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電気事業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、電力システム改革を着実に推進するため、本法施行に当たり、以下の点に留意すること。

 

一 電力システム改革の目的である「電気の安定供給の確保」と「電気の小売に係る料金の最大限の抑制」の実現のため、原子力発電の稼働が進んでいない中で海外からの化石燃料の輸入が増加し、国民負担の増大が懸念されていることにも鑑み、第三段階までの法的措置の期限を待つことなく、スマートメーターの普及、卸売市場の拡大、発電所の環境アセスメントの緩和等の施策を検討し、可能なものについては早急に措置を講ずること。

 

二 原子力政策の抜本的見直しが求められる中、原子力発電所の廃炉に係る電力会社の負担の軽減策など競争環境下における原子力発電の在り方、原子力賠償の在り方の見直し及び我が国における核燃料サイクル政策の位置付けについて早急に検討の上、電力システム改革と同時並行的に適切に措置を講ずること。

 

三 今後、第三段階の法的措置の実施を通じて達成するものとされている「送配電部門の中立性の確保」及び「電気料金の全面自由化」は、競争促進の効果と電力の使用者の利益を併せて実現する観点から同時に実施することを原則とすること。また、これらの事項を含む今後の電力システム改革の詳細な制度設計及び実施については、当該改革に当たっての課題検証とその結果に基づく課題克服のために必要な措置を講じて進めるとともに、今年中に策定される予定である新たなエネルギー基本計画の内容と整合性をもって進め、関係方面に十分な説明を行うものとすること。

 

四 電力システム改革の遂行に際しては、今日まで電力の安定供給を支えてきた電力関連産業の労働者の雇用の安定や人材の確保・育成、関連技術・技能の継承に努めるとともに、改革の過程において憲法並びに労働基準法に基づく労使自治を尊重するものとすること。また、当該労働者について一定の形態の争議行為の禁止を定める「電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律」については、自由な競争の促進を第一義とする電力システム改革の趣旨と整合性を図る観点から再検討を行うものとすること。

 

五 電力システム改革を推進する上で阻害要因となり得る地方自治体による売電契約や交付金の運用等に関する現在の行政規制及び事実上の慣行の有無に関して早急に検証を行い、可能なものについては前倒して是正し又は撤廃する等の適切な措置を講ずること。

 

六 電気事業の規制に関する事務をつかさどる新たな行政組織は、実効性のある送配電部門の中立性の確保、電気の小売業への参入の全面自由化等の電力システム改革を推進する上で、必要な電気事業の規制に関するモニタリングを実施する等、必要最小限な組織とし、肥大化は極力避けること。

 

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