衆議院

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第8号 平成26年4月16日(水曜日)

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平成二十六年四月十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 林田  彪君

   理事 伊東 良孝君 理事 越智 隆雄君

   理事 菅原 一秀君 理事 寺田  稔君

   理事 御法川信英君 理事 古本伸一郎君

   理事 桜内 文城君 理事 竹内  譲君

      安藤  裕君    小倉 將信君

      小田原 潔君    大岡 敏孝君

      鬼木  誠君    神田 憲次君

      小島 敏文君    小林 鷹之君

      田所 嘉徳君    田野瀬太道君

      竹本 直一君    中山 展宏君

      葉梨 康弘君    藤井比早之君

      牧島かれん君    松本 洋平君

      宮崎 政久君    村井 英樹君

      山田 賢司君    安住  淳君

      武正 公一君    前原 誠司君

      三日月大造君    鷲尾英一郎君

      坂元 大輔君    田沼 隆志君

      三木 圭恵君    山之内 毅君

      上田  勇君    岡本 三成君

      大熊 利昭君    佐々木憲昭君

      鈴木 克昌君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   財務副大臣        古川 禎久君

   財務大臣政務官      葉梨 康弘君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  桑原 茂裕君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    山崎 達雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           藤井 康弘君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十六日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     田所 嘉徳君

  田畑  毅君     村井 英樹君

  竹下  亘君     宮崎 政久君

  藤井比早之君     大岡 敏孝君

  前原 誠司君     三日月大造君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     藤井比早之君

  田所 嘉徳君     小田原 潔君

  宮崎 政久君     竹下  亘君

  村井 英樹君     田畑  毅君

  三日月大造君     前原 誠司君

    ―――――――――――――

三月二十七日

 消費税増税の実施中止に関する請願(宮本岳志君紹介)(第三三九号)

 消費税増税の中止に関する請願(宮本岳志君紹介)(第三四〇号)

 消費税増税を中止し、税の集め方を抜本的に見直すことに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第三四一号)

 同(志位和夫君紹介)(第三四二号)

 健全な飲酒環境の整備に関する請願(今枝宗一郎君紹介)(第三六七号)

 同(島田佳和君紹介)(第三六八号)

 同(古本伸一郎君紹介)(第三七五号)

 同(野田毅君紹介)(第三七八号)

 同(三ッ林裕巳君紹介)(第四三一号)

 同(田野瀬太道君紹介)(第四五〇号)

 消費税の増税を中止し真の景気回復を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第三九八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四〇八号)

 消費税の増税反対、食料品など減税に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第四三六号)

 二〇一四年四月からの消費税増税の中止に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第四三七号)

四月七日

 消費税増税を中止することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四七四号)

 同(笠井亮君紹介)(第四七五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四七六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四七七号)

 同(志位和夫君紹介)(第四七八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四七九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四八〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四八一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第六二〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第六二一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六二二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六二三号)

 同(志位和夫君紹介)(第六二四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六二五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六二六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六二七号)

 健全な飲酒環境の整備に関する請願(國重徹君紹介)(第四八二号)

 同(島田佳和君紹介)(第四八三号)

 同(小林茂樹君紹介)(第五四九号)

 同(北村茂男君紹介)(第五九二号)

 消費税一〇%へのアップ中止に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第五二八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五二九号)

 二〇一四年四月からの消費税増税の中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五三〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第五三一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五三二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五三三号)

 同(志位和夫君紹介)(第五三四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五三五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五三六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五三七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六一二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六一三号)

 消費税増税を中止し、税の集め方を抜本的に見直すことに関する請願(笠井亮君紹介)(第五六〇号)

 消費税増税の実施中止に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第五六一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六一八号)

 消費税一〇%へのアップ中止を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第五九一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六二八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六二九号)

 消費税増税中止に関する請願(笠井亮君紹介)(第六一一号)

 消費税の増税を中止し真の景気回復を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六一四号)

 同(笠井亮君紹介)(第六一五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六一六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六一七号)

 消費税増税の中止に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第六一九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

林田委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁総務企画局長桑原茂裕君、財務省国際局長山崎達雄君、厚生労働省大臣官房審議官藤井康弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

林田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。牧島かれん君。

牧島委員 おはようございます。自民党の牧島かれんです。

 G20から戻られたばかりの麻生大臣と日銀黒田総裁に御出席を賜り、質問に立たせていただけることを大変光栄に思っております。委員長、理事、委員の皆様に感謝を申し上げます。

 四月の十日から十一日にかけて行われましたG20、財務大臣そして中央銀行総裁会議、今回は、ウクライナの情勢や、また先進国と新興国の関係性など、分裂しかねないと言われる中で開催をされました。

 麻生大臣におかれましては、二〇〇八年、首相としてG20首脳会議の創設にも携わっておられます。今回のG20の会議について、どのような成果があったのか、大臣からお聞かせをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今般のワシントンで開かれましたG20に関しましては、私の方から、日本の経済については、企業の景況の判断が大きく改善している点、春闘におけます賃上げ、ベースアップの実現等々、足元で明るい動きが見られるということが一点、それから、消費税を五%から八%に引き上げるとともに、その反動減対策として経済対策や予算の早期実施に取り組んでいること等を説明いたしております。

 G20では、牧島先生御存じのように、これまでも経済成長と財政の健全化の両立の重要性というのが確認されてきておるところなので、こうした観点から、日本の取り組みに対しては各国からの理解を得られたと確信しております。

 また、ウクライナに関しましては、IMFによる支援提供に向けた取り組みに対する支持表明と議論をいたすとともに、G20が緊密に連携して、地政学的なリスクもありますので、その低減を図るように努めることが重要であるということを指摘いたしております。

 合意されましたコミュニケにおきましても、ウクライナにおける経済状況を注視する、またIMFが最近ウクライナに関与していることを歓迎するなどの言葉が入って確認がされたことは、非常に有意義であったと考えております。

牧島委員 ありがとうございます。

 世界から日本に対しての大きな期待も、その場で表明されたのではないかと推察するところでございます。

 さて、黒田日銀総裁にお伺いいたします。

 昨年四月に量的・質的金融緩和が導入されてから一年がたちました。四月八日の金融政策決定会合後の記者会見でも、総裁は、二%の物価目標へ確信を持っているというふうに語られています。

 長い間日本は、製品やサービスの価格が上がらず、よって売り上げや利益が上がらないので賃金が上がらない、そして消費が抑えられる、そして商品やサービスの価格がやはり上がらないという悪循環のデフレが続いておりました。ここに来て、生産そして雇用や賃金、支出さらには消費というプラスの好転換が見えるようになってきております。

 黒田総裁の御尽力によるものと思いますが、この一年間の状況、経済、物価の動きを総括していただきたいと思います。

黒田参考人 御指摘のとおり、量的・質的金融緩和を導入しましてから約一年が経過いたしました。所期の効果を着実に発揮していると思います。

 そのもとで、日本経済は、御指摘のようにいわゆる生産、所得、支出という前向きの循環メカニズムが働いておりまして、消費税率引き上げの影響による振れは伴いながらも、基調的には緩やかな回復を続けております。先行き、四―六月の成長率はやはり駆け込みの反動で落ち込むというふうに予想しておりますけれども、夏場以降、雇用・所得環境の改善に支えられて反動の影響はだんだん減衰していって、潜在成長率を上回る成長経路に復していくというふうに見ております。

 物価面を見ましても、消費者物価、除く生鮮食品の前年比は、昨年四月、量的・質的金融緩和を導入した際にはマイナス〇・四%だったわけですが、この二月にはプラス一・三%となっておりまして、今後、しばらくの間、一%台前半で推移した後、次第に上昇傾向に復して、二〇一四年度の終わりころから二〇一五年度にかけて、物価安定の目標である二%に達する可能性が高いというふうに見ております。

 このように、我が国経済は、二%の物価安定の目標の実現に向けた道筋を、今のところ順調にたどっているというふうに思っております。

牧島委員 展望レポートほか、さまざまな数値や分析を見ましても、転換とはこういうことなのかという実感が少しずつ私たちの間にも広がってきているように思います。

 一方で、物価が上がってきても、賃金が上昇しなければ物価上昇は望ましくないという声が上がるのも自然なことではあります。この点、長いデフレの中で失われておりましたベースアップの仕組みが機能し始めております。

 日本経済新聞社が三月十二日に、二〇一四年春の労使交渉の一斉回答日に合わせて、主要企業の経営者に対し、緊急アンケートを実施しています。回答した百一社のうち賃上げを回答したのは五十二社、そのうち七割の三十六人の経営者がベースアップを実施すると答えています。また、複数回答ですが、その理由は、従業員の士気を高めるためが四二・六%で、業績が回復したためが二二・八%、また、回答した五十八人の八割を超える経営者が政府の要請が影響したと答えており、政府を挙げて賃上げを後押ししたことが効果を出しているのではないかというふうにも考えられます。

 ベアに確実につながっているというのは、経済原理のみならず、市場心理の上でも大変よいことなのではないかと思いますが、一方で、地元で中小企業を歩いておりますと、経営者の方からは、大企業のようにすぐには中小企業は賃上げできないよという声が聞こえてきているのも事実です。また、仕入れ価格が物価上昇によって上がってきたときに、それを販売価格に転嫁できるんだろうかという不安の向きも見てとれます。

 中小企業は、その地域地域を支えている人々ですし、町を支えている存在でもあります。そういった中で、質問させていただきますと、三月の短観、DIは全規模全産業でプラス一二となっており、一九九一年十一月以来の高水準となっておりますが、自動車や小売などは需要の反動が増税後に出るという警戒感があり、先行き三カ月後のDIは、二十八業種中二十五業種が悪化の予想という形で広がっています。

 業況判断DIの実績そして予測について、また大企業と中小企業のトレンドの比較について、総裁から分析をお聞かせください。

黒田参考人 御指摘のように、三月の日銀短観の業況判断DIで見ますと、全般的に業況感が改善しておるということは事実でございます。特に大企業は、リーマン・ショック前の水準を回復しております。それから、中小企業においても、DIの水準自体は低いんですけれども、それでも九一年十一月以来の高水準ということで、足元の業況判断は極めて好調であることは事実でございますが、御指摘のように、先行きについてはかなり慎重な見方が広がっておりまして、特に自動車あるいは小売など、幅広い業種で現状よりも慎重になっております。

 ただ、先行きの業況判断DIは悪化したとはいえ、水準としてはまだ比較的高い水準にございますし、また、二〇一四年度の設備投資計画というのもしっかりスタートしておりますことを踏まえますと、企業の前向きな姿勢は維持されているというふうに見ておりますが、なお今後とも、十分短観その他を通じて企業の業況判断はよく見ていきたいというふうに思っております。

牧島委員 今総裁の方から投資もというようなお話も出てきておりますが、異次元の緩和の波及効果が複数のルートである中で、貸し出しをふやしていったりするポートフォリオリバランスがどうしても動きが遅いというふうにも言われております。マネタリーバランスがふえている中で、貸し出しの増加、そして成長の強化にどうやってつなげていくかというのが私たちの課題なのではないでしょうか。

 その中で、貸し出し増加支援、成長基盤強化支援の延長と拡充が二〇一四年二月十八日の金融政策決定会合で決定されています。これは金融機関の一段と積極的な行動を促すものなのではないかと考えておりますが、この支援策の利用状況、また貸出残高の伸びは、現状どのようになっているでしょうか。

黒田参考人 日本銀行は、従来から、成長基盤強化及び貸し出し増加に向けた民間金融機関の取り組みを支援するため、二つの仕組みを持っております。貸し出し増加支援資金供給、成長基盤強化支援資金供給というものを設けておりまして、その貸付残高は、直近では、貸し出し増加支援資金供給が八・五兆円、成長基盤強化支援資金供給が四・一兆円となっております。

 御指摘のとおり、二月の金融政策決定会合で、この二つの資金供給制度の受け付け期間を一年延長し、さらにその資金供給の規模を二倍にし、そして金利を四年固定で〇・一%とするかなり思い切った拡充策を決定いたしました。最近では銀行貸し出しも緩やかに増加しておりまして、足元、前年比二%台前半で増加しております。

 今申し上げた二つの資金供給の仕組みの拡充が、御指摘のとおり、金融機関の一段と積極的な行動、そして企業や家計の前向きな資金需要の増加を促すことを強く期待しております。

牧島委員 今、日銀総裁としての黒田総裁の言葉を受けて、金融機関がそれぞれの地域の中小企業や小規模事業者の操業を支援し、それぞれの地域が活性化されることによって、日本の景気、隅々にまで実感が行き渡るように期待をしたいと思っております。

 最後に、財務大臣にお尋ねさせていただきます。

 財務省の貿易統計を見てみますと、輸出について、全体的に横ばいであり、また品目別の輸出数量を見ても、自動車、一般機械、電気機器、化学製品、鉄鋼、どの分野でも横ばいとなっています。自動車や電気機器というのは、外国との競争が激しくて、なかなか輸出価格を上げることが難しいという現状もあります。

 日本はこれからどういう国として成長していくのか、国の、国家としての稼ぎ方、または日本は何によって立つ国となるのか、財務大臣のお考えをお聞かせください。

麻生国務大臣 牧島先生御指摘のように、日本企業の海外におけます生産比率が高まるというのは、これは明らかに日本の産業構造が変化をしておるんだと思いますが、基本的に、今回もう一つ、多くの企業は日本円が安くなった分だけ海外における製品の販売価格を下げたか。二割下がったんだから販売価格も二割下げればそれだけシェアがふえるじゃないか、これは従来的な考え方なんですが、今度はほとんど下げておりません。下げておりませんからシェアはふえていないから輸出する量はふえない、しかし、日本の国内における利益はその分だけ、二割だけふえた、単純計算をすればそういうことになろうと思いますが、明らかに行動も変わってきているんだと思っております。

 赤字がふえておりますその大きな内容というのは、何といったって石油価格やら何やらが、輸入になりますので、その分が高くなっております。

 逆に、これまで投資した分、またこれまで海外に貸し付けた分等々の収支、いわゆるGDPに対してGDI、国内総所得、グロス・ドメスティック・インカムというものは拡大する方向に来ておりまして、そういった意味では、稼ぎ方自身は、耐久消費財を売るとか資本財、生産財を売るということも今後とも続けていかねばならぬ大事なところであります。

 同時に、そういった日本の持っております資本力というものの拡大によって、多くの意味で所得収支がふえてきておるということで、全体的なバランスが、貿易収支の昨今の、石油が大きな理由ですけれども、そういったものと、円安基調によって赤字がふえている分を補っているものがこの所得収支であろうと思いますので、そういった意味では、全体としての経常収支というものが保たれているんだと思っております。

 いずれにしても、今後とも、金融とかそういったものに頼るのではなくて、きちんとした物づくりというものはきちっと進めていく、そういった姿勢をとり続けておかねばならぬと思って、企業に対しては研究投資とか、また国内におきます設備投資に関しましてはいわゆる減税等々、一括償却等々を進めるような方向で、政府としては事を進めておるというのが現状であります。

牧島委員 ありがとうございます。

 物づくり、人づくりの日本としてこれからも続けていきたい、私も努力をしてまいりたいと思います。

 また、日銀黒田総裁、ありがとうございます。物価安定目標の早期実現に向けてよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

林田委員長 次に、岡本三成君。

岡本委員 おはようございます。公明党の岡本三成です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 G20からの御帰国の時差もまだとれていないかと思いますけれども、どうかよろしくお願いいたします。

 まず初めに、財務省にお尋ねいたします。

 消費税の引き上げが行われまして半月たちます。私も、時間のある限りスーパーマーケットに行ったり家電量販店に行ったりしておりますけれども、メディア等の報道を見ておりましても、当初予想していたよりは消費税上げの影響はそれほど大きくないというふうなコメントもよく見受けられます。

 まだまだ評価するには時間が十分ではないことはわかった上で、この半月を見まして、現在の消費税上げの影響をどのように受けとめていらっしゃるか、お答えをいただければと思います。

麻生国務大臣 岡本先生御指摘のありましたように、個人消費の動向を見ますと、高額商品等々を中心に駆け込み需要の反動減というのが出ております一方、サービス消費などの動きは、駆け込み需要が見られなかった分野においては当然のこととして反動減も余り生じておりませんで、底がたさが見られておると思っております。

 ちなみに、例えば家電商品というものを見ますと、よく使われる家電商品、白物ですけれども、駆け込みは約プラス九〇%ぐらい三月であったと言われておりますけれども、少なくとも四月の第一週はそれに比べますとマイナス、二〇%ぐらいの減、そういったことになっておりますが、では外食はどうかといえば、そういった傾向は全く外食産業等々には出ておりません。

 こういったものを見ておると、反動減対策というものは、二十五年度補正と二十六年度当初予算の早期の実施に今後とも全力を挙げていかねばいかぬところだと思っております。

 いずれにしても、今までのところ、私どもの予想しておりましたより反動減は少なかった、まだ半月ですから何とも言えませんけれども、そのような感じがいたしております。

岡本委員 一方で、四月に入りましてからの物価の上昇というのを考えると、今まで、例えば原材料が値上がりした分、なかなか価格に反映できなかったものをこのタイミングでということで、かなり物の値段が四月に上がっているように私自身感じております。特に、日経新聞の記事によりますと、四月の生鮮食品を除く物価上昇率は三%台半ばまで届くのではないかというふうな見通しもできているんですけれども、全体的な物価の上昇の中で、残念ながら、その物価上昇の質を見ていきますと、コストプッシュ型になっているようなところがあるんではないかなというふうに思っておりまして、全体的なディマンドプルがなかなかうまくいっていないんではないかなというふうに感じています。

 そこで、黒田総裁にお伺いしたいんですけれども、現在のインフレの質、クオリティー・オブ・インフレーションをどのように分析していらっしゃるかということと、もしそれがコストプッシュの影響が大きいというふうに思っていらっしゃるところがあるのであれば、日銀として、また、インフレの質ということであれば、政府がやらなければいけないことも大きいですから、政府に対して、この状況を改善するために何か思っていらっしゃることがあれば、ぜひコメントをいただければと思います。

黒田参考人 足元の物価上昇は、まだハードデータが出てきておりませんので何とも申し上げかねますけれども、最近時点の物価上昇率については、この二月が、除く生鮮食品で一・三%だったわけでございますが、その背景を見ますと、御指摘のように、円安、あるいはそれに伴うエネルギー関連の押し上げが寄与しているということは事実でございます。

 他方で、食料、エネルギーを除いたベースで見ましても、消費者物価の前年比が既に〇・八%まで上昇してきておりますので、必ずしもいわゆるコストが上がっているという部分だけではなくて、幅広い品目で改善の動きが見られるということであります。

 今後とも、景気が緩やかに回復を続けて、経済全体の需給バランスが改善するもとで、さらに幅広い品目における改善の動きを伴いながら物価が上昇していくのではないかというふうに予測をしております。

 ただ、先ほど申し上げたように、足元の四月の状況は、もう少し統計データが出てくるまで待つ必要があると思っております。

岡本委員 続きまして、財務省に、一〇%に消費税を引き上げるその判断基準についてお伺いしたいと思います。

 これまでも大臣はさまざまなところで、ことしの七―九のデータが出てくるのが十一月ごろですから、その辺を一つのタイミングとして総合的に判断していきますというふうなコメントを何回もされています。その総合的の中に優先順位、よく注目するもの、メルクマールとするものがあると思うんですけれども、特に大臣が今回、一〇%へゴーサインを出すかどうかということを判断される上で注目されている指標等があれば、ぜひ教えていただければと思います。

麻生国務大臣 消費税の一〇%への引き上げにつきましては、かねてから総理が、税制抜本改革法の附則第十八条の三項にのっとって、経済状況を総合的に判断していくということを申し述べておられるんですが、これが基本です。

 その際に、消費税の八%への引き上げに伴う反動減とその後の経済状況ということで、この四―六と七―九、判断をしなければならぬと思われるこの年の年末までには十―十二の分がまだ出てきていないと思われますので、四―六、七―九の名目並びに実質GDP等々、物価上昇、経済成長等々いろいろあろうと思いまして、どれが優先順位と言われてもなかなか、総合的に判断するとしか申し上げられないと存じます。

岡本委員 その総合的の中にぜひ賃金の上昇の現状というものも、高い判断の項目の一つとして入れていただければというふうに思います。先ほど来議論になっていますように、全体の景気の状況の改善の中で賃金上昇が伴わなければ実質の購買力は下がっているわけですから、ぜひそのあたりも御考慮いただければと思います。

 続きまして、時間の関係もありますので、残りを全て日銀総裁に、金融政策について質問させてください。

 この質的、量的、大胆な金融緩和を始めまして一年たちます。私は、総裁の市場とのコミュニケーション能力は高く評価をしておりますし、市場関係者も高く評価をしているところだというふうに理解をしていますけれども、一方で、非常にたくましい楽観主義的なコメントが、一年前ほどマーケットの期待を刺激していないようなところを感じているんですね。特に最近、市場の予想と日銀の予想が違うときに、もうちょっと詳細に御説明された方がマーケットの期待を刺激できるのにと思ったところがあります。

 例えば、デフレの根本的な原因であった需給ギャップ、総裁は先日の政策決定会合の後に、去年の十―十二月にほぼ解消されたと思っていますと。数字でいうとマイナス〇・一%です。一方、民間や内閣府は同じタイミングでマイナス一・六%。これはパーセンテージでいうと余り変わらないように聞こえますが、金額でいうと七十兆円、八十兆円ぐらい日銀と他の機関の差があります。

 この辺に関しても、かなり大きな見通しのギャップが出てきたときに、さらに突っ込んで日銀の判断の正当性、根拠みたいなことをお伝えすることによって市場との考え方ですとかギャップを縮めることができるというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

黒田参考人 御指摘のとおり、需給ギャップにつきましてはさまざまな推計方法がありまして、単一の定義というものがあるわけではございません。

 その上で申し上げますと、日本銀行では労働とか設備といった生産要素の稼働状況から需給ギャップを計測するという方法をとっておりまして、そういった計測方法によりますと、今回の景気回復が内需中心、製造業でなくて非製造業中心の回復であるということもございまして、雇用誘発効果が大きいということで、労働市場はかなりタイトになっております。御承知のように失業率は三・六%まで下がっておりまして、三%台半ばと見られる構造的失業率に近づきつつあるということでございます。

 ただ、最初に申し上げたとおり、需給ギャップの推計方法というのはいろいろありまして、確かに一つの指標だけで割り切ることはできないと思っております。したがいまして、委員御指摘のとおり、民間と日銀とで需給ギャップやあるいは物価の見通しについて見解の相違があるということはそのとおりでございまして、今後とも、市場参加者あるいは経済の担い手である企業等の方々と、政策についての考え方あるいは経済・物価情勢についての私どもの見方等について十分な対話を重ねて理解を得ていくことが非常に必要だ、重要であるというふうに私も思っておりまして、さらに努力をしてまいりたいと思っております。

岡本委員 総裁、もう一つ。

 総裁のコミュニケーション能力ということについては、日銀総裁の持たれている言葉の重みを総裁はよく御理解されているというふうに理解しておりますので、さまざまな場面で言っていらっしゃる表現は違っても、総裁が思っていらっしゃるメッセージは統一されているように私は理解しているんですね。しかしながら、市場はその言葉尻の裏を、あるように誤解して、探そうとします。

 例えば、先日の政策決定会合の後に、今の金融政策はうまくいっております、したがいまして、追加的な金融緩和の予定はありません。丸で終わってしまった後に、市場はすごく反応したわけです。一方、昨日の総理とのランチのときには、必要があればちゅうちょなくやりますと。これは言葉尻だけをとると違うように見えますけれども、私は一貫しているように聞こえるんですね。

 したがいまして、今まで以上に言葉に、失礼な言い方ですけれども、お気をつけいただいて、市場の期待をさらに刺激するような今後の取り組みをお願いできればというふうに思います。

 その上で、トピックを金融緩和の出口戦略に移したいと思うんです。

 どういうことかというと、この委員会の場でも総裁は何回も、出口戦略を議論するタイミングでは全くありませんと。しかしながら、日銀といたしましては当然、出口戦略もそのときの市場の状況によって手法は変わるわけですから、常にブレーンストームをしながら、適切なタイミング、必要なタイミングがあったら、そのときに最も適切な手段を実行しますということで私は十分だと思っているんです。

 今後のこの委員会の中での議論につきましてある意味くぎを刺す意味でも言及をさせていただきたいと思うんですけれども、四月八日にIMFがワールド・エコノミック・アウトルックという非常に読み応えのあるレポートを出していますけれども、この中で、最大の世界経済に対するリスクファクターの一つは、先進国が余りにも早い金融緩和の出口戦略を議論して、拙速に取り組むことであるというふうに書かれております。

 したがいまして、この日本の現状だけではなくて、世界景気を冷やさないという観点からも、十二分に日本の景気が回復をしたということが確認されて、市場においてもそろそろ出口戦略を議論することが有効だなと思うタイミングになるまで、そのようなことを不必要に質問もしないし議論もしないというようなことが必要だというふうに考えております。

 その意味で、今まで述べられてきた答弁と同じようなことをもう一度ここで総裁にお伺いするわけですけれども、今後の出口戦略についてどのようにお考えか、お答えをいただければと思います。

黒田参考人 御指摘のとおり、従来から申し上げていますように、現在は二%の物価安定の目標の早期実現に向けて最大限の努力を払っている最中でありまして、まだ道半ばというところでもありますので、出口戦略を議論するのは時期尚早であるというふうに思っております。

 また、具体的に出口に向けた対応とか政策運営のあり方といったことについては、その時点の経済・物価情勢あるいは市場の状況によって変わり得るわけでございますので、早い段階から具体的なイメージを持って出口戦略についてお話しするということは適当ではないし、市場との対話といった面からもむしろ混乱を招くおそれがあるというふうに思っておりまして、そういう意味でも、出口戦略を議論するのは時期尚早であるというふうに思っております。

岡本委員 日銀はもう十二分に役割を果たしていただいております。経済の回復を現実化するために、役割としては、政府また私たち議員の役割が残されているものだというふうに理解をしておりますので、一丸となって景気回復に努めてまいりたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

林田委員長 次に、安住淳君。

安住委員 おはようございます。

 きょうは、一般質疑で一時間ほどいただきましたので、大臣、最初に、ウクライナ情勢についてちょっと意見交換をさせていただいて、その後、我が国の少子高齢化社会の中での税制のあり方について基本的なお考えをお伺いさせていただければと思っておりますので、よろしくお願いします。

 さて、ウクライナ情勢が大変緊迫をしております。きょうの朝のニュースを見ますと、暫定政権側のトゥルチノフ大統領代行が強制排除を命じて、私は映像は見なかったんですけれども、どうも空港の銃撃戦があって、とりあえず空港は制圧できた。公的施設にいるドネツク州の地域では、そうした戦闘は行われていないようですけれども、しかし、今後そういうことが起こり得るのではないかということでございます。

 この間、春先からクリミア半島に対する一気呵成の、ソチのオリンピックが終わった後の対応というのは、国際社会の中でロシアは批判されても当然だと思いますが、しかし、批判をしているだけでこの問題が解決するわけでもないし、ロシアがこの先もこうしたことをすれば、いわば戦後の枠組みを変えるような大きな問題に発展しかねないというふうに思っております。

 ロシアのこうしたクリミア半島に対する対応や、東部ドネツク州に対しても国境付近に軍を動員しているという状況について、副総理・財務大臣である麻生先生はどういうふうにお考えでおられるのか、お伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 これは基本的には総理大臣か外務大臣に質問されるべき筋の話とは思いますけれども、ロシアのクリミアに対する話、また、最近外国のニュースで占めておりますのはマレーシア航空の話、そして、ベネズエラの無政府状態等々いろいろ世界じゅうで紛争が起きているんですけれども、日本の新聞を見ると余りこういうのが出てこないというのは不思議なんですけれども、ドメスティックにできているのか情報がとれないのかわかりませんけれども、かなりいろいろな状況が流動的になってきているという状態は憂うべきものだと思っております。

 その上で、ウクライナの主権並びに領土の一部に関して侵害するというものであって、ロシアによります国際法に対する明らかな違反、これははっきりしておると思っております。

 日本としては、このような力によります現状の変更というものに対しては断じて容認はできないということであろうと存じますので、少なくとも、これはウクライナの問題にとどまらず、アジアにも十分にこの種の問題、同様の問題は起きることを覚悟しておかねばならぬという意味で、十分に対応していかねばならぬ本当に大事な問題だと思っております。

 少なくとも、第二次大戦は何であんなことになったかといえば、自国国民の保護というのを目的にしてあの騒ぎは始まっております。今、自国国民の率からいったら、バルト三国、ラトビア、リトアニア、エストニア、あの辺はロシア人の数がかなり多いと思いますし、ベラルーシ等々、かなりの数だと思いますので、そういったところに同じような理屈でということになりますと、これは話としては非常に大きいと思いますので、三月の二十四日、ハーグで開かれました首脳会議においても、これは断固ということで総理の方から発言がなされております。

 いずれにいたしましても、外交的な道筋は引き続き開かれておると思いますので、いきなり武力でどうのこうのという話ではなくて、ロシアに対して引き続きしっかり働きかけを行っていかなければならぬということなんだと思っております。

安住委員 第二次世界大戦を含めて、領土侵攻というのは本格的な世界大戦につながるわけですね。

 ロシア人じゃなくてロシア系住民ですね。しかし、それはウクライナ人であることは事実で、ウクライナ国に帰属をしている方々なわけだから。そういう意味では、隣国にいるロシアが国境を越えて何かをするというのは、これは侵攻ということにもなると思います。

 やはり今見ていますと、昔KGBというのがありましたけれども、大臣、あれは実は今FSBという形で残っているというのは御存じですか。つまり、やはりロシアはソビエト時代のそういう体質を引きずって、安保理でも否定はしていますけれども、どう考えても、今回の動乱の背後にはそうした組織というものがなければできるわけがないと思うんですね。だから、そういうことを考えたときに、欧州側、アメリカの対応というのはどうなのか。

 翻って、私はなぜこういう質問をしているかというと、G20で大きな話題になったということと、私は実は衆議院の北方特別委員長なんだけれども、北方領土を抱えている我が国というのは、ロシアに対しては、実は違う、もう一つのアプローチの仕方を今までしてきたと思うんですね。しかし、G8の中からロシアを排除しようというのは、多分、サミット史上一番大きな出来事になるんだと思うんですよ、この今回のサミットですね。

 こういう状況の中で、我が国に与える経済的影響というのは、ウクライナと日本というのは、さまざまな貿易、穀物にしても資源にしてもそんなに多くないですね。しかし、ロシアに対する経済制裁を本気でやり出すと、これは多分、世界経済に対するリスクは高まるのではないかと思います。

 なぜかというと、チェコの動乱とかハンガリー動乱がありましたね。そのときというのは、実は、ロシア経済というのは市場経済ではありませんから、例えば外貨を導入した株式とかをやっていないんですね。しかし、私は、こういう動乱が起きてから、ロシア国内市場の株式動向を見ていると、やはりロシアの、今の首相が非常に関与しているのではないかと言われているガス会社なんかの株は一気に落ちている。つまり、実利の中で、彼らは事実上の制裁を受けるぐらいのことがあるわけですね。

 そういうことから考えると、相当なリスクを冒して彼らはこういうことをやっているなと思いますが、しかし、そのリスクを負ってもやはりやらざるを得ない大国の意識というのが頭をもたげているということが世界経済に対する不安定要因になっているのではないかと思ったから、質問したんです。

 G20の中でもこの話が主要な議題になったということでございますので、経済に与える影響について改めてお伺いします。

麻生国務大臣 これは、IMFの世界経済見通しの中でも指摘をされておりますとおり、ウクライナの問題がどういった形になるかというのは世界経済における下方リスクであるという認識はみんな一致しております。

 今回のG20の中におきましても、これは、アメリカと日本とヨーロッパと三つ分けますと、やはり近いだけあってヨーロッパ、しかもガスの供給を受けていたり石油の供給を受けていたり、いろいろな形でロシアからエネルギー資源等々を受けている国にとりましては、その対応は非常にセンシティブ、全く関係ないアメリカとか日本とかいうのとは全然立場が違うと思います。

 当然のこととして、IMFの調査団が三日後に入ったんですが、あの後の調査も結構早く出たと思いますけれども、その調査に基づいて、私どもとしては、これはまずはウクライナの経済支援というのをきちんとやっていかないとウクライナ自身が崩壊するような形になりかねぬと思っておりましたので、そちらのところに関しては、ロシアもウクライナの支援に関しては賛成ということになっておりますので、一応、そこのところの合意は得ているんだとは思います。

 いずれにしても、今後、こういったような問題がどれくらい長く続いていくのか、内乱になるのか、何になるのか、どの程度の形でおさまるのか。これは五月には選挙をやると言っているわけですから、そういった意味では、今後もうしばらく状況を見た上でないといかぬとは思います。

 私どもに対しましても、これは、今先生言われるように、直接関係がないとはいえ、関係のある国々に対する影響は、ウクライナは、例えばトウモロコシの輸出なんというのは多分世界で二、三番だと思いますがそれぐらいの大きな影響、小麦も四、五番目の影響を持っていると思いますので、そういったようなものが回り回って世界経済に影響を与える。また、それを受けたロシアにとりましては、東の方に目を移せば、当然のこと、北方四島だ、サイベリアだ、そういったようなところの開発の問題にも影響します。

 私どもとしては、これは感覚をよほど研ぎ澄ましてバランスよく見ておかねばならぬ非常に大事なところだと思っております。

安住委員 確かに日本のマスコミというのは、どうしてもこれは島国で、国境線を地続きで持っていないので、特にちょっと距離の離れた諸外国に対しては特派員も置いていないようなところも多くて、なかなか世界情勢が、国際会議に出て話が出るほどの重要性が、日本に帰ってくるとプライオリティーが下がってしまうというのは、実は私はマスコミにもいましたから、全くおっしゃるとおりです。

 しかし、実はこれは世界経済に対する大きな不安定要因になりかねないので、今質問をさせていただきました。

 私は、引き続きウクライナに対して重要な関心を持っていただきたいのと、やはりロシアに制裁をするということはこちらも覚悟が必要ですから、そのことにぜひ副総理としてしっかりとした考えを持って対応していただきたいということでございます。

 さて、きょうは、これから約四十分ほどは、少子高齢化社会の中での税制のあり方、基幹税について、基本的な考え方をお伺いします。

 技術的な話というよりは、今、日本の社会というのは、少子高齢化に入って、大きくその税制のあり方が問われていますので、基本的な考え方を何点かお伺いして、時間がありましたら、貿易収支と、それから、地銀の問題、これはドメスティックな話なんだけれども、地銀や、日本の地域社会の中での金融の統合の問題について、少し意見交換をしていきたいというふうに思っております。

 さて最初に、実は人口のことを少し話をしてから所得税の話に入りたいと思いますが、きょうの新聞の一面は大体この、ついに六十五歳以上の方が全人口の二五%を過ぎたと。昔の方と違って今は大変お元気で、麻生大臣もたしか六十五歳を超えていると推測しますが、どうも毎晩お元気で、特に元気だなと思いますけれども、このことは一方で、所得税を払うことになるであろう就労人口も減ったということになりますね。

 どうかというと、九四年、つまり二十年前だと、生産年齢人口というのは約八千七百万人だったんですよ。これが、現在の資料では、これは人口推計、国勢調査報告をもとにしているんだけれども、七千七百万人なんです。これが、二十年後だと六千四百万人になっていくというんですよ。言ってみれば、働く人が少なくなる。一方で、六十五歳以上というのは、二十年後は三千七百万人になるから三三%になっていく、今は二五ですけれども。十五年後というと私もここに入るんですけれども、日本の社会というのは大体そういうことだろうと思います。

 そこで、所得税のあり方、法人税のあり方、相続税のあり方、配偶者控除の見直しというのは全てここに起因する話だから、最初に入り口でこの説明をさせていただきましたが、私は、ひとつ自分の考えをまず申し上げてから、大臣に所見をお伺いしたいと思います。

 大臣、所得税について、我が国は一九八〇年代以降、いろいろな意味でフラット化というのを図ってきたんです。実は、戦後、所得税の最高税率というのは七〇%近いときがありましたね。これが六〇に下がって、それで徐々に、それでもちょっと高いと、いわゆる五公五民の話があって、最高税率というのは四〇%になったんですよ。

 しかし、これは三年ほど前でしょうか、私が財務大臣をやっているときに、バフェット氏が、あれはウォールストリートで大きなデモがあって、金持ちにもっと課税をしろ、バフェット氏みずからがもっと納税をするということを言ったことをきっかけに、ちょっと所得格差がアメリカでは大きくなったので、アメリカもかなりフラット化しているんです、今説明しますけれども、そういう中で、やはり課税のあり方というのは見直した方がいいんじゃないかという話がありました。

 他方、我が国も、私どもが政権のときに、やはり四〇%のアッパーでは、下は五%ですよね、これの刻みが六なんですよ、多いときで刻みは十五ですからね、だからもう少し上の方に御負担を願わないと、なかなか所得税の税収が上がるメカニズムができないと。そんなことで、自民党政権になって、昨年ですか、四五%ということで、課税の比率を高めました。しかし、これは四千万以上の所得のある方なんです。

 大臣は、今のこのフラット化について、この先もこれを続けた方がいいと思いますか。それとも、所得の高い方に対して、低い方の話も今しますけれども、昔のようにとは言わないけれども、少し刻みを高くして、それでもう少し税を負担した方がいいのか。つまり、高齢化社会の中でどちらの方が所得税のあり方としていいのかというのを、これは役所というよりは政治家として答弁していただければと思いますので、お願いしたいと思います。

麻生国務大臣 これは、安住先生、いろいろ意見の分かれるところです。

 これは間違いなく、御指摘のありましたように、昭和六十年代以降、日本の税制というのはフラット化されてきております。これは数字を見ても非常にはっきりしております。七〇%から、ずっと今日まで、四〇%、四五%までということになってきておりますので、かなりのものがフラット化されてきたことは確かなんです。

 今後これをどうするかといったときに、やはり一番の問題は、安住先生御指摘のありましたように、人口問題です。この話を抜きにして日本の経済とかいうものは今後語れないと思うぐらい、これが一番の根本なんだと思っております。

 それに当たりまして、所得税、法人税等々の直接税と、いわゆる消費税等々の間接税の直間比率というものが、日本の場合は直が六で間が四ぐらい、少し差がありますけれども、直間比率六対四が、せめて五対五とか、ヨーロッパ並みに、逆の、四対六とかいうような形で考えないかぬというようなものになってきているんだと思います。やはり間接税の比率をある程度高めていくことを考えないと、基本的には、高齢者でも配当所得とか利子所得等々の所得が高い方々にも我々としては負担をしていただくということになるのであれば、やはり消費税というような間接税の比率を上げていく方が形としてはいいのではないかな、私は個人的にはそう思います。

 また、女性が働けるというような話で、女性が輝く形というのは、私はこの方向というのは決して間違っていないと思いますが、その場合も、よくよく考えておかねばならぬのは、家庭というものをきちんと育てている、家庭の面倒を見ている、そういう主婦は、家庭の面倒を見ているがゆえに働けないという方もいらっしゃるわけなので、そういった方々のことも十分に考える、また家族のきずなというものを考える、いろいろなことを考えた上で、税制、税金というのは考えないかぬ問題なんだと思います。

 いずれにしても、今の日本の場合は、所得格差があるあるといって、ほかの先進国ほどあるかといえば、日本の場合はそれほど所得格差が開いているというわけではありませんので、課税の対象とするところをどうするか。例の百三万円の壁とか百三十万円の壁とかいろいろなそういう話もありますし、また、夫婦の中における控除の話があってみたり、いろいろな問題があります。

 これは、正直申し上げて、一つ一つ挙げていくだけでそれぞれ時間をいただかないかぬ話なんだと思いますので、税調としては、今、真剣にこの話を取り上げて考え出しつつあるところでありますけれども、いずれにしても、私どもとしては、今後一番の問題はこれと申し上げてもいいぐらいだと思います。

安住委員 ちょっと議論が散漫になると困るので、所得税に限ってやって、その後、配偶者控除や相続税の話もちょっとします。

 つまり、フラット化をして、今、最大課税は四五だけれども、大臣の話をかいつまんで言えば、このことに関してだけ言えば、諸外国ほどの所得格差がないので、この四五をさらに上げるというよりは別の税収をやはり工夫してやった方がいいという話でよろしいですか。

麻生国務大臣 基本的には、税金のあり方というものに関しましては、私の個人的な考え方でいえば、これをかつてのように七〇に上げるの八〇に上げるのというよりはということであります。

安住委員 ありがとうございます。

 そこは私とちょっと違いまして、私は、実はこういうことを申し上げたいと思うんです。

 政治の世界にいますと、余り最低税率の問題をみんな語りたがらないんですよ。ところが、私は大臣時代から答弁しているから申し上げますと、四五でフラット化をしているというふうに言うのは、アッパーが低いからそう思うかもしれませんが、日本の場合、実は最低税率は五%なんですよ。ところが、アメリカはどうかというと実は最低税率は一〇%、イギリスに至っては二〇%なんですよ。

 つまり、フラット化の意味というのは、下を上げるけれども上を上げないという意味ですね。ところが、日本の場合は、下は五%、そして一〇%。そして、その中にかなりの対象者がいます。五%の課税適用者は納税者の六割です。一〇%の適用者を含めると八割を占めます。つまり、ここの部分を置いたままにして、フラット化で、四五でやったら、多分、所得税全体のバランスはむしろおかしくなるかもしれないんです。

 だから、私が思っているのは、五%ではちょっと少な過ぎるので、ここは少し上げさせていただく。他方、四五というのは、五公五民からいうと、五〇を超えるというのは確かに議論があるところだから、でも、せめて今の税率よりは上げさせていただくことで、下も調整をすべきでないかと私は思っているんですよ。

 そういうことというのは、政治が決めて下におろさないと、主税局だって税調だって議論しないから、そこが大きな話なので、大臣はどうなんですかということをお伺いしたいんです。

麻生国務大臣 これは、安住先生、昔から御意見のいろいろあるところなんですが、今おっしゃるように、課税最低限の引き上げとか税率の引き上げ等々を通じて、所得税の納税者の大部分に低い税率が適用されるという構造になっているんですけれども、今言われましたように、確かに、イギリス、アメリカ等々を含めましても、日本の場合は課税最低限の比率がえらく高いことになっています。逆に言いますと、ここらのところの比率の方が、人口の数が圧倒的に多いですから、そういった意味では、税金のあり方としてはそちらの方が正しいと思っておりますので、上も上げるけれども下も全体的に上げていくということを考えないと、日本の税率全体としてはおかしな形になるということになるんだ、私もそう思います。

 したがって、各種の控除とか課税のベースとか、いろいろな考え方がありますけれども、いずれにしましても、この比率のつくり方というのは真剣に幅広く検討されねばならぬところだ、私もそう思います。

安住委員 ということは、やはり四五でおさめるのではなくて、少し上もお願いをして、しかし下も少し、そういう意味では、下と言っては失礼ですけれども、五%台の所得税をずっとそのままに置いておいてというのは、やはり所得税の機能がうまく作用しないんじゃないかなと私は思うんですね。就労人口がこれから少なくなってきたときには、私は、ぜひ政府税調でそういう議論をするように大臣が主導すべきだということを申し上げておきます。

 それで、高齢化の話があるので、続けて相続税の話にちょっと行きます。

 本当に、高齢者の方には大変申しわけないんだけれども、金融資産を見ても、七十代の方が我が国全体の金融資産の二五%を持っている、六十代の方が三二%、足すと五七%。一千四百兆円近くある金融資産のいわば六割は六十代以上の方が持っている。きょう、こうしてこの委員会を見ても、並んでいる委員みんなの財産を足しても、麻生大臣にはかなわない可能性がありますね。麻生大臣の場合は、ほかの高齢者と違って、大変な御資産を持っていらっしゃるんだと思いますけれども。

 そこで、資産課税というのは、これまでやはりある種タブーな議論というか、死んだときの税をどうするかというのはそう熱心に議論をしてきた経緯はないんだけれども、高齢化社会の中ではそうはいかない。私は大臣のときに、ここはちょっとみんなで考えようという話をして、検討を始めたんです。

 税収全体から見ても、相続税は全体の一・八%、固定資産税とか入れて資産課税全体でも一七・五%なんですね。多分、ここは、今言ったように、いわば六十代の方々が圧倒的に金融資産を持っている。

 そこで、これをどうしていくかということなんだけれども、一つ、二十五年度税制改正から、教育資金のことでお孫さん、子供さんに贈与をしたら一千五百万円まで非課税ですよ、信託銀行に預かってもらえば出金はそこでチェックをしましょうということでやりましたね。この統計、きのう主税局に数字を教えていただきました。役所じゃなくて、これは信託協会か何かがつくったもののようでございますけれども、契約件数が、三千だったのが五万四千件にはね上がっているんですね、これを使っている方の。

 やはり知恵と工夫を国がちゃんとやれば、こういう、眠ったお金と言ったら失礼ですけれども、大変苦労して稼いで金融資産を持っておられる六十五歳以上の方が、社会にこのお金を、自分のお孫さんを含めてお使いになったりするということのヒントはここにあると思うんです、この数字は。本当に右肩上がりですから。

 と同時に、やはり相続、贈与のあり方というのはこれから見直す重要な一つの鍵だと思いますけれども、大臣、どういうふうに思いますか。

麻生国務大臣 これは、役所の中では結構問題でした。これを押し通すのは、交際費課税のときも面倒くさかったけれども、こっちのもかなり面倒くさかったという記憶があります。今、さらにふえまして、六万五千件までなりました。額も四千億を超えるほどになっているんです。

 仙台というか宮城も似たようなものだと思いますが、私のところも、老老資産相続なんですよね。九十歳が六十五の人に遺産相続しても、何に使うんだと。使いようがなくて、またそれもためてじっとしておくというのがたまりにたまって一千六百兆、個人金融資産一千六百兆と言われるものになって、これが膨れ上がっていっているんです。

 これが、孫にというので、嫁にやりたくないけれども孫にはやりたいとか、いろいろな個人感情も含めまして、いろいろ各御家庭おありですから、それを孫にやる。孫はこっちにというので、信託に預けておいてということになります。こういったことをすると、その孫が使うかどうかは別にして、間違いなくそこは消費に回りますから、消費に回れば必ずGDPに出てきますので、そういった形の方が私はよろしいと思っています。

 これは知恵の出し方なんだと思います。この額をふやせとか、もっといろいろなやり方があるじゃないかとか、もう実にさまざまな御意見が最近は出るようになってきておると思います。私どもとしては、たんす預金だけでウン十兆と言われておりますので、まだ聖徳太子のままで返ってこないお札が何十兆円ありますので、そういったままたんすで寝ているのを含めまして、こういったものが外に回るようにしていく知恵を今後とも出していかねばならぬと思っております。

安住委員 ということは、これは実は二十七年の十二月三十一日までの時限でやっているんですよ。この先は、大臣はやはり延長した方がいいというお考えですか。一言で。

麻生国務大臣 これは、安住先生、私どもは、こういうのをほかのものに移しかえても構わぬとは思っているんですが、まずは、景気対策の一環として、今金を使ってもらうには時限でやった方が、消費税等々の落ち込みというので考えてこれをやらせていただいておりますので、時限だと言わない限りはなかなか使っていただけないかなという意識は正直なところありました。

 しかし、ことしいっぱいで消費税の形が見えてきますので、その上で改めて考えさせていただきたいと存じます。

安住委員 私は、これは続けたらいいと思いますね。本当に、銀行に眠っているぐらいだったら、おじいちゃんやおばあちゃんがお孫さんにこれを使えと言えば、息子さんたちは楽ですよ。一千五百万あれば、それは、地方で働いていたって、東京の私立に無理しなくてももしかしたら行けるぐらいの仕送りの額になりますからね。そういう意味では、こういうことが大事だと思う。

 もう一つ、哲学として、これは私はもしかしたら麻生大臣と違うかもしれないんだけれども、お金持ちの子供さんはお金持ちのままであり続けるのがいいのか、それとも、一代でつくった人の財産は子供とは関係ない、社会に返してもらって、またその世代で成功した者がその富を得る、大臣はどっちの社会がいいと思いますか。

麻生国務大臣 私は基本的には保守というのが私の存立の基盤ですから、自民党は総じてそうなんですけれども、少なくとも、親が税金を払って残った金を死んだらよこせという話ですから、相続税というのは。だって、税金を払った金で、脱税した金でも何でもない、税金を払ったのに死んだら国が金を取り上げる、それは何の権利があって言うんだね、二重課税も甚だしいじゃないか、私は、相続税を払う人の立場からいったら、おなかの中では一人の例外もなくそう思っていると思います。

 したがって、初めのうちにいろいろな形で、相続税というようなものではなくて、別の形でいただくものは先にいただかれた方が、今言ったような間接税とか子供にやるとかそういった形でやっておいた方がよほどいいのであって、今アングロサクソンは総じてみんな、カナダも今度相続税やらみんな無税にしますので、そうすると、こういうのがずっと出てくると、日本から国籍を移していくのがいっぱい出ますよ、今からきっと。

 そういったような形になってくるのは私どもとしてはいかがなものかと思いますので、こういったような形で取るだけ取っちゃおうという発想は私にはありません。

安住委員 そこは私と違います。

 私は、決して昔でいえば子爵や男爵の子供ではなくて、私の父親の大学時代の卒業証書を見たら平民と書いてありましたから、多分平民なんですね。

 だけれども、私は、社会というのは、多くの貧しい、また厳しい環境で育った人にも成功のチャンスはあるべきだと思うし、官僚の皆さんなんかは比較的、決して豊かな家ではないけれども、東京帝国大学を出てちゃんと成功を評価されている。私は、そういう機能がなくなっていくとやはり社会というのは硬直化して、生まれた家が立派だったら人格は関係なく豊かな生活ができるのかよ、それはおかしいじゃないかと思うんですね。かといって、共産主義と言ったら怒られますけれども、全部よこせと言っているわけじゃない。

 ただし、チャンスのある社会というのは、親からもらう相続というのは、ここは考え方の違いで、多分大臣は、父や祖父の財産を自分が継承することは当然のこと、家としての家柄だと思っていらっしゃると思うんですが、私は、ある意味で社会に一度還元をしてもらって、その富はその世代で頑張った人が受け継ぐようなことをやはり並立した方がいいんじゃないかと思っているんですよ。

 そういうことからいうと、相続税のあり方というのは抜本的にもう少し見直す。例えば、都内の土地だって、七十坪を超えたのと七十坪以下では相続対象が違うんですよ、細かいことはもしかしたら御存じないかもしれないんだけれども。

 私は、そういう意味では、持つ者と持たざる者をどういうふうに同じ競争のスタートラインに乗せるのかというのは民主主義にとっては非常に重要なことで、高齢化社会になったときに、実は、終戦後のように、若い人があふれ返って、みんながゼロになって頑張るぞという時代でなくなったときに、このことは政治家としては非常に重要なテーマだと思っているので質問したんです。

 もしかしたら、ほかのことではかなり私は麻生大臣と似たところもあるんだけれども、このことだけはちょっと多分相入れないかなと思って、今聞いたんですね。いかがですか。

麻生国務大臣 それは、思想、信条が丸々一緒だったら民主党になっているんじゃなくて自民党におられるんだと思いますので、全然違うんだと思います。

 基本的には、それぞれの地域において何百年も何代も続いた家というのはありますけれども、そういった家というのは、住みたくなくても古い家はずっと住み続けなければならぬし、リニューアルして、直して新しいものに建てかえるわけにもいかぬしとか、いろいろなものを皆それぞれの家庭で、長男として生まれればそこでしょっていかないかぬという覚悟がありますので、そういったようなものを持っていかねばならぬという責任も同時にかぶせられるというのが一つ。

 それから、教育の面でいえば、やはりそういったところを見ても、何代目というのは長く続かないんですよ、出来が悪ければ。親の教育が悪ければ長く続きませんよ。何代も続いている家なんかないんだから、みんな。私らの周りを見ていても、ぼつぼつなくなりましたよ。

 だから、そういったものを見ていますので、私は、この社会は、ええところに生まれたにしても、教育とか競争とかいうものの結構激しいところだなと思いますので、そういった意味では、最も社会主義が成功した国なんだと財金か何かの委員会だかで答弁した記憶がありますけれども、社会主義が最も成功した国はこの国ですと申し上げたんですけれども、社会主義といっていないだけで、やっていることはそうなんじゃないのという答弁をしたと記憶します。

 いずれにいたしましても、保守というのは、守っていかねばならぬものを守り続けていくというのは極めて大事なことなんだ、私はそう思っております。

安住委員 多分そこが私と麻生大臣が最も違うことなんでしょうね。

 だけれども、私は、あえて申し上げますけれども、やはり日本の社会というのは、明治以降もそうですが、そうした才能のある人を門閥関係なく登用できたからこそ、ここまで来れた。

 なぜこういうことを言うかというと、最近、例えばいい大学の入学者を見ると、東京で収入の高い家のお子さんが圧倒的に多いんですね。だから、地方にいて教育環境が厳しい中だと、同じだけのレベルに来れるのかというと、大臣、もしかしたら思っている以上に差がありますからね。そこはよく丁寧に見て、やはり社会にどういうふうに富というものを還元して、誰に使ってもらうのかということについては、立場はそれぞれ違いがよくわかりましたけれども、ちょっと私の言うことにも耳を傾けていただければなと思います。もし政権交代したら、私は財務省にはそれはもう徹底的にやろうと思っておりました。

 さて、そこで、配偶者控除なんですね。

 配偶者控除の問題というのは、これはなかなか難しいんですよ。現実に、利益関係者といいますかが多くて、まさに自分の人生も家族もかかっている話です。しかし、私はきょうはもう自分の考えから最初に大臣に言っていますから、それでいうと、やはり世の中が変わったということから目を背けるわけにはなかなかいかないですよ。女性の社会進出も必要だし、就労人口の話はさっき言ったけれども、これはやはり女性の戦力をもっと社会に活用した方がいいとも思う。

 そうしたことからいうと、田舎であればあるほど多分若い人がいないんだから、私の被災に遭ったふるさと石巻市だって、水産加工屋は、ちょっと言葉は悪いですけれども、近所のおばちゃんの力で切り身や何かをつくったから、みんな助けてもらったんですよ、水産加工屋が大きな富を得たんですよ。そういうことからいうと、配偶者控除をどういうふうに、しかし、このままでは百三万円超えたら働かないとかいう壁があるし。

 専業主婦の方々をどう捉えるかということは非常に難しいんだけれども、昭和二十二年以降、実は控除制度というのがずっとできていくんですよ、細かなことはもう時間がないから言わないけれども。その中で、昭和三十六年ですよね、この配偶者控除。つまり、サラリーマン社会ができて、高度成長がスタートして、どんどん若い人が東京に来て、世帯を持って、そこで働いて頑張ろう、そのかわり家はお母ちゃんが守ってよ、こういう時代でした。まさに私が生まれて育ってきた時代です。これからは、やはりこれはちょっと見直した方がいい。

 その場合どういうふうに見直すのかというのは、ようやく税調で議論が始まったと思います。私、大臣の会見をこの間拝見させていただいたところによると、大臣は、これは社会のありようを変えるような話だから慎重な意見もあるんだということをおっしゃっておりました。

 私もそれはそうだろうと思いますが、女性の社会進出をするために、私はこの税制を変えたから劇的に女性が社会進出するとは思っていないんですよ、本当のことを言うと。もっと子育て支援や、女性の働ける環境や、いわゆる私どもが言っている共稼ぎができるような社会をつくって、だから私ども民主党は子ども手当とかをやったんです。

 そういう外的な要因もちゃんと環境をつくってあげて、少子化に対応して、女性も働きやすくするというのがまず一つあるんだけれども、この制度だけでいえば、やはり見直して、働く状況によって税制面での優遇というものをできるだけないようにした方がいいんじゃないかと思っているんですけれども、いかがでございますか。

麻生国務大臣 これはもう安住先生御存じのように、それぞれ皆意見が物すごく分かれるところで、自由民主党の中でも、この配偶者控除については、これは家族のきずなの意味においては絶対という方もいらっしゃれば、女性の社会進出というのを促進するためにはもう要らねえというので、私どもやらせていただいて、御存じのように例の百三万円の壁というのはもう大分なくなってきております。そういった意味では、この点に関してはいろいろな意見があることは確かなので、そう簡単に結論が出る話ではありません。

 やはり女性の社会進出をやらざるを得ない形というのは、私は、いいか悪いかは別にして、例えば、さきの戦争の真っ最中に、男は全部戦争に駆り出されていなくなっちゃったものだから、少なくとも中学生、昔でいえば中学生でも、今でいえば高校二年ぐらいまでは中学生ですから、今とは少し時代が違うとはいえ、とにかくゼロ戦のシリンダーから何から中学生が全部つくっている、女性が全部磨いているというようなことをやってのけて、第二次世界大戦というのは戦っています。いろいろな意味で、男子がいなくなっちゃった結果として、日本の工業の近代化というのが構造的には恐ろしく進んだのはさきの戦争の残した大きなものの一つだ、私にはそう思えます。炭鉱でも現場に女性というのはかなりおりましたから、そういったのは今では考えられないようになっておりますので、そういった時代に、私の場合はそこにいた方ですから、よくわかるところなんです。

 こういったようなものをやった場合にもうちょっといろいろなことを考えて、子供を産んでいない人だったら、その人の場合は、ダブルインカム・ノーキッズ、通称DINKSという言葉がアメリカにありますけれども、このDINKSの方々は、では、あなたたちは、子供を産んで育ててくれる前提でこれだけ税金を安くしたんだから、少なくとも、産まないんだったら、その分だけおたくらだけたくさん頂戴というのはどうですかと、これはアメリカでやった裁判の話の一つです。

 その場合に、大賛成、わあっというのと、体の面で産みたくても産めないやつはどうするんだという話がまた反対側の弁護士側で出てきて、私はちょうど学生のときだったので、すごく記憶があるんですが、わんわんなって、そのときには、ベトナムから大量に子供が難民で来ているんだから、みんなそういった子を養子にもらえという説があったりして、学校の中じゅうがこれをやっていましたので、すごく印象のあるところです。

 いずれにしても、やはり今言われたように簡単な話ではないので、今御指摘のありましたように税制調査会で正式にこの問題について取り上げるという形で、今、専門的な見地から中長期的な意見というのを集めてということで、ちょっとこれは簡単に結論が出る話じゃないと思いますけれども、この問題について正式に正面から取り組むというところまでは来ておると思っております。

安住委員 つまり、麻生大臣は、今のところ、自分としてはこうすべきだというところまでの結論には至っていないということですか。

 私は、こう思うんですよ。基礎的な控除というのは、戦後の税制の中で、ちょっと古い言葉だけれども、ふびんな状況、障害を持っているとか戦争で御主人を亡くしているとか、そういう中から、全部、政治の思いやりや配慮でできたものだと思いますよ。だから、時代に合わなくなったものを維持しているのは、これは既得権に変わっちゃうんですよ。

 だから、控除制度というのは、どこかで、世の中が変わったり不公平感を生んだときには、やはり見直さないとだめなんだと私は思っているんですよ。だから、基礎控除の中の配偶者控除、いろいろあるんだけれども、それはそろそろ見直す時期が来たんじゃないかなということです。

 だから、家族観とか子供がいるいないというのは、次元の違う話だと思うんですね。子供さんがおられるかおられないかじゃなくて、一人の人間として、女性も男性も就業に対して差別をしない方がいいのではないか。家族の構成をどうするかとか、持ったときに、お母さんが専業でいると控除されて、そうでないと控除されないというのは、逆に言えば、本当に必死で髪の毛を振り乱して朝から晩まで頑張って働いて、お子さんの世話もしてという女性から見れば割り切れないものもあるから、こういう話が出てくると思うんですよね。

 年金の問題もまさにここが、私どもが与党のときに、これは鴨下委員が指摘をして出てきた問題なんですよ。

 こういうことはひずみを正すということからいえば必要じゃないかなと私は思うので、少し前向きにお考えになられたらどうかなと思いますので、御指摘をしておきます。それは、決して保守だから守らないといけない部分だけではないはずですよ。常に革新的に変わっていかないと、よき伝統は築けませんからね。そのことは申し上げておきます。

 さて、思いのほか時間がなくなってきたので、法人税の話を一問だけ伺いますが、ちょっと確認ですけれども、大臣、法人税の引き下げが何か既定路線みたいになっているんだけれども、仮にその場合は、つまり、代替財源をきちんと責任を持って確保するということはお約束していただけますね。

麻生国務大臣 これは、新聞を読んでいると、いかにもあしたにでもできるようなことが書いてありますけれども、元記者としては、ちょっとこの点についてはいかがなものかと反省もしていただいて。

 今、二〇二〇年のプライマリーバランスをバランスさせますというのを傍らに掲げながら、法人税を代替財源もなく一方的に実効税率を下げますなんというのは、それは片っ方の話と矛盾することになりますので、課税対象を広げるなり、何らかの形で代替財源を探さないでやるというのには私どもとしては賛成いたしかねます。

安住委員 この話をするとそれだけでも一時間ぐらいやらないといけないけれども、企業の優遇税制というのはいろいろな分野にわたっていますよ。

 麻生さんは経営者でもあられるから、セメントなんかは研究開発控除なんかをどういうふうに受けているんだかわからないけれども、全部洗いざらいして、国民にさらけ出した上で、今の法人税を下げるとすれば、では、どこをやめるかというのはやはりちゃんとやってもらった方がいいというふうに思います。

 何か、下げると国際競争力なんというけれども、実際は、国際競争力に関係する企業の法人税支払い率というのは、この間私は言ったけれども、三〇%にも満たないんですよ、本当に。だから、そういう意味では、国際競争力イコール法人税を下げるという安易な考え方はやはり違うよということは、強く大臣からおっしゃっていただいた方がいいのではないかなと思います。

 消費税は、一問だけ聞きましょう。

 私は、世論は非常にある意味で冷静なので、安心をしました。ちょっと一部のメディアがあおって、あおってと言ったら大変申しわけないんだけれども、上がったことで、午前零時になったら切りかえるからなんといってレジに駆け込むようなのをわざとあれは撮らせているんだと思うけれども、しかし、国民は至って冷静で、世論調査の結果もそうだし、皮肉を言えば、残念ながら自民党の支持率もそれで下がっているわけじゃないんですよ。だから、そういう意味では、皆さん、一〇%も自信を持って、よく考えてやってください。

 消費税の問題というのは、やはり国民は、財政再建のことや少子高齢化の中で、重要だと思っていますよ。ただし、使い道をもうちょっとわかりやすく、そこは、大臣、私は少し熱心さが足りないと思っているんですよ。

 なぜかというと、社会保障の充実と効率化というのはやらないといけないと合意したんだから。私はこの間も申し上げたけれども、生活保護が急に、景気がよくなったよくなったと言いながら、そちらがふえているとか。やはりちょっとそういう意味では熱心さが足りないんじゃないか。

 もっと言うと、中長期で見ると、介護制度は、本当に、このままでいったら多分破綻するんじゃないでしょうかね。多分、二十年後には倍の経費がかかりますよね。今、有効な手だてをどういうふうに打つかという最後のチャンスだと思いますが、財務省も厚労省も、真剣にこのことをどうするか、議論をしている節がないのが私は心配です。

 ニーズは高まりますけれども、それを誰が負担して、どういうふうに支えていくのか。今みたいに数兆円じゃなくて、十数兆円、また二十兆円を超えるようなお金が必要になるんですよ。そういうことからいうと、介護制度というのは、自治体の負担も含めて、お互い、厳格な運用の中で何をどうサポートするのかということをもうちょっと熱心にやるべきだと私は思います。

 質問は、それとはがらっと変わって、軽減税率なんですよ。

 私は、やはり給付つき税額控除がよかったなと自分なりには思っているので、大臣、これは、軽減税率を本当に一〇%導入時におやりになるんですか。私は、課題が非常にあると思いますから、慎重に対応した方がいいと思っておりますけれども、いかがですか。

麻生国務大臣 まず今のお答えをする前に、租特、租税特別措置、あれを洗わないかぬ、全く賛成です。ただ、洗いますと、全部で九千何百億しかないんですよ。それを全部やったって九千億だから。そうすると、また片っ方のやつは、もっとでかいものですから、とてもそんなものじゃない、もっと別のところをやらないかぬと正直思っております、それも含めて。

 それから、今言われましたように、軽減税率ですけれども、これは、どこで合理的な線引きが引けるかというのは大問題ですよ。マーガリンはよくてバターはだめだとか。今、金持ちが体のことを考えてマーガリンを食べて、貧しい人がバターを食べていて、もう全然話が違うじゃないかという話が出たり、焼酎は貧しい人が飲む、何言っているんだよ、金持ちがみんな焼酎の高いのを飲んでいて、貧しい人が普通の酒を飲んでいるんじゃないか、何を言っているんだというのは、これはやはり役人が、官官接待がなくなって、世の中を知らなくなりましたな。本当、非常識になっていますよ。全然実態がわかっていない。僕は、本当にお役人さんというのはかわいそうだなと思って、世間の常識とずれちゃったなと思って、僕は努めていろいろとその話をするようにしているんですけれども。

 いずれにしても、この軽減税率の話というのは、非常に手間暇のかかる話ですし、面倒なところでもありますし、これに熱心な方もいっぱいいらっしゃるんですけれども、僕は、これはなかなか手間暇かかる話、線引きの話、かつ、やらされる事業者は、今までやっていなかった人たちが一斉にこれをやらされますから、ここはちょっと正直、低売り上げなところほどとんでもありませんと言われる方が多いので、あんた、今まで自民党はやっていなかったのに、こういうときだけ自民党に頼むななんて言ったことがあるぐらい、その人にも言ったことがあるんですけれども、そういった意味ではこれは真剣に考えます。

安住委員 それは私と同じ考えです。私もそう思いますので、慎重にやっていただきたいと思います。声の大きい人や団体が残念ながらこれを押し通したら国民はやはり不公平感を感じますので、できるだけやはり公平性を保った方がいいのではないかと思っておりますので、ぜひそれは頑張っていただきたいと思います。

 最後に経常収支の話をしたかったんだけれども、ちょっと飛ばしましょう、あと三分しかないから。これはちょっとまた別途時間を設けて、これ自身は非常に深刻ですものね。やはり日本は稼ぐ力というのをもう一回考えないと、原発とかそれだけの問題じゃないですね、常態化しているこの貿易収支の赤字は。これはまた別途話をしたいと思います。

 最後に、実は地銀の話をしたいんですよ。畑中長官が、ことしの年初めかに、地方銀行の金融再編をすべきじゃないかというふうな会見をなさったんです。それはさまざまな理由があると思いますが、私は、体感として申し上げると、何となくうなずけるんですよ。

 実は、この間も我が党の部門会議のときにある議員が言っていたんですが、自分の地元に、四国の地元に山陰の方から銀行がおいでになられて、自分の地元の銀行よりも安い利息でお金を貸しますから使ってくださいと。いわばすみ分けがきかないぐらい、仁義なき戦いとは余り委員会のこの場で言いたくないんですけれども、地銀はもう余裕がなくて、ほかの銀行の島のところに行ってどんどんやはり争っているんですね。それは、いい競争になればいいんですが、つまり融資先が細ってきて、人口減少があって地域経済が小さくなっている中で、地銀が、言ってみれば行き場がなくなっている。数が多い、こういうことが原因になっている。だから、何と言いましたか、地銀デフレか、金融だけがデフレになっているんだと。これは確かにそういう状況というのはあるんですね。

 ですから、多分、畑中長官もそういう背景の中でこういう話をしたとは思うんだけれども、銀行の再編というのはなかなかそう簡単なことではないから、つき合っている会社によっては、こんな会社、つき合うのは、引き取るのは絶対嫌だなんということになれば、地域に大きなひずみを残しますから。

 しかし、やはりこれも時代のニーズかなと思いますので、最後にこれについての大臣の所見を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。

麻生国務大臣 これは、安住先生、間違いなく、貸付対象になります企業ということになりますので、今の時代というのは、昔と違って、いわゆる貸してくれる銀行がないから企業が倒産するのではなくて、貸出先がないから貸す方の銀行が倒れるという話ですから、全然状態が違ってきておると思います。

 したがって、人口移動等々によって貸出先の企業がごそっとなくなれば、そこにあります地銀はどこかにということになっていかざるを得ない。そこで、長官の言ったような一つの案が出てくる。これは、かかって経営者が最終的に判断をして決めないかぬところだと思いますけれども、私どもとしては、そういったものに対しては、それは経営者の判断ですから、判断してやったものは、きちんとそういったものをバックアップしていってやらないかぬと思っております。

安住委員 終わります。

林田委員長 次に、坂元大輔君。

坂元委員 日本維新の会の坂元大輔でございます。

 安住元財務大臣からの、非常に中長期的な視点に立った幅の広くて深い議論の後でありますが、私からは、また直近の具体的ないろいろな事々について御質問させていただきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

 麻生大臣、そして今いらっしゃいませんが黒田日銀総裁、G20、財務大臣・中央銀行総裁会議御出席、お疲れさまでございました。

 先ほど牧島委員から、日本としてどのような発言、主張をしてこられたかという御質問がありましたけれども、私からは、このG20でアベノミクスに対する世界からの最新の評価がどういったものであったかということが一点、そして今回のG20のテーマの一つとなりましたIMFの改革についての我が国のスタンスについて、改めて確認をさせていただきたいと思います。

    〔委員長退席、菅原委員長代理着席〕

麻生国務大臣 この一年間において日本の経済指標の数字というのは、財務大臣よりは中央銀行の総裁をやっている人たちの方が詳しくそういったものは、仕事柄かもしれませんけれども、そんな細かい日本の数字まで知っているのかよ、ちょっと待て、はったりをかまされているところもあるから、本当かと思ってよく見ることもありましたし、桁が時々違っていたりいろいろしていたことはあるとはいえ、そういったような話で、どうしてこういうぐあいに今まで五四半期もずっと連続でGDPが急に伸びたんだとかいうのに対して、日本は、デフレというものから脱却するという、少なくとも戦後六十年、七十年の間でやったことがないようなことをやっているので、まだまだこれは緒についたばかりで、デフレからの脱却が終わってどうするかというところまでまだ言っていられる段階じゃないので今の段階としてはこんなものなんだという点で、頑張ってもらいたいという評価が出たのが、アベノミクスというか、今の日本の経済に対する評価です。

 それから、IMFの改革。坂元先生、これは全然話題になっていない。日本でこれが話題になると言った人は余りいないんですが、これはIMFの中における最大の問題ですよ。

 これは、二〇一〇年に、きちっとした改革をやらねばならぬというので、IMFで合意したわけです。合意して、二〇一二年になってやる予定だったんですが、やる時期になってもやらない、やれない。これはクオータの話ですから。

 そういった中で、危機的対応だったかつての二〇〇九年のリーマン・ショックのときには、日本としては一千億ドルの融資をやったりいろいろしたんですけれども、少なくとも、加盟国の信頼性とか、またIMFの正当性というものを維持するという意味においては、IMFにおけます資金力の大きさというのは欠かせない大きな問題なんだと思います。

 日本としては、引き続きこれを支援していきたいと思って、二〇一〇年に決めた改革をきちんとやっていけるようにと言うんですが、これに唯一というぐらい断固反対ということを言っているのはアメリカです。ほかの国も、日本とかドイツとか、賛成じゃないけれども反対もしないという程度で、消極的賛成。

 それによって、発展途上国、新興国等々が皆、上がってきた分だけ発言権を出せ、俺たちに枠を何とか、そういった話で、ということは、今まであるドイツとか日本とかアメリカというのは減らされる方ですから、そういった方にしてみれば、総じて余り賛成とは言いがたいところなんですけれども、今、そこらのせめぎ合いになっております。

 今、アメリカも、これはやらざるを得ぬと思っておるんですが、アメリカの議会でこれは全く通る当てがないので、この十二月、中間選挙が終わったぐらいに少し答えが出てくるかなというのが今の置かれている現状であります。

坂元委員 御答弁ありがとうございました。

 本当に、なかなかこれは日本国内で余り報道がされていないんですけれども、非常に大きな問題だと私も思っております。先ほど大臣がおっしゃったように、国際経済の中でのIMFの信用であったり立場が大きく問われている問題ですので、確かにこれはアメリカの国内問題というか議会の問題ですのでなかなかタッチできない部分ではあるんですけれども、米中間選挙が終わってから、引き続きこれには日本政府として積極的に取り組んでいただければというふうに改めてお願いをさせていただきます。

 続いて、予備費についてちょっと御質問しようと思っていたんですけれども、きょうの私の質問のメーンのことであります株価について、先に御質問をさせていただきたいと思います。

 四月に消費税が上がって、物価のことが大きく注目をされているわけでありますが、その一方で、きょうお配りしている資料をちょっと見ていただきたいんですが、資料の左上でございます、株価がじわじわと下がってきております。先ほど大臣から、各国の中央銀行総裁が日本の指標にかなり注目をしているという御発言がありましたが、その中でも、やはりこの株価というものは大きな指標の一つであると思います。

 その株価がほかの主要な市場と比べて少しずつ下がってきている中で、きのう安倍総理と黒田日銀総裁が会われたというところで、一部報道では、黒田効果を狙ったんじゃないか、黒田総裁の発言によって市場を動かそう、刺激を与えようという効果を狙ったんじゃないかというような報道もございましたけれども、残念ながら、きのうは日経平均株価はそんなに大きくは動きませんでした。

 けさ、ちょっと調べたら、きょうは一万四千円を超えて少し上がっているようですけれども、思ったほど、先ほどの議論でもあったとおり、市場がなかなか反応しなくなってきているんじゃないかというようなことも言われているわけであります。

 まず、今、ことしに入ってから日本株がじわじわと下落している要因についてどのように考えておられるかという点と、もう一点が、私、こちらの方が非常に心配なのが、資料の右上を見ていただきたいんですけれども、変動率、非常に乱高下がニューヨーク・ダウと比べても激しい。そして、三月十四日に世界的に株価が落ちたわけですけれども、このときの日経平均の下げ幅も非常に大きかったというところで、日本株市場というのは御存じのとおり世界でもトップスリーに入る規模であるにもかかわらず、新興国の市場よりもさらにひどい乱高下をしている状態であります。

 まず、この日本株の下落についてと、その乱高下の要因について、大臣のお考えを伺えればと思います。

麻生国務大臣 坂元先生よく御存じと思いますけれども、なかなかうかつにしゃべれない立場にいますので、あなたの期待する答えを言った途端にえらい騒ぎになったりして、ちょっとやられますので、言葉をちょっと選んでいかないかぬところなんです。

 御指摘のありましたように、このマイナス三・三〇という一番左下の数字というのは、間違いなく他国の株価の指数より下落率が高いというのは事実であります。けさは一万四千二百円ぐらいになってきておりますので、それなりの数字がまた上がったりしているんですけれども。

 一番大きなのは、外国人です。外国人の買いが、昨年の前半、非常に高かった。とにかく、五〇%なんてものじゃない、六割、七割は外国人が買ったと思いますので、そういった意味では、かなりのものが、そこが買わなくなった、売らなくなった、そのときに日本人が売ったんだと思います。これがずっと下がってきますと今度は買う人が出てきますので、これはしばらく日本が待たないかぬところであろうとは思います。

 少なくとも、いろいろな意味で、ガバメント・ペンション・インベストメント何とかといいましたね、いわゆるGPIFの動きが六月以降出てきます。これは官房長官が言っておられますので、そういったようなものの動きが出てくるというのがはっきりしてくると、外国投資家の方が動く可能性が高くなる。

 それから、NISAやら何やらを見ましても、まさか五百万口も一挙にばんと出るとは思いませんでしたけれども、あれだけやはり株式に金が動く確率が高くなってきているというのは、やはり日本の企業のファンダメンタルズは悪くありませんから、そういった意味では、これが見えてくれば確実に、投機ではなくて、きちんとした投資をしておられる方にしてみれば、私どもとしては、方向として決して今間違っているとは思いません。

 具体的なコメントをすることはちょっと差し控えさせていただきますけれども、今の状況として、かなり外国人の投資家によって動き、ファンドとかいろいろな表現がありますけれども、そういったものの思惑売りとかいろいろな表現があるんですけれども、そういったものではない、まともな投資をしておられる方々の方向としては、決して間違っている方向ではないと思っております。

坂元委員 私も全く同じ見解でございまして、やはり一番の原因は、日本株市場において外国人投資家、先ほど大臣がおっしゃった言葉をかりれば投資ではなくて投機ですね、つまり短期的利益を追求する外国人投資家の存在が余りにも大き過ぎる点だというふうに考えております。

 改めてちょっと数字を確認させていただきたいんですが、日本株市場における外国人投資家の保有比率と売買シェアを教えていただきたいと思います。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 東京証券取引所が公表しております株式分布状況調査によりますと、平成二十四年度の外国法人等の保有比率でございますけれども、約二八%となっております。

 また、同じく東京証券取引所が公表しております投資部門別株式売買状況によりますと、本年の一月から三月までの期間における海外投資家の売買シェアでございますが、約六五%となっております。

坂元委員 そうなんですね。売買シェアが六割を超えているような状況ですので、これだけ頻繁に売った買ったを短期的利益を追求してやりますので、先ほど大臣もおっしゃったように、日本人の投資家もそれに合わせるような形、むしろ後に引きずられるような形で同じように動いている状況があってこれだけの乱高下、不安定な状態というのを生み出しているのかなというふうに考えます。

 先に大臣から少し御発言もいただいたんですけれども、やはりそういうことを考えたときに、私は、本来の株のあるべき姿だと思っているんですが、投機ではなくて投資ですね。ファンダメンタルズに注目をして、中長期的な視点で株を買うことをやはり国内の機関投資家がもっとやっていくべきだろうというふうに思っております。

 先ほど具体的にGPIFのお話がありましたが、お配りしている資料の右下を見ていただきたいんですけれども、これは、国内の主な年金基金の資産配分でございます。

 お話があったGPIFは、年金積立金管理運用独立行政法人、基金の中でも圧倒的に大きな基金でありますけれども、資産合計は百二十兆円を超えています。国債の保有が六割を超えていて、日本株がこの数字では一五%程度。大体、ポートフォリオを調べると、国債六割、日本株式一二%というのが基本の、今までのポートフォリオであるというふうに伺っております。

 やはりこういった国内の機関投資家にもっと積極的に日本株を、ちょっと言い方は問題があるかもしれませんが、ある意味買い支えていただきたいというのが、株価が安定的に推移する一番いい方法なのかなというふうに私は考えております。

 官房長官が改革をしていくというような発言もされておりますが、まずお伺いしたいのが、GPIFの管理、外部委託に携わる職員数は何人いるのか、そのうち非常勤や兼任の割合と、株式市場での運用経験者の割合を伺いたいと思います。

    〔菅原委員長代理退席、委員長着席〕

藤井政府参考人 お尋ねのGPIFでございますが、年金積立金につきまして、外部委託を含めて管理運用業務を行っておりまして、職員数は、平成二十六年、本年四月一日現在で七十五名でございます。そのうち非常勤の職員数は四名でございまして、また、ほかの企業等と兼任をしているような職員はおりません。また、株式市場等、民間金融機関における運用経験等のある職員は、全職員のうち四割であるというふうに聞いております。

坂元委員 ありがとうございました。

 運用経験四割ということでしたので、であれば、ぜひその経験を生かした上で、積極的にもっと株式市場に入っていっていただきたいというふうに思います。

 GPIFだけではなくて、年金基金だけでもなくて、その他の機関投資家も含めて、ファンダメンタルズに注目して日本株を買い支えてもらうような環境整備が日本の株価にとって非常に重要であるというふうに私は考えますけれども、その点に関して、麻生大臣の御見解をいただければと思います。

麻生国務大臣 これは、坂元先生、何だかんだ言いながら、資産デフレ不況からの脱却と日本経済の持続的な成長というものを金融の面から支えていくということを言っておられるんだと思いますが、やはり金融とか資本とかそういったものが経済の成長資金というものを供給させるのは非常に重要なことだと思っております。そのために、いわゆる公的年金を含みます機関投資家とか、一千六百兆を超えました家計の中におけます金融資産とか、そういったものを投資に促していくような環境整備というものが非常に大切なことなんだと思います。

 今、私どもとしては、成長資金の供給を促すため、NISA、いわゆる少額投資非課税というのをやらせていただきましたけれども、五百万口だったか、思いのほかわっとという形になりました。そういった意味では、持続的な成長を促していくという意味で、日本版のスチュワードシップ・コードとかそういったようなものを策定したり、収益性とかいうものを考えたら、やはりJPXの日経インデックス四〇〇とかああいったようなものの普及を推進していかねばいかぬ。何となく、株とかいうと、怪しげなものとか、だまされた人も多いですから、みんな昔のイメージがありますから、あいつらにやられたというのは田舎の金持ちに大抵一人や二人必ずいますから、そういったイメージがある間は、なかなか抜けないんですよ。

 そういったものが現実ですから、そういったものを考えて、やはりきちんとした金融市場とか資本市場とか株式市場というものを育てていくことは、結果として、いろいろな意味で日本の個人金融資産、一千六百兆を超えると言われていますけれども、八百八十兆ぐらいが現預金というのはどう考えてもちょっと偏り過ぎていると思いますね。だから、債券とか株とかいうようなものにその比率が回っていくだけでも随分違ったことになろうと思いますので、そういったようなことに関する意識改革なり環境整備というものを我々は心がけねばならぬと思っております。

坂元委員 ありがとうございました。

 確かに大臣のおっしゃるとおり、個人の投資家の方は、私もお話をさせていただいて、やはりバブルが崩壊したときのあの体験ということをいまだに根強く思っておられる方もいらっしゃいます。

 ただ、いわゆる機関投資家はプロですから、これはなかなか、もちろん独立性の問題もありますので、国として、政府として何ができるのかというのは非常に難しい問題ではありますけれども、やはり日本経済全体を考えたときに、もう少し株に対しての積極的な運用というものを機関投資家にも働きかけていただきたいなというふうには考えております。

 続いて、そもそもの話をさせていただきたい。株価というものの話をさせていただきたいんですが、日経平均株価であります。

 御存じのとおり、日経平均株価というのは、一株当たりの価格が高い銘柄も、一般的に値がさ株というふうに言われますけれども、百円の銘柄も、株価そのものを単純平均して出しています。海外の株価の主要指数というのは時価総額の加重平均型で出しているのに対して、日本の日経平均株価というのは単純に足して平均をしているわけであります。つまり、値が張る株の変動によって大きく数字が動いてしまうわけなんですね。

 先ほども申し上げたとおり、日経平均株価というのが日本経済のある意味体温をはかるというか、日本経済の状態をはかるのに一般的には一番重視されている数字だというふうに思いますので、その数字が値がさ株の変動で大きく揺れ動くというのはどうなのかというふうな指摘もありますけれども、この点について、大臣の御見解を伺えればと思います。

麻生国務大臣 おっしゃるとおりに、株価を単純平均するものとか株価を時価総額で加重平均するものとか、いろいろ国によってやり方が違っているのは確かなんですけれども、日本の場合は、今御指摘のありましたとおりに、株価単純平均型でやっているんです。日経平均はこれで出しておりますけれども、そのほかにも時価総額加重平均型と言われるものでTOPIXというのがあります。これは間違いなく全体的な動きを示す指標として大分定着してきたんだと思っておりますので、投資家というか、今預金を持っておられる方々がやられるときに、どちらの指数を見ながらやられるか。TOPIXを見ながらやるか、東証の平均でやるかというのは、これは各指数の特性というのを踏まえながら利用していただくということになるのが好ましいと思っておりますので、こちらをやめてこちらがというのじゃなくて、両方の指数をもって比較対照して判断していただくのが正しいんじゃないかなと思っております。

坂元委員 おっしゃるとおりだと思います。

 ある程度、投資をされている方、株のことを知っておられる方というのはTOPIXの重要性も理解はされているんですが、やはりなかなか株になじんでいない一般の国民は平均株価というのが絶対的に正しいものだというふうに思われがちでありまして、そのあたりも、財務省であるとか政府としても、株価ということを捉えたときに、もうちょっとほかの指標もあわせて使っていっていただけるようにお願いもさせていただければと思います。

 時間もなくなってまいりましたので、最後に、いつも私は主張させていただいておりますが、財政健全化という観点に立って、予備費についてちょっと伺わせていただきたいと思います。

 先日、平成二十四年度の予備費に関してちょっと見させていただいたわけなんですが、平成二十四年度の予備費で、日本再生戦略における施策の実現前倒しということで、いわゆる経済的な予備費、経済予備費ということで九千百億円が使われております。

 皆様御承知のとおり、憲法八十七条で、予備費の使用というのは「予見し難い予算の不足に充てるため、」というふうにございます。一般的に言われるのが、選挙であるとかそういういつ起こるかわからないものに対して使われるものということで、予備費が充当されるわけなんです。

 今回、具体例として二十四年度の予備費を挙げさせていただきましたが、自民党政権時代もこういった経済予備費というものがあったというふうに伺っております。財政民主主義という基本中の基本原則から考えて、こういった経済的な予備費というものはいかがなものかというふうに私は率直に思うわけなんですけれども、この点に関して、大臣の御見解を伺えればと思います。

麻生国務大臣 坂元先生、この経済予備費というのは、最初は多分私のときで、平成二十一年が最初だと思うんですね。あのときはリーマン・ショックが起きましてどおんと来たので、経済予備費というのをやらせていただいたんです。

 その後の三年間ずっと続いていますのは、民主党の方に聞いていただいた方がいいと思いますが、経済予備費という項目は、多分、津波があったりしたものですから、それに使われたりした部分もあろうかと思います。

 私どもの方としては、今度の場合は、今御指摘のあった二十四年度に関して言わせていただければ、私どもの中で予算を全部組み替えたりなんかしておりますので、その関係で、デフレ不況からの脱却ということに鑑みましたので九千百億という形で使わせていただいておるんですが、その時代というか、予算の編成年度によって随分と内容はそれぞれ違っているんだと思います。

 私どもの場合、今御指摘のありましたように、憲法八十七条の第一項によってきちんと、「国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出する」と決められておりますので、予備費を計上するということ自体は法律上何ら問題があるわけじゃないんです。

 経済緊急対応予備費などにつきましては、先ほど申し上げましたように、資産デフレ脱却を今、アベノミクスで最初にやらねばならぬというようなときとか、通常の予備費とは異なって一定の範囲に限定をしておりますので、そういった形で、国会の議決を得て計上させていただいております。

 こういった形がなく普通にいっているときは経済予備費なんて全く使われたこともありませんし、計上されたこともありませんし、事実、私ども、来年にこれを計上しているわけではありませんので、そういった意味では、財政民主主義との関係で、決してそれは問題があるというように考えているわけではございません。

坂元委員 大臣から今御答弁がありましたが、平成二十四年度の予備費というのは、前民主党政権の野田内閣で閣議決定をされて使われたわけでございまして、はっきり言うと、実は衆議院解散後に閣議決定されたものなんですね。つまり、いわゆる選挙対策の疑いも免れない部分もあるかなというふうに思っております。

 今、我々議員の歳費の問題が少し取り上げられていますけれども、はっきり言って、額的にいうとこちらの方が圧倒的に多いわけなんですね。補正のこともずっと私も言わせていただいていますけれども、こういう規律の緩い使い方をするから我が国の財政はなかなかよくならないという点が私は絶対あると思っておりますので、今後も引き続き財政健全化の観点からお話もさせていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

林田委員長 次に、三木圭恵君。

三木委員 日本維新の会の三木圭恵でございます。

 きょうも質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 麻生大臣、G20御出席、お疲れさまでございました。ありがとうございます。

 私の方からは、日韓スワップ協定の件と、配偶者控除の件についてお伺いしたいと思います。

 ことしの二月十八日に、韓国の方の新聞なんでございますけれども、財務省の山崎達雄国際局長が、日韓スワップを検討するよ、向こうから要請があれば前向きに検討してもいいよというような記事が載っておりましたので、ちょっと日韓スワップのことについてお伺いしておきたいなと思って、きょうは質問をさせていただきます。

 日韓スワップの時限的な増額部分というのは二〇一二年十月三十一日に、またチェンマイ・イニシアチブの百億ドル分以外の三十億ドル分についても、昨年、二〇一三年七月三日をもって失効されました。

 日韓スワップの所期の目的についてお伺いすると同時に、当時、協定が延長されなかったことについて、当時の政府なんでございますけれども、韓国からの要請がなかったためとされていますが、具体的にどのような理由により判断、決定が行われたのか。そのことについて、二点、お伺いをいたします。

麻生国務大臣 まず、最初の通貨スワップの取り決めは、二〇一一年の十月に、これは一年間限りで、総額百三十億ドルから七百億ドルに拡充したと記憶します。

 これは、当時、欧州情勢というのが甚だしく不透明という状況にありまして、韓国政府の要請がありましたので、私どもとしては、為替市場を含めて金融市場の安定化のためにということで、これで韓国経済が安定しませんと、あそこはいわゆる長期資金というのは余り使われなくて短期で金を回しておられますので、そういったことを考えてやらせていただいたのがそのときの経緯であります。

 それが延長されなかったのは、一年後の二〇一二年に予定どおりこれは全部終了したんですが、金融市場が安定して、日韓両国で日韓スワップの増額部分の延長は必要ないということに至ったんですが、二〇一三年の七月三日を期限とする三十億ドル相当の通貨スワップにつきましては、日韓両国でお話をさせていただいて、本当に大丈夫ですかということも私どもの方の山崎なりほかのところからも先方に確認をしておりますけれども、借りてくれと言ったら借りてやらぬこともないみたいな言い方をされると、そんな義理はない、当然そういった雰囲気にもなりますので、期限を延長する必要はないという結論に達しております。

三木委員 まさにおっしゃるとおりでございまして、私は、日韓スワップというのは、韓国市場の安定のために日本が手を差し伸べた支援策ではなかったかなというふうに思っております。

 そこで、一つ。

 今、外交上の問題とかいろいろ韓国と日本は難しい間にあるというふうに言われておりますけれども、韓国からの要請がなければ延長しないという、判断基準がそれだけでいいのかな。協定が発動された場合は、まさに外為特会からの支出であり国民の税金が使われるわけでございますし、国民に対しても説明責任というのがやはり日本側としても生まれてくるというふうに思っております。

 要請されれば貸すけれども、要請されなかったら貸さないよというのでは、なかなか一筋縄ではいかない、ある意味善意の通じにくい国ですので、外交的な配慮等を見ても、それだけではちょっと外交的戦略として欠けるのではないかなというふうに思っているんですけれども、経済政策と外交政策をリンクさせて行うことについて、麻生大臣はどのようにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 中央銀行とか財務省という間のレベルの話ですと、今言われましたように、この種の話は、韓国の場合、短期で回している部分が非常に多い経済でもありますので、こういったスワップみたいなものをきちんと持っておかないとということで、私どもは外から見ていてそう思って話をするんですけれども、これに政治が入ってきますと、なかなか話が込み入ります。

 今回、マクロ経済の状況というのは健全だということで、日韓両国は、スワップの増額分の延長は必要ないという結論にあのときは至ったんです。今後とも、この種の話は、外貨準備が極端に払底した一九九七年のときとかああいったようなことが起きないようにしてみたり、また二〇〇八年も似たような状況が起きつつあったんですけれども、そういったようなことが起きたときのことを考えてある程度手を打っていくべきものなんだ、国際金融というものはそういうものなんだと思っておかなきゃいかぬと思います。

 韓国中央銀行と韓国の財務省と話が合わなかったり、財務大臣と財務省と話が合わなかったり、いろいろIMFやG20でしゃべっていても、個別に話していても、話が通じるところと通じないところが極端なので、同じ国の人かよと言いたくなるほど話が通じなくなりますので、なかなか難しい交渉だとは正直思いました。

三木委員 確かにそういう面は多々ある国なんじゃないかなというのは、本当にいろいろな面で私もそういうふうに思っております。隣国として、非常に大変な対応をいろいろな面で迫られている。

 余りに地理的に近いのでどうしようもないんですけれども、仲よくやっていかなければいけないということはわかるんですけれども、余りにも、報道を見ておりますと、何でここまで言われなくちゃいけないのかというような報道も目立ちますし、私としては、日韓スワップはこれ以上本当にやらなくてもいいんじゃないかなというふうに感じておりますし、多くの国民がそのような感情を今持ってきているんじゃないかなというふうに考えております。

 あと、近年、韓国の方は大幅な通貨安定策をとってきておりまして、ゴールドマン・サックスの二〇一二年の調査によれば、ウォンの対円相場の下落というのは、その下落率以上に日本の電機産業や鉄鋼などの株価を押し下げる結果につながるという分析結果が示されています。

 また、電機産業においては、韓国製品の品質が向上しており、日韓間での品質に大きな違いがなくなってきておりますので、そうした中で、国際競争の優劣の重要なファクターは、消費者の購買意欲というのは価格に絞られてきます。すなわち、ウォンの対円相場は、株価と業界の業績に大きな影響を与えると思われます。

 また、日韓スワップは、豊富な外貨準備を持つ日本によって、外貨準備高が少なくて、先ほど麻生大臣がおっしゃった満期一年未満の短期対外債務が多い韓国通貨の暴落リスクを低減させて、欧米の資金が韓国経済へと流入することの後押しになっているのではないかという観測も見られております。

 すなわち、我が国との厳しい競合関係にある韓国のファイナンスに対して日本政府が円で信用を供与することにより、日本の電機産業等のビハインドになっているのではないか、一部、そういうふうに言われる経済人もいらっしゃるんですけれども、麻生大臣はその点についてはどのようにお考えでしょうか。

山崎政府参考人 日韓通貨スワップを初めとする地域の金融協力は、為替市場を含む金融市場の安定を通じまして、相手国、日韓の場合は韓国だけじゃなくて、日本にとってもメリットはあります。

 というのも、日本と韓国との間の貿易・投資、あるいは日本企業も多数韓国に進出して活動しているわけでありまして、その国の経済の安定というのは双方にメリットがある面、それからまた通貨という面でいうと、むしろ通貨を安定させるという面、ウォンを安定させるという面もあるわけであります。

 そういうことで、私どもとしては、当時、日韓通貨スワップを拡大したのは、むしろ、韓国のためだけというよりも、日本のため、地域の経済の安定のためということがあったということだけ申し上げたいと思います。

三木委員 今、山崎国際局長がお答えいただいたことはある意味そうかもしれませんけれども、日本の経済、市場というのはそういうものじゃなくて、やはり韓国に対する輸出であるとかそういうものは、韓国が輸出している分よりも非常に小さい割合で、ウォンがたとえ暴落したとしても、日本の経済に与える影響というのはそんなに大きくないという分析結果も出ているんですね。

 もちろん、日本がアジアの中の経済大国としてその役割を担うためにアジアの経済的安定を図るというのは大きな一つの目的であるとは思うんですけれども、やはり日本の企業のことも今後考えていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っております。

 通貨危機に陥る可能性というのは我が国よりも韓国の方が圧倒的に大きいわけでございまして、与党の中にも、日韓通貨スワップの実態は日本による韓国への信用供与だとの指摘も多かったというふうに私は思っております。

 もう一度お伺いいたしますけれども、日韓スワップは、我が国から韓国への片務的な支援策であったと私は考えておりますけれども、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 これは韓国に限りませんけれども、日本と貿易とか投資が深い関係で、地域の経済に裨益するという意味からいきますと、為替市場を含めた金融市場の安定というのは非常に大きい、私どもはそう思っております。

 日本としては、昨年来、インド、インドネシア、フィリピン、ほかにもアジアの諸国とスワップの拡大をずっとこのところやってきておりますが、こうした経済関係の深い国との金融協力というものを通じまして、日本の成長戦略というものの重要な柱でありますアジアの成長というのを取り込んでいこうと思っておるんです。

 今言われますように、片務的な慈善的な支援として行っているというだけではなくて、基本的には、そういったマーケットが確実に成長してくるということは日本の国益にもつながっていくんだと思って私どもとしては実施をさせていただいておりますが、国によって、政権がかわったり、また人がかわったりすると、今まで通じていた話がなかなか通じなくなったりするところもおっしゃるとおり確かにあるんです。

 日本として、今の電気製品の面でいきますと、やはり技術の移転が行われたりすることによって韓国製品が多くのし上がってきている、その分だけ日本の製品が売れなくなってきているという部分もありますが、それらをつくる機械をつくる機械、通称マザーマシンというものですけれども、こういったものは圧倒的に日本なものですから、これだけ韓国製品が売れても、多分韓国は日本との貿易でいえば赤字。日本の分は赤字なんですが、他国で売って黒字になって、その分で日本との赤字を埋めているという形の経済になっておりますので、いろいろな意味で、みんなで少しずつ回していかないかぬとは思います。

 何となく、このところ感情的な話がいろいろ出てきておりますので、話が難しく、妙にぎらぎらしたというか、いらいらした関係になっていることも確かですけれども、この一年か一年半ぐらいの間にも、昨年の二月ぐらいとことしの四月ぐらいとでは対応も少し変わってきたかなという感じがしないわけでもありません。

 総理の言葉をかりれば、戦略的忍耐と言われましたので、最も向かないと私は思いますのでと申し上げたんですけれども、長期的な面から考えて、日本の実力をきちっと保持した上で対応していくというのが必要だと思っております。

三木委員 今、麻生大臣がおっしゃっていただいたとおり、日本の実力というものを本当にきっちり示していただきたいなというふうに私も思っておりますし、恐らく日本の国民も、多くの方がそういうふうに思っていると思います。

 今御答弁にもあったとおり、隣国同士で大切な二国間関係全体に影響を及ぼしてはならない、大局的な見地から対応していかなければならないというような趣旨であったと思うんです。経済と政治的な問題である領土や歴史などの問題とを切り離して、できるだけ未来志向的な互恵関係を構築するため一生懸命日本政府は取り組んできたというのは本当によくわかっているので、また、支援策を露骨な形で外交上の駆け引きに使うというのはやはりちょっと日本人の徳とは合わない部分もございますけれども、ぜひ今後、お人よし外交とやゆされないように頑張っていただきたいなと思っております。

 それで、本年二月十八日にソウルで開催されたアジア経済・金融協力国際会議において、先ほど御答弁いただきました山崎国際局長が記者団に対して、韓国が望めば日韓スワップ協定の締結を前向きに検討するというふうに述べられたという報道が韓国の新聞でなされているわけでございますけれども、その事実関係についてお伺いをいたします。というのは、日本の新聞には一切載っておりませんので、そちらの方をちょっと。

山崎政府参考人 私、その二月十八日のソウルで行われたセミナーにパネリストとして出席いたしまして、そのセミナーで十分程度、私から、アベノミクスがアジア近隣諸国にも利益をもたらしている、具体的には、日本からの投資とかあるいは融資がふえている、あるいは、先ほどお話があった、インドとかインドネシア、シンガポール等とのスワップの拡大等を行っているというお話をしましたが、そのセミナーでは、日韓スワップについては全く触れられておりません。

 セミナーが終わった後、私が場外に出て別のところに行きかけたところ、そのセミナーの出席者の一人が追っかけてきて、時間がなかったので質問し切れなかった二つ三つを質問していいかということで聞かれた中の質問の一つが、スワップの話があったけれども、日韓のスワップについてはどう考えているのかというお話がありました。

 私は、その場で、個別の件についてのコメントは控えます、ただ、一般論として言えば、昨年来、インド、シンガポール等々とスワップを拡大したわけですが、そのときの考え方は、アジアの国から要請があって、必要があれば、検討することについてはオープンですというふうにお答え申し上げました。

三木委員 そういう経緯であったんだろうなというのは私も想像にかたくないのでございますけれども、そこの新聞記事が、日本語で、ネットで、どんどんと日本人の目にも触れるような形で韓国の方は報道を実はしておりまして、韓国企画財政部の関係者は、儀礼的な発言をしたものと見ているとした上で、日本との通貨スワップは検討もしていないし、推進もしていないと話した、韓国と日本は昨年、期限を迎えようとしていた三十億ドル、現在のレートで約三千七十三億円分の通貨スワップ協定を延長しなかった、当時日本は、韓国の要請がない限り延長しないとの立場を表明し、韓国側は、要請があれば延長するとの表現は適切ではないと不快感を示したというふうに書かれております。

 一事が万事、全部この調子で書かれておりますので、日本としても、こういうことを言われたら遺憾だぐらいの強い意思はやはり表明していただきたいなというふうに私は思います。

 また、二〇一四年一月一日現在の韓国との通貨スワップの総額でございますけれども、先ほど麻生大臣から御説明がありました、チェンマイ・イニシアチブのもとでの百億ドル。ただし、基本的にIMF融資とリンクしており、IMF融資とのリンクなしに発動できるのは、スワップ総額の二〇%までということである。

 報道によると、昨年の日韓スワップの期限時に、韓国銀行の柳相大国際局長は、日韓通貨スワップ延長は既に議論すべき問題ではない、金融協力のレベルで見れば重要だが、危機に対するレベルでは意味は大きくない、有効期限が一カ月しか残っていない状況ではあるが、真剣に考えていなかった、状況を見て決めると、真剣に考えるにも値しない協定である旨の発言をされております。

 確かにその額は、危機という意味では、どの程度の保険となるか不明ではございますけれども、我が国の通貨協定信用力としては、国際市場において大きな担保になると見ておりますが、韓国側はもう必要としていないようでございます。

 そこで、ほぼ我が国にメリットのない韓国との二国間通貨スワップについては、今後、いっそ、韓国側から要請があってもなくても、その取り決めの締結はすべきではないんじゃないかと国民の多くが考えていると思われますが、麻生大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 現時点でその取り扱いは全く決まっていないんですが、今、ウォンが、一ドル十二ウォンぐらいになっていますかね、ウォンが下がって結構なっていますので、日本とのあれでいきますと、二割ぐらいウォンの方が高くなった形になったのがこの一年間ぐらいだと思います。輸出としてはかなりきついことになってきておられますので、いろいろな意味で、今の発言の当時と今とは随分状況は変わってきている、さあどうなるかなというのを私どもの方で見ておりますけれども。

 引っ越してもらうわけにもいかぬ国なので、隣でずっと今後ともつき合わねばならぬところですから、そういった意味では、私どもとしては、きちんとした形での関係というのを続けていく努力はせねばならぬなと思っております。

三木委員 おっしゃるとおりだと思います、引っ越してもらうわけにはいかないので。朴大統領の告げ口外交とかいろいろなことがあって、日本人の感情というのは非常に今悪くなっていると思うんですね。

 それで、今のお話、答弁のやりとりとかを全部勘案すると、やはり日韓スワップというのは、韓国の通貨危機を乗り越えるために日本が韓国に対して善意で手を差し伸べた支援策であったと多くの経済人も思っているし、政府も思っているし、私も思っていますし、国民の皆さんもそう思っている。実際、そういう書物もいっぱい出ております。

 日本人は困っている国を助けることについては理解を示す国民性であると私は思っているんですけれども、しかしながら、それがどう外交上生かされて、当事国からどのように評価されているかというのはやはり政府から説明があってもいいじゃないかというふうに感じておりまして、それをもっと外交に生かしてほしいというのが大枠の意見であると思います。

 まして、最近の歴史認識のことですとか竹島のことですとか、韓国と日本の間で冷えた国民感情があるということは事実でありますので、韓国の今の記事を私が読み上げても、韓国は日本に対して余り感謝もしていないような報道が非常に多くなされておりますので、ここはやはりもう少ししっかりとやっていただかないと、韓国側にももう少し表現を考えていただいて日本の政府にも感謝の意を示していただかないと、今後、経済支援というのはしにくくなるよということも政府としてお伝えいただけたらなと思うんですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 二国間スワップを初めとして、地域間における金融協力とか、また為替市場を含んでの金融市場とかそういったものでは、相手の国だけじゃなくて、その地域の利益とかいうことを考えて、我々としては、外交政策上も、先生と同じで、これは最も重要な手段の一つ、日本の持っておる力の一つ、外交手段の一つと思っております。

 したがいまして、この二国間スワップを初めとして、金融協力につきましては、財務省というよりも主に外務省を初めそういう政府部局の中において、公表のタイミングとか幾らとかそういったことを結構緊密に連絡をとり合っているところなんですけれども、今言われましたように、こういった感情的なことになってきているというのは今向こうも十分にわかっているところなので、ウォンが下がってきたものですから、逆に、対ドルでいきますとウォンの値段が上がってきておりますので、そういう意味では、状況は極めて厳しくなってきておるという状況になって、さあこれからまた別の状況になります。

 長期で金が回っておりませんので、短期で金が回って、大銀行というのは韓国にはないのは御存じのとおりで、そういった意味では、資金の運用という面については非常に厳しいことになってきていると思っていますので、私どもとしては、そのときの対応というのを改めて十分に検討しておかねばならぬと思っております。

三木委員 麻生大臣、副総理でもいらっしゃいますので、ぜひ、外務と、またマスメディアとも連携して、日本の国の実力を示していただくとともに、韓国から適切な評価を得るようにお願いしまして、次の配偶者控除についての質問をさせていただきます。

 先ほど安住委員の方から質問されておりましたけれども、私はちょっと違う意見でございまして、先ほど大臣の方からは、専門的な意見を聞いて中長期的に結論を出すというふうに御答弁なされておりましたので、私の方からは、私の考え方として意見を述べさせていただけたらなというふうに思っております。

 首相は、本年三月十九日に、経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議にて、所得税の配偶者控除の縮小、廃止を検討するよう指示したとのことです。その理由として、専業主婦を優遇する措置を廃止することで女性の社会進出を促し、成長戦略につなげていくとされております。

 昭和三十六年度改正において、専業主婦は家計に追加的な生計費がかかるため、担税力が落ちるから、夫の税負担を軽減するという配慮で創設された。家事や育児を一手に引き受けて、夫の所得の稼得に大きく貢献しているという、いわゆる内助の功の評価が創設の大きな理由として挙げられております。

 現在、特別控除を含めて約一千五百万世帯がこの制度の適用を受けており、廃止となれば、実質上の増税となるわけでございます。

 そして、与党自民党は、さきの参議院選挙において、配偶者控除の堅持も公約になさっております。仮に見直しということになっても、そこら辺の説明も必要になってくるんじゃないかなと思います。

 私の友人にも、専業主婦の人たちがたくさんおります。また、この報道を受けて、私の事務所の方にたくさんメールやお手紙をいただきまして、配偶者控除を廃止するということは一体どういうことなのか、政府は何を考えているのかということをるる訴えられる方が大変多うございます。専業主婦の方は、私の生き方を政府は否定しているのかというふうに感じている、外に働きに行くことだけが女性の生き方ではないはずだというふうに訴えられております。

 また、現時点で、都市部はすぐに働く場所が見つかるかもしれませんけれども、やはり田舎の方に行きますと、過疎の方に行きますと、なかなかパートの口も見つからない。今、例えば五十代後半の女性ですと、ましてなかなか見つからない。そういった状況の中で配偶者控除を廃止していくということは、いかがなものか。

 女性が家の中でいろいろなことをやっている仕事というのは、お金に換算できないわけでございます。家事の代償というのはお金に換算できないので、それを配偶者控除三十八万円で政府から考慮していただいているということでございますけれども、非常にその部分で、家事をもしお金に換算するとすれば、月額でいえば家政婦さんを一人雇うぐらいの家事はやっているわけですから、それを考えると、配偶者控除三十八万円で我慢しているんだということも逆に言えるかと思います。

 そういう主婦の御意見もたくさんございますので、そういった御意見にもぜひ耳を傾けて、この配偶者控除の件に関しては進めていっていただきたいと思うんですけれども、麻生大臣のお考えはいかがでしょうか。

麻生国務大臣 自民党にそのまま入党していただいた方がよろしいかと思うほどですけれども、これは自民党の中で圧倒的に多い意見です。圧倒的という言い方はいかがなものかと思いますが、自民党の税調の中では非常に多い意見だったと思います。

 簡単に言えば、今、三木先生言われましたように、働かずに自分の子供の面倒を見ているから保育園には預けない、両親の面倒を見ているから養老院にもやらない、私は頑張っていますと。この人たちが、保育園に行ったり養老院なりに預けている税金は私が納めているみたいなものじゃないか、それで何で私がこんなに悪く言われないかぬのかと。反論が全くできませんでしたので、私も、地元の方でしたけれども、御意見としてはまことに正しい御意見だと思いますと申し上げた記憶があります。

 女性が働きやすいような職場とか環境をつくっていくというのは大事なことなのであって、子供が預けられないとかそういったようなところも考えて、今、福岡市は先月から待機児童ゼロということにしたりしておりますので、いろいろな形で形が変わりつつあるんだと思います。

 今言われましたように、専業主婦のやってもらっていることの価値観に対する考え方がいろいろ違うんだと思いますけれども、私ども国会議員の場合は、ほとんど奥さん方に選挙をやってもらっているおかげで当選した者ばかりですから、奥さんがいなかったらまずおっこっちゃうのがほとんどだと思いますので、そういった意味では、やはり奥さんの働きが非常に大きな部分というのはあるんだと私は実感しております。

 そういった意味では、今言われましたように、この問題は、非常に安易な、はやりとか流行とかいうのではなくて、世の中の流れや変化が大きなものは十分に踏まえた上でどうするかという話をしないと、判断を間違えるかなと思っております。

三木委員 質疑時間が終了いたしましたので、最後に麻生大臣に、今おっしゃっていただいたこと、本当にありがたいと女性の立場から思います。

 子供の幸せというものがどこにあるのかということをやはり母親というものは考えますし、自分を育ててくれた両親が最後はどのような人生の終わり方をするのかということ、やはり娘として親に対する孝行であるとかそういうことを考えて生活していくものですから、それが日本人独特の道徳観であるとか伝統とか文化とかいうものを醸成してきたと私は思っておりますので、ぜひ、配偶者控除については、本当に慎重に御検討していただくように切にお願いを申し上げます。

 私の時間がなくなってしまったので、また次回に質問させていただきたいと思いますけれども、それであれば、百三十万円の壁の方をもっと検討した方がいいのではないかなというふうに思っていることをつけ加えさせていただきます。

 質問させていただきました。ありがとうございます。

林田委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 生活の鈴木でございます。

 大臣そして総裁に御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 株価が極端に乱高下を続けておるわけであります。もちろん一喜一憂ということを抜きにしても、日本の株式市場の問題点というのはどこにあるのか、またどういうふうにお考えになっているのかということについて少しお伺いをしたいというふうに思っております。

 暴走という言葉が当たっているかどうかわかりませんけれども、いずれにしても、日本の株式市場というのは今非常に大変な状況になっておるというふうに思います。

 安倍総理は、昨年十二月三十日の大納会で、来年もアベノミクスは買いだということをおっしゃいました。このことを私も委員会で質問したわけでありますが、日本の総理が売りだと言ったら、それはおしまいだ、大変なことになるじゃないか、こういう話でありました。

 それはそれとして、表をごらんになっていただきたいんですが、これは先ほどの坂元委員からも出された表でありますが、日本の株の下落というのは突出しておる、こういう視点でございます。ここにありますように、上海市場や欧州市場、それからニューヨーク・ダウが年初から数%の変動ということなんですけれども、日経平均株価の下落率は、この表に見るように一〇%近くということで、突出をしておるんですね。

 例えば、これはまた次の表になるわけでありますけれども、これも先ほど坂元委員からお示しがあった表でありますが、三月十四日に日経平均株価が前日比四百八十八円安の大暴落になった。これは、いわゆるウクライナ情勢の緊迫化、そして中国経済の危機の懸念というふうに言われておるわけですね。それが原因だと言われておるんですが、実際は、この下落率を見ると、中国そしてロシアの市場と比べても倍近く日本の市場は落ちておるということです。証券関係者からは、一部ではありますけれども、日本市場は新興国よりもたちが悪いというようにやゆされておるのを私は聞いたことがあるわけであります。

 そこで、麻生大臣と黒田総裁にお伺いをしたいと思うんですが、乱高下する昨今の日本の株式市場を目の当たりにしても、なお、アベノミクスは買いだ、バイ・マイ・アベノミクスというふうに言える状況であるのかどうか、まずお答えをいただきたい。そしてさらに、この変動要因を那辺にあるというふうにお考えなのか、それぞれ御答弁いただきたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘ありましたように、昨年の末に比べまして、日本の株式は約一五%ぐらい下がった形になろうかと思っております。

 その要因につきましては、昨年株が大幅に上がっておりますから、それに対する調整面というのはあろうと存じます。また、日本の株式市場で株の売買に参加している方の六〇から七〇%、七〇に近いと思いますが、七〇%弱が外国人ですから、そういった意味では、例えばウクライナの情勢なんかに機敏に反応したところもあろうと思います。

 いずれにいたしましても、株価に対する評価等々について、ちょっと私の立場としては具体的なコメントは差し控えさせていただきたいと存じます。

 それから、もう一点の、総理のバイ・マイ・アベノミクスの話ですけれども、これは、日本の経済というのは、少なくともGDPで五四半期連続でプラス成長しておりますし、日本の法人税収は間違いなく伸びておりますし、円安の効果もあって輸出等々による利益が非常に大きくなっておりますし、そういったものに対して成長ということははっきりしておりますので、一年前とは比べ物にならない形になってきていると思っております。

 したがいまして、六月にさらに新たにいろいろなものが、新しい施策が出てまいりますけれども、年央の成長戦略というものに向けて、甘利大臣を中心にさらなる改革の検討も今いろいろ進めさせていただいているところですけれども、私どもとしては、今の経済指標なり経営の内容を見ましても、方向としては決して間違っていない、そう思っております。

黒田参考人 相場の水準とか日々の動きについて具体的にコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、ただいま麻生大臣から答弁がありましたように、株価はどうしても短期的にはさまざまな要因で変動するわけでございますが、基本的に、トレンドとしては将来の企業収益の見通しを反映するものであるというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、株式市場の動向については、今後ともよく注意してまいりたいというふうに思っております。

鈴木(克)委員 冒頭申し上げましたように、乱高下、上がったから下がったからということを一喜一憂ということではなくて、どうして日本の株が現在こういうような、先ほど資料でお示ししたような形になっているのか、このところが私はどうしてもお伺いをしたいポイントなんですね。

 もう先に進めさせていただきますけれども、総裁のおっしゃってきておる異次元緩和、これが日本の株式の投機性をある意味で助長しているのではないのかなというふうに私は思うわけであります。

 その辺で、総裁がやってみえるこの異次元緩和というのは、SF映画でもよく異次元に行って帰ってきたとかいろいろありますけれども、なかなか異次元に行って帰ってこれるストーリーというのは少ないと思うんですけれども、帰ってきてもらわなきゃ困るわけですね、日本経済にとって。

 だけれども、本当にその辺が今申し上げたように日本の株式市場の投機性を助長しておるということであるならば、三番目の表をちょっとごらんになっていただきたいんですが、先週八日の金融政策決定会合後の記者会見で黒田総裁は、現時点で追加的な緩和を行う必要があるとは思っていないと明言された、その直後から黒田総裁の発言に対するいわゆる失望感ということになると思うんですが、ドル・円相場が百三円から百二円半ばまで大幅に円高が進み、翌日の日経平均も三百七円安の大幅安になったということであります。

 これは三番目の表を見ていただきますと、まさに総裁が記者会見をやられたのが四月八日の三時三十分ということであります。それから、この右の表、いわゆる記者会見開始と記者会見終了ということで、発言の直後、円の上げ幅が拡大をしたという状況。これは今さら私が申し上げるまでもないと思うんですけれども。

 要は、足元はいわゆる極端な催促相場に私はなってきているのではないのかなというふうに思うんですね。それは、先ほどから繰り返し申し上げていますけれども、この異次元緩和なるものがこういうようなことを誘引といいますか、やってきておるのではないのかなというふうに思うわけであります。

 そこで、黒田総裁に、まさにこれは釈迦に説法ということで、総裁は財務官の経験もおありになるわけですが、異次元緩和が市場の投機性を明らかに助長しているのではないかという私の見解に対してどのようにお考えになるのか、お聞かせください。

黒田参考人 まず、量的・質的金融緩和は、二%の物価安定の目標を二年程度の期間を念頭に置いてできるだけ早期に実現するということを約束した上で、それを裏打ちするために量、質ともに従来とは次元の異なる金融緩和を行っているわけでございます。これは、日本経済が十五年近く続いたデフレから脱却するために行っているという政策でございます。

 その効果の波及経路としては、確かに長期金利を低下させるとか、あるいは資産価格のプレミアムに働きかける、さらにはポートフォリオリバランス効果、そして期待を抜本的に転換する効果というのを期待しているわけでありまして、これらがいわば組み合わさって、資産市場、資産価格にも一定の影響が出てくるということはあろうかと思います。

 その一方で、この量的・質的金融緩和は所期の効果を発揮しておりまして、従来から申し上げていますとおり、日本経済は、生産、所得、支出という前向きの循環メカニズムが働くもとで緩やかな回復を続けております。こうしたことはトレンドとして株価にも好影響をもたらしていると考えられますけれども、特に市場の投機性を助長しているというふうに言い切るのは難しいというふうに私は思っております。

鈴木(克)委員 さらに総裁にお伺いしたいのですが、先ほど、アベノミクスといいますか、この異次元緩和を一年振り返って、総裁はこうおっしゃったんですね。生産そして所得、消費、これらが着実に伸びてきておる、それから一四年度末から一五年度にかけて物価上昇率は二%になるというふうに考えておる、そして全体的に業況感は回復をしてきておるんだというふうにおっしゃいました。

 このことを私は何も否定するつもりは全くありません。ならば、なぜこれだけ株が乱高下するのかというところがどうしても私は腑に落ちないといいますか、総裁がおっしゃったような状況で日本経済が安定して着実に前へ進んでおるということであるならば、この乱高下というのはやはり異常ではないのか。

 先ほど申し上げたように、ウクライナの問題だとか中国の問題だとか、その当事国よりも日本の株の方が下がっていくということについて、これは私はやはり異次元緩和との関係があるのではないかというふうに思えてならないものですから、くどく総裁にお伺いをしておる、こういうことです。いま一度、御答弁ください。

黒田参考人 先ほど申し上げましたとおり、この量的・質的金融緩和というものが実体経済に波及していく波及経路としては、三つほど考えられているわけでございます。長期金利を下方に圧力を加えるとか、資産価格のプレミアムを圧縮しようという効果。それから二番目には、いわゆるポートフォリオリバランスという形で、いわば国債等、いわゆる固定金利のものに、債券に投資するということが非常に大きくなっているわけですけれども、むしろ、銀行は貸し出しにとか、あるいはその他の資産にシフトしていくということを期待しているわけでございます。そして三つ目が、市場や経済主体の期待を抜本的に転換するという効果でございます。

 先ほど申し上げたように、それから委員も御指摘されたように、全体としてそれが経済によい影響をもたらし、生産、所得、支出という前向きの循環メカニズムが働いているというふうに思っております。

 今申し上げたような実体経済への波及経路というものがいわば三つ組み合わさってできているわけでして、その中で、資産価格に一定の変動が出ているという面があるかもしれませんが、何度も申し上げますが、全体として株価がトレンドとして上昇してきており、特に投機的に動いているものがかつてに比べて非常にふえているということは必ずしも言えないんじゃないか。新しい政策のもとで、特にアベノミクスのもとで株が上がってくる前は、非常に株が下がって停滞していたわけですけれども、そのときと比べるとあるいはボラティリティーが若干上がっているかもしれません、しかし、それが何か実体経済に非常に大きなマイナスを与えるとか、そういうことにはなっていないのではないか。

 ただ、先ほどから申し上げているとおり、株価の動きについて具体的にコメントすることは避けますけれども、今後とも、株式市場の動向には十分注意を払っていきたいというふうに思っております。

鈴木(克)委員 なかなか御発言しにくい部分もあることはもちろんわかるわけでありますけれども、いまいち、私自身、私の能力ではなるほどよくわかりましたというところに、腑に落ちないところがあるということであります。

 次に、またくどいというふうに言われるかもしれませんが、出口戦略についてお伺いをしたいと思います。

 入り口があれば出口があるというのは当たり前の話でございます。この出口があるのかないのか、いつまで続くのかというところが御質問のポイントなんですけれども、いずれにしても、今まで総裁は、繰り返し、出口戦略を言う時期ではないということをおっしゃり続けてみえましたね。

 それで、アメリカの例をとるまでもなく、出口と言った瞬間に、本当に大変なことが来るのではないのかなというふうに私は危惧をしております。

 そこで、二%の物価安定目標が達成をされてインフレになっても、我が国の財政再建はまだほど遠いという状況にあります。したがって、何が言いたいかというと、日銀は、金利を安く抑え続けるために、国債をこれからもずっと買い続けなきゃならないんじゃないかということが一つ。また、そんなことが現実的にできるのかどうかということなんですね。

 いずれにしても、今こういう形で異次元の緩和に入っていることは間違いないわけですから、冒頭申し上げましたように入り口があれば出口があるはずだし、その出口を本当に総裁として責任を持ってちゃんと見つけて、そして立派に出口に国民を、日本経済を導いていく、こういう自信が本当におありになるのかどうか、くどいようですけれども、もう一度聞かせていただきたいと思います。

黒田参考人 従来から申し上げておりますとおり、現時点で出口戦略を議論するのは時期尚早であると思いますし、実際に出口に向けた対応ということになりますと、その時々の経済金融情勢あるいは物価の動向などによって、どういう形でどういったタイミングで出口を具体的に考えるかということが変わってくるわけでございますので、今の時点で具体的なイメージを持ってお話しするということは適当でないということは、従来から申し上げているとおりでございます。

 その一方で、昨年一月の政府と日本銀行の共同声明の中でも明らかになっておりますとおり、日本銀行は二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するように最大限の努力をする、一方、政府は、財政につきましては、機動的、弾力的な財政運営ということで、一時的、短期的に財政刺激ということをとりつつも、中期的に財政再建というものを確実に実現する、そして、第三の矢として、さまざまな構造改革等によって民間経済を主体に成長していくように成長戦略を実行していく。

 こういうふうに、いわば役割分担がはっきりしているわけでございまして、そういった意味で、私どもの量的・質的金融緩和というのは、財政をファイナンスしようとか、国債の金利を、物価上昇の動向と全然関係なく、財政の負担を少なくするためにいつまでも金利を低位にとどめておこうとか、そういう政策意図はございません。

 したがいまして、財政につきましては、政府において、中期財政計画も決まっておりますし、それに沿って着実に財政の持続性を高めるための方策が実施されておりますので、今後ともこの中期財政計画に沿って財政健全化が進んでいくということを強く期待しております。

 一方、私ども日本銀行の方としては、先ほど申し上げたとおり、まだ二%の物価安定の目標に向けて道半ばというところでございますし、出口戦略を具体的に議論する段階にはございませんが、当然、その段階で、最適な、最善の方法できちっと出口を考えていくということは申し上げられると思います。

鈴木(克)委員 今総裁は、いわゆる二%を日銀の方が責任を持ってやっていきます、財政再建は政府の方が責任を持ってやってもらいたいということなんですね。

 だけれども、これは、くどいようですが、表裏一体なんですよ。別だというふうにおっしゃるのはわかりますよ、建前としては。しかし、現実には、そうは見ていないんですよね、経済全体も、それからまた株の世界も、いろいろなものが。日銀は今、いわゆる国の政策の方に非常に大きな影響を、よくても悪くても持っているんだということだと私は思うんですね。

 では政府は大丈夫ですかとお伺いしたいところですが、それはさておいて、次にもう一度、続けて総裁にお尋ねいたします。

 異次元緩和で銀行貸し出しがふえていっていない、確かに若干はふえているんですが、これは四番目の表をごらんになっていただくとわかるんです。

 マネタリーベース残高及び銀行貸出残高の増加額の推移ということで、二〇一三年の四月から一四年の三月まで、これは言うまでもない、長い方の棒はマネタリーベースの残高の増加額、そして短い方が銀行貸出残高の増加額ということであります。いわゆる金融機関に資金をじゃぶじゃぶ出して長期金利を低位安定させれば、必ずといいますか、銀行貸し出しがふえて、民間の設備投資や個人消費がふえていくだろう、そういうお考えでやっておられるというふうに私は思うんです。

 具体的にお伺いしますけれども、この一年で、日銀のマネタリーベースはどれだけふえたのか、そしてまた一方で銀行の貸出残高はどれだけふえたのか、お示しをいただきたいと思います。

黒田参考人 マネタリーベースと銀行貸し出しについて本年三月までの一年間の増加額をいわゆる平残ベースで申し上げますと、マネタリーベースが七十四兆円、銀行貸し出しが九兆円、増加をしております。

 量的・質的金融緩和のもとで金融機関は貸し出しを積極化しておりまして、足元で、前年比で二%台前半の伸びとなっております。また、中身も、中小企業向けのプラス幅が拡大するなど、その裾野も広がっていると認識しております。先ほどから申し上げておりますとおり、銀行貸し出しの増加というのはポートフォリオリバランスの一つの重要な要素でありますので、この点については、引き続き注視してまいりたいと思っております。

 量的・質的金融緩和の効果の波及経路全体としては、先ほど申し上げたように、長期金利を下方に圧力を加える、あるいはリスクプレミアムを下方に押し下げるといったこと、それから、ポートフォリオリバランスも、実は貸し出しだけでなくて、その他各種の資産、債券以外の資産にいろいろな形でシフトしていくということ、そして、経済主体の期待に働きかけていくということ、そういった全体を組み合わせて実体経済に働きかけていくということを考えておるということをつけ加えさせていただきます。

 ただ、委員御指摘のとおり、銀行貸し出しというのは、特に中小企業向けの部分については非常に重要性がありますので、引き続きよく見ていきたいと思っております。

鈴木(克)委員 総裁への御質問はこれで最後にさせていただきますが、よく金融政策で言われるのは、馬を川に連れていっても無理やり水を飲ますことはできないという大変有名な言葉がありますけれども、私は、やはり今ある意味ではそんなような状況が続いておるのではないのかなというふうに思っております。

 いずれにしても、最後に申し上げたいのは、異次元緩和の副作用というものは私は非常に大きなものがあるのではないかというふうに思っておりますので、ここのところをしっかりと、日銀として、総裁として責任を持ってひとつやっていただきたいなということを申し上げておきたいと思います。

 それでは、総裁、どうも御苦労さまでした。

林田委員長 では、日銀総裁、退席してください。

鈴木(克)委員 さて、もう本当に時間があとわずかでありますので、最後の問題になるというふうに思うんですが、麻生大臣、本当に必要なのは規制緩和や経済政策だというふうに思うんですね。それは、まさに第三の矢ということになると思うんです。

 アメリカも、かつて、二千ドルぐらいのダウ平均であったのが、一九八〇年代後半から九〇年代後半に向けて、一万二千ドルぐらいまで上がった。そして、リーマン・ショックやいろいろなことで一時的には大きな下落を経験しておりますが、トレンドとしては、今、一万六千ドルぐらいになっておるということです。要するに、その原因は、まさに冒頭申し上げましたように、経済成長そして規制緩和ということだと思うんですね。

 六番目の表、最後の表をごらんになっていただきたいんですが、アメリカは何をそのときにやったのかということが、このレーガノミクス、もう百も承知、釈迦に説法かもしれませんが、ここでやられたのは、歳出削減、そして減税、規制緩和、インフレ抑制ということで、結局、一九八一年ぐらいから株価がずっと上がっていったという表でございます。

 そこで、もう最後になりますが、六月に出されるという、第三の矢という言い方が当たっているかどうかわかりませんが、その辺に対する大臣の今現在のお考え、そして、それは非常に効果のあるものであるのかどうかというところを御答弁いただきたいと思います。

麻生国務大臣 第三の矢というのはいわゆる民間の経済成長であって、先ほど、この図に示されておられました中でいきますと、マネタリーベースがふえてもマネーサプライがふえていないという話をずっとしておられるんだと思いますが、一年間で、マネタリーベースが七十兆少々、マネーサプライが九兆とか十兆とかそんなものだったと思います。

 このマネーサプライがふえるかふえないかというのは、いわゆる民間が、もしくは個人が銀行から金を借りる、借り出すということによって初めてマネーサプライがふえるわけで、これは、民間に需要がなければ、日銀が幾ら金融を緩和してもふえない。これは、竹中大臣のときにこれをやって失敗した例ですから、もうついこの間の話ですから、よく皆さん御記憶のところだと思います。

 したがって、財政の出動また民間の経済成長の二つがなければ、日銀の金融緩和、第一の矢をやっても、第二、第三が動かない限りは経済全体としては伸びない、私どもは、この一年間、最初からこれは一貫して申し上げてきたところです。

 したがいまして、この民間のものが少なくとも、これまでこれは貸し出しが逆に減って、マネーサプライが減っておったわけですから、それに比べたらこれは間違いなくふえてきつつある。二十年間デフレをやっていたんですから、それが一年間でこれだけ来ればそこそこのものかなと私どもも思わないでもないぐらい、少しずつ伸びてきて、少なくとも経済成長、GDPは五四半期連続でプラスが出ましたというのは間違いなく日本の経済が上向きになってきていることの証拠だと思っております。

 さらにこれを加速させていくために、規制の緩和等々、いろいろなものが今から必要なんだと思って、これは主に、私どもでいいますと、甘利大臣の担当しておられる部分がこの部分であってみたり、茂木大臣の部分がこの部分であったりするんですが、規制の緩和というのは、いわゆる規制の緩和ということを決めればその部分だけで変わってきますし、いろいろな意味で、政府支出を伴わないで民間の支出がふえる、それが経済を大きくさせるということになろうかと思いますので、私どもとしては、この規制緩和というのはこういった経済成長を促していく上で非常に大きな要素を占めるものだと思っております。

 今の成長戦略というのは、六月に出されるものを今いろいろやっておられるのがどれだけ進んでいるのか私はつまびらかに知っているわけではありませんけれども、今の流れとしてはその方向で、きちんとしたものは六月ぐらいに方向として出したい、また、それに民間が応えてもらいたいというのが一番大きな期待であります。

鈴木(克)委員 終わります。

林田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

林田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 定足数に達しているかどうかわからぬようなこういう状況でありますが、時間になりましたから、始めさせていただきます。

 きょうは、消費税の問題でお聞きをしたいと思うんです。

 四月一日から消費税が八%に増税をされました。私どもは消費税増税は反対だという立場を貫いてきたわけでありますが、理由は、低所得者を中心に庶民の生活を直撃し、中小企業は転嫁できない、全体として消費を落ち込ませ、ひいては税収にもプラスにならないのではないか、こう考えたからであります。

 確認をいたしますが、消費税増税で、今年度、国、地方で幾らの増収を見込んでいるか、示していただきたいと思います。

古川副大臣 お答えいたします。

 二十六年度予算におきましては、五%から八%への消費税引き上げに伴う増収額につきまして、国、地方合わせて五兆円程度と見込んでおるところでございます。

佐々木(憲)委員 国民の側から見ますと、四月一日から来年の三月末まで一年間、約八兆円の負担増になるのではないかと思うんです。

 一%分で二・七兆円ですから三%だと約八兆円、こうなるはずなんですが、五兆円とする根拠、これを説明していただきたいと思います。

古川副大臣 お答えします。

 二十六年度予算におきまして五兆円程度に見込みをしておりますのは、一つには、例えば四月期決算法人の場合は、八%で行われる取引のうち、二十六年四月に行われた取引分のみが納税されるわけです。残りの十一カ月分につきましては二十七年度に納税されるということになるわけですから、このように決算の時期によりまして納税の時期に差が生ずるということが一点ございます。

 もう一つは、例えば二十五年九月三十日までに契約した長期請負契約のように、ことしの四月以降も五%の税率が適用される取引というものが一部ございます。

 このようなものがございますので、その結果、五兆円というふうに見込んでいるところでございます。

佐々木(憲)委員 事業者の決算期の問題あるいは支払いとの関係で五兆円と。ただ、これは平年度に置きかえますと八兆円、こういうことだろうと思うんです。

 政府は五兆円、五兆円と言うものですから、何か国民の負担があたかも五兆円であるかのように印象づけられておりますけれども、五兆円と八兆円の負担というのは、影響は全く違うわけです。国民は実際に払うのは八兆円ですよ。

 家計消費あるいは景気への影響を五兆円で想定して計算しているのか、八兆円で計算しているのか、政府はどういうふうにしているんでしょうか。

麻生国務大臣 消費税率の三%の引き上げによります国民の負担増につきましては、引き上げ分の消費税額、いわゆる平成二十六年度八兆円から、政府による支払い分がございますので、支払い分を除きまして、六・三兆円と試算をいたしております。

 一方、消費税率引き上げによる財源というものは、全て社会保障の充実、安定化に求められ、国民に還元されるということにいたしておりますので、今我々も非常に関心がありますというか気にしております低所得者層に対する個人負担の軽減策としていろいろなものをやっておりますのはもう御存じのとおりでありますけれども、こういった消費税率の引き上げ分につきましては、これは負担面ではなく受益面もあわせて総合的に考える必要があるなとは思っております。

 いずれにいたしましても、反動減の緩和等々をやらせていただいて、二十五年度の補正、二十六年度の予算の前倒し等々、影響に対しまして万全の措置をやっていかねばならぬと思っております。

佐々木(憲)委員 消費税の増税で国民は実際に一年間で八兆円払うということになるわけです。それが全額社会保障に回るかどうかはまた後で議論します。

 景気への影響ですけれども、消費が全体として落ち込むということは確実だと思います。例えば、日銀の生活意識アンケート調査がありますけれども、お手元の資料の一枚目ですが、消費税が引き上げられたら支出を控えるが三五・四%、支出をやや控えるが三四・二%、合わせて六九・六%、約七割。資料の右側の上にありますけれども、この円グラフが示しているとおりであります。各新聞社、通信社の世論調査でも、同じような傾向が出ているわけです。

 GDPの六割が家計消費でありますから、これがこのような形で買い控えがどんどん進んでいく、こうなりますと、かなり大きな影響が出ると思いますが、その辺はどのように見ておられるでしょうか。

麻生国務大臣 御質問をいただいていなかったので。

 基本的に、今私どもとしては、先ほどの答弁のところで一部申し上げましたけれども、反動減対策をいろいろやらせていただいております。

 四―六の落ち方が、民間予測、四十一社の平均で約一コンマというような数字が出ておりましたので、私どもとしては、そういったようなものの反動減をなるべくということで補正を組ませていただいたり、本予算におきましても早期着工ということをやらせていただく等々、いろいろなことをやらせていただいております。私どもとしては、それをなるべく低目にということを考えておりまして、低目にいけば、七―九の部分が逆にいけば伸びやすくなってくる状況もあろうかと思いますので、その点につきましては、最大限の配慮をしていかねばならぬところだと思っております。

佐々木(憲)委員 この影響についてはまだ実態が出ているわけではありません、まだ四月の前半分しか実際にはありませんので。

 ただ、いろいろな手を打っているといいますけれども、その手の打ち方が家計に響いていないんですよ。大企業に対して減税をやるなんて典型ですけれども。そういう形で、予算を組みましたといいますけれども、家計に回っていかない状況ですから、最終的な消費がかなり落ち込む可能性がある。その辺は、今後、事実関係を見ていきたいと思います。

 では次に、配付した資料の二枚目ですけれども、政府は、この間、ポスターを初め消費税増税の広報を盛んにやってまいりました。これまでにテレビスポット、ラジオ、雑誌広告、屋外広告、新聞折り込み、さまざまな手段で行われておりますが、この社会保障・税の一体改革の政府広報に幾ら費用をかけたのか、明らかにしていただきたいと思います。

古川副大臣 この政府広報につきましては、内閣府において実施するということでございますけれども、通告をいただいておりましたので、あらかじめ内閣府に問い合わせてまいりました。

 社会保障と税の一体改革の実施額、これは明確に区分できるものの合計は、平成二十五年度におきまして約十二億六千万円と伺っております。

佐々木(憲)委員 これはこんなに金をかけて広報をやる必要があるのかなという気がいたします。

 ポスターを見ますと、こう書いてあるんですね。「四月から八% あなたの医療・年金・介護・子育てを守るため、消費税のご負担をお願いします。 今回の消費税率引き上げ分は全て医療・年金などにあてられます。」こういうふうに書いているわけです。

 確認しますが、消費税増税前の改革を織り込んでいない場合の社会保障四経費は国、地方合わせて幾らか、改革を織り込んだ場合は幾らになるか、それぞれ数字を答えていただきたい。

古川副大臣 お答えします。

 二十六年度の改革を織り込んでいない場合の社会保障四経費につきましては、三十二・九兆円でございます。

 これに、消費税率引き上げによる増収分を活用し、社会保障の充実、安定化を図るという改革を織り込んだ場合、具体的には基礎年金国庫負担割合二分の一への引き上げに二・九五兆円程度、社会保障の充実に〇・五兆円程度、消費税率引き上げに伴う社会保障四経費の増加に〇・二兆円程度を反映した場合には、三十六・五兆円となります。

佐々木(憲)委員 消費税増税前が三十二・九兆円ですよね、社会保障四経費。増税後が、今、三十六・五兆円とおっしゃいましたね。

 そうしますと、ふえる分は三・六兆円ということになりますね。消費税は、国の税収が五兆円ですね。五兆円なのに、社会保障に三・七兆円しか回らない。

 あと一・三兆円はどこに行くんですか。

古川副大臣 将来の世代の負担の軽減に充てております。

佐々木(憲)委員 つまり、社会保障のためというんじゃなくて、借金の穴埋めに回す、こういうことになりますね。

 そうすると、これは実際の予算ベースで見ましても、昨年度の当初予算の社会保障四経費は二十九兆千二百二十四億円ですね。今年度は三十兆五千百七十五億円です。したがって、約一兆四千億しかふえていないわけです、前の年に比べて。

 だから、社会保障に全額回ると言いながら、改革前、改革後を比較しても三・七兆円しか社会保障には回らない、あとは借金の穴埋めに回る。政府予算の実際の数字を見ても一兆円台、こういうことになるわけですね。

 だから、五兆円全額社会保障に回るということはないわけであります。誤解を与えるような宣伝はやめるべきじゃありませんか。

古川副大臣 先ほど資料として添付いただいております「あなたの医療・年金・介護・子育てを守るため、消費税のご負担をお願いします。」ということでございますが、御案内のとおり、我が国の社会保障制度というのはある意味自律的に回せていない状況でありまして、借金によって賄っている部分が大変多くございます。将来へのツケ回しを減らすためにその部分に一・三兆円を回しておるということは、これは消費税の税収を社会保障のために充てているということになると思います。

佐々木(憲)委員 借金というのはいろいろな形で使われるわけです、一般会計に入るわけですから。その穴埋めに使うというわけであって、結局、社会保障に直結するとは限らないわけですね。

 ですから、みずほ総合研究所のみずほ政策インサイトというレポートが、以前このように書いておりました。お金には色がないため、消費税収が社会保障財源に充てられることでこれまで社会保障費に充てられてきた他の税収を社会保障以外の使途に振り向けることができる、消費税の目的税化、つまり全額社会保障に使うということは、消費税率引き上げを容易にするレトリックにすぎないと。私はまさにこのとおりだと思うんです。

 消費税を増税すると、結果的に、全体として財源にゆとりができる。そうなると、大型公共事業も、あるいは軍事費も、あるいは大企業減税も、こういう形で使えるということになっていくわけです。実際に予算を見ても、防衛関係費が今年度は二・八%の増、公共事業関係費は一二・九%の増になっているんですね。だから、全額社会保障に回すと言いながら、実は別のところに使っている、こういうことになるわけであります。

 それから、もう一つ、三・七兆円は社会保障ですよ、そういう説明がありました。しかし、その中身が問題ですね。

 まず、社会保障の充実という部分、国民に還元される部分、これは幾らになりますか。

古川副大臣 先ほどお答え申しましたとおり、〇・五兆円程度でございます。

佐々木(憲)委員 これは、わずか〇・五兆円なんです。つまり、実際に家計に還元されるのは十分の一なんですね。

 あとは、消費税増税に伴う経費増。これは、〇・二三兆円といいますけれども、消費税増税しなければ出てこない経費ですね。

 もう一つの問題は、年金の国庫負担二分の一の置きかえ分が二・九五兆円。これはかなり大きいんです。これはもともと、消費税ではなくてほかの財源で賄うはずだったものなのではないですか。

麻生国務大臣 これは平成十六年の話をしておられるのかなと思うんですが、御質問の内容がそういうことだという前提で話をさせていただきます。

 十年前の話ですが、平成十六年度の税制改正によって、年金課税の見直しに伴う国の増収分は平年度分で約〇・二四兆円、平成十七、十八年度の税制改正によって、定率減税の縮減やら廃止に伴います国の増収分が平年度ベースで約二・六兆円となっております。

 これらのうち地方交付税分を除いた増収分につきましては、平成十六年度の税制改正大綱を踏まえて、基礎年金国庫負担割合の引き上げ、また公債発行の削減に充てられるということにいたしておりました。

 具体的には、年金課税の見直しに伴います国の増収分〇・二四兆円のうち、地方交付税分を除いた〇・一六兆円については、基礎年金国庫負担割合の引き上げ、三分の一、三三%から三四・四%に充てられております。

 また、定率減税の縮減、廃止に伴います国の増収分約二・六兆円のうち、地方交付税分を除いた一・八兆円につきましては、使途が法定されておりません一般財源であるため、厳密に特定することは極めて困難ですが、与党での議論を踏まえて、基礎年金国庫負担割合の引き上げ、三四・四%を三六・五%に約〇・三兆円が充てられたものと承知いたしております。

 残りは、財政の健全化のため、公債発行の削減に充てられたものと承知いたしております。

佐々木(憲)委員 お配りした資料を見ていただきたいんです。今おっしゃった平成十六年度の税制改正要綱、これは自民党の要綱ですけれども、こう書いてある。

 今おっしゃったように、年金課税の適正化、つまり増税ですね、この改正によって確保された財源は基礎年金拠出金に対する国庫負担の割合の引き上げに充てるものとする、それから、恒久的減税、つまり定率減税の縮減、廃止とあわせ、三位一体改革の中で国、地方を通じた個人所得課税の抜本的見直しを行う、これにより平成十七年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担割合の段階的な引き上げに必要な安定した財源を確保する、こう書いていたわけです。これが本当に使われていたなら、今のような消費税で穴埋めするということにならなかったわけであります。

 そこで、確認ですけれども、今数字を言われましたのは、約二兆八千四百億円、これが当時の新たな税収でありました。

 それが、先ほど麻生さんが答弁されたところによると、借金の穴埋めにも使われた、こういうふうな話ですね。つまり、この二兆八千四百億円というお金の部分の本来目的としていた年金国庫負担二分の一分の充当に充てるとしていたものが、大体二兆八千億でそれが埋まるわけであります。それをやらずに、ほかの財源に使った。

 だから、その後、財源がないというようなことで、いろいろな埋蔵金だとか借金だとかという話が出てきて、その後、消費税分をまた持っていく。これは、庶民の懐からすると、年金財源という口実で住民税は上がる、所得税は上がる、今度また、それはどこかへ行っちゃって、消費税で賄うんだと。国民からいったら二重取りじゃないか、こういう話になると思うんですが、麻生さん、どう思いますか。

麻生国務大臣 今のお話ですけれども、基本的に、年金課税の見直しや定率減税の縮減、廃止によって、基礎年金国庫負担金の割合が、従前の三分の一から、十九年度までに三六・五%に引き上げられたものだと先ほど申し上げたとおりだと思います。

 一方、消費税八%への引き上げによります増収分につきましては、基礎年金国庫負担の割合三六・五から二分の一、五〇%への引き上げに充てられるというところでありまして、これは二重取りとかいうような感じとは少し違うと思っております。

佐々木(憲)委員 いやいや、それは全然、麻生さん、認識がおかしいと思うのは、年金を二分の一国庫負担するんですよ、国が出すんですよということで最初始まったんです。これは誰が最初に提起したかというと、アイデアを出したのは公明党でして、当時、必要な財源は、定率減税を三段階で廃止して二兆五千億円、年金課税で約二千億円、合わせて二兆七千億円を確保できる、こう言って始めたわけです、自民党が受け入れて。そして、実際に二兆八千億の税収が確保できた。

 ところが、基礎年金の国庫負担分に充てる分は、ほんの一部、ちょろちょろ。実際は、ほかのものに、大部分を借金の穴埋めに使っちゃった。だから、財源がどこかへ行っちゃって、それで困った困ったという話をして、結局また消費税でそれを穴埋めする。

 だから、国民からいったらこれは明らかに二重取りなんですよ。国民の立場からいうと、取られているのに、年金はおかしくなって、どんどん給付は下げられるし、負担ばかりふえる、こうなるわけです。

 四月からの社会保障の主な負担増を見ますと、年金は、支給額を〇・七%削減、国民年金保険料は引き上げる、それから医療は、七十歳から七十四歳の医療費負担をアップする、診療報酬の見直しで初診料、再診料の値上げにつながる、あるいは介護は四十歳から六十四歳の介護保険料の引き上げ、児童扶養手当は〇・三%削減。社会保障に使うと言いながら、社会保障をどんどん切り縮めているんじゃありませんか。

 年金、医療、介護で家計にプラスになるもの、今年度予算で何かあるんでしょうか、目立つものがあったら、教えてください。

林田委員長 佐々木委員、もうちょっと詳しくというか、かみ砕いて質問してください。

佐々木(憲)委員 別に簡単な質問なんですけれども。

 年金、医療、介護の中で、国民にとって、つまり家計にプラスになる、そういう改革が今度の予算に盛り込まれているとしたら、例を挙げると何がありますか。これが質問です。

麻生国務大臣 ちょっと今急な御質問であれだったんですけれども、小児医療のあれがあったのと、それから難病の範囲を拡大とか、そういったのが幾つか入った。

 別に質問をいただきましたら、調べて御返事申し上げます。今のは私の記憶の範囲です。

佐々木(憲)委員 ぱっと答えられないほど、特別に何かよくなったというものはないわけです。もちろん、部分的な改善は私も認めます。だけれども、金額は、全体の予算からいうと、消費税増税に対しては非常に微々たるものであります。

 そういうことで考えていきますと、消費税は増税するわ、社会保障は負担はふえるわ、それで年金国庫負担の理由で年金課税も負担がふえて、さらに消費税で取られる。庶民からいうと、こんなに負担がふえたら消費を少し控えようか、こうなっていくのは当たり前であります。しかも、年金で暮らしている高齢者の方は、これ以上もう削減するところがないということで、我々に大変な怨嗟の声が届けられております。私は、今回の消費税増税は非常に重大な事態をもたらすというふうに思っております。

 それから次に、時間がもうなくなってまいりましたが、簡素な給付措置というので、盛んに政府広報でも、一万円上げますよ、こういうことをやっておりますけれども、この一万円の根拠は一体何なんでしょうか。

麻生国務大臣 この簡素な給付措置は、消費税の引き上げの際に、いわゆる低所得者に与える負担を緩和する観点から、税制抜本改革法に基づきまして暫定的、臨時的な施策として実施するものです。

 今、根拠と言われましたので、市町村民税、これは均等割ですけれども、非課税者約二千四百万人に対して一人当たり一万円を給付することとしておりますが、このうち、年金受給者に対しては一人当たり五千円を加算ということが今回の内容です。この給付額につきましては、所得の少ない家計というか家庭ほど生活に必要な食料品の消費支出分の割合が高いということを踏まえまして、消費税率引き上げによる一年半分の食料品の支出額の増加分を参考にして設定をいたしたものであります。

 これによって、低所得者について食料品の支出の増加分を相殺できるのではないか、十分とは申し上げませんけれども、できるのではないか、また消費税率引き上げの影響を緩和することもできるのではないかというふうに考えておるところであります。

佐々木(憲)委員 今説明がありましたけれども、一年半分の食料品の支出額をもとに算出をした、こういうことですね。

 しかし、生活していくのに、食料品だけじゃありませんよ。電気代、ガス代、水道代、こういうものがあるわけです。これがなければ生きていけません。その増加分は対象になっておりませんし、しかも、金額を見ますと、一万円のお金を支給しても、一年半でありますから、月にすると五百円程度ですよ。

 みずほ総研が家計負担の階層別試算を行っております。それによりますと、二〇一四年度は、二〇一三年度に比べて、年収二百万の世帯で、消費税増税、年金保険料、児童手当を考慮すると、年に一万八千百二十一円の負担増、これは一年半だと二万七千円の負担増になるわけです。年収三百万の世帯で年に五万七百三十二円の負担増、一年半ですと七万五千円の負担増ですね。これは、一万円を出したからといってカバーできないんじゃありませんか。

麻生国務大臣 今回の給付措置というのは、消費税の引き上げに当たりまして、所得の少ない家計、御家庭ほど所得に対する消費税負担率は高くなるといういわゆる逆進性の問題を踏まえて給付措置を実施するものなので、その給付措置の趣旨に基づいて、消費支出の中では最も消費支出性というか必要性が高いと考えられる食料品の支出額の増加分を参考に、与党の中における御議論を踏まえて一万円を行うことにさせていただきました。

 それ以外の負担増も考えるべきとの御趣旨ですが、そもそも、今回の消費税によります増収分は全額社会保障給付として国民に還元されるものですから、社会保障給付は、通常、低所得者に対して手厚く配分されることは十分留意をしておいていただかないかぬところだと思っております。

 その上で、もう一点。

 簡素な給付措置に加えて、社会保障と税の一体改革の取り組みとして、国民健康保険制度などの保険料に係ります低所得者の負担軽減などの取り組みを推進することにいたしておりますので、低所得者に対する適切な配慮は行っておる。細目につきましては、時間もあろうと思いますので、割愛させていただきます。

佐々木(憲)委員 もう時間になりましたけれども、全額社会保障に回すというのもでたらめだし、実際に社会保障の方は負担がふえていく。その一方で、復興法人税を早々とやめて、大企業は法人税減税だ。こういうやり方で、何をやっているんだとこれからじわじわと国民の怒りの声が広がらざるを得ない、そういう状況だということを指摘して、きょうのところはこれで終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

林田委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。

 本日最後の質疑者でございます。よろしくお願いを申し上げます。

 まず最初に、総論的なお話でございます。

 麻生大臣も、G20に行かれて、いろいろな議論の中で、各国とともにウクライナ問題について話し合われたのではないかというふうに報道等で承知しております。ウクライナ・リスクと仮に呼ばせていただきますと、これについてまず議論をさせていただきたいと思います。

 このウクライナ・リスク、これは世界経済全体にとって大体どのぐらいの金額だというふうに最大見積もっていらっしゃるか、教えていただけますか。

山崎政府参考人 IMFの四月に出ました世界経済見通しでも、ウクライナをめぐる地政学的な不透明感について、世界経済に対しても下方リスクである、こういうふうに書いてあるわけでありますけれども、そこにはなかなか金額的な見積もりまでは書いてございません。もうちょっと詳しく書いてあることを御紹介しますと、さらなる事態の混乱が国際金融市場における新たなリスク回避の動きにつながる場合や、制裁及び制裁への対抗措置の強化によって貿易、金融の混乱が生じる場合には、近隣の貿易パートナーを超えて経済活動により大きな波及効果が生じる、とりわけより大きな波及効果は、天然ガス、原油、トウモロコシ、小麦の生産や輸送に多大な混乱が生じた場合に想定されるというふうになってございます。

大熊委員 ありがとうございました。

 しかしながら、二つの点で全く不十分かなと。

 一つは、私はIMFに対して質問しているわけじゃないんです。財務省さんというか、政府としてはどうリスクを見積もっているのかという質問であります。

 もう一点。長々とお話しいただきましたが、やはり金融というのは数字なんですよ。数字がなければ全く意味が、全くと言っては過言かもしれませんけれども、数字でお答えいただきたい。

 そしてまた、IMFの四月の見積もりとおっしゃいましたね。ということは、これはウクライナ・リスクがこれだけ深刻化する前の見積もりであるはずなんです。

 続けて言うとこの三つ、三点についてお答えいただけますか。

山崎政府参考人 四月の見積もりという意味では、まさに先週末のG20に向けた見積もりであって、その時点では最新のものでございますけれども、その後さらに、例えばけさの報道等の動きによると深刻化しているわけでありますが、そこまではさすがにまだ、その事態を経済的にどういうふうに評価するかというところは、IMFも含めて、なかなか難しいと思います。

 数字的なことで申せば、例えばウクライナに対する諸外国の債権額みたいなものについて言うと、例えばBIS統計でいえば、外国銀行の与信総残高は二百四十六・九億ドルというふうな統計がございます。

大熊委員 リスクというのは、アウトライトの金額だけではなくて、そこから連鎖していくということは、麻生大臣初め、十数年前の金融危機でもう釈迦に説法だと思います。二百四十六・九億ドルですか、これが全部吹っ飛んだとしても、連鎖が起こるとそういうことでは済まないわけでございます。

 もう一回お尋ねしますが、数字の見積もりはできないと。これはきのう、書面で通告しているわけですよ。ウクライナは最大幾らと見積もっているかと書面で、きのうの夕方四時とか五時とかすごく早い時間に通告をしているわけで、計算ができないというのは、財務省の皆さんは優秀な方なんだから、もとのデータがないからなのか、それとも計算方法がわからないのか、両方わからないのか、どちらなんですかね。

山崎政府参考人 ウクライナ情勢はまさに進行中でございまして、G20でも、これをできるだけ早期に経済面で安定化させるようなIMFによる迅速な支援でありますとか、G20で協調して地政学リスクの低下に努めていくというようなことを日本からも主張し議論されたわけでありますけれども、まさにどの段階まで広がるかによってその金額も大きく変わってきますので、なかなか現時点で具体的な数字を申し上げることは難しいんじゃないかというふうに思っております。

大熊委員 大体でもいいんですけれども、全く数字はわからないというわけですか。それでは、全くわからないという確認だけでいいです。わかりませんという確認だけでいいです。お願いします。

山崎政府参考人 今の時点で数字を申し上げることは難しいと思っております。

大熊委員 言えないといっても、計算は、内々、見積もりは大体このぐらい、現状でとどまればこのぐらい、その程度のことはされているんだ、こういう認識でよろしいですか。

山崎政府参考人 先ほど申し上げたとおりで、今の時点で具体的な数字を申し上げることは難しいというふうに思っております。

大熊委員 おっしゃらなくてもいいんですけれども、内々、財務省あるいは政府内部で見積もっているんですかという、現時点でとどまればの話です。またさらに進行していった場合はさらにわからない面も多々ありますが、見積もりをしているのかどうか、この点、確認をお願いいたします。

山崎政府参考人 私どもは、例えばウクライナとかロシアに対する融資額、投資額等々の数字を把握してございますけれども、そこから先、それが具体的にどれくらい、どういうふうになるかという数字は、現時点では見積もりはしてございません。

大熊委員 世界経済全体にとってのリスクは見積もっていませんということがわかりました。

 では、具体的に伺います。

 先ほどは与信残高とおっしゃいましたかね。通告しておりますのは、債権保有という意味で、つまり裏を返すと、ウクライナの国債発行残高は大体どのぐらいで、一位はロシアなんでしょうけれども、二番と三番は。一位がロシアは私の早合点かもしれませんが、一、二、三番というのはどこで、どのぐらい国債をドルベースで持っているんでしょうか。

山崎政府参考人 私どもが利用可能な数字でいいますと、BISの与信統計、これはまさに諸外国の金融機関が保有している債権の額でございますけれども、先ほども申しましたけれども、総額が二百四十六・九億ドルでありますが、ただ、これにはロシアはもともと入ってございませんで、ロシアについて言いますと、ロシア自身の発言による報道等によると、約二百八十億ドル程度の与信がある。これはある意味ほかの国全体を合わせた額よりも大きいわけでありますけれども、そういった数字になっております。

大熊委員 民間金融機関のということでBIS情報ということなんですが、ウクライナの国としての国債の発行残高についてお伺いします。幾らぐらいなんでしょうか。

山崎政府参考人 今のウクライナの対外債務残高の数字でございます。これは千三百七十七億ドルでございますけれども、今ちょっと手元に、その中の国債の数字はございません。

大熊委員 国債に限らず、債務残高はそうすると大体十四兆円ぐらい、そういう理解だろうというふうにさせていただきました。

 ちょっと先走って私から申し上げちゃうと、やはり怖いのは、こういったウクライナ・リスクが、今小康状態になっていますが、いわゆるヨーロッパのソブリンリスク問題と結びついてしまうということが一番怖いわけでありますよね、先ほどの連鎖というものが。これは同じヨーロッパの国のソブリン問題ですから。そうですよね。

 もとの原因は、去年あたりまで言われていたギリシャ、アイルランドとかああいうところ。南ヨーロッパのソブリンリスク問題というのは、同じ国債の問題なんですけれども、不動産融資、あるいはその他証券化商品等の問題かもしれません。原因は今回とは大きく異なるにしても、結局、結果というか現状の状況認識としてはソブリンリスクの問題であって、怖いのは、このソブリンリスク単体、ウクライナという国のソブリンリスクが連鎖してしまうことですね、特に南ヨーロッパの、例の今ちょっとふたをしているあれと。これが一番怖いわけであり、ここを遮断しなければならないはずなんですよね。

 恐らく、ロシア以外のヨーロッパ諸国が恐れているのはこういうところなのではないかと私は想像しておりますが、この辺の認識については共有できますか。教えていただけますか。

山崎政府参考人 まさにウクライナは、先ほどの対外債務のうち、特に当面、今後二年間ぐらいで約二百七十億ドル程度の外からのお金、支援がないとそれをきちんと払っていけないという見通しをIMFが調査した結果として持っておりまして、これを何らかの形でサポートしていくことが重要であると。それができなければ、デフォルトということになってきますと、まさにおっしゃるとおり、欧州のソブリン危機のときの連想が働いて、そこがまたスピルオーバーするということが大きなリスクの一つだというふうに考えております。

大熊委員 そのあたりはさすがにと申しますか、認識を共有できたのかなというふうに理解をいたします。

 通告のときに、日本の債権は幾らぐらいですかという質問を書かせていただいたんです。日本の債権というのはそれほど大きくないのかなとも思うんですが、これは国債だけ持っているというんじゃなくて、民間の債権も含めて、大体どのぐらい持っているんでしょうか。

山崎政府参考人 BIS統計によりますと、日本の民間金融機関のウクライナに対する与信残高は一・六億ドルということでございます。

大熊委員 その意味では、相対的に相当限定的な金額なのかなというふうにも思います。

 先ほどの質疑にもありましたが、にもかかわらず、ウクライナ問題ということで日経平均等々が大きく下がっているというのは理解がなかなか難しいところもあるわけでございますけれども、その辺のところをしっかりと説明していくことで、日本の市場に対する、マーケットへのマイナスインパクトもある程度限定的にできる可能性があるんじゃないかなと思うのです。

 そういったことを今初めて聞きましたけれども、世の中に余り広報されていないんじゃないかな。そういうことをされた方が政府としてもよろしいんじゃないかなという提案でございますが、いかがでしょうか。

山崎政府参考人 このウクライナ情勢は、先ほども申し上げましたけれども、今まさに進行中の中で、先ほど御紹介したIMFの見通しにもありますとおり、こういった動きが、まず投資、国際的な金融市場におけるリスク回避の動きにつながる、こういうことが株から債券へ、安全資産へというような動きにつながっているんだと思います。そういったことについて、私どもも機会を捉えてきちっと説明していきたいというふうに思っております。

大熊委員 ぜひ、よりタイムリーに、機会を捉えるといっても、機会を失してしまうと意味が薄れると思うので、お願いしたい。

 日本のマーケットが下がっているというのは、恐らく外人投資家が六割、七割いる中で、利益が確定できる日本株を先に売っていこうみたいな、そんな投資行動なのかなということで、日本自体のウクライナへのエクスポージャーがそれだけちっちゃいのに日本株が下がっているというのは、ロジックだけでマーケットが動くとは限りませんが、そんなような理屈で投資家は行動しているのではないかなというふうには一応想像はできます。

 ところで、その場合のロシアと日本を含めたほかの諸国との関係ですね。よく新聞報道等では、ウクライナを何とかしなきゃという、そこの利害では一致したと出ているんですが、それは一致するに決まっているわけですね、みんな損したくないわけですから。

 ところが、問題はそこにあるわけじゃなくて、半分そこにあるわけですけれども、結局、ロシアの側に立って考えると、こんな虫のいいことはないわけですよ。国際法に違反して彼らの主権を拡張した、それに伴う損失はゼロであった、結論はこういうことになるわけですよね、ウクライナ問題が完全に調整がついてしまうと。そこをどうやって調整していくのか。

 いや、経済的な立場からすると、それは先ほどのとおり、ソブリンリスクの連想を起こさないようにしなきゃいけない。それはそうなんですが、一方で、不当な、国際法に違反したとしましょう、そういったロシアの主権の拡大に対して、彼らは一銭も身銭を切らない、つまり損をしなかったよということになると、これはかえっておかしいのではないかというふうに思うんですね。

 そういう観点からの利益相反の調整というのは一体どういうふうにやろうとしているのか、あるいはしたのか。どなたでも結構なんですが、お答えいただきたいと思います。

山崎政府参考人 まさに御指摘のとおり、ロシアによるクリミアの編入は、ウクライナの主権及び領土の一体性を侵害するものでございまして、国際法違反だというふうに認識をしております。

 日本は、このような力を背景とする現状変更の試みを断じて容認しないということでございまして、そういう観点から、今、G7等と協調してロシアに対して対応しているわけであります。

 特に日本は、最近もロシアとのコミュニケーションという面では一致はございますので、そういった意思疎通も図りながら、この問題の平和的、外交的な解決に向けて日本としての役割を果たしていくわけでありますが、他方で、このウクライナの経済支援の問題は、まさに世界経済全体にとっての大きなリスクでございますので、そこはきちんとした迅速な対応をやっていくことも必要であり、両者、まさにロシアに対するきちんとした行動をとるためのプレッシャーとあわせて、このウクライナに対する支援というものも並行して行っていく必要があるものだというふうに考えております。

大熊委員 隔靴掻痒的な御答弁なんですが、簡単に申しますと、ソブリンリスクの連鎖をさせない、なおかつ、ロシアには応分の損失を確定していただく、これが理想だと思うんです。そうですよね。

 国際法違反の国権の拡張でもって全然損しなかったなんということになると、どこかの国も同じようなことをするかもわからないですね。どこかの国とは、どこかわかりませんけれども。こういうことは国際社会として許されないはずであって、一方、損をみんなへ大きく連鎖してしまいますと、これは、先ほどのとおり、ヨーロッパへのソブリンリスクの波及ということになる。

 この二つの、二律背反とは言わない、なかなか難しいナローパス、これをどうやってやるんですかという質問なんですね、言いかえますと。同じ質問です。お答えください。

山崎政府参考人 ウクライナの問題が世界経済のリスクに発展することのないよう、さっきも申しましたIMFを中心とした支援を今準備しているわけでありますが、他方で、ロシアに対しましては、さきのG7のハーグでの宣言にもございますとおり、今、既に一定の制裁を科していますが、ロシアが引き続き現状をエスカレートさせる場合には、ロシア経済にさらなる重大な影響を与える協調された分野別の制裁を含む行動を強化する用意があるとしておりまして、まさにこれは、ロシアの経済にターゲットを当てた制裁について検討するということを合意しているわけでございます。

大熊委員 きょうは質問の数が少なくて時間がたっぷりあると思っていたのですが、だんだんなくなってきましたので私の方から言ってしまいますと、国債の発行体であるウクライナという国自体と日本政府は、どこかG7の国を介してでもいいんですが、話をしたりなさっていますか。

 つまり、結論からいうと、ロシアの債権だけデフォルトさせてしまえばいいわけですね、簡単に言うと。ほかのものはセキュアする。手法的に言うと、全部、シニアの国債をロシアのものだけ劣後にしてしまう。昔ありましたよね、デット・エクイティー・スワップというものが。

 普通は、日本の倒産法制等々でも、一律株主平等の原則とか、あるいは債権者であれば一律平等なんですけれども、こういうのは、国権の発動がウクライナという国そのものなので、しかも国際社会、普通、国際金融ではあり得ないことを私は言っています。相当あり得ないことを言っています。相当あり得ないことをなぜ言っているかというと、さらにそれを上回るあり得ないことをロシアがやってきたからであります。

 したがって、国際金融の非常識なんですが、ここは、金融としての超非常事態の対策として、通常は全部シニアの国債、それで国債の保有者、ホルダーがいらっしゃる中で、ロシアだけ劣後にしてしまう。つまり、あなたの債権は返ってきませんよということをスキームとして組むべきではないか。

 これは提案なんですが、この点をどう思いますか。これは国際金融の常識からすると相当非常識ですが、この非常識を提案せざるを得ないぐらいの非常事態なんだというふうに思うんですが、いかがですか。

山崎政府参考人 現にウクライナは、ロシアに対するガスの代金を滞納しているという状況が生じているわけでございます。

 いずれにしても、これからIMFを中心に具体的な対応を考えるわけでございますが、先ほどおっしゃられた委員の提案も、一つのアイデアとして参考にさせていただきたいと思います。

大熊委員 そういう提案をぜひ積極的にG7諸国にしていただきたい。日本としての、ロシアにパイプはあるわけですから、仲介というか調整というか、できる可能性があるんじゃないかなと思うので、ぜひその辺、しっかりした提案あるいは行動をしていただきたいなというふうに思うところでございます。

 続きまして、これも前回の質疑で取り上げさせていただいたんですが、外為特会の外貨証券の内訳。

 若干ディスクロはされているわけなんでございますが、外債でもって一年以下が九・九%、一年超五年以下が六〇・六%、五年超が二九・五%ということなんです。やはり金額は、莫大な金額でもあり、九十九億円じゃなくて九十九兆円なので、ここはもう少し開示をしていくべきではないかと思うんです。

 これ以上開示がどうしてできないのかということ、そして法律上の根拠はどういったところにあるのか、この点をお伺いしたいと思います。

山崎政府参考人 まさに今委員の御指摘のとおり、非常に莫大な外貨資産を私どもは特別会計で保有し運用しているわけでありますけれども、それがまさに巨額であるがゆえに、もし外貨資産の詳細な内容、例えば残高等を明らかにすると、残高の変化でいわば個別の運用方針を推測させるわけであります。そうした場合、市場に臆測を生じさせかねず、金融・為替市場に不測の影響を与えるおそれがあることから、非公表としておるところでございます。

 私ども、そもそも外貨準備を持っているのは、外為法上、為替の安定に資するということが法目的でございますので、そういうこともありまして非公表としているところでございます。

大熊委員 念のため確認しますが、法令上の根拠はないんですか。

山崎政府参考人 具体的に、どこまで何を開示しなさいということは法律に決まっているわけではございませんけれども、さっき申し上げました、そもそも我々が外貨資産を保有するのは為替の安定のためということで、これは外為法に書いてあるわけでございます。その法律全体の趣旨からして、私ども、ある程度のところまで、まさに御指摘のとおり、国債あるいは国債以外の分類、あるいは満期別の分類についてはお示ししますけれども、例えば通貨構成であるとか具体的な個々の発行体ごとの数字については、むしろこれは非公表とすることが、市場に不測の影響を与えない観点から必要ではないかというふうに考えてございます。

大熊委員 前回も申し上げましたが、上場会社が有報で、要は適時開示で求められている程度は情報開示を少なくともすべきではないかというふうに思います。開示をしていないと、逆にいろいろなリスクというものがより高まるのではないか。だからこそ、金商法で上場会社に開示規定を置いているわけでありますね。

 私が今申し上げていることを否定すると、では、上場会社だって開示は余りしなくていいよ、マーケットに不測のことを生じさせるからということになると、上場会社だって開示を縮小する、そういう方向にならなきゃいけないはずであって、これは理屈としてはおかしい。法令上は違反していないにしても、考え方からして、私が言っていることがおかしいということだとおかしくなっちゃうんですね。そういうふうに指摘をさせていただきます。

 と同時に、この四月から、民間運用、運用の民間委託が始まっているか、これから始まろうとしているかということだろうと思うんですが、こうなると余計に、ではどんな運用をしているんですかというのは、投資家すなわち納税者としては知る必要があるわけですよね。

 これも、今までの同じ流れでいくと、開示はしなくていいんだ、そういう考え方の流れでいくと、その運用を任せた先の運用状況も知らなくてもいいんだ、こういうことに理屈上なるわけなんですが、この点、この理屈で合っていますか。それとも、民間運用をした、これは開示なんだと転換するんですか。どちらなんでしょうか。

山崎政府参考人 今御指摘の、この四月から可能になりました外部委託につきましては、対象資産を、今の本体で運用しているのと同じように、流動性、償還確実性の高い資産に限定するとともに、その委託後の運用状況を継続的にモニタリングすることによって適切に委託先も管理していこうと考えておるわけでございますけれども、具体的に委託する資産内容であるとか運用の中身につきましては、ほかの、私ども自身が運用しているものと同じような扱いにすることを考えております。

大熊委員 確認なんですが、民間委託の運用状況の報告は、財務省、政府限りでは詳細に把握するんだ、でもそこから先は出せませんよ、こういう理解かどうか。確認のため、一言お願いします。

山崎政府参考人 そういうことでございます。

大熊委員 そうなりますと、金融あるいは投資の常識からいって、責任は全てそのレポートを受けた人、要するにそこから先は開示されないんですから、皆様方が負うことになりますね。要するに、もし相当程度開示されているのであれば、途中でここがおかしい、あそこがおかしいということを指摘できるわけですね、最終投資家としては、つまり納税者としては。ところが、それが開示されないんだとなると、途中でここがだめなところがあるとか言えないわけです、開示されていないんだから。皆様方のリスクを下げるためにも開示した方がいいんじゃないですかね。全部そちらの責任になっちゃいますけれども、その点、どうですか。

山崎政府参考人 先ほども申しましたが、したがって、最初に我々が委託する段階から、対象資産を流動性、償還確実性の高い資産に限定する、あるいは途中も、状況をモニタリングすることによって管理していくということでございまして、確かにおっしゃるとおり、私ども、これは政府の責任で委託し、その委託の運用の結果というのは最終的に政府が負うことになるというふうに考えております。

大熊委員 例えば、民間でいえばファンド・オブ・ファンズという考え方がありますよね。最終的なファンドの上にファンドがもう一つあってと。でも、それは、ファンド・オブ・ファンズの投資家にちゃんと開示をしているから最終投資家が途中でここがおかしいとかなんとか言えるわけであって、その開示がなければ、途中の方、つまりファンド・オブ・ファンズであればファンド・オブ・ファンズのマネジャーが、開示をしないということは普通あり得ないんですけれども、全責任を負わなければならない、当然そういうことになるわけでございます。

 そういう責任を負うということは、民間であれば、要するに御自分のお金を投資していますから、御自身のお金がなくなるという話なんですが、政府の場合は、皆さん御自身のお金を投資していないわけですから、責任のとりようがないんですよね。責任をとると口で仮におっしゃってくれたとしても、責任のとりようがないにもかかわらず情報公開はしないというのは、権限と責任の関係からしてちょっと論理が合わないし、わからないですね。

 それから、安全とかおっしゃるけれども、でも、これは投資ですから一〇〇%ということはないわけであって、無リスク証券ということであれば国債を買うしかないわけであって、そういうことではないわけですから、リスクはあるわけですね。このリスク、要するに損失が出たときに誰が責任をとるのか。今、誰も責任をとれないはずなんですよ、皆さんは責任をとれないんだから。

 誰も責任をとれない、この確認をさせていただいて、終わりにしたいと思います。

山崎政府参考人 これは本体の運用部分についても共通でございますけれども、個々の債券の銘柄、運用方針については市場への不測の影響の観点から公表しませんけれども、大まかなところは今も既に公表しております。

 いずれにしても、ただ、全体の運用結果というのは、これはまさに予算の関係で、利益、損失も含めてきちんと御報告して国会の承認を経るわけですから、そういう意味で、私どもは国会に対してきちんと責任を明確にしているというふうに考えてございます。

大熊委員 でも、損失が出ても、出ましたと報告されるだけで、誰も何も責任をとらないんですよ。そうですよね。責任をとるんですか。損失補填をしてくれるんですか。違いますよね。最後、そこだけ確認させてください。

山崎政府参考人 まさに損失が出た場合、それは国会できちんと説明し、その結果としてもし仮に穴があけば、それは一般会計から補填するかどうかという議論をまた国会でしていただくということになる。そういう意味で、きちんと国会で私ども説明責任を果たしていく必要があるというふうに考えております。

大熊委員 きょうはこれで終わるので、また次回続けます。結局のところ、途中経過が何もなしで、最後だけ尻拭いしなさいよ、そういう話なので、これはちょっと問題が大きいと思いますので、また次回続けたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

林田委員長 次回は、来る二十三日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三分散会


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