質問本文情報
平成二十一年二月二十七日提出質問第一七一号
拡大教科書の普及に関する質問主意書
提出者 高井美穂
拡大教科書の普及に関する質問主意書
「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」が昨年九月より施行され、平成二十一年度において使用される教科用特定図書等から適用されることになっています。同法では教科書発行会社に対し、教科用拡大図書(以下「拡大教科書」と称します)の発行を努力義務としています。しかし、これまで拡大教科書を手作りしてきたボランティア団体や、父母、教師からは「対応が十分進んでいない」と同法の趣旨の徹底を求める声があがっています。特に、高校段階の拡大教科書は、このまま行けば新年度には全く対応できない状況になることが懸念されています。
そこで、以下のとおり質問します。
二 同法では、標準教科用特定図書等の円滑な発行の確保を目的に、各都道府県教育委員会から文部科学大臣に対する需要数の報告、文部科学大臣から発行者に発行すべき標準教科用特定図書等の種類及び部数を通知すること、および契約を締結することを定め、さらに文部科学大臣は発行者に報告を求めることができます。そこで、二十一年度における各都道府県の需要数、発行者に対する通知数を小学校、中学校、高等学校別(このうち、特別支援学校、特別支援学級別の数字も)に明らかにしてください。発行者のうち、出版会社とボランティアの内訳もお示しください。また二十年度に比べ、同法施行によりそれぞれの給与率はどのように改善されたのか。さらに発行者に報告を求めていれば、その回答の内容をお示しください。
三 本年二月二十日付け読売新聞は「弱視向け教科書不足 拡大作業ボランティア頼み」と報じていますが、「文部科学省によると、拡大教科書を必要とする普通学級で学ぶ小中学生は全国に約一七〇〇人いるとみられるが、実際に手にできたのは約六〇〇人」「今春には小中学校の拡大教科書約一四〇点が発行される見通しだが、検定教科書全体の三分の一にすぎない」との内容は事実ですか。
四 同法成立後、標準教科用特定図書等の発行に関わる政府の予算と、執行状況を教えてください。二十一年度の「拡大教科書等普及推進事業」一億七千二百万円のうち、拡大教科書給与のための直接的な予算はいくらですか。その内容もお示しください。二十一年度予算に、視覚障害特別支援学校(盲学校)に関わる拡大教科書の予算額はいくらですか。義務教育課程と、盲学校高等部毎に教えてください。
五 本年二月十九日の衆議院予算委員会第四分科会で、塩谷文部科学大臣は「文部科学省においては、高校段階における拡大教科書のあり方を検討するために、平成二十年の四月に、拡大教科書普及推進会議の中で、高校における弱視生徒への教育方法・教材のあり方ワーキングチームを設置して検討しているところでございます。現在のところ、正直言って、まだ全く対応はできていないというのが現状でございまして、これにつきましては、ワーキングチームの精力的な審議を踏まえて、今後、拡大教科書の普及に向けて必要な措置を講じてまいりたいと考えております」とお答えになっています。前述ワーキングチームの会議は二月二十日に論議を終えたと聞いていますが、その結果はどうなりましたか。また、何らかの進展はありましたか。進展があったのだとすれば、具体的に予算などにどのように反映されていますか。
六 政府は同法の趣旨に則り、少なくとも教科書数が四十六点と少なく、対応が十分可能な盲学校高等部の拡大教科書については、新年度から給与できるよう、最大限の努力をすべきと考えますが、決意をお聞かせください。
七 同法では、国の責務として「児童及び生徒が障害その他の特性の有無にかかわらず十分な教育を受けることができるよう、教科用特定図書等の供給の促進並びに児童及び生徒への給与その他教科用特定図書等の普及の促進等のために必要な措置を講じなければならない」としていますが、現状について、政府はどのように考えていますか。問題点があるとすれば、どのように対応しようとしていますか。また、発行者に対し、具体的にどのような働きかけをしていますか。
右質問する。