衆議院

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第5号 平成25年4月3日(水曜日)

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平成二十五年四月三日(水曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 後藤田正純君

   理事 あかま二郎君 理事 伊藤信太郎君

   理事 小里 泰弘君 理事 西村 明宏君

   理事 黄川田 徹君 理事 椎木  保君

   理事 高木美智代君

      青山 周平君    安藤  裕君

      井上 貴博君    池田 道孝君

      小田原 潔君    大見  正君

      勝沼 栄明君    門  博文君

      菅野さちこ君    黄川田仁志君

      小泉進次郎君    小島 敏文君

      小林 鷹之君    今野 智博君

      佐々木 紀君    桜井  宏君

      笹川 博義君    島田 佳和君

      白須賀貴樹君    鈴木 憲和君

      瀬戸 隆一君    高橋ひなこ君

      武村 展英君    津島  淳君

      中川 俊直君    藤原  崇君

      武藤 貴也君    山田 賢司君

      安住  淳君    郡  和子君

      階   猛君    吉田  泉君

      足立 康史君    遠藤  敬君

      鈴木  望君    高橋 みほ君

      三木 圭恵君    村岡 敏英君

      百瀬 智之君    浮島 智子君

      輿水 恵一君    中野 洋昌君

      椎名  毅君    林  宙紀君

      高橋千鶴子君    畑  浩治君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       根本  匠君

   財務副大臣        山口 俊一君

   文部科学副大臣      福井  照君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   厚生労働副大臣

   兼復興副大臣       秋葉 賢也君

   農林水産副大臣      江藤  拓君

   経済産業副大臣

   兼内閣府副大臣      赤羽 一嘉君

   環境副大臣

   兼内閣府副大臣      井上 信治君

   内閣府大臣政務官

   兼復興大臣政務官     亀岡 偉民君

   総務大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    北村 茂男君

   厚生労働大臣政務官  とかしきなおみ君

   厚生労働大臣政務官    丸川 珠代君

   経済産業大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    平  将明君

   国土交通大臣政務官    松下 新平君

   環境大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    秋野 公造君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     岡本 全勝君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     武田 俊彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           山下 和茂君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           山野 智寛君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           西藤 公司君

   政府参考人

   (観光庁次長)      志村  格君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       佐藤 敏信君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            小林 正明君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     大見  正君

  大久保三代君     白須賀貴樹君

  菅家 一郎君     山田 賢司君

  小泉進次郎君     武藤 貴也君

  冨樫 博之君     笹川 博義君

  橋本 英教君     安藤  裕君

  小熊 慎司君     高橋 みほ君

  石田 祝稔君     浮島 智子君

  中野 洋昌君     輿水 恵一君

  柿沢 未途君     椎名  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     橋本 英教君

  大見  正君     井上 貴博君

  笹川 博義君     武村 展英君

  白須賀貴樹君     大久保三代君

  武藤 貴也君     小泉進次郎君

  山田 賢司君     青山 周平君

  高橋 みほ君     百瀬 智之君

  浮島 智子君     石田 祝稔君

  輿水 恵一君     中野 洋昌君

  椎名  毅君     柿沢 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     菅家 一郎君

  井上 貴博君     池田 道孝君

  武村 展英君     小島 敏文君

  百瀬 智之君     遠藤  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     石川 昭政君

  小島 敏文君     冨樫 博之君

  遠藤  敬君     鈴木  望君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木  望君     小熊 慎司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)


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     ――――◇―――――

後藤田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として復興庁統括官岡本全勝君、消防庁審議官武田俊彦君、文部科学省大臣官房審議官山下和茂君、文部科学省大臣官房審議官山野智寛君、厚生労働省大臣官房審議官西藤公司君、観光庁次長志村格君、環境省総合環境政策局環境保健部長佐藤敏信君及び環境省水・大気環境局長小林正明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅野さちこ君。

菅野委員 自由民主党の菅野さちこでございます。

 私は、昨年末の総選挙で福島第三区から立候補し、東北比例ブロックで初めて当選させていただきました。新人でございますのに、このように質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。

 二年前の震災の翌日、福島第一原発一号機の原発事故が起きました。そのとき、私は福島の田村市におりまして、長女が心配して日立市から帰ってきておりました。放射能汚染が心配されておりましたし、いつ爆発するかわからない不安の中で、夜の町を南に当てもなく運転して避難先を探し回りました。中島村の体育館に避難所が設けられていると聞きましたので、広い体育館の中で、寒い不安な夜を過ごしました。次の日朝早く、村の職員の方が来てくださり、おにぎりと温かいみそ汁をいただきました。人の優しさに触れ、涙の出る思いがいたしました。きのうのことのように思い出します。

 昨年末の総選挙まで、私は被災者の一人として生活をしてまいりました。被災者としての経験や視点を生かし、今度は国政の場でしっかりと頑張ってまいりたいと思っております。

 本日は、質問時間が限られておりますので、長期避難者のための生活拠点、町外コミュニティーの形成について質問をさせていただきます。

 多くの方々が、原発事故により避難を余儀なくされています。特に、放射線量が高いエリアにお住まいの方々は、自宅に戻れるめども立たず、長期避難にならざるを得ない状況にあります。

 現在、多くの方が、仮設住宅や借り上げ住宅で避難生活を送られていますが、少しでも早く、安定的な居住環境を整備することが望まれています。そのために、長期にわたる避難生活を送る拠点となる町外コミュニティーの整備は重要です。町外コミュニティーの整備に当たっては、それを受け入れている市町村に負担がかかることになりますが、どのように対処されるのか、お聞かせください。

根本国務大臣 菅野委員、本当にあの三・一一以降、被災されて、私もあのときのことを改めてまざまざと思い出しておりました。菅野委員の御意見のように、被災者の視点に立って、現場でどういうことが起こっているのか、それを踏まえた対応が必要だと私も思います。

 菅野委員の御指摘の町外コミュニティーの整備、これは現在、国、福島県、避難元自治体及び受け入れ自治体との間で整備方針などの議論を進めておりまして、その際には、受け入れ自治体の負担がないように、丁寧に実情を伺っているところであります。

 受け入れ市町村への支援につきましては、一つは、原発避難者特例法に基づいて、受け入れ市町村が行う事務に要する経費について、これは災害復興特別交付税により措置されているところでありますが、この支援に加えて、今般、今回の予算で、町外コミュニティーの整備を支援するための交付金制度を創設いたしました。このコミュニティ復活交付金、生活拠点形成交付金とも言っておりますが、避難指示によって避難を余儀なくされている方々が、将来の帰還を待つ間の生活の拠点を形成する、これを目的にしております。

 具体的には、公営住宅の整備とともに、受け入れ市町村において、道路や学校施設等の新たなニーズ、必要な生活基盤施設等の整備のニーズが参りますから、これに対応する。そしてさらに、避難元の市町村が行います避難者のコミュニティーの維持や、あるいは交流事業、こういうソフト事業を一体的に支援する。この目的で、国が福島県などに対して予算の範囲内で交付金を交付するという新たな制度を設けました。

 今後、この交付金の活用を行いながら、受け入れ自治体の負担を可能な限り解消しながら、生活拠点の形成に取り組んでまいりたいと思います。

菅野委員 ありがとうございました。

 では、次の質問をさせていただきます。

 昨年度、復興庁が福島県各市町村と共同で実施した住民意識調査によりますと、町外コミュニティーへの希望は、若い世代ほど低く、高齢者ほど高くなる傾向があります。せっかく町外コミュニティーが整備されても、このままでは高齢者ばかりが居住することになりかねません。健全なコミュニティーを維持するためには、高齢者だけでなく、若い世代を含め、バランスよくさまざまな世代が暮らすことが必要であると思います。例えば、近隣に住む方々と交流できる場や、緑あふれる公園、市民農園がある、心癒やされる町を私は思い浮かべます。

 若い世代は町外コミュニティーへの希望が少ないのですが、その原因をどう考えておられるのか、また、若い世代に対して必要となる支援策をどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お聞かせください。

 また、これは提案ですが、若い世代にとっても魅力ある町とするために、古い考えにとらわれず、若い世代の建築家の意見や視点もたくさん取り入れた町づくりを検討されてはいかがでしょうか。

岡本政府参考人 委員御指摘のとおり、住民意向調査によりますと、若い世代において町外コミュニティーへの居住希望が少ないのは事実でございます。

 その理由としては、次のようなことと推測しております。

 一点目は、子供さんをお育ての家庭にあっては、帰還に当たって放射線被曝への不安があること。二つ目に、長期間戻れないことから、避難先で新しく働く場を求められることが考えられること。三つ目に、子供さんの進学等の事情から、新たな居住先を求めることがあるというようなことが原因だと考えております。

 御指摘のように、若い世代の方々への支援も必要でございまして、今回つくります町外コミュニティーのほかに、例えば、新たな生活を選択される場合には、速やかに、生活再建に資するための賠償の支払いが必要でございますし、住宅や就職のあっせんの支援も必要であると考えております。

 また、若い方々の御意見を取り入れるためには、地元市町村と一緒に御意見を聞きながら進めてまいりたいと思っております。

菅野委員 ありがとうございます。

 まだまだ課題はたくさん残っているのでございますが、若い方々が夢と希望のある町づくりをぜひ推進していただきたいと思っております。私も、地元被災県国会議員として、復興大臣ともども、福島の議員の皆様方と一緒に頑張ってまいりたいと思っております。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 特に、福島第一原子力発電所に近い、大熊町、双葉町、それから富岡町、浪江町なのですが、これは線量が非常に高く、残念ながら、避難期間は長期期間とならざるを得ないのですが、加えて、双葉郡からの避難者にとっては、なれない都市生活を長期にわたって送ることとなります。そのため、この長期期間中の避難者の心の安定のための心のケアが重要であると考えておりますが、どのように対応されるのか、お聞かせください。

根本国務大臣 菅野委員おっしゃるように、心のケアは本当に私も大事だと思います。

 今回のコミュニティ復活交付金、生活拠点形成交付金、この交付金においては、当然、災害公営住宅を中心とした生活基盤の整備、このハード面の整備はやるわけですが、避難者のコミュニティーを維持するためのソフト施策を実現する避難者支援事業、これをさまざまに盛り込んでおります。

 今の心のケアの問題ですが、例えば、避難者の心の安定のために、これまで仮設住宅などで実施している子どもの心のケア事業、あるいは被災者健康サポート事業、こういうものを実施する以外に、地域住民の皆さんと避難者の皆様との交流事業、こういう新たなソフト対策、これも今回の交付金で支援することができるようになっております。

 また、例えば、高齢者の中には、避難先で農作業ができない、農業に従事しておられた方がたくさんおられますので、体力低下や引きこもり、こういう健康上の問題がたびたび指摘されているところでありまして、例えば、市民農園の整備に関する事業、これも関連事業として想定しております。

菅野委員 ありがとうございます。

 では、時間の方が限られてまいりましたので、最後になりますが、私も、福島、被災県の議員として、ふるさとを忘れず、ふるさとに寄り添い、ふるさとのために生きるを政治信条に頑張ってまいりたいと思っております。

 最後になりますが、福島再生にかける大臣の意気込みをお聞かせいただけますでしょうか。

根本国務大臣 三・一一の発災以来、私もおりましたので、現場に何度も足を運んで、被災者の皆様の苦しみ、不安、悩み、私も共有してまいりました。その思いを胸に、やはり、福島で大事なのは、地震、津波だけではない福島特有の問題がありますから、ここの福島特有の問題に光を当てた新たな政策体系、この基盤をロケットスタートで整備してまいりました。

 例えば、とにかく現場主義を徹底して縦割りを打破する福島復興再生総局、これも設置をいたしました。また、今回の予算もそうですが、これまでの復興予算では手当てされてこなかった福島ふるさと復活プロジェクト、これは三本柱があります。あるいは、早期帰還・定住プランの策定。具体的な再建加速策、これをやはり精力的にやらなければいけないという思いでやっておりました。

 これからも、被災自治体の皆様の意向を丁寧に伺いながら、そして、一日でも早くふるさとに戻れるように、福島の再生が実感できるように、私も、何が何でも福島の再生をなし遂げる、強い決意で臨んでいきたいと思います。菅野委員とともどもに取り組んでまいりたいと思います。

菅野委員 大変心強い根本大臣の御決意をお聞きいたしまして、私も、今まで、前政権で遅々として進まなかった復興の加速化を感じた次第でございます。その大臣の思いを持って、私も頑張ってまいりたいと思います。

 本日は、まことにありがとうございます。

後藤田委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 久方ぶりの復興特別委員会ということで、質問させていただきます。十五分という短い時間でございますが、伺いたい項目は多くございますので、恐れ入りますが、簡潔な御答弁をお願い申し上げるものでございます。

 まず、この復興につきましては、復興の加速化が政権合意の第一番の項目でございました。補正予算におきましても、十九兆円から、日本郵政の株の売却等を原資に二十五兆円に増額をしまして、また、福島復興再生総局をおつくりいただき、今回は、それに基づいて必要な法改正ということで本法案が提出をされました。

 与党といたしましても、一月十一日に復興加速化PTを設置いたしまして、三月六日、総理に対して、復興加速化のための緊急提言をお渡しいたしました。このサブタイトルは「震災三年目の冬を希望持って迎えるために」という内容でございます。その席上、総理は、希望を持って迎えていただけるよう、工程を明らかにして進捗状況の見える化をしてまいりたい、このような御趣旨の話をされておりました。

 私は、きょう、緊急提言をもとに質問をさせていただきます。

 まず、秋野政務官、除染で現地往復で頑張っていらっしゃる我が党の同僚議員でもあります。まず、除染関係につきまして、この緊急提言におきまして、「除染・中間貯蔵施設、廃炉、区域見直し、賠償といった復興に向けての一連の取組みは、各々個別の課題として対応するのではなく、総合的なプログラムを示して推進すること。」とあります。

 特に、連携が重要と思っております。除染と生活再建のためのインフラ整備と連携した取り組みが必要と思いますが、現状につきましてお伺いいたします。

秋野大臣政務官 お答え申し上げます。

 政権交代後に総理からの指示を受けまして、復興全体の司令塔である復興庁と現場を預かる環境省とが連絡を密にして、御指摘いただきました除染とインフラの復旧の一体施行についても、復興大臣と環境大臣が座長を務める除染・復興加速のためのタスクフォースのもとで、関係省庁と実のある議論を進めさせていただいているところでございます。

 具体的な成果として、次のようなスキームを新たに構築したところでございます。

 一つ目は、除染とインフラ復旧との間で緊密なスケジュール調整を行わせていただいております。

 二つ目は、除染スケジュールがインフラ復旧より先行する場合には、当然のことながら除染後にインフラ復旧を実施しておりますが、インフラ復旧のスケジュールが先行する場合には、環境省の方でインフラ担当部局に予算執行を委任させていただきまして、インフラ担当部局が除染とインフラ復旧を一体的に実施させていただいているところであります。

 こういった取り組みで、除染と復興がともに加速されることを期待しているところでございます。

高木(美)委員 除染は除染、インフラ整備はインフラ整備、そこをしっかりと連携という仕組みができ上がったこと、これからもそれをもとに推進をお願いしたいと思います。

 続きまして、中間貯蔵施設の早期整備が、何といいましても、生活再建、また地元に戻るための入り口と思っております。ここがつまずいておりまして、なかなかうまくいかない。今までさまざま声をかけたところも、根回しがうまくいかなかったために頓挫しているという事情も懸念をしております。

 三月二十六日に、楢葉町行政区長会に対しまして中間貯蔵施設の調査に関する説明が行われたと聞いております。結果について、いかがでしょうか。

秋野大臣政務官 御指摘いただきました三月二十六日、楢葉町の行政区長会に中間貯蔵施設の調査についての御説明をさせていただいたところでありますが、さまざまな御意見をいただきましたものの、最終的には、町長から、さらなる具体的な説明を求めるために保管庫として調査を受け入れる旨の御発言をいただいたところでございます。

 その際、調査の実施状況についても今後適時説明をさせていただくことになっておりますので、引き続き町とよく相談をさせていただいて、できる限り早期にボーリング等の調査に入ってまいりたいと考えております。

高木(美)委員 動き始めたということを高く評価させていただきます。名称は保管庫という名称のようですが、いずれにいたしましても、地元の了解なくしてできないことと思っておりますので、引き続き緊密な連携をとっていただきながら進めていただきたいと思います。

 また、中間貯蔵施設に関する調査につきまして、大熊町と双葉町につきましてはいつ開始をするのか、お伺いをいたします。

秋野大臣政務官 個別の交渉ではございますが、大熊町、双葉町についても、町とよく相談をしつつ、現地踏査、地権者の了承を得るなどの必要な手続を進め、できるだけ早く調査に入ってまいりたいと考えております。

高木(美)委員 恐らくそこまでしか答弁できないとは思いますが、いずれにしても、中間貯蔵施設ができなければ、地方自治体からも、一生懸命自分たちは除染をする、国は警戒区域をやる、しかしながら、除染で出てきた廃棄物をどう処理するのかというのが見えない、見えないから進まない、今までそういう循環の中にありました。ぜひとも、この循環を断ち切っていただいて前に進めていただきたいと思います。

 重ねまして、指定廃棄物関係につきましてお伺いします。

 八千ベクレル以上の指定廃棄物の最終処分場選定に関しまして、今までなぜうまくいかなかったかということも含めた経緯の検証をされたと聞いております。それに対して、各自治体の反応と、五県、今後どのように取り組まれるのか、お伺いをします。

秋野大臣政務官 これも昨年十二月の政権交代を受けまして、前政権下での取り組みについて検証させていただいたところであります。

 その結果、改めるべきところは改めることとさせていただき、専門家による評価、または市町村長会を実施するなどの自治体との意見交換を重視した選定プロセスを大幅に見直すとの方針を二月二十五日に公表させていただきました。公表後、井上副大臣と私、関係五県の知事様への説明をさせていただいたところ、いずれの知事さんからもスピーディーに対応いただいたなどの一定の評価をいただいて、市町村長会議などの開催についても御協力をいただく旨のお返事をいただいたところであります。

 三月二十八日には宮城県において市町村長会議を開催させていただき、この週末、四月五日には栃木県で開催させていただこうと思っております。

 宮城県におきましては、市町村長の皆様からもさまざまな御意見をいただきまして、環境省から説明をさせていただいた最終処分場の安全性については一定の御理解を得られたと考えております。そのほか、千葉県、茨城県、群馬県でも順次開催をさせていただきたいと思っています。

 並行しまして、指定廃棄物処分等有識者会議、第一回目を三月十六日に開催させていただきました。ここでも、施設の安全性については委員の先生方から御了解をいただいたところでありますが、今後、候補地の選定に関しましては、地すべり、洪水などの安全、安心に関する評価項目をしっかり、科学的見地から御議論いただこうと思っています。

 地元の御理解と御協力がありませんと処分場ができませんので、新たな選定プロセスのもと、自治体の皆様方との意見交換を重視して、丁寧に手順を踏みながら、着実に前進できるよう取り組んでまいります。

高木(美)委員 続きまして、甲状腺調査の関係につきましてお伺いいたします。

 福島の被曝した子供たちにつきましては、今後、生涯にわたって支えていくことが国の責務であると思っております。そういう点を踏まえまして、この甲状腺調査につきまして、福島県外でも行われたと聞いております。当然のことながら、福島県内の子供たち、そして、そこでさまざまな、嚢胞なりなんなりが出てきたということも聞いておりますが、では、県外、そうでないところはどうなのかという比較も当然必要であろうかと思います。

 この甲状腺調査はどのような目的で県外におきまして実施されたのか、その結果もあわせて答弁をお願いします。

秋野大臣政務官 福島県外の三県の甲状腺超音波検査の実施については、高木委員からもさまざまな御指摘、御助言を賜りましたことに心から御礼を申し上げたいと思います。

 福島県で行いました県民健康管理調査の中での甲状腺検査で、約四割の方に小さな嚢胞、私ども、これをA2と分類させていただいておりますが、そういう所見が認められたということであります。

 この嚢胞自体が、精密検査や治療というものが必要な所見では決してないんですが、子供においてこういう所見を認める頻度、そういった正確な知見が蓄積されていなかったことから、住民の皆様方にはかえって不安を招いてしまったということを指摘されたところで、環境省としましても、この所見について、住民の理解促進に資する情報を提供する観点から、青森、山梨、長崎の四千五百人の子供に対して福島県と同じ調査をさせていただき、これら三カ所で五七%の子供に小さな嚢胞が認められたとの結果を公表させていただいたところであります。

 この結果は、専門家の評価によりますと、年齢構成、あるいは超音波検査の特性を考慮するならば、福島県の県民健康調査とほぼ同様の結果と伺っておりまして、こういった結果を、住民の健康不安に応えるために、引き続き、こういった影響について正確な知見の集積に努めて、適切な情報を提供してまいりたいと考えております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 それでは、大臣にお伺いいたします。

 本法案の生活拠点形成事業交付金につきまして、この計画に記載する項目として、第三十五条第二項の三に、「居住制限者の生活の拠点を形成する事業」として、「その他復興庁令で定める事業」とありますが、介護、子育て、医療などが考えられると思います。また、災害復興住宅の複合施設、同じ敷地内にそうした施設を設置することが可能なのかどうか、答弁を求めます。

根本国務大臣 高木委員御指摘のように、介護、子育てなどの施設の増設、これらに対応できる事業をこのコミュニティ復活交付金の中で想定しております。それから、今お話のあったいわゆる合築ですね、災害公営住宅に介護施設等の高齢者施設、あるいは保育所などの子育て施設、これらを併設することは可能であります。

高木(美)委員 今、大臣の御答弁で、介護、子育てとありまして、医療が抜けておりました。この居住制限者の方たちにとりまして、医療への期待は大きいところです。ましてや、残っていらっしゃる方が高齢者という場合、どうしても、近くに医療を受けられる施設がありませんと、やはりそれは、住んでも住み勝手が悪いとなります。

 これに対しまして、厚労省の対応につきまして、きょうは丸川政務官にお越しいただきました。答弁をお願いいたします。

丸川大臣政務官 厚生労働省では、地域医療再生基金を、平成二十四年度予備費において被災三県そして茨城県で三百八十億円、また、平成二十四年度補正予算において全都道府県を対象に五百億円を積み増しました。

 この平成二十四年度補正予算による積み増しに関しましては、今後、各都道府県で地域医療再生計画を作成していただきますけれども、この計画に例えば長期避難をされている皆様方向けの仮設診療所が盛り込まれれば、地域医療再生基金による整備も可能ということで、ぜひ、受け入れておられる自治体の方でこうした地域医療再生基金を生かしていただきたい、それを厚生労働省として支援したいというふうに考えております。

高木(美)委員 今、私が仮設診療所と申し上げようと思ったことを先にお話しいただきまして、ありがとうございます。

 いわゆる企業では、仮設店舗、仮設工場、それをつくるために私どもも一生懸命、中小企業庁とも連携をとりながらやってまいりました。やはり診療所におきましても、診療所をつくるとなると、どうしてもそこに係る設備の、いわゆる医療機器とかそういうところにしかこの補助が出ない、診療所自体にはなかなか補助できないということも伺っております。

 やはり仮設店舗、仮設工場が可能なのであれば、仮設診療所ということももっと前に進めることができるのではないか。これを私は、もっと厚生労働省の売りといたしまして、きょうは政務官にお越しいただきましたので、ぜひ政務官の方でお進めいただければありがたいと思います。

 同じ複合施設棟の中に仮設診療所がある、そこに当然、今、医療従事者も不足しておりますので、その増員も図らなければなりませんけれども、でも、今、自分で診療所をつくるには、借金を抱えてこれ以上はもうできない、でも、そういうところがあれば、またそれが安い自分自身の自己資金でできるのであれば、やってもいいという、恐らくそのようにお考えの方も中にはいらっしゃるかと思います。

 私、もう一つ政務官にお願いなんですが、今、福島の浜通りの復興計画、地方医療復興計画も、第二次を拝見しました。やはりどうしても、診療科ごとにもう少しこれからきめ細かく長期的なものをどう提供していくかというところに移っていきませんと、確かに、心の支援ネットワーク、ここでアウトリーチもできるとありますが、本格的な精神科医療を求めていらっしゃる方も多くいらっしゃる。したがって、そうしたそもそものケア体制が今どうなっているのか、そのような精査をしていただいた上で、それに対する適切な手当て、訪問支援センターをどのように進めていけばいいか、開設のための支援のあり方、研修のあり方、また、今まで訪問看護をやったことのない方たちに対するスキルアップのための研修等々、総合的に進めていただければありがたいと思いますので、ぜひとも御検討をお願いいたします。

 時間になりましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

後藤田委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田(徹)委員 民主党の黄川田徹であります。

 通告に従い、順次質問していきたいと思います。

 二〇一一年三月十一日の東日本大震災から二年が経過いたしました。被災地の現状は本当に厳しいものがあります。

 御案内のとおり、阪神・淡路大震災の際は、地震そのものといいますか、その後、火災もありましたけれども、瓦れきを片づけていけば復興の第一歩ということで、そこに住宅の再建あるいはまた商店街の再建等々、どんどん進んだわけですし、面積的にも、政令指定都市の神戸、淡路島も含めて、しっかりと復活していくというふうな流れでありましたけれども、この東日本大震災は、面積的にも広く、それから、大都市といっても、政令指定都市の仙台市、いわき市もありますけれども、海岸沿いは、中山間地域といいますか、辺地とか過疎地が多いものですから、それから、基礎的自治体それぞれも特有の課題がありまして、共通課題の少子高齢化は大変な状況そのものなのでありますけれども、これが復興復旧していくというのは本当に難儀なことだと思っております。

 私は民主党でありますから、前回の与党でありましたけれども、今は野党ということで、与党時代からも、復旧復興に与党も野党もない、遅いとか早いとかの問題じゃなくて、何が問題なのかということを共通に認識しないと、政権がかわったから早いであるとか、前の政権のものは遅かったとか、遅いのであれば遅いなりの原因をしっかりと浮き彫り出して復興につなげよう、そういう思いでやっております。

 それで、地震本体だというのが阪神・淡路、それから津波という大きな被害がありまして、特にも被災三県の中での岩手そして宮城ということで、明治二十九年、昭和八年、それから昭和三十五年のチリ地震津波と、この百年の間にもう三度もやられているところなのでありますけれども、今度の大津波は本当に大変な被害でありまして、もう浸水区域には住めないということで、それでもって高台を提供してやるというのは、政権がかわろうがかわるまいが、まず第一の仕事だということ。

 ところが、土地の権利関係がありまして、それも大変だ。土地を持っている方々も被災し、相続あるいはまた抵当権の関係であるとか、実は私も防災集団移転の中で土地を買い上げてもらうのでありますけれども、買い上げる際は、当然、相続登記は済んでいてください、それから抵当権の抹消も終えてくださいという形の中で、何千人、下手すると全体では何万人という地権者とのかかわりがあるわけですよね。それを一つ一つ解きほぐしていくというのも、これまた大変なことであるということ。

 それから、阪神・淡路も、最終的に仮設住宅から最後の人が出られたのは、たしか五年ぐらいかかったと思っていました。津波、そして大臣のところの福島は、加えて原発事故、風評被害、本当に三重苦、四重苦だ、こう思っております。

 津波のところでも、基礎的自治体あるいは県が復興計画をつくって、その計画のもとに仕事を進めるということ。ところが、住民の思いも、例えば津波被害に遭ったところ、百年の間に三度も被害に遭ったけれども必ず住宅は再建するんだということで、みんな思いを一にして頑張ってきたんですけれども、意向調査といいますか、高台移転の意向調査、自前で住宅再建するのか、あるいはまた災害公営住宅に住むのか、いろいろなことを調査するたびに、ちょっと、軸足がしっかりしていればいいんですけれども、息子と一緒に住めないな、あるいはまた自分も八十代だ、こういう形の中で、意向調査をするたびに、例えば自前じゃなくて災害公営住宅に移るということ等々がありまして、予算がつけばいいというのじゃなくて、予算執行といいますか、現場がどういう思いで動いているんだということを常に把握していないと、せっかくつくった政策も生きたものにならないということがあると思っていました。

 そこで、ちょっと前段が長かったのでありますけれども、福島の場合は、意向調査、三度も四度もやっているところはないと思います。混乱状態でありましたので、長期にわたる避難生活を強いられておりますし、それから県外に役場機能を持っていったり、いろいろなことがありましたので。

 ただ、ようやっと二年たってということもないですけれども、意向調査をやられたということでありますが、福島に戻ってくる、自分の町へ戻るということの帰還意思を尋ねる調査を行っておると思うのでありますけれども、それぞれ町村ごとに、住む人たちも思いがさまざまだと思っておるのでありますけれども、町村ごとの温度差があるかもしれません。

 それやこれや、意向調査によって何が課題となって浮き彫りになったか、ちょっと事務方の岡本統括官からよろしくお願いします。

岡本政府参考人 昨年度、市町村の御要望も踏まえまして、復興庁、県、市町村とで、合計八市町村で住民意向調査を実施いたしました。

 その際の質問項目は、避難生活の現状、そして帰還または長期避難に対する御要望についてお聞きいたしました。

 帰還意向につきましては八市町村全てに設問を設けましたが、調査結果を見ますと、長期避難を余儀なくされる自治体ほど帰還意向が必ずしも高くないこと、また、現時点では判断がつかないと回答された方の割合が多うございました。また、共通します点では、高齢者の方ほど帰還意向が強く、長期避難のための町外コミュニティーへの居住希望も高いという結果が示されております。

 また、帰還を判断するために必要な情報として欲しいというものにつきましては、放射線量低下のめどが欲しい、社会基盤の復旧のめどが欲しい、あるいは賠償のめどが上位に挙げられております。

 このような項目を受けとめまして、各市町村と相談しながら、御意向に沿った対策を打ってまいりたいと思っております。

黄川田(徹)委員 お話のとおり、また、先ほど来の答弁を聞いておりまして、高齢者の方々といいますか、生まれ育ち、骨を埋めるところ、やはり、ずっと福島にかかわってきた人たちは、そこに骨を埋めたいという気持ちがあると思います。ただ、お話のとおりの放射性物質による汚染ということで、将来を担う子供たちの心配等々、さまざまな思いがあると思います。

 それから、津波であれば、一日に終わって、高台をつくってやれば、それなりに落ちついてくるのでありますけれども、何十年、何百年の戦いという言い方はちょっとあれですけれども、おつき合いしていかなきゃいけない等々の中で、やはり安全、安心の、信頼をつくっていかなきゃならないということだ、こう思っております。

 そこで、仮の町といいますか町外コミュニティーの関係で、しっかりとコミュニティーが動くということの中で、住む場所ということで公営住宅等、学校等も含めて社会資本の整備をしていくということだと思います。

 福島の復興なくして日本の再生はないと私も思っていますし、福島の方々が戻ってきて、そして福島ここにありということで頑張ってもらいたいという気もあります。

 ただ、先ほど岡本統括官からもありましたけれども、除染とのかかわりも出てくると思うのでありますけれども、社会資本の整備と除染との関係、大臣の方からちょっとお話を聞きたいと思います。

根本国務大臣 先生御指摘のように、避難された住民の方が帰還できる環境を整備する、その意味で、除染あるいは社会資本の整備、重要なインフラですから、それをしなければいけないと思っております。

 今、我々、市町村ごとに、今後の復興再生に関する事項について、住民の皆さんを含めて、関係市町村の意向を踏まえて、避難解除等区域復興再生計画、これを三月十九日に策定いたしました。

 当然、その計画の中で除染や社会資本の整備を盛り込んでいるわけでありますが、ただいま岡本統括官から答弁いたしましたが、住民の意向調査も酌み取りながら、地元自治体と十分協議をして、先生御指摘のインフラの整備、あるいは町づくりにしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

黄川田(徹)委員 国、県、市町村等、自治体同士の合意というのは、比較的、議論を尽くせばできるのでありますが、住んでいる人たち、被災者という人たちは、行政とは対等でないですからね。ですから、その部分でしっかりと意を酌んでいただきたいと思います。

 それからもう一つは、受け入れ市町村といいますか、財政負担が出てこないようにということで、発災直後も、瓦れき処理から始まったのでありますけれども、国の予算措置として、どうしても従来の災害復旧であれば一部地元負担みたいな制度設計であったのでありまして、そういうものはないんだということ、自治体の負担はゼロだということで、制度設計も復興特別交付税ということで全て措置するということになっておりますので、その部分で、やはり受け入れ自治体があればこその町外コミュニティーだと思いますので、その点もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、除染なくして復興なしなのでありますけれども、前の委員の皆さんからも御質問があったのでありますけれども、除染に対する取り組み、これを改めてお聞きしたいと思います。

 今年度も大きな金額が除染として予算措置されておりますけれども、これまでの予算額、それから今年度の予算措置等々、その執行状況。そしてまた、除染に関しては、大きな金額となっておって、費用対効果というところにさまざま課題を残しておるんじゃないのかというところもありますので、あわせてお尋ねいたします。

井上副大臣 除染につきまして、幾つか御質問をいただきました。

 まず、除染の進捗状況につきましてでありますが、除染につきましては、国が直轄で除染を実施している、そして市町村が実施をしている、大きく二つございまして、それぞれ順調に進捗している市町村がある一方で、なかなか、賠償や区域見直しの議論に時間を要している、そして仮置き場の確保や同意取得に時間を要している、そういった問題もありまして、それぞれの進捗状況になっているという状況にあります。

 具体的には、国直轄の除染については、対象十一市町村のうち九市町村の計画を策定しておりまして、うち四市町村では本格的な除染作業を実施しているところであります。

 いずれにせよ、除染は大変重要でありますから、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

 そのためにどれぐらいの予算がかかっているかということでありますが、今まで、平成二十三年、二十四年度の合計としては九千億円、そして、二十四年度補正また二十五年度予算案としては六千億円ということで、合わせて一兆五千億円になる予算であります。

 その執行状況につきましてですが、これについては、平成二十三年度末では四割にとどまっているということでありますけれども、残りの六割についても、二十四年度に繰り越している部分がありまして、それを執行しておるんですが、ちょっとその二十四年度の執行状況については、今まだデータを集計しているということですので、また後ほどわかりましたらということになります。

 以上です。

黄川田(徹)委員 一兆五千億なんでありますけれども、それから、執行も繰り越したりとかさまざまあるんだけれども、費用対効果に関する問題意識といいますか、その部分はどなたかお答え、副大臣からですか。

井上副大臣 費用対効果につきましては、これはおっしゃるとおり、大変重要なことだと思っておりまして、常に検証を続けていかなければいけないと思っております。

 二十三年度の検証におきましては、例えば、アスファルト路面の洗浄、それからグラウンドの表土剥ぎ、こういったそれぞれの手法ごとに統計をとりまして調査をいたしまして、低減率は五割から九割程度ということになっておりまして、一定の効果が確認されたところであります。

 二十四年度の事業についても、また順次、費用対効果の検証も実施していきたいと思います。

黄川田(徹)委員 なかなか、福島県全体を除染するというのも、特に東北であれば山があるということで、山全体を除染するということになれば大変な費用がかかるということ。現在は、住宅が隣接しているところということで二十メートルということ。あるいはまた、山の除染をどうするかということでモデル事業か何かやっていると思うのでありますけれども、あるいはまた、除染したんだけれども、また、上流から下流じゃないですけれども、山の方から汚染物質がおりてくるのかどうなのか、いろいろな問題があるということです。

 この除染対策、除染の方法、科学的知見が出てきてさまざま進むと思うのでありますけれども、どこかで折り合いをつけなきゃいけないという、折り合いといいますか、やはり安全、安心というのは、科学的な知見と人が持っている気持ちとの乖離といいますか、いろいろなことがありますので、その辺はしっかりやっていただきたいと思います。

 それからまた、先ほどの答弁で、群馬とかあるいはまた栃木とか茨城とか宮城の市町村会とお話をしたりということで、井上さんも野党時代は厳しい指摘をされていましたし、国、県との意見交換、そしてまた、最終的には市町村ですから、そこでの合意形成。でも、今度は市町村からすれば住民との合意形成ということです。

 今、何が大変かというのは、高台移転での用地の関係でも、住民の合意。それから、仮置き場、あるいはまた現場の置き場といいますか、そういう部分もなんですよね。現場の置き場というのは、自分のところでやった除染は自分のところに置きなさいというものの現場だから、自分のところで完結しているんだけれども、そうじゃなくて、その集落としての仮置き場、仮置き場ですから三年ということですよね、それから中間貯蔵施設とか。

 ですから、私は何度も大臣に言いますけれども、大臣は福島ですし、行政マンがやる仕事じゃなくて、やはり福島の大臣として、もちろん汗をかいておりますけれども、組織をうまく使うとか予算をいっぱいつけるとかというところも大事かもしれませんが、やはりその辺、最も厳しい仕事、そういうものに真摯に正面から向かってやってほしいというところが私の願いであります。

 そういう意味も踏まえて、大体五分ぐらいでここまで来るかなと思ったら、もう二十分もかかってしまいましたので、私のしゃべりが長かったのでしょう。

 風評被害について、今度は項目をかえまして、お尋ねいたしたいと思います。

 原発事故以来、農水産物は厳格な安全基準と検査を経て市場にものが出ておりますので、これは安全、安心なことは間違いないのでありますけれども、先般、毎日新聞でしたか、中央卸売市場ですか、野菜の価格といいますか、全国レベルの単価、あるいはまた西日本の単価、福島の単価と比較したものがありまして、発災年の二〇一一年よりも二〇一二年の方が実は安くなっている、風評被害はおさまっていないというふうな感じで報道されておりました。

 そしてまた、福島県だけではなくて、風評被害というと、周辺隣県といいますか、隣県じゃないですけれども、岩手にあってもさまざまな課題があるということでありまして、この風評被害の現状について、改めて大臣からお答えいただきたいと思います。

亀岡大臣政務官 今お話がありましたけれども、消費者庁としては、まさに風評被害の実態把握のために、特に関係自治体と生産者の皆さんと意見交換をするとともに、消費者の意識の実態調査というのを行いまして、三月の十一日にこれを公表しておりますけれども、残念ながら、まだ二割弱の人が福島のものは買うのにためらうと。それから、三県を含めますと一割強、さらに近県を含めますと一割弱ということで、なかなか風評被害の解決が進まないということがございます。

 さらに、意識がまだ低いというか、しっかりと伝わっていないせいか、基準値のベクレル以下のものは食べ続けても安心であるという理解がまだされていないというのが非常に、三割ぐらいの人がまだそう思っているということと、少なければ少ないほどいいという方が五割ぐらいいらっしゃいます。

 ここは実態調査をしておりますので、それをしっかり踏まえながら、関係者としっかりリスクコミュニケーションを図っていきたいと思っております。

黄川田(徹)委員 では、具体的に農水産物、これは農水省からでいいのかな、食品の検査をやっていると思っているんですが、その動向についてちょっとお尋ねいたしたいと思っています。

 食品の種類あるいはまた生産地等、より具体的に御答弁いただきたいと思います。

江藤副大臣 お答えをさせていただきます。

 水産物の放射性物質の濃度につきましては、低減対策の徹底をいたしまして、平成二十四年度におきましては、大分これは軽減いたしております。議員もよく御存じのとおりだと思います。

 品目につきましても、かなり限定的となってきております。

 具体的に申し上げますと、米につきましては、カリ肥料による吸収抑制対策を実施いたしました。これによりまして、福島では特に全袋検査をいたしておりますので、一千万点のうち超過はわずか八十四点ということでございます。野菜につきましては、検査点数が一万七千五百点、このうち基準超過は五点ということでございます。牛肉につきましても、飼養管理を徹底いたしておりますので、検査点数が十四万点に対して基準超過はわずか二点ということでございます。

 ですから、委員がおっしゃいましたとおり、本当に安全の基準は随分クリアされておりますが、私たちの努力にまだ不足がありまして、私は九州でありますので、特に西日本の方では、残念ながら、バイヤーの方が、被災地周辺の方々の野菜等については敬遠される傾向があるということは、私も新聞記事を読みました。非常に申しわけなく思っております。

 ですから、そういった方々にも、あくまでも科学的見地に基づいて、お茶なんかでも本当に、基準値を大幅に下回っていても買わない等、いろいろなことが起きました。こういうことがないように、食べて応援するキャンペーンとかいろいろやっておりますが、これから農林水産省としても努力をさせていただきたいと思っております。

 それから、山菜とかキノコ類については、残念ながら、まだ大分、一部の地域では数値を上回っているところがございます。具体的にはあえて申し上げません。

 それから、魚につきましては、底魚のヒラメとかカレイとか、そういったものについてはまだちょっと、かなり減ってはきておるんですけれども、基準値を超えている、パーセントがまだ若干高いということでございます。

 しかし、こういうものについては必ず検査をしまして、市場には流通しないということは徹底されておりますので、このことを、私たちも消費者庁と協力をして、消費者の方々にもバイヤーの方々にも御理解いただけるように努力をしてまいりたい、そう思っております。

黄川田(徹)委員 お話のとおり、検査結果はほとんど出ていないと言ってもいいぐらいなんですよね、五百ベクレルから百ベクレルになったにしても。

 ただ、特定のものにちょっと出る傾向があるということで、特に岩手の場合も、原木シイタケの関係で大変な影響がありまして、そこだけが切り取られて報道されたりして大変な状況にある。そうすると、全てが何か汚染されているような形になって、ですから、役所の人たちも一生懸命やっているし、さまざまあるんだけれども、それを、科学的知見だけじゃなくて、やはり福島を支えよう、東北の再生なくして日本の復興なしとか、そういうキャンペーンを張りながら、何とか底上げを図ってもらいたいと思うのであります。

 あと、魚に関しても、実は季節ごとに三陸沿岸は、例えば夏になってくるとサンマがおりてきますよと。サンマがおりると同時に、今はカツオもとれ始めて、初ガツオ、それから九月ごろになると高知の方に戻りガツオといって、脂が乗ったおいしいカツオなんですよね。サンマとカツオがおりてくる。その次はサケ、アキサケなんですね。ですから、そういう回遊魚の場合はもう当然問題はないし、また水産の漁港を初め、復旧している。もちろん、水産加工施設はまだこれからなんでありますけれども。

 ただ、時々、タラ、スケソウダラじゃなくてマダラですね、タラなんかが宮城でちょっとひっかかっている。そして、岩手を通過して青森でひっかかるとか、いろいろな、特異なものが出てくると、それ見たことかみたいなところがあるものですから、随時、風評被害を払拭させるような、そういう仕事をしっかりやってほしいと思います。

 改めて大臣にお伺いしますけれども、この風評被害対策については、予算も改めて福島の部分につけましたし、さまざまキャンペーンを張るとか、いろいろなことがあると思いますが、総合的な対策について改めて確認します。

根本国務大臣 黄川田先生は本当にこの問題に詳しくあられて、黄川田議員も御努力をしていただいていることを私も改めて感謝を申し上げます。

 ただいまの風評被害対策につきましては、消費者庁は、消費者の皆さんに対して安全をアピールする、訴える、そういうお仕事をしていただいておりますので、一方で、これは農林水産行政あるいは観光行政、さまざまな分野にかかわるものですから、風評被害についての関係省庁のタスクフォース、これは私が中心になって関係省庁の局長さんに集まってもらって、実は昨日の二日に対策パッケージを公表いたしました。

 対策パッケージは、大きく言いまして、一つは、食品中の放射性物質検査の確実な実施、先生も御指摘のとおり、とにかく世界一厳しい基準であるということと、市場に流通しているのは全部検査済みの安心なものが流通していますから、それをしっかりと消費者の皆さんにも御理解いただく。

 一方で、農産物の需要拡大、これもやらなければいけませんので、農産物のブランド力の回復を含めた、みんなで食べようキャンペーンも含めて、そのPR事業、あるいはマスメディアとタイアップした観光キャンペーン事業、そういうものを政策パッケージとしてまとめまして、これをしっかりとやっていこうということで、例えば予算につきましても、この関連する対策の予算、平成二十五年度予算案におきましては、前年度比で約三割増となる総額八十億円以上の予算を計上いたしました。

 この予算対策を効果的に活用させていただいて、そして、さまざまな対策もやはり適宜フィードバックしながら、より効果のある対策になるように、この対策パッケージのフォローもきちんとしていきたいと思います。

 何よりも、風評被害を克服して、そして、福島県中心に今の農産物が安全なんだということで、農業あるいは水産業あるいは観光、これが改めて被災地が復興、発展するように、これからも全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。

    〔委員長退席、小里委員長代理着席〕

黄川田(徹)委員 残り時間が少なくなってしまいましたので、通告したのを全部質問できかねました。

 最後に一つだけ、国交省かな。

 我々、政権時代に、東北を元気にさせようということで、東北観光博ということで、桃太郎旗みたいなものを、大きいもの、小さいものをつくってやったんですが、それについてちょっと、概要そして実施状況、そして何か成果が上がったのか、最後、お尋ねいたします。

松下大臣政務官 国土交通省です。

 東北観光博は、東北地域全体を博覧会会場として、三十カ所のゾーンを核といたしまして、落ち込んでいる東北地域への旅行需要の喚起を行う官民一体の取り組みとして、昨年三月十八日から先月まで、約十三カ月間実施いたしました。

 この成果についてですけれども、この期間中、旅行者数及び経済効果でございますが、東北地域を訪れた延べ旅行者数は約五千万人回、このうち、観光目的の旅行者数は約半数の二千五百万人回となっております。東北地域を訪れた観光目的の旅行者数は、前年同期と比べ約三百十万人の増加。最後に、この東北観光博が旅行のきっかけとなった旅行者の経済波及効果は、約八百四十億円と推計されております。

 地域の関係者からは、これが契機として連携が進んだ、地域づくりのきっかけとなったという御意見もいただいております。また、来訪者からは、案内の方との触れ合いを通じて愛着ができたという声もいただいております。

 課題はございますけれども、「こころをむすび、出会いをつくる」をテーマとした東北観光博の目的は、一定程度達成できたものと考えております。

 以上です。

黄川田(徹)委員 時間でありますので、終わります。

小里委員長代理 次に、吉田泉君。

吉田委員 民主党、吉田泉であります。

 私からも、今回の福島復興再生特措法の改正案について質問をいたします。

 大震災から二年たちまして、福島県民の十一万人の方が、この原発事故のために、避難指示等の区域から避難が続いているという状況でございます。

 一方で、もう一年以上にわたってこの避難指示の区域の見直しというのがされてまいりまして、いよいよ大詰めというところまで来たというふうに思います。結果として長期避難にならざるを得ない地域、人々がおおよそ特定されてきたということだと思います。

 今我々が取り組まねばならないことは、この方々、長期避難を余儀なくさせられている方々が、今、仮設住宅もしくはみなし仮設におられるわけですが、この後移り住む住宅の整備、さらには、いずれ帰還していただく地域のインフラの整備、さらには企業の立地、こういうことだろうと思います。そういうことをさらに進めていこうということで、今回、法律の改正案が出されたというふうに認識をしております。

 大体、今申し上げたような順番で質問を進めていきたいと思います。

 まず、住宅の整備、すなわち原発長期避難者のための生活拠点形成と言われていますが、それについてお伺いします。

 この件については、これももう一年以上になりますけれども、いわゆる仮の町の議論というのがなされてきました。なるべく避難自治体ごとにまとまって住みたい、独立的なニュータウンタイプに住みたいという議論もありました。一方では、いやいや、なるべく避難先の町に分散して溶け込んでもらった方がいいという意見もありました。いろいろ意見があったわけですが、そこで、避難元の自治体、そして受け入れ先の自治体、そこに県と国が入って、では協議会をつくろうということで、去年の九月、この協議会が始まったわけでございます。

 そこで、まず復興大臣にお伺いしたいのは、その議論ですね、もう半年以上になりますが、きょう時点での到達点といいますか、どういうところまで合意がされているのか、そして今後その議論はどういう見通しになるか、それをお伺いします。

    〔小里委員長代理退席、委員長着席〕

根本国務大臣 この問題、吉田委員、大変御苦労をされて取り組んでいただきました。

 今現在での議論の到達点というお話がありました。長期避難者の生活拠点についての具体の検討を進めるために、吉田委員今お話しのように、国、福島県、被災自治体及び避難者受け入れ自治体で構成する協議の場を設置しておりまして、現在、受け入れ自治体ごとに個別の協議を進めております。

 現在、受け入れ自治体としては、いわき市、会津若松市、郡山市、福島市、南相馬市、三春町などが候補に挙がっております。福島県や関係自治体と今、事務的な打ち合わせを進めているところであります。

 災害公営住宅の先行整備、この五百戸分については、平成二十六年度当初からの入居に向け手続を進めておりますが、その他の具体的な課題については、受け入れ自治体のそれぞれの事情により、検討の進度が異なっております。

 例えば、検討の進んでいる会津若松市や郡山市、この両市では、受け入れ自治体の都市計画などの町づくりの方針に沿った用地確保の見込みが今ございます。避難者受け入れ数の見込み、あるいは、教育、医療、介護サービスなどに関する受け入れ自治体と避難元自治体の役割分担、あるいは、健康管理、心のケアなどの避難者支援事業の実施、これらの課題について今議論をしている最中であります。

 また、いわき市については、みずからも甚大な被害を受けている地域でありまして、避難者数も約二万四千人と群を抜いているものですから、ここはさまざまに難しい課題も多いんですが、財政支援を初めとした受け入れ自治体支援の枠組みの提示を今求められているところでありまして、関係省とともに現在協議を進めている、こんな状況であります。

吉田委員 一年前にこの仮の町の議論というのが始まったんですが、そのときは、仮の町と言っているぐらいで、何か独立型のニュータウンをつくりたいという意見が強かったように思うんですが、だんだん分散溶け込み型が主流になりつつあるようには思います。ただ、これは最終的には、受け入れ側の都市計画に合えば、独立型もまだ可能だろうということでございます。

 一番受け入れているいわき市が、拠点づくりの協議がどうも滞っている。財政支援のあり方についてもっとはっきりしてくれという御説明が今ございましたが、あと、いわき市の方からよく言われるのは、やはり住民票を移してもらいたいんだ、そういうことも言われております。ただ、それぞれの避難者の方がみずからの発意といいますか意思で住民票を移すのは、もちろんこれは妨げられませんけれども、何か政策的に誘導して住民票を避難先に移すというのは、私は、大変これは政治的に困難なことだろうと思っておるんです。

 大臣、いわき市といろいろやってみて、財政的な支援は今回の措置で相当進むことになると思うんですが、何か住民票の問題については、復興大臣として、総合調整の役割をもうちょっと果たしていただいて、最大の受け入れ先であるいわき市との個別協議をもう少し進めていただきたいように思うんですが、いかがですか。

根本国務大臣 住民票の問題は、原則論がありまして、なかなか悩ましい問題で、それは委員も御承知のとおりだと思います。

 この問題については、総務省の方にも、どういう対応があり得るか、これをぜひ検討してもらいたいということで今お話をさせていただいておりますが、何らかの対応が、あるいはどういう対応がとり得るか、この辺についてはもう少し研究させていただきたいなと思います。

吉田委員 私は、個人的にはなかなか難しいなと思うんですが、大臣の御答弁は、まだ研究の余地があるということでしたので、もう少し見守りたいと思います。

 そういう仮の町議論が今現在も続いているわけですが、先ほど黄川田委員からも御質問があったと思いますが、政府は、この関係八市町村と共同で、住民意向調査ということを実施してまいりました。そして、三月の初めぐらいだったですか、その調査が一巡したということでございます。

 そこで、まず、その取りまとめの状況、それから今後の予定などについてお伺いします。

岡本政府参考人 避難をお願いいたしました市町村のうち、希望のございました八市町村において住民意向調査を実施いたしました。葛尾村、大熊町、田村市、飯舘村、双葉町、楢葉町、富岡町、浪江町の八市町村でございます。残りの市町村は、独自に調査をなさいましたか、あるいは調査の意向がないということでございました。個別にそれぞれ調査結果は速報で公表いたしましたが、全体を取りまとめまして、全体としての取りまとめ結果を近々また御報告したいと思っております。

 なお、この後の住民意向調査の二回目あるいは三回目の実施につきましては、各自治体と現在協議中でございまして、それぞれの市町村の御意向に沿って、また、調査項目を変えて調査を実施してまいりたいと思っております。

吉田委員 ありがとうございました。

 そして、今回、生活拠点形成交付金という新しい交付金制度がつくられるわけですけれども、やはりこの中心は、災害公営住宅及びその関連施設の建設費用でございます。

 今、福島県の方で、この意向調査などを踏まえて公営住宅の供給方針というのを検討中だ、近々、この五月にも取りまとめられる予定だというふうにも聞いております。

 この調査結果を見ると、避難者の多くの方が、まだこの公営住宅に入るのか入らないのか判断がつかない、幾ら賠償金が出るのかどうなのかというようなところがはっきりしないと判断がつかないという方が相当数おられるという現実ではありますけれども、一方では、この公営住宅建設の方針を、やはりそれなりの方針をなるべく早く出して、建設の準備を早く進めるという必要もあると思います。

 福島県が供給方針を出すわけですけれども、政府として、原発避難者、総数で十一万人と言われておりますが、この災害公営住宅の供給総数、おおよそどのぐらい必要と考えておられるのか、伺います。

根本国務大臣 今、仮設住宅でいまだに先が見えないと言われる生活をされている長期避難者向けに災害公営住宅の見通しを示す、これは大変大事なことだと思います。

 今のお話のように、今、福島県、地元市町村と協議をして詰めている段階であります。これまで実施した住民意向調査の結果をベースに、避難元自治体の現在の世帯数と公営住宅への入居希望率、これから算定いたしますと、おおむね三千から五千戸程度となるのではないか、現段階でそう考えております。

 今後、福島県、市町村とさらに調整を進めて、戸数を調整していきたいと思います。

吉田委員 今現在で三千から五千ぐらいを見込むというお話でございました。

 そして、その内数になると思いますが、既に、二十四年度には、五百戸がモデル事業ということで始まった。それから、二十五年度予算には千五百戸分の予算が計上されているということですので、合わせると二千戸が今予算措置がとられようとしているということだと思います。

 それで、避難者の方々の当面の一番大きな関心事は、いつから災害公営住宅に入れるのかということですよね。今申し上げた二千戸、さらには、最終的には三千から五千ということですが、いつから入居が可能になって、最終、一番最後の人は大体いつぐらいで入居が完了するものなのか、その辺の見通しを、できたらお伺いしたいと思います。

根本国務大臣 まさに、見通しをしっかりお示しするということが何よりも大事だと思います。

 先ほども申し上げましたが、先行的に五百戸の整備に着手したところでありますので、これらについては、平成二十六年度当初から順次入居可能となる見通しになっております。今後、住民の皆さんや自治体の意向をお聞きして、追加して整備を進めていくことになります。委員のおっしゃられた千五百戸というのも、そういう前提でやっていきたいと思います。

 現時点では、全体の規模が明らかになっておりませんので、災害公営住宅整備の完了見込み、これにつきましては現段階ではっきりと申し上げられませんが、先行整備分の進捗、これも順調に進んでおりますので、適正な用地の確保さえできれば、今後二、三年のうちにめどが立つのではないかと考えております。

吉田委員 今後二、三年ということは、今、震災から二年たったところですから、震災後四年から五年という、これは目標ということかもしれませんが、そういう御答弁をいただきました。

 先ほど黄川田委員のお話にもありましたが、阪神・淡路のときで、長い方で五年ということでしたので、全力でひとつ、今一応出されました目標に向かって対応をお願いしたいと思います。避難している方々、仮設にいる方々にとっては、この仮設から公営住宅への引っ越しがうまくいくかどうか、これが非常に人生の大きな山場になると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、先ほども出ましたけれども、受け入れ自治体への支援ということについてお伺いいたします。

 例えば、一番の受け入れ先になっておるいわき市、ここは、もともとの人口は大体三十五万ぐらいですが、今、二万四、五千人ぐらいの避難の方を受け入れている。そのほかに、福島第一、第二に近いものですから、いろいろ、廃炉の関係の作業の方、除染の作業の方、こういう方が全国から今、いわき市のホテル等に来ている。その結果、いわき市の中心街などは、私は大変活気があるというふうにも思います。スーパーマーケットも繁盛しているし、飲食店も大変お客がふえたというような状況もございます。

 ただ一方で、まず起こったことが住宅不足ですよね。いわきの若い方が結婚しても、新婚世帯を持つ借り家がないというような問題がまだ続いております。それから、道路が混む、病院も混む、介護施設も混む、こういうことが起こっております。いわきの方々も、何とか友好的に、双葉郡の方々を中心とする避難の方を受け入れようということなんですが、なかなか、その気持ちをそぐような状況が続いていると言わざるを得ません。

 そういう状況の中で、今回、この新しい交付金が創設されました。ちょっと先ほどの方の質問とかぶるかもしれませんが、今回のこの新しい交付金制度によって、受け入れ自治体は、どういうことがどこまで可能になるのかということを改めて御説明願いたいと思います。

根本国務大臣 今のいわき市の状況は、先生の御指摘のとおりだと思います。私も、さまざまな現状の御意見、お伺いしております。

 今回のこのコミュニティ復活交付金でありますが、これは例えば、いわき市のように、避難者の増加に伴って顕在しつつある、受け入れ自治体の今の御指摘のような生活基盤、こういうものを改善するために、災害公営住宅を中心に、道路、学校施設あるいは介護施設等の整備を対象としておりまして、避難者の増加によります施設の不足などを起因とする課題、これについては、この交付金によりましてしっかり対応できるものと思っております。

 今後、この交付金の活用などを行いながら、いわき市を初めとした受け入れ自治体の負担を可能な限り解消しながら、長期にわたる避難者の方々の避難生活、そして、これを受け入れる自治体の住民の皆さんとともに安心して過ごしていける生活拠点の形成に取り組んでいきたいと思います。

吉田委員 そうしますと、道路、学校、介護施設という具体的な例示がございました。病院は違うと。病院は、基金で、制度的に別途対応ということだと思います。

 ちょっと細かい話かもしれませんが、例えば、それでは、避難の方もたくさんいるので、介護施設をつくろう、ふやそう。いわき市内で介護施設を増設するときに、その増設する費用の一〇〇%をこの交付金で、交付金プラス特別交付税になりますかね、これで見るということではないと思うんですよ。やはり避難者がふえた分だけ、その部分だけをこの交付金で見ようじゃないかというような、制度の趣旨からいけばそうなんだろうとは思うんですが、一つ介護施設を増設するときに、どの部分が避難者を受け入れたことによるのか、そういう何か算定方式が、そういう計算というのはなかなか大変だと思うんですが、どうですか、合理的にそういうことができるものなんですか。

根本国務大臣 考え方としては、介護施設の場合には、受け入れた避難者の方ということで考えているんですね、基本の考え方は。そういうことだろうと私も思います。

 それから、上物については、そこはきちんと見ますから、今言った私の、基本はそういう基本なんですけれども、そこで、具体的な制度設計の中でその辺を加味しながら具体的な政策を進めていく、多少の柔軟性はあると思いますが、基本はそういう考え方でやらせていただきたいと思います。

吉田委員 これから交付金制度を運用するに当たって、何とか地元も納得するような、ひとつそういう基準を見つけていただいて、対応願いたいと思います。

 一応確認ですけれども、先ほどもおっしゃいましたけれども、受け入れ自治体の支援ということに関して、もともと、原発避難者特例法というのがあった。今回、生活拠点形成交付金というのができる。そして、もともと、特別交付税という制度でも、何らかの余分な経費の分は柔軟に見ようということで政府はやってきたと思うんですよね。そうすると、一応受け入れ自治体を財政的に支援する制度が三本出そろった、大体これでほとんどの需要に応えられるんだというふうに考えていいんでしょうか。

根本国務大臣 今回の長期避難者のための生活拠点形成事業を含めて、我々、ふるさと復活プロジェクトと言っている、例えば、早期帰還と区域荒廃抑制の予算、三本立てでやっていますが、それは、基本的には福島の固有、特有の課題に応えるということで、今まで対応していなかった部分を対応するということですので、今委員のおっしゃられたように、今までの制度で対応できなかった部分を今回の拠点形成事業によって、いわばすき間を埋めて、地域の、受け入れている自治体の皆様の要望にほぼ対応できる対策を講じたと思っております。

吉田委員 わかりました。

 それでは、大きい項目の二つ目に移りますが、今度は、国による公共事業の代行並びに生活環境整備事業、こういう国がやる事業の対象区域の拡充という問題で何点かお伺いしたいと思います。

 今までも、避難が解除された区域とか解除を準備する区域、そういうところにおいて、公共事業代行及び生活環境整備事業というのが、国が直轄でやれるということでございました。しかし、今までは、この二年間、原発周辺地域は、まだ災害復旧段階ということだったので、実際にはそれに該当する大きな工事はなかったというふうに私は認識しております。

 今回、その対象区域を、居住制限している区域とか帰還困難としている区域にも広げようというわけですが、今回の改正の背景をお伺いしておきたいと思います。

根本国務大臣 委員のお話のように、今までは確かに復旧段階でありましたから、これらの地域でやるというニーズは薄かったんですが、昨年四月以来、これから住民の帰還を加速しよう、こういう中で、居住制限区域や帰還困難区域であっても、避難解除等区域へ住民の皆さんが帰還するための広域インフラ施設の復旧、これが必要ではないか、あるいは、道路ネットワークの整備、これが不可欠ではないか。こういうことで、対象を拡充する必要性が高まってまいりました。

 例えば、一例を挙げますと、生活環境整備事業の対象として、富岡町の居住制限区域にあるし尿処理施設、これは汚泥再生処理センター、生活環境整備事業ですとこういうものの清掃事業があるんですね。それから、福島県や市町村からも、今のような対象区域の拡充について要望がありました。

 これらの理由から、今般の改正によって対象地域を拡充しようということであります。

吉田委員 例えば、あそこは居住制限区域だと思いますが、富岡のし尿処理施設ですか、その清掃から始めよう、そういう段階に入ってきたという御答弁だったと思います。

 ただ、そこは、基本的に、居住制限、人は住んじゃいかぬと言っているところですから、年間二十ミリシーベルト以上の地域ですよね。そこで、工事といいますか清掃はせねばならぬけれども、作業の安全性というのも確保せないかぬ、それをどうやって両立させるのかということについてお伺いしたいと思います。

岡本政府参考人 御指摘のように、居住制限区域でございますので、放射線量が年間二十ミリシーベルトを超える場所がございます。

 これにつきましては、私ども、まず先行的にその施設の除染を行って、その地区というんでしょうか、施設の放射線量を下げていただくこと。次に、厚生労働省から、作業する際のルールというものが、いわゆる除染電離則と我々は略称しておりますが、そういう省令、さらには、それを実施する際のガイドラインというのが示されております。簡単に言いますと、その場所の事前調査をすること、そして作業員の線量の管理と結果を記録することなど、作業員の安全が確保されるようなルールがございますので、これに従って作業を進めてまいりたいと思っております。

吉田委員 居住制限地区でもどうしても必要だという工事を国直轄でやろうということだと思いますので、どうぞ、ぜひ効果的かつ安全に仕事を進めていただきたいとお願いをいたします。

 それから、大きな三つ目として、企業の立地促進ということで、これはちょっと時間の関係で、一つだけお伺いしたいと思います。

 今までは、避難が解除された区域で企業立地を促進しようということで税制優遇があったわけですが、今回、その区域をさらに、居住制限地域、人が住んでいないところまで広げようということでございます。

 実際に、飯舘村等で、どうしても必要だという、かつ安全が確保できるという製造業等については、居住制限区域でも事業が再開している現実はございますが、今回、これをもっと促進しようというわけですからね。税制優遇をして、どんどん企業に来てもらおうというわけです。

 やはりこの場合も、企業立地ということと作業の安全性ということをどうやって確保するのかという問題が出てまいりますが、御見解をお伺いします。

岡本政府参考人 居住制限区域で例外的な事業継続あるいは再開をする際につきましては、原子力災害本部の被災者生活支援チームが基準をつくっておりまして、まず、事業所付近の年間線量が毎時三・八マイクロシーベルト、年間に直しますと、年間二十ミリシーベルトを大きく超えない場合というところで、そこで制限しておりまして、それについてのみ市町村が許可するということを原則としております。

 また、作業も原則屋内ですることということで、屋外作業は限りなく小さくするようにという基準を設けております。

 さらに、先ほど申し上げましたように、厚生労働省がつくっております、個人単位での線量をはかることなど、従業員の安全基準も定めておりますので、これを守っていただくことによって、安全に事業をしていただきたいと思っております。

吉田委員 それでは、残りの時間で、ちょっと、直接今回の法改正とは関係ないようですが、福島定住緊急支援交付金、これも新しく予算措置としてできた交付金ですが、これについてお伺いしたいと思います。

 これは、いわゆる子ども元気復活交付金という件でございます。こういう交付金。つまり、福島県の中通り、これは避難区域ではないんですが、そちらの皆さんから、子供を遊ばせる屋内の施設もしくは屋内のプールとか、そういう御要望を随分前からいただいていたわけでございます。ただ、復興交付金というのは、著しい被害があったところを優先にやろうということでしたから、なかなかこれは大変ですよという対応をしてきたわけですが、今回、この交付金が新設されました。

 そして、これですと地元の負担がありません。全部国費でスポーツ施設などが建設できるということになるんだと思います。そうしますと、これは自己負担がございませんから、予算の獲得競争のようなことが相当激しく起こりそうな気もするんですが、政府としてはどういうふうにそれに対処しようとされるか、お伺いいたします。

根本国務大臣 今回の子ども元気復活交付金、これにつきましては、委員お話しのように、いわゆる復興交付金というのは、津波被災地で著しい被害があったというところなものですから、要は、福島県の特有な課題、例えば中通り地方で、低放射線量で、子供たちがしばらく屋外での活動を制限されていた、運動不足で体力が低下して、これを回復するには二倍以上の運動が必要になるということもありまして、原発事故の影響によって人口が流出して地域の復興に支障が生じている、具体的な要請を受けて、今回、これに取り組むことにいたしました。

 配分の方針につきましては、人口流出の状況及びそれによって地域の復興がいかに妨げられているかという視点、子供たちが十分に運動し、体力と運動能力を養う機会を確保することにいかに寄与するかといった視点、あるいは施設整備に関する計画の熟度や早期着手の見込み、これらを勘案していきたいと思っております。

吉田委員 中通りを中心に、人口流出ということですから、いわば自主避難ですよね。自主避難の比率の多い地域を優先にというようなお考えだというふうに思います。

 もう時間がないので、最後に、要望といいますか、一言申し上げて終わりにしたいと思います。

 福島復興、御存じのように、原発避難というのが絡んでいますので、大変複雑かつ長期戦だということは共通の認識でございます。

 私は、一番大事なのは、やはり、長期避難になる避難者の方々の心身両面での健康維持ということがまず一つ、それからもう一つは、避難している方とそれを受け入れる側の市民の友好関係の維持という、強いて挙げれば、この二つが原発事故からの再生に当たってのキーワードかなというふうに思っております。これができないと、どんなに立派なハードの町づくりをやっても、恐らく後世は評価してくれない、我々にとっても何か後味の悪いような復興になってしまうということだと思います。

 引き続き、政府においては、そんなことも念頭に置いて、今、一番最初にお聞きしましたけれども、協議会が続いておりますが、避難元自治体、受け入れ先自治体、そして県、国、この四者の協議会を丁寧に重ねていって、ぜひ的確なスピード感で施策を実行していただきたいとお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤田委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 まず、質問をさせていただく前に、根本大臣以下政府・与党の皆様、本当に、福島初め被災地の復興に日々御尽力をいただいていること、心から敬意を表したいと思います。

 少し私ごとになりますが、私は、大学を卒業した後、二十年余り経済産業省に勤務をしておりました。原子力発電自体には携わっておりませんが、再生エネルギーとか、経産省で仕事をしておったわけでございます。

 ちょうど一昨年の三・一一大震災が起きましたときには、経産省からの派遣でヨーロッパに駐在をしておりまして、ヨーロッパから我が日本の大惨事に直面をしたわけであります。海外でも大変な仕事が、TPPとかEPAとかもございますので、経産省の仕事、さまざまな分野でございますが、そのときはさすがに、大震災に伴って発災した原発事故、これは大変深刻に受けとめたわけでございます。

 そうしたこともあって、三・一一の、その一昨年の三月の末をもって辞職をしまして、政治を志して、今ここに立たせていただいているということでございます。

 そのときに、私、二つ選択肢がありまして、東京に戻って、成田に戻って経産省に戻る、そして同僚と一緒に、発災している福島の事故をおさめるために仕事をするのも一つの道でございましたが、この原発事故は日本の統治機構の一つの問題が象徴的にあらわれてしまったものであると受けとめまして、むしろ生まれ育った地元の大阪に戻って、二年を経て、年末の総選挙で当選をさせていただいたわけでございます。

 そうした意味で、先輩方、根本大臣初め政府の方々が、今、福島をどうするか、どうやって復興を実現するかということで頑張っていただいていることについては、私は野党でございますが、本当に一緒になって応援をしていきたい、こういう思いでございます。

 ちょっと前置きが長くなりましたが、そうした意味で、実は、先般、予算委員会集中審議が三月十三日にございまして、私も質問に立たせていただきました。

 その際に私が一番申し上げたかったこと、申し上げたことは、先ほど黄川田委員の方から除染なくして復興なしという話がございましたが、私はむしろ、ここの地域はもう住まない、この地域はもう戻らないというような、大変厳しい選択ではあるけれども、そういう決断をできるのは、これは日本のこの国だけだ、首長の皆様、地域の皆様にみずから決めることはできない、国だけがそれが可能であり、またその責務があるということを申し上げました。

 総理からは、少なくとも、戻りたいという方々がいる中において、我々は、まずはその方々の要望に応えるべく努力を進めていく、しかし同時に、それだけでいいのかどうかという問題意識は持ちながら判断をしていきたい、こういう御答弁をいただきました。

 この総理の御答弁、その場にも大臣はいらっしゃいましたが、同じ趣旨で根本大臣の御見解をお伺いできれば幸いです。

根本国務大臣 住民の方々に将来への希望を持っていただく、このためにも実は具体的な地域の将来像を示していく、これが重要だと私は思っております。ですから、今回、区域の見直しをして、それぞれの区域についての要は計画、これもつくらせていただきました。

 委員のおっしゃられるように、予算委員会で総理が答弁をされました。私も聞いていました。住民の皆さんの御意見、さまざまにあります。帰りたいという方もおられますし、もう帰れないと考えている方々、あるいは新しい生活を求めておられる方、実は、さまざまな方がいらっしゃるというのが現実だろうと思います。多様な意見がある中では、地域の方々にとって、その判断を決めるためには、私はやはり一定の時間が必要なのではないかと考えております。

 したがって、御指摘の点は、地元の方々と一緒になって、丁寧に丁寧に、慎重に検討していくべき課題ではないかと思います。

足立委員 ありがとうございます。

 私が改めて予算委員会に続いてこの特委でも同じことを大臣にお伺いするのは、きょうは、法案の審議、福島復興再生特別措置法の改正案ということで、法律の審議でございまして、私は、この法律の枠組みあるいは今回改正で拡充されるさまざまな措置、この法律の内容は読めばわかりますので、個別にここで取り上げて云々するつもりはございませんが、むしろ、この特措法あるいはその改正の内容の一つ一つの措置を拝見して、やはり、どっちなんだと。

 戻っていただくのか、戻っていただけないのかということについて、なかなかそこは、大臣のお立場、お気持ちを考え、おっしゃっていることはよくわかりますが、若干、それが背景となって、さまざまな立法措置についても、どっちつかずというか中途半端なことになりかねないおそれがある、こういうふうに見ているからでございます。

 この決め切れないというところは、やはり、これまでの日本の政治と言ったらちょっと振りかぶり過ぎかもしれませんが、ずっと抱えてきている、特にここ十年、二十年抱えてきている問題。特に原子力の問題はそうだと思います。予算委員会の場でも、そういう観点から、実は、一つの事例として、原子力発電所の使用済み燃料の貯蔵プールについてお聞きをしました。

 改めて、原子力発電所の使用済み核燃料の貯蔵プールが、私、予算委員会で、天井近くに置いてあるのはなぜか御存じですかということを総理に質問を申し上げました。その場では、通告もなかったので御答弁がなかったわけですが、きょうは経産省から平副大臣においでいただいていますので……(平大臣政務官「政務官」と呼ぶ)ごめんなさい、平政務官。副大臣かと思っておりました。失礼しました。よろしくお願いします。

平大臣政務官 経産省の大臣政務官でございます。

 今委員御指摘のとおり、使用済み核燃料が、実質、全国の原子力発電所に貯蔵されて、かなりいっぱいいっぱいになってきているというのは、これは事実でございます。

 政府といたしましては、こうした中で、再処理をして回収されるプルトニウム等の有効利用をすることを基本的方針としてきております。

 御承知のとおり、再処理工場などにいろいろなトラブルがあって、結果として、今、発電所にそういった形で使用済み核燃料が蓄積をしているということだと思います。

 今後は、まず、東京電力、九州電力、日本原子力発電など、もう数年でいっぱいになるところがありますので、これらの対応といたしましては、むつの中間貯蔵施設への移送や、もしくは使用済み核燃料プールの容量拡大などで、しっかりとその場所を確保してまいる。

 その上で、中長期的には、しっかりと再処理をして、基本方針を堅持いたしまして、さらには、再処理をすることによって使用済み核燃料自体の量も減ってまいりますし、高レベル放射性廃棄物の減容化、有害度の低減などにも有効でありますので、今後も、これまでの経緯を十分に考慮し、関係自治体や国際社会の理解を得つつ、核燃料サイクル政策に継続して取り組んでいくということで対応してまいりたいと思っております。

足立委員 私も経産省にいましたので、原子力政策の全体の枠組みは承知をしておりますが、今お聞きしましたのは、ちょうど原発の上の方に、天井近くに燃料プールがあって貯蔵される。これは、国民の皆様も、テレビ等でその構造はごらんになられたことがある方が多いかと思います。

 使用済み燃料ですが、これは、いわゆる指定廃棄物のようなものではなくて、有価物ですね。有価物でさえ今そういう状況に置かれている。この有価物の貯蔵の場所について、例えば仮置き場、それから中間貯蔵、あるいは最終処分、ここにサイクル政策が絡んでくるわけでございますが、そうした三つぐらいのたてつけでいえば、この使用済み核燃料のプール、これは私は仮置き場ということでいいのかなと思っていますが、それはよろしいでしょうか。確認だけ。

平大臣政務官 委員御承知のとおり、再処理をするための使用済み核燃料としての在庫でございますので、それを待っているという状態でいいと考えております。

足立委員 恐らく、経産省、政府としても、サイクル政策なり、さまざまな原子力政策を推進する中で、今プールが満杯に近づいていっている、全国の原発で使用済み核燃料が貯蔵されている状況を、政策全体の中で、解消というか、次のフェーズに持っていきたいと思っていらっしゃることと存じますが、今おっしゃったようないろいろな背景があって、当初想定していたよりも長い間そのプールにとめ置かれているというのが、今の使用済み核燃料の現状かと私は承知をしております。

 これを予算委員会でも申し上げたのは、福島を中心とする被災地の復興に当たっても、今、指定廃棄物の処理について、中間処分、最終処分について、きょうは具体的には取り上げませんが、その処分地についての議論がなされておりますが、なかなか決まらずにいる。中間処分場を決めるに当たっても、では最終処分はどこなんだ、自分たちの処分場が結果的に最終処分場になってしまうのではないかといった不安が現地、被災地にあるということかと存じます。

 そうした意味で、私は、とにかく福島の再生なくして日本の再生なし。その福島の再生は、根本大臣がこれは丁寧にやるんだとおっしゃっている趣旨もよく承知した上で、政府の決断なくして復興なしというふうに私は訴えを申し上げておきたいと思います。

 この問題は、実は、よく放射線量の問題が言われますが、実際に、もし長期にわたって避難をされている方々が福島のふるさとに戻られたときに、そこでまた生活をするわけですね。生活ということは、コミュニティーです。

 ところが、先ほど黄川田委員への御答弁の中にもございましたように、岡本統括官の御答弁だったかと思いますが、被災者の方々への意向調査の中で、やはり、仮の町もそうだし、そもそも、ふるさとに帰還をしたいという御意向が高齢の方に偏っている、さらに、その帰還をしたいという御意向は時間がたつとともに減ってきているという御紹介があったかと思います。

 私は、コミュニティー、生活というものは、お年寄りの先輩方が子供を育て、育み、そしてお孫さんを見守る、そういうさまざまな世代がつくっていく、それが本当に普通の生活のありようだと思っています。本当にそういう永続的なコミュニティーを再生できるのであれば、時間が幾らかかってもそれを実現するために努力していく価値があると存じますが、いろいろな意識調査を踏まえると、永続的なコミュニティーの形成は困難な地域がふえているのではないかと私は考えますが、いかがでしょうか。

岡本政府参考人 御指摘のとおりでございまして、先ほど御紹介申し上げましたように、私どもの意向調査では、御高齢の方の方が帰還意向が強い、逆に申し上げますと、若い方の方が帰還の意向が少ないとなっております。ただ、まだ決めかねているという方の方が多うございますので、この方々には、帰還の判断のための情報提供を今後とも続けてまいりたいと思っております。

 なお、帰還された後の町づくりでございますが、御指摘のように、コミュニティーを維持するため、そして町のにぎわいを維持するためには、何と申し上げましても、なりわい、そして働く場というものがコアでございます。これのないところにコミュニティーは成り立ちませんので、市町村、県と私どもが次に仕事をしなきゃならないのはインフラの整備、除染、その次はサービスの提供となりわいの場、働く場の再開、これが一番の大きな課題だと思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 私がきょう申し上げているのは非常にそもそも論でございますので、個々の施策等に関するお考えは、今おっしゃったように、私も十分承知をしているところでございますが、問題意識をお伝えしておきたい、こういう趣旨でございます。

 あと、きょうの福島復興再生特別措置法の中で、公共インフラの整備の代行とか生活拠点形成交付金について、いろいろ通告もしておりましたが、さきの委員の方、あるいは私の後の我が党の村岡委員からも質問を申し上げますので、私からはそのあたりは割愛を申し上げて、一貫して、きょうは、先ほど申し上げた問題意識で、あと残る時間を使わせていただきたいと思います。

 そもそも、この特措法の改正の一番の柱の一つであります仮の町、この仮の町も、結局、私がきょう申し上げているように、ふるさとの将来像、福島の具体的な将来像が明らかにならない限りは、この仮の町の将来像も明らかにならないんですね。仮の町は一体いつまで続くのか。

 先ほど吉田委員から、ニュータウン型やあるいは分散溶け込み型というようなお話をしていただきましたけれども、まさに仮の町の将来像は、しばらくそこにとどまっていただくけれども、ふるさとに戻っていただく仮の町なのか、あるいは、私の言葉で言えば、帰還しないことをも想定しているのか、仮の町が恒久化することも想定しているのか。

 ずっとこれは同じ趣旨の質問でございますが、改めて、この仮の町の将来像について根本大臣にお伺いをいたします。

根本国務大臣 福島県の再生復興の全体像、これはまさに福島復興再生特別措置法を昨年制定していただいて、そして基本方針に基づいて、今、福島の復興再生、これに向けて進んでいるということであります。

 委員のお話しの仮の町、これは、長期避難者の皆さんがいまだに仮設住宅におられて、非常に不自由な生活を強いられている。やはり長期避難者の皆さんのための生活拠点が必要ではないかということで、今回この交付金を用意させていただいておりまして、これは、今仮設住宅に住んでおられるわけですから、将来的な帰還に向けて、長期にわたる避難期間中の安定した居住環境を提供しよう、そして住民のコミュニティーを維持しよう、こういうことを目的として整備されるものでありますので、そこは、今回の対策は、長期避難者の皆様の生活の安心、安定、これに対応しようとするものであります。

足立委員 この仮の町、先ほども御紹介がありましたけれども、受け入れ先の町に溶け込んでいく、そういう希望も被災者の中にはある。私は、時間がたてば当たり前だと思うんですね。

 私もいろいろ、これまで長い人生、転居をしたこともありますが、一年や二年もすれば、さまざまな友達もできてきて、いろいろな仲間もできてきて、そこに住むこと、そこで生活することが一定程度心地いい面も出てくるわけです。だから、私は、もう既に発災から二年、長期避難者の方々にとって、時間がたてばたつほど、その受け入れ先での生活が、ここで生活していくのも一つじゃないかというお気持ちになられる方が次第にふえてくるだろうなと。

 私が申し上げたいことは、そういういろいろな思いの方々が、政府が、いやいや、原則は帰還ですよと、原則じゃないな、とにかく帰還だ帰還だと、全てが帰還していただくことを前提に設計されているために、無用な悩みというか不安を与えたり、あるいは行政サイド、地方行政においても、さまざまな措置を講じる際の迷いにつながるのではないかということを懸念して申し上げているわけでございますが、尽きませんので、この話はこれぐらいにしておきたいと思います。

 残る時間、あと二点、三点ほど、ちょっと確認だけしておきたいと思います。

 まず、一つ私はぜひこの場をおかりして取り上げておきたいのが、これは私は報道でしかまだ承知していないんですが、大阪とか東京、東京消防庁、大阪市の消防が、双葉の消防本部の組合に隊員を派遣するという話が先般報道されておりました。

 これは消防庁のお取り組みだと思いますが、どういう内容か、御紹介をください。

武田政府参考人 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴い設定された警戒区域等を管轄する消防本部は双葉消防本部と申しますが、東日本大震災以降、職員の総力を挙げて管轄地域内の消防活動に尽力をしてきたところでございます。

 しかしながら、警戒区域の見直しに伴い、住民の一時立ち入り、復旧復興関係者の出入り等により、火災の発生が懸念される一方で、この双葉消防本部では、定年退職などで職員数が減少し、今後の消防活動体制はより厳しい状況が見込まれておりました。

 このような状況を踏まえまして、このたび、双葉消防本部から人的支援について協力要請がございましたので、消防庁と全国消防長会が連携をし、消防職員の派遣に係る調整、呼びかけを行ったところでございます。

 その結果、当面、ことしの四月一日から九月末までを活動期間といたしまして、福島県を含む全国二十二の消防本部から総人員百九十五名が派遣をされ、福島支援全国消防派遣隊として、十二名程度が約二週間交代で火災の警戒巡回、消防活動などを実施していただくこととなったものでございます。

 全国消防職員のきずなをもって、被災地の皆様の安心、安全の確保が図れるよう頑張っていただきたいと考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 私は、このお取り組みを報道で知りまして、本当に頭が下がるというか、すばらしいお取り組みと感銘をし、また敬意を持った次第でございます。

 まさに、非被災地、被災地以外の地域、私も地元は大阪でございますが、こういう被災地以外がどういう形で被災地の応援をしていくか。

 瓦れきの受け入れも、東京、大阪が引っ張る形で推進をさせていただいた。さらに、今後まだまだ、この復興に当たっては、特に福島については長い戦いが続きます。こういう戦いにおいて、消防のようないわゆるプロフェッショナル、プロですね、その仕事に使命感を持って取り組まれているプロフェッショナルの方々が、職業倫理というか、その消防という仕事への思い、これが集まることによって、今御紹介をいただいたような、もしかしたらまだ若干リスクもあるのかもしれない、そういう被災地に入っていって、しっかりとその地元の消防体制を支える、お手伝いをしていく、これは本当に私はすばらしいことと思います。

 当面、半年ということだったかと思いますが、地元のニーズなども踏まえながら、必要があればさらに半年後も含めて、この消防の支援。私は実は消防だけじゃないと思うんですね。行政官の派遣もそうです。そういう支援をぜひ継続して、福島の応援は半年とか一年で終わらないんです。私は、十年、二十年、福島のことは日本じゅうが支えていく、応援をしていく、そういう思いで取り組んでいくことが大事かと思います。

 今、消防庁の武田審議官、もう一言、このお取り組み、半年ということかと思いますが、もしニーズがあれば引き続き消防として頑張っていく、そのような御決意を一言いただければと思います。

武田政府参考人 ただいま御指摘のありました今後の対応につきましては、被災地の支援のために、現地の実情、現地の消防本部の要請などを十分に踏まえまして、今後、適切に対応を図ってまいりたいというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 私、あわせて、消防ということですが、今申し上げた東京や大阪の消防当局の皆様方、本当に福島をしっかり支えていくというその思いに改めて敬意を表する次第でございます。

 さて、私、あと十分ほどいただいて、もう一つ、さきの予算委員会で私が環境大臣に御質問したテーマがございます。これは、除染推進パッケージに係る権限委譲についてということでした。

 すなわち、昨年の十月、まだ民主党政権の時代に、除染をとにかくスピードアップしようということで、除染推進パッケージというものが発表された。その一番の、一丁目一番地に権限委譲と書いてある点について、どこが権限委譲なんですか、余りそういう見出しだけ、本質と違うような書きぶりはいかがなものかということで環境大臣に申し上げました。

 この点、もう一度、きょうは井上副大臣がおいででございますので、この権限委譲という表現あるいはその内容について御説明をください。

井上副大臣 さきの予算委員会で大臣の方から答弁をさせていただきましたけれども、そういう意味では、運用面での権限委譲ということに当たるのかもしれませんけれども、やはり、こちらの本省の方で何事も判断を、指示を仰ぐということではなくて、しっかり福島再生事務所で権限を持って、そして地域の意向とかあるいは状況に応じた運用をさせる、そういった趣旨であります。

 あわせまして、新政権になりましてから、総理からの指示もいただきまして、根本復興大臣の総合的な企画立案、調整のもと、政府一丸となって取り組んでおりまして、福島につきましても、福島復興再生総局が二月に設けられたところでありまして、私もその一員となっております。福島で、なるべく現地でしっかりと対応ができるように、そういう意味での権限委譲でございます。

足立委員 ありがとうございます。

 私は、このテーマ、ささいなことでございますが、きょうは民主党の方もいらっしゃるので、角が立つといかぬのですが、比較的、表現ぶりが、当時はそういう看板先行みたいな施策が幾つか散見をされたので、これについても、新政権になって、改めてこの除染の推進について、単に前政権から引き継ぐのではなくて、しっかり取り組んでいただきたいという意味で取り上げたわけでございます。

 今、井上副大臣から御紹介があったように、新政権になって、まさに根本大臣のもとに新しい体制がつくられた。私は、この総局の体制の充実というか一本化、根本大臣のもとに各省庁の副大臣が連なる、ちょっと厳密にそういう言い方が正しいかどうかわかりませんが、少なくとも根本大臣の指揮下で全体をリードしていっていただくということが今実現しつつあることについては、本当にすばらしいことと思います。

 やはり、前政権のときには、再生事務所、除染を行う事務所と、それから、いろいろな区域の設定をする機能、あるいは復興庁の機能がばらばらで、そのばらばらであったことが相当な混乱をもたらしたと、現場からも私はよく耳にしておりました。

 一方で、今、根本大臣、復興庁のもとに統合された形で事務が整理されて動いているということで、現場からも、よくなった、こういう声を聞いておりますので、ぜひ根本大臣、この除染、それから区域の見直しも含めて、根本大臣が福島の復興を先頭に立ってやっていただきたい、こう思いますので、この総局の運営について一言御決意をお願いします。

根本国務大臣 足立委員御指摘のように、福島復興再生総局をつくりました。それは、除染は環境事務所、そして復興は復興庁、あるいは区域見直しはオフサイトセンター、こうなっていたものですから、私も聞いていたのは、何か陳情に行くと、これはここじゃない、こういう話になるので、これはやはり一体的に運用する必要があるだろうということで、三つに分立していた組織を一本化して、事務方のトップを駐在で送り込む、そこで即断即決できる体制を仕組む。

 ですから、最近も、ある村長さんからも、三つのチームが一緒になってその市町村に行って、そこで具体的な提言をしてくれて問題が解決できた、こういう話も聞きました。やはりそれが大事なんだろうと思うんですね。横串を入れていく、縦割りを排する。その仕掛けとして福島復興再生総局というものをつくりましたので、委員おっしゃられるとおり、我々、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

足立委員 ありがとうございます。根本大臣のリーダーシップに本当に期待をさせていただきます。

 最後になりますが、私は、福島の復興を本当の意味でなし遂げていくに当たって最大の課題は、やはり第一原発の廃炉作業というのか、要すれば、収束をさせて、そしてサイトの廃炉を完成させる。本当にこれは何十年にわたる作業になると承知をしております。

 その際に、一つ一番私が懸念をしておりますのは、いまだにこの第一原発が東京電力の指揮下にあるということでございます。

 やはり、これから電力の自由化、さまざまな電力市場改革を行っていく上においては、私は、東京電力は、もう今から言っても遅いんですが、本来、会社更生法等の、JAL型というかJALのような形で一旦倒産法制のスクリーニングを経て、その上で、賠償はともかくとして廃炉プロジェクトについては、私はあえてプロジェクトと申しますが、本来東電から切り離して取り組むべきであったと思うし、これからでもこの切り離しはすべきじゃないかな、こう思っていますが、政務官のお考えを伺いたいと思います。

平大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、東電の事故後の処理という言い方はおかしいですけれども、委員がおっしゃったようにはなりませんでしたので、結果として、原子力損害賠償支援機構が要は資本を出して東電を支えるという形になっております。

 その上で、福島第一原子力発電所の廃炉については、その実施主体が東京電力であるという立場に我々はございます。東電が今まで培った人材や知見などを最大限活用していただかなければいけないと思います。

 ただ一方で、大変長い期間がかかるということと、廃炉に向けたさまざまな技術やテクノロジーが確立をしていないという現実もございます。

 政府といたしましては、東電に全部任せるということではなくて、特に、国の責任で、研究開発支援とか工程管理においては主導的な役割を果たしてまいりたいと思っております。

 例えば、平成二十四年度の補正予算では八百五十億円を確保して、研究拠点施設の整備を行うこととしました。放射性物質の研究や遠隔操作ロボットの実証等を実施する研究拠点施設を整備することとしております。また、原子炉建屋内の作業のために遠隔操作機器、装置等の技術開発を推進するために、平成二十五年度の政府予算においても八十七億円を計上しているところでございます。

 大変困難を伴いますので、政府としてもしっかり対応してまいりたいと考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 この点は、私、もう最後にいたしますが、今まさに、おっしゃられましたように、さまざまな予算がそこに投入されて、廃炉にかかわる取り組みが行われております。ただ、そこで行われている取り組みは、別に東電だけの問題じゃないんですね。ここの研究開発は、日本じゅうが裨益し、また、世界の原子力事業がこの福島の事故を契機に行われるさまざまな取り組みで裨益をするわけです。

 だからこそ、私は、本来、これは東京電力というコーポレートから切り離して、プロジェクトとして国が責任を持って、この福島からの原子力の一大撤収プロジェクトとして、前向きなプロジェクトとして形成して、世界じゅうから資金とノウハウを福島に集めて前向きに取り組んでいくテーマだという観点から質問をさせていただきました。

 今後、この点についてはまだまだ余地があると私は思っていますので、コーポレートとプロジェクト、この二つの観点をどう切り分けながらこの廃炉プロジェクトを進めていくのがいいか、政府部内においてもぜひ御検討をお願いして、私の質問を終わらせていただきます。

 大変ありがとうございました。

後藤田委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 足立議員に引き続きまして質問させていただきます、日本維新の会の村岡敏英でございます。

 私は、秋田県出身ということで、この東日本大震災、東北地方という同じ地域に住む者として、あの二年前の大震災、本当に悲しい思いをし、そして多くの方がお亡くなりになり、また被災者の方々が何十万人という数に上っている、このことは本当に、日本にとって、ここを乗り越えるか乗り越えないかが、日本のこれからの再建、そして日本が、安倍総理がお話ししているような誇りのある国になるかどうかの瀬戸際に立っている時代だ、こう思っております。

 二年前を振り返ってみますと、私は、三月十一日、秋田におりました。まだそのときは民間人でありましたので、会社のビルにおりましたら、物すごい揺れとそして長い時間ということで、その時間が終わりますと、停電になり、二日ほど停電という中で、情報もつかめずに、結果、二日後に見ると、大変な大津波の中、多くの人が亡くなり、被災されました。

 それから四日後、仙台に行き、食料を運び、いろいろな方々とボランティア活動をしてまいりました。その意味では、全国から本当に多くの人が東北に駆けつけていただき、ボランティア活動をしていただき、本当に心から感謝を申し上げます。

 それから半年ぐらいたって、陸前高田から福島までずっと海岸線沿い、行けるところはボランティアをしながら回りました。そこでお話を聞いたときに驚いたのは、あの津波の日、例えば松島でも、防災無線や、いろいろな津波が来るという情報が全くなかったと。漁船が来て、どうも沖から津波が来る、これは逃げなきゃいけないと。そしてあの当時は、秋田もそうでありましたが、大変な吹雪で、とても海が見えなかった。そういう中で巻き込まれ、お亡くなりになった方がたくさんおります。さらには、視界が悪いという中、せっかく丘まで上がったのに、もう一度おりてきて、それでのみ込まれてしまった方もたくさんおります。

 今、復興復旧が大切なことはもちろんですけれども、このような災害がなければ一番いいわけですが、日本は地震大国であります。そういう意味では、緊急時にしっかりと、津波や、そしてその予防となる対策はどのように考えていらっしゃるか、大臣にお伺いしたい、このように思っております。担当の方でも結構でございます。

岡本政府参考人 今回の東日本大震災、これまでに私どもが経験したことのない大津波、そして地震、さらには未曽有の原子力災害でございました。

 政府といたしましては、全体的には内閣府の防災部局が、中央防災会議等を初めといたしまして、今回の経験を踏まえた検証を積み重ねております。外部の有識者からの意見もいただいております。

 さらに、現在、今回の大震災を踏まえました教訓とともに、研究者から指摘されております東海、東南海等の予想されております大震災に備えるために、現在の防災、それからその後の緊急対応をどのような形で進めるか、研究を進めておりまして、近々その成果を公表し、国会の審議にかけたいと考えております。またその中で御議論いただければと思っております。

村岡委員 やはりここが大切なんです。今、復旧復興をやっていることはもちろん大切です。しかしながら、いつ地震が起きるかわからないときに、津波が来る、そしてこんな被害があるということを通告できなければ、誰も逃げることはできないんです。そこをしっかり早目にやっておかなきゃいけない。

 現場に行って聞くと、あのときの怖さ、たまたま人から伝えられ、伝言で伝えられたんです。それで逃げて助かった人もいますが、伝言が伝わらなかった人、また、視界が悪くて、結局戻ってきて亡くなった人、ここに対しては一番最初にできるんじゃないか。

 ここはしっかり、大臣、ぜひ復興庁としても、そういうことが起きない方がよろしいわけですけれども、起きたときにどうやって住民に伝えるか、ここをしっかりとしていただきたいと思いますけれども、どのように思っておりますか。

根本国務大臣 今の委員の御指摘、大変重要な御指摘だと思います。委員の意見を踏まえて、我々も適切に対応していきたいと思います。

村岡委員 ぜひそこの、初期の、人災にならないようにすることが何といっても大切です。電源が喪失します、そして、とても視界が悪くて見えないときもある、そういうときをきちんとやっていただきたい。この点は御指摘しておきたいと思います。

 そして、質問はかわらせていただきますが、私も驚いたんですが、厚生労働省の政策の中で緊急雇用創出事業補助金というのがありますが、岩手県の山田町で、この件で町も大変苦しんでいるようであります。町議会のリコール運動も起きつつあると聞いております。大臣は、この件は把握しておられますでしょうか。

根本国務大臣 今先生のおっしゃられた事案については、岩手県あるいは山田町において調査を行っていると聞いております。

村岡委員 これは、被災したときに、各自治体は、お亡くなりになった職員の方もいます、そしてまた御親戚や、それから家が流されたり、各自治体が大変弱っている時期に、とんでもないNPOですけれども、詐欺と言ってもいいと思います。そして、今は連絡がついていないようなことも聞いております。

 これはもちろん、そのNPOの人たちが犯罪者とも言えるような形ですから、もちろんそこが一番悪いとは思っております。しかし、自治体がそれぞれ弱っているときに、危機管理能力として、国がしっかり自治体に言って、どんな人たちに手伝っていただくのか、どんな人たちに復旧作業をしてもらうのか、これをしっかりと今後に生かさなければならない、こう思っております。

 ただ単に町を責めるだけじゃなく、これから自治体に対してどのような形でお手伝い、そして、こんなことが起きないようにするためにということをどのように考えていらっしゃるか、大臣及び担当者の方にお聞きしたい、このように思っております。

桝屋副大臣 厚生労働省からまずは御報告を申し上げたいと思います。

 今先生から御指摘のございました岩手県山田町、この案件でありますが、平成二十四年度の震災等緊急雇用対応事業でございまして、復興やまだ応援事業、これを町が委託し、それを受託していたNPO法人「大雪りばぁねっと。」これが受託をして事業を行っていたわけでありますが、これが平成二十四年度に破綻をする、年度途中での従業員の解雇という事態に至ったことはまことに残念なことだ、遺憾であるというふうに感じております。

 本件の事業費につきましては、これは先生御案内のとおり、国からの交付金を、県が基金をつくりまして、そして県が町に補助をし、町が委託をする、こういうスキームでございますけれども、山田町から岩手県に対しまして、平成二十四年度の契約額約七億九千万円のうち、使途が不明瞭なものなどを除く約三億六千万円が事業実績として報告をされている。

 ただ、これは岩手県がさらに精査をいたしますと、岩手県から山田町に対して既にお話をしておりますが、暫定的に約二億九千万円が補助対象額となる旨を通知しているところでございます。

 こういう情報を聞いているわけでございますが、今大臣からもお話がありましたように、岩手県では引き続き山田町と連携をとりながら補助対象額を精査している、こういう状況に今あるということを、まず御報告申し上げたいと思います。

村岡委員 ぜひ、山田町だけじゃなく、ほかにもないかどうか、しっかりとこれは調べていただきたいと思います。

 震災の復興税、国民の税金を使った七億九千万のうち、どこまでが不正で使われたかはまだわからないと思いますが、聞いてみると、研修と称して飲み食いやそういうので使ってしまって逃げているという、まさに本当に大変なことだ、こう思っております。

 やはり、こういうことの一つ一つの積み重ねを、今後起きないようにすることが、これは大切だなと思っております。

 私は、もう二十年ぐらい前、阪神・淡路の震災のときのプロジェクトチームで事務局におりました。もちろん、あのときも大変な地震でありました。ただ、都市型であったということもあったと思います。今回は、大変長い距離、そして、平成の大合併が進んで、まだ町村がしっかりと固まっていないうちに、こんな大震災が起きた。自治体も、危機管理能力といっても、平成の大合併でやっと市や町が固まりつつあるときに、こういうことが起きた。やはり、今後もその辺はしっかりとフォローしていただきたい、このように思っております。

 大臣にも、ぜひその辺をお聞きしたいと思います。

根本国務大臣 今回の話は、岩手県山田町でまだ調査をしている段階ですが、委員御指摘のように、こういう不適切な事案が発生しないように、関係自治体にもしっかりと注意喚起をしていきたいと思います。

村岡委員 一つ訂正で、山田町(まち)でありますので、ぜひそのように覚えていただければと思います。

 そして、実はこれは質問通告しておりませんが、きょうの読売新聞に、大変新しい試みの中で頑張っている方々の記事がありました。

 大臣のふるさとである福島の方々、農業の部分で、五千六百の個人農家や農業生産法人の方々がそこを離れております。その中で、七十六の個人、法人が、避難先の方で農地を借りて営農している。

 やはり、人間、避難しているだけで仕事をしないというのは、生きがいもありません。農地を借りて、しっかりと自分のもともとの仕事を営むことによって、もちろん、家族で亡くなった方は帰ってきません、家もなかなか帰れないかもしれません、でも、働くことによって喜びが得られるはずであります。

 この点、大臣にもぜひ、まだまだたくさん農家の方で、避難して、農地をお借りして、そこで働く生きがいを持つ方もたくさんおられると思います。こういうことに対しての対策はどのように考えられているか、お願いいたしたいと思います。

根本国務大臣 確かに、私も、例えば郡山で、専業農家の若手の皆さんが、この風評被害にもめげずに、新たな農業を展開している方がたくさんおられます。日本の農業は、これから本当に創意工夫、やる気を持ってやれば、しっかりと再生すると思っております。

 確かに私も身近に聞いています、避難された皆さんが避難先で農家を手伝って、やはりこれが俺の生きがいだ、こう言っておられる方もたくさんおられます。

 この記事も、今初めて読ませていただきましたが、やはり、避難された方で農業をそれぞれの地域で営もうとしている方に対して、きちんと国として支援をしていく、これが必要だと思います。

村岡委員 ぜひ、その点はお願いしたいと思います。

 多分、農業だけじゃなくて、避難先で、自分のもともとやっていた職業とか、そういうので働く場所がある人もたくさんいると思います。人間、毎日ふさぎ込んでいては、やはり元気が出てきません。大臣もわかるとおり、我々東北地方の人間は粘り強いですし忍耐強いですけれども、やはり仕事をして、お酒を飲んで、楽しくしなければ元気が出てきません。そういうところにもぜひ配慮をしていただいて政策をとっていただきたい。インフラの整備はもちろん必要です。ただ、インフラ整備だけして、いいというものじゃない。そこをぜひ、復興庁の方もその点を考えて対策をとっていただきたい、こう思っております。

 そして、ちょっと質問はかわりますけれども、今、公共事業をいろいろな形で安全のために行っています。国が直轄の代行のし尿処理なんかもやるということも先ほどの質問の中でありました。それぞれ進んでいくのは大切なことなんですけれども、現実、岩手そして宮城と、不落の仕事がたくさんあります。進んでいない仕事がたくさんあります。その原因は何と大臣は考えていらっしゃいますでしょうか。

根本国務大臣 委員の今の御質問は、不落の原因。(村岡委員「ええ。建設業者が落札しないで不落になっている」と呼ぶ)

 今回、労務費の単価を、全国平均で一五%ぐらい、被災地で約二割ぐらい、引き上げをさせていただきました。

 不落の原因は私もいろいろあると思いますが、ただ結果的には、最終的にはその事業は行われているんですが、やはり、そこの労務単価とか資材の単価、設計単価と、実際の業界の方が受注しようとしたときに折り合わなかったということだと思います。

 その点については、多分先生の御質問はそういうことかなと思ったので、そこの労務単価の見直しは、今回大幅に見直しをさせていただいたということであります。

村岡委員 確かに、労務費の単価、三割上げてこれから進むというふうに復興庁は思っていらっしゃると思いますけれども、実際には、現場で資材の高騰、足りなさというのは大変な状況なんです。そして、それは、設計単価と市場価格が全く追いついていないんです。

 その中で、あの東北地方、建設業と考えれば、たくさんの仕事があるのに、実は倒産がふえているんです。それはなぜかというと、発注して、受注した後に、どんどん単価がふえていく。そして、当然人も足りないということの中、宿泊の費用や、いろいろあります。宿泊の費用を復興庁の人は見ているというかもしれません。ところが、中小の小さい会社が多いんです。精算するのが後なんです。どんどんと受注していっちゃうと、銀行も、いつまで続くかわからないですから、ランニングコストにかかるものを払ってくれるわけじゃない。結局、結果的に、途中で倒産したら、その仕事も停滞してしまう。

 やはり現場をしっかり見なきゃいけない。決して、大きなゼネコンだけがやっているわけではありません。地元の中小の会社が、復興という中、この二十年、本当は建設会社はリストラをして、経営努力してスリムになっていました。ですから、体力がないわけです。そういうことを十分踏まえて、しっかりとインフラ設備を整えていかなきゃいけない。この点を大臣、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

根本国務大臣 先ほどの答弁にちょっと補足します。

 確かに、今現場で、資材不足あるいは人手不足、あるいは設計単価の問題、さまざまな問題があります。ですから、我々も、住宅再建まちづくりタスクフォースというのをつくって、これは一つは、用地取得から設計、施工までの全体の事業をスピードアップする、そのために何が必要かというテーマと、それから、今回の資材不足や人手不足、この問題に対して、いかにこれを乗り越えるか、こういうことで、関係省庁を集めてやってまいりました。

 ただいまの問題は、基本的には国土交通省が所管ですが、先生の問題意識は私も問題意識として共有しておりますので、要は、資材価格が上がる、その調査も年二回じゃなくて、頻度を多くして、そしてきちんと市場価格を見られるようにということで、これは国交省も随分考えていただいておりまして、我々も、復興を加速するという観点から、この問題、先生と同じ意識を共有して取り組んでまいりたいと思います。

村岡委員 ぜひ、その点は、現場の実態を押さえて改善していただきたい、こう思います。

 ちなみに、例えば仙台地区で調べてみますと、生コンクリートの部分で、平成二十三年四月に立米八千五百円だったものが、今、一万四千円、倍近くになっているんです。それで設計単価は一万二千円まで上がっていますけれども、二千円から二千五百円の差があったら、これは確実に赤字になるんです。

 ですから、やはりそういう実態をもう少し見ていただきながら、やはり復旧復興をするためにはしっかりと働いてもらわなきゃいけない。その部分は、ぜひ精査しながら、市場についていかなきゃいけない、こう思っております。

 質問をもう一つ、かえさせていただきます。

 私の地元秋田ももちろん、東北ということで、ほかの県もそうだと思いますが、大変いろいろと被災地の協力をしてまいりました。秋田県から、今まで延べで五千五百人が、県職員、消防、医療関係など、被災地にお手伝いに行かせていただきました。また、ボランティア活動にも入らせていただきました。

 こういう長い戦いになる中で、やはりしっかりとそれぞれの自治体が協力していかなければならない。その点については、大臣は、直接被災されていない県の職員や消防や医療関係者に対して、どのような声かけをしながら、政策の中で被災地の助けをしようと考えていらっしゃいますでしょうか。

根本国務大臣 現在、被災された市町村について、先生今のお話のように、被災地以外の自治体、消防も含めて、さまざまな御支援をいただいておりまして、被災地復興のために力強く御尽力いただいている、私も心から感謝をしております。

 例えば、今被災地で直面している課題は、いろいろな課題がありますが、職員の皆様の人手不足が非常に大きな課題になっていまして、各市町村から応援をいただいておりますが、職員の応援、これは私は大変貴重な応援だと思っております。被災地の仕事が円滑に進むように、被災地以外の自治体の皆様から応援をいただいて対応させていただきたいと思いますし、例えば自治体の人手不足は、復興庁も直接、国家公務員OBやあるいは海外青年協力隊を職員に採用させていただく、あるいは、それだけでも不十分なので、民間企業から民間の団体に属していただいて、復興庁が直接任期つきで採用していただいて、被災地の応援をする応援隊、こういう取り組みをやっておりまして、何よりやはり自治体間相互の、本当に今回の被災では応援をいただきましたから、この応援については復興庁としても心から感謝をしておりますし、ありがたいなと思っております。

村岡委員 ぜひ、そのように進めていただきたいと思います。

 もちろん一番は被災者であります。ただ、他県から来て、やはり日本の復興、被災地の復興と頑張っている方々、これは私、感謝されたのは、民主党の皆さんに感謝しなきゃいけないんですが、大臣、副大臣、政務官の人たちが、その県外から来た人たちにも声をかけてくれたそうです、あなたたち、しっかりと被災地のために、他県から来たとはいえ一生懸命頑張ってくれと。秋田県の職員の人たちも感激して、よし頑張ろう、こう思ったとお聞きしました。

 そういう意味では、大臣や政務官も、被災地の人ももちろんです、被災地に行ったときに、いろいろ頑張っている他県から来た人たちにもぜひお声をかけていただきたい、このように思っております。全員で乗り切らなければいけない大きな課題であると考えております。

 最後の質問になりますが、県外に自主避難している人たちがたくさんおります。私の秋田県のところにも、千二百人以上の人が秋田に来て避難をいたしております。多分、いろいろな県に自主避難をされている方がおります。この自主避難されている方に対して、今後、長くなるかもしれないこの震災の戦い、どのように復興庁として対策を立てていくつもりでしょうか。

根本国務大臣 自主避難者の方も当然でありますが、自主避難者の方を含め、原発事故で被災した方々への支援、これは我々としても大変重要な問題だと認識をしております。

 今、先生の御案内の自主避難者の方への支援ですが、三月十五日に自主避難者を含む被災者への支援施策、これを原子力災害による被災者支援施策パッケージとして、関係省庁の施策を我々議論しながら取りまとめたところであります。

 この施策パッケージにおいては、自主避難者に対して特に支援が必要であるという観点から、例えば高速道路の無料措置でありますとか、あるいは応急仮設住宅の供与、あるいは福島県からの避難者の皆さんに対する就職支援事業といった対策を措置しておりまして、さらに、福島県外に自主避難された方も含めて、福島県民健康管理調査あるいは緊急スクールカウンセラー、各般の施策を盛り込んで、自主避難者の皆さんのための支援に、これからも努めてまいりたいと思います。

村岡委員 強制避難した方も自主避難した方々も、やはり大きく復興庁の方で幅広く見ていただければ、こう思います。

 被災された方々は、この二年間、早かったんでしょうか、短かったんでしょうか。大変な年月を過ごされております。

 今後、三年目に入ります。ここからは、復興のスピードももちろんアップしなければならないですけれども、心の問題で、やはりこれは復興できる、そして私たちはきちんとここで生活できる、そういうことのために、東北出身である根本大臣がこのようなリーダーとして震災復興をやられていることを私もうれしく思いますし、今後、ぜひ東北、そして東日本大震災全体の被災者のために頑張っていただきたい、ここは日本維新の会も一緒になって努力していきたい、このように思っております。

 また質問する機会があると思いますので、そのときはよろしくお願いします。

 きょうはありがとうございました。

    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕

伊藤(信)委員長代理 次に、林宙紀君。

林(宙)委員 みんなの党の林宙紀でございます。

 早速、質問に入らせていただきます。

 きょうは、法案関連というところもあって、東京、福島二本社体制というところについて伺いたいなと思っているんですが、まずその前に、済みません、しつこいようですがということを前置きしておきます。

 先日の本委員会におきまして、質疑で、復興庁の本部、これを被災地、こちらに移転すべきなんじゃないかといったような問いをさせていただきました。そのときの御答弁、認識としては、基本的に本部は東京に置く、ただ、あくまで現場主義であって、ここに屋上屋を架すような、そういった組織体制ではないよという御答弁だったような認識がありますが、実は、先日、地元の方でも、かなりの方がこれに関してはウエブ上で質疑をごらんいただいたということで、いろいろと話を聞いてみました。そうすると、いま一つ、大臣と副大臣との御答弁の内容に、何となくはっきりしないところがあるというか、食い違いがあるような気がするという声も多数いただきました。

 簡単に言えば、復興大臣ははっきりおっしゃいました、これは現場主義です、現場主義。ただ、あくまで復興庁の本部は東京に置いて、ここで各省庁としっかりとした調整をするんだ、これはかなり明確だったと思います。一方、秋葉副大臣にそのときお伺いしましたが、秋葉副大臣も同様の内容のお話だったと思いますけれども、ただ、言葉の中で、現場で対応できる、判断していけるような体制もできつつあるんだというようなお話もあったので、恐らくここが、一方では東京でリードしていく、判断していくと言っているにもかかわらず、現場でも判断できる体制というのは一体何なんだろうかという意味で、何となくはっきりしないなという印象があったんじゃないかなと思います。

 そこで、きょうはまず最初に、そのお二方に、先日御答弁の中で意味されていたことを、簡単にというか明確にお答えをいただきたいなというふうに思います。

 では、まず復興大臣からお願いします。

根本国務大臣 例えば、今回、福島復興再生総局、これをつくらせていただきました。これは、福島では、除染は環境省、要は環境再生事務所、そして復興は復興庁ですね、それからもう一つは区域再編見直しをする原子力災害現地本部、これが三つ分立していて、いろいろな陳情をしてもうまく回らないとか、そういう話があったので、これを一元化しようということで福島復興再生総局をつくりました。

 そして、これは当然、私は担当大臣ですから、私が一番トップになりますし、副大臣もここに立っている。福島復興再生総局には事務方のトップクラスを常駐させますから、いろいろな問題はそこで即断即決させる、これは現場主義に立つ。

 ただ、例えば、その中でも、制度間の問題、各省庁のいろいろな制度の問題で、福島復興再生総局では対応できない問題もありますから、ここは復興庁で、各省庁の、例えば農林水産省、国土交通省、例えば、先ほど村岡議員のときに話も出ました入札問題、これはやはり国交省とやりとりしなければいけません。そういう意味で、我々は、復興庁と福島復興再生総局、いわゆる二本社体制というのは、そこはちょっと機能的に整理をして、そして今回の体制にした。

 それから、例えば、阪神大震災のときに、小里防災担当大臣が現場にまず入って、そしていろいろな問題を政治的な決断で指揮をとってやられた。ただ、あのときも、調べましたら、当時の政務次官が現場に常駐したと聞いております。

 例えば、今、各省庁は全部霞が関にあるし、国会は東京にあるわけですね。こういう中で、例えば、全部の政府機関を仙台なら仙台に移すんだったら私は復興庁も移っていいと思いますが、復興庁だけ行った場合、私は国会で答弁をしなければなりませんし、いろいろなタスクフォースで、関係省庁の局長に来てもらって、そして議論しているわけですね。やはりそういう、いわゆる中枢管理機能的なところは東京に置かないと、結局、各省庁が、あるいは国会が東京にあるわけですから、そこはやはりいわゆる二本社体制という形で整理して、これが現実的に一番動く体制ではないか、そういう趣旨で先日も答弁をいたしました。

林(宙)委員 では、また申しわけないんですが、秋葉副大臣にもう一度御答弁をいただきたいなと思います。お願いします。

秋葉副大臣 前回、林委員に、仙台に置くべきではないかという御提案をいただきました。基本的に、私も、大臣の答弁を踏まえた上でお答えをさせていただいたつもりでございます。

 震災から二年がたちまして、本当に司令塔としての復興庁の機能の強化、実質において権限強化を図っていくということが大変重要な課題だと思っておりますので、例えば、住宅再建などにつきましては、タスクフォースを根本大臣のもとにつくって実効性を高めてまいりましたし、現場主義の徹底というのは、極力、復興庁に持ち帰らなくても現場で判断できる権限というものも強めてきたという意味で申し上げたわけでございます。

 根本大臣のもとで、本当に司令塔としての機能強化を図りながら、実質的に復興庁のワンストップでのサービス、あるいはこれからの加速化に向けて、しっかりとグリップを強めてまいりたいと考えております。

林(宙)委員 明確に御答弁いただいたので、今の政府の見解としてはそのようになっているということは、広くおわかりいただけるようになったかなと思います。

 ちょっと今御答弁をお伺いしていて思いましたのは、今、二年たって、これまでこの体制でやってきたので崩すのもどうかというようなことは、多分、念頭にはおありなんじゃないかなと思うんです。

 済みません、これは通告はしておりませんが、あくまで思想ということで、お考えだけをお伺いしたいんです。

 もし自民党さんが震災発生当時に政権を握られていたと仮定した場合、例えば、私も、そして秋葉副大臣もずっと主張をされてこられました、被災地にまずは復興庁の本部を置くんだ、復興庁の大臣という方は基本的には現地に駐在をして、そこにできる限りの権限と財源を与えましょう、その上でスピードアップしていきましょう、こういうシステムをとったかもしれないという可能性は、お考えとしてはあったんでしょうか。復興大臣、お願いします。

根本国務大臣 災害のときには、さまざまなニーズあるいは取り組むべきこと、これが出てまいります。通常の役所の機構だと、特に、今回の東日本大震災のように前例のないケースでは、やはり最終的に誰かが、きちんと決断する人間が必要だと思うんですね。そこは確かに、今の仕組みからいえば、それは私はやはり大臣だと思いますよ。いろいろな問題があるけれども、大臣がここで、これでいけと決める、決断する役割は非常にあると思います。

 ですから、あのときに、災害が起こりました。例えば、いろいろなケースがあると思いますよ。現場でどういうことが起こっているかというのは、やはり現場に行って肌で感じて、そして現場からいろいろな意見を聞いて整理していくという意味では、私も、災害のときにはやはり現場に飛ぶ、これが基本だと思いますよ、緊急のとき。

 それともう一つは、では、例えば、内閣総理大臣が持ち場を離れて福島に行っていいのか。これはやはり、中枢の真ん中に座っている人間は全体を見て指揮をとらなければいけませんから、私は、現場に常駐すればいいという問題ではないと思います。やはりそこは、どういう仕掛けなら一番機能するか、動くかということを考えたシステムをつくり上げる必要があると思っております。

林(宙)委員 なぜ私が、体制、システムというところにここまでこだわって御質問させていただいているかというと、例えば、今だったら根本大臣ですけれども、やはり大臣が被災地に駐在をして、現場を見ながら、そこで判断をしていく、これだけで、現地では本気度の見え方が違います、まずもって。

 それに加えまして、これはいい意味でも悪い意味でもそうなんですが、どれだけいい事業をやっても、例えばそれが十年、二十年たって、では、その事業はどうだったんですかと振り返ったときに、必ず賛否両論というのは起こります。そのときに、結局、東京目線で決めたことだからねと言われてしまうのか、それとも、いや、あのときに大臣がここに駐留して、そこで、目で見て判断したんだよと。これは結構大事なことなんじゃないかなと思うんです。

 その意味でいきますと、ようやくここで福島の話に戻させていただきたいと思うんですが、今、東京、福島二本社体制ということで、これは私も先日の委員会で申し上げましたが、システムとしてはかなり評価したいなというふうに思っております。

 福島復興再生総局なんですけれども、これに関しては、現場を見ながら、根本大臣が現場主義で即断即決していくんだ、これは非常に強い意思を感じたので、いいなと思っているんですが、では実際に、福島県内におきましてなんですが、例えば復興関連事業に関して、この福島復興再生総局にどの程度の権限などが与えられているかというのが気になるところです。例えば副大臣あるいは政務官といった方々、その他権限のある方がどのぐらい現地に張りつきでおられるのか。

 それ以外には、例えば、何かこれから新しいことをやらなければいけなくなってきた、その新規事業に対して、金額的には幾らまでだったら現場で判断できますよとか、これは民間企業だとよくありますけれども、部長さんだったらここまでオーケーですとか、それ以上は社長さんじゃないと決裁できませんとか、そういうものがあると思うんです。そういうシステムというのは、今回の東京、福島二本社体制の中ではあるんでしょうか、それをお伺いしたいと思います。大臣でよろしいでしょうか。

    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕

根本国務大臣 私はまず、おっしゃるように、仕組みが必要だと思いますね。どういうシステムをつくるか、そこで仕事が動くかどうかということになりますから。福島復興再生総局は、先ほど申し上げたように、三つに分立しているところを一元化した、だからそこはスムーズに進んでいく。

 それから、予算と権限委譲ということでいえば、実際の事業は、各省庁が、例えば道路事業だったら国交省所管、しかも、道路事業ですと、国の直轄があり、知事の管理する道路があり、市町村、こうなりますよね。例えば普通の事業については、それは専決事項ということで、役所の中でどこまで権限をそこに任せるか。それは現場に近いところは現場に権限が任せられているし、そこはそういう整理をされていると思いますよ。

 だから、システムとしては、我々は一元化したというところが集中システムであって、これはスムーズにうまく回るような仕組みにした。あと、一つの事業が、例えば予算という話は、そこは少し我々は機能的に考えておりますから、それが例えばどこかの事業でどこまで権限委譲というのは、その事業を所管するところがどこまで権限を委譲されているかということだと思いますね。

 例えば、道路事業がありますが、道路事業は、福島でいえば福島の工事事務所がありますから、具体的な執行のときはその工事事務所長の判断に任されています。

 復興といっても、それぞれの省庁が分掌、分担しながら、我々はそれを総合的に動かしていくという役割を与えられておりますから、そこはやはりその機能、役割分担の中で、我々のスタンスは、復興庁が司令塔機能を強化していく、復興については横串を刺して縦割りの弊害を排除して、各省庁を動かして司令塔機能を発揮する、これが私は復興庁の役割だと思います。

林(宙)委員 一つ、予算というかお金の使い方の例を出しましたが、そもそも、民間と国ではお金の使い方、予算のつけ方というのが違いますので、ちょっといい例ではなかったかもしれませんが、具体的に、これから東京、福島二本社体制というのが発足して年月がたっていくにつれて、そういったところをどのぐらい実力が発揮できているのかというのは、やはりさまざまな分野のさまざまな方々が検証されていくんだと思います。

 私は、現状を鑑みて、大臣、副大臣がおっしゃるとおりで、復興庁の本部機能を東京に置くというこの考え方自体は、それはそれで、政権のお決めになることですから、いいと思います。

 ただ、物すごく、これはもう災害が起こったときから思っていますけれども、それが数十年後なのか数百年後なのかわかりませんが、後世にもし同じ規模あるいはそれ以上の規模の災害が発生した際にスムーズに対策がとれるかどうかというのが、やはり今私たちが決めておくべきことの一つなんじゃないかなと思うんです。

 その際の前例として、これまで二年間やってきたことが正攻法だったのかなと思えば、私は必ずしもそうではないという思いがあるからこそお聞きしているわけで、例えば、現場で強力な権限を持った人が指揮をするシステムというのは、一つ、正解とは言いませんけれども、やはりあり得る選択肢として残しておくべきなんじゃないかなと思うんです。

 ですから、このシステムが仮に実現しないにしても、記録を残す際に、例えば当初からその体制をとっておくという考えもあってよかったんじゃないかとか、そういうことというのは、政府としては、後世に残すという意味で、お考えの中には今の段階であるんでしょうかというのを伺いたいんです。

根本国務大臣 私も、今回の震災対応、果たしてあれでどうだったのか、特に国を統治するという観点から、あるいは危機管理という観点から、果たしてあのときの対応がどうであったのか、これは点検、検証しなければならないと思います。そして、ああいう大震災のときにどういう仕組みが必要なのか、これも将来に向けて検討していかなければならないと思います。

 その意味では、阪神大震災のときの経験もありました。今回の東日本大震災の経験もある。ですから、今、内閣府の方で、東日本大震災のような大きな大震災が起こった場合にどういう体制でやらなければいけないか、今回法案を用意しておりますが、そこはまさしく、委員のおっしゃられたように、ああいう大震災が起こったときの国の仕組みのあり方、これも盛り込まれております。

 委員がおっしゃられるように、大震災というのはまさに国の危機管理ですから、そして統治能力が問われますから、そこの現場で一番大事なのは、私は、大震災が起こったときに、最終的に決める人間、これが一人いなければいけないと思いますよ。そこが決めないとみんなばらばらの判断になっちゃうから。それは私もこの震災後の二年の中で痛感しました。だから、大事なのは司令塔機能の強化だ。

 今回、福島、東京二本社制をしいたのは、私の体験の中から、国の本来あるべき統治の仕組みは何か、そういうことを具現化したのが今回の二本社制だと私は思っております。

林(宙)委員 復興というのは、これから長期にわたっていろいろな事業が続いていくんだと思います。その際に、今やっているやり方が例えば後世の参考にしてもらえるやり方なのかどうかというのは、常に日々チェックをしていきながら、現場現場にいらっしゃる方がぜひ考えていっていただきたいなというふうに思います。それを全体的に国レベルで、あるいは地方レベルで見ていくのが政治家の役割だと思いますので、ぜひこれについては私も今後しっかりと注視させていただきたいなと思います。

 ということで、こういったお話については今後お伺いすることはないと思いますので、別の質問に移らせていただきたいなというふうに思います。

 さて、三月十三日に予算委員会が同じこの場でございました。そのとき、私も質疑に立たせていただきまして、復興関連の集中審議だったということなんですけれども、その際に、福島県の双葉町の方々が、その一部が避難をされている埼玉県加須市の避難所についてお伺いをいたしました。これは、そのときも申し上げましたが、今、日本全体を見て、唯一、東日本大震災の避難所という形で残っている場所だということを申し上げています。

 当時の予算委員会の質問では、震災から二年、これを経てもなお避難所という形態で残っている点、これについての政府の御見解をまず問いまして、さらには、恐らく、双葉町、地元では、やむにやまれぬ事情でそのような形態で残さざるを得ないということがあるんだということを考えれば、もし何かボトルネックになっているようなことがあるんだったら、これは、国として積極的にそこの解決は支援しましょう、そういう形で取り組んではいかがでしょうかという趣旨での質疑だったわけです。

 結果、総理からも、また復興大臣、それから、あのときは厚生労働大臣にも、具体的ではないにしても、検討を進めたいという前向きな御答弁をいただきました。

 そこでなんですが、先日、報道でも皆さんごらんいただいたかもしれませんが、この加須市にある避難所というのは現在閉鎖を検討している、まだ時期は未決定です、そんなような報道がございましたが、これは、それを受けて、国として何らかの助言をされたのかななどと勝手に期待した部分がございます。まず、そこをお伺いしたいのと、そうであってもなくても、今後、避難所の解消という意味に向けては、国として地元自治体への協力を積極的にしていくという考えはあるのかどうか、これを復興大臣にお伺いします。

根本国務大臣 今回の件は、双葉町が、双葉町の判断として決めたものだと思います。

 双葉町の意向をお伺いしたところ、現在、旧騎西高校に設置されている双葉町の仮役場、これは六月ごろをめどにいわき市への移転が予定されているということであります。そして、いわき市への移転とあわせて、避難所の取り扱いも双葉町が今検討を行っているという状況だと思います。

 避難所の閉鎖に向けた検討というのは、これは町御自身で判断されたものであると私も承知をしております。今後、町の意向をよく聞いて、そして福島県とも相談しながら、国として必要な支援に取り組んでいきたいと思います。

林(宙)委員 それは、予算委員会でも私の方からも質疑をさせていただいて、この避難所というのは、やはり高齢者の方が非常に多いということがありました。加えまして、要介護ですとか要支援といった方々も含まれていらっしゃる。例えば、復興住宅などのところに入居が可能になるまでの期間だけでも、今の制度では難しいのかもしれませんが、介護機能のついた仮設住宅のようなシステム、何か対応できないんでしょうかという質問もさせていただいたんです。

 これは何でかというと、根本大臣の御答弁からもいただいていましたが、町外コミュニティーというか、いわゆる、今避難所のある埼玉県加須市で、初めは同じ避難所に入っていたけれども今は別の借り上げ住宅に住まわれている方々、これも加須市並びにその近隣にいらっしゃるわけです。その方々と今避難所にいらっしゃる方々で実は緊密なコミュニティーができているというのも、一つ、なかなか外に移りにくい理由なんですよというのは、根本大臣から私はいただいたと記憶しています。

 当然、この避難所の方々は、町役場の機能の移転に伴って、いわき市内にある、例えば仮設住宅といったところに移っていただく、そういう選択肢もあるんですが、今申し上げたとおり、既に加須市近隣でコミュニティーができてしまっているので、この皆さんが一緒に移れない限りは、なかなか気持ちとして前向きにはならないんだよというところも私はお聞きしております。

 そうすると、今回、法律の改正案の中でも、町外コミュニティーというのは非常に重きを置いていらっしゃることだと思うんですけれども、その観点からいって、厚生労働大臣からは、そのときの答弁で、介護つきの仮設住宅を加須市の中につくるというのは今の制度では対応できません、ただ、今後、地元の要望としてそういったことが強くあるのであれば、それもできないかどうかを含めて検討しますというような結構前向きな答弁があったんじゃないかなと思うんですが、今の段階でどうなんでしょうか。

 この避難所の解消というのも少し見えてきた中で、地元から、今の制度ではちょっと対応はできないかもしれないが、少し何とか工夫すればできるんじゃないか、そんな提案があった場合には、国としてそれを認める用意はあるのかどうか、それを聞きたいなと思っております。これは厚生労働の参考人の方ですね、お願いします。

西藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 高齢者や介護の必要な方が避難されている場合に、まず一般的に考えられますのは、仮設住宅に入られて地元の介護のサービスを利用されるということもございます。それからまた、避難者の方の要介護度が進んだような場合にどういうことが考えられるかといいますと、地域の福祉施設あるいは仮設の福祉施設での入所サービスを御利用いただくとか、あるいは仮設住宅の中でもバリアフリー化したような特別仕様の福祉仮設住宅といったものもございますので、そういった利用なども考えられるかと思います。

 ただ、先ほど復興大臣もお答えされましたが、双葉町におきまして、まずこの避難所の今後の取り扱いを検討されておられますので、一人一人入っておられる方の対応も含めて、どのようにお考えになるのか、その辺、双葉町のお考えあるいは福島県のお考えを十分聞かせていただきながら、厚生労働省としてどのような御支援ができるかということも真摯に考えてまいりたいというふうに思っております。

林(宙)委員 先日、厚生労働省の方にもこれはどうなんでしょうかとお伺いした際には、今御答弁の中にあった福祉仮設住宅といった形のものは、もともと何かそういった機能のついた建物が災害の影響で入れなくて、今再建をしている途中だ、その間のということでつくる分には構わないんだけれども、そうじゃない場合には新たにその施設をつくるというのは難しいというようなお話をされていたと思いますが、そこから前に議論が進んだということで受けとめてよろしいんでしょうか。済みません、これは通告にありませんでしたが、今のお話を受けてということでお願いします。

西藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 もともと社会福祉施設があって災害を受けた場合に、復旧する場合に仮設に建てるということはあるんですが、もともとない場合にはそれはできないわけでありますが、それとは別に、介護福祉基盤の整備の基金というものを国の方で予算措置しまして各県に設置していただいています。その中で高齢者福祉施設を整備するということも考えられますので、場合によってはそういう制度を利用するということもあるのではないかというふうに考えております。

林(宙)委員 わかりました。私が厚生労働省の方々とお話をした時点からは少し前に進んでいるような印象がありますので、ぜひそれについては検討していただきたいなというふうに思っております。

 福島もそうなんですけれども、東北被災地全体を見ましても、これはもう皆さんいろいろなところで報道をごらんになっていると思いますが、やはり医師が、お医者さんが不足している。これは依然として叫ばれているところが多いわけですね。

 きょうはデータ等々は細かくはお示ししませんけれども、東北地方の医師不足を解消する方法の一つとして、いろいろなところで、医学部を新しくつくったらどうか、こんな議論があるというのも皆さん御承知のとおりだと思います。例えば、自民党さんの中でも、東北に特例として一つに限定して医学部を新設しようじゃないかなんという議論があるのも聞いておりますが、医学部新設そのものに関しては、いろいろな意味で、賛成の方々の立場、それから反対というか懸念を持たれている方々、さまざまあるのは承知しております。

 ただ、今回、ひとまず特例で一つだけという限定された数で新しくつくるというのは、ある意味ではいい案なのかなと個人的には思っていて、例えば、今、仙台では、これは秋葉副大臣もよく御存じだと思いますけれども、仙台厚生病院が東北福祉大学というところとタッグを組んで医学部を新しくつくろうなんという動きがありまして、それに呼応して、実はこの仙台厚生病院は、新しく、二十名ちょっとと聞いていますが、常勤医師が全国から集まったというようなこともあるそうです。

 これは、例えば、全国からお医者さんに来ていただく、あるいは都市部から来ていただくということであれば、懸念の一つである、特定の地域から医師が行ってしまうとその地域の医師が不足するじゃないか、こういう懸念に関してはそんな心配は要らないでしょうということになりますし、当面、医師が不足しているということであれば、まずは、教員医師として集まってくださった医師、そのお医者さんたちが当面被災地のケアをするということも考えられるわけなんです。

 こういう前提もあると考えた上で、今の段階で、政府としては、この特例的な医学部新設についてはどのようにお考えなのかというのを、これは、厚生労働の参考人の方と、あと文部科学の参考人の方にお伺いしたいなと思います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 もう委員御指摘のとおり、医学部の新設の問題につきましては、今現状をまずちょっと簡単に御説明いたしますと、過去の閣議決定を踏まえまして、今は、医師養成の抑制方針ということで新設は認めていないというような状況になってございます。

 というものの、一方では、最近、もう御案内のとおり、医師不足、特に地域の医師不足というのがあるものですから、平成二十年度から、既存の医学部の定員を増員していこうと。その際には、地域枠といって、卒業生がみんな都会に出るんじゃなくて、地元に残って活躍してもらえるというようなインセンティブを与えながら増員を図ってきているようなところでございます。

 ちなみに、日本全体で言いますと、平成十九年度から今年度の定員の差を言いますと、この六年間で千四百十六名増員して、結果的に言いますと、一・一九倍の増員になっているというような状況がございます。

 それで、特に、御案内のとおり、たまたまでございますが、被災三県というところは確かに医師不足というものがあったわけでございまして、今回の震災の後も、我々、いろいろな御要望、陳情も受けておるわけでございます。

 そういうことも踏まえまして、例えば今年度からは、従来は医学部定員の上限というのが百二十五名だったんですが、どんな大きな医学部でも百二十五名を上限にしていたんですが、それを百四十名に引き上げるとかというようなこともやりまして、結果的に言いますと、たまたまこの三県だけでちょっと申し上げますと、例えば岩手医科大学は、八十名だったのが今現在は五十名増の百三十名まで増員が図られております。東北大学は、百名だったのが今は百三十五名ということで三十五名増、あと、福島県立医科大学も、八十名が百三十名ということで五十名増ということですから、その三県の比較だけで言いますと、平成十九年度に比べて一・五二倍ということですから、全国平均から飛び抜けて大きな、今、倍増というか一・五倍になっておるというような状況がございます。

 そういうことも踏まえた上で、先生御指摘のように、やはり医学部の新設、特に中長期的な医師不足対策のためには新設が必要であろうというような強い御要望とか、おっしゃったようないろいろな議論があるのも事実でございますし、片や、こういう新設することによって、現在現場で張りついているお医者さんを吸い上げて医学部をつくってしまうことによって地域医療の崩壊を及ぼすんじゃないかということで、かなりネガティブな御意見もあるというような、両論があるのが状況でございます。

 ということで、文科省としましては、この問題につきましては、非常に難しい問題だと思って、難しいというのは、簡単にイエス、ノーというんじゃなくて、そういうさまざまな御意見を伺いながら、また、定員を増してきておりますので、その効果というものが、卒業生がもう来年から出てくるというようなこともございます。

 そういう状況であるとか、やはり医学部だけの問題でなくて、地域の医療のためには、もっと全体の医師不足の対応にはパッケージ的な議論も必要であろうとか、広い意味でいうと社会保障全体の議論なんかも必要であろう、そういうことも踏まえながら、厚生労働省とも連携して対応してまいりたいと考えてございます。

秋葉副大臣 今委員からは医学部の新設問題についてお尋ねがありました。私は、厚生労働副大臣も兼務をしている立場からお答えをさせていただきたいと思います。

 本当に今、医師不足というのは全国的な課題でございます。特に東北地方におきましては、震災前からこの医師不足というのは極めて深刻な問題だったわけでございます。

 そういう中で、今、医学部を特例的に求めるいろいろな議連でありますとか、意見が出ているのも事実でございまして、ただ、これについては、医師不足の中でも、特に地域的な偏在が問題なのではないかという指摘も一方でございます。

 また、新しい医学部、大体八十名から百名ぐらいの定員の大学、今、その定員増で対応してきているわけでございますけれども、一つ百名規模の医学部をつくりますと、少なくても二百名から三百名近くの教職員の確保をどうするのかという問題も生じますし、いろいろ賛否両論あるのは十分承知をしているわけでございます。

 この問題につきましては、今、文科省から答弁がございましたとおり、第一義的には文部科学省の所管ということになるわけでございますが、厚生労働省としては、引き続き、やはり医師の確保をしっかりと対応できるように、宮城県あるいは福島県、岩手県におきましては、地域医療センターもつくって、そこで全体的なコーディネートも始めてきておりますし、そうした現地での調整機能を強めながら、十分そうした懸念解消ができるように、一層努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

林(宙)委員 医師の数がどうなのかというのはやはりもっと検証しなきゃいけないことだと思いますし、何よりも、定員をふやしたりあるいは医学部を新設することによって医師をふやした結果が、一番問題なのは、結局、医師の偏在というところもあったりするわけであって、そこの解決に本当につながるのかどうか、根本的な考え方が、やはり違う考え方が必要なんじゃないかというところもあると思いますので、ただ、一つの方法として被災地においてはそれもあるんじゃないかなという趣旨で質問させていただきました。これもまた深く研究してみたいなというふうには思います。

 時間もかなり少なくなりましたので、最後に、ちょっと教育に関連することでお伺いしたいんです。

 今言った医学部の新設もちょっと絡みますが、医学部に限らず、例えば福島では、避難をしたことによって、教育的な機会というのが、被災地以外の皆さんと比べると大分制限されてしまったりとか、これは福島に限らず、岩手でもそうですし、宮城でもそういう状況というのはこれまで散見されてきたわけです。

 そう考えた場合に、福島に限定してきょうは考えますけれども、例えば、今後、早期帰還を目指すという地域もありますので、そこに戻ってくる皆さんがようやく帰ってこれるというふうなことが実現することになった場合に、これは、例えば大学といったような高度教育機関、こういったことを、その町に設置するのかあるいは近隣のまた別の都市に設置するのかは別として、その町に住む子供たちが高度教育というところに近いところで触れられる状況をつくるのは、一つ、あり得る選択肢なんじゃないかなと個人的には思っております。

 というのも、今後、復興が長期にわたるんだよということであれば、十年、十五年、その先に復興の中心を担っていくのはやはり今の十代の子供の世代であって、その子供の世代がこれからどういう教育を受けていくのか、あるいはどういう教育の機会を保障されるのかというのは、非常に重要なことだと思います。

 その意味では、この被災地における教育に関して、実は、政府の方で発表されている資料等々も拝見させていただきましたけれども、何となく、これはすごいというような、勢いのある政策というのが余り見られなくて、これまでのやり方の踏襲のような部分もあるんですけれども、今後、被災地の教育という意味ではどのように考えておられるかという意味におきましてお伺いして、最後の質問にしたいなというふうに思います。お願いいたします。

山野政府参考人 お答え申し上げます。

 もう先生御指摘のとおり、今後、今の被災地、特に福島の復興に当たっては、やはり教育の再生というのは非常に重要であると考えてございます。それは、まさにおっしゃいましたように、大学とかだけじゃなくて、小学校、中学校、高校と全てに当たることでございますが、特に大学の関係の、高等教育部分について若干御説明したいと思います。

 先生おっしゃいましたように、若者がちゃんと自分の進路を考える上で、そういう高等教育を受けられるものが地元にあるんだというようなことであるとか、あと、そういうことがあることによって地域のニーズに応じた人材育成がその場でできるとか、いろいろな意味で、やはりそういう大学などの高等機関がそこにあるんだということは、地域の復興であるとか活性化にとって非常に意味があるということだと考えてございます。

 ただ、先生御指摘のような、直ちに新しい大学を新設したいというような要望は、実はまだ具体的なことは聞いておるような段階ではございませんが、我々も、今回の震災があった以降、やはり、そういう高等教育機関の活性化とか、そういうことについては早急に活性化しようということで取り組んでございまして、新しいファンディングの制度も用意いたしまして、各大学がその地域の復興のために、例えば、地域コミュニティーの再生であるとか地域の復興の担い手を育成するんだというような活動について、今、被災地ということですから、福島だけじゃなくて、三県プラス八戸なんかも入ってございますが、十四のプロジェクトについて文科省として支援をしているような状況でございます。

 ということで、福島だけに限りましても、福島大学もそうだし、医科大学とか、あと高専もありますし、それぞれのところでいろいろな取り組みをしてございます。

 済みません、一点だけちょっと例示で言いますと、例えば、いわき市にあります福島高専なんかでは、震災後、新たな復興人材育成特別コースなんかを設置して、いろいろな、再生エネルギーであるとか、あと、減災工学とか原子力安全なんかの取り組みをしているような状況でございます。そういう取り組みについては、引き続き努力していきたいと思ってございます。

 済みません、長くなりました。

後藤田委員長 林宙紀君。手短にお願いします。

林(宙)委員 以上で質疑を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

後藤田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 福島復興再生特措法が成立をしたのは、ちょうど一年前、昨年の三月三十日でありました。私たちは、福島の特別法が絶対必要だ、復興再生のためには、財政的にも制度的にも体制的にもやはり特別な立法が必要だとずっと求めてきたわけであります。ですから、もちろん、これが拡充されていくことには賛成をするわけでありますけれども、あのときに積み残されていた課題の一つが、長期避難者の、当然長期避難を余儀なくされるであろう方たちの生活をどう支えていくかということではなかったかなと思っています。

 そこで、今回の改正では、第三十五条、生活拠点形成事業計画を作成することができる、このようになっているわけです。

 当初は、いわゆる仮の町構想という言葉がわあっとあって、どちらかというと、役場ごと避難をされていて、そこの中心に新たな集約をされていくのかなというイメージを持っていたわけですけれども、分散型に大体イメージをされている。今回、コミュニティ復活交付金ということで、長期避難者生活拠点形成交付金五百三億円も予算案として計上をされていて、これを活用するということであります。

 ただ、やはりイメージしていたのは、そうはいっても、よその町に仮の住まいをお借りして長い生活をしていくという点では、住民登録の問題、あるいは避難先の自治体への支援の問題、さまざま法改正が当然出てくるのではないかなと思っておりました。それは何度も私は聞いたことがあるんですね。でも、結局出されたのは、この交付金事業でやっていくということで、改正というふうな提案ではなかったと思うんです。

 そこで、検討はしなかったのであろうか、あるいは、なぜなのかということで、まず根本大臣に伺いたいと思います。

根本国務大臣 一般論として、法改正する場合には、どういう法律事項があるか、あるいは、どういうテーマで、法律をつくらないと進まないような点は何か、さまざまな議論が一般的になされるものだと思います。

 今回の生活拠点の形成、これについては、長期避難者の生活拠点の形成ですから、国や福島県、避難元自治体及び受け入れ自治体との間で今具体的な議論を進めておりまして、これまでも、これをつくるに当たってはさまざまに自治体の皆様から要望を受けて、現在も、受け入れ自治体の実情についても丁寧にお伺いをしているところであります。

 今、集約化型、分散型といろいろなお話がありましたが、その議論の過程ではさまざまに議論があったものと思います。例えば、具体的な委員の今の御指摘で、住民登録、これについては、総務省から、やむを得ず避難先で生活を送る方について、住民票を移さなくても避難場所を証明できるように、関係地方公共団体による届出避難場所証明書の発行、これが既に開始されております。そういう対応をしております。

 また、受け入れ自治体への支援、これは、原発避難者特例法に基づいて受け入れ市町村が行う事務に要する経費、この経費については、震災復興特別交付税により措置されているところであります。この措置に加えて、この当該支援に加えて、今回、長期避難者の生活拠点の形成を支援するための交付金制度を創設いたしました。

 その意味では、今抱えている課題、問題点についてそれぞれの対応をさせていただいて、そして今回の交付金制度の創設ということになったということであります。

高橋(千)委員 原発避難者特例法を制定した当時の総務大臣だった片山善博氏が、新聞の取材の中で、住民票を移した方も同じようにいわゆる避難元と避難先の行政サービスが受けられる、そういうことも法律改正で考えるべきではないかという提案をしている。私、これは大変興味深い提起ではないのかなと思っていました。

 つまり、特例法のときにもう既に、仕事のことですとか現地の学校のことですとかがあって、住民票を移さざるを得なかった方たち、あるいは、住民票を移せば逆にサービスが受けられないということで、移さないままずっと来た方たち、そのためにさまざまなあつれきがあり、悩みがありということがあったと思うんですね。だから、私は、これは答えは一つじゃないと思っているんです。なので、動き出しながら、走り出しながら、必要なことは制度を整えていくということが必要なのかな。

 ですから、集約型というのがあってもいいし、逆に、今、その一カ所には私は行きたくないという方が実はたくさんいらっしゃいますよね。だから、緩やかな形もあってもいい。そういうイメージで私はちょっとスタートしたいなと思いますが、大臣、いかがですか。

根本国務大臣 これは確かに、それぞれの住民の皆様のお気持ちですし、心の問題もありますから、ここは多様な形があるんだろうと思いますが、今回の法律では、やはり長期避難者の方が今仮設住宅で不自由な生活を強いられているということに着目して、長期避難者のための拠点を形成する必要があるだろうということで、今回の制度の創設になったものであります。

 ただ、私も、実態はいろいろな形があるんだろうとは思うんですね。災害というのは、それぞれの災害で、それぞれ阪神大震災も東日本大震災も違うわけですから、そこはやはり我々も現場主義に立って、常にそういうことを念頭に置いて対応を考えなければいけないと思っております。

高橋(千)委員 同じ長期避難者であっても、今結論を出せと言われると厳しいという方がたくさんいらっしゃるということを踏まえて、お話をさせていただきました。

 それで、一応、一点確認ですが、長期避難者生活拠点事業ということで、長期避難者が上についているので、これは帰還困難の区域の方だけを指しますか。

根本国務大臣 今、区域見直しをやっていますから、そこで三種の類型の区域見直しがなされております。

 一方で、長期避難されている方はそれぞれの区域からの方々ですから、今回、我々、この制度の趣旨としては、長期避難者の方に災害公営住宅に移り住んでいただくということですから、要は、避難指示を受けられて別な自治体に、別な受け入れ市町村におられるわけですから、そこは長期避難者ということで考えておりますので、そこで区別するものではないと私は考えております。

高橋(千)委員 ついこの間まで避難指示を受けていた方たちとか、さまざまあるわけですから、そこは自治体の中で、厳密ではないということで理解してよろしいかなと今思っております。

 次に話を進めますので、違うのであればまた言っていただければいいと思います。

 それで、関連基盤整備事業として、公共インフラの整備をする。つまり、災害公営住宅を長期避難者のために整備をしたときに、それに関連してのインフラ整備をするということを言っているわけですが、ただ、よくわからないのは、そもそも町にいるわけですから、いわき市であったり二本松市であったり郡山市であったりという中で、あえて関連インフラといったときに、どういうものを念頭に置いているのか、伺います。

根本国務大臣 要は、長期避難者のための拠点形成ですから、災害公営住宅の整備が基本になるわけですね。災害公営住宅の整備に伴って必要となる避難者受け入れに関連する基盤整備、これを関連基盤整備事業として、その中から選択的に実施できるということにしております。

 もうちょっと詳しく申し上げましょうか。

高橋(千)委員 ですから、整理をしたのは、何もないところを切り開いて町をつくるわけではないので、もともと町に公営住宅を整備するんだけれども、しかし、今いるいわき市とかに迷惑をかけずに、かつ、関連して必要なインフラ整備をするというのは、具体的にどういうことなのかということを聞いています。

根本国務大臣 具体的には、道路改良、学校あるいは公園等の生活基盤の整備がありますが、要は、避難者の増加に伴って必要となる保育所や幼稚園あるいは学童保育、さらには介護施設などの施設整備も対象事業として想定をしております。

高橋(千)委員 例えば、子供がふえたら幼稚園の枠が少しふえるとか、学校の増設というか若干幅がふえるとか、そういうのも念頭に置いているというお話だったと思うんです。

 病院はどうですか。

根本国務大臣 病院の整備に関しては、今、自治体を支援する既存の補助事業がありません。ありませんので、これは本交付金の対象としてはおりませんが、厚生労働省の地域医療再生基金を活用して、必要な施設整備等については対応されるものと思っております。

高橋(千)委員 そこで、もともと福島県は、御存じのように大変医師不足でありました。

 資料の一枚目を見ていただきたいんですが、これは福島県のホームページであります。「福島県の医療の現状 医療施設に従事する医師数が不足しています。」ということで、医療圏ごとの数字がありまして、平成二十三年三月一日、二千二十四名だったものが、昨年の十二月一日、千九百六十人ということで、医師数が減っていますという資料であります。これは常勤の医師の数字であって、県中あるいは相双地区が非常に多いということです。

 二枚目をめくっていただきますと、二枚目の上の段の資料なんですけれども、これは震災前の数字であります。つまり、十万人当たりの医師数でいいますと、全国平均は二百十九人であるところを福島県は百八十二・六人であって、全国順位は四十一位にとどまっている。それを医療圏ごとに見ますと、もっと乖離が激しい地域が、南会津なんかがまさにそうなわけですけれども、あると思うんですね。

 ですから、もともと医師不足の地域であった、その上で、やはり震災と原発事故による避難区域の再編だとかいろいろな影響があって、矛盾は大きくなったと思っております。

 この点で、厚労省の現状認識を伺いたいと思います。

とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、まさに福島県は震災前から既に医師不足の状況でありました。委員御指摘のとおり、人口十万人当たりに対して医師数は百八十二・六人、全国平均が二百十九人ということで、かなり不足していたという状況に被災が重なったということであります。

 ただ、今の現状を見てみますと、例えば、福島県の緊急時避難準備区域でありました六病院の現状を見ますと、常勤医師の数はほぼ同数に戻っております。ただ、数だけ見ればいいということでもございませんで、やはり状況が前とはかなり違っておりまして、実際、被災地から逃げていらした方とか、生活のスタイルも大きく変わっておりますので、その辺は細かく見ていかなくてはいけないなというふうに思っております。

 厚労省といたしましても、その辺のケアも考えまして、被災地の健康支援連絡協議会から医師の派遣を依頼したり、もしくは医師支援センターの運営費に対する国庫補助を行ったり、そして、先ほど大臣からもお話ありましたけれども、地域医療再生基金を活用した医師確保対策の支援、こういったことを積極的に行わせていただいております。

 私も、今、南相馬市の方の医師が不足しているということで、市立の医科病院の方から派遣をお願いしたりということで、いろいろ手を尽くさせていただいております。

 以上です。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 時間の節約で、二問まとめて、もう一度政務官に質問いたします。

 今御紹介があった南相馬の問題ですけれども、南相馬は、震災直後、六百三十六名が亡くなって、七万一千人の市民が一万人に減ってしまうという状況がございました。

 そういう中で、ベッドももちろん使えないという状況から、首都圏の医師たちが繰り返し支援をしてくださって医療体制を維持し、南相馬の市立病院の金沢院長は、やはり自前で医師を確保したいんだということで全国に公募をされ、十名の医師が応えてくれたり、臨床研修指定病院をとって四月から臨床研修医二名を迎える、そういう努力をされています。だから、そういう努力の中で、今おっしゃったような常勤医でいうと、戻っていますよと。数字的にはそうなるんですね。

 だけれども、資料の三枚目を見ていただければわかるんですが、南相馬市の居住人口の推移なんですね。震災前と震災後、年齢が上にいけばいくほど、震災前と震災後の差が余りなくなってくる。つまり、帰ってきた人は高齢者は多いんですが、若い世代にいくと戻ってきていない。そうすると、高齢者の比率がすごく高くなっていくということで、介護の需要ですとか、仮設住宅を回らなければならない、在宅診療が必要となって、大変人手をとられている。そういう実態を当然配慮しなければならないというのが一点です。

 同時に、この現場の皆さんが、子供たちの甲状腺の検査や、あるいはホール・ボディー・カウンターなどの検査をされて、一年間で二万一千名を超える検査をされています。あるいはカウンセリングもやられています。震災前とは大きく違う課題を背負っている中で、一つ例に挙げれば、WBCには診療報酬もない、こういう状態ですね。

 ですから、この特別な負担をどう評価して支援していくかということで、もう一言お願いいたします。

とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。

 委員おっしゃいましたように、震災前、南相馬市立総合病院には十二人の医師がおりましたが、それが、二十五年の一月一日の時点で二十一名と増加をしております。

 委員御指摘のとおり、数は確かにふえておりますけれども、人口の構成が大きく変わっておりまして、南相馬市の人口は震災前の約七割程度となっておりますし、お戻りになられた方も比較的高齢者の方が多いというような実情でございます。

 ですから、やはり医療の状態をよくチェックしておかなくてはいけないということで、厚労省も、相双地区等の医療・福祉復興支援センターを設置いたしまして、現地のニーズを把握しながら、医師の派遣等、そして関係機関との調整を常に心がけて実施しているところでございます。

 さらに、もう一つお尋ねのありました子供たちのことでございますけれども、予防を目的とした医療のことについてでございますが、甲状腺の検査やホール・ボディー・カウンター検査、これは残念ながら今は保険給付の対象とはしておりません。症状等から医師が必要と認めた場合は実施される検査でございますので、そのときは保険給付の対象となりますけれども、現時点では保険給付の対象とはしていないという状況でございます。

 現状を見ながら注意深く見守っていきたい、このように考えております。

 以上でございます。

高橋(千)委員 今の、最後におっしゃった、医師が必要と認めた場合は対象となるということだったと思うんですね。今までは、ホール・ボディー・カウンターを普通に子供たちや一般の方が使うということを想定していなかったわけですから、もう現状は変わっているという点で、ぜひこれは御検討いただきたいということを述べたいと思います。

 そこでもう一つ、医師体制の問題で、産科医不足が特に深刻でございます。

 さっきの二枚目の資料で下のところに書いているんですが、産科は、全国四十六位でございます。こういう実態がある。

 その中で、特に中心部からも深刻な事態が起こっている。例えば、社会保険二本松病院は、この四月にも産科医が不在となります。毎年、二本松市だけで四百名を含む、新生児七百人以上を扱ってきました。その上、浪江町や南相馬市など、二市五町三村から避難をしています。

 先日もRFOと厚労省に要請をしてきたんですけれども、人口減少が大きな課題となっている福島県で、若い人に定着してもらえるためには、やはり安心して出産、子育てができる環境づくりは決定的なんですね。そういう点でも、この産科医確保対策というのは特別な手立てが必要だと思いますが、伺いたいと思います。

とかしき大臣政務官 お答えいたします。

 平成二十五年度予算案におきまして、勤務医師等の手当に対する補助を行うということで、産科や新生児の医療を担当する医師をふやしていこう、このように心がけているところでございます。

 地域医療支援センターの設置を進めて、さらに、福島県外から福島県にお越しになった場合は研究資金を付与するなど、産科医の確保を進めているところでございます。現在のところ、四名の医師にこちらの方の研究費を付与させていただいております。

 あと、このほかには、地域医療再生基金を活用して、四時間以上の応援を行った場合に報酬を補助するとか、さらに、医師事務作業補助者の導入推進事業ということで、こういったサポート体制を整えたり、そして、病院勤務の産科医や小児科医の負担軽減を図って、少しでも産科医をふやしていこうと今心がけているところでございます。

 このほかには、福島県立医科大学におきまして地域枠を設けさせていただきまして、三十五名をふやして今百三十名というところで、今、そういった形で地域枠をふやして対応させていただいているところでございます。

 引き続き、福島県の現状を見ながら、なかなか医師の確保が難しい状況でございますので、しっかりと応援体制を整えていきたいと思っております。

 以上です。

高橋(千)委員 今、例えば社会保険病院のお話をしましたけれども、一般論で産科医が足りないと言っているのではなくて、個々の病院が名乗りを上げていて、ただ何とかしてくれと言っているのではなくて、自分たちも足を使っているんですね。必死で訴えていて、来てくれそうな話があったけれどもオーケーが出なかった、県境があるんだとか、さまざまな困難を抱えています。

 そうした点に具体的に応えていただきたい。もちろん、裾野を広げる努力と同時に、具体的な提案もしておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 きょう、財務副大臣にも来ていただいておりますので、賠償の問題で、ちょっと医療つながりで質問をさせていただきます。根本大臣、最後にもう一問聞きますので、ぜひ聞いていただきたいと思うんです。

 福島県の病院協会、双葉郡の四病院、私的四病院など、被災した病院が協議会を開催して、東電への損害賠償を求めてまいりました。それで、賠償金の課税措置をしないでほしいと。これはもちろん、病院だけではなく、農協や商工団体も強く求めているところなんですけれども。

 特に、警戒区域の四病院は、今、二つ休止していて、二つは仕事はできていません、当然避難していますので。だけれども、雇用は維持しているんですね。そういう中で、賠償金をもらいました。その半分が退職金に回りました。つまり、解雇せざるを得なかったからです。四分の一が負債の返済に回り、一四%が税金に回ったそうであります。

 ですから、今は休止をしていますので、賠償金以外に収入がないわけですよね。でも、再開したいと思って頑張っている人たちが、結局、税金を取られて、退職金ほとんど切られちゃったよ、これはないでしょうということを訴えているんです。いかがですか。

山口副大臣 お答えをさせていただきます。

 今先生お話しの東京電力が支払う賠償金につきましては、避難生活等による精神的損害にかかわる賠償金等、大半のものが非課税になっておる、もう御案内のとおりでありますが、営業損害のうち、減収分に対して支払いを受けるものにつきましては課税の対象になっております。

 これは、被災がなかった場合には本来課税対象となるべき収入にかわる性質を持つものでありますので、一つには、他の民間企業が支払う損害賠償金の課税関係との均衡、あるいは、被災者であっても事業継続や転業、転職によって収入を得ている方との均衡等を踏まえて、課税の特例を設けておりません。

 しかしながら、今後の被災者に対する税制上のさまざまな支援に関しましては、被災地における実態を十分踏まえながら、また引き続いて検討はしていきたいと思っております。

高橋(千)委員 もう一声言いたかったんですが、時間の関係で、ここは要望にしたいと思うんですね。

 減収分を補填している場合というときに、それは逸失利益というふうにいつも説明されているわけですよね。だけれども、そもそも利益じゃないよと。医療法人なので、要するに、配当があるわけでないし、営利ではないし、しかも、今も被害が続いているわけですよね。そういう医療法人の公益性というのをちゃんと踏まえてくれよ、利益じゃないんだということを指摘していますので、今、最後に、検討するとおっしゃいましたので、改めて検討を求めたいなと思います。

 今紹介した四つの病院の中の西病院は、浪江町で六十年以上の唯一の病院でありまして、一般病床と療養病床で合計七十九床、人工透析などをやってきたところであります。

 現在、院長先生は、二本松市に仮設診療所、津島診療所を移して今再開していますが、その中で、週一回通って診療をされております。

 施設自体は、地震や津波でも損傷は余りなくて、人工透析センターは残っているわけですね。本当に、スタッフの皆さん、事故直後は患者さんの救援、診療に当たられました。だから、原発事故さえなければ同じように診察ができたわけですよね。その方たちが、病院としての機能を生かしながら浪江町民に寄り添っていきたい、病院の再開を目指したい、こう述べているんです。

 だけれども、浪江町は、五年、六年以上たたないと帰らないと決めちゃったんですよね。なので、それを待たなければ自分たちは再開ができないのかというときに、今提案しているのは、浪江町が今考えている町外コミュニティー、リトル浪江。仮の町構想を、分散型でリトル浪江をつくろうと、南相馬や二本松や、考えていらっしゃいます。

 そういうときに、では仮の町で病院を再開したいと思ったら、単純に、オーバーベッドですよと。要するに、中心地に一旦避難をしていて、それで病院を再開したいとなると、そこはもう過剰ですよというふうに言われちゃったということなんです。そうしたら、浪江が再開するまで待たなきゃいけないのか、とてもスタッフは維持できませんよということをおっしゃっています。

 そこで、さっき言った話に戻るわけですけれども、そういう場面も出てくるわけですよ。本当に、もといた町に寄り添って、医療と介護の体制、支えていきたいと思っている方たちが、やはりこういう公共インフラを唱えて、オーバーベッドといっても、実際にはたくさんの人が避難をしてきている、そういう中で、一体として整備を認めるということもあってもいいんじゃないか。これは一つの問題提起でありますが、根本大臣に、少し検討していただけるでしょうか。

根本国務大臣 今の、医師不足あるいは看護師さんも不足している、その中で、委員のお話しになった、お医者さん初め看護師さんの皆様、医療関係者の皆様のその思いは大変貴重な思いだと思います。

 今、さまざま、ベッド数もそれぞれ、これは厚生省所管ですが、一定のエリアで一定のルールでなされているので、そういうお話だったんだろうと思いますが、そこは、それぞれの市町村あるいは県、よくお話をお伺いしながら、どういう対応が可能かどうか、これをよく考えていきたいと思います。

高橋(千)委員 終わります。ありがとうございました。

後藤田委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 福島の再生ですが、除染をすれば線量が低減して安全な環境をつくれるんだ、そういう前提でみんなに戻ってもらうんだ、帰還してもらうんだ、こういう前提の政策が今原則だろうと思います。

 私は、きょうも若干議論がありましたけれども、これで適切なのかなという思いが実は今の段階ではあります。

 つまり、そもそも完全な除染というのはあり得ない。そして、線量が国際基準に照らして居住に適するレベルに、現在の全ての地域、帰宅困難地域あるいは居住制限地域も含めて完全にできるのかということも、なかなか本当は厳しいわけだと思います。言ってみれば、壮大なフィクションの上にこの対策が成り立っているという部分もあると思います。

 結局は、何が何でも理想的な形にして、そして帰ってもらうんだ、そういう方策ではなくて、そろそろ現実を見据えて、これは適切な情報公開が必要だし、住民の方に対する選択も必要でありますけれども、政策のトーンというか方針というかスタンスですね、これを変えるべきときに来ているんじゃないか。つまり、移転をしてもらって、その移転先で新たに安心して暮らせるようにする、あるいは生活の再建をしてもらう、こういうことを原則というか、こういう方針を重視する方向に転換することが必要じゃないかなと思います。

 そのような観点から申し上げますと、この法律の改正、これは仮の町とかいろいろ議論がありますが、長期避難者の生活拠点の形成、これは必要だと思うし、必要性は認めるものであります。

 ただ一方、そういう考え方からいうと、国による公共事業の代行、あるいは生活環境整備事業の対象区域を広げること、居住制限区域とか帰宅困難区域に拡充するということ、あるいは、特にこれはさらに問題というか、必要性も含めてあれなのは、税制優遇措置を居住制限区域等に拡充すること、こういうことについて私は疑問を持っております。

 こういう前提で、きょう、若干、法律の議論というか質問をさせていただきたいと思います。

 この改正案、先ほど申し上げたように、国の公共事業の代行、生活環境整備事業の対象区域が広がる。この広がった部分は、住民の帰還が長期間困難なわけで、そして将来が未定とも言える区域なわけです。ここらで公共インフラを整備する必要性とか、生活環境整備事業の必要性は先ほどありましたが、その二つを含めて、その必要性というのを改めて御説明いただきたいと思います。具体的にはどういう弾を想定しているか、改めて、繰り返しになりますが、お聞きしたいと思います。

根本国務大臣 現行制度における公共事業の代行及び生活環境整備事業については、今までは、避難指示が解除された区域及び避難指示解除準備区域に限って実施することとされておりました。

 昨年四月以来、住民の帰還を加速しようという中で、これは福島県、市町村からも対象地域の拡充について要望がありましたが、居住制限区域や帰還困難区域であっても、避難解除等区域へ住民が帰還するために、広域インフラ施設の復旧あるいは道路ネットワークの整備が不可欠であるということで、対象を拡充する必要性が高まったということで今回の改正をさせていただきたいと思っております。

畑委員 生活環境の整備については、し尿処理施設というのがあって、これは恐らく広域のものを、たまたま今、広げなければつくれないところにつくるということだと思うんですが、今の御説明だと、公共インフラ、道路とか公園について、それは理念的にはわかるんですよ、将来的につくらなきゃいかぬと。ただ、それはそういう線量になったときにつくればいいじゃないかという議論もあって、今、具体的に弾があって、これを広げる議論、法律を変えているのかどうか、そこはいかがでしょうか。

根本国務大臣 弾がなかったら法律改正をする意味がないと思います。やはり、広域インフラあるいは道路ネットワークですから、今回、区域を見直しをして、それぞれの、三つの類型の区域を再編、見直しをしました。

 帰還ができるところはどんどん帰還支援しよう、こう思っていますが、それは、区域見直しを一方でした、一方で、道路ネットワークとかあるいは広域インフラの整備の必要性は現にありますから、その必要性に鑑みて今回の区域見直し、拡大をした、こういうことであります。

 具体的な弾はありますし、復興再生計画あるいは帰還支援、定住プランの中にも、要は具体の事業は書いてあるものもありますので、この区域見直しは、そのような必要性と具体的な弾を踏まえて対応させていただいております。

畑委員 こうやって先行的に整備して、戻りなさいと誘導しているような感じがして、ちょっとそこは否めないんですが、弾があるという御説明でしたが、ちょっとここで別の視点から大臣にお伺いしたいと思います。

 今、避難から時間がたってきて、避難前に暮らしていた地域に戻りたいと考えている人は、残念ながら、時間の経過とともに少なくなっているという議論がきょうもありました。あるいは、避難先での生活が今安定しておりますから、学校や、あるいは就労も進んでいる。

 そういう中で、結局は、戻るという前提よりも、もうここでいいんだというか、もう戻らないという考えの人も多くなってきているのではないかと思いますが、そのような方の意向を尊重しながら、正面から移住という選択肢も据えていくということが必要だというのは先ほど申し上げましたが、そういう政策を行うとして、今現在、そういう移転者の生活再建も含めた政策がどうなっているか。

 つまり、これは就労とかそういうのもあるんですが、例えば、一定の土地を買い取ってもらって、あるいは賠償するにしても、新たなところで持ち家をつくれるのかどうか、額が出るのか、そこもはっきりしないという議論もありましたが、そういうことも含めて。あるいは移転先の確保ですよね、仕事も含めて、住居の手当ても含めて。

 あるいは、これは仮の町ですから、仮の町じゃないとすれば、それはそれで移った場合の住めるような周辺整備にもなるんでしょうが、こういうことも含めて、こういうのは移転する人に対してどのように考えておられるのか。政策についてちょっと御説明いただきたいと思います。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 政府の方針といたしましては、一日も早い帰還のためのインフラ整備、除染をするというのは基本原則ではございますが、今議員御指摘のように、新しい生活を選びたいという方も出てきておられます。

 その方々のための支援でございますが、新しい生活を始めるために生活再建のための賠償を支払うこと、これがまず第一番目の要点だと思っております。その次には、新しい生活を選ぶ場合には、住宅と働く場所、この二つが大きな要素だと思っております。この後、その方々のお申し出に従いまして、住宅のあっせん及び就労の支援、これに力を入れていかなきゃならないと考えております。

畑委員 ぜひとも、そういうところは意向によってしっかりと対応できるようにしていただきたいと思います。

 賠償によって新たな家がつくれるのかどうかというのも、恐らく、全損でありますから、お金が出れば新たなところで手当てできる、つくれるという前提で多分賠償も組まれるんだろう、ちょっとうなずかれておりますが、そういうことだろうと思います。

 あと、賠償を受けた場合に、戻りたいという声があれば、一方、所有権が賠償した東電に移転すると、またその辺のところの住民感情もあるでしょうから、そこもうまく対応していただいているという話も事前にいろいろお聞きしましたが、いずれにしても、そこはしっかりやっていただきたいと思います。

 その流れで申し上げますと、周辺居住環境整備とか、それはそれであるんですが、この税制優遇措置、これが特に腑に落ちないという感じがします。現時点で居住に問題があるとされる居住制限地域で、既存のものを拡充して新規の立地企業を迎える、そして企業のさらなる立地促進を図るという改正でありまして、これは、二十ミリシーベルトを超えるおそれがあって引き続き避難を継続する地域で、なぜそういうような企業立地の促進を図る必要があるのか、ちょっとそこをお伺いしたいと思います。

岡本政府参考人 御指摘の今回の税制改正は、福島県からの御要望がございましたものに国の方でお応えしたものでございます。

 従来は、かつてそこで事業をしておられた方々が戻って再開するという点だけを認めておりましたけれども、今回は、新規に立地なさる方もお認めすることによって、雇用の回復、そして地域産業の振興になると思っております。

 確かに、まだ居住制限区域でございますので、場所によっては二十ミリシーベルトを超えるところがございます。この点、営業の許可をするに際しましては、まず、二十ミリシーベルトを余り大きく超えないことということを市町村が確認いたします。そして、通常は、先行的に除染をしていただきまして、まずそこの放射線量を下げていただきます。また、先ほども御説明いたしましたけれども、従業員の安全確保のための基準をつくってございますので、そのための基準を守っていただくというのが大前提になると考えております。

畑委員 今おっしゃったように、この地域は恐らく市町村の許可が必要なんだろうと思いますね。そうすると、恐らく、国の政策方針としては、そこの立地は抑制的に考えておられるんじゃないか。そういう許可が必要で、個別許可に応じて抑制的に運用している地域において企業立地の促進の税制というのは、何か私は矛盾しているように思うんですが、ちょっとそこの関係をもう一回御説明いただきたいと思います。

岡本政府参考人 居住制限区域は、二十ミリシーベルトを超えるところがございますので、居住自身は制限しておりますが、日中の事業活動は制限しておりません。夜間の寝泊まりというんでしょうか、住むことは制限しております。

 現在、先ほど申し上げましたように、地元の県及び市町村からのたっての御要望でございまして、安全が確保できる範囲内で事業を再開したいと、例えば飯舘村でございますが、そのような事情でございますので、事業再開について、政府としては制限的な態度はとっておりません。

畑委員 済みません、通告していないんですが、もうちょっと聞きたいんです。これは、具体的にはどういうふうな営業が想定されますか。

岡本政府参考人 例えば、まだ新規立地は現在認めておりませんので実例はございませんが、飯舘村で事業再開を早々にしていただきましたのは金型工業でございます。

 そのほか、この地区で必要となりますのは、多分、ガソリンスタンドあるいはコンビニエンスストアなどの生活関連のサービスが想定されておるところでございます。

畑委員 恐らく、生活関連サービス、ガソリンスタンドとかコンビニ、これは別に雇用増加というよりも従来の経営体が戻ってきて維持するということなので、企業立地の促進といって、税制をばんとやって促進するというのとはちょっと違うのかなという気がしますが、これはこれで議論は尽きないので、次に行かせていただきます。

 今回、長期避難者のための生活拠点、町外コミュニティーですけれども、この形成のために交付金が予算措置されております。この予算額と、あと、そのほかに移転先でのさまざまな支援のための予算措置があると思うんですが、幾らになっているのか、そこをお伺いしたいと思います。

岡本政府参考人 まず、生活拠点形成などのための交付金でございますが、二十五年度予算案において、まず、コミュニティ復活交付金として五百三億円、そして、賃貸住宅や子供の運動機会の施設整備のための子ども元気復活交付金として百億円、合計六百三億円を計上してございます。

 また、生活支援となりますと、これは福島県分と特定はできませんで、それ以外の日本全体に広がってまいりますが、代表的な例でございますと、仮設住宅の借り上げ、介護等のサポート拠点に対する支援、あるいは心のケア支援、きょうも委員会でいろいろ出てございますが、このような経費に復興庁の予算案として合計千八百八十三億円を計上してございます。

畑委員 ありがとうございました。

 今度はちょっと違う額をお聞きしたいんですが、除染ですね。現行の計画に基づいて除染をやられているんですが、除染にこれまでにかかった費用、そして、今後の計画の終了までに見込まれる費用も含めた、現段階で見通せる除染の総額というのは幾らになりますでしょうか。

小林政府参考人 除染にかかった費用ということでございます。

 除染、また汚染廃棄物処理に要する予算といたしまして、平成二十三年度、二十四年度の合計で約九千億円でございます。

 また、平成二十四年度補正予算、二十五年度の予算案として、除染の推進、また中間貯蔵施設設置の調査検討などに必要な予算、こういうことで約六千億円を計上させていただいているところでございます。

 これらを合計いたしますと一兆五千億ということになります。

畑委員 ありがとうございました。

 実は今二つ並べてお聞きしたんですが、生活形成のための予算が六百三億、それ以外を含めて千八百八十三億、足しても二千四百八十三億でしょうか。そして、除染については、これはどの程度まで徹底してやるか、恐らく追加線量年間一ミリシーベルトまでだと想定してやったとしてでしょうか、一兆五千億。

 オーダーがかなり違って、かなり除染のお金がかかって、こう言ってはなんですが、そこの費用対効果も含めて、これは統治機構という話も先ほど維新の方からありましたが、こういうのを含めて、やはり新しいところで生活をしっかりと、その分があれば、生活再建してもらうんだということに使った方が効果的だという議論もあると思います。

 これは、数字だけじゃなくて、心情も含めて簡単に割り切れる問題ではありませんが、そういうことも含めて、今の、除染を徹底して理想形にして帰ってもらうというのが果たして合理的なのかなという疑問は湧くところであります。

 そういう中で、ちょっとお伺いしたいんですが、除染の基準ですね。

 除染の目標が追加被曝線量が年間一ミリシーベルト以下となるということでありまして、一方、国際放射線防護委員会の基準によりますと、緊急時以外、これは線源が封じ込められた段階と言われていますが、一から二十ミリシーベルトの間のできるだけ低い数値を目標とする。一に近ければ近いほどいいんですが、現実にそこは一から二十の間だと言われております。

 事故発生当初は、旧政権で、たしか五ミリシーベルトを基準としていたと思います。田中原子力規制委員会委員長も、年間追加被曝線量を一ミリシーベルトまで下げるのはかなり難しいと言っているようなのを私も聞いたし読んだことがあります。結局、一ミリシーベルトにするんだということが、帰還させたい、したいという立場から見ても、帰還を難しくしているんじゃないかというふうな見解もあります。

 今、事故から二年たちまして、合理的な、冷静な議論ができる段階に至っていると思います。そういう中で、合理的な基準に基づいて冷静な議論が必要だというふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。

井上副大臣 除染の目標といたしましては、追加被曝線量を年間一ミリシーベルト、これを長期的に目指すというのは、委員がおっしゃいましたとおり、前政権からの方針であります。

 そういった中で、では、いわば短期的、中期的にどうするのかということでありますが、これは放射能の安全性をどう考えるかということでありまして、放射能の安全性ということになりますと、除染だけではなくて帰還、インフラ整備、また風評、多くの分野にかかわる課題であります。現地でも、被災者の中でも、いろいろな御意見があるというのもそのとおりだと思っております。

 そういった状況の中で、三月七日に原子力災害対策本部において、根本復興大臣から、線量水準に応じたきめ細かな防護措置の具体化を原災本部において議論して、年内を目途に一定の見解を示すこと、そして、こうした検討に当たっては、原子力規制委員会が科学的、技術的な見地から役割を果たすこと、この二点について提案があって、そしてその方向で進めることになったと承知をいたしておりますので、環境省としても、この方針に沿って必要な協力をしていきたいと思っております。

畑委員 ありがとうございました。

 結局、何が何でも理想的な形にして帰還してもらうんだという方針ではなくて、合理的な合格点の数値にすることを前提にして、そしてそこはしっかり情報公開して、戻るか、移住するかについてはやはり住民の方に選択してもらうという方針が私は合理的だと思います。

 国際原子力機関、IAEAは、二〇一一年の十月に日本に調査団が来たときには、日本の当局は、被曝線量の低減に効果的に寄与し得ない、過剰に慎重な対応を回避することが奨励されるとしております。

 先ほど来申し上げましたが、そこはしっかり今後こういうスキームで検討されるということだと思いますので、合理的なスキームを除染について議論して、線量とか議論して、その絡みで移転の政策がどうあるべきかというのをそろそろしっかりと、やはり曖昧な形じゃなくて考える時期に来ているんじゃないかと私も思います。そのことをきょうは申し上げておきたいと思います。

 ちょっと話がかわって個別論に入りますけれども、風評被害の話で、地元の話なんですが、一月三十日、原子力損害の範囲等に関する中間指針第三次追補、これが出されまして、風評被害として認められる類型として、岩手県等の水産物がここで入ってきた、やっと入ってきたということであります。

 しかし、これは一月三十日に入った形が出されたんですが、地元を回っていますと、水産加工業の人あるいは水産業の人たちはわからないんですよね、そういうのができたというのを。これに関する説明とか賠償の手続等、そういうのをしっかりと説明していただきたいんですが、相変わらずこのことを知らないまま、風評被害、漁業については対象にならないんだといって不安がられております。

 これは東電の説明がおくれているのか、あるいは東電の説明のルートがきめ細かくないのか、私はどちらかだと思いますけれども、現在どのような形で説明がなされているか、そして、今後どのような形で説明をしっかりしていこうという方針なのか、スケジュールも含めて、本当はこれは東電を呼んで聞くべきところですが、民間企業で急には無理だということなので、指導官庁である経産省にお伺いしたいと思います。

平大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、本年の一月三十日に原子力損害賠償紛争審査会で決定された中間指針三次追補を踏まえ、東京電力は、農林水産物の風評被害に係る賠償について見直しを行いまして、三月二十七日から請求の受け付けを開始しております。

 紛争審査会による中間指針三次追補が示されてから、東京電力といたしましては、具体的な基準の策定作業を進めてきたということでございます。そして、今般の請求の受け付け開始に当たって、賠償基準の内容等について、プレス発表、自社ホームページへの掲載、さらには、従来から御請求のあった漁業協同組合を中心に、関係団体に対する説明を行ってきたということであります。

 今委員御指摘の、特に岩手の漁協さんに関しては、委員の御質問がありましたので、確認をとりました。東京電力に確認をとったところ、まずは請求のあった漁業協同組合を中心に説明を行った、そういった説明でありました。しかしながら、しっかりとこれは告知をしていかなければならない、そのように考えております。

 経産省としては、東京電力、所管をしておりますので、引き続き東京電力に対しては、関係団体への説明をしっかりするように、周知徹底をするように指導をしてまいりたいと思いますし、また、被害者の方からの問い合わせに対しても丁寧に説明するように指導してまいりたいと思います。

 あわせて、東電が東電がということになってしまいますので、経産省としても、私は経産の大臣政務官なので余り領空侵犯できませんが、しかしながら、農水省ともしっかり連携をとって、目詰まりが起きないかどうかしっかり目を配って、事前に、目詰まりが起きないように必要な対応をとってまいりたい、あわせてそう考えております。

畑委員 ありがとうございました。よろしくお願いしたいと思います。

 ちょっとやはり気にかかるのは、請求のあったところにまず東電が説明しているということで、実は、請求しないで悶々として、何なんだと思って不満を持っている個々の人がおられるわけです。そこに対して伝わることが重要であって、今聞くと、やはり請求のあったところに一本釣りで電話等でお話をしているということらしいんですよ、東電が。

 これから恐らくもっときめ細かくしなきゃいかぬわけですから、漁協を通じるとか、あるいは市町村役場を通じるのかわかりませんが、そういう形にして、地域の人に周知して、告知して、集めて説明するという機会をどんどん持っていただかなければいけないと思っていますので、そのような御指導をよろしくお願いいたします。

 次に、この関係でもう一つお伺いしますが、やはり、ここまで風評被害の損害賠償の類型に入らなかったものですから、実際に、水産加工業の方は原子力損害賠償紛争解決センターに和解の仲介を申し立てている方も結構おられまして、この中間指針の第三次追補で結局岩手県の水産物も風評被害の対象に入ったということで、今後、これはセンターの和解の仲介だけじゃなくて、これから申し立てる人も含めてですが、当然、立証責任が軽減されると思うんですが、どのように軽減されてくるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

 この点、まず制度官庁の文科省の方からよろしくお願いします。

福井副大臣 文科省でございます。

 今、畑浩治先生御指摘の、風評被害に関する立証責任でございます。

 従前は、買い控え、取引停止などによる損害と事故との相当因果関係、これを被災者御自身が証明する必要がございましたが、今般の指針によりまして、買い控え等の事実を示すだけで賠償すべき損害と認められることになりますので、被害者の損害を立証するための負担は大幅に軽減されるものと思います。

 ちょっと整理して申し上げますと、今先生御指摘のように、ことしの一月三十日に中間指針第三次追補が出ました。具体的には、北海道、青森県、そして岩手県、宮城県の水産物等について指針に明記をされました。東電は賠償をしなさいとの対象になりました。

 文科省といたしましては、もとより、東京電力に対しまして、今般の指針の内容を十分に踏まえた対応をするように要請してきておりました。東京電力は、先月の二十五日、賠償基準における農林漁業の風評被害の対象の見直しを行っているところでございます。

 この審査会におきましては、今後とも、原子力損害の実態を把握する、被害の実態を踏まえる、これが一番大事と思います。そして、文科省といたしましても、この指針を踏まえて適切に対応するように、東京電力に今後とも要請してまいりたいと思っておりますので、今後とも畑先生の御指導をよろしくお願いいたします。

畑委員 福井副大臣、ありがとうございました。

 これを踏まえて、東電に対する指導官庁である経産省の平政務官の方からも、どのような指導をしていくか、しっかり指導していくということでお答えをいただければ幸いでございます。

平大臣政務官 今、文科副大臣から説明のあったとおりでございまして、買い控えで価格が下落をした、そういう事実を示すだけで賠償すべき損害が認められるということでございますので、経済産業省といたしましても、東京電力に対して、しっかりこの第三次追補を受けとめて、迅速かつ適切に賠償を行うよう指導をしてまいります。

畑委員 心強い答弁、ありがとうございました。

 問題は、東電が求める財務諸表等の損害額の立証の資料が面倒くさければ困るので、そこは合理的な範囲内で簡素化してほしいということをぜひとも御指導賜りたく、お願い申し上げます。

 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

後藤田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

後藤田委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

後藤田委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、西村明宏君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及び日本共産党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。椎木保君。

椎木委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

 一 長期避難者のための生活拠点の整備に当たっては、避難住民の意向を尊重するとともに、雇用、育児・教育、医療・介護といった、あらゆる世代が必要とする環境の整備にも留意すること。

 二 長期避難者のための生活拠点が閉ざされたものとなることのないよう、避難先自治体の住民との交流を図るなど、地域との融和が進む施策を講じること。

 三 避難住民を受け入れ、生活拠点を整備する避難先市町村については、公共インフラの整備や行政サービスの提供等の面で負担を生じることのないよう配慮すること。

 四 被災地からの人口流出は、地域の復興に甚大な影響を及ぼすことから、避難住民の帰還はもとより、新たな住民の被災地居住を促す復興施策も推進すること。

 五 長期避難者の帰還及び将来設計のために、避難住民に対し、被災地の将来像及び避難先の生活拠点における生活はどの程度継続するのかをできるだけ具体的に示すとともに、避難元自治体における帰還に必要な環境整備の進捗状況を適時適切に伝えること。

 六 国による公共事業の代行及び生活環境整備事業については、一日も早く住民が帰還できるよう、効果的かつ効率的に進めること。

 七 産業の復興は、地域経済のみならず、個々の被災者の雇用確保という意味でも極めて重要であることから、被災地における投資や雇用の促進が図られるよう、税制特例や予算措置の周知に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

後藤田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。復興大臣根本匠君。

根本国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を十分に踏まえつつ、福島の復興及び再生を一層加速してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

後藤田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

後藤田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十五分散会


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