答弁本文情報
平成十六年十二月十日受領答弁第七四号
内閣衆質一六一第七四号
平成十六年十二月十日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員吉井英勝君提出四国電力伊方原発等のコンクリートのアルカリ骨材反応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員吉井英勝君提出四国電力伊方原発等のコンクリートのアルカリ骨材反応に関する質問に対する答弁書
(一)について
アルカリ骨材反応が起こる可能性については、先の答弁書(平成十六年十一月二十六日内閣衆質一六一第一六号。以下「前回答弁書」という。)(三)についてで述べた促進膨張試験により適切に確認することが可能であると考えており、お尋ねの調査の実施については、指示をしていない。
関西電力株式会社の美浜発電所三号機の原子炉建屋のコンクリートについては、平成十二年二月に同社に対して事実関係の調査を指示し、同年十二月に同社から、建設当時の工事に係る品質管理等の状況、建設後の建物の保全管理の状況、建設当時に実施したコンクリートの強度試験の記録及び同年二月以降に改めて実施したコンクリートの強度試験の結果を踏まえ、同発電所三号機のコンクリート強度は設計基準強度を上回っていることを確認した旨の報告を受けている。資源エネルギー庁においては、コンクリートの強度試験に同庁の職員を立ち会わせるなど、当該報告の内容が適正なものであることについて確認を行ったところである。
お尋ねの点については、特段の調査を行っておらず、お答えすることは困難である。
なお、御指摘の「報告書」とは、平成十四年十月に四国電力株式会社から原子力安全・保安院(以下「保安院」という。)に提出された「伊方発電所一号機タービン発電機架台のひび割れに関する安全評価結果等について」(以下「四国電力報告書」という。)を指すものと考えるが、保安院においては、四国電力報告書の内容について評価を実施し、同社の伊方発電所一号機のタービン発電機架台のひび割れについては、原子炉の安全上問題となるものではないとの結論を得ているところである。
我が国の原子力発電所においては、運転中、タービン発電機の軸振動を常時監視し、異常があればタービンが自動停止する設計となっており、タービンミサイルが発生する可能性は極めて低いと考えている。また、万一、タービンミサイルが発生した場合においても、安全上重要な施設にタービンミサイルが到達する可能性が極めて低いことを確認しているところであり、伊方発電所一号機についても、タービンミサイルの発生に関し、安全上問題はないものと考えている。
前回答弁書(四)についてで述べたように、現在、中部電力株式会社の浜岡原子力発電所並びに東京電力株式会社の福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所のコンクリートのアルカリ骨材反応性に係る調査を行っているところであり、他の原子力発電所のアルカリ骨材反応に対する健全性の確認については、今後、当該調査の結果を踏まえ、適切に対処していくこととしている。お尋ねの四項目については、その際、十分に考慮してまいりたい。
政府としては、御指摘の報告書を踏まえ、コンクリートの膨張や劣化等を考慮した評価を行っているわけではなく、「炉心損傷確率は前記「報告書」よりさらに高くなるのではないのか」とのお尋ねにお答えすることは困難である。
なお、当該報告書における地震発生時の原子力発電所の炉心損傷確率については、実在する原子力発電所について試算を行ったものではないと承知している。