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答弁本文情報

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令和六年二月六日受領
答弁第一〇号

  内閣衆質二一三第一〇号
  令和六年二月六日
内閣総理大臣 岸田文雄

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員原口一博君提出食料・農業・農村基本法の見直しに係る政府の基本的認識に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員原口一博君提出食料・農業・農村基本法の見直しに係る政府の基本的認識に関する質問に対する答弁書


一の1について

 お尋ねの「農地の維持・確保」のための対策については、荒廃農地(現に耕作に供されておらず、耕作の放棄により荒廃し、通常の農作業では作物の栽培が客観的に不可能となっている農地をいう。以下同じ。)の発生に関しては、農業経営基盤強化促進法(昭和五十五年法律第六十五号)第六条第一項に規定する基本構想を定めている市町村で令和七年三月までに定めるものとされている同法第十九条第一項に規定する地域計画(以下「地域計画」という。)において、その区域において農業を担う者ごとに利用する農用地等(同法第四条第一項に規定する「農用地等」をいう。以下同じ。)を地図に表示し、これを特定した上で、農地中間管理事業の推進に関する法律(平成二十五年法律第百一号)第十七条第二項の規定に基づき、当該区域において農地中間管理事業(同法第二条第三項に規定する農地中間管理事業をいう。以下同じ。)を重点的に行い、農業の担い手への農地の集積・集約化を図ることにより、荒廃農地の発生を抑制していく考えである。また、農地転用に関しては、令和五年十二月二十七日に食料安定供給・農林水産業基盤強化本部で取りまとめた「「食料・農業・農村政策の新たな展開方向」に基づく具体的な施策の内容」において、「将来にわたっての農地の総量確保と適正・有効利用のための措置を強化する」として「令和六年の通常国会への改正法提出も視野」に、「地域計画内農地の転用規制強化の観点から、地域計画内農地の農用地区域への編入を促進する」等の施策の具体化の方向性について定めたところである。

一の2について

 御指摘の「参考資料「農地の見通しと確保」において、令和十二年時点で確保される農地を四百十四万ヘクタールとしていること」は、食料・農業・農村基本法(平成十一年法律第百六号。以下「基本法」という。)に基づく食料・農業・農村基本計画(以下「基本計画」という。)において定められている食料自給率の目標を前提としているところ、基本法については、令和五年十二月二十七日に食料安定供給・農林水産業基盤強化本部で取りまとめた「食料・農業・農村基本法の改正の方向性について」(以下「改正の方向性」という。)に基づき、現在、その一部を改正する法律案の今国会への提出に向けて必要な検討を進めていることを踏まえると、農地面積の見通しについても、基本法の改正の内容を踏まえた次期の基本計画の策定過程の中で同時に見直すことが適当であると考えており、現時点でお答えすることは差し控えたい。

一の3について

 お尋ねの「適正に相続登記がなされた農地面積」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、令和三年度に農林水産省が実施した「相続未登記農地等の実態調査」において把握した「相続未登記農地」及び「相続未登記のおそれのある農地」(以下「相続未登記農地等」という。)について、その後相続未登記農地等に該当しなくなった面積は把握していない。
 また、御指摘の「抜本的な対策の見直し」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第四十一条及び農地中間管理事業の推進に関する法律第二十二条の二から第二十二条の五までの規定に基づく相続未登記農地等に対する農地中間管理権(同法第二条第五項に規定する農地中間管理権をいう。)の設定がより円滑に実施されるよう必要な措置を講じ、相続未登記農地等の有効利用を促進していくことに加え、民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第二十四号)による改正後の不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第七十六条の二の規定により令和六年四月一日から義務化される相続登記の申請について、その周知及び適正な運用の確保を行うことにより、相続未登記農地等の発生防止を図る考えである。

一の4について

 御指摘の「これまでの農地及び農業者に係る施策」が具体的にどの施策を指すのか必ずしも明らかではないが、これまでの農業の担い手への農地集積については、相対の農地の貸借によるものが中心となっており、このため、一般的に、農地の分散錯圃が解消されず、農業の担い手に使い勝手の良い形での農地集積が図られないことが、農業の担い手への農地集積が進まない要因となっていた。
 このため、地域計画において、その区域において農業を担う者ごとに利用する農用地等を地図に表示し、これを特定した上で、農地中間管理事業の推進に関する法律第十七条第二項の規定に基づき、当該区域において農地中間管理事業を重点的に行うことにより、相対の農地の貸借ではなく、農地中間管理機構との貸借の活用による農業の担い手への農地の集積・集約化を進めていくこととしている。

一の5について

 お尋ねの「家族経営、中小規模の経営体、農業を副業的に営む経営体の位置付けと農地の集積・集約化の関係の整理」の「答申以降の検討内容」については、令和五年九月十一日の食料・農業・農村政策審議会の答申において、「離農する経営の農地の受け皿となる経営体や付加価値向上を目指す経営体の役割が重要であることを踏まえ、これらの者への農地の集積・集約化を進める」及び「農業を副業的に営む経営体など多様な農業人材が一定の役割を果たすことも踏まえ、これらの者が農地の保全・管理を適正に行う」とされたこと等を踏まえ、改正の方向性において、「効率的かつ安定的な農業経営の育成・確保を引き続き図りつつ、農地の確保に向けて、担い手とともに地域の農業生産活動を行う、担い手以外の多様な農業人材を位置付ける」としたところである。御指摘の「多様な農業人材に係る」基本法の規定の具体的な在り方については、改正の方向性における当該記載を踏まえ、現在検討を進めているところであり、現時点でお答えする段階にない。

二の1について

 御指摘の「国産農産物の消費」の推奨については、政府としては、令和二年三月三十一日に変更された基本計画において、「ライフスタイルの変化等により、国民が普段の食生活を通じて農業・農村を意識する機会が減少しつつあることから、できるだけ多くの国民が、我が国の食料・農業・農村の持つ役割や食料自給率向上の意義を理解する機会を持ち、自らの課題として将来を考え、それぞれの立場から主体的に支え合う行動を引き出していくことが重要である」という考え方の下、「消費者や食品関連事業者に積極的に国産農産物を選択してもらえるよう、農林漁業体験、農泊、都市農業、地産地消などの取組間の連携強化により消費者と農業者・食品関連事業者との交流を進め、消費者が日本の食や農を知り、触れる機会の拡大を図る」等としているところである。

二の2について

 御指摘の「食料消費に係る施策」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、改正の方向性において、「円滑な食品のアクセスの確保に関する施策も新たに位置付け」及び「食料の価格形成に当たっては、農業者、食品事業者、消費者といった関係者の相互理解と連携の下に、農業生産等に係る合理的な費用や環境負荷低減のコストなど、「食料の持続的な供給に要する合理的な費用」が考慮されるようにしなければならないことを明確化する。その上で、食料の持続的な供給の必要性に対する国民理解の増進や、関係者による食料の持続的な供給に要する合理的な費用の明確化の促進、消費者の役割として持続的な食料供給に寄与することなどを明確化する」とした上で、このための具体的な施策としては、「円滑な食料の入手のための環境整備」、「持続的な食料供給に要する費用を考慮した価格形成の推進」等を挙げているところである。
 また、お尋ねの「基本法において消費者に関係する条文をどのように規定することを検討しているのか」については、改正の方向性におけるこれらの記載を踏まえ、基本法の規定の具体的な在り方について現在検討を進めているところであり、現時点でお答えする段階にない。

二の3について

 御指摘の「二十年以上解決されてこなかった」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成十二年三月二十四日に策定された基本計画(以下「平成十二年基本計画」という。)等に基づき、食料自給率目標の達成に向けて様々な施策を講じてきたところであり、御指摘の平成十二年基本計画に記載した「米及び飼料作物に係る課題」に関しても、平成十二年基本計画が策定された平成十二年当時と比べ、主食用米から麦・大豆等といった需要があり、かつ、海外からの輸入に依存している作物への転換等により、麦・大豆等の国内生産量が増加し、国内の飼料生産を受託する組織数が増加した等の一定の成果を上げてきていると考えているが、国内における主食用米の需要が年々減少をする中で、当該減少による主食用米の作付面積の減少分と比較して麦・大豆等の作付面積の増加分が十分でないこと、我が国の畜産業において、一戸当たりの飼養頭羽数が増加してきた中で飼料作物の増産のために必要な労働力を確保することが困難な畜産農家が多いこと等から、更なる取組が必要と認識しており、引き続き必要な施策を講じてまいりたい。

二の4について

 御指摘の「食料・農業・農村政策において農業者、食品事業者、消費者等の相互理解及び連携・協力に国が積極的な役割を果たすための枠組み」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにしても、基本法の規定の具体的な在り方については、改正の方向性を踏まえ、現在検討を進めているところであり、現時点でお答えする段階にない。

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