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第7号 令和6年3月2日(土曜日)

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令和六年三月二日(土曜日)

    午後二時五十分開議

 出席委員

   委員長 津島  淳君

   理事 井上 貴博君 理事 金子 俊平君

   理事 鈴木 馨祐君 理事 塚田 一郎君

   理事 稲富 修二君 理事 櫻井  周君

   理事 伊東 信久君 理事 稲津  久君

      英利アルフィヤ君    小田原 潔君

      越智 隆雄君    大塚  拓君

      大野敬太郎君    勝目  康君

      木原 誠二君    岸 信千世君

      鈴木 隼人君    瀬戸 隆一君

      中山 展宏君    藤丸  敏君

      藤原  崇君    古川 禎久君

      宮下 一郎君    宗清 皇一君

      山田 美樹君    若林 健太君

      江田 憲司君    階   猛君

      末松 義規君    野田 佳彦君

      馬場 雄基君    原口 一博君

      沢田  良君    藤巻 健太君

      掘井 健智君    竹内  譲君

      中川 宏昌君    田村 貴昭君

      吉田 豊史君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   財務大臣政務官      瀬戸 隆一君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     勝目  康君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     石原 正敬君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

津島委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 質疑の申出がありませんので、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

津島委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。馬場雄基君。

馬場(雄)委員 立憲民主党・無所属の馬場雄基です。

 会派を代表し、所得税法等の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論をいたします。

 改めて、一連の自民党派閥裏金事件に対して、当事者たちの説明責任が果たされないまま税の話を進めることに、国民の皆様に申し訳が立たない気持ちでいっぱいです。自民党と金の問題をただし、一人一人が納得感を持って納税できる環境を私たちは築き上げていかなくてはなりません。

 まず、戦略分野国内生産促進税制について。

 特定分野となった産業の発展は必要です。しかし、十年間で二兆円という大規模減税政策でありながら、恩恵を受けられるのは一部の大企業に偏り、特に自民党が献金を受けている企業と一致している点について、政府の説明は明快ではありませんでした。

 一方、インボイス制度が導入され、小規模事業者の厳しさは増しています。政治献金の差で政策の差が生まれてはなりません。

 次に、所得税の定額減税について。

 私たちは、この間の物価高に給付で対応すべきと一貫して主張してまいりましたが、政府は定額減税が簡素、迅速、公平であると強弁しています。

 しかし、第一に、減税政策では多くの事務負担がかかり、給付の方が適切であると、二〇二〇年四月十五日の経済産業委員会にて当時の住澤主税局長が答弁されているとおり、簡素とは言えません。第二に、給付であれば今頃は既に届き切っているはずであり、全く迅速ではありません。第三に、来年の確定申告時まで待たないと減税効果を得られない方がおり、しかも、政府はその数を把握しておらず、公平な政策とは呼べません。

 今回の審議を通し、定額減税より給付が優れていることが明確になったと言えます。

 最後に、賃上げ促進税制について。

 賃上げ環境を整えることは大切ですが、この政策は十年前から行われ、財務省主税局の検証で効果が判然しないと指摘されたにもかかわらず、同じスキームで拡充するのは理解に苦しみます。そもそも賃上げが何を指標とするのか、これから研究しますという答弁をいただきましたが、準備不足で議論するに値しません。

 以上、本法案は、結局のところ、所得税、法人税の減税という形を使い、岸田内閣にしみついている増税イメージを塗り替えたい選挙目当ての法案であり、かつ、お金の力で政策がゆがめられている可能性を疑わざるを得ず、このような法案には到底賛同できないことを強く申し上げたいと思います。

 私の反対討論、以上となります。ありがとうございました。(拍手)

津島委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久です。

 教育無償化を実現する会との統一会派を代表して、所得税法等の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論いたします。

 まず、今国会は、残念ながら、脱税国会であると指摘せねばなりません。自民党によるパーティー券収入の政治資金収支報告書への不記載と裏金化は、国民の政治への信頼を決定的に失墜させております。

 収支報告書に記載のない裏金は雑所得であり、確定申告すべきことは言うまでもありません。財務大臣は、納税は各議員の判断次第と取られかねない発言をされました。自民党の納税モラルは破綻のふちにあります。

 徴税方法を決める前に、明らかに過ちをつまびらかにし、国民目線で過ちを改めるべきと考えます。そのために、我々が政治改革大綱で示したとおり、政治資金パーティーを含む収益事業全般について、民間と同じ基準で課税対象とし、透明かつ公正な課税を実現すべきです。政治家自身が身を切らず、国民に負担を押しつけることは許されません。

 本法案には総理肝煎りで推進されている定額減税が含まれていますが、一年限り、かつ政治色の濃い定額減税と他の内容は、本来は切り離して採決すべきです。

 我々は、本法案の全体に反対をしているわけではない。我が国税制の前進的な改善に資する施策も当然含まれていると考えています。しかし、両者を一体で議論の俎上にのせることは、後者を盾に前者の成立を迫ることにもなりかねず、苦言を呈さざるを得ません。

 そもそも、ばらまき色の濃い単年度の所得減税は、大半が貯蓄に回ることで、賃上げまでの間をもたせる短期的なびほう策となり、長期的な負担軽減にはつながらないと考えます。今実施すべきことは、将来にわたって国民負担率を引き下げる展望を国民と共有することです。

 我々は、昨年の総合経済対策以降、効果の薄い定額減税に反対し、社会保険料減免を掲げて政府と論戦を続けてきました。自動車産業と同等の経済規模を持つ医療業界を改革し、生産性を向上させ、医療サービスの持続可能性を担保しつつ社会保障負担を引き下げることは目下の議題であり、経済に一時的なカンフル剤を打つことではありません。

 前述のとおり、我々は本法案全てに反対するわけではありません。しかしながら、一年限りで効果が薄い定額減税には賛同できないことを申し述べ、断腸の思いで反対することとし、討論といたします。

 以上でございます。(拍手)

津島委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党を代表して、所得税法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。

 まず、法人税減税の問題です。

 与党税制改正大綱で、近年の累次の法人税改革は意図した成果を上げてこなかったと自ら指摘したにもかかわらず、最も減税額が大きい研究開発減税を温存し、戦略分野国内生産促進税制やイノベーションボックスの税制の創設など、総額五千六百八十億円もの法人税減税を盛り込んでいます。

 戦略分野国内生産促進税制は、毎年一千億円以上の恩恵を受ける自動車産業や多額の補助金を受ける半導体産業に対して、今後十年間で一兆九千億円程度の減税を保障するものです。政府税調ですら、一部の産業企業に集中して行う不公平な税制はゼロベースで見直すべきと指摘しました。にもかかわらず、巨大な大企業減税を拡大する本法案には反対です。

 法人所得は過去最高の九十兆円超えにまで増えているにもかかわらず、法人税収は最高時の七七%程度です。本法案はこのような法人税の空洞化を更に進めるものであり、大企業優遇税制は直ちに廃止すべきです。

 物価高騰対策として行われる所得税減税が一回限りであり、食料品やエネルギー価格の上昇に苦しむ中低所得世帯を支えるにはほど遠い内容であることも問題です。減税の実施が、早い人で今年六月から、個人事業主に至っては来年の確定申告時でようやく減税される人もいます。国民はここ数年、ずっと物価高騰に苦しんでいます。余りにも遅い対応と言わなければなりません。

 バブル期を超える水準に株価が上昇したことで、富裕層の資産が増え、所得格差、資産格差は拡大し続けています。所得税一億円の壁の見直しには手をつけず、インボイス実施で実質的に消費税増税を強行するなど、自民党、岸田政権の間違った税制に断固反対するものです。

 逆進性のある消費税の減税も含め、応能負担原則に応じた税制への転換を強く求めます。

 防衛力強化税制は先送りされましたが、次期戦闘機の共同開発に関連して、保税地域から引き取られる物品に消費税が免税される規定は、防衛力強化の一環であり、容認できません。

 重加算税の適用対象拡大は、申告納税制度に反し、納税者の権利行使を萎縮させる懸念があるなど、徴税強化であり、反対です。

 少子化対策の減税制度など賛成できるものもありますが、総合的に判断し、本法案に反対いたします。

 以上です。(拍手)

津島委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

津島委員長 これより採決に入ります。

 所得税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

津島委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

津島委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、塚田一郎君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。櫻井周君。

櫻井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    所得税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 所得税の定額減税の実施に当たっては、対象者が確実に減税措置を受けられるよう、適切な執行体制を確保するとともに、十分な周知・広報を行うほか、各事業者や自治体の事務負担にも配慮し、減税事務の円滑な実施に努めること。とりわけ、令和六年能登半島地震の被災地においては、被災地の実情に十分配慮した対応に努めること。

 二 賃上げ促進税制については、中小企業の実態を踏まえ、長期にわたり実施されている同税制の効果の検証を行うとともに、新たに創設された上乗せ要件が子育てと仕事の両立支援や女性活躍支援に与える効果についても的確に把握するよう努めること。

 三 新たに創設される各種の企業関係税制については、今後、各措置の適用実態を検証し、企業等の行動変容を促すインセンティブ措置として機能しているか否か等の観点から、政策効果や必要性をよく見極めた上で、一部の企業等に対する過度の優遇にならないよう、不断の見直しを行うこと。

 四 今般の政治資金を巡る問題を踏まえ、税制は国民の理解と信頼の上に成り立っているとの認識の下、国民からの税に対する信頼を損なわないよう、課税上問題があると認められる場合には適時・適切に税務調査を行うなど、適正、公平な課税の実現に努めること。

 五 適格請求書等保存方式(インボイス制度)が実施されたことにより、事業者間取引において不当な扱いが生じているといった意見があることを踏まえ、中小・小規模事業者に対する不当な扱いを防止するための取引環境の整備への取組を強化すること。

 六 高水準で推移する申告件数及び滞納税額、経済取引のグローバル化・デジタル化による調査・徴収事務等の複雑・困難化、新たな経済活動の拡大、軽減税率制度やインボイス制度の実施への対応など社会情勢の変化による事務量の増大に鑑み、適正かつ公平な課税及び徴収の実現を図り、国の財政基盤である税の歳入を確保するため、国税職員の定員確保、職務の困難性・特殊性を適正に評価した給与水準の確保など処遇の改善、機構の充実及び職場環境の整備に特段の努力を払うこと。

   特に、社会的関心の高い消費税の不正還付防止への対応、国際的な租税回避行為や富裕層への対応を強化し、更には納税者全体への税務コンプライアンス向上を図るため、定員の拡充及び職員の育成等、従来にも増した税務執行体制の強化に努めること。

以上であります。

 何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。

津島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

津島委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣鈴木俊一君。

鈴木国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

津島委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

津島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時六分散会


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