衆議院

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第2号 平成25年11月1日(金曜日)

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平成二十五年十一月一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 林田  彪君

   理事 伊東 良孝君 理事 越智 隆雄君

   理事 菅原 一秀君 理事 寺田  稔君

   理事 御法川信英君 理事 古本伸一郎君

   理事 桜内 文城君 理事 竹内  譲君

      安藤  裕君    小倉 將信君

      小田原 潔君    鬼木  誠君

      金田 勝年君    神田 憲次君

      小島 敏文君    小林 鷹之君

      田野瀬太道君    田畑  毅君

      竹下  亘君    竹本 直一君

      中山 展宏君    葉梨 康弘君

      藤井比早之君    牧島かれん君

      松本 洋平君    山田 賢司君

      安住  淳君    武正 公一君

      前原 誠司君    鷲尾英一郎君

      坂元 大輔君    田沼 隆志君

      三木 圭恵君    山之内 毅君

      伊佐 進一君    岡本 三成君

      小池 政就君    佐々木憲昭君

      鈴木 克昌君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   財務副大臣        古川 禎久君

   内閣府大臣政務官     福岡 資麿君

   財務大臣政務官      葉梨 康弘君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中村 昭裕君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 豊田 欣吾君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   原  敏弘君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    細溝 清史君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   太田  充君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    田中 一穂君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月一日

 辞任         補欠選任

  上田  勇君     伊佐 進一君

同日

 辞任         補欠選任

  伊佐 進一君     上田  勇君

    ―――――――――――――

十月三十一日

 特別会計に関する法律等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第一三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特別会計に関する法律等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第一三号)

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

林田委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官中村昭裕君、大臣官房審議官豊田欣吾君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長原敏弘君、金融庁監督局長細溝清史君、財務省主計局次長太田充君、主税局長田中一穂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

林田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鬼木誠君。

鬼木委員 おはようございます。自民党、福岡二区の鬼木誠です。

 同郷福岡の大先輩、麻生財務大臣に初めて質問をさせていただきます。また、古川財務副大臣は私の高校の先輩でもあり、初の質問者を務めさせていただくことを誇らしく、感慨深く感じているところです。前向きで生産的な議論に努めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、アメリカ国債について伺います。

 つい数週間前の話ですが、アメリカでは債務上限法案がなかなか成立せず、アメリカ国債デフォルトか、世界経済危機かと騒がれました。

 もしアメリカ国債がデフォルトしたら、どういうことが起こると考えられるでしょうか。また、財務省はアメリカ国債のデフォルトには備えているのか、お答えください。

麻生国務大臣 既に十月十六日の日にアメリカの債務上限問題等々は上下両院で成立をしておりますので、今改めてこれがデフォルトした場合の話というのを、アメリカの国債をかなり、世界で二番目ぐらいに持っていると思いますが、持っております日本がこの問題について発言をするということは、アメリカの国債に与える影響もいろいろありますので、それに対するお答えは、コメントを含めて、差し控えさせていただきたいと存じます。

鬼木委員 財務大臣、よくわかります。

 人生には三つのサカがある。上り坂、下り坂、そしてまさか。上り坂と下り坂しかないはずだよねというところに、まさかという落とし穴があるという言葉ですが、まさかアメリカ国債に何かあるなんてということは誰もが思うところです。

 ところが、やはり債務上限問題、私たち、何度も見てきたところで、どういうことが起こり得るかということを想像し、そして対応を考えておくということは国のリスク管理として必要なことだと思いまして、質問をさせていただきました。そういう意味で、リスク管理の方をぜひお願いしたいと思います。

 次に、日本財政のバランスシートについて伺います。

 日本の公会計は現金主義、単式簿記を採用しているため、社会では一般的、常識的な話が正しく議論されていないように思われます。

 そこで、きょうは、日本の財政をバランスシートの考え方に当てはめて、日本財政のあるべき姿、正しい姿を議論したいと思います。

 家計で例えるなら、長く住む家は住宅ローンをもって購入いたします。生活費は毎月の収入の範囲でやりくりします。この構図は、国においても同じことだと思います。長期資産である社会資本整備は建設国債で行い、毎年必要となる社会保障費などの経費は税収で賄う、これが基本です。

 今の日本の大きな問題は、短期の運転資金を長期の負債で賄い続けてきたこと、そして資産と負債の長短のバランスが崩れ、次世代に長期の負債が残されたことです。家計で例えれば、毎月の生活資金が足りなくて、カードローンで借りまくって多重債務になっているような状態。だからこそ、今、社会保障のための見合いの短期資金として消費税が必要となっているのです。

 長期の資産の資金調達は長期の負債で賄う、そして短期の運転資金の調達は短期の負債か現金で賄う、この考え方は日本の財政にも当てはまるものと考えますが、いかがでしょうか。

古川副大臣 鬼木委員から御質問いただきました。私、財務副大臣として初答弁になるわけですが、高校の後輩である鬼木委員から質問をいただいて、感慨深いものがございます。

 お答え申し上げます。

 財政法におきましては、公共事業費等に充てる場合に限りまして建設国債の発行を認めております。これは、公共事業などで建設される道路や建物といった資産が長期にわたり便益を生ずることを踏まえ、その負担を後世代に求めることが許容されるとの考え方に基づくものでございます。

 一方で、社会保障関係費などの歳出の増加、あるいは景気悪化、減税による税収の落ち込みに伴いまして、財政法の特例としまして、公共事業費等に当たらない経費に対しましても多額の特例公債の発行を余儀なくされている状況にあります。

 委員御指摘の社会保障の財源につきましては、こうした特例公債の大量発行により賄い続けることは、現役世代の受益を将来世代が負担することになるため、世代間の公平という観点から問題があるということ、そして、仮に財政の持続可能性への信認が失われれば、金利の上昇等により経済や国民生活にも深刻な影響が及ぶと考えられるということでございます。

 したがいまして、増大する社会保障の安定財源の確保等の観点から、消費税の税率を引き上げることとしております。

鬼木委員 維新の会の皆さんは、特に石原代表は複式簿記の導入をおっしゃっています。私も、銀行員をやっていましたから、やはりバランスシートの考え方で国の財政を見るという観点は必要だと思っております。

 そういう中で、長期の資産と負債の話、短期の資産と負債の話という観点を国会議員の皆さんにも持っていただきたい。今、国会議論の中で、公共事業は消費税で賄っているんじゃないかというふうな議論をされる質問者もおられますが、これは、長期の資金、短期の資金、そのバランスの話だということをぜひ御理解いただきたいという思いで具体的なこの質問をさせていただいております。

 次に、長期の投資を長期の負債で賄うことは、バランスシート上も、世代間の負担公平の観点からも合理的な政策だと言えるということが先ほどの古川副大臣の答弁でも示されました。

 ひところ、公共事業は悪だと断罪され、日本の公共事業は、あり得ない勢いで減らされていきました。単純に公共事業イコール悪ではなく、長期の負債に見合った資産が残るかどうか、まさにバランスシートの資産の内容が問題の本質だと私は考えます。

 そういう意味で、私は、この資産の話、投資なくして成長なしと考えます。安倍政権は、建設国債をどう考え、公共事業にどう取り組むのか、お考えをお示しください。

古川副大臣 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、財政法におきましては、公共事業費等に限り建設国債の発行を認めておりますが、これは、公共事業で建設される道路や建物等の便益は長期にわたるものであり、したがって、その負担は後世代にも公平に求めることが許容されるとの考え方に基づくものでございます。

 しかしながら、建設国債も借金であることには変わりはございません。また、特例公債につきましては、毎年度三十数兆円規模の発行をしている状況にございます。

 こうした極めて厳しい我が国財政の状況を踏まえますと、社会資本整備につきましても、国際競争力の強化でありますとか老朽化対策などの真に必要な事業に重点化するなど、選択と集中を徹底する必要があるというふうに考えております。

鬼木委員 ありがとうございます。

 公共事業ですから、まさに景気対策であり社会資本整備に使うわけですが、その内容、中身は、国民誰もが見てすばらしい投資を行ったと後世に言われるような投資にしていただきたいと思います。

 そして、公共事業の額についてですが、急に額をがばっとふやしたり、急にがばっと減らしたりすると国民が困ります。災害などによる需要の増減はあるでしょうが、やはり公共事業は、民間企業がこれからトラックを買おうかクレーンを買おうかと設備投資していく上で、ある程度、毎年一定のボリュームが継続されることが必要だと考えます。この点についての御所見を伺います。

麻生国務大臣 おっしゃるとおりに、公共事業につきましては、社会資本の整備を含めて、その効果が長期間にわたっていくものという前提で、当然それには維持管理が前提となりますので、そういった意味からいきますと、中長期的な観点から考えていかなくてはいかぬというのは当然のことだと思います。

 したがって、御存じのように、政府としては、おおむね五年間というのを目的として、社会資本整備重点計画というのを大体五年ごとにつくって、今は二十四年度分がスタートしたのだと思いますが、二十八年度までの間、そういうことをやらせていただくのですが、これを、ほかに災害とか、この間おたくでは矢部川とか、ああいったところの決壊したような話が起きると、きちんとそういうことをやらないと、即時対応という、別の事業というのは、自然災害によるものとかいろいろな状況によって起きるんだと思います。こういったものは別に考えながらも、そういったことがなるべく起きないように、我々としては、社会資本整備とか、また公共工事というのはやっていかなければいかぬのだと思っております。

 いずれにしても、事業量というものを定量的に決めるということになりますとかなり硬直化を招くことになろうと思いますので、そこの考え方は、バランスというものは非常に大事なものだ、私どももそう思っております。

鬼木委員 おっしゃるとおり、めり張りというものが必要になります。日本は災害の多い国で、災害が起きたときに対応しなければならないめり張りがありますし、財政の硬直化を防がないといけないという考え方もありますが、ある程度のボリューム、一定のボリュームで長期の投資を平準化しながら行っていくという観点もお持ちいただいて、二〇二〇年にはオリンピックもありますので、全国各地のいろいろな社会資本整備、平準化しながら、ある程度のボリュームを持って公共事業を続け、それによって建設会社も継続的な投資が行えるようにしていただきたいと思います。

 最後に、みずほ問題について伺います。

 みずほ銀行が問題だと昨今騒ぎになっておりますが、何が問題なのか、世の中に正しく認識されて議論されているだろうかと疑問に思うことがあります。暴力団組員への融資自体を問題にしているのか、問題融資がありながらそれを放置してきたことが問題なのか。さらにどんどん複雑になりまして、報告が正しくなかったとか、場合によっては、収入が高いみたいなことまで議論になっている。何が問題なのか。論点がごちゃごちゃのまま、感情的にたたかれるということが続いてはいないかと思っております。

 今回問題となっているローンは、ローン加盟店が受け付けた融資案件をオリコが審査し、みずほのお金で融資実行します。したがって、銀行は、個別の客の顔も見ませんし、審査すらしません。仮に暴力団組員の融資返済率が極端に低いとすれば、この場合、銀行は被害者の立場にあるとも言えるのではないでしょうか。一回きりの融資実行ですので、一般の企業融資のように融資と返済を反復して恒常的に取引しているわけでもございません。意図的な利益供与もありません。それでも反社会勢力ともたれ合っているかのようなイメージを持たれてしまったことは、風評による二次被害のようにも見受けられます。

 確かに問題を放置したという問題はありますが、しかし、現状は、銀行を反社会的勢力から守るルールがありません。相手がやくざとわかったら全額一括弁済させるという法律もありませんし、そもそも、相手がやくざだと認証する制度も情報も銀行にはない。

 そういう意味で、丸腰の民間企業に暴力団に立ち向かえということほど酷なものはないと思いますので、私は、この問題を生産性のある議論にするためにも、民間企業、この場合は金融業者を反社会勢力から守る法制が今後必要になると思っております。

 そういうところではありますが、最後に、この問題の本質は何だとお考えかをお伺いして、質問を終わりたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘の点は、今後考えねばならぬ点だと思っております。

 今、問題の本質的な話と言われましたので、今回の場合は、ぱっと申し上げれば、いわゆる提携ローンにおいて多数の反社会的な勢力との取引が存在しているということを既に銀行本体として把握していたにもかかわらず、それに対応するための抜本的な対応を行わず長期間放置していた、これが一点。そういった問題が一番本質なんだと思いますが、もう一点は、金融庁から見ますと、それに対して、知っていながらそういうものはない、知らないというような形で報告をしていたというと虚偽の報告に近いような形になりますので、一番問題点はそこの点なんですが、我々としてはそれを、報告事項がいかがなものかということで、九月二十七日に業務改善命令を出しておりますけれども、一番問題点は、知っていながら放置したというところが一番問題なんだと存じます。

鬼木委員 いろいろ多数の問題を述べさせていただきましたが、これらの問題が全て改善されて前向きに動いていくように祈念いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

林田委員長 次に、神田憲次君。

神田委員 皆様、おはようございます。自由民主党、愛知五区の神田憲次でございます。

 昨年の総選挙において、今スポットライトを浴びておりますリニアで人気の名古屋駅を抱える選挙区、そちらの方から当選させていただきました。そして、きょうは、この財務金融委員会で初めての質問でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。

 まず、最初の質問をさせていただきます。

 デフレ脱却のために金融機関が果たすべき役割に関してお伺いいたします。

 日本経済がデフレから脱却し、力強い成長を実現していくためには、金融機関が適正にリスクを管理しつつ、新規融資を含む積極的な資金供給を行い、顧客企業の育成、成長を強力に後押しするという役割を一層発揮していくことが求められているかと存じます。

 金融庁の発表した平成二十五事務年度の中小・地域金融機関向け監督方針においても、「成長可能性を重視した金融機関の新規融資の取組みの促進」が掲げられております。具体的にどのような案件を想定、期待しておられますか、大臣にお伺いしたく存じます。

麻生国務大臣 神田先生は、本年九月に発表させていただきました話のことを聞いておられるんだと存じます。

 私どもとしては、こういったものが実際的な例ですといって事例集を既に発表しておりますが、医療、エネルギー、農業等々、農業であれば農業の六次産業化という言葉がよく使われますけれども、そういった成長分野への融資というものに取り組むというのをまず、初めての分野とかいうとなかなか、金融機関としては二の足を踏んで、前例がないとかいうような話をしたがるものですけれども、そういった点が一点。

 それから、公的金融機関や自治体と連携をした上での情報というものをもらって、それに基づいて融資等々を考える。また、不動産の担保というもの、税理士をしておられたので御存じだと思いますが、日本の金融機関は過度に不動産担保に依存しているという融資の取り組みになっておりますので、そういったことの事例をずっと踏まえて、事例集を金融機関等々にいろいろ広く公表しておりますので、それが一番いい例だと存じます。

 いずれにしても、金融庁としては、これまで金融処分庁と言われたように、金融機関の問題点を指摘するだけというようなところだったと思いますが、少なくとも、デフレからインフレに変えていこうという時代において、金融機関、なかんずく中小金融機関の中小零細企業に対する金融というものは極めて重大な要素だと思いますので、そういった意味では、金融庁は金融育成庁に変えるような気分でやってもらいたいという話を一番最初にいたしております。

神田委員 ありがとうございます。

 まさに安倍内閣の日本経済の成長戦略のかなめ、金融機関が成長企業を見出して積極的に支援するということで、今回の新しい金融検査監督の中でも大変評価できるものと考えております。

 一方で、監督方針では、中小企業に対する経営改善支援等についても重点を置いておられます。

 デフレ脱却に向けて、中小企業の経営改善や体質強化の支援は特に重要なものがあると考えておりますが、中小企業は、全企業に占める割合がおよそ九九・七%を占め、従業者ベースでは約七割になるかと存じます。まさに中小企業、小規模事業者の強化が、日本企業において、日本経済を再興する上で鍵になると考えております。

 この中小企業支援における取り組みの中で、所管は中小企業庁になるかと存じますが、認定機関による経営改善計画策定支援事業の活動実績が低調であると聞いております。

 ついては、金融庁には、縦割りではなく、中小企業庁、地域金融機関、税理士等と協力して、より中小企業、小規模事業者の活性化につながる経営改善等支援、ひいては効率的な融資がなされますよう金融機関を監督していただくことを望みますが、大臣のお考えはいかがなものでしょうか。

麻生国務大臣 私ども金融庁としては、いわゆる事務年度、事務年度というのは金融庁の場合は七―六になっておりますが、中小企業の経営改善また事業再生支援というものを本格化させていくために、いろいろな意味で大変重要な一年がことし、そのように理解をした上で、監督方針においては、金融機関が、御指摘のありました認定支援機関等の外部の専門家、また外部機関と連携協力しながら、いわゆるコンサルティング的な機能というものをもう少し発揮していくよう促していかないと、ただただ審査だけではなくて、事業内容を含めましていろいろなものを審査する、もしくは、これだったらこういうことをやられたらどうですか等々、ほかの事業の例も知っているわけですから、そういった意味では、経営改善とか事業再生の支援というものについてはむしろ積極的に取り組んでいかないと、融資するに当たって、この点をもう少しすればこうなりますというような話を言っていけるような能力、コンサルティングということをやっていくように促してまいりたいと考えております。

神田委員 ありがとうございました。

 それでは、次の質問に移ります。

 新たな個人投資を促すことが期待されますNISAについてお伺いいたします。

 使い勝手がいま一歩悪いのではないかと言われておりますが、マイナンバー制度を活用することで、例えば異なる金融機関で口座の開設等が可能になりませんでしょうか。また、個人向け国債等、公社債もぜひ含めてはいかがでしょうか。

福岡大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御承知のとおり、来年一月から導入されますNISAにつきましては、その導入により、個人投資家の裾野を拡大し、家計の安定的な資産形成の支援と経済成長に必要な成長資金の供給拡大の両立を図ることが期待されております。

 使い勝手について御指摘がありましたが、NISAにつきましては、現行制度上、一旦非課税口座を開設すれば、最長四年間、口座開設金融機関の変更ができないこととされております。

 この点につきましては、金融庁としても、本年八月、投資家の利便性を向上させる観点から、NISA口座を開設する金融機関を一年単位で変更できるよう、税制改正要望を提出させていただいているところであります。

 あわせまして、御指摘がありました、NISAの対象商品に個人向け国債等の公社債を加えることにつきましては、成長資金の供給拡大といった制度趣旨や、制度導入後の利用者のニーズ等を踏まえつつ検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

 いずれにしましても、今後とも、NISAの普及、定着を図るための方策につき、利便性の向上を含め、検討してまいりたいというふうに思っております。

神田委員 近年の証券税制は目まぐるしく変わっておりまして、投資家の混乱というのもございます。ぜひ、このNISAという制度が着実に継続されまして、そして貯蓄より投資へという流れ、イギリスのように恒久化されますことを期待しております。

 続きまして、米国のイエレンFRB副議長の議長就任が来年二月に予定されております。FRB議長の交代に伴う我が国の金融市場、長期金利、為替、株式等に与える影響について、所感をお伺いしたく存じます。

麻生国務大臣 ジャネット・イエレンという人は、長いことFRBの副議長におられて、御主人もたしか経済学部門でノーベル賞をとっている方だと記憶しますけれども、この方の話というのは、ウォールストリート・ジャーナルとかいろいろなところで、彼に比べてこちらの方が何とかとか、いろいろな評価があるのは確かですし、個人的にも知らないわけでありません。この人がどういう金融政策をというのは、例の緩和するか絞るかというあの話なんだと思いますけれども、そういったことはちょっと、他の国の金融政策について、我が方がそれに対してコメントするというのは差し控えさせていただかぬといかぬところだと思います。

 いずれにいたしましても、私どもとしては、日本銀行とも連携しつつ、どういったような金融政策によって我々にどのような影響がとか、また市場にどういったものが出るかというものに関しましては、引き続き高い関心を持って見守り続けておかなければならぬところだと思っております。

神田委員 続きまして、先月の十月十日、十一日、ワシントンで開催されましたG20におきまして、麻生大臣が八%への消費税の引き上げと五兆円規模の経済対策について説明されたと承知しておりますが、こうした我が国の経済成長と財政健全化の両立を目指しました取り組み、いわゆるアベノミクスに対します各国の反応をお伺いしたく存じます。また、このほか、G20における重要な議題となりましたことなどについて御説明いただけませんでしょうか。

麻生国務大臣 十月十日、十一日の二日間でG20がワシントンで開かれておりますけれども、日本としては、今御指摘のありましたとおり、十月一日に、来年の四月から消費税を五%から八%へ引き上げるという判断をおろした、そして、日本が国際的にコミットをこれまでもしてきております財政の健全化という目標達成に向けて大きな一歩を踏み出しておりますということが一点。

 もう一点は、同時に、これによって景気が下振れするというか、景気がマイナスになるという点は、五%が八%になることによって消費が落ち込む等々によってGDP、経済成長に影響を与えるということもありますので、そういった需要の一時的な落ち込みを防ぐためにも、我々としては、五兆円規模の経済対策というものを織り込んで、持続的な経済成長というものを目指していきたいということを説明しております。

 いずれにしても、財政の健全化と経済成長というものは、G20がこの一年間かけて、これは両方両立するということで合意されてきた内容でもありますので、各国の評価は得られたものだと思っております。

 そのほか、G20でどんな議論があったかといえば、あのときは、先ほど御質問になっておりましたアメリカの債務上限の話がちょうどあの時期と重なっておりますので、主に米国の債務上限問題とか、今、イエレンの話が出ていましたけれども、アメリカの金融緩和していたものを縮小する、引き締めるということが新興国に対してどういう影響を与えるかとかいったような意味で、世界経済が直面するいろいろな重要な問題についていろいろな議論が交わされたと記憶をします。

神田委員 時間にもなりましたので、これで質問を終わらせていただきます。本日は、ありがとうございました。

林田委員長 次に、安住淳君。

安住委員 おはようございます。

 きょうは、四十五分の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、きょうは、三点質疑をさせていただきます。まず、やはりみずほの話。それから、消費税の話ですね。そして最後に、私は被災地の出身でもございますし、復興法人税をつくった本人でございますので、その点について、今、政府、総理がお考えになっておられる話と私の考えはちょっと違うものですから、この点について少し議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 麻生大臣、本当に御苦労さまです。財務大臣はやると大変な激務で、ある一面、総理大臣よりもちょっと大変な部分もありますので、連日、海外へ行かれたり、本当にお疲れだとは思いますが、日本の財政にとっては、今、非常に大きな分かれ道だと私は思います。皮肉を言えば、消費税、せっかく七割の議員で決めたのに、八%に上げるのにあれだけ迷うというのは、私は、総理はどうかなと率直には思っております。しかし、決定をしたことは評価をいたしますので、このことは後で議論させていただきます。

 きょうは、細溝さんにおいでいただいていますので、早速、みずほの話からいきましょう。私は、この問題でいろいろな観点から本当は議論をしたいんだけれども、いずれ委員会の方でまた詳しくおやりになるというふうに聞いておりますので、きょうは、入り口の部分だけ、私の問題意識だけお話をさせていただきます。

 新聞等を見ますと、二月の時点で、金融庁に対しまして、トップにこの問題を上げていないということをみずほ側が報告なさったということでございました。これに基づいて行政側としての対応をとったということでございますが、ここらの経緯について、改めて監督局長から御報告をいただきたいと思います。

細溝政府参考人 お答え申し上げます。

 みずほ銀行におきましては、提携ローンにおいて多数の反社会勢力との取引が存在するということを把握していながら、取引解消等のための抜本的な対応を行わず長期間放置していた、こういった事実を昨年十二月以降実施しました検査で把握いたしました。

 さらに、その検査後、事実関係の報告を求め、確認した上で、経営管理体制等の抜本的な見直し及び充実強化を図る観点から、九月の二十七日に業務改善命令を発出いたしました。

 その後、委員御指摘のとおり、この反社との取引が多数存在するという情報について担当役員どまりであったという当初の報告がなされておったわけですが、実際には取締役会等に一定の報告がなされていたという事実と異なる報告がなされていたということが判明いたしました。ということで、十月九日に追加で報告徴求命令を発出いたしました。

 これらを受けまして、十月二十八日にみずほ銀行から、業務改善命令に基づく業務改善計画と、追加で求めた報告が提出されております。

 金融庁といたしましては、今後、オフサイトのヒアリングや立入検査を行うこととしておりまして、そこで、提出された業務改善計画及び本件についてのみずほ銀行の対応などを検証することといたしておりますが、これまで、当初の検査や報告に当たって、事実と異なる報告が行われていたということは極めて遺憾なことだと考えております。

安住委員 みずほは第三者委員会をみずからおつくりになられて、その報告書が二十八日に出ております。これを見ますと、隠蔽の意図は認められないという結論をつけているんですね。それは、みずほ側の考えでございますが。

 麻生大臣、私も短い期間ですけれども金融担当の所管をしましたけれども、やはり一番困る話は、監督官庁の金融庁に対して、こういう事案で、いわば意図的なのか、そうでないのかはいずれ調べるとしても、こういうことで虚偽の報告をしたということはやはり許されないことであるし、これが、もし虚偽のことをしたか何かをして、とにかく、こういうことでやりましたと言って、後から違う事実がわかりましたと。後から違う事実がわかりましたから、それを報告しますと言って、はい、そうですかで終わりというわけにはいかないと思いますけれども、いかがでございますか。

麻生国務大臣 今のお話ですけれども、先ほどの鬼木先生からの御質問にも同様な御趣旨のことを答弁させていただいたと思いますが、これは、安住先生、やはり一番問題なのは、虚偽の報告をした、かつ、知っていたにもかかわらずそれを放置していた、この二つの点が一番問題点なんだと思います。監督する立場からいいますと、その両方が問題なんですが、最も問題なのは、やはり虚偽の報告だったというところが極めて大きな問題なんだと思っております。

 私ども、ある程度正直ベースで仕事をさせていただかなきゃいかぬところでもありますので、そういった意味で、これが、そうじゃないベースでやりますと、金融処分庁にまた逆戻りみたいなことにもなりかねませんし、いろいろな意味で、ここのところは極めてハンドリングの難しいところだとは思います。虚偽の報告をした、しかも反社会的勢力という極めて問題な部分がありますので、私どもとしては、今度、いわゆる検査に入っておりますけれども、そういった点はきちんと、もう一回その内容等については精査した上で、改めて考えさせていただかなきゃならぬと思っております。

安住委員 検査は五日からでございます。ですから、まだ入っておりません。

 私は、これから入るときに、きょう、読売新聞なんかに新生銀行の話も一面で載っていましたね。ですから、これは残念ながら広がる可能性というか、そういうことも否定できないわけですから、みずほに対する検査もしっかりやってもらわないといけません。

 みずほに検査をするときに、私は、一番肝心の部分を必ず検査してもらいたいんです。それは何かというと、誰の指示で金融庁に対して虚偽の答弁をさせたのかということが一番問題なんですよ。ここを見逃して、組織全体の問題なんですという話ではだめだと思います。なぜかというと、新聞を見ると、報道を聞くと、どうも長年にわたってこれを引き継いできた可能性があるからですね。ですから、そこだけはしっかり、再検査、立入検査をするという以上はやっていただきたい。

 新生銀行の話、きのう、記者会見でみずから社長がお認めになったようだから。ということは、銀行の、金融機関の合併、それからこの提携ローンの問題、いろいろな問題がありましたから、本当に細部までチェックをするのは銀行としてもとても大変だとは思いますけれども、この際、やはりうみを出すためにも、金融庁はしっかり、全体の金融機関に対する検査もしていただきたいというふうに思います。

 それでは、監督局長、結構でございます。

林田委員長 退席は委員長が決めますので。

 監督局長、退席してください。

安住委員 委員長、失礼しました。

 それで、金融担当大臣ですから、大臣、私の趣旨はもうよくわかっていただいたと思いますので、答弁は求めませんから、よろしくお願いします。

 さて、それでは消費税の話に入りましょう。

 昨年は、ある意味では政局的な意味合いもあって、この法案の処理に対しては、特に三党で大変なエネルギーを費やしました。私は所管大臣でございましたが、自民党、公明党に最後に賛成をしていただいたこと、それからやはり財政に対する共通の危機感を持てたことは、日本の政治史にとっては大変大きいことだったと思います。

 確かに消費税はとても難しい問題ですね。消費税を上げて選挙に勝った政党はまるっきりないし、私は、NHKの記者時代、自民党の担当の記者もやっていましたけれども、あの山中貞則先生ですら落選をしました。ほかの理由もあったかもしれないけれども。

 ですから、本能的にやはり、大きな税、投網をかけるいわゆる大衆課税は、我々政治家にとっては本当に政治生命にかかわるぐらいの話だから、これは大変なことだということは大臣も御存じのはずですね。

 国民年金の負担の二・五兆分の穴を埋めるために、麻生内閣も消費税を何とかやろうとトライをしたことは、私も野党の国対の責任者としてわかっておりました。しかし、多分、文章にそれを書き込むところまではいけたけれども、それを現実に踏み込んで、法律まで行き着けなかったことは、当時の麻生総理としては残念なことだったんじゃないんですか。いかがですか。

麻生国務大臣 今お話がありましたように、これは竹下内閣でスタートして、竹下内閣は、消費税というものの新設と同時に辞職。次に、三%から五%にという引き上げを目指して、橋本内閣は惨敗。これは過去の歴史が全ておっしゃるとおりになっております。

 私も、最後のところにこれを書き込んで、二・五%ということを言わせていただきましたけれども、これは言うのですら、党内では、閣内も含めて、えらい問題だったんですが、書き込むところまではいきましたけれども、御存じのように、麻生内閣惨敗、自民党政府が惨敗ということになりましたので、いずれも、この問題に踏み込むとかなり手傷を負うというのは事実です。これまで、歴史的にはそれを物語っておると思います。

 しかし、これはG20、またG7でも申し上げてきましたけれども、我々は、おたくらから円の独歩安を演出しておるとかいろいろ言われるが、財政出動をやると同時にちゃんと財政再建もやるために、上下両院でねじれているからできないということではなくて、うちは衆参ねじれているにもかかわらず、与野党が合意して消費税増税という法案をつくるということをやったんだと。少なくとも、俺たちの方がおたくらG7より民主主義としては成熟しているということを物語っておると。誰一人反論する人はいませんでしたから、財政大臣は皆そう思っておるんです。私はそう思っているんですけれども。

 その意味で、今回も極めて厳しい状況下にはありましたし、法律は通っているとはいえ、影響が極めて大きいと思われますので、最終決定をするこっち側の自民党側も、いざというときには、総理としてもいろいろ苦悩された上での決断だったと私どももそう思っております。この問題は極めて厳しい問題だ、私もそう思います。

安住委員 これは、来年の四月に三%、そして一五年の秋、十月ですね、またさらに二%。

 経済への影響ばかり皆さん議論するんだけれども、社会保障の予算は、やはりこれは待ったなしですね。深い議論を本当はしたいんです。

 なぜかというと、麻生大臣、よく、安倍内閣になって景気は明るくなったじゃないかと言うけれども、麻生内閣と民主党政権下では、実は同じなんですよ。世界経済がとてつもない悪い状況で、総理もリーマンで大変な苦労をなさいましたね。税収が、その後、我々が引き継いで、十兆も下がっているわけだから。私のときは、欧州危機です。これはまさに世界経済そのものがクラッシュするような事態だった。何とかそれを防いで乗り越えたからこそ、ある意味では今の明るい経済見通しがあるのであって、政権交代したから急によくなったなんて話ではないんですよ、冷静に考えると。

 もう一方、インフレとデフレの話がよく議論されるんです。しかし、それと景気のよしあしというのは実は違うことですよね、麻生大臣。いかがですか。

麻生国務大臣 御指摘のあっておりましたとおり、インフレでも不景気になりますし、デフレでも好景気になる。歴史が証明しております。

安住委員 おっしゃるとおりです。

 私も、去年、随分とこの法案の附則を書くときにも実は議論したんですね。自民党政権下で、小泉内閣で、不良債権の処理もしたからですけれども、中国の景気もよかったので、デフレ下にあっても成長しましたね。大学生の就職率も非常によかった。

 ですから、デフレだから消費税が上げられないとか、インフレだからだめだという話ではなくて、もっと冷静な議論が必要だと思うのと同時に、アジア危機のときのことは、やはり見ますと、法人税も所得税もフラット化をしましたし、言ってみれば、景気がよくなったらすぐその反動で税収がふえる構図ではないですね、今。

 その中で社会保障をどうやって賄っていくか。この社会保障は、景気のよしあしに関係なく、請求書が毎年、乱暴な言い方ですけれども、今の制度であれば一兆円ずつふえていくわけだから、不景気だからお金が少なく請求が来るわけでないわけだから、これをどうするかという原点に返れば、この社会保障を伴う消費税というものは、大変政治家にとっては厳しいけれども、やはりやらないといけないことであるし、私は、次の二%も勇気を持ってやはりやらないと、あのとき七割の議員が賛成した意思というものが反映されないということになると思うんですけれども、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 おっしゃるとおり、先ほど、どなたか、自民党の方だったか、御質問があっておりましたけれども、この社会保障の部分というのに、今まで、長期の部分と短期の部分といっていろいろな表現をしておられましたけれども、政府の金を保険にという形を、毎年、約二分の一とかいろいろな形でやっております部分というのが前借りしたような形で半分やっておるわけですから、そういう形は極めて不健全というのははっきりしておりまして、安住先生の言われたとおりだ、私もそう思います。

 その上で、この社会保障のいわゆる二分の一を負担するというのだけで約二・五兆、三兆近くの間ぐらいなんだと思いますが、この部分のものをきちんとするためにというのは、これは極めて長期的な財政を考えたときには大事なところであって、今言われましたように、待ったなしに出ていくわけですから、そういった意味では、今後ともこの部分をきちんとしておかないと、他国から見て、日本の国債というものに対する、日本の財政というものに対する信認、信頼を失いかねないというところは民主党政権時代からも言われておったところだと存じます。

 そういった意味で、これをやろうという話をされた前政権の決断というのは私は正しかったんだと思っておりますし、あのとき、一挙に五%という説も確かにありましたけれども、世界じゅうで一挙に五%やった国はありませんので、普通、二・五、二・五とかいろいろな形で、そんな一挙に五%いった例は私の知っている範囲ではヨーロッパでもないと存じます。

 したがいまして、今回のように三と二に分けるとか、一、一、一にするとか、いろいろな御説がありましたけれども、私どもとしては、あの三と二に割られた結論に基づいてこういったことをさせていただいておりますが、大事なことは、この三の次の二の方がもっと問題なんだという御指摘なんだと思いますが、私どもも、この三を上げて景気が落ち込むというような事態が長期間にわたると、これは次の二にいけないという状況になりますので、次の二がある前提で社会保障改革というものは成り立っておりますので、そういった意味では、この二がきちんといけるような形にするためには、景気の中折れがないように、なるべく落ちないようにという配慮をしておかないと次の二%も難しい、私ども、そういう感じで事を考えております。

安住委員 八割ぐらいは私と共通の認識なので、本当に新旧大臣で同じことを考えておられるというのは私も大変うれしく思います。

 そこで、後半の部分なんです、最後のところ。大臣、恐縮ですが、私は一つだけちょっと苦言を呈させていただきます。やはり、五兆円の経済対策なんですね。消費税率の引き上げとそれに伴う対応ということを閣議決定なさって、それをベースに五兆円の経済対策をする。

 私、その中で、参議院の予算委員会での大臣の答弁は、ちょっとこれは、大変恐縮でございますが、雑なんじゃないかなと思ったのは、こういうふうにお述べになられているんですね。マイナスが一・八兆と出ております。つまり、これは消費税の侵食分のことをおっしゃっているんでしょう。したがいまして、それを埋める分、プラス、今のお言葉を使えば、倍返しというのであれば四兆、プラス一兆等乗っけて大体五兆と。

 こういう経済対策、言わんとすることは私もわからぬわけではないし、大臣のキャラもありますから、それはそれでいいんですが、ただ、やはり五兆円規模の補正を組むというのはこういう根拠じゃだめだと思うんですよ。こういう根拠じゃだめだし、やはり、国民の皆さんから見たときに、行き過ぎますと、社会保障じゃなくて公共事業に消費税を使うんじゃないかと誤解もされますから、こういう言い方はやめて、もうちょっと、積み上げた分の根拠で言わないとだめじゃないでしょうか。

 それと同時に、補正の中身なんです。私は、きのうもその前も財務省の事務方の皆さんからも説明を聞いたんですが、結局、説明を聞くと、返ってくるのは、十月一日の消費税の引き上げに伴う対応というところなんですよ。ここの三のところ、競争力強化策、高齢者・女性・若者向け施策、それから復興、防災・安全対策の加速、こういうことを措置すべく、具体的な対応をするということなんです。

 ところが、これだけで五兆円の根拠というのはちょっと乱暴ではないかと思うんですけれども、いかがでございますか。

麻生国務大臣 御指摘のありましたそれは、片山虎之助先生の質問に対する答弁なんだと思いますが、あの方はよくこの種のことにお詳しい方でありますので、私より倍ぐらいお詳しい方なので、知っていた上で聞いておられます。あのときは物すごく時間が押していたときだと記憶しますので、とにかく簡単に短くとかいう話だったので、ちょっと言い方が乱暴だったということにつきましては、その後すぐ甘利先生から補足をしていただいて、答弁もそこにあると思います。

 いずれにしても、五兆円という規模の面においては、その基本は、何といっても、民間シンクタンク四十一社の平均をとりまして、中二十社の平均が、来年の四―六で約一・八兆円経済成長率が落ちるという反動減というものを考えますと、それをまず大きく上回らなければならない、これが第一点です。

 それから、消費税率を上げるということによって、一%が約二・七兆円と言われておりますので、掛ける三、約八・一兆円ということになりますので、国民の負担増というものが大きいものになりますと、これが消費を落とす、消費を落とすイコールGDPが下がるということになろうと思いますので、そういったものを念頭に置きながら、成長軌道へ早期に戻さないと来年の一〇%のところになかなかいきにくい等々は考えておかなければならぬと思っておりますので、これは、きちんと対応してもらっているんだな、消費税が上がったけれども同時にいろいろやってもらっているんだなということが、国民の理解を得られるというところがすごく大事なところなんだと思っております。

 また、財源面においてもどうしたらという話で、私どもとしては、なるべく国債を新規に出すということは避けたい。それは基本的にそう思って、そのために、決算剰余金等々、税収もある程度上振れすると思っておりますので、予算の不用を含めて、いろいろこれで対応させていただきたいと思っております。

 また、今言われました、新たな経済対策として、簡素な給付措置、これは約一万円、高齢者の方は一万五千円ということですが、また、住宅取得に係る給付金等々、低所得者向けというのをいろいろ考えております。今言われましたように、競争力強化とか、女性向け、高齢者向け、若者向けとか、いろいろなことを考えておりますが、この具体的な政策につきましては、また予算額の内容につきましては、今から予算を編成する過程でいろいろ検討していくことになろうと思います。

 現時点において、私どもとしては、いわゆる新たな経済対策は、単純には、八兆の増税、プラスありますので、二兆円ぐらいの反動減を埋める部分と、それ以外の部分、経済成長でさらにやる部分と、二つ分けて考えにゃいかぬところだと思っております。

 その一・八兆、約二兆円の部分とその他という部分とをある程度分けて考えるということは、なかなか簡単に分けられる話ではありませんので、経済成長というものを考えていって、ある程度、国民の消費とか民間の設備投資とかいうものに民間資金が回っていくというような方向に進めていかないと、政府の歳出だけでこれをというのはなかなか難しいということが一番大きな背景です。

安住委員 ちょっとよく、体系的なお話でなかったので、わからないところもあるんですけれども、要するに、五兆円の根拠がやはり薄いというか、今るる述べましたけれども、五兆円の補正がなぜ必要なのかということと、五兆円が何に使われるのかということが非常に重要なので、やはりまだ根拠が薄いと私は思いますよ。

 二兆円分は確かにあるし、現金給付も我々が考えたことです。だから、それはもういいと思いますよ。問題なのは、消費税における反動減等をどこでフォローアップするというか、助けていくのかということに対してもっと深い議論をしないと、単に補正だ、また、大変言い方は失礼ですけれども、こういうときに事業官庁というのはあれもこれもそれもとなるんですよ、それを本当に防げるのかということを私は大変疑問に思っております。

 もう一つのことを言わせてもらうと、この予算編成なんですよ。今、大臣もいみじくも述べました。これは、プライマリーバランスを、本当に国際公約を守るんだったら、一言でいいですから、来年度の政策的経費の上限はお幾らなんですか。

 今、言い方はあれですけれども、七十五兆円ぐらいの概算を出しているんでしょう。そんなことをやったら、全くもう財政再建なんてやる意思のない内閣だとなりますよ。ということは、試算をすれば、細かな試算はもう時間がないから言いませんが、政策的経費は幾らに抑えなければならないんですか。

麻生国務大臣 御疑念を持っておられる点につきましては、私どもも同様なプライマリーバランスの重要性を認識しておりますので、同様に考えております。

 その上で、今、細目につきましては、今から十二月までありますので、いろいろ詰めにゃいかぬところがいっぱいありますので、まだ申し上げる段階ではありませんけれども、いずれにしても、私どもは、収支のバランスというものを四兆円ぐらいは改善しないと、プライマリーバランスの半減、二〇一五年度に五〇%という例の目標にはなかなか到達できない、したがって、毎年、向こう二年間で四兆円ずつはやっていかないといけないものだ、基本的にはそういう認識を持っております。

安住委員 ということは、政策的経費の上限は七十二兆じゃないですか。これを守らないといけないということになりませんか。

麻生国務大臣 中長期試算によって七十二兆ということになっております。

安住委員 私は、それをぜひ守って本年度予算をやってもらうと同時に、そこでできないのは補正の方で何とかしますからという体質は改めてもらいたいなと思います。

 来年度も多分、想像するに、二%もしさらに上げるとなれば、もっと大きな歳出圧力が出てくるでしょう。しかし、それでは、やはり消費税を上げて社会保障の安定をするという本末が転倒しますから、そのことだけぜひ私は注意をして、どうも内閣を見ていると、そういうことをおっしゃって頑張っておられるのは麻生大臣ぐらいのような気が何となく、仄聞ですよ、しておりますから、御検討をしていただきたいと思います。

 さて、消費税の問題にはさまざまな問題があります。その中でも実は一番悩ましいのが、軽減税率と、それから、私どもは給付つき税額控除なんですね、考え方。

 軽減税率の問題は、去年私が財務大臣のときに随分やりました。さまざまな角度から、さまざまな国の歴史や経緯も考えました。私は一理あると思います、この軽減税率というのは、目に見えますから。しかし一方で、高い消費税率を持っている国において、歴史的にやっているところはあるんです。ただ、今は、それが逆に不平等を生んだり、政治的な力でこの業界だけはまけてもらったんじゃないかとか、さまざまな議論が出ていて、私は非常に難しい問題だなと思っております。

 少なくとも八%ではそういうことはおやりにならないということですけれども、では、一〇%等を見据えたときにどうなるのかということなので、私は、財務省の方から、この軽減税率のいわば課題、問題点等について、事務方で結構ですから、説明をしていただきたいと思います。

田中政府参考人 お答えをさせていただきます。

 軽減税率につきましては、税制抜本改革法や二十五年度の与党の税制改正大綱におきましても、これをどう考えるかという視点が書いてございまして、一つは、対象をどうするか、財源をどこから持ってくるか、それから中小事業者の事務負担等の課題を乗り越えることができるかどうかということが指摘されております。

 具体的には、対象品目につきましては、国民の理解が得られるような合理的な線引きが可能かという課題が指摘されておりまして、それから、財源につきましては、これは税率の水準をどうするか、対象をどうするかにもよるのでありますけれども、軽減税率が設定されていない場合と比較いたしまして、場合によっては兆円オーダーの多額の減収が発生するという課題があって、この財源問題をどうするかというものがございます。

 それから、事業者の方々の負担という点については、仕入れにかかります消費税額を適正に計算して、それを控除する必要があるわけでございますが、税率の異なる個々の品目、サービスについても、税額が明らかになるような請求書等、いわゆるインボイスが必要になると言われておりまして、中小事業者の事務負担が増加をいたします。

 それ以外でも、中小企業庁の調査などによりますと、資本金がおおむね一億円未満の法人あるいは個人事業者の中には、全く手作業で経理処理をしている業者が四割を超えるという調査もございまして、インボイス以外にも、中小事業者の事務負担が大丈夫かという問題が出てくる。

 それ以外にも、中小事業者にかかわる、例えば、インボイスを発行できない免税業者は課税選択を余儀なくされるのではないかとか、幾つかの視点が指摘されております。

 こうした課題につきまして、今、与党の軽減税率制度調査委員会におきまして、精力的に御議論が続けられているものと承知しております。

安住委員 例えば、キャビアとイクラの話を大臣は記者会見で述べたけれども、全くそのとおりなんですよ。これはなかなか悩ましい話で、ハンバーガーも持ち帰りと店内で食べるのではドイツではえらい違いますし、経緯があって歴史がある国々だから、それはいろいろあるんだと思います。

 これをやるときというのは、国民的コンセンサスをちゃんと得ないと、逆に不公平になりますからね。だから、私は、我が党が提案している、つまり、この話のもとは、フォローアップをちゃんと、所得の低い方、生活の苦しい方をどうサポートするかということに行き着くわけだから、それからいうと、マイナンバー制度導入と同時に、制度設計は大変かもしれないけれども、給付つき税額控除というのは悪い制度じゃないと思うんです。

 一言ありますか。短くていいです。

麻生国務大臣 既に御存じのように、民主党と公明党と自民党の三党の協議によります合意の結果、今言われましたように、給付つき税額控除と、いわゆる低減税率というか複数税率というものが検討課題に三党の間でなっております。

 これにつきましては、御指摘のとおり、高所得者、所得の高い方々が実額ベースでより恩恵を受けるという結果になります、形としてはそうなります軽減税率よりも、低所得者に対する支援の可能性、確率が高いという議論があるというのは私もよく承知しておるところです。

 一方で、法律に盛り込まれておりますとおり、所得の把握をせないかぬというところが一番難しいところでして、資産の把握の問題とか執行面での対応とか、いろいろの可能性の問題があるということも私どもは認識しておるんですが、背番号ができたじゃないかとか、いろいろな意味で将来考えられるんじゃないのかということで、この問題については引き続き協議を行うということにされております。

 私どもとしては、この問題は、議論というものが今後三党で、また私どもでいえば与党の中でもいろいろされていくんだと思いますけれども、いずれにしても、それに対して、その状況をよく踏まえながら検討をさせていただきたい。二つの案は、両方とも検討すると書き込まれております。

安住委員 目に見えてやることで、国民の皆さんから納得してもらうという方法もあるでしょう。しかし、中長期、もっと長い目で見たら、本当に制度をきちっとやって、弱者の方と言うと恐縮ですけれども、やはりお金に余裕のない方をしっかり助けていくという方が、地味かもしれないけれども長続きする制度ですよということを申し上げたいと思います。

 ちょっと被災地の話に移りましょう、あと時間が十分しかございませんので。

 私は、復興特別法人税を廃止するという総理のお考えには反対です。

 なぜ反対かというと、中学生の皆さんが修学旅行に来たり、全国で講演を頼まれたときに、私は復興の話で必ず申し上げることがあるんです。それは、復興特別法人税は二年、来年で終わるわけだけれども、これは約八千億でしょう。しかし、実は、所得税は二十五年ですよ、大臣。ということは、今中学生の方は自分が四十歳になるまで実は復興のお金を毎月払ってもらうんだと私はみんなに話しているんですよ。中学生の方は驚きますね。

 同時に、私は石巻に住んでいるから、本当に被災地で言っているんですよ。それぐらい、沖縄から北海道まで、毎月のお給料の中から少しずつ払ってくれているんだから、これを大事にしなかったらやはり被災地は罰が当たりますよと。とてもありがたく思って、みんなで大事に使おうと言っているんです。これがきずなじゃないでしょうか。

 私は、法人税をやめるというのは、きずなをはさみでちょんと切る話だと思うんですね。そんなことを今やる必要がどこにあるのか、非常に不思議です。

 なぜかと申し上げますと、いろいろ実は議論したかったんだけれども時間がないから私から一方的に説明しますと、今我が国の法人で法人税をお支払いになっている企業は、大臣、何%だか御存じですよね。三〇%ちょっとですね。大臣の会社は法人税を払っておられるんですか。さすがですね、利益が出ているということです。

 つまり、我が国の法人の中の三割の方ですよ、法人税。再来年度から減税をちゃんとすることになっているんです、これは法律改正をちゃんとしましたから、民主党で、法人税を下げると。ただし、ちょっと二年間待ってくださいよ、その分の部分を一〇%だけ復興に充ててくださいよという話ですよ。

 この話をやめたら、安倍総理の飛躍的な話をすると、これが給料にはね返るんですか。すると、どういうことですか。法人税を下げたら、全体の七割の企業は法人税なんて関係ない会社なのに、そこも給料の賃上げにつながるというのは論理的におかしくないですか。いかがでございますか。

麻生国務大臣 基本的に、今言われましたように、企業において利益が出ておりますのが約三割というのはもう御指摘のとおりであります。

 今、安倍政権になって、いろいろな意味で、株価が変わったり、対ドル交換レートが円安に振れたりしたおかげで、企業収益、なかんずく輸出を主にしておられる部分の多い会社というのは急激に収益が改善しつつあるというのは、もうトヨタを引くまでもなく、これまで税金を払っていない会社の一つですから、それが間違いなく払うようになられたというのはまことに喜ばしいことなんだ、私どもはそう思っております。いずれにしても、経済状況は好転が見られておりますので、さまざまな企業において足元の収益の改善というのはなされるんだと思います。

 そういった意味で、賃金水準というのが上がっていかないと、これは安住先生に今さら言っても始まらぬ話で、もう釈迦に説法を超えていますけれども、デフレが続いたおかげで、企業は、じっと持っていた金を何も使わないで置いておいても、物価が下がっていくから企業収益はふえるという状況があって、結果として、三百兆円を超える内部留保ができた。これをうまく企業に、還元していくための一つのステップとして、刺激策としてこれを考えたというように御理解いただければ幸いです。

安住委員 いや、大臣、私はちょっとがっかりしたんですね、今の言葉。たしか、財務省の記者会見で大臣は、そんなことは世間に通用するのかねとおっしゃったんですよ。私と同じ考えなんでしょう。

 私は、これがただ単に総理も言葉で言っているだけだったら、まだこんなに食いつかないんですよ。これは、閣議決定の文章にこう書いてあるんですよ。いいですか。復興特別法人税にかわる復興財源の確保をする、その中で、国民の理解、中でも被災地の方々の十分な理解を得ること、及び復興特別法人税の廃止を確実に賃金上昇につなげられる方策と見通しを確認することを踏まえてと。

 この文章で読めば、被災地の理解は得られません。国民は反対しています。代替の財源は、税収が上がるからということは、所得税がふえた分からそれをもし取るとすれば、企業に減税をして、また国民から増税をするという話になってしまいますよ。税収を、上前をはねるということですよ。

 だから、私は、それは、せっかくつくった八千億円を被災地の復興にということを、わずか一年ですよ、利益を上げている企業の。私は、そこまでやらなくてもいいのではないかと思うし、なぜそんなことにこだわっているのかがわかりません。

 そもそも、論理的に賃金上昇につなげられるなんという話はあるわけがないんです。法人税をやめるということですね、復興の。もう一回確認します。

麻生国務大臣 安住先生御指摘のありましたように、この国の場合は、社会主義でもなければ全体主義でもありませんので、政府が言ったから企業が収益分を給与に回すか、誰に回すかと。それは企業の経営者の責任であって、政府の責任ではありません、政府が決めることでもありません。おっしゃるとおりです。そのとおりだと思いますので、私どもとしては、それは希望を述べているにすぎないというようなことじゃないかと言われたら、もうおっしゃるとおりなんですよ。それは命令する権限とか組織体系にありませんので。

 ただ、私どもとしては、今幸いにして、ことし初めごろからいろいろな形で経営者の方々に給与をということをお願いし、二月、三月、四月ぐらいのところで賞与のところからスタートしましたけれども、おかげさまで、この二、三日、新聞で、私の記憶では二十年ぶりぐらいでベアという言葉が書いてありましたけれども、ベアなんて今の若い人なんかはやったことがありませんから、ベアが何だか全然わからぬという方がほとんどなんですけれども、あれはベースアップですよということを言われるぐらい、新聞にベアという言葉が載ったことがないぐらいのところですから、やっとそこまで来つつあるとは思います。

 来つつあると思いますけれども、御指摘のありましたように、これは強制的にできることはないじゃないかという御指摘は正しいと思います。

安住委員 それはいいんですよ。ただ、復興特別法人税をやめ、これを企業に戻したら賃上げにつながるというのとは違う話なんですよ、大臣のお話は。

 だから、もう申し上げませんけれども、私どもは反対です。こんなことをやらなくたって、ベースアップのやり方はいろいろあると申し上げます。

 最後に、被災地の消費税の話でいうと、住宅の課税が復興の足かせになるのではないかという議論があったものですから、これは閣議決定でしっかり対応するということは言っていただいたと聞いておりますので、被災地の住宅復興に対する給付措置について事務方から説明をしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 被災者の方々の住宅再建に係ります給付措置につきましては、十月一日の閣議決定におきまして、復興まちづくりに係ります区域の指定あるいは宅地造成の時期など、住宅を再建される被災者の方が自分ではどうすることもできない外的な要因によりまして、住宅取得の時期が消費税率の引き上げ前になったり、あるいは引き上げの後になったりということが生じますので、そうした被災者の方々の間で生じる負担が不均衡になるということにならないようにするために、住宅再取得等に係る標準的な消費税の負担増加に対応し得る措置を講ずるということにしております。

 具体的には、東日本大震災により被害が生じた住宅の被災時の所有者の方が新たに住宅を建築、購入する場合、あるいは被災した住宅を補修する場合に給付を受けることができることとしておりまして、例えば、消費税率八%のときにおいて新たに住宅を建築、購入される場合には、建築、購入する住宅の床面積に補助単価、平米当たり十七・一万円に三%を掛けたもの、すなわち五千百三十円ということになるわけでございますが、その金額を乗じた額が給付をされるということになってございます。

安住委員 ありがとうございました。

 大臣、ぜひ筋の通った議論の中で結論を出してほしいと思います。ちょっと乱暴な政策決定の過程を私は法人税のことではとても感じているんですよ。もう少しやはり国民の意思やあのときのきずなの関係をしっかり踏まえた上で、できればこの話は白紙に戻してもらえればと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 委員長、ありがとうございました。

林田委員長 次に、坂元大輔君。

坂元委員 日本維新の会の坂元大輔でございます。

 この臨時国会から財務金融委員を拝命いたしまして、本委員会での初質問になります。麻生大臣以下政府の皆様、どうかよろしくお願いいたします。

 冒頭に、私の支援者であったり友人たちの中には実は麻生大臣のファンが結構多くて、特に若い女性で麻生さんが好きという方が多くて、僕とどっちが好きですかということを聞くと、そんなもの、太郎ちゃんに決まっているじゃないかとよく言われて困ってしまうんですけれども、きょうも恐らくインターネット放送等々で見ていらっしゃる方もいらっしゃると思いますので、どうか前向きな答弁をお願いしたいというふうに思います。

 私は現在、三十一歳でございます。若い世代の代表としてこの国会に送り込んでいただいているというふうに自分では思っておりまして、その若い世代の声として、長期的に見て一番心配、一番かどうかはわかりませんけれども、かなり心配なものの一つとして、やはり日本の財政問題があると思います。日本の借金、これは果たして返せるんだろうか、自分たちの世代にツケと負担がより重くなるんじゃないかという声を、やはり多くの若者と話しているとよく聞きます。

 そこで、きょうは、財政健全化というところに関してお伺いをしていきたいというふうに思います。

 まずは、今回策定されました中期財政計画についてお伺いをいたします。

 この計画の策定自体は内閣府が行っておりますけれども、先日の本委員会における麻生財務大臣の御挨拶のとおり、実質的にこの計画を推進していく立場にあるのは財務省だというふうに認識をしております。その財務省の長である財務大臣として麻生大臣から、改めて財政健全化に向けての決意をまずお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 政府としては、基本的に、先ほど安住先生からの御質問にもあっておりましたけれども、持続的な経済成長というものと、それをやっていくためには財政の健全化というものとを両方やらねばならぬというところが一番肝心なところだと思っております。これはG20でも、この点で、この十カ月かけてほぼそこに合意ということになってきております。

 本年の八月に中期財政計画というのを策定して、二十六年度及び二十七年度の各年度において、国の一般会計というものの基礎的財政収支を少なくとも四兆円程度改善するということを、その中期財政計画で決めております。これが一点です。

 このため、歳出面におきましては、いわゆる要求の時点から施策の優先順位というものを洗い出さないといけませんので、先ほど御質問があったように、うわっと出てくることは十分に考えられますので、そういった意味では、洗い出しをした上で、基本的に、十二月の予算編成に向けて、話し合って無駄をきちんと削減しつつ、歳出の削減に取り組んでいかねばならぬのは毎年のことではあるとはいえ、きちんとした考えに基づいてやっていかねばならぬということと、優先度の高いもの、例えば今、安心とか安全とかいろいろ言われておりますが、こういった優先度の高いものについては重点化を図っておくということは大事なところだと思っております。

 また、歳入面の方につきましては、消費税率の引き上げ三%というのをお願いさせていただいているわけですけれども、これを経済政策の中で、経済を成長させていって税収をふやしていくということも考えねばいけませんので、そういったところで、経済の成長戦略の推進等々によって、いわゆる日本の経済を強い経済、デフレ不況からの脱却というものできちんとした税収増を図っていかねばならぬと思っております。

 そういった上で、先ほど御質問があった中期財政計画の中身というのは、二〇一五年度までに二〇一〇年度に比べて赤字の対GDP比を半減させる、そして、その五年後の二〇二〇年度までにPB、収支を黒字化するということを財政健全化の達成目標といたしておりますので、その方向に向けて頑張りたいと思っております。

坂元委員 ありがとうございました。

 一般会計での四兆円の削減というところに関してもう少しお伺いをしていきたいというふうに思うんですが、先日の本委員会における御挨拶で、大臣は、消費税率引き上げに対応する新たな経済対策を実施するための平成二十五年度補正予算を、平成二十六年度予算とあわせて編成してまいりますというふうに御発言をされました。

 これでちょっと思い出すのが昨年度のことでございまして、平成二十四年度補正予算と二十五年度本予算を一体として捉え、このときは十五カ月予算というふうによく言われましたし、大臣もそのように発言をされたこともあったと思いますが、考え方としては、ことしも補正予算と本予算は一体的に機能させていく、つまり昨年度の十五カ月予算のような考え方として捉えてよろしいんでしょうか。

麻生国務大臣 御存じのように、平成二十四年度の補正予算に関しましては、安倍政権が発足してすぐ後、その前の月の二十六日に発足しておりますので、とにかく、普通ですとそのころまでに予算はもうでき上がっているはずなんですが、この内閣においてはそこから予算がスタートしておりますので、大幅におくれる。

 それはすなわち、政権交代によって経済がうまく連動しないとか予算がうまく切れ目なくつながらないとか、いろいろなことによって国民が、もしくは経済が影響を受けることを避けねばならぬということで、私どもとしては、とにかく成長につながる施策というものは全部動員するという勢いでやらせていただきましたので、二十五年度予算とあわせて編成して、切れ目のない執行に努めたところです。

 今後編成を行う平成二十五年度の補正予算につきましては、来年の四月以降の消費増税ということに伴う影響というものをなるべく緩和して、そして、その後の成長力の底上げとか、成長軌道に、早くもとに戻してやるとか、そういったために対応するものであって、目的というか背景が全然違っているとは思いますけれども、いずれにしても、異なる趣旨で編成されるものということは確かです。

 二十四年度の補正予算と二十五年度の補正予算とでは趣旨が異なっていると思いますけれども、その具体的内容につきましては、今から年末までの間に、いわゆる新たな経済対策の策定とか、また補正予算編成の過程でその細目につきましては検討していかねばならぬところだと思っております。

坂元委員 なぜこういった御質問をさせていただいたかといいますと、財政健全化というテーマの際に、昨年度の二十四年度補正と二十五年度本予算のときに大臣初め政府側の御答弁であったのが、この財政健全化というところに関しては、十五カ月予算というふうに言っておきながら、平成二十五年度の本予算だけを切り出して、四年ぶりに税収が公債金を上回ったというふうな表現をよく使っておられました。

 先ほど安住委員からの質問の中にもあったように、どうしても補正予算というものは財政規律が甘くなりがちというか、どうしても大盤振る舞い的な傾向があるというのは、私たち維新の会にも桜内委員を初め財務省OBの方も何人もいらっしゃいますので、そういった方々からもよく聞いている話であります。

 ですので、財政健全化ということを本当に考えていくためには、四兆円の圧縮というところに関しても、同じく補正予算に関しても徹底的に、先ほども言われたみたいに選択と集中で無駄を省いた、本当に機動的な有効な補正予算というものをぜひとも組んでいただきたいというふうに思っておりますけれども、この点に関して御意見を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 総じて補正予算の方が甘くなりやすい傾向にあるというのは、間違いなくそういう傾向にあることは確かだ、これはずっと言えることだ、私どももそう思っておりますので、これは十分注意の上にも注意をしておかねばならぬところだと思っております。

 いずれにいたしましても、この二十五年度の補正予算の中では、一番問題なのは財源ということになるんだと存じます。したがって、二十四年度の剰余金、いわゆる復興分を含めまして約二・八兆円ぐらいの剰余金が予想されております。また、二十四年度決算の税収が上振れするであろう。法人税等々、所得税等々、税収が上振れするといったことによって、今年度の税収の土台が〇・七兆ぐらい上がっていくであろう。これも、お答えしているのは予想ですから。

 また、今年度に組み込まれる予算の不用、いわゆる使い残しと称される分ですが、例えば金利がもっと上がると思ったら、御存じのように国債金利は〇・六ぐらいまで下がってきておりますので、そういった意味で、こういった使い残し等々を最大限に利用して財源を確保していくという考えでありますので、二十六年度の予算における一般会計の基礎的財政収支の約四兆円という目的とあわせて、財政健全化を進めていくという意味においてはこれが一番大事なところで、いきなり景気対策のために新たに国債を発行するということはできるだけ避けねばならぬところだと思っております。

 いずれにいたしましても、今、二十四年度の補正の点も言っておられましたけれども、私どもとしては、とにかく、安倍政権になって、何はさておきデフレマインドとかデフレ不況というものから一刻も早く脱却するという意識にならない限りは幾ら言ってもだめですと。みんなとにかく、来年になったら物が下がると思えば買いませんよ、そんなもの。僕は、そういうことになっていくという状況が十年も二十年も続いていったらとてもじゃありませんと。

 そういったことで、私どもとしては、いずれにいたしましても、二十五年度の予算においても、早急にやらねばならぬ、編成が間に合わない、まずは補正でやってつながにゃいかぬというような意識があったことは確かだと思いますが、財政規律というものは非常に大事な問題だと思っておりますので、財政健全化という意味で、今回もきちんとしたことを考えてやって、今御指摘を受けたように、補正予算が甘目になりやすいという傾向は努めてきちんと対応していかねばならぬ、私どももそう思っております。

坂元委員 今、財源のお話がありました。確かに、消費者というか国民のマインドを変えるというところでは、やはり安倍政権になって変わってきた部分はあると思っていますし、そこは私たちも評価をしているところでございますが、財源のところでどうしてもちょっと気になってしまうのが、ことしはこれだけ財源がありますからこれだけ使いますという発想ではなくて、後ほど我が党の田沼委員から財政健全化法案の話もあるかと思いますけれども、そこの中で我が党が提案しております、単年度収支を見直そうというところですね。これだけあるからこれだけ使いますというよりも、これが必要だからことしはこれだけ使ってこれだけ残します、それを次年度に残しますという発想がやはりこれからの財政再建の中で必要になってくるのかな、財務大臣に失礼な発言かもしれませんけれども、私はそのように強く考えておりますので、そういった長期的な視点の中で財政というものを運営していっていただきたいなというふうに考えております。

 少し視点を変えまして、我が党維新の会は、かねてより地方の自立というものを訴えて、財政的にも、財源そのものを地方に移していこうという、具体的には地方交付税制度の廃止と消費税の地方税化を主張してまいりました。

 中期財政計画では、「地方財政については、経済再生に合わせ、歳出特別枠等のリーマンショック後の危機対応モードから平時モードへの切替えを進めていく必要があり、歳入面・歳出面における改革を進めるほか、頑張る地方に対する支援を進める。」というふうにありますけれども、この地方財政の改革というのは具体的にどういった内容になるのでしょうか。地方の自立を促すような制度を考えていらっしゃるのか。まだ具体的には固まっていないと思いますので、方向性だけでも確認をしたいと思います。

古川副大臣 お答え申し上げます。

 地方財政の改革におきましては、成長戦略の推進などにより地方税収をふやすとともに、国の取り組みと歩調を合わせて歳出抑制を図ることとしているところでございます。

 また、リーマン・ショック後の対応につきまして、例えば地方交付税の別枠加算、これは、リーマン・ショック後に急速に悪化する雇用情勢等を踏まえ、平成二十一年度地方財政対策におきまして、臨時異例の危機対応として行ったものでございます。

 百年に一度の危機と言われましたあの当時と比べまして、雇用情勢等の経済状況も好転し、地方の歳入も消費税の税率引き上げ等によりまして回復する見込みであることもありまして、この地方交付税の別枠加算等の見直しは当然検討するべきものと考えております。総務省とも十分に議論をしてまいりたい、こう思っております。

 それから、もう一点お尋ねのありました地方に対する支援の具体的な内容ということですが、これは総務省の方で具体的な検討がなされているというふうに聞いております。

坂元委員 ありがとうございました。

 平時モードに戻していくというところと、国と歩調を合わせて財政健全化を図っていくというところだと思いますが、私の認識では、小手先というか昔に戻す、基本的には昔に戻すという方向ではなくて、やはりこれだけ地域地域の課題が異なってきた今の時代ですから、我が党がかねてより主張しています地方の自立というものを促していくために、後ほど田沼委員からそういったお話もあるかと思いますけれども、財源というか、税源そのものの移譲というものをぜひとも検討していっていただきたいなというふうに思います。

 時間が余りありませんので、次の質問に移らせていただきます。国債金利上昇への対応に関してです。

 政府との共同声明に基づき日本銀行が打ち出している異次元の金融緩和によって、日銀が新規発行分の約七〇%、これは約七兆円ですけれども、に相当する国債を現在買い上げております。

 これまで、いわゆる金融村といいますか、少数の大手メガバンクや証券会社によって国債が買われてきた中で、日銀が入ったことによって、流通市場での国債の取引が減少して、国債価格の変動リスクが上昇しているというふうに思います。

 金利の急騰リスクというものが明らかに以前に比べて高くなっているというふうに認識をしておりますが、この点についての財務省としての御見解をお願いいたします。

古川副大臣 国債市場の動向は、経済財政の状況や海外の市場動向、さまざまな要因を背景に決まるものでございます。その動向についてコメントすることは市場に無用の混乱を生じさせかねないということから、コメントは差し控えたいと存じます。

 ただし、一般論として申し上げますと、日本銀行が多額の国債買い入れを行うことによりまして国債市場に影響が生じ得るということから、日本銀行は、市場との対話をしっかり行うなど、国債市場の安定のために適切な対応に努められているものと承知をいたしております。

 政府としましても、今後とも、国債の安定的な消化が確保される国債管理政策に努めますとともに、中長期的に持続可能な財政構造を確立し、市場の信認を得ることのために、中期財政計画に沿って財政健全化の取り組みを着実に進めてまいりたいと考えております。

坂元委員 済みません。時間がありませんので、最後の質問にさせていただきます。

 私が想定している危機的な、国債の金利が一気に上がるというような状況以外にも、当然、景気が上がってくると金利も上がってきますし、国債金利も上がらざるを得ないというふうに思っておりますが、そうなると、国債の利払いがふえますので、中期財政計画に基づく財政再建の道というものも一層困難になると思います。

 がしかし、先ほど大臣からもありましたように、経済の再建と財政の再建というものは同時並行でやっていかなければならないものですので、仮に国債の金利が上がってきても財政健全化は揺るがない取り組みをしていくという御決意を最後に少しお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 坂元先生言われるとおりに、債務残高というものがGDP比の二倍程度に累増している事態というのは、大変厳しい状況にあることも確かです。

 ただ、我々が習ったような経済学と違いまして、今は金利が下がっているんですよね。どうしてですかねと聞いて、答えられる人は一人もいらっしゃらないんです。本来だったら、〇・八だったら一とか一・一とか上がっていくつもりで私どもは予算をと思っておりましたら、逆に〇・六まで下がってきたという事態、これは全く想定外のことで、私どもとしては、予想とは全然違っておりました。

 しかし、いずれにしても、今言われたように、利払い費が急増するというような事態になりますことは極めて、国だけの話ではなくて、国債金利が上がったりしますと、一般の市中金融等々にもいろいろ波及します。そういった意味で、いろいろなおそれがありますので、私どもとしては、中期財政計画というものを策定した上で、歳入歳出両方からきちんとその対応を考えていかねばならぬところだと思っております。

 いずれにしても、歳出面において歳出削減に取り組むと同時に、優先順位をもっときちっとつけて、めり張りをつけるというようなこともやらねばなりませんし、税収の基盤となりますいわゆる強い経済というものをやっていくためには、今後とも、持続的な経済成長が図れるような形というものを、規制とか税制とかいろいろな形で私どもは考えていかねばならぬところにあるんだ、そう理解しております。

坂元委員 時間が来ましたので、残りの質問に関してはまた後の機会とさせていただきます。ありがとうございました。

林田委員長 次に、田沼隆志君。

田沼委員 日本維新の会の田沼隆志でございます。

 きょう初めて財務金融委員会の質問に立ちますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 坂元委員から大分振られてしまいましたけれども、私は、もともと文部科学系で思いが非常に強くて、大臣と別の委員会でもお会いしましたけれども、ミスター教育委員会と言われていまして、教育委員会改革に非常に熱心に取り組んでまいりました。

 といいますのも、私の悲願は愛国心の復活であります。愛国心をきちんと育む、そういうことが実現できれば、大事なものはやはり無責任になれませんから、国を愛すれば、国の未来に対して無責任になれません。ですので、国を愛する心というのを非常に重視しておりまして、文部科学委員会で頑張っておりました。

 今回は財務金融委員会でございますが、今、財政的にも無責任な状態、言葉は過ぎますが、無責任な状態になってしまっているならば、それは許容できません。今の国家財政をこのまま持続できるかというのは非常に危機的な状況にあると認識しておりますので、その観点から御質問をさせていただきたい。

 あともう一点、やはり世代間の格差が今非常に広がってしまっていて、ボストン大学のコトリコフ教授が財政的幼児虐待だという言葉も使われておりますけれども、世代別の格差が非常に広がってしまっていることにも非常に懸念をしております。そういったことが改善できるような質疑をさせていただきたいんです。

 どうしてこうなってしまうのかなと市会議員のころからずっと思っておった、千葉で市会議員をしておりましたので。ちょっとこれも言葉が過ぎるかもしれませんが、現行の行政システムは経営になっていないなと。大臣は経営者であられましたので釈迦に説法なんですけれども、国家経営の意思決定システムになり得ているかなと非常に疑問があります。ですから、責任ある財政運営も難しいというふうになっていると感じるわけですね。

 例えば、民間でしたら、私もコンサルタントを二十代のころはやっておりまして、経営コンサルタントだったんですが、やはりまず数値目標を設定しますね。それをちゃんと実現できるように手段をいろいろ選ぶわけですけれども、それは行政でいえば政策なんだと思うんです。その進捗がちゃんと進んでいるかもチェックした上で、検証して修正する。PDCAですね。PDCAがあるのかなと、千葉市役所もそうでしたし、国家経営もそうですけれども、疑問がございます。

 まず、Pに関してですと、先ほど坂元委員のあれもありましたけれども、中期財政計画だと思うんですが、三年スパンで、八月に閣議了解された、二〇一五年にプライマリーバランスの、かつてよりも半減だということですが、まず、こんなに短くていいのかなという懸念があります。

 例えば、自民党さんが野党のころ、二〇一一年に出した財政健全化責任法案、そのままの法案があられました。二〇一一年二月八日に自民党さんが出されていますけれども、これだと、目標値の設定を十年スパンで出されていますね。なので、一応今の中期財政計画でもPBの二〇二〇年の黒字化のことも言っていますけれども、しかし、やはり明確なコミットメントは二〇一五年までだ。こういう短期でいいのか。

 あるいは、そもそも中期財政計画自身が閣議了解ですね。これは閣議決定でもないわけで、閣議了解と閣議決定の違いも私もまだ新米議員で知らなかったんですけれども、主務大臣は多分甘利大臣だと思うんです。経済財政担当大臣の甘利大臣の管轄であるけれども、重要だから一応閣議にかけたという御説明であるようですが、そんなに弱くていいのかな、これは絶対に内閣が総力を挙げてやるべきことではないかなというふうに思うわけです。

 それから、数値目標がプライマリーバランスしかないということはもう言いましたけれども、ほかにも、例えば資産とか債務の圧縮を目指すと明確に書いてしまったり、今はもう債務超過ですから、純資産を維持しよう、こういったことを明文化するべきじゃないか。

 さらには、本当に日本の財政運営システムのオーバービューを言うならば、やはり社会保障関連の、特に年金などが中心の、よく暗黙の債務と言われておりますけれども、七百五十兆円という識者の方もいますけれども、これも触れられていないということで、中期財政計画が今のままでいいのかということに非常に疑問がございます。

 このことに関してお答えいただければと思います。

麻生国務大臣 経営としてどうかというのが最初の質問、一番のところなんだと思いますが、会社におられたのかどうか知りませんけれども、おっしゃるとおり、会社というのは普通、決算が大事でして、予算より決算の方が大事なんだと思うんですが、ここだと予算の方が大事ですものね。僕はこのところに来て一番驚いたのは、決算委員会というのは全然開かないんですよね。全然誰も関心がない。正直一番驚いたのは、僕はこれでしたね。

 だから、おっしゃる疑問はぜひ持ち続けてもらいたいね。少なくとも三十年間持ち続けているんだけれども、なかなか、決算はやっと参議院の方で動くようになりましたよ。でも、この三年間、全然開かれていませんからね、決算委員会は。決算しなかったんですから。

 そういった意味では、やはり予算、決算でいけば、決算というのはきちんとしないといかぬ。経営という意味においては絶対、私もその意見に対しては賛成です。

 その上で、中期財政計画というもので、もう御存じのとおりに、二〇一〇年に比べて二〇一五年度、また一応二〇二〇年度までということで、私どもとしては対GDPの比率を安定的なものまで引き下げたいと。これが安定しているかどうかは別にして、私どもとしては、一応財政健全化の目標とさせていただいております。

 いずれにしても、私どもとしては、基本方針というものを閣議で決定して、予算編成に向けた基本的な考え方というのを示しているんですけれども、いわゆる中期的なものとか中長期的なものとか毎年度の基本方針とか、いろいろ予算の編成に当たっては国会で御審議をいただいているところなんですが、その際、単に毎年度の予算の中身だけじゃなくて、少なくとも中長期的な財政運営とか指針とか、そういったものの大所高所からの議論もいただいているところです。

 今、こういった財金に限らず予算委員会等々でも御質問をいただいたりするところなので、我々としては、その点は非常に大事なところなのであって、後世のことを考えてきちんと対応しておかないと、後世、歴史の評価にたえられぬということになりかねぬという点は、常に心しておかねばならぬところだと思っております。

田沼委員 きょうは政府参考人の方も来ていただいているので、多分今の質問に対して同じく何か御見解があると思うので、お答えいただければと思います。

豊田政府参考人 お答えいたします。

 中期財政計画におきましては、国、地方を合わせた基礎的財政収支につきまして、二〇一五年度までに二〇一〇年度に比べて赤字の対GDP比を半減し、二〇二〇年度までに黒字化するとともに、その後の債務残高対GDP比の安定的な引き下げを目指すとの財政健全化目標を掲げているところでございます。

 また、こうした目標への進捗状況を確認するために、内閣府といたしまして、二〇二三年度までの経済財政の姿を展望した中長期の経済財政に関する試算を作成し、経済財政諮問会議の審議の参考としているところでございます。

 政府といたしましては、このような取り組みも通じまして、デフレ脱却、経済再生と財政健全化の両立を図ることとしております。

田沼委員 まず、大臣の御答弁は非常におもしろくて、決算に対する関心が低いのは私も思います。これは多分、千葉市もそうでしたので、何か構造的な問題だと思いますので、後でまたちょっと議論させてもらいたいと思います。

 あと、今の内閣府の方の御答弁なんですけれども、それは知っているんですけれども、本当に中期財政計画というものが何が何でも実現できるかということを私は心配しているんです。民主的なコントロールというか、もっと言うと結果責任も含めてです。そういうことができるような力強い存在であってほしいというふうに思うわけで、だから閣議了解でいいのかという指摘もしたわけですね。あるいは、数値目標がこれだけでいいのかという指摘もしたわけです。

 ちょっと率直な質問ですけれども、私の市会議員のときの経験だと、行政はとにかく、特に計画系は絶対というものが少ない。一年たったら何かいろいろな変動があった、またもう一年たったら何かいろいろな要因があったということですぐ修正しちゃう。もちろん必要な修正はありますけれども、やはり守るべき目標は守らないとだめですよ。でないと、何のために頑張っているんだ、何のための計画だということになるわけですね。だから、やはり責任をはっきりさせないといけないと思います。

 国のPBを各年度で四兆円改善というふうに大臣の御挨拶でもありましたね。中期財政計画でもありますけれども、これがもしできなかったら誰がどう責任をとるのか、これは政府参考人の方にお答えいただければと思います。

豊田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御答弁申し上げたような取り組みも通じまして、政府といたしましては、デフレ脱却、経済再生と財政健全化の両立を図っていくということとしております。

田沼委員 いや、だから、誰がどうやって責任をとるのかという質問ですよ。財政健全化と経済成長を両立させたいと。わかりますよ。それは願望ですよね。だけれども、質問は、それができなかったら誰がどうなるんですかという質問ですよ。

麻生国務大臣 なかなか役人じゃ答え切らぬところだと思いますので、答え切らぬやつに質問したって意味がありませんので、答えられる可能性があるやつに聞いていただいた方がいいと思います。

 これは政府として責任をとるということであって、うまくいかなかったら誰が罰を受けるかといえば、安住が罰を受けるか、麻生が罰を受けるか、そういう話ではないのであって、政府としてきちんと実行していく、それをもって責任をとるというように考えないといかぬものだと思っております。

田沼委員 市のときもそうでした。千葉市全体で責任をとりますとか、この場合だったら内閣全体とかになるんでしょうけれども、全体でとなるとやはり曖昧に感じますね。実際、今までにいろいろなこういう計画があって、できたんでしょうかということに私は疑問があります。だから、何としても成功してほしいので、応援の意味もあって言っているんです。

 そう見ると、やはりこの中期財政計画が何ともちょっと危ないな、弱々しく感じる、失礼かもしれませんが感じるものですから、何としても実現をしていただきたいという思いで、ぜひ、この中身についても、これは内閣府の方かもしれませんけれども、再検討も含めて、していっていただきたいなというふうに思います。

 関連してなんですけれども、力強くこの中期財政計画を実現するためには、やはり国会ももっと関与させるべきじゃないかなというふうに感じていまして、先ほど大臣が言われていましたけれども、予算の中身がぼんと出て、決算もそうで、私も決算委員会にいましたから、ほぼ事業の中身の議論です。経営の観点での質問、質疑というのはほぼないかなと感じていますし、そもそも中期財政計画は、閣議了解であって、行政の内部文書にも近いわけですね。それから、経済財政運営と改革の基本方針、かつての骨太だと思うんですけれども、この骨太もやはり国会の関与というのはありませんね。

 結局、今、国会としては、いきなり完成形の予算が出てきて、それに対して、ふえたとか減ったとか中身がどうだとか、そういう議論になってしまって、オーバービューの議論というのが、あるいは、この予算がどういうビジョンでこれからのプライマリーバランス半減、黒字化に向けてつくられたのかという観点が弱いというか、非常にわかりにくいと感じます。

 まあ千葉市も大体そうなんです。どうしてこうなっちゃうのかなと思うと、やはり官僚主導型の編成になっているからじゃないかと感じるわけですね。やはり前年度予算をベースにして、それをどう増減させるか、あるいは思い切ってやめるとか新規をふやすとかいう査定しかできないわけで、義務的経費を例えば大幅に減らすとかそういうことは、政治決定に近くて、官僚主導であるとできないと思います。

 だから、民主党さんのときも予算の組み替えをするとか、あるいは、ばらまきはだめだといって自民党さんが政権をとられてもやはり巨大な予算になっちゃったりとか、もちろんいろいろ言い分もあるとは思うんですけれども、官僚主導型の予算編成ですと、どうしてもこうなるような気がしてなりません。もっと国会の関与を強めるべきじゃないかと感じております。

 具体的には、予算そのものがぼんと出る前の骨太、さらにはその前の中期財政計画、もっと本当は長い方がいいと思っていますが、そういったものを議決なりしてもらう、あるいは報告を最低限するという形で、国会も、ある意味で運命共同体というか、一貫して関与をしていって、初期のころから、予算は最後のアウトプットですから、最後のアウトプットの予算の前の段階からきちんと絡んでいって、この方針で予算をつくってくださいという賛同の議決をした上で出てくるというように、事前のプロセスからも国会が関与すべきではないか、その方が力強く推進できるんじゃないかと思うんです。

 その点に関しての御見解をお尋ねします。

麻生国務大臣 先生が言っておられることは多分予算の編成の国会の審議のあり方の話ですから、審議としては、こういったものを審議というような形になれば、私どもとしてはそれを答弁する立場にありますので、ぜひその点は、議会の中でそういった点を踏まえてということでやっていただくのが一番大事かなと。これは市議でも同じだと思うんです。議運でやっていただくなり、そういった形をやられないと、私の方からいきなりこういったものですなんて申し上げても、全然そんなことは聞いておらぬ、時間をとるだけじゃないかと大体言われてそれで終わりますので、それはきちんとしてやっていかにゃいかぬところだと思います。

 いずれにしても、中長期のものも、予算委員会等々ではいろいろな形でその種の御質問が、私の記憶では、これまでも何回もあったと記憶をしますので、そういったものをもっと、単年度比較ではなくて全体の中からという御指摘は全く正しいんだと思いますけれども、ぜひそういった形での御質問等々があるなりなんなりすれば、政府としてはそれに答えていくという形が一番いいのかな、今の現状においてはそう思います。

田沼委員 国会側の問題という部分ももちろんありますけれども、ただ、作成資料とか出すものというのはやはり行政側の見解というか姿勢もあると思いますので、ぜひ御検討いただきたいなと思います。

 とにかく、私としては、目標をきちんと達成したい、その一念です。その手段がもし違っても構わないんですが、ただ、行政の方だけでやっている今の現状ですと、どうしてもいろいろな状況の変化によって変わってしまうということが許されやすいように思えてならないわけですね。

 なので、やはり国会の関与を一貫して初期のころから深めさせて、もっと言うと、国会の審議のの中に財政的視点、会計的視点というのがもっと高まるような、そういう審議にもなるといいと思うんですけれども、それは国会側の課題でもありますので、ぜひ考えていきたいとも思います。

 それで、PDCAを冒頭お話ししましたが、今度はチェック・アンド・アクション、これが一番大事なところなんです。

 そこの部分で、先ほど鬼木委員も言われていましたけれども、私たち維新の会は、発生主義、複式簿記会計に改めていくべきだと思っております。今の現金主義の単式簿記だと、やはりいろいろな課題、今まで多くの皆様がるる議論されてきているとは思うんですけれども、負債の全体像が見えませんし、資産の方も現金以外は余りよく見えないわけで、非常に総覧性が低いままの財政検証。その財政検証も、決算委員会で財政検証的な議論をしているかちょっと疑問なところもありますけれども、そういう現状になってしまっていると思います。

 では、一応国の方で財務諸表をつくっているんですかといったら、ありますということで、国の財務書類というのをつくられていますね。これをつぶさに拝読もしましたけれども、結局、最終的には、検証となると各省別の政策評価とか行政事業レビューというふうになってしまって、検証としての、総額で数字がどう変わったのか、それがどう翌年度の規模とか予算の、例えば補助金が一・何倍になったからここは抑えていかなくちゃとか、そういうメッセージングにはなっていなくて、非常に細切れの検証を想定されているようなんですね。それで本当にいいのかなというふうに思います。

 この財務書類もつくられていますけれども、これはつくっているだけに近い。説明責任を果たしているということなのかもしれませんけれども、予算審議、決算審議の中で、提出もされてはいますけれども、議論の中心として審議されているとはちょっと思えないです。これがそもそも存在していることを知らない方もいるやに聞いています。

 ですので、総覧性がもっと高い財政検証ができるようにするためには、国の予算財務諸表、これは決算でしょうけれども、今の決算の方でも、やはり単式簿記、現金主義でなくて、決算財務諸表というのを作成して、それを中心に審議できるようにするべきだと考えるんですけれども、御見解を副大臣にお尋ねします。

古川副大臣 田沼委員から、無責任な財政運営であってはならないという観点から御提言いただいておりますことに感謝申し上げます。

 国の会計について、おっしゃるような考え方でやったらどうか、そういう御提案だったと思いますけれども、まず、国の予算につきましては、国民の皆様からお預かりした税金をこの一年の間にどのようにして使うのか、それを明確にお示しすること、そして、財政民主主義の原則というのがございますから、国会の議決を得るということが重要でございます。同じように、決算についても、どのように一年の間にお金を使ったかということを明確にして、国会の議決を得るということが大事なことだ、こう考えております。

 このように、国会による財政の確実なコントロール、そして国民にとってわかりやすいという観点からしますときに、一年間の現金の出納を網羅的に示す現金主義、発生主義ではなくて現金主義によって予算、決算を策定する方がすぐれているというふうに考えております。

 一方で、国の財務状況に関する説明責任、先ほど来委員が御指摘されております説明責任、そして予算執行の効率化、適正化に資する財務情報の提供、こういうことを目的といたしまして、御案内のとおり、平成十五年度決算分より、発生主義、複式簿記の考え方や手法によります国の財務書類を作成、公表しているところでございます。こうした情報もあわせて公表することで、国民の皆様にも我が国の財政の状況をさまざまな面から把握していただきたい、このように考えています。

 先ほどお示しいただきました説明資料、パンフレット、そのような説明資料等も種々作成をしまして、できるだけわかりやすい説明をということで心がけておりますけれども、なかなか十分な活用がなされていないんじゃないか、こういう御指摘だったと思いますが、引き続き、そういう財務書類等もあわせながら、国民の皆様にわかりやすい説明を心がける、こういう方針で努めてまいりたいというふうに思っております。

田沼委員 副大臣、十分使われていないじゃないかという指摘に多分納得していただいていると思うんですが、そのとおりと思うんですね。

 現金主義の方がすぐれているというのも、かつてはそうだったと私も思うんです、右肩上がりの成長で、お金の使い道が大事な、国をつくるときの時代ですから。でも、今はもう、収入の大幅な増、二倍とかそういうのもないわけですよ。それよりも、資産との関係で、資産効率性とか国全体の総覧性を考えながら、限られた財源、限られたお金をどう使っていくかという方にむしろなっていくべきだと思いますので、時代に合わせてやはり変えるべきじゃないかなと私はどうしても、大臣も経営者であられたのでそういう観点もおわかりいただけるのかと思うんですけれども、思います。

 なので、これをはっきり言って使っていませんよ、ほとんどの議員さんは、今までの予算審議、決算審議で。私の短い、まだ十カ月の衆議院議員ですからあれですけれども、でも、大臣も、三十年間決算にほとんど関心を持たれていないと言われるように、非常にまだ関心が弱いと思います。中にはいろいろいいメッセージになるような、例えばこの五年間で補助金が一・六倍になっているとか、債務超過がこの五年間にマイナス二百八十兆からマイナス四百五十九兆というふうに、危機的な状況に進んでいっているわけですね。見ればすぐわかるわけです。そういったこともきちんと踏まえていけるような審議を提案したいと思います。

 そろそろ時間となりましたので、私たちの方では、こういった発生主義、複式簿記会計化、それから国会の議決が一貫した関与をしているような予算との関係性を提起した財政健全化責任法案というものをさきの通常国会に提出しました。けれども、廃案になってしまったので、また出します。ですので、ぜひ委員各位にも真摯な議論と御賛同を賜りたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。

林田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 みんなの党の小池政就です。

 大臣、お久しぶりでございます。前回の通常国会から財金委員会ではもう四カ月あきまして、財務金融分野でもいろいろありましたけれども、本当に長くて、ふだん平和なうちの党でもいろいろありまして、本当に国会が開いてよかったなということを今かみしめながら、大臣にこれから質問をさせていただきたいと思います。

 この四カ月間、財務金融分野は、本当に多くのことが明らかになったり、また多くのことが政府から方針が示されました。その内容についてきょうは幾つか大臣に御確認をさせていただきまして、今後の取り組みについてともに議論をさせていただきたいと思います。

 まず、復興費用のいわゆる流用の問題についてお聞かせいただきたいと思います。

 この件は、復興につきまして、被災地のため、復興のためということで、増税を国民の皆さんに、所得税それから法人税、住民税、お願いしながら、開いてみれば、一部、目的外もしくは被災地外に使われていたということで、そもそも昨年の秋ぐらいから議論になっておりまして、前政権におきましても、去年、被災地以外では使わないという方針を示されました。それは、今回、政権交代されまして、自民党が政権を担っている中でもまだその状況が続いているわけであります。

 平成二十三年、二十四年度予算で一兆を超える資金が自治体の基金などを通じて被災地以外のところに利用されているということでありましたけれども、それでは、現状は、どの程度いわゆる流用の資金というものが不適切に使用されて、それに対して政府はどのような取り組みをなされたのか、お聞かせください。

麻生国務大臣 お尋ねのあっております全国向け事業を行う基金は十六基金あります。二十三事業であります。国からの予算執行額一兆一千五百七十億円につきましては、復興予算の使途の厳格化という観点から、執行済みのもの及び執行済みと認められるものを除きまして一千四百二十八億円につきましては、被災地または被災者に対する事業に使途を限定すること四百十二億円、また基金からの執行を見合わせ、国へ返還すること一千十七億円というものを、七月二日付で財務大臣及び復興大臣から基金を所管しておられる大臣に対して要請を行ったところであります。

 この結果、七月末時点で、国庫に返還済みのものが五百六十五億円、返還予定額が確定いたしましたものが百五十四億円と、返還要請後約一カ月で、全体の返還見込み額一千十七億円に対して約七割、七百十八億円が返還を見込まれるようになった旨を八月末に既に公表しておりますので、御存じのとおりです。

 これら以外につきましては、引き続き基金を所管する大臣に対して速やかな返還を要請しているところです。

 基金の所管大臣においては、基金設置団体との間で所要の調整を行ってもらうというのは当然のことなんですが、同時に、財務省及び復興庁においてもその状況をしっかりフォローして、早期の返還につなげていきたいと考えております。

小池(政)委員 この件は、中身の問題というのも当然あります。使われ方として、復興費が、私は静岡なんですけれども、なぜか中部電力の支援にも使われていたり、被災地と遠く離れた屋久島のウミガメの保護に使われていたり、鹿児島のジャンボタニシの駆除、ひどいのは、震災瓦れきの受け入れに関しましては、検討しただけで百億円近く交付されていたりということで、納税者にとってみればこれは裏切りじゃないかと思われても当然でありますし、また被災地の方々にとってみてもこれは非常に落胆するような出来事でもあります。自民党議員の方も、特に野党時代、被災地の方はこの件に対して非常に頑張って取り組んでいらっしゃいました。

 また、この件に関しましては、実際に交付される方の方々、民間業者の方々なんですけれども、その方々からも声が上がっています。

 この件で私も一番最初に声をいただいたのは静岡、地元の民間の方からであったんですけれども、多分皆さんも御自身の地元で声が届いているんではないかと思っております。ことしの六月でありますけれども、森林関連で基金からの事業がありまして、それに応札して契約をとって、その計画に基づいて設備投資も進めていたところ今回の問題というのが明らかになって、また、それについて返還請求を政府が行うということになりましたので、その方は大変慌てふためきまして、それで私の方に声を届けてくれました。

 その基金は森林整備加速化・林業再生基金。これは全国四十道府県に交付されまして、ことしの三月末では七割以上が未執行でありました。ちなみに、静岡は八割以上が未執行でありました。

 このように、自治体を経由して、やはり受け取る側の民間にも大きな影響があるという問題であります。

 この際、大臣また復興担当大臣が連名で関係閣僚に返還請求されていますけれども、実際に、返還請求をされた際に自治体側から、もしくは御自身の地元等も含めまして、どのような反応があったか、また声をいただいたかということをお聞かせいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 どのような声が上がったかという話はちょっと。あらかじめの段階で質問が出されておりませんので。今言われておりますから。

 九州はさすがにそういったものに関しましては、かなり距離もありますので、屋久島の例を引かれましたけれども、私どものところに主にそういった森林関係のものが特にあったという話を聞いたわけではありません。

 ただ、極めて短期間の間に大きな工事が発生しますので、私どもの地方から大量に建設業の従業員というものが一挙に町から仙台等々、東北地方に移転することになって等々の話はよく聞かされて、いきなり、おやじがいないけれどもどこへ行ったと言ったら、今は仙台へ行っていますとかなんとかいう話が、やたらそういった話を聞かされたのが直接なところぐらいなものです。

小池(政)委員 恐らく、相反する声といいますか、被災地もしくは納税者の方々からは当然だ、やってくれという声の一方で、先ほどの交付をいただく民間の方々からは返還請求は困るというような声、その相反する中で取り組みをされていたのではないかなと思っております。

 その際、今回の返還請求なんですけれども、どんな権限で財務省はこの請求を出せたのかということをお聞かせいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 どんな権限でと言われると、予算をきちんと執行しているか執行していないかというのを管理する立場だと存じます。

小池(政)委員 これは大変答弁に苦慮されると思いますけれども、当然、違法ではない使われ方をしているわけでありますから、なかなか政府の方からも強制力を持った返還請求というのは難しかったのではないかなということを推測しているわけであります。

 そのために、結果といたしましても、国庫に返還されたのはわずか五百六十五億円ということでありまして、当初は、流用といいますか被災地以外に使われていたのが二兆円近くあったんじゃないかという中でも、結局戻ってきたのが本当にわずかであるというような現状があるのではないかと思っております。

 そういう件で、やはり後でこういう問題というのは発覚しても非常に請求が難しい。そもそもチェックすることの難しさというのもあるのではないかと思っております。

 今回、法律に基づきましてその定義を解釈する際にも、流用の意図がなくても、これに沿っているんじゃないかということで使ってしまったら、実はそれが客観的に見ておかしいということを言われて、結局このような問題になっているということもありますし、また、意図があったとしても、結局、それが発覚されて、それによって返還請求が出されるまで、本当にイタチごっこのように労力も使われてしまうということもあります。

 また、制度といたしまして、複数年度にわたって事業が遂行される基金に回されると非常に調査しにくいということもあろうかと思いまして、今回も、先ほど大臣が方針を示されたとおっしゃっておりましたけれども、その後でもまた報道されていたのが、今回の二十五年度予算におきましても、基金が自衛隊の装備品購入という形で、復興、被災地に関係ない形でまだ使われているというような報道もなされています。

 そういうことから、心情的にも経済的にも、被災地の人たちや、また納税者、そして受け取る業者にとっても非常によくない問題であって、また、これは政治の信頼面におきましても非常によくない問題だと認識しております。

 この問題をさかのぼっていきますと、そもそも法律にたどり着くわけであります。法律の制定の経緯というものを見ていかなければならないと思うんです。

 東日本大震災復興基本法、これは、内閣提出法案が出された後、当時、民自公の三党合意で変更がされました。その三党合意の過程におきまして、目的、基本理念、対象地域それから施策というものがどんどん拡大していったという経緯があります。

 例えば、目的におきましては、「活力ある日本の再生」という文言が追加されました。基本理念におきましては、「活力ある日本の再生を視野に入れた」という改正になりました。地域は、被災地域だったのが東日本、それから日本という形で広がっていきます。それから、施策におきましても、少子高齢化、人口の減少、国境を越えた社会経済活動の進展への対応、食料問題、電力その他のエネルギー利用の制約、環境への負荷及び地球温暖化問題等、もう本当に何でもありという形になってしまったわけであります。

 結果として、昨年の秋から問題が発覚して、先ほどから申し上げていますように国会でも議論が行われまして、当時は、衆議院の決算行政監視委員会で、このあり方の改善を求めるという決議がされました。

 また、その後に事業仕分けが行われまして、政権としても、基本的な考え方といたしまして、当時、三十五事業、百六十八億円の予算執行の見合わせが行われた次第であります。ただし、このとき基金は対象外となりました。これは、政権がかわっても、攻守が入れかわって、あれがおかしい、これがおかしいという議論がまだ散見されます。

 昨年は、森まさこ自民党議員が決算委員会におきまして、「この復興予算、執行の責任は民主党政権にあるんです。」という形で、強い口調でかなり非難されておりました。

 それが、政権交代されて、ことしの四月二十五日の予算委員会におきましては、今度は民主党の蓮舫さんが森大臣に、当件におきましても逆襲という形で非常に、今回は政権交代があったんだから、自民党もこの問題をもっとしっかり取り組め、基金も廃止すべきじゃないかというような議論がなされていました。

 このような問題が続いているわけでありまして、幾らチェック体制を強化したとしても、そもそもの器がざるの状態でありますから、幾らざるの網目を細かくしても、やはり漏れるものは漏れるわけだと思うんです。

 ですから、この対策として、ざるをボウルにかえていくような、そんな努力が必要だと思っているんですが、大臣いかがお考えでしょうか。

麻生国務大臣 復興予算につきましては、全国向け予算に対する批判とかいろいろなことがあるんだということで、どのように政府として取り組んでいるのかということがいろいろ言われた中の問題点なんだと思うんです。

 二十五年度の予算案の中を見ていただければわかりますが、使途の厳格化を図るということで、全国向け予算は原則全廃ということになって、例外として、巨大津波による被害を受けて新たに認識された技術上の課題に対応するための防災事業、子供の安全確保に係る学校の耐震化事業、そして国庫債務負担行為に基づき既に契約されておる歳出化の経費などに限って計上するという形にしておるというふうに御理解いただければと存じます。

小池(政)委員 私は、そもそも東日本大震災復興基本法また特会法につきましても、やはり見直す必要があるんではないかということを思っております。

 また、この問題は、当件だけではなくて、やはり同じような仕組みはこれから、政府が決定されました来年からの消費増税の仕組みにもつながってくるわけでございます。

 消費増税におきましても、社会保障のみに使うというようなことを前提とされていますし、また納税者もそれを前提として信じているわけでございます。それが担保されなかった場合にまた大きな信用を失ってしまうということをやはり私たちは危惧しているわけでありますし、これまでも予算委員会等でそういう審議はなされておりました。

 この流用の件というのは、では、これからどれくらい続くかということを考えますと、問題の火種は、恐らく復興特会の歳出が続く限り、これは復興庁が廃止される平成三十二年度末までということでありますけれども、復興期間は十年という形で定められているわけであります。

 ただ、大臣は、復興費用におきましては、当初十九兆円だったのを、今度は、六兆円ことし上乗せされまして、総額二十五兆円という形で決定されました。五年間ということでございます。

 ただ、既に、二十三年、二十四年度、予算ベースでは十七兆円、ことしは四・三兆円ということで大体二十二兆円ぐらい、それから、来年の復興予算の請求におきましては今三・六兆円ぐらい出ていますので、これだけで二十五兆円ほど行ってしまうことになるわけでありますが、この二十五兆円、これからどうするんでしょうか。またふやすんでしょうか。

麻生国務大臣 復興関係の予算ということになりますので、今言われておりますような状況がこのままであれば二十五兆ということでおさまる予定ですけれども、現実問題として、今からどういうものが復興関係で出てくるか。今からやっと片づく話というのもこれから幾つか出てくる可能性は考慮しておかなければならぬと思いますので、十九兆ではなくて二十五兆にしないと現実問題としては無理だということを考えて、二十五兆にさせていただいております。

 問題が解決しました、はい、これで両者で話し合いがつきましたというので、これでやっと決着というのが今から出てくる可能性というのはゼロではないと思っておりますので、そんなときには、当然、それに関しましては、被災者の方々の立場を考えたら、そこのところは予算化すべきものが出てくる可能性は十分にあると思っております。

小池(政)委員 まだふえる可能性もあるかもしれないということでありますけれども、ただ、それが決まっていない段階で復興法人税前倒しというのは、ちょっと拙速ではないかなということを思います。

 当然、国民の負担というのは下げていかなければならない。一方で、復興というのも大事だということもわかります。

 また、今回、復興増税、復興費用に関しましては、私は、無理にふやす必要もないという要素がまだあるんだと思っております。それは、一つは、この流用問題を改善して、本来の被災地向けの財源を拠出する。また、そもそも、きのう会計検査院から出されましたけれども、復興基金が非常に余っているというような現状もありますので、そういうものをしっかりと見据えていただきまして、この復興費用につきまして、また復興増税、それからこれからの復興法人税の取り組みにつきましてもしっかりと考えていただきたいと思います。

 時間になりましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

林田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 きょうは、復興関連税制についてお聞きしたいと思います。

 まず、確認をいたしますが、復興特別法人税で企業も負担を分かち合っていると言われますけれども、その実態は、実質五%の法人税の減税を恒久的にまず行って、初めの三年に限って同等の付加税、復興特別法人税を課すという仕組みですね。ですから、最初の三年間、それは以前と比べて企業に実質的な負担増はない、こういう仕組みだと思いますが、確認をしておきたいと思います。

古川副大臣 お答えいたします。

 経緯としては、そのとおりでございます。

佐々木(憲)委員 その一方、国民の側から見ますと、所得税は、二十五年間、つまり、二〇一三年一月から納税額に二・一%を上乗せする税であります。住民税は、十年間、すなわち、二〇一四年六月から個人住民税に年間一千円を上乗せする、こういう仕組みになっているわけですね。

 もともと、連帯して負担を分かち合うと言いながら、個人には、実質的に増税になっております。企業は、実質的に増税ではない。その上で、三年後に法人税を減税すると言っていたものを、今、前倒しで、二年で減税をいたします、こういうことを検討しているというわけですね。これはどう見ても私は不公平だと思うんですよ。

 麻生副総理にお聞きしますけれども、九月二十日の記者会見で、法人だけ下げるというなら、なかなか世間は通りにくいだろうな、こういうふうに述べておられますが、今でもこの考えは同じですか。

麻生国務大臣 私の感想を述べた点について、それが言質をとりたいというつもりで言っておられるのかどうかよくわかりませんけれども、基本的に感情論としてはそういった感情が多いというのは、先ほどの安住先生の質問やらその他の方々の質問も同様の趣旨だと思いますので、共産党、佐々木憲昭さんに限らず、多くの方がそう思っておられるのかな、私自身はそう思っております。

 ただ、これは一応、今、十二月までの間に検討することになっておるという状況であることも御理解いただければと存じます。

佐々木(憲)委員 そこで、与党の民間投資活性化等のための税制改正大綱、与党税制大綱ですけれども、そこには「足元の経済成長を賃金上昇につなげることを前提に、復興特別法人税の一年前倒しでの廃止について検討する。」というふうに書かれておりまして、その上で、「復興特別法人税の廃止を確実に賃金上昇につなげられる方策と見通しを確認すること等を踏まえたうえで、十二月中に結論を得る。」と書かれております。

 非常にわかりにくい言い方なんですが、これはなぜこんな文章を書き込んだんですか。

古川副大臣 お答えいたします。

 委員御質問は、二十五年十月一日の閣議決定の内容ということでございますが、御案内のとおり、賃金上昇と申しますのは、主体的にそれぞれの企業が行うものでありまして、財務当局あるいは税務当局が直接的に何かができる、そういうものではないのでございます。

 しかし一方で、政府として取り組んでおります今回のこの対策の中で、賃金の上昇というのは大変大きな要因を担っておるわけでして、経済産業省でありますとか他の関係省庁とのさまざまな協力のもとに政策目標を達成していきたい、こういう観点からこのような文章ができておるものだと考えております。

佐々木(憲)委員 政府として直接できるものではないと言いながら、確実に賃金上昇につなげられる方策と見通しを確認する、こういう前提になっているわけですね。

 この方策と見通しというのはどうやって確認するんでしょうか。

古川副大臣 この閣議決定の文章そのとおり、具体的にどうやって確認するかということはこの文章の中に書かれておりません。十二月の結論を目指す過程において、さまざま議論をされていくものだろうと思っています。そして、第一義的には、先ほど申し上げましたように、経済産業省でありますとか直接的な政策にタッチし得るところが中心になって何らかの方針を示してくれるものだ、このように考えております。

 私どもとしては、その議論を見守り、待ちたい、こう思っております。

佐々木(憲)委員 どうもはっきりしないんですけれども。

 十月のロイター企業調査というのがありまして、報道によりますと、復興特別法人税が前倒し廃止となっても、その分のキャッシュフローを賃金に振り向けると回答した企業は五%にすぎません。一番多いのは、内部留保にとどめる、これが三〇%に上っているわけです。これでは確実に賃金上昇につながるということにはならないと思うんですね。

 これは、十二月までに具体的な方策と見通しを確認しなければならぬわけです。これはなかなか大変だと思うんですが、どうやってやるんですか。企業にお願いするだけではなかなかそうはならないと思うんですが、いかがでしょう、大臣。

麻生国務大臣 これは、日本は共産主義じゃありませんので、全体主義でもないし、社会主義でもないし、政府が企業に対して給料を幾らにしろなんということを言える立場にないのはもう御存じのとおりです。

 したがいまして、私どもとしては、政労使という場で、関係省庁などでこの廃止を検討する趣旨を、これは趣旨がわかってもらえないと法人税だけ前倒しで廃止されたとしても、その趣旨を理解してそれに対応していただきたいということを引き続き申し上げて積極的に要請をしておりますし、現実として、ベアで応えられようとしている企業がそこに出られた企業で出ておりますので、それなりの効果は上がっているとは存じます。

 いずれにしても、私どもとしては、引き続き、強制力を発揮するわけではなくて、いろいろな形でお願いをさせていただく。少なくとも賃金上昇に結びつかないとなかなか御理解を得にくいところでもありますし、加えて、賃金上昇というものが出てこないと消費税が三%上がったのに対応するということも、実質賃金というものは一九九五年以来下がっておりますので、そういった意味では、きちんとそこのところは対応しなきゃいかぬところだ、私どももそう思っております。

佐々木(憲)委員 大体これまでも法人税は下がってきているわけですね。内部留保もどんどんふえているわけです。そういう状況でありながら、賃金は下がり続けているわけですね。

 やはり、なぜそうなっているのかということをよく究明しないといけない。ただ法人税を下げたら賃上げにつながりますよということにはならないわけでありまして、私たちから言わせますと、お願いベースではだめだと思うんですよ。やはり制度そのものを改善していくということをやっていかないと。

 例えば、中小企業に対して、国の支援を強めながら、最低賃金を時給千円に引き上げるというようなことをやる。あるいは、今賃金が下がり続けている一つの要因として、非正規雇用の賃金が非常に低い、その非正規雇用がどんどんふえてきている、こういうのがあるわけですね。

 したがって、雇用の法制度上の問題ですね。例えば、非正規雇用の待遇の改善、さらに、非正規雇用の方々が正規雇用に転換できるような仕組みを法的にどのようにつくっていくか、こういうことをやるのが政府のいわば方策なわけですよ。それをきちっとやるということがなければ、実際にこの減税が賃上げに直結していかない、そういうふうに私は思うわけです。

 したがって、これは、もし十二月まで、あともう一カ月少ししかありませんけれども、この間に方策が見つからない、確証が得られないという場合には、こんな不平等な、こういう減税はやらない、前倒しはしない、そういうことになるわけですね。

麻生国務大臣 復興特別法人税の前倒し廃止ということの検討につきましては、賃金を確実に上昇につなげられる方策と見通しを確認することなどを踏まえて十二月中に結論を得ると閣議決定になっておりますね。その閣議決定に沿って対応していくことになろうと存じます。

佐々木(憲)委員 などというのが強調されて、何か含みを持たせて言っているようですけれども、これは確認するということが前提のはずなので、それはちょっと私は無理だと思うんですよ。だから、こんな前倒しなんてやめた方がいい、このことを申し上げたいと思います。やるなら、抜本的に賃上げの方策を堂々と政策として実行していただきたい。

 次に、現地の復興支援、これと税制との関連についてお聞きしたいと思います。

 安倍総理は、十月十五日の所信演説でこう述べました。「東日本大震災からの一日も早い復興に向けて、取り組みをさらに加速してまいります。」「果敢にチャレンジする企業を安倍内閣は応援します。」

 当然、麻生大臣もこの考えと同じだと思いますが、確認をしておきたいと思います。

麻生国務大臣 その定義を、ちょっともう一回、あれですけれども、チャレンジする企業を応援していく、それは当然です。

佐々木(憲)委員 そこで、具体的な事例を紹介したいと思います。チャレンジしている企業が一体どういう状況にあるか。

 岩手県に、三陸漁業生産組合というのがあります。この組合は、もうかる漁業に変えないと復興しても担い手がいなくなるという思いで生産組合を立ち上げて、生産から加工、販売まで手がける第六次産業化にチャレンジしているところであります。

 三陸漁業生産組合は、東日本大震災後の昨年五月十七日、岩手県大船渡市三陸町で、十名の漁師で設立されております。この組合は、公益財団法人ヤマト福祉財団から約一億八千万円の寄附を受け、製氷機、高性能冷蔵庫を備えた加工場を建設いたしました。

 ところが、翌年の税務申告で、この寄附が収入とみなされるということで、二〇一二年分の法人税など、合計約千六百万円が課税されたということなんです。昨年度の実質的な利益は、わずか約二百万円です。組合を立ち上げた途端に、まだ利益がほとんど出ていないのに税金だけがどおんとかかってくる、こういうわけですね。出ばなをくじかれるわけであります。

 そのために、何とかこの税金を払おうということに今度は苦心惨たんでありまして、組合員の皆さんは、漁具の購入のために残していた二千万円を税金に充てるということで、そうなると、設備投資とか運転資金が今度は不足してくるわけです。経営が非常に苦しくなっているわけなんです。被災した組合員の中で、例えば家を建てるために資金をためていた方がそれを拠出して、お金を出し合って、資金繰りを何とかしようとしているところでありますが、これは、復興どころか、この税制のために、復興の足を引っ張っているんじゃないかということで、現地のこの組合員の方は非常に怒っているわけです。

 まず確認しておきたいことは、国や県などの自治体からの補助金、助成金の場合は同じような仕掛けになっているのかどうか、そこを確認しておきたいと思います。

麻生国務大臣 佐々木先生、これは、いわゆる被災している法人と新設法人の差というのが出てきているんだと思うんですね、基本的には。

 被災している法人ですと、今まで持っていた分のいわゆる負債が起きますので、それと相殺するというようなことはできるんですが、新設だと、一億七千万円というものは、丸々、法人として新設ですから、それは収益と同じことになりますので、これは益金としていわゆる課税所得というものを計算されるということになるんだというように、今の場合も、これは支援金であろうと同じ扱いになろうと存じます。今、新設法人の場合はいわゆる納税が生じることになるんですが、これは、法人が事業により得た収入と外部の団体から受けた支援金で、支援金のみを特別扱いするというのは困難だ、基本的にはそう思っております。

 ただ、これは、このヤマト法人から受けられた岩手の方々のところを詳しく知っているわけではありませんけれども、復興特区というような形にみなされている地域であろうと思いますが、そういうところでは五年間無税というような税制も用意されておりますし、いろいろな対応はできるんだと思います。復興特区の税制とか、準備金の額を限度として新たに取得した建物については即時償却ができるとか、いろいろな形で行うことは可能なものですから、いわゆる個別の例ですけれども、私どもとしては、基本的にはそういった形で、復興支援をするために外から、全く善意の第三者からそこに支援金が行っているからといって、それは益金じゃないですねとはなかなか言えないんですが、それをもらったときには、それに今申し上げたようないろいろな制度というものを利用していただけるということになろうと存じます。

 今、個別の例ですので、ちょっとその現場がよくわかりませんので、それ以上お答えのしようがありません。

佐々木(憲)委員 私が聞いたのは、国や県などの補助金、助成金の場合は別枠なんです。これは、税金ではないものですから、もとは寄附金ですから、扱いが変わってくるわけです。

 今言われたように、いろいろな方策というものがあると言いますけれども、実は、圧縮記帳のようなやり方というのは適用されないわけであります。特区で特別償却が一応認められていると今説明がありました。配付資料でもわかりますように、設備投資は一〇〇%、建物、構造物が二五%しかないんですね。全ての投資が一〇〇%償却できるわけではありません。

 このヤマト福祉財団というのは、この資料のように、財務省が告示で指定した七つの指定寄附金の対象の一つであります。この指定寄附金の対象になっている以上、この仕組み上、何か、税金とは違うからという理由でここだけ外してというのではなくて、やはり支援をするというのであれば、財務省が指定した財団のようなところからの寄附は税と同じようにみなして扱う、こういうふうにしていくのが本当の支援じゃないでしょうか。

 何か、一般の寄附と税金とは区別した仕掛けにすること自体が今回のような状況を生み出しておりますので、ぜひ仕組みの面でよく検討していただきたいというふうに思います。

 財務大臣、最後の御答弁をお願いしたいと思います。

麻生国務大臣 これはもう既に調べられた上でのお話だと思いますので、圧縮記帳の制度と言われましたけれども、これは補助金に限られておりますので、支援金は対象とはならない、もう御存じのとおりです。

 したがいまして、そういった意味で、これだけ、支援金のみを特別扱いしろというようなところがなかなかできないものですから、先ほど申し上げたような形で、特区にあってはというような形で税制、制度を考えたということでありまして、いわゆる再投資準備金として積み立てた場合においては五年間無税としますとか、いろいろな形で今そういったものをつくっておるところであります。

 いずれにしても、こういった形できちんとして、そこだけ別というので特区というのも考えましたけれども、それ以外に、全般にわたってと言われると、これはなかなか、支援金だけ全部別とか被災地だけ別とかいうとまたいろいろ話が難しい面も出てきますので、私どもとしては、こういったものに関しましても、被災しておられる方々にとって力になれるような方法というのは基本的な考え方で持っておりますので、いろいろな面を今後とも考えねばならぬところもあろうと思いますけれども、今現在でと言われれば、お答え申し上げたとおりということになろうと存じます。今後の検討課題にはなろうと存じます。

佐々木(憲)委員 チャレンジする企業を支援するというのが方針ということですので、チャレンジの出ばなをくじくような仕掛けがあればそれを是正していくというのは当然だと思いますので、今後の検討を期待したいと思います。

 以上で終わります。

林田委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 きょう、私は、主に三点について御質問をしたいというふうに思っております。

 一点は、中小企業金融円滑化法終了後の金融監督について、もう一点は、悪い物価上昇が中小企業、零細企業そしてまた家計に及ぼす影響について、三点目は、インターネットを通じたオンラインコンテンツへの消費税制の整備についてということであります。時間によって質問の順番を変えさせていただくかもしれませんので、よろしくお願いしたいと存じます。

 まず、これは、さきの五月の議会で大臣にお尋ねしたときに、七月以降、参議院の選挙が済んだ後また一遍聞いてくれ、こういうことでありましたのでぜひお伺いをしたいのですが、その内容は、言うまでもありませんけれども、中小企業金融円滑化法の終了した後、倒産関連がどういう数値になっているのかというところをお聞きしたいというふうに思います。

 この前提は、いわゆる金融円滑化法が終了をして、倒産予備軍が一説によると数万社あるというようなことも言われておるわけでありまして、そういったところを私は非常に注視する必要があるんじゃないかということで、お聞きしたいと思います。

 五月のときの質問は、参議院の選挙までは中小企業の倒産がふえないようによろしく頼むよということを、金融庁や経産省の幹部の皆さんが自民党の皆さんから顔を合わせるとこういう声をかけられる機会がふえてきた、そういったことが載った記事がございました。このことについて大臣の見解を伺ったわけでありますが、冒頭申し上げましたように、七月までの結果を見てもう一遍質問をしてくれ、こういうことでありましたので、お答えいただきたいと思います。

麻生国務大臣 いわゆる中小企業円滑化法の期限が到来した後、中小企業の資金繰りの状況についてですけれども、これは、関係省庁、中小企業庁等々を含めまして実態把握を行っておりますが、大きな変化は見られていないということであります。

 これは、九月に公表した監督方針において、金融機関に対して、成長分野と思われるようなところに関しては、新規融資を含めて積極的な資金供給を行う。いわゆる成長分野と言われても、何が成長分野かわからぬというような金融機関だってありますし、担保がないからといって、全て担保至上主義みたいになってもなかなか運転資金としては回っていきませんので、そういった意味で、ぜひ、資金供給を積極的に行うこと。

 それから、中小企業の経営改善とか体質の強化とかいうものに関しましても、支援というものを本格化しないと、単に金だけ貸して、金利を取って貸しているだけではなくて、同時に、どういったようなことをすればもっと経営として強化されるか等々のいわゆるコンサルティング的なものも含めて中小企業の金融というものについては努めていかないと、単なる金貸しじゃだめよと。ちゃんと資金を使った結果、その企業が大きくなるなり成長するなり強化されるなりというようなことになっていくような方向に、経営改善の支援に努めるように、私どもとしては、各金融機関に対して促しているところであります。

鈴木(克)委員 確かに、大臣おっしゃるように、全体的には倒産件数が減ってきておる。七月、八月、九月のデータを私も見てまいりましたけれども、確かにそうなんですね。

 ところが、その陰と言うとあれなんですが、非常に内在された問題があるということで、二点目の質問をさせていただきたいんです。

 要は、今までお金を借りていた、支援を受けていた企業が、当然のことながら計画をつくるわけですよね。その計画に基づいて金融庁は支援をしてきたわけですが、その計画がなかなか実行できないという企業もあるわけですね。

 そういう企業が、帝国データバンクの調べによると、九月の金融円滑化法利用後の倒産が六十一件に上り、月ベースとしては過去最多を記録した、また、集計開始以降の累計件数は千三十件となり、一千件を突破したというふうにあるわけです。先ほど申し上げましたように、このことは、再建計画を実行していくということがいかに難しいかということになるわけであります。

 もちろん、計画を立てた以上、その計画に沿って実施をしていくというのはある意味では責務かもしれませんけれども、しかし、そこにはやはりそうできない事情もあるわけでして、その辺のところ、先ほど、支援をしていくというのが金融の大きな責務である、新規融資というのはまた別としましてもということである以上、やはり、紋切り型に、計画どおり進んでいないからこれはだめなんだというような、ある意味では冷たい金融政策ではない、そういうものを、経営経験のある大臣のもとで、金融庁は、銀行その他について、金融機関に対して指導していっていただきたい、私は、こういう意味で、二問目の質問をさせていただきたいということであります。

麻生国務大臣 重ねて申し上げますが、今の御指摘の帝国データバンク、ほかにも東京商工リサーチとかいろいろございますけれども、いずれにいたしましても、企業全体の倒産件数から見ますと、これは大体五%ぐらいの比率で、極めて限定的だと思っております。

 加えて、三年四カ月にわたりまして、いわゆる円滑化法というものが施行されて以来、そもそも円滑化法を利用している企業が累積しておりますから、企業数が累積して拡大しているということもあわせて御理解していただいておかねばならぬところだと思っております。

 しかし、今おっしゃいましたような、それぞれの企業で計画どおりいかないというのは、これは経営をやっていればよく起きる話ではあります。いずれにしても、そういった点を踏まえて、だから、金融庁としては、中小企業をいろいろな形で金融面からサポートしております中小のいわゆる第二地銀、地銀、信用金庫含めて、会社に単に金を貸しているだけではなくて経営改善ができるようにと。これは売れないけれども、相手も調べたら、そこは実はもう一個上のところからおりてこなくなったから結果的に孫請まで仕事が行かなくなったとかいうような話はよくある話なので、そういった意味で、今後とも、そういった点も調べた上でいろいろな形で取り組みをやっていかねばならぬものだということで、コンサルティングの話をさせていただいているというのが背景であります。

鈴木(克)委員 この質問の最後にさせていただきますが、大臣はよく、金融処分庁ではなくて金融育成庁となれということをおっしゃっておるというふうに聞いております。まさに大事なのはそこでありまして、今おっしゃったように金融機関等がいわゆるコンサルティング機能を十分に発揮して、そして中小企業に対して支援をしていくという体制をぜひ強めていただきたい、このように思っておるわけであります。

 いま一度、中小企業・零細企業に対する大臣のといいますか金融庁の方針、指針を、ぜひひとつ重ねてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

麻生国務大臣 日本にあります企業の約九十数%がいわゆる中小零細・小規模企業ということになろうと存じます。そこの中小・小規模企業が活力を持たない限り、日本の経済、なかんずく地方経済はなかなか活気を呈してこない、私はそう理解をいたしております。

 したがいまして、その地域にあります中小・小規模企業の活力を維持もしくは再活性化させるために、地方の金融機関が負っている任務というのは極めて大きい。したがって、単に金を貸すだけではなくて、金融庁としては、金融機関を育成すると同時に、金融機関は自分で貸付先の企業を育成するなり、そういう発想を持って事に当たるというような対応をしていってもらわなければならぬ、私もそう思っております。

鈴木(克)委員 ちょっと質問の順番を変えさせていただいて、消費税の関連でお伺いしたいんです。

 我が党は、御案内のように、消費税増税は今ではないんだということでありますけれども、しかし、仮に上がった場合の問題点の一つを指摘させていただきたい、このように思います。

 インターネットを通じたオンラインコンテンツ、電子書籍とか音楽とか映像等、そしてまたネット広告、クラウドといったインターネットサービスは世界的には典型的な成長分野であり、日本でもそうなるはずであります。

 しかし、EUなどと違って、日本の消費税制の整備のおくれで、国内から配信されていると消費税が課税される、海外から配信されていると消費税が課税されないという状態がいわば放置をされているわけであります。消費者から見て、同じ商品にも価格差が生じてしまっているため、同じ商品の場合はどうしても海外配信のものを購入しがちになる。そこで、競争上やむを得ず、サーバーの海外移転や海外子会社の購入などを行っている日本国内の業者も急激にふえているということであります。

 まさに最大の成長産業であるこういった業界を空洞化していいだろうかという観点で質問をさせていただきたいと思います。

 ITのサーバーの海外移転は、ある意味では極めて簡単であります。工場の移転などに比べて人の移動が少なく、サーバーやクラウドの移動は比較的低コストであります。政府は、IT戦略本部で、世界最高水準のIT社会を実現する、このように言っているわけでありますが、IT業界は、消費税制のハンディで、いわゆる海外移転が進んでいるということであります。

 そこで、具体的にお尋ねをしたいんですが、日本の消費者は、同じ商品を買うときに、消費税分割高でも国内サーバーから買うというふうに思われますか。それとも、消費税分のない海外サーバーから買うと思われるのか。財務省としては、消費者をどのように考えているのか。

 その上で、この消費税制の整備のおくれ、日本のIT企業で海外移転を考えている企業が今多いわけであります、実際もうそういう行動を起こしておるところもあるわけでありますが、それに対してどのように考えてみえるのか、御答弁をいただきたいのであります。

麻生国務大臣 鈴木先生御存じかと思いますが、これは日本だけの話ではありません。これは、世界的には、BEPSという略語を使われていますが、ベース・エロージョン、プロフィット・シフティングという意味で、税源侵食、利益移転、直訳すればそういう言葉になろうかと思います。

 それで、BEPSという言葉はG7の財務大臣会合において日本が提案をして、この問題を放置しているという状況は、間違いなく、ここにいる中央銀行総裁の責任ではない、財務大臣の責任。

 なぜなら、こういう企業が対外的に金を追い、節税しているのであって、脱税しているのではない。したがって、これは法律の問題なのであって、グーグルを初めアマゾン・ドット・コム、いろいろそういった企業の名前は挙がっておりますが、考えてみれば、それらの企業が日本で確実に宅配できるインフラは、日本政府が投資した、国民の税金を頂戴してつくったインフラをただで使っているということになるわけで、しかし、これは法律的には違反していないという形になっております。

 この点を考えるというので、今、OECDのこの種の税制をやる委員長というのは、これは選挙で選ばれるんですけれども、日本人がしておりますので、日本から出ているのがやっておりますので、これが音頭をとって、基本的に、この間、OECDで正式に検討が開始されております。これは、一カ国でやったって抜け穴だらけになりますので、せめてOECDぐらいで組まないと、とてもではないということになろうと思います。

 今、その案につきまして、これは非常にインターナショナルになっておりますので、そういった制度、システム、技術の進歩、ICTの進歩に対して税制が追いついていないではないかという御指摘なんだと存じますが、私どももその観点に立って、G7が先頭に立って、OECDを中心にこれを今検討しておりますので、いつそれが確立されるかについて時期までは申し上げられませんけれども、そういった段階で、今、事は進んでおるということだけ御報告できると存じます。

鈴木(克)委員 政府が中心になって世界各国に呼びかけているという状況はよくわかったわけでありますが、問題は、足元というか、政府税調が、この問題は三年かけてゆっくり審議をするという会見をされておるわけですよ。だものだから、今の副総理の御答弁と足元というか我が国の状況は少し違うんじゃないかなということを心配しつつ、この対策というのは、もう言うまでもありませんけれども、本当に急がないと、例えば、LINEですか、二、三年前には全くそんなことは考えられなかったのが、もう今それを乗り越えてくるまた新しい動きが出てくるというようなことで、本当に、政府の決断がおくれればおくれるほど、ある意味では、成長産業を取り込む日本として致命傷になってくる可能性があるというふうに思うわけであります。

 そこで、スケジュールはわからないと先ほど大臣はおっしゃったんですが、そんなにゆっくり時間をかける暇はないんですよということで、もう一度、大臣から、この問題に対する取り組み、いつまでということは言えないまでも、意気込みをぜひ聞かせていただきたいというふうに思います。

麻生国務大臣 これは、御存じのとおりでして、制度変更を伴うことになります。

 簡単に言えば、アメリカにある会社が輸出を、子会社に、ケイマン諸島に輸出して、それは百でつくったものを百五で輸出して、ケイマン諸島は百五で買って日本に二百で売るとしますか、そこに九十五の利益が出る、しかし税金はほとんどないというと、ケイマン諸島の子会社が太っていく、アメリカの本国はほとんど利益がないというような形。これは最も単純なケースですけれども、そういった形をやられておりますので、これは、ヨーロッパやら何やら、いっぱいこの種の話が出てきて、今、私どもが最初に提案したときにみんながわっと乗ってきた最大の背景は、OECDとか、そういった先進国に特にその気持ちが非常に強い。

 その中に挙げられております会社はアップルを初めいろいろあるんですけれども、その直後にアメリカの上院でこの問題に関してアップルはいわゆる査問されるというのがテレビやら何やらで出ておりましたけれども、そういったことまではいっておりますけれども、合法的であることは間違いありません。したがって、愛国心がないじゃないかとかいろいろ言ったって、それはなかなか難しいんだと思います。

 いずれにしても、こういった問題は各国が手を携えてやらないかぬところなので、日本の税調だけでできるかというと、なかなかそうはいかないところがちょっと時間がかかるところなんでして、私どもとしては、事は、どれくらい節税されているか、税が抜けているかというのに関してはちょっと捕捉ができないぐらい巨額なものにこの一年そこらでなっている可能性は十分にあると思っておりますので、この問題に関しましては、きちんとした対策を各国と手を組んで考えてまいりたいと思っております。

 ただ、いつごろまでと言われると、日本だけで事が進むわけではありませんので、ある程度時間をいただかないかぬので、日本の税調、財政審議会としても、それがわかっているから、時間がかかるということを遠回しに言っているということに御理解いただければと思っておりまして、別に手抜きでやるのではなくて、現実問題としてそういうことが実態かと存じます。

鈴木(克)委員 もう時間が参りました。

 課題は、海外事業者の納税額を把握できるかどうか、ここにあるというふうに思います。そういったことで、課題は非常に大きいし、大変だと思いますけれども、スピード感を持ってやっていただく、これに尽きると思いますので、お願いをして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

林田委員長 次に、内閣提出、特別会計に関する法律等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣麻生太郎君。

    ―――――――――――――

 特別会計に関する法律等の一部を改正する等の法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 ただいま議題となりました特別会計に関する法律等の一部を改正する等の法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明させていただきます。

 本法律案は、国全体の財政の一層の効率化及び透明化を図るため、特別会計及びその勘定等につきまして、廃止、統合等を行うものであります。

 以下、本法律案の内容につき御説明をさせていただきます。

 第一に、特別会計の設置、管理及び経理に関し、効果的かつ効率的な事務及び事業の実施、区分経理の必要性の不断の見直し、租税収入を一般会計に計上することによる財政状況の総覧性の確保、特別会計における経理の区分のあり方の不断の見直し、剰余金の適切な処理並びに資産及び負債等の財務情報の開示を特別会計に共通する基本理念として定めることといたしております。

 第二に、特別会計及びその勘定の整理合理化を図るため、社会資本整備事業特別会計、交付税及び譲与税配付金特別会計の交通安全対策特別交付金勘定及び食料安定供給特別会計の農業経営基盤強化勘定を廃止いたします。また、食料安定供給特別会計、農業共済再保険特別会計及び漁船再保険及び漁業共済保険特別会計を統合する等の施策を講ずることといたしております。

 第三に、国債整理基金特別会計につきまして、前倒し債の発行収入金を翌年度の歳入に組み入れることとする規定の整備等を行うことといたしております。このほか、外国為替資金特別会計につきまして、毎会計年度の剰余金のうち、同会計の健全な運営を確保するために必要な金額を外国為替資金に組み入れるとともに、積立金の廃止等を行うことといたしております。

 第四に、旧臨時軍事費特別会計に関する歳入歳出の別途整理を取りやめるとともに、経済基盤強化のための資金に関する法律を廃止することといたしております。

 このほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願いを申し上げます。

林田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る六日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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