衆議院

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第4号 平成27年6月8日(月曜日)

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平成二十七年六月八日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 石関 貴史君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 河野 太郎君

   理事 瀬戸 隆一君 理事 武村 展英君

   理事 山田 賢司君 理事 柚木 道義君

   理事 松浪 健太君 理事 伊藤  渉君

      赤枝 恒雄君    秋本 真利君

      石原 宏高君    大岡 敏孝君

      加藤 鮎子君    木内  均君

      木原  稔君    木村 弥生君

      小松  裕君    後藤田正純君

      今野 智博君    島田 佳和君

      白石  徹君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    田畑 裕明君

      前川  恵君    村上誠一郎君

      八木 哲也君    階   猛君

      原口 一博君    山井 和則君

      横路 孝弘君    水戸 将史君

      石井 啓一君    清水 忠史君

      宮本  徹君    園田 博之君

      浅尾慶一郎君    中村喜四郎君

    …………………………………

   財務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣         高市 早苗君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   経済産業大臣       宮沢 洋一君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   防衛大臣         中谷  元君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (防災担当)       山谷えり子君

   国務大臣

   (情報通信技術(IT)政策担当)         山口 俊一君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   復興副大臣        長島 忠美君

   財務副大臣        菅原 一秀君

   文部科学大臣政務官    赤池 誠章君

   経済産業大臣政務官    関  芳弘君

   国土交通大臣政務官    鈴木 馨祐君

   会計検査院事務総局次長  田代 政司君

   会計検査院事務総局第一局長            桜田  桂君

   会計検査院事務総局第二局長            村上 英嗣君

   会計検査院事務総局第五局長            平野 善昭君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  前田  哲君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  谷脇 康彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  吉川 徹志君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 持永 秀毅君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 塩川実喜夫君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  新井  豊君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   西田 安範君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   岡本  宰君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           鈴木 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  唐澤  剛君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            櫻庭 英悦君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  小関 正彦君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   豊田  硬君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 吉田 正一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 鈴木 敦夫君

   参考人

   (株式会社日本政策投資銀行代表取締役副社長)   柳  正憲君

   参考人

   (株式会社商工組合中央金庫代表取締役社長)    杉山 秀二君

   参考人

   (日本年金機構理事長)  水島藤一郎君

   決算行政監視委員会専門員 平川 素行君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月八日

 辞任         補欠選任

  石原 伸晃君     石原 宏高君

  鴨下 一郎君     赤枝 恒雄君

  白須賀貴樹君     今野 智博君

  田中 英之君     前川  恵君

  西川 公也君     木内  均君

  赤松 広隆君     山井 和則君

  横路 孝弘君     階   猛君

  青柳陽一郎君     水戸 将史君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     鴨下 一郎君

  石原 宏高君     石原 伸晃君

  木内  均君     西川 公也君

  今野 智博君     白須賀貴樹君

  前川  恵君     田中 英之君

  階   猛君     横路 孝弘君

  山井 和則君     赤松 広隆君

  水戸 将史君     青柳陽一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成二十四年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十四年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十四年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十四年度政府関係機関決算書

 平成二十四年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十四年度国有財産無償貸付状況総計算書

 平成二十五年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十五年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十五年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十五年度政府関係機関決算書

 平成二十五年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十五年度国有財産無償貸付状況総計算書


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     ――――◇―――――

石関委員長 これより会議を開きます。

 平成二十四年度決算外二件及び平成二十五年度決算外二件を議題といたします。

 これより総括質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、参考人として株式会社日本政策投資銀行代表取締役副社長柳正憲君、日本年金機構理事長水島藤一郎君及び株式会社商工組合中央金庫代表取締役社長杉山秀二君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石関委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官前田哲君、内閣官房内閣審議官谷脇康彦君、内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣官房内閣参事官吉川徹志君、内閣府大臣官房審議官持永秀毅君、警察庁長官官房審議官塩川実喜夫君、総務省行政評価局長新井豊君、財務省主計局次長西田安範君、財務省理財局次長岡本宰君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官樽見英樹君、厚生労働省社会・援護局長鈴木俊彦君、厚生労働省保険局長唐澤剛君、農林水産省食料産業局長櫻庭英悦君、国土交通省都市局長小関正彦君、防衛省大臣官房長豊田硬君、防衛省大臣官房審議官吉田正一君及び防衛省防衛政策局次長鈴木敦夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石関委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

石関委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。階猛君。

階委員 おはようございます。民主党の階猛です。

 私の方からは、政策金融機関とPFI推進ファンドについてお尋ねをさせていただきます。

 まずは、政策金融機関の天下りの問題についてです。

 まず財務大臣にお尋ねしますけれども、近時、政策投資銀行の代表取締役副社長に、元財務事務次官であった木下さんという方が就任するという報道が出ておりますけれども、これは事実でしょうか。

麻生国務大臣 そのとおりです。

階委員 そこでお尋ねしますが、政投銀という政府系金融機関の代表権を持つ役員に所管の役所の事務次官が天下りをされるということは問題ないとお考えですか。

麻生国務大臣 基本的には人材は適材適所だと思っておりまして、私どもとしては、木下は極めて優秀かつ適切な人材だと思っております。

階委員 役所の中で優秀であるかどうかということと、政府系の金融機関、とりわけ民営化を目指す金融機関のトップあるいはトップに近い役員として適任であるかどうかというのはまた別の観点で捉えるべきかと思います。

 ちなみに、いわゆる四大政府系金融機関の役員全体で見ると、政投銀では、木下さんのほかにも、取締役にも財務省の出身者がいて、合計二人の方が役員に天下りされている。

 それから、商工組合中央金庫、商工中金ですけれども、こちらでは、代表取締役社長に元経産省の事務次官、代表取締役副社長には元国税庁の長官、常勤監査役に財務省出身者という三名の方がいます。

 また、国際協力銀行では、代表取締役総裁に財務省出身者がいます。

 あと、日本政策金融公庫に至っては、幾つかの金融機関が合併した組織ですが、合併前の所管の官庁である財務省、経産省、農水省、厚労省からそれぞれ役員が送り込まれ、財務省出身の代表取締役総裁を初め合計九人もいます。

 いずれも国会同意人事ではなくて、所管する大臣に実質的な任命権があります。

 そこで、こうした天下り人事なんですけれども、金融機関の自律的な経営を弱め、組織のプロパーの方を中心にモチベーションを弱めるんではないかということで、私どもは問題だと考えています。特に民営化を目指す政投銀や商工中金ではなおのこと問題だと思っています。

 このような天下り人事をやめるべきではないかと考えますけれども、所管の大臣である財務大臣、経産大臣からお答えをお願いします。

麻生国務大臣 御存じのように、現在の日本政策金融公庫というものは、平成二十年の十月に合併というか、設立をされたときには、旧国民金融公庫と旧農林漁業金融公庫と旧中小企業金融公庫の業務を引き継いでおりますのは御存じのとおりです。したがいまして、現在の体制は、旧公庫が担っておりました多様な業務がありますので、それぞれ漁業とか中小企業とかいろいろございますので、適切に実施するために必要なものとまず考えております。

 また、今、出身者、役員九名と言われましたが、そのうち八名は現役の国家公務員が人事交流として出向いたしておりまして、それまでの公務で培った経験とか知見というのを大いに生かしてもらって、日本政策金融公庫の業務運営に貢献をしているものであって、いわゆる天下りというものの言葉の定義も難しいところでありますが、退職金をもらって出ていって、そっちでやめるときにまた退職金をそこでもらって、戻ってきたらまた退職金というような話が天下りというものの批判を受けた大きなもとだったと記憶をいたしますが、少なくとも、これらの者はいずれも現役出向しておるという事実は通常の天下りとは違うものだと考えております。

宮沢国務大臣 商工中金につきましては、これは委員御存じだと思いますけれども、国の持ち株比率は過半ではございません。民間が五四%持ち株を持っているという株式会社でございます。

 まず、役員の選定のプロセスでございますけれども、中小企業の代表者及び社外取締役によって構成されます人事委員会において議論がなされ、その諮問の結果を踏まえて、民間出資者が過半を占める株主総会によって取締役が選任される。そして、取締役会において代表取締役が選定され、そういうプロセスで決定をされております。

 そうした意味で、杉山社長につきましては、その前に副社長として五年にわたって社長を支えてきた経験、実績、経営手腕といったものが民間の株主に評価された結果だと思っておりまして、特段の問題はないと思っております。

階委員 それでは、民営化を目指す政投銀や商工中金に限ってお尋ねしますけれども、私は、民営化を目指すこうした政府系金融機関においては、やはり経営の自律性をより強化して、そして、株主価値を高めるようなことをやっていただきたいと思っています。

 そういう意味において、私はやはり、役所出身でその組織に対していろいろなしがらみのある人材よりも、むしろ、外部からの人材も含めて、その金融機関の経営に専念できる、株主価値を上げることに専念できるような方を選ぶのが望ましいのではないか。べきかどうかはここではおいておくとして、望ましいかどうかということでお尋ねしますけれども、そういうあり方を望ましいと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 これは最初から、望ましいということに関しましては、望ましいという前提でもともとこの話は始まったんだと思いますが、なかなかしかるべき人材を得られなかったというのが大きな理由だったと思います。

 我々が欲しかった方は、とてもこんな給料では受けられぬと。もう御存じのとおりだと思いますが、受けられない方がいっぱいいらっしゃったんです。我々はお願いしたんですけれども、それはとてもと。幾らだかよく御存じだと思いますが、なかなか難しいというのが現実。それが私どもとしては、出されていただく方は、社長競争に負けた方とかいうのを出しますとか言われても、それはちょっとなかなか通らぬでしょうということを申し上げて、これまで数は幾つもありますけれども、そういったようなことでありました。

 私どもとしては、私どものいただきたい方と、向こうが出される、行ってもいいという方とはなかなか一致しなかったというのが現実だと思って、民主党政権のときにも似たようなことを経験しておられると思いますので、おわかりのとおりです。

宮沢国務大臣 民営化を目指すということは間違いないわけでありますけれども、一方で、現状において、民間の金融機関が危機対応業務というものを担ってこなかったということも事実でありまして、商工中金につきましては、当分の間は危機対応業務というものを一生懸命やってもらわなきゃいけないということで、ある意味では、民営化を目指すという方向と政策金融として危機対応業務をするという両方の方向があるわけでございます。

 そういう中で、民間の株主五四%の方が、まさに杉山社長が取締役にふさわしいという御判断をされたのだと思っております。

階委員 まず、民営化という路線が昨今の法改正によって危うくなっているのではないか、それがこの天下り人事にも反映されているのではないかという危惧を抱いたので、今こういう質問をさせていただきました。

 そこで、その趣旨で、今度は株式の売却方針についてお尋ねします。

 まず、前提として、民営化を目指す政投銀や商工中金では、今般の法改正で政府保有株式の全部を売却する時期については示されなかった。

 しかし、政投銀では、全体の二分の一を超えなければ今すぐにでも売却できます。また、財政健全化のためにも、政投銀の株については、全体の二分の一までは売却できるのだからすぐに売却すべきではないかと思います。財務大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今回の法改正によって可能となっておりますいわゆる政投銀の株式の売却の話であると存じますが、もう御存じのように、この株式は国民共有の財産でありますから、これは国庫収入。財務省の立場としては、国庫収入としては最大化を図る必要があるのは当然であります。

 企業への長期事業資金の供給という話があります。これは政投銀に期待をされる重要な機能の一つであろうと思っておりますので、加えて、市場の動向というものを考えて、売却の方法とかといったようなものを考えていかねばならぬと思っております。

 今回の中で、私どもとしては、現時点において売却の開始や完了の時期をなかなか具体的に申し上げられないというのは、いわゆる政策として、長期資金を運用するとかリスクマネーとか、いろいろなものが出てまいりますので、そういったようなことが起きる状況というのは、今、非常に、国際環境としてはそういったようなものが起きやすい状況、必要とされる状況が起きやすいという状況下にあって、私どもとしては、これをいつごろまでに幾らまでというのがなかなか難しい。

 なぜ二分の一か三分の一かというのは、その理由はもう御存じのとおりであります。

階委員 商工中金についても、いつまでに全部売却ということは今回の法改正で示されなくなりましたけれども、同じように、一定の範囲では売却可能ではないかと考えています。

 そこで、きょうは政投銀それから商工中金のトップの方にお越しいただいていますので、それぞれお伺いしますけれども、一部の売却は今でも可能になっているという法制度のもとで、政府が株式を売却して一般株主が加わってくるということを想定した社内体制の整備は進めているのかどうか、それぞれの方からお伺いします。

柳参考人 お答えします。

 当行の株式の処分は国有財産の処分ということでございますので、その方法等については、上場も含め、私どもの法律の改正時の国会での議論も踏まえつつ、今後、まさに幅広く政府において検討されるものと認識しております。

 ただ、当行といたしましては、いかなる処分方法となっても対処できるよう、これまでも、投融資あるいはアドバイザリー業務というのを一体として行っていく、我々の特色のある業務基盤の確立を図り、収益力の強化あるいは自己調達の充実などに努めてまいりました。さらに、適正な企業ガバナンスの確立とか、開示体制の整備、リスク管理体制の高度化等、民営化に向けて必要な取り組みを進めてきたところであります。

 今後とも、企業価値の向上に向けて、引き続き収益力の強化に取り組むことは当然として、手続面で残っております、例えば四半期決算の開示、あるいは業績見通しの向上など、進めてまいる所存でございます。

杉山参考人 御説明申し上げます。

 商工中金は、いわゆる危機対応業務、さらに、中小企業の発展、成長を支援する取り組みに注力をしてまいりました。こうした取り組みによりまして、中小企業の持続的発展、成長が図られる。それを通じまして、商工中金自身の企業価値向上も図られてきたと思っております。

 また、いわゆる経営基盤の強化につきましても、資金調達能力の向上、あるいはシステム開発の努力、人材育成、コンプライアンス、ガバナンスの向上というのも図ってまいりました。

 我々といたしましては、こういった経営基盤の強化につきましては、例えばインターネットバンキングの拡充を行うといったことで資金の調達能力を図っていく、あるいは勘定系システムの再構築を図るといったことでシステム装備の一層の強化を図っていく、あるいは人材育成、支店経営の効率化、あるいはガバナンス、コンプライアンスの向上の一層の努力、さらには融資以外のさまざまなサービスについても努力をする、こういったようなことを通じまして、引き続き経営基盤の強化に向かって努力をしていきたいというふうに考えておるところでございます。

階委員 今るるお話しいただきましたけれども、端的にお答えいただければと思うんですが、そうすると、政府がまだ今具体的な売却方針を明らかにしておりませんけれども、両者のトップとしては、いつでも、売却されるのであれば、それに向けた体制は整えることは可能だという理解でよろしいでしょうか。

柳参考人 お答えします。

 体制面では今申し上げましたように努力をしておるところでございますが、今般の法律改正によりまして、例えば特定投資業務を開始、あるいは引き続き危機対応業務の充実等を義務づけられておりますので、それらの業務に支障のないことと株式の売却とを勘案しながら、もちろん、先ほど触れましたように、国有財産の処分でございますので、当行自身が決める話ではないんですが、その辺を勘案しながら努力を続けていきたいと思っております。

杉山参考人 御説明申し上げます。

 今後の株式の売却につきましては、政府におかれまして、商工中金法にのっとって、商工中金の財政の状況、あるいは中小企業の資金余力、あるいは社会経済情勢の変化、こういったさまざまなことを総合的に御判断された上で考えられるものというふうに承知をいたしております。

 我々といたしましては、そういった政府の御対応を見守りながら、先ほど来申し上げているような経営基盤の強化あるいは企業価値向上といったものに取り組んでいくという考えでございます。

階委員 ぜひ、今、国の財政も厳しい中で、少しでも国にキャピタルゲインという形で還元していただいて、財政に貢献していただければと思っていますので、全部売却するということはもとより法律の中でも定めておりませんけれども、法律上可能な部分についてはいつでも売却ができるような体制を整えていただきたいですし、また、売却するとなれば、なるべく企業価値を高めていただいて、国にしっかり貢献できるように頑張っていただきたいということを申し上げます。

 それと、政投銀の柳さんに一つだけお尋ねしますけれども、この二月の人事でおやっと思ったことが一点ありました。常勤監査役の方が常務執行役員に移られているという人事がありました。

 私の感覚ですと、監査役というのは経営をチェックする役割ですから、その経営をチェックする役割の人がまた経営の方に戻ってくるとなると、先々のことを考えて少し手心を加えるというか、一般の株主から見ると、チェックが不十分な体制なのではないかと思わざるを得ないんですけれども、このあたりの人事は私は考え直した方がいいと思いますが、いかがでしょうか。

柳参考人 お答えいたします。

 当行では、役員の人事については、社外の方二名、十名中二名でございますが、含めた取締役会で審議をし、かつ、人事評価委員会、これは全員社外の方でございますが、そこにお諮りをして決めておるということでございます。

 今御指摘の者については、監査役から常務執行役員ということではございましたが、今般の業務の中身が都市開発部及び流通に関する業務でございました。当人は従前に都市開発部長をやっておりまして、適材適所という観点から任命をしたものであります。

 なお、今御指摘のように、監査役として執行に移るのはいかがかということについては、繰り返しになりますが、十二分に審議をさせていただいて決めたということでございます。

階委員 きょうは、甘利大臣にもお越しいただいて、実は、PFI推進機構の業績が低迷している件についてお尋ねしたかったんですね。

 資料を一枚お配りしておりますけれども、これは官民ファンドの一覧表で、ことしの三月末時点の実績を並べたものであります。

 一番右から二つ目の欄、実投融資額というところをだあっと見ていただきますと、上から五番目がいわゆるPFI推進機構、正式名称でいうと民間資金等活用事業推進機構ですが、何と〇・〇六億円、六百万円です。もともとの政府あるいは民間の出資額が合計二百億円というところからすると甚だ低迷しておりまして、なぜこうなっているんだということで、これまでの活動実績について詳細な資料を求めたところ、事務方はオーケーだったんですが、機構の方が守秘義務を根拠に出さなかったということで、きょうは質問できません。

 しかし、我々国会は行政監視機能を持っておりまして、国政調査権を有しているわけですから、幾ら守秘義務があったとしても、法令上の根拠に基づいてこれは提出できると思っています。

 甘利大臣、このあたりはどうですか。

甘利国務大臣 PFI推進機構は、御案内のとおり株式会社で、民民の契約として守秘義務契約を結んでいるわけです。契約の安定性というのは法律で担保されている。国政調査権は崇高な権利だとは思いますけれども、法律で担保されている契約の安定性を侵害するということに仮になれば、日本という国は契約が国会によって覆される国であるというような仮に風評が立つと、日本に投資する人はいなくなる。

 今、通商交渉や投資交渉、あるいはTPPでもそうなんですけれども、投資の予見性ということについて各国が厳しい目を持っておりまして、後々にその政府によっていろいろな負荷がかかってくることに対してルールを決めようということをやっているわけであります。まして、契約したものが後で破棄されるというようなことに仮になると、これは重大な問題になるのではないか。

 国政調査権でどこまで開示ができるか、それと契約の安定性ということの接点はどこかということを求めていくことは、議論の余地はもちろんあろうかというふうには思っております。

階委員 時間が来ましたので終わりますけれども、委員長、これは我々の国政調査権を空文化しかねないと思っています。業績が低迷しているので、ぜひ、行政監視としてしっかりとした情報開示をしてもらうようにお願いを申し上げまして、私からの質問を終わります。

 ありがとうございました。

石関委員長 承りました。

 次に、原口一博君。

原口委員 おはようございます。民主党の原口一博です。

 ちょっと順番を変えまして、まず、平成二十五年度の決算、その中で、会計検査院が防衛省について指摘している、そちらの方の質問から始めたいと思います。

 まず、会計検査院の指摘、資料五をごらんになってください。

 これを読みますと、本当に驚くばかりでありますけれども、会計検査院からまずお聞きします。

 防衛火工品の管理について、A会社、これを匿名にしているその理由は私はわかりませんけれども、実際の帳簿と管理されている防衛火工品の数が合わなかったと指摘しています。事実関係を会計検査院から伺いたい。

 年間の防衛火工品は大体どれぐらいなのか。そのうち、ここで八十八億ということを言っていますが、何が起きたのか、ポイントだけ教えてください。

村上会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 陸上自衛隊が製造請負契約に基づき製造させました爆破薬、砲弾等の防衛火工品の一部につきまして、保管場所が十分に確保できないなどといたしまして、火薬庫を保有している会社を納地といたしまして当該会社の火薬庫に保管させております。

 この会社に保管させております防衛火工品の管理状況について検査いたしましたところ、物品管理法等に基づきまして国以外の者の施設に保管するに当たって付すこととされております必要な条件を保管契約に定めておらず、管理の実態を把握しないまま保管させておりました事態や、今御指摘ございました、会社の帳簿に記入された数量が実際の数量と一致していなかったり、帳簿に記載されていない現品が見受けられたりなどしておりまして、会社において保管規程等に基づく現品の管理が適切に行われていなかった事態が見受けられました。

 今御質問ございました、火薬庫保有会社の帳簿の数量が保管中の実際の数量と一致していない防衛火工品と、火薬庫保有会社が帳簿に全く記録していない防衛火工品、これを合わせますと、購入価格ベースで全体の四二%というふうになっているところでございます。

 また、御質問ございました、全体の防衛火工品の調達数量でございますが、申しわけございません、手元に資料がございませんので、また調べさせていただきたいと思います。

原口委員 防衛省、わかりますか、全体。

 丁寧に質問レクをしていますので、すぐ答えてください。

 私の方から、もう申し上げます。

 六百七十八億ですよ。そのうちの八十八億をA会社がやって、皆さんのお手元の資料の、私が配ったところの後ろから二枚目をごらんになってください。帳簿に記入された数量が、今、四十数%違っていると。防衛火工品って、つまり弾薬ですよね。それが帳簿と違っている、あるいは、下から十行目ぐらいですけれども、帳簿に記載されていない現品が見受けられる。これはどういうことですか。

 まさに、物品管理法にも違反するし、火薬類取締法及び武器等製造法に基づきこの会社が定めた内規にも反しているんじゃないんですか。こんなことがあっていいんですか。

 防衛大臣に伺いますが、防衛省は管理帳簿と突合したんですか。

中谷国務大臣 A社につきましては、製造請負契約に基づいて製造させた爆破薬、砲弾等の防衛火工品につきまして、部隊等で保管場所が十分に確保できなかったことから、火薬庫を有しているA社を納地として当該会社の火薬庫に保管をさせていたものでございます。

 御指摘のA社における防衛火工品の管理につきましては、A社が会計検査院の検査に備えまして、保有している爆薬の数量と帳簿を確認したところ乖離があったため、A社から陸上自衛隊に確認の依頼がありまして、物品管理簿で確認したところ、平成二十一年三月より弾薬の帳簿に記載の誤りがあったことが判明をいたしまして、防衛省として把握をしたわけでございます。

 本件につきましては、会計検査院の御指摘のとおり、火薬庫保有会社における法令遵守の重要性に対する認識の欠如、火薬庫保有会社に保管させている防衛火工品について、管理の実態を把握しないまま保管させるなど、国以外の者の施設での保管について、物品管理法等に基づく取り扱いの重要性についての理解が不十分であったということが原因であると認識をいたしております。

原口委員 私は、防衛省が帳簿と突合したのかと。帳簿と突合していれば、この帳簿が会計検査院から指摘されるまででたらめであったということはわかるはずですよ。

 そうすると、これは武器弾薬が横流しされたり盗まれたりしてもわからなかったということじゃないですか。こんな不思議な、あってはならないことが常態化しているんですか。

 もう一回大臣に伺いますが、これは何年からやっているんですか。こんなずさんな管理は、この会社だけですか。

中谷国務大臣 この事実といたしましては、平成二十一年の三月より爆薬の帳簿に記載の誤りがあったことが判明をしたものでありますが、それは、A社が会計検査院の検査に備えて保有している弾薬の数量と帳簿を確認したところ乖離があったため、A社から陸上自衛隊に確認の依頼があり、物品管理簿で確認をしたところで判明したもので、そして掌握したものでございます。

 もう一つのお尋ねで、横流しが排除できないかというお問いでございますが、陸上自衛隊は、A社に保管している弾薬の物品管理簿を作成しておりまして、この管理簿に記載された防衛火工品の品名、数量、ロット番号等と、A社に保管された防衛火工品と突合する現物確認、これを年に一回以上実施をしまして、異常がないことを確認していることから、陸上自衛隊がA社に保管をしている防衛火工品の横流しをした事実というものはございません。

原口委員 普通、帳簿と突合するんじゃないですか、管理簿と。現場に行ってやっているんですか。

 私が聞いたところによりますと、要するに、火薬を製造している会社なんですよ、火工品を。その火工品の発注のところは合っている、だけれども、管理はどうなっているかわからない、盗まれているかどうかもわからないと。私は、極めて深刻な事態だと断ぜざるを得ない。

 しかも、会計検査院がA社と匿名にしている理由がわからない。防衛装備品についても、これは全て会社名をオープンにしています。それから、防衛火工品の入札状況についても、行政事業レビューシートで全て会社名を明らかにしています。

 なぜこの会社だけ匿名にするんですか。会計検査院、教えてください。

村上会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 決算検査報告におきます会社名の公表につきましては、事案の内容やあるいは公表した場合の影響等を案件ごとに個別に検討した上で判断しております。

 本件につきましては、具体的な会社名を公表した場合、防衛火工品を保管している火工品の場所が推定されまして、防衛火工品の安全な保管に支障が生ずることにもつながりかねないといったことなどを考慮したものでございます。

原口委員 全く理屈になっていませんね。

 では、製造会社はどうして公表するんですか。製造会社に保管させているでしょう。わかるじゃないですか。類推できるじゃないですか。限られていますよ。

 製造会社の入札も、九九・八%から一〇〇%の中に入っていますよ。そんな入札、本当にあるのかと指摘だけして、次に行きたいと思います。

 防衛大臣がお見えでございますので、少し、今議論をしている安保法制についても基本的な認識を防衛大臣にお尋ねしておきたいと思います。

 私は、自衛隊は違憲ではないというふうに思います。自衛隊が違憲ではない理由について、防衛大臣の基本的な認識を伺いたいと思います。

中谷国務大臣 まず、政府としては、憲法前文で確認をしている国民の平和的生存権や、憲法十三条に規定されている生命、自由、幸福追求権の趣旨を踏まえますと、憲法九条は、外国の武力攻撃によって国民の生命や身体が危険にさらされるような場合に、これを排除する必要最小限度の範囲で実力を行使することまでは禁じていないと解しておりまして、そのための実力組織である自衛隊を保有することは、憲法上認められると解しております。

原口委員 私たちの政権でも、ここにいらっしゃる浅尾先生の質問主意書に対して、自衛隊は合憲であるという答弁を、閣議決定をして、させていただきました。

 憲法九条は、三つの柱から成ると思っています。つまり、戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認。

 今大臣がお話しになりましたように、有名な芦田修正という議論がありますけれども、芦田修正があるかないかにかかわらず、自衛隊は戦力に至らないんだ、だから合憲なんだと私たちは理解をしていますが、それでよろしいでしょうか。

中谷国務大臣 原口委員のおっしゃるとおりでございます。戦力に当たらないということでございます。

原口委員 ありがとうございます。

 さて、今回、この九条の、特に昨年の七月一日の閣議決定について、この間の憲法調査会では、全ての陳述人が違憲であるというお話をされました。閣議決定そのものがもし違憲であるとすると、憲法九十八条、「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」この憲法九十八条からしても、去年の七月一日の閣議決定そのものが無効であると言わざるを得ないと思うんです。

 そこで、何に何を当てはめて、そしてあの三条件をおつくりになったのか、合憲だと。昭和四十七年の見解の法理を引き継ぎながらも、結論が違うんですね。四十七年法理は、だから集団的自衛権は行使できないということになっているんですが、法理を引き継ぎながら結論が違っているその理由は、何に何を当てはめた結果そうなったのか、それを明確にお答えください。

中谷国務大臣 原口委員とは、九・一一のテロやイラクのときに、特措法において、委員会で理事としてともに議論をさせていただきました。

 これまで政府は、昭和四十七年の政府見解にも示されているとおり、憲法九条の解釈に関しまして、憲法九条は、その文言からすると、国際関係における武力の行使、これを一切禁じているように見えるが、憲法前文で確認している国民の平和的生存権や、第十三条が生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利は国政の上で最大の尊重を必要とする旨定めている趣旨を踏まえて考えると、憲法九条が、我が国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとは解されない。

 一方、この自衛の措置は、あくまでも外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置として初めて容認をされるものであり、そのための必要最小限度の武力行使は許容されるという基本的な論理、これを踏まえまして、武力の行使が容認されるのは我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られると考えてまいりました。

 そこで、この基本的論理がある中で、昨年七月の閣議決定において示された憲法解釈は、まず、パワーバランスの変化や技術革新の急速な進展、大量破壊兵器などの脅威等により我が国を取り巻く安全保障環境が根本的に変容し、変化をし続けている状況を踏まえまして、今後他国に対して発生する武力攻撃であったとしても、その目的、規模、態様等によっては我が国の存立を脅かすことも現実に起こり得るという問題意識のもとに、現在の安全保障環境に照らして慎重に判断をした結果、憲法九条のもとでも例外的に武力の行使が許容される場合があるという従来の政府見解における同条の解釈の基本的な論理を維持し、その枠内で武力の行使が許容される場合として、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみがこれに当てはまると考えてきたこれまでの認識を改めて、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合もこれに当てはまるとしたものでございます。

原口委員 何に何を当てはめたのか、これは政府は答弁していますよ。つまり、憲法の解釈を、今るるおっしゃった安全保障環境の変化、これに当てはめてきたら結論が変わりました、そういうことじゃないんですか。そういうことをやるから、基本的な法理を維持しているといいながら枠外に見えてしまう。

 片っ方で、シャングリラで安倍総理は三原則を出されました。国際法を遵守する、力による変更を認めない、主張するときは国際法にのっとって主張する。これは大変大事なことだと思います。

 しかし、片方で、個別的自衛権でこれまで私たちが行使できるとしていたもの、例えば米艦に対する攻撃、それは国際的には集団的自衛権だと思われるから、集団的自衛権の概念を入れますよといいながら、ここに日米新ガイドラインを持ってきましたけれども、ロジスティックというところでは、どこにも英文の中に後方支援なんか書いていないですよ。ロジスティックサポートと書いてあります。主体的に日本がどうこうするとか書いていないです。ミューチュアルロジスティックサポートを強調していく、協力をもっと深めていくと書いてあるわけです。

 ところが、防衛省からもらった日本文は、後方支援と書いてあって、「後方支援の実施を主体的に行う。」と書いてある。これはスタンダードが違うわけですよ。こういうスタンダードが違うところから議論の混乱が起きている。このことを指摘しておきたいと思います。

 さて、残された時間で、今回のサイバーセキュリティー問題について、NISCから伺いたいと思います。

 資料をごらんください。皆さんの資料の中に、今回のシステムがどのようになったか、日本年金機構からいただいたものを挙げさせていただいています。今回何が起きたのか、NISCからまず概要を御報告いただきたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の事案におきまして、NISCにおきまして、五月の八日に、厚生労働省におきましての外部に対する不審な通信を検知いたしまして、速やかに厚生労働省に対してその旨を通知したところでございます。また、その後、五月の二十二日につきましても、同様に不審な通信を検知いたしまして、厚生労働省に対して通知を行ったところでございます。

 この間、NISCにおきましては、二十四時間体制で政府機関へのサイバー攻撃等について監視を行っておりますけれども、今回の事案に関しまして、被害拡大の防止あるいは早期復旧のための措置について、情報セキュリティ緊急支援チーム、CYMATを派遣するなど、助言を行うとともに、厚生労働省が講じた措置について現在報告を求めているという状況でございます。

原口委員 サイバー基本法の起案者、提案者として、私も昨年、自民党や公明党や他党の皆さんに御協力をいただきました。NISCをしっかり位置づけていてよかったなと思います。

 この四の資料をごらんになってください。

 年金機構理事長がお見えになっていると思いますが、今回、共有ファイルサーバー、本来は業務系ネットワークにあるものを、共有ファイルサーバーの中にそのデータを入れて、事業が終わったら、用が済んだら消しておかなきゃいけないものを消さずに共有ファイルサーバーに入れていた、しかも、五十五万件がパスワードがかかっていなかった。

 年金機構の理事長に伺いますが、全体の、脅威にさらされたファイル、総数は幾つですか。そこにある件数は幾つですか。そして、この四の絵で見ると、情報系ネットワーク、他のネットワーク装置にも感染している可能性がありますね。これは九州のファイルサーバーだと言われているけれども、ほかの地域にも感染している可能性、この二点について伺います。

水島参考人 まず初めに、このたび当局から百二十五万件の個人情報が不正なアクセスによって流出をいたしました。お客様に大変御迷惑と御心配をおかけいたしましたことに関しまして、深くおわびを申し上げる次第でございます。

 御質問でございますが、情報系ネットワークのサーバーの中にどの程度の情報が入っているかということにつきましては、現在調査中でございまして、まだ調査の過程でございますので、お答えができません。

 それから、二点目は、業務系ネットワークと情報系ネットワークの遮断の問題でございましたでしょうか。基本的には、業務系ネットワークと情報系ネットワークは完全に遮断されております。

原口委員 全く答えていませんね。つまり、情報系ネットワークだけでも感染している可能性があるじゃないかと。

 厚労大臣と総務大臣にまとめて聞きますが、こういうことが起きるから、私たちは、この資料にあるように、外部に年金業務監視委員会というのをつくっていたわけです。社会保険庁がもうどうしようもない組織で、常に外からチェックをして、そしてこの組織を立て直そうと。

 きょうから厚労省の中で調査が始まる、第三者委員会が始まると言っていますけれども、私はそれでは無理だと思いますよ。大臣の厚労委員会の答弁を見ると、日本年金機構というのは、社会保険庁任せだった今までと違って、大臣が先導してコンプライアンスも全て責任をとることになっているんじゃないですか。私は、その認識をしっかりと踏まえてほしい。そして、総務大臣には再び、総務省としての、行政をしっかりとチェックする機能、第三者機能を果たしてほしい、そのように考えるんですが、お二人の御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。

塩崎国務大臣 先生御指摘のように、厚生労働大臣が監督をするもとで日本年金機構は事業を運営するということになっております。今回の、悪意があるといえども、不正なアクセスでこのような個人情報が出てしまったということ、これについては、大変遺憾に思うとともに、監督をする立場としておわびを申し上げなければならないと思いますし、二度とこういうことが起きないということ、そしてまた、二次被害が起きないように年金を守るということを徹底しなければいけないと思います。

 今お話がございましたように、監督のもとでしっかりやらなきゃいけないということはそのとおりでありまして、これまでの問題がどこにあったのかということを含めてみずから検証をするとともに、今回、第三者委員会、日本年金機構不正アクセス事案検証委員会というのをスタートさせました。きょう第一回目の会合がございますので、そこでも検証を、第三者の目で見ていただいて、このようなことが二度と起きない体制づくりをしっかりとやっていきたい、このように思っております。

高市国務大臣 年金業務監視委員会ですけれども、これは平成二十二年に、当時の原口総務大臣のリーダーシップのもとで、年金行政に対する信頼の早期回復のために、特例かつ異例の取り組みの一環として総務省に設置されたと承知しております。

 これも当時総務省組織令に定めたとおり、平成二十六年三月末の設置期限の到来をもって活動を終了しました。

 そして、この設置期限到来後、速やかに年金業務を担当する厚生労働省に第三者性のある委員会を設けて、それまでの監視の取り組みの成果も踏まえながら、同省が組織本来の機能を生かして適切に年金業務を管理する体制となりました。

 今般の事案につきまして、既に日本年金機構、厚生労働省における原因究明、それから再発防止策の検討が、これは年金業務とは直接関係のない内閣官房のサイバーセキュリティセンターの支援を得て行われております。

 そして、今、塩崎大臣が答弁されたとおり、先週木曜日に日本年金機構不正アクセス事案検証委員会が、厚生労働省の通常の業務体制から独立性を十分に確保しながら厳しい検証を行うということで設置されました。

 ですから、現時点で、以上の取り組みに加えて、さらに総務省に第三者委員会を設ける必要性はないと考えております。つまり、責任の所在が、屋上屋を重ねることによって曖昧になってしまうという考え方です。

 なお、総務省の行政評価局では、現在も行政評価・監視活動の対象として年金業務を位置づけておりますので、しっかりと監視、評価を続けてまいります。新たに今年度の評価対象に加える指示を既に行っております。

原口委員 もうこれで終わりますけれども、危機にさらされたファイルの総数もわからない、感染がどこまで広がっているかもわからない。今、この危機は続いているんですよ。終わっているんじゃないんですよ。とんでもない認識だということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

石関委員長 次に、山井和則君。

山井委員 二十五分間質問時間をいただきまして、まことにありがとうございます。

 今の原口議員の質問に続きますが、配付資料の十ページにありますように、きょうの産経新聞でも、アメリカでは五月下旬に最大で一万三千件、約四十九億円の詐欺事件が発覚した、個人情報の流出が原因であるということで、日本においても、今回、深刻な国民への被害が起こりかねません。

 そして、配付資料の一枚目、これは玉木議員が作成した資料でありますが、極めて正確であります。

 今回のこの百二十五万件の流出の最大の問題は初動ミスにあったと言われております。ここにも書いてありますように、五月八日、年金局の係長の指示によってパソコン一台のLANケーブルを引き抜いた。しかし、多くの専門家がおっしゃるには、このときに全てのLANケーブルを抜いておいたら今回の事態は防げていた。実際、全てのLANケーブルを抜いたのは、何と三週間後、五月二十九日なんですね。

 そこで、塩崎大臣にお伺いしたいと思います。

 年金局の係長が五月八日に日本年金機構に対してLANケーブルの引き抜きを指示したとこの配付資料の三ページに出ております。年金局係長の指示により、不審メールを受信したPCの一台を特定、LANケーブルを引き抜き、回収と。

 この厚生労働省の係長さんの指示というのが一番重要になってくるんですが、厚生労働省ガイドブックという本がございまして、この中に席次表が出ております。この担当は事業企画課だというふうに承知しております。

 そこで、塩崎大臣にまずお伺いしたいんですけれども、年金局の係長が日本年金機構にLANケーブルを一本だけ抜けと指示をしたということですが、この係長さんはこの中のどの係長さんですか。係長さん、三人ぐらいおられるんですが、どの係長さんが指示をされましたか。

塩崎国務大臣 まず第一に、先生お配りの資料にも明確に書いてございますように、「年金局の指示により、不審メールを受信したPC一台を特定、LANケーブルを引き抜き、回収。」こういうふうになっておりまして、係長がという書き方ではございません。そのことをまずコメントしておきたいと思いますが、それは何かというと、これは、ルールにのっとって、組織としての対応をしているわけでございまして、今、どの係長だというお話でございますけれども、年金局としてもともと対応したものであり、年金局として今も対応し、今、原口先生からも御指摘ありましたように、現状についての対応についても年金局として対応してございます。

 したがって、係長のような管理職でない方の名前を特定するようなことは適切ではないんではないかというふうに思いますので、御理解をいただければというふうに思うところでございます。

山井委員 先週金曜日ですか、この委員室でまさに塩崎大臣とやりとりをしましたが、ただ、指示は年金局の係長が日本年金機構にしたと答弁を金曜日されていましたが、それはそれで答弁は変わっていないんですね。

塩崎国務大臣 おっしゃるとおり、私が申し上げたとおり、実際に応答したのは係長でございますが、それは、指示を、ルールにのっとって事態に対応するようにということを、ルールどおり伝えたということでございまして、それは年金局としての指示ということでございます。

山井委員 先週金曜日の質疑では、課長も審議官も、この事態、ウイルスメール感染を聞いたのは二十五日だというふうに塩崎大臣は答弁をされておられます。この玉木議員の配付資料にもありますように、二十五日に初めて審議官、課長が事態を把握という答弁を塩崎大臣はされました。

 ということは、塩崎大臣、五月八日の段階で、係長は誰に相談をして指示をされましたか。

塩崎国務大臣 これはウイルスメールに対応するためにどうするかということでございましたので、それはルールにのっとって、係長が、ルールどおり対応するように指示をしたということでございます。

山井委員 質問に答えておられませんが、ルールにのっとって、誰に相談して、日本年金機構に指示をされましたか。

塩崎国務大臣 今申し上げたように、不審メールを開封したとか、そういう場合のルールというのは、行政事務従事者は、不審メールを受信した場合であって開封した場合は、速やかにLANケーブルを端末から抜き、被害拡大の防止に努めること。また、情報システムごとに定められた報告先を経由して情報システムセキュリティ責任者に報告するとともに、検体を提供することということでございまして、このときは、年金局のルールでもって、この係長はみずからの判断で指示をしたということでございます。

山井委員 ということは、この係長が、今大臣が説明されたセキュリティーポリシーに従って、誰にも相談せずに、一人の判断で、セキュリティーポリシーに従って日本年金機構に指示をされたということでいいですか。

塩崎国務大臣 おっしゃるとおりでございます。

山井委員 ということは、この係長さんは、ITやインターネットに詳しい方で、そもそも、こういう事案が起こったときには、この係長さんがセキュリティーポリシーに従って日本年金機構に指示をするというふうに、今回の事案の前から決まっていたということでよろしいですか。

塩崎国務大臣 それは事案によると思いますが、基本的には、対応の仕方はセキュリティーポリシーで決まっているわけでございます。

 したがって、係長は、この一報を受けたときに、これはNISCから来たわけでありますけれども、直ちに機構の方にその旨を伝え、なおかつ、対応ぶりはセキュリティーポリシーどおりやるようにということをみずからの判断でしたということでございます。

 もちろん、今回の件で、結果としてこういう事態に最終的になるわけでございますから、つまり、個人情報が流出するということでありまして、今回の一件について、反省が必要なところはあるはずでございますから、それはそれとして厳しい検証も受けながら、真相究明もやっていきたいというふうに考えておりますが、今回の担当係長は、言ってみれば、情報政策担当参事官室がNISCから情報をまず受けた、それを年金局がさらに受けて、そしてそれを機構に伝えるということで、ルールどおりやるということに徹していたということなので、やや連絡役ということだけの意識が強かったという反省はあるかもわからぬというふうに思います。

山井委員 連絡役で済まないんですよ。この初動のミスが今回を招いてしまった可能性があるわけですが、そのときに全てのネットを遮断していたら今回の問題は起こらなかったわけなんですね。

 私、不思議に思いますのは、この担当係長さんが二十五日まで課長にも審議官にも相談も報告もしなかった。しかし、これは、変に思いますのは、配付資料にもありますように、二十五日までには五回も日本年金機構とやりとりしているんですね。一回目が五月八日のウイルスメールの感染、二回目が五月十一日、三回目が五月十五日、四回目なんか、機構が不審メールのことで警察に捜査依頼をしたという報告をこの係長が受けておられるのに、警察に捜査依頼をした、そんなことも係長は課長にも審議官にも報告もされていないというのは、私、不自然に思えるんです。

 おまけに、ここにありますように、係長の席というのはここにありまして、隣が課長補佐で向かいが課長なんですよ。警察に報告しましたみたいなことを電話でやっていたら、課長に報告、課長補佐に相談しなくても、横で話は聞こえるじゃないですか、警察に捜査依頼しましたと言って。聞こえるでしょう、目の前ですから、これ。

 これで、五回も日本年金機構と、個人情報が流出するかもしれないという真剣、深刻な相談やアドバイスをしながら、八日から二十五日、十七日間も目の前でやりとりをしながら、一切、課長も知らなかった、課長補佐も知らなかった、この係長以外誰も知らなかったって、不自然じゃないですか。

 塩崎大臣、この席次表を見て、係長一人しかこれを知らなかった、十七日間、警察への捜査依頼も知らなかったって、変だと思われませんか。

    〔委員長退席、松浪委員長代理着席〕

塩崎国務大臣 これはこの間も御答弁申し上げたように、今御指摘のように、係長段階でとどまっていたということは私が申し上げたとおりでございまして、これについては反省すべきところがあるということを申し上げたところでございまして、今申し上げたような意識をもっと持たなければいけない状態ではなかったかなというふうに私も思っているわけであります。

 私に上がってきたのは二十八日、そして概要は二十九日ということでありますから、いずれにしても動きが遅いということに関しては、私もそういう強い認識は持っているところでございます。

山井委員 いや、これは反省どころか、日本じゅうにこんな組織がありますか。十七日間も、こんな、国民の年金の個人情報が流出するかもしれないという深刻な事態で五回もやりとりして、警察の捜査依頼の話も聞いておいて、隣の席の課長補佐にも向かいの席の課長にも、誰にも報告も相談も一切十七日間しない。

 これは電話で小声で話されたんですか。メールで話されたんですか。どうやったらそれを、課長にも課長補佐にも伝わらずに、十七日間も係長が抱え込むことができるんですか。

塩崎国務大臣 まず第一に、五月八日にウイルスメールが来た、そしてNISCから不審な通信を検知したという通報をいただいて、先ほど申し上げたように、情報参事官室から年金局に行き、年金局から機構に行った、そして、ルールにのっとって対処をして、ケーブルを抜いて回収したというところでNISCに改めてその報告をし、そしてNISCの方からは、通信はとまったということがございました。そこでこういう対応に出たというふうに私は聞いております。

 今回、それでも報告をすべきであったのではないかという御指摘に対しては、先ほど申し上げたとおり、反省すべき点が多々あるなというふうに私も思っているところでございまして、それについては、今後、そういうことは絶対にないようにということを既に私から指示をしているところでございます。

山井委員 これは、NISCの問題もあるとおっしゃいましたが、まさにこれは係長個人の問題じゃないですよ。これは、厚生労働省、組織の体をなしていないじゃないですか。こんな国民の年金の不安、個人情報の不安の問題に関して、係長個人が十七日間も、警察への捜査依頼も上司にも伝えずに対応する、これは塩崎大臣の責任だと私は思いますよ。

 塩崎大臣にお聞きしますが、ちなみに、一人で十七日間対応してきた係長の話を塩崎大臣はもう聞かれましたか。係長は何とおっしゃっているんですか、この件に関して。塩崎大臣に対して、どう説明されておられますか。

塩崎国務大臣 先生も厚労省の政務官をおやりになったので、組織がどういうふうに動いているかはよく御存じだろうと思いますけれども、今回の事案については、先ほど経緯、クロノロジーにも書いてあるように、年金局として対応をしてまいっているわけでございまして、何が起きたか、その経緯等々については、当然、その上司たる審議官あるいは局長から私は話を聞いているところでございます。

山井委員 塩崎大臣、全然真相究明する気が、かけらもないんじゃないですか。この係長一人しか知らないんですよ、この十七日間の一番重要な真相を。公表から一週間もたって、二十八日、先々週の木曜日にこの事案を聞かれて、このことの経緯をただ一人知っている係長からなぜ大臣は話を聞かれないんですか。おかしいです、それは。至急話を聞いてください。そして報告してください。なぜならば、これは厚生労働省だけの問題ではありません。どういう経緯で百二十五万件が流通して、さらにその百二十五万件ももっとふえるかもしれないと言われている。その真相、原因を知る権利が国民にはあるんですから。

 至急に会って、どういうものだったか報告してください。大臣、いかがですか。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、組織というのがどういうふうに動くかはよく御存じのはずでありまして、今回のことは、当然私は局長や担当審議官には厳しく問い詰めているところでございますが、私が直接やるかどうかということは、それはやり方の問題であって、私は組織というのはそういう形ではなかなか動かないのではないかというふうに思っております。

 その監督責任というのが直属の上司にもあり、そして、先生おっしゃるように最終的には私が、冒頭、今回のことでおわび申し上げるということを申し上げたとおり、私も責任を感じているところでございまして、これに対してどう対応することが一番国民に対する責任を果たすことになるかといえば、まず、二次被害が絶対に起きないように万全の体制をつくること、それと、真相究明を早急にやり、そして二度と同じことが起きないようにするということが大事であって、それは、機構においても、みずからの検証委員会を多分もうつくっておられるんだろうと思いますが、私どもも、みずからの省としての検証もいたしますし、先ほど申し上げたように、本日、第一回目の会合を持ちます日本年金機構不正アクセス事案検証委員会、ここでは、事務局にいわゆる厚労省の役人は一人も入れない事務局で、この事務局長も、顧問である弁護士の野村修也先生にお願いをするという異例の形の第三者委員会をつくって、ここで徹底的に検証して、このようなことが二度と起きない体制をどうつくるかということでございます。

 この年金機構、スタートして五年たったわけであります。私どもが民主党政権から受け継いで二年少々でありますが、この体質というのは、なかなかやはり社会保険庁の時代の体質というものからまだまだ脱していないということが、今回の2ちゃんねるへの書き込みなどから見てもよくわかるところでありますので、ここは徹底的に組織を見直すということをやっていかなきゃいけませんし、そのためにも厚労省の監督はしっかりと強化をしていかなければならないというふうに、反省を込めて今認識しているところでございます。

    〔松浪委員長代理退席、委員長着席〕

山井委員 再発防止をするためには、真相と原因究明を何よりも急がないとだめです。にもかかわらず、問題が発覚してからもう一週間以上たっているのに、ただ一人の真実を知る担当係長の話も大臣は聞いていない。

 私は、日本の年金をつかさどる厚生労働大臣として、塩崎大臣は失格だと思います。そんなことでは、年金の信頼は回復できません。

 私、このことについてさらにお聞きしたいのが、今回、一万六千人に対して手紙を送られたということですが、皆さん、見てもらったらわかりますように、この手紙がおかしいんです。被害者の方にどういう手紙を送ったか御存じですか。あなたも記録が漏れています。しかし、「改めてご連絡申し上げますので、お待ち下さい。」と書いてあるんですよ。この手紙をもらった一万六千人は、ああ、電話か手紙が来るのかなと。

 逆に、これは、振り込め詐欺とかいろいろな詐欺、犯罪集団が、電話や日本年金機構を装ったにせの詐欺の手紙を出しやすくしているじゃないですか。本来ならば、日本年金機構は絶対電話をしません、今後連絡するとしたら郵送だけですということを何で書かないんですか。

 これは、聞くところによると、一万六千人に発送する費用は百二十万円ということですから、それぐらいだったら出し直してください。そうしないと、これは犯罪集団に悪用される危険性があります。監督責任は塩崎大臣ですし、この手紙は事前に塩崎大臣も目を通してオーケーをされたわけですから、塩崎大臣、もう一回出し直すかどうか、御答弁をお願いします。

石関委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、簡潔な答弁をお願いします。

塩崎国務大臣 これについては、改めるということをとうに答弁で申し上げておるところでございます。

 この「更に安全を期すため」というところからどういうふうに変えたかといいますと、「更に安全を期すため該当するお客様には基礎年金番号を変更させていただき、新しい基礎年金番号を郵送でお送りいたします。大変ご不便をおかけしますが、よろしくお願い申し上げます。」という、明らかに郵送で送られるということを書き込んだものをこれから改めて送るということにしております。

 もともと、基礎年金番号を電話で伝えるようなことは常識的にはあり得ないことであって、しかし、先生の御指摘のとおり、誤解を招くのはよろしくないと思いますので、書き直させていただいて、もう既に郵送が決まっていた方々にはやむを得ませんでしたけれども、今後は、この文面で、郵送でお送りいたしますということを明確にしてお送りをすることになっております。

山井委員 もう時間が来ましたので終わりますが、今後じゃないんですよ、既に一万六千人にはこの犯罪を助長する手紙を送っちゃったんですから、ぜひこれは送り直してくださらないと、そういう姿勢だから、本当に国民の目線、被害者の目線に立っていないということが言われるんです。

 このことは引き続きまた議論していきたいと思います。

 ありがとうございました。

石関委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 引き続き、この年金の個人情報の流出問題というのは、まさにこの決算行政監視委員会、今の郵送代一つとっても、どこから出るんだ、そういう保険料とか税金の使い道にもはね返ってきますし、まさに行政監視、このようなことを二度と起こさない、あるいは、再発、二次被害防止のために今何が必要なのか、きょうは官房長官にもお越しいただいておりまして、よろしくお願いいたします。

 まず、早速、官房長官に伺いますが、資料の三にもおつけをしておりますが、今回、内閣のサイバーセキュリティセンター、NISC、実際にここの記事にもありますが、政府の司令塔は通報どまりということでありまして、五月の八日に不正アクセスが発覚して、この間、議論にもありますように、例えば、もうその時点で、緊急の対策チームも乗り込んで、そして、全てのインターネットをとりあえず一旦は遮断する、その上でいろいろな調査をして対応をとっていれば、今回のような大量の情報流出が防げたのではないかという指摘があるわけでございます。

 これは、五月の八日に、まず、NISCが厚生労働省に、不審な通信を検知したことを通報しています。さらに、二十二日にも再度、不審な通信検知を通報しておったわけでございます。この二度の通報にとどまってしまったことによって、結果的に百二十五万件の情報流出が起こってしまった部分については、官房長官、一貫して機構に対しては厳しい立場で指弾をされておられます。それはわかりますよ。

 だからといって、では、まさにNISCの所管である官房長官、もっと言うと、全体を、まさに、年金、最後の一件まで消えた年金も取り組むとおっしゃって、この間、第二次安倍政権、今回の問題が起こったわけですから。ちなみに、直近の世論調査では、今回の問題、年金個人情報流出、安倍政権の対応は不適切というのが八割にも上っているわけでありまして、これは、官房長官あるいは安倍総理御自身に全く責任がないと私は言えないと思いますが、官房長官、いかが考えられますか。

菅国務大臣 NISCでありますけれども、政府機関に関するサイバー攻撃の不審な通信を監視、分析し、これを感知した場合には、関係府省に通知し所要の対策を講じるよう求めているところであります。

 そういう意味で、今回の事案、八日の日に不審な通信が行われたことを感知したことから、厚生労働省に対しその旨を通知するとともに、厚生労働省における対応について必要な助言を行ってきている、そういうふうに思っております。

柚木委員 私が尋ねているのは、その対応そのものも甘かった、そして、百二十五万件のかけがえのない虎の子の年金、この年金が成り済まし被害によって奪われる、失われるかもしれない、そういう中で、対応が甘かったんじゃないんですか、その責任は、機構や厚生労働省だけじゃなくて、NISCの所管である官房長官、あるいは政府全体として安倍総理にもあると思われませんかということを聞いたわけですよ。御答弁ください。

菅国務大臣 今私が申し上げたように、当初、そうした不審な通信があるということをNISCは指摘をいたしました。そして、この問題について、その後の、今回、百二十五万という、極めて国民の皆さんにとり大事な名簿が流出したことに対しては、本当に申しわけないというふうに思っています。

 ただ、今、厚生労働大臣のもとで検証委員会を立ち上げておりますので、なぜこういう事態になったかということを、第三者的観点からその真相究明をすることがまず大事だというふうに思いますし、第二次被害を起こすことがないように対応することが大事だというふうに思います。

 その検証結果を踏まえて、ここはさまざまな問題が出てくる、こういうふうに思っています。

柚木委員 当然、今、二次被害拡大等を防がなきゃいけない、当たり前のことです。

 ただ、官房長官が最後に言われたように、やはり責任の所在を明確にしないと、これは今後の再発防止にもつながりません。もっと言うと、今、このプロセスの中でも、やはり責任の所在をある程度はっきりしていくことによって、場合によっては、私は、二次被害、三次被害の拡大を防ぐことにもつながると思うんですよ。

 厚生労働大臣も、先ほどの答弁の中では、御自身に対しての責任のあり方については私は認識されていると思うんですね。ただ、今この段階で何をすべきかという議論に、この間、私は終始をしていると思っているんです。

 それで、官房長官、五月の二十五日にも、サイバーセキュリティー戦略会議、安倍総理御自身が出席をして行われたにもかかわらず、今回の年金の話は一切出てこない。二十二日に、NISCは厚生労働省に既に二度目の不審な通信の検知を通報しているわけですから、二十五日の会議では、まさに結果的に二十九日まで放置された全てのインターネットの接続の遮断も含めて議論をして対応すべきだったと私は思いますが、官房長官はそう思われませんか。

菅国務大臣 まず、私どもがその報告を受けたのは二十九日でありました。ですから、この二十五日にはそうしたことを知っていなかったわけであります。

 これについても、今、検証委員会を立ち上げる中で、その事実関係を明らかにした上で私は対応してまいりたいというふうに思います。

柚木委員 それは本当に、今後の検証プロセスの中で、誰がどの時点でどこまで知っていたのかということがさらに私は検証で明らかになっていくと思いますが、二十九日まで全くそういう、厚生労働大臣も二十八日、官房長官、総理が二十九日、本当にそういうことなのかどうなのか。もし本当にそうだとしたら、さらに問題だと思いますよ。

 だって、サイバーテロは集団的自衛権の行使の対象になる、そういう議論にもなってきている中で、このリスクに対しての対応、今回のこんな状況で、国民の年金を守れなくて国の安全保障を守れるんですか。やはり、このNISCの、あるいはこの戦略会議の中でしっかりと対応ができなかった時点で、私は非常に、安全保障自体も、他国から見ても、日本というのは大丈夫なのか、サイバーテロを含めて、そういう見方になってしまうと思いますよ。

 官房長官、ぜひ、私、建設的な提言をしたいんですが、資料の三、五にそれぞれ、今回、NISCの対応について書かれています。三の部分については、政府の司令塔は通報どまりだ、しかし、例えばNISCの職員が対応に即当たって、緊急対策チームが乗り込んで、再発防止あるいはネット遮断、そういったものを行っていれば今回は防げたのではないか、そういう適切な応急措置ができる体制づくりを行うべきだと指摘をしておりますから、ぜひそういうことを御検討いただきたいです。

 もう一点、資料五にもつけましたが、年金情報、これはつまり、特殊法人の日本年金機構については重要防護の対象外、政府のサイバー攻撃対象からとなっているわけですが、これについても、やはり、国民の本当に虎の子の年金、貴重な財産であるその年金を管理する日本年金機構、こういった特殊法人あるいは独立行政法人についても、もう一度、重要防護の対象にするもの、しないもの、私は再検討いただきたい。

 どうですか、この二点について。官房長官、検討いただけませんか。

菅国務大臣 まず申し上げますけれども、NISCは、五月八日に厚労省を通じて通報したほかに、常に厚生労働省を通じて助言等をしてきた、このことはぜひ委員にも御理解をいただきたいというふうに思います。

 さらに、その上で、今委員から御指摘がありました問題でありますけれども、今後の検証委員会の結果を踏まえて、NISCが客観的、専門的立場から設置した原因究明調査チーム、これも検証等を今行っておりますので、こうしたことから、国民にとって大事な年金機構に対してもどういう対応をするかということは当然のことだというふうに思っております。

柚木委員 つまり、今御指摘をしたことは、きっちり御検討、対応いただける、そういうことですね、うなずかれていますので。

 私は、もっとも、今指摘したこともやっておくべきことだったと思うんですよ、既に。しかも、今回、官房長官は二十九日にこのことを報告を受け、安倍総理にも報告をされ、こういう経緯なわけですが、官房長官も安倍総理も、今回、二十九日の時点で年金の個人情報が流出をしているのを知りながら、結果的には六月一日まで、今回の漏れた年金問題を、見方によっては隠蔽し続けたと見られかねませんよ、今後、成り済ましの被害が出てきたときには。

 二十八日木曜日に、年金機構の関係者と想定をされる方からの、インターネット、2ちゃんねるへの書き込みがもしなかったら、これはこういう見方もあるわけでしょう、厚生労働委員会では、労働者派遣法改正案の採決するしない、強行採決云々と報道が出ていますよ、そういうことが前に進むまでこの問題を隠蔽するつもりではなかったのかという見方が報道でも出ているわけですが、これが本当ならとんでもないことですよ。

 既に六月の五日の時点では、把握されている口座、住所変更申請が四百三十六件、これは今はもっとふえている可能性がありますよね。ですけれども、これは何を意味するのか。つまりは、四百三十六件の中から成り済ましの年金受給被害がひょっとしたら既に発生しているおそれがあるということにほかならないわけですから。それなのに、二十九日、三十、三十一そして一日と、この個人情報の流出の事実を公表しなかった。塩崎大臣も、内部的にでも本人確認徹底を現場の窓口に徹底すべきだったという趣旨の答弁をされていますけれども、そのとおりだと思いますよ。

 これは、官房長官はもとより、安倍総理も含めて、やはり今後の展開によっては、いや、あるいはひょっとしたら既に、この漏れた年金問題への責任、これについて、私はやはり免れ得ないと思いますが、官房長官、いかがですか、認識は。官房長官に聞いているんです。

菅国務大臣 私は、二十九日に報告を受けて、第一次政権のときの社会保険庁の事案がすぐ頭に浮かびました。

 そういう中で、これは厚生労働省、年金機構にだけ任せるのではなくて、NISCからも全体像、全容をさらにチェックすると同時に、まず、流出された方々に御迷惑をかけることのない万全の対応策を即とること、これが極めて大事だというふうに思いましたので、とにかく、報告を受けた後には、徹底してその事態解明と二次被害を防ぐためのまず努力をする、そういうことを私は指示いたしました。

柚木委員 私は、やはり官房長官、認識が甘いと言わざるを得ませんよ。

 先ほども、助言をしたということについては評価をいただきたいという趣旨の答弁がありましたが、助言だけでは甘かったんですよ。まだそんな甘い認識で長官はいらっしゃるんですか。

 年金情報の悪用については、既に、住所、氏名、生年月日がある流出情報については、これは報道ですけれども、例えば一件五十円で扱われるとか、基礎年金番号まであれば情報の流出については一件百二十円で売買されるとか、偽造した本人確認の書類の利用で年金の財産の横領が可能だとか、基礎年金番号を告げて相手を信頼させて家族構成とか預金額まで聞き出す新たな年金詐欺の材料になっているとか、もう報道はばんばん出てきていて、実際に行われているかもしれない。しかも、行われていて、困って相談したら、年金機構のホームページも今使えないし、そもそも、増員しても、全体の三割、これは三十三万件今来ているうちの三割といったら、十万件ぐらいの人は電話してもつながらない、そういう状況があるんですよ。そういう状況の中で、今のような認識、本当に甘いと思いますよ。

 これは官房長官、年金機構や厚生労働省だけじゃなくて、安倍政権全体の責任ですから、安倍総理御自身がもっとリーダーシップを発揮いただいて対策に乗り出すべきだと私は思いますが、官房長官、いかがですか、政府の全体の取りまとめとして。

菅国務大臣 私は、今申し上げましたように、第一次政権の社会保険庁の事案がすぐ頭に浮かんで、当時は次から次へと違う事実がどんどんどんどん出てきたわけです。当時の反省の上に立つと、やはり全体像をまず自分で把握した上で、それがないと対応策というのは逆に国民の皆さんに不安を与えてしまう、私はそういうおそれも実は感じました。

 ですから、まず全体像の把握、それと同時に、やはり二次被害に遭わない対策はしっかりやる、私はそこの作業をする日にちが当然必要だというふうに思いましたので、そういう判断をしました。

柚木委員 私は、やはり責任の所在を明らかにしていくプロセスの中で今おっしゃったような対応も進めていかないと、これはトカゲの尻尾切りみたいなことでは済まされないと思いますよ。本当にこれは安倍政権全体の問題として受けとめていただきたい。

 時間が迫ってきておりますので、これは厚生労働大臣にも伺いますが、今回、資料の七にもつけましたけれども、この安倍政権のもとで発生をしている漏れた年金情報問題ですけれども、成り済まし被害を受けた受給者の方にも、当然、年金受給権はあるわけですよ。民間の金融機関であればこうしたケースなら当然補償されるのに、この間の答弁だと、何でこれを安倍政権は補償しようとされないんですか。厚生労働大臣、これは余りに年金受給者に冷たいんじゃないですか、いかがですか。

塩崎国務大臣 今、成り済ましのことで御質問を頂戴いたしましたが、二次被害の例というのがいろいろございますので、現在情報収集しながら、今後必要に応じて、例えば日本年金機構をかたった詐欺のおそれなどについての広報は、ホームページ等々でお知らせを通じて対象者に周知をしていこうと思っていますけれども、対象となる方については、年金事務所の窓口のシステム上でも確認できるようにし、なおかつ年金事務所の窓口などで本人確認の徹底を図るなど、今、成り済ましを防ぐための防止策に努めていて、それを徹底的にやっているところでございまして、金銭的な補償の問題についても幾つか提案をいただきました。

 しかし、私どもは、補償を行う考えは今持っておりません。何よりも国民の年金を守ることを最優先にするということが大事であって、被害が出ないように日本年金機構にも厳しく指示をしながら、今全力で取り組んでいるところでございます。

柚木委員 安倍政権は本当に年金受給者の方に冷たいですね、厚生労働大臣。民間の金融機関だったらそんなことは許されるんですか。そもそも、漏れたり預金額が消えたりしたら、業務停止命令で、もう会社は潰れますよね。おかしいんじゃないですか、こんな対応。

 塩崎大臣、ちなみに、既に年金の振り込み口座変更、住所変更が四百三十六件も出ている。ちょっと時間がないから、今、何件か把握されているのであれば大臣にまとめて御答弁いただきたいんですが、変更した人に戸別訪問して本人確認を指示ということになっていますけれども、これは、全部するのは、いつまでに本人確認をされるんですか、お答えください。

塩崎国務大臣 直ちにこれは訪問をするように私は指示をいたしました。まだ、いつまでにできるかというところまでは把握をしておりませんけれども、直ちに訪問するようにということは指示をしているところでございます。

柚木委員 時間が来ているのできょうはもう終わらざるを得ないんですが、これは本当にまだまだ確認しなきゃいけない、対策を講じなきゃいけないことがいっぱいあるんですよ。今だって、本人確認したら、成り済まし被害の人が出てくるかもしれませんよ。だから、早くしなきゃいけないはずですよ。

 そして、きょうは総務大臣にお越しいただいて申しわけなかったんですが、先ほど年金業務監視委員会は特例かつ異例と言われましたけれども、だめなんですよ、常設で監視をしないと。厚労省の中の第三者委員会では限界があるんですよ。きょうはそのことを議論する時間がもうなくなりましたが、やはり業務監視委員会を廃止したことが今回の年金問題につながっていることも含めて指摘をして、質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。

石関委員長 次に、武村展英君。

武村委員 自由民主党の武村展英でございます。

 本日の議題、案件は、平成二十四年度決算、平成二十五年度決算であります。

 この衆議院の場におきましては、決算を審議する場所はこの決算行政監視委員会しかありません。決算の軽視と言われないように、本日は、決算に関連して御質問をさせていただきます。

 まず、国の財務書類について御質問をいたします。

 よくこの衆議院の場でも言われることですが、我が国の決算、これは現金主義、単式簿記の方法で決算を行っており、諸外国に比べて極めておくれている、こうした主張がたびたびなされるわけです。本当にそうなのでしょうか。まずは、やはり事実確認から行っていきたいというふうに思います。

 資料の一ページ目をごらんください。

 これは、前回の決算委員会の総括質疑、これは二年前になりますが、その決算行政監視委員会の場で御質問をさせていただく過程の中で、国会図書館に作成をいただいた資料であります。この資料の中で、イギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、日本、五カ国の比較をしております。

 まず、最も重要なことは、この五カ国、各国ともに現金主義の予算、決算というものがまず基本にあるということであります。国民からいただいた税金をきちっと使われているかどうか、予算執行の管理を適切にやっていくためには、やはりこの現金主義ベースでの予算、決算が必要となるわけであります。その上で、企業会計的な手法により、発生主義、複式簿記といった手法を使って財務書類を作成している国があるわけです。

 一番進んでいるのはイギリスであります。これは、予算、決算ともに発生主義、複式簿記の方法で財務書類をつくっているという国であります。そして、ドイツにおきましては、予算、決算とも、現金主義でしか決算をしていないというわけであります。そのほかのアメリカ、フランス、日本というのは、その二つの国のちょうど間にある、そういう位置づけであろうかと思います。

 そこで、財務省にお伺いをいたします。

 国の財務書類のこれまでの取り組み状況につきまして、システム導入による作成、公表の早期化、さらには政策別コスト情報の公表などの進展も含めてお伺いをいたします。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 国の財務書類は、国の財務状況等に関する説明責任の向上、予算執行の効率化、適正化につながる財務情報の提供等を目的といたしまして、御指摘のように、現金主義の予算、決算とは別に、発生主義等の企業会計の考え方及び手法を活用して、平成十五年度の決算分より作成、公表をしております。

 国の財務書類には、一般会計のみの財務書類、あるいは一般会計と特別会計を合算したもの、あるいは独立行政法人等を連結したもの等がございまして、そのほか、各省庁においてもさまざまな会計単位の財務書類を作成、公表してございます。

 また、これまでの取り組みといたしましては、公表時期につきましては、システムの導入等によりまして、現在は、作成を始めた当初に比べまして八カ月程度公表を早期化して、平成二十三年度決算分より翌年度の一月に公表をしてございます。

 また、各省庁の政策ごとにどの程度のコストがかかっているかを把握しやすくするため、政策別のコスト情報を平成二十一年度決算分より作成、公表等をしております。

 以上のような改善の取り組みを行ってきたところでございます。

武村委員 ありがとうございます。

 早期化の取り組み、そしてまた、政策別コスト情報といった国民に有用な情報を積極的に提供されているということで、今お答えいただいた内容につきましては、資料の三について添付をさせていただいております。

 国の財務書類につきましては、この国会の場でもよく議論がされますのは、自治体、東京都それから大阪府は、完全な複式簿記による作成がシステム上行われているということであります。これと比べて国はおくれていると言われておりますが、最もおくれている部分はインフラ資産ですよね。インフラ資産で、価格情報を含む固定資産台帳が作成をされていない、その結果、システム上、固定資産の登録をして、その際に、自動仕訳で複式簿記の仕訳が、起票をされ、それが転記をされる、こうした仕組みがないということであろうかというふうに思います。

 この点につきましては、四ページ目に資料を添付いたしておりまして、今の国の財務書類がどういうデータをもとにどのようにつくられているかということが一覧で御理解いただけるかというふうに思います。

 この資料四の一番左側、国有財産総合情報システム、こうしたデータが、システム上、仕訳によって流れる仕組みにはなっていない。これが東京都と大阪府と対比した際の最も大きな相違点であるというふうに思います。

 総務省は、ことし一月に、全ての地方公共団体に対しまして、新たな地方公会計基準に基づくインフラ資産を含めた固定資産台帳の整備を要請したところであります。

 国の固定資産台帳の整備はおくれている状況にありますが、国も、アセットマネジメントへの活用の観点から、固定資産台帳の整備を徐々に進めていくべきであるというふうに考えます。

 こうした管理上のシステムの改修に合わせる形で、大改修のタイミングで価格情報もシステムの中に追加をしていく、そうすることによって、国の財務書類を作成する上で極めて有用になるというふうに考えますが、御見解をお伺いいたします。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 国の財務書類では、御指摘のようないわゆるインフラ資産である公共用財産につきましては、国有財産法上、台帳作成等が適用除外になっておるということから価格管理が行われていないということから、資産の評価に当たっては、過去の事業費の累計等によって計上しておるところでございます。

 総務省がことし一月に、各地方公共団体に対しまして、新たな地方公会計基準に基づくインフラ資産を含めた固定資産台帳の整備を図る要請をしたことは、私どもも承知をしてございます。

 一方、国におきましてインフラ資産を含めた固定資産台帳の整備を行うに当たりましては、例えば、一般国道については約五・五万キロメートルの保有、一級河川については約八万八千キロメートル保有など、インフラ資産が全国各地に膨大に存在するといったことから、システム面も含め、量的な問題というものがあるものと考えてございます。

 いずれにしましても、インフラ資産を含めました固定資産台帳につきましては、地方公共団体での作成、活用状況なども参考にしつつ、引き続き検討してまいりたいと考えてございます。

武村委員 ありがとうございます。

 国の財務書類をつくるためだけにシステムの改修をするというのは余りにコストが大きくて、費用対効果の面で、これはなかなか御理解が得られるものではないというふうに思います。そういう中で、管理上のシステムの改修というものはこれから確実に行われていくわけですから、こうした改修に合わせて価格管理の情報についても入れていくことを御検討いただきたいというふうに思います。

 次に、私は、国の財務書類、膨大な手間、時間をかけて現在でも各省庁でつくっていただいている情報でありますが、この膨大な情報がほとんど有効に活用されていない、このことの方が大きな問題だというふうに思います。

 実際のところ、世界各国、イギリスなどの先進国においても、この使い方ということについては、各国、試行錯誤をしていて、どのように使ったらいいのかという、そうした明確な答えはまだまだ十分に出ていないように感じます。

 そこで、国の財務書類とあわせて政策別コスト情報を開示していただいておりますが、この政策別コスト情報、これを活用するためには、現在でも開示をされていますけれども、政策別コストの詳細な分析であるとか、増減分析、そしてまた、政策評価、行政事業レビュー、こうした取り組みとの連携を図ることが重要であるというふうに考えますが、御見解をお伺いいたします。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の政策別のコスト情報は、各省庁の政策評価項目ごとに、事業費に加えまして、人件費、あるいは事務費等も含めました全体のコストが一覧をできるものであり、より一層の財務情報の充実を図るため、平成二十一年度より作成、公表しているものでございます。

 しかしながら、現状におきましては、行政担当者のコスト意識の醸成や、事業の効率化への取り組みについての活用が不十分ではないかとか、予算のPDCAサイクルへの活用が不十分ではないかといった御指摘があることは認識をしてございます。

 一方、議員御指摘の政策別コスト情報と政策評価、あるいは行政事業レビュー等との関係につきましては、それぞれの目的が異なるということから、対象となる政策等の単位が異なっており、具体的には、平成二十五年度におきましては、政策別コスト情報については百四十件、政策評価については四百六十七件、行政事業レビューについては四千七百二十七件であること、また、政策別コスト情報は発生主義に基づくコストである一方、行政事業レビューは予算に基づく現金主義であることなどの違いがあるという点がございます。

 いずれにいたしましても、御指摘のように、コスト情報の活用を一層図っていくということは重要であり、そのためのコストの詳細な増減分析や説明の充実には一層努めてまいりたいと考えてございます。

武村委員 ありがとうございます。

 よく言われることなんですけれども、東京都では、複式簿記、発生主義による財務書類が作成をされているということで、システム上、局別の財務諸表、財務書類というものが作成、開示をされているわけです。この政策別コスト情報、これは、私は、東京都における局別のコスト情報、ストック情報、こうしたものに近い考え方なのではないかなというふうに思います。

 政策別コスト情報については、資料五で添付をさせていただいております。

 もともとの事業費に加えて、共通経費である人件費や物件費等、こうしたものを配賦することによって、その政策に対してどれだけコストがかかっているのか、こうしたものを発生主義ベースで開示をするものであるというふうに認識をしております。

 今、財務省の方から、この政策別コスト情報について今後もさまざまな検討課題があるというお答えをいただきました。この点につきましては、資料六で配付をさせていただいております。

 政策別コスト情報の活用に当たっては、今お答えいただきましたように、さまざまな検討課題があることは認識をしておりますが、単にフルコストを開示するだけではなくて、情報に工夫を加えることによって予算などのPDCAの手段となり得るというふうに考えますが、この点につきまして、財務省の御見解をお伺いいたします。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 政策別コスト情報の活用につきましては、例えば、政策コストとその受益者数などから受益者一人当たりの単位コストを把握するといったことや、行政サービスが最終的に国民に行き渡るまでのトータルコストを開示するといったことなどによって財政の見える化を一層図ることがPDCAに資するものと考えてございます。

 いずれにいたしましても、政策別コスト情報の開示につきましては、今後さらなる工夫に努めてまいりたいと考えております。

武村委員 ありがとうございます。

 財政の見える化につきましては、竹谷政務官が精力的に取り組まれているということで、これからもより一層取り組みを進めていただきたいというふうに思います。

 参考資料の七枚目、八枚目に、各政策における事業概要、そして、その事業に対応する政策別コストの推移ということで、文部科学省の例を抜粋させていただきました。

 資料七でいいますと、例えば、小学校、中学校、高校にどれだけの国費が使われているのか、私学助成などは除けば、この事業概要の中で、「二 確かな学力の向上、豊かな心と健やかな体の育成と信頼される学校づくり」「三 義務教育の機会均等と水準の維持向上」、こういったところにコストが示されているわけであります。その経年比較が資料八で見ても明らかになっております。

 こうした教育に係るコストは、国だけではなくて県や市町村の負担もあるわけです。行政サービスというものは国と地方自治体双方で実施されるものですので、国と地方自治体双方の財務書類を連携させた活用の方向性も検討すべきであるというふうに考えます。財務省の御見解をお伺いいたします。

西田政府参考人 お答え申し上げます。

 行政サービスにつきましては、国が直接実施しているものや国と地方公共団体が連携して実施しているものなど、さまざまな形で国民に対して行われているところでございます。

 したがって、これらの行政サービスを実施するに当たりまして、国のみならず地方公共団体なども含めまして、全体を通じてどれくらいのコストが発生しているかといった財務情報を開示していくといったことも、財政の見える化を進めていくに当たっては重要だと考えてございます。

 そうした点につきましては、議員の御意見も参考にしつつ、今後検討してまいりたいと考えてございます。

武村委員 ありがとうございました。

 東京都のように、システム上完璧な複式簿記に対応した財務書類を作成すべきだという意見がこの衆議院の場でも数多く表明されていますが、ただ、我が国の現状におきましても、システム上完璧であるとは言えませんけれども、結果として、相当水準、相当レベルの高い水準での発生主義ベースでの財務書類が現段階でも作成をされているわけであります。政策別コスト情報もあります。

 現状でこうした情報を十分に活用できていない、そうした状況の中で、東京都と同じようなシステム上完璧なものをつくれ、こうした議論もあるわけですが、こうした完璧なものをコストをかけてつくっても、十分に活用されなければ何の意味もないわけです。コストばかりかけて、つくれつくれ、そうした議論というものは、私は余りに無責任ではないかと考えています。

 今後、やはり、学者の専門家の方々、それから財政当局の皆様、そしてまた政治家自身も、こうした情報を有効に活用して、こうした決算審議の場で決算を議論していくということも大変重要だというふうに思いますし、私自身も努力をしていく所存でございます。

 国の財務書類については以上にしまして、資料二で国の財務書類の概要を掲げさせていただいているんですが、この中で出資金という項目がございます。平成二十五年度決算では六十六兆円という大きな金額となっております。この出資金についてお伺いをさせていただきます。

 国の出資金にはどのようなものがあるのでしょうか。概要を御説明ください。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成二十五年度ベースで国の財務書類における出資金と分類されておるものの額は、六十六兆三千百八十二億円でございます。そのうち、財務省所管分について取り出しますと、二十一兆五千五百三十八億円でございまして、その内訳は、財政投融資特別会計が十一兆六千六百十二億円、一般会計が七兆四百二十五億円、外国為替資金特別会計が二兆四千六百八十七億円、東日本大震災復興特別会計が三千八百十四億円となってございます。

 また、財政投融資特別会計分を財務基盤強化などの目的別に分類いたしますと、資本性資金の供給や政策的必要性の高いプロジェクトを支援するための財務基盤強化として六兆三千二百五十九億円、ファンドを通じたリスクマネー供給として八千七百五十億円、将来の研究開発成果による資金回収として二百四十三億円、そのほか、日本電信電話に対する出資金二兆二千七百六十億円、日本たばこ産業に対する出資金として二兆一千六百億円となってございます。

武村委員 ありがとうございました。

 財務省所管のこの出資金のうち、財政投融資特別会計の内訳について今詳細に御説明をいただいたわけであります。

 この財政投融資特別会計にある出資金だけを見ても明らかなように、この出資金の中には、さまざまな性質が違ったものがまざっているというふうに思います。今大きく四つに分けてお答えをいただきました。国立大学法人であるとか独立行政法人、そうしたものの運営基盤の強化をするために出資をされるケース、それから、研究開発による投資回収を目的として出資をされるケース、さらには官民ファンド、こうしたものもあろうかというふうに思います。

 やはり、こうしたものはリスクとリターンの関係が明確に異なりますので、例えば、財務基盤を充実強化させるための出資、これはリスクは少ないかわりに期待されるリターンも低いわけであります。研究開発投資による回収を目的としているこうした出資金については、極めてリスクが高いということで、今は新たな出資は行われていない、そうした現状にあろうかと思います。そして、官民ファンドと呼ばれるものが、平成二十四年度予算、平成二十五年度予算、こうした中でもたくさん計上されているわけでありますが、この官民ファンドについてお聞きをしたいというふうに思います。

 配付資料の九ページ目、内閣官房で横串でチェックをしている、そうした主な官民ファンドの一覧がございます。

 まず、官民ファンドの定義についてお聞きをいたします。そして、その定義に基づけば、官民ファンドは政府全体でどれだけあるのか、幾つあるのか。そしてまた、そのうち、内閣官房が活動の評価、検証を行っている、そうした対象となっている官民ファンドは何かをお伺いいたします。

 この点につきましては、これまでの衆議院での議論をお聞きしていますと、官民ファンドの定義、これを答弁の中で明らかにされていないんですね。定義を明らかにしていないので、政府全体でどれだけあるかわからない、こうしたお答えをこれまでされていたんです。これは、定義を明確にして、政府全体で幾つあるのか、そして、そのうち大きなものを中心にこれだけを横串でチェック、検証している、そうした答弁をするのが私は筋であるというふうに思います。

 この官民ファンドの定義、そして官民ファンドは幾つあるのか、検証の対象としているものは幾つあるのか、お答えをいただきたいと思います。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 官民ファンドにつきましては、政府の成長戦略の実現、地域活性化への貢献、新たな産業や市場の創出等の政策的意義のあるものに限定をして、民業補完を原則として、民間でとることが難しいリスクをとることによって民間の投資を活発化させるものでございまして、民間主導の経済成長の実現を目的とするものでございます。現時点では、これに該当するファンドの数は十二あると認識をしております。

 現在、内閣官房長官を議長とする官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議のもとでは、官民ファンドの主なものとして十一のファンドについて、運営状況の検証作業を行っておるところでございます。これらの官民ファンドにつきましては、各府省庁に意見照会を行いつつ、関係閣僚会議において決定したものでございます。

 なお、資金規模が比較的少額であったなどの理由によって関係閣僚会議での検証対象としていないものもありますけれども、これについても、運営状況については、所管、監督省庁によりまして、ガイドラインに基づき適宜適切にチェックが行われていると承知をしているところでございます。

 以上でございます。

武村委員 御答弁ありがとうございました。

 やはり定義を明確にして、政府で官民ファンドというのは幾つあるのか、こうしたことを明確にしないと、これまでの御質問にもあったんですけれども、政府は隠しているのではないか、何か見られたらまずいものでもあるのではないか、そうしたあらぬ疑念を持たれることになりますので、これからはそうした明快な答弁をお願いしたいというふうに思います。

 この官民ファンドの中で、農林漁業成長産業化支援機構についてさらにお伺いをいたします。

 この農林漁業成長産業化支援機構の業務の進捗状況についてお伺いをいたします。具体的にどれだけ経費を使ってどれだけの成果を上げておられるのか、そしてまた、その成果と経営計画、事業計画とを比較してどのように評価をされているのか、この点についてお伺いをいたします。

櫻庭政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十五年一月に設立され、二月から業務を開始しました株式会社農林漁業成長産業化支援機構の経費につきましては、平成二十四年度決算につきましては、出資業務に係る費用が三億三千四百六十二万円、また、平成二十五年度決算におきましては、同じく六億四千三百五十二万円となっております。

 他方、平成二十五年度までの六次産業化事業体への出資件数は八件となっております。A―FIVE、農林漁業成長産業化支援機構からの出資決定額で一億九千七百万円にとどまっておるところでございます。

 この要因としましては、一次産業、農林水産漁業というのは全国津々浦々にございまして、これを、案件組成するためのコストをいかに安くするか、低減させるかということでサブファンド方式をとっております。

 したがいまして、業務を開始した当初はこれに必要不可欠なサブファンドの組成に取り組んできたところでございまして、二十五年度までに四十一件のサブファンドが組成されたところでございます。

 また、二十六年度におきましては、出資決定は四十五件、出資決定額で十五億七千万円となっているところでございまして、まだ会計は終わっておりませんけれども、おおむね前年度並みの費用に案件の増加分の費用を上乗せした水準になるものというぐあいに考えておるところでございます。

 それで、評価でございますけれども、中期経営計画や各年度の事業計画で予定していた出資額と比べますと少ないと言わざるを得ないというぐあいに考えておりますけれども、案件形成になれてきたサブファンドも出てきていることから、これから、案件組成がおくれているサブファンドに対する重点的な指導助言による能力向上や、案件発掘への協力等に積極的に取り組むよう農林漁業成長産業化支援機構を指導し、費用に見合ったファンド運営が行われていると評価されるように努めてまいりたいと思います。

武村委員 ありがとうございました。

 これで質問を終わりますが、中期計画では、機構からサブファンドに出資をしている三百億円、この三百億円から事業体に出資をされる、この目標が、二十八年度末までに三百億円を目指すという中で、これまで恐らく、まだ決算は済んでいませんけれども、平成二十六年度決算であれば、これまでの総額で十六億円近い経費をかけて、十九億円しかまだ投資が進んでいない。到底このままだと目標には達しない、こういう状況ですので、一層の取り組みをよろしくお願いしたいというふうに思います。

 今回ちょっと私が気になりましたのは、中期経営計画、それから事業計画、これが開示をされていないんですね。普通の民間事業会社でもそうです、独立行政法人でもそうです。当たり前のように開示がされている。これを開示がされていないというのは私は大変大きな問題というふうに思いますので、その点を指摘いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

石関委員長 次に、山田賢司君。

山田(賢)委員 私は、自由民主党の山田賢司でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 また、大臣、副大臣、政務官におかれましては、突然の質問通告にもかかわらず御対応いただきまして、ありがとうございます。この件は、大臣、副大臣、政務官のみならず、役所の皆さんにも、突然の質問で作業をいただきましたことに、改めて感謝を申し上げます。

 では、早速質問に移らせていただきます。

 まず、総論なんですけれども、麻生財務大臣にお尋ねしたいと思います。

 決算と、そしてこの決算行政監視委員会についてでございます。

 民間企業におきましては、予算とか経営計画というのももちろん重要なんですが、それよりも、何より重要なのは決算。これによって企業の業績も全て判断される。他方、政治の世界におきましては、予算というのはもう大変注目されて、みんな一生懸命やるんですけれども、決算というのはなかなか、余り注目もされない。

 ただ、よく考えると、私は、政治の世界においても決算というのは大変重要なことだと思っております。予算要求のときに、この予算のポイントだとか、こんな効果があるということで、いろいろなことを言って予算要求したんだけれども、結果、その成果は得られているのか、こういったことを検証するということは大変重要だと思っております。

 そこで、麻生財務大臣にお伺いしたいんですが、決算の重要性、そしてこの決算行政委員会の位置づけについての御認識をお尋ねしたいと思います。

麻生国務大臣 民間からこの業界に来て一番最初に感じるのは、それ。私も経営者をやっていましたので、えっというのが正直な実感でしたから、山田さんの今言われました感性というのは、私は一般的には正しいんだと思っていますが、もう三十何年もこんなところにいると、だんだんこっちも感性が少し。いかがなものかと思って、反省せにゃいかぬところなんですが。

 国会におけます決算審議というのは、予算というものが執行された所期の目的を達していますかということについて審議をいただいて、次年度以降への予算に反映していくもので、これは極めて重要だということはもうはっきりしています。

 例えば、本委員会での御論議を踏まえて衆議院でなされる決議に対して、それに対して執行面への対応策とか予算編成におけます対応策などを講じた上で、その結果を衆議院に御報告させていただくということにいたしておりますが、いずれにいたしましても、国会での審議内容、決算の結果というものを、次年度以降の予算編成や概算要求、また予算執行などに的確に今後とも反映してまいりたい、そのように考えております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 そこで、まず、本日の議題というのは二十四年度の決算、そして二十五年度の決算ということですので、私はこの点に関して御質問させていただきたいと思っております。

 二十四年度、二十五年度というと、ちょうど、象徴的なのが、二十四年度の本予算までは民主党政権下で、二十四年度補正から自公政権に移ったというような時期だと思っております。自民党は、野党時代に、民主党政権の予算についてばらまき四Kと言って、子ども手当、高校授業料無償化、農業者戸別所得補償、高速道路無料化などを批判して、撤回を求めてまいりました。

 そこで、自公政権が二十四年末に政権を奪還した後、これをどのように見直しを行ったのか、お考えを、麻生財務大臣、お聞かせください。

麻生国務大臣 今御指摘のありましたばらまき四K、これはかなりしっかりと見直しを行ってきたと思っております。

 まず、高速道路の無料化というものにつきましては、平成二十三年八月の三党合意に基づきまして、平成二十四年度予算には関連予算は計上しないということにいたしまして、現政権下においても予算を計上いたしておりません。予算額で一千二百億円上がっておったものが、二十四年度予算では計上せずということになっております。

 子ども手当、平成二十四年の三月の、三党合意に基づきまして、平成二十四年六月から所得制限というもので年収ベース九百六十万円というものを導入させていただいております。これによって一兆七千六百億円が一兆二千八百億ということになっております。

 また、現政権下におきまして、高校授業料無償化につきましては、平成二十五年十一月に高校無償化法の改正というのを行わせていただいておりますが、平成二十六年度からは所得制限を、同様、九百十万円ということで導入させていただいておる次第です。

 農業者の戸別所得補償につきましては、制度の柱であります米の直接支払交付金の交付額というものを平成二十六年度から減額させていただいて、十アール当たり一万五千円から半額の七千五百円にするとともに、三十年度からは廃止するということなどとさせていただいたところであります。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 続きまして、政権奪還したときに十兆円の緊急経済対策等の経済対策を行われました。この緊急経済対策を出すときはそういう効果があるというふうに言って予算を組んだんですけれども、その結果、経済効果について大臣はどのように御評価をされていらっしゃるか、御見解をお聞かせください。

麻生国務大臣 これは、この十兆円が全てその効果、これだけで上がったというわけではありませんが、現政権下においては、何といっても政権奪還のときから、デフレ不況からの脱却、正確には資産のデフレーションからの脱却、資産のデフレ不況からの脱却ということを申し上げてきたのですが、二十四年の十二月十六日直後から、御指摘の緊急経済対策を含めます、三本の矢とかアベノミクスとかいろいろな表現がありますけれども、こういったものを一体的に推進したところでありまして、結果として、平成二十五年、よく使われます数字を申し上げれば、有効求人倍率、就職の話ですけれども、これは平成二十四年度平均の〇・八二から、〇・九八まで二十五年度平均で上がって、今、足元では一・一七になっていると存じます。

 また、企業の経常利益で言わせていただければ、これは、二十四年の十―十二月で十二・五兆が二十五年度で十五・八兆、十―十二です、になっておりまして、今、足元では十六・四ぐらいになっていると存じます。

 倒産件数というのがよく出ますけれども、これもずっと一万件を超えておりましたのですが、二十四年の一万二千百二十四件から大幅に改善して、今では九千五百四十三にまで改善していると思っております。

 よく言われる実質のGDPにつきましては、二十五年の一―三月では前年同期比で五・六%ということで、二十四年の十―十二月の〇・七から大幅に改善をいたしておりますけれども、今年の一―三月の二次QEですけれども、先ほど公表されておりますけれども、一次のQEが〇・六だったものが一・〇として、〇・四上がっておりますので、年率換算で約二・四から三・九というまでに上がってくるんだと思っておりますので、消費等の内需を中心とした景気回復というのが、少しずつではありますけれども、顕著になりつつある、そのように理解をいたしております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 私も、税金も一切使っちゃいけないとか、税金を使わないことが美徳だと言うつもりは全然なくて、このように使ったお金がしっかりと効果になっていく、今お聞きしただけでも経済効果というのは確実にあらわれておると思いますので、しっかりと実のある経済対策を行っていただきたいと思います。

 そして、決算の分野におきまして、これは大変幅広い分野にわたるので、きょうはたくさんの副大臣、政務官にお越しいただいているんですが、各論についてもちょっとお聞きしていきたいと思っております。

 まず、経済対策に関連して、マクロ経済対策というのも重要なんですけれども、やはり何より、国民の皆さんが景気回復というのを実感していただくというのは、とりわけ、御商売の売り上げが上がる、あるいはお給料がふえる、こういったことが大変重要だと思っております。

 なかんずく、日本の大多数というのはやはり中小企業でございます。この中小企業対策の目玉として、一つ、ものづくり補助金ということを導入されたと思うんですけれども、大変これは好評だったとお聞きしております。

 ただ、好評だというのも、お金をもらえば、みんなそれはよかったと言うのは当たり前で、単にお金を補助金として出したというだけでなく、しっかりと効果があったのか、どのような効果があったのかということを、目安となる指標をあわせて、実際の事例なんかも交えて教えていただければと思いますが、経済産業省からお願いいたします。

関大臣政務官 ただいまの御質問につきましてですが、経済の好循環を全国津々浦々へ広げていこう、この考え方のもと、ものづくり補助金というものを、この補助金制度をつくらせていただいて、地域経済を支えます中小企業そして小規模事業者の方々に、今、約二万五千社、取り組みを支援させていただいております。

 平成二十四年度補正につきましては、二万三千九百七十一件申請がありました。うち、約半分ですが、一万五百十六件採択させていただきまして、その金額が一千七億円でございます。二十五年度補正につきましては、三万六千九百十七件申請、一万三千件ほど申請もふえてきております。採択は一万四千四百三十一件で、千四百億円をさせていただいて、二十六年度補正につきましては、千二十億円の予算をいただいておりまして、今、一次公募審査中でございます。

 この二十四年度補正の実施分につきまして、補正期間が終了しました昨年九月の時点におきまして、一つには、もう既に売り上げが増加しました、または増加見込みでありますというパーセンテージが四九・七%ございます。また、二つ目としまして、取引先が増加していきました、またはその見込みが大いにありますというところが四〇・八%ということでございまして、今後は、販路開拓とか成果の普及に努めてまいりたいと思っております。

 そして、二十五年度の補正からなんですが、実は、これは安倍総理の指示がございまして、一%以上の賃上げ等、従業員の処遇改善に取り組む企業が優先的に採択されるような工夫を行ってまいりました。それによりまして、申請が三万六千九百十七件ありましたけれども、二万四千百五十九件が、六五・四%に当たりますが、賃上げ等を既に行ってくれまして、全国津々浦々、中小企業で働く方々の処遇改善に寄与させていただいております。

 実は、阪神大震災で被災しました神戸の企業ですが、従業員十九名なんですけれども、革靴のメーカー、トアセイコー株式会社、ここへ先月総理に行っていただきまして、実際に見ていただきました。三年前から国内回帰をしている会社なんですけれども、本補助金を利用しまして三次元の設計システムを導入していただきまして、デザイン力を強化しまして、売り上げが震災前の状況まで戻ってきている、こういうふうに効果が出ております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 そのように実のある経済対策というか、実際にどのように企業が潤ったのか、あるいは、元気を出す、諦めかけていた人が希望が持てるようになった、こういったことをもっと積極的にPRしていっていただければと思っております。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 安倍政権として新たに挙げております目玉政策の一つとして、東日本大震災からの復興加速化、これは最重要課題というふうに位置づけられております。二十四年末に政権奪還した当時、全く進んでいなかったという御批判もあった中、政権奪還後、全大臣を関係大臣として、政府一丸となって取り組みをしてこられたと思いますが、その取り組みと成果について、あわせて今後の一層の復興の加速化に向けた御見解を、副大臣、教えていただければと思います。

長島副大臣 復興庁の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 安倍政権においては、政権発足直後に財源フレームを二十五兆円に見直しをさせていただき、また二十六年度補正、そして二十七年度予算でさらに一・三兆円の財源を確保させていただいて、復興に取り組んでまいりました。

 おかげさまで、特に地震、津波被災地域では、平成二十七年度末に、災害公営住宅の約七割が完成、そして水産加工施設の八割が営業再開、そして七割の農地が復旧をしたという状況の中でございます。再生が確実に進んできていると実感をしていただけるのではないかな。原子力の被災地でも復旧が進み、帰還への動きが始まりつつございます。

 しかしながら、八万人の人たちがまだプレハブ型の仮設住宅に住んでいらっしゃいますので、まだ復興は道半ばという認識を持っているところでございますが、平成二十八年度以降、復興・創生期間においても、安倍政権においては、復興は最重要課題でございます、全閣僚が復興大臣の意識のもとで災害復興に取り組んでまいりたいというふうに思います。

 新たな財源を確保しながら、次の五年間、寄り添いながら、生活再建、そしてなりわいの再生、そして町の再生、寄り添っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 私もよく復旧と復興は違うと申しておりまして、復旧ということ、建物とかインフラを戻すことは可能ですけれども、本当の意味での復興という意味では、皆さん方がそこで仕事を持って生活をきちんとやっていける、希望が持てる社会をつくり出していくことが真の復興だと思っておりますので、ぜひ今後とも御尽力いただければと思います。

 さて、次の質問に移らせていただきます。

 これは復興とも関連するんですが、民主党政権下においては、コンクリートから人へというスローガンのもと、公共工事の削減が行われました。しかし、命と暮らしを守るということに重要なインフラの整備というのは私は大変必要だと思っております。

 実際に私の地元でも、市街地のど真ん中を道路が通って、通学路の横すれすれをトラックが行き交うような道があるんですけれども、これを回避するための道路工事をやっていたんですけれども、予算がすぱんととめられて、工事が中止になったという例がございました。そこを、安倍政権、政権奪還後、また予算をつけていただいて、整備をしていただきました。

 このように、命と暮らしを守るという観点での公共工事というのはあって当然ですし、また、公共工事は全部税金の無駄遣いだということではなくて、富を生み出すような、そういった公共事業なんかもあると思っております。こういったものにはしっかりと資金を出す。

 ただ、今までのように出せばいいというものではなくて、まさにこの決算であるように、出したものが当初言っていたような効果が本当にあるのか、これをしっかり検証していくことが重要だと思っております。

 そこで、国土交通省にお伺いしたいと思うんですが、どのような見直しを行って、その結果、どういう効果が出ているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

鈴木大臣政務官 山田先生の御質問にお答えをさせていただきます。

 公共事業のあり方ということで、政権交代でどのように変わったのか、あるいはその効果はどうなっているのか、そういった御質問だと思いますけれども、例えば、リーマン・ショックであったりとか、あるいは東日本大震災であったり、あるいは、これは平成二十四年の十二月になりますけれども、笹子トンネルの崩落事故もありました。こういったいろいろな転換点というものがあったわけで、これは政権交代によってどうなったかということの検証は正直難しいんだろうと思います。

 そういった中で、御指摘のように無駄なもの、あるいは必要性の低いものについては、当然これは基本的にやらない、そういった判断をずっとしているところでありますけれども、そういった状況の中で、確かにこれはその都度その都度政治的にどうなのかなというものがあるのも事実なんだろうと思うんですね。例えば、先ほど麻生大臣からもありましたけれども、高速道路の無料化の見直し等々、これも行ってきたところであります。

 最近の国交省としてということで申し上げれば、やはり、笹子の事故もありまして、補修であったりメンテナンス、こういったところに一つは重点を置いている。あるいは、先ほどおっしゃったような、命に直接かかわるような、そういった事業に重点を置いているというところは一つの大きな流れであります。

 それに加えて申し上げますと、このところ太田大臣からも申し上げているところでありますけれども、ストック効果というところに注目をし、簡単に言えば、どのようにして民間企業の、民間投資の効率を上げ、生産性を上げることにつながる投資であるか、そういったところが一つの判断の基準になると思います。よく言われるような、景気が悪いので、ただただ額ありきで需要を創出するような、そういった額ありきの事業については基本的にはやらないで、どちらかというと、こうしたストックの効果に着目をしたそうした事業を進めるということが基本的な方針になっております。

 そういった中で、具体的な事例で申し上げますと、例えば圏央道の例をとりますと、開通をすることによって沿道に工場であるとか、あるいは物流施設といったものが集積をするということが当然見込まれる。結果として、例えば圏央道の開通済みの区間に限って言えば、製造品の出荷額が一・二倍から一・七倍に増加をするであるとか、あるいは、例えば首都圏外郭放水路の整備によって、水害による浸水といったものの被害が十分の一ぐらいに激減をしておりまして、結果として、埼玉県の春日部市にあっては、企業誘致、新たに二十八件の企業が進出をしている、こういった効果も実際に出ているところでありまして、こうした生産性を上げる、民間企業の活動に資する、そういった事業をこれから集中的に進めていくというのが今の方針になっております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 今、大変いいお話を聞きました。もうかる事業を別に国がやらなくてもいいわけであって、でも、やることによって、その事業単体ではもうからないけれども、その周りのところで民間が、経済波及効果というんでしょうか、そういった形で潤っていく、これは大変重要なことで、そういったものについては、その事業単体が仮に赤字であっても、そこをやって民間が事業を伸ばす、収益を上げる、そしてまた税収にはね返っていく、こういったことについてはぜひ取り組んでいただきたいと思っております。

 続きまして、これは防災の観点にもなるんですけれども、文部科学省にちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

 文部科学省さんでは、防災、減災の観点から、学校の耐震化、とりわけ公立学校の耐震化を重点的に取り組んで、そういう予算を組まれてきたと思うんですけれども、実際の取り組み状況とその成果について教えていただければと思います。

赤池大臣政務官 委員御指摘のとおり、学校施設というのは、子供たちの生活であったり学習の場であると同時に、避難所などの防災拠点という形で、そのための耐震化というのは極めて重要であるということであります。

 文部科学省といたしましては、今年度中に耐震化をぜひ完了したいということで、地方公共団体に必要な財政支援、それから、耐震化のおくれている自治体に関しては、下村大臣名で直接書簡を送らせていただいたり、また職員が手分けして個別に訪問をしてなど、ありとあらゆる機会を捉えまして耐震化の推進を働きかけてまいりました。

 その結果、平成二十四年度ですと、公立の小中学校が八四・八%の耐震化率だったんですが、平成二十七年度には四月一日で九五・六%、今年度中には約九八%まで持っていくめどがつきました。

 ただ、一〇〇%ではないということは、これは学校の統廃合という問題がございまして、なかなか統廃合を前提にすると耐震化が進まないということなんですが、別途手引書もつくりまして、統廃合をする、しない、きちっと意思決定をしていただいた上で、何とか一〇〇%を目指して引き続き頑張ってまいりたいと考えている次第です。

 以上です。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 子供たちの安全ですから、子供たちだけではないんですけれどもね、国民みんなの命と暮らしは守らないといけないんですが、とりわけ弱い立場の子供たちの安全を守るということで、学校の耐震化、もうほぼでき上がるということですけれども、引き続き、安心、安全の観点から政策を進めていただきたいと思います。

 もう一つ、ちょっと観点を変えまして、社会保障費の見直しということも重要な課題ではあると思うんですけれども、安倍政権におきましては、社会保障の見直しの一つとして、生活保護の適正化を行っておられるというふうに聞いております。

 生活保護の適正化というのは、支出の適正化だけじゃなくて、不正受給の取り締まり、不正受給対策というのも必要なんですが、あわせてどのような取り組みを行ってきて、その結果どう変わった、どのような成果が上がったのか、これは政府参考人で結構ですので、教えていただけますか。

鈴木(俊)政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、生活扶助基準でございますけれども、これは二つの観点から見直しをいたしました。

 具体的には、まず社会保障審議会の生活保護基準部会におきまして、一般の低所得世帯の方々の消費実態と生活扶助基準、これを年齢、世帯人数、地域別に比較いたしまして、そうした結果、乖離が認められましたので、この乖離を是正するということ。それから、第二点といたしまして、この間デフレ傾向が続いてまいりました結果、基準額が据え置かれてきたということがございましたので、物価の下落分を反映するということで、こうした考え方に基づきまして、平成二十五年の八月分から、三年間かけて段階的に見直しを行ったところでございます。

 その効果でございますけれども、国費への影響額につきまして、この三年間で約六百七十億円の減を見込んでいるところでございます。

 また、御指摘ございました不正受給でございますけれども、不正受給の問題につきましては、生活保護制度に対します国民の信頼、こういうものを確保していく観点から看過できない問題であるというふうに認識をいたしております。

 まず、昨年の七月から、生活保護法を改正いたしまして、具体的には、福祉事務所の調査権限の強化、あるいは不正受給に係ります罰則の引き上げ、そして不正受給をした場合の返還金の上乗せ、こういったもろもろの対策を盛り込んで実行したところでございます。現在、これは昨年の七月からでございますので、これらの取り組みを着実に実施している最中でございます。

 今後とも、生活保護制度が国民の信頼を得られるように、適切な基準の設定、あるいは不正受給対策の強化、こういったことに取り組んでまいりたいというふうに考えております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 私も、困っている人を助けることは大変重要だと思っているんですけれども、まさに不正受給の適正化、ここのところはしっかりやっていただくことが、本当に困っている人たちへ手を差し伸べることにもつながるので、ぜひそのようにやっていただければと思っております。

 以上、本日は大変多岐にわたる分野をさらっと多数の方々に御質問しましたけれども、私自身の問題意識としては、決算というのは大変重要だという観点を持っておりまして、貴重な税金をお預かりして、それを使ったのなら、その効果をしっかりと確認することが必要だと思っております。その皆さん方が御報告いただいた効果に基づいて次の予算に反映させていく、こんなことができるように我々の委員会としても、早期に決算をやっていく、こんな流れができればと思っております。

 以上で質問を終わらせていただきます。本日はありがとうございました。

石関委員長 次に、松浪健太君。

松浪委員 総括質疑の冒頭でありますけれども、我々決算行政監視委員会は無駄をなくしていくということに大きな意義を持つ委員会でありますけれども、数週間前から、本日の総括質疑、八日の日程が随分と議論されていたにもかかわらず、最終的に、理事懇談会が先週金曜日の午後三時半ということでありまして、役所にも多大な負担をかけるということになったという点については、私は冒頭、遺憾の意を申し上げたいと思います。

 そして、本日も、平成二十四年、二十五年の一括審査であります。私は常々、この決算委員会、特に衆議院の決算行政監視委員会は失われた五年であったということを申し上げております。昨年、二十一年から二十三年と、三年を一緒に一括質疑する、ことしも二十四年、二十五年を一括質疑する、PDCAのサイクルからいえば、あってはならないことだと思います。

 国によっては、先ほどから随分と麻生大臣も、一般企業と比べて決算の重要性というものに言及をされておるわけでありますけれども、ヨーロッパの、国によっては、決算を上げない限りは予算の審議に入らないということを法で決めている国もあるわけでありまして、我々は、なかなかそこまでの法定までいかないということで、ただいま与野党で決算の改革案を議論しているところであります。

 本日は、多くの委員の皆さんがいらっしゃいますので、改めて、まずもって我々決算行政監視委員会の改革というものについても思いをともにいたしたいというふうに思います。

 今のままでは、私も決算行政監視委員長時代に本会議でこのままでは本当に税金泥棒だよなんということを言って、これは不適切だということで議事録から削除されましたけれども、今でも、このままでは本当に我々はそう言われてもしようがないなというふうに思うわけであります。

 昨年の、二十六年六月二十日の決算委員会において、我々は、まずもって第一弾の、改革方針について与野党の申し合わせについての確認をさせていただきました。

 その内容は、選挙を挟むことは想定していませんでしたが、決算の審査は、次年度決算が提出されるまでに終了するように努める。また、従来の審査方法に加え、例えば、行政監視機能を重視した小委員会を設置し、政策自体の是非でなく、予算執行が経済性、効率性、有効性等の観点から行われているかどうかに焦点を当てた質疑、我々は非政策的質疑と呼んでおりますけれども、これを行って、議論の活性化を図る。

 つまりは、こうして大臣、副大臣、政務官と行う議論は政策的質疑であります。先ほどから、これがばらまき四Kだったのかどうかはわかりませんけれども、子ども手当の政治的な、政策的な是非を問う、これは政策的質疑。我々、非政策的質疑というのは、あくまで効率、どこに無駄があったか。こうしたものは、海外では、参考人、政府参考人を中心に行っていくということがありますので、我々決算委員会も、この決算の審議を終われば行政監視機能に集中をしていこうというのが、我々の今決算行政監視委員会で行っている改革であります。

 そのためにも、この決算行政監視委員会、早く決算を上げたいというところでありますけれども、そうこうしているうちに、今も、十五日に我々は分科会を予定していましたけれども、これも大臣のとり合いということで、参議院の方で総理もとられるということで、これも何か今難しい雲行きでありまして、この期間に我々衆議院で決算行政監視委員会を進めていくというのは、定例日を設けてもやはりなかなか難しいということであります。

 今、与野党では、三月までに予算委員会の裏でしっかりと決算を回して、そして三月に上げてしまえば、その後には行政監視に集中する。大臣のとり合いを行わずに行政監視をしっかりと行っていく仕組みを回していこうということで、今与野党、鋭意、我々は努力しているところであります。

 ですから、今までは、各党も随分と、委員の皆さんも、やはり国会というところは、国会法で委員は一つは常任委員会に所属をしないといけないということで、ベテランばかりが多くなるとかいうこともありましたけれども、これからは、この決算行政監視委員会、国対ともお話をして、しっかりと議論をたくさんしていく、そういう決算行政監視委員会にしていこうじゃないかというのは、今与野党ともにしている思いでありますので、どうか皆様にもこのあたりをお含みおきいただいて、これからの決算行政監視委員会に皆さんに御協力をいただきたいと思うところであります。

 まずもって、非政策的質疑も取り入れていくということですけれども、なかなか今国会も厳しいわけであります。委員長、これはいつごろまで、しっかりと今国会まとめていくという御決意をまず委員長からもう一度いただきたいと思います。

石関委員長 これまで、決算行政監視委員会、理事会派による勉強会、それから理事懇談会の中でも、松浪先生から御発言があったような内容については議論をされてきたことであり、おおむね今先生の御発言のとおり、あらあらの合意はできているものと承知をしておりますので、その方向で私としても進めてまいりたいと思っております。

松浪委員 本当に、我々、これは親身に進めておりますので、質問通告もなく失礼をいたしましたけれども。

 衆議院決算行政監視委員会、先ほどから、きょうの議論を見ていても、原口先生が会計検査報告を我々にお配りになって、そして質問をされました。やはりこうしたスタイルでみんながどんどんどんどんと詰めていくということが私は大事になってこようと思います。

 しかしながら、かつては決算報告、十二月とか一月にずれ込むということであったけれども、今やっと十一月に出していただくように、これでも前倒しをしているわけでありますけれども、我々、その決算の審議に当たりまして、衆議院の調査局というのが、いつも四月、五月にいい報告を出してくれます。これを分析して、どこがポイントかというようなこと、我々議員もこうしたものを本当に活用しながら質問すべきだと思いますが、三月までに決算を上げるということになると、こうした報告がなかなか間に合いません。

 こうしたことについて、衆議院の決算行政調査室、これから、もし三月に上げるのなら、対応をどのようにしていただけるのか、まず伺います。

平川専門員 現在、当室におきましては、常会の決算審査の開始までに、決算等に関する参考資料と決算検査報告に関する参考資料を作成し、委員の先生方にお配りをしております。

 決算の審査が早期化するということであれば、決算等に関する参考資料については、決算提出後速やかに作成し、決算検査報告に関する参考資料の作成についても、御審議に役立てることができるよう最大限の努力をいたす所存であります。

松浪委員 今ほど四月、五月、完全な形をつくらなくても、一月冒頭ぐらいまでにはあらあらのものをつくっていただいて、やはりポイントも、我々衆議院議員と衆議院調査室、問題意識をまずは早目に合致させていただくというような仕組みが必要だと思います。

 また、我々、これはまず、決算を通しますと決議案が出ます。その次に、決算決議案の次に、我々、行政監視を、今申し上げた非政策的質疑でやろうということを考えております。この非政策的質疑でまたぎりぎりと参考人と詰めた内容を、やはりもう一度決議案のような、行政監視の決議案、実は、参議院は行政監視委員会はあるんですけれども、これも一年間委員会を開いておりませんでしたというようなことがありますので、実は我が国において、衆議院、参議院においても、行政監視機能が非常に手薄になっているというところが挙げられるので、我々はこれを早急に進めるべきだと思います。

 こうしたPDCAサイクル、本当に現在回っていなかったわけでありますけれども、省庁の予算編成にどういった対応を行っていただけるのか、財務省に伺います。

麻生国務大臣 これは、先ほども御質問があっておりましたので同様の答えを申し上げるんだと思いますけれども、決算審議での議論とか議決とか次年度以降等々への反映とかいうものは、もうずっと我々としては、予算の効率化とか財政の健全化の上において極めて重要なことだと、これは財務としては皆そう思っていますよ。ずっと今までだって思っていました。それで動かなかったのは国会ですから。ですから、そういった意味で、国会における審議の進め方について、行政の方からこうしろと言える立場にはありませんから、しっかりやってください。

 我々の方としては、最もそういったことに口うるさいのが筆頭で出てきていますので、これと組んでできなかったら、できないですよ。それぐらい気合いを入れてやっていただければよろしいんだと思いますので、真面目な話、これは本当に、なかなか、言っておきますけれども、あなたが考えているよりもっと深刻な難しい話がいっぱいありますから。

松浪委員 与党の大臣から、動いていなかったのは国会ですからという発言もございましたので、このことは我々委員としても重く受けとめるべきことだと思います。

 次に、大きい話をちょっとしてしまったので、小さいことでお願いですけれども、まあ、委員会で取り上げることでもないんですけれども、我々決算行政監視委員会も委員長室で集まります。僕は、委員長室のパソコンというのは、委員長が全然使っていることがないと思うんですよね、僕も委員長をやりましたけれども。各部屋に全部あるんですけれども、多分誰も使っていないと思うんです。あれをどれぐらい使っているのか。委員長がもしほとんど使っていないなら、使いますという委員長だけに渡したらいいと思うんですけれども、委員長、これをちょっと調べてくれませんか。

石関委員長 後刻、理事会で協議いたします。

松浪委員 さて、では次は会計検査院に伺おうと思います。

 この会計検査院、我々は出先改革を随分国会で議論してまいりましたけれども、会計検査院というのは珍しく出先がない役所であります。なぜ出先がないのかということを聞きますと、やはり中央で審議することが非常に多いというんですけれども、今の時代、どんどんどんどんと地方の予算が膨れてきて、そして交付税化、昔のように補助金じゃなくて、地方交付税化がどんどん進んできて、なかなか審査する内容というのも地元に密着しないと見えない部分が出てきていると思います。その交付税化等が多いがために、やはり、省庁別で今までつくってきた組織というものも私はそろそろ一部見直してもいいのかなというふうに思います。

 先日、会計検査院と議論をさせていただいて、いろいろな理由があるのはわかりましたけれども、さまざまな会計の専門家に聞きますと、監査法人なんかは、かつては大きな監査法人も中央にだけ集中していたものが、今どんどんどんどん地方にも支所をつくるようになっていると。また、会計検査院の人材も、つまりは出先がないということですから、全てが東京一極集中になってしまっている現状があります。

 当然、皆さんのフローからいえば、十一月に上げてしまえば、次はまた六月ぐらいまでは、九百人ぐらいですか、調査官が地方に年間八十日ぐらい散るということでありますけれども、一部は年間を通じてその地方に密着をするというようなキャリアパスがあっても、会計検査院の質はこれから上がっていくんじゃないかなというふうに私は思いますけれども、会計検査院、見解はいかがですか。

田代会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査の実施に当たりましては、検査対象機関から提出されました計算証明書類を一元的に管理して書面検査を実施するとともに、調査官等が全国各地に出張して実施しました実地検査の結果や本省庁等が聴取しました見解等について、関係する調査官等が一堂に会して情報を共有して分析、検討を行い、適時に検査官会議の指揮監督を受けるなどしながら検査結果を取りまとめることが非常に有効であるというふうに考えております。

 また、会計検査院におきましては、検査簿に掲記して国会に報告する事項につきまして、事務総局内の会議や検査官会議の各段階において、一件ごとに多角的な観点から慎重に審議、検討することとしているところであります。

 したがいまして、現状では、職員を一カ所に集中して配置する体制の方が効率的、効果的に業務を実施することができるのではないかと考えている次第でございます。

 また、地方に支所を設ければきめ細かな検査ができるのではないかという御意見をいただきました。

 この点につきましては、実地検査を行う箇所の選定に当たっては、綿密な事前調査と検討に基づきまして、できるだけ問題がある可能性が高い箇所を計画的に選定するとともに、会計検査の牽制機能を維持する見地から、多年にわたって検査の空白域を生じさせないように留意して検査の効率を高めているところであります。

 最後に、会計検査院に出先機関を設置すれば関東出身者以外の多様な人材を確保できるのではないかという御意見をいただきました。

 人材の確保というのは重要なことだと考えておりますが、例えば本年におきましては、総合職として五名の新規採用をしましたが、そのうち四名は西日本の出身者、もう一名は東北出身となっておりまして、各地から採用しているところでございます。

 今後も引き続き多様な人材の確保に努めてまいりたいと考えている次第でございます。

松浪委員 御答弁はわかるんですけれども、私もかつて新聞記者をしておりましたけれども、関西人だから関西のことを知っているわけではありませんで、私は最初に赴任した横浜とか青森とか、そういった地域の方が自分自身は詳しいなという実感がありますので、やはりなかなか、検査院の皆さんも、さまざまなキャリアパスというのは今後御検討いただければいいのではないかなというふうに思います。

 それでは、決算の実質的な私の今回の質疑に入りたいと思います。

 昨年八月に、この決算行政監視委員会で東北の方も二泊にわたって随分綿密な視察をさせていただいて、復興予算というもの、これからの使い道で非常に我々ずっとウオッチをしていかなきゃいけないなというところなんですけれども、特に、この平成二十五年度の会計検査においては、四千四百十億円に上ります防災のための集団移転促進事業、これについての指摘が非常にあるわけであります。

 三万三千六百六十八戸が区域指定されまして、一万六千九百九十一戸が移転するというものでありますけれども、これについて、移転者の意向の変化が適時適切に把握されていないという指摘がされていますけれども、こうしたことについて端的に、こういう意向が変わった地域、またその理由をまず国交大臣に伺います。

小関政府参考人 お答えいたします。

 具体的な事例として、例えば岩手県の山田町の山田地区におきまして、当初計画戸数が四百五十六戸であったものが、住民意向の変化を踏まえ、二百六十九戸へ縮小した事例がございます。

 その住民意向が変化した主な理由でございますけれども、事業主体の町から聞いたところでは、経済的な事情により住宅の再建を断念し公営住宅へ入居したり、あるいは住宅団地の完成を待たずにみずから宅地を確保し住宅を建設したことなどがございます。

 以上でございます。

松浪委員 こうしたことは十分予見されたことだと思いますし、さらに言えば、これから人口減少社会に突入する我が国で国民の目が非常に厳しいところだと思います。ゆえに、随分と報告書でも事業規模の縮小などの措置が求められているわけであります。

 中でも、内訳を見ると、一万六千九百九十一のうちで貸し付けが一万五百十二、分譲が二千百七十三、そして災害公営住宅が四千三百六。災害公営住宅が住宅局で、その他が都市局ということであります。

 四千四百十億円を一万七千で割ると、一つ当たり三千万円以上の額になるわけでありまして、これからどんどんそうしたところが、空き区画が出るなというのは、委員の皆さんと高台を視察したときも、空き区画が出るんじゃないかなんという話は皆さんから出た話でありまして、当時も報道がされていたわけであります。

 空き区画をこれからは売却するとか、そういったような対処もするということでありますけれども、例えば、公営住宅とかそういうものを整備した、一旦入った、それでオーケーじゃなくて、それを整備した後にどれだけ使い続けられているのかといったようなことをやはりチェックしていかないと、これからもっと大きな、南海トラフとか首都直下型地震とか、そういうものが予見される中で、我々はより効率的な使い方をしていかなきゃいけないと思います。

 こうした中で、事業規模の縮小数とか、実情、またこうしたチェック、フィードバックというのをこれからしっかり行っていくのかどうか、伺います。

小関政府参考人 防災集団移転促進事業の地区は、全体で三百三十地区でございまして、直近の平成二十六年度で百二十一地区で事業規模を縮小ということでございます。計画戸数は、平成二十四年度末の一万三千戸から、二十六年度末に九千七百戸というふうになってございます。

 委員御指摘のように、防災集団移転促進事業の、まず計画を立てる際に、事業主体である市町村が移転希望者のニーズをきめ細かく把握して計画を立てるということでお願いしておりまして、そのように実施されているというふうに考えておりますが、その後、いろいろ移転者の事情の変化によりまして規模を縮小するということはあるわけでございます。

 今回の東日本の事例につきましても、よくフォローアップをしていきたいというふうに考えております。

松浪委員 ありがとうございました。

 そしてまた、これは非常に、一旦このような想像を超える大災害が起きますと、その後の対応というのが今までの普通のスキームでいいのかどうかということも問題になろうかと思います。

 我々が視察に行ったときに陸前高田の市長さんなんかが、復興事業を進めていく中で国の法律が障害になっていないかというようなことを我々が伺いますと、やはり土地区画整理事業を進める上で、仮換地計画を作成してから工事を行うけれども、土地の地権者が多いし、地権者が被災して相続人が不明になっているしで、計画をつくるのはすごく時間がかかるということが言われたわけであります。こうした場合、借地権を設定するというような法律を整備できないかと国に対しておっしゃったということであります。

 国の方では、こちらへフローの図をつけました、仮の換地指定というようなことで対応していただいているということでありますけれども、なかなかこの仮の換地指定もまだ一つも使われていないということを私も説明で伺いました。

 被災地の現場を考えれば、もうちょっと突っ込んだ形で、大災害時の土地の使用権については突っ込んだ法律をつくっていくべきではないか、また、そういう仕組みをつくるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

小関政府参考人 議員御指摘の件につきましては、陸前高田市における区画整理事業におきまして、起工承諾を得るために相当の時間を要するということで、起工承諾がない場合であっても工事着手を可能とすることができないかという御要請がございまして、議員今配付していただきましたこの資料の中でも述べておりますように、工事のための仮換地に関するガイドラインというのを発出させていただきました。このガイドラインによりまして、事業の迅速な推進は可能になったものというふうに基本的には認識しているところでございます。

 さらなる立法措置につきましては、幅広く関係自治体の御意見あるいは専門家の、有識者の御意見等も伺いながら勉強させていただきたいというふうに考えております。

松浪委員 これも国土交通省とやりとりをさせていただきまして、地方公共団体と話をしたりとか勉強したりとかいうことで、これから来る南海トラフとか、または首都直下型地震とか、こういうものに対応できるとは、私にはとても思えません。

 瓦れきだらけになった、例えば東京とかそういったところはどのように対応すればいいのか、大きな、その地域が壊滅的な打撃を受けたときにはどういうビジョンかを、やはりつくっておかなければならないと思います。

 関東大震災のときには、復興院の総裁となった後藤新平は、こちらを遷都するなとか復興費は三十億円だとか、大風呂敷と言われながら、結局五億になったらしいですけれども、さまざまなビジョンがあったわけであります。

 それによって、結局、さまざまな批判もありますけれども、東京においては、現在の内堀通り、靖国通り、昭和通り、こうした通りが整備をされて、現在の東京の骨格をなす、まさに窮地を、ピンチをチャンスに変えて、現在の東京の復興があったと思いますけれども、先ほどの国土交通省のような対応では、これがもし本当にすさまじいことがあったときに、これは役所に言うのも申しわけのないことで、まさに政治がしっかりと判断をしておかなければいけないことだと思います。

 東京でこれだけの形が進んだのは、なぜそれが可能だったかというと、やはり後藤新平が東京市長時代にいろいろな構想案を策定していたことが下敷きになっている。

 あとは、都市計画法とか市街地建築物法というのが成立をして、内務省にさまざまな人材が育ってきていたということも指摘をされているわけでありますけれども、我が国は、もう今、これだけ法律がどんどんできてきて、そして今、私が問題にしたのは、やはり、通常のスキームで、こうした土地のルールで復興する。

 今回は、東日本大震災は、まだ都市部ではなかったからこうしたことがきくと思いますけれども、仮に首都直下型とかこういった悲惨な状況が起きた場合には、その後の復興というのは、やはり今政治家が、東京とか首都のあり方というものはどういうふうにあるべきかというのを、今から、ここは潰れてしまったときにはこういう道をしっかり通しますよというようなことを、大きなビジョンを持って政治が、壊れてしまったときには、皆さん、こういう東京になりますよとか首都になりますよとか、こういう大阪になりますよ、こういう名古屋になりますよと、拠点の都市ぐらいは、やはり大規模災害が起きたときのビジョンというものをつくっておくべきだと思います。

 これについては国交大臣に伺おうかと思いましたが、これは防災の面だということを伺いました。山谷大臣にお越しをいただいておりますので、今後こうしたことをお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

山谷国務大臣 首都直下地震や南海トラフ巨大地震のような大規模災害が発生した際に速やかな復興を図るためには、委員御指摘のとおり、あらかじめ復興のための基本的な枠組みを定めておくことが重要であると認識をしております。

 このため、阪神・淡路大震災の経験を踏まえ、発災後一定期間、復興に係る地域内の建築を制限することにより、被災市街地の無秩序な開発を防止し、緊急復興方針に基づく計画的な市街地整備を行うことができるよう、被災市街地復興特別措置法が制定されました。同法は、東日本大震災の復興でも活用されたところであります。

 また、東日本大震災の経験を踏まえ、発災後速やかに政府の復興対策本部を設置し、復興基本方針を定めることができるようにするとともに、復興のための計画や事業に係る要件緩和や、災害復旧事業等の国による代行制度等を定めた大規模災害からの復興に関する法律が平成二十五年六月に制定されたところであります。

 さらに、被災後に大胆な復興を行うためには、将来のあるべき地域像をあらかじめイメージしておくということが重要であることは、委員御指摘のとおりであります。

 委員おっしゃられたように、関東大震災後、副総理格内相、後藤新平氏が帝都復興院総裁として復興に努められたわけですが、これは、東京市長在職時代につくられていた帝都改造ビジョンのように、大きなビジョンを描いていたということが非常に大きかったというふうに思います。昭和通り、靖国通り、内堀通りなど大きな幹線道路二十二本、そして永代橋、両国橋などの大きな橋を九つ、そして小学校の耐震耐火設備、そして集合住宅とか大きな公園等々、あらかじめ大きなビジョンを描いていたということが非常に大きかったわけであります。

 したがいまして、国土形成計画法に基づく広域地方計画や、都市計画マスタープラン等を活用しながら、大規模災害からの復興に関する法律に基づく復興計画を事前に検討するなど、各地域において、将来の地域づくり、まちづくりのビジョンを平時から検討していただくということが大切であると考えております。

 内閣府防災といたしましても、市町村に対しまして、事前の復興計画をつくる重要性を置いているところでありまして、自治体に対しても、今後とも適切な助言をしていきたいと考えております。

 大胆な復興を行うためには、今から準備ということが大切だと考えております。

松浪委員 ありがとうございました。

 小さいところでは、私も昔、記者時代には、外環がどういうふうに通らなかった経緯があったか、政治的な経緯も伺いましたけれども、壊滅したときにはここはこういうふうになりますよとか、それから、首都直下型になった場合は、まあ大阪都構想はこの間一旦沙汰やみになってしまいましたが、あれも、首都のバックアップ機能というものに非常に大きな意味を都構想も見出しておりましたので、そのときに首都のあり方をどのようにするのかとか、そうした大胆なことをやはり私は法律でしっかり決めて、そして、首都をここに置いておくのであれば、東京都と今から話し合いをしながらこうしたものに備えるということを重々お願いいたしまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

石関委員長 次に、水戸将史君。

水戸委員 維新の党の水戸将史でございます。

 松浪議員に引き続きまして、我が党からいろいろな質問をしたいんですが、時間が限られておりますので、今回は特に不正受給についてのお話をしていきたいと思います。

 不正受給、補助金とか、昨今の問題になっているような生活保護の問題、また年金の問題等々、いずれにいたしましても、税金がこれに対して使われるわけでありますし、ある意味で、不正受給は税金のただ食いというふうになってしまうわけでありますので、いかに不正受給を防いでいくかは喫緊の課題であると思っております。

 特に、今回、幅広い不正受給の問題はありますけれども、年金の不正受給について何点かお尋ねをしたいと思っております。

 と申しますのも、もう御案内のとおり、つい昨今、約五十年間にわたりまして五千万円以上の年金を不正受給されたという、高齢者が、その遺族というんですか、逮捕されたということがありました。非常にショッキングな一つの事案であったかと思っておりますけれども。

 今、本人確認、本人が生きているかどうかということの確認が、さまざまな形で当局もやっているわけでありますけれども、例えば、年一回、現況届を出して確認をしているということもやっているわけでありますが、これに対しても非常に限界があるんじゃないかというようなことで、今申し上げましたとおり、日本年金機構に対して死亡届を提出しない、遺族による不正受給というものが枚挙にいとまがないということであります。厚労省は今までどのような対策をされてきたのか、簡潔にお答えください。

樽見政府参考人 年金を受けておられる方の生存確認について、昔は現況届というのを毎年出していただくということでやっていたわけでありますけれども、現在は、できるだけ、市町村から住民票コードをいただきまして、市町村の住民基本台帳の情報と日本年金機構で管理している受給者情報の氏名、生年月日、性別、住所、これが一致している方については、それによって生存確認をするというような形でやっておりまして、それによりまして、現況届についても、そういう住民票コードを収録している方については現況届は不要というような形で確認をしております。

水戸委員 時間がないので私から言いますけれども、現況届でも確認できないものが不正受給されるということは当局もよく御存じのとおりだと思うんですね。

 あの手この手で日本年金機構も、本人確認、死亡をしているかどうかに関して確認すべく取り組みをしたことは私は多としたいと思うんですね。例えば、平成二十二年から三カ年かけまして、七十五歳以上の後期高齢者等々含めて、それを利用しているかしていないか、一年間健康であるかどうか、まあ、一年間健康であるということが本当に現実的に考えられるかどうかということを含めて、そういうことを含めてやっているわけであります。

 いわゆる七十五歳以上の後期高齢者を対象にしたこの調査も、あくまでもこれは抽出なんですけれども、これはどういう形で抽出したのか、また、この抽出された件数と、その結果において生存とか所在が確認できなかった件数というのはどうなっているのか、もし把握できているのであれば、その件数を具体的にお答えください。

樽見政府参考人 七十五歳以上の方で、現況届によって生存確認を行っており、かつ、介護保険料の特別徴収が行われていない方という形で対象として調査を実施しているということでございます。

 差しとめの件数につきましては、申しわけありません、今手元に持っておりません。恐縮でございます。

水戸委員 後ほど資料でいただきたいと思います。

 それで、今言ったように、ちょっと違うんですね。まず、平成二十二年から二十四年は、後期高齢者を対象にしての、一年間これを利用しているかどうかの実績を調べる。それを経た上で、平成二十六年、二十七年、去年からですか、二カ年かけて、そこで介護保険料の特別徴収が行われているかどうかということで調べるんですね。こういう二段階の調査を経て、特に七十五歳以上の高齢者を中心に、やれ後期高齢者の健康保険を利用しているかしていないか、介護保険料の特別徴収が行われているか行われていないかということを調査しているんです。

 これはどうなんですかね。あくまでも、前者は二十二年から二十四年まで、後者は二十六年から二十七年までの調査期間なんですね。それ以降、どんどんどんどんと後期高齢者になってくるわけでありますから、そういう年金受給対象者はどうなっていくのか、この調査はどうなっていくんですか、これから。

樽見政府参考人 御指摘のように、高齢者はだんだん年齢で変わってまいりますので、今後も定期的にやってまいりたいと考えております。

水戸委員 その定期的というのを具体的に答えてください。

樽見政府参考人 後期高齢者に関する調査については、ことしやってまいるというような予定にしております。前回が二十二年ですので、この程度のインターバルということでございます。先についてはまだ決まっておりませんけれども、同じようなインターバルでやるということを検討してまいりたいと思います。

水戸委員 今はもう二十七年で、終わるわけでありますので、二十八年以降、ぜひ、これを実施しなければ、この不正受給の話というのはただ一過性の話じゃありませんものですから、しっかりと取り組んでいきたいということを強く要望しておきます。

 そういう中で、現況届で、返ってくればいいんですよ、こちらから調査することで、相手に送る。しかし、これは返ってこない場合もあるんですね。現況届がここに返ってこないで、そして当局が把握をできなくて、生きているか死んでいるかもわからない。そういう中で、支給停止になる場合もあるんですよね。またさらに、支給停止になった場合に、また一定期間置いて生存が確認された場合、支給はまた再開されるというふうになっているわけです。

 今、状況はどうなんですか。具体的に件数はわかりますか。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 日本年金機構によりますると、現況届が提出されていないことによって年金の差しとめを行った件数は、平成二十六年度で五百五十四件でございます。差しとめの後、現況届が提出されたことにより支給が再開された件数については、残念ながら把握をしていないということでございます。

 それから、二十六年の四月に、年金機能強化法に基づきまして、所在不明の届け出ということを出していただくことになりました。この届け出の件数を申し上げますると、日本年金機構によれば、平成二十六年度で三百六十五件ということでございます。

水戸委員 そもそも、死亡届を提出するということが本筋であるんですけれども、なかなかそれが日本年金機構も確認をできないというんですが、年金の関係法令上、死亡届を提出しない場合、どのような罰則が科されるんでしょうか。

樽見政府参考人 今ちょっと、条文を持ってまいりませんでした。申しわけありません。

水戸委員 これはちょっと質問通告しておりませんでした。また後ほど調べてお答えいただきたいと思っております。

 結局、日本年金機構も、情報の流出の話はまた後にしますけれども、一生懸命やっている部分は多としたいと思うんですよ。しかし、確かに、日本年金機構の取り組みでも限界があることは私も承知しております。

 例えば、よく行政の縦割りという形で、住基ネット、住民票コード、これを収録して、しっかりと年金機構が調べて、そして生きているかどうかということを住民票コードと突き合わせてやっていく、そういう地道な作業をしているんですね。結局、そういう中で今把握をしているのが全体の九九%というふうに承っているわけであります。

 これは、私に言わせれば、やはり、死亡届を出すそもそもの市町村の窓口、仮に死亡届を出した場合に、それを速やかに日本年金機構に通知すればいいんですけれども、なかなかそれはしてくれない、だから、しようがないから、年金機構が一応照合して、照会して、住民票コードを一つずつ拾っていくという作業をしているわけでありますけれども、これは、職権で住民票コードを登録するということの結果でこういうような九九%が、今、日本年金機構としては確認されているんですか。

樽見政府参考人 住民基本台帳の情報と日本年金機構で管理している受給者情報の双方について、氏名、生年月日、性別、住所、この四情報が一致する方については、自治体から住民票コードの提供を受けているという構造になってございます。

 それ以外の方については、いわば、そういう職権といいますか、自動的にといいますか、住民票コードをいただくということになっているわけではございませんで、御本人に確認をしながら住民票コードを収録するという作業をやっているわけでございます。

水戸委員 九九%が、一応、地道な作業を通じて日本年金機構が、生存しているんじゃないかという形で、突き合わせをしながら確認をしているということなんですけれども、例えば、そもそも住民票コードが、把握をしている部分と、先ほど申し上げた、把握ができていない部分がある。一%、残りの一%に対しては、なかなか住民票コードがわからない。そもそも、わからないから生存しているかどうかもわからないということなんですね。

 住民票コードが確認できない理由としては三つ挙げられているんですけれども、まず第一は、やはり、年金を受けている住所が住民票コードの住所と違うものですから、果たして同一人物であるかわからないということが第一点。

 第二点は、同じ人であっても、フルネーム、よくこれは消える年金でもありましたけれども、同じ名前なんだけれども書き方が違うという形で、これが本人かどうかがわからないという場合があります。

 三つ目が、先ほど言ったように、住基ネットができたのが、随分前ですよね、二〇〇二年からスタートしたわけであります。二〇〇二年以前に死んだ人の記録は、あくまで住民票コードは生きている人を対象にしているわけでありますから、二〇〇二年以前に死んだ人、これが住民票コードでは載ってこない。ここが一番問題なんです。いろいろな事件につながるので、ここが問題なんです。そういうことでありますから、やはりなかなか確認作業が全て行き渡っていないという限界があるんです。

 だから、ここであえて申し上げますけれども、やはり、確認書を出すための、先ほど言った現況届には、住民票コードを記載する欄があるんですね。そこにしっかりと書かせるということを義務化した方がいいんじゃないですか。これはどうですか。

樽見政府参考人 御指摘のように、まさにそこにしっかりと書いていただくということができますると、私どもとしてもありがたいというふうに思います。

 ただ、その義務化というところをどういうふうな法律構成にするかというところについての考え方について整理をしなければならないと思いますけれども、できるだけ書いていただけるようにしたいというところについては、私どもも考え方は同じでございます。

水戸委員 そもそも制度として、あなた方は、運用として、現況確認をする、返ってこない場合は支給を停止しているわけですよ。だから、返ってきた場合においても、住民票コードが載っていなければ、申しわけないけれども支給は停止させてもらいますよと。簡単じゃないですか。どうですか。

樽見政府参考人 その支給を停止するというところで、先ほどの、実際の、例えば所在不明になったときには届け出をしていただかなければならない、これも法律改正をして入れたわけでございます。そういう、そこに書いていなければ支給停止をするということにつきまして、受けておられる方にとっては、年金はその生活費を月々支えているものであるということでもございますので、その辺とあわせながら、ちょっと検討してまいりたいと思います。

水戸委員 やはり、しっかり、一生懸命やっているんですから、その精度を高めるために、ある程度、未来永劫これを停止するというわけじゃなくて、一時期的でもそういう形で周知を図っていった方が、せっかく現況届を、相手に確認をして、相手から返ってくるわけでありますので、その返ってきたものの欄に、住民票コードを自分で調べて自分で記載しなさいということをした方が、二度手間、三度手間がなくて、しっかりと支給の対象になるという話になりますから、この作業を進めていただくことを強く要望したいと思います。

 さらに、こういう中において、住民票コードを確認することの必要性を論じながら、いよいよ来年からマイナンバーという制度がスタートをします。

 担当大臣もお見えになっているようでありますが、マイナンバー制度、これを広く利用した場合、活用した場合に、この不正受給はなくなりますか。

甘利国務大臣 マイナンバー制度は、いろいろな行政事務に共通して一人を特定することができます。しっかりとした制度が動いていけば、この種の事案はなくなるというふうに思っております。

水戸委員 マイナンバーというもののよさを非常に今までも政府としては喧伝されておりますものですから、ぜひこれに関しまして、その精度を高めながら、この不正受給の課題、いわゆる本人確認ですね、死亡しているかどうかに関しましてのそうした確認が隅々まで行き渡るようにしていただきたいと思っています。

 ここもそうなんです。実際に、先ほど言ったように、現況の確認をする、相手にそれをまず照会して、相手から返ってくるという話でありますが、今まではこれに関しましては、住民票コードを書いてくださいと、そういう欄を設けて、そして返送願っていたわけですね。今後は、これプラスマイナンバーという、住基ネットにかわってマイナンバーというものが、さらに幅広く、横串になって利用されるわけでありますので、このマイナンバーも必ず書いてもらえばいいんじゃないですか。これはいかがですか。

樽見政府参考人 まさに、私ども年金の手続の中でも、マイナンバーが入りますれば、原則としてお客様対応のところについてはマイナンバーで書いていただく。今、基礎年金番号とか書いていただいていますけれども、もうマイナンバーで書いていただく。そのために、今、住民票コードというものの収録作業を一生懸命やっているわけでございますけれども、これがまたマイナンバーに切りかわっていくということで、マイナンバーの仕組みを、精いっぱいといいますか、最大限活用させていただいて、間違いがないような、そういうような手続を進めてまいりたいと考えております。

水戸委員 マイナンバーというもののよさをさらに推進するためにおいて、こういうことの具体的な手続に関してしっかりと相手にお伝えをして、相手もそれを守っていただくということを含めて、やはり、何より不正受給の防止という観点からですよ、あくまでも、このマイナンバーを利活用することを強く私は進めていっていただきたいということを要望します。

 大臣、お見えですので、今までのやりとりを聞いて、確かに、不正受給をしていることが発覚して、それで返してくださいと、返納金債権として回収することになりますけれども、残念ながら回収率はそんなに思わしくはない。まだ手元には平成二十四年の資料しかありませんけれども、わずか四六%、半分以下にとどまっているんですね。この回収率を高める取り組みも必要だと思いますけれども、今までの取り組みと、これからの中において、この返納金をどういう形で回収率を高めていくのか。

 また、会計法上、時効があるのは、五年間までが適用、五年間だけさかのぼって返納してもらうということになるわけで、これを延長することも含めてですけれども、信賞必罰じゃありませんが、ぜひこういうことを含めて、不正受給でありますから、法に違反している話でありますので、こういうことも含めて取り組みを強化していただきたいと思いますが、どのような姿勢で臨まれますか。

塩崎国務大臣 先生、今、年金の不正受給についてお尋ねをいただきまして、返納金債権の回収でございますが、不正受給者に対しては納入告知書をまず送付して、そして、納入告知書の納付期限を過ぎても納付を行わない不正受給者に対しては督促状を発行いたしまして、督促しても納付を行わない不正受給者に対しては電話、文書、それから戸別訪問、これによって納付の督励を随時実行してまいっているわけでありますが、年金の不正受給が五年以上遡及する場合においては、返還を求める過払い金は会計法の時効の規定により五年分ということになっておりまして、この五年分を確実に納めていただくように、返納金債権の回収に適切に取り組んでいかなければならないと思うわけであります。

 今、先生の方から、時効のことについて、これを変えるべきじゃないか、こういうお話でございますが、それについては、御議論をいろいろ賜って、それをもとに考えていきたいというふうに思います。

水戸委員 ぜひ、犯罪行為であることは間違いありませんものですから、そういうことを含めて、やはり、しっかりとした罰則の適用、もちろん温情もあってもいいんですけれども、一定のそうした縛りと賞罰ということを含めて科していく必要があるんじゃないかということを強く要望していきたいと思っております。

 この話はこの程度といたしまして、先ほどからさんざんぱら論議がなされている年金の個人情報の流出について、若干、もう限られた時間でありますので、私の方からも御質問させていただきますが、今までの経過は割愛します。

 御案内のとおり、パスワードをかける内規がありながらパスワードをかけなかったということで、いろいろな形で、今回こういう形で漏れてしまった、不正のアクセスが行われてしまいまして、それがこのような社会的な問題に発展をしたというわけであります。

 大臣、今回、そもそもこのような問題は、これはシステムに問題があるのか、人間に問題があるのか、両方なのか。どのように認識し、どのような対応を、これから対策をとろうと思っているのか、簡潔に、大臣、その所見を述べてください。

塩崎国務大臣 まず第一に、今回、悪意のある不正アクセス、このことによって個人情報が守り切れずに出てしまったということについては、日本年金機構の備えが不十分だったということもあって、大変遺憾に思うわけでありますし、また監督する立場としても、そこはおわびを申し上げなきゃいけないというふうに思います。

 どういう対応をということ、どこに問題があったのかということについては、きょう、ちょうどこれから、第一回目の日本年金機構不正アクセス事案検証委員会というのを、第三者性を極めて高くしてスタートして、そこが検証していただきたいと思っておりますが、反省すべき点はたくさんやはりあったというふうに思います。もちろん、今先生御指摘の、パスワードをかけなきゃいけないのにかけていないというようなことがあったということで、内規を守っていないというのは、これは論外の話であって、そういう構えもございます。

 しかし、まず第一に、これは言ってみればサイバーアタックでございまして、攻撃でございまして、今、この問題は、警視庁が捜査を行っているという、犯罪であるということも事実であります。ということは、サイバーセキュリティーをきっちりとやっていかなければいけない、反省をして、さらなるサイバーセキュリティーの強化というものを図っていかなきゃいけませんし、そのためには体制をきちっと整えていくということが極めて大事だというふうに思っております。

 なお、この検証については、これから検証委員会で、しっかりと厳しい目で見ていただいて、私たちももちろんみずからの検証をやっていきますが、そういったところで、第三者性のあるところでしっかりとした検証をしていただければというふうに思っております。

水戸委員 確かに不測の事態であることは、これは紛れもない事実でありまして、相手が悪意を持って不正アクセスする相手ですから、それに対してしっかりと対応、対策を考えていくことは当然ですよね。そういう危機管理意識というものに対しての備えというか心構えということが、僕は非常に欠如していたんじゃないかという気もするんですね。

 今回、理事長の水島さんから、きょうお見えですか、個人情報流出のおわびという形で文書を出されております、先ほどもそれが論議になりましたけれども。この文書を見てみても、ちょっとわからないところがありまして、これは確認したいんです。

 「一時的に職員の共有フォルダに保存していた個人情報の一部が流出したことが確認されました。」この文言がありますね。「一時的に」とありますけれども、ここなんですけれども、一時的であったのかどうか。これは日常的にやっていることではないのか。また、特定の職員ではなくどの職員も、この共有フォルダを共有しながら、そこにアクセスをして、そこから情報を抜き出すことができるんじゃないのか。また、それをやった場合に、それを利用した場合に、大事なものは使ったらしまうとか、鍵を閉めるとか、いろいろな形でその対応策もやるべきだったので、そういうものもやはり怠っていて、国民の大事な情報を無防備にさらしていたんじゃないかという懸念が残るんですけれども、この実態はどうですか。

水島参考人 私ども日本年金機構におきましては、機構の本部と全国の拠点で情報を共有する、連携するために、日本年金機構LANシステム内のデータ共有サーバーを使用いたしております。

 機構LANシステムについては、さまざまなセキュリティー対策を実施してきておりますが、個人情報をインターネットとつながる環境の中に置いておくということについては、やはり問題があったというふうに認識をいたしております。

 したがいまして、今後、このインターネット環境からの切り離しについて、早急に検討し、実現していきたいというふうに考えております。

水戸委員 これはベネッセの話とは若干次元が違うかもしれませんが、あのときも、外部からの、社員でない人間があそこに侵入して、データを抜き出して、また漏えいをさせたという、そうした行いに及んだわけであります。

 そもそも、情報というものは、釈迦に説法でありますけれども、業務の内容とか、職員の職責というかレベルによって、アクセスの権限は違うはずなんです、違っていてしかるべきなんですけれども、こういうものが事前に設定されていれば、責任体制も、誰がどういう形でそれにアクセスをしたのか、どういう形で使ったのかということもわかるわけでありますけれども、こういうような安全措置をしてこなかったことがこのような無責任体制を許すことになってしまうんじゃないですか。これはどうですか。

水島参考人 御指摘のとおり、システムでいかにガードいたしましても、使用するルールが守られないということでございますと、この効果は発現しないわけでございます。その点で、パスワードがかかっていなかった記録が約五十五万件、流出をいたしております。この点に関しましては内部管理体制の不備であったというふうに認識いたしておりまして、大変申しわけないというふうに考えております。

水戸委員 もう時間が来てしまいました。最後の質問になりますが、では、大臣、事後の対応策になってしまいますけれども、これは本人成り済ましの事件は起こらないよということを何か言っているみたいでありますが、しかし、そういうことは絶対に起こらないとは言えませんよね。

 そういうことを含めて、仮にこうした情報の漏えいが他の事件に、いろいろな犯罪へと波及した場合、誰がどういう形で責任をとるのかという話になります。そういうことについてのこれからの取り組み、今、大臣は、こうした今回起こった不祥事、不始末に関して、どのような形で今後その拡散を防ぐのか、もとより、他のいろいろな犯罪へとつながっていかない、つながらないということを含めてですけれども、この協力体制をどのような形でやっていかれるつもりなのか、それを明確にお答えください。

塩崎国務大臣 まず第一にやらなければいけないことは、年金を守るということでございまして、今先生御指摘のような二次被害に遭わないようにまず守っていくということと、今先生がお話しになった個人情報が他に悪用されないということ、これを守っていかなきゃいけないと思います。

 年金につきましては、五月八日以降、住所変更された方、それから口座変更した方々、これらについては、本人確認を徹底しまして、既に変更が行われた人たちに対して、例えば住基ネットと年金番号できちっと確認できる場合はともかくとして、そうじゃない場合には戸別訪問をしてそれを防ぐということがまず第一でございます。

 そして、何よりも、今回、個人情報として、大変申しわけないことに流出した方々については、基礎年金番号についても変更するということによって情報が悪用されないようにすることによって、今先生がお話しになったような他のところで悪用されるということがないようにしていくということに徹底をしてまいりたいというふうに思いまして、今、戸別訪問を含め、鋭意、番号の変更についても作業を始めているというところでございます。

水戸委員 時間が来ました。私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

石関委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 二〇一三年度、一二年度の決算の審議ということですが、二〇一三年度はマイナンバー法が制定され、準備が始まった年であります。そして、マイナンバー制度実施を前にして、今回の年金情報の流出事件が起きました。そして、この中で、マイナンバー制度を始めることへの懸念も大きく広がっております。そういうことで、きょうは、この年金の問題、そしてマイナンバー制度の問題について質問させていただきたいというふうに思います。

 今回の年金の個人情報の流出は、重要な個人情報を扱っているという自覚に欠けた、余りにずさんな管理、そして初動の対応の誤りが被害を拡大させた、これはもう明白なことだと思います。

 塩崎大臣にお伺いしますが、今回の年金データの流出事件が、国民個人のプライバシーなどの権利や、そして利益に影響を与えた深刻さをどのように認識されているでしょうか。

塩崎国務大臣 今回、いわゆる四情報と呼ばれている中で、それぞれ四段階にわたって個人情報が流出をしてしまったわけでございます。

 悪意のある不正アクセス、今も警察による捜査が続いているわけでございますけれども、この攻撃から守り切れなかったということについて、私どもとしては大変申しわけなく思っているわけでございます。特に四情報が、基礎年金番号、氏名、生年月日、住所、これが五万二千件ございまして、これが一番大事な情報でございますので、こういうようなことが起きてしまったということで、このことにつきましては、二次被害を起こさないように、誤って年金が支払われないようにということで、今、徹底した本人確認のもとでそういうことが起きないようにするように体制をしっかり固めているわけでございます。

 一方で、一番大事な基礎年金番号についても、変更するということでお便りを送り、そして、追って郵送でもって送る。年金機構の方から電話でお伝えをしたりするようなことは決してございませんので、郵送でもって、新しい基礎年金番号をお届けするということを明確にしたものをお手紙としても今送りつつあるわけで、新しい番号を送るよう準備をしているところでございます。

 いずれにしても、このような個人情報が出てしまったということについては大変遺憾に思い、また、監督する立場としても申しわけなく思っているところでございます。

宮本(徹)委員 塩崎大臣は申しわけないということですけれども、確認したいんですけれども、公的年金業務の管理運営責任というのは、今回の年金データ流出事件の全容解明も含めて、最終的には塩崎大臣にあるということですよね。

塩崎国務大臣 日本年金機構法の第一条に、年金機構は、厚生労働大臣の監督のもとで、年金業務を行うというふうに書いてございます。

 したがって、今回、第三者委員会としての検証委員会を、きょう、日本年金機構不正アクセス事案検証委員会という形でスタートをさせていただくわけでありますが、その最終的な検証を含めて、これをしっかりとしたものとして、二度と同じことが起きないようにする責任は厚生労働大臣にあるということで私も認識をしているところでございます。

宮本(徹)委員 後でこれもちょっと議論したいと思っているんですけれども、こういう特定個人情報保護評価書を見ましても、この中の特記事項でも「厚生労働省が財政責任・管理運営責任を負いつつ、」と、どこでも、責任を負っているのは厚労省だ、厚労大臣だということをはっきりしているわけであります。

 その上で、まず経過について少しお伺いしたいと思います。

 データ流出を起こした年金機構の情報系のネットワークはインターネットと接続していたということであります。

 機構の理事長にお伺いしますが、この情報系ネットワークを外部のインターネットに接続する大きな理由の一つは、機構の職員が外部委託業者の担当者とメールで打ち合わせのやりとりをするからなんでしょうか。

水島参考人 インターネット環境の中に共有サーバーを置くという狙いは二つございます。

 一つは、御指摘のとおり、インターネットメールを行うこと、それから、外部のいろいろな情報の入手が業務上必要でございますので、そのために外部のファイルとのアクセスを行うため、この二点のためにインターネットとの接続を認めてきたということでございます。

宮本(徹)委員 二つ目的があって、一つは外部の業者とのやりとりを含めてメールのやりとりだというお話でありました。

 そうすると、今回流出したデータというのは、外部の委託業者とのやりとりをもともと目的にしていたデータだったということなんでしょうか。

    〔委員長退席、松浪委員長代理着席〕

水島参考人 共有サーバーの目的は二つ。主たる目的は、日本年金機構内における情報の共有、連携でございます。事務所と本部、ブロックと本部、この情報連携、情報共有を目的として運用してきたということでございます。

宮本(徹)委員 そうすると、外部業者とやりとりするために置いていた情報というのはないということですか。

水島参考人 例えば入札情報のようなものに関しまして外部業者との間でやりとりするファイルはございました。しかしながら、今回流出をいたしました個人情報に関しましては、外部とのやりとりをするということは全く想定をしないルールにいたしておりました。

宮本(徹)委員 今回置いてあった情報は外部とのやりとりのものではないということでありますが、ただ、この間、年金機構は、サーバーからとは別のやり方で、いろいろな形で外部事業者に情報はハードディスクで渡していると思います。年金振り込み通知書の通知のデータのやりとり、それから年金給付届け出書の入力、年金保険料催告状発送データのやりとり、こういうものを外部に委託して今やられているということであります。

 社会保険庁を解体する際に、こういう年金業務のアウトソーシング、外部委託を進めていくということを法案の中でもその方向性が示されたわけですが、塩崎大臣にお伺いしたいと思いますが、社会保険庁を解体して年金機構にして、こういう外部委託を進める法案を閣議決定したときの官房長官はどなたでしょうか。

塩崎国務大臣 日本年金機構を、形を定めたとき、私が官房長官だったと思います。

宮本(徹)委員 そのとおりであります。

 ですから、外部委託によってコストを削減する、コスト削減体制を決めたのは塩崎官房長官御自身だったわけですね。

 特定情報保護評価書を見ましても、この三年間に起きている年金機構の個人情報に関する重大事故を見ましても、外部委託事業者による重大事故も毎年起きております。

 ですから、外部委託によって個人情報保護をますます後退させた、塩崎大臣御本人の責任も問われているということを指摘しておきたいと思います。

 そして塩崎大臣、年金データ流出事件の全容解明に当たって、きょうは第三者委員会の検証が始まるということとあわせて、みずからも検証するということをこの前の審議でおっしゃられましたけれども、やはり国民に対する説明責任ということを考えた場合、大臣みずからの手で、年金機構が発足のときからの経過も含めて、やはり今回の事件がなぜ起きたのかとえぐって、報告書をみずからの手で作成して公表するということが必要なんだと思いますが、その決意はいかがでしょうか。

塩崎国務大臣 厚生労働省としても当然みずから検証していかなければいけないというふうに思っております。したがって、その検証を重ねながら、結果を私たちも出していかなきゃいけないと思っております。

 しかし、第三者性のある日本年金機構不正アクセス事案検証委員会は、さらに厳しい検証をしていただくように私どもからもお願いをしているわけでありまして、その報告書もあわせて考慮の上で、どういう体制にしたらいいのかということを私たちが最終的に決めていかなければならないし、一番、責任を果たすという意味においては、このようなことが二度と起こらない体制を構築するということでもございますし、先ほど来申し上げているように、反省すべき点は多々あろうかと思いますので、謙虚にこの足らざるところを考えて、反省をしながら、よりよい組織にここは抜本的に変えていくということが大事だというふうに思っているわけでございます。

    〔松浪委員長代理退席、委員長着席〕

宮本(徹)委員 第三者委員会にさらに厳しく見てもらうんだという話がありましたけれども、二度と起こさないということを考えたら、厚労大臣みずからが一番厳しい姿勢で、この問題の解明、究明に当たって責任を果たしていくということが求められるということを指摘しておきたいというふうに思います。

 そして、今回、国民の個人情報を記したデータが流出したわけですけれども、本来ならば、流出したんだから、コピーも含めてデータは全て回収するべきですが、実は回収はできないわけですね、一回流れてしまったら。つまり、被害を受けた国民は事件発生前の原状回復を図ることができない、こういうのがこういうデータの情報流出の性格だと思うんですけれども、そういう認識はあるでしょうか。

塩崎国務大臣 今回の事案は、私どもが最終的に正確に知り得たのは警察からの通知でございました。その情報漏えいをした個人情報を見つけたということがございましたが、私どもとしては、今、捜査中の事案として警視庁が捜査をしていただいていますので、おっしゃるように、原状復帰、原状回復を図るということがそのとおり大事な話でありますけれども、しかし、完全な形で復帰をするという保証はないわけでありますので、したがって、基礎年金番号を変えていくことによって、これまでの、今回の情報とはまた違う付番で個人の情報とプライバシーと年金を守っていくということにいたす方針でございます。

宮本(徹)委員 完全な形での復帰はできないというお話がありましたけれども、つまり、データ流出で、仮に大臣やあるいは年金機構のトップの理事長が責任をとってやめたとしても、依然として、データが流出してしまったら、国民個人の権利利益の侵害の可能性は残り続けるわけですよね。先ほど、基礎年金番号を変更するというお話がありましたけれども、それをたとえ変更したとしても、氏名、生年月日、住所のデータは市中に残り続けるわけですよ。そして、さまざまな形で未来にわたって悪用される危険性があるということになると思います。

 ですけれども、被害を受けた国民の救済措置について、先ほど午前中の審議で民主党の方から質問がありましたけれども、補償については何も行うことは考えていないという答弁があって大変驚いたんです。こういう未来にわたって被害を受ける可能性がある、いろいろなことで悪用される可能性がある、そういう事故を起こした以上、そういう無責任な態度は許されないと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 まずは、年金の個人情報が流出してしまったことによって年金が間違って支払われるということを阻止するということが何よりも大事なことでございまして、私どもとしては、その年金を守るということを最優先にしてまいりたいというふうに思っておりまして、被害が出ないように、年金機構にも厳しく指示をしながら、今、全力で、機構を挙げて年金を守るということをやっていただいているわけでございます。

 今のお話でございますけれども、私どもとしては、年金を守るということが最優先でございますので、金銭補償的な補償について、今、行う意図はないということでございます。

宮本(徹)委員 だから、それは守るのが最優先なのは当然なわけですけれども、いざ起きたときにどうするのかということを考えなきゃいけないわけですよ、年金にしても。そして、年金以外の被害だって起こり得るわけですよね。いろいろな形の、電話の振り込め詐欺みたいなものだって、今回の情報を利用して、悪用してやられる可能性だってあるわけですよね。

 そういうときに、では、政府は補償しません、被害があった人は、政府に求めるんだったら裁判を起こしてください、そういう姿勢だということですか。

塩崎国務大臣 まずは年金を守るということが一番最優先の課題だということを申し上げているところでございます。

宮本(徹)委員 全く納得できない答弁だと。真面目に、本当に被害が起きたとき、遭う可能性がある国民のことを誠実に考えていただきたいということを強く申し述べておきたいというふうに思います。

 そして、残りの時間でマイナンバーの問題についてお伺いしたいと思います。

 甘利経済再生担当大臣は、五日の記者会見で、年金にマイナンバーを利用することは、今回の事件の検証を踏まえて導入時期を考えていきたいと述べられました。そして、IT政策を担当する山口大臣も、基礎年金番号とマイナンバーを結びつけることは、もう少し調査検討してもらい、詳細を明確にするとの見解を示されております。

 そこで、まず塩崎大臣にお伺いします。

 マイナンバー制度に向けて、今これを示しましたけれども、特定個人情報保護評価書というものを各省庁、自治体がつくっております。これは、公的年金業務に関する事務全項目評価書、公表されたのはことしの三月五日ですね。評価実施機関名は厚生労働大臣、塩崎さんということになっております。

 この中で、さまざまなリスク対策がとれているかどうかというのは詳細に書かれているわけですが、これを見ますと、リスク対策の評価、年金事務について、全て十分であると。十分である、十分である、十分である、十分であるというふうに書かれております。この項目の中には、従業者に対する教育、啓発、これも十分に行っている、自己点検も十分に行っているというふうに書いてあるんですね。

 そういう十分に行っている体制があれば今回のような事件は起こらなかったんじゃないかと思いますが、こういう評価書、これは撤回が必要なんじゃないでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほど来申し上げているように、今回の事案でいろいろなことがわかりました。反省すべきところは多々あって、機構の職員の体制あるいは意識レベル、こういったものに問題があるということは私も十分認識をしているところでございまして、今先生が御指摘になった評価についても、今後、十分今回の事案を踏まえて考えていかなければならないというふうに考えているところでございますし、組織としても抜本的に見直していかなければならない、監督の仕方も抜本的に見直さなければならない、そのように考えているところでございます。

宮本(徹)委員 これについては、見直す、評価を見直すという答弁でよろしいということですよね。事実上、これは撤回されるということであります。

 そして、甘利大臣、年金にマイナンバーを使用することは、今回の事件の検証を踏まえて導入時期を考えるというふうに記者会見でおっしゃられましたが、それだけ今回のデータ流出の事故が重大な事故だという認識があるということでしょうか。

甘利国務大臣 マイナンバー制度自身は、より公平公正な社会保障制度や税制の基盤として、また情報社会のいわばインフラとして、国民の利便性の向上であるとかあるいは行政の効率化に資するものでありまして、これ自身は着実に取り組みを進める必要があると思います。

 現時点においては、個人情報の保護にも万全を尽くしつつ、ことし十月の番号の通知、そして来年一月からの番号の利用開始など、全体のスケジュールに影響のないように準備を進めたいというふうに考えております。

 御指摘の年金分野でのマイナンバーの利用開始時期への影響についてでありますけれども、これは、本件の原因究明それから再発防止策の検討結果を見きわめて判断する必要があるものというふうに考えております。

宮本(徹)委員 今回の事件を検証して、それを踏まえるというんだったら、年金だけではなくマイナンバー制度全体を検証する必要があるんじゃないかと思います。

 マイナンバーは、多くの情報をひもつきにする、そして一生ついて回る番号ということになります。情報流出した場合、極めて重大なプライバシーの侵害ということになります。そして、成り済ましその他の被害も大きく懸念されているわけであります。

 その中で、政府は、行政機関はもちろん、従業員のマイナンバーを管理する企業でも、これは厳重に管理を求めているということになっているわけですが、情報セキュリティーの今の実態はどうなのかということです。

 六月三日にトレンドマイクロ社が、「組織におけるセキュリティ対策実態調査二〇一五年版」を発表いたしました。官公庁及び民間企業など、従業員五十人以上の組織で情報セキュリティー対策の意思決定にかかわっている人一千三百四十名から回答を得た。そして、回答者の六六・六%が、昨年一年間、この間で、組織内でウイルス感染、システムからの情報漏えい、不正ログインなどの情報セキュリティーにかかわる事故が発生した、こういうふうに回答しております。そして、マイナンバー制度に伴うITシステムの対応は完了したと答えたのは四・三%、セキュリティー強化をする予定と答えたのは二五・八%、何も決まっていないと回答した方が三八・五%ということであります。

 報道によると、このトレンドマイクロ社の担当者の方は、多くの組織でシステムの整備が間に合わないまま制度の運用が始まってしまうおそれがあると言っているそうであります。

 甘利大臣、こういう状況のままマイナンバー制度を開始したら、情報流出は防げないんじゃないですか。

甘利国務大臣 マイナンバー制度は、先進国では、ほぼ全てと言っていいと思いますが、導入をされています。そういう点では、日本は一番後発国になるわけであります。

 しかし、後発国であるということは、先発国でどういう問題が生じているか、それをどう克服していくかということのチャンスを与えられているわけであります。

 例えば、芋づる式に情報が検索される、それについては、行政機関ごとに分断して管理をする。そして、機関間の情報のやりとりは、マイナンバー自身じゃなくて、これは暗号で事実上やって、突き合わせをしていくということになっておりますし、あるいは、例えばアメリカなんかで言われています成り済ましの問題。アメリカのカードは、私は実物を見たことはありませんけれども、報告によりますれば、写真は入っていない、番号と名前だけ。極めて簡素なもの。写真も入れ、パスワードも入れ、成り済ましができないようにしていく。それは、先に導入した国でどういう問題があるかということを克服して導入できるわけであります。

 マイナンバー自身は、先ほど来申し上げているように、情報化社会のインフラであります。これを整備している国とそうでない国とでは、ユーザーにとっての利便性、あるいは行政にとっても、効率性もさることながら、あらゆるポテンシャルに差がついてくるわけであります。でありますから、これはしっかり導入していかなきゃならない。

 今回、年金機構、かつてもいろいろな問題を起こしたところでございます、そのモラルも含めて、あるいは内部規制の問題も含めて、今厚労省を中心にしっかり検証してもらっております。

 この部分については、その検証の結果、予定どおり導入して大丈夫か、あるいはそこの部分だけは少しずらした方がいいのか、それは検討結果によって考えたいと思いますが、全体のシステム、国税その他でしっかりやっていただいていると思いますから、全体のスケジュールは予定どおり動かしていって、そこの部分は、予定どおりやっていいのか、あるいは少しずらす必要があるのかは、検討結果をしっかり見ていきたいというふうに思っております。

宮本(徹)委員 私の聞いたことに全然答えていただいていないんですけれども。

 先ほどトレンドマイクロ社の調査も示して、民間事業者ですよ、企業だってみんなマイナンバーを管理するわけですから。年金だって、企業がやっている税金だって納めるということで、全部そういう個人情報と一緒にマイナンバーを管理するわけです。それを、マイナンバーを管理する体制ができていませんよという調査が今月出たわけですよね。

 だから、こんなままマイナンバー制度を開始したら情報流出は防げないんじゃないですかということを聞いているわけです。

甘利国務大臣 配付されるのは十月から、それを活用していくのは年明けからであります。今、全ての企業がそれらの準備を急いでいるかというふうに思います。

 私も、民間のこの種のことにかかわっている事業者から話も聞いておりますけれども、大企業は何とかやっていくんだと思う、中小企業がしっかりできるように目配り、気配りをしてほしいという話も聞いておりますから、そこをしっかり注視していきたいというふうに思っておりますし、国からのサポート体制もしっかりしていきたいというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、予定どおり実行できるように万全の体制をしいていきたいというふうに思っております。

宮本(徹)委員 民間の方からも、中小企業はできていないという話じゃないですか。

 大体、中小零細業者まで含めてマイナンバーが流出しない体制ができているかどうか、政府として把握する仕組みというのはあるんですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 基本的に、私どもの事務局におきまして、各経済団体、中小も含めました経済団体と常に連絡をとっております。そういう中で、それらの団体の把握をしております進捗状況等を把握している、そういうふうな体制になっているところでございます。

宮本(徹)委員 中小企業団体と連絡をとったからって、把握できるわけないじゃないですか、現場でどうなっているかなんて。

 結局、政府としては、マイナンバーが流出しない体制が確立しているかどうかというのは把握する仕組みもないまま、十月から通知を開始して一月には始めよう、こういう話になっているんじゃないですか。大問題ですよ。

 本当に、今回の事件の教訓を真剣に酌み取るというんだったら、向井さんは、先日の集中審議のときですか、総点検が必要だと。総点検の中には、そういうところまで含めて点検しなきゃいけないはずなんですよ。そういうこともやらずにこのままマイナンバー制度を始めるというのはもってのほかだということを厳しく指摘しておきたいというふうに思います。

 麻生大臣にも最後にお伺いしておきたいと思います。

 麻生大臣は、二年前に財務金融委員会で、当時のマイナンバー法に、普通預金の口座にマイナンバーがつかない、このことを聞かれて、次のように答弁しているんですね。

 これが悪用されずにまともに動けば極めて有用なものだと思いますけれども、必ず悪用しようという人が出てくるということをある程度前提に考えておかないと、この人がこんなはずじゃなかったんだということになりますと、えらい御迷惑をおかけすることにもなりますので、慎重に対応していかねばならぬところもありますと。

 そして、こうも言われております。マイナンバーを適用する範囲、活用できる範囲というものを預金口座にまで広げるというようなことが適当という結論が仮に世論として出た場合は、それは必要な法的措置を講ずるということに我々はしていくべきなんだと思っておりますと。

 今、マイナンバーを預金口座にまで適用しようという法案が参議院で審議されておりますけれども、麻生大臣、マイナンバーを預金口座にまで広げることが適当だというような世論は、今、ないんじゃないですか。

麻生国務大臣 この制度は、公平とか公正とか、社会保障制度とか税制の基本として、今の情報社会のインフラの一つとして、国民の利便性とか行政の効率化、そういったものを考えて、これは着実に取り組みを進めていく必要があることははっきりしています。

 問題は、個人情報として、保護とその利活用というものに関していろいろなことを考えないかぬということで、そこらのところは今後とも十分に注意をしていかねばならぬということは当然のことなのであって、先般、衆議院で賛成多数で可決をしておりまして、今、参議院で御審議をいただいているところでありまして、今の段階で問題をどうやっていくかということにつきまして、いろいろ御審議をいただいているところだと思っております。

 年金分野でのマイナンバーの利用開始時期への影響等々もいろいろ考えないかぬということだと思いますので、こういったものは、再発防止策の検討結果というものを見きわめて判断する必要があろうかと存じます。

宮本(徹)委員 時間が来ましたから終わりますけれども、麻生大臣が二年前におっしゃっていたことは、世論を得てやるべきだと。非常に二年前は常識的なことを麻生大臣は言われていたというふうに私は思います。

 今、マイナンバーを預金口座にまで広げるのが適当だという世論がないのは明白だと思います。ですから、法律をつくる順序としては逆立ちしている、二年前の立場に立ち戻るべきだということを申し述べておきたいと思います。そして、副総理としてマイナンバーの実施中止、法案の撤回を真剣に検討すべきだと強く申し上げて、質問を終わります。

石関委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五分散会


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