第13号 平成20年5月14日(水曜日)
平成二十年五月十四日(水曜日)午前九時一分開議
出席委員
委員長 東 順治君
理事 梶山 弘志君 理事 鈴木 俊一君
理事 谷本 龍哉君 理事 やまぎわ大志郎君
理事 吉川 貴盛君 理事 大島 敦君
理事 古川 元久君 理事 赤羽 一嘉君
伊藤 忠彦君 江崎洋一郎君
大村 秀章君 岡部 英明君
片山さつき君 川条 志嘉君
木挽 司君 近藤三津枝君
佐藤ゆかり君 清水清一朗君
柴山 昌彦君 平 将明君
谷畑 孝君 土井 真樹君
丹羽 秀樹君 橋本 岳君
藤井 勇治君 牧原 秀樹君
武藤 容治君 安井潤一郎君
吉田六左エ門君 吉野 正芳君
太田 和美君 北神 圭朗君
後藤 斎君 近藤 洋介君
下条 みつ君 田村 謙治君
牧 義夫君 三谷 光男君
高木美智代君 吉井 英勝君
…………………………………
経済産業大臣 甘利 明君
内閣府副大臣 山本 明彦君
経済産業副大臣 中野 正志君
経済産業大臣政務官 山本 香苗君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 藤岡 文七君
政府参考人
(金融庁総務企画局審議官) 細溝 清史君
政府参考人
(金融庁総務企画局審議官) 居戸 利明君
政府参考人
(金融庁総務企画局参事官) 私市 光生君
政府参考人
(金融庁総務企画局参事官) 三村 亨君
政府参考人
(金融庁監督局長) 西原 政雄君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 西山 英彦君
政府参考人
(中小企業庁長官) 福水 健文君
政府参考人
(中小企業庁次長) 岩井 良行君
経済産業委員会専門員 大竹 顕一君
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委員の異動
五月十四日
辞任 補欠選任
岡部 英明君 木挽 司君
同日
辞任 補欠選任
木挽 司君 岡部 英明君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
信用保証協会法の一部を改正する法律案(内閣提出第五四号)
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)
中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)
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○東委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、信用保証協会法の一部を改正する法律案、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官藤岡文七君、金融庁総務企画局審議官細溝清史君、金融庁総務企画局審議官居戸利明君、金融庁総務企画局参事官私市光生君、金融庁総務企画局参事官三村亨君、金融庁監督局長西原政雄君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長西山英彦君、中小企業庁長官福水健文君及び中小企業庁次長岩井良行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○東委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田村謙治君。
○田村(謙)委員 民主党の田村謙治でございます。
中小企業金融三法につきまして御質問をさせていただきたいと思います。
先週も質疑がございまして、幾つも議論がなされておりますので、気になったことについて、追加的にまず最初に質問をさせていただければと思っております。
基本的には、中小企業の資金繰り、あるいは本当に倒産しかかった企業を再生するということで、中小企業をより発展させていくという意味で大変重要なことでありますので、今回の法律の趣旨についても私も賛同するものでございますし、ぜひとも推進をしていただきたいと思っているわけでありますけれども、個別のことについて若干お伺いをしたいと思います。
さて、売り掛け債権の早期現金化支援というものがその一つとしてあるわけであります。売り掛け債権といいますのは、いわゆる手形がどんどん減少している、そういう中で、売り掛け債権は形式というものが明確に定められているわけではないと思うんですけれども、それこそ口約束の債権まであるというわけでありますが、その対象となる売り掛け債権の範囲を今回はどのように考えているのかということ、そしてまた、平成十三年度から導入した売り掛け債権担保融資保証制度ではどうしているのかということをまずお伺いいたします。
○岩井政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの売掛金債権の範囲でございますけれども、法令上明確に売り掛け債権の定義は定めておりませんけれども、今御質問にもございましたように、既に売り掛け債権を担保とする融資制度というものができてございます。その制度におきましては、この売り掛け債権の対象範囲といたしまして、商品または役務の提供に対する対価であるかどうか、当該債権が未収の状態であるのかどうか、債権の支払い人が事業者であるかどうかというような基準を設けて運用をさせていただいております。今回、新たに法令で創設する制度につきましても、こうした基準を参考につくるということになろうかと思います。
また、売掛金債権につきましては、第三者への譲渡、差し押さえの処分がなされているといった、売り掛け債権が担保として有効でないものは、既に今の保証制度でも対象にしてございませんので、そういった点も加味して、中小企業者の資金繰りの円滑化に資するような制度設計を行っていく所存でございます。
○田村(謙)委員 今御説明いただいた、既に平成十三年度から導入をしている売り掛け債権担保融資保証制度においてのこれまでの保証実績ですとか、あるいは代位弁済の金額というものを教えてください。
○岩井政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの売り掛け債権担保融資保証制度でございますが、平成十三年に制度を創設いたしました。それ以来、審査手続の簡素化、迅速化、担保掛け目の引き上げ等の制度改善を進めてまいりました結果、平成二十年二月末現在、これが最新の数字でございますけれども、累計で一兆四千億を超す実績を上げてございます。
また、お尋ねの代位弁済額でございますけれども、平成十九年度の実績は、先ほどと同じ平成二十年二月末現在でございますけれども、約十七億円、制度創設以来の累計で約五十億円という実績になってございます。
○田村(謙)委員 今お伺いをした実績と代位弁済額でありますけれども、お伺いしたのが昨日と急でしたので、その点は申しわけなかったとは思うんですけれども、ある意味、今回の法改正にも関連をする制度、既に導入をしている売り掛け債権担保融資保証制度について、もちろん実績だけではありませんが、その実績というのをどのように評価するのかとか、評価をする際には当然、その実績というものは大前提としてある数字だと思うんです。代位弁済額というのは、きのうお伺いをして、結局夜中に数字をいただきましたが、すぐ手元にはないというのがたまたま明らかになったんですけれども、それは、私も不勉強ながら、いかがなものかなというふうに思ったりするところもあるんです。
今回、この売り掛け債権担保融資保証制度について、既に六年ぐらい実際に行われているという中、実績の数字なども踏まえてどのようにそれを評価していらっしゃるか、もしお考えがあれば教えてください。
○福水政府参考人 お答え申し上げます。
十三年に導入いたしましてから、売り掛け債権で融資をするというのをやってきまして、先ほど次長がお答え申し上げましたように一兆四千億円ぐらいの実績になっている。これは、十三年から年々にかけて着実にふやしてきている。
昨年度につきましては、在庫も含めてやっていこうというふうな法改正もやっていただきまして、私どもとしては、中小企業の円滑な金融にお役に立っているんじゃないかというふうに考えてございます。
○田村(謙)委員 ありがとうございました。
それでは、若干視点を変えまして、今回の法改正の背景には、手形の利用が急激に減少しているということが大きな背景としてあると思うんですけれども、その理由について御説明ください。
○福水政府参考人 お答え申し上げます。
手形が急激に減ってきている、一時期の七分の一、八分の一になっているという状況でございますが、まず、手形を発行する支払い企業の側から見た場合、発行するに伴いまして印紙代がかかる、事務管理コストで人件費等々がかかってくる、あるいは紛失等によります二重払いのリスクがあるというようなことでございます。さらに、法的な要件が非常に厳格でございまして、半年間の間に二回手形事故を起こすと銀行取引停止処分を受けるというふうな大きなリスクがあるわけでございます。
また、手形を受け取る納入企業の側からいたしましても、転々と流通いたしました手形によって支払いが行われるということになりますと、顔の見えない振出人の信用リスクがあるというふうなことが挙げられるかと思います。
さらに、ここ数年、IT化に伴いまして電子的な取引が非常にふえてきているというふうなことも背景に大きくありまして、手形取引の比重が減少してきているというふうに考えてございます。
○田村(謙)委員 今御説明いただいたような背景もあって手形が減少してきた、そしていわゆる一括決済方式というのがふえてきたという状況の中で、例えば下請企業を多く抱える大企業にとっては、そういったことというのは大変メリットが大きいと思いますけれども、一方で、下請になりがちな中小企業というのは、結局、手形の割引というものが前倒しですることができない。そうしますと、資金繰りに窮して、場合によっては借り入れをするというような状況が生まれてきて、借入金が増大をする結果になっているという状況もあるというふうに聞いております。
現在では、手形の割引同様に、一括決済の早期現金化ということを公取さんも求めていらっしゃるというふうに聞いていますけれども、そもそも納入から支払いまでの期間というのが、日本ですと通常六十日から九十日ぐらいと、非常に長いこと自体がやはりまず問題なのではないかなという意識も持っているところであります。
裏返して言いますと、支払い企業が納入企業から立場を利用して借り入れをしているのと同じような効果があるわけでありまして、下請企業への支払い、中小企業への支払いのサイクルを短縮するような施策というものをとってもいいのではないかなと。やはり、中小企業において資金繰りというのは大変重要なポイントの一つであるわけでありますので、その点について何かお考えがありましたら教えてください。
○岩井政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘がございましたように、中小企業の円滑な資金調達のためには、売り掛け債権の支払い期間の短縮を図るということが大変重要な課題であると私どもも認識してございます。
またとりわけ、一般的に弱い立場にあります下請事業者の方の利益の保護ということを図る必要があるという観点から、下請代金支払遅延等防止法におきまして、下請代金の支払い期日は、親事業者が下請事業者から製品等の納入を受けた日から六十日以内のできる限り短い期間内において定めなければならないという規定を置いてございまして、支払い遅延行為を禁止してございます。
中小企業庁といたしましては、下請代金の支払い期日が不当に長く設定されないように、公正取引委員会とも連携しつつ、この法律の厳格な運用に努めてまいる所存でございます。
○田村(謙)委員 私のちょっと調査不足かもしれませんけれども、それこそ十年ぐらい前のデータをたまたま文献で見かけた際に、もっと広げて、いわゆる企業間信用の数字になってしまいますけれども、対GDP比ですね、先進国を平均すると大体二割程度だ。一番低いところ、ドイツとかですと基本的に、支払いまでの期間というのは二週間ぐらいが商慣行として通常で、ドイツは特に短いので対GDP比でも五%程度で、ほかの例えばイギリス、アメリカなどですと二割程度、フランスと日本がやや高くて、特に日本は高い、それこそ四割を超えるような比重を占めているというデータ、それが十年でどの程度改善されたかというのは私も調査不足で存じ上げないんですけれども、今おっしゃったような施策を通じて、さらにそれが改善をされているのか。
近年、そういった傾向、企業間信用、あるいは猶予期間、納入から支払いまでの期間というのは実際に短くなっているのかどうか、そういった状況というのは把握はしていらっしゃいますか。
○中野副大臣 国際比較、お話をいただいたところでありますけれども、日銀出身で、現在同志社大学教授の鹿野嘉昭氏の「日本の中小企業」、二〇〇八年に発行されておりますけれども、主要国の企業間信用の対GDP比が示されております。
それによりますと、今お話がありましたように、我が国及びフランスは四割、五割程度、アメリカ、イギリス、カナダは一、二割程度の水準となっていると承知をいたしております。これは十数年前の統計ではありますけれども、大体今日までもこういった数字で示される形になるかなと思います。
やはり、こういった国際比較はあるものの、企業間信用の縮小が、中小企業が支払い側となった場合に与えるメリット、デメリット、両方を考えることが重要だと思います。
二〇〇七年版の中小企業白書でのアンケート調査の結果として、中小の製造業がみずからの支払いサイトを短くしたことの影響を示しておりますけれども、それによりますと、以前より安い値段での仕入れが可能になった、あるいは経理、会計処理が楽になったというメリットが示されておりますし、逆に、資金繰りが苦しくなった、それから預金を取り崩したなどというデメリットの双方が存在をするとしております。
このようなプラスマイナスの両面の影響を考えると、一概に企業間信用の圧縮を図ることが適切だとは言えないのかなと思います。重要なことは、企業間信用における受け取り側の中小企業への対応だと思います。そういう意味で、現在御審議いただいております売り掛け債権の早期現金化支援制度は、まさにこのような観点から、受け取り側の中小企業に対する資金調達の新たな手段の提供を政策的に促進するものだ、こういうことで、ぜひ御支援を賜りたいと思います。
○田村(謙)委員 私が唯一参考にした文献もちゃんと把握をしていただいて感謝をいたしますけれども、確かに両面あるんだと思うんですね。それ以上詳しい実態は私も正直わかりませんので、明確な持論があるわけではありませんし、欧米にすべて合わせる必要はないだろうと。
ただ、何となく素人的に考えても、イメージ的にやはり一般論で言うと、支払う側という方がより規模が、特に下請と大企業の場合は典型でありますけれども、そうじゃない場合、もちろん逆転している場合というのは多々あっても、結局金額的なことを考えると、基本的には納入企業の方が支払い企業よりも規模が小さいものの方が多いような気がいたします。
今御説明いただいたようなメリット、デメリットは確かに両面あると思いますので、そこは、今後もよりさらに実態調査を引き続き続けていただいて、ただ、まさに鹿野教授も言っていますように、政策がどうできるのか。いわゆる商慣行でありますので、政府が押しつけることができるというわけでは確かにないのだろうとは思いますが、そこは官民連携をしてというのが経産省さんの産業政策、中小企業政策だと思いますので、そういった視点は失わずに、引き続きより精緻な調査を進めていただきたいということを御要望申し上げたいと思います。
さて、また別のことを少しお伺いいたします。
売り掛け債権早期現金化というのを既に行われている金融機関などがあるというふうに私も部分的に知っていますけれども、その数やあるいは対象企業の数はどの程度というふうに把握していらっしゃるのか。あるいは、今回の支援策を導入することによってどこまでふえるというふうにお考えか、お聞かせください。
○岩井政府参考人 お答え申し上げます。
私ども中小企業庁が金融機関へアンケート調査をいたしました。その意味で、アンケート調査でございますので悉皆的ではないのでございますけれども、その結果で、売り掛け債権の早期現金化を既に行っておられる金融機関の数として八十五機関を数えてございます。それぞれの機関ごとに対象となる中小企業の方あるいは取引先企業の方がおありかと思いますけれども、どれぐらいの取引先を抱えておられるのかということにつきましては、残念ながら十分把握はできておりません。それぞれの金融機関によって区々分かれるところがあるのだろうと思います。
しかしながら、売掛金債権の早期現金化を行うためには売り掛け債権の信用力が重要であるということですとか、スキームをつくっていくためには一定の規模のものでないとうまく回っていかないというようなことから、現状では、信用力等を持っておられる大企業やその関連会社の利用が中心になっておりまして、中小企業の方の利用というのは極めて限定的なものになっているというのが実態であろうかというふうに考えてございます。
○田村(謙)委員 あと、SPCを設立して売り掛け債権を流動化する、そういうスキームというのは、預金取扱金融機関に限らず、いわゆるメーカー系のファイナンス会社などでも行っているというふうに聞いています。
今回、中小企業金融公庫の業務に追加をされる債務保証の対象となります、特定金融機関等というふうになっていますけれども、その特定金融機関等というものの範囲と、あと貸し付けの対象となる特定目的会社等の範囲というのを教えていただけますでしょうか。要は、例えばメーカー系のファイナンス会社が対象になるかとか、そういったことも含めて教えてください。
○岩井政府参考人 お答え申し上げます。
御質問の特定金融機関等、これは具体的にはお金をお貸しするという機関でございますけれども、これにつきましては、銀行、長期信用銀行、信用金庫、信用金庫連合会、信用協同組合及び信用協同組合連合会、農林中央金庫、商工組合中央金庫等の金融機関を想定してございます。
他方、特定目的会社等といいますものは、借り入れや資産担保証券の発行によりまして調達した資金によって、今持っておられる方から資産を譲り受けて資金化を支援するというための会社でございますので、資産の流動化に関する法律に規定する特定目的会社、社団といった金融機関も当然想定されるわけでございますけれども、同様の業務を行われる株式会社あるいは合同会社というものも対象にし得るものと考えてございます。
具体的な対象につきましてはさらに精査が必要だろうと思いますけれども、御指摘のメーカー系のようなところがそのような業務をされるという場合には、一般論として申し上げれば、特定目的会社等に入り得るものというふうに理解をしてございます。
○田村(謙)委員 せっかくいい制度を導入なさるわけですので、できるだけ利用対象が広くなるように、しっかりと今後御検討いただきたいというふうに御要望いたしたいと思います。
それから、特定支払い契約保険につきまして、中小公庫のいわゆるてん補率というものは、中小企業信用保険法第五条で百分の七十というふうにありますけれども、保証限度額、保険料率、保証料率あるいは協会の保証割合といったようなことについては規定がないわけです。どの程度の水準を考えていらっしゃって、どのような手続で決めるのかということを教えてください。
○岩井政府参考人 お答え申し上げます。
特定支払い契約保険の保証限度額でございますけれども、これは、本日御審議をいただいております中小企業信用保険法改正案におきまして、この限度額を十億円というふうに規定をさせていただいております。
保険料率につきましては、中小企業の信用力に応じて料率を決定する料率の弾力化ということを基本に、財務当局とも検討いたしまして、法律施行後の政令において定めさせていただくということでございますけれども、今申し上げたような基本的な考え方で検討を進めてまいりたいと思います。
また、保証料率でございますけれども、今申し上げました保険料率が定まりますと、これに応じて決定されることになりますが、基本的な考え方は同じようなことになろうかと思います。
最後に、保証割合につきましては、責任共有の対象とする方向で検討しておりますけれども、具体的な保証割合につきましては、今後財政当局と検討をさせていただくということになろうかと思います。
以上でございます。
○田村(謙)委員 確かに、法律にすべてを規定することはできないだろうというのは私も十分に理解できますけれども、今後、できるだけ利用しやすい、そして効果があるような設定をしていただくように、その点についても御要望をさせていただきたいと思います。
さて、今回付加をする信用保証協会の新しい機能について、若干御質問させていただきます。
金融機関が中小企業の私的整理に協力的でない場合等に信用保証協会がその債権を適正な価格で譲り受けるということになるわけですけれども、それによって債権を集約して事業再生を円滑化するということでありますが、譲り受け価格をどのように決定することになるのでしょうか。
○福水政府参考人 お答え申し上げます。
保証協会によります今回の債権譲り受けの御質問でございますが、まず、保証協会が現に保証を行っている中小企業者に関する案件をやるということでございます。さらに、弁護士とか会計士等の専門家によって構成されます、現在四十七都道府県にございます中小企業再生支援協議会、そういうふうなところで策定いたしました再生計画に基づくものに限定するというふうなことを考えてございます。
譲り受け価格につきましては、当該支援協議会で再生計画がつくられます。その中で、金融機関等に対しまして、債権放棄の額とか割合、あるいは債権放棄後の残債権の弁済期間、そういうふうなものを考えまして保証協会が決定するということで、譲り受け価格の客観性でありますとか合理性を確保するというふうなことで進めていきたいと考えてございます。
○田村(謙)委員 今回の新しい制度というのは、今までの中小企業再生支援協議会による再生支援というのがいわゆる経営面の支援が中心だったということに対して、財政面の支援を補完していく、ある意味で再生支援の補完をする役割を果たすということですので、その役割というのは十分に評価できるものだろうというふうに思っているわけであります。
実際、債権譲り受けの対象となった中小企業が事業再生に失敗をする場合というのも当然考えられるわけでありまして、手がけた事業再生が全部成功するということは不可能ですので、当然そういったリスクはあるわけであります。結局、協会の財政が直撃を受けるということになるわけでありまして、今回、債権譲り受け業務についてはいわゆる信用保険というのは適用されませんから、損害に関して国による損失補てんというのはなくて、全面的に協会がリスクを負うということになるんだと思うんです。
今回の新しい業務を開始して、実際、そのリスク、財政的な影響というのはどの程度あるというふうに予測をしていらっしゃるか、その点についてお伺いをしたいんですけれども、よろしいですか。
○甘利国務大臣 保証協会によります債権の譲り受けは、主たる業務であります債務の保証の遂行を妨げない限度でのみ行うことができるということをこの法案で規定しているわけであります。具体的には、各保証協会の内部留保の一定の範囲内でのみ実施を認める等の定量的な基準を定めることを考えておりまして、保証協会の財務への影響は限定的なものになると思っております。
また、保証協会による債権の譲り受けは、中小企業再生支援協議会等によって再生可能性があると認められた案件に限るとともに、譲り受ける価格につきましても、中小企業再生支援協議会等が策定をしました再生計画に基づいて決定をする等、保証協会が損失をこうむる可能性を極力抑えたいというふうに考えております。
いずれにしましても、保証協会による債権の譲り受けが保証協会の財務状況の悪化等につながることがないように、必要な枠組みの整備を行ってまいります。
○田村(謙)委員 結局、各協会の財務力、財政状況に応じて、要は内部留保の範囲内でと。確かに、そういう範囲ですと、決定的に財政状況が悪化をするということは確かにないんだろうというふうには思いますけれども、裏返して、逆から考えてみますと、財政状況が厳しいところは余りできないということですよね、内部留保が少ないところは。そうすると、協会によってかなりばらつきが出てきてしまうのかなという危惧、懸念を持っております。
もちろん、かといって、一律にやった場合には決定的に財政状況が悪化をしてしまうというところが出てきてしまうので、その点なかなか難しいとは思いますけれども、そういう各協会のばらつきは、結局地域によって全然対応が違うということになってしまうわけですので、そこはできるだけ格差が生じないような制度になるようぜひとも今後努めていただきたいというふうに、最後にお願いを申し上げたいと思います。
さて、今回の法案についての質問はこれぐらいにいたしまして、残りの時間、最近話題のJパワーの件について若干お伺いをしたいと思います。
以前も一回、大臣に一問だけ御質問したことがあるわけですけれども、それから話が進んでまいりまして、まさに昨日中止命令が出たというのを報道で私も聞いているわけであります。これについて、民主党として特にスタンスを決めているというふうに私は聞いておりませんので、あくまで個人的な思いもありながらの質問であることは事前に御了解いただいた上で質問させていただきたいんですけれども、幾つかの観点から質問させていただきたいと思います。
株の買い増しの中止を勧告して、それに対してTCIが反発をして、今回中止命令に至ったという状況なわけでありますけれども、いろいろな論点があります。例えば、今回の審査の過程においても、やはりまだまだ政府側の説明が不十分であるといった声は多方面からあるというふうに私も聞いております。もちろん、完全に議事録を公開するとかそういったところまでは無理なのかもしれないと思いますけれども、今まで、中止命令に至るまで、ある程度の理由というのをおっしゃっておられても、まだまだ説明不十分であるという声を多々聞くんですが、そのプロセスについてより透明性を高めるということはできないものなんでしょうか。
○甘利国務大臣 中止勧告を行い、相手に弁明の機会を与え、反論の機会を持たせた、その反論を精査した結果、懸念が払拭できないということで中止命令を行ったわけであります。
個々のやりとりをどこまで開示できるかというのは、相手、買収をしようとする当事者、ファンドのいろいろ企業秘密にかかわるところがあるわけですね。こちらからは、どういう目的で、あるいはどういう手だてでと、いろいろな質問が行くわけであります。そこの中には開示できない問題もありますから、勝手にこちらがやりとりをみんなオープンにするというわけにはいかないわけであります。
ただ、先方が、この範囲についてはということで了解がとれた、あるいは先方が積極的に、自身はこういう目的でとおっしゃっていることに関する範囲内では、情報開示は許される範囲では丁寧にしているところであります。
これに関して日本が特に閉鎖的であるとか手順が不透明ということは、国際ルールに照らして、あるいは各国の事案に照らして、日本がそういう点で劣後しているということは全くないと確信をいたしております。
○田村(謙)委員 私もまだまだ不勉強ではあると思うんですけれども、今回の中止命令に至った理由を拝見していて、結局Jパワーの経営にまさに悪影響を及ぼす、一言で言うとそういったことなんだと思うんですが、Jパワーというのは、例えば電力供給という観点で見て、電力供給というのは日本において大変重要、もちろん各国にも安定供給は大変重要であることは私も十分理解しておりますけれども、Jパワーというのはまさに卸電気事業者であるわけで、一般消費者に電力を供給しているわけではありませんので、ある意味、電力会社に供給をしなければ商売にならないわけですよね。そうすると、電力の安定供給というのに直接的な影響はないのではないかと思ったりもするんですけれども、例えばその観点についてはいかがでしょう。
○甘利国務大臣 Jパワーは、四島をつなぐ幹線網を唯一持っている会社であります。これを維持していくためには適切な設備投資が長期にわたって必要だし、修繕費も必要なわけであります。そういういわば投資計画に支障が来ると、昨年の電力需給が部分的に逼迫したときには融通をしてもらうわけであります。融通網に支障が来てしまっては、これはまさに国の安全、公の秩序にかかわることになるわけでありますし、大間のフルMOXの原子力発電所の設置許可というのを出したわけでありますけれども、相当長期にわたって設備投資資金が必要になる。これがなされないと、一電力事業者の問題だけではなくて、プルトニウムをどう利用していくかという安全保障上の問題になる。
IAEAの厳格な保障措置のもとに、核保有国以外で現状で唯一核燃料サイクルがいわば認められている国でありますし、それは、でき上がったプルトニウムをこのように平和的な利用をしていきますと、その枠組みの中に組み込まれているわけであります。
あるいは、卸電力会社でありますけれども、一方的に高い料金で電力会社に卸していけば、それは消費者の電気料金にはね返るわけであります。ですから、公的な性格を持っていますから、利益が出たら、ある部分は株主に還元し、ある部分は消費者に間接的に還元するという意味で、卸電力料金を下げてもらわなければならないわけであります。
しかし、TCIは一説によりますと、卸電力料金を下げるのはけしからぬ、株主代表訴訟を起こすというような報道がどこかでなされていましたけれども、仮にそういうことがあるとするならば消費者利便に反する。これは全部消費者に返せと言っているわけではないわけでありまして、公益にかかわる事業でありますから、株主にももちろん還元し、消費者にも還元をするということが経営の目的になっているというふうに思っております。
○田村(謙)委員 結局、なぜ一〇〇%の民営化をしたのかという議論になるんだと思うんですけれども、まず最初にその理由をお伺いします。
問題意識はいろいろありますけれども、まさに株主は、外資に関しては確かに外為法で規制をできます。ただ結局、それを裏返せば、外資は怪しい人もいるかもしれないけれども、要は国内に怪しい人はいないのか。それは国内でも、実際なかなか限られてくるとは思いますよ、ですけれども、一〇%以上あるいは二〇%近くまで買い占める資本も出てくるかもしれない。あるいは、表向き国内企業、日本企業であっても、そのお金というものが結局海外からまさに来るようなケースというのも、今後いろいろと十分考えられるんではないかといったような観点もあると思います。
結局、一〇〇%民営化をした株式会社なのであれば、当然株式市場において、懸念があるのはわかりますよ、ただ、それがなぜ外資なのか、外資だとより懸念が強まるのかというのが私は一つ理解できないんですけれども、まずは、なぜ一〇〇%民営化をしたのか、その趣旨を教えてください。
○甘利国務大臣 完全民営化したということは、外為法の存在がある、それを前提にいたしたわけであります。外為法によって、電源開発の民営化後の使命がきちんと果たせる、懸念が排除できる。外為法がなければ、こういう措置はとらなかったと思っております。
○田村(謙)委員 では裏返せば、国内企業であればどこでも、二〇%でも三〇%でも保有していいということなんでしょうか。
○甘利国務大臣 世界じゅう、外為法で対処している国はたくさんあるわけであります。これは、OECDの資本移動自由化コードに従って国際標準として取り組んでいるわけであります。
確かに、おっしゃいますように、外為法は内外差別であります。内資は、そういう電源開発に対する危惧、懸念に対する投資行動はとらないであろうということが確かに前提になっております。
つまり、例えば停電を招来するような事態に陥るような行為は、国内にいる企業は自分の首を絞めることになるわけであります。そしてまさに、そこに存在をし、地域社会の理解のもとに存在している企業として、その企業自身に対して不利な行動はとらないという前提があるんだというふうに思っておりますし、また、そういう懸念の事案というものは過去の例でも起きていないということであります。
○田村(謙)委員 この議論をしていると切りがないんですけれども、今のことについてもう一度だけお伺いをすると、結局、例えば停電とかいろいろさまざまな不都合が生じるような事態になると、Jパワー自体の株価が下がるというのが今の株式市場なんじゃないかなと。そういう公益性を帯びた公的な企業というのは、そういう役割をしっかりと果たしているということによって株価も維持できる。当然、それは収益もいろいろかかわってくると思いますけれども。
ですから、株主はどこであっても、当然高い株価を維持するということを望むわけですので、そういった意味で、全く観点は違うにせよ、結局は、特に電力供給というのは、Jパワーは日本の中でやっているわけでありますので、外の人が株を持ったからといって観点は変わらないと思うんですけれども、その点はいかがですか。
○甘利国務大臣 公益にかかわる事業に関しては、ポートフォリオとして株を持っていただくというのはどんどんやっていただければいいのでありますし、当然株主として穏当な要求は、経営の効率化が不徹底だとするならばどんどん要求されればいいんですね。
ただ、経営権に介入をして、それによって果たさなければならない使命が果たせなくなるおそれがあるかどうかを外為法上でチェックするわけであります。
今回は別に、経済産業省が一方的に断を下したわけではありません。各種手順を踏んで、専門家、識者に中立的な観点から審査をしていただいた。懸念は払拭できないという結論をいただいたわけでありまして、国民利益の視点からこういう中止命令に至ったということだと理解をしております。
○田村(謙)委員 各国も、確かに電力の安定供給は重要ですから、さまざまな規制をかけているというのは私も承知をしております。ただ、一言で言うと、日本の今の状況、Jパワーの状態というのは極めて中途半端だというふうに思うんですね。
イギリスとかアメリカというのは、ある意味、同じように民営化をして、ただ懸念がではなくて、実際に何か支障になるようなことをし出した場合にはそこで一気に政府が介入する、いわゆる事後介入ですね、行為規制ともいいますけれども、そういった枠組みをとっております。あるいは、フランスやドイツ、大陸の場合に多いのは、最初から半分以上株を政府が持っているとか、それこそ国営会社とかですね。そのどちらかだと、極めてわかりやすいんですよ。
民間だと、一〇〇%株式会社だといいながら、そういう経営権に介入する懸念があります。そもそも、株主というのは当然意見をする立場にあるわけですよね、オーナーの一人なんですから、経営をもっとこうすべきだと。
私は、TCIの言っていることがおよそ余りに不当な、本当にそれがすぐに電力の安定供給に悪影響を及ぼすようなことを言っているとはとても思えない。例えば、同じようなことを言う日本の株主だったらいいのか。物言う株主というのは日本でも徐々にこれからふえてくるわけでありますので、その点を全く無視をして、外為だけで外国の怪しい人ははねるよ、日本はみんないい人なんですよという前提に立っていること自体がおかしい。諸外国を見てもおかしいと思いますけれども、最後にその点について、今後のことをお伺いします。
○甘利国務大臣 外為法は、OECDのルールに従ってやっているわけですね。これについて、日本だけが特殊であるということは全く、私も各国を検証しましたけれども、ありません。
アメリカはエクソン・フロリオで、はっきり言えば何でもありで、遡及性もあり。この方が投資予見性が少ないんじゃないですか。何がやられるか最初からわからないんですから、全範囲ですから。あるいは、イギリスもすべてに対応できますよ。投資家にしてみれば、特定をされていれば、ここにはいろいろなことを注意して、どういうことまでできるかというのを調べられますけれども、すべての範囲だったら調べようがないじゃないですか。日本の方がはるかに予見可能性が高いと思っております。極めて限定して列挙しているわけでありまして、その理由も開示しているわけであります。
なお、この三年間で外為法対象案件が七百六十件近くありました。中止命令は、このたった一件でございます。
○田村(謙)委員 今のアメリカ、イギリス、いわゆる事後介入、確かに予見はできないというのはおっしゃるとおりだと思いますけれども、結局それを判断するのは投資家、世界じゅうの投資家でありますので、それがやはり日本の今回の判断、懸念があるというだけで中止命令を出すということは、海外の投資家から見て理解しにくいものだという意見の方が多いというふうに私は聞いております。
そして、もう一言だけ最後に申し上げると、このJパワーがまさに民営化をした、上場した際に、それこそ社長が先頭に立って海外の投資家を誘致するために海外を飛び回ったという話も聞いております。それが結局、今回このような事態になったというのは、やはり日本はわからないなというようにマイナスに働いてしまっているということが少なからずあるんだろうと私も思っておりますし、ぜひそこは今後、一〇〇%民営化された株式会社でいいのかどうかを含めて、ゼロから検討すべきだということを最後に申し上げて、質問を終わります。
○東委員長 次に、三谷光男君。
○三谷委員 民主党の三谷光男です。久方ぶりに質問をさせていただきます。
きょうは、中小企業金融三法案についてお尋ねをいたします。
今回の中小企業金融三法案は、中小企業の経営あるいは再生について、資金面でのサポートをより充実したものにしようとする大変前向きなものであります。大変評価をしております。この法案の内容を聞く前に、まさに中小企業を取り巻く金融の状況について、それぞれの御認識をお伺いしたいというふうに思います。
選別が始まっているんじゃないか、あるいは、少し大げさかもしれませんけれども、貸し渋りあるいは貸しはがしの前兆のようなことが始まっているんじゃないか、地元の中小企業者からの声を聞きますと、それを懸念する材料がございます。
まず、最近の中小企業を取り巻く金融の状況につきまして、今の御認識を経済産業省から説明してください。
○中野副大臣 三谷委員には、いつも中小企業問題に熱心にお取り組みをいただいておるところでありますが、中小企業にとって金融の円滑化は極めて重要な基盤である、このことは共通の認識であろうと思います。
御質問でありますけれども、最近の民間金融機関の中小企業向け貸出残高の推移を見ますと、昨年九月より前年同月比でマイナスに転じております。また、中小企業の借入難易度指数を見ますと、長期的には比較的良好な水準にはあると認識をいたしておりますけれども、昨年あたりから弱含んでおります。さらに、民間の金融機関の貸し出し姿勢、御指摘にありましたように、優良先には積極的に、そうでないところには消極的にといった形で二極化しつつある兆候も見受けられる、そんな認識を持っております。
経産省としては、中小企業を取り巻く金融情勢を引き続き十分に注視をしてまいります。そして、機動的なセーフティーネット等の対応に加えて、信用保証その他の支援制度の拡充を図りつつ、中小企業の資金調達の円滑化に全力を尽くしてまいりたい、改めてそう決意もいたしておるところであります。
○三谷委員 これは、実際の声を聞きますと、私の地元でも、いきなりサービサーに債権を譲渡したのでもう取引をやめます、こういうお話を幾つかから聞いています。あるいは、今も副大臣のお話の中にもありましたように、二極化といいますか選別がかなり明確な形で進み始めているんじゃないかというふうに大変懸念をしております。
中小企業向け貸出残高ですけれども、これは数字が間違っていたらまた後で御訂正をください、約二百六十兆円、政府系が二十二、三兆円でしょうか、きょうも議題になっております信用保証が二十九兆円、九割以上が民間金融機関からの、これは信金、信組を含めてですけれども貸し出しになります。信用保証がついている部分を除いても八割が純粋な民間からの貸し出し。つまり、中小企業の資金環境というのは民間の貸し出し姿勢が弱くなると非常に大きな影響を受けるということがございます。
そして、副大臣も触れられましたけれども、DIが下がっているんですね。数字というのは、これはかなりラグを持って後から出てくるものですから、悪い芽は早く摘まなければならないと思いますし、また、中小企業向けの貸し出しの場合、あるいは中小企業の場合といいますか、それは、悪いスパイラルに入りますと、どんどんどんどん悪い方向に加速度的になってくるということがあります。だから、早くその芽を摘まなければいけないということはあると思います。
そこで、今度は貸し手を監督いたします金融庁、きょうは山本副大臣にもおいでいただいておりますけれども、金融庁に聞かせていただきます。同じ問いでありますけれども、最近の民間金融機関の中小企業向け貸し出しについて、貸し手を監督する金融庁から、その御認識について御説明を願いたい。
○私市政府参考人 お答えいたします。
最近の中小企業向けの貸し出しについての金融庁の認識ということでございますが、全体といたしましては、先ほど経済産業省副大臣からお答えがありましたとおり、国内銀行の中小企業向け貸出残高がこのところ前年同月比でマイナスで推移している。
これは、もとより中小企業金融の動向というのは、貸出債権の流動化も含めてさまざまな要因によって影響されるものではありますけれども、こうした動向の背景には、資金需要側である中小企業において、原油価格あるいは穀物価格を初めとする原材料価格の上昇、あるいは建築着工件数の落ち込みによる工事の減少などにより影響を受ける企業を中心に、収益の圧迫や資金繰りの厳しさが増しているのではないか、あるいは資金供給側である金融機関においても、借り手である中小企業の業況の見方が慎重になってきたのではないかという事情があるものと認識しております。
こうしたことから、先ほどと重なりますけれども、中小企業の業況判断はこのところ悪化しておりますし、また中小企業から見た銀行の貸し出し態度が厳しくなったと感じているところでございます。
いずれにしても、中小企業に対する円滑な金融は金融機関の最も重要な役割であるというふうに認識しておりまして、金融庁といたしましても、我が国経済の基盤を支える中小企業に対する金融の円滑化に向け、引き続き積極的に取り組んでまいりたいというふうに認識をしております。
○三谷委員 原材料価格の高騰でありますとかあるいは建築基準法の影響というのは、これは織り込み済みの話なんですね。今、問わせていただいているのは、貸し手の方の民間金融機関の姿勢の問題なんです。じかに聞く声というのは、それが随分と消極的なものになっている、あるいは紛れもなく選別が始まっている、そのことを問わせていただいているんです。
それで、金融庁の方で出された、これは金融審議会金融分科会第二部会、概要、地域密着型金融の現状と評価と今後の対応についてでありますけれども、そこで示されている現状認識、あるいは基本的考え方、あるいは具体的取り組み内容、推進体制、これはその後にも中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針改正案という、まさに監督指針がこれに対応して出されているように、まさに金融庁の地域金融機関に対する監督指針の方向性をあらわしたものだというふうに思います。
幾らか抜粋しますと、もう緊急時じゃありませんよ、平時ですよ、あるいはプログラム形式はやめましょう、画一的に物を見ていくのはやめましょうよ、こういうことを指針にされているわけですね。
では、金融庁、監督局ですけれども、地域金融機関に対してそのように指導監督されているんでしょうか。これが一点目であります。
それから、「年度末に向けた中小企業対策について」、これはことしの二月二十日、関係閣僚による申し合わせとして出されています。同じように、成長力強化への早期実施策、ことしの四月四日、経済対策閣僚会議で示されています。その中で、金融検査マニュアル別冊、中小企業編でありますが、民間金融機関に周知徹底、これはいずれにも示されて、四月四日の経済対策閣僚会議のときには、さらに周知徹底、確認ということが申し合わされたはずなんです。中身は、この中小企業編検査マニュアル、画一的な審査はもうやめましょう、将来性とか中身をよく見ましょう、よく見て判断をしましょう、中小企業に対してはというものだと思います。これは本当に周知徹底されているんでしょうか。
この二点、お尋ねをしたいと思います。
○私市政府参考人 お答えします。
まず、監督上の取り扱いでございますけれども、現行の地域密着型金融について、各金融機関の取り組みを促すために、引き続き以下の施策を実施しているところでございます。
一つは、各金融機関に対して、地域密着型金融の取り組みにかかわる主要計数について決算期において開示をしてほしい、そういう要請をしております。二番目に、当局においても、年一回、取り組み状況の報告を求め、これを取りまとめて公表をしております。三番目に、定期的なヒアリングの中で取り組み状況をフォローアップしております。また、従来より、地域密着型金融に関するシンポジウムを全国の財務局で開催し、事業再生等への理解やノウハウの共有化に努めているところでございます。さらに、金融庁では、各金融機関が行う地域密着型金融の取り組みについて取りまとめた事例集を作成し、先般公表したところでございます。
こうした取り組みによって、各金融機関がノウハウの共有を一層進めることを期待しておるところでございます。
こうした施策を通じまして、引き続き各金融機関の自主的な取り組みを促し、地域密着型金融を推進してまいりたいというふうに考えております。
○三谷委員 今のような御答弁なんですけれども、本当に金融機関に対して監督指導されているんでしょうか。
例えば昔の大蔵省銀行局のように、護送船団方式の際の、はしの上げおろしまで一々口を出すようなことを求めているわけではありません。まさに、先ほども示した、金融庁の今の地域金融に向けての姿勢、概要の中に示されている姿勢をしっかりと監督局の方で焼きつけてちゃんとその指導に当たられているのか、どうもそれは疑問に思うんですね。実際に金融機関の方と話をしましても、検査局の方々のことばかり気にしているんですよ。監督局の話は全然出ないんです。だから、本当に指導されているんでしょうか。
あるいは、先ほども指摘をしました金融検査マニュアル別冊、中小企業編でありますけれども、例えば「知ってナットク!」とかあるいはこうした「中小企業の皆さん!」と題して金融庁が出されている金融検査マニュアル別冊の解説編でありますとか、もちろんこれはいいことであります。いいことだとは思います。だけれども、中小企業に理解を求めるとか、我々が悪いんじゃありませんよと弁解を求めるように広報するんじゃなくて、むしろ監督局の役割というのは、まさに先ほどの指針に沿って金融機関に対してちゃんと指導をしてもらいたい。
先ほども指摘しましたように、貸しはがしとかあるいは貸し渋りとかというようなことに至らないように、あるいはそのことがあなた方の逆に長い目で見れば首を絞めますよということが、まさにここに示された概要の中身でしょう。だから、それをきちんと示していただきたい、指導していただきたいと思います。お願いいたします。
話をかえます。
山本金融担当副大臣にお伺いをいたします。金融機能の強化のための特別措置に関する法律についてお伺いをいたします。
これは三月末で事実上の期限切れとなりました。この法律を金融庁はなぜ延長しなかったんでしょうか。これは一説には民主党が反対をするからやめたという話もございます。つくったときにはどうやら反対をしたらしいのですけれども、今の民主党は反対をしないと思います。どうして延長しないんでしょうか、御答弁をお願いします。
○山本副大臣 三谷委員から御指摘がございました、当時民主党が反対した、しかし今は反対でないというお話がございましたけれども、反対したから今回やめるということではありません。
やはり我々は、現状を分析いたしまして、平成十六年当時というのは特に地域金融機関は大変まだまだ財務内容が悪かったわけでありまして、不良債権比率も高かったわけでありますし、自己資本も大変低かったということであります。したがって、やはり中小企業の円滑な資金調達のためには地域金融機関にしっかりしてもらわにゃいかぬ、こうしたこともありまして金融機能強化法を制定させていただきました。
結果的には実績は二件しかなかったわけでありますけれども、実績が少なかったというのはそういった意味では大変よかったことだというふうに思います。
それだけ、最近になりまして地域金融機関も財務体質が強くなってきたということだというふうに思っております。数字は申し上げませんけれども、自己資本比率も不良債権比率も大分改善をされてきました。収益も上がってきました。
したがって、自己で資金調達能力が上昇をしてきたということでありまして、はしの上げおろしではありませんけれども、すべてやはり金融庁、政府が責任を持つということではなくて、やはり自己で、自分が頑張ってもらうのがまず一番だということだというふうに思っております。
そうしたことで、延長を行わなくても十分、中小企業金融の円滑化に対する大きな障害になっているとは言えない状況になってきたというふうに判断をしておるところであります。また、先ほど申し上げましたけれども、各金融機関が自助努力をしていただきまして自己資本の充実を図っていただくことが可能になってきたというふうに判断いたします。
いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、今後とも、さっき御指摘がございましたような検査だけではなくて、検査監督権限を適切に行使していきたい、そういうふうに考えておりまして、金融機関の財務の健全性をしっかりと確保していきたいというふうに考えております。
また、地域金融の円滑化につきましても、引き続き地域密着型金融を推進いたしまして、中小企業に対する金融の円滑化に取り組んでまいりたいと考えております。
○三谷委員 確かに今山本副大臣が指摘されましたように二件しか使われなかったということもあります。あるいは、自助努力が基本でありますので、なるべくこれは使われない方がいいわけです。それと、ちょっと使い勝手が悪いところがあります、個人的にはそう思うのですけれども、使うときには経営陣は退陣をしないといけないとか、よほどのことがない限りこれは使えない。もう少し改めればもう少し使い勝手のいい法律になるんじゃないかというふうに個人的には思いますが。
ただ、あった方がいいとは思うんですね、セーフティーネットには違いないわけですから。だから、これはでき得れば延長に向けてちょっと検討をいただきたいというふうに思います。
そして、甘利経済大臣にお伺いをいたします。
これはまとめとして、山本副大臣、今もうお答えをいただきました、弱含みとなっている中小企業金融への対策、今もずっと指摘をしてまいりましたけれども、これは大臣としてどのように対処していこうというふうにお考えでしょうか、お聞かせください。
○甘利国務大臣 言うまでもなく、中小企業にとっては、円滑な資金調達というのはまさに企業経営上命綱ともいうものであります。
従来から、担保であるとかあるいは保証人に過度に依存しない融資を促進する、それを目的として、売り掛け債権とかあるいは在庫等、いわゆる流動資産担保融資保証制度の導入等、資金調達手段のいわば多様化に取り組んできたわけであります。また、創業であるとか再生の局面にあるために資金調達が特に困難な中小企業に対する支援策も講じてきたわけであります。
加えまして、昨今は、いわゆる建築基準法にかかわる着工件数の減少であるとかあるいは原油の高騰等、中小企業を取り巻く状況はさらに困難を増していますが、それを踏まえて、これらに対処するために、セーフティーネット保証の充実、新たな業種を機動的に追加する等の対策を講じてきたわけであります。
また、民間金融機関に対しましては、金融庁と連携をしまして、中小企業の資金繰りへの配慮の要請、中小企業向けの融資に関する金融検査マニュアルの周知徹底等に積極的に取り組んでいるところであります。
こうした取り組みに加えまして、資金繰りの一層の円滑化、あるいは地域における再生支援の強化、創業や新分野に挑戦する企業に対する支援の拡充を行って中小企業の資金調達のさらなる円滑化を図る、そのために今回この法案を御審議いただいているところであります。
今までは担保を多様化して借り入れる、それから、今度は借り入れではなくて現金化することができる、あるいは資本化することが、組み入れることができる等々、融資から現金化、資本強化等々、多面的に中小企業の金融にまつわる支援策を行っているところであります。
○三谷委員 多面的に強化をするという意味では、まさにこの金融三法案、冒頭にも申し上げたように、大変評価できるものであります。また、先ほども山本副大臣にお答えをいただきましたけれども、これはまさに民間金融機関の姿勢が大変大事なものであると思いますので、先ほどおっしゃられたお話、ぜひともしっかりと指導を強化していただくようにお願いを申し上げます。
法案の話に移ります。
信用保証協会法の改正についてお尋ねをいたします。保証協会の支援決定に当たる基準についてお伺いをいたします。
今回の法改正によりまして、保証協会が直接債権の譲り受けができることによって債権者間の調整ができる、事業再生支援に積極的にかかわることができるようになったことは大変意味のあることだというふうに思っています。
その債権譲り受けについて、これはずっと持っておくわけではないんでしょう、一時的に持つわけですから、そのこと自体に大きなリスクが伴う話だとは思いません。再生支援の決定に当たっては、再生見込みがあるのかどうか、これは目ききができる人材が必要だと思います。また、その人材はやらせてみて育てていくということが方針なのでしょう。
ただ、再生支援の決定に当たって、一定のガイドラインは必要だというふうに思います。どのような基準によってその決定が行われるのか。判断をするために、あるいは間違って見込みのないものに保証協会が突っ込んでいくことがないように、どのようなガイドラインを定めているんでしょうか、御説明をお願いします。
○福水政府参考人 お答え申し上げます。
債権の譲り受けについてでございますが、保証協会の主たる業務は債務保証でございます。これを妨げない限度で行うということ、かつ、保証協会が代位弁済を行った先に関する債権に限るということを本法案に明記してございます。そういうことで一つの限定をつけておるというところでございます。
それから、制度の運用に当たりましてですが、当該企業再生の可能性が適切に検討された上でその適否について判断がされていくということでございます。先ほどお答え申し上げましたように、中小企業再生支援協議会等で再生計画をつくって、見込みのあるところの再生計画をつくっていくわけでございますが、そういう協議会等でつくった再生計画に基づくものにさらに限定をかけていくというようなこと。そうすることによりまして、再生の見込みはもちろんでございますが、債権の価格でございますとか、あるいは事業再生そのものについての客観性あるいは合理性が確保されていくというふうに考えてございます。
債権買い取りを進める上で、こうした要件につきましては、今後具体的にしていくということを考えておりますけれども、いずれにいたしましても、今回の信用保証協会の再生支援業務への拡充といいますか、業務追加といいますか、それが過度に大きなリスクを負うことなく、逆に中小企業の再生により大きな貢献ができるように、そういう考え方のもとで取り組みを進めていきたいというふうに考えてございます。
○三谷委員 保証債権に限定をされているというのは本当に安全でありますし、また、片足をもう既に突っ込んでいるわけでありますので、中身もよくわかるという意味でそれはいいことだと思います。それと、中小企業再生支援協議会との連携も非常に大事だと思います。
続いて、今度は話をまたかえまして、保証協会の財政状況のことについてお尋ねをいたします。
保証協会において、再生支援業務、これは、いいことでありますけれども、いわば付加をされた業務でありますので、本業はあくまで保証業務であります。だから、こうした再生支援の業務は財務上の余力をもって行われるということであります。
ただ、心配なことは、こうやって見ていきますと、各保証協会の、挙げては申しわけないんですけれども、例えば大阪のように、代位弁済額もきっと多いのでしょう、収支差益も毎年非常に悪い。財政状況のいいところもたくさんあるんですけれども、悪いところもございます。特にこの信用保証制度、これも大臣も答弁の中でも再々言われておりますけれども、今や地域金融にとってあるいは中小企業金融にとって必要欠くべからざるものになっています。特に平成十年の特別保証制度ができてからというのは、これは随分拡充もされましたし、どうしても必要なものなんです、まさに本来の業務の方が。
心配なことというのは、その保証業務に、協会によってあるいは地域によって、逆に言ったら財政状況の悪いところが必要なところというところもあると思うんです。その財政状況の悪い協会に対して、では国は、その財政力の強化のために、指導やあるいは何らかの支援措置というのを行っているんでしょうか、あるいはどのように行うのでしょうか、それを教えていただきたいと思います。
〔委員長退席、梶山委員長代理着席〕
○岩井政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘いただきましたように、信用保証協会の制度は、我が国の経済構造を支える中小企業の金融にとりまして極めて重要な役割を果たしているわけでございます。
このため、この信用補完制度改革を進め、円滑な信用保証制度の運営を確保するために、まず予算措置といたしまして、信用保証協会向けの予算として、平成二十年度の当初予算で四十二億円を措置させていただいております。また、財政基盤の脆弱な保証協会につきましては、特に個別に綿密なヒアリングを実施するなど、きめ細やかな指導監督を行ってきているところでございます。
今御指摘がございましたように、中小企業者の約四割の方がこの信用保証制度を利用されておられるというデータもございます。各保証協会の財務基盤の強化を図りつつ、この信用保証制度がしっかりと機能していくように、引き続き私どもも必要な措置を講じてまいる所存でございます。
○三谷委員 もうちょっと突っ込んで聞きたいんですが、時間がなくなってしまいますので、次の質問に移ります。
ここで、既に閣議決定もされ、そして法案も提出をされています株式会社地域力再生機構のことについてお聞きをいたします。
地域力再生機構がまさにつくられようとしています。きょうも議題となっている法案とも大変かかわり深い、私としては大変評価をしています中小企業再生支援協議会、この両者の対象企業のすみ分けはどうなっているんでしょうか。これは内閣府からお答えください。
○藤岡政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの地域力再生機構でございます。地域経済に大きな影響を及ぼす中規模企業や第三セクターを対象といたしておりまして、事業や財務の再構築を行って事業再生の円滑な展開を図るということで、全国に一つつくられるものでございます。このため、中小企業一般を広くカバーし、また全国に展開されております中小企業再生支援協議会とはおのずとその役割、機能は異なるものと考えてございます。
中小企業再生支援協議会と地域力再生機構でございますが、対象となる企業の規模や、また再生の手続等の面で違いはございますが、いずれも地域の企業の再生を支援するという重要な役割を担っていると認識しておりまして、再生支援の対象となる地域の企業側がそれぞれの機関の特徴や企業の再生ニーズ等に応じまして適時適切に支援機関を選択していただくということになるものと考えてございます。
○三谷委員 それぞれの特徴を生かしてと言っても、ここで問わせていただいているのは、その対象となるものは具体的にどんなものなんですかということを問わせていただいている。もう一回お願いいたします。
○藤岡政府参考人 お答え申し上げます。
地域力再生機構でございますが、申し上げましたように、まさに地域において重要な役割を果たしている事業者を対象としておるということで、具体的には、地域経済に大きな影響を及ぼす、いわゆる中規模企業や第三セクターと申し上げましたが、それを対象としております。機構は、あくまで事業再生が見込まれることを当然の前提といたしまして、事業者からの自発的な申し込みを受けて支援するという手法を用いているものでございます。
具体的に、その対象となる民間の中規模企業というものでございますが、資本金の規模を問うものではございませんが、例えば具体的なイメージで申し上げますと、中核都市の中心市街地に立地いたします百貨店あるいは商業施設でありますとか、また交通インフラ、バス会社、鉄道等、また観光などに多角化しております中核企業、地元で多く活動されておりますが、などが想定をされてございます。
以上でございます。
○三谷委員 今までも問わせてもらって、大体同じようなお答えなんですけれども、地域経済を支える中規模企業。第三セクターのことは今回突っ込みません、中小企業に限ってお話をいたします。
特徴を生かして、あるいはよく言われるのは、中小企業再生支援協議会は、いわゆる、たくさんだけれども、地域の小さなもの、地域の大きなもの、影響力の大きいものは、まあ地域経済を支えるというふうにペーパーとかではお答えになられておりますけれども、中規模企業は再生機構だ、こういうすみ分けがなされています。
ただ、まさにこの法案にも関係をいたしますけれども、一つには、中小企業機構出資の中小企業再生ファンドもございます。この法案で保証協会からも出資ができるようになって、そして、もっとできないか、もっとできないかということでその組成を促すことになっています。うまくいけば、まさに地域再生ファンドがもっともっとできる話になるわけです。
一方で、これは完全民営化されましたけれども、日本政策投資銀行、新潟鉄工所を再生しましたように、これもまさに事業再生あるいは地域再生に大きな実績を持っている、そして今もやっているということが言えます。
そして、中小企業再生支援協議会でありますけれども、これは、正直申し上げまして大変評価をしている。正直申し上げましてというのは、最初、これができたときに、私も不明を大変反省しておりますけれども、何か大変地味なもので、期待されているようなそういう役割を果たして担えるのかな、そういう実績を上げられるのかなというふうに思っておりました。
だけれども、今もう既にこの協議会の方はかなりの実績を上げております。全国千六百五十件でありましょうか。その中には、確かに小さなものも多いけれども、そこそこ大きいものも多いんです。大きいものもあるんですよ。この中にも示されている千葉県の富士屋旅館の例だって、そこそこの旅館ですよ。
よく引き合いに出される産業再生機構でも、鬼怒川温泉とか日光の温泉旅館を、最後の、後半の方は、四十一件やったといっても、十九件は大企業でした。だけれども、ダイエー、カネボウは最初にやったけれども、最後のころというのは、半分以上は、地域の、もしかしたらこの中小企業再生支援協議会でも手がかかる、かけることができる、あるいは地域再生ファンドだったら十分に手がかかる、そういうものなんです。ならば、この対象とされている企業というのは、レンジがかなり狭いんじゃないかと思うんですね。
だから、どういう対象企業を具体的に考えておられるのか。でないと、これからつくろうとされているわけですから、必要ないじゃないですか。政投銀もあれば支援協議会もあれば再生ファンドもこれからできるわけですから。どういう具体的な対象企業なんでしょうか。
○藤岡政府参考人 お答え申し上げます。
先生おっしゃいました、まさに中小企業ファンドが最近多くなっておりますとか、また政策投資銀行を初めとする事業再生分野の活躍、また中小企業再生支援協議会が最近成果を残されておるということにつきましては、私どもも十分評価をさせていただいているところでございます。
具体的な対象企業を述べよという御質問ですが、先ほど申し上げました、具体的な考え方としては、具体的な企業の分野で申し上げますとそういうことなのでございますが、地域力再生機構と申しますのは、まさにこの法律の中で具体的な再生支援にわたる手続が厳格に定められてございます。
これはどういうことかと申しますと、実際、地域のまさにそういう中規模企業におきましては、現在においてもまだ多数の金融機関が例えば債権者となっている場合におきまして、なかなかその調整が進まないというようなケースでありますとか、また公的金融機関が貸し込んでいるというケースもございますし、また、その中には当然、地方公共団体あるいは国も、そういう面では資金的な面での関係も持っているということがございます。
また、お聞きいたしますに、いろいろな地元のしがらみ等がありまして、地元の当事者だけではなかなか解決できないんだという事例、これは地域力再生機構を御検討いただきました研究会においてもいろいろな御議論をいただきまして、そういう事例もあるということで、むしろ第三者が入った方が解決しやすいんじゃないかという話でありますとかそういうこと。
また、あと究極に大事なのは人材の話である。事業再生の人材というのはなかなか、最近多く出てきたといいましても、やはりこれは全国的に、例えば、地域の企業は多様な顔を持ちますので、いろいろな人材を探す必要、適切な人材を探す必要がある、そういった面はどうするのかといった分野の、まさにそういう分野における事業の再生の円滑化を進めるということで、この地域力再生機構は我が国の事業再生の分野の新しい分野をつくっていくんだというような趣旨で、この法律を提起させていただいておるわけでございます。
○三谷委員 今、最後に新しい分野をとおっしゃいましたけれども、三セクの話は、これはいいか悪いか、私は悪いと思っておるんですけれども、うまくいけば新しいビジネスモデルをつくることができるという意味では、今のお話は当てはまるかもしれません。だけれども、今もお尋ねをしておるように、中小企業の再生支援ということでいえば新しくも何ともないと思うんですね。つまり、一・六兆円も政府保証をつけてつくるんですよ。
だから、私がずっと申し上げている話というのは、余計なお世話じゃないか、ほかにいっぱい同じことをやっているものがあるのにわざわざ、さっきもすみ分けと言いましたように、すみ分けというのは、一つのところとだけじゃないですよ。この法案にかかわっているものだけでも、中小企業再生ファンドあるいは中小企業再生支援協議会等、政投銀もそうですね。どこにその対象となるレンジがあるのか。それは新しくも何ともないんですよ、ほかがやっているわけですから。
もうこれ以上は、これは本筋ではありませんので、本筋のときに出張っていって行わせていただきたいと思います。
時間が参りましたので、最後に甘利経産大臣に聞きます。
中小企業再生支援協議会でありますけれども、先ほども申し上げたように、私は大変評価をしています。ある意味、非常に安いコストで結構なパフォーマンスをしてくださっていると思うんです。人も、そういう人材、特に地域では、地方では集まらないかなと。それも少人数であります。だけれども、いいパフォーマンスをされているんだというふうに思います。
地域再生、事業再生の持つ役割は今非常に大きくなりました。ある意味、今の再生機構に対する話と裏腹の話でありますけれども、逆に、協議会のもっと能力を向上してもらいたい、もっといいパフォーマンスをしてもらいたい、もっと拡充してもらいたいということがございます。その能力向上のためにどんな取り組みを考えられているのか。
そして、最後でありますので、あわせて、きょうも議題となっております信用保証制度、これも、先ほど申し上げましたように、地域金融、あるいは地域経済と言ってもいいかもしれません、必要不可欠なものになっている。こうやって付加的なものも加わって、その占める役割、重要性というのはより重要になっていると思います。この信用保証制度をより実効性のある制度にしていくために、大臣のお考えを最後に聞かせていただきます。
○甘利国務大臣 中小企業再生支援協議会の今日までの実績を御評価いただいてありがたく思っております。
相談案件そして実行案件とも、あるいはそれによって確保される雇用数とも非常に大きくなってまいりました。ただ、地域ごとにいろいろと格差がある、能力の相当すぐれているところと、もうちょっと頑張らないといけないなというところがあるという御指摘はいただいてきました。
そこで、中小企業再生支援全国本部というものをつくって、地域の再生協議会のネットワークとしたわけであります。ちなみに、その看板の掲げる筆の字は私が書きました、まあどうでもいいことですが。そこの本部に常駐の専門家を増員いたしまして、案件処理の手続、基準の統一化などの措置を講じたところであります。つまり、高い質のレベルのところになるべくそろうようにしていこう、それから、いろいろなノウハウを共有していく、人材のコラボレートを図っていくという意味で、全国本部を通じて機能強化を進めているところであります。
また、信用保証制度についてでありますけれども、適切な審査を行うことが重要でありまして、年間千五百人を超える職員に対する研修等を通じまして、いわゆる目きき能力の向上であるとか、あるいは、各信用保証協会に設置をされております、これは各都道府県に設置されておりますけれども、外部評価委員会の業務実績の評価による経営の透明化等の対応を図っているところであります。
先ほど来、信用保証協会、地区によって体力の差とか能力の差が随分あるじゃないかと。これについても、能力の高いところにそろっていくように対処をしているところであります。
今後とも、信用補完制度の財務基盤を整備していくとともに、より審査の適正化、能力の向上を図ることによりまして、本来目指すべき政策目的の確実な実行に向けて環境整備をしていきたいというふうに思っております。
○三谷委員 質問時間が参りました。ありがとうございました。質問を終わります。
○梶山委員長代理 次に、大島敦君。
○大島(敦)委員 民主党の大島です。
きょうは、山本内閣府副大臣には、忙しい中、経済産業委員会まで来ていただきまして、ありがとうございます。特に今、渡辺大臣が公務員制度改革に非常に御熱心でいらっしゃいますので、山本副大臣が多分金融行政に関しては責任者だと思いますので、よろしくお願いをいたします。
先ほど三谷委員の質問をずっと聞いておりまして、今の中小企業の金融がどうなっているかということは結構大きなテーマだと思っているんです。先ほど中野副大臣からですか、最近、去年の九月ぐらいから、貸し出しが大分厳しくなっているやのお話がございました。私も、三谷委員と同じように、皆さんそうだと思うんですけれども、地元の中小企業の経営者とお話をさせていただきますと、特に不動産業を中心に、去年の九月ぐらいから銀行の対応が大分厳しくなった、そういうお話をよく伺うんです。
では、翻って、ここ五年ぐらいの間の銀行の対応のトレンドがどういうトレンドだったかということについて、政府参考人でいいんですけれども、改めてお聞かせいただければ幸いでございます。
○福水政府参考人 お答え申し上げます。
ここ数年、少し中長期の話でございますが、二〇〇二年に今回の景気回復が始まったわけでございますが、やはり景気回復が始まりますころは、民間の貸し出しなども非常に、前年を割るようなそういう厳しい状況が続いておりましたけれども、今回の景気回復につれまして、二〇〇五年ぐらいから民間の残高がふえるような状況になってきているということでございます。
それと一方、絶対額といたしましては、大企業は当然のことのように借金を減らそうというようなことをやってきましたが、同じように中小企業の方でも借り入れを減らしていこうというふうな動きもございまして、そういう中で二〇〇五年ぐらいから対前年の貸出残高がふえてきておる。
そんな状況でございますが、これが、先ほど副大臣が御答弁申し上げましたように、昨年の秋ごろから少しマイナスに転じてきておる、そんな状況かと思っております。
○大島(敦)委員 今、中小企業庁長官から、二〇〇二年から景気が徐々に回復してきたというお話がありました。景気回復というのは私は金回りの速度だと思っていまして、一万円という紙幣が年間に何人の方の手を渡るかというところが、景気回復、あるいは好景気なのか不景気なのかだと思っております。
特に、残念なのは、お金を持っていても使わないと、お金を交換するということは、それなりにお互いに相手のためにサービスをし合うことになるわけですから、世の中が豊かになっていくわけだと思うんです。
ただ、今は、これまでもこの場で皆さんおっしゃっていたんですけれども、大きな会社が中小企業からあるいは零細企業からできるだけ多くの利益を、吸い取るという言い方はよくないんですけれども、集めてしまう傾向にあって、多分長官も大臣もそうだと思うんですけれども、山本副大臣もそうだと思うんですけれども、なかなか中小企業は、この場で何回も私もお話をさせていただいたんですけれども、僕は焼け野原だと思っていまして、日本経済焼け野原論なんですよ。地元の中小零細企業はほとんど干され切っていまして、体力がないというのが自分の実感値なんです。
従業員の方も給与が上がらない中での物価高が始まっておりますから、相当深刻だなということは、この場で何回も質問をさせていただいたり自分でも意見を述べさせていただいております。その実感があるものですから、先ほど山本副大臣が、三谷さんの質問ですか、金融機能強化法だと思うんですけれども、三月エンドで終了した、それは、信金、信組を含めて金融機関が、ある程度体力がついたから、一たん三月で終了したんだよと。三谷さんも非常に温かいお言葉がありまして、民主党は延長することに反対じゃないよというお言葉もあったわけでして、これは将来を見通して、政府の皆さんに対して非常に配慮のある発言かなと自分は思っているんですよ。
ですから、その点についてはぜひ、銀行でも都市銀行もあれば第二地銀もあれば、信金、信組もありますから、今のそこの経営がどうなっているかについて、本当に大丈夫だとおっしゃられるのか。多分、山本副大臣も、実は違うんだけれども、役所の方から言われて立場上言わなくちゃいけなくておっしゃっていらっしゃるのかなと思うんですけれども、もう一度聞かせていただければ幸いでございます。
〔梶山委員長代理退席、委員長着席〕
○山本副大臣 大島委員の質問にお答えさせていただきたいと思います。
先ほどの三谷委員の質問で大体おわかりいただけたと思いますが、実態はどうだというお話だと思いますけれども、実際に、地域金融機関というのは、中小企業にとりましては、やはり顔の見える融資ということで、一番大事であることは間違いありません。その地域金融機関の体力強化というのは一番大事であります。
それが実際に強化されてきておるということも数字上はっきりしておるわけでありまして、ただ、それは絶対大丈夫かというと、これは絶対大丈夫ということはあり得ないわけでありますけれども、ただ、これで金融機能強化法を延長することが必要かどうかということになってくると思いますけれども、やはりモラルハザードもあるわけでありまして、余りセーフティーネットがあり過ぎますと自助努力がなくなってくるということがあるというふうに思います。
逆に、この十六年の成立のときに、先ほど民主党さんが賛成、反対という話がありましたけれども、モラルハザードがあるじゃないか、大丈夫か、そんなことやってという意味で反対をされたというふうに私も聞いておりますが、やはりその点も、指摘も正しかったと言っていいかどうかわかりませんけれども、あのときよりは今の方が大分対策が強化されておりますから、まさにこれ以上やるとモラルハザードにならへんか、こんな意味合いもありまして、今回はここで見送らせていただいた、こんなふうに御理解いただきたいと思います。
○大島(敦)委員 ありがとうございます。モラルハザードというお話をよく承らせていただきました。
ちょっと政府参考人の方にお伺いしたいんですけれども、自己資本比率あるいは不良債権比率が、現状、それぞれの銀行ごと、先ほど私申し上げました都市銀行はともかくとして、第二地銀もあれば信金、信組もある、それぞれがどういうような内容になっているのか。
私の感じですと、地方の信金、信組は、相当財務体質あるいは貸出先が劣化しているかな、これからますます劣化するおそれがあるかなと私は考えているわけなんです。東京あるいは首都圏においては、多少悪くはなったとしてもそんなにシリアスではないかもしれない。しかしながら、東北とかあるいは地域の産業がしっかり根づいていないところについては悪化するおそれがあるのかなと思っておりまして、その点についてコメントを、現状どうなっているのか教えていただければ幸いでございます。
○私市政府参考人 お答えいたします。
我が国の預金取扱金融機関における直近の不良債権比率でございますけれども、決算が、二十年三月期はまだ出ておりませんで、主要行、地域銀行については昨年の中間決算の九月期まで、それから、信用金庫、信用組合については十九年三月期までの数字でございますけれども、主要行で一・五%の不良債権比率、地域銀行で同じく三・九%、これが十九年九月期の数字でございます。それから、信用金庫、信用組合については、十九年三月期の数字でございますが、それぞれ六・五%、一〇・三%となっております。
また、我が国の預金取扱機関による直近の自己資本比率でございますけれども、主要行で一二・九%、地域銀行で一〇・五%、いずれも十九年九月期。それから、信用金庫で一一・九%、信用組合で一〇・一%となっております。
当庁といたしましては、各業態で不良債権比率や自己資本比率にばらつきがあるものの、全体としては不良債権比率は低下傾向にある、一方で、自己資本比率は上昇傾向にありまして、我が国の預金取扱機関の財務の健全性の向上が図られているものと認識しております。
ただ、地域別にどうなっているかということについては、申しわけありませんが、ちょっと今手元に数字がございません。
○大島(敦)委員 地域別、恐らく去年の三月期の資料あるいは去年の九月の中間決算の資料があるかと思いまして、銀行のディスクロージャーの資料を私も何行か見てみたんですけれども、余りよくないという実感を持っていまして、銀行の中でも、それぞれに応じて、悪いところが結構あるなという実感も覚えた次第なんです。
きょうたまたま、この質問のためじゃなくて新聞を読んでいましたら、読売新聞で、十三日明らかになった山形の銀行と秋田の銀行の経営統合劇というのは、非常に経営状況が悪くなってきたので統合するというお話がありまして、今のお話と大分違うなという感じがするんですよ。地方の銀行というのはサブプライムの影響も大分受けているんじゃないですか。
その点について、各行ごとについての数字がわからないというのは、多分、金融庁さんとしてはわかっているはずなんだけれども、なかなか答えられないのかもしれないんですけれども、ぜひ、もう三月終わりました、多分今月中には各行の業績が発表になると思いますので、それぞれ全部集計していただいて、どういう絵面になっているのか見てほしいんですよ。
今後、ますます悪くなってくるかと思うんです。今、預金の保護というのは一千万円までですよ。前はちゃんと預金を保護してくれたけれども、一千万までしか保護してくれない事態において、それを見たときに、やはり、国として一定のセーフティーネットは必要なのかもしれないなとは思うんです。これから相当悪くなってくると思うんですよ、ことし、来年、再来年と。その危機感を持っていただいて、金融庁さんは経済産業省さんと違いますから、それぞれの金融機関の経営内容を健全にするのが役目なので、ですから、その役割分担としてはそちらの方向で仕事はするとは思うんですけれども、先ほど三谷さんもおっしゃっていました負のスパイラルに入ってしまうのかなと自分は思うんです。
自分自身が、要は八年前の不良債権処理のときには、私はちょっと少数意見で、不良債権処理はやめた方がいいんじゃないのという立場をとっていまして、不良債権を処理すれば処理するほど不良債権がふえたという実態がございました。
今回、地域経済を見ると、不良債権を処理すれば処理するほど連鎖的に倒産が起きて地域経済が疲弊してしまうおそれがあるのかなと私は感じておりまして、その点につきまして、甘利大臣及び山本副大臣には、お立場は違うんですけれども、丁寧な、連絡を密にとりながらの仕事、連携が必要かと思いますので、その点について甘利大臣から一言いただければ幸いでございます。
○甘利国務大臣 都市銀行に比べて地銀、なかんずく信金、信組の不良債権比率が、先ほどの発表のように大分落差がある。これから地域経済が足元不安定局面に入る中で大丈夫かという話と、先ほどの、予防的に資本注入をする法律、セーフティーネットがなくなって大丈夫なのかという話とあわせて、いろいろと地域経済、地域中小企業の動向と金融の円滑化についてはしっかりと目配り、気配りをしていかなきゃならないと思っておりますし、あわせて、金融庁との連携もしっかりしていかなきゃならないと思っております。
年度末の金融がタイトになるということで、三月には、金融大臣と同席のもとに、地域金融機関に対し、もちろん、都市銀行もそうでありますが、民間金融機関に対しまして、しっかりと中小企業金融への対応を要請したわけでありますし、あるいは、各省連携でいいますと、国交省等と連絡をとりながら、建築着工件数の減少に伴って影響を受ける業種をセーフティーネット保証に追加をする、これも金融庁ではありませんが、他省との連携をとらせていただいているところであります。
あるいは、金融検査マニュアルにつきましても、中小企業向けということについて周知徹底されるように金融庁とも連携をとっているわけでありますし、中小公庫の資本性劣後ローン創設に伴う金融検査マニュアルの改定等にも連携して取り組んでいるところであります。
今後とも、円滑な資金供給ができないがために地域経済が困難に陥るということがないように、しっかり金融庁と連携をとりつつ行っていきたいと思っております。
○大島(敦)委員 ありがとうございました。
山本副大臣には質問は終わりましたので、もうすぐ時間なんですけれども、退席していただいて結構でございます。
ただ、恐らく、役所の方から受け取っている資料と、多分、山本副大臣ももとは経済産業省の政務官だったと伺っておりますので、地域経済が多分これから非常に悪くなるという実感を持っていまして、ですから、ことし三月の決算の数字が本当に大臣がおっしゃったとおりであれば僕は非常に安心するんですけれども、さらに悪化しているおそれがあるかなと思っておりまして、それと地域経済で、銀行に対する信用がなくなったときの不安感を預金者が持ったときは非常にシリアスな状態が起きると思うんです。その点についての手当てをお願いしていただいて、山本副大臣、まことにありがとうございました。
次の質問に移りたいと思います。
次の質問なんですけれども、一点が、昨年の十月に開始された責任共有制度は、金融機関に適切な責任分担を求めることで与信審査の質の向上につながったと考えております。これは、やはり、信用保証協会が全額持つと物事考えなくなりますから、二割でもそれを持つことによって、リスクを負担することによって融資先に対してある程度考えるということが生まれて、このことについては非常にいいかと思うんですけれども、信用保証協会が各都道府県ごとにございまして、信用保証協会の審査能力の向上ということが必要かなと考えております。
もう一つは、都道府県ですから、なかなか知事さんも非常に大きな力を持っていらっしゃって、県議会も非常に大きな力を持っていますから、そんなことはないと思うんですけれども、信用保証協会が、ある程度、政治の皆さんからこういう意見を聞く、ありますよということは必要かもしれないんですけれども、それによって保証の審査がゆがめられてしまってはいけないなと私は考えているんです。
どうやってそれを防止するかと考えたときに、事故が発生した原因とか、あるいは情報開示を徹底的に行うことが必要だと思うんです。融資、保証したんだけれども、一年以内に倒産してしまった、もう半年ぐらいで倒産してしまったということは、審査能力が非常に疑われるわけですよ。やはり、保証したらある程度継続的にその会社が残ることが必要だなと思っておりまして、そのことによって一定の中立性というのかな、透明性が確保できると思いますので、その点についての御答弁をいただければ幸いでございます。
○甘利国務大臣 昨年十月に責任共有制度というのを開始いたしました。お話のとおり、金融機関に適切な責任分担を求めるということで、与信審査のさらなる適正化が図られる、目きき能力をつけてもらうということに資すると思っております。
他方で、保証協会自身の保証審査につきましても目きき能力を向上させなければいけない。目きき能力の向上というのは、保証をつける案件を減らすということではなくて、リスクをしっかり見てとる目を養うということであります。そこで、年間でいうと千五百人を超える職員に対して、業務別、課題別等の研修を実施しております。
それから、各信用保証協会に設置をされました外部評価委員会というものがあります。学者、弁護士、公認会計士から成るわけでありますが、この外部評価委員会によりまして、業務実績の評価、それから公表を行うことで経営の透明性を図るということにしておるわけであります。
さらに、情報公開であります。間違っても政治的なプレッシャーによってバイアスがかかるということは決してあってはならない。純粋に案件ごとの専門家としての審査でなければならないわけでありますし、あるいは専門家としての審査能力に欠けているという部分があるかもしれません。そこで、原因分析をしっかり行う。特に、保証をつけた後、短期のうちに事故が生じたというのはやはり審査する方に問題があるんじゃないかということで、この原因分析を重点的に行うということを通じまして、信用保証協会の目きき能力の向上を図るということにしているわけであります。
外部評価委員会におきまして、コンプライアンスの徹底状況等についても評価、公表を行うなど、さらなる情報開示に努めまして、ガバナンス強化を図るということに努めてまいります。
○大島(敦)委員 あと二問ぐらい質問したいんですけれども、ちょっと許してください。
次の質問なんですけれども、再生に消極的な金融機関等の債権を保証協会が譲り受けることにより、債権者調整を円滑に行うことが可能になっております。その結果、必要な中小企業の再生が達成されるとは思うんですけれども、要は、保証協会が銀行から債権を譲り受けていくわけですから、金融機関としてはできるだけ悪いものを保証協会の方に買ってほしいという、そういう意思が働くおそれがあるかなと考えておりまして、そういうことがないようにどのようにお考えなのか、その点についてお聞かせください。
○中野副大臣 大島委員の御懸念は、一般的には理解はできます。
ただ、この法案におきましては、信用保証協会の譲り受け債権を保証先である中小企業者にかかわるものに限定する、なお債権譲り受け業務は主たる業務である保証業務の妨げとならない範囲でのみ行えるということを明確に規定をいたしておるところであります。また、信用保証協会による債権の譲り受けによって再生が効果的に進められる見通しがある場合に限定する。そういう意味で、今後必要な基準の整備を図っていく予定であります。
さらに、中小企業再生支援協議会等による再生計画の策定と連携することによりまして、債権の譲り受けの是非、あるいは譲り受け価格等に関する客観性、合理性を確保していくことを考えております。
このように、譲り受け債権の限定や各種手続を通じまして、適正な形で信用保証協会が債権を譲り受けることを担保するということによって、御指摘のような再生見込みのない不良債権を民間の金融機関から押しつけられることがないようにちゃんと取り組んでまいる所存であります。
○大島(敦)委員 中小企業を守るためにもう一問だけ……
○東委員長 質疑時間が終了しておりますので、簡潔にお願いいたします。
○大島(敦)委員 わかりました。
先ほどの三谷さんの質問の中で、一件だけ、貸し渋り、貸しはがしのホットラインという話がございました。ことしの四月三十日から金融円滑化ホットラインが開設されていると思うんですけれども、意見を聞くだけじゃないかという話が中小企業からありまして、意見を聞いた上で何かアクションがとられているのかどうか、とってほしいと思いますが、その点について最後に一問だけお願いをいたします。
○東委員長 金融庁私市参事官、簡潔な答弁をお願いします。
○私市政府参考人 金融庁に寄せられた情報につきましては、これは情報として活用いたしております。
例えば顧客への金融機関の対応方針、あるいは体制面、そういったところを中心に対応しておりまして、ヒアリングの結果、顧客の説明体制等の内部管理体制の実効性あるいは説明責任の実行状況等について検証を行いまして、必要がある場合には報告徴求等、必要な対応をいたしております。
以上でございます。
○大島(敦)委員 ありがとうございました。
○東委員長 これにて大島敦君の質疑は終了いたしました。
次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
私、きょうは最初に、新銀行東京について伺っておきたいと思います。
新銀行東京というのは、自治体の制度融資とは別に、これは中小企業のための融資を行う銀行を都がつくるということでつくったというふうに伺っておりますが、設立後の中小企業貸し出しの比率の推移はどうなっているかを最初に伺います。
○西原政府参考人 お答え申し上げます。
新銀行東京の中小企業向け貸し出しの状況ということですが、貸出金総額に占める中小企業等向け貸し出しの割合につきましては、当行のディスクロージャー誌に載ってございますが、それを見ますと、平成十八年三月期、これが六二・五〇%、それから平成十九年三月期、これが五一・五一%、そして直近の中間期ですが、十九年九月期、これが四七・二〇%というふうになっております。
○吉井委員 今、お話を伺いましたように、要するに中小企業向けは四七%ほどですから、残りすべてなのか、かなりの部分なのかはともかくとして、大企業向け貸し出しが五三%中の方に入る。
これは、最初できたとき竹中金融相も歓迎するという意向を示していらっしゃったものですが、しかし、こういう実態ですから、東京中小企業家同友会がアンケート調査をされたときに、新銀行東京は役に立っていないという答えが六〇・四%、役立っているという回答が一〇・七%など、中小企業のためというのとはかなり違う実態になっているというふうに思うわけです。
ところで、新銀行を設立するときというのは大体三年後に黒字というのが一つの要件になっています。だから、BNPパリバ信託銀行を買い取って商号変更だけで新銀行東京を発足させようとしたのではないのか、新銀行を設立するのにかなり脱法的なやり方と見られても仕方がないのではないかというふうに思うわけです。
そこで、金融庁の方に伺っておきたいんですが、九九年四月のフランス系BNP信託銀行株式会社設立時、それから二〇〇〇年八月のBNPパリバ信託銀行株式会社の商号変更のときですね、それから二〇〇四年四月の東京都がこのBNPパリバ信託銀行を買い取って新銀行東京に商号変更したときですね、要するに設立免許の申請、変更申請、買収と商号変更申請など、その時々に関心を持って監督検査を当然行っていることと思うわけです。
二〇〇五年四月の営業開始からかなり早い時期に、借りたいという人が財務諸表だけ出してきたら、この出してくる人はでっち上げであっても貸し付け、そういう申請でも三日で融資ということで、貸し付けてすぐに、融資即不良債権というものも随分出て多額の不良債権を出していますが、かなり早い時期からそういうのが出ていることはわかっていた話ですね、これは。
一体どういう監督検査を行ってきたのか、そして、今、累積九百三十六億とか、あるいは融資先六百社破綻して今期で一千十六億円の累損だとかいろいろ言われておりますが、その時々に一体幾らのそういう損失が生じているということをつかんでいたのか、伺いたいと思います。
○西原政府参考人 お答え申し上げます。
今回、新銀行東京設立に当たりましては、今委員御指摘のとおり、BNPパリバ信託、これを平成十六年の四月に買収をするという形で商号変更をして新銀行東京が設立された、こういうことでございます。
それに当たりまして、すぐ新規業務に取りかかれるかといいますと、やはりそこには問題があったということもございまして、一年間の準備期間を置くというような形で、一定期間業務停止、一部かけてございます。その上で、平成十七年の四月に業務の開始という形になっております。
したがいまして、確かにおっしゃられるように、買収に当たって認可等の行為はないわけですけれども、この準備期間におきまして、私どもは実質的な営業体制がとれるかどうかの審査をしていたということでございます。その上で開業ということになったわけですが、御指摘のとおり、スコアリングモデルに基づくという新しいミドルリスクに対する融資方針、こういうビジネスモデルでございますので、そういう面では非常に新たな試みということもございました。
そういう面で、私どもは、その経営状況について、開業後もどういう状況にあるかというのを、特にリスク管理の関係あるいは法令遵守体制の関係等々を中心に、常時モニタリングをしているという状況にございます。そうした中で、必要に応じて、私どもが気づいた点について、改善すべき点等については促していっているという状況にございます。状況を把握した上でいろいろ促していく中で、今回、増資というようなことも考え、さらには再建計画を立てていくというような流れになっていったわけでございます。
今後の点でございますが、四月の二十五日に、これまではオフサイトでもってモニタリングを行ってきましたが、今度はオンサイトでモニタリングを行うという形で立入検査の通知をいたしてございます。そういうような中で、実態をより把握していきたいというふうに考えております。
○吉井委員 私、そのチェックしたそれぞれの段階ごとに、営業開始からかなり早い時期にここは百五十四億の赤字を計上したとか、既にもう公になっているものはいっぱいありますけれども、一体、その時期その時期に金融庁としてどういう監督検査をやったのかということを、そしてどの時点で幾らの赤字が生じているということをつかんでいたのかということを、これはやはりきちっと聞かせてもらいたいと思うわけです。
それをお答えいただくのですけれども、二〇〇〇年から二〇〇一年にかけて一年間ほどの間に、当時、全国で第二地銀、信金、信組、およそ六十近くをかなり強引に破綻させたのが金融庁ではなかったかと思うんですよ。銀行その他金融機関が出してくる鑑定評価が、これはだめだと言って、それで、いや、これはもっと厳しくしなきゃいけない、そういう査定をやって、引当金を幾ら積め、こうして債務超過に追い込んだ。これが六十近い金融機関の破綻で、当時、地域の中小企業にとって大変な事態が生まれました。
新銀行東京の場合は五三%近いものが大企業向けの貸し出しで、信金、信組とはかなり違うようなんですが、大企業向け貸し出し中心の大銀行だったら、毎年一回ちゃんと検査をやっているわけですね。第二地銀や信金、信組のときには、二〇〇〇年からの一年ほどの間に六十ほど、かなり健全にやっているところであっても無理な引当金の要求で破綻に追い込んでつぶしていくというのがありましたけれども、なぜ新銀行東京については金融庁はここまで放置してきたのか、金融庁に責任というものはないというお考えなのか、これを伺います。
○西原政府参考人 私ども、決して放置をしているわけではございませんで、ただ、表立って目に見える形で何か検査監督権限を行使しているというわけでもございません。したがいまして、私どもは、やはり適時適切に、その時点におけるいろいろな情報をもとに促していっているという状況にございます。
そういった経営改善は促しているわけですが、基本的な考え方といたしましては、やはり自己責任の原則あるいは市場規律といったことの中でその経営が自主的に図られていくということが望ましいと考えております。したがいまして、基本的には、当局としては、過剰介入にはならないようにというふうに留意しつつ、しかしながら、一方で、金融システムの安定、これを害するようなことにはならないように、あるいは預金者、利用者、この保護に資するように、そういった観点から、特にリスク管理の関係あるいは財務の健全性、その自助努力を促しているという現状にございます。
それから、先ほど、ほかのところはきつくやっていたのじゃないかというお話がございましたが、そうではございませんで、これは会計基準に乗った形で適切に行使していたということでございます。そういうような形で、私ども、その時点その時点で認識した課題については適時お示しをし、これまでも改善を促してきているということでございます。
○吉井委員 それぞれのチェックしたいつの段階で、幾らの赤字をきちんと把握しておったかということをまだお答えいただいていないので、それは次のところであわせて答えてもらいたいと思うんです。
当初、三年後も赤字とされていたマスタープランを、知事側近が取り仕切って五十四億円の黒字に書きかえて実現不可能な目標を設定して、ずさんな融資で不良債権の山をつくらせ、リスク商品の購入で損失を出し、過大投資による高過ぎる営業コストで赤字を膨らませたという問題があります。これは、旧執行役員の方の証言とか、それから東京都と新銀行東京のやりとりの記録をしたブリーフィングメモというのがありますが、これらで金融庁自身が十分解明できる話ですよ。
四月二十五日から検査というお話がありましたけれども、だから、最初のマスタープランづくりのときから、もともと三年後も赤字だとされていたものを無理やり黒字ということに書きかえさせてきた問題とか、そういったことを含めて、こうしたことはきちんと検査するということをやらなかったら金融庁の責任を果たすことにならないと私は思うんです。伺います。
○西原政府参考人 お答え申し上げます。
各それぞれのタイミングでどれだけの赤字だったか、それをということですが、平成十八年三月期においては損失が二百九億円、それから十九年三月期では五百四十七億円、それから、今度まだ決算は出ておりませんけれども、一応通期の見通しとして、二十年三月期は百六十七億円になるのではないかというふうに今言われております。
そういった状況を見定めながら、私ども、モニタリングに努めているところですが、今おっしゃられましたように、この四月の二十五日から、今度はオンサイトで検査に入ります。そういった中で、リスク管理体制がどうなのかと同時に、また法令等遵守体制、これがどうなっているか、資産査定の状況はどうなっているか等々についてしっかりとした検査を実施していきたいというふうに考えております。
○吉井委員 融資先で六百社が破綻していて、今期でも一千十六億の累損が出るというふうにも言われてきている新銀行東京について、私は、これは都知事など都の幹部と金融庁の責任というもの、今までずっときちんと監督検査して対応しなきゃいけないのに、やはりそういう点での責任は非常に重いと思うんです。だから、それだけに、これからの検査の中で、私が先ほど言いましたことは金融庁自身が十分解明できる話ですから、これはやはりきちんとやってもらう必要があると思うんです。
この問題の最後に甘利大臣に伺っておきたいと思うんですが、中小企業貸し出しが半分以下、こういうようなあり方というのはいかがなものか、どう見ておられるかを伺っておきたいと思います。
○甘利国務大臣 今の御質問は、新銀行東京の貸出先が中小企業の割合が低いという意味でありますか。
設立した趣旨は、中小企業向けに機動的に対応していくということであったと思います。どこまでの範囲がそれの趣旨にのっとった金融行動をされているかというのは一概に言えないことでありますし、金融機関のそれぞれの融資判断というのもあろうかと思います。私の方からは、中小向け金融の範囲、シェアですね、どこまでいい、どこまで悪いということについてのコメントは避けさせていただきたいと思います。
○吉井委員 破綻して税金投入ということになりますと、これは、何か一般の金融機関が経営に失敗した、経営者が責任とるという話とは全然違ってまいりますから、竹中さんは最初、閣僚として随分歓迎の意向を明らかにしておられた話ですから、そういうものがこういう事態になっているときに、国自身が余り気楽な見方でおってはやはりだめだというふうに私は言わなきゃならぬと思います。
次に、中小企業の資金繰りの方についてさらに伺っていきますが、中小企業の資金繰りDIが悪化して、今、保証つきでないと融資が受けられない比率の上昇が随分見られるということは中小公庫などの調査でも明らかになっておりますが、金融機関が中小企業の資金供給に十分責任を果たしていないのではないかというふうに思われるのですが、この点はどうですか。
○福水政府参考人 お答え申し上げます。
昨今の金融機関の貸出残高を見てみますと、昨年秋ごろから少なくなってきている。あるいは、借入難易度指数を見ましても、昨年あたりから、プラスでございますが少し弱含みになっているという意味で、先ほどから、優良先には積極的なところと、少し、そうでない先には消極的、そういう意味で二極化しつつある兆候が見受けられるというふうに私ども認識いたしております。
私ども中小企業庁といたしましては、こういう厳しい状況の中で引き続き十分に金融情勢をウオッチしたいというふうに思っていますが、昨年秋あるいは二年前から、原油対策あるいは建築確認対策、その場の出来事に応じて、全国の中小企業の方々の資金繰りをいかに円滑にするかというふうな観点で業種追加、業種指定等々進めてきておりまして、今後も引き続き中小企業の資金調達の円滑化に向けて全力を尽くしてやっていきたいというふうに思っております。
○吉井委員 昨年の秋からだけの話じゃなくて、二〇〇〇年と比べてみて、今、主要行の貸出残高がどうなっているか。八十三兆円ぐらい減っているんですね。国内中小企業向けの貸出残高がどうなっているか。中小企業向けを見ても、二〇〇〇年と比べてみて、二〇〇七年度で四十六兆円の減少ですね、二割減っているんです。だから、非常に中小企業の資金繰りというのは厳しい事態になっている。そうでなくとも原油高騰その他、経営環境は非常に悪いわけですけれども、そういう中でさらに中小企業にとっては大変な事態になっている。
ですから、たとえ担保力や信用力が弱くても、金融機関が目きき能力を発揮して融資を実行するということが非常に大事なことですし、保証つきでないと貸さない、こういう姿勢を金融機関がとるようでは、これは日本経済にとって非常に深刻な問題だというふうに考えているんです。
そこで、金融機関の姿勢の改善のないまま、現在責任共有制で貸し渋りを招いておりますが、法律はできても、実際に導入することについては、金融状況が改善しなければ実施しないというお話だったんですが、しかし、実際には始まった。しかし、状況は悪い。
ですから、この前提起しましたように、例えば兵庫県のように、二割の部分について独自の制度で損失補てんをすることで何とか中小企業の融資がうまくいくようにしようと努力している、こういうところについての問題を提起したわけですが、兵庫のこの制度は今どういうふうになっていますか。
○福水政府参考人 お答え申し上げます。
責任共有制度につきましては、金融機関と信用保証協会、これが適切に責任を分担して、金融機関の方々にも中小企業への積極的な経営支援、これをやっていただこう、またそうすることが金融機関の財務状況の改善につながるというような趣旨で導入したわけでございます。
たしか二月だったと思いますが、御質問いただきまして、兵庫県からの提案につきましては、その対象範囲などについて調整を進めてきたところでありまして、責任共有制度の趣旨を損なわない方向でおおむね整理が進んでいるというふうに私ども認識いたしております。
ただ、兵庫県と金融機関の側で一、二課題が残っているというふうに聞いておりまして、例えば、兵庫県の御提案に対応するためには金融機関が兵庫県内での会計処理システムを変更していかなきゃいかぬというのをどうしていくか、あるいは、自治体によります法人への債務保証を禁じた法律との関係をどう解釈するかというような懸念が金融機関の方にあるというふうに承知しております。
いずれにいたしましても、こういう懸念につきましては、現在あるいは引き続き兵庫県の方と金融機関の方で調整が図られていくんじゃないかというふうに認識いたしております。
○吉井委員 次に、信用保証協会法にかかわって一、二伺っておきたいと思うんですが、保証協会に再生支援業務を追加するということですが、この再生支援業務の原資にかかわって質問したいと思うんです。
一九九八年の金融危機、あるいはその後、二〇〇〇年代に入って大規模なリストラ不況などありましたけれども、九八年以降、赤字の保証協会がふえました。これはお手元に資料を、中小企業庁の方でまとめてもらったのを配らせていただいておりますが、赤字の保証協会がふえたんですが、今はようやく減少ぎみです。それでも、二〇〇二年には全国、県でいえば約半分、二十三府県市ですね、それから二〇〇六年度でも四県市で赤字の保証協会が出ておりますし、これは四つだといっても、黒字でも収支差が十億円未満の協会が二十九ある。ですから、現在もなかなか信用保証協会というのは厳しい状況にあるということが、この資料を見てもわかると思うんです。
収支が赤字になったときに基本財産である基金準備金を取り崩さなくてもいいように積み立てておくものが収支差額変動準備金だと思うんですが、想定以上の代位弁済の発生や急激な保証の増大に備えるためのものというのがこの収支差額変動準備金。保証の最大というのは基本財産掛ける定款倍率ですから、基本財産を取り崩してしまうと保証枠は小さくなるということになりますね。
いや、収支差額変動準備金に相当するものは余剰金を充ててという話とかいろいろありますけれども、もともとこれは、今の信用保証協会の厳しい運営状況の中では、収支差額変動準備金を取り崩してしまうと保証の縮小につながることになるのではないかという別な問題が出てくるわけですね。私はこのことをきちっと考えなきゃいかぬと思うんですが、この点について中小企業庁の方に伺っておきます。
○岩井政府参考人 お答え申し上げます。
債権の譲り受け等につきましては、法案上も、主たる業務である債務の保証を妨げない限度で行うものということを定めているところでございます。
このため、債権の譲り受けを含む新たな再生支援業務の追加により、信用保証協会の収支が悪化して、主たる業務である債務保証に影響が出ないようにするということが極めて重要でございまして、各信用保証協会の内部留保の一定範囲内でのみ新たな業務を行うこととするというような定量的な基準を定めてまいりたいと思います。
御指摘のとおり、この内部留保といいますものは、そもそも円滑な保証を行っていくための要素もあるわけでございますので、この内部留保の効果的な使い方というのをどのようにしていくのか、本法でお決めいただく主たる業務である債務の保証を妨げない範囲をどのように考えていくのか、こういった点も勘案して決めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○吉井委員 次に、信用保険法にかかわって伺っておきますが、信用保険法について、多くの取引先を持つ納入先中小企業と金融機関が組んで、取引先に参加を呼びかけて売掛金の早期現金化をする、こういう仕組みをつくろうというものですね。
取引先の指定金融機関に口座を持つ必要が出てきます。その金融機関から、いわば優越的地位の濫用とでもいうべき定期口座開設の強制とか、あるいは金融商品の売り込みとか、今ファイアウオールを取っ払ってしまっていますから、そういうことがやられてくると、これは中小企業についてはなかなか大変なことになるので、そういうことはさせませんねということを確認しておきたいと思います。
○福水政府参考人 お答え申し上げます。
今回、売り掛け債権の早期現金化をつくる仕組みの御提案、法案を出して御議論いただいているわけですが、それを運用するに当たりまして、万が一にも委員御指摘のようなそういう問題、金融機関から不必要な金融商品を抱き合わせで押しつけられるとか、そういうことがないように、金融庁さん、ほかの省庁とも連携をとりながら、しっかりとこの制度運用に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○吉井委員 次に、中小公庫法について伺っておきますが、発注する支払い企業と多数の納入企業に係る売り掛け債権等をまとめてプール化する、その特定目的会社等を中小公庫が金融支援するというものですね。
ですから、現実にどういう状況があるかということをそこから出発して考えますと、これは例えば自動車、電機などの取引実態のある特定の大手企業系列の中小企業群などが主に活用するということになってくるのではないかと思われますが、この点はどうですか。
○岩井政府参考人 お答え申し上げます。
本日の御審議でも御説明申し上げましたけれども、既にこういった売り掛け債権の流動化が実施されているケースがございます。ただ、その実態は、委員御指摘のような大企業にかかわるようなものが既に起きているということでありまして、中小企業が参加できているケースは非常に限られているということだろうと思います。
その原因となりますのは、そういった売り掛け債務を持っておられる企業の信用力というものに限界があるために、関係中小企業への適用がなされていないということが起きているのではないか。したがいまして、この法律でそのような信用力を補完いたしまして、幅広く中小企業の方が利用できるような売り掛け債権の流動化を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○吉井委員 最後に甘利大臣に伺っておきたいと思いますけれども、これまでの証券化の実績、公庫そのものは十月に政策金融公庫に変わる、こういう流れの中で見ますと、中小企業への直接融資を廃止してSPCへの貸し付けの開始ということになりますから、これは民間中小企業への民業補完という民業補完から、民間金融機関への民業補完ということへ、同じ、事は民業補完でも、かなり性格が変わるんじゃないかということが思われるんです。
六割が利用している中小企業と金融機関を結ぶ信用補完の本来業務充実に力を入れるべきではないか。EUを見ても、アメリカを見ても、マイクロビジネス重視ということはそういうことではないかと思うんですが、この点についての甘利大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
○甘利国務大臣 御指摘の本来業務をきちんとせいということでありますが、この充実につきましては、円滑な信用補完制度の運営を確保するためには、まず財務基盤の強化が必須であるということを踏まえまして、十九年度に、当初予算、補正予算を合わせて約二千五百億円、二十年度の当初予算で四百億円を措置しているわけであります。
また、中小企業が真に必要とする資金供給を実現するために、信用保証協会の職員の能力向上等を通じまして、中小企業の状況であるとか将来性を見きわめる、いわゆる目きき能力の向上にも努めているところであります。
経済産業省といたしましては、中小企業の資金繰りが円滑に行われるように、引き続き信用補完制度の財務基盤を強化していくとともに、目きき能力の一層の向上等のためにしっかりと指導監督を行っていく。
基本的に、民業といわゆる官業といいますか、政府が関与する金融機関のすみ分けというよりコラボレーションといいますか、民業ができるところは民業に任せますが、基本的に民業で対応できない、しかも政策的に必要なところというところについてはしっかり対応ができるように、今後ともしっかりとした目配りをしていきたいと思っております。
○吉井委員 時間が参りましたので、質問を終わります。
○東委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時三十六分散会