衆議院

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第17号 令和6年4月22日(月曜日)

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令和六年四月二十二日(月曜日)

    午前八時五十七分開議

 出席委員

   委員長 小野寺五典君

   理事 上野賢一郎君 理事 加藤 勝信君

   理事 島尻安伊子君 理事 橋本  岳君

   理事 牧島かれん君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 漆間 譲司君

   理事 佐藤 英道君

      あかま二郎君    井出 庸生君

      伊東 良孝君    伊藤 達也君

      石破  茂君    衛藤征士郎君

      小田原 潔君    越智 隆雄君

      大岡 敏孝君    大串 正樹君

      奥野 信亮君    金田 勝年君

      亀岡 偉民君    後藤 茂之君

      櫻田 義孝君    田所 嘉徳君

      田中 和徳君    平  将明君

      塚田 一郎君    冨樫 博之君

      平沢 勝栄君    古川  康君

      牧原 秀樹君    宮路 拓馬君

      山本 有二君    若林 健太君

      渡辺 博道君    井坂 信彦君

      石川 香織君    江田 憲司君

      おおつき紅葉君    大西 健介君

      岡田 克也君    小山 展弘君

      神津たけし君    階   猛君

      堤 かなめ君    藤岡 隆雄君

      山岸 一生君    米山 隆一君

      早稲田ゆき君    渡辺  創君

      青柳 仁士君    一谷勇一郎君

      奥下 剛光君    林  佑美君

      藤田 文武君    岬  麻紀君

      守島  正君    吉田とも代君

      赤羽 一嘉君    金城 泰邦君

      角田 秀穂君    志位 和夫君

      宮本  徹君    田中  健君

      緒方林太郎君    北神 圭朗君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         松本 剛明君

   法務大臣         小泉 龍司君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国務大臣         河野 太郎君

   国務大臣

   (防災担当)       松村 祥史君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   最高裁判所事務総局刑事局長            吉崎 佳弥君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小柳 誠二君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   村上 敬亮君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  大沢  博君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    松下 裕子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 濱本 幸也君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            河邉 賢裕君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    有馬  裕君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    岩本 桂一君

   政府参考人

   (国税庁次長)      星屋 和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            森光 敬子君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  橋本 泰宏君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            山本 和徳君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  稲田 雅裕君

   政府参考人

   (観光庁次長)      加藤  進君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  加野 幸司君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 安藤 敦史君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十二日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     田所 嘉徳君

  今村 雅弘君     古川  康君

  岩屋  毅君     小田原 潔君

  平  将明君     冨樫 博之君

  平沢 勝栄君     櫻田 義孝君

  古屋 圭司君     大岡 敏孝君

  宮路 拓馬君     大串 正樹君

  藤岡 隆雄君     岡田 克也君

  山岸 一生君     神津たけし君

  米山 隆一君     江田 憲司君

  奥下 剛光君     青柳 仁士君

  林  佑美君     藤田 文武君

  守島  正君     一谷勇一郎君

  宮本  徹君     志位 和夫君

  緒方林太郎君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     あかま二郎君

  大岡 敏孝君     古屋 圭司君

  大串 正樹君     宮路 拓馬君

  櫻田 義孝君     平沢 勝栄君

  田所 嘉徳君     石破  茂君

  冨樫 博之君     平  将明君

  古川  康君     今村 雅弘君

  江田 憲司君     米山 隆一君

  岡田 克也君     藤岡 隆雄君

  神津たけし君     おおつき紅葉君

  青柳 仁士君     奥下 剛光君

  一谷勇一郎君     吉田とも代君

  藤田 文武君     林  佑美君

  志位 和夫君     宮本  徹君

  北神 圭朗君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     岩屋  毅君

  おおつき紅葉君    堤 かなめ君

  吉田とも代君     岬  麻紀君

同日

 辞任         補欠選任

  堤 かなめ君     渡辺  創君

  岬  麻紀君     守島  正君

同日

 辞任         補欠選任

  渡辺  創君     山岸 一生君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件(政治資金、能登半島地震等内外の諸課題)


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     ――――◇―――――

小野寺委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 本日は、政治資金、能登半島地震等内外の諸課題についての集中審議を行います。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官小柳誠二君、内閣府政策統括官高橋謙司君、デジタル庁統括官村上敬亮君、総務省自治行政局公務員部長小池信之君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、総務省自治財政局長大沢博君、法務省刑事局長松下裕子君、外務省大臣官房参事官濱本幸也君、外務省総合外交政策局長河邉賢裕君、外務省北米局長有馬裕君、外務省領事局長岩本桂一君、国税庁次長星屋和彦君、厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官森光敬子君、厚生労働省老健局長間隆一郎君、厚生労働省保険局長伊原和人君、厚生労働省年金局長橋本泰宏君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、中小企業庁事業環境部長山本和徳君、国土交通省港湾局長稲田雅裕君、観光庁次長加藤進君、防衛省防衛政策局長加野幸司君、防衛省防衛政策局次長安藤敦史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 次に、お諮りいたします。

 最高裁判所事務総局刑事局長吉崎佳弥君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大串正樹君。

大串(正)委員 自由民主党・無所属の会の大串正樹でございます。

 まず冒頭、四月二十日に発災いたしました海上自衛隊のヘリコプター二機の墜落事故でございますが、現状、政府として把握している状況、あるいは総理の見解についてお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 四月二十日夜、伊豆諸島東方の洋上で、訓練中の海上自衛隊の哨戒ヘリコプター二機が墜落し、計八名の搭乗員のうち、七名が行方不明、救助した隊員一名の死亡が確認されています。現在、自衛隊及び海上保安庁の艦船と航空機が、現場周辺海域において行方不明者の捜索に全力で当たっているところです。既に事故機のものと見られるフライトレコーダーが近接した場所で回収されていることから、二機が衝突して墜落した可能性が高いと報告を受けております。

 こうした重大事故の発生を重く受け止め、自衛隊機の安全な運航に万全を期してまいりたいと考えております。

 また、任務遂行のための厳しい夜間訓練のさなか大切な隊員を失ったことは痛恨の極みであります。

 殉職した隊員に対し心から哀悼の意をささげるとともに、引き続き七名の行方不明者の捜索救助に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

大串(正)委員 ありがとうございました。

 亡くなられた隊員の御冥福をお祈りするとともに、まずは不明者の徹底した捜索、そして原因の究明、再発防止などの徹底した取組をお願いしたいというふうに思います。

 それでは、まず最初の質問といたしまして、先日総理が行われました訪米の成果についてお伺いしたいと思います。

 訪米の報告が、先日、本会議で行われました。その中で、意義や成果については、十分、御説明いただいたとおりだと思います。大変有意義だったというふうに思っておりますが、なかなか質問のなかったところで、これまでの戦略に基づく布石がやはり重要だと思います。外交というのは、一日で、急に行って急に成果が出るものではなくて、しっかりとした準備、あるいはこれまでの布石というか戦略が重要だと思います。特に安倍、菅政権では、自由で開かれたインド太平洋など、海外からも高く評価される新しい外交戦略を展開してきたわけでありまして、そういったものが結実した訪米ではなかったかと思います。

 特に岸田総理は、安倍政権下でも長く外務大臣も務められておりましたということもありまして、今回の成果に向けて、これまでどのような戦略で臨んできたのか、そしてどういった布石が有効だったのか、さらには、今回の成果が今後のどのような布石になっていくのかということについてお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、私自身も、外務大臣そして総理大臣として、長きにわたりまして、日米同盟の深化、さらには同志国との関係強化、こうした取組に力を入れてまいりました。あわせて、広島出身ということもあり、核兵器のない世界の実現、こういったテーマも強く訴えてきた次第であります。

 近年では、ロシアによるウクライナ侵略を受けて、厳しい対ロ制裁、そして強力なウクライナ支援、これを行ってきたこと、また、国家安全保障戦略、これを改定して防衛力の強化に努めたこと、また、韓国との関係改善、さらにはG7広島サミットの開催、キャンプ・デービッドにおける日米韓首脳会合の実施、こうした取組を通じて、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化するということ、そして、そのことと表裏一体でありますが、日本と日本国民の安全と繁栄を確保すること、これらを特に重視し、念頭に置きながら、一歩一歩取組を進めてきたということであります。

 そして、今回の訪米ということになったわけですが、訪米に当たっては、今、国際社会が歴史的な転換点にある中で、日本とアメリカがグローバルなパートナーとして、どんな未来を次の世代に残そうとしているのか、そして、そのために日本とアメリカが何をしなければならないのか、こういった点を明確なメッセージとして日米両国あるいは世界に対して示したい、こういった思いで訪米に取り組みました。

 結果として、日米首脳会談、そして連邦議会での演説等を通じて、こういったメッセージを伝えることができたと感じております。

大串(正)委員 ありがとうございます。

 これまでの様々な取組、大きなものから小さなものまで含めて、それが成果となって結実したんだろうなというふうに思います。

 世界情勢が今非常に大きく動く中で、こういった外交の継続性というものも大変重要だと思いますので、引き続き積極的な取組をよろしくお願いいたします。

 そして、今御答弁の中にも含まれておりました、G7のときの成果というものも確かにたくさんございまして、私もデジタル副大臣として関わらせていただきましたが、そのときやはり大きなテーマとなったのがDFFTの課題でございます。デジタル分野でも外交の手腕が期待される分野が増えてきているわけでありますが、今後、DFFTの前提となる国際的なデータ連携基盤の構築というものも、これは大変重要なことだと考えております。

 デジタル分野の外交戦略について、総理のお考えをお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘のDFFT、すなわち信頼性のあるデータの国境を越えた移転、これについては、二〇一九年のG20大阪サミットで日本から提唱したものです。そして、昨年のG7広島サミットで、私自身が議長を務める中で、国際枠組み、IAP、これを設けることで合意をしたということでありました。このように、これまで我が国は一貫してリーダーシップを発揮して、DFFTの取組を前に進めてきました。

 こうした中、昨年十二月に、OECDの下で、IAP、この国際枠組みが実際に設立される運びとなりました。日本が議長国を務める本年五月のOECD閣僚理事会でも、取組の段階的強化について議論をすることとなっています。

 経済のデジタル化、これが加速する中で、企業は国ごとに異なるデータの越境移転や域内保存に関するルールへの対応を迫られています。こうした課題に企業が直面している、こうした現状の中で、こうした企業のニーズも伺いながら、DFFTの推進、国際的なデータ連携基盤の在り方について引き続き議論を行っていくわけですが、その際に、我が国としてその議論を引き続きリードしていきたいと考えております。

大串(正)委員 ありがとうございます。

 この分野は、トラストサービスも含めて、EUが主導でルールづくりの取組が進んでいるという状況もございますので、これまでの外交力を発揮して、スピード感を持って対応していただきたいというふうに改めてお願いを申し上げます。

 次に、政治資金についてお伺いをいたします。

 私はもうずっと無派閥でやってきたんですけれども、今回の趣旨は派閥のパーティー券収入の不記載問題のお話かと思いますが、私は少しちょっと視点を変えて、再発防止のための政治資金の透明化のプロセスに必要なことについてちょっとお伺いをしたいというふうに思っております。

 政治資金、寄附とかそういった政治資金の流れの透明化に今デジタル技術の活用が有用とされて、いろいろな議論が進められているかと思います。各党の中でもそれぞれ議論が進んでいると思いますが、デジタル化すれば透明化するというものではなくて、透明化できないものはデジタル化できないということで、まずはその資金の流れを明確にするというのが大前提の議論ではないかなというふうに思います。

 ただ、デジタル化によって政治資金にまつわる様々な手続の省力化というのも可能になりますし、そのためにも、個人のマイナンバーのように、法人に対しても何らかのIDの取得が必要になるというふうに考えておりますが、政党によってちょっと名称は違うかもしれませんけれども、それぞれの議員の政治資金の受皿となっております政党支部は法人番号は取得できるかどうか、お答えいただきたいと思います。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 法人番号につきましては、番号法に基づき、国税庁におきまして、国の機関や地方公共団体、設立登記法人のほか、人格のない社団等のうち一定のものにつきまして指定を行っているところでございます。

 このうち、人格のない社団等につきましては、団体としての組織を備えていること、多数決の組織を備えていること、構成員を変更しても団体そのものは存続すること、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定していることなどの点につきまして、個々に判断することとしております。

 委員御指摘の政党支部への法人番号の指定につきましては、こうした観点から政党支部の位置づけを踏まえ検討する必要があると考えてございます。

大串(正)委員 ありがとうございました。

 皆さん余り御存じないかと思うんですけれども、今の説明のとおり、現状は法人番号の取得ができないという状況が続いております。各党によって扱いも違いますけれども、政党支部、あるいは後援会、資金管理団体などの政治団体の各種手続のデジタル化の前提として、何らかのIDの取得が不可避でありまして、早急に御検討いただきたいというふうに思います。

 一般には、法人や個人事業主にはGビズIDというログインサービスの仕組みがございまして、現在かなり普及しております。百十三万者に発行され、百八十のシステムと接続されるというふうに伺っております。

 そのシステムは、例えば社会保険手続の電子申請など、そういったことができるサービスでありますので、これは大変便利ではないかなというふうに思っております。我々政党支部も私設秘書の社会保険手続などを行っているわけでありますから、このGビズIDを発行していただければ事務効率というのは飛躍的に向上するはずでありまして、先ほどの法人番号というよりは、実はこのGビズIDというのを是非付番をしていただければありがたいなというふうに思っております。

 さらに、いろいろな献金とかパーティー券の購入も、銀行に振り込みという意見もございますけれども、例えばですけれども、寄附のポータルサイトなどを作って、それを通じて入金をすれば、例えば電子マネーにも対応できますし、また寄附控除の手続も、寄附者がGビズIDを通じて寄附をすれば、寄附控除の手続もe―Taxと連動すればペーパーレスで対応できることにもなります。

 また、ほかのメリットとしても、フィルターを設けることによって、例えば、補助金を受けている企業から献金はもらえないといったときも、フィルターでそういった寄附を受けないようにすることもできたりとか、外国人からの献金などもシステム的に拒否することも可能となって、公正性の向上も期待できるというふうに考えております。

 こういった新しい制度、こういったことはこれから皆さんで議論しながら国会で決めることでありますけれども、このような仕組みを構築することは可能かどうか、制度的な可能性とシステム的な実現性についてお伺いしたいと思います。

笠置政府参考人 今御提案ございましたものは、政治資金の授受の方法といったものをこういったものに限定をして、それ以外のもの、公正性等の観点から、それ以外での寄附を禁止するといったようなものだと受け止めたところでございます。

 現行の政治資金規正法におきましては、政治資金団体に係る寄附について、預金又は貯金の口座への振り込みに限るという制限はございますが、その他の収入、支出の方法につきまして、特段の定めはございません。

 御提案につきましては、政治資金のやり取りを特定の手段、方法に限定することとし、その限定した手段、方法に、政治団体への寄附やパーティー券購入などを行おうとする個人や企業、団体を登録させるとともに、寄附やパーティー対価の支払いを受けようとする政治団体につきましても登録をしてもらうといったことが少なくとも必要になるのではないかと考えられます。

 その他、論点はございますけれども、その具体的な内容にもよりますが、技術的な面からだけで申し上げますと、不可能とは言えないのではないかと考えられます。

 いずれにしても、政治資金に関することでございますので、政治団体のみならず、寄附等を行う個人や企業、団体の政治活動の自由とも関連をいたしますことから、各党各会派において御議論いただくべき事柄だと考えております。

大串(正)委員 ありがとうございます。

 可能性としては十分にあり得るというふうに理解をさせていただきました。これからいろいろな政治資金をめぐる透明化の議論の中で、是非、こういったデジタル化の分野についてもしっかりと議論をしていただければと思います。

 デジタル化の仕事をしていて思うのは、国会とか我々の政党支部自身が本当にデジタル化が遅れている分野だなというふうに思っておりまして、これはやはり、民間にも先駆けるようなしっかりとした仕組みをつくっていただきたいと思いますので、今回は、最低でも民間並みの効率的な仕組みの導入など、様々な可能性を模索していきたいというふうに思っております。

 続きまして、能登半島地震への対応についてお伺いしたいと思います。

 まずは、亡くなられた方々への御冥福と、そして被災された方々へのお見舞い、そして一日も早い復興へ尽力することをお誓いして、御質問させていただきたいと思います。

 今回の能登半島地震、非常に特殊な状況が重なった地震とは存じておりますけれども、反省点もたくさんあると思います。

 ただ、これまで、私の地元でありました阪神・淡路大震災とか東日本大震災などの経験を経て、我々はいろいろなことを学んだわけであります。いろいろなこれまでできてこなかったことをしっかりと対応するようなことも考えて、今までの災害対応よりはスムーズに対応できた場面も多分多かったと思います。

 今回の能登半島地震の災害対応というのは、恐らく初めてDXの本格的な演習の場となったのではないかなというふうに思っております。防災DXの取組も進めているわけでありますけれども、得られた知見が非常に多いんだと思います。改善すべきところは改善をしながら、成果があったものについてはやはり素直に評価すべきではないかなというふうに思います。

 そこで、まず、今回活躍しました物資調達・輸送調整等支援システムについてお伺いしたいと思います。

 このシステムの運用の成果や課題、対応策等があればお答えをいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 能登半島地震におきましては、発災直後から過去最大規模のプッシュ型支援を実施したところでございます。国の物資調達・輸送調整等支援システムを活用いたしまして、在庫管理のほか、市町の必要量の登録、県での取りまとめ、国への発注、事業者への発注、また物資の搬入、搬出時期の把握、輸送計画の策定といった手続を関係者間でデジタルで即時に確認、共有でき、災害対応業務の迅速化、効率化に大いに役立ったところでございます。

 また、プッシュ型支援終了後も、県と被災市町との間の支援物資のやり取りは、引き続き本システムを活用して行われているところでございます。

 一方で、実地に使用する中で、自治体担当者のシステムの習熟度の向上とか、また使い勝手の改善等の課題も見えてきたところでございますので、今年度、新たな物資調達・輸送調整等支援システムの構築を進める中で、今回の教訓も盛り込みまして、より直感的に使いやすく、業務の迅速化、効率化が図れるよう、鋭意開発を進めてまいりたいと考えております。

大串(正)委員 ありがとうございます。

 最大のプッシュ型の支援を行ったということでありますので、これはやはり、被災者の避難状況に合わせてしっかりと必要なものが必要なところに効率よく届くというその仕組みを、これからもしっかりと取り組んでいっていただければというふうに思います。

 一方で、被災者情報の把握にはマイナンバーカードの災害時利用も有効と考えられてきたわけでありますが、実際、カードを持参して避難された方というのは少ないというふうに言われております。

 スマホはほとんどの皆さんが持って逃げるんですけれども、マイナンバーカードまでというとなかなか難しいので、この点は今後のマイナンバーカードのスマホ搭載に期待するとして、直近の災害に備えて、マイナカード不所持の方々への対応をどうするかなど、反省点を踏まえてお答えください。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 市によっては、九割を超えた罹災証明のオンライン申請、薬剤、医療情報の閲覧等、一定のメリットは発揮したと思いますけれども、マイナンバーカード自体の携行率が四割程度であったこと、緊急に十分なリーダーを用意できなかったことなどから、十分にマイナンバーカードを活用できたかというところは反省が残ったと考えてございます。

 まず、平時から利活用できるシーンを増やして、携行率を上げること、それから、カードリーダー等について、平時から緊急時用に十分な数を準備できるよう取り組んでおくこと、それから、御指導いただいたスマホ搭載を着実に進めていくこと等々により、更にマイナンバーカードの防災での活用局面を広げてまいりたいと考えてございます。

大串(正)委員 ありがとうございました。

 マイナンバーカードの日常的な利用シーンも増やしながら、災害時の有用性を広く広報していただくことも忘れずにお願いしたいと思います。

 また、災害時の医療対応もデジタル化の技術が有効だというふうに考えております。今回活躍したと言われております災害時保健医療福祉活動支援システム、いわゆるD24Hの運用にもいろいろなメリットあるいは課題があったと伺っておりますので、この点についてお答えをいただければと思います。

森光政府参考人 お尋ねの災害時保健医療福祉活動支援システム、D24Hは、避難所の衛生状況など保健、医療、福祉に関する情報の集約、可視化等を行い、迅速かつ効率的な意思決定等を支援するためのシステムであり、今回の能登半島地震において試行運用を行ったところでございます。

 発災当初、交通が遮断され、支援チームの派遣が制限される中、DMATや保健師等の保健医療の専門職に加え、自衛隊や避難所の運営を担当する職員などが収集した情報も一元的に集約することによりまして、支援者のマンパワーが限られる中、効率的な情報の集約、可視化に貢献したものと考えております。

 また、集約した情報を基に、避難所等における感染症の発生状況を分析し、重点的な支援が必要な避難所等を特定することによりまして、感染症対応チームの派遣や医薬品、検査キットの送付など、これを効率的に、効果的に実施しましたほか、健康リスクや介護リスクの高い避難所に対しまして、保健、医療、福祉の専門職の応援派遣や必要な衛生物資のプッシュ型支援、これを実施するなど、避難所等で過ごす被災者の命と健康を守る取組を効果的に進めることができたものと評価をしております。

 一方、試行運用の開始当初、マニュアル等が十分に整備できておらず、システムの使い方や情報収集の方法などが徹底されていないなどの課題が生じたことから、マニュアル等を整備するとともに、各自治体の担当者に対する研修を実施するなど、円滑な運営に向けた取組をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

大串(正)委員 ありがとうございます。

 災害現場は本当に、多職種連携など、様々な平時の課題が表に出てくる場面でもあるかと思いますので、日頃から意識を高める取組も進めていっていただければというふうに思います。

 ほかにも、私が個人的には、薬剤師の方からオンライン資格確認による薬剤情報の共有というのは大変便利だったというふうな声も伺っておりますし、今回の能登半島地震の際にもその効果を発揮していたというふうに伺っております。

 実際にこういった、称賛というか褒められているという状況もしっかり伝えていただくことが、実はこれまでなかなか伝え切れなかったマイナンバーカードの利便性を理解してもらうことにもつながっていくのではないかなというふうに思いますので、効果的なシステムについてもこれからも御紹介を行っていただければというふうに思います。

 次の災害は、南海トラフ地震や首都直下型地震など、大災害が予想されておりますので、よいものをしっかり普及させて、課題には事前に十分な対応を取りながら、これからもしっかり準備されていただきたいというふうに思います。

 以上で質問を終わりたいと思います。

小野寺委員長 この際、井出庸生君から関連質疑の申出があります。大串君の持ち時間の範囲内でこれを許します。井出庸生君。

井出委員 おはようございます。今日は、総理、また法務大臣、よろしくお願いいたします。

 私からも、冒頭、政治資金の問題について伺います。

 この週末の報道で、今週いろいろ動きがあるようだということが報道されておりますし、党においても全体会合が予定をされているというふうに聞いております。法改正はもちろんですが、各党からの指摘、それから我が党の平場の議論でも様々な問題について取り上げられました。

 その中で、各党間で協議がされてきたものの中には、旧文通費というものがございました。また、こうしたものについて、今、総理はどのようにお考えなのか、まず伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の旧文通費、すなわち調査研究広報滞在費につきましては、これは議員活動の在り方に関する重要な問題であり、全議員共通のルールの在り方について各党各会派での議論が必要だと認識をしてまいりましたが、あえて自民党総裁として申し上げれば、既に私の指示も踏まえて自民党としても各党会派と議論を行い、日割り計算の実施、そして旧文通費の性格の整理などについて、衆参議院運営委員会の下での議論を進め、この点については実現をしたところであります。

 その上で、先日、我が党に対しまして、旧文通費の残る課題、すなわち文通費の性格の整理を踏まえた支出可能経費の確定、そして支出の公開の在り方、こうした残る課題について各党会派間で議論を再開してもらうこと、これを指示したところであります。自民党として、積極的に、この議論、参加してまいりたいと考えます。

井出委員 今、旧文通費の使途について、それから公開の在り方について、また各党との話をするというようなことが最後にございました。

 これまでもいろいろ議論があった部分ですし、文通費に限りませんが、私は、今回の政治資金の問題を、これからの世代の、これから国会議員になる方ですとか、なったばかりの方ですとか、そういう将来政治に関わっていく人たちにとって、政治活動とお金の在り方が、どういうものが次世代にとって望ましいのか、そういう姿を示していっていただきたいと思いますし、そのためには、国会の議論、国民の声、それから、私からは特に党内の声、平場の議論ですね、それを聞いていただきたいということを強くお願いしておきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 そうしましたら、次に、裁判、再審法のことについて今日は取り上げたいというふうに思います。

 袴田事件という有名な事件がございます。一九六六年、静岡県で一家四人が殺害をされた事件。事件発生から五十七年、死刑の確定から四十三年がたって、ようやく、袴田さんに、昨年三月、再審が認められ、今年、間もなく、来月、再審公判が結審をし、今年の間には判決が出ると言われております。

 いろいろな、数十年にわたって紆余曲折がございましたが、この事件で象徴的なのは、袴田さんの無罪を示す方向の証拠が、死刑の確定から三十年後、第二次の再審請求で三十年たってようやく出てきたというところが大きな問題であり、ほかの著名な再審事件でもこうして数十年たって無罪方向を示す証拠が出てきたということは少なからずありましたので、今日は再審の証拠開示について聞きたいと思います。

 その前に、法務省にまず伺いたいと思いますが、私は、人間にパーフェクト、完全はないと思います。間違いはあると思いますし、それは、検察官、裁判官、どんなに優秀な方であれ、誤りはあるんだろうと思います。したがって、検察や裁判所といった組織で捉えた場合も誤りというものはあり得るんだろうと思っています。

 一度裁判で確定した判決が誤っていた可能性が高まった場合、新たな事実が出てきた場合、冤罪から速やかに救済を図る再審制度というものは極めて重要であり、私は、こうした人間の不完全性をただすという意味でも、再審制度というものは非常に重要である、充実したものでなければならないと思っておりますが、法務省の見解を伺います。

松下政府参考人 お答えいたします。

 我が国の刑事訴訟手続におきましては、様々な手厚い手続保障の下、中立公平な立場にある裁判所において審理が尽くされた上で、合理的な疑いを入れない程度の立証がなされたと裁判所が判断された場合にのみ有罪判決が言い渡されることとなります。そして、その判決に不服があれば上級審の判断を求めることも可能であり、三審制の下、慎重な手続を経た上で判決が確定することとなります。

 再審制度は、このような手続保障と三審制の下で確定した有罪判決について、なお事実認定の不当などがあった場合にこれを是正し、有罪の言渡しを受けた者を救済するための非常救済手続でございます。

 処罰されるべきでない者が処罰されることがあってはならないのは当然のことでございまして、万が一そのようなことが生じた場合に救済するための制度として、再審制度は重要な意義を有するものであると考えております。

井出委員 最高裁にも一言伺っておきたいと思います。

 裁判官であれ、人間ですから、間違いはあり得るんだろうと思いますし、実際、今、袴田事件は再審公判の終盤に来ておりますが、これまでに死刑事件でいえば、四つの死刑事件が再審無罪になった。先ほど申し上げましたが、特に証拠ですね。長年にわたってようやく提出をされたもの、捜査機関が偶然発見したとか、そうした釈明、職責が果たして果たされてきたのかと疑わざるを得ないようなケースが少なからずありましたが、最高裁は再審制度についてどのように考えているか、伺います。

吉崎最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 最高裁判所の事務当局としまして、法制度のありようについてお答えする立場にはないため、その点のお答えは差し控えさせていただきます。

井出委員 法務省においても裁判所においても、もう少し、人間は完全ではない、誤りはあり得るんだ、そういう本当に初歩的なところから認識を持ってこの問題に取り組んでいただきたいと思います。

 先ほど法務省は、通常審の裁判について様々な手厚い手続保障があるというようなことをおっしゃっていて、実際様々なものがございます。公判期日の指定ですとか事実の取調べ、それから証拠開示。

 この証拠開示については、再審請求手続において何か明示的な規定はございますでしょうか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 再審手続におきましては、裁判所は事実の取調べができると規定されておりまして、刑事訴訟法には第四編、再審の編に様々な規定がございますけれども、それのほかに、刑事訴訟法の第一編、総則の規定も、その性質に反しない限りは適用されるということとなっております。

井出委員 証拠の開示に関する規定があるかないかについては答弁がなかったわけですけれども、すなわち、答弁もないけれども条文もないということでございます。

 それから、続けて伺いますが、証拠の開示が、存在するものが何十年もたって後から出てくる、結果として再審の手続にウン十年という時間を要する、そこから本番の再審の裁判が始まる、こうした一連の経過というものは、憲法三十七条が保障する、公正で迅速な裁判を受けることを保障する憲法の理念に照らしてどう考えられるか、法務省に見解を伺います。

松下政府参考人 お答えいたします。

 再審請求につきましては、再審請求の実情を申し上げますと、主張自体が失当であるものや、同一の理由によって請求が繰り返されるものなども相当数存在するという指摘があると承知をしております。

 その上で、先ほど、事実の取調べができると申し上げましたけれども、事実の取調べの中には、証拠の取調べ、証拠物、証拠書類あるいは証人尋問といった規定も適用されるわけでございまして、そういった形で必要に応じて事実の取調べをした上で、裁判所において柔軟かつ適正な処理をされているものと認識をしております。

井出委員 これまでの再審公判著名事件の歴史的な事実が、憲法の保障する公正で迅速な裁判を受ける権利にかなっているかどうか、もう一度お答えください。

松下政府参考人 お答えいたします。

 再審請求審におきましては、裁判所が、有罪の確定判決を前提といたしまして、職権で再審事由の存否を判断するために必要な審理を行うこととなります。

 一般論として申し上げますと、再審請求審の手続が迅速に進められるということはもちろん重要でございまして、そのためには訴訟関係者が裁判所の訴訟運営にできる限り協力することが肝要であると思いますけれども、個々の再審請求審における審理期間につきましては、個別具体的な事案の内容ですとか、訴訟関係者から提出される主張、それから証拠の内容や量、提出時期などによって事件ごとに異なっておりまして、手続に要した期間の長短に関する評価を一概にお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。

井出委員 今、裁判所の裁量においてきちっとやっているんだというような話がございましたが、再審に関する規定というものは、刑訴法の四十三条に、決定又は命令をする必要がある場合には事実の取調べをすることができるとあるんですね。

 一方で、通常審については本当に刑訴法で様々定められておりまして、今日の資料では公判前手続の三百十六条を少し持ってきましたが、ここでは、できる限り早期にこれを終結させるように努めなければならないとか、刑訴法の通常審の規定は、何々をしなければならないとか、職権でこれをすることができるとか、極めて、やらなきゃいけないこと、また裁判所の権限も明確になっている。(発言する者あり)

小野寺委員長 御静粛にお願いします。

井出委員 法務省は再審請求というものはいろいろ様々だと言うんですけれども、様々だからこそ、今は何もない規定をきちっと整備する必要があるんじゃないかと。

 私は、再審法の改正というものは、改正ではなくて、法整備の段階から始めなきゃいけないぐらいの条文の少なさだと思っていますが、その点いかがでしょうか。

松下政府参考人 お答えします。

 先ほども申し上げましたが、再審請求の実情につきましては、主張自体が失当であるものや、同一の理由によって請求が繰り返されるものなども相当数存在するという指摘があるものと承知をしております。

 その上で、あくまで一般論として申し上げると、再審請求を受けた裁判所は個々の事案に応じて柔軟かつ適切な対応をしているものと認識をしております。御指摘のように、再審請求審について詳細な手続規定を設けて、一律にそれに従った対応が義務づけられるということといたしますと、裁判所による個々の事案に応じた柔軟かつ適切な対応が妨げられ、かえって手続の硬直化を招くおそれがあることなどから、慎重な検討が必要であると考えております。

井出委員 通常審は様々規定がありますが、硬直化して裁判を妨げたことはあるんですか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 通常審におきましては厳格な手続規定が設けられておりますけれども、これは、実体的真実の発見と、それから基本的な人権を保障しつつという刑事訴訟法の理念に照らして、適正に、かつ厳格な手続によって有罪を認定するために、きちんとした手続規定が設けられているということでございます。

 そうした手続規定の下で確定した有罪判決をなお覆す再審という手続において、通常審と同じレベルの厳格な手続を規定することについて、先ほどの課題といいますか問題点を御説明させていただいた次第でございます。

井出委員 少し法務大臣に伺いたいと思います。

 再審請求事件というものは様々なものがあるから柔軟な対応が必要なんだというようなことを刑事局長はおっしゃっていますが、様々なものがあるから条文を整備しなくていい、条文が極めて少なくていいという理由には全くならないと思いますし、適切に運用されているという答弁も繰り返しありましたが、過去の再審の事件を見れば結果として適切ではなかったものが少なからずありますので、今法務省が言っていることは法整備をしない理由にはならないと思いますが、その点を伺います。

小泉国務大臣 様々な案件があるというのは、その主張自体が失当ではないものとか、同じ理由で繰り返し再審を請求される方も大勢いらっしゃいます。それに対して、裁判所が職権主義で、これはもう前に却下していますよねとさばくわけですよね。手続が細かく決まっていれば全部その手続を踏む必要が出てまいりますけれども、裁判官が、これは前にやった案件、これは中身が失当だとさばける。全体としてのパフォーマンスがむしろ上がる要素もあります。

 ただ、先生が御指摘のように、手続法がなければ、今度は逆に、うんと延びてしまうということに対する歯止めが弱くなりますよね。その裏腹な関係というのが常にございます。

 だけれども、手続法が定められていないから、即それが遅滞につながっているということではありません。むしろ、遅滞を防ぐために職権主義でさばいていく、そういう仕組みを入れているところでございます。現状の御説明はそういうことでございます。

井出委員 裁判所がさばいていると。

 しかし、再審の裁判所の職権を認めている規定というものは、必要がある場合には事実の取調べをすることができるという文言なんですね。通常審の刑訴法のいろいろな規定においては、何々をしなければならないとか、職権で何々できる、何々命令できると、もっと強い文言がたくさん出てくるんですけれども。できると、しなければならないだけでも、大分違うと思うんです。

 本当に裁判所の裁量で適切にできてきたのか。それは、過去の少なくない再審著名事件を振り返れば、私は結論が出ていると思うんですけれども、本当に適切にできているんですか。

小泉国務大臣 様々な案件全て網羅的にチェックをしているわけではありませんが、確かに審理期間が延びて非常に長い期間かかっている事例があるのは事実でございますので、どうしてそういうことになったんだということをしっかりと法務省も突き詰めて分析し、検討し、原因を究明してそれに対応していくということはしっかり今取り組んでいるところです。

 今、刑事訴訟法の在り方協議会、ここで議論が始まりました。その議論も踏まえながら、我々もしっかりと取り組みたいと思っています。これは、平成二十八年成立の刑事訴訟法等一部改正法の附則、これの規定に基づいて、改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会を現に今開催しているわけです。昨年の秋からこの冬、春にかけてやっています。

 我々も事務方として、どうしてこんなに時間がかかるかということはやはり突き詰める必要があると思いますので、この在り方協議会の議論をしっかり踏まえつつ、内部的にもしっかりとそこは詰めた議論をしていきたいというふうに思っています。

井出委員 法務大臣は答弁書を持たないと大変いい答弁をされるなといつも思っております。法務省としてもそういう検証が必要であると思っているということを前段で述べられました。

 この問題に関係して、三月の十一日に超党派で議員連盟を設立して、少し取組をスタートさせております。

 その中で、四月にあった議論で、長期化の原因について、ある議員さんがそういう原因を検討したことがないのかというような話をしたときに、原因については一概に答えることができず、今後そうした検討、検証を行うことは予定していないと法務省はそのとき回答していたんですが、大臣は今、前段で、法務省として必要な検証はやるべきだというようなことをおっしゃっておりますが、法務大臣のおっしゃるとおりでよろしいですか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 検証ということですけれども、一般的、抽象的にするということではなくて、個別の裁判において不当に長期化したということがあった場合には、それについてなぜなのかということを考えるのは必要なことであろうというふうに思っております。

 ただ、これまでの再審に関して、期間の長短だけで、長い、長期化している、不当であるということの御指摘については、必ずしも、その個々の事案について、事案の争点の多さですとか証拠の多さ、問題点の多さなどによって様々でありまして、一概にお答えすることはできないという趣旨で申し上げたことかなと思います。

井出委員 大臣に伺いたいんですが、事案の長短に応じて、いろいろあると。それは通常審でも、通常の裁判でも一緒だと思うんです。だからこそ、証拠開示とか公判前手続とか、憲法の三十七条で保障された迅速な裁判を受ける権利というものを、いろいろ法改正をやってきて。だから、今、いろいろあるから、柔軟で法改正しなくていいという趣旨なんですけれども、通常審の方はずっとその努力を重ねてきているわけですよ。再審請求で物が迅速に進んでいくような、権利がきちっと保障されるような法改正をしない理由というのは、私はないと思うんですね。

 その辺りをやはり率直に、その紙を置いて御答弁いただきたいと思います。

小泉国務大臣 すべからく、あらゆる制度は、人間のなせる業でありますから、そこに一〇〇%ということはないわけです。そして、その趣旨は我々も共有をしています。

 そして、それをただす方法でございます。法的安定性とのバランスというのが常にありますので、しっかりと手続を定め、また、運用をただしていくということは非常に重要な在り方だと思います。

 法制審で議論をまさに今しておりますが、証拠開示の在り方等についてしておりますが、事務局としては、じゃ、何でこんなに時間がかかる案件が出てくるのかということはしっかりと突き止めて、把握をして、そして、それをその次のステップに生かしていかなければ、全部法制審に任せっきりにするわけにもいかないと、私はそう思っています。私の責任において、そこはしっかりと突き止めていく努力をしたいと思っています。

井出委員 ありがとうございます。

 最後に、この件を総理に伺いたいと思います。

 時間が、特に証拠がずっと出てこない、中には出てきたものが捏造だったみたいなことも過去にはあるんですが、証拠があるものが出てこない、それによって時間がかかるというケースが少なからずあった。

 それは、人間は完全でない、我々も一〇〇%ではないということは、今法務大臣がおっしゃってくださいましたが、そういうものをきちっとただしていく、救済していくためにも、私は再審法の整備、再整備というものが必要だと思っています。人間は、どんなに優秀であっても、どんなに複数で突き詰めても、必ず間違いはある。その間違いが百件に一件、一万件に一件で、仮にその人の人生を狂わすとするのであれば、その救済手段というものは、裁判所とか人の裁量、職権ではなくて、きちっとした手続を定めるべきだと思います。

 その点について、岸田総理の見解をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 先ほど来のやり取りの中にも出ておりましたように、再審制度については様々な意見があるということでありますが、この問題については、人間である以上、間違いがあるという御指摘、これはそのとおりだと思いますが、確定判決による法的安定性の要請、そしてもう一つ、個々の事件における是正の必要性、この二つの調和、これをどこに求めるのか、こうした議論であると思います。

 そういった点から慎重に検討すべき課題であると思いますが、この問題について、先ほど法務大臣の答弁の中にも、現在、改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会を開催しているという答弁がありました。この中で再審請求審における証拠開示等についても協議が行われると聞いております。この協議会での議論を踏まえて、法務省において御指摘の点について適切に対応するものであると認識をしております。

井出委員 今日の質疑が法改正の第一歩になることを願って、また、私もそれに力を尽くしていくということをお話をして、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

小野寺委員長 これにて大串君、井出君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 本日は、二十五分という限られた時間でございますので、閣僚の皆様におかれましては、答弁は簡潔に、また明快に、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 最初に、政治と金、政治資金規正法の改正について質問をさせていただきたいと思います。

 私は、初当選以来、この間、幾たびか政治と金の問題が起こり、そしてその都度、政治資金規正法の改正がなされてまいりました。

 その改正においては、政治資金についての入りと出の透明性を確保する、また、その使途は厳格にする、こうした改正の中で、今、政治改革を経て、代表が議員本人となる国会議員関係団体は、原則は、政党支部と、そして資金管理団体の二つになったというふうに承知をしております。そして、その二つの団体の収支報告は、一円以上については全て領収書を用意しなければいけない、また、登録政治資金監査人による監査も行わなければいけないということになっているわけでございます。

 いわば、国会議員にとりまして一番重い法律が政治資金規正法だというふうに、私はそう認識をしております。しかし、残念ながら、今回、数多くの議員がルールを守らずに、国民の信頼を大きく失墜させたという責任は誠に大きいと言わざるを得ないと思います。

 しかし、この当該議員の皆さんの政倫審の発言や、また、報道で伝わる発言からは、あたかも、派閥の事務局に言われたからとか、ほかの議員が皆同様に処理をしていたからなど、私にとって、率直に申し上げて、一番重い法を犯してしまったとの認識と反省があるのか、国民の負託を受けた重い立場の国会議員としての自覚があるのか。率直に言って、本当に情けないし、同じ国会議員として恥ずかしい思いでございます。

 今回の事案に関し、日本大学の岩井奉信名誉教授は、組織的に長年違法行為をしていた点で類例を見ない悪質さと糾弾をされております。個人のモラルの問題ではなく、法律制度を変えなければならないと断じられている。

 また、使途の報告が求められていない政策活動費は、これまでの政治改革の精神からいえば、私はあり得ない費目だと思っておりましたが、これは自民党のみならず、大半の野党の方々も、この政治活動費なるものを支出していたことは率直に反省をし、全ての国会議員が国民の皆様から負託を受けている重い職責にあるんだということを自覚し、自ら矜持を示す思いで虚心坦懐に与野党で議論を進めていただきたい、こう思うのでございます。

 総理は、この法改正については、常に先頭に立って法改正に取り組むと再三御発言をされておりますが、先週から与党協議が開始をされ、そしてこれからいよいよ与野党会議もという段階において自民党案がまとまらないという現状、これは本当に総理が先頭に立って取り組んでいると言えるのでしょうか。

 真剣に法改正を実現する覚悟があるのなら、私は、すぐにでも自民党案を提示すべきであると思います。いつ提示するのか、明言をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘の政治資金規正法の重要性、そして国会議員としての自覚の欠如、これはもう御指摘のとおりだと思います。そして、こういった状況の中で、政治資金規正法の改正、これを行わなければならない、これは自民党も強く感じております。

 自民党として、まずは、今回御指摘されている事案に直接対応する課題として、責任の厳格化、そして政治資金の透明化、この二つの点を重視することから、会計責任者のみならず議員本人の責任を強化すること、外部監査を導入すること、デジタル等によって資金の透明化を図る、この三点は最低限行わなければならないということで議論を行っております。

 そして、委員御指摘のように、与党間の調整は開始されているわけでありますが、当然のことながら、これと並行して、我が党としての考え方、取りまとめを行います。今週、その取りまとめの作業、与党と並行して行うことを予定しているわけでありますが、取りまとめ次第、与党としての考え方を国会の議論に供し、そして、今国会において間違いなく政治資金規正法成立に向けて作業を進めていきたいと考えています。(発言する者あり)

小野寺委員長 御静粛にお願いいたします。

赤羽委員 取りまとめ次第というのでは、やはり通じないと思いますよ。やはり、この一両日中にしっかりと自民党案をまとめて、しっかりとした議論に臨んでいただきたいということを強く求めたいと思います。

 私ども公明党は、他党に先駆けて、政治資金規正法の改革案はもう既に提示をしております。具体的な改正の論点は幾つもありますが、これは与野党協議でしっかりと議論していただきたい。

 しかし、中でも、私は、政治家の責任については必ず実現をしなければいけない、こう訴えたいと思います。

 現行の政治資金規正法では、議員本人が代表を務める政党支部、また資金管理団体の収支報告の会計責任者は、議員とは別人物に定められております。しかし、私たち公明党の場合は、政党支部及び資金管理団体の収支報告を会計責任者に丸投げするような議員はあり得ません。私自身も全て項目をチェックし、選挙管理委員会に提出をさせていただいております。

 万一、収支報告書の内容に不正があれば、当該団体の代表である議員本人が監督責任を負うのは、これは当然だと考えますし、多くの国民の皆様も、この点について国会議員の責任逃れを強く不満に思い、批判をされていると思っております。

 是非、総理自身が、政治資金規正法の改正において、政治家の責任については成案を得ると、まさに政治生命を懸けて言明をしていただきたい、約束をしていただきたいと思いますが、もう一度御発言をよろしくお願いします。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げたように、自民党としても、会計責任者のみならず、議員本人の責任を、具体的な事案を確認した上でありますが、一定の事案において、議員自身の責任を強化する、これは重要なポイントだと申し上げたところであります。

 これは、今回の事案を振り返りましても大変重要なポイントであると考えます。政治資金規正法の改正の議論において重要なポイントであると認識をし、自民党としての案を取りまとめます。

赤羽委員 いずれにしても、国民の皆様が納得する形で成案を得るということが大事だ、こう思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思っております。

 次に、子育て支援、保育について一点質問させていただきたいと思います。

 私ども公明党は、結党以来、まさに子育て支援の老舗政党として、古くは教科書無償配付や児童手当の創設を始め、様々な子育て支援政策を実現させていただいております。

 特に、最近の共働き、共育てが当たり前の現状において、保育の在り方、これはもうまさに女性が活躍できるかどうか、大変重要だということで、平成十三年から、保育所待機児童ゼロ作戦というものを党の公約に掲げ、政府としても、平成二十五年度から令和六年度までの十二年間で九十六万人分の保育の受皿を目標として、着実に改善されてきているということは高く評価したいと思います。

 そんな中で、実は、私の地元であります神戸市北区の大変よく知っているある幼稚園から御相談がございました。それは、同幼稚園は、地域住民からの強い要望と神戸市当局からの勧めもあって、こども家庭庁の就学前教育・保育施設整備交付金を活用し、幼稚園型認定こども園への転換ということをすることを決めまして、同交付金の第二回目の募集に申請をするべく、具体的に、調理場の建設などなど、具体的なプラン作りに着手をしておりました。

 ところが、そんな矢先、三月二十五日に、近畿厚生局から各府県に対しまして、この交付金の予算は第一回の申請で上限に達したため、第二回目以降の募集は行わないという通知が発出をされまして、あたかもはしごを外されてしまった状況で大変困っているんだ、何とかなりませんかという御相談でございました。

 現在のこども家庭庁として、こうした事態を認識し、それに対処するため、全国都道府県に対し、同交付金に対する具体的なニーズに係る調査がなされていると承知をしておりますが、私は、ニーズはまだまだある、そう認識をしておるところでございます。

 また、この就学前教育・保育施設整備交付金に係る事業は、振り返りますと、平成二十六年より、毎年、当初予算と補正予算を合わせた形で着実に整備を進めてきた経緯もございまして、今年度も、当初、補正で六百億の具体的な措置がなされたと承知をしております。

 閣僚の皆様の立場で、今、本年度の補正予算について言及できないことは私もよく承知をしておりますが、こうした過去の例も参考にしながら、あらゆる手法を駆使して、何としても、当交付金を当てにして具体的に取組を進めている関係者の皆様を困らせることのないように、適切な対応を取るべきと考えます。

 加えて、箱物を整備するに当たりましては、保育士の方々の不足も大変大きな課題と認識をしております。保育士の方々の賃上げや配置基準もしっかりと見直しをし、労働条件の改善を進めながら、加えて潜在保育士、保育士の資格がありながら辞められた方も相当多数いらっしゃいますので、こうした方々の職場復帰ができるような働きやすい制度の導入を試みて、保育士の人材確保、育成に全力を尽くすことが、これからの我が国の社会がサステーナブルかどうかということの必須条件と私は考えます。

 この二点について、担当の加藤大臣より御答弁を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、就学前教育・保育施設整備交付金につきましてでございますけれども、保育所等の施設整備については、これまでも、新子育て安心プラン等に基づきまして、当初予算や補正予算を活用して自治体の取組を積極的に支援してきており、待機児童数は大幅に減少してございます。

 令和六年度につきましても、令和五年度補正予算と合わせ、プランに基づく受皿整備を進めるために必要な予算を計上しておりましたが、第一次募集において想定を上回る協議があったため、定員増や早期着工が必要なものなど一定の基準を満たすものにつきまして採択した上で、今後の対応について検討をしているところでございます。具体的には、現在、自治体に対しまして、令和六年度及び令和七年度に必要な額等につきまして改めて調査をしてございます。

 今後、自治体からの要望について丁寧に聞き取りを行い、整備の必要性をしっかりと踏まえながら、どのような対応、工夫ができるか検討をしてまいります。

 また、保育士の確保につきましては大変重要な課題だと認識をしてございます。そのために、最優先すべき対応として、累次の処遇改善に取り組んできたところでございます。

 直近で申し上げれば、五%を上回る公定価格の人件費の改定を行い、平成二十五年度以降、累計プラス二三%の給与改善を進めてきているところでございます。

 引き続き、民間給与動向等を踏まえた更なる処遇改善の対応を行ってまいります。

赤羽委員 ありがとうございます。

 施設整備は、もう既に建設事業者に契約をしているケースもあります。大変タイトな状況でありますので、是非、今年度内に決着をつけていただきたいということを強くお願い申し上げたいと思います。

 次に、能登半島地震の対策について移したいと思います。

 私たち公明党は、発災直後に党本部に対策本部を設置いたしまして、また、被災市町ごとの担当国会議員を決め、その担当議員は地元議員とともに担当の被災地に足しげく通いながら、首長とホットラインを結び、一つ一つ、現場からの要望、課題について解決に取り組んでいるところでございます。

 しかしながら、発災から三か月半がたった今なお、三百十八か所の避難所で五千三百七十四名の方が避難を強いられ、断水は五千三百十戸。この五千三百十戸以外に、通水した地域でも、宅地内の配管の修理ができずに、家庭では水道を使えないという家庭もたくさんあるわけでございます。

 また、公費解体も、申請が開始されたばかりで、まだほぼ手つかずの状況。唯一の高速道路ののと里山海道の南向きは大変厳しい状況ですので、通行止めが続いているような状況です。

 私は足しげく現地に行き、痛感しているのは、今回の奥能登、被災地は被災者の高齢化率が高い、六十五歳以上が五三%という数字もございます。また、半島特有の脆弱なアクセス、面積も狭くて、作業される方の宿泊施設がない、また、海底が隆起して漁港が使えない、また、家も築年が古くて耐震性が大変弱い、こうしたことがこれまでの復旧が進まない原因だというふうに思っております。

 今日は、時間も限られておりますが、私自身、直接現場で見聞きしてきた被災現場の切実な現状に基づいて、何点か質問させていただきたいと思います。

 一つは、仮設住宅への福祉サービスの提供体制の確立です。仮設住宅の入居者の多くは高齢者になることが予想されております。この仮設住宅に、浴室や食堂、そして診療所を始め介護、障害福祉サービスの提供体制を整えた地域コミュニティー拠点を是非整備していただきたい。これは、これまでも公明党としてお願いをしております。

 その整備の実現とともに、このコミュニティーの拠点を機能させるためには福祉職の確保が不可欠です。今の福祉避難所におられる方は要介護の方が大半で、仮設住宅や在宅に移行した瞬間に孤立するリスクが極めて高く、見守り支援事業も一緒にやっていかなければいけない。いろいろな課題がございますので、高齢者の被災者に対する官民連携のワンストップサービスの体制の確立も大変重要です。

 このことについて、厚生労働大臣の見解と御決意を伺いたいと思います。

武見国務大臣 被災地における応急仮設住宅の建設が現在進んでいる中で、介護や福祉、障害サービスの提供体制の地域コミュニティーの回復に向けて、これまで、震災対応の例を参考にしながら、高齢者に対する総合相談やデイサービス機能など、総合的な機能を有するサポート拠点などを応急仮設住宅団地に設置する取組を進めております。

 具体的には、サポート拠点などの設置に当たりましては、応急仮設住宅団地内の集会所の活用を可能とするほか、被災自治体がサポート拠点等において被災者の見守りや相談支援などを一体的に実施する場合の実施方法を提示するという支援も行っているところであります。

 さらに、現在、被災地の要望を踏まえながら、関係省庁とも連携して、今お話しになりました仮設の入浴サービスの提供施設、さらに、そこと付随した形でサロンのようなものを設けて、皆さんがそこで集えるというような、そういうサポート拠点などの設置といったことも財政支援の調整の中でもう今進めているところでございます。

 引き続き、地域の実情に応じて、こうした手続もできるだけ簡素化させながら、自治体、関係省庁と連携をして進めていきたいと思います。

赤羽委員 ありがとうございます。

 専門職の方々の手当てにつきましても、是非よろしくお願いしたいと思います。

 とにかく被災地は人手が足りない、そういう意味で、応援職員、これも一月は全国から一千名の応援職員が駆けつけていただいておりますが、新年度の四月には半減、五百名足らずとなってしまいました。これは人事異動等々の影響だと思います。

 こうしたことを是非もう一度、総務省から、応援職員の増加の派遣をお願いしたいし、また、復興に係る人手の対策として、被災者の方々を任期つきの職員として雇用する、これを進めながら、是非、地方財政措置で支援していただきたい、こう考えております。

 これは、済みません、答弁の時間もないので、よく知っていますので、松本大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 それで、次に、日本有数の和倉温泉の再生について国交大臣に伺います。

 和倉温泉の多くの旅館が建物や護岸に相当深刻な被害を受けておりまして、この再建は容易ではないというような状況でございます。

 しかし、こうした厳しい中、和倉温泉観光協会の青年委員会の方々が中核となり、この逆境をばねに、「能登の里山里海を“めぐるちから”に。和倉温泉」というコンセプトで、和倉温泉の創造的復興ビジョンをまとめられております。

 元々、この和倉温泉は、私自身も、いつまで見ても飽きることのない、大変美しく静かな海に面して、国内では珍しい内海にある温泉地、また、マリンスポーツやサッカーなどのスポーツタウンにも最適であります。

 おいしい能登の幸など魅力的な観光資源にあふれ、この青年部が作られている和倉温泉の創造的復興ビジョンを実現すれば、私は、奥能登地域が我が国の観光立国のトップランナーになることは間違いないと確信をしておるところでございます。

 しかしながら、民間では着手が困難な護岸工事ですとか、町づくりといっても大変な規模でありますので、金融支援は、国交省や経産省、財務省など関係省庁及び金融機関の協力が不可欠だ、こう思っています。

 和倉温泉を中核とした奥能登の再生、大変大構想でありますが、国土交通大臣の決意を伺いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 私も二月、この和倉温泉を視察いたしました。海沿いの旅館施設、そして護岸が大きく崩れているのを目の当たりにして、そして、皆様から、もう個々の事業者では対応不可能である、行政の支援を是非お願いしたい、こういう御要望をいただいたところでございます。

 こうした地域の御意向、また、若手の経営者の皆さんがまとめられたビジョンを伺いながら、国としても、関係省庁が一丸となりまして、護岸の代行復旧でありますとか、なりわい補助金の活用など、あらゆる手段を講じてこの和倉温泉の復旧復興を支援してまいりたいと決意しております。

赤羽委員 現在も、観光庁の審議官ですとか、中小企業庁の金融課長とかもしっかり地元と連携していただいておりますので、引き続き、完成の日までよろしくお願いしたいと思います。

 次に、これもちょっと時間がなくて、松村大臣、申し訳ございませんが、一部損壊について。普通の土地に建つ一部損壊と液状化現象の上の一部損壊というのは被害の度合いが違うんですが、罹災証明書の一部損壊は同じでありますので、公費解体の対象にならないんですね。

 しかし、古くて大きな家ですから、解体費用だけで、見積りをされていると、五百万近くかかる。これではなかなか支援の手が届かないので、是非、環境省とともに、私もしっかりと御意見を申し上げたいと思いますので、検討していただきたいと思います。

 そして、最後になるかと思いますが、総理に、復興加速化のための復興基金の造成を早くしていただきたい。

 これまで、阪神・淡路大震災以来、激甚災害は全て補正予算が編成され、そして集中審議が行われてまいりました。今回、残念ながら、まだそうした点が行われておりませんが、今回の災害規模の大きさや地域の特殊性もありまして、相当規模の復興基金、石川県が自由に使える復興基金の造成は喫緊の大きな課題であります。

 石川県では、本来なら自己負担の敷地内の上水道の配管の手当て、こうしたことも、世帯主が高齢者の場合は結局手つかずだとか、珠洲市のように、なかなか上水自体が通水しない、しかし、井戸水は出る、その井戸水を公共に使うために施設のバックアップはできないか。こうしたことは、国の制度としてはなかなか難しいけれども、石川県の復興基金であればやることができる。これを実行しないと本当に復興は前に進まない、私は、足しげく通うたびにそう確信をしておるところでございます。

 ここはもう、地元の皆さんは大変困っておりますので、是非、総理の決断で、この復興基金の造成について御明言をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 復興基金については、国庫補助を補い、国の制度の隙間の事業について対応する例外的な措置として実施してきたものです。よって、まずは国による支援策をスピード感を持ってより充実させ、実施していくこと、これがまず第一であると考えておりますが、その上で、被災地の被害状況を踏まえ、熊本地震の際のスケジュールも参考としながら、復興基金設置の取組を進めてまいります。

 そして、具体的な使途についても御指摘がありましたが、使途は、これは設置団体において判断するところでありますが、御指摘の点も含めて、総務省を中心に検討を進めてまいります。

赤羽委員 是非、県独自の自由度を高めていただきたい。

 最後に、阪神・淡路大震災や熊本地震、東日本大震災でも復興に尽力を尽くしていただいた五百旗頭真先生が先月亡くなられました。その一月前に、ある会合で、激甚災害が頻発する我が国において、やはり専門家集団の、復旧復興の司令塔の組織たり得る防災庁が必要だということをあたかも遺言のように語られました。

 防災庁の議論はいろいろありましたが、私も、これから専門家集団が、いつあっても、初めての経験の地方自治体が、被災をした地方職員がマニュアルを見ながらやる、ここに本当に歯がゆさを覚えております。これは、この震災の総括を経て、是非この点についても政府・与党で議論していきたいと思いますので、強く求めまして、時間になりましたので、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて赤羽君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡田克也君。

岡田委員 立憲民主党の岡田克也です。

 まず冒頭、二十日夜の海上自衛隊のヘリの事故、大変残念なことであります。事故原因の究明と、そして、何より、行方不明になっておられる方々の徹底捜索を政府に要望しておきたいというふうに思います。

 その上で、まず、総理、日米首脳会談を始め、一連の行事が行われました。私は、全体として、世界、あるいはアジアのパワーバランスが変化する中で、アメリカを内向きにしない、そういう考え方に基づいて今回の一連の首脳会談等が行われたと思いますが、そのことについては評価をしておきたいというふうに思います。

 ただ、少し気になるところもありますので、少し総理の考えを確認したいというふうに思っております。

 まず、総理は、上下両院合同会議における演説で、平和には覚悟が必要だというふうに述べられました。私は、覚悟という言葉を聞くと、麻生自民党副総裁が台湾で述べられた、台湾海峡で戦争を起こさせないためには戦う覚悟が必要だというふうに述べられた言葉を思い出すわけです。

 総理はどういう意味で覚悟という表現を使われたのか、御説明いただけますか。

岸田内閣総理大臣 覚悟をどういった意味で使ったのか。

 今委員の方から台湾海峡云々の話もありましたが、平和を維持するために、当然のことながら、日本として、これは軍事的な対応のみならず、外交ですとか経済ですとかあらゆる手段を通じて、平和、安定、これを実現していく、こういった思いを込めさせていただきました。

 平和を守るために、相互理解というのでは十分ではなく、やはり自ら積極的に、あらゆる手段を通じて能動的な態度が必要である、こういった考え方を述べた次第であります。

岡田委員 戦争の現実は悲惨であります。そのことは我々の一世代前が太平洋戦争で経験していることですし、最近でも、ガザの状況とかウクライナを見れば、いかに一般の国民が悲惨な状況に陥るかということ、これは明らかであります。

 したがって、もちろん、日本がどこかの国から攻撃を受けるというときに、当然、それに対して自衛権を行使する、そういう意味での覚悟というのは私は必要だというふうに思いますが、そうでない場合に、そういった我が国が攻撃を受けるという事態を避けるために、ぎりぎりまで戦わない覚悟というのが私は求められると思うんですが、総理、同意いただけますか。

岸田内閣総理大臣 その点については、私も委員の今の御趣旨に同感であります。

 やはり、国家安全保障戦略の中においても明らかにしているように、我が国の国民の命と安全を守るために、領土、領海、領空を守るために、まずは外交努力を通じて我が国にとって最も好ましい環境をつくっていく、この努力をしていくことがまず第一であると思います。

 逆に、その外交力の裏づけとなるために、日本として自分たちの国民を守れるだけの防衛力も用意していく、こういった発想を国家安全保障戦略の中にも明記をしています。

 まずは外交努力を通じて、そして経済を始め様々な分野を通じて、日本として平和と安定のために最善の努力をする、これが第一であると考えます。

岡田委員 ですから、私は、軽々しく戦う覚悟などという表現を使ってもらいたくない、総理がと言っているんじゃないですよ、ということを申し上げておきたいと思います。

 それから、総理の両院合同会議における演説で、二番、三番、四番と書きましたが、いろいろな言葉を使われています。なすべきことをする、その準備はできていますとか、肩を組んで共に立ち上がっていますとか、それから最後のところで、米国の最も近い同盟国という表現を使われました。

 米国の最も近い同盟国といえば、イギリスがすぐ思い浮かびます。歴史的なこともあって、アメリカとイギリスは特別な関係、血の同盟と言う人もいます。そのアメリカとイギリスとの同盟よりも、日本とアメリカの同盟の方がより近いというふうにお考えで、こういう表現を述べられたんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の表現ですが、まず、なすべきことという表現については、日米がグローバルパートナーとして、自由と民主主義を擁護するために共に活動をする、こうしたものを指すことであります。

 そして、肩を並べてということにつきましては、日本とアメリカは、地域の平和と安定を守るために、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守るために肩を並べて努力をしていく、こういった思いを表現したものであります。

岡田委員 私の質問に答えていただいていないんですが、最後のところの、米国の最も近い同盟国としての役割を果たす、その準備ができているということを言われたわけですね。

 米国の最も近い同盟国という表現は、アメリカとイギリスとの間の同盟というのがまず思い浮かぶわけですが、それよりも近い、あるいは同等だ、そういう思いで言われているんですか。少なくとも、これを聞いた人は、これは万雷の拍手だったと思いますが、そういうふうに受け止めたと思いますが、どうですか。

岸田内閣総理大臣 基本的に、他国と、英国等と比較して申し上げたつもりではありません。

 先ほど申し上げましたように、我が国として、米国と協力をする際に、基本的には、自由や民主主義を守る、そして、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守る、こういった点において日本も責任を果たしていくと申し上げているわけであります。

 手法や内容、そしてインド太平洋に対する考え方等、これは他国とは当然違うわけであります。日本においてこうした自由や民主主義、そして法の支配に基づく国際秩序を守るために、最も米国と近い同盟国として、日本なりの責任を、日本らしい責任をしっかり果たしていく、こういった趣旨を申し上げた次第であります。

岡田委員 これは比較じゃなくて、最もと言っておられるんですね。だから、普通の表現だと、最もというのは、私は、多くの人は、アメリカと英国の関係、それと同じか、あるいはそれよりも日本の方がより近いんだ、そういう印象を与えたと思うんですね。

 でも、やはり基本的に異なるところがありますよね。つまり、集団的自衛権の行使です。

 集団的自衛権の行使について、イギリスとアメリカの関係、例えば中東などでも、アメリカが武力行使するときにはイギリスもそれに同調しているというケースが私は非常に多いと思うんですが、最近でも、フーシ派の攻撃に対して、アメリカとイギリスは共に攻撃に加わりました。日本の場合は、存立危機事態においてのみ集団的自衛権の行使ができる、これは政府の解釈ですね。つまり、無限定の集団的自衛権の行使ということではないわけです。

 ところが、総理は、そのことを演説の中では全く言っておられないし、そういうことについて触れていないだけではなくて、まるでフルスペックの集団的自衛権の行使ができるかのような印象を、プロの皆さんは分かっていますよ、だけれども、一般のアメリカの政治家や国民に与えたというふうに私は思うんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 日本の果たすべき責任、特に安全保障分野における責任の果たし方については、戦後七十数年の中で、日本の平和国家としての歩みが確定し、そして、どういった貢献ができるのか、こういった議論をずっと積み重ねてきました。そういった中にあって、今日の日米関係があります。

 その日米関係において、日本として、同盟国として最大限の貢献をする。その際に、当然のことながら、安全保障上においては、日本国憲法があり、国内法があり、様々な条件や制限があります。しかし、それがあったとしても、日本として、外交力、経済力を始め、さらに、日本らしい、日本としてできる貢献、これはたくさんあるんだと思います。そういったものを総合的に動員することによって、日本として、最も近い同盟国としての責任を果たす、こういった思いを申し上げたものであり、今日までの日米関係を振り返りますときに、そういった日本としての立場、これは十分理解されるものであると考えています。

岡田委員 議会で聞いていた上下両院議員の皆さんの何割がそれを理解しているか、あるいは国民が果たして理解しているか、アメリカ国民ですね。私は、ほとんど理解していないんじゃないかというふうに思うんですね。

 結局、イギリスと同じように集団的自衛権をフルに行使してくれるというふうにもし期待を持っていたとしたら、いざというときにそれはできないということになれば、大きな失望を招くということになりますよね。やはりそこは、日本は日本としての考え方があるんだということをきちんと伝えていく努力が、総理、必要だと思いませんか。

岸田内閣総理大臣 そういった理解につきましては、これまでも、日本として、日米ガイドラインの議論等も通じて、具体的に、日本として対応できる限界なり内容について説明をし続けております。こうした様々な努力を続けることによって、日本としての立場、これはアメリカに理解してもらえるように努力を続けてきております。

 今回の演説、日本としての一つの思いを申し上げたわけでありますが、これまで様々に積み上げてきたこうした理解に向けての努力、そして日本としての立場の努力、こういったものの上に今回の演説があるわけでありますから、それをしっかりと今後も説明することによって、おっしゃるような誤解等につながらないように努力することは重要であると考えます。

岡田委員 もちろん専門家は当然承知していることですが、多くの政治家、あるいはアメリカ国民は全く理解していない。そういう中で、非常に誤解を招きやすい表現だったということは指摘をしておきたいと思います。

 ここは、やはり期待が高まり過ぎると、いざというときに大きな失望につながりかねない、そのことも申し上げておきたいと思います。

 さて、自民党のいわゆる裏金問題です。

 私は、今の状態は、総理、危機感が足らないと思うんですよ。自民党の党員の中で車座集会をやったりしても、そこでもいろいろ言われるでしょうけれども、本当の声は聞こえていないんだと思うんです。恐らく自民党の若い諸君も、それぞれ選挙区で大変苦労していると思います。我々だってそうなんです。

 この裏金問題、単に、いいかげんな処理をするということは、これは自民党だけの問題じゃなくて、日本の政治そのものの危機だと私は思うんですよ。もう政治そのものが嫌だ、距離を置きたいと。

 そういう中で、私は、補選をやっていてもそういう雰囲気を感じますよ、投票に行かない人が増えるんじゃないか。そういう中から、とんでもない、ヨーロッパの例を見ても、左右の極端な、そういう政党が出てきたりするかもしれない。だから、強い危機感を持ってこれは対応しなきゃいけないというふうに思うんですね。

 そういう観点で見ると、安倍派の裏金問題について、いつ、誰が、どのような意図を持って始めたのかという、この根幹のところが明らかじゃないんですよ。説明していただけますか。

岸田内閣総理大臣 安倍派の裏金問題について、根幹の部分を説明しろということでありますが、その実態把握について、当然、当事者本人の説明が基本でありますが、自民党として、やはりこの問題について実態把握に努めなければならないということで、聞き取り調査等を行ってまいりました。そして、国会において政倫審等の議論も行われてきた、こういうことであります。

 その中で、実態について把握をしてきたわけでありますが、我々として把握できている実態、長年にわたってこうした政治資金報告書への不記載、こういった慣行が続いてきたということ、そして、派閥としてそういった指示が出されていたということ、こういったことについて最大限把握をしてきたところであります。

 そういった中にあって、党として、刑事責任は検察によって判断がされたわけでありますが、政治責任、政治家としての責任、これを判断しなければならないということで、得られた情報を基に政治責任についても判断をしたということであります。実態について把握している限りにおいて政治責任を判断したというのが、先日の処分でありました。

 党として把握しているのは、聞き取り調査の報告書等に記載している、こういった内容が基本であります。

岡田委員 総理、時間もありますので、聞かれたことだけ答えてもらいたいんです。いつ、誰が、どのような意図を持ってこの裏金問題が始まったのかということを私は聞いているわけです。

 今まで明らかになっているところでも、安倍派の幹部の皆さんも、ここに述べたように、例えば塩谷議員は、二十数年前から始まっていたのではないか。それから松野議員は、政倫審で、初当選、松野議員の初当選は二〇〇〇年ですけれども、初当選して清和会に所属した後に還付を知った。それから萩生田議員は、記者会見で、一期生のときに、つまり、二〇〇三年初当選ですが、一期生のときに、ノルマを超過した部分について活動費としてお戻しするとの話があったと。幹部がこれだけ、二〇〇〇年前後からそういったことがあったんだということを言われています。

 では、そのときの派閥のトップは誰だったのかといえば、それは森元総理、当時は森派と言ったわけですね。一九九八年から二〇〇〇年、あるいは二〇〇一年から二〇〇六年、森元総理が森派のトップだった。ですから、やはり森さんに聞かないと分からないんじゃないですか。きちんと森さんに聞かれましたか。なぜ電話だったんですか。

岸田内閣総理大臣 今回、追加の聞き取り調査を行いましたが、森元総理に対して、電話にて聴取を行いました。

 その中で、御指摘のように、長きにわたって不記載の慣行が続いてきた、これは様々な発言、証言から確認をされているところでありますが、その慣行のスタート等に関して、直接森総理の関与、これを確認することはできなかったと申し上げております。

 何で電話だったのかという御質問でありますが、これは、聞き取り調査の日程の中で、森元総理の日程等の調整の中で、電話によって行うことを決定した次第であります。

岡田委員 森元総理は、キックバックの存在も知らなかったというふうに答えられたんですか。

岸田内閣総理大臣 こうした慣行がいつから始まったのかというようなことについて、直接関与したという証言は得られなかったということであります。

岡田委員 キックバックの存在を知らなかったと言われたんですか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 今申し上げた点を確認いたしました。

 それ以上については、この聞き取り調査、内容について詳細を明らかにしない、実効性を高めるという観点から、そういった前提での聞き取り調査であります。先ほど申し上げた点を確認いたしました。

岡田委員 総理の今の答弁は、中身は言えません、だけれども、自分が森元総理から関係はなかったと聞いているから関係はなかったんです、それでは何も説明したことにならないじゃないですか。それで納得する国民がどれだけいるんですか。そんないいかげんなことで許されるんですか。

岸田内閣総理大臣 これまでの自民党の聞き取り調査、そして、政倫審を始めとする国会でのやり取り等を通じて、うわさの域を超えて、森元総理の具体的な関与について確認できる発言はなかったということを申し上げております。

 そして、今回の追加の聞き取り調査においても、具体的な関与を確認することができなかった、こうしたことを申し上げている次第であります。

岡田委員 電話で確認されたときに、総務会長とか幹事長は同席されていましたか。電話の横にいて、一緒に聞いておられましたか。そして、記録はあるんですか。

岸田内閣総理大臣 私の責任で聞き取り調査を行いました。記録はございません。

岡田委員 それは何もしていないのと一緒ですよ。

 ですから、総理、もっと危機感を持ってくださいよ。そんないいかげんなことで納得されるわけがないんですよ。総理御自身が電話でやって、記録もないし、周りに人もいなかったんだ、それで何もなかったんだと。そんなことを誰が信じますか。そんなことをやっていたら本当に沈んでしまいますよ、この国は。

 もっと真剣に考えて、しっかり、森総理を呼ぶなり、行くなりして、複数できちっと聞いて、記録を取ってください。その上で答えてください。そのことをまずお願いしておきたいと思います。

 もう一つ、政策活動費について。

 総理は、国会の答弁の中で、今回のこの問題において最も重要な課題は、政治資金の透明性の問題であるというふうに答えておられます。そして、具体的には、外部監査の導入とかデジタル等による透明性の向上だということも言われておられる。

 しかし、政策活動費については、透明性がないわけですね、何に使ったか全く分からないわけですから。デジタル化とか外部監査といったって、監査のしようがないわけですよ。

 ですから、総理が本当に透明性が大事だというなら、政策活動費についてもしっかりと改革するということが当然だと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 国会のやり取りの中で、今回の事案を振り返りますときに、責任の厳格化と、そして資金の透明性の向上がまずは大事だということを申し上げてきました。ですから、会計責任者だけではなくして、議員本人の責任ですとか、外部監査ですとか、あるいはデジタル化による透明性の向上、これは最低限取り組まなければならない課題だということを申し上げてきました。

 そして、国会の議論の中で、その部分以外の、今回の事案の再発防止に直接関わらない部分であっても、政治資金について様々な議論が行われてきた、これは事実であります。その中で、御指摘の政策活動費についても議論が行われた。

 よって、先ほど申し上げました最低限の取組以外にも、政策活動費の部分、政党助成金の使途を始めとする政党の資金の在り方という形でこの部分についても議論をすること、これは自民党として、各党との協議の中で行うこと、これを決して拒否しているものではありません。政党の資金の在り方として議論に上ってくるものについては、自民党としても議論に貢献をいたします。

岡田委員 議論に参加をするじゃないんですよ。やはり自民党としてどうするかということを私は聞いているわけですよ。

 総理は、政治的自由とかいろいろ、二月の議論でも言われましたけれども、この安倍派の裏金の問題は、五年間で六億円。でも、同じ五年間で、二階幹事長だけで四十七億円。茂木幹事長だって、二〇二二年を見れば九億円。それは何に使ったか、全く説明されていない。それで本当に透明性確保だと言えるんですか。

 もちろん、これは野党にもあると総理はよく言われます。確かに、ないわけではない。名前も、組織活動費であったり渡し切り費であったり、いろいろな名前があります、その後のことについて説明しなくていいというお金。

 私は、二月のときにも申し上げました。これはもうやめましょう、お互い。こんなことをやっていたら、国民の信頼は戻らないです。だから、きっぱりこれをやめて、そして、全部透明にする、何に使ったか明らかにする。それが政治資金収支報告書を作ることの意味じゃないですか。

 どうですか。もう一回考え直しませんか。

岸田内閣総理大臣 政策活動費については、自民党としても、党勢拡張や政策作成、あるいは調査研究という目的のために、党の役職に応じて、内規やあるいは慣行に従ってお金を出す、そうしたルールに基づいてお金を出しています。そのお金を出す内規やあるいは慣行によって、何に使うお金なのか党としては把握しながら、こういった政策活動費を使っている、これが実態であります。

 それをより透明化しろという御指摘であります。これについては、委員おっしゃるように、各党において様々な使い方がありますので、共通のルールとしてこの問題について判断をする、ルールを作るかどうか、どこまで透明化するのか、こういったことを判断していく、これは私も、議論として行っていくこと、これを決して反対しているものではありません。

 その際に、政治の自由との関係について私が指摘をしたというお話を今いただきましたが、政策活動費については、先ほど申し上げましたルールで自民党としても使っているわけではありますが、こうしたものを各党とも明らかにする、使途を明らかにするということになりますと、各政党に協力した個人のプライバシーですとか、あるいは企業の営業秘密ですとか、さらには、戦略的な党の方針が他の政治勢力や外国勢力にも明らかになる等については配慮しなければいけない、こういったことを申し上げているわけであります。

 こうしたものも踏まえながら、各党共通のルールとして議論をする、これは政治改革の、政治の信頼性を確保するという観点から、重要な議論であると考えます。政党全体の資金のありようという中でその部分についても議論をする、これは議論としてあるべきものであると考えます。

岡田委員 私たちは、議論するんじゃなくて、議論するには、まず考え方が示されなければ議論できない。自民党以外は、先ほどの赤羽さんも含めて、政策活動費について、やめるか中身を明らかにすると、みんな歩調を合わせて言っているわけですよ。その中で、議論する、議論すると言って何も具体案を出さない。本当にそれでいいんですか。それで透明性なんですか。

 さっき、党として把握していると言われましたね。では、本当に把握されているんですか。

 例えば、二〇一九年の参議院選挙で、河井夫妻が地方議員や後援会員らに二千八百七十一万円を配ったという事件がありました。総理のお膝元の広島の出来事ですよ。メモが出てきて、幹事長三千三百、そして選対委員長は百と。甘利選対委員長は、それは自分が渡したということは認めておられます。

 では、この三千三百、二階幹事長に、これはどこから得た金なのか、私は政策活動費以外はあり得ないと思うんですが、確認しましたか、総理。どうですか。

岸田内閣総理大臣 河井事件におけるメモの話が出ましたが、あのときを振り返りますときに、まず、党から出た一億五千万程度のお金については、裁判が終わった後、資料の返還が行われた上で、弁護士や公認会計士等の専門家によって調査を行い、そうした買収等には使われていない、これは確認をしたところであります。

 そして、メモについては、報道等で、そういったメモが出たという報道が出たこと、これは記憶しておりますが、そのメモがその後どうなったのか、私は承知をしておりません。報道しか承知しておりませんので、その内容について確認をするということは行っておりません。

岡田委員 どこから二千八百万のお金が出てきたのかということは、謎として残っているわけですよ。

 実は、この政策活動費は党本部だけじゃないんですね。各県連でも、名前はいろいろ、政策活動費、そのほかの名前もあると思いますが、私が調べた限りでも、一億九千万円ぐらいの金額が各都道府県連から地方議員の皆さんを始め個人に渡っているということです。例えば、岩手県は千五十一万円、これは一人、つまり県連幹事長にこのお金が渡っていて、その後何に使われているかは分からない。今、補選をやっている島根も、一千五百万というお金が三十四人に、これは令和四年の話ですけれども、渡っている。その後は何に使われたかは分からない。

 こういうことが許されるということになると、政党支部だって可能になりますよね。私の支部で、私がお金を、例えば百万円なり、それを誰か個人に渡したら、その後は何も書かなくていい。やはりこれは基本的におかしな仕組みなんですよ、どう考えても。

 だから、この際、本当にメスを入れないと、国民の政治不信は止まりませんよ。総理、本気でやると言っていただけませんか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 政策活動費について議論を行うこと、これを避けているということは全くありません。

 これは、だからこそ、こうした政策活動費について明らかにするべきであるという議論が行われているからこそ、自民党としての政策活動費のありようについても説明を申し上げ、政党助成金等は決してこういった政策活動費には使っておりません、自ら集めた浄財をこういった部分に充てる、こういった国民の税金との関わりを説明するなど、政党助成金等々、政党の資金の在り方全体の中でこの問題についても議論するべきである、こういったことを申し上げております。

 是非、透明化する等のルールについては、共通のルールとして、自民党も、今後どうあるべきなのか、判断をいたします。

岡田委員 巨額のお金が例えば選挙のときに候補者などにばらまかれていたとすると、それがもし記載がなければ、全部違法ですよね。違法です、個人から個人ということになりますから。そういうことが現にかなり行われているんじゃないか、そういう疑問が湧くわけですよ、お金の使い方を見ていると、政策活動費の。

 だから、これは相当根が深いですよ。しっかりこういうものと決別して、政治と金の問題、旧文通費も含めて、この際、きちっと説明責任を果たす、制度改革をする、そういうお気持ちはありませんか。これは皆さん、有権者は聞いていますよ、総理の決意。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げましたが、今回の事案の再発防止として最低限やるべき政治資金規正法の改正、これは間違いなくやりますし、それ以外、周辺、政党の資金に関わる問題として、御指摘の点も含めて、そして、それ以外の、政党がどのように資金を集めて使っているかということ全体の中で政策活動費についても議論する、これはやぶさかではありません。

岡田委員 最初から最後まで、議論する、結局、やる気がないということはよく分かりました。でも、それではこの国の政治は救われません。お考えを変えていただきたいと思います。

 終わります。

小野寺委員長 この際、石川香織さんから関連質疑の申出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。石川香織さん。

石川(香)委員 立憲民主党の石川香織です。

 総理、よろしくお願いいたします。

 立憲民主党は、日本で一番農林水産業を大切にする政党です。今日は一次産業の質問を中心に伺ってまいります。

 一次産業の分野は、非常に政治との結びつきが強い産業だと思います。特に戦後農政を振り返りますと、増やせ、減らせといった、時の農政に振り回され、国内外の過度な競争にさらされてきました。

 フリップを御覧ください。

 農家戸数は二十年前と比べて六割ほど減りまして、令和四年度は、前年度からおよそ五%の農家が減っています。所得は、物価高などの影響を受けまして、昨年、二割減少しております。そして、もう一枚のフリップでございますけれども、さらに、我が国の農林水産業、農家所得だけではなく、農地面積も食料自給率も、何もかも下がりっ放しです。

 しかし、そんな中で、今日まで先祖から引き継いだ農地を守ってきた農業者の皆さん、そして、気候変動や資源管理などの我慢に負けずに浜を守ってきた漁業者の皆さんに感謝をしながら、どうしたら経営を継続できるかの政策を打ち出すのが食料安全保障の大前提だと思います。

 具体的には、所得対策です。

 二十五年ぶりの改正となりました食料・農業・農村基本法で、立憲民主党は所得の確保による経営安定の重要性を修正案に盛り込みました。しかし、与党はこれを受け入れませんでした。

 農家が経営を継続し、農家戸数を減らさないためにも、一にも二にも所得対策であるというこの重要性について、総理はどのようにお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 農業を持続可能なものにしていく、そういった観点から、農業者の所得向上を図っていく、これは重要な課題であるということ、これは全く同感であります。

 こうした認識の下に、所得の向上に向けては、農業経営の収益力そのものを高める必要がある、そういったことから、需要に応じた生産を基本に、農地の集積、集約、さらには、スマート農業化を始めとする生産性の向上、また、ブランド化等による付加価値の向上、輸出の販路拡大、こうした取組を支援する。さらには、人件費、資材費などの恒常的なコストに配慮して合理的な価格形成の仕組みをつくるということで、法制化、これも検討していかなければならない、このように問題意識を持っています。

 食料・農業・農村基本法の改正案、これも成立したならば、やはり農業所得の向上に向けた支援策、これを効果的に進めていくことが重要であると考えています。

石川(香)委員 所得の向上と所得の補償は、これは全く違います。

 総理のおっしゃっていた、例えばスマート農業であったり産地のブランド化、これは、できれば、もちろん進めていくのはすばらしいことですけれども、この施策では何年かかるか分からず、農家戸数の減りのスピードには追いつきません。それに、今、農業機械はコロナ前の倍ほどの金額になっていますので、いろいろな制度を組み入れても、なかなか簡単に購入できる状況ではありません。今いる農家の所得を明確にプラスにする方策が急務であると感じています。

 その上で、農家の皆さんとお話をしますと、民主党政権時にあった戸別所得補償制度、この復活を求める声も多く聞かれております。この戸別所得補償制度は、その農家の規模であったり更なる規模拡大の有無に限らず農家の所得を底上げするという仕組みです。もちろん、対象品目を含めてバージョンアップすることは大切だと思いますが、所得が補償される作物を柱にして収入の見通しがつくということは最大のメリットだと思います。

 また、規模に限らず、農地を守ることを価値として、直接支払い制度の創設も重要だと思いますが、こうした所得を直接補償する対策について、総理のお考えを伺います。

岸田内閣総理大臣 まず、農地、これは農業生産の基盤であります。将来にわたる国民のための限られた資源であり、そして地域における貴重な資源でもあります。こうした農地をしっかりと守っていただくために、農地や農業用インフラの保全管理等を行う地域の共同活動に対する直接支払いとして多面的機能支払交付金、これを措置しているところです。

 この交付金を活用して、現在、各地で水路の泥上げ等の農地保全活動が行われており、基本法の改正案でも、農地保全に資する共同活動に必要な施策を講ずる、これを明記しております。

 今後とも、こうした直接支払い制度等を通じて、農地の保全の取組、これをしっかりと後押ししていきたいと考えております。

石川(香)委員 今のおっしゃる制度ですと、現に、これまで農家戸数は減っていき、そして耕作放棄地が増えていったということを考えますと、全く不十分だと言えると思います。

 戸別所得補償制度が導入された十四年前と今の世界をめぐる食料事情というのは全く異なりますし、収入の見通しがつくと将来的な機械の投資にも計画が立ちますし、今、幾つか品目を作っている農家の方ですと、付加価値の高い品目に挑戦することもできるということで、農家の意欲向上にもつながると思います。

 生産額や生産量の伸びという指標も大事ですけれども、最も重要なのは、農家の手元に残る所得が増えたか減ったかです。野菜の価格は、ここ三十年ほど、ほとんど変わらないものもありまして、肥料や飼料やビニールや鉄、あらゆるものが、物価、高くなっているわけですけれども、価格転嫁できないことは農家の所得を圧迫しています。ただ、消費者も非常に家計が苦しいということで、双方が納得する価格を形成するというのは容易なことではありません。だからこそ、価格は市場で、所得は対策での考えが重要だと申し上げています。

 所得につきましても、政府の認識も正直言って曖昧です。これまで度々、政府に所得の認識について伺ってまいりましたけれども、所得は上がっている、これでやっていける、ありがたいという声もいただいていると答弁をしたり、今は上がっている傾向があるという答弁を政府はされてきました。政府の対策の不十分さを認めたくないのかもしれませんけれども、所得の認識については現場の危機感とかなり乖離があるのではないかと感じています。

 たとえ底を打った去年と比べて上がっているという傾向があったとしても、円安、物価高に追いついていない。

 ある酪農家の方は、確かに前よりも牛乳は搾れるようになったし、子牛の価格も落ち着いた。しかし、進む円安で、これ以上のダメージを心配をされていました。問題は、再生産可能な経営ができているかということです。

 総理は、今の農家の所得についてどのような認識をお持ちでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、中長期的に申し上げるならば、農地の集積、集約化、ブランド化によって農業所得全体としては上昇傾向にあるというふうに認識をしておりますが、しかし、委員御指摘のように、今、物価高、コスト高、こういったことの中にあって厳しい状況にあること、これは重く受け止めております。だからこそ、累次にわたる配合飼料コスト、肥料コストの抑制策など、累次の物価高騰対策、これを用意しているところであります。

 こうした現状の物価高騰に対しては、政府として責任を持って対応していきたいと考えておりますが、先ほども申しました、中長期的な傾向の中で、先ほど申し上げたような生産性の向上ですとか高付加価値化ですとか、こういった取組を進めていくことが重要であると思いますし、合理的な価格形成の仕組み、生産者と消費者、なかなか理解が難しいということで、所得と、そしてそれに対する支援、これは別々に考えるべきであるという御指摘もありましたが、今後、仕組みを考える上において、これは理解が難しいということであってはならないと思います。

 やはり、消費者の方々にも生産の現場の事情をしっかり理解していただくことは重要であると思いますし、生産する側も消費者のニーズというものにしっかりと思いを致すことが重要であり、そういった意思疎通をベースとしながら、合理的な価格形成の仕組み、法制化も視野に入れながら考えていきたいと申し上げております。

石川(香)委員 今、物価高騰対策のお話もありましたが、これは単年度の措置で終わっているものがほとんどですし、問題は、再生産可能かどうかというところです。

 世界を見ますと、農家に対する国による財政支援というのは当たり前で、むしろ日本はその割合が低いのが実態です。民主党政権時の戸別所得補償制度、実際に、農家の皆さんから、温かい制度だったという声が上がっています。

 一にも二にも所得対策であるというこの重要性は、漁業においても同様です。しかし、岸田政権の漁業対策は残念ながら見えてきません。今年の施政方針演説には養殖業への転換という一言のみでありましたが、毎年、漁業についての言及はほとんどありません。

 フリップを御覧いただきたいと思いますが、立憲民主党は、今年、農林漁業再生本部を設置しまして、全国をキャラバンをして、このように浜の皆さんの声を直接聞いてまいりました。漁業者を始め、水産業・漁村振興議連も含めて、原料の調達に大変苦労されている加工業の皆さんも含めて、どのような支援ができるかという議論を進めてまいりました。

 漁業者は、コロナ前の気候変動による不漁、それから、今、重油価格の高止まりなど、ほかの産業に比べて我慢の時期が長い産業だと思います。そこで、漁業者の我慢の時期を支える岸田政権の漁業対策、どんなものでしょうか。

岸田内閣総理大臣 我が国の漁業が、海洋環境の変化に伴う不漁や水産資源の変動、さらには漁業就業者の減少、高齢化、こうした課題に直面をしています。その中で、漁業者の所得の向上を図っていかなければならない。そのために、水産資源の適切な管理を促しつつ水産業の成長産業化を進めていく、こういった発想が重要であると考えます。

 具体的には、海洋環境変化も踏まえた資源管理の着実な実施、また、漁場予測システムなどスマート漁業の導入による生産コストの削減、また、大規模沖合養殖の推進などによる養殖業の成長産業化、また、ブリ、マダイなど重点品目を中心とした輸出の拡大、これらを総合的に展開していくことが重要であると考えます。

 こうした政策を並行して進めることによって、次世代を担う若者を含め、漁業者の方々が自信を持って漁業に取り組むために所得の向上を図っていく、こうした取組を進めていきたいと考えています。

石川(香)委員 今いろいろと説明をいただきましたが、海の変化に対応していくというのは、これは本当に大変なことです。今もスマート漁業と言っておりましたけれども、正直言って、現場の方は余りぴんときていません。先ほども言いましたし、物価高の影響もあるということで、簡単にはできないということで、今ある収入を補填する仕組みを更に進化する議論も重要だと思います。

 魚が戻ってくるまで漁業者を支えなければいけないと思いますので、そのためにも、次の施政方針演説の中には具体的な漁業の所得対策も含めて是非入れていただきますように、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、次に、また基本法の議論に戻りたいと思います。

 もう一つ、与党と認識が違ったのが、多様な農業者の役割という点です。

 多様な農業者は、兼業農家であったり小規模な農家を示します。自民党の基本法の中では、多様な農業者という文言は入りましたが、効率的かつ安定的な農業を営む者とそうではない多様な農業者と区別をして、その支援の有無までも明確に分けています。

 大規模農家と小規模農家、それぞれに役割があって、どちらも重要な存在であることは、これは言うまでもありません。しかし、自民党は、いまだに、大きなものはより大きく、ついてこなければ脱落すればいいと言わんばかりの区別をして、新自由主義的な発想で農業の現場を捉えているというんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 我が国の農業経営体の多くは中小規模の経営体が占める中、食料の安定供給において中心的な役割を果たす農業の担い手について、引き続き、経営規模が大規模か中小規模かにかかわらず、その経営の安定、発展、これを後押ししてまいります。

 その上で、担い手以外の多様な農業者も、耕作放棄地、離農者が課題になっている中で、農地の保全管理や集落機能の維持といった重要な役割を果たしていると認識をしています。ですから、水路の泥上げなど地域の共同活動への支援、六次産業化、あるいは農泊など、農村地域の仕事づくりへの支援、こういったものを行うことによって、地域の農業生産の継続、これを下支えしてまいりたいと考えております。

石川(香)委員 多様な農業者の重要な役割があるということも、言葉ではおっしゃっておりますけれども、基本法の中で支援の有無を明確に言葉で分けているんですね。規模が大きい小さいに限らず生産性向上そして効率化を図っていくというのは、これは大変重要です。一方、いわゆる条件不利地であっても、工夫を凝らして生産を続けてきた農家も国内には大勢いらっしゃいます。こういった方が地域のコミュニティーそして国内生産の維持においてどれほどの役割を果たしてきたかという認識が欠けている、余りにも冷たい発想ではないかなと思います。

 次の質問ですけれども、こうした新自由主義的な発想は、自民党の農業政策に色濃く残っています。

 現在、幾つかの農家が組んで経営する農業法人というものが日本に二万ありますけれども、出資者は農業者を過半数にするというルールがあります。これは、農業以外の経営支配を避けるためです。しかし、政府は、今国会で、農業者の出資を引き下げて、その代わりに民間企業の出資割合を増やすという法案を提出をしています。

 これでは、資本のある国内外の企業が経営に対して強い権限を持って、農業のプロである農業者が経営に積極的に関与できなくなるのではないかという懸念があります。民間の参入を過度に促し、農家を経営から追い出すかのような懸念を持ちますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 農地を取得そして所有できる農地所有適格法人については、経営面での農業者の主体性確保のために、議決権割合等の要件、これを定めているところですが、農業サイドからも、取引先の食品事業者と資本面での連携強化により経営の発展につなげたい、こういったニーズもあります。ですから、食料安定供給と農業経営の発展に資すると考えられることから改正案を提出したものであります。

 また、改正法案では、農業者は、定款変更等の重要な意思決定に係る特別決議の拒否権を行使できるよう、議決権の三分の一超を有することを規定しており、これにより農業者の決定権の確保を図っているところであります。

 今回の措置を通じて、農業者による主導の下、農地所有適格法人の経営基盤が強化される、そして活動の幅が広がる、こういった取組を後押ししていきたいと考えております。

石川(香)委員 民間の参入は全く否定はしないんですけれども、先ほども、決定権は残っていると言っておりましたけれども、農業者の方から不安が広がっているのは事実です。農地は、先祖代々、いろいろな困難がありながらも農業者の方が守ってきたものです。お金があれば畑を守れる、維持できるという、そんなものではありません。これまでの土づくりの努力、そして先人から引き継いできた、代々守ってきた農家のこの畑への思いを軽視しているのではないかということを指摘をさせていただきたいと思います。

 自民党は一次産業に冷たいんじゃないかということを、私自身、この予算委員会のメンバーとして審議に参加して感じることがあります。予算委員会という重要な場において、与党は一次産業に関する質問が余りにも少ない。このことについては、最も予算委員会を俯瞰で見ていらっしゃる小野寺委員長も御指摘をされておりました。むしろ農業に積極的に発信をしていたのは野党の方だということもおっしゃられております。そのとおりだと思います。

 立憲民主党は、日本の農林水産業を一番考える政党です。今日の質疑は多くの生産者の声で成り立っています。紛れもなく生産現場の声なんだということを重く受け止めていただきたいと思います。

 それでは次に、子供支援金の質問をさせていただきたいと思います。

 これはもう支援金という名の負担金です。これは、ようやく出してきた収入ごと、保険ごとの試算ですけれども、どれも小出しで、説明も不誠実です。当初総理が言っていた月五百円の負担、この資料にも出ていますけれども、明らかにこれは五百円を超えています。五百円の負担ではないですよね、総理。

岸田内閣総理大臣 支援金の拠出額については、お求めに応じ、きめ細かく一覧表を出させていただきました。加入する医療保険制度、所得の多寡、また、世帯単位によって異なる様々な拠出額の試算、これをお示しいたしましたが、あくまでも、支援金の拠出額については、医療保険制度全体の額を示す場合には加入者一人当たりで統一的にお示しをする、物差しを統一しなければならないということを申し上げております。

 結果として、月四百五十円という加入者一人当たりの平均値で拠出額をお示しできたこと、これは適切な対応であると考えております。要は、御指摘は当たらないと考えております。

石川(香)委員 この「加入者一人」というのも、保険料を払っていない赤ちゃんまで試算をする、これは小さく見せる細工にすぎませんし、一体自分が幾ら負担するのか、何か月聞いても教えてくれなかったわけです。そして、出てきたら明らかに超えている。

 そしてもう一つ、三つの発言を総理はされておりますけれども、これは、三つのごまかしと言ってもいいかもしれません。賃上げと歳出改革によって負担ゼロという説明もいまだにされておりますけれども、これはどう見ても負担ゼロじゃありません。負担が発生するのは明らかなのにどうしていまだに実質負担ゼロという説明をされるのか、その辺り、お願いいたします。

岸田内閣総理大臣 新しい政策を掲げてその財源を考える際に、増税やあるいは借金ではなくして、まずは歳出改革に努めて財源を考える、これはまず第一に考えなければならない考え方であると思っています。そして、歳出を削る一方で、この削った歳出の範囲内で新たな政策の支出に回せば、その意味において、新たな負担は求めないものになるということを申し上げております。

 そして、歳出努力で財源を拠出するといっても、単なる抽象論や精神論で申し上げても、それを説得するわけにはいかないということで、社会保障負担率という具体的なメルクマールを設けて、支援金の導入によっても社会保障負担率は上がらないということを、国民の皆さんに新たな負担を求めないことのあかしとしてお約束したいということを申し上げているわけであります。

 こういったことで、この導入に当たっても、社会保障負担率という具体的なメルクマールを示した上で、これが増えないということで、国民の負担を増やさない努力を続けている、こういったことを説明させていただいています。こういった考え方はこれからも変わらないと思っております。

石川(香)委員 今、税や借金じゃなくて財源を考えると言いましたけれども、これはどう見ても隠し増税じゃないですか。

 これは、実質ただとおっしゃっても、実際ただじゃないんですよ。二六年度から、給与明細から容赦なく天引きされる話なんです。説明が余りにも不誠実過ぎですよ。不誠実総理ですよ、これは幾ら何でも。実質ただといまだにおっしゃるのは、これも、はっきり言って、国民の皆さんも誰も理解できないと思います。

 そして、三つ目の発言として、こうした負担が増えることによって事業主の負担も増えるということで、本来、賃上げに使われるお金だったのではないか、この点においても、賃上げを阻害しないときっぱりと言う。これは本当に理解できない説明です。

 ただでさえ、今、自民党の裏金問題で、皆さん、不信感が募っているのに、この説明を理解しろということは、もう全く理解できないわけですね。加速化プランで何が加速したかといえば、不信感しかないと思います。

 以上、このことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、江田憲司君から関連質疑の申出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。江田憲司君。

江田委員 立憲民主党の江田憲司でございます。

 まず、皆さん、パネルを御覧をいただきたいんですが、これは、二〇二〇年度、二一年度、二二年度、コロナ禍で大変な三年間でございました。時の政権、安倍、菅、岸田政権ですけれども、それぞれ、補正予算を含めまして、総予算百八十二・三兆円、百七十三・四兆円、百六十一・六兆円、莫大な予算を積み上げたわけです。これがまだ、ニーズに沿った適切な予算であればまだしも、御覧のように驚くべき数字が並んでおります。使い残した額が、二〇年度は三十四・七兆円、二一年度は二十八・八兆円、二二年度は二十九・三兆円。

 これは全て、借金、税金で賄われた国民の貴重な貴重なお金ですよ。そうしたお金を三十兆円前後を無駄にした、そういう責任を岸田総理は少しでも感じておられるんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 毎年度三十兆円規模の使い残しがあるという御指摘ですが、その多くを占めるのは翌年度への繰越しであると承知をしております。そして、令和二年から令和四年度の間に多額の繰越しが生じた事実、これは当然重く受け止める必要があるとは思いますが、これは、新型コロナウイルスなど未知の存在との戦いの中で、国民生活や事業活動を守り抜くために必要となる政策を積み上げてきた、こういったことが背景にあると考えています。

 ただし、繰越しは次年度に執行が予定されるものであり、その金額が全て無駄になったという御指摘は当たらないと考えておりますし、また、結果としてこれらの年度において歳出の不用が生じたことも事実ですが、歳出の不用が生じることが見込まれる場合には特例公債発行の抑制に最大限努めてきたところであり、不用額の金額がそのまま余っているというものではないと考えております。

 こういったことから考えますときに、こうした野方図な財政運営が行われてきたというような御指摘は当たらないと考えております。

江田委員 まあ、信じ難い答弁ですね。政策というのはタイムリーに打たなければ意味がないんですよ。まさに危機管理対応、コロナ禍のときに、二〇年度、二一年度に有効な施策が打てなかったということをこれは如実に表しているわけですね。

 当時、我々が何を訴えていたか。ほとんどの野党が、消費減税、一年限り五%減税をやってくれと要求していましたよね。もし、二〇年度、二一年度、ここに書いてあるように消費税五%減税の財源は十五兆円で済むんですよ、一年間五%減税だとしてもお釣りがなみなみと来るような、要するに、その財源を使い残していた。もし仮に五%減税をやっていたら、もっと早く困窮する国民生活を救えたかもしれないし、もっと早く景気をコロナ禍前に戻せたかもしれないんですよ。

 総理、今の言い訳が通用しないのは、機会費用とか機会損失という言葉を知らないからですよ。もっとベターな政策を打っていたら得られたであろう政策効果、利益。それを失ったということなんです、この無駄なお金を積んだことで、しかも三十兆という。お分かりですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げた、こうした使い残しと指摘されている金額については、まずもって新型コロナウイルスとの戦いが背景にあると申し上げたわけでありますが、その上で、歳出の不用が見込まれる場合には特例公債発行の抑制に最大限努めてきたところであり、そして、その後、何をもって予算の使い残しかということは一概には申し上げられませんが、財政法第六条の純剰余金となるのは、令和四年度決算でいえば二・六兆円程度ということであります。そして、令和四年度決算の場合、その純剰余金については、財政法に基づき二分の一を国債償還に充てる、そしてその残りも防衛財源として活用した、こういったことであります。

 こうした形で、こうした資金はそれぞれの目的に使われております。野方図な財政運営であるということは当たらないと申し上げたゆえんであります。

江田委員 私が申し上げた機会費用という、全く理解されていない答弁でしたね。そんな、後で使いましたからいいじゃないんですよ。この貴重なお金は、タイムリー、そのときに有効に使わなきゃ駄目です、それができなかったということを如実に示しているわけですね。そういう野方図な財政運営をやりながら、やれ防衛増税だ、やれ子育て支援のための健康保険料の値上げだと、私はよく言えたものだと思いますよ。

 一方で、財政は厳しい、口を開けば財政は厳しい厳しい、千兆円を超える借金がなんなんとしてあって、増税しなきゃ財政破綻だと言い続けてきたんでしょう。

 ちょっとパネルを御覧ください。

 これは、日本の実力というか、日本が持っている保有資金、別の言葉で言えば支払い能力というやつですね。これは財務省の資料ですから。

 一。個人、家計の金融資産は何と二千百四十一兆円ですよ。日本の人口は一億二千万ですけれども、一億で単純に割ると、大体一人当たり、赤ちゃんからおじいちゃんまで二千万円の金融資産を持っているということですが、テレビを御覧の皆さん、持っておられますか。四人家族で八千万円ですよ。しかし、持っている人は持っているということをここで示しているわけですね。

 そして、個人に加えて、企業と国の金融資産を合わせると、何と九千七百四兆円ですよ、皆さん。一京円って御存じですか、京都の京と書くでしょう、一京円の金融資産を日本は持っている。

 対外純資産、日本が海外に持っている資産ですけれども、これは四百十八・六兆円。世界一の資産大国です。世界一なんですよ。

 外貨準備、これは米国債を中心に持っていますが、何と百八十九・七兆円。

 経常収支、二十・六兆円。これは、貿易や投資の利益が年間二十・六兆円あるということです。

 どこが破綻するんですかと私は申し上げているわけです。取るべきところから取っていないから、いつも厳しい厳しいといって消費増税に走るんでしょう。担税能力、すなわち税金を負担する能力の高い人からまともに税金を取らずに、いつも庶民を苦しめる消費増税に走っているというのが自民党政権じゃないですか。何か反論はございますか。

岸田内閣総理大臣 我が国の資金保有量と財政状況への御指摘ですが、これまで我が国は、家計の金融資産や経常収支の黒字等を背景として、大量の国債の大部分を国内で低金利かつ安定的に消化してきたものであります。

 一方で、我が国の政府債務残高、対GDP比で主要国の中で最悪の水準である、これも事実であります。仮に政府の金融資産を債務残高から差し引いた純債務で見たとしても、同様に主要国の中で最悪の水準になっていると認識をしています。

 そして、大事なのは、こうした財政の状況がマーケットあるいは国際的にも信認を失わない、こういったことであると考えております。財政運営に関する市場の信認を将来にわたって失うことがないように、適切に財政運営を行っていくことが重要であると考えます。

 こういった考えに基づいて、歳出歳入両面から見直しを今後も徹底し、財政健全化に努めていきたいと考えております。

江田委員 こういう日本の支払い能力を背景に、CDSといいまして、今、市場では、日本国債がもし破綻した場合に全額返ってくる保証料が、〇・二%。これはG7でもドイツに次いで一番低いんです。要は、一〇〇%安全だと市場が認知しているということを言いたいと思います。

 私が取るべきところから取っていないということを示唆する、これは一億円の壁。いみじくも岸田総理が総裁選のときに出されて、後に引っ込められた、この一億円の壁。要は、この赤い傍線が一億円なんですけれども、一億円を超えると、この国はなぜか所得税の負担率がどんどん下がっていくんですよ。お金持ちになればなるほど所得税の負担が下がるということですね。

 次は、じゃ、会社はどうですかと。これは財務省の資料です。さっきも財務省の資料、これも財務省の資料ですけれども、実際の法人税負担率です。国の法人税というのは今二五・五九%、これは表面税率というか法定税率ですけれども、この中で、実際に負担する率を見てみると、どこの規模の企業が負担していませんか。一四・一二%、資本金が百億円を超える大企業が、中小零細企業、一六・一〇%よりも負担していないんですよ。

 これはどういうことかといいますと、大企業を中心に、政策減税、租税特別措置といいまして、優遇措置が何度も何度も適用された。これは自民党がつくってきた歴史ですよ。その結果、一番税金を負担する能力の高い大企業さんが、内部留保を五百数十兆も積むようなところが一番税金を負担していないというのはおかしいじゃないですか。

 だから、私が言いたいことは、庶民を苦しめる消費増税じゃなくて、私はお金持ちの皆さんが悪いと言っているんじゃないですよ、大企業が悪いと言っているんじゃない。しかし、応分の、だって、税金というのは負担する能力の高い人から取るのが原則なんですから、それを、長年の自民党政治がこういういびつな税制措置そして不公平な税制措置をつくってきたということを指摘しておきたいと思います。

 これは自民党さんの献金、名立たる大企業や業界団体が並んでいますよね。これは企業を批判する意味じゃないから勘弁してくださいね。住友化学さん、トヨタ自動車さん、キヤノンさん、日立製作所さん、東レさん、日本製鉄さん。どういう会社でしょう。これは経団連会長会社なんですね。経団連会長会社が、五千万だ、四千万だ、みんな数千万規模の献金をしている。

 経団連会長になるためにこのぐらいの献金をしなければいけないのか、それとも、経団連会長になったからこういう献金をしたのか、私には分かりませんけれども。いずれにせよ、こういう大企業、業界団体で支えられているから、自民党政治というのはこういう人たちに恩返しをする政治になっちゃうということなんですね。

 経団連会長は、記者会見で、口を開けば財政が厳しいから消費増税を更にやらないかぬと発言しているでしょう。これは分かりやすいんですよ。法人税を上げたくないという本音が出ているわけですね。

 しかし、今はもう、とっくに国際的には法人下げ競争は終わりまして、バイデン大統領は、この前の教書演説で、トランプさんが二一%まで下げた法人税率を二八%まで上げる。それから、こうやって政策減税でどんどん下げられたとしても最低一五%は払ってくださいよという最低課税措置というのをバイデンさんになって決めたんですが、これを更に、最低二一%は超大企業さんは払ってくださいにしました。

 それから、スナク政権、イギリスは、サッチャー政権以降、半世紀ぶりに法人税を去年四月に上げました。一九%を二五%。これは超大企業だけです。

 こういう形で、コロナ禍で膨らんだ財政需要や赤字を賄おうというのが世界の先進国の趨勢だということを指摘しておきますけれども、なかなかここに踏み出せないのが自民党政治の正体だということを申し上げておきます。

 さて、こうした企業・団体献金のうまみというのを知り尽くした自民党さんが、派閥のパーティーで裏金づくりをしていたということですね。派閥のパーティーの利益率が九〇%、ひどい人は九八%。二万円のチケットを売って九八%の利益率というのは、四百円ですよ。これはパーティーと呼びません、常識では。だから、結局これは企業・団体献金なんですよ。

 西村康稔さん。名前は出したくないですよ、私の後輩ですから。名前は出したくないけれども、彼の場合は、会議室、数十人入れば満杯のところに、数百枚のチケットを売って、物理的に入れないんですよ、パーティーに。都合が悪くて来なかったというのはまだ理屈が立つんですけれども、資金集めパーティーというのは、参加の対価と定義されているんです。参加することが前提なんです。そもそも、売る方も買う方も参加することを前提にしていないじゃないですか。五、六十人しか入れない会議室なので、六百人入れないじゃないですか。

 これは企業・団体献金そのもので、西村さんは個人の資金管理団体にこれを受け入れていますから、財務大臣、財務金融委員会で私はやりましたけれども、検察庁はすぐ捜査に入れと言っているんですよ。これは本当に、まじで直接違反ですからね。今日はそれはやりませんけれども。

 いずれにせよ、この裏金問題が起こって、岸田総理・総裁自らの処分はおとがめなしということでしたけれども、申し訳ないですけれども、民間企業のトップというのは、不祥事に手を染めていようがいまいが、やはりトップというのは責任を取るのが役割なんですよ。仕事なんですよ。

 これをちょっと見てください。最近だけの例。これも個別の企業を批判するわけじゃないので、勘弁してください。最近では、ビッグモーターの不祥事で、SOMPOホールディングス、損害保険ジャパンの社長さん、会長さんがお辞めになっていますね。それから、宝塚歌劇団も、親会社が阪急電鉄の理事長さんも辞めている。それから、ジャニーズさんも社長さんが辞めているんですよ。おびただしい数の今不祥事が起こっているのは残念ですけれども、全てトップが責任を取っているんです。

 総理、部下はこの前処分したでしょう、三十九人、これも軽いと言われているんですけれども。しかし、部下には厳しく対応して、トップは無罪放免という組織って、これはもつんですか。

岸田内閣総理大臣 今回の事案については、まず検察による捜査によって刑事判断が下された後に、刑事責任が認められなかった場合でも、政治不信を招いた政治責任を明らかにするために、党として所定の手続に基づいて処分を行った、こういったことであります。

 私自身としては個人の収支報告書の不記載がなかった等を勘案して処分の対象にはなりませんでしたが、委員御指摘のように、トップとしての責任、これは重たいものがある。これは、派閥の政治資金の問題と言いながら、自民党自身の政治的な信頼を損ねたわけでありますから、トップとしての責任を果たさなければならない、重く受け止めなければならない、これは御指摘のとおりだと思います。

 だからこそ、今、党の信頼回復の道のり、道半ばであります。これまでの取組に加えて、自民党自身が今党改革を進めていかなければならない。そしてさらには、今、国会において法改正を通じて再発防止に努めなければならない。こうした取組、道半ばでありますから、これを党総裁として先頭に立って責任を果たすことによって、トップとしての責任を果たしていく、こうしたことが私の与えられた責務であると申し上げている次第であります。

江田委員 どこかの社長が辞めたくないので言っていたような言葉をまた聞いたような感じがしますけれども。自民党の皆さん、それでいいんですか。

 私、海部、宮沢、橋本総理官邸でお仕えをいたしました。岸田総理、思い起こせば、自民党さんが定めた政治改革大綱、総理になっても派閥をなかなか抜けられなかった。それから、大臣規範に違反して、収入が一千万円以上ある大規模パーティー、二二年は六回も開いて一億数千万円荒稼ぎしている。最近では、また、後援会長さんがテレビに出てきて、祝う会、あれは岸田事務所丸抱えでしたと言っている。僕、自民党の三総理大臣にお仕えして、こんな総理はいなかったなと、たしか。

 総理、総理の倫理観というのはどうなっているんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 幾つか御指摘がありました。

 こうした指摘に対してしっかりと説明をしていくのも私の責任であると考えております。党総裁としての責任、先ほど申し上げたとおりでありますし、また、大臣規範との関係について御指摘がありました。これについても、私自身は、就任前からの勉強会を続けていたと認識をし、国民の誤解を招くようなものではないと認識しておりましたが、御指摘を受けて、今後、在任中はこうしたパーティーはもう行わないこと、これを明らかにさせていただきました。

 また、総理就任のパーティーについて御指摘がありました。これについては、地元の政財界が発起人となって開いていただいた祝賀会でありますが、そして、私の事務所が関係者が不慣れであるからしてお手伝いをした、これは御指摘のとおりであります。しかしながら、会の主催、これはあくまでも政治団体とは異なる任意団体であって、事務所が開催したというものではないということ、これは再三御説明をさせていただいております。

 こういった説明はしっかり行っていきながら、私自身として、政治資金に対しての考え方、民主主義を支える最も重要な要素である政治資金に対して、国民に対して透明性を確保していくことの重要性、これをしっかり認識しながら取組を続けていきたいと考えております。

江田委員 祝う会のパーティーは御地元の広島で刑事告発されているということなので、検察、今日も法務省来ていると思いますから、しっかり捜査してください。

 さて、政策活動費ですが、私の理解するところ、この政策活動費というのは領収書の要らないお金として従来自民党の中では運用されてきたのではないですか。

岸田内閣総理大臣 政策活動費を使った際に領収書が……(江田委員「いや、渡すとき」と呼ぶ)渡すときに領収書が要るか要らないか。

 政策活動費については、党勢拡張を始めとする目的を定めた上で支出するものでありますが、その使用については法律で定めはありません。

 ただ、こういった使用について、例えば、税務当局との関係においても、領収書を始め、使用についてしっかりと説明ができるような状況にしておく、これは重要なことであり、私自身も、政策活動費について、領収書を含めて、どのように使ったのか説明を求められたならば、説明ができる状況にしてあります。

江田委員 じゃ、税務調査に入られても全然御の字ですね。

 岸田総理も政調会長時代に、年間九百五十万から最大二千六百六十万円の政策活動費を受け取っておられるということですね。

 じゃ、自民党の幹事長さんはどうなんですか。前も三月の予算委員会で私申し上げたように、茂木幹事長、現職には十億円弱、二階当時幹事長、五年間で五十億円弱ですよ。それについて国税庁は、課税対象だと明確に言いましたね。それに対して岸田総理は、その中身をちゃんと公開しろとか、あれはどうだと問いただされたときに、これは適切に使っております、確認するまでもないという御答弁を明確にされました。

 国税庁さん、そういう言い訳、通じるんですか、今後。例えば使途不明金があったときに、これは適切に使っている。第三者から見て使途不明金じゃないですか、政策活動費も。だから、企業に例えば使途不明金があったときに、適切に使いました、これは経費として。確認するまでもないという言い訳が国税庁や税務署に通用するかどうか、イエスかノーかで答えてください。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論で申し上げますが、申告納税制度の下では、まずは納税者におきまして御自身の収入や必要経費を計算し、申告していただくこととなります。

 一般論として申し上げますと、税務調査等におきまして、個人の必要経費につきましては、納税者から、様々な書類によりまして必要経費として支出したという事実を示していただくこととなります。国税当局といたしましては、納税者の説明を伺った上で、その支出の事実の有無及び当該支出が必要経費に当たるかどうかについて個別具体的に検討することとなります。

江田委員 分かりました。

 だから、要は、幹事長、十億円いただいた人も、ちゃんと領収書等で、書類で証明できなければ、これは脱税になるということです。

 だから、この政策活動費の闇というのは、まず一つは、これは証明できないので、税務調査が入っても。今、脱税の立件基準、一億円以上ですから。十億円のうち、たとえ仮に九億円、領収書や書類がそろっていても、一億円証明できなければ、歴代自民党幹事長は告発、立件されるということですよ。これが一つ目の闇。

 二つ目。この政策活動費では、るる、自民党の議員の、過去の皆さんも含めて、選挙のときの陣中見舞いに使ったとおっしゃっているんですね。鈴木宗男さん、昔、総務局長で選挙担当でしたけれども、選挙事務所の経費だとか陣中見舞いとおっしゃいました。石破茂さん、そこにおられるので言いにくいんですけれども、去年十二月のテレビ番組で、選挙の陣中見舞い、国会対策費等に使ったと発言されていると報道されていますね。

 選挙の陣中見舞い、そこに政策活動費、総理、総裁、配っているんですか。

岸田内閣総理大臣 政策活動費の使途については、法律において明らかにすることは求められておりませんし、政治活動の自由との関係で明らかにしていない現状にあります。ですから、この使途について申し上げることはいたしませんが、いずれにせよ、法律に従って政治資金は扱われなければなりません。この資金が渡った先も含めて、法律に従って適正に処理されること、これが大前提であると考えます。

江田委員 済みません、私は自民党の総理大臣の秘書官兼自民党総裁の秘書官も実質上やっていましたから、本当のことを知っているんですが、ここではあえて言いません。

 例えば、甘利幹事長時代、二一年十月五日から十月二十五日に三億八千万円の政策活動費をもらっていますね。ちょうどこれは、十月十四日に解散されて、十月十九日から三十一日が告示期間なんですよ、選挙期間なんですね。ここに配ったとしか言いようがないじゃないですか。

 これは、配ると何が起こるかというと、二つあるんですよ。

 一つは、要は、選挙期間中は法定上限というのがあるんですよ。法定上限というのは、使える費用は大体二千数百万ですね、一選挙区、一事務所に。裏金で政策活動費が出ているとすれば、この上限違反の可能性も出てくるんじゃないですか、人によっては。これは三年以下の禁錮、五十万円以下の罰金で、公民権停止ですよ。

 それから、これは選挙収支に使ったとしたら、選挙収支報告書を出さないかぬですよ、後に。これも記載していないはずですから、不記載罪にもなるんですよ。

 ですから、申し上げたいところは、政策活動費の闇というのは幾つもあって、これは、はっきり言って究極の裏金、アングラマネーなんですよ。こうした法律違反の可能性があるから裏で配っているんでしょう。

 だから、金輪際本当にこれは廃止すると自民党は言わないと、ずうっと私が言った三つの疑惑、脱税しているんじゃないか。二つ目、選挙のときに配って、総裁だ幹部が来て、街宣車の中で、これは領収書は要らない金ですと百万や二百万、重点候補は一千万配って、選挙上限違反、公職選挙法違反。選挙収支報告にも書いていない、これは政治資金規正法違反。断定はしませんよ。この三つの法律違反があるような金を存続と決めた途端に、ずっと永遠にこれは言われ続けますからね、総理。

 政策活動費は廃止しましょう、お互い。

岸田内閣総理大臣 政策活動費については、先ほども答弁させていただきましたが、政党の資金をどのように集め、そしてどのように使うか、この全体の中で、政党助成金等も含めて政策活動費について議論をする、こういったことは今回の事案に対して最低限度、政治資金規正法の改正を行うと併せて、こうした議論を行うことは各党各会派とともに行いますと申し上げております。

 政策活動費については、従来から申し上げておりますように、自民党として、党勢拡張、政策の作成、さらには調査研究という目的において、それぞれの役職に応じて、内規や慣行に基づいてお金を出して、そして出した場合には政治資金収支報告書で報告をしております。これは裏金というものではないということを申し上げた上で、そして、その先においても、使った先においても、それぞれ法律に従って報告すべきものは報告すべきものであると認識をしております。法律の中でこうしたお金を取り扱うべきことである、これは当然のことであります。

 その上で、透明性を高めるという議論については、冒頭申し上げたように、政党のお金をどのように考えるのか、その議論の中で議論をしてまいります。

江田委員 年間十四億円も政策活動費で不透明な使途不明金があるのに、何が透明化、デジタル化ですか。ちゃんちゃらおかしいですよ。

 いずれにせよ、自民は脱税、国民には増税では、この国は立ち行きませんので。これを強く指摘して、私の質問を終わります。

小野寺委員長 この際、大西健介君から関連質疑の申出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党の大西健介です。

 さて、来週になりますと、能登半島地震から四か月がたちますけれども、いまだ珠洲市では約八割に水が来ていない、断水が続いております。これまで、例えば、熊本地震だったら約一か月後、阪神・淡路、東日本大震災でも約二か月後には水道はほぼ復旧を終えており、今回はこの遅さというのが歴然としております。

 被災住宅の再建支援のための新たな交付金、これも三市三町だけに対象が限定されていて、支援を受けられない被災者は途方に暮れている。

 総理、やはり、これは補正予算を組むべきだったんじゃないんですか。本腰を入れて復旧復興を加速化するために、今からでも遅くないと思いますけれども、私は補正予算を組まれたらどうかと思いますけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 能登半島地震からの復興復旧については、これまでも累次にわたって、令和五年度予備費等を活用し、総額二千七百六十七億円の財政措置を行っており、生活となりわい再建のために政府一丸となって対応してまいりました。

 そして、今後とも、こうした復興復旧、被災地のニーズに合わせて、そして機動的に、弾力的に財政措置を講じていく、こういった観点からは、補正予算ではなく、一兆円に増額した令和六年度予備費を活用することが最も迅速かつ適切な対応であると考えております。

 今週中にも、発災から第四弾となる予備費の使用決定、これを行うべく最終調整を進めているところであります。

 現時点で、令和六年度補正予算を提出することは想定しておりません。

大西(健)委員 とにかく遅いんですよ。このままだと、能登から若い人たちはどんどんいなくなっちゃうんじゃないですか。本当に本腰を入れていただきたいとお願いをしておきたいと思います。

 次に、小林製薬の紅こうじサプリメントによる健康被害について質問します。

 まず、お亡くなりになられた方、五人の方を含め、被害に遭われた全ての方に心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 そして、冒頭、テレビを御覧の皆様にお願いをしておきたいのは、しょうゆやみそであったり、日本の伝統的な発酵食品に使われるこうじあるいは紅こうじ色素、これは今回問題になっている紅こうじとは別物ですので、風評に惑わされないようにお願いをしたいというふうに思います。

 さて、その上で、皆様の中にも何らかのサプリメントを毎日飲んでいる方というのはかなり多いんじゃないかというふうに思います。また、今はコンビニでも簡単に手に入りますし、テレビのCMや広告を見ない日はないぐらい、今やサプリメントは身近なものになっているというふうに思います。私も最近、サプリを飲んでいるんだけれども大丈夫かな、こういうことをよく聞かれます。それだけ皆さんが不安に思っておられるというふうに思います。

 さて、その上で、皆さんの中にも、今回の小林製薬の製品は機能性表示食品というものですけれども、特保と何が違うのと思っておられる、素朴な疑問をお持ちの方がいらっしゃるかと思います。

 そこで、パネルにまとめてみましたけれども、最大の違いは、特保は国が審査しますけれども、機能性表示食品は届出だけで表示が可能です。できたのは特保より後ですけれども、商品数は、届出だけで済む、特保の六倍以上と市場が急成長しています。ただ、普通の人は、どちらも国のお墨つきがあるものと勘違いをしています。

 では、この制度がどうして導入されたか、次のパネルを御覧いただきたいというふうに思います。

 これは、二〇一三年の規制緩和、成長戦略の中で出てまいりました。そして、日本再興戦略にも盛り込まれて、僅か半年という検討会での審議を経て制度ができました。そして、この制度は、内閣府令の食品表示基準というものの改正で行われていますので、国会で慎重に審議したわけではないんですね。

 そして、そこに吹き出しのような形で書いておきましたけれども、安倍総理が、成長戦略第三弾スピーチの中で、機能性表示を解禁いたしますと宣言をしました。私も成長戦略自体は否定するものではありません。ただ、ひっかかるのは、世界並みではなくて世界最先端、世界で一番企業が活躍しやすい国を実現する、こういう安倍総理の言葉、これが私はひっかかるんですね。

 つまり、アベノミクスで世界最先端を掲げた結果、行き過ぎた規制緩和になってしまったんじゃないか、このように思うんですけれども、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の機能性表示食品制度については、平成二十五年六月の規制改革実施計画において、機能性の表示を容認する新たな方策を検討し、結論を得ること、検討に当たっては、米国のダイエタリーサプリメント、DS制度を参考にすべきとされたことを受けて検討された経緯があると承知をしております。

 これらを踏まえ、安全性の確保を前提とした上で、消費者の誤認を招くことなく、消費者の自主的かつ合理的な商品選択に資するものとなるように、まず、食品の新たな機能性表示制度に関する検討会において、事業者団体のみならず、医学者、消費者団体からも参加を得て、平成二十五年十二月から計八回にわたる精力的かつ充実した議論を経て報告書を取りまとめ、そして、食品表示基準において制度を定めることについて消費者委員会からも意見を聴取をし、そして、平成二十六年八月二十八日から平成二十六年九月二十六日までの間に制度の案についてのパブリックコメントを実施するなどにより、多くの方々の意見を踏まえた上で制度が定められた、このように承知をしています。こういった作業を経てこの制度の導入を検討していった、こういったことであります。

 行き過ぎた規制緩和かという御質問でありますが、こうしたことについて、現在、政府においても、機能性表示食品に係る検討会等で議論を行っております。そして、制度の今後の在り方の方向性を五月末までに取りまとめる、このようにしております。こうした議論を見守りたいと考えております。

大西(健)委員 先ほどもちょっと言いましたけれども、本当に半年ぐらいで、検討会をやって決めたんですよ。私、実際にそのとき携わった方にもお話を聞きましたけれども、本当に時間がなくて、ほとんど議論するそういう時間もなかったというふうにおっしゃっていました。まさに、私は、反省して見直すべきだと思うんですね。

 これは、実は経済界の方もそう言っているんですよ。こちらのパネルですけれども、経済界の代表である経団連の会長、このように言われています。問題があれば速やかに見直すべき、人の健康に関わることであればもう少し慎重に、厳しく管理をすべきであるという声が出てくるし、それは傾聴すべきだというふうに言われています。

 まさに、健康、命に関わることだからやはり慎重にやるべきだったんじゃないか、それが総理の一声で、鶴の一声で、私は、本当にこの規制緩和というのがどんどん短い期間で進んでしまったんじゃないかと思うんですね。

 次のパネルを御覧いただきたいんですけれども、世界各国に機能性表示をするような制度というのはあります。ありますが、先ほど総理もアメリカのダイエタリーサプリメント法を見習ってと言いましたけれども、届出だけで済むのは、日本とアメリカ、二か国だけなんです。そして、更に下の方を見ていただくと、日本が参考にしたアメリカのダイエタリーサプリメント法は、まず、製造、品質管理基準、GMPといいますけれども、これも義務化されています。それから、有害事象の報告、これも義務化されています。機能性表示食品は、GMPは任意ですし、健康被害の報告も、これはガイドラインにしか定められていない。

 つまり、安倍総理の天の声で、結果として、安全性を後回しにした世界一緩い制度、これをつくってしまったということじゃないんでしょうか。いかがですか、総理。

岸田内閣総理大臣 この機能性表示食品制度といったような制度については、各国の法体系や歴史の中で総合的にルールが形成されているものであって、単純に比較することは難しいと考えますが、その上であえて申し上げれば、機能性表示食品制度、これは米国のダイエタリーサプリメント制度を参考としたものであり、米国の制度と同様に届出制度を採用していますが、米国の制度につき指摘されていた問題点、こういった問題点に対応した制度となるよう、先ほども申し上げた有識者による会議等で議論が行われ、そして制度が制定されたと承知をしています。

 これは、米国の制度では販売後の届出とされているところ、我が国では販売前の届出にする、また、科学的根拠を含む製品情報について透明性を高めるために、米国では届出、開示の対象とされていない有効性に関する表示内容の根拠について我が国では届出を求め、これを含む届出情報を我が国では全て公開する、こういった制度にすることによって適正表示の確保、これを図っている。

 こうした米国との制度の違いがあり、日本として、それなりにこうした問題点に対応した、結果としてこういった制度ができたと認識をしております。

大西(健)委員 総理は、各国によってそれぞればらばらだから単純に比較できないと言いながら、でも、日本の制度はアメリカのダイエタリーサプリメント制度を参考にしたんですよ。でも、アメリカのやつは健康被害の報告義務も入っているし、GMPも入っている。ですから、それよりも緩い制度になって、これは世界一緩い制度になっているんです。

 その上、今言った有効性の部分についても、これは質問しませんけれども、我が党の早稲田委員が厚労委員会でもやっていましたけれども、ホームページに行くと、その有効性を証明する論文を代わりに書きますよとか、そういうデータを、言ってみれば、でっち上げますよというような業者までいるんですよ。

 それから、その根拠になる科学的根拠は公開されているといいますけれども、総理、見たことはありますか。消費者庁のホームページに行って見ても、一般の人が見ても、どこにどう書いてあるか、たどり着くのさえ難しいですし、読んで分かるようなものになっていないんですよ。

 多くの皆さんは、さっきも言いましたように、特保との違いなんて分かっておられない。ほとんど、国がお墨つきを与えたものだというふうに思っている。そういうもので五人もの方が貴い命を落としたというのは、これは大問題だというふうに思いますので、午後、この後、またこのことは続けてやってまいりたいというふうに思います。

小野寺委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

小野寺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大西健介君。

大西(健)委員 大西健介でございます。

 午前中に引き続き、小林製薬の紅こうじのサプリメントによる健康被害の問題についてお聞きをしていきたいというふうに思います。

 私は、午前中、機能性表示という制度、これはアベノミクスの成長戦略の中で始まった制度である、そして、安倍総理の成長戦略スピーチの中で、世界並みじゃなくて世界最先端のものをつくるんだということを言った結果、もう一つのパネルを見ていただきたいんですけれども、これはアメリカのダイエタリーサプリメント制度というものをお手本にしているんですが、世界中で似たような制度がありますが、届出のみでこういう表示ができるというのは、日本の機能性表示食品とアメリカのダイエタリーサプリメント制度だけなんです。しかも、アメリカの場合には、健康被害報告は義務化されているし、それから、適正品質管理基準、これはGMPというんですけれども、これも義務化をされている。

 つまり、日本は、GMPも任意だし、そして報告義務も法律上入っていないという、世界一緩い制度をつくってしまったんじゃないか。そして、この十年間で市場は、何と三百億円から七千億円と、二十倍になっています。つまり、企業利益のために健康を犠牲にした、こういう可能性があるんじゃないかということを申し上げました。

 そこで、健康の問題について聞いていきたいと思うんですけれども、本件では、一月に医療従事者から健康被害について連絡がありました。しかし、それから政府に報告があるまで二か月以上かかっている。これがもっと早ければ、その間に摂取をやめていた人もいるかもしれない。これは、武見厚労大臣も、極めて遺憾であるというふうに国会でも答弁されています。

 消費者庁のガイドラインには、たとえ情報が不十分であっても速やかに報告することが適当であるというふうに書かれています。つまり、今回の小林製薬も、原因がよく分からないので、それを調べているうちに二か月たっちゃいましたということなんですけれども、ただ、ガイドラインは、不十分であってもすぐに報告してこい、こういうことになっているわけです。しかし、それが守られていなかった。

 そして、それどころか、今回のことがあって、これはほかの委員会でも議論があったんですけれども、消費者庁に、小林製薬のことが起こるまでに、こうした健康被害の拡大するおそれがあるからといって被害報告があったものがあるかというと、これまでそれはなかったというんですね。つまり、このガイドラインというのは全く機能していなかったということであります。

 これは、事は命と健康に関わることです。悠長に構えている場合ではないというふうに思います。今国会中に法改正を行って、健康被害の報告を義務化すべきだと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の機能性表示食品の届出に関するガイドラインですが、届出者は、評価の結果、届出食品による健康被害の発生及び拡大のおそれがある場合には、消費者庁食品表示課へ速やかに報告すると規定されているけれども、それが機能しなかった、守られなかった、こういった御指摘でありますが、今般の事案を受けた制度の今後について、健康被害情報の報告ルールも含めて、機能性表示食品を巡る検討会において、この制度の今後の在り方の方向性、五月末までに取りまとめることを目指しています。

 是非、五月末までの取りまとめ、この議論を深めて、しっかりと明らかにしたいと考えています。

大西(健)委員 今、総理はガイドラインの一部を読まれたんですけれども、それは、健康被害の発生及び拡大のおそれがある場合にはというふうに、確かにガイドラインのある部分には書いてあるんです。ただ、違う部分には、さっき私が言ったように、入手した情報が不十分であったとしても速やかに報告することが適当であると書かれているんです。つまり、ガイドライン自体が矛盾をしている。

 そのガイドラインの、拡大のおそれがある場合はと書いてあるので、おそれがないと思っていましたというふうに事業者が言ってしまうんですね。

 現に、今回のことがあって、消費者庁が、今届出されている機能性表示食品、この製品が約七千件ありますけれども、これを調べたところ、三十五の製品で百四十七件の医療従事者からの健康被害報告があったことが分かりました。その中には、何と入院している、こういう症例も複数含まれていることが分かっています。ところが、何でこれを上げてこなかったかというと、拡大のおそれがないと思っていましたと言うわけですよ。ですから、全くこのガイドラインは機能していない。

 でも、今も、今言ったように、入院しているような事例も含めて、三十五の製品で百四十七件、医療従事者からの健康被害情報が上がってきているわけですから、これを今すぐやらないと、また第二の事件が起きてしまう可能性だってあるわけじゃないですか。後でそれが起きたときに、何ですぐにやらなかったのと言われたら、我々、責任取れないですよ。

 ですから、先ほど総理が言われたように、原因究明もしっかりやってください、それから、五月末の検討会の結果、検討会もしっかりやってもらったらいいんですけれども、その結果を待たずとも、これはもう命と健康に関わることなんですから、すぐに総理の決断でやればいいじゃないですか。この部分だけ先出しして法律上義務化する、これを是非総理のリーダーシップでやっていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 機能性表示食品、御指摘のように七千件を超えるものがあります。これについてしっかりと対応を考えなければいけないわけでありますから、先ほど言いました検討会での議論、結論を急ぎたいと思いますが、その中にあって、命に関わる問題であるからして、早急に対応すべきであるという御指摘。法制化を早急にやれ、この検討会より先に、法制化を先にやれというのは、これは現実問題、なかなか難しいかとは思いますが、現行の中でこういった不安に対してどう応えるのか、これは関係部署においてしっかり考えていく、こういった姿勢は重要であると認識をいたします。

 検討会の議論と並行して、現状の中で何かできることがないか、これは検討させます。

大西(健)委員 私たちは、並行してではなくて、我々も制度の抜本見直しはやりたいと思っています。でも、それに先立って、今の健康被害の報告義務、これだけは先出しして法改正すべきじゃないかと思っているんですね。

 もう一回、比較のパネルを見ていただきたいんですけれども、米国のダイエタリーサプリメント法では、有害事象の報告は義務化されていますけれども、ここに括弧書きで二〇〇六と書いてあるんですけれども、これは実は、アメリカの制度も最初は、報告義務は入っていなかったんです。ところが、百五件の死亡事例が発覚して、これはまずいということで入れたんですよ、後で。

 ですから、日本も、今回、五人の方が亡くなった。これは本当に極めてゆゆしきことだというふうに思いますけれども、これを受けて、やはり、この部分は、さっきも言いましたように、日本とアメリカしか届出でこれを認めていない、そして、その日本が見本にしたダイエタリーサプリメント法は、百五人の方が亡くなった結果、これは義務化したんですから、だから、元々日本が見本にした、お手本にしたものが義務化しているのに、総理がなぜそんなに後ろ向きなのか。これは、国民の命と健康を守る気がないんですか。

 我々は、立憲民主党は、食品衛生法、これを改正して、機能性表示食品の健康被害については、これは速やかに報告を義務化する。義務化するということは、違反した場合には一定の処罰等もあるということでありますけれども、制裁等もあるということですけれども、こういう法律案を議員立法として提出をするべく、今もう準備しております。是非、提出しますので、賛同していただけますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、政府としては、検討会の議論を経て、そして必要な法改正を、確認できれば法改正を行う、スピード感を持って行うと申し上げております。

 そして、命が関わっているからして、こうした議論を行いながらも、現状においてできることはないか、これを考えていくと申し上げているわけであります。

 法改正についても、必要なもの、政府としてもしっかり用意をいたします。

大西(健)委員 これは今国会中にやってくださいよ。五月末の結論を待ってやっていたんだったら今国会中にできませんから。

 先ほども言いましたように、ダイエタリーサプリメント法というのは、有害事象の報告義務だけじゃなくて、GMPというのも義務化になっています。

 今回も、製造工程で意図しない成分が混入したことが原因ではないかということが指摘されていますけれども、紅こうじ原料を製造していた大阪工場は、GMP認証どころか、もう老朽化が進んでいたという指摘もあります。

 米国では食品医薬品局、FDAが一貫してこれを見ているんですけれども、日本では、表示は消費者庁、安全は厚労省、こういうふうに分かれているんですね。しかし、このサプリメントのように、有効成分を濃縮して錠剤にして日々摂取をするものが一般の食品と同じ安全性でよいのかという疑問があると私は思っています。

 機能性表示食品を含む健康食品制度については、これは、アベノミクスの負の遺産を清算する意味でも、私は抜本的な見直しが必要だと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のGMPですが、食品においては指定成分等含有食品についてのみ義務化されております。機能性表示食品においても、機能性表示食品の届出等に関するガイドラインで、サプリメント形状の加工品について、GMPに基づく製造工程管理を強く奨励している、こういったものになっています。

 今般の事案を受けた制度の今後の在り方について、御指摘の機能性表示食品におけるGMPの適用の在り方も含め、消費者庁において検討会で同じく五月末までに取りまとめること、これを目指して議論してまいります。

大西(健)委員 全然危機感が足りないというふうに思います。

 立憲民主党は企業・団体献金の全面禁止、これを訴えていますけれども、かつて、石原俊経済同友会代表幹事は、企業が議員に何のために金を出すのか、投資に対するリターン、株主に対する収益を確保するのが企業だから、企業が政治に金を出せば必ず見返りを期待すると述べました。

 企業・団体献金によって安全性が後回しになる、こういうような、政策がゆがめられるというおそれはありませんでしょうか。総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 企業・団体献金については、今国会においても度々議論になっておりますが、これは、企業は憲法上の政治活動の自由の一環として寄附をする自由も有するというのが最高裁の判決でもありますし、また、度々議論において出てまいります、かつての自民党の政治改革大綱の中においても、自由主義経済において重要な役割を担う法人などの寄附を禁止する理由はない、このように明記しております。

 こういったことを考えますときに、企業・団体献金そのものについては、重要な存在である、自由主義経済においてそうした活動の自由を認めなければならないものであると考えておりますが、そもそも自民党がその企業献金において政策をゆがめるなどということをしてきたかということが問題だと思います。

 それについても、従来から申し上げておりますように、自民党の政策決定過程を考えますときに、多くの議員が国民の声を受けて、関係省庁での議論、有識者での議論、審議会での議論、そして最後は多くの国会議員が何日にもわたって議論を行った上で決定しているわけでありますから、一企業の献金によって政策がゆがめられる、こういったものではないということ、これも再三御説明させていただいている次第であります。

大西(健)委員 年金生活の皆さんは献金はしてくれないかもしれませんけれども、最後に年金についてお聞きをしたいと思います。

 政府は、五年に一度の公的年金制度の財政検証において、国民年金の保険料納付期間を五年間延長することを検討しているとのことです。国民年金の保険料は、現在、月額一万六千九百八十円ですので、単純計算で、五年でおよそ百万円負担額が増加することになります。

 かつて自公政権は百年安心の年金改革と言っていたのに、百万円国民負担が増えるということを検討するというのは、これは約束が違うんじゃないですか。総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 年金制度については、これまでも、法律の規定に基づいて、五年に一度、財政検証を実施し、そして制度改正を実施してきております。そして、先日、厚生労働省の社会保障審議会の年金部会で、前回、二〇一九年の議論と同様に一定の前提を置いた様々な試算を行う、こういった議論を行ったと聞いております。

 御指摘の点は、この議論の材料に供する様々な試算のうちの一つであります。その様々な試算のうちの一つを取り上げて、それを切り取った形で、さもこういった議論が進んでいるかのように指摘することは適切ではないと考えております。

 現状において、何もこうした年金の改革について決まったものはありません。こういった事実は全くないということを申し上げた上で、こういった試算を、様々な試算を議論の充実に供するために用意をするということ自体を否定するということもいかがかと思います。

大西(健)委員 検討するつもりがなかったら、別に試算する必要もないんですよね。

 それで、前回の試算のときにも、延長期間に係る給付に二分の一の国庫負担がない場合も試算しているんです。そうなると、負担は増えるけれども年金は余り増えない、こういう可能性もあると思います。

 これは国が一方的に約束の中身を変えるという話ですから、フランスでは昨年三月に、受給期間の開始を六十二歳から六十四歳にする法案が強行採決されて、百万人の抗議デモが起こって暴動にまで発展した。総理、これはそれぐらいの話なんですよ。

 子育て世代には実質負担の増はないとまやかしの説明を繰り返した上に支援金を保険料に上乗せして、今度は、年金は百年安心と言っていたのに、高齢者に百万円の負担増をもくろんでいる。そういう岸田増税のこそくなやり方に国民は辟易としているんじゃないんですか。

 安全性軽視の行き過ぎたアベノミクスを転換すること、それから、負担増にまやかしの説明を繰り返すこそくな政治を真っ当な政治に変えるために、我々は三補選に勝利をして政権交代を目指すことを申し上げて、私の質問を終わります。

小野寺委員長 これにて岡田君、石川さん、江田君、大西君の質疑は終了いたしました。

 次に、青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の青柳仁士です。

 裏金問題について、岸田総理は昨日、島根県の有権者の前で、政治資金規正法改正をこの国会会期中に実現する、私自身が先頭に立って取組を進め、信頼回復を果たさなければならないと発言されております。

 今週から政治改革特別委員会が立ち上がります。しかし、自民党から何の案も出てこないということで、日本維新の会を始め野党みんな、どうなっているのかなと心配しております。

 これは言葉どおり、総理は、国民の信頼回復に足る政治資金規正法改正をこの国会中に岸田総理自身が先頭に立って実現する、こういう決意であると理解してよろしいですか。今日テレビを御覧になっている国民の皆さんの前で、改めてその決意をお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 政治資金規正法の改正については、既に与党での協議をスタートしているわけでありますが、当然のことながら、自民党としての案を取りまとめます。そして、結果として、この国会において政治資金規正法の改正を実現してまいります。そのために、私自身、先頭に立って努力をいたします。

青柳(仁)委員 自民党の案を取りまとめるとはっきり今おっしゃいました。それを是非提示いただいて、しっかりと総理が先頭に立って、国民の信頼回復に足る法改正を行うようにお願いしたいと思います。

 政治資金パーティーの問題です。

 今回の裏金問題は、政治資金パーティーのパーティー券を売っているにもかかわらず、売っていないことにして懐に入れてしまった人がたくさんいる、こういう事件ですね。その一番多い方が五千万円、ほか三人が四千万円、三千万、二千万と続いて、およそ百人余りがそういった裏金議員と呼ばれておりますが、これはもちろん政治資金規正法違反です。

 ですから、本来、全員捕まらなきゃいけません。実態がどうであったのか、それがはっきりした上で、法的な処分も本来は受けるべきです。しかし、そうなっていないということに、国民の怒りが今沸騰している状況だというふうに認識しております。

 しかし、是非考えていただきたいのは、そもそも、政治資金規正法そのものに問題はないのかということなんです。

 今回、例えば、政治資金パーティーというのは、購入者の方が、一人二十万円以下であれば、名前を伏せたままチケットを買うことができます。例えば、自民党の安倍派であれば、九十九人の議員がいたわけですから、では、一人の方が九十九人の方に二十万円ずつパーティー券を購入した場合、およそ二千万円のお金を名前を伏せたまま寄附することができます。また、この方がもし団体を三つ持っていたら、六千万円。

 政治資金パーティーを年間何回行っても構わないわけです。つまり、実質的に、名前を伏せている団体、企業、団体なのか個人なのかは分かりませんが、これは別に中国の企業であっても、北朝鮮の団体であっても、統一教会であっても構わないわけですね。反社会的勢力であっても構わないわけです。それは国民の皆さんは一切知らないところで、お金だけが自民党に流れる、こういう仕組みになっているわけですね。

 それだけじゃありません。岸田総理も御自身でやられていましたが、自分の後援会長に政治団体をつくらせて、そこでパーティーをやって収益を上げて、それを寄附という形で岸田総理に戻す。これは実際にやられていたパーティーだと思いますが、これも合法なんですね。合法なんです。

 こういった私が申し上げたようなこと、今、恐らく、聞いている国民の皆さんは誰も理解しないと思うんですけれども、それが合法であるというこの現状について、総理自身は、政治資金規正法そのものに問題があると思いませんか。

岸田内閣総理大臣 政治資金規正法上、政治資金パーティーに該当しないようなこともできるのではないか、そういった現状についてどう考えるか、こういった御指摘かと思いますが、政治資金規正法上、収入が発生したならば、これは当然、報告しなければならない、報告書に記載しなければならない、こういったものになっています。法令に従って適切に記載すること、これはまず基本的に重要なことであると思います。現状においてはそういう法令になっているものであると認識をしております。

青柳(仁)委員 ですから、その法律に、総理自身は、総理大臣として、問題があると思いませんかとお伺いしているんです。

岸田内閣総理大臣 ですから、政治資金の透明性の問題として、二十万円以下のパーティー券の購入については報告しなくていいというルールに今なっているわけでありますが、そういったルールについて、今委員御指摘のような使い方をしたならば法外のお金を集めることができるのではないか、こういった指摘かと思います。

 ただ、そういったことをやった事例があるかどうかは承知しておりませんが、二十万円というのは、パーティー券を購入する側における政治活動の自由の観点において、与野党の議論を積み重ねた上で、法律として、ルールとして定められたものであると認識をいたします。

 こういったお金を出す側の政治活動の自由との兼ね合いにおいて、どういった法律を作るのか、これは共通のルールでありますので、国会において各党各会派で議論するべき課題であると考えます。

青柳(仁)委員 総理は、先ほど、繰り返しますが、有権者の前で、国民の信頼回復に足る政治資金規正法改正をこの国会中に、自分自身が先頭に立って実現するとおっしゃったんですよ。

 では、今の政治資金規正法、こんな、私が申し上げたような、誰でも何千万でも何億でも出せてしまうような仕組みが問題ないんだということであれば、そんな認識で、国民の理解が本当に得られると思いますか。

岸田内閣総理大臣 問題がないと申し上げているわけではありません。

 先ほど来申し上げているように、二十万円というルールについては、先ほど申し上げたような議論の結果として定められたものであります。

 これを引き下げるべきではないかという議論、これは国会、予算委員会等においても行われてきたと承知をしています。この部分も含めて、政治資金の在り方についての法改正の議論を行う、これは当然、議論としてあり得るものであると考えます。

青柳(仁)委員 もう堂々巡りなのでこれ以上聞きませんが、私が伺っているのは、岸田総理が、私自身が先頭に立って取組を進め、信頼回復を果たさなければならないと有権者の前でおっしゃっているので、先頭に立ってやるのかなと思いまして御意見をお伺いしたんですが、今おっしゃっているのは、経緯を説明されているだけで、自分自身がこれについて問題があるかないかということは一切おっしゃらない。こういう状態で本当に実のある法改正ができるのかなと、非常に疑問に思います。

 それからもう一つ、政策活動費の議論があります。

 これは今日の朝からの予算委員会でも何度も出てきておりますけれども、政策活動費については、いろいろな方が既に指摘をしておりますが、一番たくさん過去にもらったことがあるのは自民党の二階議員で、幹事長時代に通算で五十億円、非課税のお金を領収書なしで使われている。

 これは、主要政党で、二〇〇一年から二〇二一年までの二十年間でおよそ四百五十六億円、同様のお金が使われております。言ってみれば、これは桁違いの、究極の裏金ですよね。

 ところが、問題は、これは合法なんです。合法なんですよ。要は、なぜ二階幹事長に渡った領収書の要らない非課税の五十億円が合法なのかというと、ここにちょっと書いてあるんですけれども、今の政治資金規正法では、政治団体が使ったお金は収支報告が必要なんです。しかし、政治家個人が政治活動に使ったお金というのは、収支報告はしなくていいんです。これが既にやはりおかしい気がするんです。

 その二でいきますと、政治家個人が寄附を受け取る場合は上限があるんですけれども、寄附ではないものを受け取った場合には上限がない、これが政治資金規正法なんですね。今日、総務省にも来ていただいています。これは総務省の方にも事前にしっかり確認させていただきました。間違いない事実であります。

 もし、例えば政治団体、私も、自分自身の資金管理団体である後援会と、それから政党の支部というものの代表を務めておりまして、全てそこに来たお金というのは、それは寄附であれ、政党からの交付金であれ、全て収支報告をしております。なぜなら、政治団体として使っているからです。

 ところが、私、青柳仁士としてもらえば収支報告をしなくていいんだったら、では、同額のお金を私がもらったらどうですかと、これは総務省と話をしました。その場合、何と収支報告をしなくていいんですよ。

 だから、だったらもう政党の支部なんかやめてしまって、全員が直接お金を受け取ったら、誰も何にも報告せずに政治資金が使えてしまうというのが、今の政治資金規正法なんです。そういう事例があったかなかったかではなくて、そういうことができてしまうのが今の法律なんです。

 実際、その法律の抜け穴を使って、五十億円というお金が二階議員に渡っていたわけですよね。その後の、どんな、領収書もない、何に使っていたかも分からないと、総理は何度も答弁されております。

 こういう状況、この政策活動費が、今私が申し上げたようなことが合法であるという状態、この政治資金規正法の状態について、もう一度問いますが、岸田総理は、御自身として、おかしいと思いませんか。

岸田内閣総理大臣 政治資金をめぐる議論についての法改正でありますが、午前中も答弁させていただきましたが、まずは、今回問題になっている具体的な事案の再発防止として、責任の厳格化と資金の透明性を図るべきであるということで、三点挙げさせていただきましたが、これは最低限、再発防止のために行わなければならないと申し上げております。

 そして、この議論の中で、御指摘の政策活動費、それから、先ほどの政治資金パーティーの中でも、透明性の、上限の二十万円、こういった議論も出てきました。

 再発防止のための最低限やらなければならないこと、これは間違いなく進めなければなりませんが、あわせて、直接今回の事案に関わらない政治資金に関わる議論、政策活動費や二十万円の問題、こういった問題についても、政党の資金がどのように支えられているか、そして、使い道がどうなっているのか、こういった大きな議論を行うこと、自民党としても、各党各会派と議論を行っていくこと、これは当然考えてまいります。

青柳(仁)委員 では、政策活動費についても、今、回りくどい言い方をされましたけれども、議論をしていくというようなことをおっしゃっていましたが、一方で、先日の報道で、自民党は、今回の裏金問題を受けた法改正の議論の中で、政策活動費、調査研究広報滞在費、それから企業・団体献金の見直しは見送るという報道がありました。

 そうすると、これは事実ではない、先ほど自民党から案を出すとおっしゃっていましたが、その中には政策活動費のことも入っている、そういう理解でよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 自民党の案は、これから大至急取りまとめ作業を進めてまいります。

 そして、議論の対象として、先ほど申し上げているように、今回の事案の再発に直接関わる課題は間違いなく含めていくことを考えておりますが、それと併せて、御指摘の旧文通費ですとか政策活動費、こういったものについても議論を行うことは重要であると考えています。

 だから、先ほど、旧文通費につきましても、これまでの議論において取り残されていた課題、支出可能経費の確定ですとか支出の公開の在り方についても議論を再開すること、これを既に党に指示を出しているところであります。

 このように、今回の事案に直接関わらない部分についても、自民党として、政治の信頼回復のための議論、これは前に進めてまいります。

青柳(仁)委員 以前の予算委員会で、私は総理に、自民党として、今回の裏金事件、真摯に反省して、国民の皆さんにおわびを申し上げると総理は何度もおっしゃっているんですね。ですから、これについて、何を反省しているんですか、何についておわびをしているんですかと聞いたことがありました。それについてのお答えは、最も深刻なことは、政治と金の問題を通じて政治に対する信頼を失わせてしまったことだ、こうおっしゃっていました。

 先ほど来から、今回の事案、今回の事案と言うんですけれども、総理が言っている事案というのは、要するに、政治資金規正法という最低限の法律、抜け穴だらけの法律すら守れなかった、その自民党の醜態に対する対策ということですね。

 そうではなくて、今国民が求めているのは、まさに総理自身がおっしゃっていたような、政治と金の問題を通じて失ってしまった政治に対する信頼を取り戻すことなんじゃないですか。であれば、これが、何かオンライン化だとかあるいは銀行振り込みだとか、そんなことが中核にあって、それ以外の問題もじゃなくて、政策活動費だとか調査研究広報滞在費だとか、あるいは企業・団体献金だとか、そっちの方が大事なんじゃないですか、信頼を回復するには。

 そう思うんですけれども、ちょっともう一度、先ほど、何か議論することは大事だとかおっしゃっていたんですけれども、率直に、先ほど、自民党として案を取りまとめるとおっしゃいました。では、その中に政策活動費のことは入るんですね。

岸田内閣総理大臣 自民党としては、先ほど申し上げた責任の厳格化と、そして資金の透明化に必要な部分は、自民党の案に間違いなく入れていきますということを申し上げております。

 そして、それ以外の、政党の資金に関わる問題、政党助成金を始めとしてどのように政党がお金を集めているか、そして、政策活動費を始めとしてどのように使っているか、この全体の大きな議論、これも大変重要であると思っています。

 自民党の案としてはこうした具体的な再発防止策を盛り込みたいと思いますが、その上で、国会で議論をしていかなければなりません。御指摘の点も含めて、各党の意見もしっかり聞きながら議論を、政党の資金という議論の中で行ってまいりたいと考えます。

青柳(仁)委員 議論をする、議論をすると言うんですけれども、今回の裏金事件を起こしたのは自民党ですから。

 自民党が我々の議論に乗ってくるんじゃなくて、自民党が案を出さなきゃ駄目なんじゃないですか。その案の中に政策活動費を入れなきゃいけないんじゃないんですか。

岸田内閣総理大臣 今回、自民党の派閥の資金パーティーにおいて大きな問題を生じたということ、これはおっしゃるとおりであり、自民党は、それを重く受け止め、反省しなければなりません。

 だから、今回の案件を踏まえて再発防止に努める、その部分はしっかりとこの改正の中に盛り込ませていただきますと申し上げています。

 加えて、政治資金、政治の信頼回復という観点から、より幅広い議論についても、自民党として、国会の議論に参加し、そして結論を出していきたいと考えています。

青柳(仁)委員 だから、結局、これから自民党は案を出しますが、そこに入ってくることというのは、最低限の、抜け穴だらけの政治資金規正法を正すことはせずに、今回、最低限のことができなかった自民党のほんのちょっとのところだけを入れますよというだけなんですよね。それ以外は、それ以外のことなので、議論をしますみたいな。

 これでは、国民の感覚と相当かけ離れていると思いますよ。その議論が通用するのはここだけですよ。この場だけです。国民の多くの皆さんは、まずそれは理解しないです。

 それから最後に、もう一回だけちょっと繰り返しますが、岸田総理は昨日、島根県の選挙を今やっていますよね、あそこの有権者の前で、国民の信頼回復に足る政治資金規正法改正をこの国会中に、自分自身が先頭に立って実現すると言ったんですよ。有権者との約束を守ってくださいよ。有権者の皆さんは、まさか私が指摘したような、では、一人二十万円以下で何千万でも何億でも、どこの企業でも、どこの団体か分からないところが自民党にどんどん献金をできるとか、五十億円の政策活動費、これを放置したら、これからまた起きますよ、同じことが。それを放置するなんて誰も思っていないですよ。

 これはしっかり、これから、今週から始まる政治資金規正法改正の特別委員会で、私もメンバーですので、しっかり議論させていただきますが、自民党の国民の信頼を回復するに足る案をお待ちしております。

 以上で終わります。

小野寺委員長 この際、藤田文武君から関連質疑の申出があります。青柳君の持ち時間の範囲内でこれを許します。藤田文武君。

藤田委員 維新の会の藤田文武でございます。

 総理、よろしくお願いします。

 今、青柳議員から、政策活動費について、又は、この政治と金の問題をやはり網羅的に、徹底的に浄化していこう、きれいにしていこうという意思を総理に示していただきたい、そういう質疑をさせていただきましたが、私も同感であります。

 総理の御答弁を聞いていると、やはり私も同じ感想を受けていまして、今出ている例えば罰則強化、監査、デジタル、こういったところでお茶を濁されるんじゃないかな、恐らく、自民党の案にも、従来から申し上げている政策活動費や企業・団体献金、又は旧文通費、こういったものは入ってこないんじゃないかなというふうな感想を持っています。まだ出てきていませんから、それは待ちたいと思いますけれども、しっかりとそこは私は突っ込んでいった方がいいかなと思うんですね。

 その上で、幾つか今日は各論をやりたいと思います。

 さっき青柳議員からあった政策活動費について、総理は、政党の資金全体について議論しましょう、政党の資金全体を議論した上で、入りがどうか、出がどうかということを各党並びでやった方がいいよねという御趣旨の話をずっとされてきています。であるならば、今日は自民党の実態がどうなっているのかというのを少し御開陳いただきたいなというふうに思いまして、質問を並べさせていただきました。

 総理は、さきの国会で、この政策活動費というのは、党に代わって党勢拡大、政策立案、調査研究、これを行うための経費というふうに説明をされています。つまり、党に成り代わってやるわけですから、党のためになる活動を政治活動としてやってくれている、そういうたてつけの下、渡しているわけでありますね。

 というと、これは党内で事後又は事前にこの使途がチェックされる、そういう仕組みというものは自民党内に存在するんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 政策活動費については、自民党においての取扱いですが、これは、内規あるいは慣行等に照らして、党に代わって党勢拡大や政策立案、調査研究を行う、そして、そのために党の役職者の職責に応じてお金を支出する、こういったことになっています。

 内規等において、何に使うか、こういったことを確認して党役職者にお金を出すわけでありますから、その中で使途等についても確認をされております。

藤田委員 本当ですか。要するに、大体こんな感じで使ってくださいねという内規はあるということなんですね。明文化されているということなんですね。その明文化されたものによって、例えば、今日話が出ています二階幹事長や、又は現茂木幹事長に幾らかのお金が渡って、その先に使われたものが、こういう形で使いましたよという帳簿や領収書というものを党本部がチェックする仕組みがあるというふうなニュアンスで今聞こえたんですけれども、どうですか。

岸田内閣総理大臣 内規や慣行に基づいて、こういった目的のために役職者にどれだけのお金を出すか、こういったルールが決められているわけですから、そのルールの中で、役職者に、こういったお金を使う、こういった目的をしっかり定めた上でお金を出している、こうしたルールになっているという御説明をいたしました。

藤田委員 つまり、大体、党のために代わって、さっき言ったみたいな、党勢拡大とかに使ってくださいねといって出しているけれども、詳細なチェックはされていない、経理のチェックはないということですね。

 そうしたら、実態を更にちょっと、より詳細に分かるように、直近の収支報告を見ていると、二〇二〇年、自由民主党本部の収支報告に、岸田総理の名義で、一月十六日、五百万円、六月九日に四百五十万円、合計、二〇二〇年は九百五十万円の計上があります。

 これは前回も聞いたんですけれども、これは何に使ったか、そして、領収書や帳簿は保管し、これはチェックを受けているんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 政党活動費、党勢拡大等に使うお金でありますが、その使途、何に具体的に使ったか、これは明らかにする法律の規定はありません。

 そして、領収書等、使ったものについて書類等をちゃんと用意しているのか、整備しているのかということでありますが、これについては、説明を求められた場合に、領収書も含めて、どのような使い方をしたのか、これは説明できるようにしてあります。

藤田委員 先ほど午前中に江田憲司議員が質問されていた内容の中で、もしそれが証明できない、例えば税務当局が入った場合、それは脱税になるんじゃないかという話がありました。

 ですから、帳簿がある、又は領収書があるというのは大事なんですが、私が聞きたかったのは、公開されるものじゃないんですよという御答弁をされましたが、党がお金を、党にも、限られた予算ですから、私も党内の予算権限があって、それを差配しています。より効率的に国民の皆さんのためになる活動をしようと思って、ここに幾ら使おうとか割り振っているわけですよね。その中で、じゃ、それがパフォーマンスがよかったのかということを効果検証するためには、何に使ったかというのが把握できる権限がないと駄目だと思うんです。

 岸田総理御自身のことでお聞きします。

 さっき公開する必要はないと言いました。だから、今すぐこの場で公開してくださいとは申し上げません。ただ、使途について誰かのチェック、つまり、党本部ですよ、党本部、事務方でもいいし、時の幹事長、会計責任者、総裁でも構いません、にチェックを受けたことはありますか。もしないとしたら、使途は全て議員本人に任されているという運用という理解でよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 チェック等についても内規、慣行に従って対応が行われております。そうした党内のルールに基づいて確認をされております。

藤田委員 していないですよね、チェック。多分、これは誰が聞いても、今、恐らく議員個人に任されているのであろうということなんですね。

 ちょっと幾つか飛ばして、この二〇二〇年に岸田総理の岸田文雄名義で計上されている政策活動費は、自民党内の何の権限で使用が認められているのか。恐らく拝察するに、政調会長だった時期かなと思いますので、政調会長なのかなと思いますけれども、これは何の権限で支出、そして使途が自分個人の裁量でできるようになっているわけですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、内規そして慣行に基づいて、役職に応じた資金の活用が党に代わって行われる、そうした権限を与えられることになります。

 御指摘の点については、党の政調会長の立場で、そうした資金の活用が党に代わって行われる、その権限が与えられたものであると認識をいたします。

藤田委員 そうしたら、内規と慣行に基づいてという形で濁していただいているんですが、内規があるのであれば、例えば幹事長には幾ら、政調会長には幾ら、それの使途はこうですよというものが明文化されたものが存在しているという意味でおっしゃられているのか、若しくは、何となく、役職者、これ以上の人たちはつかみ金で、幾らか必要に応じていつでも言ってくださいねとなっているのか、この辺りをちょっと明らかにしていただきたいんですが。

 要するに、役職に応じて金額の上限とか使途の制限、取決めみたいなものがちゃんと明文化されたものがあるんですか。

岸田内閣総理大臣 それは、その政策活動費の使い道によって、すなわち、党勢の拡大なのか、政策の策定なのか、調査研究なのか、これによってそれぞれの役職に対してどのような資金が必要となるのか、様々な場面が想定をされています。

 内容によっては、内規によって明らかになっているものもあります。また、緊急の事態に対しては、機動的に対応しなければならないということで、役職に応じて、内容に応じて資金が確定する、こういったこともあるかと思います。

 いずれにせよ、内規あるいは慣行に従ってそれぞれの役職に応じて資金が提供される、こういったルールになっています。

藤田委員 すごくちょっと分かりにくかったんですが、要するに、幹事長は幾らから幾ら、政調会長は幾らから幾らという取決めはあるんですか。

岸田内閣総理大臣 内容によって、もう既にある程度決まっている、内規や慣行によって定まっているものもあると申し上げております。(発言する者あり)

藤田委員 僕も同じことをちょっと気になって。定まっているものもある、数多くの中の、もしかしたら一部決まっているのかも分かりませんが。

 じゃ、これは組織ですから、組織が大きなお金を動かすというと、何か個人の権限で役職者が好き勝手すると問題ですよね。だから、誰かが多分党内の手続に基づいて決裁されているんだと思うんですけれども、これは誰の決裁で出るものなんですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、内規や慣行によって定められているものでありますが、それについて、党として全体として、幹事長や経理局長や財務局長や、役職者がその結果を確認するという仕組みになっております。

藤田委員 じゃ、事務方が確認するということなんですね。

 これは、恐らく、幹事長それから総裁は組織の最終責任者でありますから、例えば、我が党はどうなのかと言われたらあれなので言うと、我が党は私が管轄しています、幹事長ですから。だから、幹事長に全部その権限があります。我々は経費精算方式です、基本的には。ですから、それを私の権限で政策活動費という形にして、それを事務方がチェックし、最終的には会計検査人がチェックをして、私が好き勝手できないというガバナンスになっています。なおかつ、代表、いわゆる自民党でいう総裁、うちでいうと馬場代表がそれを閲覧する権限があるという、そういう二重、三重のチェックがある中で政党の資金というものが統治されているわけなんですね。

 何か今日のお話を聞いていると、すごく曖昧な慣例、慣習で、曖昧にしか記載されていない内規の中で運用されているようにしか聞こえないんですが、ちょっと基本的なところで、ちなみに、この資金というのは、経費精算方式を取られるものなのか、渡し切りでされるものなのか、又は、例えばこういう案件があるから党から直接口座に振り込んでほしい、その後、それが、計上としては、誰々さんという権限の中で計上してくださいという、そういう形になっているのか、それが混在しているのか、実態はどういうふうになっているんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 当然のことながら、党勢拡大、政策の作成、あるいは調査研究、様々な場面が存在いたします。具体的な案件に応じて、今おっしゃった、どの方式なのかという御質問、どの方式なのか、それは、その具体的な案件にふさわしい方式で支払いが行われることになります。

藤田委員 総理もお答えにくいのは分かるんですけれども、恐らく今日見ていらっしゃる国民の皆さんや野党の皆さんも感じておられるのは、決まっていてきっちりやっていたら、すぱっと言っていただいて終わりの御質問をさせていただいているつもりなんですね。

 ですから、恐らく、すごく曖昧にこのブラックボックスが慣例化されてきて、非常にそれがよくない形で権力の源泉となっていっているんじゃないかという疑義を拭い切れないんですよね。ですから、誰に幾ら、それはこういう権限で、それがちゃんとしたフローの中でチェックを受けていると言ったら、まあ、公開する方がいいかもしれないけれども、せめて、党内のガバナンスとしてはしっかりやっているんだな、そしてそれが信頼に足るんだなという御判断は、国民の皆さん、いただけると思うんですね。

 ただ、それを一言も言っていただけないから、恐らくかなりずさんな管理体制になっているんじゃないかと。そして、それが本当に問題になったときには、結局、自分たちは知らなかった、事務方がやっていたんだということが派閥では起こったわけですよね。

 だから、そういうことを、政党の資金全体、各党並びで共通のルールでやりましょうと言うんだったら、まず足下を見ていただきたいんですね、総裁ですから。足下をしっかりと管理されているのかということに疑念が向くのは私は致し方ないと思います。

 そこで、二〇二二年、自由民主党本部の収支報告、これは、代表が岸田文雄、それから会計責任者が茂木敏充、総裁と幹事長であります。これを確認すると、茂木幹事長は九億七千百五十万円の計上が二〇二二年にあります。この使途については、要するに、払った後、どういうふうに使われて、この約十億円のお金が本当に自由民主党の党勢拡大や調査研究に適切に使われたかということを上司である総裁としてチェックされたことはあるんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 資金については、先ほども申し上げたように、内規や慣行に基づいて対応が行われるわけでありますが、それについて、党内の幹事長や経理局長、財務委員長、事務方とおっしゃいましたが、これは全て政治家であります、そういった役職の下に全体を管理をしていく、こういった体制を自民党としては取っております。

藤田委員 多分していないんでしょうけれども、これをチェックする権限というのは総裁にはあるんですか。

岸田内閣総理大臣 平素、詳細までチェックするということは行っておりませんが、これは権限としてあるかということであれば、当然、権限としてあります。必要であれば、これを総裁としてチェックをする、幹事長としてチェックをする、これは当然あり得ます。

藤田委員 チェックをしたことはないけれども、権限は当然あるということで、よく分かりました。

 じゃ、チェックしていただけませんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、党内に、それぞれ、政治資金、そして党のお金を管理する仕組みがあります。それぞれの役職の人間がそれぞれの立場で党全体のお金を管理していく、一人が全部管理するのではなくして、こういった組織として管理する、こういった体制を自民党としては取っています。

藤田委員 今、組織ガバナンスとしては当然のことをおっしゃいました。分権で、ここまでの権限を渡しますよといって、その範疇内で責任者がチェックし、運用していくというのは、大組織では当然です。

 しかしながら、今これだけ疑念の目が向けられていて、それをつまびらかにしようと。そして、総理に、総裁の権限の範疇を今お聞きしているんですけれども、その権限があるという話の中で、じゃ、こんな感じでしたと報告をここで今すぐしてくださいとは今日は申しませんが、それをチェックし、把握して、実態はこうだったんだということをちゃんと知らないことには、政党の資金全体について、何が適切で、そして各党並びで共通のルールを作ろうというところに行かないんじゃないんですかね。だから、私はやっていただくべきかと思います。

 では、雑談も含めて、この使途を御本人にお聞きされたことはありますか。茂木幹事長、この十億円のお金、どんな感じで使っていらっしゃるんですかということを、どの辺に使っていらっしゃるんですかということを聞いたことはあられるんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 こうした政策活動費の使い道を含めて、これは内規、慣行に基づいて、取扱い、確認、これを自民党として行っております。そして、党全体としても、党大会はもちろんでありますし、財務委員会での報告など、様々な形で、お金について、党として把握をして確認をしている、こういった仕組みが存在いたします。全体として資金について把握している、こうした体制を自民党としては取っています。

藤田委員 先ほど、茂木幹事長や財務局長ですか、済みません、事務方ではなくて政治家サイドの担当部局の責任者がそれぞれしっかりと運用を管轄しているということをおっしゃいましたので、使途をチェックする権限が茂木幹事長もあるということでいいんですね。

岸田内閣総理大臣 幹事長として党のお金をチェックする権限を持っているかということでありますが、それは当然、幹事長としてそういった権限を持っていると認識をいたします。

藤田委員 私がお聞きしているのは、今の、今日の話を総合すると、党の内規、多分、すごく曖昧に書かれている内規だと想像するんですが、内規があって、慣行、慣例みたいなものがあって、大体これぐらいの役職者はこれぐらい自由に使えるよというような運用がなされていて、そこに渡したお金の先は多分誰もチェックしたことがない。それをチェックする権限はあるんですかと言うと、一応、あると言っているんです、全体としてはあると言っているんだけれども、その先まであるんですかと私は聞いているんです。

 だって、十億のお金が、茂木幹事長が差配しているわけですね。私は、適切に使っていたら、幹事長が決裁する金額が十億であっても全然問題ないと思います。それが、幹事長だけじゃなくて、ちゃんと誰かが事後で会計監査をしていたり、ちゃんとチェックをして、ああ、これは党勢拡大のために必要だな、又は、これはちょっとパフォーマンスが悪かったから来年はやめましょうとかいうことをやるのは当然の、組織として当たり前のガバナンスじゃないですか。

 その先までチェックする権限があるんですかと私は聞いているんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 役職者に応じて資金が提供される、そして、その先の使い道についても、説明を求められたならば、領収書を含めてしっかりと説明できる体制をつくっていく、これは党として当然のことであると思います。

 そういった形で、それぞれの役職者がどのようなお金の使い道をしたのか、これについて説明できるような資料、領収書も含めて用意する、そういったことによって党として資金を管理している、これが現状であります。

藤田委員 今、一歩踏み込んだように聞こえました。要するに、その先もちゃんと管理しておいてね、そして、帳簿や領収書は当然、いつ問われても行けるようにしておいてね、そして、幹事長や総裁にはそれを言う権限があるということですよね。なおかつ、そういうことをちゃんと党としても整えないといけないという問題意識があるというふうに私は聞こえました。

 自民党の皆さん、これはつくるように言っていただいたらどうですかね。何かすごくブラックボックスでと思っていらっしゃる議員は多いと思うんですね。だから、これは誰のチェックも受けずにずっと運用されてきているんです、今も。それはここまで詰めないと多分やることにはならないんですけれども、でも、今おっしゃられたように、権限はある、そして、その先の使途が、それをちゃんと出しなさいというふうに職務命令を下すと出さないといけないということは今日共有できました。

 その上で、私がこの政策活動費の問題で、使い方は二種類あるんじゃないかということをずっと言っているんです。それは私が勝手に言っているだけじゃなくて、恐らく、我が党でされているような、領収書が全部ぴしゃっとあって、それが後でチェックを受けている、つまり、領収書や出金伝票みたいなものがちゃんとある、明細まで、細目まで載っているものがあるという出費と、それから、今日午前中からいろいろ指摘がありましたが、選挙のときにいろいろ配っているんじゃないか、選挙を問わず、いろいろ現金配りの温床になっているんじゃないかという、この二つなんですね。

 私は、前者はまだしも、後者は、本当にいろいろな問題が附属的にも出てくるし、物すごく政治の闇をつくり出している力の源みたいな形に見えてならないわけであります。

 総理は、これは前回も聞きましたけれども、過去に政策活動費を複数年、役職者として受けられていると思いますけれども、議員や候補者に対して現金を配付したこと、活動費として、したことはあるか、又は、自分ではなく他の役職者から現金の配付が行われていることを見聞きしたことはありますか。

岸田内閣総理大臣 政策活動費の使途について、内容を申し上げることは従来から控えております。

 しかし、私の周りで現金のやり取りをしているという話を見聞きしているかということでありますが、そういったことを私自身見聞きしているということはありません。

藤田委員 分かりました。

 国会答弁ですから重たいですよ。後で、知っているとなったら知りませんからね。

 そうしたら、現金をそういうふうにいろいろな形で、名目はまだしも、政策活動費の中からいろいろな形でお配りするということは適切ではないというふうに御認識ということでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 ちょっと、現金のやり取りといっても、これはもう少し、ちょっと正確に言わなければならないと思います。

 先ほど言いましたように、党勢拡大等において、そして支払いのために現金で支払うということは当然あるんだと思います。それも含めて現金のやり取りというようなことを御指摘になられているのであるならば、これは当然、現金のやり取りというのはあるというふうに答えなければなりません。

 要は、法律に反するような現金のやり取りがあるのかという御指摘だと思います。こうしたお金のやり取りがあったとしたら、それは、法律に従って報告が行われるなど、適切に対応されなければなりません。

 法律の外になるような現金のやり取りについて見聞きしているのかという御質問かと理解いたしましたので、それは見聞きをしていないと申し上げた次第であります。

藤田委員 今回の派閥裏金問題の中で、結構いろいろな議員が自由に表現されていて、政策活動費だと思ったので収支報告しませんでしたと複数名の方がおっしゃっているんですね。前回、ちょっと名前を出しちゃいましたが。だから、私は、想像するに、結構、現金配りというのが自民党の中で横行していて、何か当たり前のようになっているんじゃないかなということを示唆するような発言がかなりあったなというふうに、この派閥裏金問題を通して、なぜこの政策活動費が注目、脚光を浴びているかということの一つの要因だと受け止めているんです。ですから、これは元から断った方がいいんじゃないかと。

 だって、考えてみてください。今日分かりましたよ、大体。恐らく、すごく曖昧な内規の中で、慣例、慣習に基づいて、適当にある程度裁量権が渡されていて、そこは何をしても構わないというようになっていて、別に全世界に公開せよと言わずとも、党内で領収書を全部突き合わせて、これが正しいのか、又はパフォーマンスがよかったのかという、検証する機能は大自民党にはないわけですよ。そんな政党が日本のかじ取りをしているというのは、私は結構危ないなというふうに思います。

 だから、自民党の皆さんにお願いしたいのは、私はそれをつくった方がいいんじゃないかなと思いますね。それがチェック権限があって、そうすれば、私は一定、いや、更に公開せよと言う人もいるでしょう、その方がいいかもしれません。ただ、ガバナンスの下使われていて、個人の良心に今任されていますよね、その十億円なり何がしのお金が。ポッケないないするか、配られるか、又は本当に領収書があるお金か。恐らく混在しているんでしょうけれども。大半が人に言えないような使い方なんじゃないかなと言われても仕方がないような、今、総理の御答弁だったんじゃないかなと思います。

 この誰もチェックすることがない資金を、しかも多額の資金が余りに不透明で、それが党内で運用されているというのは、私は、大政党である自民党のガバナンスとしては不適切だと思うんですが、総理はどう思いますか。

岸田内閣総理大臣 自民党の現状についてやり取りをさせていただきましたが、政党の信頼性を高めるという観点から、党のガバナンスを絶えず見直していかなければならないという点については、御指摘のとおりだと思います。

 様々な指摘も受けながら、党が最終的に国民の皆さんから見て政治資金を含めて活動が理解される、信頼される、こういったことにつながるような党のガバナンスを絶えず考え、そして検証していく、こういった努力はこれからも続けていきたいと考えます。

藤田委員 今回の政治と金の問題で、総理は、パーティーの問題について駄目だったことを是正することは必ずやるよと言ってきました。それはやりましょう。

 ただ、それだけじゃなくて、これだけ多岐にわたって我々が提案しているのは、我々も、維新版政治改革大綱という、自民党の政治改革大綱をまねてネーミングをしました。なぜなら、あの三十数年前の政治改革大綱には、ある種、思想を感じました。問題となった箇所だけじゃなくて、選挙制度や国会改革まで含めた網羅的なものを、自ら自民党が出したわけであります。

 でも、今回はなかなか出てこない。同じ与党である公明党さんも出していただきましたね。でも、自民党からは一向に出てこないけれども、まあ、出してくるとおっしゃられていますから、待ちます。ただ、それは恐らくすごく守備範囲の狭い、ここまででいいんじゃないか、国民はここまでだったら、やった感を演出して何とか乗り切れるんじゃないかというふうに捉まえられても仕方がないような出方を私は危惧しています。

 ですから、ここに挙げたような領域で我々は提案しているんですが、企業・団体献金のこと、旧文通費、もちろんパーティー、それから政策活動費、それから本人への厳罰化、連座制、言い方はいろいろありますが、連座制的なもの、それから外部監査の導入、こういうことをやるべきだ。

 その中で、やはり、公開されたら全部分かりますよね。公開もされない、そして第三者機関のチェックも受けない。もっとひどい場合が今回だったと思うんですけれども、政党のチェックも受けずに議員が好き勝手使えるということを元から断つべきだと思うんです、制度として。

 ですから、同じような話で、政策活動費の話と、これは党の話ですね、党と議員の話、それから旧文通費、調査研究広報滞在費も、渡したら、その先は分からないわけですね。だから、所得的な使い方をしても分からないわけなんですよ、誰も申告しないし、チェックも受けない。我が党は自主的に公開していますから衆目の前にさらされているわけでありますけれども。

 そういった観点から、この政策活動費を、やはり変な使い方をされないように何らかのガバナンスのキャップをはめようという話と、それから、旧文通費、この使途を公開して、しっかりと、ちゃんとした使われ方がするようにしましょうというのは、私は実はセットだと思っています。

 その上で、文通費の件は、自民党の中にも、もうそろそろ、文通費、これだけ言われているからやった方がいいんじゃないかとテレビ討論でおっしゃられる方もいらっしゃいます。ですから、結構、賛否両論あるんでしょうが、ここまで来たら、総理が、さっき青柳さんが最後に指摘していましたが、有権者の前で、自分がリーダーシップを取って信頼を取り戻す、政治改革をやりますというふうに何度も様々な場でおっしゃられているのであれば、今この場で、文通費の公開ぐらいは、一番ハードルが低いので、そこまでぐらいはやるというふうにおっしゃっていただいたら、あしたにでも進みます。是非そう言っていただけませんか。

岸田内閣総理大臣 文通費については、既にお答えしておりますが、これまで、日割り計算の実施、そして旧文通費の性格の整理、これについては議論が行われ、実現、結論が出たところでありますが、残された結論、文通費の性格の整理を踏まえた支出可能経費の確定と、そして支出の公開の在り方、こうした残る課題について、既に議論を再開することを指示しています。この二つの残された課題についても結論を出したいと思います。

藤田委員 議論を指示しているんだと思いますが。

 何か今日のやり取りを聞いていて、一番はやはり、網羅的に全て政治と金の問題をきれいにしようという意思をどうしても岸田総理から感じられないんですよね。多分、心の中では思っているんじゃないかと。ただ、これを言うとこんなハレーションがあるんじゃないかとか、嫌がっている人の顔も思い浮かぶし、だから言わないんじゃないかなと、何か、ひいき目に見ると思うんですが、僕は、ずばっと言っていただいたらいいと思うんですよ。ここまではやるんだというふうにおっしゃっていただいた方がいいんじゃないかなと思います。

 現行の議員特権、そしてブラックボックスが温存されるということをこのまま続けていいのでしょうかということを指摘して、ちょっとこれが長過ぎたので時間がなくなってきましたが、次の質問に行きたいと思います。

 皇室について聞きたいと思います。

 恐らく、自民党が少しやる気になられて、もうそろそろ、早晩、成案が、自民党のスタンスが出てくるんじゃないかなというふうに期待しているんですが、一番最初に有識者会議の報告書が提出されてから、もう二年以上たっています。

 そこで、各党に説明がされて、私らも、その宿題を受けて、かなり詰めて議論をしまして、一番早く表明をさせていただきました。それは、有識者会議の報告書にある三案のうちの2案、一案について、法律改正、皇室典範の改正も含めて前に進めるべきだという意見表明をさせていただきました。先日、議長にも、超党派の座組をつくってくださいという話をしました。

 これは多分、自民党の動きが影響して、公明党さんも、それから立憲さんも、皆さん、各党、ここに来て出されたことを私は歓迎したいと思います。

 ただ、やはりこの先送り体質というのはすごくもやもやするものでして、二年間、ほとんど何の会も、開かれてきたのか分かりませんが、動きがなく、それに伴って、各党も動きがなかった。私は、総理・総裁としてリーダーシップを発揮すべきだったんじゃないかと思うし、これからもやはり発揮していただきたいと思うんですね。

 なぜこれだけ時間がかかったのか、そして、リーダーシップを発揮すべきなんじゃないでしょうかという質問に答えていただけますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、私の立場としては、有識者会議の報告書を衆参の議長に提出をさせていただき、衆参の議長の下での議論をお願いした立場でありますので、その具体的な議論の進め方について直接申し上げることは控えなければならないのかもしれませんが、安定的な皇位継承の議論、これは静ひつな環境の下での議論を行う必要がある、慎重かつ丁寧な議論を行う必要がある。自民党としても、この問題の重みを考えながら、丁寧な議論をしてきたところであります。

 そして、先週金曜日、私、総裁直属の機関である安定的な皇位継承の確保に関する懇談会において、党として所見をまとめ、対応を懇談会の会長である麻生太郎会長に一任をしたところであります。

 今週中にも、衆参の議長に自民党の考え方を報告することになると承知をしています。

藤田委員 私は、その権限、範疇というのがすごくやはり気になるんですね。

 今おっしゃられたのは、自分が各党にお願いした立場、行政府の長としてお願いした立場だから、余り強く言っていいものかという、いわゆるエクスキューズがあった上で、総裁直属の機関であるとおっしゃられたんですよね。だったら、総裁直属から外してやっていただいた方がよかったんじゃないかなと、他党のことながら思います。

 私は一緒でもいいと思います。ですから、議院内閣制ですから、総理・総裁として、両面からリーダーシップを取ってやるべきだというふうに思います。

 それから次に、憲法ですね。

 自民党は、一九五五年の立党宣言以来、現行憲法の自主的改正を主張されてきました。それは、現在においても、結党以来の党是であると発信をし続けてきております。それには敬意を払いたいと思います。しかしながら、ここまでほとんど動かずに来た現状があります。

 そもそも、総理はなぜ自主的改正が必要だと考えているのか、総理の憲法観があればお伺いしたいんですが、それと同時に、ちょっと時間がないので併せて、スケジュールの話をずっと総理はおっしゃられてきました。自分の総裁任期中に、しかもこの総裁任期中にということですから、九月ですよね。それを、しかも発議ではなく改正をと何度も確認をされてきて、このスケジュール感に危機感を感じておられないんでしょうか。

 要するに、憲法改正は一大プロジェクトです。過去の総理が誰もなし得なかったことであります。ですから、総理がどういう気持ちで自民党の立党宣言に記載された憲法の自主的改正に向き合ってこられ、そして、何度も何度も、現場がなかなか動かないことを歯がゆく、もしかしたら思っておられたかもしれませんが、これだけスケジュールがぎりぎりになり、そして今、自民党が相当政党としての信頼感を失っている中で、それでもこのスケジュール感でやるということをまだ取り下げていない以上、相当な執念が私は必要だと思いますし、議論を率先して御自身が牽引されるぐらいの覚悟じゃないと私はなし得ないというふうに思います。

 我々は、議論は、もちろん、表でもやろうと、ずっと憲法審査会でも馬場代表が呼びかけてこられましたし、この数年間にわたって。そして、憲法審査会がなかなか様々な諸事情によって開かれてこなかったことを危惧してきました。そして、開けるように、陰陽、様々なアプローチをしてまいりました。

 総理の今のお気持ち、そして御覚悟を聞きたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、憲法については、従来から、施行から約七十七年たつ中、世界が、そして社会が大きく変化する中で一度も改正されていない、こういったことを考えますときに、社会の、そして世界の変化への対応という意味で、これは先送りできない課題であると申し上げてきたわけですが、その中で、御質問は、自主的憲法に対する思いということがありました。

 それについて申し上げるならば、自主的憲法ということに関して、考え方、意見は様々あるとは承知していますが、私自身は、憲法は日本の法典の中で唯一国民投票が規定された法典であります、この国民投票によって国民が憲法を判断するという行為、憲法は国民のものであるという基本的な考え方を具体的に実践する上で大変重要なことではないか、こういった考え方をこの自主的憲法という思いの中に込めております。

 そして、スケジュールにおいて危機感を感じていないのかということでありますが、当然のことながら、憲法改正について、時間的な制約を考えますときに、危機感を感じている、そのとおりであります。具体的に、内閣総理大臣として、日程等に触れるのは控えなければなりませんが、自民党総裁の任期中に改正を果たしたいという思いはいささかも変わっておりません。一歩でも二歩でも前進するべく、努力を続けてまいります。

藤田委員 要するに、国民投票に付すことができる唯一の法典であるからというところぐらいしか余り分からなかったんですけれども。

 私は、総理、お立場もあると思うんですけれども、政治家としてのやはり活動というのはすごく大事だなと思うのは、これまで、入党以来、自民党でずっと活動されてきて、党是ですよね、だから、憲法改正についての思いみたいなものを語られる場というのはたくさんあったと思うんです。ここに来て、それだけ自分が表明する権限があって、そして、それを進めようといううねりをつくる一番のリーダーシップを取れるはずでありますから、是非ともそれを総理には、ここに来て、スケジュール感、危ないなというふうな形ではなくて、是非やっていただきたいというふうに思います。

 ちょっと、安全保障の件、やりたかったですが、今日は、また次回に譲り、河野大臣、済みませんでした。また次回にさせていただきます。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて青柳君、藤田君の質疑は終了いたしました。

 次に、志位和夫君。

志位委員 私は、日本共産党を代表して、日米首脳会談について総理に質問いたします。

 エマニュエル駐日アメリカ大使は、総理を米国に国賓待遇で招待した意義について、産経のインタビューで次のように語っています。

 岸田政権は二年間で、七十年来の日本の安全保障政策の隅々に手を入れ、根底から覆した。防衛費のGDP比二%への増額、反撃能力、敵基地攻撃能力の保有、そのための米国製トマホークの購入に踏み切った。防衛装備品の輸出にもめどをつけた。

 七十年来の政策の隅々に手を入れ、根底から覆した。私は、エマニュエル大使のこの評価は、ずばり真実を語っていると考えますが、総理はどうお受け止めになったか。

 私は十八日の本会議質問でこの問いをあなたにぶつけましたが、答弁がありませんでした。根底から覆したという評価は、間違った評価なのか、正しい評価なのか、端的にお答えください。

岸田内閣総理大臣 訪米についての米国大使の発言でありますが、今回の訪米に当たっては、日米それぞれ、グローバルパートナーとして、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序、これを維持強化していく大切なパートナーであるということをメッセージとして送りました。あわせて、日米同盟がインド太平洋の平和と安定と繁栄にとって礎であり、一層強化していくことを確認した次第であります。

 そして、私の政権において様々な取組を行った、これはそのとおりでありますが、しかし、そうした訪米についても、そして今日までの政権の取組についても、全てこれは我が国の憲法あるいは国際法そして国内法、この範囲内での対応であるということ、これは間違いないところであります。

 よって、平和国家として専守防衛に徹する、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならない、こういった基本方針については、いささかも変わっておりませんし、今後も変わることがないと考えています。

志位委員 間違った評価とはおっしゃいませんでした。

 専守防衛ということも言われましたけれども、射程二千キロから三千キロの、大陸の奥深くまで届く極超音速ミサイルなど、敵基地攻撃能力の兵器の保有を進めながら、専守防衛というのは成り立ちません。

 そして、総理がやってきたことは、歴代政権が憲法に基づく平和国家の理念としてきたことをことごとく根底から覆したものであって、この点では私はエマニュエル大使の発言というのはまさに図星だと考えます。

 今回の日米首脳会談は、この道を更にエスカレートさせようというものになっています。その最大の問題は、バイデン米大統領が、日米同盟が始まって以来、最も重要なアップグレードと述べたように、米軍と自衛隊の指揮統制のかつてない連携強化に踏み込んだことにあります。

 総理は十八日の私の質問に対する答弁で、日米首脳会談においては、日米が共同対処を行う場合に、様々な領域での作戦や能力を切れ目なく緊密に連携させていく観点から、シームレスな統合を可能にするため、日米でそれぞれの指揮統制の枠組みを向上することで一致をいたしましたと述べました。

 それでは、どういう日米共同対処をやろうというのか。

 パネルを御覧ください。これは、しんぶん赤旗日曜版の情報公開の求めに応じて開示されたもので、二〇二二年十二月に防衛省が作成した内部文書であります。

 敵基地攻撃における日米共同対処のオペレーションのサイクルが図解されております。目標情報の共有、反撃を行う目標の分担、成果についての評価の共有等について、日米で協力を行う、これが明記されています。

 重要なことは、ここに指揮統制と明記していることです。つまり、米軍と自衛隊が指揮統制でも緊密な協力を行うことが明示されております。

 総理、そうなりますと、指揮統制は、情報でも装備でも圧倒的に優越的な立場にある米軍主導で行われ、自衛隊は事実上米軍の指揮統制の下に置かれることになることは明らかではありませんか。いかがしょう。

岸田内閣総理大臣 日米間でそれぞれの能力を発揮するために緊密な連携を行うこと、これは当然のことでありますが、自衛隊の全ての活動、これは、主権国家たる我が国の主体的判断の下で、日本国憲法そして国内関連法令に従って行われること、そして、自衛隊及び米軍がそれぞれ独立した指揮系統に従って行動すること、これは何ら変更がありません。

 これは、法令において日本国内閣総理大臣が自衛隊の最高指揮官と定められているわけですし、日米ガイドラインにおいても、各々の指揮系統を通じて行動する、各々の憲法に従って対応する、これは明記されています。このように、重ねて日本の指揮系統は独立したものであるということを確認をしています。

 この方針は全く変わりませんし、それに基づいて具体的な対応が行われるものであると考えています。

志位委員 総理は、自衛隊は独立した指揮系統でやるんだということをおっしゃったわけでありますが、軍事の現場をよく知っている専門家は何と言っているか。

 自衛隊幹部を務め、防衛大臣政務官、外務副大臣を歴任した自民党の佐藤正久氏は、先日のテレビ番組でこうおっしゃっています。

 反撃能力を日本が持とうとすると、目標情報一つ取っても、アメリカから相当情報をもらわないと目標情報は取れない。目標情報を日米で共有した後に、この目標は日本が、この目標は日米、この目標はアメリカと、目標配分もやらないといけない。さらに、この目標についてはどのミサイルを何発撃つとか、実際にその効果判定もしないといけない。こう述べて、目標情報から米軍頼みになると述べています。

 もうお一方、元航空自衛隊第七航空団司令の林吉永氏は、しんぶん赤旗の取材に答えてこうおっしゃっています。

 自衛隊には、国内は別にして、海外のどの敵基地を反撃していいか、反撃した結果どういう戦果が出たのか把握する能力はない。そこは米軍に頼ることになる。米軍の判断に引きずられ、反撃に際限がなくなる。作戦が米軍主導に陥って、日本の専守防衛がアメリカ流の戦争に取って代わるという、戦争指揮に悩ましさ、危惧が生じるだろう。

 軍事の現場をよく知っている専門家は、敵基地攻撃をやろうとすれば米軍に全面的に頼ることになる、こう言っている。これは、実態がそうなると言っている。総理が幾ら自衛隊は独立した指揮系統と言っても、何の保障もないんじゃないですか。保障を挙げてみてください。

岸田内閣総理大臣 反撃能力について御指摘がありましたが、反撃能力そのものについても、これは、日本の国民の命や暮らしを守るために、日本国憲法の範囲内で、国内法の範囲内で対応するものであります。その外に出るものでは全くありません。

 そして、その上で、米国の情報に頼ることが大きいから結局引きずられるという御指摘がありました。情報の共有、これはもちろん大事なことでありますが、少なくとも、日本の自衛隊の行動、これが憲法の外に出るとか平和安全法制の外に出る、こういったことは決してあってはならない、これは当然のことであります。

 そうした日本の立場や考え方、あるいは制限については、これまで日米の間でガイドラインの作成等を通じて再三確認をしています。その範囲内で日本は行動する、これは今後とも変わることはないと考えています。

志位委員 結局、あなたは、独立した指揮系統でやるんだという建前を言っているだけなんですよ。私が聞いたのは、その実体的保障なんです。保障については言えない。

 朝日新聞の取材に答えて、現役の自衛隊幹部はこのように言っています。

 共同作戦の実行では米軍の圧倒的な監視、偵察能力、装備に頼らざるを得ず、独立した指揮系統では日本は動けない。今後は、独立した指揮系統という岸田答弁がネックになる。

 ここまで言い切っている。あなたの答弁どおりやったら自衛隊は動けない。ですから、独立した指揮系統の保障など、どこにもないんですよ。

 更に進めたいと思います。

 政府は、敵基地攻撃とミサイル防衛を同時に行う統合防空ミサイル防衛、IAMDを推進するとしております。

 パネルを御覧ください。これは、米インド太平洋軍が二〇一八年に発表したIAMDビジョン二〇二八の概要であります。

 ここでは、米軍のIAMDの基本方針として、米インド太平洋軍は、自由で開かれたインド太平洋を維持するために、自由な作戦行動と戦力の投入を可能にするよう、高い能力を持つ同盟国とシームレスに統合する能力を備え、あらゆる航空、ミサイル脅威から重要な基地と機動部隊、遠征部隊を防衛する、こう明記しています。

 総理は、日米首脳会談でシームレスな統合を可能にすることを確認してきたとおっしゃいましたが、自衛隊が進めるIAMDは、米軍のIAMDとシームレスに統合するということになるということですね。

岸田内閣総理大臣 この米軍のIAMD、統合防空ミサイル防衛ですが、これは名称は似通っていますが、我が国の統合防空ミサイル防衛能力、これは全く別物であります。

 我が国の統合防空ミサイル防衛能力は、これは米国の要求に基づくものではなく、また、米国が推進するIAMDとは異なる、我が国主体の取組であります。

 その上で、自衛隊の全ての活動、先ほど来申し上げておりますように、日本国憲法、平和安全法制、こういった国内の法令に従って対応していきます。

 それでも引きずられるのではないか、こういった御指摘でありますが、法令上、自衛隊の最高指揮官は日本国の総理大臣であります。総理大臣がこうした指揮官としての責任をしっかり果たしていく、その中に、憲法の範囲内で平和国家としての構えの中でしっかりと対応していく、これは当然のことであると考えています。

志位委員 総理は日本のIAMDと米国のIAMDは全く別物だとおっしゃったけれども、今示したように、シームレスに統合すると米側は言っているわけであります。

 ここに米空軍が発行している航空宇宙作戦レビューを持ってまいりました。ここには、IAMDビジョン二〇二八についての公式の解説が載っております。筆者は、米軍太平洋IAMDセンター所長のリン・サベージ大佐であります。

 そこでは、IAMDの能力を米国が単独で高めるのは実行不可能だと述べた上で、インド太平洋軍の広大な管轄では、同盟国やパートナー国が絶対に不可欠であり、地域の同盟国とシームレスに統合するというビジョンは、新しいビジョンの革命的な側面だと力説しております。

 総理が幾ら別物だと言っても、連携相手の米軍はシームレスな統合が絶対に不可欠だと言っているわけであります。

 そして、この米軍文書は、シームレスな統合とは、全てのプレーヤー、全てのコーチが同じプレーブックを持ち、互いの動きやルールを熟知し、首尾一貫して効果的に訓練し、一緒に作戦を実行する。プレーヤーとコーチは交ざり合い、一緒に訓練し、敵からは準備の整った一つのチームとして見られると述べております。

 つまり、IAMDを実施しようとすれば、米国と同盟国とのシームレスな統合が絶対不可欠となり、プレーヤー、つまり各国部隊と、コーチ、各国指揮官が混然一体となって作戦を遂行する、米国と同盟国との指揮統制が一体になる。これは米側の公式文書ですよ。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 シームレスな統合を可能にする、シームレスな統合という言葉が使われますが、これは日米が共同対処を行う場合に、様々な領域で作戦や能力を行うわけですが、それが切れ目なく緊密に連携していく、このことが重要であるということを申し上げているわけでありまして、指揮統制が一体化するとか、相手の指揮統制の下に入るとか、そういったことを申し上げているわけではありません。

 いずれにせよ、この連携を深めながらも、我が国の行動が我が国の憲法を始めとする平和国家としての枠組みの外に外れるというようなことはあってはならないわけでありますし、それをしっかりと最後をグリップするのが日本国の総理大臣の責任であると考えています。

志位委員 指揮統制がどうなるか、一体化するわけではないということを繰り返すわけでありますが、この米軍文書は非常に明瞭に書いております。

 シームレスな統合とは、米国の国防総省が進めている統合全領域指揮統制、JADC2というシステムに、インド太平洋地域の全ての同盟国を組み込むものだということが述べられております。

 統合全領域指揮統制とは、陸海空、宇宙、サイバー、電磁波など全ての領域の情報を一元的に統合し、攻撃すべき目標と最適の攻撃手段を迅速に決定する指揮統制のシステムであります。

 そして、この米軍文書は、広大なインド太平洋地域においては、域内の全ての同盟国をこの統合全領域指揮統制システムに組み込む必要があるとはっきり述べております。

 更に重大なことは、そのためには同盟国に主権の一部を切り離させる、政府を挙げてのアプローチが必要だとまではっきり明記しているのであります。

 総理、これが米軍の言うシームレスな統合ですよ。米国防総省が進めている指揮統制のシステムに、文字どおり自衛隊を統合し、日本の主権までアメリカに差し出す。こうした方向に進むことを日米首脳会談であなたは合意してきたんじゃないですか。そういう自覚はありますか。

岸田内閣総理大臣 JADC2について御指摘がありましたが、米国務省が、作戦環境について共通理解を得る観点から、ミッションパートナーとの間で指揮統制システムとの統合が理想であると述べているものの、JADC2について、これは統合を目的として開発したものであるとは承知しておりませんし、具体的な内容、これは明らかになっておりません。

 この評価について申し上げることはできませんが、いずれにせよ、日本として、主権国家として安全保障を考えた場合に、日本の平和憲法、この外側にはみ出るなどということは決してあってはならないと思っていますし、それをしっかりと管理することこそ政府の大きな責任であると考えています。

志位委員 米国の側は、統合全領域指揮統制システムに全ての同盟国を組み込むんだとはっきり言っている。

 今日、私は、自衛隊は独立した指揮系統と言うがその保障はあるのかと何度も聞きました。あなたは一つの保障も示せなかった。建前を言っただけであります。

 自衛隊は、事実上、米軍の指揮下に置かれることになります。そして、これは紛れもない憲法違反であります。そして、日本の国の独立をかなぐり捨てるものです。今、日本が進むべき道は、軍事的対応の強化の道ではなく、東アジアの平和を構築するための憲法九条を生かした平和外交にこそあります。

 日本共産党は、十七日、東アジア平和提言をまとまって明らかにしました。総理にお渡ししたいと思いますので、是非真剣に検討をいただくことを求めて、終わりたいと思います。

小野寺委員長 これにて志位君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。

 総理、よろしくお願いします。

 政治と金の問題の前に、一つ、選挙妨害による民主主義の危機について伺います。

 現在、補欠選挙が行われていますが、東京十五区で問題となっているのが妨害行為です。立候補者となりますれば、標旗を立てていればどこでも演説して構わないわけですが、それを逆手に取って、自分の政策を訴えるのではなくて、とにかく他の候補者の演説を大音量で妨害する、また、威嚇する、恫喝する行為が続いています。三十分カーチェイスされたとか命の危機を感じたとかという声もあり、実際にけが人も出ているようであります。

 幾ら政治活動、選挙活動の自由が認められているとはいえ、候補者の演説を聞きたいという有権者の権利も奪うことになります。民主主義に対する妨害行為であり、民主主義の危機です。何らかのルールが必要かと思いますが、総理の見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 選挙運動、これは、有権者に対し、誰を選択すべきかの判断材料を提供するものです。その中でも、街頭演説、これは、候補者の主張を有権者が直接聞くことができる点で重要な意義を持つものであると認識をいたします。

 一般論として申し上げるならば、選挙の演説を大音響で殊更に妨害するなどして候補者の主張等が有権者に伝わりにくくすること、また、SNS等を通じて拡散し、当該行為が広まっていくことがあるとすれば、何らかの対策が必要ではないか。問題意識は、私も委員と共有をいたします。

 これは選挙運動の在り方に関わる問題でありますので、選挙制度の根幹に関わる事柄として、各党各会派で議論するべき課題であると認識をいたします。

田中(健)委員 今実際そういうことが起きていますので、何らかの対応をすぐに考えてもらいたいと思います。これは、総理の演説でもこんなことがあってはならないと思っております。

 さらに、総理、今、SNS等で拡散という話もありますが、本来なら、私たち選挙をする立場は、紳士協定があったり、ないしはルールに基づいてやっていますので、こんなことは起こらないんですけれども、今回のように、妨害行為そのものをユーチューブに上げたりSNSに上げて、それを拡散することで炎上させている、そして、それを大きな自分の利益としているという人がいるんですね。そういう人には私たちの常識が通用しません。

 ですから、プラットフォーマーなどと連携をして、この誹謗中傷対策、何らかの形で妨害行為を拡散する取組なども規制する方向も是非検討していただきたいんですが、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点、SNSにおける拡散についても、これは問題であるということはそのとおりであると思います。具体的な対応についても政府としてどうあるべきかを考えたいと思いますが、これは、いずれにせよ、選挙運動そのものに関わる問題であります。国会としても議論をいただくことが重要であると考えます。

田中(健)委員 国会の問題ではない、今声が上がっています。行政権の問題でありますから、是非、総理が先頭になって、この問題は、全ての、私たち選挙に関わる人、政治家に関わる問題です。これをほっておきますと、度を増して、更にエスカレートするということが見えておりますし、さらに、国民の皆さんへの私たちの情報提供、また選挙における平等、これを守らなければいけませんので、是非、総理、取組をお願いしたいと思います。

 政治と金の問題についても伺います。

 今日の議論で、与野党各党が政治資金の改正案を出しているということで、自民党も改正案を出すということを、総理、午前中発言がありました。これはいつまでにまとめますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今週、取りまとめの作業を進めてまいります。

田中(健)委員 じゃ、今週中に出すということでよろしいでしょうか。

岸田内閣総理大臣 申し上げているのは、今週、取りまとめの作業を進めるということであります。

田中(健)委員 是非、今週中にやるという、やはり総理の強い決断が必要だと思います。もう各党みんな改正案を出して、そして前向きに議論していこうと、さらに、特別委員会も始まりますので、まず自民党案が出なければ議論の俎上にも上がりませんので、今週中に出すことを強く要望をいたします。

 今日の午前中の議論を聞いていても、総理からは、政治と金の問題はいろいろと出ましたけれども、議論を避けているわけじゃない、やぶさかではない、そういった発言がありました。誰がこの問題を引き起こしたのか、本当に今回の政治と金の問題を反省しているのかと、聞いている人は思ったかと思います。

 総理は、十二月には、火の玉になって改革の先頭に立つと言いました。さらに、党大会でも、自民党は変わらなきゃならない、先頭に立ってこの改革を断行すると言いました。大変に勇ましい言葉です。さらには、裏金処分についても、厳しく対応すると言いました。本当でしょうか。とてもそうは思えません。

 裏金処分においても、処分は厳しいどころか、ほとんどが党内処分です。そもそも、党の総裁、責任者である総理の御自身の処分には何も言及がありません。身内の論理、国民不在です。反省の色は見えません。

 総理にとって、これが火の玉になって取り組んだ結果なんでしょうか。裏金、脱税の問題の政治責任、答えなんでしょうか。伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 この一連の問題、派閥の政治資金パーティーをめぐっての御指摘が発端になったわけですが、結果として自民党全体の信頼に関わる問題であると認識をしたからこそ、党の総裁として先頭に立ってこの問題に取り組んできました。

 この問題については、政治刷新本部の立ち上げから始まって、党改革の議論を進め、そして説明責任、そして刑事責任だけではなくして政治責任もしっかりと明らかにしなければならない、こういった取組を行ってきたわけでありますし、また、党内において、派閥から資金とそしてポストを引き離すという改革を進めると申し上げたわけですが、自民党のガバナンス自体、これからしっかり再構築していかなければならない、こうした大きな課題もありますし、そして、御指摘のように、法改正に臨み、再発防止等にしっかり臨まなければいけない、こういったことであります。

 こういった取組、まだ道半ばでありますが、その先頭に立って努力をする、このことを申し上げています。是非、自民党総裁としての責任をしっかり果たすことで、この問題に対する自民党の姿勢、これを明らかにしていきたいと考えます。

田中(健)委員 とても政治責任を果たしたと言えるこれまでの取組とは思えません。

 午前中の議論にもありましたが、例えば、総理が行った聴取です。国を代表する立場の総理が、自ら政治、裏金の問題に対して直接聞き取る異例の調査を行いましたが、非公開、さらには法的な根拠もない、密室、密談と、身内だけの事情聴取ごっことも言われています。やっている感を出しているだけではないかとの声もあります。

 これでは、本当に総理が今政治責任を果たした、火の玉になったととても言えないかと思うんですが、一国の総理が責任を持ってやると国会で発言した聞き取り調査に対し、午前中の議論の中では、森元総理が電話しか対応しない。そもそもこの時点でもう負けているんじゃないかと思わざるを得ませんが、本当に実態を解明するのであれば、総理が私たちの代表として責任を持って、森総理にも質問をして、直接会って、この問題を解決するという姿勢を示していただけないでしょうか。伺います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の追加の聞き取り調査でありますが、これは、今回の事案について、検察によって刑事責任は判断されたわけでありますが、政治家であるからして、政治責任、国民から期待される政治家としての役割を十分果たしたかどうか、こういった点も含めて明らかにしなければならないということから追加の聞き取り調査も行った、こういったことであります。

 そして、聞き取り調査の中身については、この調査の実効性を高める観点から、内容は明らかにしないという前提の下に関係者の話を聞きました。日程の都合で直接会うことはできませんでしたが、森元総理については電話において聴取を行った次第であります。そういった内容について明らかにはいたしませんが、国民の関心からして大きな関心であったこの不記載問題についての関わりについて、具体的な点については確認はできなかったと申し上げているところであります。

 いずれにせよ、政治責任を判断する上で必要な材料を党としてもできる限り集めた上で、政治責任を判断したということであります。そして、今後も、党改革そして法律改正、しっかり進めていくことによって政治の信頼回復に努力をしていきたいと考えています。

田中(健)委員 午前中も日程のことでというお話がありましたけれども、一国の総理が、今私たち日本中の注目を浴び、若しくは私たちの代表としてこれを解明しようという中で、日程が合わなかったからとか調整ができなかったというのは、それは言い訳にならないと思います。であるならば、別に今日でもあしたでも総理がやってくれれば、私たちは、総理は前向きにやっているというその意思が伝わってきますけれども、全て日程の調整と言われてしまっては国民も納得できないというのは重ねて申し上げたいと思います。

 さらに、今回の法改正、今国会でやると言っていますが、時間がありません。総理が指示してできることはこれまでもあったはずです。

 パネルですが、国民民主党もこの間、政治と金の問題に関しては、旧文通費の使途の自主的な公開、これは維新さんも取り組んでおります。また、政策活動費の廃止、これは昨年十月から取り組んでいます。この二つを実際に行っているのは、今我が党だけであります。

 今日の午前中もありました、文通費、公開しましょう、政策活動費も廃止しましょう、是非、各党からこの声が上がっていますから、実現を総理の判断で、また総理の意思で行っていただきたいと思います。

 まず、旧文通費の使途は取り残された課題である、議論を再開した、いつまで議論をしているんだという話です。今国会でやっていただけますか。いつまでにやるのかを、総理の御意見をお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 先ほどもお答えしたように、文通費については、これまでも議論を行い、日割り計算、そして文通費の性格の整理、こういったところまで議論を進めてきたわけでありますが、残された文通費の性格に基づいて、具体的な適用項目を何にするのか、そして透明性をどこまで高めるのか、公開の問題、これについて引き続き議論を行うこと、これを党に対して指示を出したところであります。

 こういった残された二つの課題を中心に、是非国会において議論を行っていきたいと考えております。この二つについて、できる限り早く結論を出すよう努力をいたします。

田中(健)委員 政策活動費についても、今日も答弁が二転三転しました。自民党としても判断すると言って、やるのかなと思いましたら、今度は各党各会派で議論すると言ってみたり。やはり総理がやると言うことが必要かと思います。

 この政策活動費も自民党の考えを今国会に出していただけるんですか。お聞きします。

小野寺委員長 既に時間が過ぎております。総理、答弁は短くお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 政策活動費についても、政党の資金全体の議論の中で議論をしてまいります。是非、政党の収入そして支出、この全体のありようの中で、政策活動費についても議論をいたします。

田中(健)委員 議論から実行に移すときに来ていると思います。よろしくお願いします。

 以上で終わります。

小野寺委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。

 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 総理、米国は大事な国ですが、だんだん力も弱り、社会分裂も続いている中、我が国として、より自立した政策を考えていくべきではないでしょうか。

 一つは、東南アジアで、この資料の調査によりますと、有識者に聞くと、いざというとき、米国、中国、どっちを取るのかと聞かれたら、五〇・五%が中国と答えているんです。包囲されているのは我が方ではないでしょうか。

 もう一つは、韓国です。

 トランプさんになれば、米軍の韓国撤退もあり得ます。あわせて、韓国の核武装の容認、これもあり得ます。これは資料にありますとおり、韓国の国民は六割以上核武装に賛成をしています。以前は七割でした。こういうことも我が国としてどうするのかということを考えるべきだと思いますが、全体の方針を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、我が国をめぐる安全保障環境、戦後最も厳しく複雑な環境の中にあります。そして、加えて、委員が御指摘のように、今後の変化等も考えていかなければなりません。

 その中で、まず考えるべきことは、日米同盟の重要性は一層高まっていると考えています。その抑止力、対処力、これを強化するための取組、今回でも相互運用性の強化などの議論を行ったわけですが、こうした取組はこれからも重要であると考えています。

 そして、同時に、我が国自身の防衛力の強化、これを図りながら、我が国にとって好ましい安全保障環境、国際環境を実現するための積極的な外交が求められるというのが基本的な考え方であります。

 そして、その外交の中で、東南アジアを始めインド太平洋地域、あるいは欧州を始め主要国との間において、さらにはグローバルサウスとの間において、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序、この点については、維持強化すること、一致することを通じて連携の関係を強化していくこと、これが重要であると考えています。

 そして、核等の問題についても御質問がありましたが、いずれにせよ、我が国として、今言った外交をしっかり進めていく中にあって、非核三原則を堅持するという方針、これは変わることがないと考えています。

北神委員 韓国の話で、非核三原則の話もされましたが、これはよくよく我々も考えていかないといけないと思います。

 これは別に日本がどうこうしろという話じゃなくて、米国と韓国との間で、韓国が核武装する可能性もある。我々はただ今までのとおり非核三原則と言っているだけで済むのかというと、より現実的に考えていかないといけないと思いますが、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 我が国は、国是として非核三原則を持っているだけではなくして、NPT体制を支持しております。

 国際的な軍縮・不拡散の体制の中で、NPT体制を維持強化していくという基本方針に立つならば、御指摘の点のように、核が拡散するということについては、我が国は強く問題意識を提示しなければならない、NPT体制の維持を強く訴えていかなければならない、こういった立場にあると考えております。

 朝鮮半島全体における非核化、これは国連の安保理決議等を通じても、こういった考え方が示されているわけであります。

 我が国としても、核の問題については、今のNPT体制を原則とした取組をこれからも維持強化していきたいと考えています。

北神委員 米国が大事だというのは、常識としてそうだと思います。

 ただ、米国は、二百五十年の歴史の中で、世界の警察官をやってきたのは戦後たかだか七十年ちょっとです。そもそも、孤立主義を掲げて独立した国ですよ。どこの国とも永続的な同盟を組まないというのが、初代大統領ワシントンの言葉です。これが米国の外交の基本だと思います。我々も地力をつけるべきだと思います。

 次に、時間がないので、経済の話に移ります。

 賃金も上げ、物価も上げる。賃金は上がることは悪いことではないと思いますけれども、そろそろ物価を抑えないと、資料にありますように、物価高でもう消費が一年間も低迷をしております。

 総理は、いやいや、だから物価に負けない、賃金を上げるんだとおっしゃいますけれども、毎年このままでいくと、二%、三%以上賃金を上げないと実質賃金は増えないんです。中小企業でこれに耐えられるのはどのぐらいいるんですか。それか、中小企業は淘汰されてもしようがない、その方が全体の生産性が上がるんだから望ましいとお考えなのか。いかがでしょうか。

 もう一点。

 もう一つは、年金生活者は、賃上げは関係ないんですよ。消費支出の四割を占めるんですよ、皆さん、年金生活者は。この方たちはどうするのか。消費の四割ですよ。だから、それをどう考えるのか、教えていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、持続的な賃上げを実現するためにも、中小企業の賃上げが重要であるということを再三申し上げております。それがために、賃上げを中小企業にまでしっかりと広げていくために、賃上げ促進税制の充実ですとか、労務費転嫁の指針ですとか、あるいは省力化投資の支援ですとか、こうした生産性の向上、中小企業を中心に政策を総動員している、こういったことであります。

 是非、この賃上げ、物価高に負けない賃上げを実現するためにも、中小企業の賃上げが重要だという視点に立って、中小企業の賃上げを底上げしていきたいと思います。

 もう一点、年金の方の御質問がありました。

 年金制度については、毎年度、賃金や物価の変動を踏まえつつ、持続可能性の確保の観点から、マクロ経済スライドによる調整を行った上で、その支給額を決定しています。

 したがって、年金が高齢者の方々の生活を支えるという役割を果たす中、賃金や物価が上昇すれば個人が受給する年金額も増えることとなり、賃上げの効果、これは現役世代だけではなくして年金受給者にもプラスの影響を及ぼし得る、このように認識をしております。

 現に、令和六年度の年金額、プラス二・七%の引上げとなりましたが、これは、昨今の物価高や賃金上昇も反映して、ここ三十年で最も高い引上げ水準となっていると認識をしております。

北神委員 短く。

 年金生活者、三・一%物価が上がっているんですよ、二・七%しか年金額は増えないんです。これはマクロ経済何とかで抑えられておるんです。

 それから、最後に、中小企業も、私は賃上げを否定しているんじゃないです。ただ、無理やり、どんどん賃上げをするために、物価を上げているのが問題だ。この物価を抑えるのが、私は生活者、中小企業にとって大事だということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございます。

小野寺委員長 これにて北神君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四分散会


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