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平成十八年十月五日提出
質問第五一号

障害者自立支援法の運用と障害者施策の充実に関する質問主意書

提出者  山口俊一




障害者自立支援法の運用と障害者施策の充実に関する質問主意書


 十月一日より障害者自立支援法が完全施行された。同法は、障害者福祉制度の持続と発展を図るため不可欠なものとして制定され、その基本理念は「障害者が普通に地域で暮らせる社会」や「もっと障害者が働ける社会」であることから、その名称どおり、障害者の自立に資するものになると考えられていた。しかし、法律制定の際に示されなかった政省令等の内容が決定し、四月から利用者の定率負担が実施されるに及んで、かえって障害者の暮らしと権利を脅かすものとなり兼ねないとの不安が高まっている。障害者自立支援法が障害者の自立を支援するものとなるよう、その運用のあり方を見直すとともに、障害者施策をより一層充実させる必要があると考える。
 従って、次の事項について質問する。

一 サービス利用料に定率負担が導入され、同時に利用者負担への配慮として、所得段階に応じた月額上限が設定された。しかし、その段階区分や上限額の設定は多くの利用者にとって十分なものとは言い難い。月額負担上限額の所得段階区分を、生活保護世帯、低所得1、低所得2及び一般世帯の四段階とした根拠と経緯、また、それぞれの段階についての上限額の設定根拠を示されたい。この段階をより細かく区分し、それぞれの段階の上限額を引き下げ、利用者の負担軽減を図るべきと考えるが政府の見解は如何か。
二 サービス利用料の定率負担と食費、光熱水費、特定日常生活用品費等の自己負担義務化が同時に実施されたため、利用者の負担は非常に重いものとなっている。激変緩和のためにも食費等については当面自己負担を見合わせ、制度の実施状況をみて徐々に負担を求めるべきと考えるが政府の見解は如何か。
三 利用者負担額の決定にあたっては「生計を一にする家族」の所得が算定されるため、世帯分離を余儀なくされる家族が出ている。これは家族一体でありたいと願う障害者やその家族の権利を侵害するものである。世帯分離の必要がないよう、利用者負担額の決定にあたっては本人所得のみを算定すべきと考えるが政府の見解は如何か。
四 利用者負担の個別減免の決定にあたって、本人所得を把握するためとして、預貯金等まで調べられることについて当惑がひろがっている。預貯金等の調査はプライバシーの侵害にあたるのではないかと考えるが政府の見解は如何か。また、グループホーム等の個別減免にあたっての預貯金等の額を三百五十万円という低額に設定した根拠は何か示されたい。三百五十万円程度の預貯金等は不測の事態の蓄えとして不可欠であり、これを基準として個別減免の額を決定するのは生活実態に反するものである。預貯金等の額が一千万円超の場合のみ、本人所得に算定すべきと考えるが政府の見解は如何か。
五 サービス利用料の負担を求めるのであれば、その前に、障害者がサービス利用者として利用料を負担できる経済力を持たせるようにすべきであると考える。現状の障害基礎年金では不十分だと考えるが、政府の見解は如何か。障害者の所得保障のさらなる充実策について、検討は進められているのか、検討する意向はあるのか、政府内の動向を示されたい。
六 サービスの報酬の算定が月単位から日割りに変更されたため、サービス提供事業者の経営が苦しくなっている。そのため、職員の削減、非常勤化など人件費の削減によって経営を維持しようとする動きがみられ、サービスの質の低下が懸念される。報酬は従来どおり月単位で算定すべきと考えるが政府の見解は如何か。
七 障害程度区分の認定は、サービス支給量の決定にかかわる重要な意味のあるものであるが、調査項目、調査員の質など、制度上の問題があり、様々な態様の障害者の実態を測り得るものとなっていない。調査項目を更に充実させるとともに、調査員の質を高め、障害程度区分の認定の精度を上げる必要がある。障害程度区分認定に関する制度の見直しについて、どのように進めていこうと考えているのか、具体的日程、検討方法、見直しの方向性について政府の見解を伺いたい。
八 小規模作業所は法定外の通所施設ではあるが、障害者の地域における日中活動の場として大きな役割を担ってきた。新制度下においては、従来の国庫補助が廃止されたため、安定的に事業を継続するには法定内事業への移行が必要となる。円滑に移行できるようにするためには、移行が想定される事業の定員規模、人員配置等の指定基準が実態に見合ったものとなっていなくてはならない。従来の小規模作業所の実態からして、容易に移行可能な事業があると考えるか、あるとすればそれはどの事業か、その事業については指定基準策定にあたって小規模作業所の実態が勘案されているのか、勘案したとすれば、小規模作業所の実態をどのようなものと認識し、どのように勘案したのか、その詳細を示されたい。
九 市町村における障害者福祉計画の策定にあたっては、当事者であるすべての障害者とサービス提供事業者の意見を十分に反映していかなくては、障害者の福祉を向上させるための計画を作ることはできない。市町村が障害者とサービス提供事業者の意見を聴く機会を設け、その意見を反映させた計画を策定するよう、意見聴取方法、意見の反映方法を詳細に記載した計画策定上の指針等を市町村に示すなど、政府が強力な指導を行うべきと考える。政府においてはどのような指導を行おうとしているのか具体的な方針を示されたい。
十 すべての障害者が安心して暮らせる社会を作る礎とするため、障害者への虐待や差別を禁止し、障害者の尊厳と権利を尊重するための新たな法制が望まれる。政府においてこのような法律を制定する検討を行っているのか、行う予定はあるのか、政府内の動向について示されたい。

 右質問する。



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