民法等の一部を改正する法律案(内閣提出第31号)の概要
本案は、児童虐待の防止等を図り、児童の権利利益を擁護する観点から、親権の停止制度を新設し、法人又は複数の未成年後見人を選任することができるようにすること等の措置を講ずるため、民法の改正を行い、これに伴い家事審判法及び戸籍法について所要の改正を行うとともに、里親委託中等の親権者等がいない児童の親権を児童相談所長が行うこととする等の措置を講ずるため、児童福祉法の改正を行うもので、その主な内容は次のとおりである。
一 民法の一部改正
1 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負うものとするなど、民法の親権に関する規定において子の利益の観点を明確にすること。
2 2年以内の期間に限って親権を行うことができないようにする親権の停止制度を新設するとともに、現行の親権の喪失制度及び管理権の喪失制度について所要の改正を行うこと。
3 法人又は複数の未成年後見人を選任することができるようにし、それに伴い必要な事項について規定すること。
二 家事審判法の一部改正
民法の一部改正に伴い家事審判事項を追加すること。
三 児童福祉法の一部改正
1 2か月を超えて、引き続き、一時保護を行おうとするとき等には、都道府県知事は、都道府県児童福祉審議会の意見を聴かなければならないものとすること。
2 一時保護を加えた児童の監護等に関する児童相談所長の権限、児童福祉施設に入所中の児童等の監護等に関する施設長の権限及び里親等に委託中の児童等の監護等に関する児童相談所長の権限等について規定すること。
3 児童相談所長による親権喪失の審判等の請求及び未成年後見人の選任の請求等について規定すること。
四 戸籍法の一部改正
親権停止の審判の取消し等に関する届出義務等について規定すること。
五 施行期日
この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。