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答弁本文情報

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平成十八年十二月十九日受領
答弁第二三〇号

  内閣衆質一六五第二三〇号
  平成十八年十二月十九日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員平沼赳夫君提出教育基本法案に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員平沼赳夫君提出教育基本法案に関する質問に対する答弁書



一の(1)について

 現在、小学校、中学校及び高等学校等においては、例えば、国家や社会の発展に大きな働きをした先人の業績や優れた文化遺産について調べること等を通じて、我が国の国土、歴史、伝統、文化等について理解を深め、我が国に対する愛情を育てる指導が行われており、今後とも、このような指導の充実を図ってまいりたい。

一の(2)について

 現行の小学校学習指導要領(平成十年文部省告示第百七十五号)等における「国を愛する心をもつ」や「国を愛する心情を育てる」等は、教科等の目標や内容等として規定しているものであり、第百六十五回国会で成立した教育基本法(以下「教育基本法」という。)第二条第五号において、教育の目標として「我が国と郷土を愛する…態度を養うこと」と規定しているのと同様の趣旨のものである。また、現行の高等学校学習指導要領(平成十一年文部省告示第五十八号)においては、例えば、地理歴史科の内容の取扱いにおいて、「祖先が地域社会の向上と文化の創造や発展に努力したことを具体的に理解させ、それらを尊重する態度を育てる」こととしている。したがって、教育基本法の成立によって、直ちに現行の学習指導要領を改訂しなければならないものとは考えていないが、具体的な記述の仕方については、今後、検討してまいりたい。

一の(3)について

 教育基本法第二条第五号において教育の目標として定める「我が国と郷土を愛する…態度」を養うため、小学校、中学校及び高等学校等における指導の充実を図ることとしているが、お尋ねの「指導資料」を作成するか否かを含め、そのための具体的な施策については、今後、検討してまいりたい。

一の(4)について

 「我が国と郷土を愛する…態度」を養うことを目標とする指導における児童生徒の評価については、例えば、国家や社会の発展に大きな働きをした先人の業績や優れた文化遺産について進んで調べたり、学んだことを生活に生かそうとしたりする態度を評価するものである。今後、このような評価の考え方について、各都道府県教育委員会等に対する指導等を行ってまいりたい。
 また、いわゆる通知表における評価については、各学校の校長が、その責任において適切に判断すべき事柄であるが、右に述べたような評価を行うことは問題ないと考える。

一の(5)について

 教育基本法第二条第五号において教育の目標として定める「我が国と郷土を愛する…態度」を養うため、小学校、中学校及び高等学校等における指導の充実を図ることとしているが、その際、必要に応じ、諸外国の状況について参考にしてまいりたい。

二の(1)について

 お尋ねの「宗教的情操」の趣旨が必ずしも明らかでないが、教育基本法第二条第一号に規定する「情操」には、特定の宗教、宗派に基づかない、宇宙や生命の神秘、自然などの人間の力を超えたものに対する畏敬の念が含まれると考える。

二の(2)について

 御指摘の答弁は、宇宙や生命の神秘、自然などの人間の力を超えたものに対する畏敬の念をはぐくむことの重要性を述べたものである。

二の(3)について

 現行の学習指導要領においては、道徳の内容として、「人間の力を超えたものに対する畏敬の念をもつ」等としており、このような指導は、引き続き実施できるものである。

二の(4)について

 現行の学習指導要領においては、道徳の内容として、「人間の力を超えたものに対する畏敬の念をもつ」等としており、御指摘の答弁は、このような指導の充実を図ることの重要性を述べたものである。

二の(5)について

 御指摘の答弁において、「宗教的情操」とは、特定の宗教、宗派に基づかない、宇宙や生命の神秘、自然などに対する畏敬の念として捉えているところであり、それをはぐくむことは今後とも重要であると考える。一方、法律に「宗教的情操」について規定することについては、特定の宗教、宗派を離れて教えることが困難ではないかとの意見もあり、その内容が多義的であることから、教育基本法に規定しなかったものである。

二の(6)及び(7)について

 国及び地方公共団体が設置する学校におけるお尋ねのような活動や教材の使用が、憲法及び教育基本法により禁止されている特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動に該当するか否かは、当該行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為に当たるか否かという観点から、個別に判断されるべきものと考える。

二の(8)について

 二の(6)及び(7)についてで述べたとおり、国及び地方公共団体が設置する学校における教育活動が、憲法及び教育基本法により禁止されている特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動に該当するか否かは、個別の事例に即して判断されるべきものであり、さまざまな具体的事例を網羅した「具体的ガイドライン」を作成することは困難と考える。

二の(9)について

 今後、学校における宗教に関する一般的教養等に関する指導の充実を図ることとしているが、その際、必要に応じ、諸外国の状況について参考にしてまいりたい。

二の(10)について

 現在、中央教育審議会において、学習指導要領の見直しについて検討を行っているところであり、その中で、道徳の在り方についても引き続き検討してまいりたい。

三の(1)について

 教育基本法第十六条第一項に規定する「不当な支配」とは、国民全体の意思を離れて一部の勢力が教育に不当に介入する場合を指すものである。

三の(2)について

 論理的には、教育行政機関が行う行政でも、その運用を誤ることがあれば、教育基本法第十六条第一項に規定する「不当な支配」に当たる場合があり得るが、教育基本法その他の法律の趣旨にのっとり、その定めるところにより適正に行われる教育行政機関の行為は、「不当な支配」に当たることはないと考える。

三の(3)について

 教育基本法第十六条第一項に規定する「不当な支配」については、その主体のいかんを問うところではなく、特定の主体を想定したものではない。

三の(4)について

 今後、地方公共団体等に対し、改正の趣旨の周知を図ってまいりたい。

三の(5)について

 学習指導要領は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第二十条、第三十八条、第四十三条等の規定による委任に基づき、教育課程の基準として文部科学大臣が告示として定めるものであり、お尋ねの各教科及び各科目の目標、内容及び内容の取扱いを含め、法規としての性質を有している。

三の(6)について

 地方公共団体と各種団体との間で結ばれたいわゆる「確認書」等については、違法なもの又は不適切なものは直ちに是正する等適切に対応するよう指導してまいりたい。

三の(7)について

 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇六」(平成十八年七月七日閣議決定)において、「教育行政の仕組み、教育委員会制度については、抜本的な改革を行う」こととされており、今後、御指摘の国と地方の権限関係を含め、教育行政の在り方について幅広く意見を聴いて検討してまいりたい。

三の(8)について

 教育基本法による改正前の旧教育基本法(昭和二十二年法律第二十五号)第十条第一項に規定する「不当な支配に服することなく」とは、国民全体の意思を離れて一部の勢力が教育に不当に介入してはならないという趣旨であり、その重要性にかんがみ、教育基本法第十六条第一項において引き続き規定するものである。



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