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答弁本文情報

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平成二十三年十二月十六日受領
答弁第一二一号

  内閣衆質一七九第一二一号
  平成二十三年十二月十六日
内閣総理大臣 野田佳彦

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員阿部知子君提出国際的な人権諸条約の締結及び実施、ならびに外国人の年金や教育等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出国際的な人権諸条約の締結及び実施、ならびに外国人の年金や教育等に関する質問に対する答弁書



一について

 人権に関する様々な条約に設けられている個人通報制度については、条約実施の効果的な担保を図るとの趣旨から注目すべき制度であると考えている。個人通報制度の受入れに当たっては、我が国の司法制度や立法政策との関連での問題の有無や個人通報制度を受け入れる場合の実施体制等の検討課題があると認識している。個人通報制度の受入れの是非については、現在、各方面から寄せられている意見も踏まえつつ、政府として真剣に検討を進めているところである。

二について

 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)においては、かつては被保険者が日本国民に限定されていたが、昭和五十七年の難民の地位に関する条約(昭和五十六年条約第二十一号)の発効の際に、難民とそれ以外の外国人との均衡を図る観点から、難民の地位に関する条約等への加入に伴う出入国管理令その他関係法律の整備に関する法律(昭和五十六年法律第八十六号)により国籍要件の撤廃がなされた。その際には、外国人について国籍要件のため被保険者でなかった期間を年金の被保険者期間に算入する等の経過措置は講じないこととされたところであり、このような取扱いについては、平成二十一年二月三日最高裁判所第三小法廷決定等において憲法に違反するものではない旨の判断が示されている。他方、議員立法である特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律(平成十六年法律第百六十六号)附則第二条や同法の国会審議の際の附帯決議において、年金等の受給権を有していない在日外国人の障害者や高齢者の方々に対する福祉的措置等について検討すべき旨が指摘されているところであり、政府としては、国会における議論や関係者の様々な御意見を踏まえて引き続き検討してまいりたい。

三について

 在留外国人統計については、昭和五十九年に出入国・在留管理に係る事務の合理化を図る観点から外国人登録に関する記録のうち必要最小限の事項を電算機処理化した上でこれを作成することとしたが、この際、在留外国人の出生地については電算入力項目とならなかったことから、昭和六十年版以後の在留外国人統計では出生地別の在留外国人の数が集計されていない。
 また、出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律(平成二十一年法律第七十九号)の施行により、平成二十四年七月までに外国人登録法(昭和二十七年法律第百二十五号)が廃止され、在留外国人の出生地が一律には把握されないこととなるため、出生地別の統計を集計して公表する予定はない。

四について

 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第六号)第十三条2(b)の規定に付している留保については、現在、我が国が同規約上負う義務と公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律(平成二十二年法律第十八号)との関係について精査しているところである。

五について

 我が国の公立の義務教育諸学校においては、在留資格の有無を問わず、就学を希望する外国人児童生徒を日本人児童生徒と同様に無償で受け入れることとしている。
 文部科学省としては、各都道府県教育委員会等に対して通知を発出し、外国人児童生徒が公立の義務教育諸学校への就学の機会を逸することのないよう、外国人児童生徒の受入体制の整備や就学案内の徹底を図るよう周知を行っているところである。この方針は、御指摘の「新たな在留管理制度」の導入後も変わるものではなく、引き続き、外国人児童生徒の教育の充実に努めてまいりたい。
 なお、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第六十二条第二項に規定する通報義務については、通報すると行政機関に課せられている行政目的が達成できないような例外的な場合には、当該行政機関において通報義務により守られるべき利益と各官署の職務の遂行という公益を比較衡量して、通報するかどうかを個別に判断することも可能であると解しているところである。



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