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平成二十年五月二十八日提出
質問第四三八号

愛媛県警の裏金を告発した仙波敏郎巡査部長への不利益取扱等に関する質問主意書

提出者  吉井英勝




愛媛県警の裏金を告発した仙波敏郎巡査部長への不利益取扱等に関する質問主意書


 二〇〇五年一月、愛媛県警鉄道警察隊所属の仙波敏郎巡査部長は、愛媛県警の裏金を記者会見で告発した直後に、県警当局の不当な配置転換(以下「配転」という)処分を受けた。仙波巡査部長は、この配転処分について承服できないとして、愛媛県人事委員会に不服を申し立てた。同委員会は、「業務の割り付けや処遇が正常なものであったとは認め難い」「告発会見との間に強い関連性があるものと認められる」(「裁決書」二〇〇六年六月六日)との判断を示して、配転処分を取り消す裁決を下した。
 仙波巡査部長が県警当局の配転処分による損害賠償を国に求めた訴訟で松山地裁は、配置換えについて「いわゆる報復として行われたことが推認される」とし「愛媛県警本部長も関与して行われた」(二〇〇七年九月十一日)との判決を示した。
 また地裁判決は、県警が裏金づくりを行ってきたとする、仙波巡査部長の記者会見について「内部告発内容の真実性を安易に否定することはできない」と判示した。
 さらに、松山地裁並びに愛媛県人事委員会は、仙波巡査部長の裏金を告発した記者会見が、公益を図る目的であると認定した。
 愛媛県人事委員会の裁決の結果、仙波巡査部長は鉄道警察隊に復帰することができた。
 しかしながら、県警組織内では、仙波巡査部長に対して、陰湿な嫌がらせが継続的に行われている。これはまさに組織内における公益通報者に対する重大な不利益取扱・人権侵害の行為であり、早急に止めさせ、是正措置をとるべきである。同時に、裏金についての徹底解明とともに関係資料の公開をすべきである。
 よって、以下の事項について政府に対して質問する。

一 仙波巡査部長の不当配転について
 (一) 国家公安委員会及び警察庁は、愛媛県人事委員会の裁決について、「裁決は愛媛県警察にとって厳しい内容になっていると認識している」(二〇〇六年六月二十七日、答弁第三二三号)との見解を示している。
  「厳しい内容になっていると認識している」とは、具体的にどういうことか伺いたい。裁決の内容の特定の箇所を指して言っているのであれば、その箇所を示されたい。
 (二) 裁決は、仙波巡査部長の配転が「告発会見の直後に、まさに告発会見したことによって行われたと言わんばかりのタイミングで行われており、告発会見との間に強い関連性があるものと認められる」としている。さらに裁決は、配転後の仙波巡査部長の勤務内容についても、「業務の量は勤務時間に比して著しく少なく、担当の係そのものが恣意的に新設されたもので、本来公務員が分担するに相応しい内容を備えていない」と指摘している。
  裁決は、仙波巡査部長の配転が、裏金告発の記者会見に関連したものであることを認定したものであり、愛媛県警は、仙波巡査部長への配転が誤りであったということを明確にすべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
 (三) 愛媛県人事委員会裁決により、仙波巡査部長の配転は取り消され現職に復帰したが、その際には、上司から「鉄道警察隊に帰れ」と命じられただけで、謝罪はもとより、配転の誤り、配転の取り消しについてなんらの説明もなされなかったのである。人事委員会は県警の再審請求を退け、裁決はすでに確定している。愛媛県警は、仙波巡査部長に謝罪すべきだと考えるが、政府としての明確な答弁を伺いたい。
二 仙波巡査部長の処遇の不利益取扱について
 (一) 愛媛県人事委員会の裁決は「申立人は、告発会見によって捜査費問題の実態を明らかにしようとする立場をとる者であり、それが公益を図る目的に出たものであることを公言していることに鑑みれば、少なくとも会見をしたこと自体により不利益を与えることのないよう慎重な配慮をなすことが求められる」としている。
  裁決は前記の通り、仙波巡査部長の記者会見が公益目的であったことを肯定している。警察庁は、裁決と同じ認識なのか伺いたい。また、公益目的の記者会見を行った同巡査部長は当然「公益通報者」と考えるがどうか。
 (二) 仙波巡査部長が公益通報者であることは明白である。公益通報者に対しては、「公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、降格、減給その他不利益な取扱いをしてはならない」(公益通報者保護法第五条)と不利益取扱を禁止している。また国家公務員法、地方公務員法でも、職員の公平取扱原則を規定している。
  警察庁及び愛媛県警は、公益通報者たる仙波巡査部長への不利益取扱禁止義務及び嫌がらせ等から保護を図る義務があると考えるがどうか。
 (三) 公益通報者保護法に基づく公益通報者への不利益取扱の禁止は、減給、戒告等の懲戒処分をはじめ不利益な配置の変更など、人事上の差別取扱いの作為又は不作為や昇給、昇格など給与上の差別取扱いの作為又は不作為、さらには、仕事を与えない、専ら雑務に従事させ就業環境を害することや職場内での嫌がらせなどの行為も禁止されているのではないか。警察庁の見解を明らかにされたい。
 (四) 仙波巡査部長は、現場に復帰後、同僚達から「君と話しをしたことが知れると、会話内容を文書にして報告しなければならないから、話しかけないでくれ」と言われ、朝晩の挨拶が無視される。あるいは、異動時期の恒例の歓送迎会が開かれるときは、仙波巡査部長が出席できない日に行う。外部の講師を招く「教養」への出席を希望しても拒否される。
  また、二〇〇六年十月、広域手配を受けていた詐欺犯を不審尋問のうえ取り調べ犯行を自供させたが、所属の鉄道警察隊の実績とせずに所轄署の実績という不当な扱いを受けた。仙波巡査部長の抗議によって所属の地域課長報賞となったが、この顕彰は告発記者会見前に同様の指名手配犯を検挙したときの管区警察局長表彰と比べ、著しく劣る不当なものである。
  さらに、交通監視カメラ「Nシステム」で、仙波巡査部長の行動が逐一監視されている疑いがあるなど、人権侵害の陰湿な嫌がらせが組織的、継続的に行われている。
  こうした事実は、明らかに仙波巡査部長に対する警察による不利益取扱であり、公益通報者保護法に反する行為ではないのか。調査結果に基づき事実関係を明らかにされたい。
 (五) 行政機関の内部職員から法令違反等の公益通報を、適切に処理するための基本的事項を定めた「国の行政機関の通報処理ガイドライン(内部職員等からの通報)」(二〇〇五年七月十九日関係省庁申合せ)によれば、「通報者の保護」について「通報者に対し、通報したことを理由とした不利益取扱いや職場内で嫌がらせが行われていないか等を適宜確認するなど、通報者保護に係る十分なフォローアップを行う」としている。
  仙波巡査部長について、現在も、なお陰湿な嫌がらせが続いている状況にあるが、組織として通報者保護のフォローアップを適切に実施しているのかどうか伺いたい。
 (六) 「国の行政機関の通報処理ガイドライン(内部職員等からの通報)」では、各行政機関が公益通報を処理する仕組みについて、内部規程を定めることになっている。警察庁は内部規程を定めていると承知しているが、内容を具体的に明らかにされたい。公表できないのであれば、その理由を伺いたい。
三 鉄道警察隊の警乗手当について
 (一) 警察庁及び愛媛県警は、鉄道警察官が長距離列車に乗って警乗した際に支払われる警乗手当制度の存在について、該当の鉄道警察隊員に周知する義務があると思うがどうか。これまでどのように周知・徹底してきたのか具体的に明らかにされたい。
 (二) 警乗手当の支払い及び受給方法について次に伺いたい。
  @ 隊員の警乗手当請求から、国費で都道府県警に支給し、隊員が最終的に受給するまでの仕組みについて説明されたい。また隊員の受給の仕組みは、全国一律で行われているのかどうか伺いたい。
  A 鉄道警察隊発足以降、警乗手当支払い及び受給方法については、変遷・改変があったと聞いている。警察庁は、都道府県警に警乗手当の支給及び受給方法について、これまで、どのような指示をしたのか、時期と内容を示されたい。
  B 愛媛県警における隊員の警乗手当の請求及び受給方法の変遷・改変の状況を政府はどのように認識しているか具体的に説明されたい。
  C 現在、愛媛県警は、警乗手当は、本人名義の口座に振り込んでいるとしているが、本人名義口座への振込みは何年何月から実施したと政府は認識しているか。
  D 愛媛県警では警乗手当を代理受領などの方法で受領していたことはあるかどうか、政府は把握しているか。あればその期間を具体的に示されたい。
  E 仙波巡査部長が鉄道警察隊に赴任した一九九九年二月当時、同人の警乗手当振込口座を開設したか。開設していたとすれば、それは本人の申請あるいは同意を得て行ったのか。また、開設していないとすれば、その理由を伺いたい。
 (三) 警察庁は愛媛県警に対して、警乗手当を一九九九年度には延べ二百九十四回(支給対象四人)、二〇〇〇年度には同じく二百三十四回(同六人)分を支給したと報告している。警乗は原則二人で行うことになっているが、警察が言うように一人警乗が含まれているとしても、二十四時間勤務による変則三人三交代制で、これだけの回数は物理的に不可能である。警察が主張する警乗回数を可能とする具体的根拠を示されたい。
 (四) 二〇〇五年十月、衆議院内閣委員会による愛媛県警への現地調査の際、当時の粟野愛媛県警本部長は、鉄道警察隊員に「平等に警乗させている」と説明した。本部長の言明通りであれば、仙波巡査部長も警乗していたことになる。他方、県警は「仙波巡査部長は警乗に消極的であったので警乗を命じなかった」としている。「仙波巡査部長に警乗を命じなかった」というのは、県警本部長の「平等に警乗させている」との説明と矛盾するのではないのか。
 (五) 愛媛県警鉄道警察隊では、県外警乗を行う警乗シフト表を二〇〇一年度になって初めて作成し現場に示したと承知している。それまでシフト表を作成しなかった理由、二〇〇一年度からシフト表を作成した理由は何であると政府は認識しているか説明されたい。
 (六) 愛媛県警は、二〇〇一年度以降の鉄道警察隊員の旅行命令簿について、隊員の階級欄、隊員ごとの警乗回数、総警乗回数が分かる形式で公表している。しかし一九九九年度、二〇〇〇年度の旅行命令簿は、階級も、警乗回数も全面黒塗りにマスキングした上、旅行命令簿の各ページはバラバラに組み替えて提出した。二〇〇一年度以降と、一九九九年度、二〇〇〇年度の開示内容に差異を設けている理由は何故か。
 (七) 愛媛県警は、一九九九年度、二〇〇〇年度の旅行命令簿の全面黒塗りの理由を「公共の利益を害し、公務遂行に著しい支障が生じる」からとしている。一九九九〜二〇〇一年当時の列車時刻表に拠れば、県外警乗の対象となる列車は年間一万五百八十五本あり、最多の警乗が行われたとされる二〇〇一年度でも警乗乗車率は予讃線では三・八%、土讃線を含めれば、その割合はわずか二・七%に過ぎない。わずか二〜三%の乗車率の警乗、しかも十年前の資料の公開が、現在及び今後の警乗の職務に著しい支障を来たすとはとても考えられない。
  本件は国費を詐取したのではないかという重大な不正疑惑が指摘されている事案である。一九九九年度、二〇〇〇年度の旅行命令簿を二〇〇一年度以降並みに公開すべきであると考えるが、どうか。

 右質問する。



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