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平成二十八年九月二十九日提出質問第二六号
米軍ヘリパッド建設工事現場における機動隊員による市民不当拘束に関する質問主意書
提出者 照屋寛徳
米軍ヘリパッド建設工事現場における機動隊員による市民不当拘束に関する質問主意書
現在、沖縄県東村高江周辺では、全国から五百人規模ともいわれる警察機動隊員が大量動員され、違法な交通規制や検問が続いている。文字通り、国家権力を総動員して、世界的にも貴重な生態系を有するヤンバルの森の豊かな自然を破壊し、地域住民の憲法で保障された平和的生存権を蔑ろにする米軍ヘリパッド建設工事が強行され、市民らへの違法・不当な暴力行為が日常的に繰り返されている。
そのような状況にあって、二〇一六年九月二十八日午後一時頃、東村高江周辺の米軍北部訓練場内通称H地区脇の急斜面において、警察機動隊員らが工事等の用途で使用される標識ロープ(いわゆるトラロープ。以下、単にロープという)で米軍ヘリパッド建設工事に抗議していた市民らを縛り上げ、拘束するという暴挙と呼ぶべき事態(以下、警察機動隊員らによる市民緊縛行為という)が発生した。
翌九月二十九日付「沖縄タイムス」及び「琉球新報」が報じるところによると、市民らをロープで縛って引き上げる際、「首が絞められる」と訴えた女性に「声が出ているから大丈夫」と応じた警察官や、笑いながら「首も絞まっちゃうよ」などと述べた警察官もいたようだ。
かかる警察機動隊員らによる市民緊縛行為は、日米地位協定に基づく警察権行使の在り方とも関連し、重大な問題を孕んでおり、決して看過できるものではない。
以下、質問する。
二 右緊縛行為をおこなった警察機動隊員らが所属する都道府県警察名及び同行為を指示した責任者の役職名を併せて明らかにした上で、警察権力が無抵抗の市民をロープで縛り上げ、身体の自由を奪ってまで拘束する相当性、必要性、妥当性について政府の見解を示されたい。
三 概して、警察官が市民をロープで緊縛し、身体の自由を奪って拘束する行為は、憲法第三十三条及び刑事訴訟法第二百十三条に定める現行犯人逮捕、または刑事訴訟法第二百十条に定める緊急逮捕等の「逮捕」に該当すると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
また、警察官による右「逮捕」が在日米軍基地内でなされる場合、日米地位協定や同協定の実施に伴う刑事特別法に基づき、米軍当局の同意が必要であると解するが、政府の見解を示されたい。
四 去る九月二十八日午後一時頃に、東村高江周辺の米軍北部訓練場内通称H地区脇の急斜面で発生した警察機動隊員らによる市民緊縛行為は、警察官による「逮捕」に該当するか否か、政府の見解を示されたい。
@ 「逮捕」に該当するとの立場であれば、執行にあたって米軍の許可を得たのかどうか、手続きと併せて明らかにされたい。
A 「逮捕」に該当しないとの立場であるならば、当該緊縛行為はいかなる理由、法的根拠に基づいてなされたものか、政府の見解を明らかにされたい。
右質問する。