衆議院

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第3号 平成24年10月23日(火曜日)

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平成二十四年十月二十三日(火曜日)

    午前九時開議

 出席小委員

   小委員長 新藤 義孝君

      小野塚勝俊君    岡田 康裕君

      奥野総一郎君    後藤 祐一君

      階   猛君    津村 啓介君

      吉田 統彦君    和田 隆志君

      小野寺五典君    木村 太郎君

      河野 太郎君    平  将明君

      加藤  学君    遠山 清彦君

    …………………………………

   復興副大臣        黄川田 徹君

   法務副大臣        山花 郁夫君

   財務副大臣        武正 公一君

   厚生労働副大臣      櫻井  充君

   農林水産副大臣      佐々木隆博君

   経済産業副大臣      近藤 洋介君

   国土交通副大臣      長安  豊君

   外務大臣政務官      村越 祐民君

   文部科学大臣政務官    村井 宗明君

   国土交通大臣政務官    川村秀三郎君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     岡本 全勝君

   政府参考人

   (復興庁参事官)     山田 英樹君

   政府参考人

   (復興庁参事官)     尾関 良夫君

   政府参考人

   (復興庁参事官)     中石 斉孝君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    三浦  守君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 秋葉 剛男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 新美  潤君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   中原  広君

   政府参考人

   (財務省主計局主計企画官)            奥  達雄君

   政府参考人

   (国税庁次長)      西村 善嗣君

   政府参考人

   (国税庁長官官房会計課長)            小部 春美君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         田中  敏君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        久保 公人君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年企画課長)         今里  譲君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (水産庁長官)      本川 一善君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          石黒 憲彦君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    鈴木 正徳君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        鈴木 千輝君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  前川 秀和君

   決算行政監視委員会専門員 平川 素行君

    ―――――――――――――

九月七日

 小委員初鹿明博君同日委員辞任につき、その補欠として初鹿明博君が委員長の指名で小委員に選任された。

十月十八日

 小委員松本大輔君同月十六日委員辞任につき、その補欠として後藤祐一君が委員長の指名で小委員に選任された。

同日

 小委員初鹿明博君及び森岡洋一郎君同日委員辞任につき、その補欠として津村啓介君及び吉田統彦君が委員長の指名で小委員に選任された。

同日

 小委員向山好一君同日小委員辞任につき、その補欠として和田隆志君が委員長の指名で小委員に選任された。

同月二十三日

 小委員河野太郎君同日委員辞任につき、その補欠として小野寺五典君が委員長の指名で小委員に選任された。

同日

 小委員小野寺五典君同日委員辞任につき、その補欠として河野太郎君が委員長の指名で小委員に選任された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 行政監視に関する件(東日本大震災復興予算の使途)


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     ――――◇―――――

新藤小委員長 これより行政監視に関する小委員会を開会したいと思います。

 開会に際しまして、委員長の方から一言申し上げたいと思います。

 きょうのテーマであります東日本復興予算の使い道に関する審査、これにつきましては、九月の中旬より、審査をいたしたいということで委員間の中でお話がありました。残念ながら四十日にわたって開会がおくれたこと、今被災地で苦しんでいる人たち、復興を一生懸命やっている人たち、そういった思いを受けとめ、さらには増税によってこの予算を捻出した、そういったものも含めまして、私は、この問題が、委員会の開会がおくれたことはまことに遺憾である、このように思っております。しかし一方で、与野党の努力によりまして、きょうこの小委員会が開会できることはまことに喜ばしいことであると思っております。

 ですから、問題点をしっかりとチェックするとともに、きょうの委員会は建設的な議論をしなければいけない、このように思っておりますので、委員各位の御理解と御協力をぜひお願いしたいと思いますし、また、政府側もしっかりと答弁をお願いしたい、このように冒頭申し上げたいと思います。

     ――――◇―――――

新藤小委員長 行政監視に関する件、特に東日本大震災復興予算の使途について調査を進めます。

 本日の議事の順序について申し上げます。

 まず、復興予算の使途のあり方など本問題に関し、総括的に各会派申し出の小委員が順次質疑を行い、その後、理事の御協議で選定したテーマごとに政府から説明を聴取した後、自由質疑を行うことといたします。

 全てのテーマについての自由質疑が終了した後、小委員間で自由討議を行うことといたします。

 それでは、まず、総括的質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田隆志君。

和田小委員 皆様おはようございます。このたび決算行政監視委員会に参りました和田隆志でございます。どうぞ皆様方、よろしくお願いいたします。

 先ほど委員長の方からお話がございましたとおり、この一カ月、二カ月ほどの間、復興予算ということをテーマにテレビ報道が流れたり、また、それをきっかけとしていろいろな方々が問題意識を持たれているところでございます。私ども、立法府全体としまして、やはりこの機に、今まで発災後一年半を経過してきているわけでございますが、その間、復興基本方針を定め、そして基本法を制定し、さらに復興予算を編成して執行中であるという過程の中で、立法府側もまた政府側におかれても、ここでもう一度被災地の方々の実情を踏まえながら、考えるべきところを考え、そしてもう少し改善すべきところは改善するといった姿勢を持って審議に臨んでまいりたいというふうに思います。

 最初の総括的質疑、私に与えられた時間は十分でございますので、早速これらについて、まずは政府側で今この復興予算を編成し執行していらっしゃる、総責任を負っていらっしゃる財務副大臣そして復興副大臣の方に、現状の認識についてお伺いできればというふうに思います。

 先般、この小委員会の議員有志で被災地を視察してまいりました。その際にいろいろなお声を聞いてまいりました。

 まず、全体として、復興基本方針や復興基本法に、立法府の意思でもって被災地の復興という最初にあった閣法の用語を変更いたして、結果的に「東日本大震災からの復興」ということにし、また、「活力ある日本の再生」ということにして、現在まで進めてきているわけでございます。これについて、被災地の方々、いろいろな感覚、受けとめ方がございました。

 私が受けとめましたのは、総論としては、被災地の方々は、今後国民の皆様方全体に所得税等の御負担をいただきながら復旧復興を進めていく立場からすれば、被災地のことについてやっていただきたい気持ちは当然おありですけれども、全国の、今回の発災をきっかけとして防災対策等をすること自体に否定的な考えをお持ちの方々が多いわけではない。むしろ、これをきっかけに日本全国で安心、安全なまちづくりをしてほしいというふうに思っていらっしゃる方々がたくさんいらっしゃるんだなということだけはわかりました。

 しかし一方で、復興予算、五年間で十九兆円手配するという意思を政府側も立法府側も手を携えてやっているわけでございますが、そんな中で、被災地の実情は、なかなか思うように事が進んでいないという実情も目の当たりにしてまいりました。

 そういった実情を踏まえて、むしろこれから先、私たちがつくりました東日本大震災からの復旧復興のあり方、そして日本全体の活力のもう一回再生の仕方、こうしたものについて、被災地との関係を含めてどのような進め方をしていくべきだとお考えなのか、それぞれ復興副大臣と財務副大臣の方からお答えいただけますでしょうか。

黄川田副大臣 御指摘のあった件でございますけれども、実は私、最初の衆議院の復興特別委員会の委員長をさせていただきました。政府提案の基本法を撤回させていただき、そして議員立法ということでできた法律であります。

 大変な被災でありましたので、日本の国自身の経済が本当にどん底に落ちるのではないか、そういう空気もありました。そしてまた、日本列島、災害列島になったのではないかというような状況にもありました。

 そこで、被災地に対する復旧復興がまず第一だと。加えて、やはり日本の経済が沈没しないようにさまざまな手当てが必要だ、そこで、防災、減災の仕組みが全国レベルでできないか、こういう議論もあったと私は思っております。

 そして、何よりも、委員長さんからも話がありましたけれども、国税、法人税あるいはまた所得税、そしてまた地方も、この復興のために、我々も耐震化であるとか減災、防災のために財源を捻出するということで、地方税、住民税も措置された形の中ででき上がった枠組みであります。

 ただし、このような大きな大震災だ、復旧復興のために省庁挙げてみんなで頑張ろうというその思いは当時あったわけでありますが、具体のさまざまな事業の展開において、まず何といっても現場、被災地、東北、ここに直接的に事業がしっかりと執行されなきゃならないというところがちょっと薄れてきたのかなというところがあります。みんなで、各省庁、この復興のために頑張るというその意識はあったと思いますけれども、個々別々に見てみると、さまざま優先順位の中で課題があるなと思っております。

 まとめであります。

 いずれ、阪神・淡路の場合は、瓦れきを片づければそのまま復興の、復旧のスタートラインであります。ただ、津波に遭った、原発事故があったということで、まだまだスタートラインにも行っていないところがあります。しっかりとスタートラインにつけさせるためにも、直接的にやはり被災地にしっかりと事業が展開される、そういうことの中に持っていかなきゃならない、こう思っております。

 以上です。

武正副大臣 このたびのさまざまなこの小委員会あるいは委員会での取り組みについて、心から敬意を表する次第でございます。

 今、和田委員からのお尋ねの中で、被災地に行かれたというお話がありましたが、私もちょうど同日に、岩手から宮城ということですが、回ってまいりました。今、この間の一年半の取り組み、まだまだ課題があるわけでございますが、しかしながら、やはりそれぞれの地域で、力強く地元の方が中心となって復旧から復興に取り組んでいるさまをしっかりと見てまいりました。また、いろいろと今回御指摘の点についても御要望をいただいたところでございます。

 今の中では、今回の法案あるいは方針ということが予算案とともに決められていく過程の中で、国会での議論、各党からのさまざまな御要請、そうしたものを踏まえて法案、方針、そして予算案、こういったものが成立されたという背景。そしてまた地元では、もちろん、復旧復興に全力を挙げてほしい、こういった要請もあるわけですが、あわせて、当時やはり経済が昨年の第一・四半期で落ちて、そして、何としても経済を立て直さなければならない。当然その中には、経済は全国的に連携、連絡、ネットワークでありますので、そういった意味での、特に東北地方が担っていたサプライチェーンの中での重要な役割を復旧復興させるとともに、全国的なそういった意味での連携はやはり欠かせないであろう、こういった視点はあったというふうに思いますし、そういった点についても、地元の皆様にも御理解はいただけていたのではないかというふうに思っております。

 しかしながら、今回いろいろと御指摘をいただく中で、やはり予算を執行するに当たって、しっかりとそれについての検証を、そしてまたそれを次年度の予算編成につなげていくんだと。そしてまた、特に総理などからの指示もありまして、被災地に特に緊急性、即効性といったものを重点的に見ていくように、こういった観点から今臨んでいるところでございます。

和田小委員 時間が限られておりますので、私の方から被災地のお声をお届けしまして、政府側におかれても真摯な御検討をお願いしておきたい点を二点ほど申し上げて、終わりたいと思います。

 まず、最後にお会いした女川町長から、本当に住民の声を代弁するお言葉がございました。被災地としては、先ほど申し上げたとおり、所得税等、国民の皆様方全体から御負担をいただいて復旧復興を進めていく立場であるから、全国のいろいろな防災対策が行われることそのものを否定するつもりはさらさらないと。しかし、被災地における復旧復興を進めていく上で、全体の財源論としてそちらの方がどんどん消化されていって、気がついてみたら被災地の復旧復興への予算が足りないということだけはなくしてほしいという点が第一点です。

 それから第二点目は、今現在、復興庁や財務省が、また各省がスクラムを組んで配分していただいている復旧復興予算、被災地における復旧復興予算ですが、いろいろと地域事情があって、なかなかそれをすぐ執行できないでいるところも多くございます。それらについて繰り越しを一年間行っておりますが、それから先、なかなか会計上の手段がございません。しかし、復旧復興にそれだけの手間暇がかかることは、実情を聞いてみて、ある程度やむを得ないところもたくさんあるように感じました。

 こういったことから、政府側におかれても、これから先、配分した予算のこれから先の使い方、そして、もし使い残しがあるのであればそれについてどのような対応が可能か、これらについても真摯に御検討いただければということをお願い申し上げまして、私の総括的質疑を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

新藤小委員長 続きまして、木村太郎君。

木村(太)小委員 おはようございます。自民党を代表しまして、総括質疑、十分でありますが、よろしくお願いします。

 まず、野党筆頭理事という立場から指摘しておきたいと思いますが、この大震災の予算の使途につきまして、余りにも関連性の薄いものに予算が使われているのではないか、このことをしっかり立法府として、当委員会として検証すべきであるということで、一カ月半前に与党の筆頭理事の方に私の方から打診をさせていただきました。ようやくきょう、この小委員会の開催になったということはよしとしたいと思います。

 ただ、この間、政府・与党、民主党の方から、報道で取り上げていることを全て委員会で取り上げる必要があるのかという理由でまず拒否されました。それから、閉会中審査をするだけの緊急性があるのかという理由で拒否されました。次は、代表選をやっているからそれが終わってからと拒否され、そして、国対の人事が固まってからということで拒否され、最後には、この委員会の理事の選任が終わってからという、拒否する理由も変節してまいりまして、よって四十日かかって、きょうこの小委員会というふうになったわけであります。

 私は、こういった姿勢をやはりしっかり与党として反省していただきたいというふうに指摘をしておきたいと思います。我が党も総裁選をやっていたわけですから、それぞれの政党の立場はあっても、それを超えて立法府として取り組もうということに対して、与党としてやはり責任を果たしていただきたいというふうに思っております。

 また、十一日、この小委員会が流会になったわけでありますが、その際、民主国対の指示で政府の参考人が出席していなかった、このことは、立法府に行政府が過大な介入をして、私は憲法違反の疑いもあるのではないかなというふうに考えております。

 そこで、きょう、なぜ立法府からの要請を断って一政党の国対の指示を重視したのか、政府の姿勢を確認したく、官房副長官にこの場に来ていただきたいということを要請しましたが、与党の方からは、あくまでもこの委員会は復興予算の使い道のみ質疑することになっているという理由、あるいは各会派の代表が合意しなければ出席はできない、民主党はそれを認めることができないということで、この場に官房副長官の出席がかないませんでした。

 こういうことは、やはり被災地、被災者の皆さん、国民の皆さんもしっかりと見ていると思います。もう少し柔軟性を持って、実りの多い議論の場というものをつくることも私は政府の役目ではないかなということも指摘しておきたいと思います。

 では、質問に入らせていただきます。

 復興基本法は三党修正協議を経て成立しましたけれども、民主党の議員の方から、自民党、公明党の考え方を取り入れて被災地以外でも使えるようになった、こう主張しておりますけれども、三党合意を共有すべきなのに、一方的に自民党、公明党に責任を押しつけるようなものはいかがなものかというふうに思っております。基本方針に書かれているとおり、被災地が最優先をもって復興の予算というものが使われるのは当然と私も考えております。

 加えて、増税をお願いする国民の皆さんにも思いをいたしたときに、余りにも関連性の薄い予算ではないか、あるいは一般会計で組むべきものではないか、またニーズの高いものはむしろ予算をふやすべきではないか、こういうことを我々は問題視しているわけであります。むしろ、この三つの点を見過ごしてきた政務三役が問われるべきではないかな、こう思いますが、両副大臣、どう考えますか。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 基本法でありますけれども、お話しのとおり、三党合意、しかも全会一致の法案でありますので、その意味するところ、中身、それぞれ共有しておったわけであります。その意を体して、政府として、執行する機関として、しっかり取り組まなきゃならないということは当然の話であります。

 そういう中で、十二月に三次補正、十九兆円。復興庁は翌年の二月に設置されたということで、政府全体としての総合調整役の復興庁でありますけれども、少しくその全体を見渡す力が不足していたところがあるかもしれません。いかんせん予算の成立と復興庁の設置との時間のずれがございまして、しかしながら、さまざま個別具体の事業になりますと、いろいろな場面場面で課題が見えてきております。そこで、大臣、総合調整役でありますので、省庁内では各連絡調整あるいはまた事業の精査、そしてまた次に向けての、二十五年度予算編成に向けてのしっかりとした復興庁のかかわりぐあい、それは当然やっていかなきゃならないと思っております。

 いずれ、個別具体の事業に関して、足らざるところがあったということは我々も少なからず認めて、認めることによって次のステップをしっかりと踏み込んでいこうという姿勢はしっかり持たなきゃいけないと思っております。

武正副大臣 今、木村委員から御指摘いただいた点、国会の御要請ということで、政府からさまざま、立法府の審議に、また立法過程にしっかりと行政府として協力をする、情報を提供する、そして実り多い審議に供する、これが行政府としての務めだというふうに自覚をしております。

 そういった中で、今回さまざま与野党でのやりとりの中での本委員会の経過、先ほど御紹介があったわけですが、その点について、きょう、こういう形でまた出席できて、説明の機会をいただいたことに感謝を申し上げたいというふうに思います。

 今御指摘の三点ということですが、特に三点目につきましては、さまざま地元からも強い御要請をいただいていること、これについては既に御承知のとおりでございまして、こういった点についてはそれぞれ、この間、十七日に総理も、緊急性の高い施策については今月中に予備費の使用決定を検討するよう指示されたことを受けまして、それぞれの省庁に登録を、先週金曜日にしているわけですが、復興予備費の活用も含めて速やかに対応したいというふうには考えております。

木村(太)小委員 平野大臣が参議院での答弁で、不適切と判断すれば予算の執行の停止もあり得る、こう言っておりますが、あり得るじゃなくて停止するんですねということを確認させていただきたい。それから、仮に停止した場合、少しでもニーズの高いものに予算を組み替える、こういうことでよろしいのか。

 また、具体的に今後、その不適切かどうかを判断していく作業をどのようにしていくのか、スケジュールも含めてお知らせいただきたい。ちなみに、きょうまで不適切と判断したものが具体的にあるのかどうかを確認させていただきたい。

 そして最後に、先ほど和田委員も御指摘されておりましたが、私ども有志で被災地を視察してまいりました。そのとき、気仙沼それから女川の理事者、市長さん、町長さんから、共通した大きな不安の意見として、例えば、新たなまちづくりをするために、地盤沈下してしまった地域においてはその対策が終わって初めて土地の上に新たなまちづくりができるのであって、関連性の薄いものでさえも予算をぶち込んでいく今の政府・与党の対応では本格復興の際に本当に必要な予算の確保ができるのかということを大きな不安を持っている、こういう指摘がありました。この点についてどのように対応するのでしょうか。

武正副大臣 まず、予算の執行というのが、各省各庁が責任を持って執行されているというのがまず基本というふうに考えております。

 今御指摘の予算の執行停止、あるいはまたそれを別な予算に組み替える、こういったことについては、今、それぞれの各省各庁が検証をしているというところでありますので、まずそれを、きょうもこの後、それぞれ各省各庁の政務三役も出てくると思いますが、こういった国会の議論の中で、そしてまた、これから行政刷新会議では新仕分けといったことも言われておりますので、そういった過程の中でそういう御指摘については注視をしていきたいというふうに思っております。

 不適切な執行ということにつきましては、今もそういった意味で検証をしているわけでありますが、所期の、予算が計上されたときの目的、その目的にかなった予算執行、こういったものがされているものと考えますが、それについても厳しくやはり検証をしていかなければならないと思っております。

 最後、女川初め地元の町長さんあるいは市長さん、私も同日にあるいは翌日にお会いをしてまいりましたが、そうした地元からの要望をたくさんいただいております。これについて、先ほど触れました経済対策でまずどれだけ対応できるのかも踏まえて、これから来年度の予算の編成、この中でそうした御要望についても応えられるように最善を尽くしてまいりたいというふうに思います。

黄川田副大臣 後段の、まちづくりの関係なんでありますけれども、いずれ、阪神・淡路大震災は瓦れきを処理すればそこに家も建てられた、工場も建てられた、速やかな復興ということでスタートするのでありますけれども、御案内のとおり、地盤が沈下して、要するに、切り土、盛り土でその土地を段取りしなきゃいけない。この段取りをして初めてさまざまな具体の施策が動き出すんだというところでありますので、その段取りがつくまでに集中的に現場に予算、優先的に我々の力を集中させないと、いい結果が出ないと思います。御指摘のとおりであります。

 まちづくりのためにも、まずは被災地、そこから復興するんだということを肝に銘じて復興庁もかかわっていきたいと思います。

木村(太)小委員 時間が来ましたので終わりますが、財務副大臣、四十日待ってのこの委員会ですから、検討するじゃなくて、もう少し具体的にスケジュール感も含めて答弁をしていただきたいなと思いました。

 以上です。

新藤小委員長 続きまして、加藤学君。

加藤(学)小委員 国民の生活が第一を代表しまして、質問させていただきます。加藤学でございます。

 この復興予算の使い道に関する小委員会が開かれるように、自民党さん、そして公明党さんとともに一カ月も前から要求をしてきたわけでございますが、ようやく本日開催できますこと、本当に御協力ありがとうございます。

 しかし、これに至るまでの間、もう既に長い時間がたっておりますので、いろいろな形でマスコミ等で問題があぶり出されてきているところでございまして、この質疑、若干ダブるところもありますけれども、ほかの委員会あるいはマスコミ等のいろいろな追及を経て今どのように考えているのかということを踏まえてお答えいただければなというふうに思っている次第でございます。

 質問に入ります。

 この復興予算の前提となっております復興の基本方針によりますと、ここに、「実施する施策」ということで三つの要素が書いてあるわけでございます。まず一つが、被災地域の復旧、そして暮らしの再生のための施策、二番目が、震災による著しい悪影響が社会経済に及んでいるそういった地域に対して、一緒に、一体的にやっていくんだ、そして三番目に、日本全体の防災的な要素を含めてやっていくんだ、そのことを訴えているわけでございます。

 そういったことで、全国の防災の道路あるいは中小企業、県外の中小企業も含めて、措置というものは打たれてきたんだろうなということは読み取れるわけでございますが、きょう、この中でも審議に入ります、どうしても納得できないというのが、外国との交流の青少年交流事業、そしてもう一つが鯨類の捕獲に対する安定調査事業。これについては、どうしても理由として成り立たないのではないかなということが見えてくるわけでございます。

 というのは、復興基本方針の中にあった二番目の項目として、震災を受けた被災地の影響、その影響によって経済に悪影響を及ぼしている地域に一体的な緊急措置をするということを言っているわけでございますが、実際に、そのことから読み取っても、鯨類の捕獲については、被災したことが影響して鯨がとれなくなってきているわけではなくて、むしろ、鯨がとれないのは別の影響があるわけですから、ベクトルが逆の方向で議論されているわけでございます。

 それから、青少年のことについても、基本的に、日本の再生に資することをまず最初にやって、そして、その再生のことを世界にアピールすることによって努力や活力を印象づけるというふうに書いてあるんですが、このことも非常に本末転倒的な意味合いを持っていて、まず再生が先だというふうに読み取れるわけでございます。

 そうすると、これまでこういった批判を受けていると思うんですが、今お聞きしたいのはこの点についてでございます。今回問題になっている、これから議論になります問題も含めて、この復興基本方針の三つの条件に合致していない、あるいは、まだ今それでも合致していると認めるのかどうか。もし合致しているとするならば、どの条件に入ってこういったことがしっかりと説明できるのかどうかということをお答えいただければいい。あるいは、これがもしこの中に入っていないということであれば、どういった根拠において、これまで問題になっているほかの、いわゆる流用と言われていることですが、それについて説明をしようとしているのか、そのことについて御説明いただければと思います。

黄川田副大臣 今具体的に、鯨、それから国際青少年交流の課題が出ましたけれども、いずれ、基本法ができたときに、被災地はもちろんのこと、日本経済の地盤沈下、ここから本当に立ち直れるのか、そういう意味合いの中で、全省庁挙げて復興に向けて頑張ろうというその精神はあったわけであります。

 また一方、もともと、鯨の関係あるいはまた青少年交流、農林水産省であれ外務省であれ、やっていた事業があるわけですね。そのやっていた事業と被災地との関係の中で、理屈立てあるいはまたさらなる効果が出てくるという部分の中で、政府内でも大いに議論されたと私は思っております。

 個々別々、各省庁からお聞きしていただければよろしいのでありますけれども、いずれ、総合調整の復興庁としても、各省庁が全力を尽くしてこの日本の大災害からの復興をしっかりやるんだ、できた災害の復興が国際社会にしっかりと発信できるんだ、そういう部分の思いの中での個別具体の事業だったはずであります。

 ただ、一つ一つ、優先順位であるとか即効性であるとか、その効果の度合いとか、点検しなきゃいけないということは十分にあると思っております。この委員会を通じてそれを明らかにすることによって、次に向けて、復興庁も来年度予算の編成、査定、いろいろなかかわりがありますので、大いに議論していただきたいと思いますけれども、いずれ問題点をむしろ我々も共有しなきゃいけない、こう思っております。

武正副大臣 昨年、各国から、日本はこの震災復興、原発事故の対応、大変な御支援を賜りました。また、残念ながら、風評被害というものもありました。そういった意味では、日本の復旧復興の様子、過日、IMFでも仙台会議をやっておりますが、それをやはり知っていただこう、見ていただこう、これが必ず日本の復興につながっていくというようなことが背景にあったというのが一点。

 もう一つ、私も石巻に行きましたが、あそこの地域全体が捕鯨のある面で基地であり、人を送り出し、そういった意味では、地域水産業の復興といった視点ということで、それぞれ根拠はもちろん予算の執行についてはあるというふうに理解をするわけですが、さまざま御指摘をいただいている点については、委員御指摘のように、それを踏まえて、またきょうも検証しますので、それは予算編成に生かしていきたいというふうに思います。

加藤(学)小委員 また具体的にはこの後ありますが、いずれにせよ、基本方針の三つの要素があるわけですから、これを踏まえて。これにもイ、ロ、ハと書いてあるわけですから、この順番というのも非常に重要だと思います。まず最初に被災地の復旧復興があるんだ、そこをまず第一にこの予算の組み方というものをもう一度検証しなきゃいけないと思いますので、そのことをまたよろしくお願い申し上げます。

新藤小委員長 続きまして、遠山清彦君。

遠山小委員 公明党の遠山清彦でございます。

 まず、時間が余りありませんので、財務副大臣にお伺いをいたします。

 先ほど副大臣が、今回さまざま問題になっている復興予算の使い道については、各省各庁の責任で予算執行をやっているから各省各庁の責任で見直してもらいたいという趣旨のお話がありましたが、これはちょっと違うんです。

 実は、マスコミ報道も少し間違っていることがありまして、実は去年、復興基本法あるいは復興予算をつくっていく過程の中で、我々公明党は、あえて復興予算については一般会計と区分して、区分経理という形で特別会計を使うべきだということを主張して、実現をいたしました。

 私、今手元に、昨年のちょうど今ごろの公明党の竹谷とし子参議院議員と当時の安住財務大臣のやりとりの議事録を持っていますが、安住財務大臣も、公明党の主張もあって、あえて特別の区分経理にすると。その趣旨は、安住大臣の言葉をそのまま引用すれば、増税もさせていただくということもありますので、これが本当に復興の施策に充てられているかどうかということについて国民の皆さんに明確にする必要がある、こういう発言を財務大臣みずからがされて、ですから、これは強調しておきますけれども、あえて、復興のためだけに使われるように、わかりやすくするために特別会計にした。

 ところが、現実に何が起こったかというと、査定の厳しい一般会計から査定の甘い特別会計につけかえて、余り復興に関係ない事業を予算化してしまったという問題になっちゃったんです。この責任は、それは我々公明党も野党の自民党も、予算にも復興基本法にも賛成しましたから、責任は全くないと言うつもりはありませんよ。しかし、それが国会で通った後に査定を厳しくやらなかったのは誰かと言われれば、まず一義的には財務省が問われるんですよ。その意識が欠如して、みんな責任があるんだなんということをおっしゃったら、これはちょっと問題点が違う。

 去年の議事のやりとりの経過からして、財務省としても、経理の見える化を図るために、あえて復興は出し入れが見えやすいように特別会計に入れますと。査定を甘くするために特別会計に移すわけじゃなかったんです。それがそうなってしまったということが問題なのであって、その点について、なぜマスコミに指摘されるまで、それは我々も多少含みますけれども、財務省がわからなかったのか。査定が大甘だったと城島さんが参議院の質疑でもう認めているでしょう。その点、副大臣の見識を伺いたいと思います。

武正副大臣 今の御指摘をしっかり受けとめての答弁ということになろうかと思いますが、補正予算の策定過程というのが本予算の策定と比べてどうしても時間的な制約があるというのは、もう委員も御存じのとおりでございます。その中で、復興特別会計という形で分けたものは、安住大臣が答弁で触れたとおりであります。その見える化あるいは透明性、こうしたものを特別会計の中でわかりやすく国民の皆さんに供しようと言ったことは、そのとおりであります。

 先ほど私が答弁したのは、基本的にということを言ったと思いますが、予算執行が各省各庁に委ねられているということであって、予算編成作業に当たる財務省、そしてその執行をしっかりと調査する財務省、そしてまた決算を提出する財務省、そうした任に当たっていることは片時も忘れてはおりませんし、そういった観点から厳しく今回の件については検証していくということでございます。

遠山小委員 もう時間がないので、一言、復興副大臣に伺います。

 東北に参りまして被災地の自治体の首長さんとお話をすると、復興庁が窓口でいろいろな問題を受け付けていただいて、よくやっていただいてはいるんですけれども、実際、個別の事業ごとの深い話になりますと、担当省庁とかあるいは各県の担当部局に回されて、そこで、マンパワー不足と予算不足などを理由になかなか迅速に決断がなされない、あるいは採択がされないというようなことが言われておりまして、復興庁が本当に各省庁に対して優位な立場で、被災地の自治体の側に立って調整機能を果たしているのかという疑問の声も一部聞かれました。

 私自身は、復興庁にはもう少し強い形で、政府の中で被災地の側に立って調整をやっていただきたいという思いがありますが、一言、この点について御決意をいただければと思います。

黄川田副大臣 御指摘のとおり、発災から一年半が過ぎまして、個別具体の事業が動いてまいりました。そういう中で、その地域地域の課題があり、その地域地域の課題が基礎的自治体の共通の課題であったりしております。

 そういう中で、個別具体の事業が動くように、復興庁としても、国と県と市町村と、特定課題の解決のためのチームを編成しておりまして、しっかりと吸い上げて交通整理ができるようにということで今動き始めておりますので、これも自治体からのさまざまな意見があってできたわけでありますけれども、もう一年半も過ぎて、形が見える方向で行政も動かないと何も見えないという声がいまだに聞こえますので、しっかりとイニシアチブをとって、復興庁、やってまいります。

遠山小委員 終わります。

新藤小委員長 これにて各会派申し出の総括的質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

新藤小委員長 続きまして、テーマごとに自由質疑を行いたいと思います。

 この際、小委員各位に申し上げます。

 質疑のある小委員は、挙手の上、小委員長の許可を得て発言されますようお願いいたします。また、発言の際は着席のままで結構でございます。

 なお、各党の協議によりまして、一回の発言につき原則として一問となっております。また、同一質疑項目についての質疑応答は連続して五分以内を目安にしたいと思いますので、小委員各位の御協力をお願い申し上げます。

 それでは、まず、国内立地推進事業費補助金及び中小企業組合等共同施設等災害復旧事業を議題といたします。

 まず、政府から説明を聴取いたします。近藤経済産業副大臣。

近藤副大臣 着席のまま失礼をいたします。

 経済産業省の国内立地推進事業費補助金及び中小企業組合等共同施設等災害復旧事業、いわゆるグループ補助金について御説明申し上げます。

 まず、国内立地推進事業費補助金について御説明申し上げます。

 大震災を契機に、円高や電力不安等により生産拠点を日本から海外に移転する産業空洞化が加速するとともに、雇用喪失の懸念が非常に強くなったわけであります。この状況は現在も続いております。

 そのため、国内空洞化を回避し、国内における雇用を維持していく観点から、平成二十三年度第三次補正予算において、サプライチェーンに不可欠な部品及び素材分野並びに雇用を支える成長分野における生産拠点の国内での立地を推進するための経費として、予算規模二千九百五十億円の国内立地推進事業費補助金を措置したものであります。

 本補助金の措置に当たっては、民間有識者から成る政府の復興構想会議においても、産業空洞化を防止するため、全国を対象とした立地促進策を講ずる必要があると提言されたほか、東日本大震災からの復興の基本方針においても、日本経済の再生なくして被災地域の真の復興はないとの認識のもと、国内立地補助金を措置することが明記されております。

 さらに、自民党や公明党からも、大胆な立地補助を措置すべきといった御提言をいただいており、国会での御議論も踏まえた上で予算を成立させていただいたものと理解をしております。

 次に、いわゆるグループ補助金について御説明申し上げます。

 本事業は、中小企業等グループが、共同事業を含む復興事業計画を作成し、地域経済等に重要な役割を果たすものとして県から認定を受けた場合に、その計画実施に必要な施設等の復旧や共同事業組合等の施設復旧に対し補助するものであります。

 これまで、被災各県におけるニーズ等を踏まえ、平成二十三年度は累次の補正予算等により千五百三億円を、平成二十四年度は当初予算として五百億円を措置してきたところであります。これまで五度の採択決定を行い、累計で三百二十九グループ、国費で千九百三十七億円、国費と県費を合わせて二千九百六億円の支援を実施したところであります。

 なお、本年五月に実施した第五次公募の際には、現時点では採択レベルには達していないものの、地元から強い要望のある案件もあったと承知しております。そのため、本事業の制度趣旨に照らして、熟度の高い事業となるよう、国としても、県と協力をして地元に対して一層の支援、協力を行うとともに、共同事業の熟度が高まった案件について対応が可能となるよう、必要な予算を措置していくこととしております。

 以上であります。

新藤小委員長 これにて政府からの説明は終わりました。

    ―――――――――――――

新藤小委員長 発言のある方は挙手をお願いしたいと思います。

平(将)小委員 まず、国内立地補助金の行政事業レビューシートを見ると、予算額の三倍程度の設備投資を喚起することを目指していたけれども、補助額の約六倍の設備投資の呼び水となった、裾野産業に対して六・七兆円の需要が創出する、裾野産業も含めて二十七万人の雇用創出が期待されるとなっておりますが、経産省に宿題を出していたと思います。風が吹けばおけ屋がもうかるみたいな話、定性的な話じゃなくて定量的な話をしてもらいたい、説明をしてもらいたいという話をしておりますので、こういったことに対して、各補助金の先に対してブレークダウンした試算があるのかないのか、あったら出していただきたいと思います。

 あわせて、グループ補助金が大変ニーズが高くて、その割には、現地に行くと、お金がありませんといって断られてしまうということがありました。緊急性や被災地との関連性が薄い国内立地補助金を削ってグループ補助金に回すべきだというふうに思いますが、財務省はいかがかということです。

 あと、意見としては、グループ補助金が一年しか繰り越せない、実際に本格復興するにはかさ上げを待たなければいけない、区画整理を待たなければいけない、そうすると、グループ補助金が承認されても、いざ使うときには期限が切れてしまう。また、ほかのところにどんどん使われると、いざ本格的にお金が必要なときに回らないのではないかという意見がありましたので、これは意見として言わせていただきます。

 あわせて、意見として、国内立地補助金が重要なのはよく、重々わかっています。しかしながら、ここの復興にがんと入れるべきものなのかというと、やはりグループ補助金を優先すべきだろうと思いますし、そういった中で、来年度の一般会計の本予算の方に要求すべき事項だと思いますが、何か手元の資料によると本予算では予算措置をしないやに書いてありますが、それは本当なのかどうか。入れるべきだと思います。

 以上です。

石黒政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、今先生がおっしゃいました、全国に期待される経済効果の試算がございます。これをベースに、これが意味があるかという御批判はあろうかとは思いますが、地域産業連関の表を使いまして被災地域四県に対する経済効果を試算いたしますと、生産開始から四年間、毎年約五千六百億円程度、被災地に対する波及効果があるという試算がございます。

 それから、もう一つお尋ねの、個別の企業の実は波及効果ということのお尋ねでございますが、これは、今まさに企業は設備投資をしておりまして、その結果、今後効果が出てくるというものでございます。したがいまして、被災地の波及効果、具体的に実際積み上げていくとどうなるのかということにつきましては、今後、設備投資が終了し、その後、予算の実行に伴いまして明らかになってまいりますので、改めて、その波及効果については再度検証を申し上げたい、その上で御報告を申し上げたいというふうに思っております。

 それから、二十五年度要求云々ということでございますが、今回の趣旨は、今副大臣が申し上げたとおり、大震災以降の急激な円高という状況の中での空洞化対策ということでこの予算を措置させていただきました。そういう意味では、その文脈における対策の必要性というのは、今回の二十三年度補正予算の中で措置をして終わったということで、来年度の通常予算に対しての要求は控えさせていただいているということでございます。

鈴木(正)政府参考人 ただいま先生から御意見としていただきました繰り越しの話でございますけれども、私ども、二十三年度に交付いたしました三千二百七十者について、アンケート調査を今させていただいたところでございます。二千者強からは御回答いただきましたけれども、やはり今年度で終わらないというところも、これも多々ございます。

 したがいまして、私ども、しっかりと個別の案件ごとに、どういう理由でこれは未了なのか、かさ上げがおくれているから、また復興計画がおくれているから未了なのか、いろいろな事情があろうかと思っています。そういう事情を詳しくお伺いいたしまして、やはり適切に措置をいたしまして、安心して復興に向けて頑張っていただける、ぜひそういう環境を整備したいというふうに考えております。

武正副大臣 石巻の水産加工団地の再開状況を伺ってまいりました。被災前二百七社、今再開しているのが九十六社、四六・四%ということですが、特にグループ補助金の内示は、二百七社中八十四社、そして九十六社中五十三社、再開企業のうち半分以上やはりこのグループ補助金を利用しているという意味でのニーズの強さというものはよく認識をしております。

 既にグループ補助金については、被災地からの強い要望に加えて、必要となる金額について経産省と精査をしているところでありまして、先ほど触れましたように、総理指示の予備費の使用決定を検討することについては、復興予備費の活用も含めて速やかに対応したいと考えております。

平(将)小委員 きょうの答弁が不十分の場合は決議とか勧告もあり得るので、まず試算については、各省庁から出てくる試算というのはかなりいいかげんなことが多いので、その試算の中身を見せてください。今、口頭で数字は聞きましたので。

 あと、大震災になったから円高になったわけじゃないので、円高対策は当然継続的にやるべきことですから、それは本予算に入れるべきだと思います。

 それと財務省、このままいくと、緊急性や被災地との関連性が低い国内立地補助金は全部使っておいて、グループ補助金が足りないからそっちを増額してねという話になるんです。財政が厳しい中で、やはり緊急性また被災地との関連性が低いものは、今とめられるものはとめてでも、被災地に緊急性の高いもの、ニーズの高いものに振り分けるべきだという意見ですので、これは意見で、後でまたやりたいと思います。

階小委員 民主党の階です。

 まず、今の平先生の御指摘の中で、繰り越しを緩やかに認めるべしというのは、これは本当に被災地としては切実な問題です。これは復興予算に限らず、財務省に聞いてもらいたいんですけれども、今、被災地周辺では人件費であるとか資材費が高騰しておりまして、入札をしてもなかなか当初の予定価格では落札者があらわれないということで、なかなか工事が進まなかったりします。これは、復興予算に限らずそういうことが起きています。したがって、工期がどんどん後送りになりますから、必然的に繰り越しという問題も生じてきます。

 この部分については、ぜひ被災地の実情をちゃんと調べていただいて、繰り越しは緩やかに認めていただきたいということをまず申し上げたいと思います。

 その上で、先ほど平さんの一問目の質問に対して、私は質問と答えが食い違っていたと思うんですが、平さんは、立地補助金の全国への波及効果の基礎となるデータを示してくれと言ったのに対して、御答弁は被災地への波及効果についてるる御説明されたと思います。

 私は実は被災地への波及効果について聞きたいと思っていまして、マクロ、全国ベースの経済効果では、補助額の約六倍の一兆八千五百億円の設備投資、あるいは裾野産業に対して毎年約六・七兆円の需要創出、それから二十七万人の雇用創出というのがあるんですけれども、被災地に限った場合どうなのかということが、それぞれに対応した数字を明確に示していただきたいと思っております。

 それから、被災地への波及効果を第三者委員会で採択するときの基準にしてあるというふうにいただいている資料には書いていますけれども、その基準というのがいかなるものなのか、明確に答えてください。

石黒政府参考人 私が先ほど申しました毎年約五千六百億円という数字でございますが、これは、平先生が御指摘になりました一兆八千五百億円というもともとの数字がございます。これはシンクタンクの方に委託をいたしまして今回の需要創出効果を試算したものでございますが、これに、今度はさらに採択企業の生産予定額と地域間産業連関表を掛けまして、被災四県の分を出していきますと、毎年約五千六百億円という数字になるということでございます。

 ただ、私が、これが意味があるかということもございましてと申し上げたのは、実際の本当の波及効果は設備投資終了後に出てまいります。したがいまして、私どもとしては、個別に、実際の設備投資終了後に取引先との関係でどのような効果があったのかということにつきましては検証をさせていただき、企業秘密にかかわらないようなものにつきましては積極的に公表をしてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。

階小委員 質問したことに対してごく一部しか答えていません。

 まず、その五千六百億というのは設備投資の見積額だと思うんですが、需要創出額とか雇用創出数は幾らなのかということに対して答えていないのと、あと、被災地への波及効果を第三者委員会の審査基準にしているということなんですが、その基準がいかなるものかということについても答えていません。

石黒政府参考人 基準でございますけれども、一つは、被災地に立地している企業は当然でございます。それからもう一つは、被災地の企業から物を買っている、それから被災地の企業の生産活動に不可欠なものを納入しているといったような関係について極力定量的に書いていただきまして、採択をさせていただいております。

階小委員 漠然としていて、それが本当に審査基準として機能するんだろうかということがあります。やはり復興のための事業でありますから、この波及効果の基準というのが明確になっていないと被災地の納得は得られないのではないかと私は思っております。

 それから、グループ補助金についてなんですが、先ほど近藤副大臣の方からお話がありましたけれども、私、非常に大事だなと思っているのは、グループ補助金を申請するときに、被災地でも、被害が大きければ大きいほど、地場の企業さんというのは、申請するのも大変な労力がかかる、なかなかそこに資源を投入することもできないという中で、苦労して苦労して申請をしてくるわけです。それが熟度が低いと言われれば、それはそのとおりかもしれませんけれども、そういう事情がある中で必死で出してきたものに対して、一律の基準で、熟度が低いからということで却下されてしまうと、これはちょっと被災地に寄り添っているとは言えないのではないか。

 私は、この場に来る前にもう経産省の方には申し上げておりますけれども、被災地の中でも特に被害が厳しいところについては、近藤副大臣がおっしゃったように、国としても、県と協力して一層の支援、協力をするというのであれば、申請段階からきっちり、そういう被害の厳しいところについては申請のお手伝いをしてあげるということをやるべきだと思います。副大臣、いかがでしょうか。

近藤副大臣 お答えいたします。

 階委員の御指摘は非常に正しい点だ、こう思っております。

 これまでも、職員が被災地に行き、事業者の方から状況について把握するということはやってきた、実態把握はやってきた、こういうふうに報告は受けておりますけれども、現実問題、工事がおくれている事業者の方からは、例えば土地利用計画の策定がおくれているとか、ほかの土地のかさ上げ工事がおくれているとか、さまざまな要因で、復旧工事に関する資金の確保も大変だと、さまざまなお声を聞いているところであります。

 被災者、被災地域によってもそれぞれ事情はありますでしょうから、必要に応じて関係省庁、復興庁とも連携をしていかなければいけない、こう思っておりますし、見直すべき点があれば見直さなければいけない。

 繰り越しの点も御提案がございました。こちらの方は、財政当局の考え方というのもあろうかと思います。あろうかと思いますが、政府内で、どこまでそういったものができるのかというのは、本委員会の御指摘も踏まえながら、財政当局とも相談をしていかなければいけない大事な点だ、このように思っております。

階小委員 ぜひ、この繰り越しの件について、財務副大臣からも御答弁をお願いします。

武正副大臣 現地で、コンクリートや建築資材そしてまた人件費高騰、そしてそれによる工事のおくれ、そういった懸念も伺ってまいりました。

 あと、やはりどうしても、年度を越す繰越明許、あるいはまたさらなる事故繰り越しでしょうか、こういったことについての要請も受けているところであります。今、各省各庁で、その予算執行について、そういった工事の進捗状況なども踏まえて、あるいは繰り越しの必要性なども、ある面、類型化をしてもらいたいということはお願いをしております。

 そういった実態を踏まえて対応していきたいというふうに思っておりますし、現地ではやはり、繰り越し、事故繰り越しの手続の煩雑さ、こういったものも指摘されていますので、その簡素化、これが必要だと思います。あと、どうしても、繰り越し、事故繰り越し後のことを考えられるということもありますので、しっかりと予算は次年度でつけていきますよといったことも、ある面、地元に対して安心感を与えるのかなといったところもあります。

 いずれにせよ、その事業の重要性、緊急性、即効性、こういったものをしっかりとそれぞれの省庁が捉まえてまいりますので、それを踏まえてまいりたいというふうに思います。

小野寺小委員 委員長を初め皆様には、先日、被災地を訪問していただきまして、直接被災民の声を聞いていただいて、大変感謝を申し上げます。

 先ほど来の議論を聞いて非常に不思議に思うのは、石黒局長から国内立地推進事業の補助金のお話がございました。被災地に住む者として、どう考えても、今回この補助金がついている企業が被災地に何らかの効果があるとは考えられません。ですから、風が吹けばおけ屋がもうかるどころじゃなくて、完全にこじつけでしかないと思います。

 それからもう一点、先ほど局長がいみじくもお話しされましたが、これは円高対策だということ。私たちは、この震災によって円高になったわけではない、そう理解をしております。ですから、しっかりとした使い方をこれからやっていただきたい、そう思っております。

 その中で一つ、きょうは民主党の政務三役の方もいらっしゃいますので、ぜひ聞いていただきたいのは、私ども、今回の震災の陳情というのはワンストップサービス、例えば仙台の復興庁の復興局に行けばさまざまな要望が足りると理解をしておりましたが、現実は違います。現実はどうなっているかというと、実は、何らかの要望をしようと首長が思うと、まず、この問題は民主党の幹事長室を通してくれと。だから、みんな東京へ行くんですよ。東京に行って、そこで仁義を切って、まさか選挙の応援をするかしないかを踏み絵にされているとは思いませんが、そこで一度仁義を切らせて、それから各省庁に陳情に行く、これが今でも現実です。

 つい先日も、グループ補助金の申請の六次の説明がある、その中で、私ども地元の商工会関係者、首長みんな、民主党の東京の幹事長室に呼びつけられて、そこでさまざまな要望を聞く、こういう状況なんですよ。

 だから、被災地で、現地で専念して復興のことをやりたいという方々が、逆にしょっちゅう東京に行くことになる。こういうことをぜひこの復興の問題に関しては是正をしていただきたい、そう思っております。

 さて、先ほど来議論されておりますグループ補助金のことについてお話をさせていただきたいと思います。

 実は、これは被災地にとっては頼みの綱、ぜひこれで復旧していただきたい、そう思っておりますが、五次の申請がございました。その申請で採択されたのは、岩手県は、申請額二百五十五億円、認定額百四十億円、五五%の採択になりました。福島県は、申請額三百五十億円、採択率は、百九十九億円ですので五七%になりました。両方とも半分以上を超えて六割近くなんです。ところが、宮城、一番被災がひどい宮城は、申請額が一千四百四十一億円、認定額が二百七十六億円、採択率は一九%ですよ、わずか一九%。ですから、ほとんどの方が実はまだ採択になっていない。

 採択になった後も、これから復旧するために、なかなかかさ上げができないから、この事業を使えない方がたくさんおります。ですが、採択にすらなっていない。こういう中で、どんどん全国でお金が使われている、これが報道されているわけですよ。これは、被災民にとっては、はらわたが煮えくり返る思い、そういう状況にあります。

 まずお伺いしたいのは、今このグループ補助金の、これは予備費の緊急な対応ということが議論されていると伺っておりますが、今回申請をする六次申請の皆さんに十分な額の予備費が対応できるのかどうか、それをお伺いしたいと思います。

鈴木(正)政府参考人 今、小野寺先生から御指摘がございました五次の採択の関係でございますけれども、私ども、あくまでも、先ほどからちょっと御批判もございましたが、グループとしての熟度が高まっているか、ちゃんとグループとしての事業を行っていただけるかどうか、そういう観点でいろいろと御相談に乗ったわけでございます。

 今、小野寺先生がおっしゃいましたように、宮城県の場合、気仙沼、石巻を中心に、また採択率が低かったということも確かでございます。

 私ども、枝野大臣から八月十日に指示を受けまして、地元は一生懸命、熱意があるんだから、グループの熟度を高めるように、おまえたちがもっとしっかりやれという指示を受けております。私ども、担当の課長とか担当の課長補佐、係員をそれぞれの地域に指名しておりまして、気仙沼、石巻、また宮城県のほかのところ、たくさんの職員が入りまして、この三カ月間、グループの熟度を上げるために一生懸命やってまいりました。

 結構グループの熟度が高まってきた案件がございます。私ども、そういう案件を踏まえまして、財政当局とこの財政措置について調整をさせていただいているところでございまして、熟度が高まっているグループについては応ずることができるように、今財政当局と調整させていただいているところでございます。

小野寺小委員 今の長官のお話を聞くと、予算の問題ではなくて、申請者の熟度、申請者の内容が不十分だから採択されなかったということで理解したんですが、そのとおりでいいんでしょうか。

鈴木(正)政府参考人 そのとおりでございます。

 私ども、例えば、二十四年度予算につきましては五百億、それから二十三年度からの繰越分もございます。その枠を目いっぱい、今回、五次のときに使ったわけではございません。やはり七十億程度の予算は、余ったという言い方は大変語弊がございますけれども、まだ余裕がございました。

 ただ、残念ながら、採択できる水準に至っていないグループが多うございましたので、採択ができなかったということでございます。

小野寺小委員 委員長もほかの皆さんも、今回現地で被災者の声を聞いていただきました。申請をしている方のお話も聞いてもらったと思います。今、長官の話は余りに冷たいと思います。私たちが申請する書類、内容、熟度が低いから採択しなかった、それが本当に被災地に寄り添う態度ですか。試験の点数が悪いからあんただめよ、そういう言い方にしか私聞こえませんよ。

 被災者は、必死になって今頑張って、それぞれの商店を再開して努力しているわけですよ。文書を書く、そんな時間もないまま、夜中まで働いているわけですよ、仮設で生活しながら。そういう中小零細の人たちに、あなたたちは、この採点がおかしい、この文書がおかしい、書き方がおかしい、そんなことで、採択しない、熟度が低い、逆でしょう。

 今回、初めに復興できたところは、ある面ではしっかりした企業ですよ。ですから、申請書も速やかに出せたと思います。ですが、皆さんに見ていただいた八百屋さんや刃物屋さんや魚屋さん、あの人たちは自分で一人で一生懸命商売をやっているわけですよ。こういう人たちが、そんな書類、文書を書けるわけないじゃないですか。

 お願いしたいのは、きょうせっかく近藤先生いらっしゃっています。皆さんが直接行って、もし足りないんだったら、全部皆さんの希望をちゃんと聞いて、そして国の基準に当てはまるように努力するようにむしろ後押しをして、今回、六次申請では希望者ほとんどの方にしっかり対応できる、そういう御答弁を聞きたいと思いますが、いかがでしょうか。

近藤副大臣 お答えいたします。

 大変実態に即した切実な御指摘だ、このように受けとめさせていただきました。

 ただ、一つ言えるのは、これは小野寺先生も、要件を緩和しろと言っているわけではなくて、恐らく、事業者の方々、小規模零細企業の方々に、きちんとそういう人もできるようにアシストをする体制を整えろ、そういう御指摘か、このように思いますので、そこはしっかり受けとめていかなければならない、このように思います。

 また、なお、宮城の採択率が低い、こういう数字の御指摘でございましたけれども、これも先生御案内のとおり、これまで五次の全体を合わせれば、決して宮城県が突出して低いわけではございませんので、それも御理解いただけるのではないか、このように思っております。

小野寺小委員 今残っていらっしゃる方は、小さい方、中小零細の方で、かなり数が多いんです。ですから、そういう方にちゃんと手当てをしていただきたいと思います。

 きょうは財務省からも副大臣に来ていただいています。先般は気仙沼の御視察も大変ありがとうございました。

 ぜひ、予算の裏づけ、今回の予備費の使用、これについては、先ほど中小企業庁長官、これからしっかり寄り添って支援をしていただくというお話だったと思います。ぜひ、その予算の内容、全体の枠が出てきた場合には、予備費を含めた対応をしっかり財務省として頑張っていただきたい。

 それから、できるだけ、これは今年度で終わるわけじゃないんです。ようやく今から復興して、次、来年、再来年に申請できる方もいるかもしれない。ですから、このグループ補助金については、来年度、再来年度、少し長期的に予算措置をしていただくようにお願いをしたいと思います。

武正副大臣 先ほど来、復興予備費を使用しての対応について、十七日に各省各庁から上がっておりますので、これの中での対応といったものが、これから検討というか、もうこれも今月中ということで対応していくものというふうに考えております。

 また、先ほど繰り越しのことでも触れましたが、来年度予算での対応といったことが、繰り越しや事故繰りということではなく考え得るといったことも、やはりそれぞれの省庁から概算要求が出ておりますが、この中でもしっかりと精査をして対応していきたいというふうに考えております。

小野寺小委員 最後に、ぜひ、せっかくついたグループ補助金、これはどうしても、かさ上げ、その他事業ができないからすぐにできないということがあるわけですよ。そうすると、一年、二年たってしまうと、事故繰りのさらにその先は、一度返せということになって、何か吸い上げられちゃうんじゃないかという心配がございます。ぜひ、そういうことがないように、しっかり安心できるように、説明とシステムをつくっていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

新藤小委員長 さっきの小野寺君の質問の中で、地元の自治体が陳情するのに、東京に行ってからでないと地元の復興庁の出先に行かない、こういうお話がありましたが、復興庁、その辺はどう認識されているんですか。

黄川田副大臣 私も、十月二日に復興副大臣にさせていただいて、そして青森、岩手の担当であります。岩手の場合は、被災地十二市町村、それから縁があって住田町という町が一緒になって復興期成同盟会をつくりまして、会長は釜石市の野田市長であります。

 私も自治体からここに来た人間でありますので、災害の現場は自治体にあるということで、私の方からいつも行っておりますし、岩手の場合は、私も改めて、副大臣になったということで、十三市町村の期成同盟会と懇談会をやるような形になっております。東京ではなくてあくまでも窓口は現場である、これでもって進めていくのが我々の仕事だ、こう思っております。

遠山小委員 まず冒頭、私も、公明党を代表して、被災自治体の首長さんたちを与党の幹事長室に呼びつけてからでないと政府が対応しないようなことがもしあれば、それは絶対やめていただきたいということは一言申し上げておきます。

 その上で、先ほど来、グループ補助金の関連でずっと、地盤沈下した土地のかさ上げがなかなか進まないので、事業を採択されても、事業自体がおくれて、その結果、事故繰り越しとかそういうことの問題が生じているということで、かさ上げの問題がございました。

 そこで、黄川田副大臣にちょっと関連で伺いたいんですけれども、副大臣よく御承知のとおり、被災地では、復興の前提としてかさ上げ事業の必要性が繰り返し強調されております。我々が視察に行ったときもそうでございました。しかし、副大臣よく御承知のとおり、漁港地域やあるいは都市計画区域など一部の地域以外では、かさ上げ事業への補助というのは基本的には財務省は認めておらない。それはなぜかというと、かさ上げする土地が個人の財産形成になるので税金は使えないという原則があるようでございます。よって、被災者の自力でやれということになっております。

 ところが、もう副大臣御承知のとおり、震災前からローンのある方々は、過去のローンがあり、そしてかさ上げをしなければ自分の新たな建物も建てられないという状況の中で非常に苦労しているわけでございまして、これは、かさ上げを自力でやりなさいというのは無理がある。無理を承知でおっしゃっていると、一年、二年どころか三年、五年たっても、一部の土地はかさ上げがされないまま残ってしまう。

 それがまたその地域の復興全体のおくれにつながるということでございますから、ぜひ、復興庁として、また財務省としても、個人の財産形成になるからかさ上げには一切補助金を出しませんという形ではなくて、当然一定の基準を設けつつも、もう少し踏み込んだ支援をしていただかないと、五年たっても全く復興が進まない地域が出てきてしまうんじゃないかということで、ぜひ、このかさ上げ事業については、できれば復興特区制度を使っていただいても結構だと思いますので、特例的に何か支援を入れてきちんとやる。

 これが進まなければ、土地が上がらなければ復興できないわけですから、ぜひ、被災地出身の復興副大臣として前向きに御検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

黄川田副大臣 本当に、阪神・淡路と違って、土地を段取りしてやらないと住宅再建も商業の再生もできないということ、一番ここが肝心なところであります。

 そして、従来からの制度として、土地区画整理事業であるとか防集、集団移転、国交省、あるいはまた農水省の漁業の集落強化ということの事業移転とか、そういう網にかかった人たちはいいのでありますけれども、どうしてもその網から外れてくる。被災地の中でも被災地の中の格差というのがあって、最前線にいる市町村の首長たちの思いというのが、町はみんなでつくるのでありますから、それぞれ格差があってはいけないということでありますし、悩ましいところで今までは来ておりました。

 また一方、個人の財産の形成に公金の投入はということで、しかしながら、これもまた阪神・淡路の後、それから中越地震の後、生活再建支援制度ということで三百万ということができてまいりましたし、一律に個人の財産形成云々かんぬんという流れではないとは思っております。

 もう一つは、そういう中で、制度から漏れる方々をどうするかということの中で、皆さんのおかげでもって復興基金というのをつくっていただいて、そして自治体ごとということで、私の近くの例を申し上げれば、私の町なのでありますけれども、その網にかからないところには、例えば水道を布設すると水道工事費を見ましょうとか、あるいはまた、序の口道路と田舎では言うのでありますが、幹線道路に対して、自分のうちにちょっとした道路をつけなきゃいけない、もちろん上限はつけますけれども、そういうものに使っていただきたいということで、いろいろ支援しているのであります。ただ、この復興基金自体も、どんどん使っていったら、次の段階、産業の再生の段階に、きめ細かい対策ということで、自治体独自の政策ということにまだまだ残って使えるかというところが悩ましいところがあって、行きつ戻りつしている状況であります。

 まず、安心して自治体が政策を実行できるようにということで、例えば、基金のさらなる造成であるとか、あるいはまた、個人資産の形成に関してどういう形で全体として取り組んでいくかということは、よく検討しなきゃいけない、こう思っておりました。

遠山小委員 一言だけ。

 やはり黄川田副大臣、被災地は地元ですから、もうよく御存じだと思います。

 これはぜひ、武正副大臣、虚心坦懐に、来年度予算も含めて考えていただきたいんですが、確かに、復興の後々のことを考えたら、復興基金の資金が枯渇してはいけないという御議論は当然わかります。私もそういう懸念を持っております。

 しかしながら、一方で、繰り返しで恐縮ですが、土地のかさ上げができないと、その先の建物なり都市計画なりが立たないというのが東北の現状でございますので、私どもも、委員長と一緒に鮎川という鯨産業の集積地の地域に行って、震災前に港湾の上についていたであろうガードレールが海の中に沈んでいるのを目の当たりにいたしまして、改めて、ガードレールが海の中に沈んでいるわけですから、こういう状況が変わらなければ、それは復興、復興と言っても進まないのは当たり前でございます。それが個人の、ここは漁港なのでいずれされると思いますけれども、そういった地盤沈下が広域で起きているという現状をきちんと財務省も現場に人を派遣して認識していただいて、そこについては、やはり資金の十分な手当てというのを今の初期段階でやっていただかなければならない。

 経産省が国内立地を推進されている、これは私は大事な事業だと思いますよ、一般論として。しかしながら、被災地側から見れば、先ほど小野寺先生からもありましたように、愛知県の大企業が数十億円、数百億円もらっているのを見ながら、自分の住んでいる町はかさ上げ一つ、個人財産の形成になるからできないというのは、やはりこれは間違っていると私は思います、トータルとして。

 ですから、財務省ちょっと、一言で結構ですから、これから政府内で、どうせ政府内でも新仕分けをやるわけでしょう、やるわけですから、どこに予算を重点的に配分するのかというのをゼロから見直していただきたいと思います。いかがですか。

新藤小委員長 これは基本的に、我々も視察に行って、とても重要なことだったと異口同音に全てのところで言っておりました。今、財務省に見解を出してもらう前に、経産省、グループ補助金で商店街活性化をやるときに、商店街の再興をやるときに、これは土地のかさ上げというのはどうなっているんですか。

 その上で、お答えください。

鈴木(正)政府参考人 グループ補助金におきましては、かさ上げという言葉ではございませんけれども、やはり建物をつくるためには基礎工事が必要でございます。しっかりした基礎工事をしていただく、その場合には、やはり一メートル土盛りをしなきゃいけない場合もございまして、こういうものについてはグループ補助金の対象にさせていただいております。

 ただ、ちょっとかさ上げという言葉ですといろいろ誤解がありますので、ちゃんと基礎工事をしっかりしていただくということで、全て対象にさせていただいているところでございます。

武正副大臣 これは気仙沼の例でしたでしょうか、市場の裏手、いただいた資料で見ると、低地ゾーン土地利用促進事業を検討する区域。多分、いろいろな制度の中では、空地というか、いろいろな集団での、集積地とかそういったところから外れている地域だと思うんですが、そういったところでは、個別の企業が御承知のようにかさ上げをして事業を再開していますし、あるいは石巻、先ほど例を出しましたが、グループ補助金を使ってかさ上げをして、あれは八十センチですかね、かさ上げして事業をやっております。集団移転の場合はどうしても全体的にかさ上げをしないとスタートできないというのがありますが、個別の企業では、実際にそうした形で始まっているのが一つ例としてある。空地への対応も地元から求められたということは、一つ触れておきます。

 御指摘のように、とにかく現地の状況をしっかり踏まえて、また、それぞれの担当省庁と協議をしながら進めてまいりたいというふうに思っております。

小野寺小委員 今のことについて一つぜひ知っていただきたいのは、確かにグループ補助金でかさ上げの部分は見てもらえるんですが、結局、周りが何にもかさ上げされていなければ、建物の敷地だけなんですよ、本体のところだけが高くなって、あとは全部、周りは海になっちゃうんですよ、かさ上げできていないから。そこだと、道路もなければ駐車場もなければ、事実上、建物だけぽこっとかさ上げされても、何の実態もできないということなので、面でしないといけないということを、おわかりだと思うんですが、ぜひ再認識していただければと思います。

新藤小委員長 そうですね。

 ちなみに言いますと、商店街も仮設も、全部がグループ補助金を受けていないから、グループ補助を受けたところだけかさ上げしても、補助金を受けていないところはかさ上げできないなどということもありますから、ぜひ実態を、これは基礎中の基礎なので、御検討いただきたいと思います。

奥野小委員 立地補助金の方にちょっと話を戻しますけれども、もう時間もないので、短く。

 基本方針を見ると、空洞化対策に重きが置かれているように読めます。もちろん、被災地への経済的な波及効果というのは、それはあるんだろうと思いますけれども、いただいている資料を見る限り、そう見えます。

 いただいている部分の下のところに、基本方針を読むと、レアアースの関係とかそれから天然ガスの権益確保ということが書かれているんですね。そういったものは国家のために私は必要だとは思いますけれども、それが復興財源でもし使われているとすれば、それはちょっと広過ぎるんじゃないかというふうに思うんですが、そのあたり、実際に予算がついているのか、執行されているのか。もしそうであれば、もう一度、やはり被災地に関連したものに、少し基本方針に手を入れるべきじゃないかと思うんですが、そのあたりはいかがでしょうか。

近藤副大臣 レアアース対策について、これは復興とは関係ないのではないか、こういう御指摘かと思いますけれども、先ほど冒頭御説明申し上げたとおり、大震災というのは日本全体に大変大きなインパクトを与えた。円高はもとから続いていたではないか、こういう御指摘がありますけれども、いずれにしろ、日本からさまざまなものが離れていくという大きな大震災でございました。

 そうする中で、日本のサプライチェーンが寸断されるということもあったわけでありまして、当時を思い起こしていただければ、このように思うわけでありますが、その際、とりわけレアアースについては、当時、個別の企業の名前を言っていいかどうかはございますけれども、半導体メーカーが、被災地域にあった工場が操業を停止して、日本の自動車産業が大変な状況になったというのも、先生御存じのとおりかと思います。

 そうした際に、とりわけ、資源というものをきちっと獲得することが日本のサプライチェーンを守るという意味においても非常に大事だ。当時、中国のレアアースの禁輸ということもございました。サプライチェーンを守らなければいけないという観点から、このレアアースの確保というものを入れて、事実、予算を執行させていただいている、こういうことでございます。

 日本経済全体を守らなければいけないという中で、復興構想会議の中でも御提言をいただき、その趣旨に沿って計上させていただいている、こういうことでございます。

奥野小委員 おっしゃっていること自体は全くそのとおりだと思うんですけれども、やはり、復興増税をして、その復興予算で見るには少し広過ぎるような気が私はいたします。

 被災地に行ってまいりましたので、被災地の方々の気持ちを考えると、なかなかそれは、そのとおりだ、復興予算でそこまでやるということに納得いたしかねるということで、少し質問をさせていただきました。もし執行残等あるのであれば、できればそちらは一般財源にしていただいて、復興の方に回すということをお願いしたいと思います。

新藤小委員長 予定した時間が過ぎておりますが、これは重要なことなので、端的に願いたいと思います。

岡田(康)小委員 では、短くお願いします。

 立地補助金の審査概要の書き方が、読んでいてすごく気になっております。これはきょうの資料の二ページの真ん中のところですけれども、これを読むと、被災地への波及効果というのが必須要件のように書いてあるんですけれども、例えば2の「サプライチェーンを通じた」というところは、サプライチェーンというのもすごく広い言葉でして、その対象企業の直接的取引があるという領域から、さらにその企業が取引のある企業とか、ひいては日本全部まで入るわけでありまして、ここの2というのは何か基準がちゃんと具体的にあるんでしょうか。

石黒政府参考人 御指摘の点でございます。

 まず一つは、先ほど申しましたが、直接被災地企業から物資、部材等を買っている、それから被災地企業に対して部材を納入しているというのが一番典型的な例でございます。

 その上で、実はこういうものは認めておりますというのをちょっと事例として申し上げますと、中国地方のある自動車部品メーカー、中小企業でございますけれども、そこが下請メーカーとして部品を製造しておりまして、被災地の自動車メーカーの工場に納入をしているという例がございます。そういったものは、間接的で、直接的な被災地企業との取引関係というわけではございませんけれども、必要不可欠な部品が組み込まれて被災地の自動車メーカーの工場に行っているという例は、一つの事例として認めさせていただいております。

後藤(祐)小委員 後藤祐一でございます。

 十月一日に陸前高田市長にお会いしてきたんですけれども、先ほどかさ上げの話がございましたけれども、自分のところでは、町全体をかさ上げして、商店街をそこにつくって、実際に動き出すには正直言うと四、五年かかるだろう、そこのぐあいを見て、じゃあ、もともとやっていたクリーニング屋さんを始めようとか、そういった方が出てくる、そのときにグループ補助金をぜひ残していただきたいと。

 制度の持続性について物すごく懸念をされておられて、先ほど、繰り越しの話ですとか、予備費で対応するとか、二十五年度予算の話があったんですけれども、もう少し長いスパンで、集中復興期間五年を超えるところも含めて、基金のような形で、例えばグループ補助金用として将来、五年とか十年とかいうスパンでも使えるような形で県に積むとか、そういう財政的に安心していただける仕組みを具体的な形でつくるべきだと考えますが、財務副大臣、これについての御見解をいただきたいと思います。

武正副大臣 陸前高田が大変厳しい状況に置かれていることはよく承知をしておりますし、そういった意味では、海から離れたところに仮設の商店街がつくられていることも承知をしております。今、面的にそれを、全体をかさ上げしていくのに大変時間を要するということが、特に被害状況においては言われるところは確かだというふうに思います。

 先ほど来、幾つかの手法で地元の安心をということは申してまいりましたが、今のような観点というのが、単年度主義の財政法の制約の中でありますけれども、どういった形が可能なのか、とにかく地元に寄り添って、いろいろと声を上げていただいて、それを関係省庁とも相談をしながら対応していきたいというふうに思っております。

新藤小委員長 それでは、予定いたしました時間が過ぎておりますので、この程度で終了したいと思います。後ほど総括的な討議がございますから、そのときにもまた御意見を頂戴したいと思います。

 皆さん、御苦労さまでした。

    ―――――――――――――

新藤小委員長 次に、地域医療提供体制の再構築を議題といたします。

 それでは、質疑を始めたいと思います。

 まずは、政府から説明を聴取いたします。櫻井厚生労働副大臣。

櫻井副大臣 厚生労働省所管の地域医療提供体制の再構築については、被災地以外に復興予算が使われているというものではありませんが、被災三県の医療施設の災害復旧のための補助金が、公的医療機関に比べて民間医療機関に対して十分な支援がなされていないという指摘があるということについては認識しております。

 医療施設の災害復旧のための補助金については、一つは、都道府県の施策への協力義務を負う公的医療機関や、民間医療機関についても、救命救急センターや当番医となっている診療所など、政策医療を担い、地域医療において中核的な役割を果たす医療機関を対象にして、重点的に医療機関の復旧を進めたところでございます。

 被災三県における補助の実績は二百八十四件、三十八・五億円であり、補助対象施設数の八割、金額では約半分ですが、民間に対するものとなっております。

 医療施設の災害復旧のための補助金は、被災した医療機関を震災以前の状態に復旧させることを目的としているため、そもそも通常の補助金でも対象外となっている土地の取得費用は対象外となっているほか、自宅部分の整備など医療とは直接関係ない費用や、震災以前の医療機関の規模を超える整備に係る工事費などは補助の対象外となっております。したがって、診療所等の開設者が補助を申請した後、審査の結果で最終的な補助額が思っていたよりも少なくなることがございますが、これはこうした補助の考え方によるものであることについては御理解をいただきたいと思います。

 また、被災三県については、この補助金とは別に、各県に設置した地域医療再生基金に、平成二十二年度補正予算において、一県当たりの交付額の上限である百二十億、三県合計で三百六十億円を震災対応に活用できるように積み増ししております。さらに、平成二十三年度の補正予算では、津波等で面的な被害を受けた被災地域の本格的な復興のために、被災三県の地域医療再生基金にさらに七百二十億円を積み増ししており、これらを合わせると、被災三県に対して合計一千八十億円を交付しているということになります。

 この地域医療再生基金については、各県において、現地の実情を把握するとともに、地域住民の声も十分にお伺いしながら、地域医療再生計画を策定していただいた後、この計画に基づく必要な事業に基金を活用していただく仕組みとなっております。

 被災三県からは、被災医療機関の施設設備の整備のほか、医療機関相互の情報連携のための基盤整備、医師、看護師等の医療従事者の派遣体制の支援などを内容とする地域医療再生計画が策定され、現在、この計画に基づき必要な事業が行われているところでございます。

 災害復旧のための補助金の対象とならない医療機関の施設設備の整備についても、地域医療再生基金は活用できるものとなっております。

 また、民間医療機関に対しては、こうした補助金以外にも、福祉医療機構による通常より有利な条件での融資も行っているところでございます。

 いずれにしても、厚生労働省といたしましては、被災地で被災された方々の暮らしの復興のためには地域医療が十分に復興することが極めて重要であると考えており、現在、これらの事業の成果が徐々にあらわれてきている状況にあると考えておりますが、引き続き、被災地の声を十分にお伺いしながら、しっかりと対応していきたいと思っているところでございます。

 以上です。

新藤小委員長 これにて政府からの説明は終わりました。

    ―――――――――――――

新藤小委員長 発言のある方は挙手をお願いいたします。

吉田(統)小委員 吉田統彦でございます。

 櫻井副大臣、宮城県気仙沼、御地元でございまして、ちょっとこちらに関してお伺いしたいと思います。

 宮城県気仙沼で二十一の医療機関が全壊のような形になった、そして、そのうち七カ所はもう通常どおり診療を再開している、そういう状況でありますが、この二十一カ所の内訳、三次、二次、一次の医療機関としてはどのような内訳だったのか、そして、復旧した七カ所もどのような内訳になっているかということを一つお伺いしたい。

 そして、この七カ所、しっかりと復旧してきた中で、ソフト面との整合性がとれているのか。つまり、医療人材をしっかりとそこで確保しているかということ。これは、先ほど公的と民間、開業医の先生という話がありましたが、公的病院の医師は大分、福島なんかはもう域外に出てしまっていて、建物が復旧してもソフト面が少し足りないというところもあったりするわけであります。

 そして、もう一つは、ソフトの面、医療機器であります。今回、この災害復旧費補助金は、医療機器は公的であろうが民間であろうが対象外と伺っているんですけれども、ここは非常に重要なことで、櫻井副大臣は大変有能なドクターでいらっしゃいますけれども、今の時代、医療機器が診療のかなりの部分を負うところがあるわけであります。その中で、全くハードだけで医療機器がそろっていない場合は、被災地とほかの全国的なところで医療の格差、つまり、日本ではあってはならない医療の格差が起こってしまう可能性があるので、私は、なぜ医療機器などの設備が対象外になったのかということもお伺いしたいと思います。

 そして最後に、医療人材に関しては、やはり長期的な視野での援助をぜひ今後も厚労省としてもお手伝いしていただきたい。私が以前提言させていただきまして実際に進んできた被災地枠というのもできてきているわけですが、そして今後、副大臣の医局でもあります東北大学は、今の百二十五人の枠から相当数ふやしてくる、福島と岩手医大も医学部の定員を相当数ふやしてくると伺っているんですが、その点もぜひ。

 この補助金は、かなりハードに目が向いていて、医療人材と医療機器が手薄になっているんじゃないかと私はかなり感じましたので、以上、かなりいろいろなことを申し上げましたが、一点一点御答弁いただければと思います。よろしくお願いいたします。

櫻井副大臣 済みません、十分に把握していないかもしれませんが、わかる範囲でお答えさせていただきたいと思います。

 まず、三次の医療機関ですが、これは気仙沼市内にはございません。今後、三陸自動車道をつないで、今、石巻赤十字病院のところを増床しておりますので、ここを中心とした医療圏を築いていきたい、そう思っているところでございます。そういう意味で、公立志津川病院、それから女川病院、あとは石巻市立病院など、これらを、石巻日赤を中心に構築していきたい。これは東北大学や県の医師会と今、話をさせていただいているところでございます。

 それから、二次医療機関になりますと、ここは公立気仙沼病院が二次医療機関でございまして、ここは津波の影響は受けておりません、震災の影響を受けておりますが。ただ、ここはもともと医者の数が非常に足りなくて、外来数もかなり多くて、何とか地域の先生方にこの外来の患者さんたちを振り分けることを行って、少しでも軽減措置をとりたいというふうに思っておりまして、震災の前から、実は、公立気仙沼病院のあり方について地域として検討しなければいけないのではないのかと。

 それからもう一つ。これまで気仙沼の地域はリハビリ病院が全くございませんでした。ですから、こういったことも全部踏まえて、総合的に医療提供体制を考えていかなければいけない、そう思っております。

 それから、人材については全くおっしゃるとおりでして、もともとこの地域は、県全体として、ここだけではありませんが、仙台市以外は、十万単位で百二十八人ぐらいだったかと思いますが、どの地域もそのぐらいの数でして、仙台はOECD並みにおるんですが、それ以外の地域は非常に少ない地域でございました。ですから、先ほど長期的な人材の確保というお話がありまして、地域の枠などを拡大すること、それから、県も独自にこの震災前から医療人材の確保を行っていますから、こういった枠をふやしていくなど、こういったことについてきちんとやっていかなければいけないと思っています。

 一方で、人材の流出も見られておりまして、例えば気仙沼で透析をやられていた先生は、仙台の市街地に医療モールができまして、そちらに移ってこられるとか、それから、開業をやめられて勤務医になられるとか、そういった先生方もいらっしゃいまして、これは御地元で、現実的なことは小野寺議員の方がはるかに詳しいかと思いますが、そういった方々がいらっしゃっていて、何とか医療を再生する、この後復興していったときに、この先生方がまた開業なりがきちんとできるような政策をとっていく必要性があるのではないのか、そう思います。

 それから、医療機械に関しては、高額なものについては手当てできるようにはなっておりますし、それから、地域医療再生基金、これは自公政権のときにつくっていただいて、私は非常にいい制度だと思いますけれども、今回これも十分に活用させていただいているところでございます。

 ただし、そこの内訳の中で、高額の医療機械に対しては十分に手当てされているけれども、そうでないものについての手当てに関して、現場として、もう少し補助ができないか、そういうお話もいただいておりまして、ここら辺は、復興に必要なものであるとすれば手当てがきちんとできるようにさせていただきたい、そう思っているところでございます。

 済みません、十分な答弁になっているかどうかわかりませんが、以上でございます。

小野寺小委員 地元気仙沼のことについて少し触れていただきましたので、少しお話をさせていただきたいと思うんです。

 一つは、三次医療圏。石巻とおっしゃいましたが、現時点でも気仙沼から車で二時間以上かかります。ですから、東京―仙台よりも実は遠い。そういうところが三次医療圏が現実です。それから、三陸縦貫道ができたとしても、多分これは十年以上かかると言われています。そして、できたとしても恐らく一時間以上はかかるんじゃないか。そういう医療僻地が今回の津波被災地ということを御認識いただければと思います。

 そういう中で、先般も委員長初め皆さんに見ていただきましたが、再建できた医療機関、これはわずかですが、再建できた医療機関は、建物の補助は結局、最終的には一割ぐらいしか出なかったというのがその再建した医師の見方でした。

 それから、中の医療機器ですが、例えばMRIとか、高額な、そこに初めから据えつけ型のものについては補助対象になるが、通常の診療所、いわゆる通常の病院が使うようなレントゲンとか、あるいはエコーというんでしょうか、内視鏡とか、こういうものは対象にならない。ですから、実は今回被災を受けたほとんどの病院というのは町の開業医ですから、そんな高額な機器よりも、むしろふだん使うものが一番必要だ。これに実は補助が全然出ておりません。

 ですから、今回、震災復興できた病院というのは、お医者さんが若くて、そして借金がたまたま少なくて、ですから金融機関がお金を貸してくれたというところはできたんですが、大部分、お医者さんが六十代以上、あるいは借金が多い、こういう方は病院を畳んで、個人の医師の資格ということで、仙台、都市圏に全部移ってしまいました。亡くなった方もお二人、お医者さん、いらっしゃいました。ですから、今、開業医が激減をしております。

 そういう中で、今回の医療のさまざまな支援というのは、基本的には、公立、市立病院には入りますが、本当に地域の医療を支えているような開業医の皆さんにはほとんど回っていないという実態がありますので、ぜひ、きょう、櫻井副大臣、御地元でもありますので、例えば県の地域医療再生基金で、そういうものを活用しろ、そして、もう既に皆さん、できる人は再建していますから、再建している人に関しても遡及して何らかの手当てができるようにしろ、そういう知恵を出していただきたいと思います。

 御質問ありがとうございます。

櫻井副大臣 本当に現場で御苦労されている小野寺委員からの御意見だと思います。本当に貴重な御意見でして、そのことに十分手当てできるようにこれから努力していきたい、そう思います。

 それで、ちょっとこういう立場でこの場で発言するのがふさわしいかどうかわかりませんが、例えば、一つの提案として、医療モールみたいなものをつくれないだろうかというのは、おととし財務省にいた時点で検討していたものでした。

 というのは、今、小野寺委員からお話があったとおり、実は個人の高齢者の先生方と話をした際に、自分がこれから借金を背負って返済できる自信がない、だからもう自分はこれで諦めますという方がいらっしゃいました。そうすると、その先生方に働いていただくための施策としてどういうものがあるんだろうか。医療モールみたいなものをこちら側で建てて、それをレンタルする形にしていけば、使っていただけるのではないだろうか。医療モールをつくってくると、今まで例えば外科とか内科とか小児科とかばらばらにあったものがある程度一カ所に集約されることになってくると、患者さん方もあちらこちらに行かずに一カ所に行くようなことができるのではないだろうか。そういう議論も実はさせていただいておりました。

 ですから、もし仮に御地元からこういったことを、例えば現実的に入ってくださる先生方がいらっしゃって、それでやりたいと、例えば気仙沼の医師会からとか御要望をいただければ、それが私たちにとってみれば医療の復興に十分につながっていく、そして先生方の力を十分に発揮していただけるという提案とかがございましたら、これは我々もいろいろなことを考えさせていただきますけれども、ぜひ与野党を超えていろいろな提案をできればいいんじゃないだろうか、そう思っております。

 それから、今、小野寺議員からお話があったとおり、三次救急の点については、大船渡に行かれたりとか、御苦労されていることについてはもう重々承知しております。ただ、将来の絵姿としては、とりあえずのところは石巻日赤を使っていこうと。それから、石巻日赤のところにインターもできますから、高速道路を使っていただける。しかも無料ですので、今までよりはアクセスは非常によくなるのではないか。

 そういう意味において、公立気仙沼病院をあそこの中核として今までも考えておりましたが、今後、ここの強化をどうしていくのかというのが改めての課題になるのではないのか。

 それからもう一点、大島など医療過疎で、人口は今三千人ちょっとになったんでしょうか、それでも孤立してしまって、それから医療機関がないとか問題がありましたから、あそこの橋も含めて、交通網とセットで医療の提供体制というのを考えていかなきゃいけないんじゃないのかな、そう思っているところでございます。

小野寺小委員 ありがとうございます。ぜひ、今言った指摘、しっかり頑張っていただきたいと思うんですが、一点、これから復興住宅がそれぞれ出てまいります。そうなりますと、実は、この地域は高齢化しておりますので、医療モールで一カ所に集まれるところに行ける方はいいんですが、かなりの高齢者は、やはり歩いて行けるところ、すぐ近所で行けるところ、こういうところに医療機関がないといけない。

 これから復興住宅が出てくる中で、その住宅の中に、逆に言えば、今言ったいろいろな支援の中で医院が開業できるような、そういう施設を、むしろ、側を全部つくってあげるからここにお医者さん入ってねというぐらいの弾力的な考え方で、ぜひ、新たな復興する町が出てきます、そこに、医療モールなのか診療所なのか、そういうこともあわせてセットで考えていただくようにお願いをしたいと思います。

新藤小委員長 済みません、私が余り口を出しては悪いんですけれども。

 とてもいいことだと思うんですけれども、そういうことのために復興の予算が残っているのかということになるんだよ。財務副大臣、どうですか、財務省。

武正副大臣 岩手で、あれは釜石ですかね、平田の仮設住宅には診療所が併設をされて、やはりそれが住民の方にとって大変安心につながっているというのも拝見をしてまいりました。医療提供というのは、命にかかわる、被災地の皆さんにとっては本当になくてはならない事業だというふうに認識をしております。

 今、モール化と、一方、小野寺さんからは、これからの復興住宅近在にというようなこともございましたが、これについては、もともとは補助金の仕組みが、被災された場所での復旧といったことが一つ原則にあるにせよ、いろいろとやはり復興の段階で御提案をいただきながら、その点についても厚生労働省とも協議をしながら進めてまいりたい、しっかりと受けとめてまいりたいと思います。

小野塚小委員 私も先日、被災地に行ってまいりまして、医師の先生とお話をいたしますと、本当にお金が来ないと困っていらっしゃいます。なぜかと思ってレビューシートとかを改めて見ますと、それなりの金額はついているわけですね、医療の中においては再生事業で七百二十億ついていたり。なぜこんなことになるのかというのがまずちょっと疑問なんです。いわゆる、つけてはいるけれどもお金が行っていないということなんじゃないかと思うんですね。

 さらに言うと、足りないのであれば、では、二十四年度、二十五年度、さらに予算をつけるべきなんじゃないかと思って見たら、二十四年度には既についていないし、二十五年度も事業としての要求をなされていない。

 まさに、この七百二十億円もそうなんですけれども、どうやっていわゆる算出をなされてこの金額になって、次は、二十四年度、二十五年度は要らないという御判断だったのか。それであるならば、七百二十億円という金額がそれなりだから、まだ使い切っていないからということなんだと思うんですが、これは各県にお金を分けている、基金として分けているんだと思うんですが、どれほどお金が残っているのかとか、そういうところはどうなっているのか。

 今、小野寺先生からありましたように、本当に手の届くところに、大きな病院はそれはそれで結構なんですけれども、回っていくと、まさに診療所みたいなところの方々が、亡くなった方もいるし、二重ローンで苦しんでいる方もいるし、そこにまさにお金が行ってくれるといいな、せっかくこれだけお金をつけたのに、いいなと思うところについていないというのが非常に残念だと思うので、県との関係もあるんだと思うんですが、ちょっとその辺の、まさに副大臣からの問題意識を教えていただければと思うんです。

櫻井副大臣 現実的なことだけ、ちょっとわかっている範囲でお話をさせていただきたいと思います。

 地域医療再生基金の百二十億は、たしかあれは五月ではなかったかと思いますが、五月に百二十億交付しましょうという決定をさせていただいたと記憶しています、これは私が財務省にいたときですが。実際にこれが地方の先生方に配分されたのが十二月ぐらいでございます。

 この手続は、県の方とそれから県の医師会の方とで話し合いをして、どういうところに充てるのか、これはもちろん厚生労働省の方からも指導がありますから、それも踏まえた上でやられた措置がそのぐらいであったということでございます。

 この辺のところについて、その手当てにどのぐらい時間がかかったのか、どういうところでやってきたのかというのは、これは県と医師会との話し合いになっておりますので、そこら辺のところについてきちんと調べてみないと、何とも、正直申し上げて我々が知るところにはなっていないということでございます。

 それから、現在、手当てしていただいたお金をどこで使うかということについては、これはもう全部決まっておりますが、済みません、現状どこまで執行されているのかについては十分把握しておりません。

 これは、医療の問題だけではなくて、公共事業全般に言えることでして、まず一つは、県庁や基礎自治体に設計をされる方の人材が不足していて入札がなかなかできないとか、それからもう一つは、例えば建物を建てる方々の人手が足りないとか、そういった制約要因があって、それから最近は資材の高騰もあってもともとの設計どおりにはいかなくなってきているとか、さまざまな問題点がございます。

 それで、この間も村井知事と話をさせていただきましたが、知事からすれば、もっと予算をいただけるのであればこれにこしたことはない、そういう意味で十分な手当てをしてほしいという要望は受けているところでございます。

小野塚小委員 ありがとうございます。

 その意味では、先ほどの、前のセッションのグループ補助金もそうなんですけれども、いわゆる目詰まりになっている理由がほかの理由で、目的意識としてこのお金でぼんと出したんだけれども、結局ほかの理由で詰まっています。

 今のだと、いろいろな、医師会の方だとかいろいろあるんだと思いますし、あとは県との交渉であったりとか、そういうところで詰まってしまったら、結局それも、実は、国としては、政府としてはお金をつけたんだから後はということではもちろんないと思うんですが、そこの目詰まりのところを通していただけるということが本当に重要だ。地元、被災地に伺ったときにも、よくそれをおっしゃっていました。

 そこがまさに被災地に寄り添うという意味だと思いますので、そこを、問題意識は当然お持ちだと思いますが、ぜひよろしくお願いいたします。

和田小委員 先ほどのやりとりをいろいろお伺いしておりまして、一つぜひ問題提起をしておきたいと思います。

 被災地に行ってまいりましたときに、当事者の医師からも、また周りにいらっしゃる方々からもお聞きしたんですが、今私たちがやっている予算の執行は主に復旧予算の執行であって、いろいろな枠組みが復旧という名のもとに行われています。

 しかし、先ほど我々が議論したグループ補助金、国内立地補助金は、まさに民間の企業に対する支援でございます、純粋民間です。今回議論しております医療機能の復旧復興というんでしょうか、これは、民間機関に負っていただいていることではあるけれども、先ほど武正副大臣もおっしゃったように、必ず被災地に寄って早く整備しなければいけない必要な機能でございます。

 櫻井副大臣の問題意識でも、そういったことを視点に置いて、もう少し何とか、要するにいろいろな支援体制が組めないものかということをおっしゃっていただきましたが、私自身聞いておりまして、こういった公的な色彩を帯びているものこそ、復旧復興をある程度ワンセットにしながら、一旦医療機関が進出していった地域にはむしろほかのまちづくりの機能がだんだんついてくるということもやはり実態としてあるようでして、お医者さんの周りでちょっと待っておったときにいろいろな方々からお伺いしましたが、一旦この病院がここに来た以上、ここにまちづくりをしたいというようなことも各地の住民の皆様方は実際に思っていらっしゃるようです。

 そうしますと、医療機関を市内のどこに当座置くのかという視点もさることながら、今後、本当にこの地域でどこに置くのか、どれぐらいの規模にするのかといったことを、ぜひやはり公的部門がリードして考えていかないとというふうに思います。

 そういった意味で、こういった公的機能を持つ部分の復旧復興については、より復興を意識して、将来像、数年後、十年後にどれぐらいの規模をそこに確保するかということを考えれば、その当事者となる方々、医療機関の方々についての支援は、むしろ全国ベースよりも手厚くやってよいと国民の皆様方も御納得いただけるんじゃないかと思いますが、そういった視点を持っていただくことができないものだろうかということを思いながら発言させていただきました。

 もし政務三役で、おありになれば。

櫻井副大臣 既に県と東北大学、医師の派遣の関係があります、それから医師会、三者でもう協議が始まって、再生計画をつくっている最中かと思います。

 骨格を申し上げますと、小野寺議員からはお叱りを受けるかもしれませんが、基本的には、石巻日赤を三次救急の中核として置いて、沿岸部それから登米市というところの南部を含めたところで三次の医療圏をつくっていこう。あとは、バックアップの機能として、今被災している公立志津川病院、登米の医療圏の中に移っていきましたが、これをもとに戻し、それから、女川の町立病院、石巻の市立病院、こういったところをどの程度の規模でどういう診療科にしていくのかということを、今、こういったところで再生計画を立てさせていただいているということでございます。

 それから、復旧復興のところを一括としてということは、これはまさしくそのとおりだと思います。

 それから、今回、私は相当柔軟に対応しているんじゃないかと思う例を一つ申し上げておきたいんですが、これは病院ではありませんが、介護の施設で、例えば百人の方々を受け入れる施設だった。この百人の数は変わらないんですけれども、もともと四人部屋であったものをユニット化したんです。今までの復旧復興の予算であれば、ユニット化というのは認められませんでした。原則はもともとと同じ形。そのかわり、今回は、もうその場所につくれませんから、場所は移動していいですよ、だけれども、同じものをつくりなさいということだったんですが、これだけ、その機能を上げていくためにこういうユニット化をしたいということがあって、これについては全面的に認めることにしております。

 ですから、いろいろな場面で今までの、例えば阪神・淡路のような大震災、地震のときと、津波の影響を受けたものについては、大分私は姿勢を変えて柔軟に対応しているところがあるのではないのかな、そう思っているところでございます。

遠山小委員 厚生労働省、事務方でいいんですが、先週十月十九日の参議院行政監視委員会で、三井大臣がこういう発言をしております。そのまま引用します。

 東北の民間医療機関に対しましては、それ以外にもこの前段でいろいろな支援の話をされているわけですけれども、福祉医療機構によります通常よりは有利な条件で融資をしているということをまずおっしゃっております。それからその後に、先ほど来櫻井副大臣がおっしゃっている、地域医療再生基金を活用した財政支援も行っている、こういう御答弁を先週参議院の方でされているわけです。

 素朴な疑問として、まず、民間医療機関で福祉医療機構から融資を受けようというところは、やはり過去の負債がありますと、なかなか新規の融資を、被災地といっても受けられないのではないかというふうに私は思っておりまして、率直に、大臣が自信を持ってこうやって御答弁されておりますから、震災後にどれだけ被災地でそういう民間医療機関に対して融資を行ったのか、実績の数字があるならばぜひ示していただきたい。もし大臣がこうやって御答弁されていても、実績がゼロであれば、余り説得力のない、その場だけの御答弁になりますので、この場でお答えできるならお答えしていただきたい。

 それからもう一つ、副大臣が先ほど来繰り返し言及をされております地域医療再生基金を活用した財政支援の中身についても、被災三県でどれぐらいの実績が今日まであるのか、お示しをいただければありがたいと思っております。

原政府参考人 お答えいたします。

 福祉医療機構による貸付制度についてでございますけれども、新規貸し付けにつきましては、七億二千万円を上限に五年間の無利子措置、利息はなしという形で据え置き。それから返済猶予期間は、例えば建築資金につきましては二年ないし三年のところを五年、それから経営資金とか機械物については、六カ月のところを五年の猶予期間にしている。それから償還期間につきましても、病院の建築資金については三十年のところを三十九年等々、余裕を持たせているというところでございます。

 それから、既に今貸し付けを受けておられる方々につきましても、五年間の返済猶予期間を設けておりますし、償還期間の延長につきましても、先ほどの、例えば病院の建物につきましては三十年から三十九年という形で延ばしております。

 それから、被災後の新規にどれぐらいかというのは、ちょっと手元にデータがございませんけれども、二十四年の九月三十日現在で申し上げますと、建築資金や機械購入資金あるいは長期の運転資金、全部合わせまして五百十九件、百八十八億四千万円の貸付実績となっております。

遠山小委員 地域医療再生基金の方はどうですか。今のは福祉医療機構の貸付残高のお話だと思いますが、地域再生基金の方はどうですか。

原政府参考人 恐れ入ります。

 先ほど櫻井副大臣の方から、交付をした実額を申し上げましたけれども、二度にわたってその基金は積み増しをしております。

 それで、平成二十二年度分につきましては、各県によって事情は異なりますけれども、それぞれの県で、例えば岩手県でいきますと、民間医療機関への補助等で二十七件、三億二千万円の執行済み。それから、宮城県につきましては、二十五億円の枠のうちの十六億円を執行済み。それから、福島県につきましては、六億五千万円の枠のうち三・五億円を執行済みということになっております。これにつきましては、平成二十五年度までに執行していただくということで、期間的にはまだ少し余裕があるということでございます。

 それから、平成二十三年度に、合わせまして七百二十億円を三県に当てはめましたけれども、これにつきましては、二十三年度末においてはまだ〇・〇四%、ほとんど執行はされていない。ただ、それぞれの県で計画を持っておられますので、それぞれの使い道についてはほぼ確定をしておられるというふうに聞いております。これにつきましては、平成二十七年度までに使っていただく、こういう予定になっております。

遠山小委員 ありがとうございました。最後に一言だけ。

 特に、後段の地域医療再生基金で七百二十億あって、これから被災三県で使っていただく、これは大きな話だと思いますので、高く評価をさせていただきたいと思います。

 ただ、その前の福祉医療機構の貸付残高については、それは現段階の貸付残高であって、融資の開始時期がもしかしたら震災前も含まれているのかなというのが率直な感想でございまして、できれば当委員会にデータの資料を出していただきまして、どれぐらいの被災三県の民間医療機関が実際に震災後に福祉医療機構の融資を使っているのか、別に、何か変な意図を持って批判するためとかそういうことではなくて、実際に大震災が起こった後に東北の民間医療機関が融資をどれぐらい受けていて、そしてどういう現状にあるのかということを正確に把握しないと、抽象的な、定性的な話ばかりでは議論が成り立たないと思いますので、ぜひその資料の提出を求めたいと思います。

 以上です。

新藤小委員長 これはもう基礎的な数字でございますので、厚労省の方にデータの提出を求めたいと思います。

櫻井副大臣 まず、この枠組みについては、震災直後から日本医師会の方から要望がございまして、その意見を組み入れてこういう制度設計にさせていただいております。

 ですから、制度設計としては、我々とすればきちんとできているのではないかと思っていますが、確かに今お話があったとおり、どのぐらい使っていただけているのか、それから、もし、これの使い勝手が悪い、先ほどお話がありました二重ローンやそれから上限の問題等があるのであれば、非常にいい御指摘をいただいたと思っておりますので、これも改めて調査した上で、もし制度上対応が可能であれば、そういったこともあわせて検討させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

平(将)小委員 まず、復興予算から、世界保健機関等拠出金というのが出ているのと、独立行政法人医薬基盤研究所施設整備費補助金というのが出ていまして、今これはその場でわからないと思いますので持ち帰っていただいて、なぜ復興予算から出ているのかということを教えていただきたいと思います。

 ちなみに、医薬基盤研究所は、民主党さんの事業仕分けにおいて、天下り法人との癒着があるといって指摘をされた団体であります。なぜこれを復興予算でやっているのかというのを教えてください。

 本題ですが、副大臣からさまざまなメニューで対応されているという御説明がありましたが、実際、現地では、例えば政策医療実施機関とみなされた個人の病院ですら、全体で一億五千万かかったけれども、いろいろな制度を使ったけれども一千五百万しか補助金は手当てできなかったというのが現実でありますので、その現実を見れば、ここはさらに踏み込んで手を差し伸べないとなかなか戻ってこられないんだろうというふうに思っております。ほかの省庁が復興にかこつけて、ほとんど緊急性や関連性が薄いものをばかばか入れていく中で、これは被災地に直結をし、さらに緊急性の高いものだと思います。

 さらに、二重ローンの問題やかさ上げの問題など、今までやはり個人の財産の形成に資することになってしまうので公的なお金は入れられないといったところも、今回各省庁が踏み込んでいろいろな検討をしている中で、余りにも厚労省さんは原則を守って、何かお行儀がよ過ぎるというふうに思っていて、今回これを取り上げた文脈は、関連性の薄いところは削ってでもこういう現場の声にお金をつけましょうということなので、ちょっとお行儀がよ過ぎると思います。もっとこういうところはつけてほしいというのを踏み込んでぜひ言っていただければ、この後、我々、与野党の協議でありますけれども、決議とか勧告とかいろいろできますので、ぜひ、そういう視点から御提案をまたいただきたいと思います。

櫻井副大臣 応援ありがとうございます。

 例えば学校の予算なども、もともと二分の一の補助だったかと思いますが、これもある部分積み増しをして実質三分の二に補助金がついたりとか、そういう政策も行ってまいりましたし、それから、財務省にいたときにグループ補助金を私はつくらせていただいたんですが、なかなか厳しくて、個人の財産形成にということだったので、グループ化して、それからもう一つは、ある程度規模を拡大していただかないと再生しないだろうという思いもあって、この予算をつくらせていただいた経緯もございます。

 そういう意味合いで、今お話をいただいたことに関して、例えば地域医療で連携をとっていくのであれば、こういったところに対してもう少し予算措置できないかどうか、これが実際は、本当は地域医療再生基金の大きな目的だったと思うんですね。

 ですから、枠組みとしては、今の地域医療再生基金というものをもう少し幅広に活用していけば何とか対応できる点もあるのではないのか。今先生から御指摘いただいたことですね。その枠組みも、これじゃない方がいいのかどうかも含めて、改めて検討させていただきたい、そう思います。

 それから、今回の査定に関して言うと、これも二年前に財務省にいたときに私の方から指示を出したのは、とにかく、厳しく査定されると地元におりるお金が物すごく時間がかかってしまっていって、建設業界の方々のところが、仕事をしたけれども黒字で倒産するようなことになってしまったりとか、さまざまな問題があるので、なるべく早く決裁してくれという話を申し上げました。

 たしか、あの当時は九九・何%ぐらいで全部決裁しているはずであって、必要なところに必要な予算措置がされていないのかどうか、病院関係を含めて、どういう査定であったのかどうかも含めて、改めてこれは調査させていただきたい、そう思います。

平(将)小委員 意見ですけれども、個人病院に対する手当てとしては、対象拡大をして、条件を緩和して補助率を上げる、評価もしっかり見るということだと思います。

階小委員 先ほど和田さんから復旧と復興を一体的にというお話がありましたけれども、私は、復旧の呪縛から解放されてほしいということを申し上げたいと思います。

 きょうは手元にレビューシートが二種類配られておりますけれども、一つは地域医療提供体制の再構築という事業名、もう一つは医療施設等の災害復旧等という事業名で、言うなれば、前者の方が復興の話で、後者の方は文字どおり復旧の話だと思っています。

 ところが、やはり復旧の呪縛があるがゆえに、先ほど来お話が出ているように、なかなか個人病院に対して支援が十分でないとか、あるいはもとの水準ぐらいまでしか補助は出せないとか、そういうのがあると思うんですが、前者の、先ほど副大臣もおっしゃられたように、地域医療の再生基金ですか、これを活用することによって、復旧の呪縛から解放されて、復興だと。もともと地域医療、特に被災地の地域医療というのは、医療過疎、医師不足に悩まされていたわけですから、この復興ということを進める過程で、ぜひそこは復旧の呪縛から解放されて、地域医療をどうやったらベストなものができるかということを考えていただければなと思います。

櫻井副大臣 今、階議員のお話をお伺いしながら、改めてもう少し整理していく必要性があるのかとも思っております。

 つまり、その場所で復興できる方々に関して見れば、これは復旧と復興と一体だと思うんです。

 ただ、一方で、全壊しているような、例えば公立志津川病院とか、こういった病院に関して見ると、同じ場所には建てられませんから、そうなってくると、これはまちづくりとセットになってまいります。

 ですから、少し整理をして、早急に手当てできるものとそれから中長期で見ていかなきゃいけないものと分けて、対応をもう少しきちんときめ細やかにやっていかないと、なかなか、全部一律にやっていくと今のようなお話になると思いますので、柔軟性を持って対応していかなければいけないのかな、そう考えております。

階小委員 あと一点だけなんですが、その関係で気になるのは、先ほどの二つの事業について、昨年の三次補正のときの災害復旧の方のチェックシートには、この事業に基づく補助金は、「被災した医療機関の現状復旧のための施設整備事業であり、医療機関の機能分化や医療機能の集約連携など、モデルとなる医療提供体制の構築も視野に入れた支援である地域医療再生基金とは大きく性格が異なるものである。」ということで、まさに二つは独立して存在しているかのような書き方がチェックシートの中では書かれています。

 そういう考え方は改めていただいて、これは一体的に相乗効果が生まれるような運用をしていただきたいということを申し上げたいと思います。

櫻井副大臣 復旧のところで、例えば先ほど仮設住宅の話がありましたが、とにかくその地域の方々に早急に医療を提供しなきゃいけない、ですから、例えば商店でいえば仮設の店舗を提供したのと同じように、仮設の診療所をつくってやってくれと。これはもう完全に復旧としてすぐにやらなきゃいけなかったことだと思っております。ですから、その部分もこの中には入っております。

 ですから、全てのことが復旧復興と一体、何と言ったらいいんでしょうか、応急措置としてやらなければいけないものがあったものですから、そこはまず復旧で見ましょうと。それから、繰り返しになりますが、先ほど申し上げたとおり、その現場で復興もされる先生方に対しての手当てとそれから新しくまちづくりの中で医療機関としてつくっていくもの、ここについては、今、階先生からお話があったとおり一体で見ていく、こういう形でやらせていただきたいと思います。

後藤(祐)小委員 この医療施設等災害復旧費補助金はなぜこれだけ不用だったかという根本的な理由は、やはり機器に対する補助ができないということが本質的理由だと思うんですね。

 この地域医療再生基金は、大きなもの限定でありますけれども、対象になっているわけでありまして、この話と先ほどの経産省の国内立地推進事業費補助金、これはもう設備投資にかなりお金が行くわけです。この両方のバランスが余りに失しているのではないか。つまり、医療関係に対しての補助のあり方、今後また地震が起きたときなんかも考えなきゃいけないと思うんですけれども、設備、機器に対しても小さいものも含めて対象にしていくということをそもそも最初からすべきではなかったのかということを聞きたいと思います。

 このレビューシートでも、不用の理由を把握しているかというところでいろいろ書いてあるんですけれども、そもそもの理由は、そこを対象にしなかったことにあるのではないかと思いますので、今後こういったことがあったときに機器も対象にしていくということについて、櫻井副大臣、財務副大臣経験者としても、両方の立場から御見解をいただきたいと思います。

櫻井副大臣 ありがとうございます。

 これはちょっと、制度がいつできたのか改めて調べさせていただきたいと思っているんです。と申し上げますのも、近年の医療の進歩に伴って、病院で整備しなければならない医療機械というのが物すごくふえてきたわけです。そこに対して、昔は本当に、往診に行かれるときには、かばんに聴診器とそれから血圧計ぐらいを持って行っているような、そういう時代にもし仮につくられているものだとすれば、それは、当然のことですが、病院の箱さえつくればよかったという時代なんじゃないのかと思っているんですよ。

 今御意見があったとおり、やはり医療機関というのは、今はもう箱だけつくれば済む時代ではありませんで、そういう医療機械があってこそ高度な医療が提供できるということになりますから、ハード面で申し上げれば、箱と医療機材とセットに考えてこないと、これはなかなか医療提供体制を整えるということにはならないんだろう、そう思います。中途半端な形で整えても、結果的に先生がそこでやってくださらないということになるのであれば、これは本末転倒ですから、そういう意味では、現実的に対応できるように、今後の制度設計のあり方、これを見直さなければいけないんじゃないのか。

 今回のことで、これは医療だけではなくて、さまざまな法案がこれで十分だったのかどうかという検証をしております。特に、七十二時間、人の命がなくなってきた、ああいうところに対しての法整備をどうするかとか、そういったこともあわせて今やっておりますので、この医療の分野に関しても、今、後藤議員から指摘があったような形で、この制度設計そのものが本質的に問題があるのではないのか、そういう観点でこれは検討させていただきたい、そう思います。

新藤小委員長 それでは、予定しました時間が過ぎておりますから、この程度で終了したいと思います。

 きょうはとても建設的な議論になったと思うんですけれども、こういう議論があって、早く検討を進めればいいんですよね。ですから、そのためにもこの委員会があるわけでありますが、早急に検討を進めていただきたい、このように思います。

 ありがとうございました。

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新藤小委員長 続きまして、鯨類捕獲調査安定化推進対策を議題といたしたいと思います。

 大分時間が超過しておりますので、少し議事進行していきたいと思いますから、御協力をよろしくお願いいたします。

 それでは、政府から説明を聴取いたします。佐々木農林水産副大臣。

佐々木副大臣 鯨類捕獲調査安定化推進対策について御説明申し上げます。

 東日本大震災により、全国有数の捕鯨基地であり、鯨関連産業が地域の主要産業となっている石巻周辺地域も壊滅的な被害を受けたところであります。石巻周辺地域の鯨関連産業は、水産加工業が原料としている鯨肉の過半が南極海調査捕鯨の副産物であるなど、南極海調査捕鯨との結びつきが強く、石巻周辺地域の鯨関連産業の復興のためには南極海調査捕鯨の安定的な実施が必要であります。

 一方で、南極海調査捕鯨は、平成二十二年十二月から二十三年二月にかけて実施した二十二年度調査が反捕鯨団体の過激な妨害活動により途中で切り上げざるを得なくなり、調査の副産物である鯨肉の販売収入が落ち込んだため、二十三年度調査の実施が困難な状況となっていました。

 本事業は、このような状況に対応し、二十三年度第三次補正予算において、二十三年度南極海調査捕鯨を安定的に実施するために経費を措置したものであります。また、本事業は、調査捕鯨の副産物である鯨肉の供給を通じて石巻周辺地域の鯨関連産業の復興に資するものであることから、復興予算として措置されたものであります。

 本事業の内容は、調査実施主体に対し調査費用の一部を補助するとともに、反捕鯨団体の妨害活動への対策として水産庁監視船を派遣するものであります。

 なお、本事業により南極海調査捕鯨が継続して実施され、鯨肉が石巻周辺地域に供給されたことにより、石巻の鯨関連産業の復興に役立っていると考えておりますが、一方で、本事業と被災地域との関連性について各方面から厳しい指摘をいただいていることを真摯に受けとめ、見直すべきところは見直してまいりたいと考えております。

 具体的には、石巻周辺地域の鯨関連産業の復興という本事業の効果の発現に努めてまいるとともに、今後は、調査捕鯨の安全かつ円滑な実施を確保するために必要となる経費は、復興予算ではなく、通常予算の中で対応していく所存であります。

 以上でございます。

新藤小委員長 これにて政府からの説明は終わりました。

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新藤小委員長 それでは、まず岡田君、どうぞ。

岡田(康)小委員 岡田でございます。

 今副大臣からのお話の中にも、被災地との関連が強くという表現があったかと思うんですけれども、沿岸捕鯨とかではなくて調査捕鯨の鯨が、過去を振り返って、どのくらいの頭数というか割合、被災地向けにおろされてきているんでしょうか。

平(将)小委員 被災地にお邪魔して、被災地の鯨肉加工業者の社長さんのお話を伺ったら、ほとんど原材料は周辺の海域からとってきていると。では、南極の調査捕鯨での鯨肉はどのぐらいあるんですか、シェアはどのぐらいあるんですかという話を聞きましたけれども、シェアは正確にはわからないけれども数%というような話だったので、今副大臣の説明だと、過半が南極でとった鯨の肉が原材料だという話で、ちょっと現地で聞いた話と全く異なるので、その辺の事実関係をあわせてお願いします。

遠山小委員 今、平議員がおっしゃった点について、きのうまでに水産庁ともやりとりさせていただいて、私の方で正確にある程度調べさせていただきました。

 正確に言うと、先ほど岡田さんも沿岸捕鯨と言っていましたが、これは正確ではなくて、まず、調査捕鯨というのは、これは確認しますよ、副大臣。副大臣は御存じでしょう。調査捕鯨というのは二種類あるんですね。一種類が、南極海鯨類捕獲調査。これは南極海の方に行っていて、やっているのは、今回お金を交付されている日本鯨類研究所なんです。

 ところが、もう一つある。それは北西太平洋鯨類捕獲調査、これも調査捕鯨なんです。この北西太平洋鯨類捕獲調査は二つに中身が分かれていて、一つは沖合、これも日本鯨類調査がやっているんです。それで、二として沿岸があるんです。ですから、この沿岸の捕鯨というのも、実は政府が言っている調査捕鯨の一部なんです。この沿岸捕鯨の拠点基地というのは、まさに我々が見に行った鮎川と北海道の釧路なんです。鮎川は春に水揚げする。釧路は秋に水揚げするんです。

 それで、私、農水省についでに申し上げますが、私も徹底的に調べてやっとわかったんです。この大事な情報をマスコミも含めて公開していないじゃないですか、ちゃんとわかるように。だから、鮎川に集まってくる捕鯨船というのは、調査捕鯨の一環として日本の近海で鯨をとって、そして春に水揚げしているわけでしょう。それが石巻なんです。ということは、石巻で流通している鯨肉の過半はこっちなんです。

 それを、今副大臣の御説明の中で、南極海の調査捕鯨の肉は東京で水揚げされているんです。そこから陸送されて石巻に来ているのは、石巻で流通している鯨肉の一割ぐらいだと聞いていますよ、私、水産庁から。今のは虚偽の説明じゃないですか、言葉は悪いけれども。そうでしょう。

 だから、ここまで正確に調べないとわからない。新聞にもこの話は一切載っていませんよ、今までは。私が言っていることが間違いなのかどうかを含めて、ちょっとお答えください。

佐々木副大臣 ただいま御指摘をいただきました。今御指摘をいただいたように、調査捕鯨は二種類ございます。二種類というか、正確に言うと三種類ということになるのかもしれませんが。

 南極海の調査捕鯨、今御指摘があった北西太平洋の調査捕鯨、おおむね半々であります。南極海が四三%、それから北西太平洋が三六%で、調査捕鯨そのもののシェアは七九%でございます。そのほかに沿岸の小型捕鯨というのがあります。これが九%ぐらいであります。そのほかの一二%は輸入でございます。

 こういうふうになっておりますので、御指摘の部分はそのとおりでありますが、調査捕鯨として鯨肉が石巻周辺で利用されているというのは、水揚げは例えば東京であっても、鯨肉はそのまま石巻で利用されているという部分も相当数あるということであります。

 詳細については長官の方から。

本川政府参考人 少し補足をさせていただきます。

 被災前でありますが、調査捕鯨として大体八割、三千八百トン、七百トン前後をとってきておりますが、そのうち南極海が二千トンであります。ただ、これはミンククジラというものを中心にとっております。ミンクというのは、お刺身なんかにしたときに非常に香りとか味がいいということで、重宝されているものであります。

 それから、北西太平洋で千七百トン程度、二十二年はとっておりますが、そのうち百二十トンが沿岸の調査捕鯨であります。千五百トン強はいわゆる鯨類研究所がとっている鯨であります。ただ、こちらはイワシクジラとかニタリクジラというものを中心にとっております。

 それから、沿岸の小型捕鯨というのが二十二年で四百十七トン捕獲しておりますが、これはツチクジラという、イルカに非常に形が似た鯨でありまして、ジャーキーのような、干し肉になるようなものでございます。この前、鮎川に行かれたときに、鮎川の捕鯨の方がとっておられましたが、これはまさにツチクジラをとる業を営んでおられる方でありまして、この方が南氷洋でとられるミンククジラを扱うということはまずないのではないかなというふうに思っております。

 したがって、ミンククジラを安定的に供給していくためにはやはり南氷洋での調査捕鯨が必要だった、そういうことをこれまで申し上げてきたわけでございます。

 それから、今のデータにつきましては私どものホームページで公開させていただいております。積極的に提供申し上げなかったことについては申しわけないというふうに申し上げたいと思います。

平(将)小委員 質問に答えていただきたいのは、石巻のビジネスを守るために補正でやりましたという説明なので、石巻の業者さんが南極の鯨の肉に頼っている割合はどんなものなのかというところを教えてください。

佐々木副大臣 石巻周辺の経済効果等々についてだというふうに思います。

 石巻周辺の鯨関連産業と言っておりますが、これは正式なデータがあるわけではありませんが、聞き取りなどを含めて、我々の方で聞き取りをさせていただいて、推計して集計をさせていただきました。事業所数が約百二十、従業者数が約千二百人ということでありまして、これらのことを考えると、本事業を継続して実施することによって石巻周辺に供給されていると。

平(将)小委員 副大臣、そういうことを聞いているんじゃなくて、肉の過半が南極の肉だと今説明されたが、それでいいんですね。そういう説明ですよね。だから、これを補正予算でつけたんだということでいいですね。

本川政府参考人 南極海の調査副産物のうち宮城県下に販売されている割合は、震災前でありますが、年によって違いますけれども、南氷洋でとってきたものの全国の一割から二割が宮城県に販売されております。

 それから、宮城県の水産加工業が原料としている鯨肉の過半は南氷洋のものでございます。これは先ほど申し上げたミンククジラというものをやはり多く使われるということで、過半が南氷洋のものだということでございます。

遠山小委員 この後、小野寺議員に譲ります。

 今の御説明、いろいろありましたけれども、私も、恐らくこの委員会の同僚委員も、南氷洋の調査捕鯨がだめだとか、それからシーシェパード対策がだめだとか、そういうことを申し上げているのではなくて、なぜ復興予算からこれを出したかということなんです。

 副大臣が先ほどおっしゃっていたように、来年度からは一般会計で計上するというふうにおっしゃっているということは、恐らく前回、ちょっとどさくさ紛れにこじつけ的に予算計上してしまったということを暗に認められているわけでしょう。

 それで、水産庁長官、いろいろデータを公表しているとかおっしゃるけれども、一点だけちょっと反論させていただくと、吉田農水副大臣が十月十八日に記者会見でこういうことをおっしゃっているんです。いいですか、引用しますよ。農水省の副大臣が、最初は、捕鯨って言うからな、どうして復興復旧に関係あるのかと思ったらば、捕鯨船が石巻に寄港するというものだったものですから、ああ、それなら復興復旧の一助になるなと、そう思ったわけです、こうおっしゃっているわけです。

 ところが、今、水産庁長官の御説明だと、石巻に寄港する鯨船というのはツチクジラをとっている船なんでしょう。だから、悪いですけれども、今の説明が、巧妙にいろいろ説明されているんだけれども自己矛盾しているわけです。石巻に寄港している捕鯨船はツチクジラをとっていると、今、水産庁長官は自分でおっしゃった。ツチクジラの肉というのはそんなにとうとばれていないから流通していないと言いながら、吉田副大臣には、捕鯨船が石巻に来ているから復旧復興予算でやったんですよと説明して、それで最初に違和感を持った副大臣が納得したという説明を記者会見でおっしゃっているわけでしょう。

 相手によっていろいろ話をかえながら、結局は、復興予算からこのお金をとったということの正当化だけは何とか守りたい、だけれども、実態上は、ちょっと問題があったので来年度予算からは一般会計にします、こういうことなわけでしょう。だから、これは少し非を認めた方がいいですよ、復旧復興予算からとったということについて。

本川政府参考人 吉田副大臣に、私も、今佐々木副大臣がおっしゃったようなことを御説明いたしました。ただ、そのときに、キャッチャーボートなんかに被災地の方が乗っておられるとか、そういう船のお話も少ししたものですから、ちょっと私どもの説明が悪かったものですから、吉田副大臣が少しそのような誤解をなさったのではないかと思います。

 申しわけございません。私どもの説明が悪うございました。最初私が御説明したのが正しい考え方、御説明だというふうに考えております。

岡田(康)小委員 それで、この十八億円という数字なんですけれども、いただいている資料でもありますとおり、二十一年度調査、二十二年度調査でシーシェパードなどで落ち込んだ分がちょうど十八億だったから十八億になっているのかな、こう見えてしまうんですね。

 一方で、きょういただいているレビューシートを見ますと、二十三年度は二百六十七頭だという実績が書いてありますから、これでも二十一年度と比べれば半分ぐらいにしかなっていないと思うんですね。

 そういう意味からすると、まだまだ、十八億を補填したときの考え方からすると九億ぐらい足りないようなことがこの数字からするとあると思うんですけれども、一方で、一般会計では要望しないみたいな、きょういただいているこの表みたいなところからすると、「要求せず」というふうになっていますよね。このあたりはどういう考え方をされているんでしょうか。

 つまり、独自のスリム化の計画を出させたとかそういうことも聞いていますが、そういうことでもって対応ができるんだったら、何も復興予算のときにそのようなお金を投入しなくてもよかったということになりますし、その辺の御説明をいただけませんでしょうか。

佐々木副大臣 お答えさせていただきます。

 先ほど、なぜ復興予算だったかという御質問もいただいたんですが、それは、二十二年の場合に、非常に妨害が強くて途中で帰ってこざるを得なかったというようなことがあって非常に落ち込んだというのが、今御質問いただいた部分であります。よって、復興予算でそのときは措置をさせていただいたということであります。

 そういうことで、十八億については復興予算で措置をさせていただきましたが、通常、当然、研究所の方でもスリム化あるいは経営改善などもやっていただいております。そういったことも含めて、来年度予算については一般会計で、そうした努力も含めて、当然また調査船や、監視船も派遣しますから、そうしたことで少しでも捕鯨がふえればその分だけ副産物の販売もふえるというようなことも含めて対応させていただきたいと思っております。

新藤小委員長 ちょっと、岡田君、きちんと。今、全然質問と違うことになっているよ。

岡田(康)小委員 済みません。きょうここの部屋に来て、机の上に置いてあったこの八テーマ別予算状況等調によりますと、一番下で「3要求せず」というふうに書いてありますから、これを見ると、見方が間違っているんでしょうか、一般会計でも要求しないみたいに読めるんですね。

 先ほど申しましたとおり、例えば二十三年度の捕鯨も、頭数からすると二十一年度比半分ぐらいにしかなっていないので、それでどんとまた売り上げが落ちるんだろうと思いますけれども、その分の補填をしなくてもやっていけるというのはどういうことなのかなと。

本川政府参考人 二十三年度の補正予算で措置しました経費二十三億でございますが、その中は二種類ございます。

 調査捕鯨を実施するために、これは前年度の副産物の売り上げで翌年度の調査捕鯨を実施するということになりますので、十八億多くとれなかった、少なくなったということで、翌年度出漁するために、調査捕鯨に出ていくために十八億が不足しておるわけでございます。それを補助するのが十八億の調査捕鯨の実施経費でございます。

 それからもう一つは、前年がシーシェパードの妨害が激しかったものですから、水産庁の監視船を同行させる。そのために、水産庁の監視船を借り上げてそれを同行させるための経費が五億円でございます。

 この五億円につきましては翌年度以降も必要だということでございますので、きょうテーブルの上にあったものでいいますと、先ほどの十八億は措置をしない、ただし、そういう水産庁の監視船については二十四年度も必要だということで、これは一般枠で措置をしたということでございます。

岡田(康)小委員 私が言っていますのは、監視船のことはそれでいいと思うんですよ。復興予算で十八億を放り込んだというのは、結局、それだけ調査捕鯨をするための経常経費を賄うようなお金が、どんと売り上げが下がって減収になったから措置しているわけですよね。二十三年度、結局また二十一年度比で見れば半分ぐらいの鯨しかとれていないわけですから。しかし、そこにまた補わなくてもまた次の年やっていけるというふうに見えるんですけれども、そのときそもそも復興予算でそんなに投入する必要があったのかどうかというところに疑問を感じているわけです。

新藤小委員長 本川長官、ちゃんとシステムを説明してください。

 私たちの得ている情報によっても、単純に前年度の売り上げが十八億落ちたのではないんじゃないですか。鯨類の調査研究所の運営予算が足りなくなっていて、それの補填と含めてこれは予算措置しているんじゃないかと思うけれども。ちゃんとシステムを説明してください。

本川政府参考人 前年度よりも調査捕鯨の副産物収入が十八億減少する、そうしますと、翌年にそれを持っていって調査をするわけでありますから、そこで十八億が不足するわけでございます。それを補填したというのがそのときの考え方でございます。

 一方、二十三年の、それ以前からも進めておりましたが、例えば二十三年十月以降は理事長の給与を半減にするとか、あるいは二十三年六月以降は職員の基本給を一〇%、賞与を四〇%カットするとか、そういう合理化をしてまいっております。

 それから、先ほど先生も御指摘いただいたような、今度の調査につきましてはいろいろな経営合理化を行うことにしております。例えば、船の省エネ化だとか省コスト化をするとか、あるいは副産物の付加価値を向上するような、そういう経営改善計画を描いておりますので、そういうようなもので一般会計からの補填を直ちに行わなくても実施できるような体制に持っていける、そのような見込みのもとに二十四年度は実施をしていきたいと考えているところでございます。

小野寺小委員 長官、これは誰が見たって今回違和感がありますよ。復興の予算でこうやってつけるというのはおかしい。だから、もうこれはだめということになるんだけれども、迷惑しているんだ、あなたのおかげで。

 誰が迷惑しているかというと、鯨産業の人全体が迷惑しているんですよ。こうやって、何か捕鯨がいかにも復興予算の流用の悪い人にとられてしまったら、捕鯨事業全体が困ってしまう。実際、この石巻地区だって、日本だって、やはり捕鯨というのは大事な文化ですよ。ですから、あなた方がそういう変なことをするから逆にこういうことに迷惑がかかるんだから、しっかり必要な予算はとっていく、しかも本予算でとっていく、それをはっきり言っていただきたい。

 それから、副大臣と長官にきょう聞きたいのは、この問題、今回のこの復興予算の流用で非常に大きな問題になっていますよ。これだけ問題になっていて、皆さんはそうやっていろいろなことを説明しているけれども、現地へ行きましたか、鮎川へ行きましたか。

 鮎川の現地に行ったら、きょうは委員の方いらっしゃいますが、そこで水揚げする岸壁だって直っていないんですよ。とった鯨が水揚げできない。そして、それを解体したって、それを冷やすため、保存するための冷蔵庫も製氷所もないんですよ。何にもない。そんな中で何か鯨にお金がたくさん使われている。それが、違和感を感じるのが実は現地の捕鯨に携わる皆さんの気持ちなんですよ。

 ですから、このことをぜひ、まず現地に行ってちゃんと聞いたのか、本当にこれが石巻のためになっているかどうかわかるのか、それを再確認していただいて、そして捕鯨は捕鯨でしっかりと本予算をとっていただきたい、そう思っています。

佐々木副大臣 今、小野寺委員から御指摘をいただきました。鮎川の地域の漁港の整備がおくれているというふうには私どもも……

小野寺小委員 行かれましたか。

佐々木副大臣 まだ私は行っておりません。

小野寺小委員 長官は行かれましたか。

本川政府参考人 まだ行っておりません。

佐々木副大臣 そう聞いておりますので、漁港の整備は漁港の整備でしっかり進めていかなきゃならないというふうに思っておりますし、漁港だけじゃなくて、よく御指摘をいただきますが、水産加工等についてもしっかりとこれから、そちらの復興は復興でしっかり進めていきたいと思っております。

小野寺小委員 鯨の方の予算はどうなっていますか、本予算。

本川政府参考人 先ほども申し上げましたが、妨害を排除するための船の経費をこれまで七億円の補助をしてまいりましたが、今回、水産庁の取り締まり船、監視船を同行させるための経費を上乗せしまして、南氷洋の調査捕鯨関係ではトータルで十一億の予算を本予算で、一般会計で措置いたしております。

奥野小委員 さっきの副大臣の発言で、漁港は漁港でとおっしゃっていたんですが、やはりそこは気になって、どうも縦割りになっていて、港は直っていない、製氷機は直っていない、途中で来る道路も寸断されている。それから、あそこはホエールランドという、私も見せてもらったんですが、観光施設がある、そこも直っていない。

 では、誰が全体を見ているんですか。みんなばらばらで、鮎川さんは補助をとってきて鯨の解体施設を建てています。だけれども、かさ上げもされていなくて、港は水がすぐそばまで来ているんですね。誰も全体を見ていない。

 これであの町が復興できるのか、鯨産業が復興できるのかというのは極めて疑問だと思いますので、もし本当に鯨産業、地元の復興というのであれば、全体を見てきちんと農水省の方で考えていただきたいというふうに思います。

本川政府参考人 全体については、鮎川は漁港でありますので、私ども水産庁で見させていただいて、まずは水揚げをするために、一メートル五十ぐらい沈んでおりますから、船が乗り上げないように接岸岸壁を高くする、これは応急的にやっております。

 それから、市場についても、私はまだ見に行っておりませんが、聞いたところでは、きちんと水揚げができるような形のものは建てておって、そこに、先ほど鯨は全く揚がっていないとおっしゃったようでございますけれども、私どもが聞いているところでは、六月以降、そこに水揚げをして、はかって、トラックで鮎川捕鯨さんの方に運んでおられるというふうに伺っております。

 ただ、これは資材等の関係もあって順次進んでいくものでございまして、製氷施設についてはやはりかさ上げをしないとなかなかできないものでありますから、例えば場所によっては漁港区域を広げて一〇〇%国費でかさ上げをするとか、そういうこともやりながら、順次、年次計画を立ててやっておるところでございます。ここにつきましても、二十三年度着工している地区、あるいは二十四年度着工のところ、そういうところを私どもの方できちんと見させていただきながら、御相談しながら進めているところでありまして、今後とも努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。

小野塚小委員 この事業は、ほかの事業に比べると金額が大きな話ではないのかもしれないんですが、実は本質的に大きな問題だと私は思っております。

 先ほど水産庁の長官がこの場で、説明があれだったからといってお謝りいただきましたけれども、これは、私たちが政権を担っていようとほかの政党の方々が政権を担われようと、官僚の方々を信頼した上でまさに政府を担っていかなきゃいけないときに、上がってきた情報がよくわからない、それから、これを言わなかったからみたいな話で政務の方が認めざるを得ない。全て、一事から万事までわかるわけではない中において、石巻のために、捕鯨のためにと言われて予算をつけたら、実はこういう話でありました、説明不足でありましたみたいなことを言われてしまうと、官僚の方々への信頼というのを、私たちは信頼して政務をやるわけでありますが、それができなくなってしまう。

 ということで、この場でお謝りいただいたのは結構なんですけれども、そこで副大臣にお伺いしたいんですが、こういう話になったときに、例えば、省庁の中で予算のつけ方について何か改善点とかを出していかなきゃいけないと思いますし、こういうことを指示を出してある、済みませんでしたということが省内であったならば、何か改善策は既につくられていたりとかするものなのでしょうか。この周知の場でお謝りいただく前に、省庁の中でどういう改善策をやったかというのを、あればぜひ伺いたいんですけれども。

佐々木副大臣 その前に、農水省自体としては、政務三役と幹部の会議というものを常に開いて、できるだけ情報交換をしっかりさせていただくということは取り組ませていただいております。それと同時に、行政レビューも、省内のレビューもやっておりますし、私は六月からですけれども、六月からも再度、レビューを全部見せていただきました。

 そういった中で、私がレビューしたのは二十二年度の予算でありますけれども、先ほど御答弁させていただきましたように、今回の捕鯨の関係でいえば、十八億円というのは極めて緊急避難的な要素があるということで、それはそれとして、次の年からはこういうものは一般会計にする、通常予算にするという改善をさせていただき、同時に、十八億円のこともありますが、鯨類研究所にもしっかり経営改善というものも求めているというようなことで、省内レビューの中でそういった改善点については指摘をさせていただき、それなりに改善をさせていただいたというふうに思っております。

小野塚小委員 一言だけ。

 今回のこの事業に限らず、予算のつくり方の上において、やはり官僚の方々から上がってくるものが信じられなくなってしまうと私たちは何もできなくなってしまいますので、それは網羅的に、御省におかれてもそうですし財務省の方におかれても、ぜひそこは官僚の方々を信頼できるような体制をつくっていただく、官僚の方々にはもちろんしっかりやっていただきたいんですが、それがちゃんとチェックできるようなことを仕組みとして考えていただければなと思う次第です。

 以上です。

加藤(学)小委員 先ほどの説明の中で、シーシェパードの妨害で収入が少なくなったということで次に出したという話があるんですが、鯨類研究所の収支を見てくると、もう二十年くらいからマイナス収支、二十一年もマイナスで、そして、たまりたまって二十三年の九月の決算で八億七千万円の債務超過になっているという状況があります。

 その状況の中で、例えば前年にとった収入で次の調査を出していると言っているんですが、先ほどの話ですと、北西太平洋のものも一緒になって、その中で多分やりくりしているはずなんですね。

 そうすると、この本質は、鯨類研究所のいわゆる経常収支の悪化を補填する目的のためにこの十八億円を要求したということしか見えてこないんですが、そのことについてお認めになるつもりなのかどうか。私はそういうふうにしか見えないんですが、その辺のところをはっきりさせていただきたい。

 それから、せっかくなので、九月三十日が決算だとすると、二十四年の九月三十日の決算は、せっかくこれだけの補助をした中でどのように改善したのかということをちょっと教えてください。

佐々木副大臣 常態的に赤字で経営が思わしくないのではないかという御指摘をいただきましたが、二十二年度の場合は、調査を途中で引き揚げてきたというようなことがあって極端に低いというような状況でありますので、そこは、十八億円と通常の部分とはちょっと区分けをしなきゃいけないというふうに思います。

 通常の場合においては、国策として鯨類の調査というものをやっておりますので、その調査を、申請が上がってきてそこに委託するわけですが、その委託費という形で通常の場合は予算措置をしておりますので、十八億円の場合とは少し違うということでございます。

本川政府参考人 それから、この九月末の見込みでございます。まだ確定的には出ておりませんが、ほぼゼロ、マイナスにはならないというような状況になるのではないかと推定されております。

平(将)小委員 小野塚委員から先ほど、役所の体質というか、説明の仕方に問題があるという指摘がありましたが、小委員の方にぜひ理解していただきたいのは、前回の国会版事業仕分け、行政監視質疑の結果を受けて政府から報告を受けた際に、それが不十分だということで、誰が政権をとってもそこがしっかりしないと民主主義が機能しないということで、例えば、レセプト審査の将来推計はいいかげんだったと皆さんよくわかっていますよね、それとか、公務員宿舎のお手盛り体質とかスパコンに関するサボタージュとかに対して、反省をして改善をするように勧告をしたいと思っていましたが、与党の理解が得られなかったということはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 一点だけ。さっき、石巻の肉の仕入れの部分で、南極のものが過半を占めているというのがありましたので、それを示す何か資料があったらいただきたいということと、あと、鯨の肉がなければビジネスはできませんねということなんだけれども、鯨の肉というのは何か在庫が随分余っているような話を聞いたんですが、その辺の事実関係だけ教えてください。

本川政府参考人 資料については、これは推計でございますけれども、後でお届けを申し上げたいと思います。

新藤小委員長 委員会に出してください、その資料。

本川政府参考人 承知しました。

 それから、鯨については在庫があるのではないかという御指摘をいただいておりますが、これも先ほどの、鯨の種類によりまして在庫の数量が違っておりまして、今多くある在庫は、ツチクジラでありますとか、イワシ、ニタリといったところが在庫としては多うございまして、先ほどのミンククジラ、これについてはさほどの在庫はございません。

 そういう意味では、やはり南氷洋で調査捕鯨を行って供給していく必要があるという判断をしたものでございます。

平(将)小委員 さほどじゃなくて、定量的な数字を下さい。後でいいですから。

本川政府参考人 はい。

新藤小委員長 それでは、予定した時間が来ておりますから終了したいと思いますが、私どもも現地に行ってまいりました。先ほど長官は、漁港を整備しなきゃならない、捕鯨の関係の施設を早く整備するということなんですが、大前提として、防波堤が壊れたままなんだそうです。ですから、台風が来れば、船も、今せっかく再開しようとしている施設も、全て壊れてしまいます。だから、最初にまず防波堤を直してほしい、これが地元の切実な御要望でございましたから、お伝えをしておきたいと思います。

 それでは、このテーマについては質疑を終了いたしまして、午後一時から小委員会を再開することといたしまして、この際、休憩とします。

    午前十一時五十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

新藤小委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 東日本大震災復旧・復興関連事業(道路関係)を議題といたします。

 まず、政府から説明を聴取いたします。長安国土交通副大臣。

長安副大臣 東日本大震災復旧・復興関連事業のうち、道路事業について御説明をいたします。

 東日本大震災の発生を受けて、東日本大震災復興対策本部にて決定されました東日本大震災からの復興の基本方針では、被災地の復旧復興のための施策に加え、東日本大震災を教訓として、全国的に緊急に実施する必要性が高く、また、即効性がある防災、減災のための施策について、全国防災対策として実施することとされております。

 道路事業における全国防災対策につきましては、東日本大震災において、橋梁の損傷や道路ののり面、盛り土の崩落などの被害が発生し、緊急輸送等の支障となったことを教訓として、各地域の防災計画に位置づけられた緊急輸送道路などを対象として、事業効果の早期発現が見込まれる事業に限定して、橋梁の耐震補強やのり面、盛り土の防災対策などを実施しております。

 以上でございます。

新藤小委員長 これにて政府からの説明は終わりました。

    ―――――――――――――

新藤小委員長 発言のある方は挙手をお願いいたします。

階小委員 この全国防災の関係の予算については、十九兆円という五年間の復興の予算の枠の中で大体一・三兆円ぐらいということを、以前、国会の答弁で吉田財務大臣政務官がおっしゃっていたと思うんですね。ところが、今どのぐらいいっているかというと、既に、二十四年度予算のところまでで、国費と地方を合わせて二兆円ぐらいいっています。プラスして、今度の二十五年度の概算要求でも、九千億を超える要求になっています。

 なぜこういうことになっているのかということをまず教えていただけますか。財務副大臣、お願いします。

武正副大臣 五年間の復旧復興について十九兆円ということでありましたが、これがマクロ的な推計であることは、御承知のとおり、阪神・淡路大震災の例によってということでありまして、このうち、全国的な緊急防災・減災事業については、阪神・淡路大震災の際に一・三兆円の措置が講じられたことを踏まえまして一兆円程度というふうに推計をしておりますが、ただし、この一兆円ということが、震災から一年半以上を経過する中で、緊急性、即効性の観点から、事業としての規模が、今言ったような事業になっているということだというふうに考えております。

階小委員 では、一兆という歯どめ、あるいは一・三兆という国会での答弁というのはもう全く意味がなくなったという理解でいいんでしょうか。

武正副大臣 一兆円程度という趣旨は、先ほど触れましたように、阪神・淡路大震災直後に講じられたものと少なくとも同程度の予算が必要であろうという考え方から見込んであり、必ずしも上限を示すものではないと認識しております。

階小委員 多分そこが、やはり被災地としてみると、またあるいは復興のために臨時増税に応じた一般国民にしてみても、納得がいかないところだと思うんですね。

 まず、十九兆円のうち、私も、一兆円ぐらいは全国防災に当たるだろうということは覚悟しておりました。ただ、逆に言うと、残りの十八兆ぐらいは被災地のために使われるんだということで理解していたわけですよ。済みません、十八兆というか、年金の財源の補填分がありますから、実質十五兆ぐらいだと思いますけれども。一兆は全国防災だけれども、それ以外の部分は被災地の復旧復興のために使われるという理解だったと思うんですけれども、それが違うということは、やはり被災地としてみれば、どんどん全国防災に貴重な予算の枠が食われてしまって、最後、自分たちのところにどれだけおりてくるんだろうという不安が生まれると思います。

 また、増税に応じた人たちも、被災地のためにということで応じているわけで、そこもちょっと約束が違うんじゃないかなと思うので、ここは明確な歯どめを設けるべきだと思います。

 一兆ということがもし違うというのであれば、別な歯どめもあり得るかもしれませんが、いずれにせよ、歯どめが必要かと思うんですが、その点について、ありますでしょうか。

武正副大臣 午前中からの議論にありますように、昨年、この震災の発災、原発事故への対応ということで、しかも経済的な落ち込み、そうしたことに緊急で対応しなければならない、一次、二次、三次の補正を提出する、そういった中で、国会での御議論も踏まえて予算計上をしてまいりました。そのときに、先ほど言ったマクロ推計の中での一兆円程度ということがあったわけでありますが、必ずしもそれが先ほど言ったような上限ではないといったことは、先ほどお伝えをしたとおりです。

 ただ、それに対する懸念が地元から、先ほど来述べられていることもよく承知をしておりますので、やはり来年度予算編成に当たって、全国防災の事業のあり方について、今それぞれの省庁でも厳しく精査をいただいております。そしてまた、これから行政刷新会議も開かれ、そして何よりもこの国会での御議論、こういったものをしっかり踏まえつつ、そうしたものが地元の懸念がないような形になっていくのではないかと思っております。

階小委員 この全国防災の予算を認める基準の中に、全国的に緊急に実施する必要性が高いという文言が入っていたかと思うんですが、もはや、震災から一年半以上たちまして、緊急の必要性という要件に欠けるのではないかと思うんですが、その点はどう思われますか。

武正副大臣 一年半を経過しているということは御指摘のとおりでありますので、そういった認識で、今、予算の編成に当たる、あるいはまた今年度予算のそれぞれ執行に当たっても、各省各庁において厳しく検証もいただいているということだというふうに思っております。

階小委員 最後、一点だけですけれども、長安さんにお尋ねします。

 NHKでも取り上げられた問題の沖縄の件ですけれども、落石の防護柵、あの部分というのは、別に、今回、震災の後に緊急対策として盛り込まれたものではなくて、いろいろ国交省に聞いたところ、もともとあそこの工事を計画した段階からあの防護柵というのは入っていて、ただ、優先順位が低いので今まで手がつけられていなかった。手がつけられていなかったけれども、今回、こういう予算があるので入れましたという話なんですね。論理矛盾というか、緊急に実施する必要性が高いとか震災を教訓としてという要件を満たさないので、これは非常に問題であると思っています。

 こういうものが全国防災の名のもとに復興予算に入れられるということが、やはり国民の皆さんは、裏切られたという思い、特に被災地の皆さんにとっては、なぜこういうところに先にお金が行くんだという思いにつながるんだと思います。

 ぜひここは見直していただきたいんですが、いかがですか。

長安副大臣 今御指摘のございました、これは座津武地区ののり面の対策のお話でございます。

 おっしゃるとおりでございまして、現在まで通常の予算として行ってきたのは、トンネル工事であったり護岸工事の事業でございました。これは、のり面の対策が優先度が低かったということではなくて、予算の限りがある中で先行的にこのトンネル工事、護岸工事をしてきたわけでございまして、事業全体としてはもちろんのり面の工事も一体のものとして我々は考えてきたわけです。

 そういう中で、先ほど階委員からお話ございましたように、こういった災害を受けた中で、効果の発現が早いもの、あるいは緊急的に整備をした方が国民の皆さんの安心、安全という観点から必要だ、とりわけこの道路は、御存じのように、沖縄の北側の西側、海側の、ある種一本しかない道でございます、ここが崩れてしまうとやはり緊急時に支障を来すということで、今回盛り込ませていただいたということでございます。

 いずれにいたしましても、さまざまな御意見が出ているというのは私どもも承知しているところでございまして、政府全体としての整理を見きわめながら、国民の皆さんの理解が得られるものとなるよう、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

岡田(康)小委員 先ほどの沖縄の国道の件が典型的だと思うんですけれども、その理屈、議論からしますと、ぶっちゃけて言いますと、地震対策という名のもとに、できない道路事業というのはそもそも存在するんだろうかというぐらいに思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

長安副大臣 地震に関係のないものはないのではないかという御指摘でございますけれども、今回の全国防災の事業というものは、基本的には、地域の防災計画の中で地震発生時の緊急輸送道路に指定されている、あるいは避難路に指定されているというものに限って行っているということでございます。

岡田(康)小委員 いただいたペーパーですと、「緊急輸送道路等」と、また「等」という字も入っていますし、二十三年度第三次補正で道路は千億ぐらいありますし、二十四年度当初でも三百五十億ぐらいあるみたいですので、細かく精査していけば、恐らくいろいろなケースがあると思うんですね。

 そういう中に、やはり何でもありみたいに見えてくるところもあるのかもしれないと思っていまして、そういうことからすると、民主党政権のコンクリートから人へという理念そのものが今揺らぎつつあるんじゃないだろうかという不安を感じておりまして、一般会計で見れば、あれはたしか公共事業費というのも三年続けて減らしてきていて、二十一年度当初予算と比べたら一・五兆以上ぐらい公共事業費というのは減らしてきているはずなんですね。

 しかしながら、さっき階先生からもありましたとおり、全国防災一兆という枠が国費ベースで見てほぼちょうどなくなってきていて、来年度の要望でまた九千何百億とかどんとのっかってくるものをこれからの予算編成でそのまま受けとめていってしまいますと、ずっとそういうのが続いていくのかなと思いますと、いよいよ、公共事業費を削減してきたという流れ自体を根本的に転換したみたいな形にも見えてきますので、そこら辺は質問というか意見として申し上げたいんですが、来年度予算編成に当たって、相当意識をして臨んでいただきたいと思っております。

小野寺小委員 今の復興予算十九兆という中で、既に二兆円が全国防災、そして今回の予算では九千億円ということで、三兆円ぐらいが全国防災。これも多分、必要なところは必要なんだと思います。

 ただ、私ども、実際被災地で感じますのは、実は防潮堤が完成したのは一メートルもありません。また、防災集団移転で、例えば気仙沼では四十地区八百三戸、申し込みしているんですが、実は国の方で大臣が同意したのは、そのうちの二十三地区だけです。半分ぐらいしか同意をしていただけません。そして、まだ工事がほとんどできていません。一番早くできる災害公営住宅も、二十七年の四月ということで、三年後ということになります。今、仮設住宅に住んでもう一年、約二年になります。これは一年延長しても三年になるということで、結局、一番早く復興住宅が出たとしても、そこに入るにはあと数年待たなきゃいけない。ということは、今の仮設住宅にまだまだ住み続ける、どんどんどんどん延長をお願いする。こういう、全く被災地では何も進んでいない状況があります。また、道路の復興についても、実は、例えば今回の避難道路として使います沿岸高速道路、三陸沿岸道、この道路だって、十年スパンで、最終的な建設には時間がかかるということを言われています。

 そうすると、ここで復興予算が使われてしまうと、この先、今からようやく被災地でさまざまな事業が行われるというときに、もう既にお金がなくなっているんじゃないか。二十五年度の予算要求だけで、もう既にこの十九兆を突破してしまう。一体最終的にどのぐらいになるんだ。そして、そこまで復興ということでちゃんと国は支援してくれるのかというのが、実は被災地の首長みんなが心配していることなんです。

 今回の所得税、住民税の増税、これは、二十五年、あるいは住民税は十年と言われています。それで捻出したお金が十九兆。では、この先、本当に復興するときに、さらに何兆円も必要なときに、その財源はどうするんだ、さらにまた増税するのか。こういう素朴な積み上げ足し算を考えれば、どうもこれは、あるところになったら、もう全部使い切って、あとはありません、被災地はそのまま野ざらしの状況にされてしまうんじゃないか、こういう強い危機感があります。

 ですから、この使われ方については、必要なところは必要な予算で手当てをしていただきたい。ですが、被災地はこれからお金がかかるのに、もうほとんど使い切ってしまう、こんなばかな話がどこにあるのか。そんなことがないんだということを、まず財務副大臣に聞きたいと思います。

武正副大臣 特に十九兆円のお話が出ておりますが、十九兆円については十兆円程度が国民の皆さんに御負担をお願いする増税、そしてまた、十一兆円程度が歳出カット、税外収入等ということで賄っていることは御承知のとおりだと思います。そうした中で、これは午前中から、地元の声ということで小野寺委員を初め各委員の皆さんから出ている声でございます。この十九兆円の次がどうなんだ、あるいは五年の後が、その次がどうなんだ。

 先ほどの災害公営住宅の状況についても、気仙沼市からも資料をいただいておりまして、用地取得から実施設計、造成工事、そうすると、二十七年度までどうしてもかかる、そういったところも見せてはいただいております。

 ただ、そうした中で、再度のお話でありますが、十九兆円フレームについては今後いずれかの段階で見直す必要があると考えておりますが、まずは二十五年度の要求内容について、さきに述べたような考えで、先ほど緊急性についてはという御指摘もありましたが、例えば学校の耐震など、やはりそういった意味での緊急性というのは依然あるわけでありまして、緊急性、即効性の観点からも、事業の必要性を厳しく精査しつつ、二十五年度の要求内容について精査してまいりたいというふうに考えております。

小野寺小委員 ほかにも実は、今回の事業の中で不足しているものがたくさんあります。同僚の議員からも午前中指摘がありましたが、単純な事業がないんです。かさ上げ事業。単純にかさ上げをしてくれれば、そこに新たに住宅を建て、工場を建て、復旧復興ができるんですが、単純なかさ上げ事業というのは今回ないんですよ。

 だからどうしているかというと、例えば気仙沼では、魚市場、その後ろの広大な背後地は、かさ上げする予算がないんです。そこで、都市計画を見直して、わざわざこれを全部漁港区域に指定して、これは一年かかりましたよ。そして、ことしの夏から、漁港事業でかさ上げをスタートする、これがようやく始まりました。ですが、漁港地域に指定されたために、ここに人が住めないんですよ。漁港地域に指定されたために、ここに個人の商店がつくれないんですよ。こんなばかな矛盾が被災地では起きている。

 それから、例えば個人の住宅地もそうです。個人の住宅地のかさ上げは自分でやるんですよ。ただ、例えば、そこを、土地区画整理事業という事業を使えば、それはかさ上げできる。だけれども、土地区画整理といったって、何百戸もある地域ですよ。この人たちの境界を全部設定して、そしてそれぞれに同意をもらって、土地をどう減歩したり交換するか。こんなの何年もかかりますよ。これをしないとかさ上げできない。単純にかさ上げ事業があれば、すぐ進むんですよ。こんなばかなことをやっているから、全く前に進まない。それでいて、予算がどんどんほかで使われている。被災地を本当に見殺しにしている。これが実は、今までやってきた皆さんのやり方なんです。

 被災地は黙っていますよ、苦労して。お金をもらう、増税して、もらう。だけれども、その内容でやろうと思うことが、ことごとくおかしなことばかり。

 なぜ、単純なかさ上げ事業、きょう同僚の議員も多分そう思っていると思います。現地に行って、異口同音に言われるのは、かさ上げ事業、かさ上げだけしてくれ、沈んだんだよ、今水面下なんだよ、ここをかさ上げしてくれ、あとは自分たちで頑張る。こんな単純な事業がない。それを設けないのが大きな罪。そして、それがないのに、こんなにどんどん予算が使われている。

 もう一つ言うと、例えば気仙沼は、魚市場、漁港、これが一番大事です。もう一つ大事なのは、船、造船場。造船場の復旧復興が大事です。ところが、造船場の担当はどこかというと、これは水産庁じゃないんです、農林水産省じゃないんです、国土交通省なんです。国土交通省には、あの事業、どこを見ても、造船所の復旧復興の予算がないんですよ。ですから、造船所はできないでいる。

 今一生懸命知恵を使ってやっていただいていますが、本来であれば必要なところですらお金が来ていないのに、なぜ全国で使われるのか。ちょっと、きょうはぜひこのことについて国交省からもお話を伺いたいと思います。

長安副大臣 これは当初の、先ほど申し上げましたように、復興の基本方針に基づいた中での予算の配分でございました。もちろん、小野寺先生がおっしゃるように、現場の感覚でいうと、この部分の予算というものが全くついていないじゃないかというような御指摘、これは我々、真摯に受けとめなければならないと思っております。

 と同時に、これから平成二十五年度の予算編成にもなっていくわけであります。ぜひ、野党の皆さんの御意見も賜りながら、我々、予算編成に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

新藤小委員長 副大臣、造船場が国交省の予算に、補助対象になっていないということについてはどうなんですか。

長安副大臣 今私が申し上げました、入っていないというもの、例えば土地のかさ上げ、造船所の復興のための予算、こういったものについても、二十五年度の中で手当てができるのかどうか、これは真摯に我々、検討したいと考えております。

小野寺小委員 ぜひ復興副大臣、黄川田先生にもお伺いしたいと思います。

 先生の御地元も大変な被災を受けられました。そして、同じく沈下をしたり、今、さまざまな支援の事業が必要だということになっています。ぜひ、このかさ上げということに関してのもう少し弾力的な新しい考え方、それをもっと出していただければ。

 先ほど来、グループ補助金の話でもありましたが、グループ補助金で建てられるのは、実は本体、その敷地だけ。その周辺がかさ上げできなければ、孤立した島になってしまいます。そういうことがないように、面で整備できるもうちょっと弾力性のある対応をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

黄川田副大臣 まず、前段の部分なのでありますけれども、全国防災の関係。

 発災直後は、やはり体力のある、防災に強いといいますか災害に強い国家の形成だということで全国防災も位置づけたわけなのでありますけれども、そしてまた、一般単独といいますか、自治体もそれに呼応する形で、例えば学校の耐震化とかいろいろなことも進めていこうということだったのでありますけれども、余りにもこれがひとり歩きして、本来あるべき、被災地に直接支援される事業というのがどこか欠けてきた。欠けてきたというわけではないんですけれども、少なくとも意識が、やはり自分もそうなんだけれども、発災直後の一カ月、新聞とかテレビとか報道されたあの状況の中で、被災地がどうだったであろうかというところをしっかり考えていかなきゃいけないと思っていました。

 それで、後段の部分なんですが、今ある事業の中で、メニューの中で、復興交付金ということで四十事業なんですけれども、どれを当てはめたら、浸水区域から逃れて、そして用地を確保する、切り土、盛り土の高台をつくるということなんだけれども、どうしても既存の事業に当てはめてやろうとすると、その既存の事業も、例えば区画整理なんというのは、小さな市町村でやっても、例えば五ヘクタール、十ヘクタールの区画整理でも、二十年ぐらいかかってやっているわけですね。例えば、うちのあたりでやれば、二百ヘクタールをやろうとするわけですよ。これを三年でやれということですよ。

 中には、国土調査、地籍調査が全部完成していないところもあって、そういうところでどうするんだ等々があって、そこは被災者も、行政に対するお願いだけじゃなくて、被災者個人も当事者となって、一緒になって合意形成して解決していかなきゃならないんだけれども、いずれ、どうしても今の制度に乗れない部分の中で、すき間を埋めるために、先ほど私、答弁して、復興基金とかそういうもので自治体の工夫もといいますけれども、それじゃとてもとても、みんなの声を吸い上げて現実の高台移転まで到達できるかというところが本当にあります。

 ですから、仮設住宅から本当に抜け出すのも、五年先か、下手すると五年以上を超えることも覚悟しなきゃいけないという状況の中で、本当に被災者一人一人の思いを、私も仮設の中におりますけれども、右、左見ても、みんなそういう思いであります。

 それで、被災地の小さいところでは補助メニューで何とかやり切れて動いているところもあるんだけれども、やはり大規模に被災したところ、そこの部分では、もうちょっと知恵を出すというか、何らかの対策をやっていかないと終わり切れないと思います、このままじゃ。本当に深刻に考えています。

平(将)小委員 今、階委員からの質問の中で、全国防災の歯どめというか上限が余り明確になっていないという指摘がありました。

 小野寺委員から地元の声が今お話あったわけでありますけれども、地元の人は、我々現地視察に行きましたけれども、例えば気仙沼の市長さんは何と言ったかというと、あれだけの被害を受けていて、やらなければいけないことがたくさんあるのに、本当にお金がかかるのはこれから何年か先だ、だから要求が華美になってはいけないと。被災地を知っている首長さんが、華美になってはいけないというのを心がけているというお話がありました。

 女川町長も、あれだけの被害を受けておきながら、今回の復興予算というのは半分近くは増税でお願いした、全国の国民の増税でお願いをしたんだから、何でもかんでもお願いしていいというものではありませんと言って、かなり抑制的にやっているという話をしていました。

 首長さんが口をそろえて言うのは、この使い方がおかしいんじゃないかという議論に対して、いいとか悪いとか私たちは言う立場にありませんという大変な気配りを示している一方で、彼らが何を言うかというと、本当にお金が必要になるときがこれから先に来る、そのときに本当にお金がつくのか、関係のないところにお金を使われてしまって、こちらに回ってこないんじゃないかということを一番懸念しているわけであります。

 ですから、そういう思いを財務省さんはもうちょっと重く受けとめていただいて、最終的にこれは財務省の主計がいい悪いとやってつくった予算でしょうから、少なくとも、このまま全国防災というカテゴリーでいったら、お金が幾らあっても足りないわけですよ。ですから、ある程度歯どめをやって、少なくともこのお金はしっかりと被災地に回りますよという明確なメッセージをやはり出さないと、今後の増税、具体的にはこれから始まるわけですから、理解が得られないと思うんですね。ですから、その辺、財務省はどう考えているのか、副大臣はどう考えているのか。

武正副大臣 先ほど小野寺委員から気仙沼のかさ上げのお話もございまして、十六項目でございますか、御要望をいただいた中にもそれが明確に入っております。

 今、平委員からのお話で、累次、皆様から、地元の声ということでお聞きをしております。今後の予算の確保、これが地元で大変懸念を持っておられるといったことについて、これについては、十九兆円フレームについては今後いずれかの段階で見直す必要があると考えているということは、先ほども、またそれぞれ閣僚からも答弁があったというふうに思います。

 どうしてもマクロ的な推計で、基本方針において、一定期間経過後に事業の進捗等を踏まえて復旧復興事業の規模の見込みと財源について見直しを行う、集中復興期間後の施策のあり方も定めることとしておりますので、この国会でのさまざまな御意見、また行政刷新会議の新仕分けなども踏まえて、来年度予算の要求内容についてしっかりと対応していきたいというふうに思います。

遠山小委員 私も財務副大臣にお伺いをしたいんですが、全国防災事業が大事であるという認識は持っておりますが、やはり今まで議論がありましたように、被災地における災害からの復旧作業というものが、かさ上げ等を中心におくれている。これが全体に影響しているという観点からしますと、被災地における災害復旧の事業あるいは防災事業というものと、その他地域の防災事業というのを予算の区分上きちんと切り分けて、これはもう過去のことはなかなか直しようがないと思いますけれども、来年度以降、全国防災事業と一くくりにしないで、被災地の防災事業とその他地域の防災事業ということで分けてやった方が国民の理解というものは得られるのではないか、このように考えますけれども、財務省としてどういう御見解でしょうか。

    〔小委員長退席、平(将)小委員長代理着席〕

武正副大臣 今の御指摘、ごもっともなところがあろうかと思います。国民の皆さんの気持ち、また被災地の皆さんに寄り添うといった観点から、委員の皆さんの今の御発言、遠山委員の御提起は、まさにそのとおりだというふうに思っております。

 特に、被災地以外で行われる種々の事業については、今後の予算編成過程において、大震災からもう一年半経過をしているということも踏まえつつ、変化の状況も踏まえつつ、被災地の復旧復興が最優先との考えのもと、緊急性や即効性の観点から、必要性を厳しく精査すべきものと考えております。

後藤(祐)小委員 後藤祐一でございます。

 道路の防災・震災対策で、被災地以外が、平成二十三年度三次補正で千五十七億円、二十四年度当初で三百四十三億円、合わせて千四百億円使われています。一方で、被災地は、八十億円と九十一億円で、合わせて百七十一億円しかありません。ただ、同じ予算についての、被災地における防災・震災対策でない道路事業ということなんでしょう、それも含めると、合わせると二千四十二億円、被災地向けにお金が出ているんです。二十三年度三次補正と二十四年度当初、合わせて二千四十二億円が被災地、被災地以外が千四百億円という数字をいただいていますが、この数字の割合について、基本方針で定められている「実施する施策」のイ、ロ、ハ、よく使われるところでございますが、このハの「大震災を教訓として、全国的に緊急に実施する必要性が高く、」という、これは、イ、ロに比べると、つまり被災地の話に比べると優先順位は当然落ちるわけで、そう考えた場合に、この割合というものについてどう考えるのか、これは国土交通副大臣に感触を聞いてみたいというのが一つ。

 あとは、基本方針の後ろの方、二十五ページ目に、要は、全国の方の根拠になる規定というのはどこなのかなと読むと、これは二十五ページ、基本方針を持っていらっしゃる方は二十五ページの4というところにあるんですけれども、「「逃げる」という視点も含め、ハード・ソフトの対策を組み合わせ、災害への対応力を高めた国土基盤の整備を行うなど災害に強い国土構造への再構築を図るとともに、そのための広域的な国土政策の検討、見直しを行う。」という、多分ここなのかなという気がするんです。それ以外のところは非常に具体的に、津波の話ですとか、政府の危機管理体制ですとか、避難訓練ですとか、応援体制ですとか、防災教育とか、医療だとか、すごく具体的に書いてあるのに対して、道路の話というのはそれほど具体的に書いていないんですね。

 最初の、経産省の国内立地補助金の話はかなり具体的に基本方針に書いてあるので、基本方針を踏まえてやったと言えると思うんですけれども、道路の話というのは、基本方針にそこまで具体的に書いていなくて、非常に一般的な規定から引いてやっている。にもかかわらず、最初に申し上げたような、かなり大きな割合で使われているということについて、国土交通副大臣としてどうお感じでしょうか。

    〔平(将)小委員長代理退席、小委員長着席〕

長安副大臣 今お話のございました全国防災の金額の中で、被災地の中に使われている部分と被災地外で使われている部分のお話もございました。

 これは、事業ごとによってかかる費用が違うというところがあるというのと、被災地の場合は、防災という費用ではなくて、それこそ、道路自体が破壊されてしまって新たにつくり直さなければならない、これは全国防災ではなくて復興の費用、復旧の費用となっているわけであります。

 そういった観点から、これは一概に、全国防災の割合が高いんじゃないかというのは余り言えないのではないかなと思っておりますのと同時に、全国防災の場合は事業をすぐに執行できるわけで、これは当然、地震が起こってここ一年半の中で、執行を決めるとすぐに予算として使われていくということです。一方で、例えば、先ほどお話ございましたけれども、三陸の沿岸の復興道路とか復興支援道路、これも我々、三次補正で執行を決めたわけでありますけれども、当然これは新規の事業でありますから、これから測量もしなければならない部分もありますし、土地の買収をしないといけないところ、そうなってくると、すぐにお金を執行できる事業とできない事業というのが当然出てくるということでございまして、短期で見るとそういうでこぼこは出るかもしれませんけれども、やはりこれは長期的な視点で見ていただけたらなと我々は考えているところでございます。

新藤小委員長 そろそろこのテーマについては質疑を終了したいと思いますが、御協力をお願いします。

岡田(康)小委員 済みません、最後に、意見だけで終わります。

 いずれにしましても、今後気をつけますというだけであっては、国民の皆さんの一たび失った信頼みたいなものがそのままになってしまいますので、少なくとも、ここまでのことについても解くべき誤解みたいなところも含まれていると思いますので、そこはきっちり広報してほしいと思うんですね。

 例えば、十九兆といって、そのときはまだアバウトな試算だったと思います。ただ、そのときにも、一兆という全国防災の枠を設けました。現時点で、今、一兆五百億ぐらいだと思うんですね。ここから先の要望の分がいよいよ超えてこようとしているという状況だと思います。そういう意味でも、また、財源構成的に、十・五兆は復興増税だけれども、それ以外の部分は本来一般会計で使う予定だったはずのお金であったということも、そういうことを知れば、必ずしも、復興増税で拠出したものがあんなところの道路に使われたとか立地交付金に行っちゃったとか、そういうふうではないという、お金に色はついていないですけれども、そういう線引きが見えるようになるはずなんですね。

 そのことだけでも大分納得感が得られる方も世の中たくさんおられるはずですので、私も地域で話していて、そういう方、たくさんいらっしゃいますから、そこら辺はきちっと検証していただいて、わかりやすく発信していただくということも心がけていただければと思います。

 意見です。

新藤小委員長 では、この件につきましては、これで質疑を終了したいというふうに思います。

 御苦労さまでございました。

    ―――――――――――――

新藤小委員長 それでは、続きまして、庁舎の耐震改修、アジア大洋州地域及び北米地域との青少年交流、被災地域における再犯防止施策の充実・強化及び国立霞ケ丘競技場災害復旧事業を議題といたします。

 それでは、川村国土交通大臣政務官よりまず御説明をお願いします。

川村大臣政務官 国土交通省所管の東日本大震災復興予算であります官庁営繕費による庁舎の耐震改修等について、お手元の資料、平成二十四年行政事業レビューシートにより御説明をいたします。

 東日本大震災におきましては、官庁施設が損壊するなど多くの被害を受け、その後の災害応急対策活動等に支障を来した例がございました。このため、シートの事業の目的でございますが、こうした震災の教訓を踏まえ、近いうちに発生が懸念される地震、津波等の災害に緊急に備える必要があることから、官庁施設の防災機能を強化することで、国民生活の安全、安心に資することとしております。

 次の事業概要でございますが、大きくは二つあります。

 一つは、震災により災害を受けた官庁施設の復旧であります。

 二つ目は、防災拠点となる官庁施設等の安全性確保のため、シートに記載のとおり、三つの事業を実施することとしております。

 その一つ目でございますけれども、緊急に耐震性の確保が必要とされる施設の耐震化の推進であります。多くの国民が利用する施設で著しく耐震性が低いものや、東海地震の強化地域などに立地いたします防災拠点施設の耐震改修、そして、耐震基準を満たしていない非常用エレベーターについての耐震化といった内容となっております。

 なお、耐震改修を行う庁舎は、具体的には、お手元の資料「東日本大震災復興予算(官庁営繕費)において耐震改修を行う必要がある庁舎の条件等について」に記載の要件に合致するものに限定をしております。

 再度、レビューシートにお戻りをいただきまして、二つ目は……

新藤小委員長 政務官、これは三分以内だからね。ちょっと急いでください。

川村大臣政務官 はい、わかりました。

 二つ目は、地震対策優先地域に立地する防災拠点施設における防災機能の強化であります。内容としては、自家発電設備の能力や連続稼働時間の強化などであります。

 三つ目は、津波対策の推進であります。この八月末に、中央防災会議から南海トラフ巨大地震に関する新たな被害想定も公表されたところですが、津波による浸水が想定される地域に立地する施設におきまして津波対策を行うものです。施設にいわゆる津波避難ビルとしての機能を持たせるといった改修や、自家発電施設設備などの機器類を庁舎の浸水しない位置に移動して、一部浸水した場合でも施設の防災機能を維持するといった内容となっております。

 実施方法につきましては、全て建設工事でありますので、建設業者への請負工事の発注ということになります。

 予算額、執行額につきましては、平成二十三年度第一次補正予算による被災施設の緊急復旧、第三次補正予算及び二十四年度当初予算による被災施設の復旧と全国防災を計上しております。

 具体的な予算額は、平成二十三年度が、第一次補正予算と第三次補正予算を合わせて約百四十六億円、平成二十四年度当初予算が約三十七億円であります。

 その他については、記載のとおりでありますので、説明は割愛させていただきます。

 以上であります。

新藤小委員長 次に、村越外務大臣政務官、お願いします。

村越大臣政務官 アジア大洋州地域及び北米地域との青少年交流、通称キズナ強化プロジェクトについて説明いたします。

 本事業は、アジア大洋州地域及び北米地域の四十一の国・地域との間で、青少年を我が国へ招聘し、被災地における交流プログラムや被災地視察等を実施するとともに、被災地の青少年を中心に、我が国の青少年をアジア大洋州諸国及び北米へ派遣することを通じて、日本再生に関する外国の理解増進を図り、東日本大震災からの復興促進を目的とする事業であり、約一万一千人の青少年交流を行うこととなっております。

 本事業の目的である日本再生に関する外国の理解増進を図ることは、開かれた復興に当たって重要であり、復興基本方針においても、そのために青少年交流などの交流プログラムの実施に取り組む旨が確認されています。予算額は約七十二億円となっています。

 招聘事業では、被災地の視察、交流プログラム等を通じ、被災地の青少年やそのほかの人々との交流を深め、被災地の現状及び復興再生に向けた活動の現状について正確に理解していただき、また、被災地以外の活力ある日本の姿も見てもらうことを通じ、復興に向けた日本の努力、活力を印象づけます。また、帰国後も、本邦滞在時に得た経験等を発表する機会を設け、招聘対象者外への波及効果を狙っています。

 派遣事業では、被災県の青少年を中心として、アジア大洋州地域及び北米地域各国に派遣し、各国の青少年やそのほかの人々との交流を深めることを通じて、日本の現状を正確に伝え、再生へ向けた日本の努力を印象づけることとしています。

 以上のプロセスを通じ、日本再生に関する外国の理解を増進し、風評被害に対して効果的な情報発信を行うことで、日本産品の信頼性回復、向上等を図ります。

 以上が、キズナ強化プロジェクトに関する報告でございます。

新藤小委員長 次に、山花法務副大臣、お願いいたします。

山花副大臣 被災地域における再犯防止施策の概要について申し上げます。

 法務省における本施策におきましては、東日本大震災復興基本法第三条に基づき定められた東日本大震災復興基本方針、「五 復興施策」の中の、被災地域における再犯防止に向けた取り組みとして保護観察処遇等の体制を再構築するとともに就労支援対策を充実強化し、かつ復興に向けた需要の高まりに対応した刑務作業、職業補導を実施するに基づいて実施しており、平成二十三年度補正予算(第3号)に、本施策を実施するための経費として二千七百六十五万二千円を計上したところです。

 被災地における再犯防止施策として計上した理由について申し上げます。

 平成二十三年三月十一日の東日本大震災以降、被災地からの要請に基づき、平成二十三年度末までの間、全国の矯正職員を被災地に派遣し、避難所での炊き出しや管理運営等の支援、地域住民の心理相談、児童及び保護者に対する児童精神医学上のケア、刑務作業を活用し、仮設住宅に必要な生活備品の提供などを実施したところです。

 被災地に職員などが赴き、各種支援を実施している中で、瓦れきの山を目の当たりにし、被災地においては、今後の復興に向け、小型建設機械を利用した土木等の労働需要が高い状態で継続すると見込まれたことから、刑事施設において小型建設機械の職業訓練を実施することにより、被災地の復興ニーズに応えるとともに、出所者の再犯防止、社会復帰を図るために本施策を実施しているものであります。

 小型建設機械職業訓練の実施状況について申し上げます。

 職業訓練を実施する施設としては、実習スペースの確保などの訓練環境を整えることが可能との観点から、北海道の月形刑務所及び埼玉県の川越少年刑務所の二施設で実施しているところであり、被災地で就労を希望する者を優先的に対象者として訓練を実施しているところです。

 訓練受講者のうち約七割が被災地での就労を考えている状況にあり、また、被災地の協力雇用主から訓練修了後の出所受刑者の雇用希望もあるところですので、今後、被災地での就労を希望している者について、出所までの間、被災地の協力雇用主等と調整を図ることを予定いたしております。

 本施策につきましては、被災地の復興に寄与するものと思料しているところでございますが、国会を初めさまざまな方々による御議論も踏まえまして、被災地の復旧復興が最優先との考えのもと、緊急性、即効性の観点から、今後の事業のあり方について検討した上で、適切な実施に努めてまいりたいと考えております。

 以上です。

新藤小委員長 続きまして、村井文部科学大臣政務官、お願いいたします。

村井大臣政務官 復旧復興関係予算に関し、国立霞ケ丘競技場災害復旧事業について説明します。

 本事業は、独立行政法人日本スポーツ振興センターが所管する国立競技場、陸上競技場につきまして、平成二十三年三月十一日に発生した東日本大震災により被災した箇所の修理のみを行う災害復旧工事を実施するため、平成二十三年度補正予算(第3号)のいわゆる復旧復興予算において約三億三千万円を予算措置したものであります。

 具体的な工事内容としましては、一つ目として、陸上競技場を複数に分割して構成するコンクリートを接合する部分であるエキスパンションジョイントの下部に設置された水漏れを防止するためのといの交換、二つ目としては、陸上競技場内部にある室内水泳場の内壁それからはりのひび割れの補修、三つ目としては、階段手すりのひび割れの補修などを行っております。

 これらは、老朽化対策の補修工事と異なり、全て、東京都新宿区においても震度五弱を記録した東日本大震災により被災した箇所につき利用者の安全を確保するために復旧工事を行う、まさに災害復旧そのものであります。

 なお、本事業は、本年十二月二十七日に工事が完了し、完全復旧する予定であります。

 以上です。

新藤小委員長 これにて政府からの説明は終わりました。

    ―――――――――――――

新藤小委員長 テーマごとに質疑をいただきたいと思います。

 まず、庁舎の耐震改修についてお願いをいたします。

階小委員 今、急に配られた行政事業レビューシートについてお聞きしますけれども、官庁営繕費のレビューシートなんですが、きのう党の方でお話を聞いたときには、二十五年度の要求というのは入っていなかったんですね。きょう配られたものには入っているんですよ。六十五億円弱ですけれども、二十四年度が三十七億で、これは大きくふえていますね。なぜきょうになってこの数字が出てきたのかというのと、大幅増になっている理由を教えてください。

川村大臣政務官 レビューシートで説明した方がおわかりいただけるということでございます。

 二十五年度の要求は、概算要求で要求していたものをそのまま書かせていただいたものであります。これまでの実施状況等を踏まえまして増額をしたところでございます。

階小委員 質問に答えていないんですよ。

 まず、きのうの段階でもレビューシートでは御説明いただきました。しかるに、きのうのレビューシートには、二十五年度の要求の欄は空白でした。きょうになって六十四億という数字が急に出てきたのと、あと、二十四年度より大幅にふえているのはなぜなのかということをお聞きしたいと思います。

鈴木(千)政府参考人 昨日のレビューシートで二十五年度分が入ってございませんでしたのは、当方の事務的なミスでございます。申しわけございませんでした。

 それで、額がふえているという御指摘の点なんですけれども、内訳で申しますと、まず一つは、防災拠点の機能強化というところで、津波対策、こういったところで、昨年から実施しておるところなんですけれども、このあたりがまだまだやるべきところがあるというところで、津波対策を増額させていただいたというところで大きく額が伸びているということになっております。

階小委員 これもさっきの全国防災事業と同じで、全国の官庁についてお金が使われるわけですよね。歯どめがどこにあるのかというのがわからないんですよね。これは最終的にどこまでお金が膨らむんですか。

鈴木(千)政府参考人 今現在の試算では、全体で約百億円という試算がございます。

階小委員 ということは、二十五年度でもうこれは終わりということでいいんですか。

鈴木(千)政府参考人 これにつきましても、順次やっていかなきゃいけないということで、二十五年度以降も対策としては必要だというふうに考えております。

階小委員 では、歯どめがどこにあるんですか。歯どめがないじゃないですか、順次やっていくというんなら。

 かつ、復興予算でこれをやらなくてはいけないというのが私はわからないんですね。官庁の耐震改修費というのは必要だというのはわかるんですけれども、これは復興予算で、国民に臨時増税をお願いした中でやるものではなくて、一般会計の中から庁費として行えばいいんじゃないでしょうか。

鈴木(千)政府参考人 これにつきましても、津波対策ということでございまして、全国的にやはり緊急に実施する必要がある、即効性のある防災・減災対策という施策に合致するということから、全国防災事業として計上させていただいているということでございます。

小野寺小委員 全国防災は大切だと思うんですが、実は、被災地の、例えば市役所、町役場、こういうところは、たしかこういう国の支援はなくて自前の予算、自前の市役所、町役場だから自前でやらなきゃいけないということになっているんだと思います。

 そうすると、地元では不思議なことが起きまして、国の庁舎は今、いち早くもう工事が始まって、いろいろな補修も始まっているんですが、一番住民の方が直接行くような市役所や町役場というのは、なくなったところは仮設でつくっておりますし、そうじゃないところは応急手当てをしているだけということで、私は、もし震災復興するのであれば、こういう問題の順番はまず被災地が先じゃないかと思うんですが、そういう点について、ぜひこれから、被災を受けた自治体の庁舎、これもしっかり対応していただきたいと思います。

川村大臣政務官 確かに、市町村につきましては交付金の方で対応するということになっておりまして、先生御指摘のとおり、おくれている部分がございますので、しっかり受けとめまして、検討させていただきたいと思います。

小野寺小委員 被災自治体は、実は、工場も被災してなくなりましたし、固定資産税はほとんど減免をしております。ですから、税収がほとんど上がらないのが現状でして、そういう中で、自治体の独自財源あるいは交付税の算定、そういう中で、なかなか復旧、自前のところの役所をまず真っ先に直すというのができない状況にあります。

 率直に言うと、被災地の自治体の首長は、自分の役所の耐震補強をする前に、まず今仮設に住んでいる方の復興住宅をつくるのが先だということが普通の人情だと思っています。その中で、隣の、国の役所だけがどんどん立派になっていくということになれば、これは被災住民からどのように思われるか、そこはぜひ現地を見ながらしっかり対応していただきたいと思います。

川村大臣政務官 御意見はしっかり承りたいと思います。

新藤小委員長 検討されるということですか、今お話しされたのは。

川村大臣政務官 いろいろな御意見を踏まえて。

後藤(祐)小委員 後藤祐一でございます。

 私も全く、今、小野寺議員のおっしゃることと同じ問題意識で、むしろ市町村の、特に壊れてしまって完全に建て直さなきゃいけない庁舎がこれからどうなるのかということを考えた場合に、今、仮設でやっているわけです。総務省に聞いたところ、地元に聞くと、まずは全体の復興を全部完了してから、最後の最後に市役所の本庁舎を建て直す、その順番は当然最後にせざるを得ないというようなことをおっしゃっておられる。ただ、そのときに、今、震災復興特別交付税で対応されている、要は交付税措置だと思うんですけれども、そのお金がそのころまで残っているかどうかということだと思うんです。

 ぜひ財務省に御判断いただきたいんですけれども、国の庁舎を二十五年度で予算措置するよりも、かなり遠い将来に、私は陸前高田もこの前行ってきましたけれども、当然、仮設庁舎でやっておられました。本庁舎がいつか建つんでしょう。そのときの交付税のお金に、むしろ財源をとっておくためにも、来年度の国の庁舎の耐震については復興財源でやることはやめて、一般財源でやる分はもちろん優先順位の中でやられたらいいと思いますけれども、被災地の市町村の庁舎を優先する、時間軸でもって後ろの方でちゃんと対処してあげることを約束すべきではないでしょうか。副大臣、どう思われますか。

武正副大臣 それぞれの被災地で、仮の市役所というんでしょうか、プレハブで懸命に地域の復旧復興に役所の皆さんが取り組まれていること、また、人的な被害もそれぞれの役所では受けているわけで、その中で、隣接初め全国から応援を受けて懸命に取り組まれていること、いろいろな場面で拝見をしております。

 今御指摘の庁舎について、御指摘のように震災復興特別交付税を充てることになっているわけでありまして、それをやはり将来ふやすためにも、今の御指摘は、その庁舎の二十五年度の分の見直しをといったことを御提起いただいたというふうに思います。

 これについても、それぞれの省庁で、今回三要件ということで先ほど政務官からお話があった観点からそれぞれ予算要望が出て、また、一年で終わらないものですから、二十三、二十四、二十五というような形での予算措置もされているといった事情の中で、きょうの御議論も踏まえて、それぞれの省庁はもちろんですけれども、我が財務省も含めて、しっかりと御意見を踏まえて検証し、対応していきたいというふうに思っております。

新藤小委員長 このテーマは約十分ずつやって、そうすると、あと残り十分ありますので、最後にまた総括でやらせていただきたい、このように思います。

 したがいまして、続いて、アジア大洋州地域及び北米地域との青少年交流について。

平(将)小委員 まず、この事業、ベースになる事業があったのかどうか。この事業のベースになるオリジナルの事業はもともとあったのか、なかったのか。

村越大臣政務官 本事業は、事この復興のために企画されたものだと理解しています。

平(将)小委員 そうすると、これは復興のためだけにつくったオリジナルの事業ということでよろしいですね。

村越大臣政務官 そのとおりでございます。

平(将)小委員 財務省、よくこれを認めましたね。

 さっきからいろいろな議論をしていますよね。復興のその被災地ですら、これからお金が足りなくなるから華美な要求はしないと抑制的にやっているんですよ。そういう資金をこういう事業に認めたというのは、財務省、どういう考えで認めたんですか、これは。

武正副大臣 私も外務副大臣をやっておりましたので。

 これはJENESYSということで、アジア太平洋の青少年との交流という事業が、たしかこれは福田内閣のときにスタートして、五カ年というような形であった事業だというふうに思っております。

 今回は、それに復興という観点から、対象をアメリカに広げ、そしてまた被災地を見ていただこうという事業ということで、先ほど午前中も申し上げましたが、百数十の国からの御支援をいただいたこと、そしてまた風評被害などをなくすといった観点から、こうしたものを予算化されたというふうに認識しております。

新藤小委員長 今、村越さん、外務省は、今回の復興のために企画された事業であると。一方で、財務省の方からは、JENESYSという事業が本体にあって、その延長にあるのではないか、こういう御見解でしたけれども、これは統一してもらいたいと思いますが、いかがですか。

村越大臣政務官 あくまで制度の趣旨が違いますので、このキズナ強化プロジェクトに関しては復興単独の企画であるというふうに理解しています。

平(将)小委員 こんなふざけた答弁をされたら、まともな議論はできませんよ。全然違うでしょう。

 では、副大臣が言っていることが間違っているんですか。議論のベースになるレベルじゃないじゃないですか。あなたは副大臣でしょう、武正さん。大臣政務官でしょう、こっちは。

武正副大臣 私の答えたのは、今までそういった東南アジアとの交流というものがあって、今外務政務官から、これは復興のための予算計上であると言ったことは、それは外務省としての考え。私が最後に言ったのは、そういった類似の事業というか、その延長で、今回事業化、予算化がされているということです。

平(将)小委員 政府なんだから、もっとしっかりしてもらわなきゃ困るんですが、もうこれは言ってもしようがない、時間が無駄だから。

 だから、オリジナルの事業だったら認めちゃだめですよ、財務省は。そういうことでしょう。

新美政府参考人 御説明させていただきます。

 今財務副大臣の方からも御説明ございましたとおり、今までJENESYSという、アジア大洋州と日本の青少年交流の事業を外務省でしていたのは事実でございます。そういう意味で、形の上で、つまり青少年の交流という実態面を見ますと、JENESYSというのと今回やっておりますキズナというのは、外象的には似ているところがあるのは事実でございます。

 他方、私どもの政務官の方から御説明いたしましたとおり、今回のキズナプロジェクトというのは、まさに、復興の基本方針の中で、青少年交流というのが明記してございまして、それに基づきまして、日本再生に関する外国の理解増進を図る、そのことが開かれた復興にとって大事であるという目的で行ったわけでございまして、形態的に見れば、財務副大臣の方から御説明ございましたとおり青少年交流という形でございますが、目的としては、復興ということで、全く異なるということで御予算をいただいた次第でございます。

小野寺小委員 それではお伺いしますが、このレビューシートを見ると、被災地の青少年を派遣するというふうになっていますが、この二十三年度事業でどのぐらいの方を派遣し、そしてそのうち被災地の方はどのぐらいいるのか。

 というのは、私は、いろいろな海外の団体から、昨年の夏、ことし、海外に行くという招聘をいただいたんですが、これはほとんど諸外国からの招待であって、日本政府が派遣するからセレクトしてくれとか、派遣の壮行会とかというのは一度も出たことがないものですから、これだけのお金を使って一体どれだけの人を被災地から派遣したかを教えてください。

新美政府参考人 小野寺委員からの御質問に対してお答え申し上げます。

 招聘については、先生御承知のとおりだと思いますから今ここでお答え申し上げませんが、派遣の方につきましては、例えばアジア大洋州への短期の派遣については、これは九月末のとりあえず締めの数字でございますが、八百五十九名の方々がアジア大洋州の方に行っていただいている。(小野寺小委員「どこから」と呼ぶ)

 これは主として被災地におられる方でございますが、八百五十九名のうち三十一名については、被災地に現時点で所在しておられませんが、被災地においてボランティア等の活動を行った方、三十一名が入っております。(小野寺小委員「宮城県は何人いますか」と呼ぶ)

 済みません、今ちょっと県別の数字を持っておりません。(小野寺小委員「それがないとわからないでしょう。被災地とあなた方は言うけれども、宮城県が何人いるか」と呼ぶ)

新藤小委員長 では、後ほどきちんと資料を出してください。

小野寺小委員 もう一つ、招聘のレビューシートを見ても驚いたんですが、例えば、被災地を見るといいますが、これは南会津、会津じゃないですか。私ども、会津を被災地とは誰も思っておりません。被災地というのは沿岸部、もしくは福島のいわきを中心とする状況だと思うんですが、全然被災地に来ていない中で、何か被災だということで無理やりこの日程表をつけたのであれば余りに不誠実だと思いますが、全くこれは意味のない内容になっております。

 それから、このレビューシートには書いておりませんが、裏の資料を見ると、二十五年度もこれは予算要求しているんですね。なぜレビューシートに載せないで後ろの方にこっそり二十五年度もさらに予算要求をしているのか、教えてください。

新美政府参考人 私どもの理解では、今回の私どものプロジェクト、招聘、派遣ともに、いわゆる定義として、被災地に関係するところをお呼びする、あるいはお送りしているという理解でおります。

 来年度でございますが、これは今回、キズナプロジェクトについての御説明ということで、先ほど申し上げましたように、このキズナ強化プロジェクト、まさに震災の関係のプログラムという目的で、予算を二十三年度の補正でお願いいたしまして、御予算をつけていただいたわけでございますけれども、このキズナプロジェクトについては、来年度あるいは来年度以降、予算要求の予定がございませんので、特にここでお配りいたさなかった次第でございます。

小野寺小委員 新美さん、何でこんなことを言うかというと、私、被災地で常にいろいろなこういう情報を知っているんだけれども、少なくともこの事業の話を一度も聞いたことがないんだよ。

 だから、一体誰を派遣していて、招聘して一体どこに連れていったのか。被災地を見ているのであれば、恐らく気仙沼とか南三陸以外のところの人をたくさん連れていったのかもしれないけれども、少なくとも何かあったらうちに情報があるのに、私が知らないということはちょっと納得できないので、後でわかるように教えてください。

加藤(学)小委員 先ほどの関連ですが、これはもともと、二〇〇七年から五年間やっていたJENESYSが三百五十億で、五年間ですから七十億です。ちょうど似たような額を、五年間で終わったものですから、うまくここに押しつけて、キズナという名前だけつけて七十二億で出した。その証拠に、その次の年、二十五年にまた、ちょっと減らして六十五億で要求しているということですから、明らかにこれは連関性を持って行われているということでございまして、いろいろそこの、復興のためとか日本再生に資するというのは後づけの論理であって、結局のところ説得力がないんじゃないかと私は思うんですが、どのように考えるでしょうか。

村越大臣政務官 ぜひ一度、受け入れ側であったりあるいは訪問した方々の感想の声のようなものがまとめられていますので、後ほどこれはお届けしたいと思いますけれども、例えば茨城の消防署の方であったり漁協の方であったり、あるいは岩手の鉄道会社の方であったり、いろいろな受け入れ側の方のアンケートの声というのが手元にございます。大変皆さん、一同、やってよかったと。つまり、外国の方々をお招きして、例えば茨城であれば、海岸線のごみ拾いを外国の方々がして、海岸をきれいにして、観光に大いに役に立ったと。

 つまり、地元が汚染されて観光に来るに値しないというようなことがないんだということを、その方々が帰国をされてどんどん発信されている。そういう国際的な人材交流を通じて風評被害を防ごう、そういう目的でこれはやっていることでありますので、何しろ地元の方々が大変感謝をしてくださっています。ぜひそういうものを一度、資料をお届けいたしますので。

 そういう意味では、決して無駄な事業だというふうには思っておりませんので、ぜひとも御理解をいただきたいと思います。

遠山小委員 私も以前、外務省で政務官をさせていただきましたし、この間、この委員会の有志の勉強会の席上でも申し上げましたが、青少年との交流事業そのものがだめだということは一度も申し上げておりませんし、私の同僚委員もそういう人はほとんどいらっしゃらないと思うんです。

 問題は、この委員会できょうテーマにしているのは、本当に復興予算を使ってやる事業に値するのかどうかという観点でございますので、外務省の皆様も、決して皆さんの青年交流が悪いと言っているわけでもないし、そこに何のベネフィットもないと言っているわけではないんです。

 その観点から少し申し上げれば、私も被災地に、これまで大震災後、十九回ほど行ってまいりました。特に私が担当しておりますのは、党内の区割りですけれども、陸前高田とか釜石とか大船渡という町々でございます。もし外務省が復興の予算の中からこういう事業をやるのであれば、先ほど来、小野寺先生が気仙沼周辺を拠点にされている議員として申し上げておりますけれども、例えば岩手で申し上げれば、陸前高田とかあるいは釜石とか大船渡とかというところにいらっしゃる子供たちは、まさにほかの地域、同じ被災地でもほかの地域の青少年とは全く違う体験をしているわけです。そういう方々の話がダイレクトに外国に伝わるのであれば、今外務省の皆さんが御説明されているような趣旨がもう少しはっきりわかるんだろうと思いますが、それがもう本当に少ないとか、あるいは、外国の方を連れてきても、南会津町に行って研修をするということであれば、南会津では恐らく津波の話なんというのは、誰も自分の体験として語れないわけです。ですから、そうなりますと、青少年交流事業をやりたいのであれば、復興予算を使わないで正当化してやればいいのであって、復興予算を使うからにはもっと考えなきゃいけない。

 それからもう一つ、これは提案でございますので特にコメントは要りませんけれども、外国の若者との交流で被災地の復興のためになるというのであれば、例えば、外国のボランティア組織やNGOの若い方々で、日本のNGOが受け入れ団体となって、被災地にとどまって、外国人だけれども現地で一生懸命いろいろな復興のお手伝いをしたい、例えばそういう方々の滞在費とか、そういうことを外務省の方で予算をとって手当てするというような姿勢があれば、ああ、それは本当に目に見える形で復興に役立った外国との交流ですねとなりますが、やはり、私もプログラムを見ましたけれども、観光に少しおまけで被災地支援の要素が、被災地支援というよりも、若い人たちですから被災地の理解ですね、ということが入っているようであると、なかなかちょっと理解が得られないような被災地の皆様の心情であるということは、外務省としてやはり真摯に受けとめなきゃいけないということだけ申し上げたいと思います。

岡田(康)小委員 先ほどの遠山先生のお話、本当にごもっともだと思っていまして、私もこの間の七月の民主党内の縦割り弊害の重複チェックの仕分けのときに参加をしていて、まさにこれも対象だったんです。そのときにも思ったんですが、同じ外務省さんの事業でも、例えばCNNに番組をつくってもらって感謝の気持ちとか復興の状況を伝えるというふうなお金の使い方もしているじゃないですか。そういったことは多分理解が何とか得られるラインだと思うんですよね。

 こういったものまで来ると、ちょっと、今いろいろ御指摘があるわけでありまして、今後こういうことが再発しないようにということを考えたときに、復興に絡むことで何か各省でできることはないかと言われて、よかれと思ってあれもこれも出していかれるわけじゃないですか。いろいろな資料を見ていましたら、刷新会議が何やら各省に対して方針を示すというふうなことを一旦決定されていたというふうな文章もあるんですけれども、そういったものが実際どんなものがあったのかとか、もしくは、よかれと思って挙げたものが、ああ、通っちゃったよみたいな形で、こういうことも全部できるようになってしまったということからすると、二月に発足された復興庁さんにこれからどんなことが期待されるのかというところにもつながってくると思うんですけれども、そこら辺、ちょっと何か御答弁とか御感想がいただければと思うんです。

村越大臣政務官 先ほどの遠山先生のお話ともちょっと重複する部分があるかと思いますけれども、例えば、被災地の子弟がアメリカに出かけていって、自分の被災の際の経験を現地の方々にお話をして、それがメディアに取り上げられたりというようなことが実際にされています。

 そういうことが余り投資に見合った効果がないんじゃないかというふうに御指摘があるかと思うんですけれども、そういうふうに、我々政府だけではなくて、民間の被災された方々が実際に外国に出かけていって自分たちの経験をお話をする、そういう民間の交流を我々外務省がサポートすることで、風評被害を防いだり、さらなる被災地へのサポートをお願いしたり、そういう意味で、一定の効果がこの事業にはあったんじゃないかなというふうに私は思っています。

吉田(統)小委員 根本的に、遠山先生、岡田先生の話、そのとおりなんですけれども、政務官、ボランティアの意味を履き違えちゃだめですよ。これはボランティア活動と書いてありますけれども、こういう書き方はだめです。これはボランティアを本当にやっている人に失礼ですし、いいですか、さっきの遠山先生のもまだ僕はもっと甘いと思うんです。

 私も、外国、日本、そしてアメリカに行ったときも、ボランティアで医療を提供する側に入っていたんですけれども、本来は彼らはただで来るんですよ。ただで助けに来る。そこを少しだけサポートしてあげるだけでも彼らは来てくれるんです。例えば、通訳をつけてあげる、お金はあっち持ちだけれども住居の確保だけこっちがしてあげるとか、本当に重要な交流というのは僕はそういうことだと思いますよ。そういうふうな思いで来たボランティア団体、そして、あちらの学生、大学生、高校生が本当の日本の姿を見て、その日本の情報を発信していくんだと思います。

 ボランティアという言葉を履き違えちゃいけないし、交流によって発信される情報というのは、真の情報を提供するためには、政務官、やはりそういったことをしっかり考えていただきたいと私は思います。

小野寺小委員 政務官、どんな説明を受けてここで話しているかわからないけれども、基本的に、今回、私の経験では、青少年をたくさん海外に招聘してくれたのは他国の支援ですよ。そういう支援の会にはみんな、送り出す会には私も出て御礼を言い、その後、在外公館を訪ねて御礼を言うことをやっているわけ。少なくともこの外務省の事業は、僕らは地元で知らないから。

 だから、あなたがそういうふうに言うんだったら、ちゃんと、全部、この八百何十人の方が被災したところからみんな派遣されて、しかも、子供たちだから、行けるというのは、基本的には例えば小学校とか中学校が夏休みとか、休みの期間しかないわけよ。そういうところでみんな派遣しているはずだから、証拠をちゃんと見せてくれよ。じゃないと、何か、あなたが言っている話は、私には全然腑に落ちない。

新藤小委員長 では、後でまた時間があれば言ってください。

 続いて、被災地域における再犯防止施策の充実・強化について。

階小委員 これの事業シートを見ますと、事業概要は、「受刑者の出所後の円滑な就労を支援するとともに、被災地の復興需要に応えるため、月形刑務所及び川越少年刑務所において、」云々かんぬんとあって、行われたのは北海道の月形刑務所というところと埼玉の川越少年刑務所なんですね。

 ところが、そもそもこの職業訓練という事業を復興の事業に入れる前提となった震災復興の基本方針では、「被災地域における再犯防止に向けた取組みとして、」「就労支援対策を充実・強化し、」となっているわけで、ここに大きな矛盾があるわけです。

 なぜ被災地域における再犯防止に向けた取り組みが北海道とか埼玉で行われるのかということを御説明いただけますか。

山花副大臣 まず前提として、被災地ということで言うと、既に宮城の刑務所、仙台管内における宮城の刑務所で実施をいたしております。宮城刑務所以外の東北地方の刑事施設については、実習スペースとか訓練環境の拡充などということで困難がございました。

 その上で、月形、川越ですけれども、例えば川越については、これは関東であります。関東も被災県がございます。また、これを九州とかと比べますと、例えば九州でこういう職業訓練を実施したとしても、そこから例えば協力雇用主の方にお願いをして被災地との社会復帰のマッチングというのが大変困難ですので、近いエリアということで月形を選んだという経緯でございます。

階小委員 もっと言えば、きょう手元に配られている東日本大震災復興関連事業チェックシートの「事業所管部局による点検」の一項目めのところを見ると、「「復興への提言」において、「被災地や避難先において犯罪を防止する取組が行われるべき」」ということが書かれてあることを踏まえて、この事業というのはされているわけですね。

 なぜ月形とか埼玉の川越でこういった事業をすることが被災地や避難先で犯罪を防止することにつながるのかというのがわかりません。どうしてですか。

山花副大臣 これは、職業訓練をしてもらって、そして社会復帰をする。一つ、ちょっとこの課題とはダイレクトじゃなくなっちゃうかもしれませんけれども、今、再犯防止ということを非常に大きなテーマとして政府全体で取り組んでおります。(階小委員「それは復興とは関係ない」と呼ぶ)いや、つまりは、再犯をしない、その地域で再犯が起こらないようにするためには、手に職を持たせるというのは大変大事なことだと思います。

 そして、先ほどちょっと笑っておられる方がおられましたけれども、例えば、管区内で処遇している施設におる者というのは、大体その管区内で罪を犯したケースが多いということでありまして、要するに、離れているところではなくて近接しているところですと、被災地の方もその刑務所にいたりするということで、スペース等の関係とあわせてその二つを選んだということです。

 川越については、例えば千葉であるとか浦安であるとか、そういうところも被災地でありますから、そこについて実施をしているということです。

遠山小委員 山花副大臣、今の答弁はかなり無理があります。副大臣自身のお言葉で、北海道の管区内で罪を犯した人が北海道の月形刑務所にいるとしたら、刑務所を出た後は北海道で就職すると考えるのが普通であって、それを、東北の復興現場で働くからショベルカーを復興予算で買いましたというのは、ちょっとというか、かなり無理があると思います。

 それから、今はどうして月形と川越かという話でしたけれども、今度は別のことをお伺いしますが、参議院の決算委員会で山花副大臣御本人がこういうことをおっしゃっています。出所後について、訓練受講生のうち約七割が被災地での就労を考えているという状況、また、協力関係雇用主というのがありまして、そこで約五十社が雇用を希望している状況にございます、こういう御発言をされています。そのまま引用しています。

 まず最初にお伺いしたいのは、訓練受講者のうち七割が被災地を希望しているかどうかという調査を行った時期はいつですか。それから、協力雇用主も、新聞では四十九社となっていますので、約五十社でいいでしょう。この五十社の協力雇用主が出所後の彼らを雇いたいということを法務省がつかんだのはいつなんですか。それをまず聞きます。

山花副大臣 いつかということにつきましては、先々週の月曜日に法務大臣から点検をするようにという指示がございましたので、それを受けまして、十月に入ってからです。ごめんなさい、ちょっと具体的な日時はあれですけれども、先々週の間に、約一週間の間で、一つは……

遠山小委員 いや、それでいいです、時期がわかれば。

 副大臣、そうしたら、これは今月の上旬に調べたわけでしょう。ということは、この予算をつけるときにはそんな調査はしていないでしょう。ということは、この予算をつける段階では、刑務所内の訓練受講生の七割が被災地に就労を希望しているということは全くわからない。それから、協力雇用主五十社が、月形刑務所と川越刑務所を出所した、ショベルカーを使って訓練を受けた人たちを雇うということもわからないまま予算要望して、財務省が認めて、予算がついたんじゃないですか。

 それは、マスコミの指摘どおりですよ、後づけなんです。NHKが報道してから一カ月以上たってから法務省が調査して、ほら、私たちが言っていたとおり。だけれども、それは予算要望の段階でそうなっていなければおかしいじゃないですか。副大臣、違いますか。

山花副大臣 まず、後づけではないかという御指摘ですけれども、要するに、予算をつけた後、大臣からの点検せよという指示があったものですから、それに基づいて十月の段階で調査した結果がこうでありましたという報告でございます。

 予算をつけた時点については、済みません、事務方から答えます。

三浦政府参考人 先ほど副大臣が御説明されました、受講者の希望の割合ですとかあるいは協力雇用主の関係で、実際の具体的な数字を把握したのは今副大臣お話しになったとおりでありますけれども、予算要求の段階で私ども考えておりましたのは、冒頭の概要説明でもありましたけれども、それまでの間、矯正としましていろいろな形で復興支援あるいは被災地のいろいろな支援の活動を行ってまいりました。その中で、一つは、瓦れきの状況であるとかあるいは今後のいろいろな復興、再建の……

新藤小委員長 局長、ニーズ調査を予算要求のときにしてあったのかということが今の論点ですから、そこの部分に絞って答えてください。

三浦政府参考人 はい。具体的な調査をしたわけではございませんが……

新藤小委員長 では、そういうことね。

遠山小委員 そういうごちゃごちゃはやめた方がいいよ、本当に。いいかげんにしてほしいね、本当に。

 だから、私は前にも指摘しましたけれども、川越と月形刑務所に何か私たちは恨みとか文句があるわけじゃないんですよ。要するに、東北の復興予算を使っているということが問題なんだ。それに対して法務省の説明は、東北の復興現場で働く労働者の需要があるからこの二つの刑務所でショベルカーを買って職業訓練しますといって予算をとったんでしょう。

 私が以前聞いたときに、では、その二つの刑務所を出た元受刑者が東北で復興に働くように法務省が強制できるんですか、できません。出所した後にどこで働いているか追跡調査できるんですか、できません、人権問題になりますとおっしゃったでしょう。

 だから、もともとが根本から崩れている。それを、山花副大臣が国会で合理性、必要性があったと言うために、今月の上旬に調査しているんじゃないか。後から全部やっているんでしょう。今月ということは、予算執行が始まったのは四月ですから、六カ月もたっているじゃないですか。それは全部詭弁だよ。そういう言いわけをしちゃいかぬ。

 だから、これは明らかに便乗予算計上なんです。しかも、場所は北海道と埼玉の刑務所じゃないですか。岩手や宮城とか福島だったら、まだ少しはわかる。

 副大臣、これは全然納得できませんよ、本当に。二度とこういうことはやりませんと謝罪してもらわなきゃいけない。

吉田(統)小委員 本当に遠山委員の思い、よくわかりました。

 まず、本当にこれは復興予算でやるべきものかどうか、よく考えた方がいいです。

 だって、本当に職業訓練をしたり雇用支援をするんだったら、まず、それは被災地にいる方で、被災された方を先にやるべきなんじゃないんですか。それよりも、いろいろな理由をつけていますけれども、刑務所の方々をそれより優先してお金をつけてやるということ。我々、この日本国が今考えるのは、被災者の方に寄り添うのか、それとも刑務所にいらっしゃる受刑者の方に寄り添うのかということは、これはよく考えた方がいいですよ。

 なぜかというと、例えば、家もそうです。仮設住宅に住んでいる方がたくさんいらっしゃいますね。かなり寒いところもあるでしょう。かなり不便なところもあるでしょう。刑務所と比べてどっちが快適かとは言いませんけれども、刑務所の方々はそんなに御苦労されていないです。私はなぜ知っているかというと、大学病院に勤めていたときに、刑務所に医師として派遣されていたからなんです。

 医療費だってそうです。今、確かに窓口負担だって、全部、被災地域、福島と特定地域はただですけれども、二十四年の九月でこれは切れて、今新たな仕組みの中でだんだん縮小されていっているんですよ。ただ、刑務所の受刑者の皆さんはただですよ。僕は、大体幾ら刑務所の方々の医療費を使っているのか、ちょっと今教えてほしいです。

 私が言いたいのは、本当に思いとして、被災者の方たちが納得するお金の使い方をしなければ絶対いけないということなんです。自分たちも職業訓練をしたいでしょうし、仕事も欲しいでしょう。それよりも先に、わけのわからないこういう形での支援等予算づけをされるということが、本当に被災者の皆様が御納得されると思うのかどうかという、この一点だけお答えいただけませんでしょうか。

 あと、刑務所の医療費を教えてください。

山花副大臣 まず、被災地を優先ということで申し上げますと、先ほど申し上げたとおり、宮城の刑務所でまず実施をしているということでございます。

 あと、矯正を預かる立場といたしましては、刑務所に入っている人たちをただ懲らしめて痛めつけてという話ではなくて、この人たちは、いずれ社会に帰っていかなければなりません。どういう罪を犯したのか、そして、その人たちがこれからどういう生き方をしていくのか、そのことをちゃんと自省してもらうということが大事です。

 その中で、被災地で働きたいという思いを持ってもらうということは、これは我々としては大事なことであると思っております。

奥野小委員 非常に苦しい答弁に聞こえるんですが、これは来年も、きのうのこの横紙、きのうもらったのかな、今置いたのかな、このペーパーを見ると、二十五年度予算措置と書いてあって、復興予算枠と書いてあるんですが、これはまた同じ事業を来年度予算要求をされるということなんですか。

山花副大臣 先ほど申し上げましたとおり、これについてはいろいろな要素がありますので、予算要求をするかどうか検討します。

 ただ、ちょっとこの刑務所の話に関して申し上げますと、二十三年度の補正予算で機械を買ったというところが大変大きなもので、二十四年度予算については、教材費と受験料の六十八万三千円というのが金額であるということでございます。

新藤小委員長 山花副大臣、二十五年度は予算概算要求をもう出しているんだから、しているのかしていないのか今考え中ということはあり得ないんじゃないんですか。

三浦政府参考人 今話題に上っております職業訓練の関係につきましては、二十三年度の補正予算でショベルカー等を購入したものでございますが、今後は、この事業の継続としては、教材費、受験手数料をいただいて、それを各年度繰り返していくというものでございますので、二十四年度予算でいいますと六十八万三千円でございますし、それ以降も同様というふうに考えております。

新藤小委員長 二十五年度概算要求にのっているかのっていないかという御質問ですよ。

三浦政府参考人 のせているものでございます。

遠山小委員 済みません、のっていてもいいんですが、それは財源は復興予算を使っているんですか、使っていないんですか。そっちが問題なんです。

 先ほどから、副大臣、誤解していただきたくないんですが、別に刑務所内で職業訓練をやることは全然いいんです。要は、なぜ東北の予算からとったのかというところを我々はこの委員会で今追及しているわけですから、そこの話だけなんですよ。

 だから、職業訓練の正当性について長々と述べていただく必要はなくて、その二十五年度の概算要求というのはどの財源でやっているんですか。

三浦政府参考人 復興予算でございます。

岡田(康)小委員 予算要望を今度審査される段階で一つの判断基準として持っていただきたいなと思いますのは、さっきの鯨にしてもそうなんです。うちの選挙区の税務署もどうやら入っているみたいでして、こういったものもそうなんですが、要は、震災によって毀損をしたもの、機能が失われたもの、それをもとに戻す、ないし新しいものにかえるとか、そういうものはいいんですけれども、そうじゃなくて、震災で例えば鯨がとれなくなったわけではない、あれはシーシェパードでとれなくなったわけです。

 そういった、震災で毀損もしていない、ダメージも受けていないところに、これは震災の復興に役立つはずだということで出てくる予算要望というのは、これは相当厳しい目で見ていただかないといけないということだと思いますので、そこはぜひ御留意いただきたいと思います。

新藤小委員長 では、続きまして、国立霞ケ丘競技場災害復旧事業についてに移りたいと思います。

後藤(祐)小委員 後藤祐一でございます。

 この事業は独立行政法人日本スポーツ振興センターが行っておりますけれども、ここはサッカーくじをやっておられて、大変売り上げが上がっております。

 二十三年度の売り上げは、目標額六百三十億円に対して八百二十七億円を売り上げていて、二十三年度の収益は、当初目標額百五十六億円に対して二百四十三億円の収益が立っている。さらに、BSを見ると有価証券なんかがどんどんふえているという中で、この改修、三・三億円は自己手当てできたんじゃないんですか。

 逆に言うと、これは国が、独法がやっているからこういう形でお金が出ますけれども、例えばこれが地方公共団体が持っている競技場だったらどうだったかとか、あとは民間施設だったらどうだったかと考えると、かなり恵まれている状況の中で自己手当てさせなかった、その判断はいかがなものかと考えますけれども、これまで党内で、こういった予算に切り込みを大変激しくやっておられた政務官の御見解を伺いたいと思います。

村井大臣政務官 はい、ありがとうございます。

 確かに、日本スポーツ振興センターというのはさまざまな予算を持っているというのは事実で、また、今後の国立競技場についてもさまざまな予算の使い方があるんですが、そもそも今回の予算、皆さん方にちょっと説明しておきたいのは、これは全部が全部、今問題になっている東日本大震災の復旧予算を使ったわけではないんです。

 国立競技場の今回の補修費予算は十五億円で、そのうち三億円だけ東日本大震災の復旧予算になっているんです。ほかの財源もあるんじゃないかというのは確かにそうなんですが、ではその三億円分というのは何かというと、東日本大震災の三月十一日に壊れたところだけ復旧予算にのせている。それ以外のところは、おっしゃるとおり、復旧予算などというのは使うべきでないし、使っていません。そういう状態で工事をやっております。

後藤(祐)小委員 いや、それはわかっているんですけれども、ここまで裕福だったら、自分でやっていただくことに何か問題があるんですか。

村井大臣政務官 もちろん、それはさまざまな予算の使い方、そして今後、オリンピックの誘致を目指すに当たって、サッカーくじの予算などを使うというさまざまな対応をしていきたいというふうには思っています。

 ただし、この部分、サッカーくじはサッカーくじであるのと同時に、今回のこの東日本大震災で壊れたところを直すという一点においては、私は、復旧予算であることは問題ないし、それは当然。ただし、それ以上、今後もっとよくしようだとか、今までの老朽化したところを直そうとか、オリンピックのために大きくしようとかというのは、後藤先生がおっしゃるとおりの部分は十分に踏まえてやっていきたいというふうに思います。

新藤小委員長 それでは、以上を踏まえまして、今回の四つのテーマでさらにもう少し言いたいという方がありましたら、どうぞ。

平(将)小委員 財務省は今の議論を聞いていて、これは復興基本法また基本方針に基づいているから問題ないんだと我々にずっと説明をしてきたわけですが、今も同じ考えですか。

武正副大臣 予算の査定という過程において、午前中も申し上げましたが、どうしても補正予算の編成作業というものが短期間で行われなきゃいけないというそれぞれの所管省庁の側の一つ事由と、それを査定する側の時間的な制約、こういったものがあったにせよ、やはり査定のときの財務省としての検証がどうだったのか、それについてもしっかりと、それこそ検証していきたいというふうに思っています。その上で、やはりきょうの御議論も踏まえて、来年度予算編成に厳しく臨んでまいりたいというふうに思います。

平(将)小委員 かなり、やはりその使い方としては、法律上や基本方針の文言からは外れていないかもしれないけれども、本来の哲学なりフィロソフィーからは外れていると思われる事業がたくさんあるわけですが、今からでも予算をとめられるものはとめて、そして必要なところに回す、そういう考えはありますか。

武正副大臣 午前中から話をしていますように、どうしても所管省庁、国会で御議論をいただいて、お認めをいただいて、予算執行がそれぞれの省庁の責任で行われるというこの仕組みの中で、今はまず、所管省庁でその精査をしてもらうということが基本であります。

 ただ、国会での御議論、そして行政刷新会議などの議論、そういったことを踏まえて、これから政府としてどういった対応をしていくのかといったところが問われておりますが、一義的にはまず所管省庁。そのためにも行政事業レビューというのは大変大事な役割であり、一方、財務省からは予算執行調査、外からの執行調査というものもあります。

 この対象事業をもうちょっとふやした方がいいんじゃないかという御議論もいただいていますし、そういった意味では、先ほど小野塚委員からも、全体的な取り組みの見直しというような御提起もいただいていますので、そういったこともあわせていろいろ進めてまいりたいと思います。

小野寺小委員 きょういらっしゃる政務三役の皆さんは、こちらの席に座っていたら、私どもが今指摘していることを指摘する立場に、もしかしていらっしゃる方だったかもしれません。そのぐらい、恐らく今いらっしゃる中で、どうもこれは違うかなということをお気づきの方もたくさんいるんだと思います。

 ですから、お願いしたいのは、これから二十五年度予算編成の中で、きょう指摘をされたこと、あるいは、私どもが気づかないことであるけれども内部にいれば気づくこと、それがたくさんあるんだと思います。ぜひそれをしっかり洗い出していただきまして、また次回こういう機会のときに同じようなことが指摘されないようにしっかり対応していただきたい、そう思っております。

加藤(学)小委員 外務省に最後にお聞きしたいんですが、このキズナプロジェクト、まだ全部終わっていないはずなんですが、中国との関係で停止になっているようなものとかがあるはずなんです。その部分については、あとどのくらい実際に予定しているより少なくなっているのか、そのお金は取り戻せるのかどうなのか、その辺についてちょっと教えてください。

新美政府参考人 御質問いただきました中国との関係でのキズナ強化プロジェクトの実施状況でございますけれども、私どもは、中国との関係では、約二千二百五十名程度の相互の交流を実施する予定でおりまして、招聘につきましては、既に約千名の中国人の方々を日本に招聘済みでございます。

 他方、委員から今御指摘もございましたとおり、昨今の日中関係の情勢もございまして、現時点で七件だけでございますけれども、諸般の事情ということしかわからないんですが、中国からとりあえず延期または中止の要請がございました。

 私どもは、これは大変残念なことと考えておりまして、青少年の交流を通じて復興、震災の実情を知っていただくためのプロジェクトでございますので、これについて今中国と話をしておりまして、延期になっているものについてもなるべく早期再開ができるように、中国側と調整を進めていきたいと思っております。

岡田(康)小委員 昨年とことしの違いでいえば、やはり二月から復興庁がスタートしているということが一つ大きいと思うんです。来年度要望に向けて、復興庁さんが被災地側の立場で、こういう予算が本当に復興予算から拠出されることに理解され得るんだろうかということで一度チェックが入れば、相当そういったものは排除できると思うんですけれども、来年度に向けての予算要望を精査される中で、予算編成過程の中でどういう役割を担われることになっているのかというところをもう一回お願いします。

黄川田副大臣 私も、十月二日に復興副大臣になりましたけれども、今聞いて、東日本大震災からの復旧復興、この最優先はやはり現場、現地である、被災地であるということをしっかりと確認しなきゃいけないし、いろいろな事業が展開される中で、被災地に予算が確保されなくなったら本当に大変だと身にしみて感じております。

 いずれ、予算措置が十二月、三次補正ですか、その後、二月に復興庁ができたということで、復興庁も、財務省にそれぞれ事業の精査もさせておりますし、そしてまた来年度の事業に向けて予算要求がされておりますけれども、一つ一つしっかりと点検していかなきゃいけないということを身にしみて感じております。

 皆様からいただいた提言を含めてしっかりと取り組むべきことが本当の意味で被災地に寄り添うということだと思っておりますので、総合調整役の復興庁でありますので、しっかりやります。

和田小委員 きょうは、もうそろそろ自由質疑の時間が終わりでございます。私の方から、皆様方のやりとりを聞かせていただきながら、ぜひきょう御参加いただいた政府側の、特に政務に入っておられる副大臣、各政務官それぞれにお願いしたいと思って、発言させていただきます。

 いろいろ議論を聞いておりますと、予算編成上、復興予算として、基本方針に、全国の対象事業を取り上げることが正当づけられる文言を織り込みました。それですのでいろいろな事業が入っているわけでございますが、やはり、いろいろとやりとりしてみますと、復興予算とはというふうに考えたときに、まずやはり被災地の方々に寄り添って考えるべきであろうということだろうと思います。

 つまり、いろいろな対象事業を採択される際にも、その予算が被災地の方々から見ても理解できるものなのか、その向こうには全国の所得税等をお支払いいただく有権者の皆様方がいらっしゃいますが、国民の皆様方から見て、一見して、これならば、全国各地にある事業だけれども被災地の復興に役立つと思える範囲内なのかどうか、そうしたところをぜひ、政務に入られている皆様方でしっかりと各所を見ていただければというふうに思います。

 今回、きょうの小委員会を開催するのに、与党も野党もなく、小委員になっていらっしゃる議員の方々とは意見交換させていただいておりますが、やはり、私たちは、先般の復興基本方針、復興基本法を定める際に、いろいろと協議した上で、全国の対象事業を取り上げることも含んで制定いたしております。そういったこととして、私たちも共同の責任を負っておるという自覚はいたしておりますが、今後の復興予算の編成におきまして、ぜひ、その大きな責任を担われる復興副大臣、財務副大臣におかれましては、冒頭申し上げましたが、予算の執行状況を見ていただきながら、被災地の方々に寄り添って、その皆様方が理解してくださるような予算編成を心がけていただければと思います。

 以上です。

新藤小委員長 それでは、予定をいたしました時間が過ぎておりますので、これにて質疑を終了したいと思います。

 政府の皆さんは御退席いただいて結構でございますが、本日の議論を踏まえてしっかりと検討していただきたい、このようにお願いをしておきます。

 どうも御苦労さまでした。

    ―――――――――――――

新藤小委員長 それでは、続きまして、本日の自由質疑を踏まえて、総括的に小委員間で自由に御討議をいただきたいと存じます。

 まず、それぞれの本日のテーマごとに御討議をいただきまして、最後に復興予算全般についての意見交換をしたい、このように思っております。

 では、まず、一番最初の国内立地推進事業費補助金及び中小企業組合等共同施設等災害復旧事業、これについて、ぜひコメントをどうぞ。

平(将)小委員 余り時間もないので手短に言いたいと思いますが、国内立地推進事業費補助金の方は、定量的な分析をする、説明をできるようにしておけと言ったにもかかわらずそれが出てこなかったので、それは資料としてお願いをする。その結果を見て、委員会として何かアクションを起こさなければいけないと思います。

小野寺小委員 グループ補助金につきましては、大変被災地の要望が強い、しかも、ようやく復旧復興ができる段階で、申請できる方もこれからたくさん出てまいります。ぜひ、これは複数年度、ある程度一定期間、事業として継続をしていただけるよう、そういう申し入れをお願いできたらと思います。

階小委員 今の小野寺先生のお話に加えて、既に予算が採択されているものについて、さまざまな事情で執行がスムーズにいかないケースがあると思います。先ほども申し上げましたけれども、人件費の高騰、資材の高騰ということで入札が不落札に終わるということもあり得ますので、繰り越しの要件を緩やかにしてほしいと思っています。

 先ほど財務副大臣の方から、繰り越しという方法ではなくて予算を再申請することを認めるというお話もありましたけれども、再申請というのは大変手間がかかる作業ですから、やはり繰り越しの要件を緩めるというのが私は被災地に寄り添う対応ではないかなと思っています。

後藤(祐)小委員 先ほども申し上げましたが、今の階先生の話に加えて、もう少し長いスパンでお金が残せるように、基金みたいなものを県に造成するとか、そういったことも含めて、五年、十年のスパンで、その後でも、特に甚大な被害が起きたところが使えるようにという対応を具体的なお金の制度設計として検討いただけるようにお願いしたいと思います。

新藤小委員長 それでは、続いて、地域医療提供体制の再構築についての御意見をまた頂戴したいと思います。

平(将)小委員 現状を見ても、厚労省はメニューは全部そろっているというような説明でありましたが、それで足りないのは明らかなので、特に個人病院ですね、個人病院の復興に必要な仕組みというものを検討すべきだと思いますので、委員会としてしかるべき対応をする必要があると思います。

吉田(統)小委員 先ほど申し上げましたソフト、ハード両面での医療の充実ということが重要だと思います。建物だけでなく人材そして医療機器、それが成ってこそ医療というのはできますので、三位一体になったちゃんとした地域医療復興への道筋をつける、そういった予算づけを要望いたします。よろしくお願いいたします。

新藤小委員長 では、また後からでも結構でございます。

 次に、鯨類捕獲調査安定化推進対策について。

岡田(康)小委員 これにつきましては復興予算からはもうこの先要望しないということであったかと思いますので、そういう意味では、一つの財団法人として独占的に調査捕鯨ができる立場でありますから、ちゃんとスリム化等々もきっちりやってもらって、また財務諸表等もホームページで何か二年分ぐらいしか出ていなかったような気がするので、そこら辺の情報開示も徹底してもらうような改善を求めていくべきだと思っています。

平(将)小委員 こちらは役所の説明する態度また情報の出し方に大いに問題があって、この一年間、国会で行政監視質疑にずっと参加をされていた委員の方はよくおわかりだと思いますが、そういう霞が関全体に通じる体質に対して反省をさせ、改善をさせるというようなことをしっかり国会の一委員会として対応する必要があると思います。

小野寺小委員 捕鯨自体は、私どもとしては否定するものではありません。特に、今まで累次にわたって国際会議の中で日本の伝統文化、伝統捕鯨についてしっかり主張してきたこともありますので、かえってこういうことで捕鯨予算の削減にならないように本予算でしっかり対応するということが必要だと思います。

奥野小委員 聞いていると、方便として復興を使っているという感じを強く受けましたので、そうではなくて、やはり本当に地域の復興のためにきちんと全体を見て予算を執行していただきたいと思います。

新藤小委員長 それでは、続きまして、道路関係の復旧復興関連事業について。

平(将)小委員 東日本の全体の災害対策といったものはかなりボリュームの大きいものですから、結局、このキーワードを使えば際限なく予算というものが必要になってくるわけであります。先ほどの議論でも指摘をしましたけれども、やはり被災地の方は、今後本格的にお金がかかるときに復興予算が枯渇をしているということを一番懸念しているわけでありますから、ある程度歯どめをかけて、国土強靱化をやるのであれば、一般会計の本予算で堂々と議論をしていく、その区別というか、めり張りが必要であろうと思います。

小野寺小委員 私どもは、これからがお金が本当にかかるところです。十九兆円という枠であれば、もう既に来年度で突破する可能性が出てまいります。今回の本当に必要な復興事業というのはこれから出てくるということを、ぜひ予算の中でしっかり認識していただくように申し入れしていただければと思います。

階小委員 ちょっと数字のことをきっちり整理しておきたいんですが、十九兆円の五年間の予算の中で復旧復興事業に大体十七兆円充てるということになっていまして、その中で一兆円程度を全国防災事業ということになっていました。既に二十四年度の予算までで、国費と地方の負担も合わせますと、あと地単事業も合わせますと二兆円に達しています。ですから、当初の見込みを既に大幅に超えているということが一点。

 それから、二十五年度の概算要求ではこれに加えて九千億以上の要求をしていますから、トータルでいくともう三兆円近い予算あるいは要求をしているということですので、私は、全国防災に充てる十九兆円の中の枠というのはもうない、枯渇している、全く足りないと思っています。ですから、もし二十五年度の概算要求で九千億というのを要求するのであれば、もうこの段階から一般会計で要求すべきだというふうに思っています。

和田小委員 皆様方、本当にいろいろありがとうございました。私からはちょっと、各案件というよりは、今の御議論を聞いておりまして、今回のいろいろな案件が、本来、復興予算の枠組みではなく、一般予算の枠組みから確保されるべきであったんじゃないかというふうに大きく受けとめさせていただきました。

 それがためになんですが、そのように政府側を是正させていくためには、やはり予算の大きなフレームワークとして、復興予算は本当に、今復興担当大臣もその方向で考えているとは思いますが、かなり被災地に寄ったところで使うということにして、そのほかの予算枠を確保していくためにも、今いろいろ話題になっておりますとおり、税収だけでは足りませんので、特例公債法等をぜひ成立させていただきまして、どちらもが安心して防災対策に臨めるような体制を整えていくといったことに、ひとつ御提言の中身を書いていただければというふうに思います。

 以上です。

小野塚小委員 今全体の話になったのでそれも含めて申し上げますと、確かに、昨年の基本法をつくった段階では、もちろん、まさにサプライチェーンだとかいろいろな問題、日本が沈没するかもしれないという中においてつくられた、三党協議の中でつくられた法律であったわけですが、ここ一年数カ月たって、改めて国民の皆様方の問題意識であったりきょうの委員会を踏まえてみると、復興基本法を改めて被災地域だけに限定するような形に変えていくのか、それとも、法律までいかないんだったら基本方針の方を、これは適宜見直していくということも入っておりますので、そういうことを踏まえていくべきではないか。また、何か報道では、岡田副総理も、そういうことを国会で議論をみたいな話もありますので、そこを提言していくのが我が小委員会であり委員会であると思いますので、そういうことも踏まえていただければなと思います。

奥野小委員 きょうの議論を聞いて思ったのは、やはり要求する側のモラルの問題です。補正なので、復興復旧にひっかけて何でもとってやろうというところが見え隠れします。ですから、きちんと要求する側がモラルを持ってもらわなきゃいけないということ。

 それから、一旦ついてしまうと、特に補正なんかはそうなんですけれども、つきっ放しで後は見直さないんですけれども、それもよくないということで、今回きちんともう一度見直して、執行していないものについて、不適切なものについては執行を停止して召し上げて、きちんと被災地に使われるように、これからの先例として、ついたものについてはきちんとフォローしていく。それから、要求する側もきちんとモラルを持って、これから財源もなくなっていきます、特に今回はそのために増税しているわけですから、そういうことを踏まえて要求してもらいたいということで、きちんと厳正に対処すべきだと思います。

新藤小委員長 全般のことは皆さんおっしゃりたいことがたくさんあると思いますので、とりあえずテーマごとのコメントを先にいただきたいと思います。

 道路関係まで行きましたので、庁舎の耐震改修につきまして、ございますか。

後藤(祐)小委員 後藤祐一でございます。

 先ほど申し上げましたが、来年度の国の庁舎の耐震改修の要求をやめて、むしろ、それを財源として、もっと先に起きる、市町村、都道府県、被災地の庁舎の建てかえが多分遠い将来行われるでしょうから、交付税で多分充てることになるので、そちらの財源に回すことも念頭に、被災地、特に激甚な被害のあったところの対応を優先するようにお金を割り当てるということを入れていただければと思います。

新藤小委員長 続きまして、青少年交流の問題でございます。

平(将)小委員 これは全然だめで、悪乗りと言う以外ほかにないので、これは外務省また財務省の責任を問う必要があると思います。

小野寺小委員 先ほど裏でちょっといろいろ確認をしたんですが、結局、どういう人がどのぐらい行ったとか、被災地から行っているのかということを聞こうと思いましたら、外務省自身も、例えばASEAN事務局とか日中友好会館とか中華経済研究院とか、こういうところにただお金を投げているだけで、中身がわからないという返事が今ございました。

 ここまでクローズアップされている中で、普通であれば、私どもから当然質問される内容をきちっと予期して準備してくるはずなのに、一体被災何県から何人派遣されているんですかということすら答えられない。しかも、それを今確認したら、済みません、それぞれ各団体に今聞いておりますという、この時点でもこんな状況ですよ。こんないいかげんなお金の使い方は、たとえ被災地の人を派遣していることになったとしても、全くガバナンスがきいていないということをしっかりと私どもは追及するべきだと思います。

新藤小委員長 今の話は、きちんと委員会に資料を出してもらうことにしたい、このように思います。

津村小委員 先ほど遠山さんも触れていらっしゃったんですけれども、今回のボタンのかけ違いは、本来、二十四年度の本予算で要求するべきものを、たまたま同じ時期に編成された三次補正の方が何となく甘く見えて、そっちの方で安易に、やすきに流れた外務省のまさにモラルといいますか、その姿勢に問題があるのであって、青少年交流自体を否定する議論ではなかったんだというふうに思います。

 そういう意味で、今後、JENESYSプロジェクト、二十五年度要求でどういう形になっているのか正確にわかりませんけれども、ぜひ、先ほどの皆さんの御議論も踏まえて、国別の内訳とか、あるいは日本側の派遣者の内訳であるとか、透明性を高めていただきたいということが一点。

 それと、二つのケースだけが、今回、南会津だ何だと言われていましたが、一年間で一万人以上の人がこれをやるわけですから、まだ残り半年あるわけで、まだまだ今年度内でも改善の余地があると思いますので、そこをぜひ、残り半年、工夫していただきたいということ。

 そして、最後三点目ですが、二十五年度予算で今度またもとに戻すのであれば、もう被災地とはかかわらないということではなくて、やはりこれからもきずな強化というのは重要なことであって、補正予算という枠組みじゃなくても、引き続き、台湾とか、最初に中国以上に早く大きな形で支援をしてくれた台湾が余り今回ウエートとして大きくないのが残念なんですが、そういうことも含めてまだまだ改善をしていっていただきたいということを述べておきたいと思います。

新藤小委員長 では、続きまして、被災地域における再犯防止施策につきまして。

小野塚小委員 これの問題は、二十五年度予算に復興予算でまた要求しているところでありますので、金額は大きくないみたいなことをおっしゃっていましたけれども、金額の問題ではなくて、こういうことについては、まさにこういう問題になっているにもかかわらず二十五年度予算でさらに復興予算で要求しているということについては、これは強く是正を求めるべきだと思います。

階小委員 法務省の下にある検察庁というのは、下にあるかどうかあれですけれども、検察庁は一罰百戒ということをよく言うんですね。私、この案件というのはまさに一罰百戒すべきケースだと思います。

 額は小さいんですけれども、これは全然合理性がないです。そもそもの復興の基本方針であるとか復興への提言の文言をねじ曲げてやっていますから、これは合理性はないんです。違法と言ってもいいぐらいのものだと思っています。今まで見てきた中で、私は一番これはたちが悪いと思いますので、ここは厳正に対処すべきだと思っています。

平(将)小委員 民主党の議員さんほど過激なことは言いませんが、違法とは言いませんが、蓋然性はないので、これはだめです。

新藤小委員長 続いて、国立競技場の復旧事業につきまして。

平(将)小委員 これもだめ。

新藤小委員長 そうすると、今、各テーマごとに言っていただきました。特に、私ずっと拝聴しておりまして、個別の事業として、やはりかさ上げの話というのはいろいろなところに絡んできて、それをもう少し何か見られないのかという御提案が大分ありました。ですから、こういうのも何か委員会として整理してはいかがかなと私は思っています。

 それから、例の医療施設。これも、医療モールであるとか、それから福祉住宅の中に診療所なり医療機能を入れるとか、何かそういう、さっき被災地に寄り添うというお話が皆さんからいろいろなところで出てきましたけれども、復興の予算の中で、これを機に何かもう少し新しい提案をして、決めるのは最後は行政が決めるんですけれども、そういうのを委員会できょうの議論を踏まえた中で提案していただければとてもいいんじゃないかというふうに思っています。

 そういう観点からして、これとこれを何か入れたいねというのがあれば言っていただきたいと思います。

小野寺小委員 済みません、もしかしてきょうの議論とはちょっと違うんですが、ぜひこういう実態があるということを聞いてください。

 自殺対策で三十七億円、内閣府が、いのちの電話でしょうか、こういう予算の話をしたということがありますが、実は被災地で起きていることですが、これは宮城で実際に起きていることです。

 牛肉が、一時、汚染稲わらを食べさせたということで出荷停止になりまして、その後解除されたんですが、ずっと風評被害が続いております。これを東京電力に損害賠償請求しているんですが、いまだに、払う払うと言って出てきているのは半額、五十数%しか実は全体の補償額が来ておりません。

 実は、被災地、私ども地元の中で最近自殺者が何人か出ております。この畜産農家の方であります。東京電力というのは、ずっと裁判を立ててなかなかお金を払いません。その中で、被害者である農家は先行きがどんどん暗くなり、みずから命を絶つ方も出ている、こんな状況です。国は、幾ら何を言っても、これは東京電力の問題だということで一顧だにしない。でも、なぜかその中で三十七億円の自殺対策費が出る。もしこのお金があれば、これが補償に回ればこういう不幸なことが起きない、そういう現実があります。

 まだまだこの放射能被害、しかも、東京電力という一般企業で、全て裁判でなかなか補償がおりないという現状については、私は、ぜひ国としてしっかり対応する。これは福島も同じような事例、恐らく茨城も岩手も同じようなことがあると思います。そのことをちょっと、現実ということで、きょう皆様に考え方を共有していただければと思います。

 以上です。

平(将)小委員 行政監視小委員会をずっとやってきて、まさに今回のテーマは、本来は予算委員会がちゃんと機能していればよかったんだと思うんですが、予算委員会もスルーをしてしまった、政務三役のところもスルーをしてしまった。

 責任はみんな共有ということはもう言うまでもなく、基本法、基本方針、三次補正、みんな賛成しているわけですから、責任は共有しながらも、きょうの議論を経て、文言の範囲でやっているかもしれないけれども、本来の哲学やフィロソフィーから見たら外れているということでありますので、議会のガバナンスとして、いやいや、そもそも本来そういう趣旨でつくったんじゃないよということをしっかり指摘してやって政府なり行政の方向転換をしてやるというのは、まさに議会の政府に対するガバナンスだと思います。与野党が合意できる範囲でしっかりと政府に物を申していくということが重要だと思いますので、ぜひ小委員会の皆さん、よろしくお願いします。

新藤小委員長 それと、グループ補助金と企業立地はもうお金を使い切っちゃっているんだよね。ないんですよ。これからみんな欲しい欲しいと言っているのに、その制度がなくなるわけで、これをどうするかというのはしっかり議論しなきゃならないというふうに思います。

 被災地の皆さんは、都市基盤にせよ、商店街にせよ、工場にせよ、これから本格復興する。仮設から本格復興するときに資金が必要となるが、そのお金はもう既に使い切っちゃっているわけで、ですから、これをどう手当てしてあげるかというのはよく検討しなきゃならないと私は思っているんですけれども。

和田小委員 今の委員長の御指摘、非常に私も問題意識を共有させていただきます。

 今、我々は立法府におりますので、政府側のやっていること、政府側の立場からすると限界があるようなところにしっかりとサポートするべきではないかなというふうに思っているのが、今おっしゃったような予算の使い方というんでしょうか、予算の要求の仕方から使い方に至るまで、私も財務省におりまして、こういうふうな流れになってくると、補正対応とは特にとれるものはとっておけというふうになって、とったはいいけれどもなかなか使えないというのが生じたり、使い切っちゃったがために、先ほど話に出しましたが、復旧まではできても復興のめどがほとんど立たない、こういったことが実際に発生しています。

 過去の阪神・淡路のときにも小規模ながらやはりそういった実体験をしましたので、むしろ、これから先、日本の予算制度上、予算のアロケーションとよく言うんですが、復興予算十九兆円というふうにもし定義するとしたら、その十九兆円というのを最初の段階で、被災地の復旧に幾らぐらい、復興に幾らぐらいというのを、大枠をある程度考えていく仕事は恐らく立法府の仕事だろうというふうに思います。この問題意識が一つ。

 もう一つは、問題点として挙がっていたとおり、繰り越しの制度でございます。

 とったはいいけれども使えないというのは、確かに要求する側にかなりの切迫感があって、今とっておかないととれないというようなことが背景としてあるからでもあるんですけれども、実際に被災地に一緒にお伺いしてお聞きしたところでは、やはり地方自治体の関係もあって限界値もあるというふうに思います。国と県と市が要するにもう少し連携を強めよというメッセージを送るとともに、使い残しが出る分について、被災地の分については少なくとも寛大な目でというような趣旨のことを立法府の方で考えないといけないのかなという気はしています。

 以上です。

小野寺小委員 今回、こうやって復興の方に皆さん大変お力をいただいております。

 実は、地元に行って、この間、委員長初め皆さんがおいでいただいたときに地元の首長が言っていた話は、自分たちはしっかり精査をしてこれを使わなきゃいけないということで考えておりますと。ただ、そういう中で、例えば国からこういう事業が来ました、県からこういう事業が来ました、でも、これって本当に効率的なんだろうか、来たから使うけれども、これは今は要らないんじゃないかという実は疑問も持っているのが、自治体のいろいろな首長の考えです。

 ぜひ、このお金をきちっと納税者の皆さんに理解できるように使うためにも、もう少し今度は自治体の、実際その使う側の方から、これは予算として確かに復興予算で必要だということで来ているんだけれども、でも、こうすればもっとこの予算は要らなくて済むとか、そういう削減の方、こういうことの声も吸い上げていただいて、被災地であっても全てがオーケーではなくて、やはり、こうすれば貴重なお金をもっと効率的に使えるという案がたくさんございますので、そういう声も吸い上げて、むしろ、この十九兆の中でスリムにできるものはスリムにしていって本当に必要なところに持っていく、今後ともこういう委員会のあり方でお願いをしたいと思います。

後藤(祐)小委員 全体的な総括的なコメントとして、これまでの復興関係の予算の使い方については、国の財源は青天井ではないということ、そして、これは一般会計の特別枠みたいにとりに来ているわけですけれども特別枠ではないということを過去の総括としてはっきりさせた上で、この言葉がいいかどうかわかりませんが、狭く長く柔軟に。

 要は、被災地に限定して、長い間使える、かつ柔軟な対応を、要求の仕方のサポートなんかも含めてというところをよく考えながら、そして、狭く長くやるために、きょう御議論いただいたような、全国のところでちょっとどうかと思うものはその財源として減らしていくというような、頭の整理みたいなものをしっかりつけて、できれば、先ほど小野塚さんから少しありましたけれども、私は復興基本方針を改定すべきではないかなというふうに思います。

 実際、復興基本方針は、「集中復興期間終了前に必要な見直しを行う。」と最後にフォローアップのところで書いてあります。これに基づいて、実際全国の根拠になっているところの書き方を少し改めるということも政府に対して申し入れるべきではないかと私は考えます。

加藤(学)小委員 個別の提案ですが、交流関係で外務省が言っていたのは風評被害の対策だと言っていたんですが、風評被害の対策というのは実際に効果も見えないところですし、もっと効果のある方法を省庁に考えさせて、あるいは、それを実行していただくということをしっかりやっていただきたいなというふうに思っております。

 というのも、農産物の輸出でも、中国なんかは、実際に我々被災地でない長野県なんかも入れていないというような状況も続いております。こういったことがなされていない中で、子供たちの派遣事業に使われているというのは非常におかしな話ですので、やはりこの風評被害に対して、しっかりと断固とした施策というものをしっかりとやっていただきたいなと思っております。

新藤小委員長 はい、わかりました。ありがとうございました。

 それでは、きょうの議論を踏まえまして、この取りまとめは、小委員会の幹事、また実務者でいろいろ案文を作成いたしまして、そして皆さんと相談した上で小委員会から本委員会である行政監視委員会の方に上げたい、このように思いますので、御理解をいただきたいと思います。

 きょうは、皆さん、大変ありがとうございました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十一分散会


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