衆議院

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第2号 令和3年3月10日(水曜日)

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令和三年三月十日(水曜日)

    午前九時六分開議

 出席委員

   委員長 高鳥 修一君

   理事 加藤 寛治君 理事 齋藤  健君

   理事 津島  淳君 理事 宮腰 光寛君

   理事 宮下 一郎君 理事 亀井亜紀子君

   理事 矢上 雅義君 理事 稲津  久君

      伊東 良孝君    池田 道孝君

      泉田 裕彦君    今枝宗一郎君

      上杉謙太郎君    江藤  拓君

      金子 俊平君    木村 次郎君

      小寺 裕雄君    佐々木 紀君

      斎藤 洋明君    鈴木 憲和君

      西田 昭二君    根本 幸典君

      野中  厚君    福田 達夫君

      福山  守君    細田 健一君

      渡辺 孝一君    石川 香織君

      大串 博志君    金子 恵美君

      神谷  裕君    近藤 和也君

      佐々木隆博君    佐藤 公治君

      緑川 貴士君    濱村  進君

      田村 貴昭君    藤田 文武君

      玉木雄一郎君

    …………………………………

   農林水産大臣       野上浩太郎君

   内閣官房副長官      坂井  学君

   財務副大臣        伊藤  渉君

   農林水産副大臣      葉梨 康弘君

   総務大臣政務官      宮路 拓馬君

   外務大臣政務官      國場幸之助君

   農林水産大臣政務官    池田 道孝君

   国土交通大臣政務官    鳩山 二郎君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        佐藤 朋哉君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 馬場竹次郎君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    川原 隆司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         青山 豊久君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           伏見 啓二君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房検査・監察部長)       松原 明紀君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           新井ゆたか君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            太田 豊彦君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  水田 正和君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部長)           渡邊  毅君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  光吉  一君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            牧元 幸司君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 天羽  隆君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           菱沼 義久君

   政府参考人

   (水産庁長官)      山口 英彰君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            瀬口 良夫君

   農林水産委員会専門員   森田 倫子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

高鳥委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長横山紳君、大臣官房総括審議官青山豊久君、大臣官房審議官伏見啓二君、大臣官房検査・監察部長松原明紀君、消費・安全局長新井ゆたか君、食料産業局長太田豊彦君、生産局長水田正和君、生産局畜産部長渡邊毅君、経営局長光吉一君、農村振興局長牧元幸司君、政策統括官天羽隆君、農林水産技術会議事務局長菱沼義久君、水産庁長官山口英彰君、内閣府地方創生推進事務局審議官佐藤朋哉君、総務省大臣官房審議官馬場竹次郎君、法務省刑事局長川原隆司君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官浅沼一成君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君及び海上保安庁警備救難部長瀬口良夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。福田達夫君。

福田(達)委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の福田でございます。

 農水委員会におきます質問は、四年前の農業競争力強化支援法案の質問以来でございまして、四年ぶりでございます。まず、委員長そして与野党の理事の皆様方に、お時間をいただきましたことを心からお礼申し上げます。

 農林水産業の世界、大変に構造的な問題を抱え、しかし、食料供給という国の最も根本的なところでしっかりと責任を負わなければいけないというところでありますが、それに加え、また、コロナという非常に難しい問題を抱えております。その中におきまして、大臣、強いリーダーシップを発揮していただいて、農業政策を引っ張っていただきたいと思っております。

 まず、今日の御質問は二つに絞らせていただきたいというふうに思っております。実は、所信表明の中でも十ページに書いてございますが、みどりの食料システム戦略、これについてまずはお話を伺っていきたいと思います。

 私、二年前にアメリカのワシントンDCにお邪魔いたしまして、各種シンクタンクと話をしてまいりました。その中で、センター・フォー・アメリカン・プログレス、CAPというふうに呼ばれていますが、いわゆるリベラル系、民主党系のシンクタンクであります。どちらかというと理想主義を語るところではあるんですけれども、ここの研究員としゃべっておりましたらば、面白いことを言っていました。

 農業というものは、食料供給、そして、金もうけだけでなくて、もっといろいろな機能があるというふうに思うんだ、地球環境だとか社会をつくるだとか、そういうふうに我々は今考え始めているという話をしていました。あの、それって日本が四半世紀前から言っている多面的機能という話じゃないですかという話をお返ししましたらば、全く彼らはそれを知らなくて、びっくりした顔をしていました。

 どうも、最近アメリカの方と話をしていると、特に進歩系の方と話をしていると感じるんですが、やっとアメリカというのは社会というものの重さを感じ始めたのかなと。経済成長だけで社会というものを引っ張れる、若しくは人間社会がつくれるというふうに思ってきた、地球環境も全て克服ができると思ってきたものに対し、やはり社会は相当重いな、やはり社会というものにしっかりと向き合って、その基本である自然、天候、気候、そういうものに向き合わない限り、どうも人間社会というものはうまく回らないんじゃないか。やっと彼らは分かってきたのかなという印象を正直受けました。

 今日の質問の一番最初の、みどりの食料システム戦略、私は非常にこれはすばらしいことだというふうに思っています。やっとSDGsの考え方というものが、世界的にも、また我が国においてもしっかりと根づいてきたなというふうに思っています。

 やはり、技術で自然環境すら克服できる、いわばこの技術進歩主義、経済成長という、近代化というものが十九世紀末から世界中に広まっているわけでありますが、それに対しまして、気候風土の中で育まれる社会の価値観、これをしっかりと踏んまえて新しい社会政策というものを、しかも農業、食料政策という根幹中の根幹からお出しになるということでもって、非常に立派なものだと思っています。

 中には、みどりの食料システム戦略、まだお聞き及びでない方もいらっしゃるかもしれませんので、政府参考人から、みどりの戦略について簡単に御説明いただければと思います。

菱沼政府参考人 お答えいたします。

 みどりの食料システム戦略は、食料、農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現させるための新たな戦略として検討しているところであります。

 二〇五〇年に目指す姿として、農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現、化学農薬や化学肥料の使用量の削減、有機農業の面積拡大、持続可能性に配慮した輸入原材料調達の実現などを掲げておりまして、革新的な技術・生産体系の開発、その後の社会実装により実現していきたいと考えており、五月までに戦略を策定することとしております。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 私、すばらしいなと思うことが幾つかあるんですけれども。やはり、一番大事なことは、今まで何となく日本らしいというふうに感覚的に言われてきたこと、これをしっかりと文字化した上で体系化して国際的に発信する。しかも、アジア・モンスーン地域という言葉が実はこの戦略の中には入っています。アジア・モンスーン地域という形に土俵を広げて、それを日本が引っ張っていくんだ、こういう形で国際発信をしていくんだということ、このことが私としては非常に強く意義深いものだと思っております。

 これを世界的に発信する第一の舞台として、国連食料システムサミット、こちらで打ち出すという話を伺っておりますが、アジア・モンスーン地域の独自性をどのように日本としては発信していくおつもりなのか。大臣から一言お願いします。

野上国務大臣 EUなど世界各国が今、環境負荷の低減を目指した食料システムの構築に向けて戦略を打ち出しておりますが、そういう中で、我が国としても意欲的な目標を掲げて積極的に取り組む姿勢を示していくことが必要だと考えております。

 こうした中で、我が国は欧米と比較しますと、温暖湿潤な気候のために病害虫や雑草が発生しやすい気候条件下にあることですとか、あるいは農業については稲作が食料生産の基本でありまして小規模な生産者が多い、こういった特徴があります。

 農業などの生産力向上と持続性の両立はアジア・モンスーン地域において特に重要な課題と考えておりまして、我が国のスマート農業ですとか防除技術を確立、普及することによって、これらの課題への対処に貢献できる可能性が大きいと考えております。

 今後、アジア等の国々が参加する各種会合の機会を捉えまして、この戦略の内容ですとか、この戦略が提唱しているイノベーションのアジア等における意義を説明をしていくことといたしておりますが、その上で、本年九月に開催予定の食料システムサミットにおきまして、本戦略を始めとして我が国の取組を積極的に発信することによりまして、アジア・モンスーン地域の新しい持続的な食料システムを提唱して、国際的な議論にも積極的に参画をしてまいりたいと考えております。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 やはり、まず成長ありきではなくて、しっかりと、まず自分たちという立ち位置をしっかり踏まえた上で、しっかりそこにイノベーションをのっけていく。まず価値観の部分をしっかりと日本には発信をしていただきたいと思いますし、また、その上で、イノベーションの部分で、我が日本には、使える技術、ソフト、若しくは、割と法制度まで含めて使えるものがたくさんあると思います。アジアの国々においてそういうものをしっかりと打ち込むことによって、日本の総合力で日本が引っ張っていただくということで、大臣の牽引力に期待したいと思います。

 ただ、このビジョン、いい話で終わってはいけないと思っています。党の方の議論でも齋藤先生が強くおっしゃっていましたけれども、こういう話は、七〇年代以降、何度も出ては消えているという印象がないわけではありません。これをしっかりと現実的な産業構造の転換戦略に落とし込んで、初めて実際に現実化できるというふうに思っています。

 産業サイドが構造転換をするためには、しかし、将来的なある程度の市場規模、これが見えていないとなかなか産業構造転換はできません。やはり、今現在の形で効率化され合理化されてしまっている産業構造であります。新たなことを始めるためには投資が必要であり、その投資の基本となるのはこれから先の市場規模というふうになります。

 今々、この市場規模というのは、意識転換ができた消費者の数掛ける可処分所得、これで決まってしまうと思います。このシステム戦略の実現をしっかりとやっていくために、市場規模がしっかりと計算できているのかどうかを政府参考人の方にお尋ねします。

菱沼政府参考人 お答えいたします。

 農林水産業の生産力の向上と持続性の両立をイノベーションで実現させる、イノベーション創出に当たりましては、産業界、大学などの研究機関、行政機関及び生産現場が一体となって推進することが重要であります。この推進には、需要や市場規模についてもイメージを描きながら関係者間で共有していくことが重要と考えております。

 御指摘の需要、市場規模の将来見通しについては、中間取りまとめ案では記載しておりませんけれども、様々な手法があることから、今後、どのような考え方で整理できるのか、よく検討していきたいと考えております。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 やはり、この市場規模というのは、産業転換という経営、経済のことでありますので、基本中の基本だと思います。是非これはしっかりと試算をしていただき、それを示していただきたいと思います。これを示すことによりまして、農業のみならず農業関連の産業に対しても期待感が生まれるというふうに思います。その期待感によってしっかりと牽引をしていただくことが基本中の基本かというふうに思います。

 ただ、残念ながら、この国は、大臣も所信でおっしゃっていましたけれども、人口が減少します。また、可処分所得についても、これはデフレ脱却のためにも是非増やしていかなきゃいけないものでありますけれども、しかし、ここもそんなに大きく変化が見込めないというふうに多くの方は多分思っていらっしゃる。

 そうしますと、市場規模の拡大という意味においては、みどりの食料システム戦略においても海外市場というのをしっかり押さえていくということも必要かと思うので、是非、試算にはそこの部分もしっかりと踏んまえていただきたいというふうに思っています。この現実的な数字さえ示されれば、このシステム戦略というものは農業及び農業関連産業に新しい期待感を生むというふうに思っています。正直、今、慣れ親しんだ産業構造を変えていくのは大変難しいことでありますけれども、大きな挑戦ゆえに新しい商機、ビジネスチャンスをつくるものだというふうに思っています。

 ただ、もう一つ難しいのは、今の商流の中の各産業別、各段階別、川上から川下までの段階で、それぞれのプレーヤーの方々がばらばらだとなかなかうまくいきません。やはり、商流の中にいる全てのプレーヤーが一つの目的に向かって進んでいく、このことをしっかりとできるかどうかというのが、現実性を高めるか高めないかの一番の問題だと思っています。

 やはり、最初に市場規模が大きくは増えていかない、そういう現状であれば、一方で産業構造の転換ということはコスト増になります。一つの商流の中で市場規模が大きく変わらない、一方で生産の方のコストが上がるとなると、中で取れる利益が減ってしまう。この利益をみんなが分捕りし始めたらば、このことはうまくいかない。

 是非、これをしっかりと、全てのプレーヤーが同じ方向に向くように政府には強い牽引力を発揮していただきたいと思いますけれども、これは政府から見るとどういうふうに見えているのか。よろしくお願いします。

菱沼政府参考人 お答えいたします。

 本戦略が掲げるような、新たな技術を活用した新しいサービスは、農業関連産業にとって新たなビジネスチャンスとなると考えております。

 本戦略の推進に当たりましては、生産現場を始めとする関係者の理解を得ることが最も重要と考えています。

 このため、農林水産省といたしましては、今後、農林漁業者、流通関係者、食品事業者等に対して、持続的な食料システムの必要性はもとより、目標とする将来の魅力ある農林漁業経営などの姿について丁寧な説明を行うとともに、求められる目標や水準の達成に向けて、ステップアップを志向する農林漁業者を対象として後押ししていくことにより、関係者の意欲的な取組を引き出してまいります。

福田(達)委員 ありがとうございます。是非、しっかりと取りまとめをしていただきたいと思います。

 私自身が商社の人間で、商流というものを見ていた立場からすると、やはり、関係者がどういう方がいらっしゃるのか、そして商流全体がどういうふうな形になっているのか、これを見るということがとても大事だと思っておりますが、そういう中においては実は僕は、JAさん若しくは全農さんがそういうことをしっかりと全部皆さんは持っているだろうなというふうな観点からしますと、是非JAグループ等もしっかり大臣に引っ張っていただいてというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 残りが十分を切りましたので、もう一つの話題であります輸出についてお尋ねしたいと思います。

 まず、大臣からお伺いしたいと思います。輸出を増やしていく、しかも大変意欲的に増やしていくというこの意義につきまして、大臣から一言お願い申し上げます。

野上国務大臣 お答え申し上げます。

 国内の食市場が縮小する一方で、世界の食市場は今後大幅に拡大することが見込まれております。こういう中で、農林漁業者の所得向上を図り、また食料供給力の維持拡大を図るためには、農林水産物・食品の輸出促進によりまして海外のマーケットを獲得していくことが重要であると考えております。

 農林水産物・食品の輸出拡大のためには、やはり、輸出先の消費者のニーズを正確に把握して、海外市場で求められる産品を専門的、継続的に供給するマーケットインの輸出体制の整備が重要であります。

 このため、昨年十一月に関係閣僚会議におきまして輸出拡大実行戦略を取りまとめたところでありますが、この戦略をスピーディーに実行しまして、輸出拡大によって海外のマーケットを獲得して、我が国の食料供給力の推進、維持拡大に努めてまいりたいと考えております。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 この国が海外の活力、特にアジアの活力も取り入れて成長する、これは二〇〇七年に安倍総理がアジア・ゲートウェイ構想で掲げたことでありまして、食品部門、農業部門についても例外じゃないと思っています。デフレでなかなか温まらない円という通貨に対して毎年毎年インフレを続ける外貨をしっかりと注ぎ込むことによって、日本の国内のお金の巡りも温める、このことは当然なのかなというふうに思っております。

 しかし、一方で、お配りしています資料の二を御覧いただきますと、農林水産物輸出額の推移と書いておりますが、青い部分は実績であります。黄色い部分が二〇三〇年までの目標。これは、二〇二五年に二兆円の目標、そして二〇三〇年に五兆円の目標、これをプロットした上で、後は年率が伸びていくという形でもって作ったグラフでありますが、見ていただきまして分かるとおり、年率一七%弱伸びるという非常に意欲的な計画であります。

 正直、民間出身の者からすると、売上高が毎年一七%伸び続けるというのは、これはほとんど普通の会社では考えられない世界であります。だからこそ、幅広く考え方を持ちまして、そして力強く押していくという戦略性が政府に求められているというふうに私は思っております。

 やはり、海外から稼ぐということは、国内で稼ぐのと比べてもいろいろなハードルがあります。ましてや、どうしても農業という世界は、自分自身で売るというところ、なかなかそれを力強くやってきたというわけではありません。ですので、稼ぐということは、もちろんまずは物の販売というものをしっかりと生かしていくわけでありますけれども、様々なことをやらなければいけない。

 確かに、政府の方でも輸出本部ができて、各国と基準とか検疫の調整をしていく、このこともやっていただいておりますし、また、今回の輸出戦略におきましては、マーケットインで輸出産業をつくっていく、このことも言及していただいております。ただ、やはり、それよりも幅広く多様な稼ぎ方をしていく必要があるのじゃないかと私自身は思っています。

 実際、昨年の三月に閣議決定されました食料・農業・農村基本計画でも、食品産業や農業等の戦略的な海外展開を通じて広く海外需要を獲得していくことが国内生産者の販路や稼ぎの機会を増やすと明記されておりますし、また、さらには、昨年作成されました輸出戦略の基本的な考え方の中に、海外市場に商流を開き、新たな稼ぎ方を常に模索し続けなければ拡大する海外市場に広く浸透していくことは困難というふうに書いていただいています。これはある意味、物の輸出を増やすためにも様々な物の輸出だけじゃない活動が必要であるということを示していただいたものだというふうに思っております。

 多様な稼ぎ方の検討が必要かということにつきまして、政府の考え方を問いたいと思います。

太田政府参考人 お答えいたします。

 農林漁業者の所得向上のために、輸出促進によりまして海外のマーケットを獲得しているところでございます。

 その輸出を持続的に拡大していくためには、我が国の農林水産物・食品のマーケットを広げていく必要がございます。例えば、食肉のスライス工場をアメリカに日本の企業が設置して和牛の輸出の実績を伸ばした、こういった例もありますように、加工、物流、それから販売拠点、こういったものを海外に展開するということは、輸出の可能性を広げるという観点からも有効だというふうに考えております。

 こういった事例だけではなくて、優れた技術、ノウハウを持つ我が国の農林水産業・食品産業が海外に事業を展開して、現地の需要をより広く獲得いたしまして、様々な形で稼げる仕組みといったことを構築するということを支援するとともに、実行戦略に基づきまして、その海外展開がノウハウなどの流出につながらないように、我が国の農林水産業・食品産業の利益となる海外展開の推進方策につきまして、今年の夏を目途にしっかりと検討してまいります。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 実は、ほかのことにおいては日本国というのは先進国であります。特に家電とか車とか、そういう機械工業品については先進国でありますが、食品の輸出について、若しくは農業産品の輸出については実は我々は経験が少ない、ある意味発展途上であります。

 海外の優れた技術とか若しくはやり方を全て学んででもこの五兆円目標をしっかりと達成するということが必要であると思いますし、そのためには、日本国内に意識をとどめるのではなくて、海外にもしっかりと打って出ていく、そのつもりをしっかりと持った上で輸出の牽引を政府にはしていただきたいと思っています。また、これを増やすためには、作るだけではなくて売る方の力も増やしていかなければいけないと思います。

 商社出身の僕としましては、物を作るというのは十分条件ではなく必要条件、売って初めて十分条件を達する。しかも、売るだけではない、稼ぐ、しっかり利益を上げていくことで初めて必要条件まで達するというふうに思っております。

 なかなかこれを農業者の方に全てお願いするのは難しゅうございます。ここはやはり、産業というものにそういうことをしっかりとやっていただくためにもやる必要がありますし、また、五兆円目標の二兆円は加工品であります。食品関連産業とか食品加工産業、これをどのように巻き込んでインセンティブをつけて五兆円中の二兆円を達成していただくか、若しくは売るということをやっていただくのか、政府にお尋ねします。

太田政府参考人 お答えをいたします。

 食品産業五兆円目標のうち、加工食品は二兆円でございまして、輸出振興において重要な役割を占めております。さらに、農林水産業とともに地域経済を支え、また、地域の加工食品には魅力のあるものが数多くあるということから、輸出につながる可能性が大きいという認識をしております。

 このため、昨年十一月に取りまとめました輸出拡大の実行戦略におきまして、輸出重点品目といたしまして、清涼飲料水、菓子、ソース混合調味料、みそ・しょうゆ、この四つの加工食品を選定するとともに、本年二月に合計で百九十二産地を加工食品の輸出産地として公表しており、輸出の拡大に本格的に取り組むということとしております。

 加工食品につきましては、輸出促進法に基づく認定による低利融資や、地域の規制に対応するためのHACCP等対応施設の整備、こういったことの支援によりまして促進していきますし、また、加工食品クラスターとして、地域において輸出に取り組む食品産業事業者間の協力体制の構築、こういったことも令和三年、本年夏を目途に結論づけようということをしておりまして、加工食品の輸出に向けたインセンティブ、こういったことを検討してまいりたいと考えております。

福田(達)委員 時間が終わりましたので終わりますが、済みません、二点だけ、付言だけさせてください。

 資料三に、輸出の流れというものを書かせていただいているものが、農水省の資料でありますが、ございます。左の生産から一番右の販売まで、この中で生産については、しっかりと今回、輸出産地をやっていただきます。運ぶところにつきまして、これも輸出本部でやっていただきます。それ以外にも、これだけの機能が輸出を成立させるためにはございます。ここの全てを全部政府がやる必要はありませんけれども、これだけのことがあるということを念頭に置いていただきたいということ。

 そしてもう一つ、十年間の目標であります。十年間この戦略をしっかり見続ける方、輸出戦略の専門家という方がやはり政府内に必要だというふうに思っています。なかんずく農水省の中においてこの専門人材をつくっていただくこと、これをお願い申し上げまして、私からの質問といたします。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、金子俊平君。

金子(俊)委員 おはようございます。自由民主党の金子俊平でございます。

 本日、質問の機会をいただきました。理事の皆様に感謝を申し上げます。

 昨日、大臣所信を拝聴させていただきました。政務三役の皆様方におかれましては、コロナ禍でありますけれども、是非また力強い農林水産行政を推し進めていただきたいというふうに思います。

 早々ではありますけれども、質問に入らせていただきたいと思いますが、ちょっと身長が大き過ぎてアクリル板が、もうちょっと大きいアクリル板を、次回もしあれば、準備をしていただきたいと思います。また、横の津島先生、全く意味がないので、事前におわびをさせていただきたいと思います。

 それでは、冒頭、鳥インフルエンザに関して二問ほど質問をさせていただきたいというふうに思います。

 昨年十一月に香川県で発生してから、今年はちょっと時期が早かったというふうに思いますけれども、十七県五十一事例、おとといまででありますけれども、確認をされたというふうに思っております。

 私の地元の岐阜県の美濃加茂市でも、今年一月に発生をしてしまいまして、六万八千羽の殺処分。おかげさまで、この一件で岐阜県は終息を今のところしております。搬出制限、移動制限も既に解除をしていただいております。

 一方で、全国で見れば、一番直近では宮崎県の二月二十五日だというふうに聞いておりますけれども、いまだ移動制限区域の解除がされていない地域というのがまだまだあるというふうに聞いております。

 更なる発生を防ぐために、農水省としてどのような対策を講じていくのか。基本的に、私自身は、飼養衛生基準を守っていただくというのが一丁目一番地なんだろうというふうに思いますけれども、是非その御見解をお伺いしたいのと同時に、残念ながら発生してしまった農家の皆様方に今後またどのような支援策を講じる予定があるのか、お考えがあるのか、御教授を賜りたいと思います。

新井政府参考人 お答えいたします。

 高病原性の鳥インフルエンザ、今シーズンは、十一月五日に初発ということで、委員御指摘のとおり、例年より早く発生をしております。二月二十五日を最後に現在までは発生しておりませんが、発生した十七県のうち、移動制限が残っているのは千葉県と宮崎県という二県となっております。しかしながら、野生の、野鳥の鳥の状況等を見ますと、発生リスクは五月の連休ぐらいまで高いというふうに考えておりますので、引き続き最大限の警戒が必要であるというふうに思っております。

 こういう中、鳥インフルエンザの発生を予防するためには、支援策も活用いただきながら、農場主自身が飼養衛生管理の徹底を図るということがまず基本でございます。それに加えまして、農場、人、物、車両の消毒等によりウイルス量を一定量以下まで減らせば感染を防ぐことができるということでございますので、関係者一体となって地域の徹底的な消毒を行うということも重要であるというふうに考えております。

 飼養衛生管理の徹底に当たりましては、昨年十月に、改正した家禽の飼養衛生管理基準を施行したほか、各都道府県が行う飼養衛生管理に係る指導について高位平準化を図るために、改正家伝法におきましては、国が策定する指針に即して県が計画を策定し、その計画によって県が指導を行うという制度を導入したところでありまして、本制度は今年の四月一日から施行ということになっております。

 今シーズンのこれまでの鳥インフルエンザの発生はこの制度の施行前ということでございましたので、発生状況に応じまして、繰り返し、都道府県に対して飼養衛生管理の指導のポイントを通知するとともに、全国の一斉点検というのを行いました。これを一か月ごとに行いまして各県の情報を公表するということで、皆様の飼養衛生管理の徹底を図るほか、全国一斉の緊急消毒、それから分かりやすい情報の伝達というのに努めてきたところでございます。今後も引き続き、高い緊張感を持って臨みたいと思っております。

 それから、二点目でございますけれども、経営再開に係る支援についてでございます。これにつきましては、家畜伝染病予防法に基づきまして、殺処分した鶏の所有者に対しまして原則として評価額の全額を手当金として支払うということになっております。

 県によりましては、県庁や家畜保健衛生所に相談窓口を設置して、担当を決めて手当金の申請の支援を行っているというふうに承知しておりまして、既に順次交付決定をする段階になっているということでございます。農林水産省としても、発生県と緊密に連携しながら、早期の支払いに対応していきたいと考えております。

 このほか、経営支援互助金の交付、それから各種の低利資金の活用も可能ということでございます。

 それから、経営再開の動きでございます。経営再開に当たりましては、再導入の前にモニターの鶏というのを導入いたしまして、農場の清浄性を確認するということになっております。既に幾つかの農場ではこのようなモニターの鶏の導入が始まっておりまして、再開に向けての動きが着実に進んでいるというふうに考えております。農林水産省といたしましても、県と協力しながら、発生農家の一日も早い経営再開を支援してまいりたいと考えております。

金子(俊)委員 ありがとうございます。

 今、自民党でも、こちらに見えます江藤先生の下、鳥PTをやらせていただいて、どうやって農家に衛生基準を守っていただくのか。お答えしなくて結構ですけれども、特に、もう廃業を予定している農家の皆さん方は守るわけがないと言うと語弊があると思いますけれども、そういう方に対してもどうやって守っていくのか、是非またそういう部分でお力を、お知恵を拝借したいというふうに思います。

 もう一問、鳥インフルエンザに関してお伺いをさせていただきたいというふうに思います。殺処分の具体的な内容に関してでありますけれども。

 今回、百万羽規模の農場でも、残念ながら殺処分の対象になったところが何か所かあるというふうに聞いております。具体的な地名、自治体名を挙げてしまうと差し支えると思いますので挙げませんが。

 本来は殺処分は県等の自治体が主体となって対応していただかなければいけない、だけれども、できない場合に関しては自衛隊の協力を仰ぐことになっているというふうに聞いております。ところが、今回の鳥インフルエンザに関しては、むしろ、自治体が主力ではなくて、一部の自治体では自衛隊が主力になって殺処分を、対応せざるを得なかったということが起こったということを聞いております。

 自衛隊に関して過度な負担にならないように、基本原則に立ち戻って、都道府県でしっかりと、関係団体に協力をいただきつつ、迅速に対応ができるようにするには、どのようなことを農水省で頑張っていただければよろしいか。御見解があれば教えていただきたいというふうに思います。

新井政府参考人 お答えいたします。

 今シーズンの鳥インフルエンザの発生につきましては、御指摘のとおり、大規模農場での発生、あるいは一定の地域で多発をしたということもございまして、自衛隊の方々に殺処分に関しまして多大な御協力をいただいております。今までの発生のうち、半分以上のケースで自衛隊に災害派遣要請をしたということでございまして、大変感謝をしているところでございます。

 本来は、まさに、殺処分の防疫措置は、都道府県が実施をするということでございますので、都道府県内で発生した場合に備えて全県的な体制を確立しておいていただくことが重要だというふうに考えております。

 このため、昨年末におきましては、改めて、県内最大の飼養規模も想定して、机上ではございますけれども防疫演習を実施するということを通知いたしまして、必要な人員の算定、それから動員元、いろいろな各種団体との協定についてチェックをしていただきました。

 その後、例えば岐阜県におきましては、年始の発生にもかかわらず、六万八千羽という規模でございましたが、自衛隊の災害派遣要請をせず、全庁的な対応で迅速に防疫措置を完了していただきました。また、茨城県では、大規模農場の発生時には、県職員の動員とともに、畜産以外の、林業、水産業、さらには中小企業の団体等の職員も動員をしていただきまして、迅速に防疫措置を完了していただいたという優良事例もございました。

 それから、防疫措置で非常に重要になります鶏の焼却、埋却につきましてでございます。これにつきましても、平時から県と市町村が連携を図ることで円滑に焼却施設を活用できた事例、それから、周辺住民との良好な関係を構築することで用意していた埋却地に円滑に埋却作業が進んだというような事例もございますので、このような平時の準備作業が非常に重要だというふうに思っております。

 このような今回の教訓を踏まえまして、農林水産省としては、発生した場合の迅速な防疫措置を各県が徹底できるように、必要な人員の確保、それから埋却地の確保について事前協定をするなどの措置を奨励していきたいというふうに考えております。

金子(俊)委員 ありがとうございました。

 続きまして、マルキンに関して二問ほど質問させていただきたいというふうに思います。

 去年のコロナ発生から、マルキンの仕組みが一転二転しているというふうに思っております。特に、昨年五月の、県別算定からブロック算定に一回見直しをしていただき、その後また更に県別に戻されて、県単独での算定をする、これは運用改善だというふうに思っておりますけれども、していただく、結果、何が起こっているのか。

 私の地元の岐阜県、飛騨牛って食べたことありますか。

水田政府参考人 済みません、お答えいたします。通告がなかった質問でございますので、今記憶をたどっておりますが、ちょっと、食べたかどうか、はっきりいたしておりません。

金子(俊)委員 大変失礼しました。

 飛騨牛、私の地元の岐阜県でありますけれども、実は岐阜県がブロック算定から県算定にした瞬間に、価格が高いものですから、軒並み交付対象外に入ってしまっている。多分、ここまで交付対象外になっているのは、岐阜県と北陸、特に福井が対象外になっている月が多いんだろうというふうに思いますけれども。

 地元や生産者の皆さん方が努力を重ねて、ブランド化に成功して、そして値段が上がってきた。値段が上がった、これは努力の結晶でありますけれども、努力の結晶で頑張った結果がマルキンの対象外になる。これは、仕組み上、頑張って牛をやっているけれどもなかなか生産が立ち行かない、その人たちを助ける制度というのはよく分かっているつもりでありますので、あえて先ほど運用改善という言い方をさせていただきましたけれども。やはり、飛騨牛を生産して頑張っている皆さん方からすると、何で俺らはマルキンの対象外になってしまうのかと、不満は実際たまっているんだろうというふうに思います。特に、コロナが入ってから運用改善が二度あった、それも相当影響しているんだろうというふうに思いますけれども。

 今後、どういうような運用をされるつもりがあるのか。若しくは、福井、岐阜、対象外になっちゃう、最近は価格が上がって相当対象外になっている県が多いんだろうというふうに思いますけれども、そういう県に対して、是非、飼育されている農家の皆さん方が頑張れるようなメッセージも込めて、アドバイスをいただきたいというふうに思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 牛マルキンについてでございますが、肉用牛の肥育経営に不可欠なセーフティーネットということでございますけれども、従前から県によって交付金単価の格差が大きくなっていたところでございます。そうした中で、昨年の春、新型コロナの影響で枝肉価格が大きく下落した中で、十万円以上の交付金単価となる県もあれば、発動がない県も見られまして、このままでは、関係者間の不公平感が高まり、牛マルキン制度自体への信頼が失われかねない状況でございました。

 こうしたことから、昨年五月、標準的販売価格につきまして、県別の算定ではなくて、地域ブロック別の平均で算定するという見直しをさせていただいたところでございまして、この結果、全ての県で発動するなど、肥育農家の資金繰りに大きな効果があったと考えているところでございます。

 ただ、その後、委員御指摘のとおり、枝肉価格が回復する過程で、委員の御地元であります岐阜県など一部の県では枝肉価格が極めて高い水準になりまして、こうした県が属するブロックにおきましては標準的な販売価格が引き上げられまして、同じブロックのほかの県において、その県の事情によらずして、交付金単価が極端に低くなってしまうという事態となったところでございます。

 こうした事態を回避するため、昨年の八月の支払い分から、枝肉価格が極めて高い県につきましては、ブロック算定から除いて県単独の算定とする運用改善を行うこととさせていただいたところでございます。

 委員御指摘のとおり、これによりまして、岐阜県におきましては、非常に価格が高いものですから、八月支払い分以降、毎月県単独の算定となったところでございます。そういたしますと、標準的な販売価格が標準的生産費を上回り、赤字が生じていないということで、牛マルキンが発動していないという事態になったところでございます。

 このことは、まさに岐阜県の生産者の方々のブランド化の御努力が実を結んで、収益性の高い経営、優れた経営が行われているということでございます。

 マルキンはセーフティーネットでございまして、そもそも、マルキンが発動しない、もうかる経営を目指すのが望ましい姿でございまして、そうした意味で、岐阜県の肉用牛経営は全国の模範となるものとして改めて敬意を表したいと思いますし、また、今後のますますの御発展に期待したいと思っているところでございます。

金子(俊)委員 ありがとうございます。

 生産者負担金の納付再開について、現時点での見通しが分かれば、何かあれば教えていただきたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 牛マルキンにつきましては、昨年の四月以降、コロナによる枝肉価格の大幅な下落を踏まえまして、肥育農家の資金繰り支援という観点から、生産者負担金の納付猶予、これは実質免除になるわけでございますが、これを行っているところでございます。

 ただ、一方、最近になりまして枝肉価格もかなり回復してきたところでございます。昨年十二月には、生産者負担金の納付の再開についての考え方を定めまして、一定の条件を満たせば生産者負担金の納付を再開することといたしているところでございます。

 具体的には、今年の一月以降でございますが、食肉中央卸売市場の和牛去勢の全規格平均の枝肉価格、これが三か月連続でキログラム二千三百円を超えた場合に、その後、準備期間として二か月を経て納付を再開すること、そういう考え方をまとめたところでございます。

 その後の価格の推移でございますが、一月分は二千五百七十四円でございまして、二千三百円を上回っている状況でございます。二月分は、まだ速報値でございますが二千五百五十三円と、これも二千三百円を上回っている状況でございます。

 引き続き三月の枝肉価格も二千三百円を上回った場合には、六月から納付再開ということになる次第でございまして、現場で混乱が生じないよう、周知を丁寧に行うなど、しっかりと準備を進めてまいりたいと考えております。

金子(俊)委員 時間もだんだん減ってきましたので、次に、豚熱に関して質問させていただきたいというふうに思います。

 なかなか、もうニュースで豚熱のことが取り上げられる機会も少なくなってまいりました。それでも、今、ぽつぽつと、イノシシから陽性が出てしまったとかとか、ニュースで拝聴をしておる状況であるというふうに思います。

 今、現時点で農水省の中で、豚熱に関して具体的にどのような対策をしているのか。そして、もう一個大事なのは、発生源、二年半たちましたけれども、新たな、発生源で何か具体的に分かったことがあれば、今の現状、御報告をいただきたいと思います。

高鳥委員長 時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

新井政府参考人 お答えいたします。

 豚熱については、二〇一八年の九月に岐阜県で二十数年ぶりに発生して以来、全国に広がっているところでございます。一昨年十月からは豚に対するワクチンの接種ということを始めまして、豚熱の発生自体は抑制されているところでございます。しかしながら、ワクチン接種農場におきましても、群馬県、山形県、三重県、和歌山県において発生をしておりまして、イノシシを介してやはり農場に入る危険性というのは高いという状況でございますので、ワクチン接種をしても油断せずに飼養衛生管理を守っていただきたいというふうに思っております。

 それに加えまして、やはりイノシシ対策ということでございます。イノシシ対策につきましては、捕獲の強化、それから経口ワクチンの散布といった野生イノシシ対策を今年度も引き続き着実に実施してまいりたいというふうに考えております。

 それから、豚熱のウイルスの侵入について新しい知見はというお話でございましたが、新しい知見というのはございませんけれども、今回、日本に広がっておりますイノシシそれから飼養豚に対するウイルスというのはほぼみんな一緒という結論が出ておりまして、その遺伝子につきましては、農研機構の遺伝子の解析によりますと、かつて三十年近く前に我が国において流行していたウイルス株とは異なっている、中国で流行しているウイルス株と近縁にあるということでございますので、海外から侵入した可能性が高いというふうにされているところでございます。

金子(俊)委員 ありがとうございました。

 時間が来ましたので、終わらせていただきます。回答を準備していただきながら、質問できなかった皆様方にはおわびを申し上げます。ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。

 明日は東日本発災から十年を迎えます。改めて、東日本大震災でお亡くなりになられた皆様に心から哀悼の誠をささげたいと思います。そして、この十年の間、被災を受けられた方々におかれましては、自らの生活再建はもちろんですけれども、地域の復興のためにも大変な御尽力をいただいてまいりました。

 私たちは、十年を経ようとする今、改めて、この東日本大震災、まだ四万二千人の方々が避難生活を余儀なくされているということ、また、福島においては、地震、津波、そして原発、こうした被害の中から、今なお復興はある意味緒についたばかり、こうしたことを考えていきますと、我々はこの時代に生きている者として、東日本大震災で被災を受けられた方々にどこまでも寄り添う、そういう強い気持ちがなくてはいけないと思っております。

 それと、もう一つは、この十年間、いまだに続いている風評被害、それからもう一点は、十年を経て、今度はやはりどうしても風化をしてしまうというこの現実、こうした二つの風とも戦っていかなければならない、このように意を強くしているところでございます。

 さて、質問に入らせていただきますけれども、まず、収入保険についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 御承知のとおり、収入保険も制度開始から三年目に入りました。品目を問わず幅広いリスクに対応できる収入保険、農業者にとっては非常によい制度であることは改めて言うまでもありません。是非とも多くの方々に加入をしていただきまして、守られているという安心感の下で営農に取り組んでいただきたい、このように思っております。

 さて、先日、これは二月の十六日ですけれども、農林水産省から都道府県に対して、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した農業経営収入保険の保険料等の補助についてという通知が発出されたと聞いております。読めば、なるほど、そういうことか、このように思うわけでありますけれども、一方で、農林水産省だけがそう考えているのではないか、そういう心配がないわけではありません。この通知を受けて検討した地方自治体が実際には交付金が使えなかった、こうなってしまうと大変困るわけでございまして。

 そこで、まず、地方財政を所管する総務省にお尋ねをさせていただきますが、今日は宮路政務官に大変お忙しい中お越しいただきまして、ありがとうございます。是非御答弁いただきたいと思います。

 質問の内容というのは、新型コロナによる影響に備えるために地域の農業者に収入保険に入ってもらいたい、そういう地方自治体が地方創生臨時交付金を活用して独自の取組として支援を行うことはこの交付金の趣旨に沿ったものだということをまず確認させていただきます。そして同時に、地方自治体でのこれまでの活用状況も把握していれば、併せてお答えいただきたいと思います。

宮路大臣政務官 まず、久しぶりにこの場に立たせていただくことになりました。初当選以来ずっと農水委員会に所属して皆様方の御指導をいただいておりましたが、この度、政務に就任するに当たって初めて農水委員会を離れたわけですが、稲津委員のおかげをもちましてこの場に立たせていただいたこと、感謝申し上げます。

 ただいま、収入保険のことについて御指摘をいただきました。

 まず、令和二年度における新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、ほとんどの事業を全額国費対応とする一方で、地方団体の判断によって自由度高く地方単独事業に取り組むことができる財源として、御指摘をいただきました、内閣府所管ではありますが、地方創生臨時交付金が措置されているところでございます。

 そして、この臨時交付金を活用して独自に農業経営収入保険の保険料等への補助を実施している地方団体は三十五団体以上あるというふうに承知をしております。まさに趣旨にかなった使い方をしていただいているのではないかなというふうに思っておりますが。

 総務省といたしましても、各地方団体において、農業経営収入保険の保険料等への補助を含めまして、地域の実情に応じ、地方創生臨時交付金が幅広く活用されることを期待するとともに、新型コロナウイルス感染症対策の最前線で取り組む地方団体の財政運営に支障が生じないよう、関係省庁と連携して適切に対処してまいりたいと考えております。

稲津委員 ありがとうございました。

 今確認させていただいて、趣旨に沿うということ、それから、もう既に三十五団体が活用していただいているということで、この地方創生臨時交付金、非常に運用の幅が広いということで、地方自治体の裁量も随分ここで使えるわけでございますけれども、今確認をさせていただきまして、大変ありがとうございました。

 こうした地方自治体による支援というのは、当然、地域の実情に合わせてそれぞれ創意工夫を行う、そういう意味で、全国的に見ても不公平感があってはいけないというふうに思っているわけですけれども、このため、今回、農林水産省、それから今御答弁いただきました総務省、それぞれから広く周知がなされていくということは私は重要だと思っております。これを受けて各地方自治体での検討が進むことを強く望んでおります。

 こうした収入保険に対する評価が高まっている、そして加入者が伸びてきている、ただ、目標とする十万経営体まではまだ道半ばということでございまして、新型コロナで農業者の関心を集めている、ある意味今だからこそ改めて収入保険の制度の周知と一層の加入促進に力を入れるべきである、このように考えます。この点について、大臣の御見解と、できれば力強い御決意を聞かせていただきたいと思います。

野上国務大臣 収入保険につきましては、令和元年の制度開始から加入が増加をしまして、令和三年は五万五千経営体になっております。引き続き、十万経営体の目標に向けて加入を伸ばしていきたいと考えております。

 その際、地方自治体に対しまして、今お話がありましたとおり、地方創生臨時交付金を活用した保険料等の上乗せ補助が可能であるということをしっかり周知をして、保険料等補助の実施を検討していただくことが重要だと考えております。

 これとともに、農業共済組合ですとかJA等の関係機関が連携して行う加入推進活動の支援ですとか、あるいは、各種媒体を活用しまして、コロナの影響や、農業者自身が病気やけがになったときにつなぎ融資とか保険金の支払いを受けて助かったという加入者の声なども積極的に広報するということも重要だと考えておりまして、より多くの農業者が収入保険を利用して、コロナや自然災害を始めとするあらゆるリスクに備えていただけるように、一層の制度の周知と加入の促進に取り組んでまいりたいと考えております。

稲津委員 ありがとうございました。

 農業経営をめぐるリスク、これは新型コロナに限ったものではございませんし、昨年末から今シーズン、この冬の期間、大変な大雪がございまして、いずれにしても、農業はやはり自然災害等のリスクというのをどうしても避けるわけにいかないという状況でございまして、特に農業用ハウスを持たれている方については、台風はもちろん、雪害、そういうことに備えて、園芸の施設共済に加入していただく必要があることも改めて今シーズンは痛感しております。

 収入保険それから農業共済は共に大事な農業経営に欠かせないセーフティーネットであることから、これまで以上に制度の周知それから加入促進に努めていただきたい、そして、一人でも多くの農業者に加入をしていただいて自らの備えをしていただきたい、このことを述べまして次のテーマに移りたいと思いますが、宮路大臣政務官におかれましては大変ありがとうございました。ここで御退席いただいて結構でございます。

 次の質問は、農業における女性の活躍についてということでございます。今日三月十日は農山漁村女性の日ということで、農林水産省が決めたわけですけれども、これは女性が働きやすい環境を整備するということを促すことが目的である、そういうことで承知をしております。

 そういう中で、昨年六月に公表されました令和元年度の食料・農業・農村白書、ここで女性農業者が特集されました。この中で、現場で活躍する女性農業者が増加している一方で、女性の基幹的農業従事者は、二〇一九年までの三十年間で百四十一万人から五十六万人に減少した、そして、数だけではなく、割合も四六%から四〇%に大きく減少していると。

 女性が働きやすい、それから暮らしやすい農業、農村とするためには、やはり更なる環境整備が重要であろう、このように考えております。それがまさにこの白書で書かれているわけですけれども。

 二〇二〇年七月に、女性の農業における活躍推進に向けた検討会、これが立ち上げになりました。私、中身を見てみましたけれども、この検討会では、女性が農業から逃げているという大変厳しい指摘があったというふうに聞いております。女性の能力が十分に発揮されるためには、何よりもやはり環境づくりが重要であろうと。そこで、都市部に比べて農村が敬遠されて、そして他産業と比べて農業が選択されていないという状況を改善していく必要があると思うんですね。

 そこで、まず、このことについて大臣の見解をお伺いしますが、併せて農業委員とJAの役員の女性割合について。

 これは、二〇一九年には、前者は一二・一%、後者は八・四%。ただ、JAグループの活動報告書二〇二〇では、これが二〇二〇年度は九・一%という報告もあり、若干増えているということでございます。ただ、いずれにしても、政府が掲げる指導的地位に占める女性の割合、これが少なくとも三〇%ということを目標にしていることを考えますと、まだまだこれは目標達成に至っていないということ。

 女性の割合を上げる更なる取組が必要と考えますが、農林水産大臣の見解を併せて伺います。

野上国務大臣 まず、女性の基幹的農業従事者でありますが、この三十年間で四割の水準に大きく減少しておりまして、また、農業委員ですとかJA役員など、地域をリードする女性の割合も極めて低い水準にあるところであります。

 委員御指摘のとおり、今後の農業の発展、地域経済の活性化のためには、生活者の視点や多彩な能力を持つ女性が力を発揮していけるようにしていくことが必要であると認識をしております。

 そういう中で、委員からは昨年十一月のこの委員会におきましても女性の活躍について御指摘をいただいたところでありますが、農林水産省としても、本年度第三次補正予算の二億一千万円と令和三年度当初予算によりまして、女性の農業体験・研修の受入れ体制づくりですとか、女性グループの活性化、男女別トイレ、更衣室の確保や子育て支援の体制づくり、また、女性リーダー育成のための知識習得や交流等を支援して、女性が働きやすい環境をつくって、地域農業をリードする女性を育成してまいりたいと考えております。

 さらに、地域をリードする女性割合の引上げにつきましては、昨年十二月の第五次男女共同参画基本計画におきまして、これは閣議決定されたものでありますが、土地改良区の理事の女性割合の目標を新たに追加して、また、農業委員、JA役員の女性割合を高めるために地方自治体や関係機関と連携して組織ごとに具体的な目標も設定するということで、女性登用に取り組むよう強く働きかけてまいりたいと考えております。

稲津委員 補正予算でしっかりつけていただいたことは、私は評価をさせていただきたいと思います。

 今、私、農業、農村における女性の活躍ということをテーマにお話をしている中で、一つちょっと別な観点で申し上げたいと思うんです。

 世界経済フォーラムが二〇一九年末に公表したジェンダーギャップ指数二〇二〇というのがありまして、ここで日本は、百五十三か国中、実に百二十一位。男女平等の観点からいったら、完全に後進国なんです。

 管理職に占める女性の割合は先進七か国で最も低い。二〇一八年、アメリカは四〇・七%、日本は一四・九%。ここから公務員の数を引くと、民間だけで見ると実に一一・九%ということ。課長職以上ですから、かなり実は厳しい。

 だから、農業、農村に限らず、いろいろなところで、団体等における女性の地位向上というのはこれから真剣に図っていかなければいけない。

 今大臣からも数値目標についての話もございましたが、一番大事なことは、結果的に女性の意見が出やすい環境をつくっていくことではないかなと思うんです。そういう意味で、引き続きこうした取組を強力に進めていただきたいことをお願いさせていただきたいと思います。そうじゃなければ将来の農業、農村の明日はなかなか開いていけないだろう、こう思っております。

 最後の質問になりますが、GoToイートの付与ポイントの有効期限についてということなんです。

 これは実は三月末で予約をしなければ使えなくなるということで、このことについては私のところにも数多くの問合せが来ていました。そういう問題意識を持って実は先行的に通告を出していたんですけれども、そういう中で昨日、大臣、また加藤官房長官からも、このポイントの使い方について期間を延長するという発表があって、質問できなくなったことはちょっと残念だったんですけれども、しかしながら、施策が大きく前に進むということは喜ばしいことですから、私は、そのことについては率直に評価させていただきたいと思っています。

 その上で、お話を申し上げたいのは、実は、ポイントの利用の予約が六月までとなるわけですけれども、周知をどうするかということなんですね。

 三月末までに予約ができなければポイント利用ができないと、みんな思っているわけですから、まだ今の段階では。一部報道があったとしても、実際には未消化のポイントは三十億円あると言われています、こうした方々にちゃんとそのことが伝わっていくのかどうか。

 私は、あらゆるマスメディア、SNSも通してやっていくべきだろうと。特に、オンラインサイトからは直接個々の方々にアプローチしていただきたい、こういうことを申し上げたいと思うんですけれども、見解をお伺いさせていただきます。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 GoToイート事業のオンラインポイントの予約期限につきまして、先生御案内のとおりの状況でございまして、三月五日に緊急事態宣言が延長されたことを踏まえまして、各飲食予約サイトから聞き取りをしたところ、このまま利用自粛が続いた場合、三月末時点で少なくとも三十億円程度のポイントが予約されずに残る可能性があるということが分かりました。

 このため、予約を入れる期限につきまして、一定期間、最長では六月末までの範囲内で延長することができないかということで、それに向けまして、各予約サイトにおいて何ができるかにつきまして、今検討いただいているところでございます。各事業者におきまして検討が進み次第、順次、対応内容を公表していきたいというふうに考えております。

 その公表、内容の周知、委員御指摘のとおり、この周知につきましては、利用者、飲食店の双方にとって大変重要なことでございます。このため、事業の受託者である各予約サイトとよく連携をしながら、予約サイトにおける周知、それも含めて、飲食店、利用者双方への連絡、それから不特定多数に向けた告知、こういった実効ある方法を検討した上で、徹底して周知を行ってまいりたいというふうに考えております。

稲津委員 ちょっと通告していなかったんですけれども、そうすると、オンラインサイトからの直接メールがあるのかないのか、それが一点。

 それからもう一点、食事券のことについては通告していますので聞かせていただきたいんですけれども、今販売停止されています、再開はいつになるのかという話です。販売額、実は予算の半分にもまだ未達なんじゃないか、そういう見方もあります。今、十五の府県等で販売が停止されていますけれども、これは三次補正で追加販売の費用が計上されているわけですから、ここも、いつまで販売できるのか、まだ明確になっていません。これについて見解を伺いたいと思います。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 オンラインポイントにつきましては、各予約サイトがいろいろなツールをインターネット上で持っておりますので、それをいかに活用できるか、どのように活用できるかにつきましてオンラインサイト側とよく相談をしてまいりたいというふうに思っております。

 それから、食事券につきましては、販売期限を現在は五月中旬とすることでお知らせをしております。ただ、この期限につきまして、いろいろ状況が変わってきておりますので、六月末という利用期限の範囲内で各地域と調整をしていきたいというふうに考えております。

 さらに、この六月末という利用期限につきましては、将来の感染状況など不確定な要素が多いものですから、現時点では、延長する、しない、いずれかの方向で何か予断ができる、確定的に物を申せるという状況にないということは確かでございますけれども、農林水産省といたしましては、飲食店の需要喚起を効果的に行うという観点に立ちまして、その時点時点において必要な対応を行ってまいりたいというふうに考えております。

稲津委員 しっかりお取り組みいただきたいと思います。

 時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 立憲民主党・無所属の大串です。

 早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 野上大臣、大臣所信に対する質疑、大臣の農林水産行政に対する思いを語っていただき、議論させていただく大変重要な機会。昨日は所信を聞かせていただきましたけれども、残念ながらその冒頭に今回の鶏卵接待不祥事の問題で大臣がおわびをされているというのが、残念ながら大臣所信の冒頭部分。非常に残念であります。

 幾つもの法案がこの国会にも出されていますけれども、根幹は、農林水産行政が公正に適切に行われているということがあって初めて私たちも審議に臨める。これは土台です。ですから、迅速に農林水産行政の信頼を取り戻せるように、この委員会を通じても積極的に大臣には取り組んでいただきたいと思います。

 特に、今回の事案は大臣にしてみれば大臣在任前のことだったということなのかもしれませんが、これをどう乗り越えていくか、信頼を回復していくか、情報を開示していくかということは実は大臣の責任なんです。ここは役人さんのできる話ではありません。大臣がリーダーシップを振るっていかないと事は動きません。この点は、私たちはそういう思いで質疑に臨みますので、是非よろしくお願い申し上げたいと思います。

 さて、そういう意味で、まずこの鶏卵接待問題に関してきちんとした対応を求めていきたいと思って、いろいろ質疑もしたいと思っていたんですが、当の、私が今日参考人としてお願いしておりました接待を受けていた当人の、かつ役所の事務方トップ、枝元事務次官、ここの場においでになっていません。委員長にお尋ねですけれども、なぜおいでになっていらっしゃらないんでしょうか。

高鳥委員長 この件につきましては、理事会で引き続き協議をすることになっております。

大串(博)委員 私たち野党側からは出席を求めております。非常に重要な人物だと私は思っているので。

 官房長、ちょっとお尋ねしますけれども、役所には倫理監督官という、事務方トップの、役所全体の倫理を統括する人物がいますね。農水省の場合は誰ですか。

横山政府参考人 農林水産省においては、農林水産事務次官でございます。あと、外局におきましては林野庁長官、水産庁長官、こういうことになります。

大串(博)委員 そういうことなんですね。つまり、農林水産省の倫理監督、つかさどるのは枝元事務次官なんですよ。その当人に今問題が生じているわけです。

 だから、当人に来ていただいて、きちんとこの場で、どういうことだったんだ、これからどうしますということを言っていただかないと乗り越えられない。それが国会にも来られないということになるとすると、大臣、これは、国会のことは国会で決めるということなのかもしれないけれども、農水省の信頼回復にはつながらない、寄与しないと私は思います。是非、委員長、理事会協議でございますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それで、さきの衆議院の予算委員会においてもかなり議論になりました。この間、二月二十五日に報告書を処分も含めて出されましたけれども、これについて、極めて限られた範囲にしか及んでいない調査だという声が上がりました。確かに、見てみると、畜産部の幹部ラインと食肉鶏卵課にのみ限った調査になっています。

 実際に接待を受けた当人が、例えば畜産部の畜産振興課長や畜産企画課長、在任中に接待を受けたという事実があるにもかかわらず、畜産振興課のラインとか畜産企画課のラインとか、生産局の総務課のラインとか、アニマルウェルフェアの関連であったにもかかわらず動物衛生課とか、あるいは金融に関する問題があったにもかかわらず金融調整課とか、そこには何ら調査の手が入っていない。

 そういう意味で、極めて限られ過ぎていて十分な調査になっていないということが問われる。大臣はそれに関しては、御指摘ですから検討しますというふうにおっしゃっていました。これが三月の一日です、十日前に。

 大臣、この調査報告書以上にきちんとした幅の広い調査、これは今行われていますか。どうですか。

野上国務大臣 まず、今般、当省の幹部職員が倫理規程違反によりまして懲戒処分に至りましたこと、誠に申し訳なく、心から私からもおわびを申し上げたいというふうに思っております。

 今お尋ねのありました、さきに行った倫理に関する調査におきましては、アキタフーズ関係者との会食に参加していた者がいずれも生産局長及び畜産部の管理職であったことも踏まえまして、吉川元大臣の在任期間中の畜産関係の幹部職員等を対象に行ったところであります。

 他方で、吉川元大臣と秋田元代表の起訴を受けまして様々な御指摘があることも踏まえて、今般、養鶏・鶏卵行政の公正性に影響を及ぼした可能性のある会食がなかったか、より広い範囲で徹底的に把握する追加調査を実施することといたしました。

 今回の追加調査では、吉川元大臣の在任期間に限らず、歴代に遡りまして、畜産部の室長級以上の者、特に、第三者委員会の検証対象となっておりますアニマルウェルフェア、公庫融資、鶏卵生産者経営安定対策事業に関するポストにつきましては課長補佐級以上の者について、約百五十名ほどになるんですが、これを対象に調査を行うこととしております。

 聴取内容につきましては、国家公務員倫理規程上問題のないものも含めまして、期間を限らず過去に遡って、養鶏・鶏卵事業者との会食の機会を幅広く把握するとともに、養鶏・鶏卵事業者以外の畜産事業者との会食の機会についても念のため把握することといたします。

 また、先般の違反事案は政治家が同席した場合における当省職員の認識の甘さに起因したということを踏まえまして、政治家と畜産事業者が同席した会食の機会についても併せて把握することとしております。

 追加調査の結果につきましては、第三者委員会における養鶏・鶏卵行政の検証に生かすとともに、調査を行っていく中でルール違反が疑われる事案が明らかになった場合には、国家公務員倫理審査会に報告をして、しかるべき対応を取ってまいりたいと考えております。

大串(博)委員 一つ苦言を申しておきますけれども、私、今日質問しますと、通告を明示的にこの数日来しておきました。今朝、私たちは、野党合同ヒアリングを八時十分から開いて、その場でも同じ質問を投げていたんですね。私は先日来の通告の中で、野党ヒアリングでも同じ質問を投げていますから、大臣に私がこうやって農林水産委員会の中で質疑している、その答弁と同じものをちゃんと、同じ日ですから、八時十分の野党ヒアリングでも返してくださいねというふうに申しておきました、事前に。

 なぜかというと、今、わっとおっしゃったけれども、かなり広範なことをだらだらだらっとしゃべられるんですね。メモを取るのだけでも大変ですよ。生産的な議論にするためにわざわざ野党ヒアリングを八時十分から開いて、事務方の方に来てもらって、そこで説明してもらって、それを受けて、この場で更に実のある議論をしようと思ったんです。だから、そうしていた。

 ところが、八時十分に担当の方が来られて、同じ質問に対して答えられた内容は、答えられません、そういう内容だったんです。

 大臣、ひょっとしたら今述べられたことの意思決定は、八時十分から十時、この私の質疑時間の間になさったわけじゃないと思うんですよね。なぜそういうふうな、隠すような行為をされるのか。この点からして極めて後ろ向きな態度があるんです。

 事態をよくするためには情報を開示して、積極的に議論に応じてやっていただかなきゃならないんです。これは大臣のリーダーシップですよ。そういうふうな事務方の状況になっているということはよく頭に置いておいてください。八時十分に隠されたんですよ。それで、今、大臣がしゃべられたんです。これは、与党の皆さんもよくよく胸に置いておいてください。こういう役所の体質になっていると、同じ事件がまた起こりますよ。

 今大臣は、こういうふうな追加調査をされると言われました。これはどういう体制、つまり、誰が調査を行うんですか、誰が聞き取りを行うんですか。どういう体制で行うんですか。

野上国務大臣 今回の追加調査でありますが、私の監督の下、官房長を事務方のトップとして、また、元検察官である第三者委員会の座長にも御指導をいただきながら、服務、倫理を担当する部局におきまして、検査・監察部の協力も得て実施をしてまいります。

大串(博)委員 官房長をヘッドとしながら、第三者調査委員会、今やってもらっていますね、その座長さん、元検察官の方の助けも得ながらということでありましたが、二つ申しておきます。

 一つは、第三者の調査ではないですね、これは。大臣、申し上げますけれども、私、こういう状況ですから徹底的な第三者調査にした方がいいと思うんです。

 私、二年前に厚生労働省の統計不正疑惑問題というのを取り上げました。そのときに、まさに最初はこういう状況だったんですよ。第三者といいながら、トップの人だけ第三者、あとは全部事務方がお膳立てしている。結果として、事務方があちこちあちこちに回って話の整合性を取るような、そんな調査をしていた、そういうことなんですね。報告書の内容をすり合わせたら、そんなことだったんですよ。

 第三者でやるんだったら、第三者に大臣からこういうふうな調査をしてくれという方向性をきちんと示して、第三者にきちっと、事務局も分けてやってもらうというふうにした方がいいと思います。統計不正のときには、結局、最終的には事務局も全部、弁護士さんや元検察官等々の司法の方々に全部事務局もやってもらいました。そこまでしてやったんですよ。

 今回の例も第三者にきちっとお願いした方がいいと思いますけれども、大臣、どうですか。

野上国務大臣 公務員倫理に関します調査や処分に関する第三者性の確保につきましては、国家公務員倫理法上に位置づけられている第三者委員会であります国家公務員倫理審査会が担っているものと考えております。

 他方、今回の追加調査におきましては、養鶏・鶏卵行政の公正性に及ぼした可能性のある会食をより広範囲に把握するために行うものでありまして、公務員倫理のルール違反が疑われる具体の事案に端を発するものではないことから、国家公務員倫理審査会の関与が定められている国家公務員倫理法に基づく調査ではなくて、当省の調査として実施することとしました。

 一方で、このため、今回の追加調査は、元検察官である第三者委員会の座長にも御指導いただきながら、服務、倫理を担当する部局におきまして調査を進めてまいりたいと考えております。

大串(博)委員 国家公務員倫理審査会の第三者性は、最終段階において報告を受けて、それでいいかというような、そういう類いの関与ですよ。調査する主体ではないんです、国家公務員倫理審査会は。ですから、私は第三者によるきちっとした調査を求めておきたいと思います。

 それで、もう一つですけれども、この調査結果はいつに出していただけるんでしょうか。先ほど申しましたように、これからいろいろな法案を、政府・与党の方からこの委員会での審議を求められています。しかし、大臣所信の冒頭にあったように、農林水産行政の信頼は、大臣がおわびしなきゃならないような状態で、今揺らいでいます。そういう状態を早期に是正して、この委員会できちんとした法案審議をできるようにするためにも、この結果は速やかに出していただく必要があると思いますけれども、大臣、いつ出していただけますか。

野上国務大臣 今回の追加調査につきましては、先ほど申し上げましたとおり、調査対象が約百五十人と多数に上ります。また、畜産事業者との会食等が確認された場合には、費用負担に関する事実関係については詳細な調査を行う必要がありますので、調査にはそれ相応の一定の期間は要するものと考えております。

大串(博)委員 そうすると、大臣にお尋ねしますけれども、大臣、所信の一番最初でおわびをされたわけですよ、農林水産行政に関して信頼が揺らいでいるというおわびをされたんです。大臣自身が所信で認められているんですよ。そういう状態が継続している中で、ここで法案審議をしろということですか。しかも、今、相当な期間がかかるとおっしゃいました。相当な期間、農林水産行政の信頼が揺らいでいる行政を、大臣、看過しておくということですか。私は速やかに出すべきだと思いますよ。

 委員長にお願いしておきますけれども、正直言って、これは農林水産省一つの問題じゃなくて、この委員会にも関わってくる問題です。大臣の所信の中で冒頭に、農林水産行政の信頼が揺らいでいると私たちは言われているんです。それをそのまま、はい、そうですかということで、法案審議がするするとできるような状況じゃないと私は思います。

 この委員会の矜持として、委員長にお願いしたいんですけれども、大臣は今、相当の時間がかかりますと言われましたけれども、これから法案審議も続きますので、速やかに、この委員会の進行に障害とならないように、速やかに出していただくように理事会で取り扱いいただけないでしょうか。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

大串(博)委員 もう一つ、第三者検証委員会、一月の末から、これはまさに行政がゆがめられていなかったかという観点から行われていらっしゃいますね。先ほどの第三者の司法の方も入って、やっていらっしゃいます。大臣、何回ぐらい会議を開かれて、どういう経過に今あるんでしょうか。

野上国務大臣 お答え申し上げます。

 吉川元大臣また秋田元代表が贈収賄容疑で起訴されたことを受けまして、農林水産省としても、国民に疑念を持たれることがないように、養鶏・鶏卵行政の公正性について検証いただくために養鶏・鶏卵行政に関する検証委員会を設置したところであります。

 この検証委員会の状況につきましては、二月三日から始めていただいているところでありますが、座長の下で職員に対して厳格な調査を行う上で、今後の調査に影響があり得ること等から、第三者委員会として検証の途中経過については公表しないということを決定したと承知をしております。

 一方で、衆議院の予算委員会の理事会におきまして、可能な範囲で検証委員会の状況報告をさせていただいたところであります。

 いずれにせよ、第三者委員会でしっかりと検証をいただきまして、その結果を公表してまいりたいと考えております。

大串(博)委員 調査に予断を与えてしまう等々のことが心配だと言われましたけれども、何回会議が開かれているかぐらいのことが何で予断を与えるんですか。全く与えないと思いますよ。

 しかも、大臣、お尋ねしますけれども、この調査委員会、事務方は農水省の大臣官房でやっているということでいいですか。

横山政府参考人 大臣官房で、総括審議官を中心に対応してございます。

大串(博)委員 そういうことなんですね。すなわち、農水省は事務方をつかさどっているんですよ。先ほど言ったように第三者性にも疑問が残りますし、そうであれば、事の進捗状況を農水省は知っているわけですよね。農水省は知っていて、農水委員会には言えない、それでは信頼の回復には私はつながらないと思います。

 大臣、途中経過を示していただけませんかというのと、もう一つ、これもいつ結果を出していただけるんでしょうか。

野上国務大臣 途中経過につきましては、今ほども申し上げましたが、座長の下で職員に対して厳格な調査を行う上で、今後の調査に影響があり得ること等から、第三者委員会として検証の途中経過については公表しないことを決定したと承知をしておりますが、予算委員会の理事会におきましては可能な範囲で報告させていただいたところであります。

 この検証につきましては、できる限り迅速に行っていただくことは当然でありますが、しかし、しっかりとした調査をやっていただくということが重要でございまして、時期について予断をすることはできないわけでありますが、調査結果、検証結果は公表してまいりたいと考えております。

大串(博)委員 それでは話になりません。農林水産行政の信頼が今揺らいでいるわけですから、それをいち早く立て直して、この委員会を正常化するというのが大臣の務めだと私は思います。

 これも委員長にお願いしますが、第三者検証委員会の経過及び結果を速やかに出すべきだと思いますが、速やかに出していただけるめどについてこの委員会にできるだけ早く示していただくように、理事会で協議をいただきますようにお願いします。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

大串(博)委員 そういう状況なので、徹底的にやっていただきたいということを申し上げておきたいんです。

 それから、食肉鶏卵課以外の調査に幅を広げていくということを冒頭おっしゃいました。その中で私が是非お願いしたいのは、OBも含めていただきたい。辞めていらっしゃるので調査できませんというのは是非避けていただきたい。

 今回、NTT、総務省の問題でも、定年退職になってしまった後は調べられないのではないかというような問題も生じてきています。そういうふうな国民の疑念を追加的に呼ばないためにも、OBもきちんと、協力いただける範囲で調べていただきたいというふうに思います。

 これが一つと、もう一つは、先ほど、畜産行政に関係するところを調べますというふうにおっしゃいましたけれども、これまでの農林水産省における、後ほど同僚議員も指摘されるかもしれませんけれども、近年のこういう接待不祥事を見ると、必ずしも畜産、生産のラインに限ったものではありません。他局にもいろいろ絡んでいるところがあります。そこで起こっている非違事項もあります。

 今回のこの機会なので、職員さんは全省庁を異動していますから、畜産に限るというような調査ではなくて全省庁的に、全省庁的に職員に対して接待等の非違行為がなかったかというのを私は迅速に調べるべきだと。迅速に調べるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

野上国務大臣 今回の追加調査につきましては、養鶏・鶏卵行政の公正性の検証の観点から、これまでの調査等で明らかになった課題に的確に対応しておりまして、幅広く十分な調査になっているものと考えております。

 一方で、今回の追加調査で広範に課題が見られるようであれば、更なる調査を含め必要な対応を取っていくとともに、具体的に国家公務員倫理審査規程違反を疑われる事例があれば、個別に徹底した調査を行っていきたいと考えております。

 また、今回の倫理事案を受けた再発防止策としましては、政治家及び利害関係者が同席する会合に職員が参加する場合には、費用の金額や費用を誰が負担したかのいかんを問わず、大臣及び倫理管理官に届出を行わせることとしており、再発の防止の徹底も図ってまいりたいと考えております。

大串(博)委員 OBはどうですか、OBは。

横山政府参考人 OBの方については、これも国家公務員倫理法上の措置はできないということになりますので、今回の調査対象には含めていないところでございます。

大串(博)委員 この消極性なんですよね。実際、接待を受けた方でOBになられている方もいらっしゃる。あるいは、本川元事務次官においてはクルーザーの問題も指摘されています。こういった中で信頼を回復するためには、OBも積極的に調査をしていかないとなりませんよ。

 委員長、この点は、OB及び全職員に対しても非違行為がなかったかの調査を速やかに行っていただくように、この委員会に報告していただくように、理事会で協議をお願いします。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議します。

大串(博)委員 大臣、かくのごとく課題は山積なんです。大臣がイニシアチブを振るわないと、役所は、先ほど官房長が言われたように、OBに関しては調査できません、これで終わっちゃうんですよ。政治的にそれでいいのかという話なんです。是非、大臣にはイニシアチブを発揮していただきたいと思います。

 あと、事実関係を幾つか確認しておきたいんですが、今日は役所の方で水田生産局長、伏見官房審議官、渡邊畜産部長に来ていただいておりますけれども、この三名の方にお尋ねしますが、政治家、農林水産大臣、副大臣、政務官三役、及び、それに限らず、政治家と伴って業者の方と会食をしたという例は、今回の事案以外には国家公務員倫理法の新しいこの制度ができ上がって以降はないということでいいのか、この点に関しての確認の答弁をお願いします。

水田政府参考人 まず、今回の事案によりまして倫理法違反の処分を受けまして、これを受けたことにつきましては誠に申し訳なく思っておりまして、深く反省をしております。今後、二度とこのようなことがないよう、肝に銘じてまいりたいと考えております。

 御質問でございますけれども、お尋ねの件につきましては、国会議員との会食の場において利害関係者が同席していたケースは、今回処分対象となった会食以外にはなかったと思います。

大串(博)委員 引き続き、伏見さん、渡邊さんに同じ質問をお願いします。

伏見政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、私も、公務員として不適切な行為があったことを深く反省し、おわび申し上げます。

 私の場合、記憶をたどってみましたが、ないということでございます。

渡邊政府参考人 お答えをいたします。

 まず冒頭、私も今回処分を受けました。非常に反省をしております。今後は、しっかりと法令に従って行動を行ってまいりたいと思っております。

 お尋ねの、政治家の先生方と利害関係者がいる会合への出席の関係でございますけれども、今回処分対象となった会食のほかに、政治家の先生と生産者団体の方々などが出席している会合に参加したことはございます。この手の会食につきましては、国家公務員倫理規程に従って適切に対応していると考えておるところでございます。

大串(博)委員 渡邊さんにお尋ねしますけれども、政治家と業者の方が参加されている会食に参加したことはあり、それは国家公務員倫理法に従って適切に対応しているということは、届出等々もきちんと出してきた、そういうことですか。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 先生がおっしゃるとおり、届出を出しております。

大串(博)委員 では、委員長、お願いします。先ほどの届出をこの委員会に提出していただきますように、それを見て更に検証させていただきたいと思いますので、理事会でお取り計らいをお願いします。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議します。

大串(博)委員 とにかく、しっかりとした事実解明、信頼の回復、大臣のイニシアチブでお願いしたいと思います。

 さて、今、農政で問題になっています米の供給過剰の問題です。大変なお米の供給過剰、約三十万トンとも言われる量を転作奨励していかなきゃならない、こういう極めて緊迫した状況にあります。

 大臣に認識をお尋ねしたいんですけれども、今回の供給過剰は、コロナによる一時的な供給過剰というふうにお考えなのか、それとも構造的な要因による供給過剰なのか。この認識をお尋ねしたいんです。

 というのは、なぜかというと、私、今回、水田リノベーション事業を始めとしていろいろな策を講じていらっしゃいます、これはやはり力不足じゃないかなと。十分にこの三十万トンたる供給過剰部分を吸収するにはなかなか苦しいんじゃないかなと私は思うものですから、まずきちんとした要因を踏まえているかどうか確認したいんです。いかがでしょうか。

野上国務大臣 主食用米につきましては、食料・農業・農村政策審議会食糧部会におきまして、令和三年産の主食用米の生産量を六百九十三万トンとする見通しをお示しするなど、大変厳しい需給環境にあると考えております。

 これは、人口減少等によりまして主食用米の需要が減少している中で、令和二年産については需要減少に見合った作付面積の削減が進まなかったということに加えまして、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして中食、外食向けを中心として需要が落ち込んでいること、この一時的な要因、また構造的な要因、二つの要因によるものと考えております。

大串(博)委員 双方の要因だということですね。コロナによる一時的な要因と構造的な要因と二つある。

 まず一時的な要因からいきますと、一時的な要因があるということをお認めになったわけですね、コロナによる。私、それであれば、この一時的な要因にある部分に関しては、これは構造的な政策で乗り越えちゃいけないと思うんです、乗り越えようとしちゃいけないと思います。

 水田リノベを始めとして各種政策は、いわゆる転作を構造的に進めようという政策ですよね。これは方法として違うと思うんです。コロナで一時的に需要が下がって一時的に供給過剰になっているのであれば、その供給過剰になった部分を一時的に一括して市場から切り離すべきです。それは、備蓄という方法を使うのか、あるいはそれ以外でも私はあり得ると思いますよ、コロナ対策でいろいろなことをやってきているわけですから。

 政府が、一時的に需要の減退した部分、供給の余った部分を買い取って市場から切り離す、これはやらなきゃいけないんじゃないですか。一時的な要因を認めた以上、これをやらなきゃいけないんじゃないですか、大臣。

野上国務大臣 一時的な需給ギャップに対しましては、まずは産地における調整保管の取組で対応することが基本であると考えております。

 その上で、現下の厳しい需給情勢を踏まえまして、国としましては、コロナ禍による需要減少に対する販売促進対策ですとか産地の調整保管への支援の拡充ですとか、あるいは麦、大豆や、野菜、果樹、輸出用米、加工用米、米粉用米、飼料用米など需要のある作物や主食用米以外の米への転換に対する支援などの措置を講じておりまして、これらによって米の需給、価格の安定等を図ってまいりたいと考えております。

大串(博)委員 全くちぐはぐですね。一時的な要因で余っているんだったら、一時的に市場から切り離さなきゃ駄目ですよ。全く違ったことをやっちゃっているということだからね。大臣が今言ったことは、構造的な米余りに関する対策なんですよ。それはそれでやってもらわなきゃならない。

 しかし、そこで認識してもらわなきゃならないのは、構造的な米余りがなぜ起こっているか。

 私は、平成二十五年に新しく決めた政策、つまり、生産数量目標を国が配分することはもうしない、いわゆる減反はやめます、平成三十年産からそうしますということを決めた、それがやはり誤りだったと思うんです。作る自由、売る自由、これを強調し過ぎた。その結果、生産調整をするよりも、それに従わず作って売った方がいいという方々が出てこられる可能性はありますよ。それに対して十分な構造的な政策が及んでいないからこうなっているわけじゃないですか。

 私は、今、水田リノベ、いろいろやられています、あるいは水田フル活用の恒常的な予算もありますけれども、それでは生産数量目標の配分をやめたことによる構造的な問題は乗り越え切れないと思います。ここは、米政策に関しては、より強力な、米の生産を管理するような政策に乗り込まないと私は駄目だと思うんですね。

 先ほど高収益作物への転換と言われましたけれども、この高収益作物への転換は、これを余り推し進めると、食料自給率目標四五%、これと抵触しますね。なぜなら、食料自給率目標を達成するためには飼料米を作らなきゃいけない。飼料米じゃなくて、今、高収益作物だというふうに言っている。大臣、これは食料・農業・農村基本計画の食料自給率目標と矛盾しませんか。

野上国務大臣 やはり、主食用米の需要が毎年減少していくことが見込まれる中、産地ごとの実情に応じて、主食用米から麦、大豆、高収益作物、飼料用米等の需要のある作物への転換を図ることが重要と考えております。

 飼料用米につきましては、飼料業界は年間約三十万トンの受入れが可能としておりまして、また、令和二年三月の基本計画におきましては令和十二年までには生産量を七十万トンとする生産努力目標を設定しているところでありまして、水田フル活用のための重要な政策と考えております。

 他方、加工・業務用野菜、これは年間百六十万トンを輸入しておりまして、これを国産に置き換えてシェアを奪還する必要がある中で、野菜や果樹等の高収益作物への転換によりまして水田農業の高収益化を図ることも重要であることから、高収益作物への転換を併せて推進をしているところであります。

 産地ごとの実情に応じて、需要のある作物への作付転換を推進してまいりたいと考えております。

大串(博)委員 農水省の政策自体がちぐはぐになっているんですね。食料自給率目標とも全くちぐはぐなことに今進もうとしている。非常に私はダッチロールしていると思いますよ。

 麦の政策に関してもかなり心配です。麦に関しても、かなりの供給過剰が今懸念されています。大麦、小麦、両方です。

 内麦優先です、国家貿易ですから。にもかかわらず、今、麦に関しては、内麦優先なんだけれども、内麦優先の具体化たる播種前契約ですね、内麦を作る方々が播種前契約をメーカーの方と結ぼうとされているんですけれども、これが結べないんですよ。外麦がたくさん入ってくることを予想されているものだから、内麦生産者が今メーカーと契約を結べないんです。内麦優先なんかには全然なっていないんですよ。

 これを是正するためには、私は、やはり国家貿易ですから輸出数量の計画を、今回食糧部会で落とされたということですけれども、先に向けて更に落とすべきじゃないかと思うんです。そのような、更に輸入量を調整するような、内麦優先の政策を明確化すべきじゃないですか。大臣、いかがですか。

野上国務大臣 御答弁申し上げます。

 その前に、先ほどちょっと御答弁申し上げました飼料用米の受入れのトン数でありますが、百三十万トンのところを三十万トンと申し上げてしまいましたので、訂正を申し上げます。

 令和三年産大麦の播種前契約のお話がございました。

 播種前契約につきましては、全農等の生産者団体によりますと、豊作であった二年産大麦の播種前契約を超えた数量について追加契約を締結することに時間がかかったため遅れている、進んでいなかったと聞いております。

 そして、先週、令和二年産大麦の追加契約についてはめどがついたと聞いておりまして、今後、令和三年産大麦の契約の締結が進んでいくものと考えております。

 以上でございます。

大串(博)委員 よく現場の声を聞いてください。それが進まないんですよ、外麦が入ってくることを前提に内麦の契約は進まないんですよ。全然内麦優先になっていないんです。これは国家貿易とは言えないですよ。だから、大臣、ここは現場の声をよく聞いてもらって、しっかりと内麦優先の原則は透徹するようにやっていただきたいと思います。

 諫早湾干拓に関して一問。

 昨年の秋の私の質問に対して大臣は、私が和解をしっかり進めるべきだというふうに言ったときに、大臣は、様々な立場の関係者がバランスよく参加するのであれば一堂に会して話し合うことがあってもよいと発言された江藤大臣の発言を承知しております、私も同様な考えですとおっしゃいました。であれば、大臣、様々な立場の方々がバランスよく参加して一堂に会する場、これを大臣が積極的に持つようにやっていくべきではないですか。いかがですか。

野上国務大臣 私も、昨年十二月に現地へ出張いたしました。国はあらゆる機会を通じて、現場の漁業者あるいは農業者、地域住民、関係自治体など様々な立場の皆さんの御意見を伺ってきているところでありまして、引き続き皆様の御意見を伺ってまいりたいと考えております。

 また、令和元年十月に江藤前大臣は現地視察の際に、様々な立場の関係者がバランスよく参加するのであれば一堂に会して話し合うことがあってもよいと発言されたと承知しておりまして、これは私も同様に考えております。

大串(博)委員 ここは、大臣、自ら積極的にやってください、是非。

 最後に、坂井副長官、るる議論してまいりましたけれども、やはり農林水産行政への信頼があってこそです。

 今回、私はやはり、菅総理が、前の安倍総理からもそうですけれども、西川公也さんを内閣官房参与として指名された、このことに関して、どんなに能力がある方でも、内閣官房参与に総理が任命するのであれば、利害関係者という立場になり得る方、西川さんも養鶏協会の顧問、アキタフーズの顧問を務めていらっしゃいますね、こういった方を内閣官房参与に任命すること自体が私はよくないんじゃないかと思うんです。

 内閣官房参与の存在自体はいいんだけれども、利害関係者をそこに任命するという問題はある。だから、ここは今後は、内閣官房参与には各省庁との関係で利害関係者になり得る人は任命しないという原則を取るべきだと私は思いますけれども、副長官、どうですか。

坂井内閣官房副長官 内閣官房参与につきましては、そのポジションでありますが、内閣総理大臣の諮問に答え意見を述べることを任務としておりまして、各参与は、それぞれが有する専門的知見を生かし、適宜、総理に対して情報提供そして助言を行っていただいております。

 こうした職務に鑑み、このポジションは、参与は非常勤とされ、また、営利企業の役員等との兼業を禁止せず、幅広く人材を求めることができるようにしている、そういうポジションでありまして、国家公務員倫理法の適用についても除外されております。

 このように、参与は行政部内での意思決定を行う権限は有しておりません。あくまでアドバイザーという立場でございまして、様々な専門的知識をお持ちの方をお迎えできるようにということでございますので、御指摘のような、新たなルールを整備する必要は今はないのではないかと考えております。

大串(博)委員 それが結果としては今回のような接待問題につながっているということを菅総理には重く反省していただきたいということを申し上げ、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 立憲民主党の佐々木でございます。

 今日は、大臣の所信に従って基本的な政策について議論をさせていただきたいと思っておりますが、その前に、どうしても一点、養鶏業者との汚職問題、献金問題について一点だけ触れさせていただきたいと思います。

 そもそもこの問題が発生をした原因でありますOIEのやり取りがずっとあるわけですが、政府は今、輸出を大きな柱に据えているわけでありますが、その大きな柱の輸出を進めていくためには、国際基準というものをできるだけクリアしていかなければならないということになるわけですよね。

 その中で、OIEという国際基準、その中のとりわけアニマルウェルフェア、とりわけ養鶏業に関わって、政府は本当にこのアニマルウェルフェアを推進しようとしているのか、どうも今までのやり取りの中からは、極めて後ろ向きなのではないかというふうに思えてしようがないわけですね。その点について、養鶏に関してアニマルウェルフェアを進めようとしているということについて、私にはそうは見えないんですが、まず、大臣のお考えを伺います。

野上国務大臣 今お話のございましたアニマルウェルフェアでございますが、これは家畜を快適な環境下で飼育することによりまして家畜のストレスや疾病を減らす取組でありまして、その推進は大変重要な課題であると考えております。

 このため、農林水産省では、OIEが示すアニマルウェルフェアに関する指針を踏まえまして、平成二十九年及び令和二年に、アニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼養管理の基本的な考え方についての畜産振興課長通知を発出するほか、アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針の作成への支援を行うとともに、アニマルウェルフェアの実践も含んだGAPに係る認証取得に要する費用ですとか指導員研修の開催への支援等に取り組みまして、アニマルウェルフェアの普及に取り組んでおります。

 このアニマルウェルフェアの実現のためには、やはり、生産現場における総合的な取組が必要であるということと、また、生産者による設備投資等の努力のみならず、畜産物の販売価格への影響という点も含めまして、消費者の理解も必要なことであるということもありますので、アニマルウェルフェアの取組を推進する重要性あるいはメリットを示しつつ、生産者や消費者の理解を得ながら、この取組を拡大してまいりたいと考えております。

佐々木(隆)委員 この詳細、私も中間報告をいただきましたが、同僚議員がこの後厳しく指摘をいろいろさせていただきますのでここでとどめておきますが、農水省というところは発注省庁なわけで、その発注省庁が政策決定をしているさなかにその業者と会うなどというのはとんでもない話ですよ、これ、どう考えたって。政策決定のプロセスにあったわけですから。まさにモラルの欠如と言わざるを得ないということを指摘させていただきます。

 ほかにもたくさん課題がありますので、次に移らせていただきます。

 大雪被害についてお伺いをいたします。

 三月二日、私どもの地域、北海道でも、特に私の地域がひどかったんですが、私の住んでいる富良野、私の選挙区の中の富良野という地域が大変な大雪の被害に遭いました。先日、私も現地視察をさせていただきました。今、手元にあるのは三月九日付の被害の総数ですが、五百五十八件。これは、道内、全部、三地区、三振興局でありますけれども、五百五十八件。額は、まだ途中でありますので十分でありませんが、二億五千八百万ということで、昨日時点の報告になっております。

 その被害のほとんどはハウスでございます。ほかにも畜舎、格納庫などなどあるわけでありますが、畜舎は、ほとんどは共済に加入をして、建物の方ですね、施設の共済に加入してございます。ハウスでいうと七五%、この富良野地区でいうと七五%ぐらいが施設の共済に入ってございました。格納庫などはほとんど入っておりません。

 これは、富良野地区で行政と農協と共済組合が一体になってハウスの加入促進を進めた結果、今、七五というのは比較的多い方だと思うんですが、いわゆる建更に入って、掛け捨てが多いんですけれども入っておられますが、入っておられない方もいるわけで、こういう人たちに対して、一つは、長期無利子無担保などの超低利融資を是非とも考えてほしいということでございます。

 それともう一つは、ハウスが壊れておりますので再建したいわけですが、日本各地で大雪被害が続いておりますので、結局、資材がないという事態が起きてございます。稲はまだビニールをかけておりませんけれども、富良野地域というのは、メロンとかタマネギとかミニトマトとか、野菜類が非常に多いものですから、ほとんどがビニールがかかっているわけですけれども、結果、資材がないために作付を断念しなきゃならないというような事態も今起きてきております。

 大臣が所信で、きめ細かな支援というふうに言っていただいているんですが、資材の調達あるいは価格の監視などなどについて、低利融資の話と資材の話と、この二つについて御答弁いただきます。

池田大臣政務官 今回の大雪によりまして、各地域において、農業用ハウスや畜舎等の倒壊、果樹の枝折れ、倒伏など、農林水産関係で大きな被害が発生をしておるところでございます。

 今御指摘の佐々木委員の御地元からも、倒壊したハウス等の写真を含めて、いろいろな陳情、要望をいただいておるところでございます。

 そのために、農林水産省におきましては支援対策を、災害関連資金の措置として、日本政策金融公庫による長期、低利の農林漁業セーフティネット資金等により支援を行うとともに、新規融資に際しまして円滑な融通が図られ、また、既往融資に関し償還猶予などの措置が適切に講じられるよう、関係金融機関に要請をしているところでございます。

 また、倒壊した農業用ハウスの件でございますけれども、ハウスメーカー等に通知を発出し、資材の円滑な供給と施工を行うよう要請をいたしております。

 また、必要に応じまして、行政、JA、ハウスメーカー等から成る連絡会議を各道県に設けて、受注業者の分散化など早期復旧に向けた対応を検討するよう依頼しております。

 これを受けまして、被害のありました東北、北陸地方の一部の県で連絡会議が設けられ、関係者間の情報の共有が行われているところでございまして、北海道に対しましても、これら先行事例の紹介もいたしております。

 引き続きまして、被害状況や資材の供給状況等を注視しながら、今後ともきめ細かな支援を実施してまいります。

佐々木(隆)委員 先ほど私の地域の話だけしましたけれども、北海道、神谷議員や稲津議員のところも、それから太平洋側も被害を受けてございますので、是非、今全国連携の話をいただきましたけれども、全国的にやはり融通をし合って、できるだけ営農ができるように配慮いただきたいと思います。

 それでは、基本政策に関わって質問をさせていただきたいというふうに思います。

 今日、皆さんのところに資料を配らせていただきました。これは、基本法農政が、今の新しい食料・農業・農村基本法が一九九九年に制定をされて以降について記載させていただきました。

 見ていただいたら分かるように、一が基本法で一九九九年、二が品目横断で二〇〇六年、次のページの三が戸別所得で二〇一〇年、そして四の農業競争力強化が二〇一七年ということで、大体六年か七年置きに大きな政策の変更点、転換点を迎えているということがまず分かるというふうに思います。

 まず、最初の食料・農業・農村基本法なんですが、これの最大の特徴は、一番裏の七というところに表を作らせていただきましたが、一九六一年に農業基本法ができてございますが、先の農業基本法の主たる目標は、他産業並みの所得、選択的拡大というものでございました。それに比べて、今度の新しい基本法は価格政策から所得政策へと大転換なわけです、ある意味で。括弧の方は私が書かせていただいたんですが、競争して大きくなるということから共生する農業政策へという、大変大きな転換を図ったわけであります。

 それはどういうことかというと、価格政策をやると、最終的には消費者が負担することになるわけですね。だから、消費者に負担を転嫁しないという仕組みをどうにかしてつくっていかなければいけないというのがこの新しい基本法の目標だったわけであります。

 その後、そういう政策が取られてきたというふうに思うんですが、この理念というものが今日までしっかりと農水省の農政行政の中に生かされてきたのかどうかということについて、まず伺います。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 食料・農業・農村基本法の第三十条は、農産物の価格が需給事情及び品質評価を適切に反映して形成されるよう必要な施策を講じること、価格の著しい変動が農業経営に及ぼす影響を緩和するために必要な施策を講じることを定めております。

 これは、旧農業基本法下の価格政策が、農業所得の確保に強く配慮した運用がなされた結果、需給事情や消費者ニーズが農業者に的確に伝わらず、経営感覚の醸成を妨げ需給のミスマッチを招いた面があったことや、国際的な政策の潮流も価格形成に市場原理を導入し市場歪曲性を低めていく方向となっていたことから、価格政策から所得政策への転換を図る方向性を示したものと理解しております。

 こうした規定の考え方を受けまして、品目ごとの価格政策の見直しが行われ、担い手の経営に着目した経営所得安定政策へ転換され、現在に至っていると承知をしております。

 また、関連する施策として、個別の品目ごとではなく、農業者の収入全体を対象として様々なリスクによる収入減少を補償する収入保険制度等を展開しているところでございます。

佐々木(隆)委員 今ので大体いいと思うんですが、ただ、経営感覚が磨かれてこなかったかどうかということは、ちょっと余計なお世話だというふうに私は思ってございます。

 世界的な感覚ということも触れていただきましたが、資料でいうと二なんですけれども、二の〇六年の品目横断的経営安定対策というのが出ました。基本法から七年を経過しているわけでありますが、丸で少し囲わせていただきましたが、そこに出てきたのは、今説明のあった経営全体という、品目ごとではなくて経営全体という話や、認定農業者、集落営農、中山間、そして右側にはWTOというようなことも書かれているわけで、ある意味、新しい基本法の延長線上で出てきた、大変大きな転換期になったというふうに私は思ってございます。

 次のページの三の資料ですが、戸別所得補償が二〇一〇年であります。このときに出てきているのが、先ほどもちょっとお話がありましたが、生産を行った販売農家と集落営農、標準的な生産に要する費用を補償、それから自給率の向上というのが主な目標であります。

 やや似ているんですが、ここで一点違ってくるのが担い手の扱い方なんですね。誰を担い手にするのかということについて、品目横断のときは認定農業者が中心になっています。経営全体という点は同じです。そこが、戸別所得補償では全ての販売農家ということになっているわけで、担い手について若干そのニュアンスが違っているわけであります。

 今もいろいろな、農政の中で担い手とか経営安定という言葉はあっちにもこっちにも使われるぐらい使われているんですが、その担い手というものは、じゃ、どういう人なのかということについては、実は定義がありません。私は、余りかちかちの定義をつくる必要はないと思っているんですけれども。

 担い手というものを絞れば、結果、集落の人口は減少していく。じゃ、担い手を広げていくのはどこまで広げればいいんだということになっていくわけで、実は、ずっと担い手ということについてはいろいろな意味で幅が広がったり縮んだりしながら今日まで来ているわけでありますが、この集落との関係を含めて、担い手というのはどう考えればいいのかということについて、是非今の農水省の考え方を聞かせてください。

葉梨副大臣 お答えいたします。

 佐々木先生の資料の二の品目横断的経営安定対策、これが導入されたときは結構激震が走ったのは私も記憶をしております。ただ、このときは規模要件というのがありまして、一律に四ヘクタール以上、それ以下のものには補助金を集中させないとかいうような理解でなされていたわけなんですけれども。まあ、一部ですけれども。

 ただ、現状は、規模要件というのを今考えているわけではございません。新しい基本法二十一条、国は、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立するために、このような農業経営を目指す経営体などの担い手を育成、確保するという考え方に基づいておりますので、経営規模や、家族、法人など経営形態の別にかかわらず、経営発展の段階や、中山間地域等の地理的条件、生産品目の特性などに応じ、経営改善を目指す農業者を幅広く担い手として育成、支援していく、そういう考え方に基づいて政策を進めさせていただいております。

佐々木(隆)委員 副大臣から答弁いただいたんですが、私も、ちょうど国会に来て間もなくだったんですが、この品目横断ができる前の段階での議論に参加をさせていただいておりました。雪だるまだとかピノキオだとか、いろいろな絵が登場してきたときでありますけれども。非常に私も画期的だと思いました。今までの価格政策をやめて、経営全体で、品目ごとではないものに着目をしたという意味では非常に重要だと思ったんですが。

 今お話があった規模要件のところで認定農業者という言葉が出てくるんですが、この認定農業者も実は何の決まりもありません。これも余りかちかちに決めることがどうかというのはあるんですが、これは、基盤経営強化法に、資金の申請をするときに市町村が認定した農家が認定農家であって、それを利用しているだけなんですね。

 ですから、この規模要件というのももっと、今おっしゃったように幅広くやはり考えるべきだというふうに思っておりまして、担い手についても、私は、集落という意味からいうと、できるだけ幅広い人たちに参加をしていただくことが、この後も少し論議させていただきたいんですが、担い手であるべきだというふうに思っております。

 次に、四のところなんですが、四に来て、これは、いわゆる我々が官邸農政と言っている農業競争力強化支援法、規制改革会議の提案に基づいたものです。

 五のところを見ていただいたら分かると思うんですが、規制改革会議の提言というのが二〇一三年からずっと始まっているんですが、あえて赤い丸をつけさせていただきました。無数の赤い丸がついていて、全てここから提案をされ始めて、申し訳ないが、農水省が下請みたいになってしまったという時代だと言ってもいいと思うんです。

 この競争力強化支援法が登場したことによって、競争から共生へと私は最初申し上げたんですが、共生から競争に逆戻りしちゃったんですね、ここで。だから、そういう意味では、ここもまた、せっかく今まで進めてきたものが大転換してしまった。結局、競争拡大ということは格差を拡大すること、もっと言えば、村に人がいなくなることを意味します。

 そういった意味で、一番裏の七のところにありますが、国際競争の波にずっとさらされてきていて、一九四八年にはガットが発足をしているんですが、一九九五年にWTO、そして、二〇〇二年ぐらいから、ドーハ・ラウンドが行き詰まったということで、メガFTAというのが始まるんですね。要するに、WTOという世界機構ではなかなか物事が進まないというので、もう少し小さな、地域、あるいはブロックと言ってもいいんですが、そういう単位でメガFTAというのが始まった。

 結局、これはブロックの取引ですから、囲い込みなわけですよ。ガットが発足した最初のそもそものいきさつは、それぞれの世界が囲い込みを始めてブロック経済になって、それが戦争の引き金になったという反省でガットというのはできているわけですが、また同じことが始まろうとしている。ということで、再び今、WTOというのを見直そうじゃないかという動きになってきている、今そういう状況にあるわけであります。

 こうした状況の中でいうと、この農業競争力強化支援法に伴う農政というのはこうした精神に全く逆行するものだと私は言わなければならないというふうに思うんです。そのことを含めて、私は、当初目指した基本法の本質からいうと農業競争力強化支援法というのは違った方向に行っているというふうに思っておりますが、今後の農政の展開を含めて、大臣にお伺いをいたします。

野上国務大臣 先ほど先生からも、村に人がいなくなってしまうんだという話もございました。やはり、各地域で人が住んで農業が行われまして、そして地域経済の発展が図られ、地域コミュニティーが維持をされて、国土の保全、水源の涵養、良好な景観の形成等々の多面的な機能を発揮されることが重要であります。この観点からも、農村政策というのは極めて重要であると認識をいたしております。

 このため、これまでも、農業、農村の多面的機能の発揮のために、日本型直接支払いの創設ですとか、農泊やジビエの利活用の推進も進めてきたほか、地域資源を発掘して磨き上げ、他分野と組み合わせる、そして所得と雇用を生み出す取組等も推進してまいりました。

 こうした農村で展開される農業におきまして、農業所得の確保を図っていくためには、需要に応じた生産を行っていくとともに、農業者の努力では解決できない農業資材コストの引下げに取り組んでいくことも必要でありまして、農業競争力強化法にもお触れをいただきましたが、こうした課題を解決するための政策であると考えております。

 私自身も、所信表明の中でも申し上げましたが、産業政策と地域政策、これを両輪でやっていくというのがやはり基本だと考えております。その基本に基づいて政策を展開してまいりたいと考えております。

佐々木(隆)委員 今の競争力強化に関して、政府並びに政府に近いところからは大体今のような答弁が出てくるんですが、農業政策と地域政策が車の両輪だというのは、ある種便利で、ある種説得力のない言葉だと私は思っているんです。

 両輪というよりはコインの裏表と言った方がいいと思うんですね。切り離せないものなんですよ。両輪だと、輪っかの大きさが違っちゃうと、とんでもないところへ行っちゃう可能性があるわけで、まさに、表裏一体、コインの裏表と言った方が私は正しい表現なのではないかというふうに思っておりますが、今は切り離そうとして政策をやるものですから、どうしても一体的な政策にならないというところに私は大変危惧を持ってございます。

 次の質問に入らせていただきますが、先ほど、前段、大串さんからもお話がありましたが、水田政策、あえて米政策ではなくて水田政策と言わせていただきますが、水田政策についてです。

 資料でいうと六にちょっと記載をさせていただいてございますが、昨日農水省の方といろいろお話をしたんですが、今、リノベーション事業に関わってだと思うんですが、作付の意向調査をやっておられます。それが左側のちょっと色のついた表です。それと、リノベーション事業についての要望の取りまとめがやられている、それから、都道府県との連携助成が考えられているというので、その三つについて記載をさせていただきました。

 農水省の方々からお伺いすると、まだ最終まとめになっていないということで、これは新聞報道ですが、全国で減少が十九、昨年並みが二十八ということでありました。それから、リノベーション事業についてもまだ取りまとめが終わっていない。都道府県の連携事業についても、これは新聞報道であって、まだ途中だということだったんですが、間もなくそこに作付が来ておりまして、作付を目の前にして、まだまとまっていないで大丈夫なのかなという気もしないではないんですが。

 私は、転作という言い方がどうか分からぬが、転作は定着しなければ意味がないわけですね。先ほどもありましたが、一年きりの政策じゃどうにもならない。転作が本当に定着できるのか。そして、そのために新しい事業を考えられたと思うんですが、これで十分だとはもちろん思いませんけれども、これが定着できるかどうかというのは一つの試金石です。ここが定着したら次の段階に進むということで、米の需給というのを図っていかなきゃならないというふうに思うんです。

 これらの定着、今の状況について、先ほど申し上げたのは、いずれもまだ途中経過だということだったんですが、どのように定着をさせていくのか、展開をしていくのかについて、現状も含めて聞かせてください。

天羽政府参考人 お答えを申し上げます。

 水田リノベーション事業などについて御質問をいただきました。

 まず初めに、委員御配付の資料の六、作付意向についてでございます。

 これは、例年、六月末が締切りで営農計画書を農林省に提出していただくことになっておりますけれども、その営農計画書、生産者ごとに何をどれだけ作付をするという計画を作っていただくわけですが、三年六月末の締切りに向けて、今年の一月末現在、令和三年産の作付意向がどのようであるかということを各県から聞き取ったものでございます。一月末の時点で中間的な取組状況を聞き取ったということでございます。

 したがいまして、これは途中経過ということで御報告をさせていただいておりまして、最終的には六月末の営農計画書の提出に向けての途中段階であるということでございます。

 それで、水田リノベーション事業でございます。

 これも委員の御指摘のとおりでありますが、主食用米の需要が毎年減少してございます。これを踏まえますと、作付転換、今年は特に大規模にやらないといけないわけですけれども、作付転換を一過性のものではなく定着させていくということが大変重要だと考えております。実需者と連携をして、麦や大豆を生産するですとか、野菜や果樹などへの作付転換によってより高収益を実現していただく、水稲を作付するよりも高収益を実現していただくといったような形で、水田を活用した農業の展開を進めていくということが重要だと考えております。

 そういう考えの下、令和二年度の第三次補正予算で新市場開拓に向けた水田リノベーション事業を措置しておるところでございまして、新市場開拓用米、加工用米、麦、大豆、野菜、果樹等について、産地と実需者とが連携して低コスト生産技術の導入を行うような取組に対して支援を行っていくということとしているところでございます。

 これは補正予算でございますので、三月五日が締切りということで申請を受け付けてございます。現在、要望の集計、内容確認を行っているところでございまして、ざっと見たところ、転換作物の低コスト生産の取組に対する支援につきましては予算額を超える要望額になりそうだということでございますが、繰り返しになりますけれども、現在、要件もございますので、要望の集計、内容確認を行っている最中ということでございます。

 それから、委員御指摘がございました都道府県連携型の助成でございます。

 これは、三年度の当初予算の中に計上しておるわけでございますけれども、農林水産省では、都道府県が水田農業に対してもっとイニシアチブを発揮していただいて、しばしば私ども、JA系統なのか、そうでないのかといったような違いによって、作付転換に対する……(佐々木(隆)委員「ちょっと時間が」と呼ぶ)はい、分かりました。要するに、都道府県が転換拡大に取り組む農業者を独自に支援をする場合に、拡大面積に応じて国が追加的に支援をするという取組でございます。

 当初予算でございますが、北海道は今のところ、まだ入っていないという現状でございます。

    〔委員長退席、宮腰委員長代理着席〕

佐々木(隆)委員 北海道が入っているとか入っていないのはあれなんですが。

 今、中間状況だというんですが、これは、交付金の交付をするのは六月以降で、我々のところへ来るのは八月から九月ぐらいですけれども、そういうのは農水省の都合であって、作付する側はできるだけ早く今の状況を知りたいわけですから、中間の状況というものをできるだけやはり公表していただかないと、農家の方は作付していいのか悪いのかということを判断していかなきゃいけないので、是非その点はお願いを申し上げたいと思います。

 時間がなくなりましたので、最後の質問にさせていただきます。規制改革会議の農地改革について大臣にお伺いします。

 国家戦略特区で、企業の農地取得の全国展開というのが、いわゆる養父市の話ですが、これを大臣も含めて止められたことは若干評価をさせていただきますが、ただ、先延ばしになっているだけですから、まだ安心はできるわけではありません。

 この成功例と言われている養父市は、こちらの方で言いますが、耕作放棄地がなくなって雇用が創出されたということで成功例というふうに言われているんですが、十六社プラス七社が参入をして、うち農地取得は六社で一・六ヘクタール、全体の七%ぐらいであります。ほとんどはリースであります。リースは前々から我々も認めてきた政策でありますので、これをもって成功例と言われて全国展開と言われても、それは少し乱暴なのではないかということはそのとおりでありますので、是非、先送りではなくて、これはやめていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 それに関わって、農地所有適格法人、法人の要件緩和についてであります。農業関係者以外の議決権二分の一を緩和しようではないか、株式の上場も解禁しようではないかと。つまり、一般企業が農業経営を支配して、農地を事実上取得可能とするというようなことが規制改革の方から提案されています。加えて、これは本当に苦肉の策だったんですが、常時従事者というものを常設することになっていたんですが、これも見直したらどうだというような話も出ている。要するに、農地は単なる生産手段ではない、ここを、先ほどの話ではありませんが、切り離そうとしている。

 私は、農地と農業というのは居住と一体だというふうに思っております。ふるさととは場所と人間だというふうに言われますが、場所が居住と切り離されて、移動するということが模索をされ、なりわいが失われ、人がいなくなる。これが今の、先ほどの競争力強化でも、規制改革会議での方向だとするならば、何としてもこれは阻止をしなければならない。

 農業と農村は一体的な政策であるべきだということについて、最後にお伺いをいたします。

    〔宮腰委員長代理退席、委員長着席〕

野上国務大臣 農地というものは、農業の生産基盤としての場であるのみならず、農業を営むことを通じて農村で生活をするための役割も果たしていることから、農業の振興と農村地域の活性化をやはり一体として考えていく必要があると考えております。

 農業、農村を次世代に継承していくためには、担い手への農地の集積、集約化などの農業の成長産業化を促進するための産業政策を進めていくことと併せて、地域政策としまして、所得や雇用機会の確保ですとか、農山漁村に人が住むための条件整備ですとか、あるいは農村を支える新たな動きや活力の創出を推進していくこと等が重要と考えております。

 農地というのはやはり農政の根幹でありますし、農水省としては、今申し上げたような産業政策と地域政策を、車の両輪というか、コインの裏表として、しっかりと推進してまいりたいと考えております。

佐々木(隆)委員 終わりますが、両輪ではなくて、両立ではなくて、一体で是非お願いを申し上げて、終わらせていただきます。

高鳥委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。

 通常国会が始まりまして初めてのこの農水での質疑になります。どうかよろしくお願いいたします。

 大臣は越中ということで、そして委員長も越後ということで、私も越の国の人間でございます。同郷人として誠実な、しっかりとした答えをしていただけたらなと思います。

 北陸の人間は自然環境の中で苦労していると思いますから、自分に厳しく人に優しくといったところがあると思います。ただ、事組織のトップということに関しては、自らの組織に対してもきつくしていかなくてはいけないという部分があります。

 これは私自身も経験したことなんですけれども、新入社員として入っていきなり営業停止になって、身に覚えのないことなのに外を回っていたら名刺を破られた、そういう記憶がございます。今、農林水産省の役所の方々、約二万人ですね、ほとんどの方が無関係であるにもかかわらず、あんたらっちゃんとこ何やっとんがやということで、相当厳しい御叱責を受けている。そういった方々の苦しみや涙をしっかりと想像して、早く身ぎれいになっていただきたいと思います。

 今日は、先にイノシシの問題に入らせていただきたいと思いますけれども、枝元事務次官、残念ながらお越しになっていただけませんでした。倫理監督官もされているということなんですが。大臣、事務次官と会われたのはいつでしょうか。

野上国務大臣 昨日会いました。

近藤(和)委員 今回の接待疑惑について、何らかの会話をされましたか。

野上国務大臣 昨日に限らず、今般起こっております一連の事態につきまして話はいたしております。

近藤(和)委員 大臣と話を事務次官は当然されるとは思いますけれども、大臣との話だけではなくて、国民に対しての説明ということであれば、この委員会の場に私は出てこなくてはいけないのかなというふうに思います。これは後ほど質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、大臣所信の中にもございましたジビエ、そしてイノシシ、こちらについては、二年半前に起きました豚熱ですね、そのときにはくしくも吉川大臣に替わられたばかりで、そして一年後に江藤大臣に替わられてワクチン接種に前向きになって動いていただいた、そういった経緯がございました。

 その中で、私の地域でも、イノシシを早く除去してくれ、そういった声もあります。更にいけば、今、このコロナの中で人が動かなくなって、イノシシをせっかく捕まえても売れない、そして、捕まえても感染確認地域だから自粛してくれといった、これを何とか解除してくれないと処理施設をせっかく造ったのに動かせない、そういった状況がございます。

 まずは今年行われています実証実験の現状ですね、そして、いつから自粛しなくてもいいのか、こういった現状を教えてください。大臣でお願いします。

野上国務大臣 豚熱が感染されている地域での捕獲イノシシのジビエ利用につきましてでありますが、今先生からお話があったとおり、これは、飼養豚へのウイルス伝播リスクを考える必要があり、また、厚労省のガイドラインにおいても豚熱を含む家畜伝染病の蔓延が確認された地域で捕獲した個体を食用に供してはならないとされておりますので、家畜防疫及び食品衛生の観点から、豚熱に感染した野生イノシシが確認された区域においては、原則としてイノシシの肉等を区域外に持ち出さないものとして、販売については自粛するよう各県に要請をしておるわけであります。

 農林水産省としましては、家畜防疫にも十分配慮しつつ、感染確認区域におけるジビエ利用を可能とするために、処理加工施設におきまして、豚熱陰性イノシシを判別するための簡易検査方式ですとかあるいは豚熱ウイルスによる交差汚染防止方式等を確立するための豚熱検査実証事業を行っておりまして、石川県を始め、今、全国五県で実施してきているところでございます。

 現在、外部有識者を含めた検討会におきまして、厚労省を始め関係省庁とも連携しまして、家畜防疫及び食品衛生の観点はもとより、ジビエの品質にも十分配慮した上で、実証事業の成果等も踏まえて、豚熱陰性イノシシの出荷を可能とするための枠組み構築に向けて検討しているところでありまして、可能な限り早期の陰性個体の利用につなげてまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 可能な限り早期にというお答えをいただいたんですけれども、これは例えば四月一日から可能なのか、若しくは、五月、六月、七月になったとしても年度は関係なくスタートできるのか、どういった状況でしょうか、認識。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 実証事業につきましては、地域からの期待も大変大きい事業でございますので、ただいま大臣からも御答弁がございましたように、我々としては、可能な限り早期の陰性個体の利用につなげていきたいということで今進めているところでございまして、できますれば年度内とか、そういうところを目指して現在進めているところでございます。

近藤(和)委員 年度内ということで、頑張っていただけたらと思います。

 そして、品質といったこともございました。これはイノシシを捕られる方からも伺った話なんですけれども、今、まずイノシシを捕らえて、血を抜いて、その血で検査をするということで、短くても大体半日ぐらいかかると言われています。検査の結果が分かってから皮を剥いで内臓を取って、そういうことをしていたら到底、肉の品質が駄目になってしまう、だから早く、殺した段階で皮を取って内臓を取ってということをさせてくれないかということを聞いていますが、こちらについてはどうですか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 ジビエの肉の品質を保つためには、今先生から御指摘いただきましたように、まずは血抜きをして、なるべく早く内臓を摘出するということが大変重要かというふうに考えております。

 その意味で、例えば屋外における内臓摘出につきましても、厚労省のガイドラインによりますれば、捕獲場所から処理加工施設への運搬に長時間を要する場合など、捕獲後の迅速適正な衛生管理の観点からやむを得ない場合にあっては認められるというふうに伺っているところでございまして、そういうものもうまく使いながら、ジビエの肉の品質の向上と安定というものにも配慮しつつ、先ほど申し上げた実証事業というものを進めていきたいと考えております。

近藤(和)委員 屋外では、時間がかかるのであれば大丈夫だということで。ということは、検査結果が陰性だと分かるときにはもう既にある程度、さあ解体できますよという、寸前までいくという理解でよろしいんですよね。ありがとうございます、今うなずいていただきましたので。

 そして、もう一つ、声としてありますのが、皮と内臓を取る順番ですね。こちらについては、通常であれば皮、毛の方が汚れていますから、そちらを先に取ってから内臓ということなんですが、外における場合には真っ先に内臓なんだと。そしてまた、運ぶときも含めて、皮を取ってしまうと乾燥してしまうということも含めて、この順番を逆にできないのかといったこともありました。

 改めて、今日は厚労省に来ていただいていますが、このガイドラインについての現状を教えてください。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省では、野生鳥獣肉を取り扱う方が共通して守るべき衛生措置につきまして、野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針、ガイドラインをお示ししております。

 野生鳥獣肉の処理に当たりましては、獣毛等による汚染を防ぐため、議員御指摘のとおり、皮を先に除去する方が一般的であることから、ガイドラインでは、剥皮、内臓の摘出の順に衛生管理の手順を示しております。

 一方、狩猟時におきまして、屋外で剥皮の前に内臓を摘出することにつきましては、狩猟場所から食肉処理施設への運搬に長時間を要し、腸管内微生物の著しい増殖が懸念される場合など、狩猟後の迅速適切な衛生管理の観点からやむを得ない場合には、使用する器具の消毒など、適切な衛生管理を行った上で実施することは差し支えないとしておるところでございます。

近藤(和)委員 ありがとうございます。長時間であったり、やむを得ないといった部分は、かなり曖昧な部分があると思いますが、柔軟な対応をお願いしたいと思います。

 これは江藤前大臣のときからもお願いをしていたことでございますけれども、全頭検査をすることが、むしろ感染イノシシがどこまで動いているかということを、豚熱を収束させていくには大事なことだということをずっと申し上げてきたんですが、今後、この実証実験から実際のところに動き始めるときには基本的には全頭検査ということなのか。

 そして、全頭検査の場合には、費用負担、こちらを心配されておられる声もあります。更に申し上げれば、捕まえて血抜きをして、そして検査をする、短くて半日と申し上げましたが、地域によっては、この検査の間隔ですね、三日、四日若しくは一週間ぐらいかかるところもあると聞いています。こちらについては、期間を短くしてくれということであれば、県などの負担が増えることになると思います。こちらについての配慮というか、考えていることを教えてください。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 陰性の個体をどのような形で利用できるかということについてでございますけれども、今委員から御指摘がございましたように、全頭検査が必要なのかどうかとか、あるいは検査の間隔をどうするかとか、こういったいろいろな論点があろうかと思います。この点につきましては、厚生労働省とも十分協議をしながら、速やかに内容を詰めていきたいと考えております。

近藤(和)委員 国産ジビエ認証制度もスタートして、まだなかなか広がらないということですけれども、こちらもしっかりと頑張っていただけたらなと思います。この負担についても、これは結果として国が持つということを聞いていますけれども、そういったことも御存じない方もいらっしゃいますので、周知の方をお願いしたいと思います。

 そして、大臣には、ジビエの処理施設、やはり相当苦しいと聞いています。人減らししなきゃいけない。実際には、実証実験から本格的に全頭検査も含めて、管理しなければいけない確認地域でも捕れるようになれば改善してくる可能性はありますけれども、やはり今はコロナで人がなかなか動いていないです。何とかこの苦しい現状について前向きな、こういう答えを用意していますということをお願いいたします。

野上国務大臣 今お話がありましたとおり、野生イノシシの感染拡大によりまして、ジビエの処理加工施設の経営に大きな影響が生じていると承知をいたしております。

 農林水産省としましては、まず、風評被害が生じないように、経口ワクチンを接種したイノシシ肉の安全性について広く周知を行うとともに、処理加工施設においても、感染確認区域でも可能な限りジビエ利用ができるように、鳥獣対策交付金によりまして、感染区域の外からイノシシを搬入するための保冷車の導入ですとか輸送にかかる経費、あるいは、鹿の利用拡大に必要な処理加工施設の改修ですとか解体処理技術の習得、商品開発また販路の開拓等々について支援をしているところであります。

 一方で、先ほどお話のあった、陰性イノシシの出荷をできる限り早くするということにも全力で取り組んでまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 前向きなお答え、ありがとうございます。

 これはイノシシを捕られる方だけではなくて、田んぼや果樹ですとか、いろいろな方にとってみても、イノシシを早く捕ってくれ、退治してくれ、そういう声もあります。何とか前向きに頑張っていただきたいと思います。

 私も、富山県の県境に住んでいまして、イノシシを何度もいただいたことがございます。非常においしいです。そして、イノシシは県境は関係ありませんから、こういったところをいかにしてしっかり捕まえていくかということも今後の課題になっていくのかなというふうに思います。どうかよろしくお願いいたします。

 それでは、農水省の接待の問題について話をしたいと思いますけれども、こちらのお配りさせていただいた紙ですね。私、改めて、この資料を作って、やはり心が痛みます。いろいろな関係者の方がいらっしゃるんだなということですけれども。

 資料の中の生産局長や畜産部長のところに丸がついています。これはどういう意味かといいますと、下の方に、例えば二〇一九年九月十八日の青色のところですね、この青色のところの職員五名というのは、上の方にあります生産局長、畜産部長、畜産企画課長、畜産振興課長、食肉鶏卵課長ということになります。そして、赤色のところは二〇一八年に関わられた農水省の役人の方々ということになります。そして、緑色が今回の検査で分かりました。ただ、これはアキタフーズさんから出してもらったものではないということではありますけれども、一つ分かったことです。

 ちなみに、右側は前回の国会で出させていただいた吉川大臣とアキタフーズの元代表との接点なんですが、改めて右側と左側を時系列で比べてみると、秋田さんってすごくまめな方だったんだなと思います。

 右側の二〇一八年十月二日のところ、吉川さんが農林大臣になられた十月二日ですね。その左側で、僅か二日後に、吉川さん、河井さん、秋田さん、そして四名の方々ですね、生産局長、畜産部長、畜産振興課長、食肉鶏卵課長がここで懇親会をされておられます。これは、大臣の就任祝いといったところもあったのかなというふうに思います。

 下の方に行きますと、吉川さんが大臣を終えられたのが二〇一九年の九月十一日になります。その一週間後に、職員の方五名と、吉川さん、河井さん、西川さん、秋田さんが、お疲れさま会ということなんでしょうか、こういったことをされておられます。

 そして、振り返ればですけれども、二〇一九年の九月十八日の五名の方々、全ての皆様が処分対象になってしまわれましたけれども、ちょうど役職が替わったばかりなんですね。その前の段階から順を追って説明していけば分かりやすいと思いますが。

 二〇一八年の八月二日、緑色のところです、職員二名というのが大野前畜産部長と富田畜産部長でございます。大野さんは、七月二十七日に畜産部長、農水省を退職をされておられます。言うなれば、秋田さんと大野さん、富田さんの引継ぎ式のようなものだったのではないかなと思います。

 こちらについては農水大臣等政治家の方々が入っておられませんでしたが、このときには齋藤健さんでございます。恐らく、こういったところには相当距離を置いておられたのかなと。後々、吉川さんが入られたのは、よし、これで、きれいな方ではなくていろいろ関係を持てる方になったから、これ幸いということで動かれたのかなというふうに思いますが。

 ここで問題としたいのが、まず、畜産部長が毎回関わられているということ。

 二〇一八年の四名の職員の方の中に富田さんはまた参加されておられるわけですが、このときに参加された枝元生産局長、富田畜産部長、伏見畜産振興課長、そして望月食肉鶏卵課長ですが、皆さん、例えば枝元さんは六月十七日に就任されています。富田さんは七月二十七日に就任されておられます。済みません、枝元さんはもっと前からですね。そして、望月さんも同年の七月二十七日。ちょうど就かれたばかりなんですね。

 ですから、吉川大臣おめでとうございますということと、新しくなられた望月さんも含めて、これからよろしくということだったのではないかなと。

 二〇一九年の九月十八日を振り返りましても、この年の七月八日に水田生産局長に替わられました。渡邊畜産部長も七月八日に替わられました。そして、犬飼さんも、七月八日、畜産振興課長に替わられました。

 要は、大臣お疲れさまということも含めて、新しくそれぞれ、鶏卵業界にとってみれば大事な生産局長、畜産部長、ほかの課長さん含めて、お疲れさま会と引継ぎ式のようなものが結果として行われてきたんじゃないかなというふうに推察されます。

 ここからなんですけれども、今、検査をされて結果が出ました。大臣、ちょっとこちらを向いていただけたらと思うんですけれども、少なくとも畜産部長は継続的に秋田元代表とつながりを持ってきたのではないかなというふうに推察されます。その中で、今回の検査については、前の富田部長、そして、その前の大野部長、さらに、その前の部長さん、その前の部長さん、こういったところはずっと継続的に調べていかなくてはいけないと思うんですが、いかがでしょうか。ちょっと大臣に、ぱっと見た形で答えていただきたいんですが。

横山政府参考人 お答え申し上げます。

 倫理の観点からの調査ということに関して申し上げますと、退職された方は国家公務員倫理法に基づく処分等ができないということで、この対象にはしていないということでございます。

野上国務大臣 今官房長からも話があったとおり、倫理の観点からの調査ということにつきましては、OBについては調査できないということでございます。

近藤(和)委員 調査できなくても話は、聞くことはできますよね、大臣。個人として、人として、調査ではなくて話は、聞くことはできると思うんですが。

 役人の方だと、退職した方は調べることができないという答えしか出てきませんので、大臣に対して伺います。公務員倫理規程に従って退職した方のところは問うことはできないというふうなことですけれども、政治家として、そして個人として、畜産部長でいらっしゃった歴代の方々に話を聞く、調べることはできると思うんですが、いかがでしょうか。

野上国務大臣 歴代の今御指摘の役職者につきまして倫理の観点から調査できないというのは今申し上げたとおりでありますが、特に例えば富田元畜産部長ですね、既に退職をしておりまして、そのような調査を行うことはできません。

 ただ、養鶏・鶏卵行政の公正性について、第三者の関与という点につきましては第三者委員会で検証いただくということになります。

近藤(和)委員 調べたくないということなのかもしれないですが、余り過去の方を根掘り葉掘りというのもあれなんですけれども。

 緑の丸の上の方は大野高志さん、前畜産部長でございます。現在、日本食肉格付協会の会長をされておられるということらしいんですけれども。この大野さんが本川さんと、二〇一九年では三度、秋田さん、そして西川元大臣と会食を重ねていらっしゃいます。二〇二〇年にはクルーズ船にも乗っていらっしゃいます。OBといいながら現在も農政に関わるところに働いていらっしゃって、その方に話を聞かないというのは私は不誠実だと思うんですが、いかがでしょうか。大臣に聞きます。

横山政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘があったOBの方々の会食、これは我々は元々、本来全然知らない話でございます。今、三回というお話がありましたけれども、その話も今初めて聞いたわけでございます。クルーザーについては報道があったので、これは承知しています。

 ただ、いずれにしても、辞められた方が辞められた後に鶏卵関係の業者の方と接触をされたということでありますから、それ自体、当然、倫理法の関係での抵触ということもございませんし、私どもとして調査をするというようなことは考えてはいないところでございます。

近藤(和)委員 官房長、身内をかばいたい気持ちは分からないでもないですが、身内をかばうことが、結果として農水省の現在の職員の方々がつらい思いをされるんですよ。そこは私は誠実にやってほしいと思います。

 そして、ちなみになんですけれども、本川さん、事務次官もされておられますが、クルーザーでも随分関わっていらっしゃいます。

 この本川さんの経歴で見れば、もう一度こちらを見ていただければと思いますが、二〇〇二年には食肉鶏卵課長をされています。二〇〇六年には畜産部長をされていらっしゃいます。二〇〇九年には生産局長をされていらっしゃいます。ちょうど秋田さんが関わるようなところを、ずっと大臣官房と行ったり来たりをされていらっしゃいます。そして、事務次官になられておられるわけですね。ここから考えれば、秋田さんと生産局長や畜産部長との関わりというのはたった三年や四年だけじゃないなということは容易に推察できるんです。

 先ほど、大串委員の質疑の中で、幅広い調査をしてほしいということで、ある程度しますということを大臣は言われましたけれども、少なくとも時期については、公務員倫理規程、退職された方についてはどうこうというのはできないかもしれないですけれども、少なくとも公務員倫理規程ができたときからの調査ですね。

 網をひっかける、あなたは違反しましたということで罰則を与えることができなくても、白か黒かということは、これは国民に対して私は示していくべきだと思います。これは納税者に対してもそうですし、農林水産省の職員の方もそうですし、一次産業に関わっておられる全ての方々のために身ぎれいにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

野上国務大臣 先ほどから申し上げておるとおり、国家公務員倫理規程の観点から調査を行って処分することはできないということは今まで申し上げたとおりでありまして、退職後の事案について調査することは考えておりませんが、一方で、御指摘の第三者の観点という点については、養鶏・鶏卵行政の公正性という観点から、第三者委員会で幅広く十分に検証いただくことになるということであります。

近藤(和)委員 誠実に動いていただきたいと思います。罪を憎んで人を憎まずではないですが、過去にあったことをしっかりときれいに洗いざらいして、もうこれからの農政はきれいなんですよということを示していくことが私は大変重要ではないかなというふうに思います。この部分については仲間の議員と今後の議論をしていかなくてはいけないかなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、違法操業問題について質問をいたします。

 裏の二のところですけれども、大和堆周辺における違法操業のステージががらりと変わりました。今までは北朝鮮船籍がほとんどだったんですけれども、今は中国漁船にほぼ変わってきたという状況です。対象が変わったことによる対応の変化について、現状、まずは外務省の方からお願いいたします。

國場大臣政務官 我が国排他的経済水域における北朝鮮や中国漁船による違法操業は極めて問題であると認識しております。これまでも、累次の機会に中国及び北朝鮮に対し違法操業の停止等を申し入れてきております。

 特に、中国漁船による違法操業については、昨年十一月の日中外相会談を含め、中国側に対し日本側の懸念を繰り返し伝達するとともに、漁業者への指導等の対策強化を含む実効的措置を取るよう、繰り返し強く申し入れてきております。

 政府として、引き続き、我が国排他的経済水域内での外国漁船等による違法操業の防止のため、毅然と対応してまいります。

近藤(和)委員 海上保安庁さんにも来ていただいていますけれども、三のところですね、過去五年間での立入検査、拿捕。日本海側においても北朝鮮の船に対しては立入検査、拿捕しにくい、そういった話は聞いたことがありますけれども、中国は国連海洋法条約にも入っているわけですし、立入検査、拿捕してくれという強い声がございますが、日本海側はないんですね。このことについて、どうしてなのか教えてください。

鳩山大臣政務官 質問にお答えをさせていただきます。

 非常に広大な海域において、限られた勢力で多数の外国船の違法操業に対応するためには、退去警告や放水による退去措置を行っていくことが最も有効な手段と考えております。

 違法操業外国漁船の検挙や立入検査については個別の状況に応じて判断する必要がありますが、退去警告に従わず違法操業を継続するなど悪質な漁船に対しては、検挙することも含め、海上保安庁が関係省庁と連携し、厳正に対処することといたしております。

近藤(和)委員 厳正に対処するんだったら、四千隻も来ているんだったら、一隻、二隻、私は捕まえることはできると思うんです。五でいけば、三隻捕まえているわけですよね。一罰百戒です、言うなれば。違法操業をしていた船を捕まえて、しっかりと日本の法に照らして処遇していくということで、日本海域では、勝手に入ってきてはいけないよ、捕ってはいけないよということを示していかなくてはいけないと思います。

 そして、もう時間がありませんので、ちょっと海警法との関係も少しお話をしたいと思うんですけれども。

 海警法が中国で施行されてからもう一か月になりました。本当に、尖閣周辺を何とかしなければいけない。一方で、日本の出方次第ではとんでもないことになるかもしれない。それも向こうの思惑なのかもしれません。

 その中で、日中漁業協定、そして日中漁業共同委員会、こちらが動いていないということが、むしろ、白黒はっきりできる地域をグレーにしているからグレーな地域が余計に踏み込まれてしまっている、こういう現状が生まれていると思います。少なくとも日中漁業共同委員会を動かして、協定の中での各海域がございますが、しっかりと区別していくということを中国に認識させていく必要があると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

野上国務大臣 御指摘の日中漁業協定でありますが、これまで中国との間では、この日中漁業協定に基づく交渉によりまして相互入漁の条件などを決定してきたわけでありますが、従来から議論してきた日本水域での中国漁船の漁獲量の削減等の問題に加えて、近年、日本海における中国漁船の違法操業の問題が課題となっておりますので、中国側との実質的な協議は合意に至らず、交渉が継続した状態が続いているところであります。

 特に、日本海における中国漁船の違法操業につきましては、資源管理上の懸念に加えまして、我が国漁業者の安全操業の妨げにもなっており、極めて問題であることから、中国側に対して実効措置を取るよう繰り返し申入れをしてきております。

 今後とも引き続き、違法操業対策について中国側に実効性のある措置を求めてまいりますとともに、周辺水域の資源管理の方策についても協議を行うなど、資源の適切な管理と漁業者の安定した操業の確保に向けて粘り強く対応してまいりたいと思います。

近藤(和)委員 ありとあらゆる手段を使って、漁業者のために頑張っていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

高鳥委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。玉木雄一郎君。

玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。

 先ほど金子先生もやっていましたけれども、私もまず鳥インフルエンザのことについて聞きたいと思います。新井局長からあらあら話があったので、重複を避けながら聞きたいと思うんですが。

 三月に入って発生は確認されていないので少しほっとしているんですが、ただ、ゴールデンウィークぐらいまではまだまだ気を緩めることができないというふうに思っております。そこで、再発防止策の徹底をどのように図るかということで、先ほど、しっかりと飼養基準を守るとか、いろいろなことを答弁されていたので、ちょっと踏み込んで聞きます。

 対策が有効に働くためには、原因が何かということの特定が大事なんです。前から何度も言っているように、感染源が何なのか。そして、今回、ネズミが出たり入ったりして、いろいろなことが言われました。じゃ、ネットをちゃんと張るとかですね。

 今回の、特に比較的早く発生して大きく広がったこの一連の鳥インフルエンザに関して、シベリアから飛んできたんですよねという話と、ネズミがあちらこちらへ行ったねということが一般には言われていますが、原因が何なのか、そしてその原因を捉えた的確な再発防止策は何なのか、ここをちょっと絞ってお聞かせください。

新井政府参考人 お答えいたします。

 今回の鳥インフルエンザ、それから豚熱も同じでございますけれども、必ず発生農場には疫学調査チームが入りまして、疫学の調査結果を報告するということになっております。今回も、飼養衛生管理基準の遵守それから施設の状況につきまして、全ての農場で疫学調査について結果を報告しているところでございます。

 それによりますと、まず第一に、施設の状況につきましては、防鳥ネットがないでありますとか、隙間がありますとか、そこにネズミが入っているといった状況、いわゆるハードの不備というものも多くの農場で散見しております。

 それからもう一つは、ウイルスを持ち込まないという観点からは、そこに入る人、物、車両をしっかり消毒するということが重要でございまして、ほとんどの農場で、手とか指の消毒でありますとか、長靴の交換、衣服の交換といったものが行われていない、農場内の地面を歩いてまた別の畜舎に入るといった状況が見られているところでございます。

 今回は、特に大規模密集地域におきまして発生している場合に、今回の鳥インフルエンザは特に西ヨーロッパでも非常に多発しておりまして、シベリアからのウイルスが多量に各地に来ているということが報告をされているところでございます。したがいまして、屋外のウイルスを削減するために、面的に町の中の消毒をしてもらうということが非常に有効だということが分かりました。まず、これにつきましては香川県の三豊市で行っていただきまして、現在、千葉県の旭市それから匝瑳市でも、市の中の消毒ということでウイルスを減らす努力をしていただいております。

 それからもう一つ、委員の御指摘の中でございました、感染はいたしませんが、ネズミなどの小動物がウイルスを媒介して運ぶということが、疫学調査の結果、分かっております。そういう状況を踏まえまして、一番最初は鹿児島県で実施いたしましたけれども、防疫措置と同時にペストコントロールを行う、ネズミの対策を行うということによって、近隣の農場にネズミが行かないという対策が重要だということでございまして、これにつきましてもほかの農場で応用するということでございます。

 今回の発生状況を踏まえまして、防疫措置それから発生予防について、その経験を生かして逐次充実しているというふうに考えているところでございます。

玉木委員 引き続き、感染源の分析等々もして、効果的な対策を是非打っていただきたい。

 先ほどおっしゃったように、若干、面的だということになると農家だけじゃなくて町全体の御協力もいただかなければいけなくなるので、そうすると少し農水省を超えたような対策も必要になってくるので、こういったところは、発生したときの対策と発生の後、あるいは次に備えるようなところについても、他省庁、あるいは国、県、市、それぞれが連携して必要な対策を打っていただきたいなと。

 二月十八日時点での自己点検の結果の一覧表をいただきましたけれども、一般的かどうか分かりませんけれども、採卵鶏に比べてブロイラーのところの農場の方が、例えば立入りのときの手指消毒とか、遵守率がちょっと低いんですよ。

 いずれも一〇〇%じゃなくて、八割台とか七割台とか、まあ九割のところもありますけれども。ほとんどの皆さんはちゃんと飼養衛生管理基準を守っていると思うんですけれども、残りの一〇%とか二〇%とかで守っておられないところが、そこからまた広がってしまうということがあるので、こういったところを、いろいろな理由があると思いますけれども、改めて徹底していただきたい、そういうふうに思います。

 あわせて、大臣の所信の中にもありましたけれども、発生農家への支援もしっかりやっていくということで。家伝法に基づく支援などはしっかりやっていただきたいんですが、併せて今回よく分かったのは、余りにも大量だったので、埋却にしても、運搬にしても、いろいろなことで都道府県単位の負担も出ているんですね。いろいろな、消毒液を調達するとか、様々な機材を調達するとか。こういったところは特別交付税で対応するということになろうかと思いますけれども、ここも併せて万全を期していただきたいと思うので、農水省には国として是非頑張っていただきたいんですが。

 総務省に伺います。例えば香川県の場合は、費用の支出が想定外に膨らんだりして、県と三豊市で八億円を超えるような特交の手当てを要望していると思いますし、ほかの県でも多分、三月末か、特交の手当てをきちんとやってほしいという要望が非常に強いと思いますけれども。特別交付税の手当て、ここはしっかりやるということで、お答えいただきたいと思います。

馬場政府参考人 お答えを申し上げます。

 香川県におきましては、十一月以降に県内で連続して発生した鳥インフルエンザに対応するために、飼養家禽の屠殺及び埋却等の防疫措置でありますとか、移動制限区域内の農家支援等に多額の財政需要が生じていると伺っております。

 また、三豊市を始めとする香川県内の市町村におきましても防疫措置等に取り組んでいただいていると伺っております。

 香川県内のみならず、地方団体の鳥インフルエンザ対策経費のうち、国庫負担金や国庫補助金を受けて実施する蔓延防止対策等につきましては地方負担額の八割を、また、地方単独事業として実施する風評被害対策等につきましてはその五割を特別交付税により措置することといたしております。

 現在、各団体の実情を丁寧にお伺いさせていただきながら、特別交付税の算定作業を進めさせていただいております。関係団体の財政運営に支障が生じないように、適切に対応してまいります。

玉木委員 是非、適切に対応していただきたいと思います。よろしくお願いしますね。

 では、次に、収入保険について伺いたいと思います。

 私、今回、コロナ禍のただ中にも今まだありますけれども、収入保険制度はつくっておいてよかったなというふうに改めて思いました。なかなか、つくって加入が進まないという問題は、与野党の先生それぞれ、地元でも聞いておられると思います、農済の方からも聞いておられると思いますが、今回は、私、改めてこの収入保険制度の優位性ということが認識されたんだと思います。

 改めて確認しますけれども、収入が落ちたときに、それを過去五年間の平均できちんと、例えば積立金をしていれば減った分の九割を見ますという制度ですが、この減少は、天候が悪化するとか、天候要因もありますけれども、今回のような感染症、つまりコロナ禍によって売上げが落ちたとか、感染症のような要因で収入が減少した場合でもしっかりと対象になるという、そのことを改めて確認させていただきたいと思います。ですから、持続化給付金とは併給は可能だと思うんですが、そのことも併せてお答えいただきたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 収入保険は、品目の枠にとらわれず、農業経営者ごとに農業収入全体を捉えて、自然災害だけではなくて、農業者の経営努力では避けられない、あらゆるリスクによる収入減少を補償するものでございます。

 このため、委員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響によって、売上げが落ちたとか価格が落ちたという状況で、農業収入が減少した場合も補償の対象になります。

 もう一点、御質問いただきました。

 収入保険は、今申し上げたように、農業収入でございまして、農産物の販売価格が減少した場合に補填を行うという仕組みでございます。

 今回の一時支援金につきましては、農産物の販売金額に限ったものではなく、事業単位でなく事業者単位でその売上げが大きく減少した場合に給付されるものでありまして、一時支援金と収入保険を両方受け取ることは可能と考えております。

玉木委員 一時支援金のことはこれから進んでいくので、もう終わってしまったんですけれども、持続化給付金も当然併給可能でしたよね。改めて確認です。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 大変失礼いたしました、可能でございます。

玉木委員 これは優れていると思うんですよ。

 私も予算委員会で総理にも財務大臣にも経産大臣にも何度も、皆さんもいろいろ聞かれたと思いますが、規模に応じた支援がなかなかできないという話がよくあるじゃないですか。今回の飲食店の協力金でも、六万円で全然足りないというところと、多過ぎて協力金バブルになっていると。

 どうやって規模に応じた本当に必要な支援を、必要な額を必要なところに届けるかがすごく難しい中で、この収入保険はまさに、過去の五年間のものを一定の基準として、落ちた収入をベースに九割をちゃんと補填しましょうというから優れていて、しかも、今回は、保険料の半分は国がそもそも見ることになっていますが、残りの半分を地方創生臨時交付金を使って手当てできるので。事実上、このコロナ禍において農家負担なしで減少した収入の九割を見てくれる制度はほかにないので、一番優れているから、私は、逆にこういう制度を全ての産業に広げてもいいかなと思っているぐらいなんですよ。

 例えば、今、雇用保険料が千分の九だから、雇用保険料をちょっと上げておいて、人件費については雇用調整助成金である程度見ますとありますけれども、何か工夫したら、農水委員会では皆さん御存じの収入保険を、感染症も含めたこれからのビジネスリスクに対応するような、総合的な政策として更に発展、拡充することもできるんじゃないかなと思うぐらいいい制度なので、だから、是非これは加入の促進にも使っていただきたいと思うし、やはり、保険制度だから、プールが大きくなればなるほど安定しますからね。今回、本当に、この収入保険の非常に優れているところはしっかりアピールすべきだなと思います。

 そこで、もう一つ伺います。

 他方で、収入保険の制度設計をするときのそもそもの問題と言われていたのは、五中五、つまり過去の五年間の平均なので、ずんずんずんずん毎年収入が下がっていくと、結局、補償される額も下がって、コストが変わらないときにはカバーされるところがだんだん薄くなるという、これも一方のマイナスではあるので何とかしなきゃいけない、岩盤が必要だなと思うんですが。

 ただ、今回のように、どかんとある年の収入が落ちてしまって、五年間の平均の基準額の計算に入れてしまうと補償される額が下がってしまうので、去年の二〇二〇年については五年の計算から外すということになっていると思うんですが、今年も、この一月から緊急事態宣言になったので、今年の部分の計算も通常の計算から去年に引き続いて外した方がいいと思うんですけれども、それはいかがでしょうか。

野上国務大臣 今お話がございましたとおり、収入保険では、過去の五年間の平均収入、五中五を基本として、補填の基準となる基準収入を設定しております。

 本年、令和三年の収入保険の基準収入の算定に当たっては、これまで経験したことのないコロナの影響で収入が減少する、そういう収入減少が影響しないように新型コロナウイルス特例を設けたところであります。

 それで、今先生の方から令和四年もどうかというお話でございますが、昨年も十月にこの特例を決定したところでありますが、現在、本年の営農活動がまさに本格的に行われ始めようとしている段階でありますが、来年の取扱いにつきましては、今後の状況等を見つつ検討してまいりたいと考えております。

玉木委員 年が始まって三月ですから、まだ、これからどう盛り返すとか、それは分からないんですが、ただ、大臣におっしゃっていただいたように、そこは今後の様子も見て、やはり、緊急事態宣言の発令された年については一定の特例を設けるというようなことも、私は、加入していただく皆さんのインセンティブを引き上げるためにも是非ここは検討していただきたいなというふうに思っております。

 ただ、一年間を確定して青色申告しないと分からないので、収入保険のもう一つのある種弱いところは、すぐにもらえないというところが、これも法案審議のときに議論になりましたが、ただ一方で、つなぎ資金を用意してさっと出すということも、これは結構頑張っていただいているので。だから、最初はつなぎ資金、あるいは貸付けもして、それで確定したら後で戻ってくるという。これも、私がよく言っているアメリカのPPPという、最初に融資しておいて、一定条件を満たしたら返済を免除するということにも近いかなと思っているので、その意味でも収入保険制度は、うまく使えば農業者には私は非常にいい制度だと思うので。

 大臣に改めて伺いますが、今回のコロナで収入保険がうまく働いたということも含めて、積極的に、加入促進について、加入率を高めるためのアピールを是非この機会にやるべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

野上国務大臣 収入保険は、あらゆるリスクに対応できる制度であります。当初想定し得なかった、コロナの影響により収入が減少した場合にも補償可能な仕組みであります。

 こうした収入保険の特徴、内容等につきましては、やはり農業者に積極的に伝えていくことが重要だと考えております。関係機関で加入推進活動の支援を行っておりますが、そのほかにも各種の媒体の活動を通じて、例えばコロナの影響がある中で保険金の支払いや無利子のつなぎ融資を受けて助かったといういろいろな加入者の声もありますので、そういう具体的な声なども積極的に広報して、一層の加入促進につなげてまいりたいと考えております。

玉木委員 是非、加入促進につなげていただきたいなと思いますし、本当に、助かった人が私は多いと思うんですよ。

 先ほども申し上げたように、地方創生臨時交付金をうまく使って、苦しい農家の皆さんの自己負担分の五〇%の保険料のところもカバーするということを組み合わせれば、相当優れた制度だというふうに思いますので。是非、これは大臣を筆頭に農水省挙げてアピールしていただきたいなと。農済の方々も、皆さん、現場でよくお話を聞いたりして頑張っていただいておられますので、後押しを是非お願いしたいと思います。

 次に、先ほどちょっと、前もって答えていただきましたけれども、これから給付が始まっていく一時支援金。

 緊急事態宣言発令地域の飲食店については先ほど申し上げたように六万円とか四万円とか一律の協力金が出るんですが、そこに納入している業者とか、そこと取引のある農家さんとか、直接間接に影響を受けている人とか、あるいは外出自粛の要請が出たことによって直接的な影響を受けた事業者に対しては、法人については最大六十万円、個人事業主については三十万円というものが給付されるということが、今月から申請が始まっております。この一時支援金についても収入保険と併給可能だということで先ほど答弁をいただきましたので、これはよかったなと思うんですが。

 そこでちょっと伺いたいんです、経産省ですかね。所管している経産省に伺います。

 例えば、私、地元で相談を受けたんですが、人気の直売所とか、あるいは、私のところだと香川県なので、讃岐うどん屋さんが結構、行列ができるような人気店とかがあるんですよ。お客さんは、緊急事態宣言発令地域の大阪府とか、場合によったら東京とか、県外から、発令地域から来られている方がいて、その人たちが自粛してくれというので県境をまたぐ移動なんかを控えた結果、売上げが落ちた、こういう場合も当然対象になると思うんです。

 問題は、BトゥーBの取引のように、例えば、漁協が大田市場に出していますとか、どこの地域のどの人と幾ら取引しているという、取引記録がきちんと残るものなら発令地域ということの証明ができるんですけれども、どこから来たか分からないお客さんだけれども、多分県外の人がいつも多くて、何となくその人がいなくなって売上げが落ちたというケースですね。

 つまり、来店時に顧客の住所が確認できない場合があると思うんです。こういった場合は一時支援金の対象となるためにはどの程度の証明をどのようにすればいいのか、教えてください。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 一時支援金のことでございますけれども、御指摘がありましたように、一時支援金の申請に当たりましては、緊急事態宣言に伴い影響を受けたことなどの書類を保存していただく必要がございます。

 御指摘の事例のような、緊急事態宣言の対象となっていない地域の飲食店であっても、こうした東京、大阪といった緊急事態宣言対象地域からの顧客が緊急事態宣言に伴って減少したという方々であれば対象になるわけでございますけれども、そういったことを示す書類を保存していただく必要がございます。

 ただ、ホテルなんかですと宿帳みたいな形でいろいろあると思うんですけれども、こういった直接の顧客の来店実績を示す書類以外でも、例えば自社が所在する地域、都道府県のちょっと狭い地域で、どの地域からどれだけの個人が来訪したかを示すV―RESASといった統計、マクロデータがございます、そのほかにも、観光関連の様々な公共団体が出しているような統計でございますとか、あるいは観光協会のいろいろなデータでございますとか、そういったことなどによることも認めることといたしております。

 特に、このV―RESASにつきましては、八日月曜日に、申請を予定している事業者の参考としていただくために、経済産業省のホームページにそういった分析方法の例を公表させていただいているところでございます。

 こういったものを通じまして、引き続き、幅広い事業者の皆様に御申請いただけるように、事業者の立場に立ちまして分かりやすい情報発信を行ってまいりたいと考えております。

玉木委員 やってみたんですよ、私、これ、飯田部長。エクセルで、CSVで吐き出して。取ってみたんですけれども、ぎりぎりだなと思ったのは、香川県全体だと五十数%が発令地域から来ている、例えば二〇二〇年一月。ただ、選挙区の坂出があるんですけれども、坂出を含む中讃エリアだと四七%から四九%になるんですよ。そういう場合は駄目なんですかね。そういうのを認めたらどうですか、五〇パー以上落ちていたら。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 五〇%以上ということでございますので、五〇%以上でお願いできればと思っておりますが。

 RESASは、メッシュとか、それから週ごとに出たりいたしますので、いろいろな統計の取り方があるというふうに思っております。やっていただいたということなんですが、私ども、ちょっといろいろ研究をして、どういったことでこの統計を御活用いただけるかということについても少しいろいろ、例えば四九%のお話がございましたけれども、ちょっと時点とかを変えてみるとまた違った見方ができるかもしれません。いろいろなことを研究しながら、また発信してまいりたいと思います。

玉木委員 いや、二〇一六年以降を全部調べたら、唯一、五〇を超えるのが二〇二〇年一月だったんですよ。そこで、高松だと超える、香川県全体でも超えるんですけれども、わざわざ、幾つかカテゴリーがあって、中讃エリアを取ると五〇を下回るんですよ。何とかならぬですかね。

 V―RESASもいいんですけれども、そもそもばくっとしているじゃないですか。だから、そこは、五〇%落ちている、減で。実際、例えば、これはよくできていて面白かったんですよ、香川県はどこから人が来ているのかなと思ったら、関西からどんどん来ているのかなという、まあ来ているんですけれども、意外にやはり、徳島とか高知とか岡山から来ているんですよね。この地域は緊急事態宣言の発令地域じゃないのでカウントしないんだけれども。

 ただ、そういった地域だってやはり、全国的に、経済はつながっているので、影響を非常に受けているので、V―RESASでちょっとやって、一ポイント、二ポイント違うからはねるみたいなことはちょっと、制度の趣旨に反していると思うんですよ。ちょっと何か、そこはいろいろな工夫をするというのを。いや、これね、めちゃくちゃ大事で。

 全国の発令地域以外でも困っているところを助けてくれという声は多分、与野党の先生はいっぱい聞いていると思うんですよ。これって本邦初の質問だと思うんですよ、V―RESASに関する。これは大事ですから、いろいろなことをちょっと、一つのベースだけでも柔軟に検討する。ちょっと、頼みますよ。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 役人でございますので、ルールということで五〇%は五〇%でございますけれども、いろいろな形で、顧客のどこから来られているかということを示すことにはいろいろなやり方があると思っておりまして、少し私どももいろいろ研究をさせていただいておりますので、また後刻、いろいろお話をさせていただければと思います。

玉木委員 また後刻、頼みますね。

 これは本当に、皆さんも、これから出てきますから。実際に申請が始まったら、事前確認機関とかでやったら、ああ駄目だ、はねられたとかね。ここはちょっと本当に、柔軟にやった方が、困っている人を助けることが制度趣旨なので、原点に立ち返ってやってもらいたいなというふうに思います。

 それで、次の質問に行きます。

 今回、持続化給付金で不正とかがあったことがあるので、一時支援金の給付に関しては、間に登録確認機関ということを入れて事前確認をするんですね。登録確認機関というのは、例えば銀行であるとか商工会、商工会議所、あるいは税理士さんとか会計士さんもなれますよね、士業の人も。その中に実は農協、漁協も入っているんです、連合会も。

 私、実は持続化給付金の相談をいっぱい受けたんですが、終わりかけの頃に多かったのは農家からの、法人化しているところもそうじゃないところも、農業者からの持続化給付金の相談を私は結構受けましたし、それで一部で認められたものもありました。

 これからも結構、やはり飲食を伴うので、農業とか食品関係は多分かなりあると私は思うんですよ、影響を受けているのが。首都圏あるいは関西圏の飲食店を止めることによって、やはり農家とか農業関係のところにも影響が大きいので。ただ、なかなか申請ができないというのが農業者の方あるいは漁業者の方のあれだと思うので、問題だと思いますから。

 登録確認機関に農協、漁協もなれるということを中小企業庁は出しておられるんですが、じゃ、確認します。農協、漁協も登録確認機関になれますね。どんな手続をすればいいんですか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 一時支援金の申請に当たりまして、御指摘のように、不正受給を防止するといった観点から、登録確認機関の制度を設けてございます。

 登録確認機関には、御指摘のように、商工会、商工会議所、それから金融機関、士業の方々に加えて、農業協同組合や漁業協同組合も登録をしていただくことが可能になっております。これは、手続をホームページで取っていただくということで対応します。

 今現状でございますけれども、二月二十二日から募集をいたしまして、前もって農林水産省などの関係省庁とも連携した上で協力依頼をいたしております。八日月曜日時点で一万七百五十件御登録をいただいていまして、ホームページにも出ておりますが、商工会、商工会連合会の関係で約千五百件、商工会議所で約四百五十件、金融機関で約五千四百件、士業の方々で約三千四百件ということでございますが、農協と漁協に関しましては、それぞれ、農協の協同組合はまだゼロ件、それから漁協の協同組合の関係はまだ二件という形でなってございます。

 今回の一時支援金でございますけれども、御指摘のとおり、飲食店と取引のある事業者ということで書いてございますので、農業関係者や漁業関係者も多く対象になり得ると考えてございます。

 こういった方々が御申請いただくに当たりまして、組合員の方が農協、漁協で事前確認を受けていただくと、通常の手続と比較して簡素な手続が可能になります。事業を確認するということなので、日頃からおつき合いがあるということでございまして、本人確認などの確認項目を一部省略して、電話だけでの確認ということも可能になってございます。申請者の負担軽減にもつながると思っております。

 私ども、一時支援金を効率的、効果的に執行して不正を防止するという観点からは、農協や漁協の方が登録確認機関となっていただくことは非常に有効だと考えておりまして、関係省庁の協力も得ながら、できるだけ多くの機関に御登録いただけるように呼びかけてまいりたいというふうに思っております。

玉木委員 飯田部長、いい答弁ですよ。

 それで、大臣、最後に大臣に聞きます。

 さっきのV―RESASとか、どんなものか分からないですよ、そんなの、難しいから。だから、やはり農協とか漁協の役割がすごく大事だと思うんですが、今聞いたら農協はゼロ件、漁協は二件。もっと農水省としても推進して、登録してもらって。組合員の人は電話だけでオーケーなんでしょう。そういう簡素な申請手続も可能なので、農協、漁協にもうちょっと登録を進めるように、大臣としても後押しするように、最後、お願いします。

野上国務大臣 しっかり情報提供してまいりたいと思います。

玉木委員 困っている農業者、漁業者もいると思いますので、サポートするということをしっかりやっていただくことをお願い申し上げ、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、神谷裕君。

神谷(裕)委員 立憲民主党、神谷裕でございます。

 今日も質問に立たせていただくことをまずもって感謝申し上げたい、このように思います。

 まず、ちょっと御通告申し上げていないんですけれども、大臣に最初に聞かせてください。

 あしたでいよいよ東日本大震災十周年を迎えます。御案内のとおり、東日本大震災、東北を本当に大変な津波が襲ったという被害がありました。農山漁村に大変な影響があったということでございますし、もちろんこの農山漁村をしっかりと立て直すのは一義的には農林水産省、本当に大事な役割があると思うんです。

 ですので、やはり、この十年に当たって大臣に一言いただかないといけないと私は思います。この際ですから、大臣から、そういった被災地の皆さんへの思い、復興への思い、こういったところをお願いをいたしたいと思います。

野上国務大臣 東日本大震災発災から十年がたつわけであります。改めて、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々、そして本当に、これまでの十年間、御労苦を積み重ねてこられた皆様に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思っております。

 この農林水産関係被害、二・四兆円にも及ぶ大きな被害でございました。農業水産関係インフラは相当程度復旧してきてはおりますが、しかし、まだまだ、営農再開、風評払拭、森林・林業の再生、漁業の本格的操業、様々な課題を抱えているわけでございます。

 私自身も就任後すぐに福島県を訪問させていただきまして、現場の皆様の声を拝聴させていただきましたが、まだまだなりわいの再開に至っていない厳しい地域があるわけでございますので、しっかりと現場に寄り添って、農林水産業の復興再生のために全力を尽くしてまいりたいと考えております。

神谷(裕)委員 この点は本当にしっかりお願いをしたいと思います。

 そしてまた、十年たちましたけれども、新たなニーズというのか、やはり、局面局面が変わって、フェーズが変わってきます。それによって当然、様々、ニーズというか、やらなければいけないことも変わってまいりますので、例えば、農地が復旧したとしても、高齢化が進んでいる、耕す人がいなくなっていく、そんなような状況も聞いているところでございます。

 この後もしっかり、どうか現地にもなるべく足を運んでいただいて、農業者、漁業者あるいは林家の思いを聞いていただいて、そして現実の施策に反映をしていただく、それと同時に一日も早い復興に向けて御尽力をいただけたら、このように思う次第でございます。

 また、もう一つ、これも御通告申し上げていないんですが、先ほど佐々木委員からお話がございましたとおり、私の選挙区でも豪雪害は大変なものがございました。

 立憲民主党でも農水省の方に御要請をさせていただいて、そのときに申し上げたのは、融雪期、だんだん解けてくる頃に余計被害が出てくるんだと。あるいは、この時期というのは当然予算の端境期にもなってまいりますので、そういった面の、国はともかくとして、自治体であるとか、都道府県もそうでしょう、そういった皆さん方を、なかなか財政が厳しい中でやりくりするのも本当に厳しくなっていく、そういった中でどうやって助けていくのか、これは大事なことになります。

 先ほど、佐々木委員の話の中でメロン農家の話もありました。春作業をスタートいたします。ここはもう駆けっこです。

 そういった中にあって、ここはしっかり農林水産大臣としてそういった皆様方に対する思いというものをもう一度語っていただきたいと思いますし、私の選挙区でも相当被害が出ています。私の選挙区ではかつて大きな豪雪害があったものですから、かなり一生懸命対策もして、夜中であろうと何だろうと雪をはねて、何とか守ろうということで努力をされて、それでもこういう結果になりました。そういった、本当に、偶然というか、ただの災害ということではなく、自分の努力を超えた部分があるんだということも是非御認識をいただいて。

 どうか、こういった皆さん方に対しての思いというか、何とかするからというような言葉をいただけたらと思うんですが、いかがでしょう。

野上国務大臣 まず、令和二年から三年にわたる大雪におきましてお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げたいと思いますし、被害に遭われた皆様にお見舞い申し上げたいと思います。

 私も、被害を確認するために、私は新潟県の方に参らせていただいて、状況を拝見させていただいたわけでございますが、本当に短時間に一挙に雪が降って、全く対応できない中で大きな被害が発生してしまいました。農業用ハウスを始め、雪の中で大きな被害が出ている状況でございます。

 なるべく早く支援パッケージを示すべきだという思いで、先般、支援パッケージも示させていただきましたし、また一方で、例えば資材がなかなか融通できないんじゃないかという御心配があるというお声もありましたので、そういうことに対しても対応を進めているところでありますが、一方で、だんだん雪が解けてきて分かってくる被害というものもだんだん出てくるというふうに思います。

 そういうこともしっかりと把握しながら、私自身は、きめ細かく、しっかり寄り添って対応するべきだということを申し上げておりますので、そういう思いで、営農再開に向けても万全を期すように、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

神谷(裕)委員 是非、ここはしっかりとお願いをしたいと重ねて申し上げます。よろしくお願いいたします。

 それでは、本来御通告申し上げていた質問の方に移らせていただきたい、このように思います。

 先ほども、大串委員、あるいは佐々木委員、そのほか大勢の先生方からありましたけれども、私もちょっと、主食用米、これが非常に心配であります。作付の動向、作付見込みについて、先般、早い数字が出たようでございますけれども、これについての大臣の所感を伺えたらと思います。

野上国務大臣 農水省が各都道府県等からの報告をまとめました、一月末現在の主食用米の作付意向についてでありますが、前年の作付実績と比較しますと、前年並みが二十八県、減少傾向が十九県、増加傾向がゼロ県となっております。

 主産県の多くが減少傾向とはなっているものの、一部の主産県では前年並みの傾向となっておりまして、需要に応じた生産を実現するためには、より一層の作付転換が必要な状況だと認識をいたしております。

 令和三年産は需給と価格の安定が崩れかねない正念場と考えておりますので、私自身も大臣談話なども発表させていただきまして、関係者の皆様とそういう思いを共有したいというふうに思っております。

 さらに、全国会議ですとか、本省、地方農政局等による各産地での説明、意見交換会等も今精力的にやっておりますが、やはり、その状況をしっかり共有して、また対策の内容なども理解をしていただくということが重要でありますので、生産者団体、地方自治体と連携して作付転換の推進に努めてまいりたいと考えております。

神谷(裕)委員 大臣、本当に大変な状況だと思います。かつてない六万七千町歩という面積を転換していただかなきゃいけないということでございますし、これまでこれほどの面積をやったことは実はありません。その上で、今おっしゃっていただいたように、私自身、相当な危機感がございます。そういった危機感を何とかするために、やはりいろいろな手法を取っていかなきゃいけないと思うんです。

 現実の問題として、目標、適正生産量を達成するための方策、これがやはり必要だと思うんですけれども、これについて改めて伺いたいと思います。

葉梨副大臣 我々としても、大変な危機感を持って取り組ませていただいています。六万七千ヘクタール、六百九十三万トンということでございますので、作付転換を、主食用米から麦、大豆とか、新規需要米、そちらに作付転換をした方が得であるというふうに思っていただく方をいかに増やしていくか、このことが非常に大切でございます。

 そこで、令和三年度の当初予算と二年度の第三次補正を合わせてですが、三千四百億円、相当大規模な金額を組ませていただきました。昨年は三千五十億円でございます。これを活用して、麦、大豆とか、あるいは新市場開拓米、餌用米、さらには加工用米、そういったものの作付を是非増やしていきたいというふうに思っておりますが、ただ、問題は、やはり、いかにこの危機感を現場に徹底していくかということが大変大切だというふうに思っています。

 なかなかこのコロナ禍の中で会議をいろいろなところで持つというのは難しいんですけれども、これまでも全国会議を五回開催して、都道府県、生産者団体等にも説明、意見交換を行いました。また、今後も、ウェブも活用して全国会議や本省、地方農政局等による各産地での説明会を開催し、是非、各産地ごとに生産者団体、地方自治体と連携して作付転換を図っていきたいと思います。

 いずれにしても、この危機感を現場としっかりと共有をしていきたいというふうに考えています。

神谷(裕)委員 副大臣、ありがとうございます。

 ただ、今おっしゃっていただいたとおり、R三の当初あるいはR二補正、これで合わせて三千四百億をつけていただいておりますけれども、果たしてこれで大丈夫なのかというのが本音でございます。中には、要は転換していくということが有利なんだ、これはメリットなんだ、自分自身の経営にとってメリットなんだということをしっかりと御説明しなきゃいけないんですけれども、今のこのメニューでそこまでのインセンティブが働いているかなというと、現場の声を聞いていると必ずしもそうでないというふうに思います。

 当然、最大の幅の転換をいただかなきゃいけないというので、その分の面積が増加するわけですから予算が横に広がっていくというのは当然だと思うんですけれども、恐らく農業者の皆さんからすると、その面積に合わせて予算が拡大したというよりは、単価当たり、要は、自分の取り分がどうなるかという世界の中で、より高い支援というのか、そういったメッセージが欲しかったんじゃないかなと、私は逆にそう思うんですね。

 さきに令和二年度予算の補正が出てきたときに、やはり相当な期待感もあったと思います。そういった意味で、令和二の補正の部分と令和三年度が重なれば相当なものになるよなと思っていたんですが、横に広がっただけで実際には縦には余り重なっていなかった、というよりは、重複しているようには、単価が上がったようには全く見えない、そんなような状況の中ではなかなか移動していただけないんじゃないかな、これが今の状況じゃないかと私は思っていまして。そういった意味においては、このメッセージでは足りないんじゃないかなと率直に思っています。

 ですので、もちろん説得は大事です。農業者の方々に理解をいただいて転換をしていく、これは大事なことなんですが、必ずしもそれが成果となっているか、この辺がやはり不安でございますし、ある意味この一月に前倒しで示していただいた、これは英断だと思います。というのは、これからまだ転換していただける方がどれくらいいるのか、あるいはまだまだ転換が進んでいない、これが分かるわけですから。ということは、今はまだ間に合いますので、この辺についてもう少し工夫ができないかと思うんですけれども。

 副大臣、もう一言いただけませんか。

葉梨副大臣 本当に、現場と共有しながら徹底していくということが大切なんですけれども。

 令和二年度の第三次補正予算で組んだ、それから当初予算で組んだということで、今先生がおっしゃられた上乗せの部分も、まだまだ全体像が農家に対して示されていないという面がございます。

 これから、今、各県に対してもいろいろな説明を行っています。全体として戦略作物の上乗せが幾らになっている、さらには、産地交付金でも国が決める産地交付金がどれぐらいになっている、さらに、県が決める産地交付金がどれぐらいになる、その全体像を示させていただいて、できるだけ早期にというふうに思っているんですけれども、それで農家の方々に、作付転換をした場合の、つまり仕向け先を主食用米以外にした方が得になるなということを理解していただく、その作業を加速させて、是非速やかにやっていきたいというふうに思っています。

神谷(裕)委員 できるだけ早くお願いをしたいと思います。

 それと併せて、都道府県の中には、自分たちの県はこれまで、北海道なんかはそうですけれども、真面目にやってきたんだ、守っていただかなかった県がいらっしゃる中で、どうして我々はまた、再度そういう方々のために予算をつけなきゃいけないんだという声があったというようなことも聞いております。

 そういった中で、中にはそうやって手当てをしていただけない県もある、あるいは、先ほど申し上げたように、上乗せ措置がどれくらいあるかというと、R二のところで選択された方はR三に乗れないみたいな話も聞いていますので、必ずしもどうなのという世界だと実は思っています。もし本当に、単価あるいはそういったものが上乗せされる、そしてこれが有利なんだということであれば、恐らく農業者は応えていただけると私は思います。

 ただ、これも一時的なものにすぎないかもしれませんし、先ほど大串先生からもありました構造的な形として、それぞれの農家さんが座る位置というのか、私は飼料米でずっとやっていくんだ、あるいは主食用米でやっていくんだ、そういった座る位置が決まって全体需給がきれいになっていくということが一番理想なんです。そのための施策をしっかりやっていただかなきゃいけないし、残念ながら、今の水活、産地交付金、あるいは今回のR二補正の部分では、残念ながらそこまで響いているように私には見えない。

 だからこそ再度、この六万七千町歩、かつてない規模をやっていかなきゃいけないし、あるいは、これから先、どんどん需要も落ちていく可能性はまだありますから、まだやっていかなきゃいけない可能性がある、だとするならばここでしっかりと、施策を改めるとは言わないまでも、もう一度考え直していただきたい。しっかりと、農業者の声というか思いに響くような、経営的にもこれなんだというようなところを是非示していただきたい。この部分については是非お願いをしたいということで、次の質問に移らせていただきます。

 実は、米ばかりじゃありません、多くのものが、コロナの影響もあります、そういったこともあって、多分に在庫が積み上がりなかなか消費されていないという現実がございます。我が選挙区でもタマネギが非常に在庫が積み上がっています、あるいはソバが積み上がっています。

 現実にこういったものは、このままいくと今年秋にまた、米と同様に価格の下落が大変気になるところでございます。こういったものに対しての手当てを今からやっておかなきゃいけないと思うんですけれども、これについての対策を伺わせてください。

葉梨副大臣 おっしゃられるように、特にソバにつきましては元年産がたくさん取れて、さらに、コロナの影響で、外食の需要も結構大きいものですから、非常に在庫が滞留しているという状況でございます。

 令和二年度の第一次補正でいわゆる販売促進の予算を取らせていただいたわけですけれども、第三次補正につきましても、国産農林水産物販路多様化緊急対策事業を活用して、さらに、輸入ソバの国産への切替えということで、在庫解消に販売促進ということで努めていきたいと思います。

 タマネギについてですけれども、おかげさまで本当に、産地の取組が非常に活発でございまして、計画的な在庫調整に取り組まれておると承知しています。現在、価格は平年並みに推移してきておるんですけれども、一部産地でやはり価格が低下をしているという状況がある。これについては、値崩れに対する対策として、野菜価格安定対策事業、これによって、九割ですが、補給金を交付するといったことを的確に推進しまして、再生産の確保に努めていきたいと思っています。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。ソバは本当に今大変な状況でございます。物が動いていません。そういった中で販促をやっていただいています。セブンイレブンでもそば粉を使っていただいています。ただ、なかなか本当に厳しい状況だと伺っているところです。

 こういった中で、特に昨年は契約栽培なんかで、契約もありましたから引き取ってはいただけました。ただ、今年はどうなるかということもあります。あわせて、契約でありますから、数量払いもありますので、どんなに安くても引き取っていただく必要もある。そんな中で、ぎりぎりの経営になっていくというようなことも聞いています。

 そういった皆さん方が安心な経営を続けられるような、そういった施策が絶対に待たれていると私は思います。もちろん、販促の中で食べていただく、これは大事なんですが、実はこれでは決め手にならないかなとも思います。というのは、人間のおなかの数は決まっていますので。

 是非、何らか考えられないか。この辺を、農水省の皆さん、あるいは大臣、副大臣、政務官にお願いをしたいというふうに思います。恐らく、今申し上げた米やソバやあるいはタマネギばかりではなくて多くの作物、農家の方は大変な思いをされていますので、是非こういったところにも、先ほどのお話ではないのですが、心を寄せていただいて、何とか支えていただけるように、皆様方が頼りなんだということを改めて申し上げさせていただきたいと思います。

 それでは、私からもアキタフーズの話を少し聞かせていただきたい、このように思います。

 農水省さんからの説明を聞いていますと、一月は第三者委員会の方でこれからも調査を続けていく、それとは別にまた、倫理審査、倫理の方の観点からも省内の調査を続けていくという整理なのかなというふうに思っています。第三者委員会の方は、どちらかというとこれまで、行政がゆがめられていないかとか、そういうようなことを考えるのか調査するのかなというような私のイメージなんですけれども、改めて、そういったものなのかどうかちょっと確認をしたいと思うんですが。

 まず、第三者委員会、これは何を検証するのか、誰を検証するのか、そしていつまでに検証するのか、これをお伝えいただきたいと思います。

青山政府参考人 お答えいたします。

 吉川元大臣、秋田元代表が贈収賄容疑で起訴されたことを受けまして、農林水産省として、国民に疑念を持たれることがないよう、公判等への影響にも配慮しつつ、養鶏・鶏卵行政の公正性について検証いただくため、養鶏・鶏卵行政に関する検証委員会を設置し、幅広く十分な検証を進めていただいているところでございます。

 具体的には、養鶏・鶏卵行政の公正性に関しまして、アニマルウェルフェアの国際基準策定プロセス、日本政策金融公庫の養鶏業者への融資方法の決定プロセス、鶏卵生産者経営安定対策事業その他養鶏・鶏卵行政に関し必要な事項について、第三者からの働きかけを含め、職員への聴取などにより調査、検証を行っていただくことになっております。

 スケジュールにつきましては、検証にどれほどの時間を要するか現時点では予断を持てないことから具体的な期限をお示しすることは困難でございますけれども、公判への影響等にも十分留意しつつ、極力速やかに検証いただいて、調査結果として報告書を公表することができればと考えております。

神谷(裕)委員 今、誰を検証しのところで職員とおっしゃっていたんですけれども、職員だけでしょうか。

青山政府参考人 それは、職員から聴取して検証を始めますけれども、今後、必要に応じて、第三者委員会で判断いただくことになっております。

神谷(裕)委員 あえて職員だけと聞いたのは、この場合、先ほどお話にあったように、公正性がゆがめられたかどうかという話ですから、当然、アキタフーズの関係者、民間企業の関係者、業界関係者、あるいはそのほかにも様々な方、先ほどOBという話もありましたけれども、こういう方々も含めて調査をされる、検証されるということでよろしいでしょうか。

青山政府参考人 まず、これは、行政の公正性について検証するものでございますので、第三者からの働きかけがあったかということを職員から聞きまして、その上で判断していくものとなると考えております。

神谷(裕)委員 今の段階では、そういったところまで手を広げるかどうか、というか聞くかどうか、それは分からないということでしょうか。あくまで職員の方に聞いた後でということのプロセスだということなんですか。最初の段階からこういったところにターゲットがいっていないということなんでしょうか。

青山政府参考人 あらかじめ私どもで検証の範囲を決めているわけではございませんので、行政について第三者からの働きかけがどのようにあったのかというのを聞いた上で、第三者委員会が御判断いただくものと考えております。

神谷(裕)委員 あくまでそれは座長の判断ということになるんですか。それとも、今のお話は、最初に職員だけに聞いて、職員から聞いた後に、そこからまた考えるんだということを、どなたがそういうふうに考えていらっしゃるのか、教えてください。

青山政府参考人 第三者委員会の皆様に対して、養鶏・鶏卵行政の公正性について御検証いただきたいということでお願いをしております。進め方については第三者委員会にお任せしておりますので、座長を始め四名の委員の方たちに御判断いただくことになると思います。

神谷(裕)委員 そうしましたら、今のは、基本的にはその四名の方の御判断ということになるんでしょうか。そしてまた、もう一つ併せて、公表の時期についてはいつになるか分からないということなんですけれども、どういう方法で公表しようと考えているのか、その腹積もりがあるのかないのか、教えてください。

青山政府参考人 公表の方法につきましては、検証結果について委員会において取りまとめられ次第、プレスリリースをして、農林水産省のホームページに掲載することで公表するとともに、国会及び国民の皆様に対してその内容をしっかりと御説明してまいりたいと思っております。

神谷(裕)委員 特に、公正性が疑われているというか、行政がゆがめられていないかという案件なので、しっかり途中も含めて公表した方がいいと思っているんです。

 というのは、私はこの委員会に長く置いていただいていますし、これまでも農水省とはおつき合いがあるので、ないことを祈っておりますけれども、ただ、結果だけぽんと出されたときに人はどういう反応をするかというのが、ないと言われても、ひょっとするとどうなんだろうみたいなことがないとも限らない。やはりプロセスというのも大事だと思っているんです。プロセスがあって結果があって初めて人は納得する、そういった部分がないとは言えないと私は思います。だとするならば、公表にも極めて前向きにやっていただきたいと思います。ましてや、公の仕事でございますから。

 先ほど、公判に予断を与えるんじゃないかみたいな話もあったんですけれども、本当に公判に予断を与えるか。私は、かえって法務省やあるいは裁判所の方に失礼な話じゃないかなと思っています。たとえ農水省の皆さん方の検証結果云々が出されたとして、法的なところが動くかなというと、そこに影響はないというふうに私は逆に、我が国の裁判所を信じておりますので。

 そうだとするならば、農水省が積極的に調査をし、しかもそれを積極的に国民の皆さんに公表する、これがむしろ大変大切な姿勢じゃないかなと思います。むしろ、何もないというふうに信じるからこそこういうふうに皆様には御提言をさせていただきたいと思っていますし、是非、積極的に公開、あるいはプロセスも含めて公表していただきたいと思うんです。

 あくまでこれは、第三者委員会ではあるとはいえ、農水省の設定した調査であること。であるならば、別に裁判をやっているわけではないし、刑事事件を扱っているわけではありませんから、むしろしっかりとそういうところは公表するという姿勢で臨んでいただきたいと思います。

 あわせて、倫理の方の調査についても伺っておかなきゃいけないなと思っていますので、そっちに行きますけれども、倫理の問題、これは政務は対象となるんでしょうか。

横山政府参考人 お答え申し上げます。

 政務、大臣、副大臣、大臣政務官ということだと思いますけれども、政務の方々は、国家公務員倫理法の対象外ということでございますので、対象とはしてございません。

神谷(裕)委員 仮にですけれども、当初、倫理の問題の中で、議員、あるいは元大臣、大臣、そういった方々と、業界と、そういった三者での会合であったり、そのほか、いろいろなバリエーションがあるかもしれません。だとするならば、倫理問題の対象というよりは調査の対象というか、実際に、参考人というか参考のヒアリング先として政務というのは考えられないんですか。いかがでしょう。

横山政府参考人 お答え申し上げます。

 今、倫理の話を申し上げましたけれども、行政自体が歪曲されたのではないかという御疑念に応える意味で、先ほど青山の方から御説明しましたように、第三者委員会というのをやっております。

 そうした中では、我々行政に対する働きかけというようなこと、これは検証の対象ということに含まれると思いますから、そうした観点で御指摘のようなことも入ってくるということはあり得るものと思います。その辺りのところは、まさに第三者委員会の先生方の御判断というところもあろうかと思います。

神谷(裕)委員 政務が入るかどうかというのは先ほどの御判断だと思います。ただ、実際には話を聞くんじゃないかなと私は期待をさせていただきますが。

 次は、では、業界やあるいは企業関係者から話を聞く、そういったことはあり得るんでしょうか。

横山政府参考人 今の御質問は、倫理の関係でということだと思います。

 まず職員から聞きまして、その結果、何といいましょう、実際に業界の方と何らかの飲食の機会があったということがあったときに、実際にそれが国家公務員倫理法上問題のあるものか、ないものかということをしっかり把握するために、その先方であるところの業界の方々に聞いてみる、業界といいましょうか相手方の方々に聞いてみる、そういったことはあり得るものというふうに考えております。

神谷(裕)委員 やはり、事実関係をしっかり確認していただかなきゃいけないので、そういうこともやっていただかなきゃいけないと思うんですが。

 ちなみに、この調査の対象は、いつからいつまでの期間のものが対象になるんでしょうか。同じく倫理の方で。

横山政府参考人 今回対象になる会食の時期ということでの御質問かと思います。

 それにつきましては、特に期間は限定をしておりませんので、過去に遡って、記録あるいは記憶、そういったものに基づきまして調査をするということとしているところでございます。

神谷(裕)委員 そうしますと、遡れる限り遡るということだと思うんですが、そこで、先ほど議論になっていた、私、通告はしていないんですけれども、OB、これは対象にならないんでしょうか。もう一度お願いしたいと思います。

横山政府参考人 まず、OBの方々については、倫理という観点からは調査は難しいと思います。

 ただ、今まさに行政としての公正性というのが問題となっている中で、その部分を検証する際に、元々の養鶏業者の方、そこでOBの方、それを経て何らかの圧力というか働きかけがあったのか、なかったのか、その結果、行政が歪曲されたのではないか、そういったことは第三者委員会における検証のスコープの中には入ってくるものというのが理解でございます。

神谷(裕)委員 ということは、今ほどおっしゃっていただいたように、OBも第三者委員会の中ではヒアリングというのか調査の対象になるというふうな理解だと思います。それは大事なことだと思いまして。

 実際に、まあOBであるから確かに処罰はできないかもしれませんけれども、在任中に違法行為があったかないかというのは、これは別の問題だと実は思います。そういったことはやはりしっかり検証していただきたいと思いますので、ここの部分、先ほどのお話だと四人の委員の方がお決めになることなのかもしれませんが、是非前広にやっていただけたらと思います。

 これも倫理の話なんですけれども、そうすると、会食時の懇談の内容であるとか、あるいは要請があったか、ないかとか、そういったこともヒアリングの対象になるんでしょうか。

横山政府参考人 まず、今のヒアリングでございますけれども、既にあった二回の会食については、それぞれ、アキタフーズ関係者から政策に関する話題はなかった、こういうふうに聞いてございます。

 今回、会食の機会というのを調べるわけですけれども、これによって更に公正性に影響を与えたかどうかということ、これにつきましては、まさに第三者検証委員会でも検証いただくということになろうかと理解してございます。

神谷(裕)委員 もっといろいろ聞きたいと思ったんですけれども、時間の方が来てしまったので、最後に、大臣、これからしっかりこうやってやっていただかなきゃいけないんですけれども、まだ様々、足りないとか、いろいろな話が出てきております。そんな中で、今回、第三者委員会あるいは倫理の調査をされますけれども、その結果として、しっかり国民の皆さんの疑念が晴れるというふうにお感じになっておられますでしょうか。その辺を教えてください。

野上国務大臣 今御議論いただいておりました第三者検証委員会でありますが、養鶏・鶏卵行政の公正性に関して国民に疑念を持たれることがないように、幅広く十分な検証を行っていただきたいとお願いをしております。現在、委員会において徹底した検証作業を進めていただいております。

 また、職員倫理につきましては、幅広い範囲で徹底的に把握する追加調査を実施する。まずは報道を端緒とした調査に基づいて厳正な処分を行ったわけでありますが、養鶏・鶏卵行政の公正性に影響を及ぼした可能性のある会食がなかったか、より広い範囲で徹底的に把握する追加調査を実施するとしたところであります。

 こうした検証や調査につきましては、結果が取りまとまり次第、極力速やかに公表させていただいて、また、それを国会及び国民の皆様に真摯に説明をすることで養鶏・鶏卵行政に対する信頼を取り戻してまいりたいと考えております。

神谷(裕)委員 まとまり次第というお言葉なんですけれども、先ほども申し上げたように、プロセスは非常に大事だと思っています。それによって人は納得していくというところがないとは言えないと私は思いますし、むしろ、そういった意味において、農水省は初動を間違えたように私は思っていました。むしろもっと積極的に事実を公表し、説明し、そうすることによってむしろ信頼をかち得たんじゃないかと私は思います。

 今回の件、吉川大臣のこともあって、ある意味多少同情の余地があるのかなと私自身は思っていました。大臣に言われたら行かざるを得ないようなところもあるんだろうなと思っていました。だからこそ疑念を晴らす努力をしていただきたいと思いますし、最後の結果が公表されたときには、なるほどと国民の皆さんが納得していただけるものにしていただかなきゃいけないと思うんです。

 だからこそ野党はしっかりこうやって聞かせていただきますので、これからもしっかりとその説明責任に応える形で、かつ国民の皆さんへの疑念をしっかり晴らすような形で、できれば途中のプロセスも含めて開示いただけるようにお願いをさせていただいて、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 アキタフーズと農水省幹部の会食問題について質問します。

 枝元次官に本委員会への出席を、理事懇談会、理事会、続けて要求しておりました。今日の野党側からの質疑者四人も要求しております。ただ、来られていません。なぜでしょうか。理事会における与党側の説明では、職務と関係のない事柄に対して個人の立場で招致することは慎重であるべき、これが基本だと言われています。よく分かりません。

 生産局長という職務があったからこそ吉川大臣から会食に誘われた、行ってみたら利害関係者がおられて、これは国家公務員倫理規程違反になるということで、戒告、減給処分になったという大問題です。

 そして、野上大臣は、所信の冒頭で陳謝をされ、国民の皆様の厳しい視線を常に意識しつつ、日々の仕事に真摯に取り組んでまいります、こういうふうに述べられた。

 これをただすのが国会じゃないんですか。所信質疑じゃないんですか。まさに、この問題、農水行政を一番監視するのは本農水委員会ではないですか。この会食が贈収賄事件とどう関係があったのか、そして、この会食を通じてアニマルウェルフェアの論議そして行政がゆがめられたのではないかという疑義、これが指摘されているわけです。

 さらには、職務と言われるのならば、枝元次官は、国家公務員倫理規程の遵守に徹底する立場、責任者です。倫理監督官の立場におられます。そのことが是非として問われていることも、ここでたださなければならない。だから、枝元次官に来てもらわなければいけないわけなんです。所信質疑の本委員会に来られていないことに断固抗議し、そして、次回以降の委員会に必ず出席していただくように強く求めるものであります。

 質問します。

 まず初めに、大臣に伺います。

 農水省それから総務省、こうした業者と幹部との癒着、違法会食、違反会食に国民の怒りが高まっています。利害関係者との会食で、第三者若しくは、一人当たり一万円を超える支払いをした場合には、倫理監督官への届出が必要であります。農水省の倫理規程上の届出があった件数は、二〇一九年度は八十二件で二位、そして二〇一八年は百二件で二位、二〇一七年は六十八件で一位。会食が多いんですよね、農林水産省。びっくりしました。こうした届出が必要であります。

 会食の多い省庁として、今回のように、アキタフーズとの違反会食のような倫理規程違反はほかにあったんですか、なかったんですか。これは全省庁を通じて調べましたでしょうか。まずお答えください。

野上国務大臣 さきに行った倫理に関する調査におきましては、吉川元大臣の在任期間中に生産局長、畜産部の室長級以上の管理職を務めた者、また、過去五年間、養鶏・鶏卵事業を担当した課長補佐以上の職員を対象に聴取を行ったところでありますが、その結果、平成三十年八月二日の富田元部長の案件以外の新たな事実は確認をされませんでした。

 他方で、吉川元大臣と秋田元代表の起訴を受けまして、様々な御指摘があることを踏まえて、今般、養鶏・鶏卵行政の公正性に影響を及ぼした可能性のある会食がなかったか、より広範囲で徹底的に把握する追加調査を実施することといたしました。

田村(貴)委員 しっかり調査していただきたいと思います。

 水田生産局長、来られていますか。お伺いします。

 枝元次官は、三月一日の予算委員会で、我が党の塩川議員の質問に対して、二月十八日、十月四日の会食での認識について次のように答えておられます、秋田氏に対する認識ですね。養鶏業界の重鎮でいらっしゃったので、どういう方かは知っていました、しかし、その場で利害関係者だとは、よく覚えておりませんけれども、思っておくべきだったと思います、そういうふうに言われたんですよね。

 水田局長は、二〇一九年の九月十八日の会食に出席されています。秋田善祺氏がその場にいて、利害関係者との認識はありましたか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 利害関係者であるという認識はございました。

田村(貴)委員 あったんですね。あったと今述べられました。

 あったと言われたんだったら、その後、利害関係者との会食をし、水田局長はその会費、費用を払っておられませんよね、二万三千二百七十円を払っていない。払っていないとしたら、これは届出をしないといけないんですよね。

 届出はされましたか。報告されましたか。どのように対処されたんですか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの件につきましては、吉川元大臣から会食のお話をいただきまして、令和元年の九月十八日に、吉川元大臣と利害関係者であるアキタフーズの秋田元代表が同席する会食に出席いたしました。その際、事前に秋田代表が出席されるということは聞いておりましたが、費用につきましては、吉川元大臣が負担するという話を事前に聞いておりました。また、当日の会食の中でも、吉川大臣御本人から自分が負担するという御発言があったことから、倫理規程に違反するものではなく、問題はないだろうと思っておりました。

 ただ、今御指摘のように、そういった会合でも届出を出さなければいけないということが倫理規程で定まっておりますので、その点につきましては、私が失念しておったということでございます。

 また、実際に、この会食に係る費用につきましては、国家公務員倫理審査会の御指導を受けまして農林水産省大臣官房が行った調査によりまして、吉川元大臣ではなくアキタフーズが負担していたということが判明をしたということでございます。

田村(貴)委員 すごくずさんで、すごく甘いと思いますよ。それは、当時の吉川大臣の言い分をうのみにしている。実際、その会食の場で、もう局長も部長も課長も御存じの人ですよね、養鶏業界を代表する秋田善祺さんがおられて、そして、その方が結局会社のコーポレートカードで払っているわけなんですよ、アキタフーズ側が。

 じゃ、その会計のところを見届けましたか、会計は誰がしたか確認しましたか、その会食は何の目的であったのか確認していますか。報告書をじっと読んだんだけれども、何にも分からないんですよ。非常に、極めて見方が甘かったと言わざるを得ないんです。

 倫理規程違反に、その後、当たるというふうに思われていましたか。いかがですか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 その会食におきまして、会食の場で、実際に誰が支払いを行ったのかということは確認しておりません、幾らかかったのかということも確認しておりませんでした。本来そういったものをしっかりと確認すべきだったところを、確認しなかったわけでございます。

 そういったことで、今回の事案によりまして、倫理法違反ということで処分を受けております。深く反省しておりまして、二度とこのようなことがないように取り組んでまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 だから、報告書で書かれていないことが多過ぎるんですよ。そして、重要な部分が今局長の答弁にあったんだけれども、誰がその費用を払ったのか、誰も確認していないんですよ。見たかも分からないけれども、黙っているかも分からない。ここが明らかになっていないんです。だから、枝元さんに来てもらって、話してもらわないといけないんです。

 東京地検が吉川氏と秋田氏を贈収賄容疑で在宅起訴したのが一月十五日ですよ。政官業の癒着が大問題となって、国民みんなの知るところになっていたんです。節目節目で、あの贈収賄疑惑に問われている吉川大臣から私は誘われた、会食に行った、あの会食は適正であったのか、振り返るチャンス、振り返る機会、検証する機会は何ぼでもあったはずなんですよ。それが、七人なら七人、六人なら六人、みんなそろって、やっていないと。だから、ここでただす必要があるんですよ。本当に倫理規範意識が乏しいと言わざるを得ません。

 大臣にお伺いしたいんですけれども、枝元次官は、昨年事務次官に就任されています。そして、昨年十二月の公務員倫理月間で、倫理監督官として幹部職員を前にして何と訓示をされているんですよ。訓示された部分をちょっと紹介します。

 「はじめに、最近の不祥事の関係についてご報告いたします。」これは自分も含まれた不祥事じゃないんですよ、「まず倫理の関係ですが、約二十年前に幹部職員を含む国家公務員が、飲食の提供、物品の贈与、旅行、ゴルフなど、事業者から過剰な接待を受けるような事案が、霞が関全体で立て続けに発生をいたしまして、国民の公務に対する信頼を大きく損なったということがありました。」「ここにいらっしゃる方々は」、農水省の幹部職員です、「ここにいらっしゃる方々は当時のことをよく御存知かと思います。皆様方におかれましては、この経緯を忘れないように、常に自戒していくことがすごく大事だという風に思います。」と枝元さんは倫理監督官として訓示されたわけであります。

 大臣にお伺いします、枝元さんがおられないので。

 枝元さんはこの十二月の三日に訓示されていますが、とうに吉川氏とそれからアキタフーズの関係はみんなの知るところになっているわけなんですよ。そうしたときに、枝元さんは届出が必要であったということを自覚しながらこの訓示をしたというふうに見るんでしょうか。大臣は枝元さんにこのことを聞きましたか、確認されましたか。それを教えてください。

野上国務大臣 次官の認識につきましては今初めてお問合せいただきましたので私は確認をしておりませんが、次官につきましては、部下を監督管理する立場にあった生産局長時代に、国家公務員倫理規程に違反をして利害関係者の負担で飲食を行った責任を問い、国家公務員倫理法に基づいて、厳正な処分を行ったところであります。

田村(貴)委員 自分を振り返ってみたら、普通の人だったらじくじたる思いですよ。よくそういう訓示をされたなというふうに私は思いますよ。

 国家公務員倫理規程違反で懲戒処分を受けた人物をいまだに事務次官、倫理監督官に就けているんですよ。大臣が就けているんですよ。これで全農林水産省職員に対して範を示すことができると思いますか。枝元氏は、秋田氏が利害関係者であった認識もなかったんですよ。水田さんはあったと言われたけれども、なかったんですよ。懲戒処分を受けた後も次官、監督官としてとどまるのは決して国民の理解の得られるところではありません。次官、監督官としての資質がないと私は思います。

 交代させるべきではありませんか。どうですか。

野上国務大臣 枝元次官につきましては、自らの所属する組織のトップである大臣からの誘いを受けて会食に参加をして、部下を管理監督する立場にあった生産局長時代に、国家公務員倫理規程に違反し利害関係者の負担で飲食を行った責任を問い、国家公務員倫理法に基づき、厳正な処分を行ったところであります。

 枝元次官には、今般の事案について猛省をしてもらった上で、農林水産行政の重要な政策課題を実現していくために、職責を果たしてもらいたいと考えております。

田村(貴)委員 さあ、今の大臣のその弁を農水省の職員の方はどういうふうに受け止めるでしょうかね。

 もう一問聞きたいんですけれども、野上大臣、西川公也氏について伺います。この会食とちょっと切り離して聞きます。

 西川公也氏は、農林水産省と利害関係にあるという認識ですか。西川公也氏は、アキタフーズから千五百万円の献金授受の疑惑が上がっています。また、西川氏は、アキタフーズ、それから日本養鶏協会、この顧問であります。西川公也氏は、野上大臣、利害関係者ですか、どうなんですか。

横山政府参考人 お答え申し上げます。

 利害関係者かどうかという点については、まさに国家公務員倫理法の規定に基づいて判断されるべき話だと思います。国家公務員倫理法の第二条第六項でございますが、事業者等の利益のためにする行為を行う場合における役員、従業員、代理人その他の者は事業者等とみなす、こういうこととされているところでございます。

 当時の西川内閣官房参与が、アキタフーズ、日本養鶏協会の顧問を務めていたといたしましても、利害関係者に当たるかどうかという点につきましては、アキタフーズ等の顧問としての実態がどうだったのか、名誉職のようなものだったのかどうかというところですとか、あるいは、その会食なりがどういったものだったのかといったようなことで異なりますので、ケース・バイ・ケースの判断になるというふうに理解してございます。

田村(貴)委員 そうなれば、西川公也元大臣についてもこの場に来ていただかなくちゃいけませんよね。

 西川公也さんがどういう役割をしたかというのは、聞かれていますでしょう、私、予算委員会で説明しましたよね。アニマルウェルフェアについて、日本養鶏協会に署名運動を提起すべきだと働きかけたのが西川さんでしょう。養鶏業界の側にばっちり立っている人じゃないですか。利害関係者じゃないんですか。そういうことも答えられない。そういう認識もないんですか。

 大臣に重ねてお伺いします。

 この報告書には、不明な点というのがたくさんあるんです。総務省の報告書と比べて見ても、何でこんなに必要事項が書かれていないのかというのがたくさんあるわけです。例えば、会食の趣旨です。それから、会話の内容、会食の時間帯。そして、アキタフーズ側のコーポレートカードで払ったというんだけれども、実際そのカードを会計で払ったのは誰なのか。分からないことがいっぱいあるんですよ。

 これについて、調査はした、そしてまたお答えするみたいな話なんですけれども、大臣、答えていただけるんでしょうか。今私が思っている疑問点、お答えできますか。どうですか、農水省の皆さん。

横山政府参考人 幾つかの点を御指摘いただきましたので、答えられるところからお答えをしたいと思いますけれども、まず、カードの支払いのところでございます。

 じゃ、誰がどうだということでございますけれども、我々、実際、飲食の負担の特定、お店に聞いても、そこは個人情報、顧客の情報で開示しないということでございましたので、アキタフーズ側に照会をしました。ところが、アキタフーズ側は、いろいろなものが既に検察庁に押さえられているということで、手元にない。そういう中で、その写しを、情報を入れたようなシート、エクセルシートがあったので、それに基づいて判断をしたということでございまして、なかなかこれ以上の特定というのは難しいんじゃないかというふうに思います。

 それから、今御指摘がございました趣旨ですとかそういった点、これは、まさに倫理上の処分をするに当たっては、そうしたことがなくてもそれは処分が可能であるということでございまして、この調査結果報告書を取りまとめたものでございます。これにつきましては倫理審査会の方に提出をし、また処分量定については了解を得たということで、処分に至ったという経緯でございます。

田村(貴)委員 そういう狭い範囲のことを言っているから駄目なんですよ。

 贈収賄事件があるんですよ。政治がゆがめられたという疑義がたくさんあるんですよ。だからこそ、一つの会食がどういう役割を果たしたのかというのは、徹底検証されなければいけないんです。質問にお答えになっていません。改めて、枝元次官に来ていただく必要があると思います。

 委員長に要求したいと思います。枝元事務次官、それから会食に参加した農水省幹部職員全員を、本委員会への出席を求めたいと思います。また、会食に参加した当事者から聞き取りを継続して、まともな報告書を出すように要求したいと思いますが、お取り計らいをいただきたいと思います。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議します。

田村(貴)委員 また続きをやらせていただきたいと思いますけれども、次の質問は、米価下落問題についてであります。

 新型コロナウイルスの感染拡大による外食需要の激減、インバウンド需要の消滅によって、米余りと米価下落が一層深刻化しています。

 民間在庫は四か月連続で三百万トンを超えており、一月二十六日に行われた二〇二一年産の政府備蓄米入札では、全農が、六十キロ、何と一万一千八百円で大量落札しました。生産者からは度を越した安値との声が上がっており、更なる米価下落のおそれが高まっています。業者さんからは、申し訳ないけれども倉庫がいっぱいで、もう買い取れませんと言われた話も私は聞きました。先週末、農家のところに行ったら、引き取るなら一万円台と言われた方もおられました。

 今、実際、どういうことが行われているのか。大臣は御存じだと思うんですけれども、米の卸、米飯業界は、国は過剰在庫の処理についても市場任せで何もしない、こういう評価が広がっているので、それを前提にした当用買い、つまり、必要なときに必要な米しか買い入れない、こういう状況が広がっている。多くの業者が在庫が毎月最高水準に達しており、二〇年産は安くても買わない、二一年産についても契約数量の削減の動きが各地で広がっている。もう本当に、大変深刻な状況となっているわけであります。二〇一四年のことを思い返さざるを得ません。ペットボトルいっぱいのお米がミネラルウォーターよりも安い。一万円を切る米価の到来を迎えています。

 どうされますか、この事態。

野上国務大臣 令和三年産の主食用米につきましては、全国で過去最大規模の六・七万ヘクタールの作付転換が必要となっておりまして、これが実現できなければ需要と供給の安定が崩れかねない正念場と考えております。

 このことを関係者の皆様と共有したいと考えて、大臣談話も発表し、また、令和三年産におきましては、令和二年度補正予算におきまして、新市場開拓に向けた水田リノベーション事業を措置する、麦・大豆収益性・生産性向上プロジェクトなどを措置する、あるいは、一時保管や保管施設整備への支援等々を措置するとともに、当初予算におきましては、水田活用の直接交付金におきまして、転換のインセンティブを高めるために、都道府県が独自に支援する場合には国が追加的に支援する等々の措置を盛り込んでおります。

 また、中食、外食向けの需要が落ち込んでいるという状況もありますので、第一次補正予算あるいは第三次補正予算におきまして、販売促進ですとかあるいは販路多様化等々の支援策も実施をしているところでございます。

 また、何よりも、こういう需給状況ですとかあるいは施策の内容等々を理解していただく、関係者の皆様に周知をしてもらうということが重要でありますので、これまで、全国大会を五回開催する、あるいは都道府県や生産者団体等に対して説明、意見交換なども行ってきておりますが、しっかりとこのことを周知、理解をいただきながら、過去最大規模の作付転換に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 問題は、米作農家が経営維持できるかどうかというところにかかっていると思うんですよね。

 作付転換、正念場と言われました。加工用米も過剰在庫状態が続いています。二一年産を加工用に転換する取組を支援する水田リノベーション事業、これは二百九十億円でありますけれども、今殺到しているそうであります。通常九千円台だった加工用米が七千円、更には六千円台に引き下げられる、こういう動きが出てまいります。十アール当たり四万円を受け取るためには戦略作物助成二万円をやめなければならないので、実質二万円であります。でも、米価がどんどん下がり続けて、価格が下がって、六十キロ二千円ともなれば、二万円は吹っ飛んでしまいます。

 この水田リノベーション事業、まず、価格が下がっている、押し下げているということになっている問題が一つ。それから、予算の倍ほどの申請があっているということで、申請した人が受けられない可能性が出てくる、半数以上にわたって。こういう二つの問題点が今生じているんですけれども、これに対してはどうしていくんでしょうか。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、水田リノベーション事業でございますけれども、実需者ニーズに応えるために、低コスト生産に取り組むなどの要件を満たして生産した場合に、例えば、麦、大豆でありましたら、交付単価は根っこから十アール当たり四万円になるわけでございます。したがいまして、戦略作物助成がなくなるから二万円になるということではございません。(田村(貴)委員「ない」と呼ぶ)はい。この水田リノベーション事業に採択されますれば、単価は十アール当たり四万円となります。

 その上ででございますけれども、この水田リノベーション事業は、新市場開拓用米、加工用米、麦、大豆、野菜、果樹などにつきまして、今も申し上げました、実需者ニーズに応じた価格、品質等に対応するために必要となります低コスト生産技術等の取組に対する支援を措置することとしているわけでございます。

 本事業でございますけれども、取組面積や主食用米の削減面積等に応じてポイントづけを行い、ポイントの高い順に予算の範囲内で採択をする補助事業でございます。

 本事業への要望調査は三月の五日に締め切っておりまして、現在、集計、内容確認を行っているところでございます。その準備が、準備といいますか、集計、内容確認ができますれば、また都道府県に対して回答していきたいということでございます。

 さらに、仮に予算額を上回ることとなった場合には、採択に至らない生産者なり産地が出てくるわけでございますけれども、それは、先ほど委員の御指摘にありました、令和三年度の当初予算の水田活用の直接支払交付金により、例えば二万円単価の支援を行うことになるということでございます。

田村(貴)委員 加工用米の価格が下がっている、そして、こういう施策によって下がり続けているということに対しての解決の方向性について、解決策については示されませんでした。だから、大臣、抜本的対策が必要になってきているわけなんですよ。この状況では大変なことになってまいります。

 農水省は、去年の秋に、二〇二一年の適正生産量を六百九十三万トンと設定しました。三十六万トンの減産を迫る大変厳しいものであります。これは去年の秋に設定した話ですよね。この後にコロナの第三波が来ました。そして、二度目の緊急事態宣言下において需要減が広がっている、今その真っ最中であります。

 そこを併すと、更に、倉庫から動かない、倉庫でだぶつくお米というのは増えていくんじゃないですか。これは歴然たる事実ですよね。ここの対応をしていかなくちゃいけない。三十六万トンどころか六十万トン規模の余剰になる、そういう話も出てまいりました。いよいよ、お米を倉庫、市場から切り離す特別な対策が求められているんじゃないですか。

 米は基幹作物であり、国が余剰分を買い上げて、市場から隔離して、需給均衡を図るべきであります。そういう政策に踏み切れないのはなぜですか。お答えください。

野上国務大臣 今お話がありましたとおり、昨年十一月の食料・農業・農村審議会食糧部会におきまして、令和三年産の主食用米の生産量ですが、六百九十三万トンとする見通しをお示ししております。

 御指摘のとおり、一月に発令された二度目の緊急事態宣言ですとか、あるいは緊急事態宣言の一部解除等々、現在公表している米の需要量を公表した昨年十一月から様々な状況の変化が生じております。

 このような中で需要量見通しを見直したとしても、それで確定するわけではなくて、更なる状況の変化によって、関係者はもとより国民の皆様を混乱させるおそれもあるのみならず、結果として誤ったメッセージを発することになりかねないために、現時点で需要量見通しを見直すことは適当ではないと考えております。

 現に、昨年十二月には、米穀販売業者の販売状況は前年同月比で一〇〇%まで回復しておりましたり、消費量が中食、外食の約二倍となっている家庭向けの精米を含む小売向けの販売量は前年同月比で一〇八%となっている等々、様々な動きがありますので、年明け以降の販売動向の見極めあるいはデータの収集に努めて、節目のタイミングでコロナの影響を含めてお示しできるように、需要動向等を注視してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 これでは農家の方は、もう本当に、大変心配で、この先やっていけるどころか、不安にさいなまれているというふうに思います。

 それで、一つ衝撃になっているのは、農家にこれだけの減産を押しつけておきながら、外国から七十七万トンのミニマムアクセス米は輸入し続けている。これに対しては私たちは、けしからぬことだ、やめなさいというふうに言ってきましたけれども、それを中止させないでも、一つ方策があるんじゃないかと。

 二〇一九年にトウモロコシの飼料穀物備蓄緊急対策事業でやったように、アメリカ国内における所有権移転、これでお米を現地にとどめさせる、輸入業者の保管費用を補填していく、こういう措置を取ったら倉庫の在庫問題は解決できる部分も出てくるんじゃないでしょうか。そういう方策は考えていないんですか。最後、これだけお伺いします。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 ミニマムアクセス米のことについて御指摘をいただきました。ミニマムアクセス輸入米は、年間七十七万トンの輸入を国際的に約束をしているところでございます。仮に、委員御指摘のように輸出国にとどめておくということになりますれば、米が我が国に現実には輸入されていないということになるわけでございまして、国際約束を果たせなくなるという懸念があるほか、保管に係る経費が輸入価格の上昇につながり得るといったことを考慮する必要があると考えておりまして、輸出国にとどめておくということは困難であると考えております。

田村(貴)委員 結局、有効な手だては打たれていないということであります。

 米価下落問題について政府が真剣に取り組むことを求めて、今日の質問を終わります。

高鳥委員長 次に、藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。

 今日最後の質問バッターでございますので、皆様、最後までよろしくお願いをいたします。

 それでは、今日は農地について、特に今日は内閣府さんからもお越しいただきまして、養父市の国家戦略特区、法人農地取得事業について、まず前段、いろいろお聞きしたいと思います。

 まず確認ですけれども、国家戦略特区で養父市が指定された背景を確認したいと思います。国家戦略特区は、いわゆる岩盤規制にドリルで穴を空ける、そういう文脈で語られるわけでありますけれども、この養父市も成功事例となれば全国展開をするということがそもそもの前提であったのかどうかということを、まず確認したいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 国家戦略特区制度でございますけれども、平成二十五年に創設をされまして、これまでに全国で十の区域が特区として指定をされております。

 養父市は、平成二十六年五月に国家戦略特区として最初に指定をされました六つの区域の一つでございます。養父市は、中山間地農業の改革拠点といたしまして、その区域方針に定められておりますとおり、高齢化の進展、耕作放棄地の増大等の課題を抱える中山間地域において、高齢者を積極的に活用するとともに民間事業者との連携による農業の構造改革を進めることにより、耕作放棄地の再生、農産物・食品の高付加価値化等の革新的農業を実践し、輸出も可能となる新たな農業のモデルを構築するということを目標として、特区として指定をされたものでございます。

 全国展開につきましては、一般論として申し上げますと、国家戦略特区におきます規制の特例措置というのは、特区の基本方針、これは法律に基づいて閣議決定しておるものでございますが、この基本方針に基づきまして、その実施状況等について適切な評価を行い、当該評価に基づいてその成果を全国に広げていくということになっておりまして、本特例措置についても、その実施状況を適切に評価し、その結果に基づいて全国展開の可否も含めて検討することが想定されていたものというふうに承知をしております。

藤田委員 ありがとうございます。

 一般論として特区のことを言っていただきました。これは養父市だけが排除されるものではないので、うまくいったら全国展開の可能性があるよというのがそもそも趣旨だと思います。

 では、養父市が実際五年間やる中で、いろいろ目的を語っていただきましたが、成功と呼べるのはどの程度のものかというのは、当初、設定はどのようにされていたのか、お聞かせいただけたらと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 特区の基本方針上、国家戦略特区における規制の特例措置につきましては、その実施状況等について適切な評価を行い、当該評価に基づきその成果を全国に広げていくというふうにされております。

 この評価は、内閣府や特区の地方公共団体等が参加した特区の区域ごとに設置をされます区域会議が行うこととされておりまして、具体的な評価項目としては、例えば、規制の特例措置を活用した事業の進捗状況、実現した経済的社会的効果、規制の特例措置の活用状況及び効果、弊害が生じている場合にはその内容及び対策の実施状況、こういったことが定められております。

 この特例措置につきましても、これらの項目について適切に評価をいたしまして、その結果に基づいて全国展開の可否も含めて検討することが想定をされていたというふうに考えております。

藤田委員 ありがとうございます。

 では、養父市のこの五年間というものの実績をどう評価するかというのが次の課題になってくると思います。これをどう評価されているかということと、全国展開とか横展開がなされずに、一応、二年間の延長という形になったわけでありますけれども、この二年間の延長になった理由をお答えいただけますか。五年間の実績と二年間の理由。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 養父市において活用されています法人農地取得事業に関する特例措置でございますけれども、この措置につきましては、平成二十八年の創設以来、これまでに養父市におきまして六社がこの特例を活用して農地を取得しておりまして、その面積は合計一・六ヘクタールということになっております。この事業によって農地を取得した企業によりまして、農業の六次産業化による地域経済の活性化、あるいはスマート農業実証事業による新たな中山間地域における農業モデルの構築、こういった成果が上がっているというふうに評価をしておるところであります。

 また、この事業によって特段の弊害が生じているというふうには認識をしておりません。

 全国展開についてのお尋ねでございますけれども、この特区の規制の特例措置というのは、先ほど申し上げましたけれども、基本方針に基づきまして、その実施状況等について適切な評価を行って、当該評価に基づきその成果を全国に広げていくということになっております。

 他方で、この法人農地取得事業に係る特例につきましては、今、特区は全国で十区域ありますけれども、通常の特区の規制措置というのはこの全国十の区域の全てで活用可能なんですけれども、そのような通常の特例措置とは異なりまして、この特例措置につきましては、例外的に、制度上、対象区域が養父市一か所に限定をされております。

 このために、本特例措置については、例外的に、ニーズと問題点の調査を特区の区域外においても来年度中に実施する必要があるというふうに判断をいたしまして、その結果に基づいて全国への適用拡大について調整をするというふうにしたところでございます。

 また、この特例措置につきましては、本年八月末までの時限措置ということになっておりますので、今御指摘いただきましたように、その期限を二年間延長するための法案をこの国会に提出させていただいているところでございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 おおむね、いい結果が出たよという総括、そしてそれによる弊害というのは認められなかったという総括なわけであります。

 一月二十八日の参院予算委員会で、坂本大臣から、二〇二一年度中に調査を実施する、その調査は全国展開を前提にするものではないというような趣旨の発言がありましたけれども、その理由と背景を教えていただけますでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたとおり、この特例措置については、ニーズと問題点の調査を特区区域外においても来年度中に実施する、そういう必要があるというふうに判断をいたしまして、その結果に基づき全国への適用拡大について調整をするということにしたところでございます。

 この調査は、当然のことでございますけれども、現時点で、全国展開をする、あるいはしない、こういう結論ありきで実施するものではございません。調査の結果に基づき全国への適用拡大について調整をするというふうにしているところでございまして、坂本大臣の今御指摘のあった御答弁も、その趣旨をおっしゃったものというふうに理解しております。

藤田委員 確認を正確にしておきたいんですが、全国展開を前提にするものではないよ、つまり、全国展開を目指してやるものじゃないよ、すごくネガティブに聞こえるんですよね。全国展開を排除するものでもない、ニュートラルなものであるという理解で正しいですか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、全国展開する、あるいはしない、どちらもその前提とするものではないという趣旨でございます。

藤田委員 ありがとうございます。報道とかでも結構切り取られたりするので、ここをちょっと明確にしておきたかったんですけれども、全国展開を排除されるものじゃないけれども、今回は一旦調査するよということであります。

 養父市の市長さん、非常にいいリーダーシップを取られて進めてこられたということを内閣府さんも農水省さんも認識しておられるということは聞いています。我が党の議員とも交流があって、いろいろヒアリングしていると、まあ、五年間、いろいろ結果は出た、弊害もなかった、しっかり引き続き取り組んでいきたい、ただ、全国展開だったり横展開できなかったのは多分残念だなというようなニュアンスの感想をおっしゃられています。彼らの使命としては、自分たちの使命としては、よりいい結果を出して一つのモデルケースになりたいというようなニュアンスでおっしゃられているんですけれども。

 では、この二年間、どんな結果、どんなことをやったら成功なのか、その成功の定義みたいな指標は設定し得るのか、設定されているのか、これをお答えいただけたらと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどもちょっとお答え申し上げましたけれども、特区の基本方針におきまして、規制の特例措置を盛り込んだ区域計画の評価に際しましては、その特例措置を活用した事業の進捗状況、実現した経済社会的効果、あるいは特例措置の活用状況及び効果、弊害が生じている場合にはその内容及び対策の実施状況、これらの項目について総合的に評価を行う、こういうことになっているところでございます。

 少し具体的に申し上げますと、例えば養父市の区域計画においては、期待される経済社会的な効果といたしまして、多様な担い手の農業への参入、中山間地における農地の効率的な利用や革新的農業の推進等による農業等の競争力の強化及び国際的な経済活動拠点の形成への寄与、こういったことが規定をされておりますので、引き続きその達成状況について評価をしていく、こういうことになろうかと思っております。

 御指摘がありましたように、養父市におかれましては市長のリーダーシップの下で積極的に特区の事業に取り組んでいただいておりますので、我々内閣府といたしましては、今後の特例措置に関するニーズや問題点の調査の結果、あるいは養父市の取組状況の評価をしっかり踏まえつつ、農水省さんとも特例措置の全国への適用拡大についての議論を継続するなどの調整をいたしまして、早期に必要な法案の提出を行うこととしたいというふうに考えているところでございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 では、調査について聞きたいと思います。

 調査をやりますよということで、この調査の主体は農水省さんだと聞いているんですけれども、調査の主体はどういう主体なのか。また、その調査はどんな手法で行われて、どんな内容なのか。それから、どういう結果が出たらどんな方向性に進んでいくのかということ。今想定されるものがあったら教えてください。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 この調査の具体的内容、実施方法につきましては、今後、検討、調整をしてまいりますけれども、我々内閣府、それから農水省さん、一緒に、しっかり連携協力をして、政府として調査を実施してまいりたい、こういうふうに考えております。

 今後の対応の方向性につきましては、まさに調査の結果を踏まえて調整するということになっておりますので、ちょっと現時点で予断を持ってお答えすることは恐縮ながら差し控えさせていただきたいと思っておりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、内閣府としては農水省さんとしっかり連携をしながら進めてまいりたいというふうに考えております。

藤田委員 ありがとうございます。

 調査はすごく大事だと思っていて、私は全国展開した方がいい派の方ですけれども、でも全国展開ありきでやるものでもないし、それを排除するためにやるものでもないと思うんです。実際的にどうかというのが大事で。

 要は、アンケートとかでも、養父市さんは五年やりました、まあまあ効果は出ましたけれども、そんなに進んだわけでもないし、取りあえず二年で収まっちゃいました、皆さん、ほかは使われますかと聞いたら、ほんならやめておこうかな、こうなるわけですよ。でも、養父市さんの評価がしっかり、こういう効果があったよとか、いいことがこれだけあったよとか、兆しが見えているよということがフェアに周知された上で、では皆さん、どう思われますかというような、フェアな、やはり、事実関係をちゃんとしっかりやった上でのヒアリングなり調査という方法を取っていただきたい。

 それはなぜかというと、自民党さんの部会の決議、国家戦略特区の諮問会議の民間議員からの提言に対して決議が出されています。

 その議決の内容は、余り効果がなかったよということが書いてあるんですけれども、「所有の効果と必要性がない中で、これまで進めてきた改革の時計の針を逆行させるものであり、極めて遺憾と断じざるを得ない。」と、かなり強い言葉で書いてあるんですね。つまり、要らぬことをするなというメッセージなわけですよ。私は結構フェアに見てほしいなと思っていて、これはいろいろな事情からこういうものが出ているんだと思いますが。

 でも、実際、内閣府は養父市の実績はいいと評価されている。じゃ、ほかにもやはり横展開する可能性はあるよなと考えるのは、これは普通の話だと思うんです。だから、やはり公平公正な調査というのを望みます。

 それから、全国への適用拡大と。私も、農地の話で、維新の会は規制改革派なので、どんどん規制改革しろというようなイメージを持たれますが、私も少なからず農業についての、雰囲気も含め、課題も理解してきました。実際に営利企業が所有して、転売してとか、ただの資産活用でやって、何というんですか、農地を荒らすということがいいとも思わないし、いきなり、爆発的に増えるというのもよくないと思う。

 だから、養父市の件は、全然、六社しか進んでいないやんけと言う方がいらっしゃるかもしれないんですけれども、それだったら何十社も進んだ方がよかったのかというと、私はそうは思わない。徐々に進んでいく方がむしろよかったんじゃないかと思って、この六社の貴重な成功事例というのを大事にしてあげたいというふうに思うわけです。

 ですから、全国展開の可能性はあるかとずっと聞いてきましたが、横展開のやり方はいろいろあると思うんです。全国一律に展開するのもそうだし、一律でないにしても、段階的に展開していく、少しずつ増やしていくというやり方もあるし、幾つかあると考えますが、そういう可能性はありますか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ニーズと問題点の調査は来年度中に実施をするということにしておりまして、その結果に基づいて全国への適用の拡大について調整をするということにしておりますけれども、現時点で確定的に申し上げることは困難でございますけれども、あえて一般論として申し上げれば、調査の結果を踏まえた対応の方向性あるいはそのプロセスということについては様々な可能性があるものというふうに考えております。

 いずれにしても、内閣府としては、この調査の結果、それから養父市の取組の状況の評価を踏まえて、農水省さんとこの措置の全国への適用の拡大についての議論を継続するなどの調整をして、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

藤田委員 佐藤審議官、ありがとうございます。非常に足取りが重いなと思いながら、ありがとうございます。敵陣に乗り込んできたような、そんな印象を受けましたが。でも、よく語られるのは、規制を改革する側の内閣府と規制側の農水省、こういうふうに面白おかしく語られるんですが、やはり農政のこと全般について考えていきたいというのは私も思います。

 そこで、大臣、所感をいただきたいなと思ったんですが、最後にまとめていただきます。

 株式会社の営農について、そもそも農水省の考えはどうかということと、それから、規制に関してすごく後ろ向きだなというようなことをよく語られますが、そうなのか、またその理由は何でしょうか。農水省さん、お願いします。

光吉政府参考人 お答え申し上げます。

 企業の農業参入につきましては重要と考えております。平成二十一年の農地法改正で、完全にリース方式を自由化したところでございます。現に法改正前の約五倍のペースで参入が進んできておりまして、担い手がいないところですとか中山間地域などで、農業生産の受け手として活躍していただくことも期待できるというふうに思っております。

 一方、企業による農地所有につきましては、農業、農村現場におきまして、農業から撤退したり、今委員がおっしゃいましたけれども、農地を他用途に転売されたり、産廃置場になるのではないかという心配の声が現場にあるというのは事実でございます。

 農地は生産基盤であると同時に、地域における貴重な資源として食料供給に非常に重要な役割を果たすものなので、こういった観点を踏まえて考えていく必要があると考えております。

藤田委員 ありがとうございます。

 ちょっと二番目を飛ばして、今話があったように、株式会社が農地を取得することに対しての危惧、確かにあると思います。よく言われるのは、宅地転用、耕作放棄が進む、産廃ですね、産業廃棄物等の投棄が進んでしまうんじゃないかというような危惧は代表的によく語られます。

 私は、だから入口で株式会社をはねちゃおうというよりも、入口は開いて出口で抑制する方法は取れないかと。つまり、株式会社が農地取得をした上で、そういう宅地転用、耕作放棄、産業廃棄物等の投棄のようなこと、これらの問題を抑制するようなキャップをかけるというふうに方針転換した方がいいと思うんですが、それは可能なやり方でしょうか。

光吉政府参考人 お答え申し上げます。

 農地につきましては、土地ではございますけれども、単なる土地の一種類ということではなくて、農地法第一条にございますけれども、国内の農業生産の基盤でございます。それで、法律に書いてございますが、現在及び将来の国民のための限られた資源である、あるいは、地域における貴重な資源である、こういったことを踏まえて取扱いを考えていかなきゃいけないというふうに思っています。

 この観点から、優良農地を確保するとともに、農地の農業上の利用を図っていく必要がございます。それで、委員御指摘のように、例えば、農業振興地域制度でゾーニング、土地利用規制とか、農地転用許可制度もございます、あるいは遊休農地に関する措置というのもございます。こういった各般の措置、委員のお言葉をおかりすると出口的な措置でございますけれども、こういった措置をしっかり講じていくということは極めて重要だというふうに思っております。

 他方、先ほど申し上げましたように、一般の株式会社の農地所有につきましては、農業、農村現場において、水管理、土地利用に支障が生ずるのではないか、安易に農業から撤退するのではないか、あるいは、他用途に転売されたり産廃置場になるのではないかと心配する声もございます。

 ですから、このため、農地につきましては、先ほど申し上げたような、いわゆる出口規制的な、そういった措置をしっかり実施するとともに、農地の権利、とりわけ所有権につきましては絶対的な管理、処分権限が御当人さんに与えられるわけでございまして、こういった権利を取得する際に、地域との調和を図りながら農地を効率的に利用される方が取得するようにしていく、そういったことを併せて行うことが重要であり、必要な見直しを行いながら、法人の要件を設けているところでございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 今、局長が話していただいたことを総合すると、私は、入口ではじくのを少し緩めて、出口でうまく抑制していく政策というのは可能だというふうにおっしゃっていただいたと理解しました。だから、政策判断だと思うんですね。だから、技術的には可能だということだと思います。

 次の質問なんですけれども、一九六一年以降、ピーク時から比較すると、転用、耕作放棄によって全体の約三割程度の農地の減少が見られます、実績として。これは、さっき話していた、株式会社が持ったら宅地転用されたり耕作放棄されたりという危惧はもちろんあるんですけれども、じゃ、株式会社だけじゃなくて、この数十年間で農家さんが既に減らしてきてしまっているという問題があって、これは、悪意を持ってやっているものじゃなくて、農政全般の構造的問題ですよね。

 だから、株式会社悪玉論ではなくて、構造的にもう減っているんですよ、株式会社さんに危惧しているような事象は今ももう既に起こっていますということが言えると思うんですけれども、この理由というのはどのようにお考えか、お聞かせいただけたらと思います。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 我が国の農地面積につきましては、今委員から御指摘いただきましたように、一九六一年、昭和三十六年がピークでございまして、このときに全国で約六百九万ヘクタールがあったところでございます。その後、農地転用、荒廃農地の発生等により減少傾向ということでございます。

 この農地面積の減少の理由ということでございますけれども、これはやはり、昭和三十六年以降、昭和三十年代、四十年代、また平成の初めぐらいにかけましては何といっても高度成長とかバブル経済の頃でございます、このような経済成長に伴いまして、住宅への転用とか工業用地への転用といったものが大変大きかったということが主たる要因かと思います。

 一方、近年につきましては、委員からも御指摘がございました農業者の高齢化の進行とか担い手不足といったような、構造的な要因によるところが大きくなっているのではないかというふうに考えているところでございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 だから、今の担い手の問題、高齢化の問題というのは、構造的な問題であって、なかなかすぐに解決できない。じゃ、一つの手法として、企業に頑張ってもらおう、全部じゃなくて企業にある一定を担ってもらおうというのは、やはり選択していかないといけないんじゃないかなというふうに思うわけです。

 何も、今の農家さんの体制で持続可能で何にも問題ない、企業が横やりを入れなくてもいいんだよというような業界構造だったら不必要だと思います。でもそうじゃないんだよというのが問題意識であって、だから養父市のような事例でまず試して、非常にいい結果が出た、じゃ、その結果を大事にして、横展開して成功事例を増やしていこう、その中でバランスというのを取っていこうよというのが本来の趣旨だと思うんですよね。

 だから、今回の養父市の、まあ今回は二年で、全国展開を全く拒否したわけじゃないというふうに御答弁いただきましたけれども、ここからの調査の在り方とかをしっかりと注視していきたいというふうに私は考えるわけでございます。

 ちょっと一点、企業から見た農地の取得というものと、リース、賃貸というもののメリット、デメリットの違いというのは、どのように整理されておられますか。お答えいただけたらと思います。

光吉政府参考人 お答え申し上げます。

 企業に限らず、農業経営を行う場合には、農地を取得して所有権を持つ場合と、賃借権などで借りる場合というのがあると思います。いずれも貴重な農地を生かして農業経営を行うという面では共通だと思いますけれども、リースにつきましても、例えば期間が制約があるんじゃないかとか、いろいろ御懸念される御意見があるときもあります。

 ただ、農地のリース期間につきましては、農地法を平成二十一年度に変えて、さらには平成二十九年の民法改正で、土地自身についてですが、五十年間という超長期間の借入れが可能となっております。ですからリース方式が現在あるわけでございますけれども、企業が、リース法人が例えば土地改良事業のようなものとか施設整備を行って安心して農業経営を行う期間というのは、リースによっても確保されるものというふうに思っております。

 先ほど申し上げましたように、こういったことも踏まえまして、リース方式による企業参入は改正前の約五倍のペースで参入が行われているところでございまして、これを今後とも推進していきたいと思っております。

藤田委員 ありがとうございます。

 リースを僕は全然否定していないんです。リースと所有と選択できるようになったらいいというだけの話だと思うんですよね。

 今日の議論を聞いていただいて、大臣から一言いただきたいんですが、何でもかんでも企業にやらせろと言っているわけじゃありません。でも、構造的問題がありますよね、そこに企業の力を有効活用しましょうと。そのために、適切に規制を緩和していくということが必要だし、今後の農地のそもそもの在り方についてやはり考え直していかないといけないんじゃないかという問題意識がございますが、今日の議論全般を通じて、大臣から一言いただけたらと思います。

野上国務大臣 企業についての御議論でありますが、農業者の高齢化ですとか担い手不足が進行する地域におきましては農業生産を担う存在として期待できるものと考えておりまして、企業の農業参入を進めることも重要であります。

 このため、平成二十一年の農地法改正でリース方式を完全に自由化しまして、先ほども話がありましたが、改正前の約五倍のペースで参入が進んでおりますので、これも更に推進をしてまいりたいと考えております。

 なお、企業による農地所有の件につきましては、先ほど来話がありましたとおり、現場に様々な心配があることも事実でありまして、そういうことを踏まえながら慎重に検討していく必要があると考えております。

藤田委員 終わりますが、また引き続きさせていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

高鳥委員長 次に、内閣提出、森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣野上浩太郎君。

    ―――――――――――――

 森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

野上国務大臣 森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 森林は、国土の保全、水源の涵養、地球温暖化の防止等の多面的な機能を有しており、この二酸化炭素の吸収による地球温暖化の防止の機能の持続的な発揮を確保するためには、適正に森林が整備されることが重要であります。

 このような中、森林吸収源対策の重要性及びパリ協定等をめぐる国際的な動向を踏まえると、我が国における森林による二酸化炭素の吸収作用を保全、強化するため、引き続き間伐等の実施及び成長に優れた種苗の確保を促進するとともに、新たに成長に優れた苗木を用いた再造林の実施を促進する必要があります。

 このため、令和十二年度までの間、間伐等に要する経費等に対する支援措置及び成長に優れた種苗の母樹の増殖を促進するための支援措置を引き続き講ずるとともに、併せて成長に優れた苗木を用いた再造林の実施を促進するための措置を講ずるため、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、現行法による支援措置の延長についてであります。

 間伐等の実施の促進に関する計画を作成した市町村に対する交付金の交付、当該計画に基づく間伐等の実施及び助成について地方公共団体の支出する経費に係る地方債の起債の特例等の支援措置を令和十二年度まで引き続き講ずることとしております。

 また、成長に優れた種苗の母樹の増殖に取り組む計画を作成し、都道府県知事の認定を受けた者に対する林業・木材産業改善資金の償還期間の延長等の支援措置を令和十二年度まで引き続き講ずることとしております。

 第二に、成長に優れた苗木による再造林の実施を促進するための措置の創設についてであります。

 都道府県知事は、農林水産大臣が定めた基本指針に即して、植栽に適した区域を定めることができることとし、この区域において成長に優れた苗木の植栽に取り組む計画を作成し、都道府県知事の認定を受けた者は、林業・木材産業改善資金の償還期間の延長等の措置を受けることができることとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

高鳥委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十五分散会


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