質問本文情報
平成十八年十二月十三日提出質問第二五〇号
我が国の対北朝鮮外交に関する質問主意書
提出者 河村たかし
我が国の対北朝鮮外交に関する質問主意書
我が国の対北朝鮮外交について、以下質問する。
二 また、「旧日米防衛協力のための指針」には、「日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合に日本が米軍に対して行う便宜供与のあり方は、日米安保条約、その関連取極、その他の日米間の関係取極及び日本の関係法令によって規律される。日米両政府は、日本が上記の法的枠組みの範囲内において米軍に対し行う便宜供与のあり方について、あらかじめ相互に研究を行う。このような研究には、米軍による自衛隊の基地の共同使用その他の便宜供与のあり方に関する研究が含まれる。」とあるにもかかわらず、このような研究を進めていなかったため、一九九四年の朝鮮半島危機の際、米国が軍事オプションをためらい、結果的にその後の北朝鮮の核開発を許すこととなったのではないか。事実関係を明確にされたい。
三 我が国は、北朝鮮の深刻なコメ不足に対する人道的配慮から、一九九五年に、有償三五万トン・無償一五万トンのコメ支援を実施した。以後、数度に渡り北朝鮮への食糧支援等を実施していると認識しているが、その実施時期、物資等の品目、量、費用、有償・無償の別、特にその支援については日本側から一定の条件や要求を付するという事は全く無かったのか、等について示されたい。
四 北朝鮮への食糧支援等に係る有償支援の返済状況、返済が滞っているのならばその理由及びこれまでの督促状況について示されたい。また今後、早期返納を強力に働きかけるべきと思慮するが、その対策について政府の見解を明確にされたい。
五 北朝鮮への支援物資は、党幹部や軍人に横取りされ飢餓に苦しむ住民には届かず、更にはヤミ市場で売却されミサイル開発や核開発の資金となっていると危惧する。政府はこれら北朝鮮への支援等について、その効果につきどのような検証を行なっているのか。政府の認識を明確にされたい。
六 二〇〇〇年十月に決定された北朝鮮への五〇万トンのコメ支援について、外務省の記者会見記録によると、扇建設大臣(当時)より「拉致問題を始め、北朝鮮問題は解決していない」、「北朝鮮との関係が好転するとの説明で、同年三月一〇万トンのコメ支援を実施したが、それはどうなったのか」との趣旨の反対意見があったが、政府は北朝鮮へのコメ支援を決断したとある。また、二〇〇〇年十月七日の日本経済新聞によると、コメ支援決断の理由について、「同年六月の南北首脳会談を契機に、南北分裂以後初めての新たな潮流が生まれている。この前向きな潮流をより確実なものにするために、相応の役割を果たしていくことは、我が国の国益に資すると確信する」と、中川官房長官(当時)より説明があったとされる。五〇万トンのコメ支援には、人道的配慮のみならず、北朝鮮との関係を改善させる何らかの目的・意図があったのか、政府の見解を明確にされたい。
七 二〇〇〇年十月五日の産経新聞によると、河野外務大臣(当時)が「自らの責任において、このタイミングで決めた。(南北首脳会談があった)六月からの変化は歴史的な変化だ。あえてここは踏み込んで支援をしたい」と述べ、北朝鮮へのコメ支援を強く訴えたとされている。しかしながら、北朝鮮はその後、二〇〇二年に凍結されていた寧辺の核関連施設の凍結解除を宣言、二〇〇三年に核兵器不拡散条約(NPT)からの脱退を宣言、更には二〇〇五年、核兵器を製造したとの外務省声明を発表するなど緊張を高める行動を繰り返した。このことは、五〇万トンのコメ支援が結果的に無駄であったことの証左であると思慮するが、政府の評価を明確にされたい。また、外務大臣の「自らの責任」の所在について明確にするとともに、現内閣として一連の政治的な結果責任をどのように取るつもりか、政府の見解を求める。
右質問する。