衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
令和六年四月十七日提出
質問第八〇号

重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案に関する質問主意書

提出者  中谷一馬




重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案に関する質問主意書


 今国会に提出されている「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案」(以下「本法律案」という。)について、以下質問する。

一 本法律案第十六条では、適性評価に関する個人情報を重要経済安保情報の保護等の目的以外で利用することを禁止しているが、政府は、令和六年四月三日の衆議院内閣委員会において、個人情報の管理方法や具体的な禁止事項等については、法成立後、運用基準等で示す予定である旨答弁している。
 政府は、同年四月五日の衆議院内閣委員会において、法成立後、政令や運用基準の策定に直ちに着手をすると答弁しているが、策定に関する具体的なスケジュールは、いつ頃示されるのか。
二 令和六年一月十九日付の経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度等に関する有識者会議(以下「有識者会議」という。)最終とりまとめにおいては、「民間事業者等の従業者にあっては、調査において行政機関が収集した個人情報が所属事業者等に共有されるべきではなく、本人から行政機関への回答に所属事業者を介在させないなど、ここで収集される個人情報が所属事業者等の目に触れないような運用上の工夫もなされるべきである」とされている。政府は、収集される個人情報が所属事業者等の目に触れないようにするため、どのような運用上の工夫を行うことを想定しているのか。
三 信頼性の確認を行う対象は、政府からCI(政府が保有する安全保障上重要な情報として指定された情報)の共有を受ける意思を示した民間事業者等とされ、契約に基づき意思を示したものとされている。
 一方、有識者会議においては、サイバー関連情報を利用する基幹インフラ事業者については、基幹インフラの保護のために必要な情報を共有するため、セキュリティ・クリアランスの対象とすべきではないかとの指摘もなされているが、当該事業者に対して何らかの信頼性の確認を行うことについて、政府はどのように考えているか。
四 有識者会議において、CIに触れることになる企業の会計監査を行う監査法人やサイバーセキュリティ監査を行う法人、法律事務所、特許事務所、環境監査を行う法人などもクリアランスを取得する必要性・可能性が指摘されている。例えば、大企業に対する業務監査はCIに触れる可能性があると指摘されており、法律事務所については、CIに関連する罪を犯して留置された者に弁護士が接見する場合、セキュリティ・クリアランスを保有していないため弁護活動ができない可能性があることが述べられているが、このような指摘に対して、政府はどのように考えているか。
五 本法律案第十二条第四項では、行政機関の業務の遂行に支障を及ぼすおそれがある場合には、内閣府ではなく当該行政機関の長が、政令で定めるところにより、自ら適性評価調査を行うものとしているが、政府は、どのような場合に自ら調査を行うことになると想定しているのか。
六 本法律案第十四条第一項及び第二項においては、評価対象者は、適性評価の結果等について、苦情の申出をすることができ、苦情の申出に対しては、行政機関の長は、誠実に処理し、処理の結果を通知することとしているが、政府は、苦情の処理に要する期間をどの程度と見込んでいるか。また、あらかじめ標準的な処理期間を示す必要性について、どのように考えているか。
 さらに、中央大学の宮下紘教授は、不正確な個人情報を基に認定を得られないケースなども想定されることから、苦情処理のプロセスを充実させる必要があるとし、「苦情処理のプロセスに、できるだけ第三者的な視点を入れるべきではないか。例えば、特定秘密に関して政府の運用を監視している、国会の情報監視審査会のようなところがチェック機能を果たすべきではないか」と指摘している。政府は、苦情処理のプロセスの在り方及び第三者的な視点の確保の必要性について、どのように考えているか。
七 令和六年三月二十八日の衆議院内閣委員会における参考人質疑では、日本弁護士連合会の齋藤裕副会長から「不服申立てについても、行政不服審査の対象ではありません。解雇につながるようなものであるのに非常に不合理であります。情報監視審査会は適性評価を監督する権限を持っておりますが、独立公文書管理監はございません。そうしますと、法案では適性評価の在り方がきちんと監督されないことになりかねません」との意見が示されているが、政府はこの意見をどのように捉えているか。
八 特定秘密の指定の有効期間については、「特定秘密の対象分野の中で、防衛分野において中長期にわたる装備品の取得や更新を含めた防衛態勢の構築を期間を定めて計画的に行うことを制度化しており、その見積りや計画の多くが五年ごとに作成されるものであることから、特定秘密の有効期間の上限を五年とする」とされている(「特定秘密の保護に関する法律(逐条解説)」平成二十六年十二月九日内閣官房特定秘密保護法施行準備室)。本法律案第四条第一項では、重要経済安保情報の指定の有効期間を五年以内としているが、政府は、どのような理由で上限を五年としたのか。
九 本法律案においては、重要経済安保情報(サプライチェーン上の脆弱性関連情報など)の漏えいに対する罰則は五年以下の拘禁刑としているが、同じコンフィデンシャル級の情報でも、特定秘密として指定できる安全保障四分野の防衛、外交、スパイ防止、テロ防止分野の情報の漏えいに対する罰則は、国家公務員法等に基づく一年以下の懲役(拘禁刑)とされている。政府は、令和六年三月二十七日の衆議院内閣委員会において、この罰則の差について、改めて今後検討する余地があると答弁しているが、当該検討は、今後どのようなスケジュールで行うことを想定しているのか。
十 令和六年三月二十八日の衆議院内閣委員会における参考人質疑では、日本弁護士連合会の齋藤裕副会長から(特定秘密保護法のように)「罪刑法定主義の精神からは、別表をつけるとか、あるいは国民の安全とは何ぞやということを明確に説明するとか、そういうことは最低限必要だと思っております」との意見が示されているが、政府はこの意見をどのように捉えているか。
十一 日本のネットワークが脆弱で同盟国・同志国が機密情報の共有ができない状況が続いていると言われて久しいが、政府は、経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度ができることでこの状況が改善されると考えているか。
 
 右質問する。

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.