衆議院

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第6号 令和6年4月5日(金曜日)

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令和六年四月五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 務台 俊介君

   理事 畦元 将吾君 理事 伊藤 忠彦君

   理事 小倉 將信君 理事 堀内 詔子君

   理事 馬場 雄基君 理事 森田 俊和君

   理事 奥下 剛光君 理事 鰐淵 洋子君

      井上 信治君    井上 貴博君

      石原 正敬君    金子 容三君

      菅家 一郎君    木村 次郎君

      国定 勇人君    笹川 博義君

      中村 裕之君    西野 太亮君

      宮澤 博行君    柳本  顕君

      鷲尾英一郎君    阿部 知子君

      大河原まさこ君    近藤 昭一君

      篠原  孝君   松木けんこう君

      屋良 朝博君    杉本 和巳君

      空本 誠喜君    林  佑美君

      中川 康洋君

    …………………………………

   環境大臣         伊藤信太郎君

   環境副大臣        滝沢  求君

   環境大臣政務官      朝日健太郎君

   環境大臣政務官      国定 勇人君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山野  謙君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     鈴木 建一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           大島 英彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 一成君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           松原 英憲君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         田中 知足君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          神ノ田昌博君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            土居健太郎君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  白石 隆夫君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        角倉 一郎君

   環境委員会専門員     野崎 政栄君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月五日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     西野 太亮君

  稲田 朋美君     木村 次郎君

  鷲尾英一郎君     中村 裕之君

  屋良 朝博君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 次郎君     稲田 朋美君

  中村 裕之君     鷲尾英一郎君

  西野 太亮君     石原 正敬君

  阿部 知子君     屋良 朝博君

    ―――――――――――――

四月四日

 資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案(内閣提出第六〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案(内閣提出第六〇号)

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

務台委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局長山野謙君、消防庁審議官鈴木建一君、農林水産省大臣官房参事官大島英彦君、経済産業省大臣官房審議官田中一成君、国土交通省大臣官房審議官松原英憲君、国土交通省大臣官房技術審議官田中知足君、環境省大臣官房環境保健部長神ノ田昌博君、環境省水・大気環境局長土居健太郎君、環境省自然環境局長白石隆夫君、環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

務台委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

務台委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柳本顕君。

柳本委員 自由民主党の大阪の柳本顕でございます。本日は、質疑の機会をいただき、誠にありがとうございます。

 昨年の九月まで、私、環境大臣政務官を務めさせていただきまして、その際に、使用済紙おむつの再生利用等の促進ということで取組をさせていただきました。そのことに関して、前半質問を進めさせていただきたいと思います。

 昨年八月に取りまとめを行ったところでございます。その際の取りまとめ資料が配付資料の一枚目でございます。

 焼却工場で燃やされているごみのうち、使用済紙おむつの量は、今や五%を超えているということなんですね。乳児、高齢者など含めて利用は増えてきておりますので、今後更に比率が大きくなることが予想されます。

 一方で、時代の要請に応える再生利用等の動きは、資源循環に資するのみならず、環境教育や子育て支援、行政サービスの向上など、様々な要素につながることを目の当たりにしてきました。先進事例である鹿児島県の大崎町や志布志市の現地視察や、有識者、リサイクル事業者などとの意見交換を経て、二〇三〇年度までに、取組の実施、検討を行った自治体総数を百とする目標を掲げたところであります。技術的にはまだまだ進化を期待するところでありますけれども、発展段階であるけれども、ベースが既にできつつあるというふうに感じております。

 その上で、一番の課題としては、自治体、再生事業者、生産者、さらにはリサイクル品の活用事業者といった、いわゆる出口施策ですね、そういった関係者をいかにつなげていくか、マッチングさせていくかということだというふうに感じます。

 そこで、関係者のネットワークを構築する仕組みづくりを充実をさせる必要があると考えておりますが、環境省としての認識はいかがでしょうか。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 使用済紙おむつは、一般廃棄物排出量の五%程度を占めており、今後高齢化が進むことで、二〇三〇年には七%程度まで増加する見込みとなっております。このため、使用済紙おむつの再生利用等は、資源循環の促進等の観点から極めて重要であると考えております。

 環境省では、先ほどお話しいただきました取りまとめを踏まえまして、今年度から、リサイクル技術や関係事業者の情報を含め、自治体が検討、判断する上で必要な情報の提供や、事業者への設備補助等の支援等を行うこととしております。

 加えまして、使用済紙おむつのリサイクルで得られた資源の活用のためには、ただいま御指摘いただきましたとおり、リサイクル業者と製造事業者や素材メーカー等との、関係者との連携も極めて重要であると考えております。このため、環境省では本年二月に、リサイクル業者や紙おむつメーカー、紙おむつ素材メーカー、有識者など約五十名が参加する勉強会を開催し、意見交換を行ったところでございます。

 これらの取組を通じて、紙おむつリサイクルの関係者の連携、ネットワークづくりをしっかりと進めてまいりたいと考えております。

柳本委員 本日、一般質疑の後、資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案が趣旨説明となり、上程されるわけでありますが、まさに時機を得たものであると考えます。

 法案審議に先立つ形となりますが、使用済紙おむつの再生利用等の促進に関しては、具体的に新法によってどのような利点があると考えられますでしょうか。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案、この法律案におきましては、再資源化事業の高度化の取組を支援することにより、資源循環産業全体での再資源化を促進しつつ、温室効果ガスの排出削減効果の高い資源循環を促進することを目的としております。

 具体的な措置といたしましては、例えば、分離回収が困難な廃棄物について高度な技術を用いて再資源化する事業など、先進的で高度な取組を対象に、環境大臣が認定することで、廃棄物処理法に基づく自治体の許可を不要とし、手続を迅速化することで事業展開を後押しする、こうしたことを狙いとしております。

 使用済紙おむつにつきましては、プラスチック、紙、高分子吸収材の素材に応じて衛生的に分離する高度な再資源化の取組が行われ始めております。このような高度な再資源化設備の導入に当たりまして、本法律案に基づく環境大臣による認定のスキーム、こうしたスキームを活用いただくことで、その設備導入を全国的に後押ししてまいりたい、このように考えております。

柳本委員 新法が成立することによりまして、今後更なる取組が促進されることになるというふうに想像されるわけであります。

 ここで改めて確認したいと思いますが、昨年八月の取りまとめ時点から昨年末まで、この使用済紙おむつの促進等、利用を進めるに当たっての、検討自治体及び実施している自治体の件数はどのように推移しているのでしょうか。また、取りまとめの昨年八月以降、相談や問合せの件数などはどのような状況になっているのでしょうか。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年八月の取りまとめを公表した時点でございますが、環境省が把握していた使用済紙おむつの再生利用等の実施、検討を行っている自治体の数、これは約三十五自治体でございました。

 その後、昨年度の調査業務において、使用済紙おむつの再生利用等について実施又は検討している自治体の数をより正確に把握するため、全国千七百四十一自治体を対象としてアンケート調査を実施いたしました。

 この結果を基に整理いたしましたところ、昨年末時点で、使用済紙おむつの再生利用等について、検討している自治体の数は五十七自治体、実施している自治体は二十一自治体でございました。これらを合計すると七十八自治体となり、昨年八月の約三十五自治体よりも増加している、このような状況でございます。

 また、昨年八月以降、環境省やリサイクル事業者に対する相談や問合せの数も増加傾向にあり、関係者の関心も高まっているものと理解しております。

柳本委員 増加傾向ということなんですね。そして、実際、取組を行っている、検討している自治体の数というのは、昨年八月の時点で十分に把握し切れなかった分もあるかもしれませんけれども、昨年末、ある意味倍増状態だということなんです。

 となりますと、昨年の八月の取りまとめのときにも、三十五から倍増ぐらい進めようかと言っていたんですけれども、もうちょっと高めを目指そうということで実は百という自治体数を設定したわけですけれども、予想を上回るスピードで広がっていると言えます。

 だとするならば、現状を踏まえてより高めの目標を設定して、環境省としても、取り組む自治体を待っている待ちの構えではなくて、むしろ積極的にやられてはどうですかという攻めの姿勢で対外的にも意識を示していくべきではないでしょうか。

 取組の自治体数についてはより高い目標を立てるべきと考えますが、環境大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 大変重要な御指摘をいただいたと思います。

 環境省では、昨年八月の使用済紙おむつの再生利用等の促進プロジェクトの取りまとめを踏まえて、取組を検討するに当たって必要な情報を環境省が調査して地方自治体へ提供するとともに、再生利用等に取り組むことを決めた自治体や事業者に対し、設備導入等に関する支援等を行うこととしております。まず、これらの取組はしっかり進めてまいりたいと思います。

 取組の実施に当たっては、個々の自治体の状況やニーズを踏まえた上で、自治体に対して、コストやCO2削減効果などの再生利用等の検討開始に必要な情報を積極的に提供することも有効と考えてございます。

 この取りまとめで整理した課題や昨年度調査で得られた情報も踏まえ、潜在的なニーズがある自治体の取組も後押しできるように、積極的に情報提供等を行ってまいりたいと思います。また、現在の自治体の取組状況を踏まえて、委員から今御指摘いただいた二〇三〇年度の目標の見直しについても前向きに検討してまいりたい、そのように考えております。

柳本委員 非常に前向きな御答弁、誠にありがとうございます。共々に力を合わせて取り組んでいきたいと思っております。

 次に、海洋プラスチックごみに関してお伺いをいたします。

 昨年、G7サミットにおきましては、二〇四〇年までに追加的なプラスチック汚染をゼロにするという野心が合意なされまして、更に積極的に取り組むこととなっております。プラスチック汚染に関する条約を作るために、二〇二二年から政府間交渉委員会、INCが設立され、会議が精力的に進められています。

 まずは、条約策定に向けて現在確定しているスケジュールについてお伺いをいたします。

土居政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、二〇四〇年までに追加的なプラスチック汚染をゼロにする野心に合意をいたしましたG7広島サミットの成果を踏まえまして、我が国は条約策定に向けて交渉に積極的に参加しているところでございます。

 スケジュールにつきましては、今月下旬にカナダで第四回の交渉委員会、INC4、また、十一月には韓国でINC5が開催されることが確定しておりまして、本年末までの合意に向けて交渉が加速化するということでございます。

柳本委員 二〇一九年にG20大阪サミットにおいて大阪ブルー・オーシャン・ビジョンを呼びかけた日本として、是非とも議論をリードし、策定にも貢献してもらいたいと考えています。

 とりわけ、直近の四月のINC4の論点は何なのか、また、日本としてどのような方針で臨むのか、伊藤大臣の御所見をお聞かせください。

伊藤国務大臣 今月開催される第四回交渉委員会、INC4では、これまでの交渉を踏まえて作成された条文案を基に、条約の具体的な規定の交渉を行うとともに、本年十一月に開催されるINC5までの間に行うべき作業について議論する予定でございます。

 我が国は、プラスチックの大量消費国及び排出国を含む、できるだけ多くの国が参加する実効的かつ進歩的な条約の策定を目指しております。引き続き、積極的に議論というものをリードしてまいりたいと思います。

 この交渉委員会は事務レベルで進められておりますが、私自身も、昨年のCOP28における各国大臣とのバイ会談において、累次、このプラスチック汚染の問題を取り上げるなどしてきました。今後も状況に応じて、私も自ら交渉の進展に積極的に貢献してまいりたい、そのように考えております。

柳本委員 交渉段階におきましては、積極的に進めようという国々と、まあ、後ろ向きというわけではないにしてもなかなか抑制的な考えを持つ国々もあるというふうにお聞きしております。日本としては基本的に積極的にという姿勢を持ちながらも、今大臣御答弁いただきましたように、是非多くの国々に参加いただけるような、そういった取組についても先導的に役割を果たしていただけたらと思っております。

 世界的な海洋プラスチック問題ということになりますと、かなり大きな話であるように感じるんですけれども、実は非常に身近な話でもあるわけです。

 海洋ごみの八割が生活ごみであると言われておりまして、ごみ削減に向けては個人レベルでも実践ができます。まずはプラスチックを使わない、そのことで廃棄量を減らす、そして、やむを得ず廃棄する場合においても分別して適正に廃棄する、さらには、適正に捨てられていないごみについては、地域など様々な活動の中で拾うということが求められてくるわけであります。

 条約策定に向けての大きな取組に力を注ぐことは言うまでもなく、海岸や陸域でのごみ拾い活動など、身近な、誰もができる取組についても環境省としても力を注いでいくべきではないでしょうか。

 また、最近では、一団体、自治体単体ではなくて、連携した広域的な動きも出てきているというふうに聞きます。象徴的な事例も含めて、現状を教えてください。

土居政府参考人 御指摘ございましたとおり、海洋ごみの発生抑制に資する取組の一つとして、ごみ拾い活動の広がりを推進していくことは重要だと考えております。

 具体的な例といたしまして、地域全体としての意識醸成につきまして、学校活動と地域の清掃活動を連携させる取組、観光と清掃活動を組み合わせた取組など、自治体や企業等の関係者間の連携を促進するための先進的なモデルを創出するローカルオーシャンビジョン推進事業や、市民による海岸清掃活動等の取組を発信、共有する場を提供しますプラスチック・スマート事業を進めているところでございます。

 さらに、国内でも日本由来のごみが多く確認されている瀬戸内海におきましては、昨年十月に、大阪府を始めとします十四の関係府県と環境省による連携協力のためのネットワークであります、瀬戸内海プラごみ対策ネットワークを立ち上げまして、取組を強化をしているところでございます。

 引き続き、多くの人々に海辺の環境の保全への関心を持っていただきながら、海洋ごみ対策の取組を推進してまいりたいというふうに考えております。

柳本委員 ありがとうございます。

 条約策定に向けてはより多くの国々に参画をいただく、そして、日本におきましての取組、ごみ拾い等々の取組については、より多くの個々人、そして自治体、団体などに取り組んでいただくということでの啓発も含めての取組を環境省に御依頼をさせていただきます。

 地元大阪府でも、先ほど御答弁が若干あったかもしれませんけれども、自然共生サイトに認定された海もあるわけでございまして、私、大阪府の阪南市の海に行かせてもらいました。非常に美しい海であり、環境教育なども含めて、子供たちも巻き込みながら取組が行われていることを大変感慨深く拝見をさせていただいたわけでありますけれども、この場におきましてもごみ拾い事業というのが行われているわけなんですね。そしてまた、大阪の海ということに関しましては、令和八年に、大阪で初めて豊かな海づくり大会が開催される予定となっております。

 こういった様々な機会を捉えて、海ごみゼロに向けての機運を日本全体で醸成していただくように求めておきます。

 続きまして、プラスチック資源循環促進法が二〇二二年四月一日から施行されている状況について若干お聞きをしたいと思います。

 施行から二年がたちます。製品プラも含めたリサイクル施設が各地で整備され、各地域での分別回収を進めていく必要があります。分別回収実施自治体は増えているのでしょうか。

 先日、大阪市内におきましてもリサイクル施設が稼働し出しまして、今年稼働し出しまして、大変心強く感じているんですけれども、リサイクル施設も順調に整備され、動いているのでしょうか。

 法律はできても、実態が動いていなければ意味がありません。各自治体での分別回収が進み、製品プラも含めたリサイクル施設が整備され、分別、回収、再生という流れを着実につくっていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体の取組状況につきましては、プラスチック資源循環法に基づき、今年度は約百の地方公共団体で製品プラスチックの分別回収、リサイクルが行われる見込みであり、これは昨年度から二倍以上の増加となります。

 このような地方公共団体の取組を促進するため、製品プラスチックの分別回収、リサイクル費用に関する特別交付税措置や、プラスチック資源循環のモデル形成を行うモデル事業により、地方公共団体の取組を支援しているところでございます。

 また、関係団体から伺っているところによりますと、製品プラスチックにも対応するリサイクル施設の数は増加しており、処理の規模も大きくなっている、このように伺っております。このような施設の整備を促進するため、環境省といたしましては、リサイクル事業者に対する設備導入への補助も行っているところでございます。

 こうした地方公共団体や事業者の取組への支援により、製品プラスチックの分別回収、リサイクルが全国に拡大する流れを着実につくっていきたいと考えております。

柳本委員 よろしくお願いします。

 あわせて、最近、プラスチック製品などの中には、リチウム電池が入っていて発火の原因となることも少なくないというふうに聞きます。製品に関するアプローチとしては経産省マターになるかというふうに思いますが、廃棄に当たって市民に注意喚起をするなど、環境省としても連携、調整をしながら総合的に対応すべきと考えますが、環境省として、リチウム電池が入っている状況に対しての対応状況をお聞きをいたします。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 モバイルバッテリー、加熱式たばこといったリチウム蓄電池が使用された製品に起因すると疑われる火災事故等が廃棄物処理施設等で頻発しており、私ども環境省の調査では、令和三年度は全国で一万一千百四十件の火災事故等の発生が確認されております。

 こうした火災事故等を減らしていくためには、リチウム蓄電池が使用されていることの製品への分かりやすい表示、地方公共団体や製造事業者等によるリチウム蓄電池の適切な分別回収、そして、こうした火災事故等の発生や分別回収の重要性について国民の皆様に対する普及啓発等を進めていくことが重要であると考えております。

 製品への表示につきましては、資源有効利用促進法に基づき、経済産業省において対応が検討されているところと伺っております。環境省といたしましては、地方公共団体における分別回収の好事例をまとめた対策集の配付や、地方公共団体や製造事業者等による適切な分別回収等のモデル事業などを実施するとともに、廃棄物処理法に基づく広域認定制度を活用し、製造事業者等による回収と処分を促進しているところでございます。

 また、国民に対する普及啓発も大変重要であると考えており、地方公共団体が使用することも想定したポスター、動画等の啓発ツールを作成し、周知啓発を図っているところでございます。

 今後とも、関係省庁と連携し、リチウム蓄電池等による火災事故等の防止のための取組を進めてまいりたいと考えております。

柳本委員 これまで、使用済紙おむつ、そしてプラスチックのリサイクルということで質問を重ねさせていただきました。

 焼却工場で燃やすというこれまでの概念から、リサイクル、さらには再利用、そして、それをさらに経済に回していくというサーキュラーエコノミーの視点が非常に重要だというふうに思うんですね。

 焼却工場も、今、建て替え、更新時期に来ていて、その補助金を、交付金をということで各自治体から要請があるところではありますけれども、やはり、こういった形でごみ量を減らしていくことによって焼却工場の延命化を図るとともに、あわせて、こういった交付金などもリサイクルに逆に転嫁していくというような考え方が重要だというふうに思っております。

 その上で、先日、予算委員会の分科会で国交省に対しても、空き家対策とか古民家再生を実施するに当たって、廃材利用とかも含めて、サーキュラーエコノミーという視点を持つことが重要であるという指摘をさせていただきまして、國場副大臣からも認識を共有する答弁をいただいたところでもあります。

 また、先ほど来の使用済紙おむつとかプラスチック製品、これまで廃棄物と捉えていたものを全て貴重な資源と捉えて循環させていくサーキュラーエコノミーという考え方を広め、自治体や事業者、個々人の具体的な行動変容へとつなげていく動きを環境省が主軸となって進めていく必要が今まさにあると考えますが、副大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

滝沢副大臣 お答え申し上げます。

 サーキュラーエコノミーへの移行で目指すものは、持続可能な形で、資源を効率的、循環的に有効利用することで、廃棄物の発生を抑制し、資源や製品の付加価値を生み出すことでございます。御指摘の使用済紙おむつやプラスチック製品等の再生利用は、重要な取組の一つと考えておるところでございます。

 これは、気候変動、生物多様性の保全、環境汚染の防止等の社会的課題を解決し、産業競争力の強化、地方創生、さらに経済安全保障にも資するものでございます。関係者が一丸となって取り組むべき重要な課題であると認識しているところでございます。

 こうした観点から、この夏頃に策定する予定の第五次循環型社会形成推進基本計画では、サーキュラーエコノミーへの移行を国家戦略として明確に位置づける方向で議論を進めているところでございます。また、国土交通省を含めた関係省庁の施策についても盛り込む予定でございます。

 引き続き、関係省庁と連携しながら、柳本委員が御指摘のとおり、環境省が主軸となって取組を進めてまいりたいと考えております。

 以上です。

柳本委員 力強い御答弁、ありがとうございます。

 まさにサーキュラーエコノミーが、環境省としてカーボンニュートラル、ネイチャーポジティブに取り組んでおりますけれども、サーキュラーエコノミーがこのカーボンニュートラルなり生物多様性、ネイチャーポジティブを引っ張っていくんだというような形で取組を進めていただくように、全庁的に環境省が主軸となって進めていただくようにお願いをいたします。

 最後に、時間を活用しまして、熱中症対策についてお伺いをいたします。

 昨年の通常国会で、気候変動適応法、熱中症に関する法改正がなされまして、五月の三十日には熱中症対策実行計画が閣議決定をされています。

 今年の夏は施行後初めての夏となります。法改正に伴う初動において、熱中症警戒情報に加えて創設された特別警戒情報の在り方であるとか、指定暑熱避難施設、クーリングシェルターの設置状況など、正確かつ適切な広報が必要であるというふうに考えます。

 環境省としてどのように対応されているのか、お伺いをいたします。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、今年の夏は改正気候変動適応法の全面施行後初めて迎える夏であり、円滑な制度運用のためには、正確かつ適切な広報が必要であると考えております。

 この四月からは、熱中症特別警戒情報や指定暑熱避難施設などの制度を活用した地域の取組を促進していくとともに、関係府省庁や産業界とも連携をして、ポスター、リーフレットなどを用いた普及啓発や、SNSを活用した情報発信、熱中症特別警戒情報発表時の伝達訓練等を含む熱中症予防強化キャンペーンを効果的に実施していくことで、熱中症から国民の命を守る対策を一層強化してまいります。

柳本委員 指定暑熱避難施設については、資料二ページ目に環境省が示している、いわゆる要件と、この度ロゴマークもできましたので、こんなふうにロゴマークが設定されていますよということを添付でつけさせていただいています。

 ところが、余り各自治体で積極的に取り組んでいるような空気感を感じないんですね。指定暑熱避難施設の設置の動向、設置に取り組む自治体というのはどのような状況になっているんでしょうか、お伺いをいたします。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 改正法の施行に向けまして、昨年度は、地方公共団体への説明会を開催するとともに、指定暑熱避難施設の指定・設置に関する手引きを策定、公表するなど、地域における指定暑熱避難施設の指定に向けて取り組んでまいりました。

 指定暑熱避難施設の指定状況につきましては、改正法が施行された直後であるため、まだ整理できておりませんが、改正法の施行前の状況としては、暑さをしのぐための場所、施設の運用を開始した市町村数は、二〇二二年時点で六十四であったものが、二〇二三年には七十一市町村が新たに運用開始をし、百三十五となっております。

 環境省としては、各地域において指定暑熱避難施設の指定が進むよう、今後とも市町村に働きかけてまいります。

柳本委員 まだ緒についたばかりといえばそれまでなんですけれども、ちょっと動きがまだまだ広がっていないかなという気がします。

 それで、実行計画において、二〇三〇年に向けて死亡者数を半減させるという大きな目標を立てているわけなんですね。実は、この死亡者数の中で、私の地元大阪府は非常に数が多くて、対策を練っていかなければならないと考えているんですが、熱中症による死亡者数というのは、必ずしも、今申し上げていただきましたようなクーリングシェルターを設けるとか、NPO団体でいろいろ周知啓発をするとか、そういうことだけで減るわけではなくて、暑さの状況によるかというふうに思いますが、なかなか目標を達成するというのは難しいと思うんです。

 だとするならば、しっかりロードマップを作って、二〇三〇年に向けて、時間軸を踏まえての動きを定めておかないと、この目標達成は、私は難しいんじゃないかというふうに思うわけでございます。

 そこで、最後に、クーリングシェルターの設置の自治体数であるとか、熱中症対策の普及団体の指定数など、別にそれにこだわる必要はないというふうに思うんですけれども、何かしらの数値目標を定めて死亡者数半減の実現に取り組んでいかなければならないと考えますが、環境省の御所見をお伺いいたします。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のクーリングシェルターや熱中症対策普及団体につきましては、地域の実情に応じて市町村の判断で、全ての市町村においてなるべく多く指定していただくことが望ましいと考えております。

 このため、環境省では、改正法の施行前から、クーリングシェルターや熱中症普及団体の指定を促すため、指定に関する手引や事例集の作成、地方公共団体への説明会の開催など、施行に向けた準備を進めてきたところであります。

 一定数を指定すれば十分というような数値目標を定めることは考えておりませんが、一件でも多く指定されるよう、引き続き市町村に積極的に働きかけてまいりたいと存じます。

柳本委員 ありがとうございます。

 数値目標を掲げるつもりはないということで、それは一定の心理として分からないでもないんです。数が多ければいいというものではありませんし、やはりそういう目標、目標というか、クーリングシェルターとかを設けなければならない自治体とそうでないところがありますので、一概には言えないのは分かるんですけれども、各自治体においては、本当に防災対策であるとか子育て支援策であるとか、ありとあらゆることをやらなければならない中で、熱中症対策も一つの大きな災害対策というか、一つの軸として捉えていただくように意識を高めていただく流れを環境省としてしっかりとつくっていただくように要望させていただきまして、少し早いですけれども、私の質疑を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

務台委員長 次に、大河原まさこ君。

大河原委員 おはようございます。立憲民主党の大河原まさこです。

 本日は、質問の時間をいただきまして、ありがとうございました。

 また、委員長を始め委員の皆様、議会局ほか、国会スタッフ、職員の皆様には、日頃より様々に御配慮をいただいておりますことに心から感謝を申し上げ、質疑に入らせていただきます。着座にて質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、私の地元、東京多摩地域でも市民の間で不安が高まっております有機フッ素化合物について質問します。

 私も、多摩地域に住む当事者として血液検査も受けましたが、住民の方たちの中には、PFOS、PFOAの血中濃度が非常に高い方もおられました。有機フッ素化合物、PFASについては、御存じのとおり、多摩地域だけではなく、今や全国的な問題となっております。

 そこで、まず環境省にお尋ねいたします。

 既に規制されているPFOS等を含む泡消火剤の廃棄、切替えの状況はどんなふうになっているでしょうか。改めて教えてください。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 泡消火薬剤は、消防機関、空港、自衛隊関連施設、石油コンビナート等に配備されておりまして、国内法令で規制される前に製造されたものにはPFOS等を含有するものがあると承知をしております。

 関係省庁では、それぞれが所管する施設等が保有するPFOS等を含有する泡消火薬剤について、非含有泡消火薬剤への代替の促進を図っております。PFOSについて二〇二〇年度に行った調査では、泡消火薬剤の合計は約三百三十九万リットルと、前回の二〇一六年度に実施した調査と比較して約五十八万リットル減少をしております。

 環境省としては、引き続き、関係省庁及び関係団体と連携をし、PFOS等を含有する泡消火薬剤の代替促進に取り組んでまいります。

大河原委員 昨年、私は決算行政委員会でもこの問題を質問させていただきましたが、その際、政府からは、泡消火剤を全部処理し切れない理由として、PFOSなどを含む泡消火薬剤を処理できる事業者が限られ、処理能力にも限界があるとの御答弁でした。

 そこで、環境省に伺いますが、PFOS、PFOAを含む泡消火剤の処理や事業者の増加など、何か進展があったでしょうか。お答えください。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 PFOS及びPFOAを含有する廃棄物については、無害化するための分解の手段としては、主に焼却技術が用いられております。

 環境省では、平成二十一年からPFOS及びPFOA含有廃棄物についての焼却試験に取り組んでおり、PFOSであれば八百五十度C以上で二秒以上、PFOAであれば千度Cで二秒以上の焼却条件でこれらを九九・九九九%以上分解できることを確認しております。

 この結果を踏まえまして、令和四年九月にPFOS及びPFOA含有廃棄物の適正処理に関するガイドラインを公表させていただいたところでございます。

 環境省といたしましては、このガイドラインに沿って適正処理が実施されるよう、自治体や業界団体等に周知を行っているところでございます。

 また、環境省の調査した範囲内の数字でございますが、このガイドラインに基づいた処理の実施が可能な施設数は、令和六年三月末時点で十一施設となっているところでございます。

大河原委員 PFASの処理、管理については、未知の物質でありますが、市民、住民の危機感はとても強く、政府もしっかりと対応すべきだと考えます。御答弁にも、事業者の数やまた処理した量については若干の増加があったということですけれども、この調子では、完全に処理していくにはまだまだ時間がかかりそうだということです。

 一万種類以上あると言われているPFAS、現在規制されているPFOS、PFOAなどを含む泡消火剤の代替はほぼ完了しているという理解でおります。

 しかし、本年一月二日には、羽田空港で、あってはならない航空機事故があり、大きな火災となりました。この際には泡消火剤が使われたのかどうか、そして、その消火剤はPFOS、PFOAが含有されたものだったのかどうか、また、それ以外のPFASが含まれている可能性があるのか、お答えください。

田中(知)政府参考人 お答えをいたします。

 本年一月二日に羽田空港で発生した航空機事故における消火救難活動では、航空局が所有する空港用化学消防車六台が出動し、泡消火薬剤を使用して消火活動を行っております。

 この消火活動では、規制されたPFASが含まれていない泡消火薬剤を使用しております。一方で、委員御指摘の規制されたPFAS以外のPFAS、これは含まれている可能性がございます。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 同じく一月二日に発生いたしました羽田空港の航空機火災に際しまして、東京消防庁からも、大型化学消防車を含む百十五の部隊が出動して消防活動に当たっております。

 その際、使用しました泡消火剤は、PFOSなどの化学物質審査規制法に基づく第一種特定化学物質に指定された物質を含まないものを使用したというふうに聞いております。一方で、第一種特定化学物質に指定された物質以外のPFAS、これについては含むものであるというふうに聞いております。

大河原委員 御答弁ありがとうございました。

 代替した泡消火剤には、現在は規制されていないPFASが使用されているという可能性はあるということだったと思います。

 そこで、再び環境省にお尋ねします。

 このように現在規制されている物質以外のPFASが今後新たな規制対象となることを考えた場合、次々に代替品で交換していくという事態になっていくのではないでしょうか。あるいは、PFAS類が入っていない泡消火剤の使用を視野に入れていくのか。その点についてはいかがでしょうか。お答えください。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 泡消火薬剤の中には、規制対象外のPFASを含有するものがありますが、国際的に見ても、POPs条約上、同製品の製造、輸入は禁止されていないものと承知をしております。

 泡消火薬剤については、可能な限り環境汚染リスクの低い製品を使用していただくことが重要であると考えておりまして、今後とも、PFASの有害性に関する情報や諸外国の規制の動向等を踏まえて、関係省庁とも連携をして、適切な方向性を検討してまいりたいと存じます。

大河原委員 より安全なものに替えていくということは私も望んでいるところでございますけれども、次々に代替品に交換していくということではイタチごっこになってしまいます。そして、有害なPFASを使い続けることにもなるわけですから、その影響を懸念しております。

 PFAS全体を規制する取組について、今度は大臣に伺いたいと思います。

 PFASの規制については、EUが進めているように、PFAS全体を把握し、規制していくべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。お答えください。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、欧州では、PFASの全体の製造、使用等を禁止する規制案が現在提案されております。様々な議論がまだ現在進行中であるというふうに承知しております。

 我が国の化学物質管理については、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律等に基づき、そのリスクに応じた規制を行ってございます。委員が今御指摘なさったEUの総PFAS規制など、諸外国における規制動向等を注視しつつ、関係省庁と連携してしっかり対応を検討してまいりたい、そのように考えております。

大河原委員 伊藤大臣におかれましては、諸外国との環境大臣会議などにおかれましても積極的に御発言もいただいている様子を拝察しております。

 是非とも積極的に、国民の命を守る立場から環境省がこれまで期待されてきた、その国民の期待に応える存在だということを示す意味でも、環境省のシンボルとして積極的な取組を、世界中で解決しようとするこのPFAS問題で日本がその先陣を切るような、そんな発想も持ってお取り組みをいただきたいと思いますので、お願いいたします。

 PFOS、PFOAを含有する廃棄物については、ストックホルム条約で、そのPFOSを破壊するための焼却が義務づけられております。焼却をしっかりと行うことで無害化ができるという御答弁は先ほどもいただきましたが、それが本当にきちんと実施されているかは疑問なんです。

 と申しますのは、昨年十一月、岡山県吉備中央町では、水道水の検査で、PFOS、PFOAが、国の暫定目標値五十ナノグラム・パー・リッターを超える千四百ナノグラム・パー・リッターが検出され、大問題となりました。

 環境省に伺います。

 PFOS、PFOAが暫定基準値の三十倍近く検出された吉備中央町のPFOS汚染問題、省としては、まず、この問題の事実関係、経過についてお答えください。

土居政府参考人 お答えいたします。

 昨年十月、岡山県吉備中央町の円城浄水場で暫定目標値を超えるPFOS、PFOAが令和二年度から検出されていたことが吉備中央町から発表されました。

 これを受けまして、岡山県が調査を行ったところ、円城浄水場の水道水源であります河平ダムの上流の河川から暫定目標値を超えたPFOS及びPFOAが検出されたほか、ダムの上流域に当たる資材置場の土壌や、そこに置かれておりました活性炭からもPFOS及びPFOAが検出されております。

 岡山県によりますと、当該活性炭につきましては、再生利用を目的として搬入されたものの、長期の保管によりまして梱包資材から使用済活性炭が流出していることなどを基に、現在、岡山県によりまして廃棄物処理法に基づく指導が行われているというふうに承知しております。

大河原委員 吉備中央町のことを伺いましたが、私は本当に驚いています。この問題についても環境省はどのような対応をしたのかについてもお答えください。

土居政府参考人 吉備中央町が昨年十二月に設置をいたしました専門家の委員会におきまして、現在、原因の究明などにつきまして議論が進められておりますが、そちらへの専門家の紹介、また、PFOSなどに関します技術的な情報の提供を行い、日々相談に応じまして、自治体の支援を行っているというところでございます。

大河原委員 ありがとうございます。

 吉備中央町の対策委員会に、しっかりと環境省からかなり直接的に関わっていただいているということが分かりました。

 私は、本当にこの吉備中央町の問題は、資材置場に置かれていた再生利用を、リサイクルをしようとしているPFASを吸着した活性炭からの汚染だと見られるということでございますので、焼却をしていないものが運び込まれていたことで起こってきたと見るほかないかなというふうに思いますけれども、焼却されることなくリサイクルされようとしていた、このことは、例えば沖縄の北谷浄水場でも活性炭をPFASの除去に使っていると承知しております、これらのものが使用済活性炭の再生市場に新たな製品となって拡散するのかと思うと、不安が広がります。

 ですから、吉備中央町の使用済活性炭については、どこから購入されたか、そして、そこから影響したと思われる、その因果関係をきちんと解明していくべきだと考えますが、どうでしょうか。

 先ほども申し上げましたが、このPFAS問題は、日本全国で、水道水源となる河川や地下水から国の暫定目標値を超えて検出されているわけです。住民が自主的にPFOS、PFOAの血中濃度を調べて血中濃度が高かったとしても、今現在、なすすべがございません。また、PFOS、PFOAの含有量は、水道水の水質管理目標項目とされておりますが、水質基準項目ではないわけなんです。そのために、測定をしていない自治体がたくさんあります。住民は、何も気づかないまま水道水を飲んでいることになります。このような状況を放置するわけにはまいりません。

 ですから、まずは、PFOS、PFOAの含有量を水道法に基づいた水質基準として自治体に検査義務が発生するようにすべきではないかと思いますが、環境省の御見解を伺います。

土居政府参考人 水道水に含まれますPFOS及びPFOAにつきましては、令和二年四月に、水質管理目標設定項目に位置づけまして、それらの合算値で一リットル当たり五十ナノグラム以下という暫定目標値を設定しております。

 水道事業者等では、これを踏まえまして、必要に応じて水道水中のPFOA等の測定に努めているところでございまして、実績でいきますと、令和三年度の水道統計によりますと、水道水のPFOA等の水質検査につきましては千二百四十七地点で実施されたというふうに承知しております。

 水道水におきますPFOAの位置づけにつきましては、現在、食品安全委員会におきまして今後取りまとめられます評価結果を踏まえまして、環境省におきまして、専門家の意見も伺いながら検討をしてまいりたいというふうに考えております。

大河原委員 環境省は、PFASに関する今後の対応の方向性を取りまとめています。PFASに関する更なる科学的知見の充実のために、国内において関連する研究の推進を目的として三つの機関に委託研究を行うことになっていますが、知見の積み重ねをしてリスク評価を行うことはもちろん重要です、しかし、今現在の住民の不安を払拭する政府の施策をもっと優先して行っていく必要があるのではないかと私は感じております。

 PFASは、日常生活の中で本当に無数に使われております。被害が出てから対応するのではなく、予防原則に従って環境省は施策を講ずるべきと確信をしております。PFASを日本からなくすために、疑わしいものは使用しないを原則とすべきです。

 そこで、最後に大臣にお伺いいたします。

 PFAS汚染に対しては総合的な政策づくりが必要ではないでしょうか。大臣のお考えになるロードマップをお示しください。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 大変重要な御指摘をいただいたと考えております。

 委員御指摘のように、約一万種類以上あるPFASでございます。今、そのうち特に有害性が指摘されているPFOS、PFOAについては、これまでも関係省庁と連携し、製造、輸入等の原則禁止や、暫定目標値を超えた値が検出された場合の飲用による暴露防止を推進し、安全、安心の確保に努めてきたところでございます。

 そしてまた、環境省が設置した専門家会議において、PFASに対する総合的な対策を検討し、PFASに関する今後の対応の方向性を昨年七月に取りまとめていただいたところでございます。

 環境省では、この対応の方向性を踏まえた取組を前進させるため、今委員から御指摘がありましたけれども、令和五年度補正予算として一億五千万、令和六年度当初予算として約二億円を計上し、本年度から、PFASの有害性に関する知見を更に深めるための総合研究を開始することとしております。

 委員が大変危機感を持って御指摘になりました。私も危機感を持っています。科学的知見の集積を更に進めるとともに、危機感を持って、今ある法律あるいは今ある方針、これを総動員して、国民の安全、安心のために必要な取組を全力で進めていくとともに、研究成果や世界での知見というものの集積もなるたけ早く進めて、具体的な、更に安全を高めるための政策をプロアクティブに進めてまいりたい、そのような意思を持っております。

 よろしくお願いいたします。

大河原委員 大臣の真摯な姿勢は評価をしておりますので、是非積極的な取組、PFASは本当に永遠の化学物質と言われるほどに分解しない、無害化するのが難しい、そして環境中に既にたくさん蓄積され始めておりますし、それが私たちの体の中に入ってきているということもありまして、私自身も、自分の血液からPFASが検出されるという事態に少々ろうばいいたしました。

 だからこそ、知見を集めることは重要だとは思います、リスク評価のためにしっかりと科学するということは大事です、しかし、今不安の真っただ中にある国民の声に応えるという政府の姿勢が更に重要だということは改めて申し上げなければなりません。

 総合的な政策、対策が必要だということは、このPFASが本当に日常生活のあらゆるところで使われているという現実をやはり一人一人が自覚をして、そして総合的な対策が取られる中で自分の行動を変えていく、そのことで永遠の化学物質をこの世界から廃絶をする、やっとそこにたどり着けるのだと思いますので、環境省におかれましては、全庁を見渡す、全ての政策についても大きな責任と信頼を寄せてもらえる省として、是非羽ばたいていただきたいと思っているんです。

 応援団でございますので、是非とも積極的なお取組を更に御期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

務台委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 ただいまの大河原委員の御質疑に引き続きまして、PFAS問題を質疑させていただきます。

 大河原委員からの御質疑は、極めて根本的な、基本的なところを、環境省に対する期待を込めてお話をされたと思います。

 実は、私がこのPFAS問題を最初に取り上げたのは、昨年の五月、厚生労働委員会でございました。当時、アメリカ・バイデン大統領の下に、PFAS問題は国家を挙げての、二兆円とか三兆円規模の大きな予算がつく、あらゆるところで様々な有機フッ素化合物が使われ、それが拡散していくことに対して、特に環境健康被害などについて万全の対策を取ろうという意思の表れとして、当時の厚生労働大臣であった加藤勝信さんに御質疑をいたしました。残念ながら、その時点では、加藤大臣はこの問題は余り御存じなかったと思います。

 今、大河原委員から言われましたように、これは、環境汚染としても、今後の体への影響から見ても大変重要ですので、対策の遅れが逆に様々な問題を惹起しているように思いますので、今日はその観点から、大河原さんが幹をお示しくださいましたので、私は枝葉の部分になるかと思いますが、質疑をさせていただきます。

 まず、環境大臣としての認識をお伺いしたいのですが、環境省は、今度からは飲料水もそうなっていると思いますが、あとは水系、河川とか等々含めて水の管理ということを担っておられまして、そのための調査というものも毎年なさっております。

 お示しいたしました資料の一、国内の検出状況というのは、水系におけるこのPFASの基準値、暫定目標値を超過した地点が一体幾つあるかということで、令和元年度から、実は四年度もデータをいただきましたので、令和元年度から令和四年度までの調査の結果でありますが、調査地点も増えておりますし、暫定目標値を超過した地点も年々増えております。

 今年度でいえば、超過地点というかこの暫定目標値を超えたところは、十六都道府県で百十一ということでありまして、これは、暫定目標値を超過した地点の、ここには二百五十と書いてありますが、重なったところ、一回のところを二回測ったりしてございますので、地点数でいうと十六都道府県で百十一地点、河川が三十六、湖沼が一、海域はゼロ、地下水は七十四となっておりますが、昨年度に比べても三県、三十四地点増えております。

 すなわち、エリアも増えて、高く測定されるところも増えておるということですが、大臣にあっては、まず、この暫定指針値を超える場所が増え続けている、こういうことについてはどのようにお考えでしょう。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 先週、令和四年度の公共用水域及び地下水の水質の測定結果を公表したところでございます。PFOS等の暫定目標値を超過した地点は、令和三年度で八十一地点、今御指摘になったように、令和四年度では百十一地点でございました。

 この令和四年度の調査では、前年度から新たに八県、百二十五地点の測定地点が追加されております。それらの地域の測定結果において、五県では超過地点は一つもなく、沖縄県における三十一の超過地点を含めたことなどの結果となっていると思います。

 したがいまして、必ずしも、委員が御指摘になったように、全国的に満遍なくその汚染が拡大しているということを示す結果ではないというふうには認識しております。

 いずれにいたしましても、環境中の水質の測定結果を注視して、必要に応じて自治体への技術的助言を行うなど、国民の安全、安心が図られるようにしっかり環境省としても取組を進めてまいりたい、そのように考えております。

阿部(知)委員 全国的に満遍なく汚染が拡大しては困るので、ただ、だがしかし、三都道府県増えておりますし、地点では三十四増えておりますし、増えているという実態は環境省としてもお認めになった方がよろしいと思います。

 今大臣のお答えは、私のお示しした環境省が提出しておられる国内の検出状況、経年変化、これはちょっと検査方式が違っておりますが、二〇〇九年から水、生物、底質等々をチェックしてきて、これについては低減傾向があるというふうな報告をなさってございます。

 私は、これは非常に誤解を生みやすいと思うんです。定点的にモニターしているところでは確かに低減傾向があるのかもしれないけれども、一方で汚染拡大地域があるということですから、では、何をしなければいけないかというと、汚染源を確定して、汚染の拡散を防止するという、そうした発想に立っていただかなければならないデータだと思っております。

 その意味で、この前、環境省がある市民団体の皆さんに御説明に使われたときに大変違和感が出た発表ですので、くれぐれも、定点観測のところはこうだけれども、現状においては幾つか指摘されるところがあるというふうに、国民とのリスクコミュニケーションをされた方がいいかなと思うので、あえてここにお示ししました。

 開いていただいて三枚目、これは、先ほどの環境省の水質調査等々に基づいて、あるジャーナリストの方が作られ、セミナーで話されたことですが、現在、これだけの地点で、いわば、暫定目標値をはるかに上回るPFOS、PFOA汚染が、環境省の資料からも読み解くことができます。

 ここには、さっき大河原さんが取り上げられました岡山の吉備中央町も出ておりますが、また、基地の汚染がずっと指摘される沖縄はもちろんですが、各地で、東京もそうですし、様々な形で汚染が指摘をされております。

 そして、また開いていただいて、私は、環境省のいただいた資料を全部並べて、どういう特徴があるかということを見たのですが、PFOSとPFOAを合わせた上位地点が大阪府と沖縄、そして、PFOSが上位、これが沖縄、PFOAが上位、これが大阪。分析していきますと、パターンの特徴がございます。これも大臣は既に御承知と思いますが、PFOSの多くは基地でありますし、PFOAは摂津が多いので、ダイキンの関係かと思います。

 私が今大臣にお願いしたいのは、この間の水質調査は、当初は環境省が幾つか決めていたのですけれども、その後は自治体にお願いして、自治体から上がってきたものを公表をされております。逆に、自治体が上げてこなければここには載ってこないという構造を取ってございます。

 開いてもう一枚目、資料の五ですが、ここには、環境省が自治体に対して、こういうところが測定して高くなる、地点選定についてはこうしたことを考えていただきたい。泡消火剤、それから有機フッ素化合物の製造、使用の実績がある施設、廃棄物処理施設、下水道処理施設、その他となっておりまして、そういうところで実際に高く出た自治体が報告をして、それのデータと、一方で環境省がモニターしたデータと、二つ並んでいるのです。でも、私の懸念は、もし自治体が言ってこなければ汚染が見つからない可能性も多々あります。逆に言えば、先ほどの地図のように次々と出てきているのは、自治体がそうした事態に直面して、自分たちで測らねばと思った地域であります。

 大臣に二点伺います。

 環境省として、これだけの地域がリスクがあるんだということを一から五に挙げておられますので、もう少し予見的に、先んじて調査を計画されてはどうかということと、二つ目は、自治体が測る場合に、先ほど吉備には環境省の方がいらしていると言われましたが、費用も人材も全部自治体持ちなんです。測定方法もまだ普及しておりません。全部自治体が持つんです。こうした状況では、本当の全体像は把握されない。

 測定時の費用負担、そして人材派遣、このことをしっかりと行うべきと思いますし、計画を立てて、環境省の方からリスクを勘案して測定の計画を立てる、この二点について御答弁をお願いいたします。

伊藤国務大臣 委員からは、緻密な分析による非常に鋭い御指摘をいただいたと考えております。

 二つ御質問をいただいたと思うのでございますけれども、環境省では、PFOS及びPFOAについて、二〇一九年度から二年間にわたって全国の水質調査を実施するとともに、最新の知見や水環境における検出状況等を整理して、二〇二〇年に要監視項目に位置づけたところでございます。

 これに伴って、二〇二〇年度以降、調査、対策を一貫して行うことができる地方公共団体が、それぞれの地域において公共用水域、地下水の調査地点を選定し、調査を進めているところでございます。

 環境省としては、技術的な助言を通じて、これらの調査を行う地方公共団体を支援するとともに、これらの結果を取りまとめて、PFOAの存在状況の把握に努めているところでございます。

 引き続き、地方公共団体と協力して、環境中の存在状況の把握に努め、国民の安心、安全のための取組を進めてまいりたいと思います。

 二つ目の御質問でございますけれども、PFOS等は、既に製造、輸入が禁止されておりますが、委員御指摘のように、過去に様々な用途で使用されたものが環境中に残存しております。したがいまして、汚染源の特定が困難な場合が多いというふうに承知をしております。

 このため、環境省としては、汚染源のいかんによらず、河川水や地下水において暫定目標値を超過した場合には、健康への影響を防止するため、その飲用による暴露防止を徹底することが重要であるというふうに考えております。

 環境省としては、こういった観点から、自治体が暴露防止を徹底する際の参考になる対応の手引を作成して、自治体に対して技術的助言を行ってきたところでございます。例えば、今御指摘ありましたけれども、自治体からの要請を踏まえ、岡山県等への専門家の派遣なども行っております。

 引き続き、手引を踏まえた取組がなされるように、自治体に寄り添いながら、技術的な助言等を行い、国民の安全、安心のための取組を進めてまいります。

 そしてまた、今、いろいろ委員から御指摘いただいた点については努力したいと思います。

阿部(知)委員 私が申し上げたかったのは、これは地方に丸投げして済む問題ではないということなんです。バイデンの例を挙げたのは、国家プロジェクトなんです。国が、汚染の未然防止のために、測定も計画を立てて行うということなのであります。

 次のページを見ていただくと、このことがよく分かると思います。資料六であります。

 これは、今、正直言って、魚のおなかからも高いPFOAなどが出てまいりまして、相模川ですけれども、大変住民の不安が強いわけです。

 もちろん、これまでも、先ほど御紹介した二〇〇九年から二〇二二年における環境省のモニタリングにおいて、ここは魚、貝類もやっておりますが、一万五千ピコグラムという、パー・リッターという、これはナノに直すと十五ナノですが、現在、相模川の支流の魚から出ているPFASは十四万ナノグラムとか、これは肝臓と身を分けて、肝臓にはたまりますから、身が二万九千ナノグラム。今までは十五ナノグラム、環境省が見てきたものは十五。でも、ここで出てきた魚、これは全国で幾つかありますので、一番高かった相模川を取り上げましたが、ここほど違うのですね。

 起きている事態は、吉備でもそうですが、異常値が非常に高く出ると、その自治体は当然住民の健康を守るために持ち出しで、自費で、あるいは自治体のみならず、実は自治体がやった例は吉備、今度始まりますけれども、あとはみんな手弁当で、住民のカンパで、自分たちの不安を解消するために測っているのであります。

 それは、余りにも国としての対策が遅れてしまっているし、せめてそのことにお金を出す。測定にはお金がかかります。せめて、本当は計画を立てて、さっきの高く出る地点、汚染源となりやすいところは、環境省もわざわざ自治体にここで示しているわけですから、そういうところはモニタリングをなさればいいのです、環境省が。でも、事が発覚してから住民が不安で測って、そして、これまでは自治体すらお金がないから、それを測ることができませんでした。

 大臣にあっては、是非、測定のための費用の予算を国として獲得していただきたい。これは地域主権でも何でもなく、環境汚染を防止するための国策、国の姿勢なんだと思います。大臣、いかがですか。

伊藤国務大臣 御指摘いただきました。

 今の国家予算の仕組み、また地方自治の仕組み、またその知見の状況、いろいろございますけれども、委員の御指摘を踏まえて、できることは努力してまいりたいと思います。

阿部(知)委員 是非大臣に期待しますので、よろしくお願いいたします。

 こうした状況に鑑みて、例えば口から食べるものの安全性、野菜、魚、水もそうですけれども、もろもろあって、農水省として、この間幾つかのいわゆる調査研究のスタートを切ったところかと思いますが、特に、食品関係というか、魚介類、あるいは野菜、あるいは牛等々の食品に関わる部分で、農水省のお取組を教えてください。

大島政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省では、魚介類のPFASの含有実態を把握するため、令和三年度から四年度にかけて、消費量の多い魚介類を中心に実態調査を実施をしたところでございまして、その結果を取りまとめ、昨年十一月に公表しておるところでございます。

 ただ、当該調査につきましては、調査点数等が限定的であったことから、本年度も引き続き調査を実施し、更なる実態把握に努めてまいりたいと存じております。

 委員の御指摘がありました水産物以外の野菜等の品目につきましても、摂取量が多い品目を中心にしっかりとターゲティングをした上で、調査に盛り込んでまいりたいと考えているところでございます。

阿部(知)委員 今お触れになりませんでしたが、例えば中国などから来るアサリ等々は非常に高くて、既に缶詰の中にも入っております。食の安全は意識して守ろうとしなければ、今の紅こうじではありませんが、起きてしまって被害が出てからでは遅いということで、是非、農水省にあっては体系的なお取組を環境省と連動してやっていただきたいと思いますが、大臣、よろしいでしょうか。

伊藤国務大臣 農水省を始めとして、関係省庁とはしっかり連携して進めてまいりたいと思います。

阿部(知)委員 私がこういうことをわざわざ確認いたしますのは、日本におけるPFAS関連の国の取組が、例えば、後ほど国土交通省にも触れますが、農水省、環境省、厚生労働省、様々に、本当に連携して、私は会議体を持って全体像を把握する必要があるんだと思いますので、その意味で、大臣のリーダーシップを今お尋ねをいたしましたので、よろしくお願いいたします。

 次に、先ほど大河原さんのお取り上げになりました吉備中央町、もう少し私の方で深掘りしてみたいと思いますが、資料の七ページを御覧ください。

 ここは、私が、実は昨年の十二月二十六日に現地に行って、フレコンバッグが置かれていた、今は撤去されてこのような、野原のようになっていますが、この土壌にいっぱいPFASがしみ込んでいる。ここには、野積み状態で、むき出しで三百個のフレコンバッグがあった。当初は六百個だったらしいですが、それがだんだん、三百個になってきているというところで汚染が発覚をいたしました。四百五十万ナノグラム、これまでで最高値がこの土壌からも出てきているわけです。

 そして、左側に地図がございますが、この資材置場はダムに向かう水系の上の方にございまして、このダムがポンプアップしてくんでいるということで、ダムの水も汚染をされ、ダムから下域も高い濃度が出たということであります。誰もこのフレコンバッグからPFASが出てくるとは、正直言って、こうした事態が発覚するまでは思っていなかったということであります。

 事態は更に深刻なことに、ここで、住民が不安で、住民同士で測定した、専門家にお願いして測定した血液中のPFASの濃度。PFOAとPFOSと、四種類合わせて四PFASを測るのが最近は多うございますが、その中で、十歳以下の子供でもPFOAが百五十一・九。私は、子供のデータでこんな高いものを見たことがありません。いかに水域が長年にわたって汚染されたか。

 この二十七名、自分たちでお金を出して測った全員が、ドイツの基準にもアメリカの基準にもはるかに上回るのみならず、子供が高く出ている。これは、本当に、私は放置できない深刻な事態だと思います。

 そこで、大臣、先ほどのお話ですが、今度、吉備町は、このデータに基づいて、三月三十一日、三十日でしたか、から町として自分たちで測るということを決めました。当然お金がかかります。先ほど私が申し上げたかかる費用、専門家は送っていらっしゃるそうですから、分かると思います。どういう方法で、どれだけの人を測り、どういうデータを得るか。その費用の負担までお願いしたい。

 町にしたら、青天のへきれきです。上の方に置かれた資材置場から飲む水まで汚染され、住民の子供まで高い濃度が出たとなれば、それだけで言えるわけではないけれども、やはり不安が募り、測定を希望されるのは私は当然の思いだと思いますので、是非この費用負担をお考えいただきたい。もう一度お願いいたします。

伊藤国務大臣 委員が御指摘になった、岡山県吉備中央町が血中濃度調査の実施を表明したことは承知しております。

 現時点では、PFOS等の血中濃度と健康影響の関係を評価するための科学的知見は十分ではないというふうに承知しております。

 環境省としては、昨年七月に専門家会議で取りまとめられた今後の対応の方向性を踏まえ、エコチル調査等により科学的知見の充実に努めていくところでございます。

 委員の今の御指摘、大変重要だと思います。メディカルドクターでもある委員の御指摘でもございます。ただ、既存の財政の仕組み、令和六年度の予算というものもありますから、その中においてどういうことができるか努力させていただきたいと思います。

阿部(知)委員 私は、当然、予備費だって使っていいと思います。予算は有効に使うためにあるんです。特に命の安全、安心のためにこそ使っていただきたいし、大臣、次のページを見てくださいますか。

 資料八、これも町が独自に測った資材置場周辺の土壌のPFOS、PFOAであります。置場の方、置かれていた直近のところは十六万とか、赤い印がついていますから見ていただければ。そして、その周辺ですら四十五とか高く、PFOAだけでですよ。当然、合わせれば水質基準も超えてまいります。

 これは、国の土壌の基準がないからといって待っていられないんです。だって、そこが明らかに汚染源なわけです。これを見ただけでも分かりますよね。置場の周辺は万とか十万の単位で高いわけです。周辺が少しずつ減っていく、汚染は薄まっていくからですよ。

 環境省から人が行っているなら、それくらいのことは、私がこれを出さなくたって、申し訳ないが把握していただきたい。その上で、住民の不安に応える環境行政をやっていただきたい。是非、予備費からでもどこからでもいいです、だって環境省が未然に調べていれば計画は立てられますけれども、そうではないから事態はぼこっと出てきて、そこで本当に不安が募りますので、大臣にはもうこれ以上お尋ねしませんので、念頭に置いていただきたい、この吉備の件は。

 でも、まだまだあるんです。今度は兵庫県の明石市で実は、それに行く前に申し訳ないですが、今のところで再生処理の問題に少し触れさせていただきます。

 大河原さんが廃棄物の処分のところをお尋ねになりましたが、吉備はなぜこういうことが起きたかといえば、実は、再生処理をするんだといって、業者さんが粒状活性炭にしてPFASを吸着させて、それをまた剥がせば再利用できますので、運び込んでいたわけです。でも、再利用せずに長年放置して、現状では廃棄物になったんですけれども。

 果たして、この再処理という期間はどんなモニターがされているのか。ノールールなんです、ノーチェックなんです。結果、なれの果て、放置され、廃棄物となって見つかって、高い濃度であった。やはり経過でそれをチェックする体制がなかったことこそ、大きな問題と思っております。

 それで、終わりから二枚目、資料十一でお示ししていますが、粒状活性炭残渣の処分・再生方法というところで、これは、活性炭を処理すればまた使えるんですけれども、そのときに同時に剥がれてくるPFAS類をどうするかということと、大気にも出るということで、完全閉鎖型の廃ガス管理システムが必要だし、そして、加えて、再生と処分によってPFASが大気放出されるおそれがある。そして、遊離したものはまた、土に置いて高くなったのは遊離して出ていったからなんですけれども、そういうこともあるわけです。

 誰も目を向けていなかった再処理過程。いつの日にか、それは廃棄物になったら処分します、監視しますよでは駄目で、ずっと一連、ウォッチしなければならないということで、今日、大臣には、再処理過程も問題なんだと。

 今、これから各地で再処理が起こります。ここをどう管理していくか、少なくとも管理型にしなきゃいけないということでありますが、今、ノールールであります。誰もウォッチしていない。この点について、今日私が御指摘いたしますので、大臣の御答弁を伺いたいと思います。

伊藤国務大臣 御指摘いただきましたけれども、そのとおり、使用済みの活性炭の再生利用については、現時点においては、特にPFOS等に関する何らかの規制がないというふうに承知しております。

 環境省では、昨年七月の専門家会議において取りまとめた対応の方向性を踏まえ、PFASに関する対策技術を始め、様々な科学的知見等を収集しつつあります。

 PFASの処理に用いられる活性炭の処理性能等についても知見を今収集しているところでございまして、使用済みの活性炭の再生利用に当たって、御指摘もありました、特に留意すべき点があるかどうかを含め、あると思いますけれども、様々な知見を蓄積して対策をしっかり講じてまいりたい、そのように考えております。

阿部(知)委員 前向きな御答弁ですけれども、はっきり言って、やはり、環境省の対策の方が現状より遅れていて、そこで事態が発生していると思うんです。そうしたときは、発生した事態をよく見て、まず、大体傾向としてモニターしますとか、全体を見ますとか言うんですけれども、物が起きたところをちゃんと見なければ、対策も傾向も浮かんできませんので、吉備の場合は、何度も申しますが、環境省も行っておられますし、是非、この再処理過程の問題は今後しっかりお取り組みをいただきたい。

 と同時に、明石市では、これは突き詰めて言うと、工場が汚染源になったところであります。

 資料九で、赤丸のところが工場なのですが、ここには二タイプの産廃処分場がございまして、一つは管理型、一つは安定型と呼ばれる廃棄物処分の二タイプがありますが、特に管理型でない方で周辺に高いPFASが測定をされております。

 この件についても、工場排水、工場の近くは危険であると環境省は指摘しているのですから、これは県議会議員から大臣宛てに要請が上がっていると思いますが、お読みになりましたでしょうか。

土居政府参考人 お答えいたします。

 現地からは御要望いただいておりまして、担当の指定職で内容を吟味しているところでございます。

阿部(知)委員 官僚の皆さんのところで止めないで、大臣宛ての要望書で、私は非常に重要だと思うんです。さっきの再処理工程も、あと工場の排水というところも、やはり現実に高く出ていて、現地では不安を持って、対応してほしいと上げているのですから、そこを遮断しちゃったら、大臣も現状がお分かりにならないと思いますので、またこれは別途取り上げさせていただきますけれども、問題が大きいので。

 最後に、せっかく来ていただきましたので、農産物の方は先ほど伺いましたが、下水に流れた汚泥、ここにもやはりPFASがございます。これは国土交通省の方でお取り組みをいただいておると思いますが、今、懸念は、汚泥の肥料を使おうか、海外からの飼料が高いのでということになっておって、この点について、下水管理の国土交通省から現状のお取組をお伺いいたします。

松原政府参考人 御答弁いたします。

 下水汚泥資源の肥料資源として活用することにつきましては、持続可能な食料システムの確立や資源循環型社会の構築の観点から有意義と考えておりますが、消費者の安全、安心に配慮しながら進めていくことが重要であると認識しております。

 国土交通省といたしましても、肥料の品質の確保等に関する法律を所管しております農林水産省さんに対して必要な協力を行うなど、汚泥肥料の安全、安心について関係府省と連携してまいりたいというふうに考えております。

阿部(知)委員 これまではPFASが危険物として認知されておりませんでしたので、そういう汚泥をチェックするときもちゃんとしたチェックがなかったと思います。是非トータルに、大臣のリーダーシップの下、よろしくお願いいたします。

 終わらせていただきます。

務台委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 立憲民主党の森田でございます。

 引き続き、会派の質問を続けさせていただきます。

 私の方からは、せんだって衆議院は通過をいたしましたけれども、生物多様性の増進法というものがございまして、これに関連するところの課題をいろいろと議論させていただければなというふうに思っております。

 ちょうど、委員会の質疑をしていたのが先週だったと思いますけれども、先週末の新聞に、三井住友銀行が森林を二百二十ヘクタール取得というような記事が出ておりまして、これは神奈川県の伊勢原市の森林約二百二十ヘクタール。二百二十ヘクタールといってもどのくらいなのかなと思って、東京ドーム何個分というような計算をしてみたら、四十七個分ぐらいになりましたけれども、そのぐらいの森林を今回取得したということが記事で出ていました。

 ここに書いてある内容としては、二酸化炭素の排出権の取引に基づいて、取得した森林から出る、二酸化炭素で取引をして、いわゆるカーボンニュートラルの状況を出していくということだと思うんですけれども、プラスアルファの要素として、地域の環境教育の場にも活用すると記事は書いてあったんです。

 この前の法案で扱った生物多様性の保全地域のことは特にここには触れていないんですけれども、参考人の方に、もしお分かりになればでいいんですが、この件について、生物の多様性について関連するような情報が上がってきているかどうかという辺り、何かつかんでいらっしゃることはありますでしょうか。

白石政府参考人 お答えを申し上げます。

 大変恐縮でございますが、個別な三井住友銀行の土地取得の件につきましては、いまだちょっと情報を持っておりません。何か分かりましたら、また先生のところに御報告を申し上げたいと思います。

森田委員 ありがとうございます。

 それぞれの企業がいろいろな自然に対する取組を進めていく中で、恐らくは、こういった複合的な目的で森林を取得していったり、あるいはいろいろな活動をしていったりということがこれからも出てくるんじゃないかなと思って、この三井住友銀行のケースは、ちょうどあの法案の審議をしていたときでもありますし、もちろん、二酸化炭素の排出と生物の多様性というのは直接今回の法案では関係してくるところではないかもしれませんが、環境行政として、日本の将来の環境あるいは国土の在り方を考えたときに非常にいいケースじゃないかなというふうに私は見せていただきました。

 なぜ大企業の例を取り上げさせていただいたかといいますと、私たちの国というのは、大体経済活動をしているのはいわゆる都市部でして、そこに企業が集まり、そして人が集まりという中でいろいろな企業活動をして経済的な利益を生み出しているわけですけれども、どうしても一極集中で、人口がそこに集中をして、一方で自然が損なわれてしまったり、農村が荒廃をしてしまったり、あるいは山林が荒れてしまったり、こういう状況もあるという中で、やはり経済的な利益、得られたものをいかにして地域だとか自然にプラスになる方向で還元していけるかどうか、循環させていけるかどうかというところをいろいろな形で熱心にやっていかないと、今回の法案のときにも出てきました二〇三〇年までに国土の三〇%を保全するということはなかなか達成できないんじゃないかなというふうに思っております。

 一つは、国として持っている制度としては、交付税の問題もあると思います。いろいろなところで払っていただいた税金をいわばちょっと弱いところに下ろしていくという中で、都市から農村であったり、いろいろな地域に下ろしていくということもあると思います。

 今回の企業が保全をしていくという仕組みも、これは税金ではないので公的な仕組みではないですけれども、半公的な仕組みとして、企業が上げた利益をいかに農山村も含めたところに、自然環境のところに戻していけるかということで、これは、税金の仕組みと併せて、半公的な仕組みとしてはこれからどんどんどんどん積極的に活用していくべき形なのではないかなというふうに思っております。

 翻ってみて、私の地元の地域を歩いてみますと、地域ごとに生物の多様性ということを考えてみますと、やはりなかなか生存が難しくなっている動物、植物というのがおります。

 例えば、私の住まいがあるところの熊谷市でいきますと、トゲウオ科の小さい魚なんですけれども、ムサシトミヨという魚がいたりとか、行田市に行くと、今度はキタミソウなんという、これは水辺に生える本当に小さい植物です。それから、そのお隣に行って羽生に行くと、ムジナモなんという、これもやはり水生植物です。それから、そのお隣に行って、利根川と渡良瀬川が合流する北川辺という地区が加須市のところにあるんですけれども、そこに、オニバスというハス、こんなに大きい葉っぱが出て紫色の花が咲くような、そういったものがあったりするんです。

 どこの地域の保全活動の方に聞いても大体問題は共通していまして、人手がいない、お金がない。人手がいないというのは、今まで一生懸命やっていた方たちがどんどん歯抜けで、ちょっとお年を取って、今までは草刈りに出てくれていた方が出てくれなくなっちゃったりとか、介護だ、病気だということで。やはりだんだん、これは別に生物多様性の保護をする団体に限ったことではないんですけれども、世の中が高齢化しているからしようがないといえばそれまでの話なんですが、地域地域で保全をされている方々がいろいろな困難に直面をしているということで、少しでもこういうところにプラスになることができないかなというふうに思っています。

 この前の法案で扱ったところというのは、どっちかというと、多様性を保護していますよ、保全していますよという証明を出して、財務のいろいろな情報だとか、それから自然に関することだとか、こういったものをやって、投資家の皆様に、うちはちゃんと自然の保全活動もやっていますよということで、投資家にプラスになるような、投資家にプラスになるということは自社にプラスになるような形でやっていってもらおうということで循環を回していこうということなんですけれども、例えば、非上場の企業とか、あるいは地域でやっている中小企業の皆様にとってはメリットがあるかというと、なかなかそれだけでは直接のメリットがないということになるんだろうなと思っております。

 そこで、国ができることとして直接的なところは何なんだろうなと考えたら、これをやっているということを仕事にやはり結びつけられるかどうかというところが大事な視点だというふうに思っております。

 国が直接関係していることといえば、いろいろな調達のことであったりだとか、あるいはいろいろなものを建設するときのことであったりとか、そういうところの入札の制度、総合評価の制度みたいなところに、自然に対するプラスの働きをしている、活動している、支援をしているということを、その加点の情報として、条件として付加できるということなんかは国としてできることじゃないかなというふうに思っております。

 この辺りについて、このメリットをどうやって出せるかということなんですけれども、大臣はどういう御見解をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。

伊藤国務大臣 非常に現在にとって大事な視点だと思います。

 このOECMの登録に関して、現在、直ちに国の入札等に関連づけるということは現時点では考えてございませんが、自然資本への負荷の低い商品、サービスの普及拡大を後押しするため、国の様々な事業等において自然資本への価値評価を活用することは重要だというふうに考えております。三月二十九日に環境省を始めとする関係四省庁で公表したネイチャーポジティブ経済移行戦略においても、今後の課題として掲げてございます。

 委員の御指摘の点も含めて、法案施行後の状況や関連する様々な国の施策の効果を見極めながら、必要性や実現可能性についてしっかり検討してまいりたいと思います。

森田委員 よく会派の議論の中でも、環境省の役割というのはすごく大事なところであって、だけれども、一方で人が少ない、予算が少ないという中で、いま一つ何かインパクトが出せていないんじゃないかという話を、応援したいという意味でそういうことを話をしているわけですけれども。

 すぐできることといえば、聞くところによると、環境省の調達なんかについてはもう既にこういう条件を入れているというようなお話も聞いておりますが、この前の生物多様性の法案は、農水とそれから国交が、それぞれの大臣が主務大臣として入っているということもありますので、せめて環境と農水と国交、この前の法案を持っている大臣については、自分の省庁の契約、いろいろな入札のときに、これをちゃんとやっているかどうかというのを条件として入れていただく、加点をするというか、それを最低限の入札の条件にしていただくということがあってもいいんじゃないかなというふうに思いますけれども、大臣、もう一回、いかがでしょうか、その辺の御決意をお聞かせいただければと思うんですが。

伊藤国務大臣 繰り返しの答弁になって恐縮ですけれども、現時点では、直接、加点等の関連づけることは考えておりませんけれども、委員の御指摘もありますので、関係省庁と連携して、今回の法律が、あるいはまたOECM登録地を持つ企業がそれなりのインセンティブが与えられるような方策について検討してまいりたい、そのために努力したいと思います。

森田委員 お金がない分、熱意、しつこさでプラスの影響を国全体に与えられる、予算を使わずに電話一本で熱意を伝えれば、それがいろいろな地域のプラスに働くという可能性が大いにあるんじゃないかなというふうに思っております。

 ちょっと確認ですけれども、今お話ししたのは国の中の調達の話をさせていただきましたが、地方自治体のいろいろなやはり契約なんかがありますけれども、そういうところにこういう環境の条件を加点の要素として入れていくというのはどうなんでしょうか。総務省からお答えいただければと思います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 地方自治体の入札、契約についてでございますけれども、契約の履行の確保の観点から、例えば、地方自治体にとってより有利な契約の締結を可能とするため、価格のみならず、性能、機能、あるいは技術力を評価する総合評価方式によることができるとされております。

 総合評価方式による場合には、あらかじめ、入札に係る申込みのうち、価格その他の条件が地方自治体にとって最も有利なものを決定するための基準を学識経験者の意見を聞いて定めることとされているところでございます。

 この基準について、これは環境への配慮も含め、どのような項目を設けるかについては、各政策分野における国の動向も踏まえつつ、個々の契約内容を勘案しながら、各地方自治体で適切に判断されるものと考えております。

森田委員 今の話を聞いておりますと、例えば、国で、環境のことを絶対入れなさいよみたいなことはもちろん言えないということだと思うんですが、だとすれば、やはりさっきの省庁間のこともそうですし、それから、いろいろな都道府県、市町村に対して、こういう条件でやっていくと、こういういい環境の保全の活動が生まれましたよみたいなことを積極的に情報のPRというか、PRといえば聞こえはいいですけれども、お願いというか、そういったものも、特に、少し大きな契約を持っている都道府県なんかには積極的に環境省からPRをしていただきたいなと思いますけれども、そういった視点で、もう一回、大臣、いかがでございますでしょうか。

伊藤国務大臣 ちょっと前段は繰り返しになりますけれども、直ちに入札等に関連づけることは現時点では考えておりませんけれども、委員の御指摘もあります、ですから、そういった視点を踏まえながら、地方自治体の入札等についても、必要に応じて関係省庁と検討してまいりたいと思いますし、環境省ができる範囲において広報活動もしてまいりたいと思います。

森田委員 これは別に環境省がいい、悪いの問題ではなくて、やはり国全体をどうやってこれから次の世代に引き継いでいくかという本当に大事な問題ですから、とにかく、何で環境省はこんなにしつこく言ってくるんだとうるさく思われるぐらいにやっていかないと、お金、物を埋めるぐらいのものにはならないと思いますので、是非しつこくお願いしたいと思います。

 それから、還元をする、あるいは再配分をするという仕組みの中に、ふるさと納税というものも、最近かなり大きな額が動いているというようなお話が出てきておりますけれども、これも大事な視点かなというふうに思っております。

 自然環境を切り売りするとか何かを送るというのはちょっと難しいかもしれませんが、例えば、今はふるさと納税を申し込むと、いろいろな項目があるわけですね、子育て支援をするとか何とかの保全をするとか。その中に、里山の保全に資する活動に使うとか、あるいは田んぼの保全、農地の保全に使うとか、いろいろ環境の保全にプラスになるようなことの項目を入れてもらって、田んぼの、農地の環境の保全というところにやってくれた人の返礼品は何かといえば、分からないですけれども、例えば、田植の時期に親子で田植ができる体験をして、秋には収穫の稲刈りをして、もしかしたら、炊いたお米でみんなでおにぎりを作って食べようとか、そういうのができるかもしれない。例えば、里山の保全であれば、クヌギだとかそういう木にカブトムシがいっぱい来ますけれども、昆虫採集をすると言っちゃっていいのかどうかちょっと分かりませんが、そうやって昆虫の、みんなで探検をしようとか、あるいはキャンプ、里山の中で自然の体験をしようとか、夏休みにそういうことをやってもいいかもしれない。

 そういった形で、今、インバウンドの方もそうですけれども、私たちが、そこに住んでいる方からしてみると、そんなことに人が来るのということに都会の人とか外国の人が興味を抱いたり、あるいはそこに癒やしを求めたりということが結構ありますので、なかなか地元にいるとそのありがたみとかプラスのことに気がつかないなんということも結構ありますから、こういうことで、例えば、ふるさと納税の納税額がこのぐらい上がりましたよ、保全にこのぐらいプラスになっていますよみたいな、そういうこともいろいろな事例を紹介して、広めていくということもできるかなと思います。

 これは是非環境省全体として取り組んでいただきたいという意味から、政務官にもお伺いしてみたいと思いますが、朝日政務官、いかがでございますでしょうか。

朝日大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 一部の自治体におきましては、既に、企業版ふるさと納税を活用して、生物多様性の保全に資する事業者の取組を支援している例もあると伺っております。

 環境省といたしましても、こうした事例を参考にいたしまして、既存の制度と本法案による制度をうまく組み合わせたインセンティブの手法についても今後しっかりと研究してまいりたいと考えております。御支援をよろしくお願いいたします。

森田委員 いずれにしても、みんな何億円も欲しい仕事をしているわけではないんですよね、地域の方たちが。草刈り機のガソリン代だとか、本当に気持ちで出すお茶代だとか、ちょっとした交通費だとか、そういった五千円、一万円の中で皆さんが一生懸命やっていらっしゃるので、少しでもそういったものが、都会あるいは大企業、大企業だけじゃないですけれども、いろいろな企業活動の中で得られたものを戻していけるような、そんなことをいろいろな形で是非後押しをしていただきたいなというふうに思っています。

 それから、ちょっと具体的な確認をさせていただきたいと思いますが、OECMと言っておりますけれども、生物多様性の保全地域の指定のことなんですけれども、個人の資産についての指定というのはできるかどうか、ちょっと確認で、お答えいただきたいと思います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの個人資産を本法案の認定の対象にし得るかということでございますが、個人が所有する山林などの個人資産である場所につきましても、本法案の認定を受けて、豊かな生物多様性を維持する活動が行われていれば、認定を受けて、保護地域との重複を除いてOECMとして登録するというようなことになると思います。

 現在、法案に先立って運用しております自然共生サイトという取組におきましても、保護地域との重複を除いてOECMとして登録するということを想定しております。例えば、鳥取県の南部町におきまして、個人が所有する水田、ため池、山林から成る里地里山でありまして、豊かな生物多様性を維持する活動が行われている場所というものは認定しておりますし、こういったところは今後も積極的に認定をしていきたいというふうに考えてございます。

森田委員 ありがとうございます。承知しました。

 私も、住んでいる近所でもそうなんですけれども、最近、うちの方ですと、群馬県から吹いてくる赤城おろしという強い風が、冷たい風が冬に吹くんですけれども、それを防ぐために防風林というのを結構屋敷の北側に植えているお宅が、特に古いお宅なんかが多いんですけれども、その防風林で、防風林として皆さんが認識しているかどうか分からないですけれども、ケヤキの三十メートルもあるような木があったりとか、それを管理ができないので、もう切っちゃおうと。切るといったって、数十万円とか百万円単位で今かかるんですけれども。

 せっかく、それが里山にそのまま相当するかは別にしても、やはり管理していけばそれなりの自然の環境として保全していけるようなところが、本当に見ている前で切られていく姿を見るというのは非常に心が痛むもので、ただ、それは個人の資産だし、その地主さんそのものが相続をして、東京だとか県南の大宮の方で住んじゃっているなんといえば、それ以上のことはもう何も言えないわけなんですけれども。

 そういった適切に管理すれば切り売りをしなくても済むような相続の特例なんかも、今は難しいにしても、将来に向けてこういうものを是非政府内で検討していってもらいたいんですけれども、大臣、いかがでございますか。

伊藤国務大臣 生物多様性増進の活動の実施に当たっては、その土地の所有者等の協力が不可欠でございます。土地の相続等によって所有者が替わることで、その協力が得られなくなり、活動の継続が困難になる場合があることは非常に重要な課題だというふうに認識しております。

 このため、今般の法案では、連携増進活動実施計画を作成した市町村が、その計画に係る活動主体及び土地の所有者等と協定を締結することができまして、協定締結後に土地の所有者等になった者に対してもその協定の効力が承継される制度を設けることで、長期安定的な活動が担保できるようにしたところでございます。

 あわせて、今委員御指摘の税制措置についても、生物多様性増進活動促進法案の成立を前提として、活動を支援するための税制措置の検討を進めて、法施行までに結論を得たい、そのように考えております。

森田委員 是非お願いいたします。

 それから、これも中長期的な視点の上での課題だと思うんですが、特にいわゆる中山間地と言われているような、例えば、もう人が住めなくというか、どんどん山から下りてしまって、元々あった集落というのが、今、事実上、誰もいない村になってしまった、集落になってしまった、こういうところもあると思いますし、それから、その周りにあった田畑も、やはりそれを管理する人がいなくなれば、例えば段々畑だったものが普通の荒れ野に戻っていてということもあります。

 もちろん、適切に管理してくださる方がいれば、そういう方にちゃんと支援をして保全をしていってもらうというのが一つのやり方だとは思うんですけれども、ただ、やはりこれだけ人がいなくなるというのが明白になっていますと、今まで人の手が入っていたところを全部同じようにやるというのもなかなか難しい話でございます。

 そういうことを考えますと、例えば、相続の放棄が出てきたような土地ですとか、あるいは、国に返す制度も今度できましたよね、そういう中で、やはり課題というのは、返すにしても管理の、その相当する費用をつけて返さなくちゃいけないとか、いろいろ難しいところはあります。

 今お話のあったような、きちんとした管理をする、サイトとしてきちんと登録をするとかといういろいろな前提を基に、やはり一つの区域として、いろいろな集落、元の集落だとか元の農地だとかというものも、それはほかの人がやっている中のぽつんとした農地をやれという意味じゃなくて、やはりちょっとエリアとして、ここの地域は難しいんじゃないかというような辺りを中心に、国としてきちんとそれを保全をしていくという考え方を持って臨むということもすごく大事なことなんじゃないかなと思いますけれども、この辺りについて、大臣、御見解はいかがでしょうか。

伊藤国務大臣 おっしゃるように、近年、我が国は、本格的な人口減少社会を迎えております。過疎地域等においては、いわゆる無居住化が進むということが、残念ながら予測されているわけでございます。

 こうした地域では、空き家や荒廃農地の発生等のほか、森林の手入れ不足等が進むこと等により、国土管理上の様々な課題が生じております。こうした課題に総合的に対処するためには、政府全体で取り組む必要があることを認識しております。

 無居住化が進む地域の土地の管理あるいは活用の一つとして、粗放的な管理を行いながら、自然環境が回復するように誘導するという選択肢も一つ考えられると認識しております。

 また、今回の法案において、管理放棄地等において劣化した生態系を回復させる活動も認定の対象とすることとしておりまして、活用方法によっては、無居住化が進む地域の課題解決にも貢献できる可能性があるほか、認定された場合には、補助金等による支援が可能となるように検討を進めていく予定でございます。

 環境省としては、今回の法案を始め、ネイチャーポジティブの実現やサーティー・バイ・サーティーの目標の達成に向けた施策を通じて、人口減少、過疎化が進んだ地域における課題の解決にも取り組んでまいりたいと思います。

森田委員 攻めるより引く方が難しいという話はどんなことでもやはりありまして、広げた風呂敷をどうやって畳んでいくのか。元々は例えば三千万、四千万だった人口が一億二千万まで増えて、また五十年後には八千万人、七千万人に減っていくであろう。これは、どういう対策をしても減っちゃうことは明らかになっているわけで、そこの中でやはり撤退の戦略をどうやって立てていくか。空いちゃったね、空き家でしようがないねと言っているだけじゃなくて、やはり適切に手を入れながら撤退をしていく。撤退をしていくというのは、自然に返していくということですね、プラスの方向でやっていけるわけですから。こういったことも是非国の大きな戦略として組み立てていっていただきたいなというふうに思っております。

 それから、私たちの国は、国土の多くの部分が森林でございますけれども、ちょっと森林の関係について改めて確認をさせていただきたいと思いますが、今回の保全地に林業を営んでいる山林を指定することについての可否の確認をさせてください。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 林業の施業地につきましても、今回の法案に基づく認定を受けて、豊かな生物多様性を維持する活動が行われている場所につきましてはOECMとして登録するという予定でございます。

 本法案に先立って運用しております自然共生サイトにおける例として、例えば、徳島県の那賀町におきまして、杉を中心とした人工林でございますが、広葉樹や下層植生をあえて残す施業というものを行いまして、針葉樹と広葉樹の混交林が形成され、希少種を含む多くの動植物の生息、生育が確認されているというような林業施業地、こちらにつきましては自然共生サイトにも認定しています。こういったところも認定の対象になるということでございます。

森田委員 ありがとうございます。

 重ねて確認ですけれども、保安林というのがございます。これは、水源を守る、涵養するということであったり、土砂崩れを防ぐとか、あるいは防火、火を防ぐ、こういった目的はいろいろありますけれども、保安林についても指定できるという考え方で間違いないでしょうか。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 保安林につきましては、森林法に基づきまして、水源の涵養等の公益目的を達成する上で特に重要な森林を指定されている、森林として維持することを基本として、伐採や転用を規制するということがされているというふうに承知してございます。

 保安林につきましても、民間等が主体で活用している場所でありまして、今回の法案に基づく認定を受けることも可能であるというふうに考えています。

 それから、法案に先立って運用している自然共生サイトにおいても、保安林に指定されている場所も、民間等から申請いただいた上で認定をしているところでございます。

森田委員 続けて、森に関してなんですけれども、FSC認証というのがございまして、これは、持続可能な林業をやっているというところから切り出された木材に対しての認証制度でございますけれども、重ねての確認ですけれども、これも保全地域として認証できるということでよろしいでしょうか。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のFSC認証でございますが、第三者認証機関でありますFSC、フォレスト・スチュワードシップ・カウンシルという機関がございまして、森林管理協議会と訳されているようですが、森林経営の持続性や環境保全への配慮等に関する一定の基準に基づきまして森林を認証する国際的な仕組みだというふうに承知してございます。

 FSC認証を取得した森林につきましても、今回の法案に基づく認定として受け得るということでございます。

 それから、自然共生サイトにおきましても、このFSC認証を取得しまして、希少種を含む多様な動植物の生息、生育が確認されている森林も認定をしている例があるということでございます。

森田委員 ありがとうございます。

 先ほど申し上げたように、日本の国土の中における森林の割合というのは非常に大きいものですから、サーティー・バイ・サーティー、二〇三〇年までに国土の三〇%ということになると、大きいところからどんどんと認証を広げていくというのが、保全の地域を広げていくというのがやはり一つの大戦略かなと思いますので、是非この辺りも早急に進めていただければなというふうに思っております。

 それから、ほかの省庁との関連、あるいは地方自治体との関連もあると思いますので、ちょっと河川の関係についてまず確認をしたいと思います、あと公園ですね。

 例えば、うちの近くですと、北に利根川があり、南に荒川がありという扇状地、平野に出てくるところの川なものですから、非常に河川敷のエリアが広い。堤防をどんどん後ろに広げて高くしてというふうにやってきたエリアでもありますので、河川敷のエリアが非常に広い地域です。ですから、国交省の管理している範囲であったり、あるいは県が管理しているエリアであったりするんですけれども、河川のエリアですから、下手に手は入れられないわけです。環境を保全するという意味では、これはぴったりなんじゃないかなというふうに思っているのが一つ。

 それから、公園のことについても、公園というと、住宅街の中にぽつんと、子供たちがちょっと遊べるぐらいの公園もあると思いますけれども、私がイメージしているのは、例えば、うちの近所ですと、別府沼公園とかといって、田んぼを何枚も潰して造ったような、ちょっと丘があったり池があったりとか、見た目、これは公園ですかというぐらいの非常に広い公園があったり、あるいは、県立の公園ですけれども、スポーツ文化公園なんというので、ラグビー場があったりドーム型の室内の競技場があったりとか、非常に広大なエリアが、人の手が簡単には入れられないエリアとして存在をしているということもあります。

 こういった国とか自治体が管理している河川のエリア、都市公園のエリア、こういうところも保全地域になる可能性があるんじゃないかなと思っておりますけれども、政務官、いかがでしょうか。

朝日大臣政務官 河川や都市公園につきましても、今回の法案に基づく認定を受けまして、豊かな生物多様性を維持する活動が行われている場合には、その場所をOECMとして登録する予定としております。

 また、国の制度に基づき管理をされている森林、河川、都市緑地等は、生態系ネットワークを構築する場として重要であることから、それらについてのOECMとしての設定の在り方について、現在、関係省庁が連携をして検討を進めているところであります。

 委員御指摘の河川区域や都市公園といった国の制度に基づき管理されている地域におけるOECMの設定の在り方についても、国土交通省と連携して検討いたしまして、サーティー・バイ・サーティー目標の実現に向けて議論を前に進めてまいりたいと考えております。

森田委員 やはり国が管理しているところですと、エリアとして指定するのも非常に円滑にいくし、そもそも河川ですと国交省ですから、今回の法律を持っている省庁でもありますので、是非その辺りも進めていただきたいなというふうに思っております。

 それから、そもそもの保護地である国立公園とか国定公園のエリアを広げていくということも、大前提として必要なことかなと思っております。

 やはり森林が多くて、例えば、さっきのお話にも関連しますけれども、林業をやっていたところがもう手が入らなくなったとか、あるいは集落で使っていたところが人が住まなくなっちゃったとか、積極的に保全の地域、環境省が持っている地域あるいは国定公園、こういうものを広げていくということも、大原則としてやはり必要なことかと思いますけれども、続けて、政務官、いかがでしょうか。

朝日大臣政務官 サーティー・バイ・サーティー目標達成のためには、委員がおっしゃるとおり、保護地域の拡張とOECMの設定、この両輪を進めていく必要があると考えております。

 国立そして国定公園については、サーティー・バイ・サーティー目標の達成に向けて、令和三年から令和四年までにかけまして、最新の自然環境等のデータに基づき、生態系等の観点から国立・国定公園としての資質を有する地域を抽出をしております。

 その結果を基に、国立・国定公園の新規指定や大規模拡張の候補地を今選定をしておりまして、今後、関係行政機関との調整や詳細な自然環境調査を行った上で、二〇三〇年に向けて順次指定そして拡張することを目指して、今、鋭意取組を進めている最中であります。

森田委員 繰り返しになりますけれども、私たちは、この取組を全面的に応援していこう、予算がない、人がいないといったって、とにかくこれは国として一番優先してやるべきことなんだという思いで一緒にやりたいと思いますので、これからも応援をさせていただきます。

 以上で質問を終わります。

務台委員長 次に、林佑美君。

林(佑)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会、林佑美です。

 本日は、質問の機会を与えてくださり、ありがとうございます。前回は時間の関係で質問が途中で終わっておりましたので、その続きから質問させていただきます。

 熊による人身被害の防止について伺います。

 熊と人のすみ分けをしっかりすることが被害を減らすことにおいて大変大事だと考えておりますが、過疎と高齢化が進む地域では、圧倒的なマンパワーが不足しております。

 環境省は、人身被害が特に増加している地域の意向も踏まえながら、地域の実情に応じた緊急的な支援を検討していると承知しておりますが、熊を寄せつけない集落環境整備については、どのように支援をしていこうと考えておられますでしょうか。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年秋以降の熊の大量出没、これを踏まえて、熊による人身被害対策ということで検討を進めてまいりました。

 熊類の専門家によりまして検討会を開いていただきまして、二月八日に、クマ類による被害防止に向けた対策方針として、方針を取りまとめいただいております。この報告にいただいたように、ゾーニング管理、広域的な管理、順応的な管理の三つの管理を推進して、人と熊類の空間的なすみ分けを図っていく必要があるというふうに考えてございます。

 このため、都道府県が、熊類の個体数のモニタリング、人の生活圏への出没を防止するための環境管理や必要な捕獲、人材育成などを、地域の実情に応じて実施していく必要がございます。

 環境省におきましては、令和五年度補正予算におきまして、放任果樹等の誘引物の管理、熊類の侵入経路を把握するための調査、地域住民への研修会の開催など、都道府県による緊急的な取組の支援を行うことにしております。

 また、熊類の指定管理鳥獣への指定に必要な手続を現在進めておるところでございまして、検討会の報告を参考にしながら、農林水産省を始めとする関係省庁と連携して、必要な支援の検討を進めてまいります。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 根本的な解決はすぐには難しいと思いますが、自治体とも連携して、まずは被害を最小限にとどめていただき、極力熊と人とすみ分けができるように、答弁にもございましたように、地域の実情に合った対策を進めていただきたいと思います。

 次は、ヒアリ対策について伺います。

 ヒアリは、平成二十九年六月に日本国内で初めて確認され、その確認事例は昨年百件を超え、昨年十二月時点では十八都道府県で百十一件、女王アリも含め累計十万匹以上に上っております。

 現時点で、環境省は国内での定着は確認されていないとしていますが、前回、公明党の中川議員が同じくヒアリについて質疑された際に、専門家からも、依然、定着ぎりぎりの状態だという指摘を受けているという答弁がございました。定着が危惧される非常に危険な状態です。

 ヒアリは、主要港湾等で国際貨物に紛れ込んで侵入するため、水際対策が強化されております。令和四年の第二百八回国会においては、特定外来生物となっているヒアリの対策強化を含む外来生物法の改正が行われ、本年度から、ヒアリ類の疑いがあるアリが見つかった物品の移動禁止等の措置が取られるようになりました。

 ヒアリを含む侵略的外来種の侵入防止については、二〇二二年十二月に採択された昆明・モントリオール生物多様性枠組における二〇三〇年までに達成すべき国際目標では、侵略的外来種の侵入、定着を少なくても五〇%減少させることが掲げられたところであり、対策の強化の遅れは許されない情勢です。

 こうした状況の中、港や空港などの水際対策だけでは限界があることから、より根本的な対策として、政府は、輸出元の貿易相手国にも輸出前にコンテナ内の調査や殺虫、駆除を求める国際枠組みの策定を主要国に働きかけていく方針であると承知しております。その協議の進捗状況について大臣にお伺いしたいと思います。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 重要な御指摘をいただいたと思います。

 ヒアリ等の侵略的外来種の国境を越えた侵入に対処するためには、情報共有を始め、国際協力が極めて重要でございます。我が国が議長国として昨年四月に札幌市で開催したG7気候・エネルギー・環境大臣会合の成果文書には、外来種対策における国際協力の強化を盛り込んだところでございます。

 この成果文書に基づいて、昨年十一月には、G7各国や国際機関の外来種担当者等を東京に招いて、侵略的外来種に関するG7ワークショップを開催いたしました。G7として初めて、侵略的外来種対策に関する協力強化の方向性を取りまとめたところでございます。

 また、私自身も、日中韓三か国環境大臣会合、これが開かれたわけでございますけれども、ここにおいても継続的にこの問題を取り上げてございます。昨年十一月に私が参加した第二十四回会合でも、侵略的外来種が及ぼす負の影響に対処するための協力を強化する決意を相手国とも確認したところでございます。

 環境省では、こうした国際的合意も踏まえて、引き続き様々な枠組みで侵略的外来種対策に関する国際協力の強化を進めてまいりたい、そのように考えております。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 G7を始めとする各国との協力強化を進めておられるということでした。早急に進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。定着してしまいますと、農作物や家畜への被害、また物流への影響など、重大な経済損失が懸念されております。何としてでも定着しないように、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 また、ヒアリ対策については、昨年、台湾やオーストラリアで実績のあるヒアリ探知犬による実証実験のデモンストレーションも実施されたと承知しております。まだ実証実験中ではあると承知をしておりますが、ヒアリ探知犬の今後の活用の可能性及び有効性について環境省に伺います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 ヒアリ探知犬についての御質問でございますが、議員御指摘のとおり、昨年、台湾やオーストラリアで実績のある調査手法の一つであるヒアリ探知犬につきまして、国内の活用可能性について検討するため、十月に、台湾から調査チームを招いて実証試験を実施をいたしました。

 実証試験では、台湾と異なる気候や大きな騒音の条件下においても、サンプルとして用意した死んだヒアリのにおいに反応を示すなど、一定の効果が確認されております。

 既にヒアリが定着している台湾と日本との状況の違いなどはございますので、そういったものも踏まえて、今後、実証試験の結果を分析いたしまして、ヒアリ探知犬の国内における導入の可能性について検討してまいりたいというふうに考えてございます。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 先ほども申しましたように、ヒアリが定着してしまいますと、数千億円を超える経済損失があると試算されております。定着ぎりぎりのところまで来ているということですので、空港では麻薬探知犬なども活躍しております、ヒアリでも効果があったということですので、水際で食い止めるべきあらゆる手段を講じて早急に対策する必要があると思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 次は、花粉症について伺います。

 花粉症はいまだ多くの国民を悩ませ続けている社会問題です。花粉症対策の強化に向け、昨年四月には花粉症に関する関係閣僚会議が設置され、今後十年を視野に入れた施策も含めて、発生源対策、飛散対策、発症、暴露対策の三本柱から成る花粉症対策の道筋を示す全体像が取りまとめられました。また、昨年十月には花粉症対策初期集中対応パッケージが取りまとめられ、初期段階から集中的に実施すべき対応が具体的に示されました。

 環境省は、これまでも杉雄花花芽調査など、飛散予測、花粉飛散量の実測調査、花粉症環境保健マニュアルの作成を通じて、花粉症に関する情報の提供に取り組んでこられたと承知しております。

 そこで、花粉の飛散予想精度を充実させるとともに、国民が適切な行動を取れるよう効果的な花粉飛散予報を情報提供するために今年から導入されるこれらの取組の進捗状況をお伺いいたします。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、飛散対策として、民間事業者による花粉飛散量の予測精度の向上につなげるため、林野庁及び気象庁と連携をし、花粉飛散に係る情報を発信しております。

 環境省が林野庁と連携して行います杉雄花花芽調査では、委員御指摘のとおり、初期集中対応パッケージに基づきまして、昨年秋より調査地点の緯度、経度を公表するなど公表情報を詳細化しておりまして、また、今後できる限り早期に調査の対象地域を全国に拡大する予定であります。

 環境省といたしましては、花粉症に悩む国民の皆様の一助となりますよう、精度の高い情報発信に取り組んでまいります。

林(佑)委員 ありがとうございます。

 私も実は花粉症で、二十年来苦しんでおります。引き続き予測の精度を上げていただきたいのと同時に、杉花粉の分布データなどを活用して発生源対策にも活用していただくことが大事だと思いますので、短期、中期、長期の対策で確実に花粉症を減らしていただきたいと思います。

 次に、花粉症という社会問題の解決には、関係省庁が連携し、様々な対策を効果的に組み合わせて実行することが重要であることから、環境省として関係省庁と連携してどのように取組の実現を図っていくつもりなのか、環境省の今後の取組方針を伺いたいと思います。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 政府では、委員御指摘のとおり、昨年四月から花粉症に関する関係閣僚会議を開催をいたしまして、政府一丸となって花粉症対策に取り組んでおります。

 環境省では、先ほど申し上げました、林野庁及び気象庁と連携した花粉飛散に係る情報発信に加えまして、厚生労働省と共同で花粉症の予防行動や治療方法等について国民に広く周知するためのリーフレットを作成しております。

 また、経済産業省等と連携し、例えば、花粉飛散の多い日には、事業者に対してテレワークを推奨するなどの取組も行っております。

 引き続き、関係省庁とも連携しながら、花粉症対策の推進に取り組んでまいります。

林(佑)委員 ありがとうございます。

 先ほど答弁の中で治療方法のリーフレットなどの作成とありましたけれども、花粉症における医療費も大変増大しております。また、経済損失も無視できない規模となっておりますので、花粉症対策をしっかり進めていただきたいと思います。また、対策として補正予算で六十億確保していただいていると承知しておりますが、できれば当初予算で毎年継続的な対策を講じていただきたいということを要望して、次の質問に移ります。

 プラスチックの微粒子に関する問題について質問いたします。

 先月二十日の報道によれば、東京農工大の高田教授らのグループの分析によって、国内で複数の人から採取された血液にナノプラスチックと呼ばれる直径千分の一ミリ以下のプラスチック粒子が含まれていたことが明らかとなりました。

 マイクロプラスチックやナノプラスチックについては、魚介類などを通じて人体に取り込まれ、環境ホルモンや生殖毒性を含む化学物質に暴露する危険性が指摘されているところです。

 まず、今回の報道の受け止めと、今後、プラスチック微粒子の健康影響について調査研究を国として更に進めていく考えはないか、環境省に伺います。

土居政府参考人 お答えいたします。

 ナノプラスチックを含めますマイクロプラスチックが生態系や人の健康に及ぼす影響を懸念する声、また関連する研究があることは承知しております。

 一方で、国際的に見ますと、国連食糧農業機関や国連の専門家グループなどが、現時点では、複数の研究を基に総合的に影響を判断するために必要な評価手法がなく、十分な科学的知見が得られていないことなどを報告しておりまして、科学的知見の収集、集積が必要だというふうに認識しております。

 このことなどを踏まえまして、環境省におきましては、令和三年度から、水生生物を対象といたしまして、生物、生態系影響のリスク評価手法の検討を開始してございます。

 引き続き、科学的知見の蓄積に努めてまいりたいと考えております。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 プラスチックが生態系や人の健康に及ぼす影響について、先ほど答弁で、現在では科学的知見がないということでありましたが、そもそもプラスチックというのは自然のものではないわけで、それが体内に蓄積されるというのは非常に怖い状況で、心配でもあります。分からないからこそ、予備的な考えも大事であり、極力体内に取り込まない環境整備を行っていただき、リスク評価も、日本だけでなく、国際的な枠組みで早急に進めていただきたいと思います。

 マイクロプラスチックやナノプラスチックは、プラスチックが紫外線に当たって劣化し、波に砕かれることなどによって小片化、微細化することにより発生すると言われております。他方で、化粧品や洗顔剤などに使用されるマイクロビーズは、そうした過程を経ることなく、直接下水処理を通り抜けて海に流出することも考えられています。そして、海に流出したマイクロビーズを含むマイクロプラスチックは、生態系に大きな影響を与えているとの指摘もございます。

 現在、日本化粧品工業会や各企業が製品におけるマイクロプラスチックの使用中止といった自主規制を行っていますが、違反しても罰則がなく、また、業界団体等に所属していない企業は自由にマイクロプラスチックを含む製品を製造、販売できる状況にあります。プラスチック問題に取り組む国の法律には海岸漂着物処理推進法やプラスチック資源循環法などがありますが、化粧品等に含まれるマイクロプラスチックを直接規制する措置は何らされておりません。

 例えば、米国では、洗い流しのパーソナルケア製品における特定のマイクロプラスチックの使用を段階的に廃止する法律が定められております。また、EUでも、オランダなどの国が化粧品における使用規制を呼びかけております。

 生態系の保全と美しく豊かな自然を保護するためにも対策を講じる必要があると思いますが、環境省の御見解をお願いいたします。

土居政府参考人 プラスチックごみを減らすことがマイクロプラスチックの削減にもつながると考えられ、海岸漂着物処理推進法に基づく発生抑制対策や、プラスチック資源循環促進法に基づきますプラスチックのライフサイクル全般での資源循環の促進に取り組んでいるところでございます。

 また、御指摘いただきました化粧品関係でいきますと、洗い流しのスクラブ製品に含まれておりますマイクロビーズにつきましては、二〇一九年に業界団体が使用中止の自主基準を設けまして、削減の取組を行っていただきまして、大きな成果を上げているというふうに認識しております。

 そのほかの製品につきましては、環境省におきましては、セルロースという材料を用いましてマイクロプラスチックビーズの代替をするということが、今取組が進められておりますので、これら代替素材の開発の支援などを通じまして後押ししているところでございます。

 引き続き、これらの措置が前に進むように対策を取っていきたいというふうに考えております。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 プラスチック自体を減らすことがマイクロプラスチックやナノプラスチックを減らすということになると思いますけれども、化粧品のように一次的なマイクロプラスチックの抑制も、将来への生態系の影響を考えると早急に取り組むべき課題だと認識しております。引き続き、調査研究を含め、対応をよろしくお願いいたします。

 マイクロプラスチック、ナノプラスチックといったプラスチック微粒子の大きな問題の一つは、既に広く環境中に存在してしまっていることがあります。そして、粒径が小さいために体内に取り込まれやすく、生物への影響がより強いと指摘されているところにあります。

 国内の民間企業においては、航行中の船にマイクロプラスチック回収装置を設置するなどの開発が行われたり、様々な取組がなされていると承知しております。国としても、こうした民間企業の取組を積極的に後押しするとともに、国自体もプラスチック微粒子対策に取り組んでいく必要があると考えますが、伊藤環境大臣の見解を伺いたいと思います。

伊藤国務大臣 委員御指摘のマイクロプラスチックの多くは、大きなごみが劣化して、微細化して発生すると言われております。このため、発生抑制策として、プラスチック資源循環法等による一層の資源循環を促進するとともに、民間企業の自主的な取組や優れた技術を国の内外の幅広い関係者に周知し、また、地方公共団体との連携を促進していくなど、国全体としての取組を進めてまいりたいと思います。

 さらに、国内のみならず、世界全体でプラスチック汚染の実態を把握すべく、環境の中にあるプラスチックのモニタリング手法の調和、そしてデータ集約も進めてございます。

 引き続き、これらの取組を通じて国の内外の関係者と密に連携して、プラスチック汚染対策をしっかり進めてまいりたいと考えております。

林(佑)委員 ありがとうございます。

 マイクロプラスチックが及ぼす生物、生態系や人への影響が科学的に未解明なところももちろんあると思います。

 その一方で、最近の報道では、市販のペットボトルに入っている飲料水と一緒にナノプラスチック粒子が混入しているという驚きのニュースも耳にしました。その論文によりますと、ナノプラスチックは非常に小さいため、体内を移動し、血液や肺、心臓、脳などに入り込む可能性がある、ナノプラスチックについてはまだ完全に解明されていないが、反応性が高く、大量に存在し、体内の多くの場所に浸透することができるため、マイクロプラスチックより危険性が高いとする専門家もいると書いてありました。

 長い時間の中で知らない間に蓄積されていき、環境や人の体までむしばむ状況はとても怖いです。環境省がリーダーシップを取って、自然と人類を守るといった矜持で対策を取っていただきたいと思います。

 次に、海洋プラスチック削減に向けた問題について伺います。

 プラスチックによる海洋汚染の問題への対策を講じるには、発生源の調査や分析を行った上で対策を立てることが非常に重要だと考えております。OECDによれば、マイクロプラスチックの約四割から五割の排出地域がアジアの途上国であるとされております。

 そこで、世界全体を見た場合、プラスチックによる海洋汚染が生じた最大の要因は何であるのか。また、世界でどのような取組を進めることが汚染を食い止めることにつながるのか。環境省の見解をお願いいたします。

土居政府参考人 委員御指摘のとおり、OECDの推計によりますと、アジア地域の途上国が主な排出地域で、全体の約四割から五割を占めているという推計がございます。

 このため、アジア地域の国での取組が非常に重要だというふうに考えておりまして、我が国では、ASEANと三か国が連携をしまして、海洋プラスチックごみの対策の情報を集積する拠点として地域ナレッジセンターを設立いたしまして、東南アジアを中心としました途上国での技術研修、国別行動計画の策定などの支援を行い、各国の取組を後押ししているところでございます。

 また、プラスチックにつきましては、その製造から廃棄まで、サプライチェーンが地球規模にわたっておるということでございますので、プラスチック汚染対策としては世界全体での取組が不可欠というふうに考えておりますので、今、条約の交渉が進んでおりますので、こちらにも積極的に貢献していきたいというふうに考えております。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 主な排出国は海外が多いとのこと、特にアジアということですが、国内におきましても看過できない状況です。例えば、私が住む和歌山もそうですし、瀬戸内海などでもいまだに多くのごみが漂流しております。国内外問わず継続的な取組を行うことが必要だと考えておりますので、引き続きプラスチック削減に向けた取組の強化をお願いいたします。

 時間になりましたので、質問を終了いたします。どうもありがとうございました。

務台委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会並びに教育無償化を実現する会の杉本でございます。

 最後の質問者ということで、どうぞよろしくお願いします。

 初めに、土居健太郎水・大気環境局長さんと角倉一郎環境再生・資源循環局次長様に御出席を賜っていますけれども、ちょっと時間の関係で質問できない可能性が高いかと思うので、先におわびをさせていただきます。

 それで、今日は、まず申し上げたいのは、ネガティブからポジティブに、我々政治家も含めて、あるいは日本全体も変わっていく必要があるんじゃないかな、政治と金とか、裏だとか表だとか、裏という表現が三回あると何か本会議場で人が出ていくみたいな、そういうネガティブなことではなくてポジティブに、ネガティブマインドからポジティブハートにというようなことで、ポジティブに今国会でも、是非与党側の方々にも、我々が大きく提唱しています旧文通費の公開というような政治改革にも前向きに、ポジティブに取り組んでいただきたいというお願いを少しさせていただきたいと思います。

 いつも申し上げますが、私は、教育立国が大事であり、技術立国が大事であり、環境立国が大事であり、それに関連して観光立国ということになるかと思いますし、環境大臣が、今、伊藤さんがやられていて、非常に重厚な感じがして私はいいと思っているんですけれども、重要閣僚として評価されるような方向に日本国もなっていく流れなんじゃないかなという感じがしているんですけれども、ちょっとその根拠を冒頭申し上げたいと思います。

 担当の方から御報告が行っているかどうか分からないんですが、私はあえてお伝えしなかったんですけれども、日経ビジネス電子版の一月十八日に配信されたものの中で、タイトルが、日本、国家ブランド指数で初の世界トップという記事がございます。これは、去年の十一月の初め頃に、フランスの調査会社であるイプソスというのが、二〇二三年のアンホルト・イプソス国家ブランド指数、略してNBI、ネーション・ブランズ・インデックスというのを発表して、日本が、前年、二〇二二年は二位だったのが一位になりました。それまでトップを六年間続けていたのがドイツというようなことで、この指標で、いよいよアジアの世紀と言われるような流れが出ているんじゃないかみたいな表現とともに、トップテンが、大体、ドイツ、カナダ、英国、イタリア、アメリカ、スイス、フランス、オーストラリア、スウェーデンなどがランクインしているというようなランクがあるんです。

 さらに、冒頭申し上げると、このイプソスのグローバルCEOのベン・ペイジという方は、ここ数年の日本の世界的な人気の高まりと、その結果、最も印象的な国となったことは目をみはるものがある、こう言われている。このイプソス指数の創設者のサイモン・アンホルトという人は、日本が今地球上で最も称賛される国になっているという事実は、世界のソフトパワーバランスが目の前で変化していることを裏づけている、こういう表現をされておられます。

 日本のブランド力というのが、幸福度指標というのがあって、これはなぜか日本は五十四位なんだか六十二位なんだか、そういう低いところにあって、ブータンが高かったんだけれども、稼げないので若い人がどんどん出ていっちゃって、下がってきているみたいなニュースもあったり、幸福度指標でいくと、フィンランドがトップだったりしていますけれども。ブランド力とちょっと違うかもしれない幸福度でもあるんですが、結構裏腹の関係にも実は私はあるような気もします。

 そんな意味で、冒頭大臣に質問させていただくことで通告させていただいているのは、ネガティブに日本を捉えると、少子高齢化だとか、財政の赤字がどんどん膨らんでいっているし、社会保障費も膨らむばかりだとか暗い話もあるんですけれども、一方で、さきの予算委員会で齋藤健大臣と質疑をさせていただいたときに、MITIが経済産業省になって、昔の本当にMITIのような力を発揮されているんじゃないか、前向きな、半導体とか航空機とか自動車とか、どんどん大臣のリーダーシップの下にやっておられますねみたいな話をしているんです。是非、経済産業分野もそうなんですけれども、この環境の分野も、やはりポジティブにどんどん日本がリーダーシップを発揮する。

 その評価は、このブランド力というのも、まだ私も調べ切れていなくてお恥ずかしい、申し訳ないんですけれども、その指標の材料というのが、ちょっと調べたところ、観光は入っているんですけれども、自然環境までは入ってあるかどうか確認できていないんですけれども、一応、指標として、輸出、科学技術への貢献、クリエーティブな場所、クリエーティビティー、あとは製品の魅力、人材、観光、雇用可能性、活気ある都市みたいな、こういうところが日本が高得点を上げているというところまで分かったんです。

 自然の分野も含めて、あるいはリユース、リデュース、リサイクルとかというような環境の技術というんですかね、そういう分野も含めて、まさしく重要閣僚になっていただきたい分野の伊藤大臣にお伺いするのは、一位である日本のブランド力というのを更に継続して更に高めていくという意味で、ばくっと御質問して恐縮なんですけれども、環境行政が果たすべき役割みたいなところをどんなふうに大臣は捉えておられて、更に打って出ようというか、考えてくださっているかを教えていただければと思います。

伊藤国務大臣 まさにネイチャーポジティブシンキングの御質問、御意見をありがとうございます。

 我が国は、南北に長い国土と湿潤かつ四季の変化のある気候条件を背景に、まさに今一位という話もありましたが、世界に誇る豊かな生物多様性を有し、美しい自然の風景に恵まれていると思います。そして、この豊かな自然の恩恵を受けて、私たちの暮らし、経済活動、もっと言えば歴史というものも育まれてきたと思います。

 私も、地方に行って観光の状況を見ますけれども、今、多くの外国人観光客は、もちろん東京にも来ますけれども、そういう自然のすばらしさ、また、それぞれの地域の自然によって育まれた文化、こういったものをやはり魅力に感じて来られている方は非常に多いと思います。

 日本の文化、いろいろな捉え方がありますけれども、やはり自然に対する畏敬の念、自然と共生する知恵や自然観に基づいて、各地で文化の多様性といいますか、地域特有の自然や文化が育まれてきたと思います。現在、こういう固有の地域資源を数多く有する世界自然遺産や国立公園、あるいは国立公園以外の部分もそうですね、自然資源を適切に保護しながら、国内外の誘客を促進して、来訪者にその土地ならではの感動体験を提供する、そういう取組を進めております。

 環境省は、昔は、どちらかというと、規制とか守るということに軸足を置いていたと思いますけれども、今は、守りながらそれをしっかり利活用していく、そのことによって、守らなければならないという意識もシナジーに高まっていくと私は思います。

 環境省としては、こういう取組を推進して自然環境保全に取り組むと同時に、今申し上げたように、利用と保護の好循環を促すとともに、我が国の魅力を広く国内外に向けて発信して、環境立国という名前がふさわしいような、そういう国を皆さんと力を合わせて未来に向けて創造してまいりたい、そのように思っています。

杉本委員 御答弁ありがとうございます。重要閣僚という認識を私は持たせていただいていますので、本当に頑張っていただければと思っております。

 今大臣から自然に対する畏敬の念というお言葉がありましたけれども、ある意味で、ソフトパワーの中で海外から評価されているというところは、人の優しさとかというのもあると思います。それは、人が人に対する優しさもあるし、人が動植物に対する優しさもあるし、あるいは、それこそ自然に対する念、石ですね、例えば巨岩なんかも信仰の対象になるような日本国だなというふうに思っています。そういった意味で、最後に、後半、世界自然遺産についてまた担当局長さんからお伺いしようと思っているんですけれども。

 次に、動植物に優しいという意味で、動物愛護について質問させていただきます。

 まず、これはまたお伝えしておきたいのは、直近の、決算行政監視委員会に苦情報告というのが来る形になっていまして、十二月の十八日に電子メールで届いた苦情を一応お伝えしておこうかなと思っております。

 動物虐待の防止と摘発にもっと真剣になってください、動物虐待を減らすために以下三点を徹底させてほしい、1動物愛護行政には、適切な権限の行使を、2警察には、動物愛護法に基づき、法第四十四条の妥当性判断と迅速な捜査を、3消費者庁には、問題の多い相談に対応し、厳正な法の執行をと。私もきちっと全部目を通すことがなかなかできていない苦情報告の十二月分に、こういった動物愛護に対する苦情が来ておりました。一種、国民の皆さんからの提案だというふうにも思います。

 そこで、私がお伺いしたいのは、私の地元、前も質問したかもしれないんですけれども、一次的に猫とか犬を飼っていらっしゃる方は分かるんですけれども、どうしても多頭飼育なんかで飼えなくなっちゃって、何とか保護してほしいみたいなことで、二次的にNPOとか動物愛護団体とか、あるいは個人的に頑張ってそういうことをしているといういわゆるシェルター的な機能を持つ、特に猫なんですけれども、こういったところで、百匹というのは本当は飼ってはいけないらしいんですけれども、私の地元で百匹を超えているところが幾つかあって、片方はファンドレイジングが、お金を集めることがネットでうまくいって、餌とかあるいは去勢手術の医療費とかも全部うまく回っているところがあるんですけれども、片方で、おうちを、一生懸命御主人の了解を取って、玄関からおトイレから猫がいるんだけれども、もうお金が回らなくなってきて困っているんですという方もやはりいらっしゃるんですね。

 そういう二極化が実はNPOとかでも出てきてしまっているというのがあるかと思うんですけれども、こういったことについての環境省としての取組ですね。一次的には地方公共団体だとかということは十分存じ上げているんですけれども、地公体に対する指導だとか、あるいは、具体的に、こういう地方公共団体ではこんないい例がありますよみたいなところを、これは御担当は自然環境局長さんなんでしょうか、そういった事例も含めて御紹介をいただければと思います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の犬猫の保護団体等につきましては、その活動の態様によりましては、動物愛護管理法に基づく第二種動物取扱業に該当するというところもございます。都道府県等は、この第二種動物取扱業者が動物を適正に飼養管理するよう、法に基づく立入検査等の指導監督を行っているところでございます。

 それから、多頭飼育崩壊という論点でございますが、これを防ぐための各地方自治体における取組の例ということでございます。例えば、茨城県等が行っている、一定頭数以上の飼育を行う場合に届出を条例で義務づけている事例、それから、長野県長野市等が行っている、動物の過度な増加を抑制するための不妊去勢手術を補助する事例、こういった例があるというふうに承知をしてございます。

 環境省といたしましては、自治体において円滑な対応がなされるよう、地方自治体向けの研修におきまして、不適正な動物取扱業者への対応に関するグループワークを実施したり、各自治体における対応事例やノウハウを紹介したりしております。また、届出や補助金等について、全国各自治体の事例を年に一度環境省で取りまとめ、ホームページ等で広く公表をしております。引き続き、こうした取組を通じ、各地域の取組を支援してまいりたいというふうに考えてございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 長野県長野市、委員長のところは長野市は入っているんでしょうかね、違うんですか、失礼しました。長野市では補助を出しているとか、研修の内容も今教えていただいて、グループワークなんかもされておられるし、事例紹介をされておられる、ホームページ公開もしているということなので、やっていただいていることはよく分かりましたので、広報活動を更に強めて、各自治体の認識を強めていただくようにお願いをしておきたいと思います。

 次に、今度は猫じゃなくて犬の方の話になるかもしれないんですが、犬も高齢化して、犬の獣医さんの活動の活発化とか、そういうことで、老人ホームならぬ老犬ホームがあったり、犬も年を取ると認知症になっちゃう。同じところをくるくるくるくる回ったり、狭いところに入り込んじゃったり、寝たきりで点滴を受けるとか、夜、無駄にほえて、ふだん鳴かなかったような犬がたくさんほえて近所迷惑になる、あるいは、お下の方で、排便、排せつで、やはり今まできちっとできていたことができなくなるみたいなことが出てきて、人間も一緒かもしれないんですが、なかなか面倒を見切れなくなるみたいなところがある。ただ、飼っていらっしゃる方が特養みたいな形で、人間の場合はありますけれども、資金的に厳しいとかということで、逆に、高齢の犬たちが最期を迎えるのに大変厳しい環境が想定される可能性もあるかと思うんです。

 長生きになってきているのが、植物は別で、動物もそうなってきていることもあるかもしれないので、こういった犬の認知症なんかについて、飼う前に十分啓発とかをする必要があるのではないかという思いを持っているんですけれども、この辺りについて、動物愛護の観点からまた環境省さんの答えを教えてください。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のございました犬の認知症についてでございますが、人間と同じく犬も認知症を発症しまして、様々な症状が出ることにより、飼い主の負担が大きくなることがあるというふうに承知してございます。

 一般的に、犬の認知症の予防、緩和策として、スキンシップやブラッシング、知育玩具で遊ぶなどといった生活に適度な刺激を与えることが有効だというふうに言われております。

 環境省では、こうした予防、緩和策に加えまして、将来的な負担増加の可能性も理解した上でペットを飼う必要があることにつきまして、啓発資料やウェブサイトなどを用いて普及啓発を行っております。

 引き続き、こうした資料を用いまして、飼い主やこれからペットを飼おうとしている皆様がペットを適切に終生飼養できるよう取り組んでまいります。

杉本委員 ありがとうございます。

 ちょっと余談ですけれども、人間も腰が痛いとかというふうになりますけれども、ミニチュアダックスとかああいうのというのは腰を抜かすんですね。実は、犬の整体というのもあって、腰を引きずっちゃう犬が整体を受けることによって、ゴッドハンドの方なのかもしれないんですけれども、何度も立たせてもらっているとかという事例もあると聞いております。

 高齢犬も、いろいろな形で終末期を、ハッピーという言葉はよくないかもしれないですが、終末期をきちっと幸せに迎えられるようなことを、引き続き、環境省さんとしても、環境行政として力点を置いて頑張っていただければと思っております。

 最後、まとめて質問になってしまいますが、五分弱あるので、今度は世界自然遺産についてお伺いしたいと思います。

 たしか篠原委員が林野庁との連携みたいな質問をさきの機会にされておられたと思うんですけれども、私のお伺いしたいのは、それぞれ歴史的に、五つ今世界自然遺産が認められておりますけれども、それぞれこういう特徴があって、その特徴に対してこういう保全の力点を置いているんだというのを、林野庁との関わりも含めて順次教えていただきたいなと思っております。

 今日は行けるところまで行こうかなということで、歴史的に、承認された順番から、白石局長さんには、白神山地についてまず教えていただければと思います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 白神山地についてのお尋ねでございます。

 まず、世界自然遺産でございますけれども、世界で唯一の顕著で普遍的な価値を有する重要な地域で、世界遺産条約で登録されるということでございます。各締約国は、自国の有する全ての能力を用いてその保全管理に最善を尽くす義務を負っております。

 各遺産地域におきましては、合意形成の場である地域連絡会議、それから科学的助言を行う科学委員会というものを設置いたしまして、国有林を所管する林野庁、自治体等の行政機関や地域の関係者と共同で順応的な保全管理を行っているというのが共通事項でございます。

 その上で、白神山地でございますが、東アジア最大の手つかずのブナ林でございまして、その生態系の価値が評価され、平成五年に我が国で最初の世界自然遺産として屋久島とともに登録された地域でございます。

 当該遺産の自然環境は、国際自然保護連合による最新の評価においても、極めて良好な状態にあり、重大な脅威はないというふうに評価されています。

 一方で、近年では鹿の分布拡大による森林生態系への影響が懸念されていることから、林野庁など関係機関等と連携しながら、監視等の対策を強化しております。

 それから、気候変動や遺産地域周辺の過疎化、高齢化による保全の担い手不足も課題でございまして、引き続き、林野庁など行政機関や地域と連携をいたしまして、順応的保全管理に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 もう一分ぐらいしかないので、屋久島以降はまた次の機会にというふうに思っております。

 世界自然遺産を守っていくのも、冒頭申し上げたブランドとか観光とか、あるいは日本人の、むしろポジティブに考える意味での本当に大事な資産というか遺産というふうに感じますので、大臣の指導の下、白石局長がリーダーシップを発揮いただいて、また更に別のところが、しっかり五つのところは守っていただきつつ、更に自然遺産が指定されるように御尽力をいただきたいなと思います。

 時間となりましたので、大臣からまた別の機会に御答弁はいただければというふうに思っています。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。本日は、ありがとうございました。

     ――――◇―――――

務台委員長 次に、内閣提出、資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。伊藤環境大臣。

    ―――――――――――――

 資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

伊藤国務大臣 ただいま議題となりました資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 資源循環は、ネットゼロのみならず、ネイチャーポジティブの観点からも重要であり、さらに、経済安全保障や地方創生など社会的課題の解決にも貢献ができることから、あらゆる分野で実現する必要があります。世界では、再生材の利用を求める動きが拡大しており、我が国としても、再生材の質と量の確保を通じて産業競争力の強化をすることが重要です。

 本法律案は、このような状況を踏まえ、脱炭素化と再生材の質と量の確保等の資源循環の取組を一体的に促進するため、再資源化事業等の高度化を促進するものです。

 次に、本法律案の内容の概要を四点御説明申し上げます。

 第一に、環境大臣は、資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本方針を定めるものとします。国が目指すべき目標を定め、資源循環産業の発展に向けた施策の方向性を提示します。

 第二に、環境大臣は、再資源化事業等の高度化の促進に関する廃棄物処分業者の判断の基準となるべき事項を定めるものとします。資源循環産業のあるべき姿への道筋を示すことで、産業全体の底上げを図ります。

 第三に、先進的な再資源化事業等の高度化の取組を促進するため、製造業者等の需要に応じた質及び量の再生材を供給するための再資源化の事業、高度な分離回収の技術を用いた再資源化の事業、廃棄物処理施設の脱炭素化に資する設備の導入の三つの類型に該当するものについて、環境大臣が認定する制度を創設します。そして、認定の効果として廃棄物処理法の特例を措置することにより手続の迅速化をするとともに、全国的な事業展開を後押しします。

 第四に、特に処分量の多い産業廃棄物処分業者に再資源化の実施状況を報告させ、これを環境大臣が公表するものとします。資源循環の促進に向けた情報基盤を整備し、製造業者等と廃棄物処分業者とのマッチング機会の創出を通じた産業の底上げを図ります。

 以上が、本法律案の提案の理由及びその内容の概要です。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

務台委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

務台委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る九日火曜日午前十時、参考人として株式会社グーン代表取締役、公益社団法人神奈川県産業資源循環協会会長、公益財団法人全国産業資源循環連合会理事藤枝慎治君、大阪産業大学デザイン工学部准教授花嶋温子君、株式会社北浜化学取締役製造本部長村上慎一君及び公益財団法人地球環境戦略研究機関主任研究員粟生木千佳君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

務台委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る九日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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