衆議院

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第5号 平成20年11月19日(水曜日)

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平成二十年十一月十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 望月 義夫君

   理事 奥野 信亮君 理事 菅原 一秀君

   理事 中山 泰秀君 理事 福井  照君

   理事 山本 公一君 理事 川内 博史君

   理事 後藤  斎君 理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    稲葉 大和君

      猪口 邦子君    江崎 鐵磨君

      遠藤 宣彦君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    太田 誠一君

      岡部 英明君    鍵田忠兵衛君

      亀岡 偉民君    北村 茂男君

      佐田玄一郎君    七条  明君

      島村 宜伸君    杉田 元司君

      長崎幸太郎君    長島 忠美君

      西銘恒三郎君    西本 勝子君

      原田 憲治君    藤井 勇治君

      松本 文明君    盛山 正仁君

      吉田六左エ門君    若宮 健嗣君

      石川 知裕君    逢坂 誠二君

      小宮山泰子君    古賀 一成君

      長安  豊君    馬淵 澄夫君

      三日月大造君    森本 哲生君

      鷲尾英一郎君    伊藤  渉君

      谷口 和史君    穀田 恵二君

      糸川 正晃君    下地 幹郎君

    …………………………………

   国土交通大臣       金子 一義君

   国土交通副大臣      金子 恭之君

   国土交通大臣政務官    谷口 和史君

   国土交通大臣政務官    西銘恒三郎君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    東川  一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 古谷 一之君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局勤労者生活部長)      氏兼 裕之君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           大槻 勝啓君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     小澤 敬市君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            大口 清一君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  甲村 謙友君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  金井 道夫君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  和泉 洋人君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           本田  勝君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  前田 隆平君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 井手 憲文君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    岩崎 貞二君

   国土交通委員会専門員   石澤 和範君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十九日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     猪口 邦子君

  長島 忠美君     西本 勝子君

  石川 知裕君     馬淵 澄夫君

  亀井 静香君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     小里 泰弘君

  西本 勝子君     長島 忠美君

  馬淵 澄夫君     石川 知裕君

  下地 幹郎君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  糸川 正晃君     亀井 静香君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 長期優良住宅の普及の促進に関する法律案(内閣提出、第百六十九回国会閣法第四四号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

望月委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長大口清一君、河川局長甲村謙友君、道路局長金井道夫君、住宅局長和泉洋人君、自動車交通局長本田勝君、航空局長前田隆平君、政策統括官井手憲文君、海上保安庁長官岩崎貞二君、警察庁交通局長東川一君及び財務省大臣官房審議官古谷一之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

望月委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

望月委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山泰秀君。

中山(泰)委員 おはようございます。自由民主党の中山泰秀でございます。

 本日は、交通安全施策を含め国土交通委員会一般質疑ということで、質問のお許しを得させていただきまして、心から委員各位の先生方に感謝を申し述べさせていただきたいと思います。

 まず最初に、質問に先立ちまして、昨日来、厚生労働省の元事務次官が非常に陰惨な殺人事件にお遭いになられ、そしてまたメディアはこれをテロという形で取り上げております。こういった人の命を奪うということ、そしてまた、特にまだ情報は把握なさっておられないだろうとは思いますけれども、今回、厚生労働省のOBの方が、そしてまたその奥様が命を奪われるということが起こりました。

 そのことに対して、お亡くなりになられました皆様方に心から哀悼の意を表したいと思いますと同時に、今まで国に対して、そしてまた国民に対して、厚生労働行政に対して尽力していただきましたことに改めて敬意を表しますと同時に、一日も早い犯人の逮捕、そしてまた真相の究明、それから、刺されて今重傷を負われておられる方の一日も早い御回復を心からお祈り申し上げたい、かように思います。

 私は、きょう、国土交通省のこの一般質疑の中で、実は一つの筋を通しておきたいと思います。どういう筋かといいますと、私の質問は、すべて治安対策にベースを置いた質問になろうかと思います。

 特に、今、急にテロのように襲われたという事務次官の話をいたしました。私も地元に帰りますと、最近何となく人心が乱れているなと思いますのは、私、衆議院選挙に初めて出馬したのが二十五歳のときでございました。今から十三年前。大阪の十三というところで一人立って演説していましたら、下から傘は投げられるわ、前でつばは吐きかけられるわ、いろいろなことがありました。

 しかし、それからだんだんだんだんそういうのが少なくなってきましたけれども、前々回の選挙ではライフル銃の弾が事務所に送りつけられたり、そして前回の選挙では、ミカン箱に立って演説していると殴りかかってこられたり、そしてまた、たまたま選挙事務所の前で車の中で弁当を食べていましたら、男が二人来て私の選挙事務所の看板をばあっとはがすんですね。それで、おりていって自分で捕まえて大阪の天満警察署に逮捕していただきまして、二十四時間取り調べして身分を明かさないということでございました。二日目に入ってやっと身分を名乗ったら、何と大阪府立高校の社会科の先生でありました。

 いろいろな問題もありますけれども、やはりしっかりとした、学校の先生、範を垂れる人がこういった事案を逆に引き起こしているということも言えると思いますし、同時に、余り言いたくありませんが、今回も、警視庁の幹部の方が、飲酒運転を取り締まる側の立場でありながら、みずから飲酒運転をして当て逃げをしてしまったという事案が起きております。

 実は、ここに資料を私自身持っていますが、最近、私の地元の大阪というところでは、ひき逃げという言葉が変な意味ではやっております。

 まずは十月の十八日、午前二時四十五分、大阪市の淀川区の交差点で、中学校三年生、十四歳の女の子が父親の軽四貨物自動車に乗りまして、五十八歳の男性が横断をしていたところをひいて百八十メートル引きずっている。片耳がアスファルトで焼けただれてなくなってしまっているというようなぐらいけがをなされました。

 それからわずか三日後の十月二十一日、午前四時十九分、これは大阪市の北区の梅田という繁華街、曽根崎警察署の前を横断していた三十歳の男性が、ホストクラブに勤めている従業員、二十二歳、しかも詐欺容疑で執行猶予中という人物にひかれて、三キロという長きにわたって引きずられて亡くなりました。

 その後、また数日たって、十一月二日、日曜日、午前五時二十三分ごろ、これは大阪市中央区心斎橋において、検問を突破しようと思った被疑者が信号待ち車両に進路を阻まれて、さらに逃走を画策し、車をバックした際に二十一歳の男性と衝突し、この方を巻き込んで約二十メートル引きずってけがを負わせた事案。

 それから最後に、これは十一月十六日、つい先日でございます、午前二時五十分ごろ、大阪府の富田林市の国道において、新聞配達のため原付のカブを運転していた新聞配達の少年、十六歳が、軽四貨物にはねられて約七キロという距離にわたってひき殺されるという事案が発生をいたしております。

 十月二十一日の曽根崎警察の事案は、鈴木さんという方なんですが、ホストに殺されたものというのは、実は私の選挙区であります。曾根崎新地から、私の家の自宅の真ん前がちょうど福島区吉野四丁目、私も四丁目の町会ですが、その我が家の前がちょうど被害者の御遺体がぼんと落ちたところでありました。

 私は、国会に来るとき、そして地元で通勤をするとき、マンションの十二階に住んでおりますけれども、エレベーターホールの踊り場から、毎朝毎晩、このかわいそうな被害者の御遺体、三キロ引きずられた遺体というのはもう見るも無残だろうというのはまぶたを閉じればイメージしていただけると思いますが、その彼の血のりをずっと見て、犯人逮捕を一日も早くしてほしいということを心から願っておりました。お線香も現場に供えさせていただきました。雨が降った翌日は血のりが消えるんじゃないかと思って、心の中で何となく願っておりましたけれども、逆に、雨が降った次の方が余計血のりが真っ黒になって、犯人を早く捕まえてくれというような被害者の祈りが聞こえてくるような気持ちがいたしたのも私の正直な気持ちであります。

 ただし、ここで私は申し上げたいことがあるんです。それは何かといいますと、今は被害者がかわいそうという話をさせていただきました。私自身も自由民主党の犯罪被害者保護・救済特別委員会の事務局長というものを務めさせていただき、被害者の立場に立ってということをモットーにこういった問題を考えてまいりましたが、実は同時に、被害者の方々が交通マナーを本当に模範的に守っておられたかという点から考えますと、実はそうではない方もおいでになられた。本来だと横断するべきじゃない、歩道じゃないところを闊歩され、黒い衣服、スーツなんかを身にまとっていたら、早朝だとなかなか見にくいようなこともあろうかと思います。そんなところを通行していたらかえって、ドライバーの立場に立つと、何でこんなところをそんな時間にそんな格好で歩いたのかということも逆に言えるのではないか。

 そこで、同時に、私ども永田町に勤める人間、そして霞が関に勤める人間は、この港区ですとか千代田区ですとかを、車で後ろに乗ったり自分で運転したりして走る機会が多うございます。その機会によく危ないと思うときがあるんですが、それは何かといいますと、実は自転車。

 最近、自転車の通勤というのが非常にはやっておりますけれども、メール便とか宅急便を自転車で運ぶ人たちが縦横無尽に車道、歩道を行き交いし、そしてまた歩道を歩いている人にぶつかるような事案もあります。そしてまた、私自身も車の車窓から二件ぐらい、自転車の方と衝突をしているいわゆる事故、事態を全日空ホテルの前あたりで見たことがあります。

 そういったことを考えますと、自転車の走行空間の整備というものを将来的にやっていこうという話を何となく拝聴いたしておりますけれども、実際、この狭い国土の中で、道路上に自転車の走行空間を整備し、そして同時に自転車専用の通行帯を設けるなど、いろいろなパターンがあるように承知をしております。その場合、いずれにしてもちゃんと道路はつくっても、そこを行き交う歩行者もしくは自転車を運転しておられる、操縦していらっしゃる方のモラルによって、事故が起きるか起きないかということの結果が大いに変わってくるということになろうかと思います。

 まずは、この自転車走行空間を将来的には車道の一部を利用して整備するとの方針のようですが、国土交通省の整備の方針というものをお伺いさせていただきたいと思います。

金井政府参考人 お答えいたします。

 自転車走行空間の整備というお尋ねでございます。

 自転車は、今委員御指摘のように、日常の交通手段のほかに環境対策、健康対策としても大いに期待をされている交通手段でございます。一方、御指摘のように自動車と自転車との接触事故は昨年も約十四万件発生したということでございまして、大きな課題と認識をいたしております。現在、自動車から分離された自転車の走行空間は約七万九千キロございますが、これも大半は歩行者とは分離をされておりません。このようなことが非常に大きな課題であると認識をいたしております。

 したがいまして、警察庁と国土交通省で相談をいたしまして、既存の道路空間の再構築その他により、歩行者、自転車、自動車が分離された走行空間を整備することが非常に重要であるというふうに認識をいたしておりまして、その際、現地の状況によっては、交通安全に十分配慮する必要はありますが、車道の一部を自転車道として活用するという整備のやり方も十分あり得ると考えまして、検討いたしておるところでございます。

 その一環としまして、現在、全国九十八カ所をモデル地区として指定いたしまして、延長約二百九十キロでございますが、自転車走行空間の整備を試行的に推進しております。具体的には、縁石、さく、その他により物理的に分離された自転車道、もしくは路肩を活用した自転車専用通行帯、そのようなものをいろいろ地域に応じて検討させていただいております。

中山(泰)委員 ありがとうございます。いろいろとお考えをしていただいているようでございますし、特に交通安全に対しては、道路局長を含め、警察庁が一生懸命やってくださっているんだと思います。

 今、九十八カ所、そういったモデル地域を設けるというお話もございました。

 私は、できる限り地方の危険区域というのも当然重点的にやっていただきたいと思いますが、例えば東京都なんかもそうですし、政令指定都市十七都市、そういったところも逆に重点的にやっていただかないと、特にこういったところは縦横無尽に、そしてまたサーキュレーションも非常に高いということは簡単に想像がつきます。

 都市部に居住している者も、国の方も大分頑張ってくださっているな、行政は警察と一緒になって頑張っているなというイメージをしっかりと受けられるように、そしてまた結果が出ますように、重点的に施策をやっていただき、同時に、そういったことに対しては、人の命ということに関係するわけですし、治安維持上も大切なことでございますので、重点的な予算配分を大臣にもお願い申し上げたい、かように考えております。

 それと同時に、先ほども申しましたように、自転車に乗る者に対するマナーの啓発ということに関しては、その作業がまだまだ間に合っていない、足りないということを御指摘申し上げなきゃいかぬと思います。

 例えば、道路上で交通事故を起こします。起こしたときというのは、例えば民間の損保の保険で、保険屋さん同士が代行して話し合うようなときもあります。過失割合を考えると、大概は大型車から順に悪者になってしまう。ただし、車は急にとまれないというような言葉があるように、自転車がばっと出てきます、歩行者がすっと出てくる、信号無視して。車が信号無視していたらいけませんけれども、しかし、車が普通に走っているところにぱっと飛び出たとき、車自体がとまれない。だけれども、それでもぶつかってしまうと大きなものが過失割合が高くなってしまうという、バランスが本当にとれているのかというふうに疑いたくなるようなことも現実的に起きている。

 それを考えますと、自転車に乗る者のマナー、最近は自転車でもアルコールを飲んで運転をし操縦をしていると、警察官に見つかったら捕まって罰則を受けるというような事案もあるというふうに聞いておりますけれども、このマナーの啓発というのを警察庁と国交省が一緒になってやるべきと考えておりますが、その辺はどのようにお考えになられていますか。

東川政府参考人 委員御指摘のとおり、自転車利用者対策につきましては、自転車のマナーを向上させるということが重要であろうと思っております。

 警察としても、街頭における指導警告であるとか、地域の安全協会等々が学校へ赴いて指導したりして、交通マナーの向上に関係機関と協力しながら現在努めているところでございます。

中山(泰)委員 ありがとうございます。

 ちょっと私の前の前の質問と矛盾するかもわかりませんけれども、自転車の交通安全というのを本当に考えた場合は、自転車自体を車道に走らせていいのかどうかという疑問もありますけれども、これに関してはどのように考えていらっしゃいますか。

東川政府参考人 お答えいたします。

 現在の道路あるいは交通事情を前提にした場合に、自転車の通行空間を車道と歩道の双方に求めざるを得ないのではないかというふうに考えております。自転車については、車道が原則、例外的に歩道通行を可能としているところであります。

 歩道における歩行者の安全あるいは車道における自転車、自動車の安全確保のためには、それぞれの主体が適切に共存することが必要と考えておりまして、先ほども申し上げましたけれども、それぞれの立場でルールを守ったものになっていくように、いろいろな形で力を入れていきたいというふうに考えております。

中山(泰)委員 実は、私は一九八六年から三年間、八九年まで、ちょうどチェルノブイリの原発の事故があった時代に、フランスに単身行っておりました。三年間、フランスに住んでいました。

 十五歳で初めてフランスへ行って、免許がありませんから乗った交通手段が実は自転車だったんです。私の住んでいたのは、アルザスのコルマールという中核の地方都市なんですけれども、そこから三十七キロ離れたキンツハイムという小さい小さい町に住んでいたんです。お菓子屋さんに行くのも六キロ歩かなきゃいけないようなところだったんですね。全部ブドウ畑、おいしいワインができるところなんです。その六キロを走るのに、自転車を買って乗っていたわけですね。僕は日本人の感覚で行っていましたから、何か侍が自転車に乗ってヨーロッパを走っているようなイメージだと思います。

 日本だと歩道や車道をぱっと行けるなと思ったものですから、思わず歩道を走っていたんですね。そうしたら、私が歩道を走っていたら、大分御老体の白人女性が足で車輪をぼんとけるんですね。何でけるんだろうと。次に行くとまたぼんとけるんですね。これは、もしかしたら私は差別を受けているんじゃないかと心配をしたんですけれども、よくよく考えたら、今お答えにあったように、自転車は車道を走るものだ、要するに、輪っぱがついていますから車道を走るものだ、歩道を走るのがマナー違反だというのがヨーロッパの考え方だったんですね。そのとき、はっと思いました。

 今、警察庁自身もお答えのとおり、将来的には自転車を車道に車道にという形なんですが、日本の国土は狭いということもございますし、道路特定財源の一般財源化という形になって道路整備も大変厳しいときに、そしてまた車のいわゆる走行車線の幅というのも、車の立場からいうとできるだけ幅を持たせてあげたいと思っているときに、自転車と混走するところの部分というのは、これはいずれにしても安全な施策というのをさらに講じなきゃいかぬと思っています。考え方は別に、よりよい方向で考えてくださっているので、そこには何も言うことはありませんが、逆にお願いがあるんです。

 それは何かというと、ヨーロッパとかでは、バイクとか自転車とか乗るとき、必ず無灯火じゃありません。前後しっかりとランプをつけている。そして同時に、乗る方自身が反射ベストを着ているんですね。この反射ベストを将来的に我が国でも義務化するべきじゃないかなと。特に、高速道を二人乗りでモーターサイクルが走れるようになっていますけれども、よくわからないですね。ヨーロッパでは、ツーリングなんかしているBMWのバイクに乗っている人を見たらフル装備です。夏でも全部白バイ隊以上の装備をして、フルフェースの、ジェットヘルなんかかぶっていなくて、それで反射ベストをその上から着て、いつでも目立つようにしている。

 こういったことを同時にしっかりと施策として講じていくべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

東川政府参考人 お答えいたします。

 自転車につきましては、後方からの視認性確保のために尾灯または反射材等の装備が一応義務づけられているというふうに承知しております。

 ただ、先生おっしゃいましたように、夜間の交通事故防止というためには、反射材の活用が非常に有効であると思っております。自転車だけでなくて歩行者についても、現在いろいろな形でその有用性について確認していただくための講習会等を開催するなどしておりますけれども、そういう形で普及促進に努めていきたいというふうに考えております。

中山(泰)委員 ぜひ、私は率先してこういった交通安全施策をやっていきたいという立場の男でございますので、ブレーンストーミングさせていただきながら、もし議会側でこういう期待があるということであれば、打ち合わせをしながら進めていくべきだろうと思いますので、積極的なこれからの意見交換というのを希望したいというふうに思います。

 と同時に、交通安全に関する質問はこれで終わりたいと思うんですが、実は、ぜひ先生方にも、委員各位にも知っておいていただきたいと思いますのは、早稲田大学に御子息を通わせていたお母さんがモデルになった映画があります。これは、「ゼロからの風」という、塩屋という監督がつくった交通安全啓蒙の映画でございます。無免許、無車検、飲酒という最悪の三拍子がそろった男性のドライバーに、十九歳の青年が百六十キロではねて殺されるという事案でございました。ここから実は、このお母さんの生命(いのち)のメッセージ展というのが始まりまして、そして同時に、危険運転致死傷罪という法律を生み出していくことにつながっていくわけでございます。

 市原刑務所に私も先日視察に行ってまいりました。こういったところでもこういった上映会がありますし、特に交通関係で保護観察処分中のような方にはこういった映画を積極的に見せていただくようなこともしていただければありがたいというふうに思っておりますし、先生方も、ボランティアでこういった映画の上映会を無料で逆に協力をさせていただいておりますので、ぜひ、できるだけ多くの方に見ていただけたらありがたいなというふうに考えております。

 次に、我が国の空港の施策に関してお伺いをしたいと思います。

 私は、大阪に住んでいますから、私の住まいから見ますと、西には神戸空港、南西には関西国際空港、北摂、北側には伊丹空港という三つの空港に囲まれて住んでいるわけでございます。そこでなんですけれども、今まで、私が生まれた一九七〇年当時から三十八年間、私は飛行機乗り、パイロットになりたかったんです。飛行機が大好きだったんですね。ところが、空港の行政というものに対して、いささかの疑問を同時に持っていました。なぜか。

 一つは株式会社方式、一つは旧運輸省直轄方式、そしてもう一つは公団方式と、三つに分かれて空港という事業を行わなくちゃいけなかった。そのときそのときの政治と行政が一緒になって考えて、そのときのベストを恐らく生み出した結果だっただろうと思いますが、逆にそれが私は足かせになっていた部分もあるんじゃないのかと。

 そして同時に、私も外務大臣政務官を務めさせていただいておりましたけれども、外国に対するODA、特に中国に対するODAの中で、我々関空議連、私もメンバーで入っていますけれども、関空議連のメンバーが全員そろって財務省や国土交通省を歩いて予算取りをやろうと思っても、なかなか厳しくて予算がつかない。にもかかわらず、同時に、同じ国民の血税で、アジアの競争力、日本の空港をハブ空港にしなきゃいけないと言っているさなかに、上海ですとか北京の空港に対してODAでお金を出している。しかも、香港で中国政府がこの空港を上場させている。

 逆に、我々国民は、税金でもって投資をしたエンゼルなのに、そのリターンは、何もプロフィットはもらっていない。それで、相手の空港の方がでかくなって、我が国の空港が衰退をしているように見えるということ自体が、非常に矛盾した政策が一つの国の中で行われていたところに原因があるんじゃないか、そういうふうに考えています。

 そこで、我が国の空港の国際競争力強化という点に関して、国土交通省の意見をお伺いしたいと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今、ODAというようなお話もございましたが、こういったものを通じて諸外国の空港がそれなりの競争力を持っている、これはもう先生御指摘のとおりであると思います。一方で、私どもとしましても、我が国の空港の国際競争力を強化すること、これは何よりも大切なことだという認識を持っております。

 我が国の空港の現状を簡単に申し上げますと、二〇〇五年の二月に中部空港が開港し、それから先生の御地元の関西空港、これは昨年の八月に二本目の滑走路ができて、地方空港も含めて、首都圏を除いては、一応空港の能力というものは確保できたというふうに考えております。国際線、国内線ともに受け入れる能力は今ございます。

 肝心の首都圏でございますが、首都圏については、成田空港、羽田空港ともに満杯の状態でございまして、国際航空需要、国内航空需要双方に十分にこたえ切れていない現状にございました。したがいまして、成田空港については、現在B滑走路についての北伸工事を実施しておりまして、二〇一〇年の三月に完成いたしますが、その暁には、現在年間二十万回の発着容量が二十二万回、一割アップすることになっておりますし、それから羽田空港につきましては、二〇一〇年の十月に四本目の滑走路が完成し、現在二十九・六万回の発着回数が四十・七万回まで増加するということになっております。

 さらなる容量拡大というものも目指しておりますし、こういったものを通じてトータルな国際競争力の強化というものを図ってまいりたい、かように思っております。

中山(泰)委員 航空局長、ありがとうございます。

 今、私が聞いている範囲では、空港インフラへの規制のあり方に関する研究会というのが行われていると聞いていますが、そうですよね。その中で、いろいろなことが言われております。座長が落合誠一さん、中央大学の法科大学院の教授と聞いています。私は、この間、もう議論は過ぎ去ったように思われておりますが、いわゆる外資規制、羽田空港等のターミナル商業施設に対する外資規制、これに対して一言申し上げたいと思うんです。ぜひ外資もウエルカムというようなアンサーがこの研究会で出てきてほしいなというのが私の意見でございます。

 とにかく、オープン・スカイ・ポリシーというのを大切にして、外国の人たちから日本に喜んで来てもらう、鎖国というのは日本は過ぎ去っている時代でございますから。日本自体が上から見ると航空母艦のような大きな国土、しかし、周りは海洋国家。空というのは、水際対策というように、空際対策だと私は思いますので、ぜひ眠らない空港、そして眠らない日本国、鎖国状態じゃない日本というものをつくる。

 私は、治安対策に命をかけようと思っています。だけれども、同時に、まるで外資に開放するのが、空港が外国人に占拠されるようなことを言う人もいたんですね。その人たちに私は逆に言いたい。だったら、自衛隊・防衛省の根幹通信、これはNTTが全部やっているんですよ。どこの国の軍隊で民間企業に通信インフラを投げているところがありますかね。その方を注意すべきだと思いますよ。NTTですら、外資規制、制限をつけてでも外資を入れているんだから。国土交通安全保障に関係あるというならば、私は逆に、自衛隊の根幹通信は予算を我々で分捕ってでもちゃんと専用線をしっかりと設けてやるべきだ、その方が治安的には安定するんじゃないのかというふうに思います。

 時間の関係で、航空局に対しての質問はもうこれで終わりにしたいと思います。ありがとうございます。

 最後に、海上保安庁に対してお伺いをしたいと思うんです。

 実は先日来、対馬の問題、そしてまた同時に忘れちゃいけないのは、北方四島を含めて、日本の領土がまだまだ危機に瀕しているような状況の地域というのはたくさんあります。

 そんな中で、コーストガード、日本の海洋国家としての国境、さっき私はヨーロッパに住んでいたと言いましたが、ヨーロッパは地続きですから、隣の国に行こうと思ったら国境という目に見えない壁があるんです。そこには機関銃を持った国境警備兵がしっかりと、ドイツとの国境だとツォル、カスタム、全部ある。日本人は残念ながら、海を見ても機関銃を持っている人が防人として立っていない。海の向こうで、我々の見えないところで活躍しているコーストガード、国境警備隊というのが実はこの海上保安庁だというふうに私は考えています。

 ぜひ、この海上保安庁のしっかりとした予算の確保というものが必須だと考えておりますが、国土交通大臣、この海上保安庁を含めた大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

金子国務大臣 海上保安庁が行っております海上における安全の確保、治安の維持、環境の保全等々はますます重要性が増してきていると思っておりまして、来年度予算についても、引き続きこういう体制が強化できるようにしっかり予算要求をしてまいりたいと思っております。

中山(泰)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

望月委員長 次に、盛山正仁君。

盛山委員 おはようございます。自由民主党の盛山正仁でございます。

 まず最初は、タクシーについてお尋ねをしたいと思います。

 この東京かいわいでも、空車の列がいろいろなターミナルやタクシー乗り場のところでとぐろを巻くというんでしょうか、いっぱいぐるぐる巻いているぐらいでございますが、東京以外の地方都市になりますと、もっと悲惨な状況ではないかなと思っております。

 私の地元は神戸でございますが、地元の運転手さんからも本当によく悲鳴を聞くことがございます。あんたたち、私たちの給料をわかっているか、私たちの給料はもう生活保護以下の給料にしかならぬのだよ、こんなふうに言われます。それでもおれたちは生活保護を受けたくないからこうやってタクシーのハンドルを握っているんだ、しかしながら、こんな生活がいつまでも続く、そんなふうに思ってもらったら困るんだ、あんたたち、もう少し何とかしてくれないと何ともならぬぞ、こんな悲鳴をよく聞くことがございます。

 実際、最近私がタクシーに乗っておりまして感じますことは、若い運転手の方が本当に少なくなったな、そんな感じがいたします。お年をとっておられる方、具体的に言うと年金をいただけるような方、あるいは、何らかの御収入があって、そして片手間でハンドルを握っている、そういう人が多くなっているのではないかな、そんなふうに想像されるわけでございます。一つの事業として、産業として、若人が入ってこない、ここで一生この仕事をやろう、そういうような形でなければ、その産業は健全な産業として続いていかないんじゃないかな、それぐらい今、タクシーに関しましては厳しい現状になっていると思うわけです。

 日本の中では今、仙台の方が特定の地域ということで、一番日本の中でも厳しい状況であるということで、国土交通省の方で特別に仙台について措置を強化されるというふうなことをやっておられるわけでございますが、これは仙台だけではなく、今、日本の全体において自動車交通の事業、特にタクシーについて大変厳しい。

 我々これまで規制緩和を続けてきて、それなりに競争が激しくなって、いろいろな形のタクシーの事業者が参入したり、もちろん、メリット、いいところもそれなりにあるわけでございます。しかしながら、今の現状をかんがみますと、ちょっとこれは行き過ぎた状況になっている、あるいはちょっと見直さないといけない状況になっている、そういう危機感を感じているわけでございますが、まず局長の方から、国土交通省として、このタクシー事業をめぐる現状についての認識を伺いたいと思います。

本田政府参考人 お答えをいたします。

 タクシー事業をめぐります諸問題につきましては、現在、交通政策審議会のワーキンググループで御審議をいただいておるところでありますが、国土交通省といたしましては、本年七月三日に、この審議会に対してタクシー問題についての現時点での考え方をお示しし、公表させていただきました。

 その中で、タクシー事業をめぐる現状の問題点でございますけれども、具体的に申しますと、まず、タクシーの輸送人員が多くの地域で年々減少し、収入も減少しておる、一方で経費は増加しておるということで、事業の収益基盤が悪化しております。さらに、これを反映して、歩合制であるタクシー運転者の賃金等の労働条件が長期的に悪化傾向にあり、他産業に比べて極めて低い水準となっております。また、過度の長時間労働や最低賃金違反、あるいは社会保険、労働保険の未加入といった違法、不適切な事業運営が行われている事例がある、こういった問題があるという認識を示させていただいております。

 また、その原因についてでありますけれども、タクシーの輸送人員が多くの地域で減少している、そして多くの地域では、需要が減少しているにもかかわらず供給が増加し、過剰な輸送力の供給によって、歩合制賃金を背景として労働条件の一層の悪化の問題を招いている、あるいは、地域によっては過度な運賃競争が展開され、歩合制賃金を背景としてやはり労働条件の一層の悪化といった問題を招いている、こうしたことが主たる原因である、こうした認識を示させていただいておるところでございます。

盛山委員 局長、ありがとうございました。

 役所の方では今検討を進めていただいているということでございますが、現在の道路運送法、その規制緩和をある程度進めるということで、以前の需給調整をするといったようなところから大きくかじを切られたわけでございます。しかしながら、今局長からの御説明にもありましたように、事業としての健全性、あるいは従業員であります運転手さんの処遇、待遇の問題、そしてさらには、事故その他もやはりふえてきているというように私は考えております。

 こういったことを考えますと、今の枠組みの中で、今後、健全なタクシー事業というのを本当にやっていくことができるのか。これまでの規制緩和といいますのは、どうしても経済的な合理性ですとか自由競争の導入、こういったことが強く主張されて、規制緩和の方向へどんどんどんどん流れてきたわけでございます。しかしながら、実際に規制緩和を導入したところが、やはり負の側面がこれだけ出てきている、そんなふうに私には感じられる次第でございます。

 今の道路運送法の枠組みだけでうまくもう一度その体勢を立て直していくことができればいいわけでございますけれども、現在審議会で検討中であるということですからその結論を待ってということになりますけれども、やはりここで、今の道路運送法とは別のというんでしょうか、何らかの法的な形で、タクシー事業についてもう一度、事業者にとっても、そこに働いておられる従業員の皆さんにとっても、あるいは我々利用するユーザーにとっても満足がいくようなタクシー事業をこれから実現していくためにはどうすればいいのかという、何らかの立法措置を含めた対処が必要ではないかと思うんですが、そのあたりについて大臣の御所見を伺いたいと思います。

金子国務大臣 規制を強化していくということについては、やはり慎重に進めていかなければならないと思っております。ただ、今既に御指摘ありましたように、実体経済におきまして、タクシーの従業員の方の賃金水準、供給過剰の地域といったような現状もよく認識しております。

 そういう中で、現在、減車勧告といったような仕組みがありますけれども、こういうものでどこが対応できないのか、何が現状に不足しているのか。これは現在、交通政策審議会で議論をしていただいておりまして、そういう中で供給過剰が非常に進行している地域等々について一定の供給抑制というものが必要でないかという意見が出ていることも承っております。

 そういう意味で、こういう様々な御議論をいただきまして、年内に審議会からの答申をもらった上で、法的措置も含めて適切に対応してまいりたいと思っております。

盛山委員 大臣、ありがとうございました。ぜひ、健全な事業、あるいはユーザー、利用者を含めて、みんなが納得できるような、そういうような事業になっていくように御検討を進めていただきたいと思います。

 続きまして、バリアフリー、ユニバーサルデザイン社会についてお尋ねをしたいと思います。

 十年前の平成十年度の補正で、駅にエレベーターやエスカレーターをつける、そういう補助制度をつくりましてから十年たちました。また、交通バリアフリー法が平成十二年に成立し、平成二十二年、その法律から十年後に重立った駅のバリアフリー化をするという目標を立てました。そしてまた、平成十八年に、駅の中あるいは交通ターミナルのバリアフリー化がある程度進んだということで、バリアフリー新法をつくりました。それからももう既に二年が経過しておりますし、二十二年の目標年次までもうあと少しということになってまいりました。

 駅の中、その他、ある程度順調に進んできたと思います。私自身、最初に担当した者として、スタートしたときにはこんなにバリアフリーが急速に広がるとは正直思っておりませんでした。こんなに広がるようになったというのはありがたいなという気持ちがある反面、それだけやはり高齢化社会も進んでおりますし、時代のニーズにマッチしていたんだな、そんなふうにも思うわけでございます。

 しかしながら、あと二年ということを考えますと、なかなかこれから難しいんじゃないかな。表現はいいかどうかわかりませんが、手のつけやすい、工事のしやすいところは順調に進んできた。しかしながら、これからがいよいよ胸突き八丁に差しかかってきたのかな。駅や交通ターミナルにつきましても、残されているところがどれぐらいあるのか、また、そういったところは工事が難しいところではないかなと想像するわけでもございます。

 また、平成十八年のバリアフリー新法によりまして、ターミナル、駅の中だけではなく町全体にバリアフリー化を広げよう、例えば道路の横断歩道橋へのバリアフリー化、こういったことも含めて対象が大きく広がったわけでございますので、現在の進捗状況について、あるいは今後目標を達成するに当たってどのような課題があると考えているのか、そのあたりを局長の方から御答弁いただきたいと思います。

大口政府参考人 委員御指摘の基本方針につきましては、一日当たりの平均的な利用者の方の数が五千人以上という鉄道駅などの旅客施設につきまして、確かに平成二十二年度までに原則としてすべてバリアフリー化するということになっております。

 それで、十九年度末までにそうした施設等において段差解消が完全に行われているところは六八%になっております。例えば鉄道の車両などは、耐用年数が長いものですから二十二年度までに五〇%バリアフリー化するという目標でございますが、これにつきましても十九年度末で二七%ということで進捗しております。

 ただ一方では、委員御指摘のように、なかなか進まない部分もございます。物理的に、駅の周辺の町の形状とか高低差とか、いろいろなことがあって難しい駅等の施設が残されている状況もございますので、こうした個別の駅などの施設につきましては、よくよく工法の工夫などをしまして、課題の解決に向けた検討を行うことが確かに必要でございます。

 市町村の基本構想を早くつくっていただきながら、事業者それから地方公共団体などの関係者の緊密な連携のもとに、そうした駅などの施設周辺と一体となった整備を進めていくことが大変重要だというふうに考えております。

 私ども国土交通省としましても、先月、省内に関係局長をメンバーとします国交省バリアフリー推進本部を設置しまして、こうした目標の達成に向けまして、難しい駅を含めた難題、課題、これを整理しながら、少子高齢化社会にどうしても必要なこのバリアフリー化の取り組みを、合力しながらさらに進めていきたいというふうに考えております。

盛山委員 ありがとうございました。

 ぜひ省内で横断的に、有機的に進めていただきたいなと思うわけでございます。そのときにぜひお考えいただきたい視点として、我々みんな、国民、住民としていろいろな施設を使っているわけでございますから、利用者の視点として、住みやすい、暮らしやすい町に、日本にしていくためにはどうすればいいのか、そういうことをぜひお考えいただきたいわけでございます。大臣の御地元の高山は、住みやすい町は訪れてよい町ということで、本当に市長以下、バリアフリーについてすごく意識が高い町でございまして、いろいろなところに細やかな気配りをしておられます。行ってみるたびに、すばらしいなと思うわけでございます。

 バリアフリーの心というのが、以前この新バリアフリー法の議論のときにも当時の冬柴大臣から御答弁もあったと思うんですけれども、相手の立場に立って、我々みんな年もとっていくわけでございますし、みんな少しずつ足も重くなっていく、あるいはどこか体も悪くなっていくわけですから、そういうことを考えながら、暮らしやすい日本にしていくためには、いつでもどこでも、自分が思うときに思うところへ動いていけるようにするためにはどうしたらいいのか、そういったことをぜひ考えていただきたいと思います。

 特に、先ほど局長のお話にもありましたけれども、今後の目標を達成していくためには、例えば構造上大変難しい、あるいは用地買収ですとかいろいろな制約が出てくる、こういった課題のあるターミナルがふえてくると思うんです。お金さえあれば、それは何でも可能かもしれませんが、予算にも限りがあるでしょうから、なかなかそういったことはうまくできないと思います。

 またあるいは、私の地元にもございますけれども、横断歩道橋が本当にたくさんございます。私も実は小学生のとき、近所の四十三号線というところに横断歩道橋ができたときに、小学校からみんなで渡り初めに行きました。当時は昭和三十年代のおしまいだったんですけれども、そんな時代だったと思うんです。モータリゼーションが発達している時代でしたので、これで交通事故がなくなってよかったねという時代でした。

 でも、もうそれから四十年ぐらいたちました。私も大分足がおぼつかなくなってきていますが、お住まいの方からすると、本当に、やはり悲鳴が上がるようになってきているんです。カートを持ってお買い物に行くようなおばあさんから、あんた、この横断歩道橋を渡ることを考えたら、毎日行く買い物を一日減らそうかと思うのよ、こういうのを何とかしてくれぬかねというふうにおっしゃられる方が多い。

 そういうことも含めて、やはり住んでいる人のための行政、どういうふうにしていったらいいのかということを考えながら、多分、予算措置その他を含めて、今までのバリアフリーの取り組み以上に力を入れていっていただかないと二十二年度の目標達成というのはなかなか困難ではないかな、そんなふうに思う次第でございますので、ぜひ大臣に、このユニバーサル社会の実現に向けて力を入れていっていただきたい、そんなふうに期待するわけでございますが、大臣のお考えを伺わせていただければと思います。

金子国務大臣 盛山委員が長い間このバリアフリー問題に取り組んでこられた、特に議員になられる前からもこの問題をおやりになっていて、それがかなり実現をしてこられているという状況は、私も伺っております。そして、かなり進んできておりますけれども、御指摘のようにまだいろいろな理由でできていないという部分について、もう一段乗り越えなければいけない箇所というのが出てきているんだろうと思います。

 例えばでありますけれども、JR東日本の御茶ノ水の駅、特定の例示を挙げるのは必ずしも好ましくないかもしれませんが、あそこは大学と同時に大学の病院が周辺に多数あるのでありますが、地形上の難しさからバリアフリー化がまだできてないんです。狭隘な地形がゆえに、ホームと隣接する市街地との市街地開発をあわせて整備したいということで、計画自身は相当進めてくれているようでありますけれども、あれだけの乗降客がありながら、これだけの病院に通う、例えば松葉づえをついた方々がおりながらできていないといったような、まだでき上がっていない。これは今一生懸命進めてくれていますけれども。

 そういうところも含めて、必要があれば地方自治体あるいは会社側、国も必要があれば手伝っていくという立場をとっております状況の中で、例えばの事例を挙げましたけれども、こういうものを国、地方公共団体あるいは事業者、関係者が連携して進められるように、ユニバーサル社会の実現を図ってまいりたいと思っております。

盛山委員 大臣、ありがとうございました。

 私の地元にも、病院の真ん前の駅でホームの幅の狭い駅がありまして、レールを振ろうにも、片方はJRで、真ん中が私鉄で、そして片方が道路、こういったところでレールの振りようがない、そういう物理的に大変困難なところもあります。これから本当にいよいよ大変なところだろうと思いますので、その中でも、できる範囲のユニバーサル社会の実現に向けて、ぜひこれまで以上に力を入れていっていただきたいと思います。

 時間が迫ってきましたので、最後に道路の問題についてお尋ねをしたいと思います。

 道路についてでございますけれども、もう御案内のとおり、今、道路財源の一般財源化ということでいろいろな議論がスタートをしているところでございます。

 その中で、今まで道路関係の税を負担していたユーザーの側からいろいろな御意見が出ております。例えば、暫定を維持して一般財源化をするというのであれば、暫定を一回なくしてゼロベースで議論をしてほしい。その他いろいろな議論がこれまでも長く出てまいりました。道路財源の一般財源化といいましても、道路に関係するところに使うということであれば、まだこの道路関係の税の負担をされている方の御理解は得やすいと思うわけなんでございますけれども、一般財源化の中身、こういったことも含めて、まだ何ともはっきりわからない、そんな形での議論が進んでいるのかなと私自身は感じている次第でございます。

 まず、局長の方から、道路財源の一般財源化に向けてどのように道路関係について扱って、道路財源の一般財源化の部分についてはどのようなものにしていくべきと考えているのか、どのように説明しているのか、簡単に御説明をいただきたいと思います。

    〔委員長退席、奥野委員長代理着席〕

金井政府参考人 道路財源の一般財源化に関するお尋ねでございます。

 活力ある地方を創出する、それからまた地域の安全、安心を確保するという点から、地域にとって必要とされる道路整備を着実に進めることが非常に重要と考えております。また、昨今、社会資本も非常に長い時間がたっておりますので、いわゆる維持更新時代を迎えつつありまして、そういった維持管理の面でも適切な措置が今後不可欠ということを考えております。

 道路特定財源制度については、五月の閣議決定に沿って一般財源化されるということになっておりますが、税の創設以来のさまざまな経緯、それから地域での道路整備への非常に高いニーズ、こういったことを考えますと、相応の予算が道路整備に充てられることがユーザーの理解を得るために必要であるというふうに考えておりまして、特に地方の道路整備を着実に進めるための必要な予算の確保に取り組んでまいりたい、このように考えております。

盛山委員 局長、ありがとうございました。

 今の局長のお話にもありましたが、これまで道路の整備というのは、どちらかというと新規の道路をどのように整備していくのか、こういったことが主に中心の議論であったかと思います。もちろん、渋滞をしている道路はまだまだ多いです。幹線道路の整備、こういったものは必要であると私自身考えております。

 そしてまた、局長の今の御答弁にもありましたように、これからは、そうやってつくっていった道路の維持整備、アメリカなんかで橋が落ちたりしているような例がありますけれども、そういったことがないようにしていく。特に地震の多い日本ですから、そういった安全性、安全対策というのは必要だと思います。

 そしてまた、先ほど大臣にも御答弁をいただきましたバリアフリー、こういったことに関係しましても、例えば踏切、線路と道路を上下に分ける連続立体交差事業、こういったのも道路の金でございますし、また、駅前の都市の再開発あるいは区画整理、こういったところにも道路のお金がこれまで使われております。道路のお金というのは、もう本当にいろいろな事業、それぞれ一つずつ考えていきますと、一般財源化するそんなゆとりが本当にあるのかな、私自身はそんなふうに考える次第ではございますが、しかしながら、何をどのように一般財源化していくのかちょっとはっきりしないまま一般財源化、こういうことで検討が進められるようになっているんじゃないかなと思います。

 ちょっと繰り返しになりますけれども、局長の答弁にもありましたように、いろいろな経緯がありまして道路の財源、税制ができているわけでございます。そういった中、道路関係の税金を負担していただく方に納得してもらえるような、つまり税を負担するものについて国民がすべて納得できるような一般財源化、なかなかその解は難しいと思うんですけれども、道路の必要性、あるいは道路関係事業の必要性、さっき中山先生のお話にもありました自転車道の整備もそうでございましょうし、あるいは、これまで余り議論がされませんでした、どちらかというと道路による外部不経済、公害ですとか環境対策、こういうことであればまだ自動車との関係も大変強いということにもなるでしょうし、一般財源化といっても、ユーザー、税を負担する者が納得できるような、そういう形の一般財源化をぜひお願いしたいと思うわけでございます。

 大臣から、一般財源化というんでしょうか、道路の財源のこれからのあり方についてどのようにお取り組みをいただけるのか、御答弁をいただきたいと思います。

金子国務大臣 道路財源一般化に際して、一兆円を地方にという総理の方針が出されました。今御指摘いただきましたように、一体どうなっちゃうんだ、どういうふうに使われるんだ、まるで道路にはもう関係なくなるのかと御心配をいただいております。

 これは来年度予算決定までに、具体的にどういうふうにするのかというのを、総理の御指示で与党にプロジェクトチームをつくっていただきまして、そこで検討していただく。検討の課題は、財源をどういうふうにして位置づけるのか、二つ目はその歳出の中身をどうしていくのかという、大きな項目の二つになると思います。これを同時に決着しなければいけない難しさというのを今ここでやっていただいております。

 ただ、私の立場としては、今御要望がありましたような地方の道路だけではなくて、都市部における連続立体道路、東京都の連続立体道路は地方の臨交金で対応しておりますけれども、そういう意味で、道路はやはり時間がかかりますので、今年度単発でおしまいということではないものですから、安定的に継続的に必要な道路事業に財源が向けられる、そういう枠組みというのをこの一兆円、一般財源化の中であっても構築してもらえるように、いろいろ相談しながら与党と協議をしてまいりたいと思っております。

盛山委員 ありがとうございました。

 大臣、ぜひ先頭に立って頑張っていただきたいと思います。時間ですのでこれで質問を終わります。ありがとうございました。

奥野委員長代理 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉でございます。

 今、国政において、この国の景気をどう支え、どう回復させていくかということが至上命題でございます。きょうの一般質疑では、この景気回復に向けて国土交通行政としてどう取り組んでいくのか、こういう観点から幾つかの話題に絞って議論をさせていただきたいと思います。

 まず冒頭は、建築確認申請のお話から入りたいと思います。

 これは、国民の建築物の安全への信頼を揺るがす大きな事件になりました構造計算書の偽装問題、これが発生したのが平成十七年十一月、ほぼ三年前でございます。この問題の再発防止のために、これまで、建築基準法、建築士法の大改正、そして新たに住宅瑕疵担保履行法、こういったものを制定してまいりました。そして、昨年の六月二十日、改正建築基準法が施行され、建築確認の審査が厳格化をされまして、構造計算についてはピアチェック制度を設けました。

 建物の安全性を確保する、これはもう言うまでもございません。その上で、耐震偽装といった問題を二度と起こさない、このために審査をすること自体、これはもちろん必要でございます。一方で、審査の現場では申請する側に負担がかかり過ぎている、こういったこともたくさん現場からお話を伺うことがございます。

 そこで、まず大臣にお伺いをしたいと思います。

 この法改正を受けて、大臣も、お地元の岐阜県でもいろいろな方からこのお話をお聞きになられていると思います。政治家として、この現状についてどのように御認識をされているか、御所見をお伺いしたいと思います。

    〔奥野委員長代理退席、委員長着席〕

金子国務大臣 この建築基準法の影響というのは、全国で相当に出てきていると思っております。ただ、四号建築というんでしょうか、相当簡略化された部分ということについては比較的早く立ち上がってきたかなと。統計で見ている限り、これが施行されたときにどんととまってしまった、それが徐々に回復して一定の回復は見られるようになってきているのかなと。ただ、それもやはり、今の景気状況でありますから当然でありますけれども、限界はあると。

 いずれにしましても、建築基準法の運用改善というのを求められる声というのは依然として続いております。この建築確認手続が円滑に行われるようなきめ細かい対策というのは進めていかなければならないと思っております。

伊藤(渉)委員 今大臣が触れていただいたように、二階建ての木造建築物、いわゆる四号特例については確かにこの改正でも影響を免れているといいますか、その辺については今のところそんなに私の方も大きな問題意識は持っておりません。一方で、それ以外の建物、特にこのピアチェックがかかわってくるものについて、さまざま現場で混乱が発生している。今大臣もお触れいただいたように、徐々には回復してきているというようなお話を今いただきましたので、その点について、これは国交省にお伺いしますけれども、改正の建築基準法施行に伴って住宅着工への影響がどのようになっているのか。これは統計的に、対前年つまり十九年比も必要ですけれども、法改正前の対前々年比、平成十八年比でどのようになっているかということも含めて、少し教えていただければと思います。

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の住宅着工でございますが、昨年は、六月二十日の施行直前の駆け込みで六月に十二万一千戸となった後、今大臣からも答弁ありましたように大幅に減少しました。昨年九月の六万三千戸、これは年率に換算しますと七十三万戸と極めて低水準でございまして、これは対前年同月比四四%減。この月を底に、各種の御指導を賜りながら努力して、回復してまいっております。本年四月以降は、おおむね各月十万戸前後、年率換算しますると百十万戸強程度で推移してございます。

 ちなみに、今御指摘の対前年、対前々年比ということでございますが、九月の数字を御説明しますると、九月は九万七千戸、年率換算百十二万六千戸。これは当然、昨年の落ちた月でございますから、前年同月比では五四・二%の増、前々年同月比については一三・六%減となっております。

 ちなみに、前々年というのは十八年度で、トータルの着工は百二十八万戸という極めて高水準の年でもございました。

 以上でございます。

伊藤(渉)委員 平成十八年と比較しても、今マイナスの一三%程度ということで、確かに統計上は回復をしてきているんだろうと思います。

 一方で、そのマイナス一三%というところが、やはり設計にしても建設にしても、いわゆる大企業といいますか、それなりに技術者を抱え、世の中の変化に早急に対応できるところはついていけると思いますけれども、私どものところに寄せられてくる声は、この国の大多数、九七%でしょうか、この国の産業を下支えしているやはり中小零細企業からの声でございます。

 こういったところがまさにこの一三%の影響を受けているがゆえに、なかなかこの建築基準法の改正による影響が現場に入ると消えていないという印象を持つということだろうと思います。

 そこで、先ほど申し上げたとおり、特に建築基準法の改正の中でもピアチェックが大きく影響をしているように思います。そこで、先月、十月二十九日も、私ども党として取りまとめをして、建築基準法の運用の改善などについて大臣に申し入れをさせていただきました。このことについてはしっかり受けとめていただいて、今取り組みをしていただいていると考えております。

 特に、この構造計算書の偽装を防止するためにでき上がったピアチェックでございますけれども、やはり申請する側からは大変に大きな負担になっているというふうに聞きます。

 この新たに導入された構造計算のいわゆる適判制度について、どの程度の件数が今処理されていて、また所要期間はどのぐらいかかっているのか、またその期間のばらつき、早いものから遅いものまで、また長くなるとどれぐらいかかっているのか。さらには、地域的な偏在。大都市部ではどうだ、周辺都市ではどうだ、あるいは県、私でいいますと愛知県よりも、大臣のお地元である岐阜県の方、あるいは愛知県の西にある三重県、こういったところの方が確認申請が非常に通りにくいといった印象でございます。現場の声を実際に聞いておりますけれども、この辺は国土交通省としてどのように把握をされているか、これも御教示いただきたいと思います。

和泉政府参考人 委員御指摘のとおり、いわゆるピアチェックは、構造計算書偽装問題を踏まえまして、高度な構造計算につきまして的確にチェックする、こういった趣旨から、通常の建築確認審査に加えまして、第三者機関において一定の技術力を有する者が構造計算の過程の審査や再計算を実施する制度としてスタートしました。

 まず、その件数でございますが、御指摘のとおり当初は非常に件数も少なかったわけでございますが、大分定着してまいりまして、三月には構造計算適合性判定の合格件数は二千件。ここ数カ月、申請件数、合格件数とも二千件程度で推移してございます。ちなみに、直近の九月の合格件数は二千八十九件でございます。

 次に、御質問の日数でございますが、構造計算適合性判定の受け付けから判定終了までの日数につきましては、いわゆる申請者による訂正期間、中断期間、これも含めまして、本年一月の調査では三十九・三日、九月の調査では三十二・五日となっておりまして、この間で一週間ほど短縮されてございます。

 ただ、今委員御指摘のように、地域における差、これは具体的には、各都道府県知事が構造計算適合性判定機関を指定する、その判定機関のマネジメントのうまさ、まずさ、こういった問題。もっと大きいのは、そもそも申請する方の構造計算書がかなりいいものか、非常にできの不十分なものか、こういったことがございまして、早いものですと二、三週間で終わるものもございますし、そういったやりとりに時間がかかって、お願いしても返ってこないということになりますと、数カ月かかるようなこともあるというふうに聞いてございます。

伊藤(渉)委員 まさに今局長おっしゃったように、審査する側の問題と計算書を提出する側の問題、これはあると思います。具体的には、本当にそこを一つ一つつぶしていかなければいけないというようなところにまで来ているんだろうと思います。

 この構造計算書の適合判定、これは審査する際の、判定する側からいきますと、判定員からの指摘事項についても相当違いがある。時には、構造の専門家から見ると、言われている意味がわからないようなしゃくし定規な指摘がされてしまっているケースもあるというふうに聞いております。そういう意味におきまして、この審査の効率化、これを図っていかなければならないと思います。

 また、あわせて、審査期間を短くするために大臣認定のプログラムということもことしの年初から動き始めていると思いますけれども、これもまだまだ普及が進んでいないというふうに認識をしておりますので、そういう意味でも、これもやはり大手の設計会社だけではなくて幅広く利用していただけるような環境、普及に向けての取り組みということを進めていかなければならないと思います。

 重ねて申し上げますけれども、審査の効率化、そして大臣プログラムの普及、この点についてどのような取り組みをなされているか、これも御答弁いただきたいと思います。

和泉政府参考人 御指摘のとおり、大分よくなってまいりましたが、構造計算適合判定の円滑化はさらに進めていく必要があると思っております。

 一点目は、従来も質疑応答集の作成等をやっておりましたが、審査側と設計側で各都道府県ごとに協議会をつくっていただいて、そこで詰めた議論をしていただく。まさに今委員がおっしゃったような、設計の専門家が見ると、何でこんな指摘を受けるんだろうというようなこともございますという話を聞いておりますので、詰めた議論を各都道府県の協議会がやっていただく。

 加えて、昨年十二月以降は、単純な構造形式の建物などについては一名の判定員でやっていい、こういった取り組みもしてまいりました。

 さらに、審査体制の効率化、事前相談の活用、申請者との連絡調整の円滑化、あるいは比較的小規模なものについては都道府県知事みずからやる、こういったことの措置につきまして、各都道府県、特定行政庁にお願いしたところでございます。

 さらに、構造計算適合性判定機関によって随分ばらつきがある、御指摘のとおりでございまして、そういった意味での効率化を図るために、すべての都道府県及び構造計算適合性判定機関を対象に今ヒアリングをしてございます。事前相談やヒアリング等の活用によって、総判定期間を、先ほど数字を申し上げましたが、おおむね一カ月以内におさめるように、こういったことを目標にマネジメントをしてほしい。

 二番目は、今御指摘のあったような、判定員の指摘についてはさまざまな問題意識がございますので、一つは、常勤判定員をしっかり活用していく。もう一つは、そういった苦情について、各機関としても苦情の窓口を設置して判定員間の指摘のばらつきを解消する、こういった問題を今一生懸命やっているところでございます。引き続き努力してまいりたいと思っています。

 また、御指摘の大臣認定プログラムにつきましては、現在、性能評価中のものもございます。鋭意これにつきましては前倒しで進めてまいりたい、こう考えております。

伊藤(渉)委員 私もまた再度現場からより具体的な情報を収集して、一つ一つ問題点を解消していくことに努めるということと、本質的には、構造といったものを本当に熟知している設計の方、こういった方の人材の育成ということもやはり中期的スパンで考えていかなければいけないし、そこも後押しをしていかなければいけない、このように思いますので、その点の取り組みについても引き続きよろしくお願いをしたいと思います。

 この関連で最後の質問をさせていただきますけれども、やはりこの一連の法改正の中で、平成十八年の臨時国会で建築士法を改正しました。この十一月二十八日から施行されます。

 これも既に現場から御不安の声をたくさんいただいているわけですが、特に、来年の五月二十七日からスタートする一定の建築物に関する構造設計の一級建築士また設備の一級建築士による関与の義務づけ、これの円滑な施行ということが非常に重要になってきます。二度と昨年のような建築確認申請による混乱というものが現場で起こらないように注意深く進めていかなければならないと思います。

 構造設計については、おおむねピアチェックの対象となるような物件、また設備設計については、階数が三以上で床面積が五千平米超の物件、これに関して構造設計及び設備設計のプロである一級建築士が関与する、こうしたことで建築物の安全を確保していこう、こういう仕組みでございます。

 これまでの混乱を教訓として、国土交通省としても、建築士法の円滑な施行に向けて準備を進められていると思います。必要になる構造技術者、設備技術者の不足、とりわけ地域的な偏在、この問題に対する懸念の声、これが業界から聞こえてまいります。

 特に、設備の方の話を聞くことが多いわけですが、設備を実際に現場でやられている方はやはり機械屋さんだったりする。つまり、建築の人じゃない方が建築設備士としてこれまで設備に携わってきた。こうした方々が建築士になることのハードルの高さということもさまざまなところでお聞かせをいただいております。

 そうすると、やはり中小、設備の設計をしていた会社は、どうしても設備一級建築士を持っていらっしゃる設計の下請ということにならざるを得ないとか、そういった業界の問題もあるやにお聞きをしております。

 この一級建築士制度、構造設計、設備設計の円滑な運営、施行に向けて今されている取り組みそして現状の認識についてお伺いをいたします。

和泉政府参考人 まさに委員御指摘のとおり、今回の新しい構造設計一級建築士、設備設計一級建築士の関与の義務づけがまた現場の建築確認手続等の混乱を招くことは最大限避ける必要があると思っています。

 ちなみに、その数でございますが、構造設計一級建築士が関与すべき高度な構造計算を必要とする一定の建築物は、おおむね年間二万五千件から三万件程度。今まさにおっしゃっていただきました設備設計一級建築士が関与すべき三階以上かつ床面積五千平米以上、これは年間二千五百件程度であると考えられております。

 そこで、五月二十七日に向けまして、いわゆる法施行前に資格者を確保するためのみなし講習、こういったことをしておりまして、既に構造設計一級建築士につきましては五千九百八十三名が資格を得、設備設計一級建築士に関しましても二千三百十九名が修了考査に合格しております。現在、追加考査等の準備をしてございますので、今の数字をさらに上回ると考えております。

 そこで、先ほど言った件数からしますると、まさに、全国的には必要な技術者の数はあるのだと考えておりますが、技術者の地域的な偏在とかあるいは中小の事務所でなかなか確保が困難であるとか、こういった問題がございますので、これは都道府県や関係団体と連携して、地域の実情を踏まえて、今後各都道府県で技術者のあっせん等をするサポート体制をしっかり整備して、五月二十七日の施行に向けて最大限努力をしてまいりたい、こう考えております。

伊藤(渉)委員 重ね重ね、ここまでの質問で申し上げたかったのは、景気回復という観点から、万が一にも実体経済の足を引っ張るような働きがないようにしていかなければならないということで、改めて確認をさせていただいた次第でございますので、引き続きの取り組みをよろしくお願い申し上げます。

 次に、ちょっと住宅ローン減税のことで大臣にお伺いをいたします。

 総理からは過去最大と指示をされたこの住宅ローン減税、年末に向けて税制の議論が始まっていくわけでございますが、これまでの最大規模は五百八十七万五千円、平成十一年から三カ年実施をされております。過去最大ということであればこれ以上ということになるんだろう、シンプルに言えばそう思います。

 その上で、特に今物価高、そして、物価は上がるけれども賃金が上がらない、こうした状況の中で御苦労されているのは、いわゆる中堅の勤労者、また、所得でいえば中低所得者ということになろうかと思います。

 こうした方々にも効果を最大限に発揮していくためには、減税の額、これも重要でございますけれども、これが所得税だけじゃなくて住民税といったところからもきちっと控除されていく、つまり、実際の減税額がきちっと中堅所得者、また低所得者の方に対しても反映をされていく制度にしていくことが非常に重要だと思いますけれども、この点についての大臣の御認識と、今後、年末に向けての御決意をぜひお伺いしたいと思います。

金子国務大臣 御指摘いただきましたとおり、特に、中堅層、団塊ジュニアの層でございましょうか、中心になろうと思いますけれども、住民税が対象となってきませんと、非常に実効性に乏しいものになりかねません。住宅ローン減税を年末にかけて規模の相談をしてまいりますけれども、住民税も必ず対象にしてもらえるように、与党とも相談して、政府部内で進めていきたいと思っています。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、年末に向けて、非常に大きく、また国民も期待をしている政策の一つだと思いますので、大臣のお力添えをお願いしたいと思います。

 ちょっと通告とは順番を変えますけれども、通告でいうと問いの十です。

 また、住宅ローン減税をやると同時に、お金が借りられる、借りられない、こういう問題もございまして、住宅ローンというものをきちっと政府として下支えしていくということも重要だと思います。民間の金融機関では、特に、やはりこうした景気の事情を受けまして審査が厳しくなってきている、ここを何とかしようといろいろ努めているわけですが、依然としてそういう声も聞くのは事実でございます。

 このために、持続的な経済成長を図るためには、住宅市場の活性化をさせる、これまでの生活対策で盛り込まれた、今大臣から御答弁をいただいた、住宅ローン減税の拡充とあわせて、政府が慫慂している住宅金融支援機構の証券化支援事業、通称フラット35ですけれども、こうした制度についても拡充をして、安心して国民の方がお金を借りて生涯の買い物である住宅ローンを組めるような環境をつくっていくこともあわせて重要と考えますけれども、国土交通省の取り組みをお伺いいたします。

和泉政府参考人 御指摘のとおり、住宅投資は最大の内需の柱でございまして、現下の経済状況を踏まえれば、その活性化は極めて重要でございます。また、委員御指摘のとおり、最近、関係団体等に聞きますると、住宅ローンがやはり出にくくなっているみたいな話も聞きます。このため、職業等による画一的な選別を行わない住宅金融支援機構のフラット35、これを積極的に活用していく必要がございまして、そのPRをしっかりしていきたいと思っています。

 加えて、本年八月末の安心実現のための緊急総合対策としまして、省エネルギー性能等にすぐれた優良な住宅に対する金利を当初五年間〇・三%引き下げる制度、こういったものがございますが、その要件緩和を実施しました。この結果、同制度の利用率が対前月比一・五倍に増加した、こんなこともございます。

 加えて、今回の生活対策の中では、新築だけじゃなくて、バリアフリー等の性能にすぐれた既存住宅についてもこういった優遇対象にしよう、こういった話もございます。

 本年度内に速やかにこういったものについて拡充し、実施し、住宅ローンの下支えにしっかり努めてまいりたい、こう考えております。

伊藤(渉)委員 くれぐれもその点もよろしくお願いをしたいと思います。

 また一方で、こういう状況の中で、なかなか今から三十年あるいは三十五年というローンを組むというのもこれは非常に勇気の要ることですし、様子を見ようと考える方もいて当然だと思います。そうしたことを考えたときに、既存の物件のリフォームあるいは補修、改修、こういったところも、景気を回復させていくという角度からもそうですし、それを望まれている国民の皆様に対しても、それを後押しするような政策、こういったことも非常に重要だと思います。

 やはりこれは税制ということになってくるんでしょうけれども、これまでも耐震改修あるいはバリアフリー化、省エネ改修のためにさまざまな税の恩典というものを与えてきております。この耐震改修については、わずかではございますが投資型の減税というものがございますけれども、バリアフリーあるいは省エネというものはまだ投資型の減税というものがないと認識をしております。こうしたものも拡充をしていくということ。

 また、可能であれば、ぜひとも、新築は手が届かないけれどもリフォームということを考えられる方もいらっしゃるわけで、こうした方に対するローン減税。これは高齢者の方に対しては先ほどの支援機構からもあるというふうにお聞きをしておりますけれども、ローン減税、あるいは、何か上手な理由をつけながら、投資型の減税ということを設けて、それを考えている皆様方の後押しをして景気回復につなげていくということも重要と考えますけれども、この点について国交省の御答弁をいただきたいと思います。

金子国務大臣 特に、こういう経済状況もありますが、住宅というのは、大変、内需を拡大していくという意味で重要な柱の一つであると思っております。

 そういう意味で、従来の住宅ローン減税に加えまして、御指摘いただきました耐震、バリアフリーあるいは省エネ、こういったような住宅、リフォームが加わったような場合にも投資型減税が何とかできないだろうかということで、年末に向けて進めてまいりたいと思っております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 大臣に対しては、もう本当に、年末、道路のこともありますし非常に大変だと思いますけれども、ぜひリーダーシップを発揮されて、大きく、国土交通行政を通して、景気を回復させるため全力を挙げていただければと思います。

 時間が迫ってまいりましたので、最後に少し話題をかえて災害ということでちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。

 夏になりますと、もうここ数年、局地的な豪雨による被害というものが各地で多発をしております。私の地元愛知でも、岡崎市というところで大変大きな水害が発生をいたしました。具体的には、伊賀川そしてその支流である小呂川というところで、床上浸水、とうとい人命も失われるような水害に発展をした災害がこの八月に発生をいたしました。

 私もすぐに現場に急行をし、現地を見させていただきました。この伊賀川またその支流である小呂川では、ここ数年間に幾度となく、床下浸水はもう日常茶飯事、床上浸水も数度発生をしているという住民の皆様からの本当に悲痛な叫びをお伺いしてまいりました。

 それ以来、この取り組みについて私は幾度となく河川局の方とやりとりをさせていただいてきたわけでございますが、この伊賀川の改修そして支流の小呂川の改修、これは県、そして地元岡崎市とも連携をしながら早急に取り組みを進めていかなければいけないと思いますけれども、現状について、今後のスケジュール観もあわせて、最後に河川局の方からお伺いをして、私の質問を終えさせていただきたいと思います。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、八月二十九日に岡崎で時間雨量百四十六・五ミリという集中豪雨がございまして、そのために、岡崎市内におきまして、伊賀川、小呂川を初め大きな浸水被害が生じたわけでございます。

 これを受けまして、伊賀川につきましては、愛知県が水害の原因となりました堤外家屋の移転、それから三清橋から伊賀橋付近まで一・五キロの河川改修をおおむね五年間で実施する方向と聞いておりまして、国土交通省といたしましても、前回の補正予算を初め、引き続き支援をしてまいりたいと思っております。

 また、伊賀川に合流する小呂川につきましても、伊賀川の改修の進捗にあわせて、伊賀川と小呂川の合流点の樋管部分を拡幅すると聞いておりまして、これにつきましても伊賀川と同様支援してまいりたいと考えております。

 さらに、岡崎市で学校や公園で雨を一時的に貯留する貯留浸透施設の整備について検討中と聞いております。これらの補助制度も準備しておりますので、岡崎市並びに愛知県と綿密に調整しながら支援をしてまいりたいと考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。現場の状況をよく把握していただいておりまして、安心をいたしました。

 ともあれ、国土交通行政、この世の中の目に見えるハードな部分、そのすべてをつかさどる行政府でございますので、大変御苦労も多いかと思いますけれども、金子大臣のますますの御活躍を御期待申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

望月委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 一般質疑の機会をいただきました。質疑をさせていただきたいと思いますが、本日午後、長期優良住宅の普及の促進に関する法律案、法案審議がございますが、趣旨説明の省略ということでもございます、また、午後の審議ということでもありますので、私はこの長期優良住宅の普及促進法に関しまして、一般質疑という観点から質問させていただきたいというふうに思っております。

 今回の長期優良住宅促進法ということでありますが、これは住生活基本計画にのっとったものであるということで、私もこの住生活基本法につきましては、当国土交通委員会の委員として審議に参加をさせていただいておりましたので、よく覚えております。

 この長寿命住宅の普及促進ということでございますが、これについては、長期にわたり良好な状態で使用するための措置がその構造及び設備について講じられた優良な住宅の普及を促進するためという説明を本法律案の趣旨説明の中でも私も聞いております。

 そこで、まずはお尋ねをいたしますが、我が国の住宅の寿命についてはどういうものなのかということについて、これは事務方で結構でございますので、端的に御説明いただきたいと思います。

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 厳密に言いますると、直近の平成十五年の住宅・土地統計調査において、ある一定の統計期間に滅失した住宅の平均築後年数、こういったことでございますが、日本は三十年でございます。

馬淵委員 住宅の寿命ということでありますが、今局長から、具体的にはこれは滅失住宅の平均築後年数だ、このように御説明をいただきました。直近の数字では三十年ということであります。

 この滅失住宅というのはどういうものかといいますと、これはいわゆる固定資産税、家屋の固定資産台帳から除却された建物、そのうち新築年次が明確なものを統計的に確認して除却年数というものを確認したものということでよろしゅうございますか。端的で結構です。

和泉政府参考人 御指摘のとおりでございます。

馬淵委員 取り壊された建物でございます。建てた年次がはっきりしているもので取り壊された建物、これを統計上確認されたということで、寿命が三十年ということでございますが、さて、この取り壊し、除却の要因というものについては、国土交通省はどういうものなのかということを把握されていますでしょうか。これも事務方で結構でございます。

和泉政府参考人 もしかしたら寿命が短い理由を先に答えてしまうかもしれないのですが、お許しをいただきまして、まず一番目は、委員御指摘のとおり、戦後の絶対的な住宅不足、四百二十万戸ございました。こういう中で当時の住宅政策というのは、質の確保よりも何しろつくることだ、こういったことであります。ちなみに昭和四十八年になって初めて全都道府県で住宅数が世帯数を上回る、この間は、つくることがメーンでございましたから、質の高い住宅の確保ができなかった、これが一点でございます。

 二点目は、戦後の高度成長の中で急速に都市化をしました。そういう中で当然土地利用の変化が激しいわけでございまして、物理的にはもつかもしれないですが、その場所の土地利用から考えて、そのまま残すことはもったいない、逆の意味でもったいないということがございまして壊してしまった。

 三点目としまして、国民のライフスタイルが大幅に変化しまして、一方で水回りとかキッチンシステムとか、非常に新しいものが出てきて、そういったことを考えると、この際建てかえた方が望ましいというような形で壊されてきた。

 こういったことが大きなポイントではないか、こう考えてございます。

馬淵委員 局長から短くなった要因という御説明の部分もございましたが、除却の要因にどういうものがあるかということでお尋ねしたところ、三点、住宅の質の問題だ、量から質へと転換したけれども、当初は絶対量が足りないがために、量の供給を中心にしてきたために、ありていに言えば質が低かったということだと思います。

 二点目は、急激な都市化の進展ということで、いわゆる高度利用、戸建て住宅から高層の共同住宅等々、こうした高度利用の経済的圧力によって、これも除却、取り壊しというものが促進されたのではないか。

 三点目が、ライフスタイルの変化でございます。それこそ当初は建物についての必要な面積というものも非常に限定されたものだったものが、最近では、当然ながら子供の部屋、あるいはユーティリティー、水回りも含めた設備の拡充ということで、こうしたライフスタイルの変化、設備の変更等が大きな要因であるということで、三点御指摘をいただいたわけであります。

 大臣、今局長からいただいた、除却の要因、あるいは短いとされる住宅寿命の要因、この三点で、どれもそれぞれの要因ではございますが、この中で本質的に非常にこれは重要な問題だと思われる部分について、大臣のお考え、どれだということでお答えいただけたらありがたいと思います。お願いいたします。

金子国務大臣 三点、いずれもそれぞれの要因があるんだろうと。共通しているのは、ちょうど既に馬淵委員が御提出いただきました資料の三ページ目、3ですけれども、これをちょっと先取りしてしまって恐縮でございますが、いい指摘を小松先生が出されているなと。つまり、逆に言えばそれを決定するのは人間の決定だ、何らかの理由で建てかえを選択することが有利であると所有者が判断すればその時点で建物の寿命は尽きるという表現をされておられますけれども、今局長が言われました三つの点、これはいずれも使う人側の選択、消費者側の選択、それぞれの理由はあるだろうと思います。

 もう一つ強いて言わせていただければ、やはり地価が長い間ずっと上昇してきたものですから、上物の住宅の価値というのが相対的に低く見積もられてきたという、地価が上昇しているときの背景もあったのかなと思います。

馬淵委員 大臣からこの三点、まさにこういったものの要因がある中で人間が決めてきたんだ、人が決めてきたもの、私が提出した資料の中の部分を引用していただきましたが、それにまた、背景としては土地の問題というものもあるのではないか、地価の問題というものがあるのではないかという答弁をいただきました。全く私もおっしゃるとおりだというふうに思います。

 こうした状況の中で、大臣の御答弁、私もそのとおりだと思うわけでありますが、一方、この法律の方では、法案の中で、いわゆる長期化させていくためにさまざまな検討を施されています。その長期化をしていく中での検討は、法文の中では、法案審議ではございませんが、もう既に皆さん御承知ということでお話しさせていただきますが、第六条では、「構造及び設備が長期使用構造等であること。」として、これはいわゆる認定の中の項目でございますが、そこで長期間使用に耐え得るものという位置づけが示されていると感じております。

 そこでお尋ねをしますが、いわゆる長期優良住宅、これは認定の部分になるんですが、そこでは構造躯体の耐久性ということについて言及をされておられます。ここでは、措置の具体的なイメージということについて、これは事務方で結構ですが、端的にお答えいただけますか。

和泉政府参考人 二つの事例でお答えさせていただきます。

 例えば、コンクリート造でございますると、コンクリートのいわゆる水セメント比、あるいは鉄筋までのかぶり厚、こういったものはコンクリートの柱の耐久性に大きな影響を与える。そういったものについて一定の基準を設ける。木造でございますと、木の樹脂とか木の柱の太さ、並びに腐朽、シロアリ等に対する対策、あとは通気の確保、こういったことが基本的な耐久性を上げるためのスペックになる、こう考えております。

馬淵委員 この法律に定めている構造躯体の耐久性、すなわち、ここは何を意味しているかというと、先ほど申し上げた三点の要因のうちの、住宅の質の問題についてその措置を図っている部分だというふうに理解いたします。この質を上げていくためには、構造躯体の耐久性を上げていく、数世代にわたり住宅が使用できるということ、これを前提にされているわけであります。

 さて、そこで、今局長の御答弁がありましたが、コンクリートの場合は水セメント比を低く見積もる、すなわち、材料劣化を抑制するという方策を措置として考えておられます。材料劣化というものをとめなければならないんだ、質の問題が非常に重要であり、材料劣化をとめなければならないんだ、抑制しなければならないんだということの措置をこの長期優良住宅の認定要件に挙げられているわけであります。

 先ほど局長からお話しいただきました、直近のいわゆる取り壊されるまでの年数というのは三十年ということでございました。これは過去はどれぐらいのものだったかというと、短かったというような報告がございます。平成八年の建設白書を見ますと、当時、平成八年、九六年の建設白書では、住宅寿命と称して、過去五年間の除却、これが日本の場合は二十六年ということでありますから、今よりも四年ほど短かった。すなわち、大量供給されたものの質が低かったということだと思います。このように二十六年のものだった。諸外国については、アメリカが四十四年、イギリスが七十五年ということで、日本の住宅というものは非常に寿命が短い、ライフサイクルが短い、こうされていたわけでございます。

 そして、これがやがて三十年という数値に延びてきているわけでありますが、さて、この法文の中でも、長期使用という部分については、三十年という数値が盛り込まれております。先ほど申し上げました六条の中には「維持保全の期間が三十年以上である」ということで、まさにこの数値は、先ほどの二〇〇五年の直近の数値、除却までの年数三十年と一致するわけでありますが、これはすなわち、こうした除却イコール寿命という観点から三十年という数値を設定されたんでしょうか。これも事務方で結構です。

和泉政府参考人 今委員御指摘の三十年は、認定基準の中でですね。認定計画の中で、建築後の住宅の維持保全の期間が三十年以上あること、こう求めております。

 この趣旨は、当初に余り長い期間、維持保全計画をお願いしても、なかなかリアリティーがないだろう、そうすると、一つの指針としまして、一世代の交代をおおむね三十年と考えまして、そういった期間程度は、優良住宅の認定を受けるのであれば、当初から維持保全の計画をつくってほしい、こういった趣旨でございまして、現在ある住宅の耐久性の三十年とは直接関係はございません。

馬淵委員 直接関係はないということでございましたが、少なくとも、この除却、滅失という期間、直近における期間が三十年という数値がございます。また、過去においては短かったものが、今時においては、良質な住宅の供給の中で、二十六年だったものが三十年に延びているということで、ある一定の関連性は私はあるのではないかと思うわけであります。

 さて、そこで指摘をさせていただきたいのが、先ほど大臣に引用していただきました、私が配付した資料でございますが、これは、今年度、二〇〇八年の日本建築学会賞を受賞した、早稲田大学理工学部建築学科、小松幸夫教授の「建物の寿命推計に関する研究」というものがございます。この論文の引用でございますが、この小松教授の調査というものは、日本の建物の寿命推計というものを事細かに、さまざまな形で推計されているわけであります。

 その結論としては、建築学会賞を受賞した論文の中では、建物の現状の耐用年数といいますか寿命というものについては、このように述べられております。我が国の住宅はおおむね四十年前後の平均寿命である。約半数が四十年前後で取り壊される。逆に言えば、四十年が建物の寿命ではないか。そして、建物が取り壊されるというのはむしろ別の要因であるということがお配りした資料の中にも載せてあるわけであります。

 この小松教授の研究によれば、四十年前後の平均寿命、もちろんアメリカはさらに長いわけですね。これはおよそ二・五倍、百年ですから、日本の住宅がいかに短命であるかというこの大きなトレンドについては、私は小松教授も同じことをおっしゃっていると思います。

 しかし、重要な観点は、小松教授がここでおっしゃっているのは、除却というものについては、そもそも材料劣化が除却を決定しているわけではないということをここでは小松教授はしっかりと主張をされておられます。すなわち、材料劣化、構造躯体の劣化の抑制を措置として講じられておりますが、一方で小松教授は、材料劣化そのものじゃないんだということを、建物の寿命推計、本年度の建築学会賞を受賞した論文の中でも、調査研究としてしっかりと御報告されているわけであります。

 そうなりますと、本法案審議、午後にやっていただきますけれども、材料劣化が本来の寿命を決定しているわけではない、こうした調査研究を考えれば、むしろ三十年というものが、先ほど申し上げたように、除却年数とは関係ないんだとおっしゃっても、現実にはその数値をここに当てはめている数値でもあり、現状で考えるには、長期優良化を図る中で非常に安易に材料劣化を抑制するという措置を講じていることになりはしないかということを私は指摘させていただきたいと思うんですが、大臣、これはいかがですか。いや、大臣答えてくださいよ。あなたは法案の所管なんですから、大臣、お答えください。技術的でも何でもないですよ。

和泉政府参考人 技術的な事項だけ済みません。申しわけございません。

 まず、三十年につきましては、委員御指摘のとおり、たまたま三十年というのがございましたが、基本的には、三十年の維持保全計画をつくって、長期優良住宅をそのまま使っていこうと思えば、その段階でもう一回変更認定をいただく、こういったことで、維持保全の計画を、当初三十年でございますが、それを延ばしていく、こういったプロセスをたどるわけでございます。

 また、まさに先ほどの論文にもございましたように、ハードな長期使用構造等だけで意味があるわけではございませんで、この法律における長期使用構造等の中には、構造の腐食、腐朽及び摩損の防止という項目もございますが、同時に、いわゆる状況の変化に対応した可変性、こういったものも規定してございまして、そういったことを通じて、委員御指摘のような……(馬淵委員「もういいよ」と呼ぶ)はい。

馬淵委員 いや、私が申し上げているのは、建物の構造躯体を強化する措置というものは、そもそも材料劣化の抑制だということを先ほどおっしゃったじゃないですか。しかし、その材料劣化というものが建物寿命を決定するものではない、こういった研究もある中で、果たしてこのような措置というのが、これは法案審議の中でやっていただきたいと思いますけれども、実は、さまざまな工務店にオーバースペックを要求することになりはしないかということを指摘させていただいているんですよ。これは結局はコスト高になり、中小工務店が大変、こういった法案の規制の中で、今厳しい環境の中で、さらにこれは事業を進めていく上で非常に足かせとなりはしないかということを私は申し上げているわけです。

 大臣、これについてちょっと明確に御答弁いただけませんか。

金子国務大臣 御質問の趣旨が、中小工務店等々に過重な負担ではないかという趣旨はよくわかりました。

 先般、モデル事業として長期寿命住宅についてやらせていただきました。戸建ち二十四件のうちの八件が、中小の建設工務店あるいは大工さん等々がおつくりいただいておりました。

 今先生御指摘の、材質の三十年、四十年という部分については、これだけの判断は私はわかりません。しかし、長期寿命ですから、三十年で終わっちゃうわけではなくて、それを更新していくんだという仕組みであるということと、それから、構造躯体等々で、つくり方等々で、あるいは可変性というさっき答弁したようなことを組み合わせて認定をしてまいりますものですから、そういう意味では、繰り返しますけれども、このモデル事業、中小の建設会社の方々あるいは大工さんたちもこれに対応できている。モデルとして既にできているということは、力強いといいましょうか、決して中小には対応できるものではないということではないんだと思っています。

馬淵委員 モデル事業で中小企業、工務店が入っているから大丈夫だというお話じゃないと思いますよ。

 いいですか。私が申し上げているのは、措置として、建物の長期優良化に対しては材料の劣化を抑制する措置を盛り込んでいますねと確認をしたんですよ。しかし、それに対しては、材料の劣化がそもそも除却、取り壊しの本質的な要因ではないといった研究もあるわけですから、これを声高に進めていくということは、認定基準の中に声高にこれを詰めていくということは、むしろコスト高になるのではないですかと申し上げているんです。

 そして、それは何も中小企業、工務店だけの問題ではありません。これは消費者の問題なんですよ。消費者のプライシングにコストが乗るわけですから、そこは大臣、きちっと政省令を定めていく中でしっかりとこれは考えていただかないかぬ部分だと思いますよ。これはもう答弁はいただきませんが。

 一方で、こうした除却の問題が別の要因にあるということを少しお話をしたいんですが、先ほどもおっしゃいました、まさに人間が決めるものですから、さまざまな要因がある。土地の本位制の問題というのも非常に重いんですね。まず、これでいいますと、どういうものが大きく影響しているかといいますと、実は、こうした三十年で建てかえてしまうということについては、日本と欧米の比較をしますと、欧米先進国の既存住宅すなわち中古住宅の評価の仕方と日本とは違うということなんです。

 欧米では、中古住宅の評価というのはいわゆる原価主義、コストアプローチというのをとっておりまして、これは、同じ建物を建てるとするとどれぐらいかかるかというところからその建物のコストというものを考えます。費用を考えていきます。したがいまして、建物の新しい、古いということがそれほど大きくは影響していきません。しかし、我が国においては、減価償却によって評価した場合の残存価値、これが原価となっていきます。

 そこで、実は会計制度の問題が大きく建物の除却というところに影響してくるんですね。きょうは財務省にお越しいただきましたが、会計制度の中で減価償却の耐用年数というものが別表で定められております。大蔵省令で、戦後間もなく、戦後の昭和二十六年に制定されたんです。耐用年数というものを設定して、それによって建物がどういう価値になるかということが算出されます。

 おおむね今の耐用年数で減価償却していくと、建物というのは二十年から二十五年で価値ゼロになっていくんです。だから、ゼロになってしまって、土地本位で、土地の値段はあるから、ならばそれを建てかえようという需要は生まれるかといったら、そうではなくて、いっそのこと取り壊して新築にしようということになる。長期優良化促進をするならば、実はこうした会計制度にまで踏み込まねばならないということを私は指摘させていただきたいんです。

 そこで、財務省にお越しいただいておりますが、この耐用年数、これも、お手元の資料には、抜粋なんですが、先ほどの小松教授のレポートにあります中で、大蔵省令の主な建物の耐用年数というのを1、2で示しております。例えば、典型的に言われるのはコンクリート造、これは六十年だったものが直近で四十七年に短くなったんですね。

 当初、コンクリートの建物は六十年で耐用年数が定められた理由というのを普通に考えれば、コンクリートは半永久的だ、木造の木は腐って朽ちていく、だから木は短いということになるかと思うんですが、コンクリートは、いわゆるアルカリ骨材反応を含め中性劣化していく中で、これの寿命というものが、中性化の速度を計算していくと、さまざまな研究の結果、六十年というものが定められたというふうに理解をしております。しかし、こうした耐用年数の定めで、中古の建物が資産価値ゼロになっていって、そして最終的にはそれで除却されるという仕組みによって、中古市場というものは現状には非常に成立しにくいといいますか、価値を見出せない状況が生まれている。

 私は、ここが非常に問題だと思っておりまして、財務省の方にお聞きをしたいんですが、耐用年数というものについての考え方、これを端的にお答えいただけますでしょうか。

古谷政府参考人 お答えをいたします。

 先生も御承知のように、企業会計とか税法におきます減価償却というのは、事業用の資産について行われるわけでございますけれども、課税所得を確定いたしますために、減価償却資産に投資しました額を適正に費用配分をするという観点から、その期間配分のために耐用年数というのは決めさせていただいておるわけでございます。

 御指摘のように、昭和二十六年に法定耐用年数の考え方が整理をされておりますが、そのときの資料を御紹介させていただきますと、原則として、通常考えられる維持補修を加える場合に、資産本来の用途、用法により通常予定される効果を上げることができる年数ということで、効用持続年数という考え方で決められてございます。具体的には、減価償却資産の製作または建設をする場合において、その時点での技術または素材の材質等の物理的な要素を考慮いたしまして、それに一定程度の経済的な陳腐化を織り込んで決定するという考え方で設定されてございます。

 当時は、御指摘のございました鉄筋コンクリートづくりのものは七十五年ということで定められておりましたが、昭和四十一年に六十年に短縮をされております。このときには、技術革新等を踏まえまして、企業の内部留保の充実に資するといったような政策的な観点も踏まえられたようでございます。

 その後、平成十年に建物の減価償却の手法を定額法に統一します際に、全体として耐用年数を一〇%から二〇%程度短縮するといった政策的な配慮のもとに、現在のコンクリートづくりでいいますと四十七年というふうになっておるということでございます。

馬淵委員 財務省はあくまで会計上の問題として取り上げられておるわけですが、この小松教授の研究によりますと、建物というのは部材によって、先ほど、まさに措置の中にあるように構造躯体、重要な構造耐力を保持すべき躯体の部分、柱であったり、はりであったり、壁であったりというところで、そこを強化するということが措置にもありますが、この部分の耐用年数と、あと、先ほどもありましたいわゆる維持保全、修繕できるところというのは違ってくるんですよ。実はこれを厳密に計算していくと、耐用年数そのものも、RC造六十年なんて言っていますが、これは部材の耐用年数のとり方によって、三十数年に変わったりするんです。

 私が何を申し上げたいかというと、結局のところ、我が国の住宅の短命、寿命が短いというのは、材料や質の問題等々ございますが、この会計制度によって、耐用年数によって非常に縛られているという部分が大きい、私はこのように思っておりまして、実は、ここにまで踏み込まなければ抜本的な長期優良な住宅の促進ということにはならないのではないか、このように思っております。

 金子大臣にぜひ御答弁いただきたいんですが、これを所管される国交大臣として、真に長期の優良な住宅を促進するということであるならば、こうしたところにまで踏み込んでいく。まさに人間が決定していく部分なんですよ、これは。人間が決定していくのは、建物を持っている人が、さあ取り壊そうと決める部分じゃなくて、これは役所で、政府で決めていく部分ですから、こうしたところにまで踏み込まなければならないということについての御決意をいただけませんか。いかがでしょうか。

金子国務大臣 この法案と耐用年数の会計法上の問題というのが直接的にリンクするのかどうか、それも踏まえて検討はさせていただきたいと思っております。

馬淵委員 検討していただくという答弁をいただきましたので、しっかりとまた検討の経過というものを、この法律が仮に制定された上でも私はしっかりとまた確認をさせていただきたいと思うんです。

 時間も余りございませんが、最後に、構造躯体の措置なども含め、先ほどいわゆる可変化とかさまざまなことをおっしゃっておられました。しかし、ここについては、法案の中ではすべて十九条で「国土交通省令で定める。」という形で、政省令で定める定めになっております。

 この部分というのは非常に私は重要だと思っておりまして、どのような形で具体的に決めていくかによって、先ほど大臣は、中小工務店、いや、そんなに困らないよとおっしゃいました。私はそうは思わない。こうした中小工務店が本当に参画できるような制度になっていくのか、そして、それはコストがそのまま消費者に上乗せされるような形で不利益をこうむることのないように、政省令で定める部分についてはしっかりと開示をしていただかねばならないと思いますが、私が先ほど来るる申し上げた論点について、政省令の定めの中でも、大臣、これはしっかりと認識して定めていただくということ、御決意を持って御答弁いただけませんでしょうか。

金子国務大臣 長期優良住宅の認定ということでありますので、質のいいもの、寿命の長いものということでありますので、建設コストは割高になっていく、他の一般住宅よりはコスト的には高くなっていくという部分は当然出てくるんだろうと思います。

 それだけに、今会計法上の償却年数との関係がありましたけれども、一方で、それがゆえに、使い方の、手入れもあわせてしていただきますので、中古市場での売買価格というものは、それ以外の住宅に比べて有利になっていけるだろう、これは市場が決めますから住宅によって違うかもしれませんけれども。そういう意味で、長期優良住宅というのは、単に三十年で、自分の代で終わらせちゃうんじゃなくて、次の世代につないでいけるような質のいいものということでありますものですから、それだけに、認定はそれなりにしっかりしたものにしていかなければいけないんだと思っております。

 そういう意味で、政省令の部分についても、きちっとまたオープンにして、皆様の御意見に供していきたいと思っております。

馬淵委員 どうかめり張りのきいた答弁をまたしていただきたいなということを最後にお願い申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

望月委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山(泰)委員 民主党の小宮山泰子でございます。

 私も、同じく長期優良住宅の普及の促進に関する法律案を軸にぜひ質問をさせていただきたいと思っております。

 それは、今の景気の悪さ、特に、中小工務店を初め、建設業に関しては非常に暗い話題や死活問題ということが日々取り上げられておりますし、そのような訴えも多いし、また倒産件数もこの業種は軒並みふえております。

 その中において、この法案によって、自分たちが生きつないでいける、そういう意味で大きく期待を持っているからこそ、ここは本当の意味で、地域を支え、そして地域のコミュニティーにも今まで溶け込んで頑張ってきた。そして、これからもその分野というか、そういった思いや貢献というのがあれば、これからの少子高齢化、人口減少という日本の中においての一助になると思っておりますので、ぜひ、大臣におきましては、元気よくお答えをいただければなと思います。

 まず、この点に関しましてですけれども、この法案の中において、最初の、新築を基本的に考えているというのがございます。であるならば、規定の中にもございますけれども、長期優良住宅の認定を受けた後に一たん取り下げた住宅の再認定についてお伺いしたいと思います。

 これは、場合によっては、住宅ではなく、ほかの使用目的になった場合、事業所であったり、デイケアのホームに一時期なるとか、そういったことも考えられますし、また、費用がかかるものでありますので、当然、この点に関しては、私はこの認定は要らない、この制度はしないということが二百年のうちには何回かあるかもしれません。

 しかし、もともと認定を受けてつくられた建物であるならば、一たん取り下げた住宅の再認定というのも、きちんとした補修なりが、履歴が途中ちゃんと残っている、もしくは続けられるということの確認がとれたならば、その後の方が再認定を受け、そしてまた長期優良住宅の認定をきちんと受けることは妥当だと思うのですが、この点について、まず御見解をお願いします。

和泉政府参考人 まず、法制度としては、建築は、新築、改築、増築、こう言っていますので、制度としては、今委員御指摘の既存の建物について認定する仕組みにはなっております。

 しかしながら、既に委員に御説明しましたとおり、既存の住宅についてある一定期間経過したときに、あるいは、今委員御指摘のように、他の用途に転換された場合に、そういったものについては、本当に長期優良住宅としての性能はあるかということについて、既存住宅の性能評価の技術、こういったものについてまだ十分な熟度がないものですから、現時点では、とりあえず基準については新築を中心につくりまして、そういうことになりますと、一回他用途等に転換されたものについては再認定を受ける道は今のところはない。

 ただ、制度的には今冒頭言いましたようにございますので、モデル事業等で既存改修等の実績もございますから、そういうことを並行しながら、既存住宅の性能評価といったものの技術について深掘りをしながら、そういった方向については前に進んでいきたい、こう考えております。

小宮山(泰)委員 この問題、既存の住宅が、日本は今特に住宅のストックが五千四百万戸ございます。大体そのぐらいでありますし、新築の着工件数は大体百万戸か百十万戸、そして、そのうちこの認定を受けていくのが約十万戸と言われております。

 やはり、この既存ストックというもの、既に建っているところに対しても認定ができるようになっていかない限りは、市場の中において優位性という意味では、これを受けていないものの値崩れであったり、また、よくこれは二百年住宅という表現をされるわけですが、実際に長期にもっている、これからももつであろうという本当に実績を積んだ住宅というものに関しては認定が受けられないという、ある意味矛盾も私は感じております。

 その点に関して見れば、本来、やはりこの点をもう少し、モデル事業などもやっているのであるならばなおのこと、既存のストックに対しての認定というもの、特に、そんな何代も住みかえていない、またつくった工務店もわかっている。その点に関して、既存のストックに対しての策、これはやはり、認定をできるようにするということは法律上は可能な制度になっているわけだし、いつかは新築だったものも既存のストックになっていくわけなので、そこを考えるなら、いつぐらいになったら目安がつくのか、この点、お考えがあれば、また見解があれば教えてください。

和泉政府参考人 まず、委員御指摘のように、五千四百万戸のストックがあるわけでございまして、長期優良住宅の認定を一度受けたものをもう一度再認定するという議論も大事でございますが、一方、現在ある住宅、こういったものについて性能評価をしていく、こういったものも大きな課題だと思っております。

 そういう意味では、現在の住宅品質確保法の中の住宅性能表示制度におきまして、既存住宅の性能評価という仕組みもあるわけでございますが、委員御承知のように、非常に実績が少ない。片方で、民間の既存住宅の評価をする、いわゆるインスペクションの会社がございますが、逆にこちらは消費者からの信頼が薄いということがございまして、これをまず既存の住宅一般に対する評価という観点からしっかりと勉強し、既存住宅評価の技術についても開発してまいりたい、こう思っております。

 そういったことをベースにしまして、今委員が御指摘になりましたように、モデル事業では既存住宅の改修ということについても力を入れていますので、そういう知見を生かして、何年後ということは今この場で約束できないわけでございますが、可及的速やかに既存住宅についても取り組めるように努力をしてまいりたい、こう考えております。

小宮山(泰)委員 既存住宅の住宅性能表示制度、確かにございますし、特に、新築、既存を問わないということ、これは、住まいの情報発信局の方の資料の表紙に書いてあるのは、監修は国土交通省住宅局住宅生産課でもありますし、この点を早く進めなければならない。

 そうでなければ、このモデル事業で、去年の概算要求が百八億円ぐらいですか、それがさらに要望もあったということで百三十億にふえるという額を使っているわけです。今、いろいろなものが削られて削られている中にもかかわらず、これだけふやしていく策があるわけだから、この策のモデルケースなどもしっかり加味して考えなければならないし、既存ストックが大量にある現実として見れば、また特に、後ほど質問させていただきますが、センチュリーハウジングなど、いろいろな考え方、長期間にわたって建造物を使い続けられるようにするという考え方は広まっている面もあります。

 特に、住居ではないところが今使い方を変更するということで事務所が住居になったりということを考えれば、そういったところは既にスケルトンであったりいろいろなものがされていることを考えれば、これは対応できるんだと私は思いますので、この点に関してはぜひ早く、いつになるかわからないというのではなく、この法案自体も十年以内に検討も加えなければいけない条項になってもいますので、これは市場に与える影響ということを考えれば、モデル事業だと一戸当たり大体二百万円を出すわけですから、それを使ってでも、逆に既存の住宅にそういった優良住宅の評価がつけられるようにするということも、なかなか難しいとは聞いてはおりますが、検討課題になるんだと思います。その点、いかがですか。

和泉政府参考人 ストックを有効活用したいという気持ちは全く委員と同じでございまして、決してやりたくないんじゃなくて、技術的に難しいので、今一生懸命勉強しますと申し上げております。今後とも一生懸命勉強させていただきます。

小宮山(泰)委員 一生懸命されるのは、ぜひもっと一生懸命やっていただきたいと思います。具体的にならないと、もう既に市場は動き出してしまっています。去年からもそうですが、各ハウスメーカーさんは、二百年住宅といって、大々的に二百年もつかのような表現も随分されております。

 大臣、通告とは順番が違うかもしれませんけれども、ここでちょっと伺いたいんですけれども、二百年住宅と聞いた場合、この家は二百年もつ家だというふうにぱっと思いつかれるでしょうか、それとも、二百年間お金をかけてずっとメンテをし続けなきゃいけない家だというふうに思いますか、感想で構わないんですが。

金子国務大臣 長期にもつ住宅だろうなという印象は持ちます。

小宮山(泰)委員 そうなんですよね。長期にもつ住宅だろうなというイメージなんです。

 これは、長期にもつのではなくて、長期にもたせるための法律であって、そのためには手間とお金をかけなきゃいけない。買う側もそうですし、これをつくった側もかかってくる。当然、記録の保持であったりとか、データを次のところに持っていく、不動産の売買のときにもそういうものもかかってくる。手間とお金と、いろいろなものがともかくかかる、維持をするために非常にかかるという、ある意味、今までの住宅とは違う価値観を生んでいくものでもあります。

 ここで、私は、予算案とかいろいろな資料を見ていて気がつくんですけれども、この二百年住宅というフレーズは余り使わない方がいいのではないか。やはり間違ってしまうのではないか。

 それは、一つには、私の選挙区で前に認知症の女性の方がリフォーム詐欺に遭われました。こういった制度ができることによって、やはりこれからは住宅というのは次の代、息子さんのためにとかいろいろなことを言って、こういう認定制度を受けなきゃいけなくなりましたからと言って上がり込んでくる、もしくは、履歴書をつくって置いておかなければならないんだという。五千四百万戸のストックがあって、年間の新築のうちでも一〇%、一割しかないということであるならば、全体から見れば余り需要がないと言っても過言ではないと思うんです。

 そういった中で、間違った知識、商業的に二百年住宅ということは恐らく大々的にコマーシャルなどでもどんどん出ていくことになるでしょうから、そういったことをしなければいけないと言って、セールストークでまたサインをして、また要らない補修であったり、評価をした家の履歴から全部聞き出されてしまうような間違ったような詐欺に遭う危険というのも、この法律ができることによって、そういったところにつけ込むこともあるかと思っているんです。

 この点の対策について、制度が実際施行される前からもっと強化をするべきだと思いますが、この点に関してお願いいたします。

和泉政府参考人 委員御指摘のように、せっかくの住宅政策がそのようないわゆる悪質リフォームなどに利用されてしまっては全く不本意でございます。

 かねて、いわゆる悪質な業者による住宅リフォームに関するトラブル、これが社会問題化していたところでございます。これに対しまして、関係省庁が連携して、都道府県と政令指定都市のもとに、リフォーム相談窓口の設置などによる情報提供、訪問販売業者に対する指導、悪質商法の取り締まり等の措置を講じてまいりました。

 今委員御指摘のように、この制度がスタートする前に、そういった問題が起きないように、その相談窓口等に、そういった心配があるので、そういったことについてもしっかりと注意喚起してほしいというようなことについては、この制度ができる前に十分周知徹底してまいりたい、こう考えております。

小宮山(泰)委員 ここはやはり耐震偽装とかそういったことを経てきている日本だからこそ、どこから来たのかわからない、そういった業者が入り込むすきを与えるんだと思います。顔が見えたり、その業者の家族の顔が見えるような関係性であるならば、こういったことはなかなかやれないんだと考えておりますので、やはり地域の工務店や、そういう長年つき合える、家の中に入ってきても安全で安心感が持てるような関係ができる、こういう地域づくりのための中小工務店さんやそういった企業というものの育成というか保護というものも、この法案の中に、また住宅政策という中では重要な観点だと考えております。

 ただ、残念なことに、今この法案に、先ほどから出ております超長期住宅、長期の上にまた超がつくという二重の言葉というのもちょっと日本語としていかがなものかとは思うんですが、超長期住宅先導的モデル事業の採択というのを見させていただきました。

 これは第一回の応募で六百三件、そしてそのうちの四十件を採択し、第二回では三百二十五件の応募があって、その中で再提案されたのが百九件ということで現在審査中でもありますけれども、多くの方が、一戸当たり最大二百万円の補助を受けることができる制度とされております。

 これは、個人の資産に資するものというのはなかなか、災害対策等をやっていますと、個人の住居、壊すのには随分とあれでしたし、やっと去年ですか、私たちの提案どおりではないですけれども、額の面は違いますが、国会においても、資産をつくること、そして生活を再建させるための個人資産に対して、補助金というんでしょうか、出すということが決定されました。

 それから見ると、これは百三十億円もの予算を使い、そして一戸当たり二百万円、これはつくったメーカー方に補助を出す形でこれに資するようにして、どちらかというと広報、啓蒙のための費用という感じもするんですが、それによって優良な住宅というのが個人に資されるということは、後々の資産形成に二百万円の補助を実質もらって高く売れるというのは非常にうらやましいというか、いい制度ではありますけれども、ちょっとだけ考えるところもございます。百三十億円の税金を使うには、どれだけの人がお支払いになって大変な苦労をされたのかということを考えると、このモデル事業の結果というものはきちんとこの法案や今後の住宅政策というものにも反映されるべきであると考えます。

 そして、この長期優良住宅、これはことし初めてでもありますが、結果が出るのが二十年、三十年後ということにもなります。もしくは、この認定を受けた人、この事業の認定を受けた、採択された住居が売買をされるときになって初めて、この制度というものがどういうふうに市場で動いていくのかというのがわかる。

 そうやって考えますと、一度や二度とか、またホームページ上でちょっと載せるというだけのモデル事業にしてしまったのでは、その効果というものは図れないし、活用されないし、生かされることはない。国民の税金がそういう意味では生かされないということにもなってまいります。

 この点に関しまして、ぜひ、もっと、公開もそうですし、事業評価を見るということを続けていくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

金子国務大臣 大事な御指摘だと思います。

 長期住宅の家歴、具体的に、どこをリフォームした、水回りを直したといったような、あるいは世帯がかわったときに間仕切りを動かしたとか、こういったような可変性あるいは耐久性というものが家歴とともに動いていくものですから、そういう意味で、今回、単発の事業ではなくて、今御指摘のように、これが目的を達成するものかどうかということが確認されてきませんとモデルの意味がありませんので、それは御指摘のような観点からこれをチェックしてまいりたいと思っています。

小宮山(泰)委員 今大臣がおっしゃっていただいたとおり、やはりこのモデルケース、モデル事業というものがきちんと効能があるんだということが確認されなければ意味はない事業になっていくんだと考えます。

 それでは、このモデル事業の成果というものはどのように法案に、また今後の施策に生かしていくのか、具体的にちょっとお聞かせいただけないでしょうか。

和泉政府参考人 仮にこの法案が成立すれば、長期優良住宅の仕組みはスタートするわけでございますが、これは今委員るる御指摘にありましたように、不断に見直しをしてさらによいものにしていく必要があると思います。

 特に今の議論との関係でいえば、このモデル事業等を通じて、既存の住宅の改修あるいは評価というものについての蓄積ができますので、そういったことから、一番最優先で制度の見直しなどについて反映してまいりたい、こう考えております。

小宮山(泰)委員 この点をぜひお願いいたしますし、私もこの点はこれから長期にわたりしっかりとチェックをさせていただきたいと思いますので、途中で追跡ができなくなるような、そんなようなことはないようにお願いしたいと思いますし、また、この超長期住宅先導的モデル事業については、ぜひ、やはり公開ということをもっとしていただきたいと思います。

 また、この採択に関して見れば、件数を見ると四十件といいますが、戸数はもっとたくさんございます。その中で、大手ハウジングメーカー一社が二百戸とか二百五十戸をとっていくのに対して、こういう建設業の団体さんは全体で七万社あるところが五百戸をとったというふうにも聞いておりますので、やはりそれだけ、資本があるところや、そういうパッケージで、パネル工法というんでしょうか、いろいろなところでできるところはこの認定を受けることがしやすい可能性が高い。そして、そうでないところはなかなか難しいんだと。

 先ほど大臣が中小工務店に不利益にならないというようなことをおっしゃいますが、このモデル事業の採択の関係から見ても、なかなかこれは難しいんだということは私は実感をしております。やはりこれは不利益にならないようにするということを念頭に、ぜひお願いしたいと思います。

 また、これは指摘ではありますけれども、先ほど価値観の変化ということ、これが長期にわたって、日本の場合は、アメリカもそうですしヨーロッパと違って湿度もありますので、やはりなかなか耐久年数というものも違う。そういったところから、今までの建造物等を、そういう意味では長期に使わないという部分もあると思います。

 そうやって考えますと、これからは、やはり保険の部分であったり、長期になればその価値観というものを認める制度というものもなければなりません。地震保険であったり火災保険、固定資産税、特に地震に関しては、相当のところも倒れないようなことになっているわけですから、うんと額が下がるということも含めて、これにすれば相当メリットがあるんだと。もしくは、価値観という意味においては新築と同じだけであるならば、メンテナンスをすることで新築と同じように価値がいつでもいつでも高い状態というのであれば、それは保険料を取るのにも高くつくということも発想としてはあり得ると思うので、この点に関してもぜひ研究をしていただくことを検討していただき、新しい価値観を生むための努力をさらにしていただきたいと思います。

 そして、先ほどからありますけれども、この施策が、この法案が出る前ですね、昭和五十年代になりますが、センチュリーハウジング住宅というものが施策でございました。大臣、覚えていらっしゃいますか。首を振られたというのは、余りよく御存じない、ですよね。センチュリーハウジング、これは施策でございました。考え方というところではありますし、今、ベターリビングさんの方で認定等もまだ引き継いでやっていらっしゃいますけれども、時代とともにライフサイクルの変化に対応できるように間取りのフレキシビリティーが求められるようになるということで、いろいろな今のこの長期優良住宅にも通ずるような規格やものを提案しております。

 当初は、これは認定制度でもありますし、いろいろな大手さんも含めまして、戸建てや集合住宅に認定制度をしておりました。これ自体は、百年快適に住み続けられるための設計、生産、維持管理にわたるトータルシステムとして進められました。しかし、残念ながら、百年たつことなく三十年ほどで、既に余り記憶をしている方もいらっしゃらない。また、この認定に対しての申し込みも現在はなくなりました。一説によりますと、補助とか住宅金融公庫の特例とかの優遇措置がなくなった途端に申し込みがなくなったとも聞いております。

 この点を踏まえまして、現在、これがどういった状況にあるのか、このセンチュリーハウジングというものがちゃんと生かされているのかどうか、ぜひ、ちょっと簡単に伺わせてください。

和泉政府参考人 個人的なことなんですけれども、二十四年前に、私、住宅生産課の係長でこれを担当していたことがございまして、大変思い出深い施策でございます。

 当時も、やはり住宅の耐久性向上という話がございまして、今委員御指摘のように、いわゆるスケルトンとインフィルといった発想、このころに初めて出てまいりました。

 当時は、こういった新しい法律を制定するまでの熟度がなかったものですから、御指摘のように財団法人の認定制度でスタートして、ただし、やはり実績を上げたかったものですから、住宅金融公庫の当時でいえば割り増し貸し付け等を措置して、五十九年度の創設以来六十二件、累積で八千九百五十一戸の住宅が供給されました。

 このこと自体は、いずれセンチュリーハウジングの仕組みやこの長期優良住宅に吸収されると思うんですけれども、こういった長期優良住宅の仕組みが提案されるまさに先駆けとして、業界あるいは政策担当者の意識を変える大きなきっかけになったんじゃないか、こう考えています。

小宮山(泰)委員 きっかけはそうかもしれませんが、ここで私は指摘をさせていただきたいし、また大臣以下にも伺いたいんですが、先ほどもお話ししましたセンチュリーハウジング、百年快適に住み続けられると言ってどんと打ち上げた割には、百年は、思い出深いし、逆にこのいい面は、その発想というものが新しい価値観として大きく広がったがために、この施策自体は要らなくなったんだというふうに私も考えます。

 ただ、百年と、センチュリーとうたったものが三十年後に余り覚えられていないということは非常にさみしい限りでもありますし、また、大きく出るからこそいいというものでもないことをかんがみると、今回も、法案上は長期優良住宅となりますけれども、予算上であったりいろいろなところで二百年、二百年とうたうのはいかがなものかなと思います。

 また、これは期限がわかるものでもありません。間違いなく、ここにいるメンバーで二百年生きてこれを見届ける方はいらっしゃらないし、百年後も厳しいと思いますので、その点に関して、やはりこの先の予算要求も含めまして、いろいろな事業に対して、やはり二百年住宅、先ほど大臣も言いました、二百年もってしまうような、長期にわたってもってしまうようなイメージというのと相合わせると、この点、注意深く見なければいけないので、この言葉の使用というものはよほど注意しなければいけないと思いますが、その点に関して、今後は、長期優良住宅は長期優良住宅だとはっきり使うということで、二百年という言葉ではない、そういったことをぜひ、指導なり御決意があればお聞かせください。

金子国務大臣 長期優良住宅ということで使わせていただきます。

小宮山(泰)委員 ありがとうございます。

 これは、一つには、国がこういう二百年という言葉をいろいろ多用することによって、国が認定をしたんだからといって、その後、それをもとに、もともと一番最初は自民党の福田前総理大臣の座長だったところから出ているようにも思われるのですが、やはりこういったところで、そのときにそういったことがすべて、商標であったり、いろいろなものでそれを信じて買った人たちの、これから消費者庁をつくられようとしている政府であるならばなおのこと、この名称というもので責任を国が問われていくということも重く考えていただき、ぜひこの点は、使用はやはりしない方が無難ではないかということを指摘させていただきます。

 さて、最後になりますけれども、ぜひここは、長期優良住宅制度、これは地域で中小工務店さんの不利益にならないということであれば、やはりメンテナンスというものも重要な点になっていくと思います。この点に関してみれば、ぜひメンテナンスがし続けられるような仕組みというものも必要だと思います。

 その点に関しては、職業訓練校というのがいろいろな形で設置もされておりますが、これは厚生労働省の管轄であったり文科省であったりということもあります。なかなか技術者を育てるというのは、昔は、研修をしにいろいろな若い人たちが集まって、低賃金というか、そういうものがなくても、技術を習得するためにいろいろな、親方のところに来るようなことがありました。しかし、今はそうもいきません。また、職業訓練校というのは、経済的にも今なかなか厳しい点もございます。

 この点に関しまして、技術の継承や、また今後、木造住宅なども含めて、安心して住みやすい、本当の意味で職人の手による住宅促進というもの、維持管理というものが望まれていく時代になると確信しておりますので、国土交通省も、この技術者の養成という中において、職業訓練校など、また、場合によっては、生徒さんたちの働いているところに対しての助成であったりとかいろいろな方策で、技術者を育てるということにも国土交通省ももっと積極的にかかわるべきであると考えますが、この点に関して大臣の意見をお聞かせください。

和泉政府参考人 御指摘のとおり、日本の伝統的な木造建築技術の承継、これは非常に大事でございますし、そういったことができるのは、今委員御指摘の地域の大工、工務店さんたちでございます。

 私ども国交省としましては、いわゆる木造住宅の振興とかあるいは現在の建築基準法になかなか適用できない伝統的な木造建築技術、そういったものの普及の基盤をつくる、こういったことを通じて、今先生御指摘の、木造に携わる技術者の方々が安心して社会に出られるような、そういった環境づくりに最大限努力してまいりたいと考えています。

金子国務大臣 都道府県で技術力向上のための講習会をやる、あるいは先ほど来話が出ていましたが、今度の長期住宅についても、中小の工務店あるいは大工さんたちがこれに参画できる、参画する、長期のためですから、お亡くなりになっちゃうと消えちゃう可能性があるわけですね。ですから、地域でもって大工さんたちをいわばサポートするセンターをつくって、そこで長期住宅のメンテナンスもやっていくというような新たな仕組み、つまりサポートセンターの仕組みですね、これもあわせてつくりたいと思っています。

小宮山(泰)委員 ぜひ大臣、それもあわせて、技術の継承や、また技術の向上のために国土交通省も全力を挙げていただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

望月委員長 次に、長安豊君。

長安委員 長安豊でございます。

 金子大臣におかれましては、初めての質疑でございますので、よろしくお願いいたします。

 きょうは一般質疑ということでございます。その中で、さまざまなテーマについて御議論をさせていただきたいと思っておりますけれども、先般、総理が、十月三十日に記者会見を開かれて発表されました生活対策の中でも、この国土交通委員会の、国土交通行政にかかわる住宅ローン減税というものについて、まずお伺いしたいと思っております。

 住宅ローン減税、毎年控除額というものが変わってきているというのが現実でございます。そういう意味では、今回総理がおっしゃった、控除額を過去最高のものにするというようなお話もございましたけれども、ある意味、毎年変わってきているという意味では、住宅購入希望者の混乱を招く可能性もあるわけであります。この住宅ローン減税の枠組みというものを早く確定して、購入希望者の方々に安心をして物件を購入していただく、さらにはローンを検討できる環境を整えるということが求められていると思っております。

 一方で、昨日の日経新聞によりますと、大手の不動産会社などがマンションの発売の予定戸数を大幅に下方修正しているというような記事もございました。実際、契約率もこのところ低下しているという現実がございます。そういう意味では、不動産市況が低迷しているわけであります。

 そういう状況下、国土交通省として、まず住宅の販売状況、さらには今後の見通しについてどのように分析をされているのか、お伺いしたいと思います。

和泉政府参考人 委員御指摘のとおり、住宅の販売状況につきましては、例えば首都圏で御説明しますると、首都圏の新築マンション供給戸数を見ると、直近の九月では、わずか二千四百二十七戸でございまして、対前年同月比で五三・三%の大幅減でございます。

 一方、まさに御指摘のとおり、販売の低迷から在庫が積み上がっておりまして、この十カ月ぐらい、一万戸を上回る水準でございますし、また、契約率についても厳しい状況がございます。

 国民に強い持ち家ニーズがあるわけでございますが、こうした状況になっている背景としましては、資材価格の高騰等によって住宅の価格が上がっているということと、所得についても伸び悩んでいる、こういったことが大きな背景かと思います。

 ちなみに、いわゆる年収倍率でございますが、首都圏のマンションの平均でいいますと、平成十八年に五・三倍であったものが、平成十九年には五・八倍になっています。

 今後の販売見通しにつきましては、今言ったような景気の状況を考えると、しばらく厳しい状況が続くんじゃないか、こういったことについてはしっかりと注視する必要があろうかと思っています。

 そういった意味でも、住宅需要を喚起するための住宅税制の拡充が必要か、こう考えております。

長安委員 今回の生活対策では、住宅ローン減税については、冒頭申し上げましたけれども、最大控除可能額の引き上げということをおっしゃられているわけであります。

 具体的にどういった制度設計を検討しているのかということをお伺いしたいのと、また、その場合の経済効果についてどのように試算されているのか、これは国土交通省の方にお伺いしたいと思います。

和泉政府参考人 御指摘のとおり、今回の生活対策におきまして、住宅ローン減税の期限延長、最大控除可能額の過去最高水準までの引き上げ、こういったことが盛り込まれました。

 現時点で、まだ確定的にその制度設計が終わったわけでございません。今後のことでございますが、その際の検討の視点としまして、過去最高水準といったものがどういったものだったか、加えて、最近の住宅価格の水準といったものをベースに具体的な制度設計をしてまいりたい、こう思っております。

 加えて、住宅ローン減税の大幅拡充は、中堅勤労者、こういった方々に本当に効くためには、従来の所得税だけじゃなくて個人住民税、これが不可欠でございます。そういった観点から、制度設計について鋭意努力してまいりたい、こう思っております。

 次に、御指摘の経済効果でございますが、現時点では、当初の私どもの要望、最大のローン対象が三千万まで、控除額が三百万まで、こういったもので試算してございますが、その試算によれば、住宅着工は約七・七万戸引き上げ、これは経済波及効果まで含めれば三・七七兆円の経済効果、これを従来のGDP当たりの雇用創出効果の原単位に掛け合わせますと、十九・五万人の雇用創出効果があるわけでございます。

 最終的な制度設計はまだでございますが、これを上回るということになれば、今私が御説明しました数字以上の効果が出てまいるものと期待してございます。

長安委員 今、三兆円以上の経済効果があるというお話でございました。確かに、この住宅ローン減税が景気浮揚に一定の効果があるということは私も認めるわけでございますけれども、今、現状においては、そういった住宅ローン減税の枠組みというものが決まっていないわけです。十月の末に発表されたときには、ただ単に最高水準までの引き上げということをおっしゃられただけでございまして、今おっしゃられた住民税にも充当されるのか、それによって中低所得者の方々へも効果があらわれるのかというのがいまだ決まらない。

 冒頭申し上げましたけれども、そういった中で、購入予定者の方々というのは、ある意味、今逡巡されている状況だと思います。この年末にかけての間は、恐らく買い控えが逆に起こってしまうのではないかと私は危惧しておるわけであります。

 今後のプロセスという意味では、今決まっていませんという参考人の御答弁がございましたけれども、要は、これから与党の税調であったり政府の税調でもんだ後で出てくるからということだと思いますけれども、そういったプロセスになってくると、結局は、ことしの年末から来年の冒頭にそういった具体的な話が出てくる、その中でまた国会審議もこういう状況だからということで、どんどん先送り先送りされていくのではないかなと私は危惧しているわけであります。

 この数カ月間需要が冷え込んでしまうということを考えたときに、いち早く何かしら対策を打っておく必要があるのではないかと私は思うわけであります。大臣、御意見をちょっとお伺いしたいわけでございます。

金子国務大臣 住宅ローン減税、租税特別措置法でありまして、何年かに一遍見直しをしてやってきております。来年につきましては、こういう国内の、世界の景気状況でありますので、住宅というものを内需の一つの大きな柱に位置づけていきたいということで、十月に方向が出されたものであります。

 ただ、先ほど来議論がありますように、どういう制度設計にするかというのは、租税特別措置法の改定でありますものですから、これは次期通常国会で租特法の改正を行うというテーマでありますものですから、それに向けて制度設計を、住民税を本当に入れられるかどうか、入れていく枠組みをつくるのかどうかというのを、今政府内あるいは政府・与党で議論を詰めているところでありますので、そういう意味では、もっと早くやれよということに対しては、税制の改正でありますものですから、国会の審議という、改正であるということはぜひ、国民の方が期待されるというのはよくわかります。

 ただ一方で、この住宅ローン減税というのは、適用になってきますのは、入居の時期というところに税制は着目されていますものですから、通常、その注文あるいは交渉あるいは営業してから数カ月間実際時間がかかってくるんだと思います。そういう意味で、大幅な、大体こういう方向でというのが方向感覚が出れば、年内のうちから、ある意味、それではこういう交渉をしていこうかということでの住宅需要というのは喚起されていくのではないかと期待しています。

長安委員 もちろん、私は、住宅需要が喚起されていくということを否定しているわけではございません。

 ただ、今おっしゃられたように、住宅の購入というのは何カ月も積み上げてというお話もございます。だからこそ、例えば十一月の初頭に契約しようとされていた方は、あんな記者会見を突然されたら、契約はちょっと待ってくれ、もう一、二カ月おくらせてくれと。先行きが見えて、年内に契約して年内に入るというようなことではなくて、年明けまで待ってくれという期間が出てしまうということが問題だというお話を私は申し上げているわけです。これは何としても、これだけ景気が冷え込んでいる状況です。政府としても、できる対策はぜひとっていただきたいと思っております。

 それと、先ほど同僚委員からもお話がございましたけれども、住宅ローン減税をするというのは、あくまでもローンが成立した方に影響があるわけであります。一方で、中小企業への貸し渋り、貸しはがしということが問題になっている。そういう中で、住宅ローンを申し込もうという方もなかなか審査が厳しくてはじかれてしまうということも起こっているわけです。

 この住宅ローンがふえていかないと当然この効果も小さくなってしまうわけでありますから、ここは、国土交通省の所管ではないのかもしれません、金融庁と連携をしながら住宅ローンが円滑に実施されるように、ぜひ大臣にもお取り組みいただきたいと思っております。

 続きまして、前国会からの積み残しの課題をちょっとお話しさせていただきたいと思います。

 空港法の問題であります。空港法の外資規制の問題。前通常国会ではこの外資規制の問題が法案の中に盛り込まれるということでございましたけれども、紆余曲折の末、先送りされてきたわけです。

 そのときの委員会での鈴木航空局長の御答弁では、「年内のできるだけ早い時期に結論を得る」ということをおっしゃられたわけでございますけれども、この外資規制についてどのような検討を行ってきたのか、また結論の方向性についてお伺いしたいと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生がおっしゃいましたとおり、年内を目途に結論を得るべく検討を進めているところでございます。具体的には、この八月に、空港インフラへの規制のあり方に関する研究会というのを立ち上げまして、ここで具体的な検討を行っております。空港インフラへの規制というのは、行為規制とそれから資本規制、この両者を含んでおりまして、その両者についての検討をいただいております。

 この研究会は今までに五回開催されておりまして、その中で、ただいま御指摘の外資規制でありますが、外資規制については、外国資本だけ取り扱いを異にするというのは余り合理的ではないのではないか、したがって、外国資本、国内資本、それについて差別することなく、資本規制について規制が必要かどうかということを検討すべきであるというのが研究会での合意事項になってございます。

 ただ、どのような規制を導入するかについては、ただいま五回開催されたと申し上げましたけれども、まだ年末にかけて研究会において議論されることになっておりますので、十二月の半ばぐらいを目途に報告書という形でまとめていただくことを予定しておりますが、その報告書の内容を踏まえて私どもとしても適切に対応してまいりたい、かように考えております。

長安委員 年内に結論を得るということで、大分この研究会の中でも議論がなされてきたことだと思います。ぜひ大臣にも御認識いただきたいと思います。

 この問題というのは、そもそも、国土交通省が外資規制を行うべきということを決定して、しようとしてという言い方の方がいいかもしれませんが、ほとんどコンセンサスが国土交通省の中でとれた中で国会に出そうとしたけれども、さまざまな意見がある、外資だけをねらい撃ちするようなことがあっていいのかという意見があったから、ある意味結論が出なかったんですよね。

 結論を得るためのプロセスを考え直してみると、やはり国土交通省が議論する、あるいは国会だけで議論するというのではなくて、研究会を立ち上げて、そこでさまざまな有識者の方に入っていただいて、ある意味方向性をつけていただいて最終的に結論を出そうじゃないかという、ある意味結論を得るためのプロセスをちょっといじったわけですね。だからこそ、逆に言うと今ゴールに近づいてきているんだと思います。これは、私は方向性としては間違っていないと思っております。この話はちょっと後段でまたさせていただきます。

 空港法の三条に基本方針について書かれております。前通常国会では、前々々、元国土交通大臣の冬柴大臣ですね、もう三代前になりますか、その大臣が、基本方針を作成するに当たっては、「平成十九年六月の交通政策審議会航空分科会答申の際に精緻に行った需要予測を踏まえて、空港の設置及び管理の意義及び目標などの事項を定めてまいる所存」と御答弁されたわけであります。

 その後、もちろん、航空需要の予測というものは、航空の需要というものが世界経済がこれだけ激動している中で変動していると思います。そういったものも踏まえて基本方針というものが策定に向けて進められているんだと思いますけれども、この基本方針の具体的な検討状況について、どうなっているかというのをお伺いしたいと思います。

前田政府参考人 ただいまの基本方針の関係でございますけれども、空港の設置及び管理に関する基本的な方針、今先生からの詳しい御説明にもありましたとおり、空港法に基づいて、交通政策審議会の意見を聞いて定めるということになっておりまして、この七月から交通政策審議会の方で御審議をいただいておりまして、これも十二月に取りまとめを行うことになってございます。

 交通政策審議会でいろいろな議論が交わされておりますけれども、具体的に申し上げれば、空港の利用者利便の向上でありますとか我が国の国際競争力の強化、それから地域の活力の向上、こういったものを基本理念として中長期的な設置及び管理のあり方を考えるべきだという形での審議が行われてございます。

 今後でございますが、パブリックコメントの手続などを利用して広く一般の方の意見も伺いながら、基本方針の策定に向けてより議論を深めていただく予定でございまして、私どもとしましても、今後、空港政策を遂行するに当たってのまさに基本的な指針となるような立派な指針を策定していただくことを期待しているところでございます。

長安委員 今御答弁いただきました交通政策審議会の中の航空分科会の中で議論がされているというお話でございます。この中の議事録も私は拝見させていただきましたけれども、私の地元でございます関西国際空港の村山社長もここに出席されていろいろ御意見を述べておられます。その中に、やはり国全体の航空政策を考えるときに、果たしてそれぞれの空港が今後持続可能な運営を行っていけるのかということも重要な議論になるわけであります。

 この関西国際空港については、もう大臣御存じのことだと思いますけれども、厳しい財務体質の状況がございます。さらには、平成二十一年度の概算要求の中では、この二期事業に対する予算というものも今回は盛り込まれなかったということでございます。こういった二点が本来であれば航空分科会の中でしっかりと議論されて、今後の関西国際空港が厳しい財務体質をいかに乗り越えていくのか、そのためにどういった議論をしていかなければならないのかということが本来議論されてもよかったはずなわけでありますけれども、されていなかったということを、ぜひ大臣、御認識いただきたいと思います。

 この関西国際空港については、十九年、二〇〇七年、昨年の六月にこういった二期計画というものの概要は、ここにあるわけですけれども、出されております。国土交通大臣として、今後の関西国際空港の整備についてどのような方針を持って臨まれるのか、さらには、この二期計画案をもしごらんになっていればどのような評価をお持ちか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

金子国務大臣 大変残念なんですけれども、国内、国際線ともに運休、減便という動きが今出てきている。これは、どういうふうに需要をさらに図っていけるのか、図られるのか、これがやはり一番、関西空港にも需要を喚起していただくということは求めていかなきゃいけない。

 ただ、国土交通省としても、この整備というのは大変重要な課題でありますので、残る二期事業について、御存じのとおり、平成十六年に財務・国土交通大臣合意というのがありますけれども、ここで、需要動向、会社の経営状況を見守りつつという合意になっていますので、ここを突破できるように需要を拡大していくということをやはり進めていただくと同時に、また国土交通省としても進めてまいりたいと思っています。

長安委員 今の御答弁は、需要を喚起して、需要が起こってくれば整備も進めていくよという御答弁だという了解でよろしいですね。

 今、需要を喚起していくことは関空会社もまた地元も努力すべきだということだと思うんですけれども、しかしながら、先ほど申し上げました基本方針の中で、本来、国としてのあるべき空港の設置あるいは運営の今後のあるべき姿というものが議論されないといけないと私は思っております。

 そういう中で、この基本方針の中で、先ほど申し上げましたように、関空一つの空港を見たときに、果たして今のままで需要が倍、三倍に急にはならないわけです。一方で、一兆円以上の有利子負債を抱えているというこの財務状況を見たときに、こういったものまで踏み込んだ議論が先ほどの基本方針の中で触れられるべきではないかと私は思いますけれども、大臣、御見解はいかがでございましょうか。

金子国務大臣 私が伺っておりますのは、基本方針の議論の中では、関空の財務構造の改善についても、国際競争力強化、安定的な経営基盤の確立の観点を念頭に置きながら策定作業を進めているというふうに聞いております。

長安委員 念頭に置きながらという御答弁でございますけれども、ここは具体的にその道筋を今後つけていかなければならないと私は思っておりますので、ぜひ大臣も問題意識をお持ちいただきたいなと思っております。

 ことしの一月に、大阪府は知事がかわりました。橋下知事、もう皆さん御存じのとおりでございます。いろいろ発言が物議を醸しているわけでありますけれども、この空港ということに関して言いますと、伊丹―成田便を廃止すべきだということをおっしゃっておられます。実際は、これを廃止して関空―成田にしようということです。

 御存じのように、伊丹―成田、成田から外国へというのは、外国のエアラインがコードシェア便などで飛ばしているわけです。その結果どうなっているかといいますと、伊丹に国際線のチェックインカウンターがあるんですね。要は、国際空港のようなことを伊丹空港がしている。だから、結局は伊丹―成田便もあわせてすべてが国際線じゃないか、そもそも伊丹空港は国内線用の空港なんですよねということを考えたら矛盾しますよねということを橋下知事がおっしゃっているんですよね。それで、国土交通省の事務次官がそれは余りというような発言をされたというような報道も、実際はどういう御趣旨で御発言されたのかはわかりませんけれども、そういうようなことまで言われているわけです。

 先ほどの基本方針にもかかわるんですけれども、過去の経緯あるいは建前論に終始してきているというのが現状だと思います。

 関西において、関空、伊丹、神戸という三つの空港があるんです。この三つの空港を、今までのようにそれぞれ役割分担をして、需要を喚起していくんだというようなことを言っても、はっきり申し上げて、それぞれの空港が世界の国際競争力を持っていけるかというと、私は持っていけないと思っております。

 財務体質の問題もそうです。関空は、これだけ借金を背負っていれば、当然着陸料が高くなる。着陸料が高くなれば、もうちょっと安いところで、お客さんの多いところに飛ばしたいというのは、航空会社が考えるのは当然のことなんですよね。その中で、国際競争力を保ち続けるために、上げていくために頑張るんだと言われても、それは絵にかいたもち以外の何物でもないんですよね。

 今、日本が考えなければならないのは、国内で空港同士が、どう便のとり合いをするかというようなことではなくて、東京でも成田と羽田で国際線をどうとるというようなことをやっています。でも、その間に、アジアでは仁川空港ができ、浦東空港ができ、はっきり申し上げて、日本全部の空港が束になってかかっても勝てないような立派な空港ができてきているのが現実なんですよね。日本の本当の意味での国際競争力を高めていくために、今私は、国がしっかりと結論を出していかなければならない時期だと思っております。

 その意味でも、先ほど申し上げました、従来から私、初当選させていただいてもう丸五年がたちましたけれども、五年間ずっと国土交通委員会に所属しておりまして、代々の国土交通大臣にこのことを申し上げてまいりました。しかしながら、実際は結論は何も出てこない。ようやく今、大阪は重い腰を上げようとし出しました。国も何かしら、この関西三空港問題について結論を得るべく動き出さなければならない時期に来ているんだと私は思います。

 そういう議論をしますと、いや、利便性の問題がというふうな議論もあるんです。でも、利便性の話は、当初、環境対策あるいは騒音対策というものがあるから、利便性にある意味片目をつぶってでも、泉州沖にわざわざを海を埋め立てて高コストな空港をつくろうということでやってきたわけですから、その議論にある意味先祖返りしてしまうというのはおかしな話です。

 今しなければならないのは、先ほど申し上げました外資規制のときには、国土交通省は本気で結論を得たいと思ったんですね。得たいと思ったからこそ、研究会をわざわざ立ち上げて、そこで皆さん、有識者の方々、議論してください、そこで議論していただいた後に、大臣が最終的に決定しますよというプロセスを踏むことを考えつかれたわけですから、この関西の三空港の問題についても、ぜひ、国土交通省でそういった研究会でもプロジェクトチームでも何でも結構です、結論を得るステップをこれから踏み始めるぞという大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

 大阪はもう動いています。大阪の意見は今度国にも上がってきます。上がってきたときに、その研究会なりで国土交通省が、よし、関西の三空港に対してはこういう位置づけでいく、もしかしたら伊丹の縮小、廃止ということもあるのかもしれない、それも含めて検討していくということを、ぜひ大臣、御決意をお伺いしたいと思います。

金子国務大臣 今、長安委員が、大阪から上がってくるというお話がありました。十七年に既に、地元の知事さん、市長さんが入った懇談会で一応の整理がされた上で、適切な役割分担ということと、最適運用ということでやってきておるわけでありますけれども、地元の皆様方の非常にいろいろな御意見が今、必ずしもまとまっているということでもないんだろうな。それぞれの方々の意見というのがありますので、これを見きわめながら、また大阪から上がってくるというお話を今いただきましたけれども、それならば、それを聞かせていただきながら、今後の空港行政に反映してまいりたいと思います。

 したがって、今の段階で検討チームをつくるかどうかというのも、私としては今申し上げられない。

長安委員 今大臣がおっしゃられたように、さまざまな意見があるというのは当然です。これは、空港が三つあって、周辺自治体は皆さん残したいと思っているんです。だからこそ、それがあるから何もできないですよ、今のままでいきますよでは、私は、さっき申し上げたように、日本の国際競争力が失われてしまいますよということを申し上げているんです。それは多分、国土交通省の皆さんが認識を持たれていることだと思うんです。

 国際競争力というのが第一義的に重要なんだということを考えれば、私は、いろいろな意見があるからということで逃げずに、研究会なりを立ち上げて、いつごろまでに結論を得るんだという取り組みをぜひやっていただきたいと思います。

 この件は、まだまだ機会がございますので、これからも大臣と御議論をさせていただきたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

望月委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時二分開議

望月委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 第百六十九回国会、内閣提出、長期優良住宅の普及の促進に関する法律案を議題といたします。

 お諮りいたします。

 本案につきましては、第百六十九回国会において既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

望月委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

 長期優良住宅の普及の促進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

望月委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房建設流通政策審議官小澤敬市君、住宅局長和泉洋人君、厚生労働省労働基準局勤労者生活部長氏兼裕之君及び厚生労働省職業安定局次長大槻勝啓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

望月委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

望月委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐田玄一郎君。

佐田委員 それでは、質問させていただきます。

 基本的には長期優良住宅についての促進の法律案につきまして質問させていただくわけでありますけれども、今のこの現状等を把握する意味で、これはちょっと質問通告しておりませんけれども、金子大臣におかれましては、これは国土交通行政はもちろんのことでありますけれども、税制関係、そして地域の状況、都市部の状況等についても大変に熟知されているということを前提にお話をさせていただきたい、かように思うわけであります。

 今の建設投資は大変に少なくなりつつある。ピーク時は平成四年度に八十四兆あった建設投資が、今現在は五十兆程度であって四一%、公共投資は約四九%の減、こういう状況になっておるわけであります。そして、反面、建設業者数が五十一万業者ありまして、これは要するにピーク時からすると一五%減。つまり、仕事は半分近く少なくなっているにもかかわらず業者数は一五%しか減っていない、こういう状況もあるわけであります。また、建設業就業者数は今、平成十九年平均が五百五十二万人ということでピーク時から一九%減。これも余り減っていない。

 こういう中で、地域はまさに過当競争が行われておって、非常に厳しい状況が続いて、ばたばたと地方の建設業者は倒れつつある。

 こういうことを考えたときに、何とか、これは建設業にとどまりませんけれども、中小零細企業、こういうことに対する対策。今まで例えばシーリングで建設の真水の部分につきましても三%シーリングがずっと続いてまいりました。そういう影響が本当に今出つつあると言っても過言ではないわけでありまして、総理も、これは全治三カ年、こういうふうに言っておるわけであります。私としては、これは私の考え方でありますけれども、治療をするということは、これは薬をつけたり、悪ければ手術をしたり、そういうことをするわけでありますから、今までと同じようにゼロということであるならば、これはほっておくわけであります。これにむしろ財政出動をして、何とか今をしのいでいく、三カ年で何とか景気を回復させていく、こういうことが大事であって、その中にこの住宅投資というものもあるわけであります。

 そういうことを考えたときに、大臣のこれからの三カ年のお考えをぜひお聞きしたい、こういうふうに思っております。

金子国務大臣 御指摘いただいたように、地方の経済が、特に建設業ということに限って見ましても、地域を支えている優良な技術を持った企業、建設業が倒産をされるという大変ある意味残念な状況というのが全国で起こってきている。大変残念な、厳しい状況であるということを認識しております。

 そういう中で、公共事業をもっとふやすべきではないかという御意見だと思いますけれども、当面、今度の生活対策あるいは今度の補正では、必ずしも公共事業が中心軸にはなっておりません。そういう中で、地域の建設関係の皆さんには、地域活性化臨時交付金という、地域の事業、比較的取り組みやすい事業、これは地方自治体が計画をつくっていただいて初めて交付される。これは国土交通省の勘定ではありませんけれども、そういうものを使いながら、地域の事業を何とか支えていただけるといいなと。

 ただ、私が申し上げたいのは、一方で、公共事業だけふやせば地域の建設業の方が何とかなるかというと、必ずしもそうでもない。今の発注形態というのをやはり見直していきませんと、安値受注という全体の動きが既に出てきている。やはりここの発注形態のあり方というのも、ただ安いだけでいいではなくて、それぞれの経費に合った適正な発注あるいは受注というのが、つまり、言い方を変えますと適正な競争ということになるんだと思いますけれども、これが行われていく必要があるだろう。

 現状は、地域によって違いますけれども、行き過ぎてしまって、結果何が起こっているかというと、建設業に携わる労務者の賃金が異常に下がる、あるいは下請を受けました企業の赤字に累積するといったような結果が地域によって見られる。

 やはり、こういう状況を考えますと、公共事業をふやすだけでなくて、発注のあり方、これもさらに考えていく必要があるんだろうと思っております。そういう意味で、これは国だけでなくて、自治体の発注もあるわけでありますから、自治体にも働きかけて、これを何とか適正な発注形態が行われるように、あわせて進めていきたいと思っております。

佐田委員 今の大臣のお話にもありましたように、仕事を出すという話になっても、地方負担分というのはこれは避けられないわけでありますから、そういう意味におきましては、地方にできる限り負担をかけないで仕事を出していく、こういうことが一番大事なことであるということと、今大臣が言われたように、発注形態も非常に重要だと思います。

 うちの方のある会社が先般つぶれましたけれども、その会社は国の仕事もやっておりました。そして結構残った仕事もありました。これはどういうことかといったら、やはり発注形態の中でダンピングをするような会社があって、受注してもほとんどもうからない、むしろ赤字になってしまう、こういうふうな状況が続いていたということもお聞きをしておるわけであります。

 幾つかの点において、私どもは、やはり発注をする以上は、それが地域のためになったり業界のためになったり、そういうことが行われるような適正な発注の仕方をしていかなくてはいけないんじゃないか、今の大臣の言われたとおりであります。そして、厳にダンピングを慎んで、適正価格でこれを行っていくということが重要なんではないか、こういうふうに思っておるわけであります。

 また、もう一点私が非常に危惧している点というのは、こういうふうに仕事がなくなってくると、地方は零細中小企業がそういう建設関係にたくさんあります。そこに本当にスーパーゼネコンのような会社が来て、昔だったらとらないような二千万、三千万ぐらいの、地方がとるような仕事までぼんぼん赤字でとっていく。赤字でとったって、スーパーゼネコンなら大丈夫なわけですよね。それをどんどんどんどんとっていって、最後に地元の会社がつぶれたら、今度はもうちょっと高値で受注していこう、こういうふうなことも考えられるし、行われている現状があるんじゃないか。

 こういうことを考えたときに、何とか指導もしていかなくちゃいけませんし、やはりこれは一種のダンピングですから慎んでもらう。こういう監視をしていく、これは公取がやることですけれども、こういうこともしっかりと進めていかなくてはいけないんじゃないか、こういうことであります。

 大臣の御認識は私もまさに一緒でありまして、今後とも、しっかりとした発注形態、そしてまた、そういうダンピングを防ぐことであるとか、出した仕事が無駄にならないようにぜひお願いをしたい、かように思っておるわけであります。

 それでは本題の方に入らせていただきますけれども、そういうふうな形で、地方においても、また都市部においても、都市部もほとんど住宅が売れないなんという状況になっておりますから、非常に厳しい状況が続いている中に、今般また、サブプライムローンに始まる大変な世界的な金融危機や、これに伴うところの世界的な景気後退、それにまた円高の追い打ち、こういうふうな厳しい状況があるわけでありまして、外需依存の我が国経済は非常に厳しい状況が今続いているということが現状であります。

 先般、金融・世界経済に関する首脳会議で麻生総理が訴えたように、我が国の内需主導型成長モデルへの転換の実現が急務である、こういうふうに言っておるわけであります。かつてのような、今申し上げましたように、公共投資がどんどんやれるという時代ではなくなりつつある、こういう現状を考えたときに、やはりすそ野の広い住宅というのは、今残っている五十兆の建設投資の中の大きな部分を占めておるのが住宅投資であります。

 ちなみに、この中の土木関係だと十五兆ぐらい。それで、直接投資として住宅投資が十九兆円です。住宅をやることによって、いろいろな、例えばじゅうたんだとか畳だとかカーテンだとか家電製品だとか、全部を含めますとその生産誘発額が約三十七兆、こういうふうにも言われておるわけでありまして、まさに内需拡大の中核になってくる、私はこういうふうにも思っておるわけであります。

 この経済危機への対応に向けた住宅投資の重要性というのはもう大臣も御存じのとおりだと思いますけれども、大臣の御認識をお伺いしたい、かように思います。

金子国務大臣 今、輸出依存型の我が国の経済が非常に厳しい状況にある。そういう中で、佐田委員御指摘の住宅というのは、まさに内需のかなめの一つであると思っております。

佐田委員 それと、住宅の長寿命化ということが今回の議論の中心でありますけれども、住宅は個人の生活の場であると同時に、要するに内需拡大だけではなくて、例えばヨーロッパなんか行きますと、ほとんど屋根が同じ色であったり、庭先がきちっと緑で整備をされておったり、そういうところで非常に環境にも優しくなっておるし、また町並みの整備にも非常に貢献をしているのが住宅なんです。衣食住でありますから、住宅というのはなくてはならないものである、こういうことであります。

 ただ、この住宅を今の現状で考えたときに、これを壊すときに建設の廃棄物をどんどんふやす、こういうことが果たして環境にいいのかどうか。こういうことも含めて考えたときに、この長寿命化というものは非常に重要になってくるんではないか。

 そしてまた、私は思うんでありますけれども、例えば、今、衣食住という言葉を申し上げましたけれども、ヨーロッパに行きますと、夏休みに皆さん方も多分行かれたことがあると思いますけれども、ほとんどの方が休んでいます、ヨーロッパでは。ところが、日本の人は一生懸命働いておる、まあ連休ぐらいは休みますけれども。

 そういう中において、まず第一に、日本人は一生懸命働くんだけれども、その中において非常に余裕がない。なおかつ、そういう住宅を通してしっかりとした基盤整備ができていない、こういうことがあるわけでありまして、私は、この住宅というのは、言いかえるならば社会資本にも近いものじゃないか、こういうふうにも思っておるわけであります。

 例えば、この間テレビを見ておりましたら、イギリスで見たんですけれども、スケルトン住宅のような非常に外形がしっかりしている中を、もう百年、二百年前の建物なんですね。それの中のインフィルを変えることによって、皆さんがここに行って入札をして、その部屋を買っている。何百年もあるけれども非常に近代的で新しい、そういうものなんです。

 だから、私どもが家を建てるときには、では息子のために建てようかとか孫のために建てようか、私はそういう時代じゃもうないんじゃないかと思っているんです。つまり、自分の子供の時代の世代の人のために、自分の孫の世代の人のために自分の住宅を今つくっていこうじゃないか、こういうふうに思っておるわけであります。したがって、私は、これは社会保障に近いものじゃないか、こういうふうにも思うわけであります。つまり、公物に近いものじゃないか、こういうふうに思っているんです。

 また一方で、日本人のライフスタイル、先ほど申し上げましたように、大変な休みをとっている。これはデータを調べたんでありますけれども、一人当たりのGDP、日本人は三万四千ドル、フランスは三万五千ドル、ドイツは三万四千ドルなんですね。だから、所得も決して低い方じゃない。にもかかわらず有給休暇は、日本は八・三日、フランスは二十五日、ドイツは二十九日、こういうふうに休んでおるわけでありますね。

 私は、その中で余裕を持ってやっているというのは、三十代ぐらいになると日本人の人は住宅をつくる。これから減税の話をさせていただきますけれども、今も住宅ローンを活用している六割は三十代の方であります。必死になって住宅ローンを組んでやっていこうとしている。であるからこそ、私は、いいものをつくっていかなくちゃいけないんじゃないか。そして、次の世代が余りつくる苦労をしないようにしていく、インフィルを変えるぐらいのことにしていく。これが、その余ったお金で教育であるとか、そして福祉であるとか余暇であるとか、こういうことに回していくという一つの日本人のライフスタイルをだんだん変えていく発端にこの長期優良住宅がなってくるんじゃないか、こういうふうにも私は感じておりますけれども、公共性について、私は非常に公共性があると思うんですけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。

金子国務大臣 佐田委員は党の住宅調査会会長として長期優良住宅の法案化の先頭に立って御議論してこられましたけれども、今御指摘いただきましたとおり、住宅というものが従来は私の物にすぎなかったんですけれども、本来、人口減少あるいは豊かな社会になればなるほど、自分の住宅がストックとして社会に活用されていく、年金を受け取る状況になってもそのストックというものが活用されてフローにつながってくる。

 言い方をかえますと、今まで住んでいた住宅を貸してフロー、家賃をもらって老後の生活費を賄うといったような、良質の住宅になればなるほど、長期住宅ができてくればそういうこともできていけるんだろうと思っていまして、それがゆえに、単に私のためだけではなくて、ストック社会に向けての大事な公的な意味合いを持つものだということは私も考えております。

佐田委員 今のお話にありましたように、要するに、住宅の重要性ということを今大臣に言っていただきました。

 したがって、先ほども私申し上げたんですけれども、内需拡大をするために財政出動も必要ですねということを言いましたけれども、いわゆる減税ということも必要なことでありまして、今、公物ということを出しましたけれども、私的財産ではなくて、むしろそういうふうな形で先の世代、その次の世代に送っていくものだ、こういうことを考えたときに、今回の減税策というのは非常に理にかなっているんじゃないか、そして内需主導型の経済の転換に向けて活性化を図っていくのは当然のことじゃないか、私はこういうふうにも思っておるわけであります。

 いわゆる団塊ジュニア世代の持ち家取得志向というのがありますけれども、三十代のうちの約七割が持ち家志向でありまして、こういうふうな考え方にのっとって我々も考えていかなくちゃいけないんですけれども、今非常に住宅が高騰しまして、土地もある程度上がってきまして、資材がかなり高騰しまして、なかなか高値で買えないという状況になって、反面また三十代の方々の所得が下がっておる。そういうふうなことをかんがみたときに、首都圏のマンションの年収倍率というのが、平成十八年度は五・三倍であったのが、十九年度は五・八倍になってしまった、こういう現状もあるわけであります。

 住宅取得を後押しする上でも住宅減税の延長、拡充というのは極めて重要になってきておりまして、生活対策においても、住宅ローン減税の延長、その最大控除可能額を過去最高水準までに引き上げることが今打ち出されておるわけでありますけれども、今現在はかなり下がってきておりまして、減税控除額が百六十万ぐらいになってきておる。こういうことを考えたときに、これを最大限まで持っていくということになるといろいろな手法が考えられるわけでありまして、この辺につきましては大臣がどのような認識をお持ちなのかお聞きしておきたいと思います。

金子国務大臣 団塊ジュニアの層で引き続き持ち家の意向は非常に強い。一方で物件がそれなりに上がってきている、あるいは、今御指摘いただきましたように年収倍率が高くなるというんでしょうか、給与が全体として上がらないという中で持ち家志向の人たちが大変苦労しているのが現状であります。そういう中で、なるべく減税効果をこういう人々に感じてもらえるような制度設計を年末までに住宅ローン税制について進めていきたい。

 という意味で、国税のほかに住民税も減税の対象にして、そして減税期間をできるだけ短い方向で設定していって、なるべく早く減税の効果を感じられるような仕組みができないかということで、年末に向けて制度設計を進めたいと思っております。

佐田委員 これは当然のことだと思うんですけれども、今現在は百六十万の控除ということであるならば、十年間で行った場合ははっきり言ってほとんど減税的な意識がないわけですね。それはピーク時には五百八十万まであったわけですね。したがって、そういうことを踏まえて我々は考えていかなくてはいけないんじゃないかと思っております。

 今度の生活対策でも住宅ローン減税の最大控除可能額を過去最高水準までに引き上げること等を打ち出されておるわけでありますけれども、よくテレビを見ていると、何か金持ち優遇なんじゃないかとかそういう話が出ておりまして、まだこれから制度設計をしていくわけでありますからそういうことには当たらないんじゃないか、私はこういうふうにも思っているわけであります。

 先ほども申し上げましたように、例えば、一般的に住宅ローンの利用者というのは六割が三十代なんですけれども、これを平均すると大体年収五百万円台が中心でありまして、とにかくこれらの中堅勤労者の実効ある措置を講ずることが大事なんじゃないか、そしてまた減税効果が生まれてくるんじゃないか、私はこういうふうにも思っておるのであります。

 この中で、今大臣が大変貴重なことを御発言いただいたんですけれども、個人住民税まで言及すべきじゃないか、そうじゃなければとてもこれは効いてきませんよと。これは確かなことでありまして、これは三位一体に伴うところでありまして、実は、三位一体改革による税源移譲に伴う対応等ということで、過去において「住宅ローン減税の適応者(平成十一年度〜十八年度入居者)について所得税から個人住民税への税源移譲により、所得税で控除しきれない税額控除額を個人住民税で控除するとともに、地方公共団体に生じる個人住民税額の減収額を国が補てんするため、「減収補てん特例交付金」が創設された」ということになっておるんですね。やはりこれは当然のことだと思うんですね。十一年から十八年の間。

 その後に、十九年、二十年はこれを十年から十五年にした。しかしながら、十年から十五年にして一年間の減税額が少なくなるものですから、先ほど大臣が言われたように減税意識が非常に薄くなってしまった、こういうふうな過程を踏まえたときに、要するに個人住民税まできちっと考えていくということは非常に重要なことだと思います。

 先ほど申し上げましたように、例えば年収五百五十万で子供さんが二人の世帯の場合、平均で、移譲前の所得税が十八万だったのが九万円になっている、住民税が十万から十九万になっているんですよ。ということはどういうことかというと、ちょっとローンを借りただけでも、これは住宅ローン減税を使っても、みんな空振りになってしまう。

 私はその中で、テレビ等で、何か高額所得者を優遇しているんじゃないか、こういうふうなことが言われておりますけれども、住民税をどのぐらい控除していくかというのはまだわかりませんけれども、青天井にするわけにはいきませんから、ある程度の額をやっていきますと、むしろ四百五十万、五百五十万、六百五十万の世帯の方々に非常に有利に働いてくる、こういう現状があるわけでありまして、それをしっかりと我々は踏まえてこれを考えていかなくちゃいけないんじゃないか。今大臣が言われたように、減税意識が生まれて、住宅をつくるインセンティブ、そしてまた長期優良まで行くような気持ちになれるような、そういうふうな気持ちを誘発していく必要があるんじゃないか、かように思っているわけであります。

 個人住民税減税の実現など、中堅勤労者等にも実効性のある住宅ローン減税の実現に向けた御発言がありましたけれども、この辺の大臣の決意をひとつよろしくお願いいたします。

金子国務大臣 先ほど申し上げましたように、やはり、こういう世界の経済状況の中ですから、住宅を内需の大事な柱の一つとして何とか伸ばしていけるようにしていきたい。そして、今委員が御指摘いただいた住宅ローン関係については、まさに今御発言いただいたことに私も賛成であります。ぜひ与党税調におきまして、さらに御議論をいただければと思っております。

佐田委員 これはちょっと繰り返しになって恐縮なんですけれども、今やはりマスコミ等でちょっとこれは金持ち優遇じゃないかというような、そういう放送もあるんですけれども、まだ決まっているわけじゃありませんから、やはり中堅勤労者等の皆さん方が、本当に減税意識が高まって、ではしっかりとしたものをつくろうじゃないか、そしてまた内需拡大につなげていこう、そういうふうなインセンティブになるようにこれからもしっかりと考えていかなくちゃいけない、かように思っておるわけであります。

 次に、ちょっと投資減税の必要性というか、住宅投資の活性化のために、団塊ジュニア世代の持ち家取得促進に加えて、団塊世代等の買いかえ需要の喚起も重要じゃないか。これはちょっと突っ込んだ話なんですけれども、住宅の買いかえについては居住用資産の買いかえ特例を活用するとローン減税が適用されないということがあるものですから、むしろこういう方々にもこの利用をしていただきたい。

 例えば、昔、二千万で買ったものが今は六千万になりました。今度、四千万で新しいしっかりとした長期優良住宅をつくりたいな、そういうふうになったときに、ぜひそのインセンティブが与えられるような、そういうこともこれから議論をしていかなくちゃいけないんじゃないかな、こういうふうにも思っておるわけであります。

 もっと詳しく申し上げますと、つまり、買いかえ特例を使ったときにはローン減税を使えませんから、ここのところで、例えば四千万の家をつくった場合に、投資減税的なものをやはりこの辺でも考えていかなくちゃいけないんじゃないかな。そういうことによって考えられている方々というのも相当いると思うんですね。これはまさに、私は、そのローン減税、三十代の方々、または第二次取得層の方々もそうだと思うんですけれども、非常にこれは需要が高まってくるんじゃないか、こういうふうにも思うんです。

 これはちょっと質問通告していないのですが、この辺について、大臣はいかがお考えでしょうか。

金子国務大臣 今年度末に向けては、今御審議いただいております長期優良住宅、これの新築資金も、住宅ローンがなくても、一定割合、一部でありますけれども減税を受けられるという枠組みを今検討させていただいております。

 それから、新築、買いかえではないのでありますけれども、銀行に借りずに自分の手金でリフォーム、それから省エネ対策、あと耐震、これは昨年からでございますか、ある件でありますけれども、これについては銀行借り入れによらずとも一定の減税の恩典にあずかれるというものの検討を進めております。

 さらに、それ以上、全般にもっと投資減税を進めるということについては、ぜひ党内で御議論をいただいてまいりたいと思っております。

佐田委員 ちょっとこれは質問通告をしていないんだけれども、局長にお聞きしたいんです。

 要するに、住宅が二千万だったものが六千万になりまして四千万もうかった。これで住宅をつくる、そういう需要というのは結構あるものですか。局長にちょっと。

和泉政府参考人 十九年度の例で御説明しますと、持ち家取得の市場規模は七十万戸でございました。そのうち、今委員御指摘のいわゆる買いかえ等を含む二次取得層、これは七十万のうちの二十三万戸でございますから、このすべてが買いかえかどうかわかりませんけれども、そういった意味でいえば相当な潜在的な需要はある、こう考えております。

佐田委員 やはりそういう潜在的な需要を喚起していく、これも内需拡大に大きく寄与してくるんじゃないか、私はこういうふうに思っておりますので、ぜひこの辺、投資減税、これは厳しいんじゃないかと言われるけれども、ただ、消費税も今後相当ふえるわけですから、税収もまた逆にふえてくる。減税もあるけれども増税もある、そういうことも踏まえて内需拡大を図っていくということは非常に重要であって、これを長期優良住宅に適用していくということになれば、非常にインセンティブもあるし、そこに投資減税があるわけだから、当然、ではうちも買いかえて長期優良住宅を建てようや、そういう気持ちに相当なってくるんじゃないか、私はこういうふうにも思っております。

 もう一つ、今大臣が言われた長期優良住宅を建てますと、当然のことながら、インフィルを変えるわけですからリフォームにもつながってくるわけでありまして、今は、リフォーム関係は全体的な市場が五兆弱だ、四・八兆というふうに言われております。しかしながら、これは今限度額が二百万ですから、その中の一割、一〇%で二十万、それをローンで調達しようという人はほとんどいない。そういう人もいらっしゃいますけれども、この市場が六千億なんです。

 そういうことを考えたときに、やはりもっと、うちもちょっとリフォームしよう、いろいろな意味で、今、耐震は投資減税がありますけれども、バリアフリーであるとか省エネについて、うちももうきちっとやっていこうじゃないか、そういう人たちのために、やはりこれも投資減税にして、そして内需拡大の一端にしていく、これは全体にすると四兆八千億ということですから、相当な額の内需が見込まれる、私もそういうふうに思っております。

 ぜひその辺を、大臣もここのところは力を入れて進めていっていただきたいと思いますけれども、その決意をひとつよろしくお願いします。

金子国務大臣 省エネ、バリアフリー、これも投資減税の一環として進めさせていただきたいと思っております。

佐田委員 今のそういう温かいお言葉をいただきまして、本当にこれは重要なことですから。意外と今、私も自分の身の回りの方で、家がちょっと木造で大変だから耐震にしたいであるとか、屋根の上にソーラーをつけたりサッシをきちっとして省エネの住宅にしたい、そういう需要はかなりありますよ、はっきり言って。ただ、こういうスキームを意外と知らない人も結構いますから、そういう意味において、この二百万というものを、ローンということよりもむしろぽんと投資減税としてやる、そういうインセンティブを与えていく、そういうスキームを宣伝していく、こういうことは非常に重要なことなんじゃないか、こういうふうにも私は思っておるわけであります。

 それともう一点は、住宅金融支援機構の問題なんです。

 もう言うまでもありませんけれども、アメリカのサブプライムローンの問題に端を発した世界的金融市場危機等を背景とした我が国の住宅市場の著しい低迷、価格の大幅な下落とか、そして、民間金融機関は、先ほども申し上げましたように、きょうは八千三百円台になっている。そういう中において、要するに含み資産が相当に減少しておる。だから、自己資本比率を守るために、貸しはがしであるとか貸し渋りが相当に出てきておる。そういう中において、住宅資金の確保というのは非常に厳しい状況が続いておるわけであります。

 そういう中において、要するに民間の金融機関の貸出債権を引き受けるような住宅金融支援機構、これもしっかりとやはりやっていただく。独立行政法人ではありますけれども、国がしっかりと監視をしながらこれを行っていくということはこれから非常に重要です。テレビでも今コマーシャルしていますけれども、フラット35とかああいうものについて、長期固定の住宅資金を安定的に供給することがこれからも非常に重要になってくる、こういうふうに私は思っております。

 住宅金融支援機構の活用や、住宅金融を円滑化して住宅投資の活性化に取り組むべきと考えるんですけれども、この辺のスキームについてどのようなお考えを持っておるか、お聞きしたいと思います。

和泉政府参考人 御指摘のとおり、税制と同時に住宅ローンは非常に大事でございます。また、委員御指摘のとおり、最近の経済状況下で住宅ローンについてもなかなか出にくくなっている、こういった指摘も各方面からいただいております。そういった意味で、今御紹介賜りました、住宅金融支援機構の証券化支援事業により供給される住宅ローン、いわゆるフラット35、これは職業等による画一的な選別は行わないものでございますから、こういった時期こそ積極的なPRを行って活用してもらいたい、こう考えております。

 なお、住宅金融支援機構が、平成二十年、ことしの一月から三月に実施した顧客アンケートによりますと、この証券化支援事業によるフラット35を利用した理由について、約一〇%の方々が民間の金融機関からは希望どおりの借り入れができなかった、こういった話もいただいております。

 また、本年の八月末の安心実現のための緊急総合対策におきましては、この証券化支援事業も使っていこうといった観点から、省エネルギー性能等にすぐれた優良な住宅に関する金利を、当初五年間〇・三%引き下げる制度がございますが、この要件を緩和しました。その結果、ことしの十月の申請件数は九月に対して約一・五倍、こういった状況でございますので、引き続き、御指摘のとおり、こういった状況下であればあるほどこのフラット35をしっかりとPRして普及してまいりたい、こう考えております。

佐田委員 ですから、住宅金融支援機構というのは民間金融機関の貸出債権を引き受ける、したがって、その中において一つの政策的な部分が相当にあって、今もお話がありましたように、優良住宅に対しては金利をある程度下げていくとか、そういうことを進めることによってまた民間の金融機関が貸し出せるような、そういうふうなインセンティブも与えていかなくちゃいけないんじゃないかな、こういうふうにも私は思っておるところでございます。

 次の質問でありますけれども、現在の景気低迷の中で、住宅の長寿命化を図ることで新築住宅の建設戸数が減少するのではないかと心配する向きもあるわけでありまして、短期的に見れば、長期優良住宅という良質な住宅に投資を誘導することは、当面の新築、建てかえ投資を後押しするものでもあるわけであります。長期的に見て新築戸数は減少したとしても、先ほども申し上げましたように、いわゆるインフィル、つまり設備や内装等のリフォームや維持管理などといったことが行われることで、新たな住宅投資を創出することになるわけであります。

 また、住宅の資産価値に着目した新たなビジネスチャンスの創出等にもつながるわけでありまして、新築住宅の流通が少なく既存住宅の流通が中心となっている諸外国の方が、GDPに占める住宅投資の高い状況があるわけであります。

 私も地元に帰りますと、一般的な住宅をやっている工務店の方やプレハブ関係の方々が、我々の仕事がなくなっちゃうじゃないか、こういうふうに言っている方がありますけれども、私はそうじゃないと思うんですね。その場所に応じたりその状況に応じていろいろな住宅があってもおかしくないわけでありますけれども、それは計画的にやはり進めていかなくちゃいけませんし、例えば、住宅を今後自分の次の世代、その次の世代にするときには、それに合ったインフィルにしていく。これは結構需要が多くなるんです、はっきり言って。値段が安いですけれども、それだけ数がどんどんふえていきますから。

 それを見たときに、GDPで見ると、住宅投資は日本は今三・八%で、フランスやドイツのように躯体のところにインフィルを変えてどんどんやっていく、こういうようなところであっても、フランスは四・八%、ドイツが五・四%と決して住宅投資が少ないわけじゃないんです。むしろ多いわけでありまして、そういうことを考えたときに、やはり今一つの大きな転換期に来ているんじゃないか、日本人のライフスタイルを変えるのに非常にいい時期に来ているんじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。

 長期優良住宅の普及促進、住宅の長寿命化を進めることと、住宅投資等の関係についての国土交通省の認識を局長からお願いします。

和泉政府参考人 まず、日本の住宅ストック、確かに七百万戸余っていると言われておりますが、その状況を見れば、新耐震以前のもので耐震性に問題がある、これが約千百五十万戸、全体の四分の一ございます。そういったことでございますから、こういった状況をかんがみれば、当面は引き続き建てかえが進むと考えられます。この長期優良住宅の普及を図って、建てかえの際に長期優良住宅をつくっていただければ、一戸当たりの投資額はふえるわけでございますので、決して投資の足を引っ張ることはないと考えております。

 一方、長い目で見れば、この長期優良住宅が長く使われることによって新築戸数は減ってくるかもしれませんけれども、まさに委員御指摘のように、既存住宅のリフォームとか既存住宅の流通、こういったことが起こってくるわけでございまして、そういった観点からの住宅投資の活性化につながっていくんだろう。それは、まさに今委員御指摘の、新築は日本に比べて圧倒的に少ないけれども、トータルの住宅投資額であれば日本を上回るようなGDP比を持っている国々があることからもよくわかるかと思います。

 加えて、そういったことになれば、既存住宅を購入してリフォームをして住む、こういったライフスタイルとか、価値の高い住宅を転貸して、その賃料収入で豊かな生活を送るとか、まさに持続可能な社会に向けての日本人のライフスタイルの変更にもつながるようなインパクトもあるのではないか、こう考えております。

佐田委員 だんだん時間がなくなってまいりましたけれども、この法案に入らせていただきたいと思います。

 長期優良住宅の普及促進法案は、住宅の長寿命化を進めるための先導的な住宅を認定し、その普及を図っていくためのものと考えておりまして、本法案では、そのための認定制度を創設して、認定と建築確認とのワンストップサービスや税制上の支援措置など、普及促進に向けた措置を講ずるものと考えております。つまり、インセンティブを与えていく。また、適切な維持管理や、既存住宅としての流通を促進するための住宅履歴情報の整備等の措置もこれは規定をしております。

 つまり、これから何十年もたった後に、この住宅というのはどういうふうなインフィルの改装をしたり、どういうふうにやってきたかということが履歴書に全部ありまして、なおかつ、この建物は非常に丈夫にできているという保証にもこれはなってくるわけであります。

 また、例えば、これを改装するときに、空調から何から全部外すんじゃなくて、もうそういうボックスをつくっておいて、要するに状況に応じて改装していける、やっていける、そういうふうな本当に利便性の高い住宅をつくっていくという意味合いもあるわけであります。

 また、本法案やその関係施策として、長期優良住宅の普及促進に向けて具体的にどのような施策が講じられることになるのか、その全体像を局長の方からひとつよろしくお願いします。

和泉政府参考人 長期優良住宅の一連の流れは今委員が御指摘になったとおりでございます。

 本法案におきましては、住宅が長期にわたり良好な状態で使用することができるよう、その構造や設備につきまして一定以上の耐久性、維持保全容易性等を備えたものを長期優良住宅として認定する。加えて、維持保全についてもしっかりとやっていただく。

 そういったものについては所管行政庁が認定を行いまして、既に二十年度の税制改正で講じられたものとしましては、不動産取得税、登録免許税などの軽減措置を受けることができる、こういったインセンティブを準備してございます。

 また、予算の面でも、いわゆる超長期住宅先導モデル事業による支援、あるいは、いろいろな住宅事業者がございますので、大企業から中小企業まで使えるような維持管理の住宅履歴情報のためのシステム整備、こういったものについても予算を設けております。引き続き二十一年度に向けましても、そういった予算の充実を図ってまいりたいと考えております。

 さらに、税制面につきましては、先ほど来議論がありましたように、二十一年度の税制改正に向けまして拡充すべく、住宅ローン減税におきましては、長期優良住宅について通常の住宅に比べてさらに税制の深掘りをする。さらには、先ほど議論になりました投資型減税について、長期優良住宅についての適用もお願いする。

 こういった予算、税、融資等々全般にわたって、この法律とともに長期優良住宅についての普及促進策を講じてまいりたい、こう考えております。

佐田委員 今もお話ありましたように、私は、長期優良住宅というのは、まず最初に環境の問題からこれは発生していると思うんですね。つくっては壊し、つくっては壊しで、また残材が生まれて、それを燃やしたりして処理することによってCO2が発生する。そうじゃなくて、やはり一つの人間のライフスタイルの中で、何世代にもわたって余り木を切らないようにしていくとかCO2の発生を抑えていくとか、そういういろいろなモデル的な事業も私ははらんでいるんじゃないかと思います。

 本年度に百三十億のモデル事業ということで予算がつきました。住宅の長寿命化は、ライフスタイルやビジネスモデルの転換までも視野に入れた広範な取り組みのきっかけとなるものだ、こういうふうに信じております。

 このモデル事業は、国民や関係事業者に、こうした転換の必要性や目指すべき住生活の姿などを実際に見ていただき、納得と共感を得るために極めて重要なものであろう、私はそういうふうに思っております。

 本事業につきましては、既に本年度第一回の募集、採択が終了いたしまして、現在、第二回目の採択に向けた作業中と承知しておりますけれども、この応募も相当な数に上っている、こういうふうにお聞きしているところであります。

 もう一つこの住宅で重要なことは、今私は環境のことを申し上げましたけれども、長期優良住宅の認定をしますね。認定をするときは建築確認も一緒にやるんですけれども、認定制度の中におきまして、自分の地場の県産材等の活用をする、こういうことも非常に重要なことだ、私はそういうふうに思っております。

 地産地消を進めることは、地域の振興をもたらす上で有意義なだけではなくて、地域の気候に適した建材の活用は、長期優良住宅の推進の面からも非常に効果的なことである。また、地域の生活の場である住宅と地場産業とが結びつくことで住宅に対する地域の愛着が深まりまして、ソフトの面からも住宅の長期利用に資するものである、こういうふうに思うわけであります。

 さらに、国産材の活用は、我が国における林業の振興、国産材需要の拡大等を通じてCO2の吸収、定着にも役立ちまして、環境問題の面からも推進を図るべきものだ、こういうふうに思っております。

 このような点から、林野庁の関係機関とも連携を図りながら、地場の木材の活用を促進していくことが重要であると考えておりまして、先ほど申し上げましたように、まず最初の発想は環境から来ておりますので、その辺は御理解いただきたいと思っております。

 今の林野庁との話し合いにつきまして、局長、何か御意見はありますか。

和泉政府参考人 委員が冒頭に触れていただきましたモデル事業の中でも相当の応募がございましたが、採択された案件の多数に、国産材を活用した木造住宅あるいは地産地消の木造住宅、こういったものが含まれてございました。

 そういった意味において、このモデル事業につきましても、環境問題の面も含めて、地域の工務店の活性化の面も含めて、そういったものについての採択に心がけてまいりたい、こう思っております。

 次に、林野庁との関係でございますけれども、そもそも木造住宅の生産は、工務店を初め林業、木材産業等の地域の多くの産業が連携してやってきている。これらの関連産業の一層の連携によって、地域の気候、風土にふさわしい、まさに地域の住民に愛される長期優良住宅が実現されるものと認識してございます。

 こうした地場の木材を活用した木造住宅の振興は、林業のみならず木材産業、工務店等、地産地消による地域産業の活性化にもつながりますし、委員まさに御指摘のいわゆる環境問題についても大きな貢献をいたします。

 そのような観点から、この長期優良住宅につきましても、そういう面からの林野庁等関係機関との連携のもとに、国産材など地域建材の活用を積極的に心がけてまいりたい、こう考えております。

佐田委員 今お話ありましたように、県産材を利用しつつ長期優良住宅の普及促進を図っていくには、地元に根差しました工務店等の取り組みというのもこれは非常に重要なことであって、一番最初に申し上げましたように、今、このレベルの工務店の人たちは技術があるにもかかわらず仕事がない、こういうこともあって、地場の県産材もなかなか売れない。そういうことを考えたときに、しっかりとこれは環境も考えながら、こういう工務店に活躍してもらう。

 昔は、工務店が手がけた住宅を訪問、点検、その補修等を手がけることは、いいものを長く大事にという、本当に日本のよきビジネスモデルが展開されてきたわけでありまして、今回の長期優良住宅がこうしたかつての地場の工務店等のよき伝統に再び光を当てる、私はそういうふうにも信じておるわけでありまして、雇用にも非常に私はプラスになってくると思いますけれども、今後、こういう工務店に対する指導につきまして、これからも続けるのか。大臣、よろしくお願いします。

金子国務大臣 こういう地場の工務店あるいは大工さん、やはり技術を伝承していただく必要もありますし、組織としても、やはりチームとして、あるいは地域の工務店グループとしてもサポートしてあげないとなかなかこれは支えられないという意味で、国、地方自治体を含めて、サポートセンターをつくるということも含めて、支えることを進めさせていただきたいと思っております。

佐田委員 もう時間がなくなりましたので、最後に一言申し上げたいと思いますけれども、この長期優良住宅、私もいろいろとこの法案のときには関与させていただきましたけれども、やはり基本は、最初は環境だと思うんです、これは。やはりしっかりとしたものをつくって、これから本当に自然と一体となったような住宅をつくっていかなくてはいけないし、自分の子供、孫ではなくて、子供の世代、孫の世代の人たちにそれを送っていく、それによって日本人のライフスタイルを変えていく、私は、まさに絶好のチャンスであり、大きなこれは影響を与えてくるんじゃないか。また、これと同時に、内需の拡大に大きく寄与していくんじゃないか。

 ぜひ、先生方も御同意をいただきまして、速やかな成立をお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

望月委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 午前中に引き続き、法案審査の方でも質問をさせていただきます。

 まず、今回の長寿命住宅の法律、これはフロー型の社会からストック型の社会への変換ということでこれまで検討されてきた法律がいよいよ国会に提出されたわけでございます。まず、現状のデータとして、住宅のストックとこの国の世帯数の推移について御教示をいただきたいと思います。

和泉政府参考人 我が国の住宅事情は、さきの第二次世界大戦後、四百二十万戸の絶対的な住宅戸数がございました。その後、住宅建設に努め、二十年余りを経た一九六八年には住宅総数が総世帯数を全国ベースで上回った。その後も総世帯数を上回っているところでございます。

 直近の住宅・土地統計調査、これは二〇〇三年でございますが、住宅総数は約五千四百万戸、一方、総世帯数は四千七百万世帯でございますので、一・一四倍となってございます。

伊藤(渉)委員 世帯に対して約七百万戸、住宅は数字だけで見ると上回っている。この中で、ストックを、どう質を今度は向上させていくか、こういう流れだろうと思います。

 今回の法律に基づいて、長期優良住宅の認定制度、こういったものも構築をしながら、この制度によって目指していく。この法律の目的にも出てまいりますけれども、豊かな国民生活を実現する住宅行政の未来像、また、今後の住宅市場の目指すべき方向性、これについて大臣の展望をお伺いいたします。

金子国務大臣 ストック重視という観点に大きく切りかえてきている、こういう視点で、住宅の長寿命化に向けまして、今回の法律で、耐久性、維持保全の容易性等の性能を備えた長期優良住宅の建築を促進するとともに、計画的な維持保全、それから、新築された後でありますけれども良質な既存住宅として、層を厚くするというんでしょうか、ある意味、流通の市場を非常に厚くしていく、それを通じまして良質な住宅のストックの形成と次の世代への継承というのを今回提出した法案で目指しているところであります。

伊藤(渉)委員 今大臣もおっしゃっていただいたように、住宅の流通、これもまた変えていく。つまり、中古市場も活性化をしていくということだろうと思います。そのためには、今でいえば中古自動車のように、車種、年式で大体相場が決まる、このような姿を住宅においても将来的にはつくり上げていく、こんなことをイメージされているのかなというふうに思いながら聞かせていただきました。

 また、この法律の趣旨、目指すべき方向性、こういったことがある中で、非常にすそ野が広い住宅業界でございますので、先ほど佐田先生も御質問の中で重ね重ね触れられておりましたけれども、地場の中小工務店、こういったところも住宅の長寿命化に積極的に取り組めるように、その意義を理解し、技術力の向上をさせていかなければならないと思いますし、ただでさえ停滞ぎみの地域経済の活性化ということが非常に重要になってくると思いますけれども、この辺についてはどう取り組んでいくのか、これは国土交通省の見解を伺います。

和泉政府参考人 中小工務店が供給する木造住宅は、まさに長期優良住宅の普及に当たりまして柱の一つである、こう考えておりますし、御指摘のとおり、中小工務店がマーケットでしっかりと活躍するためにも、質の高い住宅を供給できる体制を整備する、そういったことができて初めて地域の住宅関連産業が活性化する、こう考えております。

 このため、本年度から新たに、関係事業者の技術力向上に向けまして、全国のすべての都道府県でさまざまな観点からの中小工務店向けの技術力向上のための講習会を展開してございますし、あるいは、先ほども出ましたが、中小工務店の団体が各地の中小工務店をネットワーク化してともにその競争力を上げていく、そういったことを支えるサポートセンターの取り組みへの支援、あるいはモデル事業等における積極的な中小工務店の採択、さらには、林野庁等とも協力しまして、地域建材を活用した木造住宅の普及促進等につきましてさまざまな施策を展開してまいりたい、そういったことを通じて、委員御指摘の中小工務店の活躍の場を準備してまいりたい、こう考えております。

伊藤(渉)委員 そういった取り組みの中で、今、地球環境問題と相まって、間伐ということも一生懸命やっているわけで、そうしたところで発生してくるいわゆる間伐材、国産材の活用ということもよくよく頭に入れて進めていただければと思います。

 二つほど、法律の中身で少し細かいことをお伺いします。

 まず第二条関係で、長期使用構造等の定義の中で、腐食、腐朽及び摩損の防止並びに地震に対する安全性の確保に関し国土交通省令で定めた誘導基準に適合させる云々とございます。実際に、阪神大震災でもそうでございましたが、地震の場合、耐震構造に加えて、それに伴う火災また類焼による被害というのが非常に大きく出るということがございます。

 そういう意味では、耐火構造についても、災害といったことをできるだけ小さなものにするためにも重要な要素になると思いますけれども、この点については特に規定していないように見受けられますが、この点についての見解をお伺いいたします。

和泉政府参考人 今御指摘のとおり、本法案の長期優良住宅の認定におきましては、長期にわたって使用するための条件としまして、耐久性や、長く使いますので遭遇可能性が高まる大規模地震時においても、倒壊しないだけではなくて、補修して使うことができる、こういった性能を求めております。

 一方、耐火性能はそもそも建築物に求められる基本的な性能でございまして、建築基準法におきまして、立地条件あるいは建物の規模や用途、構造に応じまして必要な基準を設けまして、その限りにおいて必要な耐火性能は確保されていると思っておりますし、また、耐久性の観点から耐火性能についての議論を行ったという事例も余りないものですから、今回の基準では耐久性に直接関係のある項目について認定基準を設けさせていただいた、こういったふうに考えてございます。

伊藤(渉)委員 もう一つは第六条の関係で、認定基準等の中で、長期優良住宅建築等計画にあっては、住宅の維持保全の方法が国土交通省令で定める誘導基準に適合すること、住宅の維持保全の期間が三十年以上であること及び資金計画が適切であることとございます。

 長期優良という言葉のイメージからすると、三十年以上という数字が若干短いのかなという印象を持ちましたけれども、これは法案策定に当たってどのような議論が行われ、どういった根拠で三十年以上というふうに決まってきたのか、そのあたりのことも御教示いただければと思います。

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 長期にわたり住宅を使用する場合、当然のことでございますが、維持保全を行う所有者が交代していく場合がございます。また、住宅の構造や設備の状況、その将来的な技術進歩等も加味していくことが必要だと考えております。

 このような所有者の交代等を想定しつつ、確実な維持保全を確保し、かつ、適切で効率的な維持保全を推進するためには、当初に余りに長期の計画策定は不適切でございまして、むしろ一定期間の計画の更新を行いながら、建築後の経過年月に応じた適切な維持保全の実施を繰り返していくということが大切である、こう考えております。

 ちなみに、具体の期間として三十年以上と規定することとしておりますが、その理由の一つとして、同一の所有者による維持保全計画の実施が見込めることなど、現在の管理技術や方法等から見て、当初の最低の期間として三十年、そういったことが適切じゃないかというふうな観点から三十年という数値を定めさせていただいたわけでございます。

伊藤(渉)委員 長期優良住宅ということで、ちょっとこれは通告していないんですけれども、一つは、住宅というものが、いよいよ寿命も延ばしていくということになると、いつもよく出てくる話ではございますけれども、住宅というのは一体消費財なのか、あるいは不動産、固定資産なのか。税制のこととも絡んでくる議論なので、非常にいろいろな形での検討を加えなければいけないと思いますけれども、住宅というものはそもそも消費財なのか固定資産なのか、それと相まって、消費税の議論だとか固定資産税の議論ということが出てくるわけですが、この辺についての御見解、御所見があればぜひ大臣にお伺いしたいんですけれども。ちょっと通告していないので、局長でもよろしいですが。

和泉政府参考人 まず事実関係だけ御説明させていただきます。

 住宅については、この場でも議論がございましたが、確かに私的に所有される財という性格もございますが、町並みの一部を形成してお互いに関係する、そういった意味で外部性があり、住生活基本法でも、社会的な性格を有するものである、そういった位置づけがございます。そういった観点から、今回、まさにそういったことをさらに進めるために、長期優良住宅、こういった制度を提案させていただいているわけでございます。

 ちなみに、多分、委員の頭には消費税みたいなことがあるかもしれませんが、我が国では住宅の売買等について消費税はかかってございますが、その余の国におきましては、住宅の上物について非課税でございますとか、あるいはゼロ税率とか、中古であればその売買には課税をしない、こういったケースもございまして、今議論していただいていますようなこういった住宅に関する方向を踏まえて、将来いろいろなことがあるでしょうが、そういった時期において適切な対応を検討することが必要だ、こう考えております。

金子国務大臣 消費税との関係であえて申し上げさせていただければ、経済が回復した後、消費税の引き上げをお願いしたいというのが麻生総理が言われたことでありますけれども、この住宅についてどう考えるかというのは、今の税制上の位置づけとは別としましても、大変な国民の財でありますし、負担額も大きいという意味で、これから様々な意見が、議論が出てくると思っておりますけれども、これはもう与野党問わず、国民が納得するような方向で議論を続けていくべき大きなテーマであると思っております。

伊藤(渉)委員 唐突で恐縮でしたが、ぜひ、本当に経済の活性化ということがいろいろな意味で至上命題でございますので、そういった方向性を見ながら、前向きな議論をしていただければと思います。

 次に、きょう午前中の質問でも同じような趣旨で質問しておりますけれども、やはり、新築物件だけではなくて、これから人口も減少に転じてまいりますし、世帯も将来的には減少傾向に転ずるという推測もございます。既存の住宅というものも、より長く快適に住める、こういったことに力を入れていくということも大事だと思いますが、この点についても大臣の御所見をまずお伺いしたいと思います。

金子国務大臣 いずれ、既存住宅についても認定の対象としていくということは検討してまいりたいと思っております。

 ただ、当面、こういう既存についての長期優良という判定の技術的な知見が今のところはまだでき上がっておりませんし、それを判定するという、なかなか自信がないところがあります。そういう意味で、長期優良住宅として必要な性能を確保できているかどうかについての既存住宅の性能、これを評価するだけの技術的知見の集積、これを待って、これを踏まえて、認定の対象とするかどうかの方向を検討してまいりたいと思っています。

伊藤(渉)委員 非常に大事な観点で御答弁いただきまして、ありがとうございます。

 今も申し上げたとおり、人口も減っていく、世帯も減っていく。当然、新築の物件の建設、こういうのも鈍化をしてくるだろうと思います。そうした中で、今言った既存住宅をより長く、より快適に、そのためには具体的にリフォームあるいはリニューアルということが必要になってきますが、これは今、文字どおり、そういったデータを蓄積していかなきゃいけない。ということはとりもなおさず、こういった分野は技術的にもなかなか確立されていない、それぞれが思い思いに進めているというような状況がございまして、こうした分野そのものも政策的にも育成をしていかなければいけない、こういうふうに考えておりますけれども、重ねて大臣のお考え、今の引き続きになろうかと思いますけれども、もう一度御所見をいただければと思います。

和泉政府参考人 今大臣が答弁したことに関連して、技術的なことでございますので私の方から答弁させていただきます。

 既存住宅の性能の調査、診断につきましては、委員御案内のように、住宅品確法に基づいて、住宅性能表示の中で、既存住宅につきましても平成十四年度から実施してございます。この評価自体は登録住宅性能評価機関が行うということになっていますが、実際やっておるのは、その評価機関に属して一定の研修を受けた評価員が行う、こうなっております。

 この評価員は、新築も既存住宅もできるわけでございますが、既存住宅になりますると、劣化状況の診断等の、まさに新築と違う必要な技術研修を受けることになっておりまして、今後、そういった技術者の育成、研修内容の充実が大事だと思っております。

 また同時に、単にある既存住宅を診断するだけじゃなくて、今後はリフォーム等もふえてくると思います。その際、消費者が安心してリフォームを行うための条件整備が重要でございまして、そのために、既存住宅あるがままの性能評価の拡充とあわせまして、リフォーム工事の際に工事内容を客観的に診断、評価し、その結果をわかりやすく消費者に提供するような新しい仕組み、こういったものについても制度化を視野に入れながら勉強してまいりたい、こう考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 まさに、リフォームをしたりリニューアルする、そういった技術とあわせて、調査、診断をする技術者、こういうような者の養成をしていかなきゃいけないということについて御認識を伺いました。全くそのとおりだと思いますので、ぜひともこれも政策的に誘導をしていきたい、そのように思います。

 これとも関連をしてきますけれども、繰り返しになりますが、物を新しくつくるということと、今あるものを補修、改修、リフォームしたりリニューアルするというと、少し技術というものが異なってきますし、今あるものを直す方が非常に幅広いノウハウが必要になってくると思います。そうした技術を形成していくためにも、今、世の中には一級建築施工管理技士とかありますけれども、どこまでいっても新しく物をつくるというスタンスで資格試験等も行われておりますが、こういったところに、あるいは補修や改修、こういったものの例えば専門資格をつくるなどしてインセンティブを与えて、そういったところを目指す人を誘導していく、喚起していくということも重要だと思いますけれども、この点についても御所見をお伺いしたいと思います。

金子国務大臣 補修、改修の市場の整備を進めていく上で、今御指摘いただいたような補修、改修の専門資格を創設していくということを御提案だと思いますが、こうした技術を担う人材を養成するあり方、活用のあり方、これを含めて総合的に検討を進めてまいりたいと思っております。

伊藤(渉)委員 少しマンションのことでもお伺いをしたいと思います。

 当然、長期優良住宅としてマンションも視野に入ってくるわけですが、イニシャルコストをできるだけ小さくして購入しやすいものにする、これももちろん重要でございます。一方で、適正な中長期の修繕計画を立てて、必要な修繕費を積み立てておくということも、将来にわたって長期優良住宅という意味ではまた重要だと思います。

 この適正な中長期修繕計画の策定というのがなかなか難しいということを聞きますけれども、この点について現状の認識と、今回の法施行に伴って今後の対応をいろいろ御検討されていると思いますけれども、この点についてお伺いをしたいと思います。

和泉政府参考人 委員御指摘の分譲マンション、平成十九年末でトータル五百二十八万戸、国民の一割の方が住む重要な居住形態になってございます。これらのストックにつきまして、ある意味では運命共同体でございますので、長期にわたって適切な修繕が行われるように誘導することは極めて重要な政策だと考えております。

 このため、平成十八年九月に決定されました住生活基本計画、この中でも、二十五年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立金を設定している分譲マンション管理組合の割合を、平成十五年は二〇%でございますが、これを平成二十七年に五〇%に引き上げる、こういった計画を立てまして、同計画に基づきまして各種の施策を講じようとしているところでございます。

 具体的には、長期修繕計画の策定、修繕積立金等について定める管理規約の標準モデルでございますマンション標準管理規約の策定、普及、あるいは長期修繕計画の策定及びこれに基づく適切な修繕積立金の積み立てのための標準モデルである長期修繕計画標準様式・作成ガイドライン、こういったものを策定するなど、さまざまな施策を講じているところでございます。

 さらに加えまして、本格的なマンション時代を踏まえまして、過日、社会資本整備審議会住宅宅地分科会にマンション部会を設けまして、国民の一割が居住するこの時代のマンションの将来の施策について、深掘りして検討をしていただいている、こんな状況でございます。

伊藤(渉)委員 マンションの問題についてはまた改めていろいろお伺いしていきたいと思いますけれども、マンションというのはまだ一つのワンサイクルが完結をしていないもの、わかりやすく言うと、老朽化したマンションを一体どうするんだと。大規模修繕をする、建て直すといっても、既に居住者も高齢化をしている中で追加の出資が必要になる場合、そこに居住する人の理解が得られるのかといったさまざまな問題がありまして、老朽化したマンションを今後どうするのかということは、そんなに時間をかけて議論をしていられない段階に差しかかってきていると思いますので、またこの点についても議論させていただきたいと思いますし、引き続き検討の方をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、住宅の性能というとどうしても建物だけに目を奪われがちでございますけれども、そもそもしっかりとした地盤の上に建設をされなければ、建っているものが幾ら頑丈であっても全く用をなさないわけでございます。そういう意味で、長期優良住宅の基準という中で、地盤の状況もきちっと考慮をしていくべきと考えますけれども、この点についての御所見をお伺いします。

和泉政府参考人 長期優良住宅につきましては、住宅そのものの性能につきまして、長期にわたり良好な状態で使用できる構造及び設備を有することを想定してございます。御指摘の地盤につきましては、建築基準法において、地盤の調査方法や基礎の構造方法、構造計算の基準を定めてございまして、これに基づきまして地盤の調査、適正な基礎の選定を行うこととしている、今はこういった現状でございます。

伊藤(渉)委員 今局長が答弁してくださったように、現状の建築基準法には地盤の調査方法や基礎の型式について規定は確かにございます。しかし、軟弱地盤などの地盤の補強、また補強後の地盤の評価につきましては、小規模な木造住宅などを想定した、実務的な方法は実ははっきりと示されておりません。このために、実際には設計、施工者のみならず、地盤の調査会社、補強会社がさまざまな方法で地盤の調査や補強を行っているというのが実情でございます。

 一方で、来年の十月一日に本格施行を迎える特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律、この中では住宅事業者は保険か供託が義務づけられております。保険に入る場合には、地盤の状況をチェックして、必要に応じて補強を行わなければ加入できない、こういう状況から、地盤調査や地盤補強の基準が明確になっておりませんと、事業者側が過大な地盤補強を求められたり、また、いいかげんな地盤補強が行われたりというような混乱を生じるおそれがあります。私も、現場を回りますと、逆に保険を取り扱う会社が調査や補強の工事まであっせんをしてしまっているというようなこともあるやに聞いたりしております。

 そこで、保険制度において地盤調査に関して現場で混乱が生じるおそれがございますけれども、来年の本格施行に向けたこの点についての対応、行政の指導等について御答弁をいただきたいと思います。

和泉政府参考人 今委員御指摘のとおり、来年の十月一日から特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保に関する法律が施行されまして、保険への加入、こういったものが義務づけられたわけでございます。もちろん供託金がございますけれども。

 これまで、こういった本格的な制度の前に任意の保証制度が動いてございました。その制度におきましては、地盤の状況に応じた基礎が、設計、施工されていないことに起因する不同沈下、こういったものによる保険金の支払いが歴史的に一番多いということがございまして、全体の半分近くを占めている。保険加入に際しましてはそういったことでございますので、地盤の状況が適正に調査され、必要に応じた適正な地盤改良等が行われているかどうかを確認する必要がございました。

 一方、御指摘のとおり、地盤調査や地盤改良につきましては、建築基準法等で一定の規定は示されてございますが、小規模な木造住宅を想定した実務的な方法、これは実は十分にはございません。このため、今後の保険の本格的導入にあわせまして、保険法人におきまして、地盤及び基礎について、設計、施工基準におきまして、現行の実務を十分考慮した適正かつわかりやすい内容を定めていきたいと考えております。また、既に保険法人がございましてそういったことを決めてございます。このように、地盤調査に関しましては、委員御指摘の現場での混乱が生じないように保険法人を的確に指導してまいりたい、こう考えてございます。

伊藤(渉)委員 せっかくこの法律をつくって保険法人を立ち上げ、地盤についてもその保険に加入の条件に入れていくということですから、今まで余り世の中に出てこなかった地盤に関する事故、こういったものも今まで以上に明らかになってくるだろうと思います。

 最終的にはそうしたことをとらえて、地盤補強のあり方、地盤調査のあり方も、標準的なものを導入していくべきだと思いますけれども、こうした保険導入に伴う保険法人が収集したこういったデータを、事故結果を分析、検討をして、将来的には地盤調査や地盤補強の基準を法律上に明記していくことが重要、また望ましいと考えますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

和泉政府参考人 今委員御指摘のとおり、保険業務の実施に伴い保険事故が蓄積されますると、地盤や基礎の保険事故が発生した住宅についての地盤調査や地盤改良の内容と保険事故についての傾向や因果関係、こういったことを分析することが可能となります。これにより地盤の調査や改良につきまして、簡易な判断基準を示すことがこういった分析を通じて可能になるのではないか、こう予測してございます。

 今後、保険事故情報の詳細な調査分析を進め、保険に加入する住宅事業者や地盤調査、地盤改良を行う専門の事業者にとってわかりやすい基準を整備してまいりたい、こう考えております。

伊藤(渉)委員 いずれにしても、住宅というものは、それを買う方にとっては生涯に通常一度の大きな買い物であるにもかかわらず、その質、性能といったことを現実的には御本人がきちっと把握をするということは非常に困難なものでございます。だからこそ行政がそこにきちっと指導、介入をして、市場も整備をしながら、一般の方が安心をしてお買い物ができる新築住宅の市場、また中古住宅の市場ということを確立していくために、これからも御努力くださいますことを心よりお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

望月委員長 次に、森本哲生君。

森本委員 民主党の森本哲生でございます。よろしくお願いをいたします。

 まず初めに、道路特定財源の一般財源化、このことについて質問させていただきますが、私は総務委員会と国土交通委員会に所属をさせていただいておりますので、実は、十一月十三日の総務委員会の鳩山大臣の発言、追加経済対策の一兆円の取り扱いについて、七千億円との関係についての大臣のコメントなんですが、総理は七千億円とは別々ということを、一度や二度でなしに鳩山総務大臣は発言をされておるんです。ですから、私ども、総務委員会に出席いたしておりますと、これは七千億円プラス一兆円という考え方で国土交通委員会へ出させていただいた。

 そうしますと、昨日の金子大臣は、全体で一兆円が限度というような発言をされておりまして、このお二人の御意見の違いというものは、余りにも違うし、地方が大変困惑をされておる。この現実、どのように今大臣としてお考えなのか、そのことについてお伺いします。

金子国務大臣 今森本委員がおっしゃったように、地方が困惑しないように年末の予算編成までにはまとめていきたいと思っております。必ずそうします。

 そして、七千億と一兆円という話については、やはり国土交通大臣という立場で申し上げれば、地方の大事な、現状、自治体にとりまして道路をつくる上で大変大事な、あるいは継続的な財源としてこれまで活用されてきている、これがなくなってしまうのかということで、地方自治体の皆さんが非常に不安になっておられる。森本委員のところにもそういう声が寄せられておるのかもしれませんけれども、そういう必要な道路をつくっていくための新たな枠組みは、七千億、一兆円という数字は別としてきちんとつくり上げていきたいと思っております。

森本委員 今大臣、年末までにということで、その日程については聞かせていただいたわけでございますが、こうした閣内で大臣が真っ向から対立するような御意見というものは、今まで私も初めての経験でございますし、こうした両大臣のお考えだけでも少なくとも早く一致をしていただくことが、予算編成を地方でやられておる方々に対する大臣としての立場であるかなというふうに私は思っておるんですけれども、もうそれ以上は申しませんので、もう一度、そのことについてお聞かせください。

金子国務大臣 これは予算編成に極めてかかわる話であることはもう先生御存じのとおりでありますから、政府としては、財源とあわせてセットしておく必要がある、今の自動車諸税とも年末に向けてあわせて整理していく必要がある、こういう観点から、与党側にプロジェクトチームをつくって、そこで整理をしてもらうという方向で今整理をしております。

 したがいまして、国土交通大臣であろうが、総務大臣であろうが、今はそこに議論をゆだねているというのが現状であります。そして、その議論の成果を得た後、また我々のところに返してもらって、政府・与党で結論を得たいと思っております。

森本委員 このことについてもう少し議論をさせていただきたいというふうに思ったんですけれども、時間がきょうはわずかでございますので、本題に入らせていただきます。

 長期優良住宅の普及の促進に関する法律案、通称いわゆる二百年住宅法案でございますが、本法案の目的は、法案の第一条にありますとおり、住生活の向上と環境への負荷の低減ということであります。この点につきましては全く同感でございます。これまでの住宅政策はどちらかといえば量を重視していたのを、これからは質を重視していくということ、あるいはフローからストックへという方向性についても賛成であります。

 しかしながら、本法案による政策によって本当にそうした方向に行くのかと考えた場合、幾つか確認をさせていただかなければならないわけであります。

 これも初め馬淵議員の質問にお答えしていただきましたので、確認ということでさせていただきますが、日本において、家の寿命が欧米諸国などと比べて短いとされておるわけです。新築の家が解体されるまでの期間を見てみますと、例えばアメリカでは約五十五年、イギリスが七十七年、一方、日本はきょうお答えになった約三十年ということでございます。

 寿命の短かった理由として、国土交通省は、先ほど、量から質、それと都市化、高度利用、経済的な圧力、そしてライフスタイルの変化、この三点だということを、大臣も局長もこのことを確認されたわけでございますが、こういう三つの理由が主なんだということで、もうここのところは議論をいたしませんので、よろしいですね。

金子国務大臣 結構でございます。

森本委員 今回の法案が、二百年住宅、これも小宮山委員からも出されました。国土交通省としては、あるべき住宅の寿命として平均何年ぐらいがあって、また、政策によってどのぐらい延びるか、この数字もなかなか難しいと思うんですけれども、いかがですか。

和泉政府参考人 まず、現状でも、住宅の品質確保法、これにおける住宅の性能表示制度で、いわゆる劣化対策の等級がございまして、ランク一からランク三までございます。ランク三ですと、想定しているのは、おおむね三世代、七十五年から九十年は少なくとももつ、こういったものを前提にランク三をつけてございます。

 今回の長期優良住宅につきまして、今後認定基準を整備するわけでございますが、現在、私どもの考えでは、少なくともこの等級三を上回る水準、例えばRC、コンクリートですと、等級三に比べて水セメント比もよりいい、かつ、かぶり厚も高い、こういった水準を求めようと考えてございまして、その限りにおいて、現行の品確法の、三世代、おおむね七十五年から九十年を上回る長期利用に耐えるような住宅を長期優良住宅の対象に考えていきたい、こう考えてございます。

森本委員 局長、そのぐらいの年代であれば、長期住宅でなくても、普通の在来工法の住宅でも、十分それだけのことはもつ。ただ、今言われたように、RCのセメントの比率が六十年とされておりますから、石で昔のように家を建てた方がむしろ長もちするのかもしれないな、これは私の個人的な考え方でございます。

 それと、日本の家の寿命が短い要因にはいろいろあると思うんですが、このことについても質問がありました。その一つが、やはり日本には中古住宅の市場が整備されていないことがあると思っております。住宅販売に占める中古住宅の割合も、欧米では七〇から九〇%、日本では一三%程度ということで、どうしても日本では新築が好まれるという傾向にあるわけであります。

 多額のローンを組んでやっと買った住宅の価格も、買って住んだ瞬間に五〇から二〇、これも午前中の議論でありました。さらに、二十から二十五年たてば価値はもうほとんどゼロ。たとえ中古として売り出しても、住みかえしようとしても、価格がすぐに下がってしまうようでは、事実上できないわけでございます。

 今回の法案では、構造の変化や履歴の保存など、住宅の価値を保つためのいろいろな工夫がなされておられますが、これらの措置について、中古住宅市場における価値はどの程度上昇すると考えておられるのか、お答えください。

金子国務大臣 長期優良住宅の認定制度を今回つくらせていただいて、そしてきちんと維持保全、メンテナンスというものが、あるいはそれらを記録した、家歴と言っていますけれども、その記録が整うことによって、中古市場に非常にいい影響を与えるというんでしょうか、今は二十年たつとほとんどゼロになってしまうようでありますけれども、今度は性能に見合った評価というのが得られる環境が少なくともできるんだと思っております。

森本委員 それでは、先ほど大臣がどなたかの質問のときに自信を持って言われておったと思うんですが、せっかくきちんとよい管理をしていても、肝心の市場のマーケットが適正に評価しなければ、コストをかける意味は少なくなるわけです。

 大臣、そこのところは前段の質問でも、マーケットが適正に評価していただけると答えておられましたけれども、自信を持っておられますか。

金子国務大臣 中古市場というのが、非常に残念なんですけれども、今、層が薄い。先ほどお話がありましたのは、これを今度は適正に評価するという、二十年なり何十年たったら新築でも既存になりますよね、その既存になったときの住宅を評価するという、ある意味人材の育成もやっていく必要があるというのが今回の課題でありますけれども、あわせてそういう評価ができるようにしていく必要はあると思います。

森本委員 これも午前中の馬淵議員の質問と少し関連をしてくるわけでありますが、エコノミストの中には、土地の価格と建物の価格に差がある要因として、土地に比べて建物に関する税が重いのではないかと指摘する方がおられます。例えば固定資産税について、土地の場合には二百平方メートルまでであれば、居住用敷地の場合、課税標準が評価額のわずか六分の一になること、また、評価額も公示価格の七〇%相当が上限になることなどがあります。

 このたび、長期優良住宅の場合には固定資産税の優遇措置があるとのことでございますが、そのことによって格差が縮まるのかどうか、そのあたりも確認しないといけませんが、税制改革によって、資産を土地で持とうとして、譲るときは更地で売る傾向が強くなるという見方があるわけです。

 さて、お聞きしますが、建物の中古市場が整備されていない理由として、土地と建物の税制優遇度の違いが関係していると思われますか。また、今回の優遇措置によってそれが改善されるとお思いになっておられますか。

和泉政府参考人 委員御指摘の住宅税制、土地税制の差がどの程度住宅、土地の差につながっているのかということについては、にわかに、これだけだということはなかなかお答えしにくいわけでございます。

 そこで、少し述べさせていただきますと、住宅と土地を資産保有の観点から比較した場合に、従来、どちらかというと土地が有利なものとして受けとめられてきた、それはおっしゃるとおりでございます。一つは、土地については時間の経過によって減価償却的な状況が生じないのに対しまして、先ほど来も話が出てまいりましたが、我が国の不動産市場というのは、残念ながら上物は二十年たつとほとんど無に近くなってしまう。

 一方、外国では、欧米でございますけれども、きちんとメンテナンスやリフォームを行えば住宅の価値が維持向上するような市場があります。率直に言って、日本の場合には、ちゃんと評価されないからリフォームをするあるいはメンテナンスするインセンティブがないし、買う側から見れば、ちゃんと評価できないから高く買えないんだ、言うなればそういう悪循環だと思います。

 そういったことについては、今回の長期優良住宅の仕組みの中で、しっかり当初に認定されてメンテナンス情報ができれば、買う側から見ても安心だというようなことがあって、初めてマーケットの中でこういったものが評価されるようになるんじゃないか、こう考えています。

 そういったことを進める意味でも、二十年度税制改正で、少なくとも長期優良住宅をつくったときに、登録免許税、不動産取得税とか固定資産税、こういったものが高くなるんじゃかなわないというようなことで、一定の減税措置について努力をしてまいりました。それも大きな効果があると思います。加えて、二十一年度税制改正を迎えまして、さらなる、当初にインセンティブを与えるという意味も含めて、長期優良住宅についての税制、こういったものも用意してございます。

 こういったことを通じて、なかなかすぱっと答えられないわけでございますが、上物がきちんと評価されて長く使われるようなマーケット、こういったものを育成してまいりたい、こう考えている次第でございます。

森本委員 新築を三年とか優良住宅については五年、局長、この程度ではなかなかインセンティブは働かないというふうに私自身は実際は思っておるんです。

 それと、長期住宅の場合には、今までの日本の住宅政策は残そうとしなかった、いいものを随分壊してしまったという、私はもったいない気持ちがしております。ですから、いい価値のものにはしっかり残していくような税措置をやっていくということ、これはこれ以上申しませんが、そういうことの方がむしろ大事でないのかというふうに私は考えます。あとの議論をしておりますと、これは随分法案からはそれますので、このまま進めていきます。

 それと、ここのところも非常に難しい問題だと思うんですけれども、長寿命化のリスクというようなところで少しお話をさせていただきます。

 住宅の寿命が延びて長もちすることは非常にいいし、いいものを残してほしいということもお願いしました。ただ、日本は人口減社会に突入したということでございますので、少子化の傾向が今後どうなるか。

 これは二百年ということを言われますからあえてこういう質問をするんですけれども、国立社会保障・人口問題研究所が、約百年後の二一〇五年には日本人の人口は約四千四百万人という数字が、これはあくまでも仮定でございますが、そうなった場合、現在の住宅戸数が約五千四百万戸ですから、将来大量に住宅の余りが発生するのではないか。今でも総世帯数が約四千七百万世帯ですから、既に世帯数を大きく、先ほど七百万戸ということも答弁されておられましたが、こうした状況の中で住宅を長もちさせていくということの意義についてどのようにお考えか。

和泉政府参考人 委員御指摘のとおり、今七百万戸のあきがある、こういうことでございますが、その内訳を見ますると、直近の平成十六年調査でございますが、全ストックの三二・七%は昭和三十六年から昭和四十五年につくられたものでございます。その限りにおいて、極めて質は期待できない。また、統計上は七百三万戸の空き家がございますが、本当の意味で使える空き家というのはその半分ぐらい、言うなれば、長期不在、壊し予定、こういったものが二百万戸強ございまして、それが実態でございます。

 そうしますると、今委員、人口の減少のお話をされましたが、少し中長期的に見ると、やはりそういった時代に備えて、今の段階から建てかえ等でリプレースするのであれば、そういう人口減少で投資力が落ちた段階でも長く使えて負担が減るような長期優良住宅を今のうちから、まあ若干遅かったという御指摘があるかもしれませんけれども、今後、やれるのであれば、なるべく早く、そういう時代においても新しい負担をかけなくて住宅負担が減らせるような長期優良住宅にリプレースしていくというようなことは、政策的にも大きな意味があるんじゃないか、こう期待しているところでございます。

森本委員 それでは、コスト増についてでございますが、認定基準を満たすためには、構造の強化などによって建築費が高くなるとの指摘がございます。国土交通省としてはどのぐらいを見込んでおられるのか。

和泉政府参考人 各種の試算でおおむね二割程度と言っておりますけれども、それは率直に言ってケース・バイ・ケースだと思っています。

 二割程度と申し上げている一つの試算の前提でございますけれども、鉄筋コンクリート造のマンションを想定して、今回考えておる認定基準でつくった場合どうなるかということなんですが、まず一点目は、コンクリートの耐久性を上げるために、水セメント比をよくするとか、あるいはかぶり厚を厚くする、こういったことでおおむね二%ぐらい上がるんじゃないか。次に、耐震性の向上の観点から柱の断面を太くする、これが多分、いろいろ試算すると五%程度ぐらい。これで七%です。

 それで、一番大きいのは可変性あるいは維持管理の容易性、こういったことをやるために、いわゆる床に配管などを埋め込まないでちゃんと二重床にして、水回りの位置も変えられるとか、あるいは専用部分に入らないで共用部分の配管を交換、点検できるとか、こういった部分のコストが大体一二%ぐらいアップする。トータルで二割ぐらいアップするのじゃないか、こういうふうに考えてございます。

森本委員 そうすると、局長、今の話は木造ではチェックはそうはならないということですね。鉄筋も入れて、トータルでということですね。

 ただ、その場合、今回の法案では、認定を受けた場合、登録免許税、これは先ほど局長がかなり税の優遇で自信を持って答えられましたけれども、免許税や固定資産税などに税制優遇がなされておりますが、住宅の固定資産税が住宅の価値に連動するものだということを考慮に入れると、構造強化によって住宅価格が上がった場合の税金も高くなってしまうわけでありますので、総合的に考えると、維持費として高くなるのか安くなるのか。この点については、高くなるか安くなるかで結構でございますので。

和泉政府参考人 長期間で考えると、イニシャルコストの増分を維持管理コストあるいは解体コストの減少分が補って、全体でコストが三分の二程度に圧縮されるのじゃないか、こう推計してございます。

森本委員 私、木造の在来工法について意見を申させていただきますと、それほど長期優良住宅と言わなくても、大体骨組み、構造材、木材でしたら四寸角、そこで柱とはり、この部分をしっかりやっておけば百年は楽にいくんですよね。ですから、それほど高いイメージを出さないでもう少し循環するような感じでないと、長期優良住宅はもつんだから、資源を大切にするという問題もあります。

 しかし一方、五十年、六十年の木がぼんぼん余ってくるような日本の今の林業の状況を考えたときに、ここのところを余り強調すると、林業が、森と林業は違う、私、これは今はやりませんが、そうなったときの林業を守っていく、活性化させていくという意味では、こうした私の今のような考え方を取り入れていただいて、そして、こうした在来工法を一番、今大臣は大工さんの話もされましたが、ここのところをしっかり残さずして、私は長期の優良住宅はないというふうに、木造に関してでございますが、そのことを申し上げて、この質問、少し中途半端になってしまいましたが、木造住宅の振興策、地方の活性化についてこれがやはり必要なんだという認識、これは佐田委員もおっしゃられましたが、全く同感でございますので、ここのところをしっかりやっていただきたい。

 それと、最後に少し方向が違ってしまうんですけれども、非常に気になる問題をここで少し指摘をさせていただきたい、問題提起させていただきたい。

 建設業の退職金の共済事業というのがございます。

 この制度は、建設業の現場で働く方々のための制度でございまして、働いた日数に応じて掛金となる共済印紙を張られて、そして二年間で二十四月以上を張った方々に退職金、つまり一年間、二百五十日分の証紙を張られて、二年間張られたら十五万何がしの退職金がいただけるという制度であります。このことについて御存じでございましょうか。

 そして、証紙の購入は、公共事業では契約の千分の一・七ということで、自動的に印紙を建設業の業者の方々は買われることになっています。この証紙が、一枚三百十円なんですけれども、何とインターネットのオークションにかけられておる現実は御存じですか。

小澤政府参考人 今御指摘ございました建設業退職金共済制度、これは、建設労働者の雇用労働条件の改善ということを目指して制度化されているものでございまして、おっしゃっているように、建設業者である事業主が独立行政法人の勤労者退職金共済機構に共済契約を締結いたしまして、そこで手帳を交付していただいたものを労働者の方にお渡しして、そこに証紙を張って、勤続年数なんかの証明に使うという仕組みでございます。それは、今委員御指摘のとおりでございます。

 そこの証紙がオークションにおいて売買されているということにつきましては、これは制度を所管しておられます厚生労働省や、あるいは制度の実施主体でございます独立行政法人の勤労者退職金共済機構というところからお伺いしているところでございます。

森本委員 国土交通委員会で、ここでなぜ取り上げるか。これは、皆さん、我々の関係の業界の方々が、大体年間五百億円の証紙を購入されておるんですね、現実。

 これを、言い方が悪いかわかりませんが、一番大変な仕事をされてみえる臨時雇いの方々に張っておらないという現実なのか、証紙を余りに多く買わせ過ぎておるのかという問題があるんです。

 ですから、今の大変な時代の中で、少し購入が過多になるならば、それは建設業界の皆様に、一・七を少し緩めるとか、しかし、張っておらずにオークションに回して、お金をそちらで回すようなけしからぬようなことが起これば、これは私は厳しく指導しなけりゃいかぬというふうに思っています。そのことについて、いかがですか。

小澤政府参考人 今委員御指摘ございましたような、オークションにどういう事情で出回ってきているか、そういう実態については、国土交通省の方では、制度の運用そのものを直接担当しているわけではございませんので、実態の把握ということについてはなかなか難しいところがございます。

 国土交通省といたしましては、先ほど申し上げましたように、こういう制度が建設労働者の雇用条件の改善のために適切に使われるという意味で、働いた日数に応じて適正に貼付されるということが大事であるというふうに認識しておりまして、そういうことを、これまでも制度への加入を勧めることとか、あるいは履行を確保するということを徹底する中で、建設業団体とかあるいは公共工事の発注機関に対してお願いをしてきているところでございます。

森本委員 それならこれは担当の労働基準局になろうと思うんですが、この実態はいつごろつかまれて、現在どのように国土交通省とは協議されておられたんですか。

氏兼政府参考人 お答え申し上げます。

 建設業退職金共済制度の証紙が、御指摘のようにインターネットオークションにおいて売りに出されているという事実は、私どもとしても確認しているところでございます。

 この証紙は、委員御案内のとおり、手帳に張って、退職金を支給するという制度でございますが、この証紙について、例えば必要枚数を事前に過剰に見積もって購入して、結果として余剰が生じたというような場合は、これは他の工事に活用できるところでありますし、また、共済契約者が廃業する、例えば共済契約を解除するとか被共済者たるべき者を雇用しなくなったといった場合には、これは、中小企業退職金共済法施行規則によりまして、その保有する証紙の買い戻しを受託金融機関に申し出ることができるということでありますので、インターネットオークション等の場で事業者間で転売されるといったようなことは、制度上、予定していないわけでございます。

 では、このような事態が起こった背景はどうかということにつきまして、今申し上げたことと裏返しになるかもしれませんが、実際の必要枚数が事前の申し込みに基づき購入した額を下回っているといったようなこととか、廃業に伴い証紙が不要になったものが金融機関に行かずにインターネットオークションで売買されるということが考えられるところでございます。

 いずれにしましても、勤労者の就労に応じて、証紙を適正に貼付するということはこの制度の運営の根幹にかかわることでございますので、私どもといたしましては、機構の第二期中期計画、これはことしから始まって五年間でございますが、これにおきまして、過去二年間共済手帳の更新の手続をしていない共済契約者に対して、共済手帳の更新など適切な措置をとるよう要請するといったこととか、加入履行証明書の発行の際の共済手帳及び共済証紙の受け払い簿を厳格に審査する、こういうことを通じて、就労日数に応じた共済証紙の適正な貼付をするということを事業者に指導を徹底する等の取り組みを行っているところであります。

 また、さらに、勤労者に対する制度の周知を高めて、事業者による証紙の適正貼付の動機づけということになるように、「建設業退職金共済制度適用事業主工事現場」といった標識の掲示の普及を進めているほか、新規加入時に、これは事業主ではなく機構の方から、建退共事業に加入したということを御本人に通知するとか、専門紙、関係団体の広報誌への掲載を行っているところでございます。

 今後とも、国土交通省とも連携をとりつつ、証紙の適正な貼付を徹底してまいりたいというふうに考えてございます。

森本委員 時間が来たので終わりますが、あと大臣にこのことについて、これらについてやはりペナルティーが科せられないのか。こういうのは異常ですよ、十七万とか一万とか三万とかいうのが、オークションで実際にこれが取引されておるんですからね。

 ですから、先ほど答弁されましたが、こういうものをもう少し真剣に、これは大変だという認識のもとでやっていただかないと、しっかり調べていただかないと、これはどこが悪いのかはっきりわかりませんよ、今の状況で済まされては。大臣としっかり連携をとってやっていただくということをお約束していただきましたから、部長、しっかりよろしくお願いしますよ。

 大臣、こういう現実をお聞きして、最後に大臣のコメントをいただいて、終わります。

金子国務大臣 きょう森本委員から御指摘いただきました。関係者としっかり連絡をとって、必要な対応をやってまいりたいと思います。

森本委員 終わります。

望月委員長 次に、三日月大造君。

三日月委員 こんにちは、三日月大造です。長時間の審議、本当にお疲れさまです。

 私も、長期優良住宅法案の質疑に臨ませていただきます。どうか、金子大臣だけじゃなくて、副大臣も政務官も、せっかくお座りいただいておりますので、御関心、御専門、御担当の折にはどうぞ積極的なる御答弁をぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 私も、長期に長もちする、使える住宅をつくるという今回の法案の趣旨、これには賛同いたします。せっかくつくるんですから、やはりいい家を長もちさせようという、このことですね。

 ただ、私たちは、七点のことにこだわってこの法案の中身を見て、そしてよりよい法案にするための修正案を提示し、今与野党で御協議をいただいています。

 一つは、この間も議論がありました既存住宅、今ある住宅のリフォームだとか流通に資する法案なのかどうか。

 二つ目は、今ある住宅品質確保法に基づく性能表示制度というのがありまして、この制度とうまく連携できる法制度になっているのかどうか。

 三つ目は、やはり日本でつくる家ですから、木造、木材、国産材、こういうものの振興につながる法案にしたいということ。

 四点目は、やはり中小の地場の工務店の皆様方の活力、力になる法案にすべきだろうということ。

 五つ目は、少々恩着せがましい制度になっているものですから、それを認定する人材が本当にいるのかどうか、育てなあかんのちゃうかという観点。

 六つ目は、後で議論いたしますけれども、これは住宅単体の建築のことだけ言っていてもしようがなくて、町並みだとか景観、集団規制の中でこの長期優良住宅制度についても語られる必要があるだろうという点。

 七つ目は、今回の肝でもあります、家歴、履歴を残すという、このことが本当にうまく運用できるのかどうか。

 この七つの点で法案の中身を見、修正案を提示させていただきました。

 まず、その前提となりますというか関連いたしますことで、現状についてお尋ねしたいと思うんです。

 建築士法の改正の施行が十一月二十八日ですか、いよいよ来年五月には、構造設計一級建築士、設備設計一級建築士なる方々の関与義務づけが行われます。このことについて、まだまだ準備不足があるのではないか、技術者の不足があるんじゃないか、午前中も議論がありましたけれども、地域の偏在があるのじゃないか、特に設備設計一級建築士の皆様方が足りないんじゃないかという指摘や懸念があるんですけれども、この対応状況はいかがでございましょうか、局長。

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十八年度の建築士法の改正によりまして、いわゆる建築士事務所に属する建築士の定期講習の義務づけ、あるいは管理建築士の要件強化、こういったものが行われまして、こういったことについては原則本年の十一月二十八日から施行されるところでございます。

 今委員御指摘の、一定規模以上の建物について構造設計一級建築士あるいは設備設計一級建築士の関与を義務づける、具体的には設計するか法適合確認をする、こういったことが来年の五月二十七日から施行されます。

 こういったことにつきまして、私ども、改正建築基準法における周知不足を再び起こさないように、今徹底した周知活動をしてございます。例えば、団体を通じて案内するのではなくて、ごく簡単ではございますが、概要を記したはがきをすべての事務所に既に二回送り、今作業中でございますけれども、相当詳しいパンフレット、今委員がお持ちになっていましたパンフレット、ああいったものを全事務所に送る、こういったこともしてございます。

 ちなみに、構造設計一級建築士が関与すべき建物の数でございますが、過去の統計で見ますると年間二万五千から三万ぐらい、設備設計は、五千平米以上かつ三階以上でございますので、大体二千五百件ぐらい、こういうふうに考えてございます。

 そこで、人材でございますが、法施行の前にみなし講習で人材の確保に努めてございまして、現時点で構造設計一級建築士は五千九百八十三名、設備設計一級建築士は二千三百十九名、さらに、追加考査を現在行っていますので、上積みは可能かと思っています。

 問題は、トータルの数では先ほど御説明した対象件数と比較すると足りると思うのでございますが、地域の偏在とかあるいは設計事務所の規模による偏在、こういった問題がまだ不安でございます、率直に言って。

 したがって、これは予算もいただきましたので、各地域において、各都道府県においてサポートセンターをつくり、中央にもサポートセンターをつくり、その間で、いわゆる構造設計一級建築士等、特に危惧される点につきましてあっせんとかあるいは情報交換をする、そういった仕組みを年明け早々にもつくっていきたい、こう思っています。

 加えて、これでも不安でございますので、時期が近づいたら、こういった規模の、五千平米以上かつ三階以上の建物を過去に設計したことのあるような事務所を洗い出して、そこにアンケートをさせていただいて、今、当面、あなたの事務所でこういった規模の建物についての設計の予定はございますか、その上で設備設計一級建築士についてめどは立っていますか、そういったことも個別に、注文取りと言ったらおかしいですけれども、アンケートをしまして、去年の轍を踏まないように最大限努力してまいりたい、こう考えております。

三日月委員 前回の反省も含めて、いろいろな取り組みをされているんだと思うんですけれども、どうかもう一回各県別に状況を御確認いただいて、特に設備設計一級建築士の方は、いろいろな過去の経緯があって、資格が統合されたような形で今回設備設計一級建築士というものをつくり、その方々の関与を義務づけるということですので、関連する団体の皆様方ともよく話し合いをしていただくことを求めておきたいというふうに思います。

 それで、日本の住宅市場について三つ、ちょっと状況を確認したいと思います。

 一つ目は、日本の住宅投資の状況はどうなのかということ。これは、GDPに比較しますと、平成三年から八年ぐらいは五%台だった。しかし、平成九年以降ずっと低下してきて、今三%台なんですね。これは他国に比べて、もちろん、GDP自体が伸びれば、その比率である住宅投資の割合が低下するということもあるのかもしれませんが、他国はそういう傾向にもなっていない状況と比べてどうなのかということについて、まずお伺いいたします。

和泉政府参考人 委員御指摘のとおり、日本の実質的な住宅投資は、平成十二年度までは二十兆円以上で推移してございました。十三年度以降は十九兆円前後。

 対GDP比は、平成九年度以降は低下を続けてございまして、今おっしゃったように、十八年度は三・八%、こういった状況がございます。

 ちなみに外国でございますが、例えば十八年度の名目ベースでアメリカは五・八%、イギリスは四・二%、ドイツは五・四%、フランス四・八%、したがって日本の三・八%というのは諸外国に比べて低い、こういった状況がございます。

    〔委員長退席、菅原委員長代理着席〕

三日月委員 その部分についてどう見るかということも含めてお伺いしたかったんですけれども、ちょっとそれが無理そうなので次の質問に行きたいと思います。

 日本の住宅ストックの質とか耐久性についての評価をちょっとお伺いしたいんです。

 午前中もありましたし今の森本委員の質問にもあって、日本の住宅は短寿命だ、短いんやと。それは何でかと聞いたら、戦後、不足していたから、量を求めていっぱい建てたんや、質を考えぬと。それが一つ。二つ目は、都市化が進んだんやと。ライフスタイルが急速に変化してきてんねやと。だから、建てかえ、更新が早いんや、寿命が短いんやということなんですけれども、本当にこれだけなんでしょうか。

 もしくは、これを延ばすために、今回、長寿命の長期優良住宅制度、いわゆるプルアップの制度を導入しますけれども、もっと税制面だとか会計制度だとか保険制度を絡めて、長期に優良な住宅が普及するような制度を導入すべきだと思うんですけれども、今回の制度は今回の制度でいいんですが、いろいろとちょっと原因を分析して制度を考えていくことの必要性について、どうお考えになられますか。

和泉政府参考人 日本の住宅の寿命が短い理由につきましては、今委員も繰り返していただきましたが、基本的に三点あるということだと思っています。

 強いて加えて言えば、地価がずっと上昇し続けたことによって、個人の資産というのは土地のキャピタルゲインで稼げたという時代が長く続いていたということと、悲しいことなんですけれども敷地が狭い。その不整形な敷地の中で容積率を目いっぱい稼ごう、こう思うとどうしても汎用性のないプランになってしまう、こういった問題もあったかと思います。

 ちなみに直近のデータですと三十年でございますが、その五年前のデータは二十六年というようなことで、かなり延びてきてはいる、そういった状況だと思います。

 その中で、やはり消費者の意識も変わってきて、十年間あるいは二十年間でほとんど上物の価値がゼロになるような住宅は困るという気持ちも強うございますし、片方で、長い目で見たら日本の人口が減る中で、つくっちゃ壊しの住宅産業はもう続かないという住宅産業側の思いも結びついて、最近はいろいろ変化がある。そういう中で、こういった施策を提案させていただいているわけでございます。

 当然この制度だけで十分だとは思っておりませんで、今委員から御指摘のありましたような幅広い分野で相乗的に日本の住宅の寿命を延ばせるようなことが何があるのかというようなことについては、引き続き真剣に勉強してまいりたい、こう考えております。

金子国務大臣 三日月委員、いい御指摘をいただいたと思っています。

 住宅の技術というのは、やはり随分急速な進歩があるんですよね。今はできていないけれども、あるいは数年前はできなかったけれども、それが非常に耐久性のあるものがどんどん技術進歩できてきているということは、今回、長期住宅の議論に至ったのも、これまでに比べてそういう建築技術が非常に、コンクリートの耐久性等々ですね。

 それからもう一つは、金融というんでしょうか、例えば長期住宅のリバースモーゲージのような制度はまだ残念ながらできているとは言いがたいですよね。だけれども、それがいずれ我が国の市場でもできてきますと、またそういう市場に対応して長期住宅という考え方が別のところから出てくるんだろう。保険についても、多分そういうイメージ、そういう部分というのはあるんだろうと思っています。

 そういう意味で、本件とは切り口を別にした、あるいは技術進歩に伴った対応というのは、当然、我々としても一緒に考えていきたいと思っています。

三日月委員 あともう一つなんですけれども、日本は既存の中古住宅の流通量が伸びないんです。直近のいろいろなデータを見ますと、これはちょっと古いんですけれども、平成十五年ぐらいまでで大体年間十七万戸ぐらいのオーダーなんですね。それで、大体十六万から十七万ぐらいでずっと横ばいだと。一方、アメリカは、規模は違うのかもしれませんが、四百万戸から六百万戸に、ずっと既存住宅の流通量が伸びてきているんですね。

 これは、日本でも既存の中古住宅の流通を伸ばしていくために、どのような施策が必要だと考えられますか。

和泉政府参考人 まず、一番の本質は、やはり日本のマーケットが新築中心になれちゃったと。したがって、残念なことなんですけれども、買う側も既存住宅についての性能がきちんとわからないから評価しない。売る側は、ちゃんとその修繕をしたりメンテナンスをしても、マーケットで消費者が評価してくれないから、その修繕もメンテナンスもしない。この悪循環が一番のベースだと思っております。

 したがって、そういったことを解消する必要があるわけでございまして、今回の長期優良住宅は新築から入るわけでございますけれども、長い目で見れば、今マーケットの悪循環と申し上げましたが、その原因となっております既存の住宅の品質に関する信頼性、こういったものをきちんと上げていくということが大事だと思っています。

 その上で、いろいろな制度の中で新築と既存住宅について差がある部分もございます。税制等は最近の改正でほぼイコールフッティングになりましたけれども、保険の問題でございますとか融資の問題、こういったものについても幅広く既存住宅の流通環境が整うように、勉強し、また拡充もしてまいりたい、こう考えております。

三日月委員 いや、今回の長期優良住宅の制度はいいんですけれども、先ほど申し上げた短寿命である住宅をより長期の寿命にしていくことの技術だとか制度の見直しと同時に、この既存住宅市場を伸ばしていくということが必要だと思いますので、これはまた不断に、お互いで研究をしていきたいと思います。

 その中で、今回の制度の中身に少し入るんですけれども、長期優良住宅、みんな建てようと思わはりますかね。大臣、ぜひセールスマンになったつもりで、この法案の意義というか、これはさっきも議論になっていましたけれども、オーバースペックだとかコスト高だとか現場の混乱だとかということにつながりやしないか。この長期優良住宅を建てる、買う、持つことのメリットはどういうことにあるのか。

 今の森本委員の質問の中にもありました。やはりいい家を建てたら高うなるんですよね。維持管理コストと建てたときのイニシャルコストのコスト比較をしたときにどうなるのかということも例示しながら、ちょっとお答えいただければと思うんですが。

金子国務大臣 御指摘をいただきました。

 オーバースペックにならないというところから入りますけれども、大規模災害であっても、例えば震度六、今までですと倒壊という条件でありましたけれども、今度は、倒壊だけじゃなくてちゃんと補修すれば十分使えるというようなものにしていく。それから、部材でも、市場にない特別仕様のものみたいなものを要請するのではなくて、現に使われている部材の中で少し品位の高いもの、品質のいいものという、そこは十分気をつけて、施行令等々においてもやらせるようにしたいと思っております。つまり、目的に照らして必要な限度をオーバーしないということは大事にしたい。

 それから、今おっしゃられた、ある経過年数がたったときに市場からどういうふうに評価されるのかというところが、やはり一番、インセンティブ、少々つくるときに高い、二割ぐらい高いようだ、しかし、二十年後あるいは二十五年後にはどういう評価になるということで、目に見えてくれるようになるといいんです。

 そこで、あるハウジングメーカーが一つの市場で提示しております。

 では、ちょっとこの点について、モデルがありますので住宅局長から話させます。

和泉政府参考人 今マーケットで評価されているという点でございますけれども、鶏が先か卵が先かでございますので、大体がブレークスルーが必要だと。

 それで、今大臣が申し上げたハウスメーカーでございますけれども、初めは高いですよ、そのかわり、我が方の躯体というのは非常にもつんだから、丸々、躯体もインフィルもあわせて、二十年たったら一〇%じゃなくて、躯体の方はそんなに劣化しないんだ、こういった計算をしまして、例えば普通の住宅ですと、今のマーケットでは、二十年たったらば一〇%になっちゃう。だけれども、こちらについてはそんなに落ちないというようなことを前もってお客様にお話をして、将来、ある時点で売りたい場合には、こういう査定でちゃんと売ることをあっせんします、売れなかった場合には私どもの関係の不動産業者で買い取ります、こういったビジネスモデルが出てまいりました。

 これは、言うなれば、先ほど申し上げました、消費者側も住宅供給側もある意味の潮目に来ていて、そういったビジネスをしないと、今後住宅産業が、市場が活性化しないだろう、こういったことの一つの例だと思っております。

    〔菅原委員長代理退席、委員長着席〕

三日月委員 もちろんそれぞれの民間企業の努力もあるんだと思うんですけれども。

 そのときに、一つ確認しておきたいのは、住宅の性能表示制度というのがあります。これと、今回の長期優良住宅の認定制度というものがどう絡むのか。法で言うと十六条のところにもあるのかもしれませんが、今ある性能表示制度を使えばいいじゃないですか。そのランク以上の、等級以上の住宅が長期に優良な住宅という認定の仕方もあったんじゃないでしょうか。わざわざ別建てで、別法でやることの意義も含めて。

和泉政府参考人 今回は、長期優良住宅を認定して、これは行政庁が認定して、それに付随してさまざまな法的効果がぶら下がるというようなことがございまして、認定という仕組みがまず必要だ、これが一点でございます。

 二点目は、委員御指摘のように、そうはいったって、住宅性能評価の方でも耐久性の等級とか耐震性の等級があるではないかと。その点につきましては、今後認定基準を設けるときに、きちんと整合をとって、ばらばらの基準になって意味がわからないということにならないように、しっかりと省令をつくるときにその整合を確保していきたい、こう思っております。

 住宅性能表示制度自体は、ある一定程度以上ということを示すんじゃなくて、ニュートラルに、中立的に、各項目に従って、どういう性能があるかという情報を客観的に消費者に提供する制度、こういう仕組みでございますので、言うなれば、決してバッティングするものじゃなくて、お互いに協力して住宅の質の向上を図っていくという制度だと考えております。

三日月委員 この間、るる担当の皆様方から御説明いただいて、何となくわかってきたんですけれども、まだまだ、これ、住宅性能表示制度というものがあって、今回、長期優良住宅の認定制度というのがあって、それぞれの制度がどうリンクしているのかということについてわからない方々もたくさんいらっしゃると思うんです。

 したがって、ちょっとこの部分は、今ある制度の中で長期優良住宅の認定制度はこうなんだということをもう少しわかりやすく、例えばこれから特定行政庁に説明するとき、いろいろなメーカーに説明するとき、何よりこれから買おうとする消費者に説明するときに、何かわかりやすい資料なりPRをお願いしたいというふうに思います。

 もう一点、きょう一番確認したかったのは、長期に優良な住宅を保つ住宅と言うならば、やはり住宅単体の建築云々かんぬん、品質云々かんぬんもさることながら、まちづくり政策だとか都市計画の中で、長期優良住宅をどう位置づけるのかということが大事になってくると思うんです。

 この二月に出された社会資本整備審議会の答申の中にも、それに基づいて今回の法案ができたんですけれども、この点を指摘されていて、その制度を、こうやって法律をつくることもさることながら、例えば建築基準法の集団規制の中でどうなのか、都市計画法をどうさわるのか、景観法とどう連動させるのかという視点が必要だという指摘があるんですけれども、その点が今回の法案の中では抜け落ちていると思うんですが、この点、いかがお考えでしょうか。

金子国務大臣 長期優良住宅の認定に当たっても、良好な居住環境の確保に資するような地区計画、景観計画、建築協定というのもありますけれども、こういったものとの調和など、町並み、まちづくりに配慮することは大切なことであると思っております。

 具体的に、本法律の中におきまして、基本方針に定められた認定に関する基本的事項に照らして適切かどうかが認定の基準の一つに位置づけられております。御指摘の、まちづくり、都市計画との調和に関する事項について、この基本方針で定めたいと思っております。

三日月委員 簡単にかみ砕いて言うと、基本方針の中に定めて、そして認定基準にも定めて、それぞれを判断していくということでよろしゅうございますか。

金子国務大臣 結構です。

三日月委員 それはそれで、長期優良住宅の制度運用の中で一定担保されるのかもわかりませんが、やはりもう少し広く、まちづくり政策、都市計画制度の中で、こうやって長もちする、長期に優良であり続ける住宅制度をどう位置づけるのかということも必要だと私は思うんです。

 最後に、履歴ですね、家歴とも言いますけれども、これはいいことだと私は思うんです。その家がどんな品質を持っていて、どんな手入れをされたのかという、いわゆるカルテのようなものをつくることを義務づけ、保存することを義務づけるということはいいことだと思うんです。

 しかし、例えば大手のハウスメーカーや何かだったらノウハウもあるし、システムもあるしということで、こういうことが容易に可能だと思うんですけれども、地域の中小工務店が、建てた家を、例えば五十年、百年持ち続けて、メンテしていくということはなかなか難しいと思うんですけれども、こういうものを公的にサポートしていくことの必要性、私はあると思うんですが、いかがお考えでしょうか。

和泉政府参考人 結論的には、私もあると思っております。

 具体的には、履歴の作成、保存は、まさにおっしゃるように、住宅を長期にわたって維持管理するためのデータベースでございますので、極めて重要でございます。おっしゃるように、大手ハウスメーカーのみならず、中小の工務店にとってもちゃんと使えるような仕組みをつくっていく必要がある。ただし、大事なことは、ばらばらなデータでは困るので、少なくとも、最低限共通に、必要最小限の情報、こういったものはみんな持ってもらわなくちゃならない。

 そういった趣旨から、ことしと来年にかけまして、住宅履歴情報システムの開発をしまして、その中には当然中小工務店における活用というようなことを視野に入れております。

 加えて、中小工務店の団体が、サポートセンターという話は随分出ておりますけれども、そういった住宅の履歴情報についてもサポートセンターをつくって、例えば今回のモデル事業における提案では、施主さんもデータを持つ、つくった工務店さんも持ちます。だけれども、同時に、団体の中央センターでもそういったデータベースを残します、こういったことも提案されております。

 こういったことについても、今後とも、私ども支援して、中小工務店がしっかりと住宅履歴情報システムについて、現代的な形でしっかりと対応できるように応援してまいりたい、こう考えております。

三日月委員 よりよい制度になるよう、運用の充実をお願い申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

望月委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 法案は、日本の住宅の寿命は欧米に比して短いということから、長寿命化を図って、中古住宅の流通の活性化を進めようとするものであります。数年前から、住宅ストックが充足しているとして、中古住宅の市場を重視せざるを得なくなっていることが背景にあって、こういう法案を出してきたわけですよね。その意味では、スクラップ・アンド・ビルド型の住宅市場を長年推し進めてきた政府の住宅政策は、転換すべき時期に来ている。

 耐震偽装事件のときに国会で議論しましたが、安かろう悪かろうという住宅をはびこらせるやり方や、住宅のコスト削減競争、特に初期価格のみを競うやり方を規制して、もっと長もち住宅、住宅の長寿命化を促進、誘導すべきだと私は当時提案しました。それで、長寿命の住宅は、初期建設費というのは二割程度高価格だけれども、一生を通じた費用であるライフサイクルコストは考えてみたら安上がりだということを私は当時紹介しました。

 ただし、今回の法案というのは、いろいろ見ましたけれども、この法案による認定を受ける事業者の中心は、やはり大手ハウスメーカーであるということは明らかであって、大企業の研究や販売支援となることも一定明確だと思うんですね。

 したがって、私は、大手事業者のみが得をするための住宅政策ではなくて、今大事なのは、つくり手としての中小業者への支援並びに低所得者、国民、住民に対する住宅のセーフティーネット対策こそ重視すべきだ、こういう立場からちょっときょうは議論したいと思います。

 中でも、未来を担うべき若者が置かれている貧困と労働、住宅環境の現状に関連して幾つか質問します。

 先週の当委員会で、私、最後のところでばたばたとやりまして、民間賃貸住宅で敷金ゼロ、礼金ゼロ、仲介手数料ゼロをうたい文句にしたゼロゼロ物件とそのトラブル、対応策について質問しました。詳しい内容については省いたから余りわからなかった方もいらっしゃると思うので、もう一度この問題についてきょうは聞きます。

 国交省として、ゼロゼロ物件にかかわるトラブルをどのように認識しているか。そして、あわせて、この間は局長は、社会問題化しておる事態を踏まえ、何らかの方法で実態をしっかり調査してまいりたいと答弁しました。社会問題化している事態について何らかの対策を立て対処すべきではないのかというあたりについて、まず報告していただきたい。

和泉政府参考人 お答えします。

 今の御質問は、まず、ゼロゼロ物件についてちゃんと認識しているかという御指摘がまず一番目でございます。私どもの認識では、一部の不動産会社におきまして、敷金ゼロ、礼金ゼロというようなことをうたい文句として営業が行われておる。また、こうした物件の入居者が、家賃を滞納した場合に無断でかぎをかえられたり、あるいはちょっと支払いがおくれても法外な違約金を払わされたりなどして、損害賠償を求める訴えを提起している、そういったことがございます。これがいわゆるゼロゼロ物件をめぐってのトラブル、こう理解してございます。

 加えて、二番目でございます。先週、何らかの方法で調査をすると言ったが、その結果に従って何らかの対策も検討すべきじゃないかと。それにつきましては、その調査の結果やるべきことがあれば、関係省庁とも連絡をとりながら、私どもとしてやれることについて検討してまいりたい、こう考えております。

穀田委員 やるべきことがあればという状態、そういう話ではないんですよね。

 そこで、今お話ありましたけれども、ゼロゼロ物件によるトラブルというのはどんなものかということなんですね。報道その他や、また裁判になっている事例もありまして、不動産会社スマイルサービス、この社が一番この問題では有名ですよね。これは、家賃の支払いが一日でもおくれると無断でかぎを交換し、居住者を締め出すわけですね。新しいかぎを受け取るには家賃一割に当たる違約金と一万五千円を超える施設再利用料の支払いが求められる、こんなことがあるわけですね。

 ある青年は、夜勤明けで寝ていたら突然スマイルの社員が土足で部屋の中に入ってきた、すぐに出て行ってくださいと有無を言わせず目の前でかぎを交換され、着のみ着のままでたたき出されたと。こんなことが十四回も続いて、十四回もかぎを交換されたと。こんなことまで起こっているわけですよね。

 また、コンビニアルバイトの青年は、三年前に重病を患って服薬を一日たりとも欠かすことができない事情があるのに、仕事を終えてくたくたになってドアをあけようとしたら、かぎが交換されていたと。漫画喫茶で夜を明かした翌日、せめて薬だけでもとりに戻らせてほしいとスマイル社にかけ合ったが、けんもほろろだったと。さらにひどいのは、青年が消費生活センターを通して交渉したところ、スマイル社は、契約どおり荷物は撤去したと告げて、テレビ、冷蔵庫、洗濯機のような家具だけでなく実印、預金通帳、年金通帳などの貴重品も一切合財撤去されたと。こういう話なんですね。

 だから、何か調査した結果やらなあきませんなんて悠長な話じゃなくて、事態は起きている、全くひどい話だと。だから、ゼロゼロ物件とは、今言いましたように、こんなトラブルが起きているんだということを私は言っているわけですね。

 大臣にこの際お聞きしたいんですけれども、何とか対処しなければならぬと思いませんか。ちょっとその辺を大臣の方から少し聞きたいと思います。

金子国務大臣 何とかしなければいけないと思う気持ちはあるんですが、ただ一方で、局長からお話ありましたように、どういう実態なのかということも少し調べてもらいたいと思うんですよ、今とりあえず報道だけなものですから。

 そういう意味で、状況を調べてもらって、きちっと状況を把握したい。まずはそこからスタートさせてください。

穀田委員 何でこんなことを言っているかというと、スタートは確かに現実を見なければできませんよ。だけれども、こういう問題が今突然起こったんじゃなくて、実はあなた方がやっている研究会なんかでも、これは危ないなということで、法律的な対策をとらなくちゃならぬということをずっと前から言っているから私は言っているんですよ。

 現実はどうかといいますと、もう一つ言いますと、今これは裁判になって争われているんですね。だから慎重だということもあるのかもしれませんけれども、先ほど言ったスマイルという会社の契約は、施設つきかぎ利用契約というような契約をやっているんですよね。かぎを一時使用するだけで、部屋はですよ、部屋はかぎの附属物だから賃借権はない、居住権は認められないとまで記載した内容を契約しているわけですね。このため、少しでも家賃がおくれると違約金を取られたり、かぎを交換されたりして、入室すらできなくなると。こういう契約は借地借家法に違反しているし、かぎ交換や荷物撤去などは住居侵入罪や窃盗罪に当たるもので、そんな契約を結んでも公序良俗に反して無効だと私は思うんですね。違約金も年率計算すると数千%と暴利で違法だと。こんな無法な営業を行っている業者を放置すべきではないと私は考えるわけです。

 近畿の同じく大阪でも、今度は家賃保証会社、日本保証システムがほとんど同様の行為を行っていて、こんな張り紙までやっているんですね。「無断立入禁止 この部屋に御用の方は下記へ連絡下さい」といって、「連絡なき場合は居住権を放棄したものとみなし、当社にて残置物を処分し明渡しの手続きを執ります。」こういうのをばあんと張って、いかにもおどかしてやっているというようなことまでやり出しているわけですね。これで、結局、大阪でも裁判で争われているという現実です。

 そこで、先週のこの間の局長の答弁で、住宅を貸すとか、あるいは住宅を借り上げて転貸するものについて業法的なものはないというお答えでした。そもそもなぜ業法がないのか。住宅賃貸を生業としている事業者は大手不動産業者を含めてたくさんあるじゃありませんか。だから、どこがどう違うのか、わかりやすく説明していただきたい。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 そういう事業者を監督する法律として、宅地建物取引業法という法律がございます。その法律の第二条におきまして、宅地建物取引業というのは、「宅地若しくは建物の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行なうものをいう。」というふうに定義されているわけでございます。

 したがいまして、例えば、みずからがアパートを賃貸するといったような賃貸業とか、あるいは家主からの委託を受けましてアパートの共用部分の清掃業務を行うようないわゆる賃貸管理業、そういう行為に関しましては、宅地建物取引業法の規制の適用を受けておりません。

 賃貸業や賃貸管理業につきましては、宅地建物取引業法以外の法令におきましても、そうした事業を営む者を規制する制度は現行法では存在していないという状態でございます。

穀田委員 簡単に言うと、賃貸住宅の仲介、あっせんを営む場合は宅地建物取引業、いわゆる宅建業法の網がかかるが、賃貸事業や賃貸管理業には何の網もないということですな。みずからじかにやる場合だけでなくて、他の家主から物件を借りて賃貸する場合や賃貸物件の管理委託を受けた場合も業法はないということだと判断していいわけですな。そういったお答えだと。

 そうすると、賃貸住宅の仲介、あっせんというのは最初の一回だけなんですよね、話し合いをして紹介するわけですから。賃貸や賃貸管理というのは、契約を結べば解除して出ていくまでつき合う、こういう関係にあることはだれもがわかることです。したがって、賃借人との関係は長く深いわけですね。

 その長いつき合いの中で今回のようなスマイルサービスのやり方でトラブルが発生しても、業者を規制する仕組みがない。賃借人を救済するには、裁判などで争うしかない。これは明らかに不備があるんじゃないのか。だから、多くの消費者や賃借人は泣き寝入りするしかない。

 したがって、ここが問題で、私は賃貸事業や賃貸管理業、家賃保証協会に対して何らかの規制なり業法が要るんじゃないかと思うんですが、その辺はいかがですか。

小澤政府参考人 今委員が御指摘ございましたように、賃貸と申しますのは、賃貸が貸し主と借り主との間に継続的な法律関係を生ぜしめるということがございます。

 現在、宅建業法の対象としておりますのは、売買といったようなものでございます、先ほど最初の一回とおっしゃいましたが。そういう意味では、いわゆる取引行為としてかなり短期間のことを想定しておるものでございますので、その性質を異にしているということがございます。

 今回、委員が御指摘あったような案件については、これは賃貸にかかわるものと思われますが、こういう賃貸の場合に問題にされますのは、主として賃借人保護という観点から、家賃とか敷金の額とか契約条件とか、そういったものについて問題になることが多いわけでございます。そういうものは、宅地建物取引業法の問題というよりも、個別的な利害関係にかかわる民事上の問題といたしまして、今現行法では借地借家法がございます。したがいまして、その規制にゆだねているという状態にございます。

 またさらに、一般的に営業行為に対して規制を設けたり参入規制を行うということにつきましては、これは憲法で保障されているようないろいろな権利上の保護の観点からも慎重な検討が必要というふうに考えておりますので、現在、賃貸に関して、新たに事業者に対してさらなる法規制を行うということについては、制度的にいろいろ課題が多いというふうに考えているところでございます。

穀田委員 そこなんですよね。

 そこで、大臣、調査の結果、まず調べさせてくれと言うので、私がさっき言ったように、実は賃貸管理業については、国交省が〇六年に不動産賃貸業、賃貸不動産管理業等のあり方に関する研究会というのをやっていまして、そこで「賃貸管理業の適正化を図るための法制度が必要との指摘もあるため、さらに業務やそこでの紛争の実態等を踏まえ、法的規制の要否について検討」するという報告書を出しているんですよね。

 だから、大臣はよく調べてそういう実態をつかんで検討をすると言ったけれども、そういう検討は前に、〇六年に実はそういう問題についての指摘をして、急がなあかんということを言っているわけです。そこからやっているわけですね。今、何かきのうきょう起こった話で、調査をしてどうのこうのという話じゃない、みずからのところでやっているんじゃないのか、だから、そういう具体化をどないしてんねん、私はそういうふうに聞いたわけです。そうしたら、何か調べてとかよく検討してと言うから、それは違うと。前にそういうことを言っているんだから、それで大臣、どないやということを私は聞いたつもりだったんですけれども、どないですか。(小澤政府参考人「委員長、事実関係だけ」と呼ぶ)いや、大臣に聞いているわけです、さっき言わはったから。

小澤政府参考人 今委員御指摘ございました研究会の検討でございますが、これにつきましては、最近、賃貸住宅に関しまして、例えば退去時に原状回復の問題なんかとあわせて契約の更新とか、あるいは入居中に修理や修繕に関して苦情とか御相談事が非常にたくさん私どもに寄せられております。そういう意味では、賃貸不動産の管理業務の適正化ということを図る必要があるという観点から勉強してまいったところでございます。

 この研究会では、先ほど御指摘ありましたように、確かに法規制の要否については御指摘をいただいておりますが、今回私どもは、賃貸管理業の業務の適正化がそういった意味では重要な政策課題であるということをとらえた上で、社会資本整備審議会の産業分科会の不動産部会といったところで賃貸管理業の制度のあり方についての検討は始めたところでございます。(穀田委員「わかった。大臣」と呼ぶ)

金子国務大臣 この問題、さまざまな分野があって、まだゼロゼロ物件のトラブル状況について、いずれにしても、出ていって実態の調査をやるよという話になったのはこの間の委員の御指摘をいただいてからですから、これまでの経緯は別としまして、これは調べていきましょうよ。

穀田委員 先ほどの研究会の報告はこう言っているんですね。念のために大臣にだけ言っておきます。「賃貸管理業は、宅建業法の対象とされていないため、賃貸管理業者に不適切な行為があった場合でも、法的規制をもって対応できない。」ということで、この事態について予測し、事実から、この対応がここの分野は穴になっているということを言っているんですよ。だから言っているわけなんですね。

 あれこれの説明は何ぼでもできますよ、そういうことをやっているという。問題は、この事実とその当時の判断とがやはり具体化されていないということが問題だと私は指摘しているわけですよ。もちろん、大臣は、それは私が言うたから調べますと。それはええですよ。ただ、それは前からそういう問題が指摘されていて、これはあかんなということを言ってあったぜ、だから、今さら、今さらという言い方はあかんけれども、調査して対応しますじゃなく、今すぐ対応する必要があるのと違うかということを私は言いたい。

 そこで、なぜこういうことを言っているかというと、深刻の度合いを増しているからなんですね。といいますのは、こういうトラブルを生む事業が繁盛しているという現実をどう見るかなんですよ。

 このスマイル社が扱っている賃貸戸数は何と五千戸もあるんだそうですね。今でも空き室は五十戸もない状態。空き室となってもすぐに入居者が決まることが多いということが言われているぐらい、ある意味でははやっているんですね。

 それで、地方から出てきた若者が仕事を得るにも会社に雇用してもらうにも住宅が要る。その住宅を借りようにも、敷金や礼金など初期投資が家賃の数カ月分必要だから、なかなか出ない。この初めに必要なお金がゼロ円なら、こんないいことはない。まとまった安定的な収入がない者ほどありがたいと思うわけです。

 いわゆる貧困層を対象にした住宅貧困ビジネスの一つだが、なぜこういうビジネスが繁盛するのか、ここが私は問題だと思うんですね。だから、問題の深層といいますか深いところをしっかりえぐらなければあかんのと違うか、この認識はどないやということを少し大臣に聞いておきたいと思うんですが、いかがですか。

金子国務大臣 一点目としましては、アルバイト、派遣社員などの非正規の職員、従業員の比率が上昇してきたということが背景にあること。二点目、このような方々が敷金、礼金を準備できずに、通常の賃貸住宅への入居が困難になったために、そのような方々を対象としたいわゆるゼロゼロ物件と言われるような形式がふえてきていること。結果として、新聞報道で見られるように、関連のトラブルもふえてきているものと思っております。

 決して、国民の居住の安定確保上、好ましいものだとは思っておりません。

穀田委員 一言で言って、今、非正規雇用の問題の指摘がございましたが、貧困と格差の拡大が背景にあると率直に私は思います。

 ネットカフェ難民など、社会問題化しているのは周知のとおりでして、年収二百万以下という貧困層が千万人を超えていると報道されていることの反映だと率直に思います。その点は認識を共有していると思うんですね。

 そこで、先日もトヨタ・ショックということで、トヨタは、収益が大幅減益になるということで、七千八百人も首を切るリストラをやることが報道されています。特に、派遣であっても、今まででいいますと独身寮などが用意されていましたから、一応住宅は確保されていましたが、派遣の場合はリストラされたら寮も追い出される、そして多くの若者たちが住宅難民となってさまようことにもなりかねません。ですから、私は今、経済対策の中心も、こういったところにしっかり置くべきであるということを改めて言っておきたいと思うんです。

 私はこの間、「大失業の危険から雇用とくらしを守るための緊急申し入れ」を政府に行いまして、特に派遣社員、期間社員を初めとする大量解雇、雇いどめを中止すべきであるということを言いましたけれども、その意味では、経済団体、主要企業に対して政府は指導するとおっしゃっていました。私は同時に、これが起こっている事態についても対処する必要がありますから、住宅のセーフティーネットをきちんとしておく必要があるだろうと思っています。

 そこで、先ほど述べた、若い人たちが住宅を借りようとする場合、何らかの住宅のセーフティーネットの制度はあるんでしょうか。

和泉政府参考人 公的な賃貸住宅制度としましては公営住宅制度がございますが、委員御案内のとおり、単身入居は基本的にはできない、本当に困られて生活保護になった場合については単身であっても入れる、こういう制度がございます。

穀田委員 だから、結局、国土交通省にはないということだね。

 厚労省に聞きますが、ネットカフェ難民など住宅のない者向けの対策として貸付制度を設けたと聞いております。具体的に、救済できる人数、貸付金額など、どれほどと計画しているのか、貸し付けの要件はどうなっているのか、簡潔にお答えいただきたい。

大槻政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、住居のない、住居を失って不安定な就労を繰り返されておられる方々がおられるわけでございますけれども、そういった方々の安定就労を図るために、本年度より、東京、大阪、愛知におきまして、ハローワークとNPOとの連携によります相談窓口を設置しまして、住宅の確保あるいは安定就労の確保につきまして相談支援を開始したところでございます。

 住居の確保のためには、やはり何といいましても、賃貸住宅の入居の初期費用の問題がございます。この支援が大変有効であるということから、東京におきましては既に東京都独自の資金制度、貸付制度があるわけでございますけれども、大阪、愛知におきましても同様の貸し付け等ができますように、さきの国の補正予算におきまして、こういった方々を対象とする就職安定資金貸付事業を創設したところでございます。

 この内容でございますけれども、対象者は、住居喪失状態でありまして、熱心に常用就職に向けた就職活動を行う方ということでございます。入居初期費用の上限は四十万円、それから、最初の給与を支給されるまでの間の生活費等に充てるものとして上限二十万円、こういった内容で貸し付けをするものでございます。

 今年度補正におきましては七千九百万円、事務経費も含めての額でございますが、用意いたしております。また、来年度につきまして、要求しておりますので、まだ確定はしていないところでございます。

穀田委員 その費用は七千九百万なんですよ。だから、そういう意味では少な過ぎる。セーフティーネットの網に大きな穴があいているというのが現実ではないかと私は思うんですね。

 厚労省が今言った、そういう貸し付けする制度を設けて、働く準備金にしても一定の援助をするという制度はあるわけですが、もともと、憲法の生存権に基づいて、「健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸」することを目的とした公営住宅法を所管する国交省は、住宅に困窮する若者たちの住まいを確保する責務があるんじゃないのか。そこは、大臣、いかがでしょうか。結論的に。

和泉政府参考人 先ほど、国土交通省にないんだねとおっしゃられてしまいましたので。

 そうではなくて、最近の事例をちょっと御紹介しますると、お金を渡すということじゃなくて、川崎市なんかで起こっている話なんですけれども、なかなか入りにくいケースについて、市の方でいわゆる家賃の債務保証をする、こういった事業を始めてございます。

 今の段階では、まだ委員御指摘のネットカフェ難民みたいなものが対象になっておりませんけれども、こういった公共団体の取り組みを、私どもも、地域住宅交付金という予算で応援できますので、各地でそういった実情を踏まえながら、公共団体とも協力して、我々として地域住宅交付金を使って応援できるのであれば一生懸命応援していきたい、こう考えております。

穀田委員 何かそれでやると何ぼぐらいの金を扱うのかという問題が今度あるんですけれども。

 だけれども、私が言っているのは、ここを大臣は最後まで聞いておいてくださいね、やはり民間賃貸住宅を若者向けの公営住宅として借り上げたり、それから、家賃の一部を補助したりするということはまだないんですよ。だから、そういうことを含めて、今問題になっている、なぜこういう事態が起こっているか。敷金なんかの初期費用がないわけですわな。だから、そういうものを補助するなどして、地方自治体と協力して何らかの対策をとるべきじゃないのか、そういう新しい話を私はしているわけですよ。

 住生活基本法や住宅セーフティーネット法をつくったわけですよ。国や地方自治体には、この法律はこう決めています。低額所得者など、住宅確保要配慮者の居住を安定確保する責務があるとしている。そして、公的賃貸住宅の適切な供給の促進や民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に努めなければならないと義務づけているわけです。それが本当に生かされるかどうか問われているわけですね。

 だから、金融危機だとか今起きている景気後退などの悪化で、そういう影響で住宅を必要とする生活困窮者に必要な対策が求められていると思うんです。そのときに、貧困ビジネスなどというもののばっこに手をこまねいて見ていないで、雇用の確保などの根本的な対策を打ちつつも、やはり、貧困層がふえている現実に向き合った住宅対策を先ほど述べたような形で行うべきじゃないのかということなんですよね。そこの考え方だけ最後に質問して、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

金子国務大臣 全体の経済対策というのがやはり大事だよねということについて御指摘だったと思います。一方で、若者居住支援対策が重要であると。

 さっき局長からもちょっとお話がありましたけれども、地方自治体で計画をつくってもらって取り組めないかなと。それを今度は国としても支援していくという枠組みがありますので、そういうものを使いながら、今御指摘の問題に対処をしていきたいと思っております。具体的には、地域住宅交付金というのが枠組みとしてはありますので、これを活用できないものかなと思っております。

穀田委員 それは若者に対する具体的な対策になっていないんですよ。

 経済の問題でいえば、全体の対策からしますと、今起こっている雇用不安、それから社会保障に対する不安、そして中小企業の貸し渋り対策、こういうものについてきちっとやる、そのことが必要なので、そこはきちっと私は言っておきたいと思うんです。そういうものと、現実に起こっているセーフティーネット、それ自身はやはりきちんと手を打つ。ふざけた、不当なそういう業者のばっこを許さないということもあわせてやっていく必要があるということを指摘して、終わります。

望月委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

望月委員長 この際、本案に対し、福井照君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三会派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。三日月大造君。

    ―――――――――――――

 長期優良住宅の普及の促進に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

三日月委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 本修正案は、長期優良住宅の普及を促進する上でなお必要な事項について定めるもので、その内容は、次のとおり六点であります。

 第一に、国及び地方公共団体は、長期優良住宅の普及を促進するために必要な人材の養成及び資質の向上に努めなければならないものとしております。

 第二に、長期優良住宅の維持保全を業として行う者は、長期優良住宅の所有者または管理者に対し、当該長期優良住宅の維持保全を適切に行うために必要な情報を提供するよう努めなければならないものとしております。

 第三に、国は、長期優良住宅の普及を促進するため、住宅の建設における木材の使用に関する伝統的な技術を含め、長期使用構造等に係る技術に関する研究開発の推進及びその成果の普及に努めなければならないものとしております。

 第四に、国土交通大臣は、基本方針を定めるに当たっては、国産材の適切な利用が確保されることにより我が国における森林の適正な整備及び保全が図られ、地球温暖化の防止及び循環型社会の形成に資することにかんがみ、国産材その他の木材を使用した長期優良住宅の普及が図られるよう配慮するものとしております。

 第五に、長期優良住宅の認定基準として、建築をしようとする住宅が良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであることを追加するものとしております。

 第六に、国及び地方公共団体は、認定長期優良住宅の建築及び維持保全の状況に関する記録の作成及び保存を容易にするため、必要な援助を行うよう努めるものとしております。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

望月委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

望月委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 第百六十九回国会、内閣提出、長期優良住宅の普及の促進に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、福井照君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

望月委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

望月委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

望月委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、福井照君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。福井照君。

福井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 なお、お手元に配付してございます案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。

    長期優良住宅の普及の促進に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。

 一 住生活の向上及び環境負荷の軽減の観点から、約五千四百万戸の既存の住宅ストックの長期使用化も重要であるため、既存住宅の改修、維持保全、流通の促進等により、既存住宅の長寿命化に取り組むとともに、既存住宅への長期優良住宅の認定のあり方等について検討を行うこと。

 二 住宅の品質確保の促進による住宅の長寿命化を図るため、新築住宅及び既存住宅の住宅性能表示制度の普及の一層の促進に努力すること。

 三 長期優良住宅の認定・維持保全を通じた制度の円滑な運用に当たって、地方公共団体の役割が重要であることにかんがみ、地方公共団体に対する指導、支援に努めること。

 四 長期優良住宅の普及の促進のためには、都市計画制度やまちづくり政策との連動・連携が重要であることにかんがみ、法施行後の状況等を把握しながら、必要な法令の整備と運用改善に向け、検討を行うこと。

 五 法施行時の関係者の混乱がないよう、関係者に対する制度の周知、体制の整備に万全を期すこと。また、改正建築士法による設備設計一級建築士による設計又は法適合確認の義務付けに当たっては、設備設計一級建築士の地域偏在状況を踏まえ、制度の円滑な運用について万全を期すためにも、「建築士制度のあり方」に関して関係団体等と協議し、必要に応じ、適切な措置を講じること。

以上であります。

 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

望月委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

望月委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣金子一義君。

金子国務大臣 長期優良住宅の普及の促進に関する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝を申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を初め理事、委員の皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。

 大変ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

望月委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

望月委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

望月委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時八分散会


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