答弁本文情報
平成二十一年六月三十日受領答弁第五六七号
内閣衆質一七一第五六七号
平成二十一年六月三十日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員岩國哲人君提出農地法改正に伴う農地賃貸借の緩和に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員岩國哲人君提出農地法改正に伴う農地賃貸借の緩和に関する質問に対する答弁書
一について
耕作放棄は必ずしも企業によってのみ行われるものではないが、農業生産法人以外の法人等による耕作放棄を防止・是正するための措置として、農地法等の一部を改正する法律(平成二十一年法律第五十七号)による改正後の農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)に基づくもの以外に、同法第三条第三項の規定に基づき農業生産法人以外の法人等が農地の使用貸借による権利又は賃借権を取得するため農業委員会等の許可を受ける場合に、貸借契約終了時の原状回復、原状回復がなされないときの損害賠償及び中途の契約終了時における違約金の支払等について当該契約において明記することを農業委員会等が指導すべき旨を周知することとしている。
御指摘の「国または地方公共団体が賃貸者となり管理する」の意味が必ずしも明らかではないが、耕作放棄の可能性が高い等の理由で国や地方公共団体が農地の権利を取得して管理を行うことについては、国又は地方公共団体が民間の主体と競合して経済活動を行うこととなるため、慎重な検討が必要であると考えている。
他方、既に、都道府県が基本財産の拠出者となっている一般財団法人でその拠出した基本財産の額が基本財産の総額の過半を占めるもの等が、農地保有合理化法人として、農業経営の規模の拡大、農地の集団化その他農地保有の合理化を促進するため、離農や経営縮小をする農家等からの農地の買入れ又は借入れを行い、その農地の担い手に対する売渡し又は貸付け等を行う農地保有合理化事業の仕組みがある。また、農地保有合理化法人に対して、農地の貸付け等の相手方が確保されるまでの間、その農地を管理することを支援するための予算措置を講じるなど、農地保有合理化事業の推進を図っているところである。
御指摘の「開発権の購入」という仕組みは、農地を転用する権利を行政機関が農地所有者から購入することにより、農地転用によって見込まれる収入に相当する額を補償し、農地転用を恒久的に防止しようとするものであると思われるが、このような仕組みは、権利を購入する主体、対象とする農地の範囲、権利の購入額の設定方法、権利の購入に必要となる財源の確保等に関する課題があると考えられることから、慎重な検討が必要であると考えている。