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平成二十八年五月二十七日受領
答弁第二七九号

  内閣衆質一九〇第二七九号
  平成二十八年五月二十七日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員初鹿明博君提出日本学生支援機構の奨学金の返還猶予に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員初鹿明博君提出日本学生支援機構の奨学金の返還猶予に関する質問に対する答弁書



一について

 独立行政法人日本学生支援機構(以下「機構」という。)が実施する奨学金事業における奨学金の返還期限の猶予期間は、限られた財源の中で多くの学生等に奨学金を貸与することができるよう、生活保護を受けているとき等を除き、最長十年とされているところである。この猶予期間は、平成二十六年度に五年から十年へと延長されたものであり、現時点において、機構においてはこの猶予期間を更に延長することは考えていないと承知している。もっとも、平成二十四年度から、奨学金の貸与を受ける者の生計を維持する者の所得が給与所得のみの場合であって年間収入金額が奨学金の申込みの時点において三百万円以下である場合等には、所得連動返還型無利子奨学金の貸与を受けることができるとされており、この奨学金の受給者については、大学等を卒業後、一定の収入を得るまでの間、その返還を無期限に猶予することができるとされている。また、現在、文部科学省において、奨学金の返還負担を一層軽減するため、奨学金の返還月額が卒業後の所得に連動する「新たな所得連動返還型奨学金制度」が平成二十九年度から新規の奨学金貸与者に対して適用されることを目指し、検討を進めているところである。

二について

 お尋ねの「機構から訴訟を提起されている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、奨学金の貸与を受けた者が、支払能力があるにもかかわらず奨学金の返還を著しく怠ったと認められるときは、その者は、機構の請求に基づき、その指定する日までに返還未済額の全部を返還しなければならないとされており、機構が実施する奨学金事業における延滞据置猶予の制度においては、奨学金の返還を延滞している者(以下「延滞者」という。)に対して当該請求が行われる時点までであれば、延滞者は延滞据置猶予の願い出を行うことができるとされているところ、当該請求が行われるまでに当該願い出を行わなかった者についても延滞据置猶予をすることは、適切に当該願い出を行った者との公平性に欠けることとなるため、延滞者のうち当該請求がなされた者については、生活保護を受けているとき等を除き、お尋ねの延滞据置猶予の対象とはされていないものと承知している。

三について

 機構が定めた「奨学規程」(平成十六年規程第十六号)においては、要返還者(奨学金の貸与を受け、その奨学金を返還する義務を有する者をいう。以下同じ。)については、奨学金の返還が完了する前に氏名、住所、勤務先その他重要な事項に変更があったときは、直ちに機構へ届け出なければならない旨の義務(以下「届出義務」という。)が課されているところ、要返還者が届出義務に違反して変更した住所等を機構へ届け出ないことにより奨学金の返還の請求が困難となることが、奨学金に係る債務の消滅時効が完成する理由であると承知していることから、「支払義務が時効になるのは機構側にも責任がある」との御指摘は当たらないものと考える。なお、機構においては、例えば、奨学金の貸与を受ける者に交付する「返還のてびき」等に要返還者には届出義務がありこれに違反した場合は不利益が生じ得る旨を記載するなどして、その旨を周知しているところである。
 その上で、奨学金に係る債務について消滅時効の援用を主張している者は届出義務に違反していた者と考えられ、そのような者について延滞据置猶予をすることは届出義務を適切に履行した者との公平性に欠けることとなるため、延滞者のうち奨学金に係る債務について消滅時効の援用を主張している者については、お尋ねの延滞据置猶予の対象とはされていないものと承知している。



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