答弁本文情報
昭和二十九年二月五日受領答弁第五号
(質問の 五)
内閣衆質第五号
昭和二十九年二月五日
内閣総理大臣 吉田 茂
衆議院議長 堤 康次※(注) 殿
衆議院議員八木一※(注)君提出太平洋戦争参加者に対する国家表彰に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員八木一※(注)君提出太平洋戦争参加者に対する国家表彰に関する質問に対する答弁書
一 太平洋戦争における戦没者に対する叙勲は、終戦後占領軍の示唆により停止したのであるが、独立後の今日も叙勲を行つていない理由は、当時のか烈な戦況、年月の経過、軍機関の解体等の事情に因り資料が甚だ不備であつて、きわめて多数に上る戦没者の功績を調査し適当な叙勲を行うことが事実上不可能であるからである。
二 | 金鵄勲章及び旭日章を授与されたもの | 一四七、一七九件 | |
旭日章を授与されたもの | 八〇、六七三件 | ||
瑞宝章を授与されたもの | 一七、五六八件 | ||
賜金のみ授与されたもの | (賜金は連合国最高司令部の覚 書によつて廃止になつた。 ) |
七、一六四件 | |
計 | 二五二、五八四件 |
三 一の理由に因り、政府としては太平洋戦争における戦没者に対し叙勲を行う意図は現在ない。又戦没者の遺族の顕彰を栄典によつて行う考えはない。しかし遺族に対しては、その生活扶助に万全の措置を講じ生活不安を除く等のことによつて、国家の戦没者及びその遺族に対する深厚な同情を間接に表示することが現下においては適切であると考えて努力している。
四 多数の恩典に浴しない戦没者及びその遺族に対しては、衷心から同情の意を表するものであるが、上述したところにより政府の意のある所を了解せられたいと考える。
右答弁する。