います。
安倍内閣、支持率が六〇%、高どまりしている状況です。閣僚が一人も交代しないまま五百日を超えたのは戦後初めてだそうでございまして、これも政権が安定しているという証拠だと思います。
アベノミクスでデフレから脱却する、岩盤規制にドリルとなって穴をあける、世界で一番企業が活動しやすい環境を整備する。あるいは外交、安全保障面でも、積極的平和主義で世界の平和と安定に貢献する、拉致問題は、認定の有無にかかわらず安倍内閣で全面解決する。こうした経済、外交両面で強いメッセージを発信し、そして決める政治で、前政権のイメージと雰囲気ががらっと変わって、国民の支持が高いんだと思います。これは率直に評価すべきことだと思います。
しかし、今の課題は、メッセージを発信する段階から、スピード感を持って成長戦略、構造改革をきちんと実行する、こういう段階になっていると思います。課題先進国と言われている我が国は、今、構造改革を行わないことが最大のリスクであり、今こそ難易度の高い改革を安倍内閣には断行していただくことを求めたいと思います。
私は、責任野党の新人議員として、是は是、非は非、与党の政治に足らざるものがあれば批判すべきものは批判する、そういう姿勢で政治に取り組んでおります。その批判がしっかり与党に届くように政界再編を行っていかなければならないと考えております。
では、安倍政権の取り組み、何が不足しているのか。
一つ目は、定数削減、歳費削減をしない、政治改革のおくれであります。これは、約束を守っていません。
二つ目、行政改革、規制改革、成長戦略の取り組みが物足りないのではないかと思います。
三つ目、基金の積み増し、公共事業のばらまき、効果の検証がない官民ファンドの増殖、予算規律が緩んでいるのではないかと思います。
一方で、きっちり行っているのは、四月からの消費税の増税であります。
一点目から伺ってまいりたいと思います。
二〇一二年十一月十四日の党首討論、つまり、野党自民党の安倍党首が、当時の野田総理、きょうもお越しいただいておりますが、野田総理に対して次のように発言しています。野田総理は約束を果たすべきだ、なぜ私たちがそう言い続けてきたか、それは、政治の本質、国民の政治への信頼にかかわるからだ、こう安倍総理は述べられております。さらに、来年の通常国会、つまり、今からすればもう去年の通常国会であります、その国会で定数の削減と選挙制度の改正を行っていく、今この場で約束する、こういうふうに述べられております。
さらに、当時の野党自民党は、政治改革や議員定数の削減は与党の責任で行うべきだ、このように複数の幹部が述べております。
消費税が増税され、国民の負担がふえました。しかし、我々国会議員の歳費の削減はもとに戻り、約束した政治改革、議員定数の削減は、結局この国会でも結論は出ておりません。削減金額のボリュームや効果に対して疑問が出ている、こういうことはあると思いますが、まさに、安倍総理の言葉をかりて言えば、国民の政治への信頼にかかわる問題ではないでしょうか。国民の納得の問題ではないでしょうか。
改めて伺いたいと思います。選挙制度改革、議員定数の削減、身を切る改革、これを、安倍総理、いつまでに、どのようにやりますか。お答えください。
○安倍内閣総理大臣 衆議院の定数の是正につきましては、〇増五減を既に成立させているところでございます。
定数の削減でありますが、削減につきましては、結論を早期に得るために、昨年、私から国会のもとに第三者機関を設けることを提案したところでございまして、今まさに、その設置について各党各会派が話し合いをし、調整が進んでいるというふうに聞いております。
各党の立場を超えて、国民の負託に応えるため、国会議員が一丸となってこの問題に正面から取り組んでいくことが大切であり、私も、自由民主党の総裁として、しっかり自由民主党として取り組んでいきたいと思います。
そして、議員歳費の削減についてでありますが、国会議員の歳費につきましては、現状は議運で協議された結果だというふうに聞いておりますが、まさに国会において各党各会派で議論されるべき課題と考えておりまして、これからさらに議論が深まっていくことを期待したいと思います。
閣僚の給与につきましては、本年四月以降においても、現在の特例による減額分に相当する額を国庫に返納しておりまして、閣僚は二割、私は三割返納しているところでございます。
○青柳委員 ありがとうございます。
私は、今、安倍総理の答弁、これには少し残念でした。経済や外交や安全保障と同じように、力強いメッセージを実は発信していただきたかったなと思っているところであります。
二点目の規制改革、成長戦略、行政改革について伺います。
まさに先週十三日に、規制改革会議は、第二次答申を取りまとめて発表されました。内容については、当初の報道よりも随分マイルドになっているなと思いますが、それでも一定の評価はできると思います。
問題は、これ以上骨抜きにされずに、いかにスピード感を持って実行できるか、これにかかっているんだと思います。
具体的には、混合診療の解禁の拡大、介護、医療分野の生産性、効率性の向上と参入規制の緩和、農協の構造改革、農業委員会の見直し、株式会社による農業への参入と農地取得など、特に医療の分野、農業の分野の岩盤規制を来年の通常国会までにきちんと法律を提出して改革できるのか、総理の明快な決意を伺いたいと思います。
あわせて、成長戦略も、先週金曜日に骨太方針二〇一四が発表されました。最大の焦点だった法人税実効税率の減税については、「数年で法人実効税率を二〇パーセント台まで引き下げることを目指す。」という、とても弱い表現にとどまっております。実際に、きょうの株価は残念ながら全く反応しておりません。少し下げているという状況であります。
これで国際公約を果たしたと言えるのでしょうか。世界で企業が一番活動しやすい環境になったと言えるのでしょうか。安倍総理の明確な御答弁を求めたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 高齢化等の進展に伴い、医療や介護サービスは今後需要の増大が見込まれるところでありますが、質の高いサービスを持続可能な形で提供できるよう、不断の改革を進めていく決意であります。
これまでも、成長戦略に基づいて、再生医療等安全性確保法を成立させまして、再生医療等を提供しようとする場合の手続を法律上明確化いたしました。
また、予防や健康管理サービスの普及を図るため、関連規制のグレーゾーン解消のためのガイドラインを策定するなど、新規企業が参入しやすくなるような環境の整備を図ってきたところでございます。
また、いわゆる混合診療と言われている分野におきましても、患者本位で、患者さんが申し出をいたしましたらそれを対象にしていくという患者申し出療養制度というものを創設することとしておりまして、今までと違って、それを審査する期間を、安全性を確保した上で大幅に短縮していくようにするところでございます。
そして、法人税についてでございますが、法人税改革については、法人実効税率を数年で二〇%台まで引き下げることを目指す、この引き下げは来年度から開始をする、財源もしっかりと確保するとの方向性を骨太の方針に明記したいと考えているところでございまして、法人税の構造を成長志向型に変えて、これによって雇用を確保し、国民生活の向上につなげていきたい、今まさに委員が指摘をされたように、日本が世界の中において最も企業が活動しやすい国に変え、多くの投資が日本に流れてくる、そして雇用を確保し、日本が成長していくことができるようにしていきたいと考えております。
○青柳委員 これも少し残念でしたが、明確に来年の通常国会に改革案を出すという御答弁まではいただけなかったと思います。
先週、我々は、野党六党共同で行革プラットホーム法案というのを提出しました。行政事業レビューの徹底、歳入庁の設置、公務員人事評価制度の改革、会計検査院機能の強化などを提案しました。ぜひ総理にも、お忙しいと思いますが、ごらんいただきたいと思います。
もう一つ、三点目。
安倍内閣になって、基金の積み増し、公共事業のばらまき、官民ファンド、こうした、景気対策といいながら、即効性のない政策、効果が薄れて弊害の方が顕在化しているような政策、効果の検証ができていないような政策が引き続き実行されていると言わざるを得ません。
安倍総理も閣僚も、PDCAサイクルをきちんと回していくということを、これは発言はされておりますが、実際には、残念ながら、全く徹底されていないと言わざるを得ないと思います。先ほどの玉木委員の質疑でもこういうことは明確になったんだと思います。
例えば、行政事業レビューで指摘された予算についても補正予算で復活している。予算の切り込み不足、財政規律の緩みなど、効果の薄い支出がまだまだ続いていると言わざるを得ないと思います。消費税を増税しても、無駄の削減がなければ財政規律にはつながらない、これは言うまでもないことだと思います。PDCAサイクルを本当にきちんと回していっていただきたいと思います。
総理、御答弁いただけますでしょうか。
○稲田国務大臣 行政の無駄の排除は、国民の行政に対する信頼を確保する上で非常に重要だというふうに思っております。
無駄の撲滅は、自民党政権下から、無駄撲滅、そちらにいらっしゃる河野太郎先生のところで取り組み、民主党政権下で行政事業レビューとなりました。それを引き継いで、行政事業レビューを引き継いでおりますけれども、その中に、先ほど委員御指摘の基金シートというのを新たに、私が就任をいたしましてから取り入れたところでございます。
さらに、秋のレビュー、今それも委員が御指摘になりましたけれども、秋のレビューで、事業の公開の検証の実施、従来の取り組みに改善を加えて、効果的な取り組みを実施いたしております。また、秋のレビューの改善の方向性については、御指摘をいただき、その御指摘事項については平成二十六年度当初予算及び平成二十五年度補正予算に反映をされているところでございます。
また、行政事業レビューの取り組みとしまして、今ちょうど公開プロセスをやっておりますけれども、今回、新たに、廃止という選択肢を設けました。私も視察に行きましたけれども、既に廃止の決定も出まして、非常に緊張感のある議論がなされておりまして、そういった取り組みをあわせて、PDCAサイクルを回し、さらに、内閣人事局において、行政事業レビュー等の取り組みを人事評価に反映させてまいりたいというふうに考えております。
○青柳委員 最後に一点伺いたいと思います。
安倍総理の政治の師であると思いますが、小泉構造改革について、今どのように評価していらっしゃるか。
私は、二〇〇三年から二〇〇七年までの基礎的財政収支の改善というのは評価すべきだと思います。増税せずに経済成長と歳出削減で赤字幅を二十兆円削減し、これは消費税に換算すると約八%分改善していると思います。
安倍総理は、小泉元総理とエネルギー政策については完全に意見の相違ができてしまったと思いますが、この小泉構造改革についてはいかが評価しているか。安倍総理が今やらなければならないことは、まさに既得権との闘いだと思います。ぜひ最後に力強い御答弁をお願いしたいと思います。
○松浪委員長 申し合わせの時間が過ぎております。
安倍内閣総理大臣、手短に願います。
○安倍内閣総理大臣 小泉構造改革につきましては、今委員が指摘をされましたように、緩やかな、息の長い景気の回復であったわけでございます。それを実現したわけであります。この間、基礎的財政収支は、二〇〇二年度、マイナス二十七・八兆円から、二〇〇七年度、五・五兆円まで改善したものと認識しております。ちなみに、二〇〇七年度は私が総理大臣だったわけでございますが。
この改善は、増税によらない改善だったのも事実であります。まさに、成長することによって、その果実を財政の健全化にも生かすことができるということではないか。このことも教訓にしていきたいと考えているところでございます。
○青柳委員 ありがとうございます。質問を終わります。
○松浪委員長 次に、畑浩治君。
○畑委員 生活の党の畑浩治でございます。
復興について、きょうは議論させていただきます。
実は、今国会ももうすぐ閉じようとしておりますけれども、復興について取り上げる議論が少なかったし、少なくなっているような気がいたします。
復興の風化というのを実は私は危惧しております。何も復興が進んでいるから議論が少なくなったわけではなくて、実は現場へ行ってみると、被災地は野っ原のままだし、そして、宅地造成も今始まって、かなりやっておりますけれども、もちろんそれは、完成はまだ先だし、仮設住宅にお住まいの方がほとんどであります。
こういう状況の理由はいろいろありますけれども、一つは、もちろん用地問題でありました。
工事というのは、御存じのとおり、一回入ればとんとんとんとん進むんですが、その前の住民調整が難しい。用地について言うと、端的に難しいのは、共有地とか、あるいは相続財産が分割されていない土地、これについて調整が大変だということなわけです。
これについて、私自身は、結局は先に工事をやって、そしてそういう調整なり補償金の支払いは並行してやればいいじゃないかということを申し上げて、二月三日の予算委員会で案をお示しして、その後、調整、いろいろな働きかけをさせていただきました。当初は、政府・与党も、法律改正じゃなくてできるんだというか、すべきなんだということで、ちょっと消極的だったんですが、最終的には御理解をいただきまして、これは委員長提案ということで、連休前に、参議院も含めて可決、成立したということであります。
きょう、資料をお配りさせていただいておりますけれども、特に3の部分ですね。新しい法律をつくるという議論もありましたが、土地収用法というものに緊急使用というのがあります。
緊急使用というのは、現行でも、公益に支障がある場合には緊急に着手して並行してやりましょうということで、ただ、これがなかなか使いにくかった。
まず、復興事業について、公益の必要性というところはどうなんだというところは、解釈の余地があったという部分で、そこを明確に書く。
それから、これは御存じでしょうけれども、六カ月しか緊急使用の期間がないわけで、六カ月以内に要は最終的な調査をして最終的な収用の裁決まで持っていかなければ、工事の権限がなくなって、もとに戻さなきゃいけないという、これは六カ月というのは厳しいんですよね。こういうことを踏まえて、一年に延ばすという改正を議員立法でやったところであります。
大体ツールはそろったかなと思っております。
ただ、心配だったのは、次の資料二なんですが、法律というのは、あくまでその根っこは書いていますが、では、どれぐらい調査するんだ、どういう運用をすればいいんだというのは運用マターです。この法律に基づいて運用がしっかり、的確になされること、そして、言ってみれば、抜本的に簡略化して行われること、このことが大事だという問題意識がありまして、この三点、これも私が原案起案者となって起案させていただきましたが、書かせていただきました。
特に、二番、三番なんですけれども、緊急使用する場合に、書類を省略したり、まだ調査不十分の段階で緊急使用ができるようになりましたけれども、実際、緊急使用をやる場合には、当然、権利者にお金を払わなきゃいかぬ、あるいは権利者に通知をしなければいけないわけです。その場合に、どれぐらいの範囲を調べればいいのかというのは法律マターではないわけでして、そこに実はこれまで地方の悩みがありました。
極端に言えば、いろいろな周辺に聞いて、あるいは遠くに聞いたり、いろいろな人にヒアリングをしながら、外国まで行って調べなきゃいけないのかという話もあって、それは合理的ではないので、端的には、簡素化の意味というのは、公簿であらわれている範囲でいいんじゃないかということにしましょうということをこの決議で書きまして、これに基づいてやってくださいよと。
三点目は、これは六カ月を延ばしましたが、やはり最大限一年なわけです。この一年については、もちろん、これ以上延ばせばいいという議論もありましたが、復興を急いでやらなきゃいけないということと、それから権利保護のためにはだらだら延ばすことはよくないという議論も議員立法の過程でありまして、一年ということに決したわけですが、ただ、一年でやはりやらなきゃいけないわけです。
これは思ったよりは簡単ではない。一年で、調査して、最終的な権利者を決めて、遺産分割をしてもらって払う。ただ、もちろん、それができない場合にも、不明裁決というのがあります。もうこれは不明なんだから、補償金を供託して進めましょう、最終的な権利を取得しましょうよという規定で、これを積極的に使いましょうと。ただ、この場合にはそれなりの調査が必要になってくるので、ここは同様に簡略化しましょうということをこの決議で書いたわけであります。
今後、用地取得が円滑に進むかどうかというのは、この法律の趣旨を踏まえて、この決議を踏まえて、運用が適切になされるかどうかにかかっていると思います。そういう意味で、法律の運用指針をあらかじめ具体的そして明確に決めて、そして、あとは実務的なガイドライン、不明裁決などはどこまで調べればいいのかということをしっかりと明確に示す、そういうことをこの決議で求めたものであります。
ここで伺いたいんですが、これを踏まえて、どのような形で今運用の徹底が図られているのか、国交大臣にお伺いいたします。
○太田国務大臣 土地の収用等の問題について、畑委員初め多くの議員の尽力によりまして、土地収用法の特例が設けられました。これで用地取得がより一層進むことになるというふうに考えておりまして、今御指摘のように、これから不明裁決の一層の活用が図られるようなガイドラインの発出を既にいたしましたし、また、被災三県及び三県の収用委員会、さらには岩手県三陸沿岸の市町村職員に対しまして、延べ七回、説明会を行ったところです。
今後とも、これは具体的に例示をするということが極めて大事なので、運用がしっかりできるようにということで支援をしたいというふうに思っています。
○畑委員 ありがとうございました。ぜひともしっかりやっていただきたいと思います。
これが円滑にいけば、この部分はかなり進むということになり、今後の見通しが立つと思います。公共団体でもかなり先の見通しがついたという話を聞いておりますので、ぜひとも、また引き続き御指導をよろしくお願いしたいと思います。
この後の最大の復興の課題、不安というのはやはりお金の問題でして、復興が完了するまでの間の財源確保ということになります。これは、もちろん、しっかりと、厳格に使わなければならないわけですが、今、平成二十七年度までしか集中復興期間の財源フレームが示されておりません。もちろん、平成二十七年度が終わった後も復興が進むわけです。
例えば、まちづくり、住宅再建は、この一、二年で造成はされるだろうと思いますが、それでも、その後に住宅が建つとすれば、やはりあと数年かかる。
あるいは、根幹的な社会資本というのは、これは湾口防も含めて、防潮堤も必要なところはそうでしょうが、三陸沿岸道等の根幹的な道路、これも平成二十三年から十年ぐらいの範囲でつくるということになっていますが、どうしても、そうすると平成三十年度以降になる。
ここで被災地の実は心配がありまして、それは、平成三十二年が東京オリンピックです。東京オリンピックが起きて、そして、もちろんこれは必要ですが、全国的な国土強靱化、防災、減災対策が出てくると、そろそろ俺らは忘れられるんじゃないかな、ちゃんと集中復興期間が終わった後もお金が回ってくるのかなということをよく言われるわけです。
ここのところ、そういうことはない、しっかり必要なものは確保しますよということを明言、テレビがきょう入っていますので、被災地の不安を解消するという意味でお答えいただければと思います。総理に答えていただきたかったんですが、今おられないので、復興大臣から先に答えていただいて、その後に総理にお伺いしましょう。
○根本国務大臣 東日本大震災からの復興、これについては、東日本大震災からの復興の基本方針、この基本方針において、まず復興期間を十年間としております。そして、復興需要が高まる当初の五年間、これを集中期間として位置づけております。さらに、集中復興期間後については、事業の進捗などを踏まえて施策のあり方を定めるとしております。
現在、住宅再建などの工事が本格化し、福島の復興再生では、早期帰還や長期避難者の生活拠点の整備に向けた各種事業が本格化する、復興は新たなステージに入っております。
まずは、このような復興の動きをさらに加速して、集中復興期間において被災地の一刻も早い復興を目指す、これが重要だと考えております。その上で、集中復興期間後の平成二十八年度以降の復興事業、これについては、それまでの進捗状況などを踏まえ、財源を含めてそのあり方について検討する必要があると考えております。
もちろん、復興期間は十年間とされておりますので、被災地の復興に真に必要な事業については、集中期間後の平成二十八年度以降もしっかりと実施する必要があると考えております。
○安倍内閣総理大臣 今、根本大臣からお答えをさせていただきましたが、平成二十七年度においても復興予算については必要額を措置するとともに、さらなる財源確保の必要が生じた場合には、平成二十七年度予算編成において適切に対応していく考えであります。
その上で、集中復興期間後の平成二十八年度以降の復興事業については、それまでの進捗状況等を踏まえて、財源を含めてそのあり方について検討することとなるわけでありますが、被災地の復興に今真に必要な事業については、しっかりと実施できるように取り組んでいく考えでございます。
○畑委員 ありがとうございました。
これでテレビを見た被災地の方の不安はかなり解消されたと思っております。
本当に真に必要なものというところで、真にというのがなかなかちょっとこれからの議論で不安な部分はあるんですが、やはり、今やっている事業が終わらないわけなので、終わらないものはこれは必要なわけで、そこは途中でぶった切ることはあってはならないし、そこは現行のスキームで財源措置も含めて進むものだと思っておりますので、ぜひとも、被災地の思いを受けとめて、安倍内閣の最重要課題の一つでありますので、復興の加速をよろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○松浪委員長 次に、吉川元君。
○吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。
私に与えられた時間は十分しかありませんので、早速質問に入らせていただきます。
最初に、本委員会で審議の対象になっている二〇〇九年度から二〇一一年度までの各年の自衛官として新規に入隊された方の数について、防衛省、お聞かせください。
○豊田政府参考人 お答え申し上げます。
自衛官等の新規入隊者数は、平成二十一年度、八千五十八人、平成二十二年度、一万一千人、平成二十三年度、九千五百九十七人でございます。
○吉川(元)委員 この三年間でおよそ二万八千人強、三万人近くの方が新しく自衛隊に入隊されているということになります。
自衛隊に入隊される方は、自衛隊法施行規則三十九条に沿って、宣誓書に署名押印して、服務の宣誓を行わなければなりません。一般の隊員でいえば、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、憲法及び法令を遵守した上で、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努める。大変厳しい内容ですけれども、この点については、総理も先週の党首討論の中で言及されたとおりです。
さて、一九五四年、昭和でいいますと二十九年になりますが、自衛隊法が制定をされ、それまでの保安隊が自衛隊に移行いたしました。その際、保安官は自衛官になったわけです。その際に、宣誓書の内容が変わり、宣誓のやり直しの手続がとられたものと承知しておりますが、その理由について、防衛大臣の方から簡単にお聞かせください。
○小野寺国務大臣 当時、保安隊から自衛隊に組織が移行したということでありますが、これは内容が大きく変わっております。ですから、もちろん、保安隊というのは警察のある面では補完的な役割をするということで、自衛隊となりますと、これは我が国の国防を担うということになりますから、組織も目的も大きく変わったということでありますので、当然、その中で行う宣誓の内容が変わったということであります。
○吉川(元)委員 当時の新聞、五四年の六月二十三日の読売新聞を見ますと、「“ことに臨んでは危険を顧みず…”とかつての“戦陣訓”もどきの文句が加わっているためか、」「宣誓拒否が続出」、こう報じられております。保安隊関係者、当時、六千人を超える方が、宣誓のやり直しをしなかった、つまり、保安官から自衛官には移行しなかったということになっております。
今御説明があったとおり、国内の治安を目的とした保安隊から、日本の国土を防衛する自衛隊になったわけですから、隊員が宣誓をする内容も大きく変わり、また、再宣誓をするというのは当然のことだろうというふうに思います。
そこで、総理にお聞きします。
今回の集団的自衛権の行使を限定的であれ認めることになれば、自衛隊の活動は大きく変わります。直接及び間接の侵略から日本を防衛するという自衛隊法三条に規定された自衛隊の主たる任務、すなわち自国の防衛、これだけではなく、自国が攻撃されていないにもかかわらず武力を行使する、戦闘地域のホルムズ海峡での機雷除去についても自衛隊が赴く、こういうこと、これは党首討論でも民主党の海江田代表が指摘されておりましたが、そういう中で、自衛隊員が傷つき、また、武力行使によって相手を殺傷する可能性も飛躍的に高まります。
この際、その宣誓のやり直しをするということが必要だと考えますが、この点について、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 ことしも防衛大学の卒業式に出席をいたしまして、陸海空自衛官に任命され、服務の宣言を行う卒業生諸君の宣誓を受けたわけでございますが、この宣誓の重みと最高指揮官としての責任の重さをかみしめているところでございます。
宣誓においては、「日本国憲法及び法令を遵守し、」そして、「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえる」、こう宣誓をしているわけでありますが、この宣誓は、自衛権行使を行う防衛出動のみならず、領空侵犯対処あるいは海賊対処、PKOなど、平素からのあらゆる任務の遂行を前提としたものであります。
この瞬間にも、例えばソマリア沖に対して海賊対処活動を行っているわけであります。海賊対処活動というのは、これは完全に安全な活動ではないわけでありまして、まさに、時には危険な状況の中においてしっかりと任務を完遂しなければいけないという中において、緊張感を持って、まさに命をかけて、日本人の代表として活動を行っているわけでございます。
そういう意味におきましては、この宣誓の基本的考え方は、今まだ、与党の協議を行っていて、集団的自衛権の限定的な行使を容認するかどうかということについては結論が出ていないわけでありますが、もし出たとしても、この中身が変わることはないと考えております。
○吉川(元)委員 それは違うと思いますね。
ここに、今ほど総理も触れられましたけれども、憲法を遵守しとなっております。その憲法というのを防衛省はどのように解釈をしているか。
これはもう時間がありませんので一つ一つ触れませんけれども、急迫不正の侵害があったこと、さらには、集団的自衛権に関しては、「他国に加えられた武力攻撃を実力をもって阻止することを内容とする集団的自衛権の行使は、これを超えるものであって、憲法上許されないと考えています。」と、これは防衛省自身がこういうふうに書いてあるわけです。
自衛隊員は、これと違う解釈でもって宣誓をしているわけではないわけです。憲法を遵守するということは、つまり、他国に行って武力行使を行わない、そのように誓って自衛隊に入っているわけです。ところが、集団的自衛権の行使を容認すれば、他国に行って、攻められてもいないのに、日本が攻撃をされていないにもかかわらず武力行使を行うことがあり得るわけですから、全く違う話じゃないですか。
○安倍内閣総理大臣 もう予算委員会等で再々私が答弁をしておりますように、個別的自衛権においても、いわば武力行使を目的として戦闘に参加をすることはない、こういう制約がかかっている、いわゆる一般に派兵は行わないということでありますから、これは、集団的自衛権においてもそれは当然その制約がかかっているということを私は繰り返し申し上げているところでございまして、アフガニスタンあるいはベトナム戦争のようなものに自衛隊が武力行使を目的として戦闘に参加することはないわけでありますから、今の委員の指摘はそもそも我々の検討対象ではないということをはっきりと申し上げておきたいと思います。
まさに私たちが議論をしているのは、近隣諸国において武力紛争が発生した際に、その地域から日本に避難しようとしている日本人を乗せる、輸送するための米軍の船を警護したり、そうした活動を自衛隊がする、そのことをどう考えるかということについて、例えば、議論をしているところでございます。
○吉川(元)委員 個別的自衛権のもとでの武力行使と集団的自衛権のもとでの武力行使というのは、これは全く質が異なる、同じ武力行使だというふうに言われましたけれども、全く質が異なるものです。
では、今、アフガニスタン戦争や湾岸戦争に参加をしないというようなお話がありました。実は、総理が記者会見をした三日後ぐらいに、アメリカの海軍の制服組のトップが講演の中で、米空母との共同作戦ができるようになる、あるいは、NATO軍と同じように共同作戦ができるようになるというふうな発言をしておりますが、この発言は間違いだということでよろしいんですか。
○安倍内閣総理大臣 その発言は私は承知をしておりませんが、現在、例えば、ある国が機雷を敷設した際に、しかも、その機雷を敷設した地域を日本の多くのタンカーが、あるいは日本に支援を運ぶ船が通過をするという際に、この敷設された機雷を掃海するということにおいて活動することも当然あり得るのかどうかということについても検討をしているわけでございまして、いわば機雷の掃海活動を果たして行うことができるかどうかということも検討しているわけであります。
そして、例えば、現在においても、海賊対処活動においては、これは今は、ゾーンディフェンス、あるゾーンを、日本の海自の船だけではなくて、他国の船とともに協力をしながらその地域を守っているという状況にあるわけであります。
シーレーン防衛ということにつきましては、シーレーンを、日本の海上自衛隊と例えば米国の艦艇とともに、今言ったような活動を協力して行うということも今検討をしているということであります。
いずれにせよ、機雷を敷設するという行為は、これは国際法に反する行為であって、その敷設をした危険な機雷を、これはまさに、それを取り除くということは、我が国にやってくる、また、我が国の船員も乗っているかもしれない船が触雷をして生命が失われるかもしれませんし、そもそも、日本は経済的な危機に立ち至るかもしれない、それを排除するという合法的な活動を行うわけでありまして、そういうことを今まさに検討しているということは申し上げておきたいと思います。
○吉川(元)委員 もう時間がありませんのでこれで終わりますけれども、三年間で三万人の若い人が入っています。彼らは、外国に出ていって武力行使をするために入ったわけではないわけです。その点をしっかりと考えていただいて、検討いただければというふうに思います。
以上で終わります。
○松浪委員長 以上をもちまして平成二十一年度決算外二件、平成二十二年度決算外二件及び平成二十三年度決算外二件についての質疑は終局いたしました。
内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。
―――――――――――――
○松浪委員長 平成二十一年度決算、平成二十二年度決算及び平成二十三年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき、委員長において作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。
これより議決案を朗読いたします。
平成二十一年度、平成二十二年度及び平成二十三年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書に関する議決案
本院は、各年度決算について、予算執行の実績とその効果、会計検査院の検査報告などに重点を置いて審議を行ってきたが、さらに改善を要するものが認められるのは遺憾である。
一 予算の執行状況などからみて、所期の目的が十分達成されるよう、なお一層の努力を要する事項などが見受けられる。
次の事項がその主なものであるが、政府は、これらについて特に留意して適切な措置を執り、その結果を次の常会に本院に報告すべきである。
1 決算の参照書類である「国の債務に関する計算書」に多数の誤りがあったことについては、決算に関連する各計数の信頼性を損ないかねない重大な事態であり、誠に遺憾である。政府は、深く反省するとともに、二度とこのようなことが生じないよう改善し再発防止に取り組むべきである。
2 財政健全化については、国の財政は、国と地方を合わせた公的債務残高が年々増加の一途を辿り、非常に厳しい状況にあることから極めて重要な課題であると認識しなければならない。政府は、財政運営に対する信認を確保するため、国と地方の基礎的財政収支の黒字化、公的債務残高の対国内総生産比の安定的な低下を可能な限り早期に実現すべきである。そのため、昨年八月に策定された「中期財政計画」を踏まえ、財政健全化に向けた現実的かつ具体的な道筋を可及的速やかに国民に示すべきである。また、基礎的財政収支が黒字化された場合であっても、依然として多額の国債費の支払が必要となることを国民に対し十分に周知すべきである。
あわせて、歳出面については、社会保障支出の見直しに取り組むとともに、行政事業レビュー・政策評価の適切な反映など予算のPDCAを徹底し、税金の無駄遣いを削減し、予算の重点化・効率化を進め、歳入面については、政策税制の適正化に向けた取組を進めるなど、歳入・歳出改革に全力で取り組むべきである。
補正予算の編成に当たっては、その規模が過大にならないよう事業の必要性等の精査を厳格に行い、財政規律の確保に努めるべきである。
また、予算統制の観点、財政の健全性の確保の観点から、ストック及びフローに関する国の財務情報を把握することが重要であり、インフラ資産の固定資産台帳の整備等の検討とともに、複式簿記、発生主義に基づく財務諸表の開示に努めるべきである。さらに、税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現のため、マイナンバー制度の活用等を含めた税の徴収基盤の一層の強化を図るとともに、税務当局の職員の能力の向上に努めるべきである。
3 東日本大震災からの復旧・復興については、一昨年、復興予算の使途が問題となったことに続き、自治体などが基金を造成して行う復興事業においても同様の事態が見受けられ、これらについて、政府において使途の厳格化の対応が図られているが、他方で、多額の繰越、不用額が生じているなど、復興に関する問題は未だ解消されていない。政府においては、復興関連の事業に対し適切に点検を行い、事業用地の取得迅速化のために既存の制度の抜本的な見直しを含め、被災地に必要かつ十分な支援が確実に届くよう最大限の努力をするとともに、引き続き震災関連死の防止に全力で取り組むべきである。
また、被害総額の算定方法の妥当性、これまでに投下された復興予算の規模の適正性、民間に対する補償の在り方、効率的かつ迅速な復旧・復興の進め方について、あらゆる知見を活用して徹底した検証を行うべきである。特に今後発生が予測されている南海トラフ巨大地震については、百六十九兆円を超える被害額が見込まれていることを想起すれば、より効果的な復旧・復興の対応策が求められている。今回の震災を教訓に様々な視点から検討を行い、対応に万全を期するべきである。
東京電力株式会社による被害者への賠償金の支払い対応については、迅速かつ誠実に行われるよう指導すべきである。
なお、会計検査院においては、今回の復興関連の事業について、正確性、合規性、経済性、効率性及び有効性の観点から検査を行うとされている会計検査院法の趣旨に沿った検査が行われているとは言い難いとの指摘もある。各事業の適正性及び政策効果の検証を一段と深め、国民の負託に応えるべきである。
4 社会保障制度の改革に当たっては、給付の重点化、制度運営の効率化を進めることにより、国民負担の増大を抑制しつつ、世代間格差を是正する制度を実現すべきである。また、救急医療体制の整備、医療従事者、介護従事者の十分な確保、後発医薬品の普及促進、国公立病院等の経営状況の改善等に全力で取り組むとともに、リビング・ウィルの制度化を含めた終末期医療の在り方についての検討を加速すべきである。
さらに、生活保護制度の運用に当たっては、被保護者の自立支援を充実させるとともに、不正・不適正受給対策を推進すべきである。
社会福祉法人の財務については、透明性を高めるとともに、内部留保の使用目的を明確化するよう指導すべきである。
5 エネルギー政策については、原子力規制委員会の任務の遂行における独立性の確保に十分留意すべきである。また、高速増殖原型炉もんじゅにおいて機器の保守管理に多数の不備が発生したことは極めて遺憾である。本件に係る責任の明確化を図り、再発防止の体制整備に全力で取り組むべきである。また、現在使用されていないリサイクル機器試験施設については、その利活用方策を早急に検討すべきである。さらに、放射性廃棄物の最終処分地の選定作業が遅延している現状にかんがみ、国民の理解の促進、地元住民への説明等において国が主導的な役割を果たすべきである。
また、太陽光発電等の再生可能エネルギーの普及が促進されるような環境整備に努めるとともに、最先端の技術開発を推進すべきである。
6 我が国経済については、長期にわたるデフレと景気低迷からの脱却を実現することが直面する課題であるが、その後も長期的に安定した成長を実現していくためには、規制緩和を推進しつつ、道州制を見据えた経済成長戦略を実行していく必要がある。
また、内外の潜在需要を顕在化させつつ、中小企業やベンチャー企業が効果的に資金調達できる枠組みを検討するなど、民間投資を喚起する必要がある。加えて、観光資源等のポテンシャルを活かし、世界の多くの人々を地域に呼び込む社会の実現に努めるべきである。
成長戦略を実行するには、日本国内のみならずグローバル化を活かしたヒト・モノ・カネが自由に行き来できる環境を整備することが必要であり、それを支える足元のインフラのひとつである日本籍船の海上輸送の国際競争力強化、船員の確保・養成を図り、経済安全保障を強化していくことは重要な課題である。また、世界的な水問題に対し、我が国企業の強みを生かしてその解決に貢献するため、水ビジネスの積極的な国際展開を進めるべきである。
労働者の賃金上昇と雇用の拡大によってデフレからの脱却を図るよう政府としても引き続き必要な役割を果たすべきである。また、行政職場における臨時非常勤の増加に留意し、その処遇改善を図るべきである。
7 独立行政法人改革に当たっては、国民に対する説明責任を果たすために、運営費交付金の使途を明確にして、透明性のある効率的な業務運営を行うよう見直しを進めるべきである。また、法人役員の責任の明確化、監事の機能強化、再就職規制の導入等により徹底した内部統制の確立を図るべきである。
8 航空行政の実施に当たっては、国際競争基盤としての空港の重要性を十分に認識し、首都圏空港、近畿圏・中部圏空港、一般空港それぞれの機能が十分に発揮されるよう役割の明確化を図るとともに、各空港の利便性の一層の向上に努めるべきである。また、企業再生への対応に当たっては、会社間の健全な発展、安全対策の適切な実施について、十分配慮する必要もある。
9 拉致問題の解決に当たっては、拉致事件の規模や被害者数が想定以上に大規模となる可能性が生じていることにかんがみ、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国、特定失踪者の消息解明、また、拉致に関する真相究明などに全力をあげて取り組むべきである。
二 会計検査院が検査報告で指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。
政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講じるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。
三 決算のうち、前記以外の事項については不法又は不当な収入支出は認められないため異議がない。
政府は、今後予算の作成及び執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、行財政改革を強力に推進し、財政運営の健全化、行政の活性化・効率化を図るとともに、政策評価等の実施を通じた効果的かつ効率的な行政を推進し、もって国民の信託にこたえるべきである。
以上が、議決案の内容であります。
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○松浪委員長 これより平成二十一年度決算外二件、平成二十二年度決算外二件及び平成二十三年度決算外二件を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。平将明君。
○平委員 自由民主党の平将明です。
私は、自由民主党を代表して、平成二十一年度決算外八件に関し、決算につきましては議決案のとおり議決するに賛成、国有財産関係につきましては是認すべきものと議決するに賛成の立場から討論を行います。
まず、決算につきまして、賛成する主な理由を申し述べます。
その第一は、平成二十一年度予算において、麻生内閣は、リーマン・ショックを契機とした世界的な経済金融危機を脱するため、景気対策を立て続けに講じ、日本経済を回復軌道に乗せるよう、必死の努力を続けていたのであり、その結果が決算に反映されているものであります。
ただ、この点に関して、麻生内閣が成立をさせた十五兆円に及ぶ第一次補正予算につき、政権交代後、鳩山民主党内閣が、前政権の政策を否定するパフォーマンスで、三兆円の執行停止を国会の議決を経ずに閣議決定で決定したという、財政国会中心主義を踏みにじる行いがなされていたことは非常に残念であるということを付言しておきます。
その第二は、議決案の内容において、財政健全化、東日本大震災からの復旧復興、社会保障制度の改革、エネルギー政策等、これまでの決算審査の中で取り上げられた国政に関する諸課題につきまして、適切な指摘が盛り込まれている点であります。政府におかれては、これらの課題につきまして必要な措置をとることを希望します。
以上、賛成の理由を述べてまいりましたが、議決案にもあるとおり、決算の参照書類である国の債務に関する計算書に多数の誤りがあったことについては、決算に関する各計数の信頼性を損ないかねない事態であり、まことに遺憾であります。また、決算検査報告で相変わらず不適正経理等の事案が指摘されている点も含め、政府には反省と再発防止の徹底を強く求めるものであります。
次に、国有財産関係につきましては、いずれも是認すべきものと議決することに賛成をいたします。
以上をもちまして、私の討論を終わります。
○松浪委員長 次に、吉川元君。
○吉川(元)委員 社会民主党・市民連合を代表し、平成二十一年度から二十三年度に至る一般会計歳入歳出決算等に関する議決案に反対、平成二十一年度並びに二十三年度の国有財産増減及び現在額総計算書に反対、その他案件に賛成する立場で討論いたします。
冒頭、委員各位の真摯な審議によって、本日、三年分の決算について議決することになりましたが、三年度分を一括審議したことによって、問題を十分に浮かび上がらせるに至らなかった点もありました。単年度ごとの決算が可能となるよう、私も含め、関係各位の一層の努力が必要であることを指摘したいと思います。
さて、議決案に反対する第一の理由は、決算の対象となる予算そのものについて、平成二十二年度を除き、賛成に至らなかったことによるものです。
議決案の対象となる三年間の予算の中には、沖縄県辺野古への基地移設関係費、在日米軍再編関係費、自衛隊の海賊対策費やテロ対策特措法に基づく活動費等が盛り込まれています。これらの予算計上については賛成しがたく、議決案にも問題点の指摘がない以上、反対せざるを得ませんでした。
反対の第二は、議決案の方向性あるいは大部分の指摘には賛成できるものの、数カ所において賛同できない内容が含まれていることによるものです。
例えば、一の第二項における財政健全化を求める指摘におきまして、社会保障支出の見直しに取り組むべしとの指摘がありますが、社会保障制度につきましては、誰もが安心できる抜本的な制度改革こそが問われるものであり、給付の重点化や効率化といった給付抑制のみが強調されるべきではないと考えます。
また、同じ第二項において、税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現を求めること自体に異論はありませんが、個人情報の収集、分析等で問題が指摘されているマイナンバー制度の活用を指摘している点には、同意できません。
さらに、一の第五項において、高速増殖炉「もんじゅ」について多数の不備が生じている問題の指摘がされていますが、実用化の見込みが全くなく、維持に多額の費用を要する「もんじゅ」については、廃止の決断を下すことが、国民の安全と財政的な見地から必要な措置と考えます。
主要には以上指摘した内容で議決案賛成には至らなかったものの、議決案には重要な指摘が多数盛り込まれており、それらの点につきましては、政府において誠実な対応をしていただくことをお願いし、私の討論といたします。
○松浪委員長 これにて討論は終局いたしました。
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○松浪委員長 これより順次採決いたします。
まず、平成二十一年度一般会計歳入歳出決算、平成二十一年度特別会計歳入歳出決算、平成二十一年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成二十一年度政府関係機関決算書、平成二十二年度一般会計歳入歳出決算、平成二十二年度特別会計歳入歳出決算、平成二十二年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成二十二年度政府関係機関決算書、並びに平成二十三年度一般会計歳入歳出決算、平成二十三年度特別会計歳入歳出決算、平成二十三年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成二十三年度政府関係機関決算書は、これを議決案のとおり議決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○松浪委員長 起立多数。よって、議決案のとおり議決すべきものと決定いたしました。
次に、平成二十一年度国有財産増減及び現在額総計算書、平成二十三年度国有財産増減及び現在額総計算書の両件は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○松浪委員長 起立多数。よって、両件は是認すべきものと決定いたしました。
次に、平成二十二年度国有財産増減及び現在額総計算書は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○松浪委員長 起立多数。よって、本件は是認すべきものと決定いたしました。
次に、平成二十一年度国有財産無償貸付状況総計算書、平成二十二年度国有財産無償貸付状況総計算書、平成二十三年度国有財産無償貸付状況総計算書の各件は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○松浪委員長 起立多数。よって、各件は是認すべきものと決定いたしました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松浪委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○松浪委員長 この際、各国務大臣から順次発言を求めます。麻生財務大臣。
○麻生国務大臣 ただいま御決議のありました国の債務に関する計算書の誤りにつきましては、二度とこのようなことが生じないよう是正改善の処置を講じたところであります。御決議の趣旨を踏まえ、今後とも、決算に関連する計数の正確性が確保されるよう再発防止に取り組んでまいる所存であります。
次に、財政健全化に向けた取り組みにつきましては、中期財政計画に定められた財政健全化目標を達成するため、歳出面においては、行政事業レビューや政策評価などを活用し、社会保障支出も含め、聖域なく、予算の重点化、効率化を図ってまいります。また、歳入面においても、政策税制の適正化に向けた取り組みを進めつつ、経済成長を通じて税収の対GDP比の伸長を図るなど、歳出歳入両面における取り組みを強力に進めてまいります。
補正予算の編成に当たっては、財政法第二十九条の趣旨に照らし、各事業の規模、内容などがその緊要性に応じたものになっているか、今後とも厳格に精査し、財政規律の確保に努めてまいります。
また、財務諸表の開示に当たっては、複式簿記、発生主義の考え方や手法により作成し、これまでも、公表時期の早期化や内容の充実を図ってきたところであります。御決議の趣旨も踏まえ、固定資産台帳についての検討とともに、引き続き、国の財務書類等の適切な開示に努めてまいる所存であります。
これに加え、マイナンバー制度の活用などを含めた税の徴収基盤の一層の強化と、税務当局の職員の能力の向上を通じた税の適正かつ公平な賦課及び徴収を実現してまいります。
○松浪委員長 次に、甘利国務大臣。
○甘利国務大臣 ただいま御決議のありました財政健全化につきましては、経済再生と財政健全化の両立を図りながら、中期財政計画に沿って、財政健全化目標の実現を目指して取り組んでおります。
二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化に向けた具体的道筋については、二〇一五年度の目標達成に向けた取り組みを進めながら、検討を進めてまいります。今後とも、中長期の経済財政に関する試算などにより将来の展望を明らかにしつつ、歳出歳入両面の取り組みを強力に進めてまいります。
次に、デフレからの脱却に向けた取り組みにつきましては、三本の矢を一体として推進してきた結果、景気は着実に上向いております。また、物価動向は、デフレ状況ではなくなっております。今後、長期的な経済成長を実現するため、今月中に骨太方針を取りまとめるとともに、成長戦略を改定し、安倍政権の進化する成長戦略の姿をお示ししてまいります。
また、大胆な税制措置や政労使会議の共通認識等を踏まえ、労使が真摯な議論を重ねた結果、近年にない賃上げの動きが力強く広がっております。引き続き、賃金上昇や雇用拡大を伴う経済好循環に向けた環境整備等に取り組んでまいります。
○松浪委員長 次に、田村厚生労働大臣。
○田村国務大臣 ただいま御決議により指摘されている点につきまして御説明いたします。
社会保障制度改革につきましては、消費税率の引き上げにより安定財源を確保し、制度の充実を図るとともに、重点化、効率化を同時に進め、受益と負担の均衡のとれた持続可能な全世代型の社会保障制度の確立に取り組んでまいります。
また、救急医療体制の整備、医療・介護従事者の確保、後発医薬品の普及促進、国立病院等の経営改善及び人生の最終段階における医療のあり方につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも、関連施策の推進に積極的に取り組んでまいります。
生活保護制度につきましては、受給者の自立促進や不正・不適正受給対策の強化に取り組むとともに、社会福祉法人の財務の透明性の確保や内部留保の使用目的の明確化の検討などを進めてまいります。
さらに、経済の好循環の実現のため、非正規雇用の方々の処遇改善の支援や成長分野での雇用創出の取り組みなどを進め、労働者の賃金上昇や雇用拡大につなげてまいります。
以上です。
○松浪委員長 次に、根本復興大臣。
○根本国務大臣 東日本大震災からの復旧復興への対応につきましては、御指摘の趣旨を踏まえ、今後とも一層努力してまいる所存です。
○松浪委員長 次に、古屋国務大臣。
○古屋国務大臣 ただいま御決議のありました東日本大震災の被害総額の算定方法の妥当性及び南海トラフ巨大地震についてのより効果的な復旧復興の対応策につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、検証を行うとともに、東日本大震災を教訓として、今後とも、防災対策及び国土強靱化対策にかかわる取り組みを全力で進めてまいります。
拉致問題の解決方針につきましては、その趣旨を尊重して、政府方針に基づき、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国に全力を尽くすとともに、拉致に関する真相究明などを引き続き追求してまいります。
また、現在行っている拉致被害者等への今後の支援策の検討につきましても、今後の新たな拉致被害者帰国に向けた準備を進めてまいります。
○松浪委員長 次に、茂木経済産業大臣。
○茂木国務大臣 ただいま御決議のありました東京電力による被害者への賠償につきましては、これまでに約四兆円が支払われております。引き続き、被害者に寄り添った賠償が迅速に行われるよう、東京電力を指導してまいります。
高レベル放射性廃棄物の最終処分の問題は、次世代に先送りできない重要な課題であり、国が科学的により適度の高い地域を提示し、その中で地域を絞って国が重点的な理解活動を行っていく等の方向性を新たに示しました。選定プロセスを前進させるべく、国が前面に立って取り組んでまいります。
再生可能エネルギーの普及促進については、新たなエネルギー基本計画において積極的に推進していく方針を明確にしました。このため、固定価格買い取り制度を適切に運用していくとともに、送配電網の強化や、環境アセスメントの迅速化、高効率化に向けた技術開発などに取り組んでまいります。
民間投資につきましては、ベンチャー投資促進税制や設備投資促進税制の積極的な活用を促すほか、産業革新機構による支援等、中小企業を含めた前向きな投資を喚起してまいります。
水ビジネスについては、今後とも、金融面の支援も含め、関係機関と連携し、官民一丸となって、我が国企業の海外展開を支援してまいります。
○松浪委員長 次に、新藤総務大臣。
○新藤国務大臣 ただいま御決議のありました地方公共団体が設置している公立病院における経営状況の改善につきましては、御趣旨を踏まえ、引き続き、公立病院が経営改革に積極的に取り組むよう、必要な助言等を行ってまいります。
地方公共団体における臨時、非常勤職員の処遇につきましては、御趣旨を踏まえ、今後とも、地方公共団体に対して必要な助言を行う等、適切な対応に努めてまいります。
独立行政法人改革につきましては、御趣旨を踏まえ、行政改革担当大臣と連携して、しっかりと取り組んでまいります。
○松浪委員長 次に、石原環境大臣。
○石原国務大臣 原子力規制委員会は、原子力利用における推進と規制を分離するため、専門的知見に基づき、中立公正な立場で独立して職権を行使する組織として、平成二十四年に設置されたところであります。今後とも、原子力規制委員会がその職務を全うできるよう、しっかりとサポートしてまいります。
また、再生可能エネルギーについては、環境省においても導入に対する支援を行うとともに、浮体式洋上風力、地熱発電や蓄電池の技術開発や実証などに取り組んできたところです。
決議を踏まえ、今後は、潮流発電の実証や離島における再生可能エネルギーの導入など、取り組みをさらに強化してまいります。
○松浪委員長 次に、下村文部科学大臣。
○下村国務大臣 ただいま御決議のありました高速増殖原型炉「もんじゅ」における機器の保守管理の不備につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、独立行政法人日本原子力研究開発機構が安全を最優先とした組織となり、失われた信頼を回復するよう、文部科学省が前面に立って改革を進めてまいります。
また、リサイクル機器試験施設につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、当該施設の利活用方策が明確になるよう、文部科学省としても、政策的位置づけを明確にしてまいります。
○松浪委員長 次に、太田国土交通大臣。
○太田国務大臣 ただいま御決議のありました観光立国の推進につきましては、外国人観光客誘致に強力に取り組んでまいります。
また、安定的な国際海上輸送の確保につきましては、日本船舶や日本人船員の確保等に取り組んでまいります。
さらに、空港の機能強化につきましては、国際競争力強化のための基盤整備等を着実に進めてまいります。
企業再生の環境整備につきましては、御指摘の点に配慮しつつ、適切に対応してまいります。
○松浪委員長 次に、稲田国務大臣。
○稲田国務大臣 ただいま御決議のありました国家公務員の非常勤職員の処遇につきましては、御趣旨を踏まえ、今後とも、人事院と連携しつつ、各府省において適正な処遇がなされるよう努めてまいります。
また、独立行政法人改革につきましては、運営費交付金の使途の明確化、内部統制の確立について、昨年末に閣議決定しました独立行政法人改革等に関する基本的な方針、今国会に提出し成立しました独立行政法人通則法の一部を改正する法律案に盛り込んでいるところであり、御趣旨を踏まえ、総務大臣と連携して、しっかりと取り組んでまいります。
○松浪委員長 以上をもちまして各国務大臣からの発言は終わりました。
次に、河戸会計検査院長から発言を求めます。
○河戸会計検査院長 ただいま御決議のありました復興関連の事業に対する会計検査につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも一層努力してまいる所存でございます。
○松浪委員長 この際、一言御挨拶申し上げます。
本日をもちまして平成二十一年度決算外二件、平成二十二年度決算外二件及び平成二十三年度決算外二件の審査は全て終了いたしました。委員各位の御協力に深く感謝申し上げます。
また、本日も、多数の委員の皆様から、この決算委員会の改革についての必要性が説かれました。異例のこの三年分の決算の審議と並行して、ただいま理事の皆様と改革案を検討しているところであります。
ただいまの議論を踏まえて、今後、理事会派の皆さんとともに改革案を模索してまいりたいと思いますので、どうぞよろしく申し上げます。ありがとうございました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時三十三分散会