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平成二十七年七月十七日提出
質問第三三三号

集団的自衛権行使容認等に関する質問主意書

提出者  長妻 昭




集団的自衛権行使容認等に関する質問主意書


一 政府は、今回審議中の安全保障法制における集団的自衛権行使の要件として新三要件を規定している。そこでお尋ねする。
 1 武力攻撃を受けた、密接な関係にある他国からの要請、又は同意は、新三要件の要件に含まれるのか。
 2 ニカラグア判決等、国際司法裁判所の判決において、集団的自衛権行使の要件として、「他国の同意」という要件は見当たらないが、何を根拠に「要請」でなく、「同意」でも集団的自衛権の行使が可能となるのか。
 3 「同意」とは、我が国が、密接な関係にある他国に、「攻撃国に対して、いっしょに武力行使をしてもよろしいか」という趣旨の同意を書面で、求めると理解してよろしいか。
 4 具体的に現在、他の要件を満たせば、どの国とであれば、「要請」でなく、「同意」だけでも集団的自衛権の行使が可能なのか。
 5 「要請」または「同意」は、それぞれ、どのタイミングでなされなければならないのか。
二 新三要件の「必要最小限度」についてお尋ねする。
 1 存立危機武力攻撃を排除するためには、万策尽きてやむを得ず、他国の領域での武力行使をすること以外に道はないとなった場合、他国の領域での武力行使はするのか。あるいは、憲法上の要請があるために、他国領域での武力行使はあきらめて、存立危機武力攻撃は排除できなくても仕方がないとするのか。
 2 憲法の制約で、一般に外国の領域で武力行使はしないとするが、新三要件の下での集団的自衛権行使において密接に関係する他国の領域内での武力行使は、外国の領域であっても味方国であり、この場合、必要最小限度を満たせば許されるのか。
三 個別的自衛権における、「我が国への武力攻撃の着手」についてお尋ねする。
 1 「着手」についての過去の国会答弁すべてをお示し願いたい。また、その答弁は現在も変わっていないか。
 2 公海上における米艦船への攻撃が、「我が国への武力攻撃の着手」となる可能性についての国会答弁をすべてお示し願いたい。
 3 公海上における米艦船への攻撃が、「我が国への武力攻撃の着手」となる可能性についての主な国会答弁として以下のものがある。
  〇平成十五年五月十六日衆議院安全保障委員会における秋山法制局長官答弁「先ほどから申し上げていることは、我が国に対する武力攻撃の発生ということでございまして、我が国を防衛するために出動して公海上にある米国の軍艦に対する攻撃が、状況によっては、先ほど申しましたような、我が国に対する武力攻撃の端緒といいますか、着手といいますか、そういう状況として判断されることがあり得るのではないかということを申し上げているわけでございます」
  〇平成十六年六月十日参議院イラク人道復興支援特における秋山法制局長官答弁「お尋ねのような、我が国に来援のために向かっている米軍が公海上で攻撃を受けたという場合に、我が国としてどのような対応ができるかという問題は、そのような攻撃が自衛権発動の要件のうち、我が国に対する武力攻撃の発生に該当するかどうかということで決まるわけでございます。それで、理論的にはこれが我が国に対する組織的、計画的な武力の行使と認定されるかどうかという問題でございまして、個別の事実関係において十分慎重に判断すべきものでありますが、仮に当該攻撃が我が国に対する武力攻撃に該当すると判断されるということも法理としては排除されないというのが政府の考え方でございます。この場合には、我が国として自衛権を発動して武力を行使し、我が国を防衛するための行為の一環として当該米艦の防衛をすることもあり得る、法理的にはあり得るものと考えます」
  また、「着手」については平成二十七年六月八日、政府統一見解として「我が国に対する武力攻撃とは、基本的には我が国の領土、領海、領空に対する組織的計画的な武力の行使をいう。武力攻撃が発生した場合とは、攻撃のおそれがあるにとどまるときではなく、また現実に被害を受けたときでもなく、他国が我が国に対して武力攻撃に着手したとき。どの時点で武力攻撃の着手があったと見るべきかは、そのときの国際情勢、相手方の明示された意図、攻撃の手段、態様等による」とある。
  この統一見解における、「着手」認定の基準である四要素である「国際情勢」「相手方の明示された意図」「攻撃の手段」「攻撃の態様等」について、それぞれ詳しく説明願いたい。例えば、「国際情勢」とは日本周辺の情勢のことなのか、「明示された意図」とは、その意図が明示されていない場合は認定されないのか、「攻撃の手段」とは核兵器であるか否かなども関係するのか、「攻撃の態様等」とはどのような意味なのか、などについてお示し願いたい。
 4 国会で安倍首相があげた米艦船防護の事例の中で、我が国への武力攻撃の着手として読み得る可能性のある事例はあったのか否か。
 5 具体的には、米艦船に対するどのような攻撃が、我が国への武力攻撃の着手と認定されるのか。事例をお示し願いたい。
 6 国会で岸田外務大臣が二〇〇五年国連サミットについて答弁された。そこで触れた「攻撃が急迫」とは、我が国における武力攻撃事態の切迫事態と同じ概念として答弁されたのか。また、どのような意図での答弁だったのか。
 7 我が国への武力攻撃の着手をどう認定し、どのような武器使用や部隊行動を取るのか等について、自衛隊はROE(交戦規定、日本では部隊行動基準という)で規定しているのか。
  ROEの作成等に関する訓令(平成十二年十二月四日)によるとROEとは「自衛隊の部隊等がとり得る具体的な対処行動の限度を示す」とあり、「部隊行動基準は、状況に応じて部隊等に示すべき基準をまとめたものであって、行動し得る地理的範囲、使用し又は携行し得る武器の種類、選択し得る武器の使用方法その他の特に政策的判断に基づく制限が必要な重要事項に関する基準を定めたものとする」とある。
 8 防衛省の説明によると我が国への武力攻撃の着手とは、ポイント・オブ・ノーリターンであって我が国への武力攻撃が不可避の時点である、とのことだが、これは正しい説明なのか。
 9 我が国の艦船が、公海上で、相手国艦船の射程にありレーザー照射でロックオンされたときは「着手」と読み得るのか。
 10 主要先進国G7、それぞれの国で、個別的自衛権における「我が国への武力攻撃の着手」の認定は、同じなのか。異なるのか。
 11 G7、それぞれの国の「我が国への武力攻撃の着手」についての認定基準の違いを大まかにでも、ご存じであれば、それぞれ、簡単にお示し願いたい。
四 日本はROEは一切非公開であるが、米国では標準のSROEは公開されている。日本でもSROEを示す予定はないのか。国会で政府は、どの国も手の内を明かしていないと答弁するが、標準的なROEを公表している国が何か国あるかご存じであればお示し願いたい。
五 我が国の七十年前の戦争についてお尋ねする。
 1 間違った戦争を起こさないためにも、自衛隊の最高指揮官である首相が、七十年前の戦争の教訓を正しく胸に刻むことが重要と考える。政府は、先の戦争の教訓は何だと考えているか、お示し願いたい。
 2 また、具体的な以下の三つの事案について政府は、今から見ると間違った政策だったとお考えか、それぞれお示し願いたい。
  ・昭和六年の柳条湖事件(関東軍の謀略)
  ・昭和十一年の軍部大臣現役武官制の導入
  ・昭和十五年、政党が解散となり、大政翼賛会が結成された
六 衆議院平安特での野党からの強い指摘を受けて、「イラク復興支援活動行動史第1編、第2編」陸上幕僚監部平成二十年五月という資料が公開された。しかし、これまでの情報公開においては、一部は公開ミスがあったとはいえ、部分公開とされ、多くは黒塗りで公開されずにいた。今回、委員会の指摘を受けて全面公開となったが、もともと黒塗りで出すべきものではなかったのではないか。これまでが情報公開の精神に反した対応だったのではないか、と指摘せざるを得ない。かつて黒塗りで公開されなかった部分それぞれについて、かつて公開しなかった理由(情報公開法に基づく理由)と、今回、一転、公開した理由について具体的にお示し願いたい。

 右質問する。



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