質問本文情報
平成二十三年十一月十七日提出質問第五七号
取調べの可視化の法制化に向けた政府の取り組み等に関する再質問主意書
提出者 浅野貴博
取調べの可視化の法制化に向けた政府の取り組み等に関する再質問主意書
二〇〇九年十月、法務省において、同省政務三役を中心とする取調べの可視化に関する省内勉強会が設置され、その最終報告(以下、「最終報告」とする。)が本年八月八日に公表されている。その概要版の「第二 被疑者取調べの可視化の在り方(検討結果)」という部分の中で、
「一 可視化の目的等
〇えん罪を防ぐなどの観点から、取調べの状況を客観的に記録し、公判で自白の任意性をめぐる争いが生じた場合に、その客観的な記録による的確な判断を可能とすることを、可視化の中核的な目的とすべきである。」
という記述がある。「最終報告」の関連として、法務省は「被疑者取調べの可視化の実現に向けて」と題する文書を同日に公表しており、その中に「取調べの可視化を制度化することは是非とも必要であり、法務省として責任を持って、制度としての可視化を実現していかなければならない。」との記述がある。右の「取調べの可視化を制度化する」について問うたところ、「前回答弁書」(内閣衆質一七九第一九号)では、「お尋ねの『制度としての可視化』とは、被疑者の取調べ状況を録音・録画の方法により記録する制度を意味し、『取調べの可視化を制度化する』とは、同制度を導入することを意味するものである。」との答弁がなされている。また法制化の定義並びに制度化との違いについての問いに対し、「前回答弁書」では「お尋ねの『法制化』とは、一般的には、法令に定められた制度を設けることをいうものと承知している。」との答弁がなされている。右を踏まえ、再質問する。
二 一の答弁は、法制審議会での調査審議結果の内容によっては、取調べの可視化が制度化、または法制化されることがなく、現場の検察官等による恣意的な判断によって実施するか否かが決められるという、極めてあいまいな形で終わる可能性も排除されないということか。平岡秀夫法務大臣の見解如何。
三 平岡大臣として、法制審議会の調査審議を待つにせよ、「最終報告」の内容を受けて、取調べの可視化の制度化、法制化を強力に推し進めるべきではないのか。
四 前回質問主意書でも触れたが、「最終報告」を受けて当時の江田五月法務大臣が笠間治雄検事総長に対し、「取調べの録音・録画に関する取組方針」とする書面を手渡し、可視化の対象範囲を拡大すること等の指示を出している。現時点に至るまで、取調べの全過程の可視化について、その試行は法務省においてなされたことはあるかと問うたところ、「前回答弁書」では「検察当局においては、…現時点では、試行を実施中の段階であるので、お尋ねについてお答えすることは困難である。」との答弁がなされている。では、全過程の可視化が試行された事例数のみでも明らかにされたい。
五 本年十一月十七日の読売新聞報道によると、二〇一〇年、大分県別府市で神戸市の看護師が殺害された事件で、大分地方検察庁が起訴した大分市の男性に対する取調べの全過程が可視化されていたことが、関係者への取材でわかったとのことであるが、右の報道は事実か。
右質問する。