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平成二十三年十二月一日提出
質問第八九号

国土交通省現役官僚の天下りあっせん疑惑に関する質問主意書

提出者  塩川鉄也




国土交通省現役官僚の天下りあっせん疑惑に関する質問主意書


 私は、国土交通省OBの内部告発に基づいて、内閣委員会で、国土交通省現役官僚による天下りあっせん疑惑を指摘した。国土交通省は、八月と十月に、再就職あっせんに関する調査委員会(以下、調査委員会)の調査報告を発表し、あっせん疑惑を否定した。しかしながら、これらの調査結果によって、疑惑は晴れるどころかますます深まっていると言わざるをえない。

一 あっせんが指摘されている人事の一つは、告発者(調査報告書ではA氏と記載)の後任人事をめぐるものである。八月の調査報告書では、「提供資料中に、A氏の当時の勤務先におけるA氏の後任者について、A氏勤務先の代表者が国土交通省に選任を依頼した旨のA氏の発言がある。調査の結果、これについても、同代表者が第三者に選任を依頼したものであり、国土交通省の関与は認められなかった。」としている。調査委員会は、この「第三者」から、A氏の後任人事選定の経緯についてヒアリングなどを行って事実経過を確かめたか。
二 この「第三者」は、どういう経緯で、A氏の後任者として、民間人ではなく、国土交通省OBを選定したのか。国土交通省OBの選定にあたり、この「第三者」が国土交通省に選定を依頼していなかったかどうか確認したか。
三 この「第三者」を「第三者」と認定した根拠はなにか。
四 あっせん疑惑の根拠のひとつは、国土交通省人事課長が、五月二日にA氏から、「OB人事を裏で決めているのはF審議官か、という問いがあ」り、「それを肯定するニュアンスの返答をした」ことにある。調査報告は、この発言について、「複数回の電話で、A氏から再三にわたり再就職あっせん等を求められ、G課長がその都度それを拒否するなどのやり取りを中心とする、それまでの長時間にわたるやり取りを背景に、執拗な電話に辟易して、電話を打ち切るためのものであったと認められる」と認定した。これについては、A氏は、八月二十二日付反論書「国交省の再就職あっせん調査結果の矛盾」で、四月二十八日の人事課長とのメモを示して次のように反論している。「まず、冒頭でG課長から「最終的には、F審議官が決めているので、今後のことは、F審議官に相談されたい。」と言われたので、Aは、G課長には、一切、再就職のあっせんは求めていない。」A氏の反論が事実であった場合は、G課長の調査委員会に対する証言は、虚偽の証言となり、調査報告は根底から覆る。会話当事者のA氏とG課長の主張が真正面から対立しているという認識をもっているか。
五 調査委員会は、このA氏の反論書「国交省の再就職あっせん調査結果の矛盾」の提出をうけて、補充調査を行い、八月三十一日に、「調査報告における認定を覆す事実は認められなかった」とする調査結果を発表した。前述のように、調査委員会の報告書におけるG課長の証言とA氏の反論は、真正面から対立しており、一方が虚偽を述べているという関係にある。A氏の反論書における四月二十八日の人事課長とのメモを裏付ける録音データはないが、同様に、G課長の証言を裏付ける録音データもない。A氏の反論が虚偽であり、G課長の証言が真実であるとする客観的な根拠はあるか。あるのであれば、それを示されたい。
六 調査結果及び補充調査の結果を読む限り、A氏の反論が虚偽であり、G課長の証言が真実であるとする客観的な根拠は示されていないと考えるが、その場合、A氏の反論が虚偽であり、G課長の証言が真実と認定した根拠は何か。
七 十一月の調査委員会の報告では、(社)日本民営鉄道協会理事長の交代の経緯について、国土交通事務次官(前国土交通審議官)が、前理事長に対して、「五月の任期満了時における理事長職の退任を促した」事実を認定した。また、退任を促した理由について、前理事長の「在任期間が、任期満了時には三期六年となり、もう一期務めることは、(社)日本民営鉄道協会の理事長として長すぎると感じていたこと、任期満了をもって他の人に交代していただい方がよいのではないかという意向を同協会の複数の方から聞いていたことによるもので、特例民法法人の指導監督の立場からのものである」としている。
 これまで、特例民法法人の指導監督の立場から、国土交通省所管の特例民法法人の役員について退職を促した事例はあるか。あるとすれば、退職を促した役員の在職した特例民法法人の名称、役職名、退職した期日、在任期間を示されたい。
八 特例民法法人の指導監督の立場から、国土交通省所管の特例民法法人の役員について退職を促す場合、退職を促す根拠、誰を通じて退職を促すかなどの決定についての国土交通省内での組織上の手続きを示されたい。
九 特例民法法人の指導監督の立場からの今回の現事務次官による退職を促す働きかけについて、国土交通省として、どのような組織的決定過程を通じて、指導監督上の措置をとることを決定したか明らかにされたい。
十 社団法人日本民営鉄道協会定款によれば、「会長、副会長、理事長、専務理事、常務理事は、理事の互選とする」とされている。理事長の交代が同協会の意向であるなら、日本民営鉄道協会が理事会で決めればよい話である。現事務次官は、「任期満了をもって他の人に交代していただい方がよいのではないかという意向を同協会の複数の方から聞い」たときに、定款の規定にそって協会の自主的な決定を促す選択肢もあったはずである。むしろ、その方が自然とも思えるが、そうした定款上の措置を促すのではなく、指導監督上の立場から、あえて理事長の退職を促した理由を説明されたい。
十一 日本民営鉄道協会の現理事長であるC氏は、前会長であるE氏から、「本年四月の中下旬頃、(社)日本民営鉄道協会理事長に就任してほしい旨の依頼が直接あり、E氏と会った際に自分の判断で内諾した。」としている。また、「D審議官には、内諾後にその旨の話をしたのみで、依頼等は一切行っていない」としている。「依頼等は一切行っていない」としているが、それは、D審議官が、前理事長に退職を促す前に、C氏は、D審議官に電話等で話しなどをした事実はあるが、「依頼等は一切行っていない」という意味か、それとも、接触等も何もなく、依頼等を行う機会そのものもなく、したがって、「依頼等は一切行っていない」のか、明らかにされたい。
十二 国家公務員法は、あっせん行為などの違法行為を監視する機関として、再就職等監視委員会を設置することを定めている。同法は、再就職等監視委員会について、任命権者が行う違法行為等の調査の経過について、報告を求め、意見を述べることができる(同法一〇六条の一七第二項)としており、さらに、委員会と任命権者による共同の調査(同法一〇六条の一九)、委員会による調査(同法一〇六条の二〇)を規定している。国家公務員法が、任命権者による調査に加えて、こうした再就職等監視委員会による調査規定等を設けている趣旨について説明されたい。
十三 今回の天下りあっせん疑惑については、国土交通省による調査が行われたが、再就職等監視委員会が成立していないという現状のもとで、再就職等監視委員会への報告等、国家公務員法が規定している一連のあっせん違法行為の監視・調査規定に基づく手続きは終了していない。国家公務員法上、今回のあっせん疑惑に関する調査は、国土交通省の調査委員会の調査をもって終了していないと考えるが、野田内閣の見解を問う。

 右質問する。



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