衆議院

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第4号 令和6年3月22日(金曜日)

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令和六年三月二十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 岡本 三成君

   理事 小林 鷹之君 理事 鈴木 隼人君

   理事 松本 洋平君 理事 山下 貴司君

   理事 荒井  優君 理事 山岡 達丸君

   理事 守島  正君 理事 中野 洋昌君

      井原  巧君    石井  拓君

      大岡 敏孝君    加藤 竜祥君

      神田 憲次君    国光あやの君

      鈴木 淳司君    関  芳弘君

      高木  啓君    冨樫 博之君

      中川 貴元君    福田 達夫君

      古川  康君    細田 健一君

      堀井  学君    宮内 秀樹君

      宗清 皇一君    柳本  顕君

      山際大志郎君    山本 左近君

      吉田 真次君    和田 義明君

      若林 健太君    大島  敦君

      落合 貴之君    小山 展弘君

      重徳 和彦君    田嶋  要君

      野間  健君    山崎  誠君

      市村浩一郎君    小野 泰輔君

      山本 剛正君    吉田 宣弘君

      笠井  亮君    鈴木 義弘君

    …………………………………

   経済産業大臣       齋藤  健君

   経済産業大臣政務官    石井  拓君

   経済産業大臣政務官    吉田 宣弘君

   環境大臣政務官      朝日健太郎君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            新発田龍史君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官)    辻本 圭助君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小林  出君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 一成君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           浦田 秀行君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           殿木 文明君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          畠山陽二郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 村瀬 佳史君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (環境省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           神谷 洋一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 奥山 祐矢君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 前田 光哉君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 堀上  勝君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  宮内 秀樹君     山本 左近君

  山際大志郎君     柳本  顕君

  和田 義明君     古川  康君

  山崎  誠君     野間  健君

同日

 辞任         補欠選任

  古川  康君     高木  啓君

  柳本  顕君     山際大志郎君

  山本 左近君     宮内 秀樹君

  野間  健君     山崎  誠君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     和田 義明君

    ―――――――――――――

三月二十一日

 岸田政権の新原発推進政策の撤回に関する請願(近藤昭一君紹介)(第五五九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案(内閣提出第一六号)

 二酸化炭素の貯留事業に関する法律案(内閣提出第一七号)


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     ――――◇―――――

岡本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案及び二酸化炭素の貯留事業に関する法律案の両案を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 来る二十七日水曜日午前九時、二酸化炭素の貯留事業に関する法律案審査のため、及び、来る二十九日金曜日午前九時、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案審査のため、それぞれ参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総合政策局参事官新発田龍史さん、経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官辻本圭助さん、経済産業省大臣官房審議官小林出さん、経済産業省大臣官房審議官田中一成さん、経済産業省大臣官房審議官浦田秀行さん、経済産業省大臣官房審議官殿木文明さん、経済産業省産業技術環境局長畠山陽二郎さん、資源エネルギー庁長官村瀬佳史さん、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官山田仁さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄さん、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹さん、環境省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官神谷洋一さん、環境省大臣官房審議官奥山祐矢さん、環境省大臣官房審議官前田光哉さん及び環境省大臣官房審議官堀上勝さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岡本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山崎誠さん。

山崎(誠)委員 おはようございます。立憲民主党、山崎誠でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 いよいよ法案でございますが、水素社会推進法、そしてCCS事業法が上程されて、これから質疑ということでございます。トップバッターということですので、まず、この基本的な水素、CCSの位置づけについて議論をさせていただこうと思います。

 先日、JERAさんの碧南火力発電所を訪問してまいりました。巨大な石炭火力発電所でございまして、運転開始から比較的日の浅い施設も二基あるということで、この脱炭素の流れの中で、とかくやはり石炭火力というのが敵視されるみたいな中で、どういうふうにこの設備を生かしていけるのかということで非常に悩まれている、そういう印象を強く持ちました。そうした悩みの中から、今取り組んでいらっしゃるアンモニア混焼というソリューションが出てきたんだろうと。そして、今回の法案でも、そうした取組を一定後押しをするということで議論を進めていくんだということは十分に理解をしたところでございます。

 新設の石炭火力発電所なども抱えているJERAさんでありますから、世界の潮流は、石炭火力からの撤退ということで廃炉を進めていくということになっていますけれども、その撤退の選択肢も容易ではないということを理解をしているつもりであります。そういう中で、いかに、このトランジションというか移行をうまくやって、そして、決して後ろ向きではなくて、成長そして発展、日本の産業の再生につなげていくか、そういう視点でこの両法案がどう機能できるかというところが今問われているんだろうと思います。

 改めて振り返りますと、菅政権以来、二〇五〇年にカーボンニュートラルという目標を定めた、これは私も大賛成でございますけれども、これを受け取らざるを得ないのが産業界、そして一方で、現行の電源構成だとか産業構造というのを何とか維持していきたいという思いもやはり産業界には強いのではないか、そうした二つの声を合わせるソリューションということで水素、CCSが出てきたのではないかというふうに推測をしております。

 こういう前提で、GXにおける水素の活用、CCSの位置づけについてどのようにお考えになっているのか、経産大臣にまずお尋ねをしたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 まず、水素の位置づけですが、二酸化炭素の排出削減と我が国の経済成長を共に実現をするGX、これに向けましては、鉄鋼や化学、商用車といった脱炭素化が難しい分野において、低炭素水素等の利用、これを促進することが必要であります。

 また、再エネの変動性を補う調整力や供給力を確保する観点から引き続き重要な火力発電についても、カーボンニュートラル実現に向けては、低炭素水素等の利用を促進すること、これが必要であると考えています。

 このため、今回、水素社会推進法案における支援措置を通じまして、これらの分野において、低炭素水素等の需要と供給、この双方を立ち上げて、GX実現に向けて取り組んでいくこととしているところであります。

 CCSの位置づけについても御質問がございました。

 二〇二三年七月に閣議決定されましたGX推進戦略におきましては、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現する上では、安価で安定したエネルギー供給によって国際競争力の維持や国民負担の抑制を図りつつ、徹底した省エネ、再エネの最大限導入などに加えて、水素、CCSなどあらゆる選択肢を追求するとされ、CCSも位置づけられています。

 CCSの役割につきましては、鉄鋼や化学などの産業や発電、低炭素水素等の製造における脱炭素化手段として利用されることが想定をされます。

 海外におきましても、各国がカーボンニュートラルの宣言をする中で、近年、予算や税制などCCS事業に対する様々な導入支援制度を設けるなど、CCSの導入加速化に向けた動きが見られるところであります。

 そうした中、我が国におきましても、こうした世界の動向を踏まえつつ、二〇三〇年までのCCS事業開始に向けて事業環境の整備を積極的に進めていきたいと考えているところであります。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 繰り返しになりますけれども、化石燃料中心の既存のシステムを単に延命するためのCCSやあるいは水素活用では私はいけないというふうに思うのであります。

 それはなぜかといえば、今、気候危機、エネルギー転換の大きな時代の流れがある中で、二つの戦略が基本的にあると思うんですよ。一つは、既存の産業をできるだけ維持をしながら、化石燃料や原発や、まあ原発については意見があるかもしれません、今、水素だとかCCSを組み合わせて、既存の産業構造をできるだけ維持をしたまま、どちらかというと、延命的に産業を続けていくという方向性と、もう一つは、やはり新しい産業構造に変えよう、省エネもやり、再生可能エネルギーを大量に入れ、蓄電などの技術も活用し、一部水素の熱の活用とか、そういったものをうまく入れて、新しい産業構造で社会や企業の活動などを維持しようという、この二つだと思うんですよ。

 今、後者の方、これは変革です。今までよりも違う仕組みに変えなきゃいけない。変革のベクトルであって、初めの、既存の産業を維持しようというベクトルとはやはり違うものだと思います。日本はどっちを取るのかということがやはりベースにならなければいけないと思うんですね。

 やはり、水素とかCCSというのは、私はその移行期の、新しい産業構造への移行期のツールとしてあるものだと思います。水素は、一部どうしても転換が不能な部分に活用していく非常に極めて重要なエネルギー資源だ、そういう位置づけだというふうに思っているところであります。

 私が今なぜこれが必要かというと、日本の産業界の生き残りの道、産業の成長のためにも、成長している分野にどんどんやはりシフトしていかなければいけない。

 これはもう釈迦に説法でありますけれども、再生可能エネルギー、今これだけ世界中で伸びている太陽光とか風力、日本はかつては世界のシェアを取っていたのに、今はもう完全にゼロですよ、世界シェアは。それで、原発に行ってしまっている。原発回帰で、じゃ原発でどれだけビジネスが展開するのかというと、私は非常に疑問です。

 今日おつけした資料の中の五番を見ていただくとお分かりいただけると思うんですけれども、例えば蓄電池です。これからはやはり蓄電池のビジネスを伸ばさなきゃいけないということで力を入れているのでありますけれども、例えば二〇二七年の予測の絵がありますけれども、ほとんど中国でありまして、日本の姿はないんですよ。

 私は、蓄電池の技術というのはこれからどんどん伸びていくから、この分野にもっと集中して投資をすべきだし、力を入れなきゃいけないはずなんですけれども、今回のこのCCSとか水素の方にシフトしてしまうと、本当に成長分野である蓄電がビジネスで負けてしまうんじゃないかと。

 もちろん、大臣、両方やるんだとお答えになるのは分かるのでありますけれども、両方やって両方勝てるわけがないんですよ。選択と集中という言葉もありますけれども、私はそれがやはり今求められているんじゃないかと。そういった視点でも、この戦略の選択を間違うとまた日本はひどい目に遭う、水素、CCS、例えばCCSが本当に世界で市場が広がってもうかるビジネスになるのかどうかということであります。

 そういった点をもう一回ここでは確認をしたいと思います。新しい産業への転換、変革と既存の産業の維持、この二つの選択、どういうふうにお感じですか。

齋藤(健)国務大臣 とにかく、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するために何をすべきかという観点、これが重要だろうと思うんですね。それから、エネルギーに関する基本計画、戦略を考える上におきましては、やはりSプラススリーEというもの、これを踏まえて実現をしていくことが大事だと思っています。

 その中で、二〇五〇年を実現するためには、当然のことながら、新しい技術開発ですとかこういうものは必要不可欠になりますので、それについては積極的に推進をしていくというのは基本的な考え方ではないかというふうに思っています。

山崎(誠)委員 私は、二〇五〇年のカーボンニュートラルをどういう形で実現するかが大事だと思っているんですよ。税金をつぎ込んでほかでは使われないような技術を一生懸命維持して、それで二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するのか、変革を遂げて悠々と世界に自慢ができるエネルギーシステム、それを打ち立てて、それで海外にも売っていけるビジネスを展開しているか、私は今その岐路だと思っているんですよ。

 だから、二〇五〇年カーボンニュートラルはもちろん実現しなきゃいけないと思います、その実現の姿を今きちっと見据えなきゃいけないんじゃないですか。そういう意味での水素、CCSの在り方を今考えなきゃいけない、問われているんだ、そういう私の問題意識であります。是非受け止めていただきたいと思うんですけれども。

 次であります。

 低炭素水素等の定義、そして低炭素の基準、この考え方についてお聞きをしたいと思います。場合によっては参考人でも構わないですけれども。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 水素社会推進法案における低炭素の基準でございますけれども、現在、海外の制度も参考に審議会において御議論を進めていただいておりますが、国際的にも遜色のない水準を定めていきたいと考えてございます。

 今後、カーボンニュートラルに向けた国際的な議論が進む中で、我が国の水準だけが緩いとか厳し過ぎるなどないように、国際的な議論を注視し、今後の技術の進捗等も踏まえて、必要に応じて見直していきますが、現状におきまして、一キログラムの水素を作るために三・四キログラムのCO2が出る、これが国際的な基準として遜色ない水準ではないかと考えてございます。

山崎(誠)委員 今のこの三・四キログラムというのは分かりにくいんですよ。これは、例えば、これで作った水素を発電で燃やしたとしたら、こういうときのCO2の換算というのは、例えばLNG火力と比較してどういう数字になるんですか。何分の一とかという数字はありますか。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、LNG火力との比較という数字は手持ちにないんですけれども、世界で議論されている基準でいいますと、アメリカのIRAで支援対象にするものが四・〇キログラム、それでEUの基準になっているのが三・四キログラムということで、これらと比較して日本も国際的に遜色がないと。

山崎(誠)委員 だから、これを発電したときにそのCO2換算というのはどういう数字になるかというのが、私は分かりやすいし大事だと思うんですよ。これだけ聞いてもよく分からない。

 ちょっと、是非、これは計算してみてくださいよ。LNG火力の、例えば半分ぐらいになるのか、三分の一になるのか、あるいは同等なのか。この基準というのはどういう数字なのか。ライフサイクルでCO2の排出量を見たときに、どういう数字なのか、ちゃんと示してください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 今のような、要は、どういう形で使っていくか、あるいは稼働率はどうかといったところにつきまして、改めて試算をしてお示ししたいと思います。

山崎(誠)委員 よろしくお願いします。

 別に私は水素で発電しろと言っているのではないんですけれども、比較対象としては分かりやすいから言っているのであります。

 二番目でありますけれども、こうした基準の適用というのはいつスタートするのか。今、JERAさんなんかでやっているアンモニアは、この基準に合わないグレーの水素から生まれたアンモニアというふうにも聞いています。

 このグレーの水素だとかアンモニアの使用というのを、この法案が通って動き出してから認めるんでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 JERA碧南でこの法律に基づく支援措置が使われるかどうかは、法律が成立した上で、計画を具体的に見てチェックしてまいりますけれども、この法律による価格差支援の対象になるのは、今申し上げた三・四キログラムよりも厳しい基準を満たしたものになると考えてございます。

山崎(誠)委員 では、価格差支援のこの基準を使わないのであればグレー水素も全然出し放題ということで、今そういう考え方をしている、特にグレー水素をこれで禁止をして、こちらに誘導していくということではないということですか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 価格差支援につきましては、今申し上げたとおりでございます。

 一方で、この法律は規制、支援一体型で構築されておりまして、規制として、経産大臣が定める判断基準というものを求め、それに向けて水素供給事業者には自発的な取組を進めていただくこととしております。こうしたところにつきまして、経産大臣が定める判断基準において、今のような点も含めて検討し、お示ししていきたいと考えております。

山崎(誠)委員 私は、できるだけ早くグリーン水素、あるいは、この基準はマックスであるにしても、それをどんどん下げていってもらいたいと思っているんですよ。

 そういう意味では、この段階を追った例えば支援の仕方とか補助金の率を変えるとか、そうした工夫もどんどんしていかないと、これはいつまでたってもグレー水素が生き残ったり、あるいはこの上限に張りついたぎりぎりの水素が使われるということになると、今CO2がどれだけ出ているか分からないですけれども、これは、グレー水素あるいはグリーン水素、その間のいろいろな展開、これを誘導する施策にならないといけないと思うんですよ。いかがですか。

井上政府参考人 委員御指摘のとおりでして、EUにおいても、現状のグレー水素を何年、何%をグリーンにしなきゃいけないといったような規制が入ろうとしております。我々としても、そうした動向を踏まえながら考えていく必要がございますが、一方で、水素の価格、今、黎明期だというところも踏まえながら考えていきたいと考えてございます。

山崎(誠)委員 これは全て省令に委ねるような形になっておりますので、ここからその議論をしていかなきゃいけないですよね。法律には何も書かれていない。そこを私は非常に問題だと思います。

 グリーン水素、これは大臣にお聞きしたいんですけれども、最終的には、一〇〇%国産グリーン水素が目標ということでいいですよね。

齋藤(健)国務大臣 少し説明したいんですけれども、水素の利活用に当たっては、グリーン水素、ブルー水素といった製造方法による評価、これもありますけれども、その利活用によってしっかりとCO2排出量の削減につなげていくことが大事だと思っています。

 ブルー水素は一般的に安価でありまして、大量に生産できるメリット、こういったものがあります。したがって、利用によって我が国のCO2排出量の削減に寄与することを考えれば、現時点において、ブルー水素を活用していくということは、一つの我々の進むべき道ではないかなと思っています。

 こうした考え方の下で、諸外国においても同様にブルー水素も含めた低炭素水素の利活用が進められているというふうに承知をしています。我が国としても、水素の製造方法を問わず、生産に伴うCO2排出量、すなわち、炭素集約度に基づき対象となる水素等の基準値を定めていくということが大事だろうと考えておりますので、グリーン水素だけでなく、ブルー水素なども有効活用していくことが大事ではないかなというふうに考えています。

山崎(誠)委員 大臣、ブルー水素をやるということは、じゃ、輸入ですか。国内でブルー水素を大量に作るのは無理だと思いますよ。だから、海外からの輸入をこれからも続けていくと、水素に対して。

 私は、エネルギー安全保障とかを考えていったら、やはり再エネをたくさん入れて、これはもういろいろ議論がありますけれども、まだまだ入りますからこれを大量に入れて、グリーン水素を使って、産業の必要な部分、モビリティーの必要な部分に充てていくというのが水素の活用のあるべき姿で、最終的に二〇五〇年にはそこだと思っているんですよ。

 そうではなくて、ブルー水素を輸入するものがたくさんある、そういう前提でお考えですか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 この法案を立案するに当たって、委員御指摘のとおり、エネルギーの安全保障は非常に大事だというふうに考えておりますので、グリーンでの国産水素の製造も考えてまいりますし、併せて、今回御審議いただいておりますCCS事業法案を踏まえまして、国内でのブルー水素の製造といったようなものも検討してまいりたいと考えてございます。

山崎(誠)委員 これでまた、私はこの後議論しますけれども、ダブルでコストがかかったら大変ですよ。CCSもやりながら、水素もやりながら、水素転換でいろいろ転換にも、効率は落ちますし、コストはかかりますよ。そこまでやって、水素を生み出す。それは一定必要なところがあればやるしかないんですけれども、それで発電で使うみたいな話になったら、どんな遠回りを日本はしてエネルギーを得るのか。そこはもう単純に考えていかなきゃいけないポイントだと思います。

 関連で、二〇三〇年のエネルギーミックスを見ますと、現行でありますけれども、再生可能エネルギー三六から三八%、原発が二〇から二二%、水素、アンモニアが一%ということになっているんですけれども、この一%の水素、アンモニアはどこで製造される前提なのか。これは、国内の再生可能エネルギー三六―三八%を使って水素を製造するというふうになっているかどうか。これは参考人でいいかな。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の第六次エネルギー基本計画で、おっしゃっておられるとおり、一%、水素、アンモニア発電ということを考えてございまして、こちらにつきましてはこの法案で支援をしていきたいと考えております。

 そこの内訳としては、国内での再生可能エネルギーによる生産も含まれ得ると考えております。

山崎(誠)委員 一%というのは、電源構成に水素一%とあるんですね。また、一次エネルギーでも一%とあるんですけれども、水素の活用は、電気だけじゃなくて、今まで言ったように、産業に大いに使うわけですよね。だって、鉄鋼で七百万だったかな、使うと言っているんだから、相当な量、これ以外の、この電源の一%以外の水素というのがあるはずですよね。その水素はどこから持ってくるんですか。日本の再エネから作ると言っているのは何%ぐらい予想しているんですか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 日本の二〇三〇年の一%、水素、アンモニア発電で作るということに必要となる水素、アンモニアの量は、水素換算で大体六十から七十万トンと見込んでおります。

 今、我々、二〇三〇年については、御説明いたしましたとおり、追加百万トンを供給する必要があるというふうに考えておりまして、したがって、発電以外の分野では今の差引きのトン数が必要になる。こういったものにつきましては、これからこの法律に基づいて、成立いただいた暁には具体的な計画が出てまいりますので、現状申し上げにくいんですけれども、国内でのグリーン、ブルーあるいは海外からの輸入といったようなもので賄っていきたいというふうに考えてございます。

山崎(誠)委員 これは、最終段階では、二〇五〇年で二千万トン程度と一応書いてありますよ。この数字の根拠はないみたいでありますから、余り信用を置けない数字ですけれども。

 これは、私が言いたいのは、大臣はブルー水素でもいいと言うから輸入を頼るのかもしれませんけれども、国内でグリーン水素をできるだけ作るということにしてこの二千万トンを賄うんだということになれば、再エネの導入をもっと増やして加速していかないと、とてもとても無理だと思うんですよ。今ここで言っている三六から三八%、これは基本的には電気で消費する部分だと私は認識しているんですよ。電力として供給する部分で、水素製造に使う電気は別にやはり作らなきゃいけない。だから、更に再エネを伸ばしていかなきゃいけないというふうに思うんです。

 この辺り、どうですか、大臣。再エネをもっと入れないとグリーン水素を作る余地というのはないでしょう、今のエネルギーミックスから。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇五〇年二千万トンというところにつきましても、我々としては国内で再生可能エネルギーで作っていきたいというところを考えておりますけれども、一方で、御指摘のとおり、国内で再生可能エネルギーのコストが依然として高いという状況がございます。したがって、ブルー水素の活用であるとか海外からの輸入といったようなことも考えていかなければならないというふうに考えております。

齋藤(健)国務大臣 本法案では、低炭素水素等を支援する方針、これを示しているところであります。繰り返しになりますが、再生可能エネルギー電力由来の水素、グリーン水素のみならず、天然ガス由来でCO2を回収、処理した水素、ブルー水素を支援対象とすることを想定しています。

 御指摘のように、第六次エネルギー基本計画では、二〇三〇年度温室効果ガス四六%削減、二〇五〇年カーボンニュートラル実現という政府目標を踏まえて、二〇三〇年度の電源構成に占める再エネ比率、これを三六から三八%にするということになっています。

 今後、この国産グリーン水素を増やしていく場合、再エネ由来の電力を活用して水素を製造をしていくということになるわけでありますが、残念ながら、二〇二二年度の電源構成に占める再生可能エネルギーの割合は二一・七%とまだ道半ばであります。まずは、この二〇三〇年度目標の実現に向けて、再生可能エネルギーの導入を全力で取り組んでいくということが何よりも優先される事項ではないかなというふうに考えています。

山崎(誠)委員 資料四をちょっと見ていただきたいのでありますけれども、これは環境エネルギー政策研究所の飯田哲也さんからお借りした資料でありますけれども、日本の、例えば太陽光発電、これは世界第三位に入っているということでいつも言われるのでありますけれども、今は第三位なんですけれども、この後です、問題は。二〇三〇年に向けて、右上のグラフを見ていただくと、各国がばんとこの太陽光発電の導入を伸ばしていくのに、日本は全然伸びないのであります。結局、ここでまた差がついちゃうんですよ。

 私は、次のエネルギーミックスを考える七次のときには、これじゃ駄目だと思うんです。グリーン水素の割合、ブルー水素の割合、ブルー水素はやはり輸入したら高いですから、できるだけ国内でグリーン水素、それも再エネ、たくさん導入した再エネの例えば余剰の電気を使って水素を作る、そういうプロセスをちゃんとエネルギーミックスに入れないと、今議論している水素が、結局、一時的な既存の設備を維持するための水素に終わってしまう。是非、これをもう一回、再エネの導入が不可欠なんだ、もっと入れないと水素を作れないんだ、これは私は大前提として大臣と共有をしたいと思うんです。

 もう一つは、原発なのであります。

 この間、前回も質問させていただきました。原発の依存、これを可能な限り低減させるというのが国の方針だという。その上で、この方針、今後も維持されますよね、大臣。

齋藤(健)国務大臣 二〇二一年十月二十二日に閣議決定された第六次エネルギー基本計画、これは現在も生きております。

山崎(誠)委員 今後も維持するかと聞いたので、今生きているのは当然ですよ。今生きていなかったら話にならないので。

 今後も維持するかどうか、大臣の思いでもいいですよ、お聞かせください。大臣、大臣、これは大臣でしょう。

齋藤(健)国務大臣 次の計画の見直しに向けて取り組んでいきたいと思っています。

山崎(誠)委員 これは、現在の、可能な限り依存を低減、その前提でいって、じゃ、この水素製造に原発の電力を活用する、頼るということが今後もあるんでしょうか。電気が余れば、その電気を使って水素を作るということになれば、市場というか一体になっている電気の中ではそういうことになるかもしれない。

 今、例えば九州で電力の抑制、再生可能エネルギーの抑制が起こっています、出力制御と呼んでいるようでありますけれども。これは基本的には、原発が動いていて、火力発電を五〇%に出力抑制をして、それでも再エネが余ったから、再エネが押し出されて再エネが余っているという形になっているんですよ。その余った電気というのは、一緒くたにすれば元々原発の電気も入っているんですよね。

 こういう状況だということで、原発で水素を作るというこの可能性が、どういうふうに考えているか、あるのかないのか。これは大臣だな、やはり。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力由来の電力から水素を製造することにつきましては、これは世界でも研究開発や実証が行われておりまして、我が国でも、現在、関西電力において、原子力由来の電力を活用して国内で水素を製造する実証実験が行われていると承知をしております。

 その上で、先ほど先生が御指摘ございましたけれども、原発の依存度低減というものにつきましては、再エネの最大限導入を進める中で、震災前の約三割から原発依存度を低減するという趣旨でございまして、原発由来の電力から水素を製造する場合におきましてもこの方針は変わらないものでございます。

山崎(誠)委員 これだけで一時間議論したいぐらいです。

 はっきり言って、この間の、前回の質疑でも十分議論したつもりでありますけれども、やはり原発のリスクとか使用済核燃料の問題だとか、課題は山積みなんですよね。だから、これを使って水素まで製造するんだということを国が認めているということであれば、原発からは逃れられなくなって、そして、再エネはほどほどの導入という形で日本はずっといくことになっちゃいますよ。私は、それで本当に、大臣、責任のある、次の世代をつくれるのかどうか。まあ、ここはもうこれ以上議論してもしようがないかもしれない。

 私は、水素製造というのは、再生可能エネルギーをベースにした新しいエネルギーの仕組みできちっと作ってもらいたい。原子力依存の水素というのは、私は、考え方を外してもらいたいと強く要望しておきます。それはなぜならば、原発はいろいろな問題を抱えているから、この依存の低減というのが日本のためなんです。だからです。

 海外から攻撃されて、どうするんですか、ウクライナの戦争。あの教訓はどこに行っちゃったんですかね。私は、是非今の答弁はなかったことにしたいと思っております。もうしちゃったから、しようがないけれどもね。

 次です。コストの問題。これはちょっと、時間もなくなってしまったので、また次回に譲りたいと思います。

 環境省、政務官に来ていただいたので、お聞きをしたいと思います。

 まずは、この法案の検討段階で環境省はどんな議論を行ってきたのか、環境省の立場でどのような提案とか要請を行ってきたか、その経過があれば教えてください。

朝日大臣政務官 水素社会の実現に向けて、環境省といたしましては、再エネ等の地域資源を活用した水素サプライチェーンの実証実験を行うなど、経済産業省とも連携をして取組を進めてまいりました。

 本法案につきましては、制度内容を審議する経済産業省の審議会にオブザーバーとして参画するなどを通じて、これまでの知見を生かして、環境保全の観点から環境省の役割が発揮されるよう調整をしてきたところです。

 今後とも、基本方針の策定や事業計画の認定に際しまして環境保全の観点が適切に確保されるよう、経済産業省ともしっかり協議して連携を取ってまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 もうちょっと具体的に、この法案を検討するに当たっての要請点とかはないんですかね。当然ですよ、環境に配慮する、そういう視点で何か言ったのは分かるけれども。

 では、もう一つは、この法案上で環境大臣の役割というのが問われていると思うんですけれども、どんな役割を果たそうとしているのか。

朝日大臣政務官 環境省といたしましては、基本方針の策定や事業計画の認定に際しまして環境大臣への協議規定が盛り込まれておりますので、環境省といたしましても、これまでの知見を生かして水素社会の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 全く同じ答弁でございまして、残念です。

 私は、脱炭素社会の実現に向けて、当然でありますけれども、一日も早くCO2の削減を、段階的にでもやっていかなきゃいけない。そのときに、コストパフォーマンスが高い政策への資源の集中というのが大事です。だから、省エネをきちっとやる、再エネをたくさん入れる、そうしたことがあって、水素だとかCCSというのをどういうふうにその中で使っていくかという議論が、コストパフォーマンスも考えてなされなきゃいけない。

 そういう意味で、環境省は、あくまでも気候変動対策、これを前に進める観点から、ニュートラルな立場でこの政策評価をして、ちゃんと経産省にアドバイスしてもらいたいんですよ。経産省さんは、産業界を支えていますから、いろいろな考慮しなきゃいけない要素、別な要素もお持ちです。環境省がそれを考慮しなくていいとは言わないけれども、純粋にニュートラルな視点でこの事業をきちっと評価をする、その責務があると思いますよ。

 政務官、ペーパーには書いていないですから。答えてください。

朝日大臣政務官 委員おっしゃるとおり、環境省の方で、役割であります環境保全、こういったものを適切に遂行していく意味でも、経済産業省とともに連携を取りながら進めてまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 応援しているんです。だから、環境省は環境省の立場で、総力を集めて、水素をどう使ったら脱炭素社会につながるか、コストパフォーマンスのいいCO2削減につながるかを検討したその結果をぶつけてくださいよ、経産省さんとちょうちょうはっしやり合ってくださいよ。そうしないと、私は、本当にいい政策遂行にならないと思っているんです。

 少し、最後の質問に飛びますけれども、CCS事業で一点だけ、これは環境省さんにお聞きをしたいと思います。

 このCCS事業についての環境配慮、私は、環境アセスメントをこのCCS事業にも適用すべきと思います。御所見をお聞きします。

朝日大臣政務官 環境影響評価法は、規模が大きく環境影響の程度が著しいおそれがある事業に対しまして、環境影響評価の手続、その実施を求めるものとなっております。

 CCSにつきましては、本法案の成立後、事業化が進んでいくものであり、現段階で環境影響の程度が著しいものであるかどうかの知見が十分でないことから、環境影響評価法の対象とする必要性については、今後のCCS事業の実態を踏まえた上で検討を深めてまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 是非、本当にここは環境省としてピン留めしておいてくださいよ。CCS事業についての規模感とか環境への影響というのをお聞きをすると、いやいや、小さいんです小さいんですと言っていますよ。でも、今の実証的なプラントとこれから本格的にCO2を地中に入れていこうというプラントは、私は、規模がやはり違うし、環境への影響も大きいと。

 地下の様子がどういうふうに変わるのか、それが地上にどういう影響を及ぼすのか、やはりこれは私は環境省として是非注目をしていただきたいし、このCCSのような事業が環境アセスの対象じゃないから事業者任せで開発が進むということは避けたい、避けるべきだというふうに思いますので、是非、これは環境省としてピン留めをしていただきたい。もう一言どうぞ。

朝日大臣政務官 委員おっしゃったとおり、しっかりと経済産業省と連携を取りながら進めてまいりたいと思います。

山崎(誠)委員 ありがとうございました。

 ちょっと質問が残りましたけれども、また次回、時間をいただければと思います。よろしくお願いします。ありがとうございます。

岡本委員長 次に、鈴木隼人さん。

鈴木(隼)委員 自民党の鈴木隼人でございます。

 今日は、質疑の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 早速ですが、質疑に入らせていただきます。

 まず、水素社会推進法の方から質疑をさせていただこうと思いますが、まず一つ目の質問は、この法案の目的とか意義、こういったものについて是非政府の方からアピールをいただければと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けて、電化が困難など、今後脱炭素化が難しい分野におきましてGXを推進していくことが不可欠と考えております。

 具体的には、鉄鋼や化学などの産業であるとか、モビリティー、あるいは発電等におきまして、現在流通している水素に比べ製造時のCO2排出量が少ない低炭素水素などの利用を進めるための、先行的で自立が見込まれるサプライチェーンを創出し、拡大していく必要があると考えてございます。

 実際に、国内や海外におきまして、こうしたサプライチェーンの芽が育ち始めているところでございます。例えば、国内では山梨や福島で再エネ由来の水素製造、あるいは海外では豪州で褐炭からの液化水素の製造が、小規模ではありますが、行われ始めております。

 一方で、足下では、こうした低炭素水素等の市場は黎明期にございまして、民間事業者が投資判断にちゅうちょしてしまうというところでございますので、サプライチェーンに対する投資の予見可能性を高める、このための措置等を講じることが必要と考えてございます。

 このため、水素社会推進法案におきまして、価格差に着目した支援や拠点整備支援等の措置を通じて低炭素水素等の供給及び利用を促進し、カーボンニュートラルを実現していきたい、かように考えてございます。

鈴木(隼)委員 ありがとうございます。

 次に、この法案を用意をするに当たって、今後の見通しというか、水素の供給量目標、どれぐらいで考えていて、それをどのように達成していくお考えなのか、その辺り、教えてください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 足下では年間約二百万トンの水素が利用されておりますが、第六次エネルギー基本計画では、二〇三〇年に年間最大三百万トン、二〇五〇年には年間二千万トン程度に拡大することを目指しております。

 これまでも、グリーンイノベーション基金などを活用しまして、水電解装置の技術開発であるとか輸送実証に向けて取組を進めてまいりました。

 今回、二〇三〇年の目標達成に向けまして、御審議いただいております水素社会推進法案によりまして、規制、支援一体の制度を構築し、サプライチェーンの構築に対する投資予見可能性を高める、こうした観点で、価格差に着目した支援や拠点整備支援などの措置を大胆に講じることといたしております。

 これらの支援措置を通じて、まずは先行的で自立が見込まれるサプライチェーンの構築、これによりまして、我が国における低炭素水素等の導入量拡大を目指していきたいと考えてございます。

 また、中長期的には、規制、制度的措置も通じた導入拡大を図っていく方針でございまして、電力、ガス、燃料、産業、運輸などの分野における新たな市場創出、利用拡大に向けまして、関連審議会等における御議論も行ってまいります。

 こうした形で供給量の目標を達成していきたいと考えてございます。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 次に、水素の価格。今後どういう形で、導入を図るために下げていくのか、どういう目標を掲げていて、それをいかにして実現をするのかという見通しについてお聞かせください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、二〇三〇年に一立米当たり三十円とする我が国の水素コスト目標につきまして、これは、二〇一七年に我が国が世界で初めて水素基本戦略を策定した際、事業者等へのヒアリングであるとか官民協議会での議論を基に定めたものでございます。

 当時から、供給量の増加による規模の経済、それからコスト低減に資する技術開発によってコスト低減が図られるという想定の下で取組を進めてまいりました。

 具体的には、先ほども申し上げました、グリーンイノベーション基金による技術開発、あるいは実証、こうしたものに加えて、今回の法案による大胆な支援措置で好循環を目指していきたいと考えてございます。

 野心的な目標ではございますけれども、例えば、グリーンイノベーション基金では、企業などの経営者に対して、二〇三〇年のコスト目標達成につきまして、技術開発に粘り強く取り組むことへのコミットメントを求めているとともに、取組が不十分な場合には、事業中止、国費負担額の一部返還など、そのコミットメントを高めるための仕組みも導入して取り組んでございます。

 こうした取組も踏まえまして、官民一体でコスト低減に取り組んでいきたいと考えてございます。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 水素については、五十年前のサンシャイン計画時代から普及を目指してきたわけでありますけれども、なかなか十分に普及をし切れていない状況にあります。

 この状況を今政府としてどう考えているのか、今後についてどのように普及をしていこうと考えているのか、是非お考えをお聞かせください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のサンシャイン計画に始まりまして、様々な研究開発を進めた結果、家庭用燃料電池は約五十万台、燃料電池自動車が約八千台と、世界でもトップクラスの水準で普及はしてきている、ただし、御指摘のとおり、社会全体の普及率でいえばまだまだ途上であるというふうに考えてございます。

 新しい技術が社会に実装されるには、大きな要因の一つがやはり必然性でございまして、先ほどの御審議でもございましたけれども、電化だけではございませんが、熱や原料として水素等を使わなければカーボンニュートラルは実現できない、この必然性を多くの企業と共有しながら官民で取組を進めていくことが一つ極めて重要と思っております。

 また、現実には、現状、水素は非常に高いという課題がございまして、こうしたコスト、あるいは利用側の機器のコスト低減というものも大きな課題でございます。

 グリーンイノベーション基金等を踏まえた技術開発などをしっかりと進めていくと同時に、今回の水素社会推進法案で措置します価格差に着目した支援、国際的に見て様々学びながら措置しようとしている措置でございますけれども、十分な価格低減が見込まれて、将来的に競争力を有する見込みのある事業というものをしっかり認定して支援していきたいと考えてございます。

 こうした措置によりまして、需要と供給を同時に立ち上げて規模の拡大化を図り、製造コストの低減であるとか、利用側機器の需要が増えることによる機器コスト低減というものを目指していきたいというふうに考えてございます。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 燃料電池自動車に視点を移しますと、現状、水素ステーションの整備ですとか、あるいはランニングコストも高額であったりとか、課題があるわけでありますけれども、こういったものの自立化に向けて、今後どのように進めていくのか、お考えをお聞かせください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 水素ステーションの自立化に向けましては、FCVなどの普及による水素需要の拡大、これが一点で、もう一つは、水素ステーションの整備や運営に係ります費用の低減、これを同時に両輪で図っていくことが重要だと考えております。

 まず、FCVの普及につきましては、航続距離が長く充填時間が短いというFCVの特徴を踏まえますと、トラックあるいはバスといった商用車に重点化し導入拡大を進めていくことが有効ではないかというふうに考えております。こうした観点から、こうした商用車、FCVを導入する企業などへの補助制度の拡充、そういった取組を進めていきたいと考えてございます。

 また、水素ステーションの費用低減につきましては、商用車など大規模かつ安定的に水素需要が見込める地域への重点整備、これを進めることによりまして、稼働率の向上と固定費の削減を図っていきたい。あわせて、充填ホースの耐久性向上でありますとか、水素の貯蔵タンク一本当たりの水素保有量の上限緩和、水素ステーションのコスト低減につながる技術開発やそれを踏まえた規制の見直し、こうしたものに取り組んでいきたいというふうに考えてございまして、こうした両輪で、なかなか悩ましい課題ではあるんですけれども、FCVの普及を図りながら、水素ステーションの自立化といったような課題にも取り組んでいきたいと考えてございます。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 この法案の中で低炭素水素という言葉が使われておりますけれども、この低炭素というものの基準をどのように考えているのか、教えていただけますか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 低炭素水素の定義につきましては、水素等の製造方法による分類ではなくて、製造方法によらず、生産に伴うCO2排出量、すなわち、炭素集約度の概念をG7の広島サミットにおきまして日本が提示し、首脳コミュニケにおきましても重要性が確認されているところでございます。

 こうした炭素集約度の概念を踏まえまして、現在、海外の制度も参考に、例えば、水素一キロの製造に係るCO2排出量が三・四キログラム以下のものを対象とする、こうした形で審議会において有識者の方々に御議論をいただいております。

 先ほども御答弁申し上げましたが、国際的には、水素に関して、例えば、米国のインフレ抑制法案における基準は一キログラム当たり四キロ、EUのRED2における基準は三・四キログラムのCO2排出量などと示されておりますので、各燃料における国際的な議論の動向を踏まえながら、国際的に遜色のない水準を設定していきたいと考えてございます。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 この法案で価格差に着目した支援を行っていくということでありますが、この支援期間をどれぐらいで考えておられているのか、また、その妥当性についても御説明をいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 水素社会推進法案で措置いただきます価格差支援につきましては、現状、十五年間の支援期間を考えてございます。

 この十五年間の理由でございますけれども、水素等のサプライチェーン構築には供給事業者の投資予見可能性の確保が必要でございまして、例えば、船であるとかタンクであるといった主たる資産の耐用年数の間の事業継続が少なくとも求められる。こうしたものにつきましては十五年間という耐用年数がございますので、我が国では十五年間を考えているというところでございますが、国際的に見ましても、英国では価格差に着目した支援を同様に講じつつありますが、十五年を投資回収期間として一律に想定し、供給開始から十五年間にわたる支援を予定しております。

 なお、支援対象案件には、支援終了後、経済的な自立が見込まれることを支援の要件にしようと考えておりまして、これを担保する観点から、十五年の終了後、更に十年間の供給を継続することを求めていきたいと考えてございます。加えまして、様々な事業が進むに伴い生じるコストオーバーラン等のリスクにつきましては、事業者が制御すべき事象として、事業者に負担いただく制度にする。

 こうした形で支援に規律を持たせて、自立化に向けた事業者の努力を促す制度にしていきたいと考えてございます。

鈴木(隼)委員 次に、水素社会推進法案について、最後の質問をさせていただこうと思います。

 水素社会の実現のためには、安全確保が大前提であります。保安関係のルールの整備が必要でありますが、本法案における水素保安の特例措置の目的や意義について教えてください。

殿木政府参考人 いわゆる水素社会推進法案における水素保安の特例措置の目的や意義についてのお尋ねでございますが、御指摘のとおり、水素の供給及び利用の拡大に当たっては、安全確保を大前提としつつ、水素保安をめぐる環境の変化や課題に応じたルールの整備を進めていくことが必要だというふうに考えているところでございます。

 本法案の保安に関する措置は、高圧ガス保安法の特例として、低炭素水素等の供給及び利用についての認定計画に基づく設備等に対しては、一定期間、都道府県知事に代わり、高圧ガス保安法における製造施設等の技術基準を策定するなど、科学的、技術的知見を有する国が一元的に保安確保のための許可や検査等に当たる行為を行うことを可能とするものでございます。

 これにより、低炭素水素等の供給及び利用についての計画認定を受けた事業者は、高圧ガス保安法に係る手続が迅速化され、我が国における低炭素水素等の利用及び供給の促進に資するものと考えているところでございます。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 次に、CCS法案について質疑をさせていただきます。

 この法案の目的や意義について、まずは教えてください。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 カーボンニュートラルの実現に向けては、産業や発電の脱炭素化、低炭素水素の製造などの分野においてCCSの導入が想定されておりますが、CCS事業を規制する包括的な法律が現在はないのが現状でございます。このため、昨年七月に閣議決定されましたGX推進戦略において、二〇三〇年までのCCS事業開始に向けて制度的措置を整備するというふうにされているところでございます。

 これを踏まえまして、CCS事業法案においては、事業に必要な許可制度や事業規制、保安規制などの措置を講ずることとしておりまして、こうした措置を通じてCO2の安定的な貯留やCCS事業の適切な運営を確保していく、これがこの法案の目的でございます。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 CCSではどういったメカニズムでCO2を貯留をしていくのか、この辺り、安全性の観点も含めて、是非国民の皆さんに知っていただきたいと思いますので、答弁をお願いします。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 CCSにおきましては、CO2は、地下約千メートルから三千メートルに存在する砂岩層の隙間に貯留されることになります。また、貯留したCO2は浮力で浮上するため、蓋の役割を果たす遮蔽層が砂岩層の上に存在する必要がございます。この組合せがある地層がCCSの候補地となります。

 こうした貯留の適地においては、CO2は、以下に申し上げるような複数のメカニズムによりまして、永続的かつ安定的に貯留されることが可能であるとされております。

 具体的には、貯留されましたCO2は、時間の経過とともに、第一に、遮蔽層が蓋として作用することによる地下構造による閉じ込め、第二に、砂岩層の隙間に保持されることによる閉じ込め、第三に、地層水への溶解、溶け出しによる閉じ込めが進んでまいります。さらに第四に、長期的には、CO2の溶解した地層水が岩石鉱物と化学反応を起こし、一部が鉱物化されて固定されていくというメカニズムが知られてございます。

 安全性に関しての御指摘もありましたが、一般的には、CO2を注入している時期が最も漏えいのリスクが高いと言われておりまして、注入が終了した後、時間の経過とともに、徐々に地下の圧力が下がるほか、貯留の状態が安定化してまいりまして、漏えい等のリスクも低下していくものと承知してございます。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 ここで、CCSの推進について、世界各国の動向について御答弁をいただければと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十二月に開催されたCOP28の合意文書におきましては、CCSは排出削減が困難なセクターにおける解決策の一つとして明記されているところでございます。

 また、欧州や米国では、既に二〇一〇年頃に、民間事業者がCCS事業を実施するための環境整備の一環として、貯留層を利用する権利や事業者の責任範囲などを定めた法制度が整備されたところでございます。加えまして、近年では、予算や税制などCCS事業に対する様々な導入支援措置が構築されているところでございまして、欧米では、CCSの本格的な導入に向けた更なる環境整備が進んでいるところでございます。

 これらの結果、二〇三〇年までの操業が計画される貯留量は、世界で、二〇二三年時点で操業中の貯留量の約四十倍、具体的には、二〇二三年時点が約〇・一億トンでありますのが、三〇年に向けては約三・九ないし四・一億トンに増加するということが見込まれておりまして、これに伴い、貯留適地の確保あるいは事業モデルの構築をめぐる国際的な競争も始まっているところでございます。

 我が国におきましても、こうした世界の動向を踏まえて、CCS事業開始に向けての事業環境の整備を積極的に進めていきたいと考えてございます。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 このCCSを導入することによって、雇用とか経済とか、これにどういう影響というか効果が見込まれるのか、その見通しについても御答弁をお願いいたします。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十二月にまとまりましたGX分野別投資戦略におきましては、第一に、先進的なCCS事業を二〇三〇年までに開始させるべく、我が国におけるCCS事業環境整備とビジネスモデル構築を進めること、第二に、日本からのCO2の輸出を前提とした海外でのCCS事業を推進すること、第三に、CO2の分離・回収プラント、液化輸送船、トータルエンジニアリングなどCCSのバリューチェーンにおける産業競争力を強化すること、これらを通じて、CCS分野における今後十年程度の国内排出削減を約四千万トン、官民投資額を四兆円以上とすることを目標としてございます。

 また、CCSは、カーボンニュートラルを達成する上で、産業や発電の脱炭素化、低炭素水素の製造などの分野でCO2排出を抑制していくための重要なインフラとも言える手段でございます。このため、こうした産業が立地する地域の近隣でCCS事業を行うことで、地域の産業や雇用の維持発展にも寄与することが期待されております。

 さらに、CO2の分離・回収、輸送、貯留などのCCS事業に関連する産業、あるいは分離・回収したCO2を使って化学品、コンクリートの原料や合成燃料などを生産する産業の進出などを通じて、新たな事業、雇用の創出の可能性もあるというふうに承知してございます。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 このCCSの分野において、日本の強みという観点ではどうなのか、その辺りでも答弁をお願いします。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 日本企業は、CCSのバリューチェーンである分離・回収、輸送、貯留の各段階におきまして知見、経験を有しておりまして、日本企業で分離・回収から貯留までの一貫したCCSシステムの構築が可能と考えております。

 例えば、分離・回収においては、主流であります化学吸収法で日本企業が世界シェア七割を持ち、輸送においても、より大量かつ効率的に輸送できる低温低圧方式の液化CO2輸送船を世界で初めて建造するなど、他国からも関心が寄せられているところでございます。

 我が国が優位性を持つ技術を活用し、今後拡大が見込まれる諸外国のCCS事業の立ち上げを支援することは、国際貢献に加えて、我が国の国際競争力強化あるいは成長戦略の観点からも効果が大きいものというふうに考えてございます。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 次に、このCCSを導入する地域では、場合によっては安全面から見た不安の声というものも出てくるのかもしれません。こういった不安の声にどのようにコミュニケーションを取っていくおつもりなのか、その辺りについてお考えをお聞かせください。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、CCS事業は、貯留を行う地域の方々の理解をしっかりと得ながら進めていくことが極めて重要と考えてございます。

 CCS事業法案では、貯留事業を許可する際に都道府県知事との協議や利害関係を有する方からの意見の受付などの措置を盛り込んでおりまして、こうしたプロセスを通じて、貯留地に関係する住民の方々、あるいは漁業者などの事業を営まれている方の意見を踏まえることとしてございます。

 その上で、事業者には、地元の自治体や利害関係を有する事業者、住民の皆様などに対して丁寧な説明を行うなど、理解を得るための取組を行うことを求めてまいります。

 また、国としても、関係する地元自治体、事業者などと連携して、CCSの政策的な意義や最新の知見、これは安全性についても含みますけれども、などについて丁寧に説明していきます。加えて、広く国民の理解を得る観点から、国主導により地域ごとに説明会を開催するなどして、科学的な根拠に基づく安全性など、CCSに関する情報発信にもしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。

鈴木(隼)委員 終わります。ありがとうございました。

岡本委員長 次に、中川貴元さん。

中川(貴)委員 自由民主党の中川貴元でございます。

 今日は、質問をさせていただく機会をいただきまして、委員長、どうもありがとうございます。

 まずは、水素社会推進法案について質問をさせていただきたいと思いますが、その前に、少しこれまでの背景等について触れさせていただきたいと思います。

 今回の水素社会推進法案は、脱炭素社会、エネルギー安定供給の実現へのアプローチであると同時に、我が国水素関連産業の進歩を促し、そして、そのことによって産業全体の国際競争力をも高めていく、左右するという点において、その成果は今後問われていくことになるであろうと思います。そういう意味で、極めて重要な法案であるというふうに認識をしています。

 二〇五〇年までの二十六年間というこれからの時間の中で、世界全体がエネルギーの転換を図っていく、それは、日本の産業の在り方や、あるいは生産環境の在り方までもが変わっていくということであろうかとも思います。

 二〇二〇年十月、菅前総理がカーボンニュートラルの宣言をされました。私は、とても衝撃的に受け止めました。といいますのも、私は、京都議定書後の二〇一〇年に私の地元名古屋で開催されましたCOP10、この誘致活動など、地元の市会議員として関わらせていただいておりましたので、当時のこの環境問題への取組から比べますと、本当に、このカーボンニュートラルの宣言というのは、政治の力といいますか、政治で決断をしていくことのすごさをその当時感じたわけでございます。

 この宣言に至るには、今日ここにいらっしゃいます多くの先輩議員の皆さんや、あるいは省庁の皆さんの御努力もあったかというふうに存じます。この宣言は、カーボンニュートラルの賛成派の皆さんも、あるいは消極的な皆さんも、好むと好まざるにかかわらず、これからはみんなで前に進むんだという国家としての意思が示された、そういう瞬間でもあったのかなというふうに思います。アメリカ、中国、あるいは欧州連合など、様々各国の動きがある中で、世界の潮流を受け止めてグローバル市場で戦っていくには、カーボンニュートラルにチャレンジすることが国益につながるんだという姿勢を国民の皆さんに示されたわけであります。

 さて、カーボンニュートラルを達成するためには水素の導入も大きな鍵を握る一つであるという点においては、この点については多くの皆さんも共通認識だというふうに思っています。しかし、水素を導入していくには、いかんせんコストが高い。これが大きなネックの一つで、既存燃料の最大十二倍にも相当すると言われています。本法案は、この価格差をいかに縮めていくのか、価格差を縮めていくための拠点整備をいかに図っていくかが大きな論点の一つでもあろうかと思います。

 GXに充てられる予算の財源となる政府が発行するGX経済移行債、十年で二十兆円規模だと伺っています。

 そこで質問させていただきたいと思いますが、まずこのGX経済移行債、十年二十兆円で何を実現をしていくおつもりでいらっしゃるのか、そしてまた、この二十兆円はGX全体の予算規模だと思いますが、このうちどの程度が、幾ら分が水素に振り向けられていくのか、グローバル市場で戦っていくに十分な金額になっているのかどうか、まずはこの辺りをお聞かせをいただきたいと思います。

小林政府参考人 お答えさせていただきます。

 政府が掲げるGXの取組は、エネルギー安定供給を確保するとともに、二〇五〇年カーボンニュートラル等の国際公約と、産業競争力強化そして経済成長を同時に実現していく取組でございます。この取組を具体化するために、昨年GX推進法で法定化した成長志向型カーボンプライシング構想によって、足下から企業のGX投資を強力に喚起してまいります。

 そのため、企業がGXに取り組む期間を設け、当初低い負担から徐々に引き上げていく方針をあらかじめ明確にした上でカーボンプライシングを導入するとともに、GX経済移行債を活用し、規制、制度的措置と併せて十年間で二十兆円規模の大胆な先行投資支援を行うことで百五十兆円超の官民GX投資を実現し、これを通じまして、エネルギー安定供給、脱炭素、経済成長の同時実現を目指してまいります。

 こうしたGX実現に向けた取組を、国内投資促進だけではなくて、世界の排出削減への貢献に伴う関連ビジネスの拡大などを通じまして、我が国が再び成長軌道に乗る大きな契機としていきたいというふうに考えてございます。

 また、水素でございますが、GX経済移行債を活用した先行投資支援の二十兆円の配分につきましては、昨年末に、国による長期、複数年度にわたるコミットメントを示して、そして、投資予見性を高めるという観点から、専門家会合やGX実行会議での議論も踏まえまして、十六の分野で分野別投資戦略を取りまとめ、それに基づいて、プロジェクトの成熟度に応じて、長期にわたる国による支援規模の見通しを示させていただいたところでございます。

 GX移行債を活用した支援策については、民間企業のみでは投資判断が真に困難な事業を対象とし、産業競争力強化、そして経済成長及び排出削減のいずれの実現にも貢献し、その市場規模、削減規模の大きさ等を踏まえて優先づけを行い、行動変容に向けて規制、制度面の措置と一体的に措置するということで、投資促進策の基本原則等に照らしまして具体化していくものでございます。

 御指摘の水素分野については、価格差に着目した支援策の総額として、十五年間で三兆円規模を見込んでおります。

中川(貴)委員 今御答弁いただきましたが、大胆に対応していくんだ、一方で、最後、十五年間で水素関連は三兆円だと。十五年で三兆円ということは、一年にしますと大したことないなというのが率直な実感であります。何か、国家プロジェクトという割には少し寂しい気もするわけですが。

 この三兆円は、十五年間で均等割で考えていらっしゃるのか。私は、今聞いていて、均等割じゃなくて、やはり、適切な投資だと判断できる、そういう場合には、十五年で割るということではなくて、適宜、必要な場合、あるいは適切だと判断できる場合には投資をしていくべきだと考えますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 支援対象とするプロジェクトの選定に当たりましては、政策的重要性と事業完遂の見込みの観点から評価項目を設定しまして、総合評価を行った上で順次採択を行うということを考えてございます。

 このため、委員御指摘の、年間の予算額を均等割で決めて、その範囲内でだけ支援を行うというものではございません。まずは、先行的で自立可能なプロジェクトを具体的に立ち上げることが重要と考えてございまして、三兆円、有効活用していくことで進めていきたいと考えてございます。

 案件選定前の現時点で追加的な予算が必要となることは想定しておりませんけれども、各国の投資動向や国際市場の状況なども見極めつつ、自立した水素等の市場形成に必要な措置については今後検討してまいりたいと考えてございます。

中川(貴)委員 ありがとうございます。

 ところで、価格差支援それから拠点整備支援、これらの公募をこれからしていくわけですが、これらの公募、いつからスタートさせるのか、そして、採択までのスケジュール感、これをどのように考えていらっしゃるのかをお答えをいただきたい。それから、あわせて、今、どの程度の公募数を見込んでいらっしゃるのか、これまでヒアリング等々やられていると思いますので、この点についてもお答えをいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御審議いただいております水素社会推進法案は、公布の日から六か月以内に施行する旨を規定しております。本国会で仮に成立、公布となった場合には、今年夏頃をめどに申請の受付を開始できるように準備を進めてまいりたいと考えてございます。

 また、申請受付の開始後、一定の申請受付期間を設けるとともに、案件の評価に際しては、エネルギーあるいはGX政策、こうした政策の重要性と併せて、事業完遂の観点でも、専門的知見を有する第三者の意見もしっかり聴取して国が評価を行っていきたいと考えてございまして、採択可能な状態となったものから順次、今年内の案件採択の開始を目指して進めていきたいというふうに考えてございます。

 また、御質問ございました現時点での状況ということでございますけれども、現時点で申請される計画数を正確に見込むことは困難でございますが、価格差に着目した支援あるいは拠点整備支援については、現状までで、合わせて約八十件近い御相談を現状ではいただいております。

中川(貴)委員 ありがとうございました。

 今御答弁をいただきまして、八十件のやり取りが現時点である、こういうことでございましたが、先ほど十五年で三兆円と言われましたけれども、この予算で対応し切れるというふうにお考えでいらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。

 それから、これも確認をさせていただきたいですが、この公募についてでありますが、これは何年間公募されるのか。今年限りで終わるのか、あるいは数か年の公募なのか、あるいは、適切にといいますか、何年かに一回公募をしていくのか、この辺りの公募のやり方についてお伺いをしたいと思います。

 そして、この公募は、最初に、今質問もしましたが、先ほどの予算で足りるのかという点なんですが、この三兆円に合わせてその公募をやっていく、そういうことではないと思いますが、そういうことでよいのかどうなのかも併せてお答えをいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 三兆円で足りるのかという点につきましては、まず、この法案を御審議いただいた上で、先ほど申し上げた具体的な計画を正式にお出しいただくプロセスを踏まえて、その中で、どのようなものを優先的に採択していくのか、できれば年内から採択は開始していきたいと考えてございますが、それが、いつまでに採択が終わり切るのかというところは、現状、まだ見通しができないということでございます。

 その理由は、国内で造る比較的中規模なものに加えまして海外で検討されている大規模なものもございまして、それぞれ、エネルギーの安全保障の観点、SプラススリーEの観点、加えて、これでどれだけ日本の企業に成長していただくかというGXの観点からも、最もいいものから採択をしていこうと考えているものですから、計画がしっかり出てきたところで状況が見極められるのかなというふうに考えてございます。

 公募、まずはこのプロセスをしっかりやった上で、その後どのような取組を行うかはしっかりと検討を進めていきたい、かように考えてございます。

中川(貴)委員 ありがとうございます。

 次に、少し拠点整備についてお尋ねをしたいと思います。

 政府は、今後十年間で、今少し御答弁もあったかと思いますが、大規模拠点三か所程度、そして中規模拠点五か所程度、整備をしていくこととしていらっしゃいます。まず、この箇所数の根拠について教えていただきたいです。

 それから、十年間の予算の範囲内で拠点整備をやろうとすると、この程度の数、大規模三か所、中規模五か所、この拠点数が妥当な数字ということになるんでしょうか。あるいは、本当はもっと国内においてこの拠点の整備をしていく、そういう意思があるのかどうか、この点についても触れながら御答弁をいただきたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘がありました、大都市圏を中心に大規模拠点を三か所程度、それから、相当程度の需要集積が見込まれる地域ごとに中規模拠点を五か所程度整備、これは昨年六月にお示しした水素基本戦略で掲げられている考え方でございます。

 この根拠でございますけれども、やはり、国際競争力ある産業集積を促しながら、水素などの大規模な需要創出と効率的なサプライチェーン構築を実現していくためには、全国的な見地からの最適配置を踏まえた、ある程度の適切な集約が必要であろうとの観点で定めたものでございます。製鉄所や石油化学コンビナートなどといった転換困難な既存産業が集積する地域のおおよその数も参考といたしまして、有識者の意見も踏まえて定めたものでございます。決して予算ありきでこういうことを定めたものではなくて、今後の、今申し上げたような考え方を実現していく上での望ましい拠点の目安ということで定めたものでございます。

 拠点に位置づけられない地域につきましても、拠点とハブ・アンド・スポークという形で結んでいくことを通じて、広範囲での低炭素水素等の需要創出を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

中川(貴)委員 ありがとうございました。

 もう一点、拠点についてですが、拠点として想定されているのがコンビナートや海上輸送に便利な港湾部という話も聞き及んでおりますけれども、例えば私の地元愛知ですが、内陸部にも実は製造業をたくさん抱えています。そうした地域の工場の脱炭素化を後押しすることも、とてもこれも重要なことだというふうに思っていますが、こうした内陸部についても拠点整備の支援の対象となるのか、含まれるのか、この点についても併せてお願いします。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 この拠点整備支援におきましては、水素等の大規模な需要創出と効率的なサプライチェーン構築を目的として、低炭素水素等の大規模利用に資する共用インフラであることなどを要件としまして、タンクやパイプラインなどの貯蔵や輸送のための設備に対して支援を行うことを想定しているところでございます。

 この支援の対象は港湾部に限定しておりませんで、経済合理性等の基準を満たすのであれば、内陸部についても支援の対象になり得るというふうに考えてございます。

 御地元の愛知県におかれましても、地域と企業が一体になって精力的に低炭素水素利用等の検討が進められているというふうに伺っておりまして、広範囲での需要創出につながるようなプロジェクトへと発展していくことを期待しているところでございます。

中川(貴)委員 ありがとうございました。

 ここまでいろいろ御答弁をいただきましたが、今日、同じ愛知で同期の石井拓政務官にお越しをいただいておりますので、少しお答えをいただきたいと思います。

 政務官、今、世界は、国の盛衰をかけてグローバル競争に挑んでいるところであります。一方で、実はいろいろな動きもある。例えば、アメリカ大統領選の結果いかんによっては、パリ協定からの離脱の可能性もあるやにも聞きます。あるいは、各国の選挙結果による影響もあるかもしれません。そして、海外の一部自動車メーカーでは、二〇三〇年完全EV化の撤回なども先日あったばかりであります。

 こうしたエネルギー問題、あるいはエネルギーの関連産業の動きというのは実に読みづらい。二十六年先はもっと読みづらい。しかし、その道中は山あり谷ありかもしれませんが、私たちは、こうした世界の動きに敏感であったり、あるいは柔軟であったり、そういうことも必要だと思いますが、しかし基本線はぶれてはいけないんだというふうに思っています。

 そういう中において、今るる答弁をいただいてまいりましたけれども、やはり我が国が、エネルギー施策、そして経済成長、こうしたものをしっかりと進めていくんだという思いの中で、国家の意思を具現化するんだ、そういう強い意思を持って、本法案、これは法律が可決されるのが目的ではなく、その後どう運用していくか、これがとても大切だと思いますので、その辺の決意を政務官からお答えをいただきたいと思います。

石井大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 委員の御指摘のとおりであり、世界の状況も様々で、また、変わっていく可能性もある中で、日本のカーボンニュートラル、そして工業大国である日本のカーボンニュートラルをいかに進めていくかということがやはりぶれないように、おっしゃるとおりだと思います。

 カーボンニュートラルを実現するために、鉄鋼や化学、商用車といった脱炭素が難しい分野もございます。低炭素水素などの利用を促進することがまず重要である。

 発電分野においては、火力発電、国内でも多くございます、それの脱炭素化を進めるために、水素は重要なエネルギーとなります。このために、水素社会推進法案において措置する既存原燃料との価格差に着目した支援などを通じて、脱炭素水素などの大規模かつ強靱なサプライチェーンを創出し、拡大してまいりたい、そう思います。

 価格差に着目した支援については、先ほどからの委員の質問にもありましたとおり、GX経済移行債を活用して、十五年間で約三兆円の規模と見込んでおります。それ以上のことについては、もちろん拡大していく必要があれば拡大していくことにもなりますし、まずはこの予算でやっていこうと。

 この予算額は、諸外国や市場の動向、企業との議論などを通じて必要と見込まれる現時点の見通しであります。案件選定前の現段階では追加の予算が必要となることは想定していませんけれども、今後の支援の在り方については必要な検討をしてまいりたいと存じます。

 また、電力、ガス、燃料、産業、運輸などの各分野における低炭素水素などの新たな市場の創出、利用拡大に向けた議論や、グリーンイノベーション基金を活用した発電分野における混焼技術の開発も進めていきます。

 カーボンニュートラルの実現に向けて、低炭素水素の供給と利用をしっかりと後押ししていく、このように思っております。

 この法案が成立した場合には、やはり、今まで言われたとおり、水素というのはどうやって受け入れることができるのかと。工場の中で、もう使う技術はあるんですよ。だけれども、水素は来ないでしょう。こんな議論については、この法案が成立した後は、力強く大きく第一歩が踏み込める、そう思っております。何とぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。

中川(貴)委員 政務官、熱い思いをどうもありがとうございました。

 本当は、CCS等、まだ質問をさせていただく予定でございましたけれども、政務官の熱い思いを聞いたところで、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。(石井大臣政務官「委員長、訂正があります」と呼ぶ)

石井大臣政務官 ごめんなさい。訂正をさせていただきます。

 先ほど私の答弁の中で……(発言する者あり)はい、言い過ぎまして、脱炭素水素などの大規模かつ強靱なサプライチェーンと申し上げたんですが、低炭素水素などの大規模かつ強靱なサプライチェーンということで、訂正させていただきます。

 大変申し訳ありませんでした。

岡本委員長 次に、中野洋昌さん。

中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。

 早速、通告に従いまして質問をさせていただきます。

 本日は、水素社会推進法案、またCCS事業法案ということでございます。私は、まず冒頭、水素社会推進法案の方から質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 日本は世界で初めて水素の国家戦略を作るなど、水素の活用については、やはり世界に先駆けてしっかりやっていくんだというふうな決意を今までもしてきたと思います。

 私も地元が兵庫県でございますけれども、水素関係のいろいろな先進的な取組というのも、今まで党の経済産業部会でも視察をさせていただきました。

 例えば、水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」、私、経済産業大臣政務官のときには進水式にも行かせていただきましたけれども、これも日本が先駆けてこういう技術を開発をしてきたということもあります。それを実際に燃焼させるような試験も兵庫県内でも行わせていただいておりますし、商用水素ステーション、これも一番最初の第一号が実は私の地元の尼崎市でございまして、こういう水素社会をしっかり実現をするための取組というのをやってきたんだというふうに思います。

 この水素というのは、一つは、やはりカーボンニュートラルに向けてということで、まさに次世代エネルギー、これでカーボンニュートラルをしっかり前に進めていくんだ、こういうこともございますし、また同時に、これは大事な日本の成長戦略でもあるというふうに思っております。ですから、やはり世界に先駆けたいろいろな取組をしていこう、こういうことをやってきたんだというふうに思います。

 他方で、やはり今、世界を見ますと、様々な国で水素の活用については具体的な動きが始まっている。そして、水素の活用に向けたいろいろな支援というものも、もうまさに始まっている。各国がこういう取組を進めてきた、こういう状況でありますので、まず冒頭は総論になりますけれども、今日、吉田政務官にも来ていただいておりますので、日本の今までやってきた水素関連の技術、こうした国際競争力、こういう点からもこれをどう今評価をして、そしてこれから水素の普及に向けてどういう取組をしていくのかというところを、まず冒頭、答弁いただきたいと思います。

吉田大臣政務官 お答え申し上げます。

 我が国は、水素などのサプライチェーン全般において日本の技術や製品が採用をされるなど、世界で高い競争力を持つ技術、これを有していると認識をしております。

 例えば、生産技術では、水素の製造効率を左右する水電解装置に用いる膜でございますが、これが世界トップクラスのメーカーから評価をされ、採用が検討されていると認識をしております。また、委員も触れられましたけれども、海上輸送技術では、アンモニアを介することなく水素のまま効率よく輸送をする液化水素技術は、日本が世界で初めて実用化をしたところでございます。

 こうした技術的競争力を維持強化するためには、製品の量産化などを進め、スピーディーに市場に製品、サービスを投入をしますとともに、先行的で自立が見込まれるサプライチェーンの構築による水素市場の拡大を両輪で進めていくことが必要でございます。

 このため、水素電解装置も対象にした、五年間で四千二百億円超のGXサプライチェーン構築支援事業の中で、産業競争力を持つ水電解装置やその部素材等に対する大規模かつ迅速な投資を予定している事業者の皆さんもしっかり後押しをしていくところでございます。

 さらに、水素社会推進法案におきまして、日本の技術を取り込んだ大規模かつ強靱なサプライチェーンの形成を進め、鉄や化学等の脱炭素化が難しい分野のGXを進めてまいります。

中野(洋)委員 先ほどの御答弁をいただきました。GX基金でこういう先進的な技術等も含めた支援をしているという一つの柱と、もう一つ、水素社会推進法案でサプライチェーンをつくっていく、こういう、二つしっかり柱を立ててやっていくということを明確に答弁いただいたと思います。

 ちょっとまず、その基本的なところの確認なんですけれども、このサプライチェーンの構築というのがまさに水素社会推進法案の目指すべきところだと思いますけれども、この法案を作って、いろいろな基本方針をまた作って、これを推進するということであります。

 今まで、水素の国家戦略であります水素基本戦略、これが既にありまして、全体の今後の水素の利活用の目標をどう考えているのかというのと、さらに、その中での本法案の位置づけ、そして本法案の目指すもの、これについて政府参考人の方から答弁いただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の水素基本戦略で、現状年間二百万トン作られているあるいは利用されている水素につきまして、二〇三〇年に最大年間三百万トン、二〇五〇年には年間二千万トン程度に拡大するということを目指しておりまして、また最大の課題でありますコストにつきましては、二〇三〇年に一ノルマル立米当たり三十円、二〇五〇年に一ノルマル立米当たり二十円まで下げて、化石燃料と匹敵するレベルにしていきたいというものを目標として掲げてございます。

 御指摘のとおり、グリーンイノベーション基金での技術開発を進めてまいりましたし、これからも進めてまいりますけれども、本法案におきまして規制、支援一体型の制度を整備して、今まではできませんでした化石燃料と水素などの価格差に着目した支援あるいは拠点整備支援といったようなものを大胆に、一定の地域を念頭に、しっかりとした計画を国も前面に立って作り上げる中で、特に優先順位の高いものから認定して支援をしていくということを進めることで、低炭素水素の供給と様々な利用につきまして幅広く支援を拡大していきたい、それによって基本戦略の目標を実現していきたいというふうに考えてございます。

中野(洋)委員 今後の目標と法案においてどういうことを目指していくのかということを確認をさせていただきました。

 先ほど来ちょっと重複する議論もありますが、法案の具体の中身の確認を更にさせていただければと思っておるんですけれども、冒頭、低炭素水素等ということで供給するものが定義をされておりますので、この水素の定義に関連して質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど来も議論もございましたけれども、国際的にも今まで、再エネ由来のグリーン水素を推進すべきだであるとか、ブルー水素はどうなんだみたいな、いろいろな水素、色づけの議論が今までずっとありまして、どういうものを推進をするのかというのが非常にいろいろな議論があったというふうなことは承知をしております。この水素をめぐるこうした何を推進すべきなのかという、国際的にどういう議論になっているのかということを是非教えていただきたいと思います。

 あわせて、今回の低炭素水素の定義をどうしていくのか、それはこうした国際的な議論の中で評価に堪え得るものなのか、日本がこれを推進したとしても、日本の推進している水素は、これは駄目だ、そういう国際評価になってしまってはやはりいけないというふうに思いますので、こうしたところを併せて御答弁をいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 国際的に、これから進めていく水素については、いずれもCO2排出量が少ない方がいいということは皆同じことを考えておりますが、一方で、水素経済が立ち上がっていく中なので、コストも考えないといかぬよねという議論が多うございます。そういう中で、一部の国では、やはり製造方法に着目して、再生可能エネルギーによるグリーン水素だけやったらいいんじゃないかというお考えの国もございます。

 我が国といたしましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、製造方法じゃなくて、そのプロセスでどれだけCO2が出るのかという基準、炭素集約度というもので見るべきだと考えておりまして、G7広島サミットのプロセスで問題提起し、首脳コミュニケにおいても支持をいただいたという状況でございます。

 こうした状況でございますが、G7以外の国々について完全な合意が成立しているわけではございません。ただ、主要な流れとしては炭素集約度ということだと考えておりまして、今回の法案でも、炭素集約度を用いて、先ほど御指摘申し上げました、水素一キログラムの製造に係るCO2排出量が三・四キログラム以下のものというものを審議会で御議論いただいております。

 アメリカのインフレ抑制法案あるいはEUのRED2に比較しましても遜色のない水準と考えておりまして、引き続き、国際的な動向には注視してまいりますが、専門家の皆様にも議論を深めていただきたいと考えてございます。

中野(洋)委員 これから定義の議論は省令等でも決めていくことになるかと思いますけれども、基本的な考え方、炭素集約度とアメリカやEUに比べても遜色のない水準のものをやっていくという考え方を確認をさせていただきました。

 低炭素水素等ということで、ほかにも様々なものも支援をしていくという考えだと聞いております。例えば、アンモニアであるとか、あるいは合成燃料、合成メタン、こういうものも含めてやっていくということで。

 少し各論でありますけれども、特に水素をしっかりやっていくというところでかなり前には出ておりますけれども、例えば合成燃料、e―フュエルみたいなものについては、今までも、既存の内燃機関や既存のインフラがそのまま使えるんじゃないか、こういう御期待もありまして、実用化に向けてやはり開発をこれはしっかり進めていくべきだ、こういうお声もいただいております。

 この合成燃料、e―フュエルの今後の進め方ということで、併せて答弁をいただきたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 合成燃料、e―フュエルは、水素と、そして発電所や工場などから回収する二酸化炭素を活用して製造されるカーボンニュートラルに資する燃料でございます。

 御指摘のとおり、既存の内燃機関や燃料インフラが活用できることに加えまして、化石燃料と同等の高いエネルギー密度を有しているということがメリットでございまして、二〇三〇年代前半までの商用化を目標に掲げてございます。

 これを達成するために、例えば、グリーンイノベーション基金において総額約五百五十億円の予算によって進めておりますe―フュエルの大規模かつ高効率な製造プロセスの開発を更に加速化させるための事業内容について、現在、事業者を含む関係者と検討を進めているところでございます。

 また、NEDOを通じて、大学や石油元売などが参加する、コストの低減を目指した次世代型のe―フュエル製造技術の開発も行っております。

 加えて、自国生産のみならず、日本企業の海外プロジェクトへの参画を後押しすることで、早期のノウハウ獲得を促していく、こういう取組も進めているところでございます。

 引き続き、合成燃料の早期商用化に向けてしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 あわせて、アンモニアの活用についても確認をさせてください。

 先ほども少し議論ありましたけれども、アンモニア、特に混焼で発電をするというふうな取組が想定をされますけれども、他方で、常に、このアンモニアの火力の混焼については、既存の火力を延命させるだけではないか、こういう批判も他方であるということも認識をしております。

 私も、混焼だけで終わっては意味がない、これは最後はアンモニア専焼とか、やはりカーボンニュートラルを目指した取組であるべきだ、こういうふうには考えておりますけれども、こうした点について政府はどう考えているのかというのを御答弁いただければと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございまして、先ほど齋藤大臣からも御答弁ありましたけれども、ベストミックスが大事で、火力発電にも一定の重要性がある。

 したがいまして、石炭火力につきましては、非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めるとともに、アンモニア混焼等によって脱炭素化を進めていく、そういう中にありまして、まずは混焼から導入いたしますが、今までも技術開発を進めてまいりましたので、石炭火力ではなくて専焼という形でのアンモニアの活用といったようなものも目指していきたいと考えてございます。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 法案のもう少し詳しい中身を確認させていただければと思います。

 本法案では、この具体的なサプライチェーンをしっかりと強靱化をしていくという中で、低炭素水素等供給等事業計画、まず計画を立てるということで、それの認定を具体的に受ける、これによって初めていろいろな支援が出てくる、こういうふうな構成になっているというふうに理解をしています。

 どういう計画が認定されるのかということが非常に大事だというふうに思っておりまして、特に今回は、価格差に着目した、水素の価格そのものに対して支援をするということでありますので、これはかなり戦略的にいろいろなものを認定していかないといけないんだろうというふうには思っておりますけれども、他方で、法律の中では、これが我が国の国際競争力の強化に相当程度寄与するという、条文としてはやや抽象的な条文にもなっておりまして、具体的な中身が分からないというところがあります。

 ですので、ちょっと、法案審議の中で、認定基準として、やはり具体的にどういうものを認定していくのかというところをもう少し明確にしておく必要があるというふうに思っておりますけれども、これも政府参考人の方から、この認定基準の具体的な、もう少し詳しい考え方というふうなことを御説明を是非いただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の計画の認定基準といたしましては、SプラススリーEを前提に、GXの実現に資するプロジェクトであるとともに、将来的に自立することを求める、こういう観点から、一つには、鉄、化学といった代替技術が少なく転換困難な分野、用途にも供給されること、それから二つ目は、国際的な算定ルールと整合的な考えの下、国内の排出削減に資するプロジェクトであること、三つ目は、二〇三〇年度までに供給開始が見込まれ、支援期間終了後、十年間の供給を継続すること、四つ目は、国内外で新たな関連事業を予定していることなどといった点を必須条件という形にいたしまして、第一段階の条件としたいという方向で専門家の審議会でも御議論いただいてきております。

 その上で、こうした必須条件に加えまして、SプラススリーEであるとか、産業競争力強化、経済成長への貢献といった政策的重要性と、オフテイカーの確実性、工事計画、資金計画等の妥当性等の事業完遂の見込み、こういう観点から評価項目を設定しまして、総合評価により支援対象とするプロジェクトの選定を行うことを検討いたしております。

中野(洋)委員 ありがとうございます。少し具体的に説明をしていただきましたので、少しイメージが湧いてきたというふうに思います。

 必須条件で、やはり、ある程度こうした日本にとって重要な条件というものをしっかり設定をしていただいた上で、最終的には、総合評価ということで、いろいろな、政策的な、先ほどありました重要性ですとか、あるいは事業性のようなところも含めて総合的に評価をしていくということだというふうに理解をいたしました。

 具体的な支援の内容についても少し御説明をいただきたいというふうに思います。

 法律を見ますと、一つは価格差に着目した支援ということで、これは水素と恐らく既存の代替のエネルギー、ここの値段の差ということになるのかなというふうには思っておりますけれども、それと含めて拠点の整備支援というものを併せてやっていくんだというふうに御説明を今までしていただいておりました。

 ただ、いろいろ考えると、例えば、水素のサプライチェーンというと水素の製造、製造をどこかで、国内かもしれないし海外かもしれないんですが、製造という段階もあるし、それを運搬をする、途中で船なのかパイプラインなのかあれですけれども、そういう運搬をするということもありますし、実際に使う拠点の整備といっても、実際にそれを供給する設備もあれば、本当に使っているそれぞれの皆さんのプラントみたいなところもあったりですとか、いろいろな施設があるというふうに思います。

 この価格差着目支援というのと拠点整備支援という二つであるということであるんですけれども、それぞれ何に対して具体的に補助していくのかというところをもう少し具体的に御説明いただければと思うんですけれども、いかがでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 価格差に着目した支援では、まず、低炭素水素等の供給事業者に対しまして、その製造や供給に要するコストから算定される基準価格というものを算定していただきます。この基準価格と、御指摘のLNGなど代替される既存の原燃料価格に環境価値等が加味されます、カーボンプライシングが乗ってきますが、それを加味した参照価格の差額、これの全部又は一部を十五年間にわたって支援するという形を考えてございます。

 また、拠点整備支援では、低炭素水素等の大規模利用に資する、タンクであるとかパイプラインなどの貯蔵とか輸送のための共用設備、これに対しまして、設備投資に対する支援を重点的に行っていくということを考えてございます。

 そういった意味では、利用サイドにつきましては、今の価格差支援あるいは拠点整備支援の対象とはならず、別途の支援策を考えていく必要があるということでございます。

中野(洋)委員 ありがとうございます。支援の中身について説明をしていただきました。

 直接支援をされるものと、恐らく、そうすると、先ほど最後に御説明があったような、直接支援がされないような設備も出てくるということで、それはいろいろなことを併せてやっていくということにもなろうかと思いますし、恐らく、今までGXの基金ですとか様々支援をしてきている部分もあると思いますので、重複する部分もあるのかなというふうにも思いますけれども、今回の支援ということで中身を説明をしていただきました。

 この認定の基準のところで、一つちょっと確認を更にしていきたいんですけれども、計画の認定に当たって、私は、先ほども議論があったと思いますが、やはりエネルギー安全保障の観点というのは非常に重要だというふうに思っております。

 確かに、全部が国内で生産ということになりますと、コストの問題がどうしても出てきて、そうすると、どうしても利活用が広がっていかない、値段が安くなっていかないというふうなこともあります。ただ、他方で、供給価格が恐らく安いだろうということで、海外からより安価な水素を輸入をしてくるというものを支援をするということで、これは、サプライチェーンをつくるという一定の必要性というのは確かにあるとは思うんですけれども、そうすると、資源を海外に依存をするという状況が今と変わらないというところは、やはり改善をしていくべきなんじゃないかというふうに思いますし、日本の支援で、ある意味、また国富が海外に流出をしていくということになるんじゃないかと思っております。

 ですから、やはり国産の水素というのをしっかり、多少割高であるような部分があっても、これをしっかり支援をするような仕組みに是非していっていただきたいというふうに私自身は考えております。

 こうしたエネルギー安全保障の観点をどう取り入れるというのかについて御説明をいただきたいというふうに思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、エネルギー安全保障の確保は大変重要だと我々も考えておりまして、中長期的に、支援が終わった後も自立していかないと駄目なんですけれども、それを前提に、できるだけ国内での低炭素水素等の製造といったようなものをしっかり進めたい。

 こうした考え方は、この法律に基づいて定めてまいります基本方針の中に明記をしていく方向で検討をし、基本方針に従って計画の認定は行われていきますので、個々の認定についても、こうした考え方が反映されるように取り扱っていきたいと考えてございます。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 基本方針の中にエネルギー安全保障の観点をしっかり書き込むということで、しっかり明確に御答弁をいただきました。特に、こうした新しい次世代のエネルギーということでありますので、やはり、できるだけ国産のものがしっかり支援をされるということが非常に大事だと思っておりますので、是非よろしくお願いをいたします。

 先ほども少し答弁の中にもあったんですけれども、将来的に事業規律をどう確保できるのかというのを、この補助の中で、どういう形で仕組みをつくっていくのかということも非常に重要だと思っておりまして、特に価格差支援ですね、拠点整備は、拠点整備してしまえば、それはそれでずっと使えるのでいいと思うんですけれども。

 水素の、特に代替の燃料と基準価格を設定をされて、それで中身を支援をするということになってくるんだろうというふうに思うんですけれども、これは実際に価格差を支援をするという形なので、じゃ、この補助金がなくなったときに、果たして事業として成り立つような、そのときには供給の量が増えて本当に十分価格が下げられる、あるいは、補助金がなくても独り立ちできるといったような、そういうものになっているのかどうかというのが非常に大事だと思っております。

 補助金がなくなるとこの事業自体が止まってしまうということではやはり意味がないというふうに思いますので、この事業規律の確保ということは非常に大事だと思うんですけれども、他方で、ここを余り厳しくやり過ぎて余り支援が広がらないということになると、逆にこれは、十分な量の水素が供給されなくてコストも下がらないというところで、なかなか正直難しい、こういう設定にはなってくるかと思うんですけれども。

 この事業規律の確保をどう価格差支援の中で実現をしていくのかということについて、どういう制度、どういう考えでやっていくのかというところを答弁いただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の点が最大の悩みというふうに考えてございまして、価格差支援については、大胆な支援を行うと同時に、経済的な自立が支援終了後見込まれることをしっかりと要件とする、その上で、これを制度上も担保する観点から、支援終了後、十年間の供給を継続することを求めるということとしております。

 加えて、事業が進むに伴って生ずるコストオーバーラン等のリスクにつきましては、事業者が制御すべき事象として事業者が負担する制度にするといったような形で、大胆な支援があると同時に、支援に規律を持たせ、自立化に向けた事業者の努力を促す制度としていきたいと考えてございます。

中野(洋)委員 非常に難しい、具体的な、価格をどう設定するかとか認定をどうするかというかなり実務的なところかと思いますが、ここは非常に大事なところだと思いますので、そこは法律の運用、これは成立を是非させていただいて、そこをしっかりと工夫をしていただきたいというふうに思います。

 少し質問の残りはありますけれども、引き続き審査も続いていくというふうに思いますので、本日は以上で終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉田大臣政務官 先ほどの私の答弁で、水素電解装置を対象にしたと答弁をした部分がございました。正しくは、水電解装置も対象にしたでございました。訂正しておわびを申し上げます。

岡本委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十八分開議

岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山岡達丸さん。

山岡委員 山岡達丸です。

 本日は、質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 齋藤経産大臣が御就任されて私も初の質疑ということで、今日はよろしくお願いいたします。

 齋藤大臣が、もう六年ほど前になりますけれども、農林水産大臣をお務めのときに、私は北海道が活動エリアでありますが、日高地域で、ふだんはなかなか北海道といっても雪が降らない地域で大雪が降って、農業用のハウスが五百個ぐらい潰れてしまったときがありました。

 新規就農者の方がいろいろな農業支援策を得て入っていたんですが、なかなか、共済を掛けていたり掛けていなかったり、様々なそういう状況の中で、私も国会で提起したときに、いろいろな議論はありましたが、事態を本当に重く見て、思いを寄せていただいて、地域の立て直しに様々御尽力いただいたということで、本当に地域も感謝しておりますし、私もそうした思いに応えていただいたことが本当に忘れられなく、今もそうした農家の皆さんは元気に就農をして、いろいろ作物を作っておられます。

 その議論がきっかけで、農家の新規就農の皆様は、支援をいただくと同時に共済も入ることが要件になるという制度変更もセットでしていただいて、本当に、そうしたことで思いますと、私自身は、また新たに御就任された今のお立場で御活躍をしていただきたいという思いもお伝えさせていただきたいと思います。

 その後、法務大臣をお務めになって、今は経産大臣ということで、困ったときには齋藤大臣が登場されるという重要な役割も果たされていると思いますし、経済産業省の御出身でもありまして、いろいろ、基盤整備課にもお勤めだったという話もありましたけれども、人事の採用も御担当されていたということで、経産省の中にも齋藤世代という皆様もいらっしゃるということも伺っておりますので、是非しっかりと、チームワークよく、大臣の下で様々な経済施策を進めていただきたいと思います。

 今回、脱炭素に向けた政策として、水素そしてCCSという法案なわけでありますが、まず初めに、大臣の所感をお伺いしたいと思うんです。

 大臣も、経済産業省、当時は通産省でしょうか、お勤めであられたと思うんですけれども、例えば物づくりもそうですが、様々な産業の取組と脱炭素ということは、恐らく当時はそうした議論は一つもなかったんだと思うんです。今、その非常に厳しいハードルを乗り越えて産業を、また更に国内のものをしっかり発展させていかなきゃいけないという時代になった。

 大臣が今経産省にまた改めて大臣としていらっしゃって、どのような所感をお持ちか、まず一言伺えればと思います。

齋藤(健)国務大臣 まず、六年前の大雪のことに山岡委員言及されましたけれども、あのとき、質問を受けながら、山岡議員が本当に地元をよく歩いて、地元の状況を本当によく把握されているなということを感心したことを今思い出しておりました。

 突然の御質問なんですが、産業政策という観点からいうと、まさに地球環境問題で全世界が対応をしていくことになります。全世界で、例えば水素を導入しなくちゃいけないとか、そういう動きがこれからますます強まっていく中で、私が経産省に勤めていた頃は、経済と環境問題というのは相反するものだ、トレードオフにあるというような、そういう認識が強かったわけですが、今や、世界に水素の関係の技術や設備がどんどん導入されている中で、それを日本の技術と設備が取りに行くという意味では、産業政策と環境問題が両立できる、そういうエリアがすごく広がってきているなと。是非そこを取りに行きたいというふうに今思っているところです。

山岡委員 大臣からお話がありました。本当に、世界情勢が変わって、そこの部分を取りに行くというお話でございます。

 今回の法案は、まさに今まで蓄積してきた日本の産業の物づくりの力もそうですが、技術力も含めて、これを維持拡大しながら脱炭素を目指していく。この産業をしっかり守りながら進めていくという考え方について、これはスピード感がどうなのかとか批判的な意見もあるかもしれませんが、しかし、産業の裏には雇用もやはりありますので、そうした視点で考えますと、私自身の立場でいえば、今の現状を踏まえながら大きく進んでいくというこの考え方は、非常に理解を示させていただきたいというところでもあります。

 水素社会の推進法案は、二〇三〇年までに事業を開始したら、その後十五年にわたってGX移行債を財源にして三兆円程度を使うと。水素の価格支援とか、そのほか設備投資への支援なども別途行うわけでありますけれども。

 GX移行債は、昨年成立した法律に基づきますけれども、二〇二八年から始まる化石燃料賦課金や、二〇三三年から始まる排出量取引の特定事業者負担金などが財源としてなりますが、一義的には炭素に関わる業界の皆様が負担しますけれども、しかし、今、価格転嫁も進めていかなきゃいけないという議論もありますけれども、価格転嫁を通じて、やはり国民負担という形になってくるわけであります。

 経済産業省は短期的な目標について突破力は発揮されるというふうによく言われますけれども、二〇三〇年までに事業を始めたところに十五年支援して、更にそこから十年独立して、そして長期にわたる財政負担を求めていく、そしてその先には、今回、水素法案の略称として水素社会推進法案、水素社会を目指すというところまでうたっております。しかも、細かい話ですが、促進法案ではなくて推進法案ですから、促すわけではなくて、自ら進んでいくという名前もここに込めているんだろうというふうに思うわけであります。なので、非常に責任の重い、将来も見据えた議論が必要なんだろうと思うわけであります。

 ただ、あえてここで水素社会ということを定義されているわけでありまして、大臣にお伺いしたいんですけれども、この水素社会というのはどのような社会のことを指しているのか。我々でいえば、国内の水素の貯蔵、製造の環境がやはりこの政策の後にはきちんと整っていただかなきゃいけない、そして、それが当たり前のように使われる社会ということを私自身は想定するわけでありますけれども、大臣が描くこの水素社会というのをまずお聞かせいただければと思います。

齋藤(健)国務大臣 水素社会とは、現在利活用が進んでいない水素をエネルギーや原材料として利活用する社会、これをいうと理解しています。こうした考えはエネルギー基本計画や水素基本戦略においても位置づけているところです。

 その上で、水素社会の実現というのは、これは目的ではなくて、我が国のGXに向けた手段であろうというふうに考えています。その実現に向けては、水素が大量に供給され、貯蔵ができる環境が整って、鉄や化学、商用車といった脱炭素化が困難な分野などにも必要な水素が供給されるということが必要なんだろうと思っています。

 今回の水素社会推進法案に基づく支援では、先行的で自立が見込まれるプロジェクトを支援することとしています。まずは、そうしたプロジェクトから、必要な水素の供給、貯蔵に向けた環境を整えていきたいというふうに思っています。

 世界各国で水素分野における投資競争が起きている中、我が国の水素関連産業が海外市場を獲得するためにも、水素社会の実現に向けて取り組んでいきたいというふうに考えています。

山岡委員 大臣からお話ありましたけれども、鉄や化学など、やはり脱炭素に向けては水素が欠かせない、そういう部分を含めて脱炭素を目指していくということもお話ありました。

 今回の委員会の質疑でいろいろな角度から水素の議論があろうかと思いますが、少し、水素の貯蔵性の部分、そうした部分についても私からは質問させていただきたいと思っております。

 今日はエネ庁の皆様にもいらっしゃっていただいております。伺いますけれども、今回、電力ということと水素は密接でもあるわけでありますけれども、電力は基本的にはためておけないという中で、蓄電池というものも登場して、この技術も向上していくことがもちろん重要なわけでありますけれども、他方で、電力を水素に変える、それも貯蔵の形が可能なわけであります。蓄電池でためることと水素でためることのどのような特性の違いがあるか、少し御説明いただければと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、蓄電池に比べまして、電力を水素に変換することによって、一つには大容量の貯蔵が可能となる、もう一つは季節の変動にも対応できる長時間の貯蔵が可能となる、こういった特徴が挙げられます。

 一方で、水素として貯蔵したエネルギーを再び電力として取り出す場合、得られるエネルギーの割合が小さい、つまり変換効率が低いといった課題もございます。

 このため、現在、グリーンイノベーション基金を活用いたしまして水電解装置の高効率化に取り組み、水素製造時の効率向上に取り組んでいるところでございます。また、水素から電力を作る燃料電池の効率向上に向けた技術開発も進めております。

 こうした形で、水素による効率的な電力貯蔵に向けた取組を進めていきたいと考えてございます。

山岡委員 今御答弁いただきました。

 大容量であるということでいえば水素の方に分があると。瞬間的な貯蔵とそして変換効率は当然蓄電池が圧倒的に勝るんだと思いますけれども、お話にもありましたけれども、季節性の、そうした季節を越えた貯蔵も含めて、そして場所さえあれば大容量でも非常に有効なのが水素だということになるわけでありますが、私自身の活動エリアが北海道だということで、やはり北海道は、そうした水素の貯蔵、そうした部分について極めて大きな関心を寄せなければいけないということを強く感じております。

 二〇一九年にカーボンニュートラルの方針が定められてから、その切り札という位置づけで、洋上風力、これを国内で大推進していくということが方針で決められているわけでありますけれども、この計画によれば、二〇三〇年には全国で一千万キロワットということで、二〇四〇年までには最大四千五百万キロワットに相当する洋上風力の建設に着手ということですから、そこの瞬間にできるわけじゃないんですけれども、着手するということなんですけれども、このうちの二〇%は北海道が担うんだと。そうすると、一千万のうちの二〇%ですから、二百万キロワットですから、大型の発電所一つ以上の規模のものについて、洋上風力で、北海道だけでも周辺にでき上がるということで、それが更に拡大していくわけであります。

 北海道は、皆様も御存じですけれども、次世代半導体の生産拠点のラピダスであったりとか、あるいはデータセンターの集積とか、多くの電力需要ももちろんそこに生まれるんだと思うんですけれども、そこに再生可能エネルギーというのは、非常に重要な役割、ウェートを占めるということになると思います。

 他方で、それを超えるぐらいの電力も、洋上風力も含めて、様々な形で生んでいく。それを水素化して、物づくりの集積地もあります、室蘭という町であったり苫小牧という町であったりとか、そうした場所が水素の貯蔵拠点という形の中で、産業と結びついた形で、そして、周辺にある洋上風力の、洋上風力もやはり不安定な部分もありますから、その瞬間、その瞬間で電源として使えなくてもためておく。しかも、季節を越えてためておくという中で、様々な用途がこれは見通せるんじゃないかということで、今、苫小牧を中心に、国内最大規模となるグリーン水素のサプライチェーンの構築という大きなプロジェクトも動いているという状況であります。この潜在力というのは相当見込まれるんじゃないかというふうに思うわけであります。

 今日は資源エネルギー庁の村瀬長官にも御出席をいただいておりますけれども、先日、三月十日、北海道に御出張された中で、苫小牧市に視察に入っていただいたと。わざわざ、本当に、足を運んでいただきまして。是非、私も今るるビジョンを述べましたけれども、せっかく長官に入っていただきましたから、地域の感想も含めて、今後の期待も含めて御答弁いただければと思います。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 今先生から御質問いただきましたとおり、今月、三月の九日、十日に北海道を訪問させていただきまして、石狩湾の洋上風力発電や苫小牧市のCCS候補地などを視察させていただきますとともに、苫小牧市における水素プロジェクトの関係者の皆様方と意見交換をさせていただく機会を持たせていただきました。

 やはり百聞は一見にしかずでありまして、今回の視察や意見交換を通じて感じましたのは、今委員御指摘のとおり、改めて、北海道は洋上風力を始めとする再エネの導入ポテンシャルが非常に大きい地域でありまして、例えば、ピーク時の余剰電力ですとか送電容量を超えた電力量などはグリーン電力として活用すると同時に、グリーン水素として活用していく可能性が非常に大きいというふうに感じたところでございます。

 また、苫小牧におきましては、もう委員は御承知のとおりでございますけれども、地元の御協力を得ながらCCSの実証事業が具体的に進んで実績があるといった地域でございまして、地下構造の理解が進んでいるだとか地層のポテンシャルがあるといったようなことで、CCSのポテンシャルもあるという中で、ブルー水素の可能性もあるということを感じた次第であります。

 また、先ほど委員からの御質問にあったとおり、貯蔵という観点で見ますと、燃料、e燃料事業、それから発電事業、モビリティー事業など様々な産業集積がある地域でございますので、例えば、水素を使ったe―フュエルとして活用していくだとか、モビリティーとして活用していくといったように需要があるということが、貯蔵とかいった形で適地として機能していく可能性もある。そうした中で、産業の壁を越えて連携することで、御指摘のような水素の貯蔵拠点ですとか利活用拠点として大きく発展していく可能性があるというふうに感じさせていただいた次第でございます。

 現地ではプロジェクトに関わる方々とお話をさせていただきましたが、北海道から日本のエネルギーを支えていくという熱意と気概が伝わってきた次第でございます。

 苫小牧の関係者の皆様におかれましては、日本のカーボンニュートラルを牽引するリードケースとなるプロジェクトの実現に向けまして、事業者の連携の下、地域の御理解を得たよいプロジェクトが形成されるよう是非頑張っていただきたいと思いますし、我々としても、そうした取組をしっかりサポートをさせていただきたい、このように考えてございます。

山岡委員 ありがとうございます。長官から、まさに地域の熱量を感じていただいて、本当に感謝を申し上げさせていただきたいと思います。

 地方都市というのは、大都市と違いまして、様々可能性を、どう将来、自分たちは自分たちの町を発展させていくかということは、危機感を持ちながら、そしてリスクを抱えながら、でも挑戦していこう、これが一つ大きなプロジェクトとして動くのであれば地域としてこれに乗り込んでいこうという気概でありますので、今お話にもありましたけれども、是非長い目で見てのサポートもお願いをしたいということを申し上げさせていただきたいと思います。

 あわせて、水素ということでいいますと、物づくりの町、鉄の町として知られています室蘭という町もございます。

 この町は独自に水素の研究を続けてきました。室蘭市の水素の歴史は、地元企業の日本製鋼所による鋼の水素吸着の発見、そうしたところから、鉄や鋼を鍛える際に、鋼の中に入ってしまう水素をいかに取り除くかとか、そうしたことを研究するところから様々な開発もしてきましたし、今、日本製鉄という会社もありますが、このプロセスに、コークス炉などで副生水素、メタンガスが含まれていますけれども、この副生水素を再活用、発電に利用したりとか、更に純度を高める、そうした研究も進めてきたり。そして、地域には室蘭工業大学というのもあり、公益財団法人の室蘭テクノセンターもつくって、二〇〇三年以降は産官学で独自に研究してきているというような状況であります。

 室蘭市というのは、この実証事業の中で、水素燃料エンジンバスが走ったこともありますし、水素ステーションも市として建設して、水素自動車も市に取り入れたりとかいうこともやったりしているわけでありますけれども、しかし、この一連の話は、実は環境省さんとの関係の中で進めてきたものなんです。現在も、既存のインフラを活用した水素供給低コスト化に向けたモデル構築実証事業の試験というのも取り組んでいるところでもあります。

 今日は環境省にも出席をいただいておりますけれども、室蘭市のこれまでの水素への取組の評価、環境省としてどう考えているか、お話しいただければと思います。

奥山政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、地域の特性に応じた脱炭素化に向けた水素サプライチェーンの構築に向けた実証事業に取り組んでおります。

 その中で、その一つとして、室蘭市では、二〇一八年から、市が所有する祝津風力発電所の電力を用い製造した水素を水素吸蔵合金タンクにためた上で、既存のLPガス配送網を活用して市内の多様な需要先に配送する、そして使用していく、そういった実証実験を実施しているところでございます。この実証事業によりまして、低圧のため管理が比較的容易な水素を活用した形で、サプライチェーンモデルの構築に向けた取組を着実に進めていただいているというふうに考えておりまして、これに携わっておられます関係者の皆様の御努力、改めてありがたく考えているところでございます。

 また、室蘭市では、市のリーダーシップの下に、非常に多くの地元の企業、それから大学、国の機関とともに室蘭脱炭素社会創造協議会を設立するなど、室蘭地域での脱炭素社会の実現に向けた取組を推進していただいているということも承知しております。

 引き続き、環境省といたしましても、室蘭市、それから室蘭地域の協力企業の皆様とともに、地産地消の水素サプライチェーンモデルの構築に向けまして取り組んでまいりたいと思っております。

山岡委員 本当に、地場のガス会社とかも含めて、様々連携しながら取組を進めています。特に、既存のインフラを活用した水素供給の低コスト化に向けたモデルとか、今の経済産業省の様々な施策にも十分生きるといいますか。

 地元でいいますと、環境省が進めている水素政策、経産省が進めている水素政策、今回の法案は経産省が所管として出されているわけでありますけれども、どうしても縦割りのように見えてしまいます。

 是非、経産省、環境省と連携した形で、水素という軸でいえば、これはやはり脱炭素を目指していくということでは同じ方向を向いていると思います。大臣にお伺いしますけれども、是非環境省との連携をしっかり進めながらやっていただきたいと思いますし、今、室蘭の話もるるお話ありましたけれども、室蘭についても大臣から御所見があれば是非お伺いしたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 室蘭市は、鉄鋼業や造船業等が集積する日本有数の工業都市であると認識しています。近年では、こうした産業が集積する中で培われた高度な技術を基に、水素吸蔵合金の実証ですとか、太陽光と水素発電を利用した再エネ一〇〇%工場がスタートするなど、水素利活用と関連が深い産業の発展が期待される地域と理解しています。

 現在、室蘭市では、水素利活用に向けた様々な研究開発や実証が進められています。水素導入と次世代産業育成の好循環に向けて地域一体で取り組んでおられるということであり、私は期待をしています。

 室蘭市のような意欲ある皆さんに水素の利活用を進めていただくことは、大変重要だと考えております。環境省とももちろん連携しながら、しっかり後押ししていきたいと思います。

山岡委員 是非、いい形で結果を出していただきたいということをお願いさせていただきたいと思います。

 また、水素の議論も様々あるんですが、今回、CCS事業法の話もありますので、これからCCSのことについても質疑をさせていただきたいと思います。

 CCSにつきましても、政府が二〇二一年十月にエネルギー基本計画に定められましたけれども、二〇三〇年に四六%二酸化炭素を削減して、二〇五〇年のカーボンニュートラルを目指すという中で、二酸化炭素を地中に埋めるというCCSについては、先ほどもさんざん議論がありましたけれども、物づくりとエネルギー政策の振興、そして脱炭素、様々なものを両立していくために重要な役割を果たしていくということで、脱炭素の最後のとりでというような位置づけも、政府の文書の中にも実際出てくるというような位置づけとなっています。

 今回、いわゆる法整備を行って、秩序あるものにこれをしっかりやっていこうということでありますが、ヨーロッパなどでは、もう二〇〇九年頃から既に、CCSの法整備、そうしたことを始め、制度設計も進められてきているというような状況でもあります。そういう意味で、日本の法整備はある意味遅いとも言えるかもしれないんですけれども、だからといって、CCS事業が海外にのみ依存する、海外の事業のみを当てにするということになってきますと、いわゆる最後のとりでとして、まあコストもかかるものですから、それを最後のとりでとして置いているものを、これを国外に依存するというのは、国内産業の将来を考えたときに、私はこれは避けていかなければならない事態だということを感じているところであります。

 これは大臣に伺いますけれども、今から日本のCCSの事業も様々動くんだと思っておりますが、国内、国外両方ともプロジェクトがあるとは聞いておりますが、それらの観点を踏まえて、やはり国内のCCS事業、これを最優先で取り組んでいただきたい、そういうふうに思うわけでありますが、大臣の御所見を伺います。

齋藤(健)国務大臣 まず、CCSの事業化に向けて先行している欧米は、二〇一〇年頃に、民間事業者がCCS事業を実施するための法制度が整備をされておりますし、また、近年、予算や税制など様々な支援措置も整備され、急速にCCSの本格導入に向けた取組が進んでいます。

 一方、我が国におきましては、CCS事業を規制する包括的な法律がなく、導入に向けた支援措置が不十分であるのが、現状、正直なところです。そのため、我が国でも、その推進に向け、迅速に法整備や支援策の検討を行っていきたいと考えています。

 御指摘のとおり、CCSに係る技術を自ら保有し、CO2の貯留を国内において実施できる、このことは極めて重要であると考えています。

 このため、まずは、国内のCCSを着実に進めていくこと、これを考えているわけでありますが、一方で、国内だけでは必要な貯留量を賄うことができない可能性もございます。そのため、海外のプロジェクトであっても、CO2の貯留ポテンシャルや経済性を踏まえ、当該国の事情に配慮しつつ、その活用も推進していきたいと考えています。

山岡委員 大臣に御答弁いただきましたが、国内を着実に進めていくというお話でありました。

 CCSがどこまでの位置づけになるかというのはこれからでありますけれども、経済安全保障という言葉を使うと少し話は大きいかもしれませんが、しかし、本当に脱炭素がどの事業者も必要とされて、そして、当てがないというときに、CCSをやる場合は海外しかないといったときに、そこに支払うコストを海外の事業者が決めてくる、この状況というのは、国内の法律が及ばないところでこのコストを払わなきゃいけないという事態が想定されますので、やはり国内の事業。そして、今お話ありましたけれども、自らもう取り組める状況にあるんだというお話もありましたけれども、その中で是非進めていただきたいと思っております。

 政府に伺いますけれども、CCSというのはやはりコストがかかるというものでありますけれども、今、実現可能性のある様々なプロジェクトの中で、国内で最も低コストでCCSを実施できる、その地域はどちらになりますでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 CCSのコストは、プロジェクトごとに、分離・回収、輸送、貯留の組合せ、あるいは、その地理的条件、適用される保安などの規制、支援制度などが異なってまいりますため、現時点で最も低コストで実施できる場所ということを申し上げることは困難ではございます。

 ただし、例えば苫小牧の実証におきましては、陸域から海底下に向けてCO2を注入するための井戸を掘削しておりまして、これは貯留事業のコストを抑える一つの類型となり得るというふうに考えてございます。

山岡委員 これは現実に、様々な、どれぐらいかかるという数字もあると思うんですけれども、苫小牧のコストというのは今どの程度で、他方、ほかの事業はどの程度なのか、ちょっと御答弁願えますか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、いわゆる公益財団法人地球環境産業技術研究所、RITEが、CCSのコストについての試算を発表してございます。足下では、このCCSのコストは、一トンCO2当たり約一万二千八百円ないしは二万二百円程度でございます。

 これを、先ほど申し上げた分離・回収、貯留、輸送、これらのいろいろな技術開発ないしは大型化を進めていくことによりまして、削減がある程度進むであろうということを見通しをしております。同じく、このRITEの見通しによれば、二〇五〇年時点では、足下のコストから約四割程度は削減できるのではないかという見通しがございます。(山岡委員「場所は」と呼ぶ)

 ちょっと場所については、そこまでの詳細な分析は残念ながら現時点のRITEでは行っておりませんので、今後の検討課題というふうにさせていただきたいというふうに思っております。

山岡委員 今お話にありましたけれども、陸域から海域に入れるというのは非常にコストがかからない手法の一つだというお話にもありましたけれども、先ほど大臣も、このCCSというのがいわゆる国内で完結する形になっているということでございますけれども、今、私が再三、苫小牧のことを申し上げましたけれども、これは、やはり国内の実証試験をずっと続けてきた、十年以上にわたってこの苫小牧という地域も、CCS事業に、研究に協力してきたという実績があり、海外からも関心が寄せられて、多くの視察団も受け入れてきたという状況でもあります。

 そうした意味でも、脱炭素の世界的な貢献という形もあろうかと思いますけれども、やはり、この苫小牧のこれまでの研究への協力に対して、大臣としてどのように考えておられるかというのはこの場で伺いたいと思いますし、あわせて、実は、この間、事業者は自らのことですからいろいろ関係がありますけれども、海域におられるいわゆる漁業者の皆様、特に大きな利益もなく、リスクとも向き合いながら、しかし脱炭素ということに理解を示して協力をしてきたということについて、大臣としてどのようにお考えか、ここで御答弁いただければと思います。

齋藤(健)国務大臣 苫小牧でのCCS実証は、市街地近傍に大規模CCSの拠点を設置をし実証を実施した世界で初めての試みで、国内における事業化を検討する上で模範となる重要なプロジェクトであり、御指摘のように、海外からも多くの視察者が訪問をして、世界的にも高い関心を集めています。

 実証拠点は、市の中心地から二、三キロメートルと住民の生活圏に近く、苫小牧の皆様に御協力をいただきながら実証が行われてきたと認識をしています。本事業の実施に当たり御理解と御協力をいただいた苫小牧漁業協同組合の皆様を始め苫小牧市の皆様に、心より感謝を申し上げたいと思います。

 苫小牧地域は、二〇三〇年までの事業開始を目標とする先進的CCS事業にも選定をされており、事業者によるCCS事業の立ち上げを支援をさせていただいているところであります。また、苫小牧地域では、回収CO2を利用して合成燃料を製造するカーボンリサイクルのプロジェクトについても検討が進んでいるというふうに承知をいたしておりまして、その面でも御協力をいただいていること、重ねて感謝を申し上げたいと思います。

 引き続き、地域の皆様へ丁寧な説明を行うとともに、貴重な苫小牧での実証成果を活用し、CCSの事業化に向け、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。

山岡委員 大臣からも御答弁いただきましたけれども、本当に、何物でもないCCS事業のときから、地中に二酸化炭素を埋めるというのがどうなのかというような議論もありましたけれども、しかし取り組んできたということは是非この場でも確認させていただいて、今後もまたそのことを踏まえていただきたいということもお伝えさせていただきたいと思います。

 さっき長官にも苫小牧のお話を伺ったときにCCSのことも触れていただきましたけれども、資源・燃料部の定光さんにもちょっとお伺いしたいと思います。

 先ほど大臣も、漁協の皆様のことにもお話で触れていただきました。今後もこの地域でCCSを進めていくということに、協力を求めていきたいということになろうかと思うんですけれども、やはり漁業者の皆様の協力というのは不可欠であろうと思うんです。

 その上で、さっきありましたけれども、苫小牧漁協の皆様の意見であったり要望であったり、また、冷凍冷蔵設備など、歴代大臣との間で積み残しの課題も残っていますから、こういったことも誠実に対応していただきたいと思っておりますが、御答弁いただければと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 CCSを推進するためには、地域の皆様の御理解、御協力が大変重要な要素となってまいります。

 御指摘の苫小牧に関しましては、地元の漁協の方々から、漁協の冷蔵庫の建て替えに関して国からの支援が得られないかという相談を私ども頂戴しているところでございまして、現在、これは我々の省として、あるいは農林省とも相談しながら、国としてどのようなサポートができるのかというのを、地元の方とともにいろいろちょっと相談をさせていただいているところでございます。

 まだちょっと具体的な答えが見出せている状況ではないんですけれども、しっかりと、地元の漁協の要望にも真摯に向き合いながら、しかるべく方向性を見出していきたいというふうに考えてございます。

山岡委員 本当に、地域の皆様の協力があって、これから様々、全国的な取組も進んでいくものだろうと思っております。そういう意味で、先行的な地域ではありますけれども、本当に多くの皆様の御理解を得られる努力をしていただきたいと思っております。

 今回のCCS事業は、CCS長期ロードマップという、政府で検討会を開かれて、その中の提言に基づいて法律も作られて、今議会に提案されているわけであります。これは令和五年の三月に取りまとめているものでありますけれども、ここの二十四ページには、CO2の貯留場が立地される地域においては、当該地域の地方公共団体、民間団体、住民等の関係者の理解を得るため丁寧な説明を行うということ、地方公共団体と民間団体が行う、CCSを中核としたハブ・アンド・クラスターや関連する産業、雇用の創出に向けた支援する仕組みを検討するということも提言として入っております。

 本当に、合意形成をしっかり進めていくということでいえば、苫小牧の事例を参考に、またほかの地域でも協議を進めていただきたいということも思うわけでありますが、これから実行計画もいろいろ策定していくわけであろうかと思います。この提言に基づいて、やはり産業、雇用の創出に向けた支援としての交付金制度、そうしたものも設けていく、そういったことも具体的に書き込んでいくべきだということを考えるわけであります。大臣、ここに御見解をいただければと思います。

齋藤(健)国務大臣 昨年三月に取りまとめましたCCS長期ロードマップにおきましては、地方公共団体や民間団体が行う、CCSを中核としたハブ・アンド・クラスターや関連する産業、雇用の創出に向けた取組を支援する仕組みを検討するとしておりまして、その具体的な方策につきましては、ビジネスモデルの在り方も踏まえてしっかりと検討し、必要な対応を講じてまいりたいと思っています。

 さらに、事業の大規模化とコスト削減に取り組むモデル性のある事業を先進的CCS事業と位置づけ、貯留事業のみならず、CO2の分離・回収から輸送も含め、バリューチェーン全体を構築する観点から事業性調査の支援にも取り組んでいるところであります。

 委員の御指摘も踏まえ、こうした予算の活用を含め、引き続き、CCSの事業化に向けた支援策を検討し、必要な対応を講じてまいりたいと思っています。

山岡委員 御答弁ありがとうございます。

 私も、今申し上げたことを踏まえながら対応していただくという御答弁もいただいて心強く思いますし、本当に、地域の中で様々懸念も出てきたり、様々なことがあるかもしれませんが、丁寧に御説明いただきながら、そして地域の発展にもつながるような事業であってほしいということも私の立場から重ねて申し上げさせていただきたいと思います。

 政府に残りの時間で伺いたいと思いますけれども、今回のCCSの法案については、予定された貯留が終わったら、一定期間、事業者がモニタリングを行うわけでありますけれども、その一定期間が終わりますとJOGMECにそれが移管されるということも規定されているわけであります。この移管までの期間とか要件というのは別途定められるということで、これも、やはり地域の安心といいますか、納得いくような形が求められるんだろうと思うんです。

 特に、じゃ、どういう形が納得いく形なのかという議論は様々あろうと思いますけれども、やはり、科学的見地に基づいてここは定めていかなきゃいけないということを私は考えるわけであります。今どういう方向でこのいわゆる移管に関する要件等を考えておられるか、御答弁いただければと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、JOGMECに貯留事業場の管理業務を移管するまでの期間、要件については、科学的見地を踏まえて定めていくことが必要であると考えてございます。

 まず、管理業務の移管までの期間につきましては、これは省令で定める予定でございますけれども、例えばイギリスやノルウェーでは、CO2の圧入停止後、原則二十年間で移管、ただし、CO2の安定性が確認されればそれを短縮することもできるという仕組み、あるいは、アメリカのノースダコタ州では、CO2の圧入停止後、少なくとも十年間の後というふうにされていると理解しておりまして、こうした諸外国の動向や貯留したCO2の安定性に関する最新の科学的知見を踏まえながら引き続き検討してまいりたいと考えてございます。

 また、管理業務の移管の要件でございますけれども、CO2の貯留の状況が安定しており、かつ、その状況が将来にわたって継続すると見込まれることというのを法律上の要件の一つとしてございますけれども、これについては、例えば、CO2の圧入により上昇していた貯留層内部の圧力がおおむね貯留開始前の水準程度に戻っていることに加えて、貯留されたCO2の実際の広がりが事前に行ったシミュレーションの結果とおおむね一致しており、シミュレーション結果からして、将来的なCO2の広がりが貯留区域内に安定的に収まることが見込まれることなどを確認することが考えられます。

 この詳細につきましても、諸外国の動向、最新の科学的知見などを踏まえながら、引き続き検討させていただきたいというふうに考えてございます。

山岡委員 時間が来ましたのでここまでとさせていただきますが、CCSには多くの働き手の皆様も関わりますので、是非働く立場の皆様の声にも耳を傾けていただくことも重ねてお願いをさせていただきながら、また、大臣には御活躍を心から期待申し上げさせていただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

岡本委員長 次に、荒井優さん。

荒井委員 立憲民主党の荒井優でございます。(発言する者あり)はい。僕も、今日、北海道から参りました。立憲の理事は北海道なんですけれども。

 北海道と申しますと、約百五十五年前、明治一年、二年に、まさに開拓から始まるわけです。大きな国家プロジェクトとして当時の明治政府はスタートするわけです。当時の国家予算が大体一年で四千万円だったそうですが、その時代に、十年間で一千万円という予算を使って北海道開拓をしたと言われています。今の貨幣価値でいうと、十年で約二十五兆円を使った、そういうプロジェクトが、北海道開拓使という役所をつくって、そこで北海道を開拓してきた。百五十五年たちました。今日はその二人が、末裔がこうして来ておるわけですが、まさに北海道を国が開拓したその結果が今なっているわけです。

 一方で、特に、今回、齋藤大臣の「転落の歴史に何を見るか」、この本も、ちょうど先日、立憲の田嶋先生が御質問した、ちょうどあの日に僕も読み終えていましたので、大変興味深く質問も聞かせていただいておりましたが、やはり、明治以降、どうして日本がこういうふうになってきてしまっているのか。戦争を勝ち、負け、戦後を迎えていて、そして今はどうなのかというのを、まさに齋藤大臣が、多分あの本は四十二歳ぐらいのときに、役所にいたときに書かれたと思うんですが、まさにあれはあれで、当時の四十二歳の中堅の経済産業者の役人としての思いが詰まった本だと思いますし、そして今、そこから二十数年たって、まさに経済産業省に戻ってこられて、今こうして日本のまさに大きなかじ取りの、特に経済産業の部門をされている大臣に、まさに北海道の開拓だって同じような形で、百五十五年前に大きな思いで開拓の予算を充てたのと同じように、今回も、GX、そして水素、CCSと大変大きな予算をかけながら、国の経済産業の向きをぐっと変えようとしているというふうに感じています。

 もちろん、大臣が直接関わったところと、直接関わっていなくて、その前代から進んできたこともあると思いますが、今日はそういうちょっと広い観点でお話をさせていただこうというふうに思っております。

 まず、これだけ多くの予算を今後使っていきながら、既存の産業に対して、まさに水素や脱炭素、今日は、水素社会というのは手段でしかないんだ、目的はGXなんだということ、まさに脱炭素だというお話でしたけれども、そこは共感するところではあります。そして、国はそこに多くの予算を投下していくわけですが、その予算の受入先としては、既存の大きな会社が、特に経団連の企業という言い方をしてもいいと思いますが、大企業がその大きな最初の引受手となって、既存事業を少しずつ改変していくという作業をしていくんだと思うんですね。

 先日の大臣所信のときに、維新の小野さんからもガソリンの補助金の話がありましたが、まさにガソリンの補助金、これも多くの予算を、いろいろな事由はあったと思いますけれども、既存の産業に渡しながら、少しでも国民にとって生活がしやすいようにしていたかと思うんです。それは経産省の政策として行われて、しっかりと進められているというふうに思いますが、その一方で、三権分立と言われる国のガバナンスの在り方の中で、立法府と行政と、もう一つ裁判所もありますけれども、特にこの立法府の中で、それぞれの政党に、とはいえたくさんの企業も献金をしているところがあるわけですね。

 具体的に申し上げれば、政府・与党の自民党は企業からの献金というものを直接受け取っているわけですが、これは例えば、ガソリン補助金において、それだけ多くのお金を各企業に渡している中で、その後ろ側でという言い方は適切ではないとは思いますが、でも、それぞれの企業から、若しくはそれぞれの、例えば、石油においては石油連盟から毎年五千万ほど自民党の政治団体に献金されていると思うんです。

 こういうような在り方というのは、モラル上、もちろん法律上は認められているからやられているんだと思いますが、これだけ多くのお金を投下していく、そして、かつ、今政治とお金の問題が非常に問われてくる中で、今経産省として多くのお金を動かしていく中で、この企業とそして政党としての在り方というのは大臣はどのように思っているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 まず、経産大臣に就任してから北海道に行けていなくて申し訳ないと思っているんですが、農林大臣のときに行かせていただいたときに、あの広大な大地にあれだけ農地を開拓していった明治以降の人たちの、何というんですか、根性みたいなものに感動した覚えがあります。経産大臣としてもできるだけ早く伺いたいと思っています。

 それで、御指摘の御質問でありますけれども、もちろん、企業から献金をもらっているからこういう政策をしているんだというような誤解が少しでも生じるということはあってはならないことだろうと思っていますので、政策を立案するサイドはそこは念頭に置かなくてはいけないんだろうと思っていますが、私の経験からいって、私も実は資源エネルギー庁の石油部に在籍していたことがありますが、新しいエネルギー政策を講じるに当たって、自民党に幾ら献金されているかということを考えたことは〇・一秒もありません。そのことは申し上げておきたいと思います。

荒井委員 ありがとうございます。是非北海道にお越しいただきたいというふうに思っています。

 ちなみに、後でちょっと関わる話なんですけれども、北海道の開拓予算を使って、実は、黒田清隆はケプロンにお願いして日本人を留学させているんですね、有名なのは津田梅子さんですけれども。まさにこの予算も実は北海道開拓予算だったということは、つまり、北海道のためにということでアメリカに勉強しに行っている、それが、もちろんいろいろな形で、百五十五年たっても北海道だけではなくて日本全体に大きな影響を与えているという先人の先見性、これは、やはり人に投資するということはすごく大切なんじゃないか。後でもう一度触れたいというふうに思っております。

 そして、今大臣から、まさに、政治と献金という言い方でいいのか分かりませんけれども、この在り方について、もちろん、今度は逆に、大臣の役人当時の、別に影響は受けなかった、そういう御経験を披見いただきました。

 今の経団連の会長は十倉さんですけれども、住友化学の会長をされていると思いますが、十倉さんがこういうお話をされていらっしゃいました。民主政治を維持しようと思ったらコストがかかることも事実、企業が政党などに寄附することは一種の社会貢献だということで、その正当性も含めて、経団連は、いろいろな政党の政策を分析して、一応推奨しているという形にはなっているわけですが、こういう弁を十倉会長がおっしゃってはいるわけです。

 ただ、例えば住友化学という会社が、まさに経団連の、まさに日本を代表するリーディングカンパニーでありリーディング経営者ですから経団連の会長になられたと思いますけれども、今回の法案に無関係な会社ではないんだと思うんですね。もちろん引受手になるでしょうし、まさにこのGX、水素社会、脱炭素、CCS、CCSに絡むか分かりませんが、大きく関わる。元々、この経団連の会社、重厚長大企業は、いろいろな形で今回の法案に関わってくる企業になるんだと思うんです。

 これはどうなんでしょう、逆に、企業の方側からこういった献金をすることをやはり差し控えていくという矜持みたいなものがあってもいいんじゃないかというふうに思いますが、そこは、大臣、いかがお思いでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 個別の企業がどういう政治的意図でもって献金を考えるかということについて、私からコメントをするのはちょっと無理かなと思います。御容赦いただければと。

荒井委員 そうですね、そうなんだろうというふうに思います。

 でも一方で、これは会社側からしてみたら、会社にはそれぞれ株主がおりますので、どういったそれぞれ政党に幾らぐらい寄附をしているのか、もちろん調べようと思ったら見ることはできるわけですけれども、それぞれの政党の政治資金団体のを見に行けばいいわけですが、ただ、なかなか見にくいという実例もあります。

 幾つかの会社が公表したりもしているわけですが、でも、それぞれの会社も、会社は有価証券報告書というのを毎年作成して、まさに株主に対して説明する義務があるわけですが、例えばやはりこういった透明性を高めるためにも、上場企業は、例えば一定以上の献金をした場合にはこの有価証券報告書に書き込む義務を持つみたいな形にしてはいかがかと思うんですけれども、お考えをお聞かせいただけますでしょうか。事務方でいいですよ。

新発田政府参考人 お答え申し上げます。

 上場企業は、企業の事業内容ですとか財務内容といった投資者の投資判断にとって重要な情報を有価証券報告書において開示することが求められているわけでございます。この場合の重要な情報というのは、一般的には、企業の業績に対して重要な影響を与えるかどうかというところから判断されると思います。

 先生御指摘の上場企業による政治献金等の状況につきましても、上場企業が投資者の投資判断にとって重要と考える場合には有価証券報告書に記載できることとなってございます。

 他方で、上場企業が作成する有価証券報告書において政治献金等の状況の開示を一律に義務づけるかどうかといった点については、まさに投資者の投資判断にとって有用なのかどうかということ、それから、上場企業のみの開示となることの当否、言い換えますと、上場企業以外の非上場企業であったり、あるいは各種団体といったものは対象外でございますので、そういった点を総合的に考慮する必要があるというふうに考えてございます。

 そうした中で、現時点で政治献金等の状況を開示するかどうかというところは、企業の判断に委ねているというところでございます。

 失礼します。

荒井委員 ここは経産委員会ですので、もちろん、このことについてしっかりとした結論が出るとは思ってはおりません。現状については今御説明いただいたとおりだと思うんです。

 齋藤大臣にこのことについて御答弁を求めたいわけではないんです。ただ、大臣がまさに四十二歳のときに書かれた本の中にこんなことが書いてあって、戦後民主主義の忘れ物の一つとして、道徳的緊張というものがやはり必要なんじゃなかろうかということを書かれているわけです。「指導的立場にある人々が、「公のために最後のところで踏みとどまる強固な自律の精神」を持っていなくてどうするのか」ということを書かれていて、僕は本当にそのとおりだと思うんですね。

 大臣、今やはり、ルール上は認められていることはたくさんあって、もちろんルールにのっとってやられていることがほとんどだというふうに思っています。ただ、こうして国がこれだけ巨額のお金を、まさに明治維新以来かもしれません、ひょっとしたら太平洋戦争以来かもしれませんが、産業政策に大きくお金を投下しながら、それぞれの会社もリスクも抱えながらも一気に進もうとしていくところを今まさに責任者として担われていく中、こうして政治の献金だったり、つまらない話というと言い方は違うかもしれませんけれども、やはり矜持、まさに道徳的な緊張みたいなものを持って、それぞれの民間企業とも、そして政治家も、もちろん役人もですけれども、接する必要性が今あるモメンタムに来ているんじゃないか。それだけ経産省は今大きなリスクを取った活動をしているんだと思いますけれども。

 大臣は今着任されたばかりという言い方が、ただ、大臣も以前お勤めだったときの経産省と大分今は違う時代、違う雰囲気を感じながらやっているんだと思いますが、そこの道徳的緊張、役所以下、経済産業界に対してどういうふうに伝えられるのか、是非お答えいただければと思います。

齋藤(健)国務大臣 この道徳的緊張というのは誰が作った言葉かといいますと、本にも書いてありますが、司馬遼太郎さんなんですよね。

 昭和の時代というのが、明治の人たちを多く扱う小説を書いていた彼の目から見て、非常に異質な日本に見えた。そこで失われたものの一つは、やはり道徳なんじゃないかということなんですね。私もそれは同感しているんですけれども。ただ、それは単なる道徳ではなくて、極度の緊張感を伴った道徳。それが、昭和の時代になって、前半二十年間、それが失われていったことが、一つのああいう悲惨な結末になった要因ではないかという分析をしているわけですね。

 私は、これは現在でも、第二次世界大戦を起こしてしまった反省として、これは日本人が、すべからくというのは言い過ぎかもしれませんが、少なくとも指導的立場にある人にはこのことを胸にしっかりと置いて行動してもらいたい、ちょっと説教臭い言い方になりますが、本当にそう思っています。

荒井委員 ありがとうございます。

 まさにこうした道徳的な緊張みたいなものが、しかし、この昨今、あらゆるセクターでやはり緩んできてしまったんじゃなかろうか。政治はもちろん言うべきこともないですが、ほかの、芸能界であったりスポーツ界であったり、いろいろなところで起きやすい状況になっているというのを、これは、大臣も本でも書かれていますが、やはり教育に大きな原因もあったと思いますし、ここをもっとしっかり目を向けていくことというのは、必要性があるんじゃないかと思います。

 でも、それは未来のことであり、現状、今のことに対しては、やはりこういう考えを持った方から強く常々メッセージを発信し続けていくことというのが必要だと思うんですね。

 今日、これ以上の御答弁はこの件では求めませんが、是非、献金の在り方みたいなことについてもう一回、今、自民党の中でも大きくいろいろ議論されている時代だと思いますので、献金する特に企業、団体、企業の献金の在り方というものが本当にどうあるべきなのかというのをもう一度考え直すいい機会なんじゃないかというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 続いて、今回の法案の質疑について、させていただきたいと思います。

 水素社会推進法、CCS事業法、両方に是非お聞きしたいんですけれども、大きなビッグプロジェクトです。

 先ほど山岡達丸先生からもお話しいただきましたが、北海道も多々関わるところがたくさんあるわけですが、一方で、例えば、先ほどの明治維新のときの開拓使の予算というものは、あれは、でも、ほとんど官営のプロジェクトというのは失敗しているんですよね。唯一残ったのはビール事業だけだと言われて、それが今のサッポロビールになっているわけですが、そのほかのこと、缶詰とかいろいろなこともやっているんですが、ほとんど失敗して今に至っているというふうに言われています。

 もちろん、水素に関してもCCSに関しても是非成功してほしいというふうに思いますが、もちろん、現場感がありませんので、これがうまくいきますよというふうに言われれば、そうあってほしいというふうに願うことしかできないわけですが、ただ、本当に今後、これが、皆さん方が書いた目標数値が達成されていくのかどうかというのは、今日この時点では何とも言えないわけですね。それを信じることしかできないわけです。

 ただ、これは、どの企業とか役所とかでも、どんなプロジェクトも、特に長期のプロジェクトほど、数年である程度振り返って、これがちゃんと進んでいくのかどうか、そして、どこかでは撤退するみたいなことも考えるみたいなことがあると思うんですが、この法案における、どこでこの事業の見通しを立てるのか、そして、例えば撤退しなければいけない、やめなければいけないというメルクマールを置いているのか、教えていただければと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の水素社会推進法案につきましては、法律の施行後、その施行の状況を踏まえた上で必要な見直しを行っていくことが、御指摘のとおり非常に重要だと考えております。

 このため、本法案におきましては、法律の施行後五年をめどとして必要な見直しを行う旨の規定を設けておりまして、見直しに当たりましては、水素社会推進法案については、低炭素水素などの供給及び利用に係る国内外の状況であるとか、あるいは、認定計画の実施状況、個別のプロジェクトの実施状況などを勘案して、必要な見直しを行っていきたいと考えてございます。

 その上で、我が国は、低炭素水素等につきましていまだ黎明期ということでございますので、その供給量であるとかは民間事業者の事業計画によるところが非常に大きくございます。法律ができ上がった上で出していただいて、我々、成功するものになるようにしっかりと審査をし認定をしていくわけでございます。このため、現時点においては、御指摘のような定量的なKPIを設定することはちょっと困難ではございます。

 ただ、政策の適切なタイミングでの検証とその結果に基づく不断の見直しは非常に重要であると考えておりますので、法律の施行後五年をめどとする見直しという法律の規定にかかわらず、必要なタイミングで検証を行い、その結果を踏まえ、KPIの設定を含めた必要な見直しを行っていくという取組を進めていきたいと考えております。

荒井委員 CCSに関してというのは、これはあるんですか、この見直しというのは。済みません、ちょっと質問、お願いします。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 CCS事業法に関しましても、法律の附則におきまして、この法律の施行後五年を目途として、我が国における貯留事業の実施状況、諸外国における貯留事業に相当する事業の実施状況及び当該事業に係る評価などを勘案して、必要があると認めるときには、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするという形で、五年後の検討に関する規定を設けてございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 そうなんですよね。必要があるときにということで法律には書かれているわけです。先ほど井上さんからは、もう少し細かく幾つかの内容についてもおっしゃっていただきましたけれども。まさにこの必要があるときにというのがどのタイミングなのかというのが、五年のときに何をもって必要があるというふうに判断するのかというところが、より明確にしておくことが必要なんじゃなかろうかというふうに思うんですね。

 何を超えたら必要があるというふうに、今この時点で、まさにイヤーゼロとしては思っているのか、そしてイヤーファイブとして、五年目にその数値を、やはり数値はある程度設定しておかないといけないのではなかろうかというふうに思います。もちろん予算がついてからというお話もあるんだと思うんですが、でも、予算がつく前に、今我々は議論しているものですから、せめてその必要があるときにというものは一体何を示していくのかというのをもう少し明確に、今後の審議でも是非そこを定かにしていきたいというふうに思っております。

 大臣からもよければコメントをいただければと思います。

齋藤(健)国務大臣 このエネルギー情勢というのは結構しょっちゅう変わるものでありまして、事前にその条件の設定というのは、できれば理想的なんだろうと思うんですけれども、それが逆に足かせになってもいけない、そういう思いも、自分もエネルギー政策をやっていたので、あるんですね。本当に一年で劇的に環境が変わったりすることは間々あるので。ですから、やはりその時々の情勢に応じて最後は判断するということにせざるを得ない面があるのかなと、今、突然の御質問なので、そういう感想を持ちました。

荒井委員 ありがとうございます。

 激変をしていく可能性もある、激変していけば、環境が変われば、当然、それぞれの会社は事業をどんどん変更していかなきゃいけない。会社の方がスピーディーに動かないと、せっかく補助金を投入してもらって、よし、やるぞという方向になっても、それに対して、市場の環境の変化にもちろん振られていくわけですね。

 ちなみに、これだけ多くの公金が動いていくと、やはりいろいろな意味で市場はゆがんでいく可能性もあると思っています。例えば、北海道には今、半導体の工場とかいろいろなものがどんどんできてこようとしていますが、ゆえに、人件費が大変その辺りだけ高まってきていて、ほかの産業に大きな影響を少しずつもたらしてもきたりするわけですから、まさにこういった各会社そのものも、この補助金を使って、若しくはお金を使ってどういうふうに経営をしていくのかというのは、非常に問われていくんだと思います。

 実は、その中で、僕は人材育成、学校の経営とかをやってきましたので、強く思っているのは、実は、一番時間がかかって一番大変なのは人材の育成なんだというふうに思っております。先ほど、北海道開拓使は、海外に留学をさせたり、また、あと札幌農学校もつくったりもしているわけですが、まさに人材を育成しながら新規事業というものに取り組んできたというのが北海道の開拓でもありました。

 今回のこの新しい法案に基づいて、既存の会社が既存事業から少しずつ新しい事業に、水素を入れていく、アンモニアを入れていく、空いた穴に二酸化炭素を入れていくという今までにない取組をしていくわけですが、当然、新しい技術をするためにも新しい人も必要になっていきます。もちろん、既存事業の人たちにリプレースをしてもらって新しいスキルを身につけてもらうことも必要だと思いますが、実は、日本はこういうロジスティック、つまり兵たん部分の人をそろえていくということが、それこそ大臣の本にも書かれているように、元々組織的にもやはり苦手なことだったんじゃないかというふうに思いますが、この人材の育成、人材の供給という点においてはどのように今考えているのか、教えてください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 水素については、分野としては新しいんですけれども、元々産業ガスという古くからある分野がございまして、こうした既存産業の方々、担われたノウハウをうまく生かすことができる分野である、それが日本の強みでもあるというふうに考えておりますが、委員御指摘のとおり、一方で、世界がカーボンニュートラルに向かった技術競争を行っている中にあって、こうした新しい分野にしっかりと新しい研究者であるとか若い方々、あるいは既にノウハウを持っておられる方々が移動していくということも非常に重要なことだと考えてございます。

 こうした観点から、水素については、現状、水素に特化した専攻分野を設けている大学はごく僅かでございますが、経産省では、大体まだ一月に一回のペースではございますけれども、企業や大学等の技術者、研究者、学生を対象に、水素の基礎講習あるいは最新の技術課題等を学ぶ機会を設ける、水素関連技術の担い手の掘り起こしとか育成といったようなプロジェクトを始めてございます。

 こうした取組で人材育成と人材確保を更に進めていけたらと考えております。

荒井委員 ありがとうございます。

 特に理系の人材、理系、文系という言い方もだんだん古くはなってきていますが、やはり、理系的な学びをしてきたそういう人材、STEAM教育とかを受けてきた人たちが、この領域に入ってみたいと思うことがすごく必要だと思います。

 恐らく、この先、五年、十年、我々が思う以上に若い人が減ってきていて人材の取り合いになっていく時代に、北海道では本当に今、半導体にどんどん人が吸収されていって既存事業が大変苦しくなっていくみたいなことができてきますので、今のうちにやはり若い世代、それはひょっとしたら小学校、中学校とかかもしれませんけれども、まさにGX、脱炭素を目指していく社会に必要な学びみたいなものを供給していく必要があるというふうに思うんですが、齋藤大臣の意気込みをお聞かせいただければと思います。

齋藤(健)国務大臣 恐らく、設備投資をして施設ができ上がるにも時間がかかるんだろうと思いますが、人材の育成は恐らくそれ以上の時間が必要になるんだろうと思っていますので、手遅れにならないように、その育成を段取りよくやっていく必要があるんだろうなというふうに思っています。

 熊本でも、高専で始めようとか、それから、熊本大学も人材育成、新しい講座みたいなのをつくるとか、動きが出てきていますので、そういう動きを経産省としても盛り上げていきたいなというふうに思っています。

荒井委員 ありがとうございます。

 残りの時間で、まさに大臣の本にも基づきながら、経済産業省という役所のことについて是非お伺いしたいというふうに思います。

 大きなテーマは、大臣がお勤めだった頃の経済産業省、そして今の、大臣としてこういうふうに着任してみた経済産業省、この違いというものを今どんなふうに大臣として感じていらっしゃるのか、お聞かせいただければと思います。

齋藤(健)国務大臣 私は、経産省を辞めてからちょうど十七年になります。それで、その後、国会議員に落選の後、浪人生活へとなるわけですが、その間、経済産業委員会に所属したことはありません。それから、自民党の経済産業部会に出たこともありません。経済産業政策で自分が何かやろうと思えばできるんですけれども、違う世界でやろうということで十七年過ごしてきて、十七年ぶりにまさに経済産業政策に真っ正面から取り組むことになったということで、率直に申し上げますと、ちょっと時間がかかるかもしれませんが、まず感じたことが二点ありまして、一つは、やはり経産省の職員は優秀であるということを改めて実感しました。それからもう一つは、私が思っていた以上に突っ込んでアクティブにやっているなというのも同時に思いました。

 例えば、中小企業に、価格転嫁を進めるということで三十万社にアンケートを出して、その結果を見て、けしからぬ会社、発注者の名前を公表しちゃうとか、それから大臣名で指導をするとか、要するに、相対の価格交渉にまさに介入するようなことまでやって、それで何とか賃上げ含めて転嫁を進めようとしているのは、私が思っていた以上に突っ込んでやっているなと思いました。

 それから、今日の議論にもなっていますけれども、水素社会実現のための取組としての投入する資金の大きさですとか、それから半導体、熊本のTSMCの第一工場に四千七百六十億円、第二工場に七千三百二十億円、最大で税金を突っ込むなんというのは、よくやっているなというふうに本当に思いました。ですから、私の役割としては、想像以上によくやっているので、これを私も応援をしていきたいというふうに強く思ったというのが一つです。

 それから、福島の復興に向けても、本当に一生懸命、誠心誠意地元の人に寄り添いながら、本当に、これは口だけの話じゃなくて、やっているなというのを実感をいたしましたので、その辺も感心をしたところであります。

 唯一心配は、こうやって志高くやっているにもかかわらずなぜ辞める人が多いんだろうかということなんですね。

 恐らくいろいろな要因があるんだろうと思いますが、私が採用の責任者をやっていた平成十年は、いわゆるキャリア官僚は事務官、技官合わせて四十人採用していたのが、今は六十人になっている。なぜか、三分の一辞めるからだということなんですね。

 せっかく優秀な人が入ってもなぜ辞めるのか、ここの人材はやはり私としてはできるだけ国のために働いてほしいと思っているのになぜ辞めるのかというのが、久しぶりに戻ってきたときにマイナス面として非常に強く感じているところなんですね。

 これについては、仕事の仕方が、やはりマネジメントサイドに私は問題があるんじゃないかなというふうに思っていますので、そこについては、もう就任直後に、少し改革しようじゃないかという話を中で進めているということであります。

 ちょっとざっくりした印象になりますが、そんな感じを十七年ぶりに受けているということであります。

荒井委員 ありがとうございます。

 大臣の、議員になられてからは経済産業政策とは距離を取っていたという言い方でいいんだと思いますが、まさに道徳的緊張の表れなんじゃないかと思いながら伺っておりました。

 僕の友人たちも、まさに齋藤大臣に採用された人もいますし、外で頑張っている人も、また戻ってきた人もいるかと思います。まさに経済産業省も元気な役所だというふうに思っていますし、まさにこういう経産省の元気さを是非いろいろな他省庁に広げていくことというのが今すごく求められているというふうには感じております。

 一方では、ちょっと申し上げにくいんですけれども、先日、朝日新聞で、TSMCの招致の記事について、後半のところで、萩生田前大臣がコメントをされているところがありました。経産官僚は優秀だけれども、短期集中突破で持続性がないんです、まるで高校の文化祭の実行委員会のようだと感じた、短期間でわあっとやるけれども、文化祭が終わったら後は関係なしというふうな、そんな雰囲気があったというふうに、萩生田さんは、恐らく経産省とはそれまでの直接的なあれがない中での大臣で、その所感なんだというふうに思います。経産省、役所そのものの一つの見方をされているんだろうというふうにも感じていますし、そういうのがあるからTSMCみたいなことができた、今回の水素社会もあるんだと思うんですけれども。

 逆に言うと、ここに経産省の弱さがあるんだとすると、こういう長いプロジェクトに関しては、やはりどのようにしっかりとマネジメントしていくのか、まなざしを送り続けていくのか、新しいものは、会社でも新しいものはやはり目につきやすいので、一回入れたものに関してはだんだんみんな関心も薄くなっていくというのはございますが、やはり多くのお金を投じていくビッグプロジェクトですので、どうやってまなざしをしっかり向けていくのか、これは経産省にとって大きなたがみたいなものなんじゃないかと思うんですが、その辺りはいかがお考えでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 その点は、私が役所に入ったとき以来ずっと言われていることでありまして、ただ、経産省が相手にしている行政というのは非常に変化が激しいんですね。

 例えば、IT一つ取っても、もう日進月歩で変化していく中にどうやってそれに対応していくかという、ほかの役所にないスピード感が求められる。エネルギー政策一つ取っても、さっき申し上げましたけれども、長いリードタイムを必要とする設備投資があるにもかかわらず、環境はすぐに激変してくるということがあるので、それに対応する必要があるので、やはり新しい事態に素早く反応する、そういうことは、私は、経産省の行政の中では大事なんだろうと思っています。

 ただ、それが、萩生田さんが感じたように、持続性があるのかどうかということについては、それは案件によると思っていまして、経産省も、原子力始め、本当に長い期間取り組んでいるものもありますし、福島の復興、廃炉についてはもう十年以上、本当に真剣に取り組み続けていると思いますので、案件によって随分違うんだろうというふうには思っていますが、一般的な傾向としてそういうのがあるのは否定できないなと思っています。

荒井委員 ありがとうございます。

 実は今日、午前中は復興特もありまして、復興特にもいましたので、質問をそちらでもしてきたんですけれども、今日はちょうど東電の副社長と、あとF―REIの山崎理事長と、そして大臣とという形に、質問する機会になりました。ですので、その延長的な感じで、今日、僕にとってはこの場に立たせていただいているんですが。

 この水素社会推進法やCCS事業法というものは、まさに先ほど大臣はGXを実現するための手段なんだという言い方をされていましたが、今日もお話があった、経産省にとっては、やはり福島のこの事故や、そこというのがその出発点なんじゃないかというふうに思ってもいるんですけれども、そこについて少し御所見を伺いたいです。

 といいますのも、その当時、僕も福島の復興のお手伝いをしている中、経産省の若い職員がたくさん現地に派遣されて、二十代の方、三十代手前の方が多かったように思いますけれども、まさに本当に、今から十三年前ですが、震災の直後にいろいろな形で現地に入られて、怒られながらも本当に一生懸命やっていた。そういう方たちが今三十代、四十代ぐらいになられている、まさに支えているんだと思いますが、やはりあの経験、そして、今回の法案においても、脱炭素という言い方はしていますけれども、エネルギーをやはり変えていくという大きな方向性は確かに菅総理のときに決めたことではありますが、経産省にとってはやはりこの十三年前の事故というのは大きな教訓として今回の法案があるんじゃないかというふうに思っているんですが、大臣、そこはいかがお考えでしょうか。

岡本委員長 齋藤経産大臣、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

齋藤(健)国務大臣 直接的な因果関係があるかどうかというのは分かりませんが、ただ、あの事故というのは、経済産業省にとって物すごく重い、ある意味贖罪意識というのはありますので、今福島に投入している人材を見ても、私かつて人事をやっていたので、本当に優秀な人を投入していますし、震災直後には随分皆さんに怒られたけれども、最近はかなり評価をされるように変わってきていると思っていますので、理由はどうあれ、福島のために引き続き一生懸命やっていくんじゃないかと思っています。

荒井委員 ありがとうございました。是非北海道に、お待ちしております。

 ありがとうございました。

岡本委員長 次に、小野泰輔さん。

小野委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の小野泰輔です。齋藤大臣、よろしくお願いいたします。

 春休みに入って、私、こういう委員会に子供たちを連れてくるというのは非常に意義のあることだと思って、今日も来てもらっています。これから春休みの間はできるだけ多くの子供たちに来ていただこうかなと思っています。国会でもちゃんとした議論をやっているんだということをやはり子供たちに知ってもらうのは大事なことだと思いますので、大臣にもできるだけ、官僚言葉でなく、今日は分かりやすく御答弁をいただきたいというふうに思います。

 早速、今日私は水素一本で質問させていただきたいと思っていますが、まず、法案の前に、政府の水素基本戦略について幾つか御質問させていただきたいと思います。

 水素をカーボンニュートラルを実現するための新たな燃料ですとかあるいは資源として利用していくということ、これは方向性としては当然やっていかなきゃいけないと思うんですが、午前中からの議論にもありましたが、まだまだ、これは未知の世界というか、どういうふうに道筋がちゃんと示されるのかというのがなかなか分からない中で挑戦している状態だと思います。

 まず、現状、足下を確認させていただきたいんですが、現在の国内での水素の供給量は二百万トンというふうに言われていますが、これはどういう由来で、どのように使われているのかをお聞きしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の国内での水素供給量二百万トンでございますけれども、一つには、化石燃料を原料としまして水蒸気改質法によって水素を作るというやり方、それからもう一つは、コンビナートなどでの目的生産物の製造を通じて副次的に製造される水素から調達されております。

 主な水素の用途は、石油精製のプロセスであるとか、製鉄所における熱利用であるとか、肥料等になるアンモニア製造時の化学品原料、あるいは、燃料電池自動車向けの燃料であるとか、半導体製造時の雰囲気ガスなどとして用いられております。

小野委員 一応二百万トンということでありますが、割とメインは、今の物づくりの過程から出てきているものをまた様々なプロセスで使っているというのが中心だろうというふうに思うんですね。

 今の時点で二百万トンということで消費がされているわけですけれども、二〇三〇年の導入目標量が三百万トンということで、百万トンの増、これは多いか少ないかというと、私はそんなに増えていないようなイメージはあるんですが、その評価はさておき、この三百万トンの由来、どういうふうに作られているのかということと、どういう利用分野が今後増えていくのかということについて御説明いただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 三百万トンに向けて、追加的に百万トンが必要になるということでございますが、この約百万トンにつきましては、主に今回の水素社会推進法案において措置します価格差に着目した支援を通じて供給量を拡大していきたいと考えてございます。

 具体的な調達先につきましては今後の計画の認定プロセスの中で決定していきますけれども、まず、エネルギー安全保障の観点から、当然、将来的に十分な価格低減と競争力を有する見込みがあることは重要なんですが、国内からの調達に最大限努めるというふうに考えてございます。

 その上で、海外案件につきましては、例えば、別途大規模な支援としてIRAが措置されておりますアメリカであるとか、あるいは、再生可能エネルギーのポテンシャルが高い東南アジアであるとか、こういった地域ごとの特徴を踏まえながら個別具体的に選定をしていきたいというふうに考えてございます。

 こうした形で調達してまいります低炭素水素などでございますが、この供給先としては、既存のコンビナートなどでの利用や大規模な需要が見込まれる発電に加えまして、例えば、鉄鋼や化学、あるいは商用FCVといった既存原燃料からの転換が困難な分野、用途に供給することを要件としておりまして、こうした需要家の転換も進めていきたいというふうに考えております。

小野委員 既存の二百万トンというのが、それほど、あと六年でこれもグリーンなものに置き換わるわけじゃないんだなというような感じは持ちました。そう簡単にはいかないとは思うんですね。

 残りの百万トンはできるだけ、今回の法案の枠組みを使いながら、できる限りグリーンなもの、ブルーも含まれるでしょうけれども、そういう形で調達をしていって、それがこれからカーボンニュートラルに資するような形での置き換えで使われていく、そのうちの一つが発電であり、そしてまたFCVとか様々なものだというような御説明だったかというふうに思うんですね。

 午前中もいろいろ議論はありましたけれども、本当にグリーンな水素がどこまで国内で確保できるのかというのは、結構ハードルが高いと思うんですね。

 そういう中で、各国、グリーンな水素を導入しようということで動きがあって、先ほどアメリカのIRAの話もありましたし、また、ヨーロッパでも、かなりのお金をつぎ込んで、国内でのグリーンな水素製造をやろうというような動きもあります。片や、ドイツなんかは、輸入する水素に関して、これはFIT方式で、固定買取り価格ということで、海外から調達するグリーン水素に関しても、国がちゃんと責任を持って価格差を埋めていくというところで同じ話だと思うんですが、そういった動きもあります。

 私は、現実的なことを考えると、再生可能エネルギーを電力で今一生懸命確保しようというような動きがある中で、余剰の電力でクリーンな水素をどれだけ生み出せるのかというのは、結構時間がかかるというふうに思っているんですね。

 そこでお伺いしたいんですが、例えば、我々は、オーストラリアとかあるいはブルネイといったところを今ターゲットにして、グリーンな水素作り、あるいはブルーな水素、こういったものを大量に調達するというようなこともやはり現実的には必要になってくるというふうに思います。今までは、中東それから東南アジアというところでLNGと原油を確保するというような世界戦略を我々は描いてきたわけですが、これは、ウクライナ戦争を始め中東のリスクもありますし、そしてカーボンニュートラルを実現しなければいけないということで、なかなか持続可能ではないということにもなっていますので。

 こういった海外のグリーンな水素の獲得競争というのも実は始まっていくんじゃないかというふうに思いますが、大臣にお伺いしたいのは、そうした国際的な獲得競争というのは今後出てくるだろうと私は思っていますが、これに関してどのように臨もうとされているのか、お答えいただきたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 ヨーロッパ、アメリカを中心として、水素の世界市場というのは拡大の兆しを見せておりまして、IEAの試算によれば、二〇五〇年における世界の水素需要量は現状の約五倍を見込むということであります。

 こうした中、将来的に我が国が競争力のある価格で低炭素水素等を調達するためには、諸外国に先駆けて、安価に、安定的に水素等を調達するための国際的なサプライチェーンを構築するということが必要なんだろうと思います。

 そのため、水素社会推進法案に基づいて価格差に着目した支援を講じることで、諸外国の取組に遅れることなく、国際的なサプライチェーンの構築につなげていきたいというふうに考えているわけであります。

 この価格差に着目した支援では、競争力ある国内案件を、これは国内案件ですから最大限支援をするわけですが、と同時に、海外案件につきましては、国産技術等の活用、あるいは低炭素水素等の製造事業への出資など、海外の上流権益への参入状況なんかも評価をして、我が国への安定的な供給が見込まれるプロジェクトを優先して支援していくということにしたいと思っています。

 加えて、将来的に安定的な供給源の確保のためには、やはり政府間対話なども必要だろうと思っていますので、政府同士の協力関係構築も重要だと思っています。既に、南米ですとか中東などの低炭素水素等の製造が見込まれる国との協力覚書締結などに取り組んでいるところであります。

 今後とも、こうした取組を通じて、強靱なサプライチェーン、この構築に取り組んでいきたいというふうに考えています。

小野委員 御答弁いただいたように、国内の水素確保の動き、もちろんこの法案でやっていくことも大事ですが、海外の方も、これは拠点整備の補助金とかもありますし、そちらも両面で進めていく必要があると思います。

 日本の場合に、どれだけの再生可能エネルギーを確保できて、電力の需要を賄うだけではなくて水素まで作れてしまうというところまで行く、それももちろん理想としては追い求めていくべきだと思いますけれども、でも、様々な隘路があって、それだけではなくて、この水素戦略の中には、水素を水電解装置で作るとか様々な日本が得意とする技術も入っていて、それを海外でも展開して、そしてマーケットそのものをグローバルに考えてビジネスも展開していく、同時に海外の信頼できる国からも水素を確保していくということも狙っていかなきゃいけないと思いますので、それは両面で是非やっていただきたいというふうに思うんですね。

 ちょっと、少しずつ法案の内容にも入っていきたいんですが、水素の製造コストというのがやはり一番重要なんだろうというふうに私は考えています。今回の法案でも、価格差に着目して、そこを埋めていくということを長期間でやっていくということで、民間にリスクを取らせていてもなかなか前には進まないということで、そういった考え方でやっているわけですが、そもそも、私はすごく素朴に思うことは、何で国内で製造すると高いのか。

 いろいろ、円安になったり、今、貿易収支も改善している、あるいは、これは余り政府が誇るべきことではありませんが、実質的な賃金とか、国際的に見ても日本人の給料は相対的に下がっているというような状況にあって、なぜ国内で水素を作ることが高くつくのかということ、これをちょっと御説明いただきたいんですけれども。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 低炭素水素等を国内で製造する方法として、もちろんブルー水素といったようなやり方もございますが、今議論になっております、再エネ等から水の電気分解による水素製造、いわゆるグリーン水素について、これも期待されておりますので、これについて申し上げます。

 この方法による製造コストが高い原因は、一つは水電解装置の設備コストがまだ高いということ、それから、水電解装置の水素製造効率にまだ改善の余地があるといった設備側の課題がございます。加えて、規模の経済が働くほどの需要量、供給量となっていないという量的なスケールの問題がございます。さらに、我が国については、諸外国と比較して、委員御指摘のとおり、再エネのコストが高いということもございまして、こうした要因によりまして、諸外国に比べてコストが高いといったような状況に現状ではなってございます。

小野委員 今の御答弁だと、再エネのコストが高いというところは確かに日本の立地条件とかいろいろなものがあると思いますが、それ以外のところは結構、例えば水電解装置が高いとかというのはほかも同じなので、そういう意味では、努力すれば国内の製造も増やせるかなというふうには思っているので、ここは諦めずに頑張っていただきたいと思うんですね。

 政府の今の目標ですと、水素の製造コスト、二〇三〇年にノルマル立米当たり三十円、二〇五〇年には二十円ということで、これは水素基本戦略にも書かれていますが、二〇二三年三月のLNGの価格が、これがノルマル立米単位で二十四円ということになっているので、余り変わらない水準まで目指すということなので。

 でも、これは国内製造というのを考えているんでしたっけ。ここは通告していないんですけれども、これは国内製造レベルですか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 水素基本戦略でもCIF価格というふうに書いてございまして、基本的には、天然ガスと比べて見ているというところについては、両方CIF価格で、港に着いたところの価格でございます。

小野委員 港に着いた価格なので、それが国内なのか海外なのかというのがちょっと分からないところもありますが、ただ、やはり国内で作れる努力というのはするべきかなというふうには思っているんですね。

 その上で、これは大臣にお伺いしたいんですが、やはり製造コストを下げていくというのが、これが、我々、これから目指す、水素産業をしっかり伸ばしていくということと同時に、我々自身の国内での水素を使ってのカーボンニュートラルが実現するかどうかというところの大きな分かれ道になると思うんですが、低コスト化をどういうふうに図っていくのかというところについてのお考えをお伺いしたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 グリーン水素の製造コストの低減に向けては二つの面があると思っていまして、一つは、コスト低減に資する技術開発をしなくてはいけない、もう一つは、需給両面の支援によって規模の拡大化を図っていく、この二つの方向だろうと思っています。

 具体的には、グリーンイノベーション基金などを活用して、現在の水電解装置コストを最大六分の一程度にまで低減するための技術開発や電解効率の向上のための技術開発など、国際競争力ある水準で水素を製造できるよう水電解による製造コストの低減に取り組んでいくこと、これが一つです。

 もう一つは、今回、水素社会推進法案における価格差に着目した支援等においては、十分な価格低減が見込まれ、将来的に競争力を有する見込みのある国内事業をまずは最大限支援することによりまして、低炭素水素等の需要と供給が同時に増えていく、そういう形で規模の拡大化を図って製造コストの低減を目指していく。

 これらの取組なんですけれども、こういった取組にとどまらず、国内製造コストの低減に向けては、諸外国の動向も注視しながら、様々な政策を講じていきたいというふうに思っています。

小野委員 ありがとうございます。

 特に重要なのは、やはり需要を伸ばしていくというのは本当に大事なことだと思うんですね。

 今回は、価格差に着目した支援というものの要件として、補助金を受けるためには、供給事業者と利用事業者の双方が連名となった共同計画であることが求められているというふうになっていて、これでいろいろなプロジェクトが組成されていくと思うんですが、このプロジェクトは、十五年、価格差を埋めるための補助事業があって、その後十年間、継続供給をしてくださいよというようなことが言われているんです。合わせてこれは二十五年、例えば、子供たちがこの国会に話を聞きに来ていて、彼らが大人になったときにもそういう状況が続いている。でも、私は、そうなる前に水素のマーケットというのが何かつくられているような気がしているんです。

 相対で二十五年間もの間、供給側とそれから需要側で、こういうセットでやっていきますよという世界じゃなしに、もっともっと効率的に水素を生み出せるような事業が発展をしていって、そして、そういった優れたメーカーというものがどんどん市場を開拓していって、安い優れたグリーン水素が市場で取引されているというようなことを私は思っているんですけれども、この計画だけだと余りそういうイメージがなくて、もっともっと早い段階でリデザインしていく必要もあるのかなと思っているんですが、こうした水素マーケットに関する見通しというのは、大臣、どのように見ていらっしゃいますか。

齋藤(健)国務大臣 まずやるべきことというのは、低炭素水素等の市場が黎明期にありますので、新たに低炭素水素等のサプライチェーンを立ち上げること、これに注力をしていくんだろうと思っています。

 具体的には、水素社会推進法案において価格差に着目した支援を措置をして、水素等の供給量と利用ニーズの拡大を一体で進める、これにより、低炭素水素等が手に入らないから需要も生まれず日本での水素関連投資が萎縮するという、いわば鶏と卵どっちが先かという状態からの脱却を目指していくというのが当面の目標なんだろうと思います。

 他方、議員御指摘のように、今後、サプライチェーンが数多く立ち上がっていけば、市場での取引のニーズ、これが高まってくることも十分想定をされると思いますので、そういった状況の進展を見つつ、必要な対応についてしっかり検討していきたいと思っています。

小野委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、こういった形で、二十五年間、最大でやっていくんですけれども、これからマーケットが急に立ち上がってくるということも当然あると思います。アメリカなんかは、十年以内にさっきのコストは一ドル以内でやるとかというような大胆な方針も立てていますし、そういった状況にちゃんと対応できるように、これも五年ごとの見直しと言っていますけれども、よりそういった現実に合った形でプランを柔軟に変えていくということも是非同時にやっていただきたいと思います。

 私も、熊本でやっていたときに、県庁に水素ステーションをつけるかどうかと。一基二億円ぐらいするんですね。これは結構反対論もあったんですが、やはり需要をつくると。福岡に行って、福岡では結構入れているんですけれども、熊本に来て入れられないみたいなことじゃ恥ずかしいだろうということで、これを二億円ぐらいかけてやりましたけれども、やはりそういった需要をどんどんつくっていくということも是非やっていただきたいな、頑張っていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

岡本委員長 次に、山本剛正さん。

山本(剛)委員 日本維新の会の山本剛正でございます。明るく元気な経済産業委員会をつくる会の事務局長でございますので、今日も明るく楽しくやりたいと思いますが、まだ会長が不在なので、岡本委員長か与党筆頭の松本洋平先生にお願いをしたいというふうに思います。

 今日は法案審議で、最近、僕、以前は国土交通委員会にいて、そこでも思ったんですけれども、法案審議で重要なことは、やはり、条文を一つ一つ挙げていって、この言葉が何に係っているのかとか、そういったことを審議していくことも非常に重要だと。今日、午前中から伺っていて、政策論議、非常に傾聴に値するすばらしい意見がたくさんございました。でも、もちろんそういった議論も大事ではあるんですけれども、日本の唯一の立法機関である国会で、このルールを作ることによって、これからこれに関わる事業者さんとかが迷わずに自信を持って事業を遂行できるように、その道しるべとなるような法体系の整備というものは、私はやはり国会の役目であろうというふうに考えています。

 ちょっと堅い話で申し訳ないんですけれども、そういった私の信念に基づいて、ちょっと法案の条文をいろいろ、これを私はいつも全部読むんですよ、ない頭を一生懸命絞って。だから、私の認識が違うところがあれば、違うともちろんおっしゃっていただいて構いませんし、逆に、それは確かにそのとおりだなというものがあれば、別に修正をしてくれだとか、そういったことは言いませんので、今後の例えば改正のときとか、そういったときに役に立てていただければなというふうに思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 まず、水素社会推進法の中で、これは第七条の五項関係なんですけれども、五項のイのところに、供給事業者と利用事業者が、JOGMECの助成金を受ける場合、共同で計画を作成することをこの中では要件とされています。この共同の定義というのは何なのか。

 いろいろなケースがあると思うんですが、例えば供給事業者と利用事業者が同じという場合とかも、それでも共同になるのかとか、いろいろ考えられると思うんですよ。例えば、利用事業者が供給事業者を買収するとか、そういったことも出てくるかもしれません。だから、その共同の定義をちょっと、この中では触れられていないので、教えていただきたいなというのと、あと、複数の事業者が関わる場合、供給事業者と利用事業者、それぞれの事業者数。例えば、規模が非常に大きいのに一、一でいいとか、規模がこれぐらいの規模になったら二、二にしなければいけませんとか、そういったことも、ちょっといまいち、ちゃんと記載はされていないので、ここでそれをちょっと教えていただきたいというふうに思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 水素社会推進法案において、御指摘のとおり、JOGMECによる助成金を受ける場合に、供給者と利用者が共に計画策定を行うことを、条文上、要件といたしております。

 その理由でございますけれども、GX実現の観点から、鉄、化学といった代替技術が少なくて転換困難な分野、用途に関しても、新たな設備投資や事業革新を伴う形で利用者側の原燃料転換も主導する取組である、こういうことを確認して認定していきたいということのために、供給者と利用者の連名で一体的な計画の作成を求めるということといたしております。

 今御下問ございました、じゃ、一体だった場合どうするんだと。これは、法律の中で、供給者と利用者、それぞれ定義規定が置かれておりまして、これが仮に同一の人である場合は、同じ人が双方の立ち位置を持つということになりますので、今の趣旨に合致しますから、それは共同でという定義に合致するという形になります。

 それから、御指摘の点でございますけれども、事業規模に関する要件でございますが、共同計画に関わる個別の事業者ごとの要件というのは設けてございません。

 他方で、計画全体では、これは審議会での御議論も踏まえまして、価格差に着目した支援を受けようとする場合は、年間の水素供給量が一千トン以上であること、一定規模以上ですね、いわゆる実証レベルではないというものであること、それから、拠点整備支援を受けようとする場合につきましては、先ほど御答弁ありましたとおり、ある程度集約した規模を必要とするという観点から、年間水素供給量が一万トン以上であることということを今検討いたしてきております。

 また、供給者側、利用者側の事業者の数に関する要件でございますが、これは個別の計画ごとに相当異なるであろうという想定の下に、具体的な基準は設けておりません。海外から水素なんかを輸入する臨港コンビナートにおいては、鉄とか化学とかの大規模な利用者が結構集約して複数存在する場合もありますし、あるいは、国内の再エネ電気を活用した地産地消型ということになりますと、周辺に存在する利用者に限定されますので、これは双方をしっかり対象にしていくという観点から、今のような要件は置いてございません。

山本(剛)委員 ありがとうございます。よく分かりました。

 やはり、これから本当に未知の世界というか、先ほど小野さんもおっしゃいましたけれども、未知のことをやっていくのに、手探りという言い方はよくありませんが、その場その場でいろいろ臨機応変に対応していくこともあろうかというふうに思います。

 是非、要するに、事業者さんに足踏みをさせないように、その配慮はしていただきたいなというふうに思いますし、もちろん、それこそ経済産業省さんと例えば事業者さんとかが共同で一緒に考えていただくということも私は必要だというふうに思いますので、是非よろしくお願いをしたいというふうに思います。

 次に、ちょっとCCSの方に今度は移りますが、今日は二十分しかないので、また残余の質問は、後日私がまた立つのでやらせていただくんですけれども、実は海洋汚染法につながる話をちょっとしたいと思います。

 今回の法律は様々な関係法律があります。私、それもなるべく読むようにはしていたんですけれども、なかなか分からないところもあって、特に鉱業法なんというのは、昭和二十五年に制定をされて、そこから何も変わっていないというのが現実で、本当にこれをこのまま、また今の時代にやっていくのがいいのかどうかというのは、また違うところで議論をさせていただきたいというふうに思いますが、まずは、CO2は価値のあるものだというふうに定義をした場合に、所有権が発生すると思うんです、貯留をした場合に。

 審議会の議論も私は見せていただきました。そうしたら、いわゆる排出の事業者さんか若しくは貯留をされる事業者さんが所有権を持つべきだみたいな感じの意見があったかと思うんですけれども、いずれにせよ、所有権が私はあるのではないかなと。

 例えば、二酸化炭素が何百年か何年かたって鉱物になる、鉱物になった場合は、それこそ鉱業法にひっかかって、鉱業法で国がいわゆる権利を持つことになっています。これはもう法律で決まっています。一方で、じゃ、鉱物にならなくて、将来、我々が想像もしない何か価値のあるものに化けた場合、これは誰のものになるんだということはやはり押さえておかなければいけないと思うんですよ。

 今回は、やはり掘ることを中心に、まずはやろうというところから始まっていますので、そこまでいかなくても私はいいと思うんです。ただ、将来、間違いなくこの所有権の問題は、所有権はイコール財産権ですから、これはもう釈迦に説法ですけれども、財産権は、まさに国家が命懸けで守らなければいけない、やはり国民の権利ですからね、これは。だからこそ、私はこの所有権の話をちょっとさせていただきたいんです。

 もし、さっきも言ったように、何年かたって、何十年、何百年とたって、現状では価値が認められない物質が例えば変化する、現状では価値はないけれども将来めちゃめちゃ価値があるみたいになった場合に、どのように対応するのかというのをちょっと教えていただきたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、このCCSについても、将来、価値を持つことは考えられますし、あるいは、将来的なCCU、CO2を産業等の原料、燃料として利用していくということを見据えた場合、CCSとして貯留したCO2が将来的に価値を持つ、有価物になるということも十分あり得るというふうに認識してございます。

 一方で、一度貯留したCO2を取り出して利用するというニーズが近い将来に顕在化するということは、現状では考えにくいということも事実でございます。加えて、今回は、脱炭素化が難しい分野におけるカーボンニュートラルの実現に向けて、CO2の安定的な貯留を確保するための事業環境整備ということが当面の趣旨でございます。

 したがいまして、CCS事業法案では、貯留したCO2を取り出すことは禁止はしていないものの、まずはCCSとして、CO2の安定的な貯留が確保されることに重点を置いた仕組みとさせていただいてございます。

 その上で、CCS事業法案では、先ほど申し上げました施行後の検討に関する規定も設けておりまして、今後、貯留したCO2を取り出して利用する等のニーズが顕在化することが見込まれる場合には、必要な見直しを行っていきたいというふうに考えてございます。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 現時点では考えられないというお話もありましたが、そうだと思うんですけれども、これは何でもそうなんですけれども、やはり所有権の主張というのは、ある意味、価値のないときには、逆に廃棄物として扱っている場合は、いや、俺はそんな責任を持ちたくないよみたいな感じなんだけれども、いざそこの中に価値を見出した瞬間に、いやいやいや、それは私のですみたいな感じになるのって往々にしてあるじゃないですか。

 ですから、今考えていないということが、ばあっとそういった考え方が世間に知れ渡ってしまうと、余り所有権の観点からはよろしくないのかなと思いますので、これは議事録に残ってしまいますけれども、やはり定光部長がおっしゃった後段の、今後しっかりと考えていきたいということを常にCO2の所有権については発信をされた方がよろしいかなというふうに思いますので、是非お願いをしたいというふうに思います。

 定光さんとはちょっとやりにくいんですよね、いろいろ。娘同士が昔同級生だったものですから、非常にやりにくいなと思いながらやっているんですけれども。済みません、ちょっと個人情報みたいなもので、申し訳ありませんでした。

 それでは次に、ちょっと時間もしっかりと使っていかなきゃいけないんですが、これは何で所有権の話をしたかといいますと、鉱業法の改正もこの中には出てきます。

 いわゆる鉱業法の原文の中には、何度も海底下廃棄という言葉が実は使われています。鉱業法の三条では、各用語の意義をちゃんと定義をされています。その七の二に、海底下廃棄、物を海底の下に廃棄すること、括弧、貯蔵することを含むをいうというふうになっているんですが、この文章を見ると、廃棄すること、括弧、貯蔵することをなので、読み方としては二通りあると思うんです。

 一つは、廃棄することと貯蔵すること。だけれども、もしそういうふうに捉えるとするならば括弧書きにはしないはずなんですよね。そうすると、括弧書きになっているというのは、廃棄をしたものを貯蔵しているという捉え方もできるわけですよ。あくまでも廃棄をしたものだと。

 でも、廃棄というと、これは放棄なんですよね。価値のあるもの、所有権のあるものを放棄したというふうにも取れるわけです。そうすると、この中に出てくる十八条の七の二なんですけれども、鉱業法の改正案の中で新しく文章になるんですが、二酸化炭素の貯留事業に関する法律、もう括弧は飛ばします、の海底下廃棄及び独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構が同法第五十四条第一項に規定する通知貯留区域管理業務として行う二酸化炭素の海底下廃棄というふうに書いてある。つまり、二酸化炭素を海底に廃棄しますよと。でも、CCSの法律の中には廃棄という言葉は実はなくて、全て貯留という言葉になっています。

 これはやはり、同じ法律をこの委員会で、この法案審議でやっているわけですよ。全てが同じテーブルにのっかっているわけです。その中でトーンが違うというのは、私は法律としては余りよろしくないんじゃないのかなと。

 確かに、海洋汚染法の中ではこの言葉を使っているから、それをそのままこういうふうに持ってきたというのは分かります。分かるし、これを実は読んでいると、前号でもやはり海底下廃棄という言葉を使っているので、そこにひっかけて話すことになるから、当然次の二項も海底下廃棄になっているんですが、ここには、僕はそれこそ括弧書きみたいなのが必要だというふうに思うんですよ、廃棄ではないぞと。あくまで、所有権が出てきた場合にはこの限りではないというふうになるのか、私はこれは若干の修文が必要なのかなというふうに思いますが。

 ここでまた修文の話をしてしまうと、またちょっと委員会がいろいろ大変なことになりますので、やはり次の改正、若しくは、どういう形が望ましいのか私が判断することではないので、是非、経済産業省の皆さんの中で、この問題についてどういうふうにやっていくのかということを考えていただきたい。

 この中でちょっと聞きたいのは、さっきの三条の中で貯蔵という言葉があるけれども、廃棄の中の貯蔵ではなくて、価値のあるものとしての貯蔵という言葉に私は統一するべきだというふうに思うんですが、いかがかなという話と、皆様方がこの鉱業法をどういうふうに捉えられているのかというのをちょっと教えていただきたいです。

前田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ございました海底下廃棄に関する規定の海洋汚染防止法第十八条七の規定でございますが、廃棄物の海洋投棄を規制するロンドン議定書の国内担保措置として設けられた規定でございます。

 このロンドン議定書上、その投棄というものには廃棄物等を海底下に貯蔵することも含まれるということでございますので、先ほど御指摘ございました第三条第七号の二におきまして、物を海底の下に廃棄することに貯蔵することも含めて海底下廃棄と定義いたしまして、廃棄物等の海底下廃棄を原則として禁止してきたものでございます。

 御指摘の第十八条の七第二号の改正規定につきましては、原則禁止しております海底下廃棄について、貯留事業実施計画の認可を受けて実施するCCSを例外的に許容するという規定でございます。

 海洋汚染等防止法におきましては、ロンドン議定書の担保の観点から、海底下廃棄に該当する行為を引き続き規制する必要があるということで、同法の用語の整理に倣い、「二酸化炭素の海底下廃棄」という文言を使用しているところでございます。

 答弁は以上です。

山本(剛)委員 ロンドン議定書のお話は条約の話なので、当然それを守りながらというのは私も理解をいたします。

 一方で、あくまでもやはり廃棄物という扱いになってしまったときの所有権の在り方というのを、私もそこはちょっと判断ができないので、是非ちょっと検討していただいて、これが文章としてこれで本当に成り立つのであればいいんですけれども、もし成り立たないというようなことになった場合にとよく考えて、是非対応をしていただきたいというふうに思います。

 ちょっと残余の質問があるんですけれども、また次回やりますので、是非よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

岡本委員長 次に、守島正さん。

守島委員 日本維新の会の守島です。

 先日、本会議で質問をさせていただき、ありがとうございました。引き続き、数点確認させていただきます。ちょっと声がおかしいのでマスクをさせていただきます。大臣に何かあったらいけないので。済みません。

 今日、私も水素社会推進法案に関してのみ伺いますが、やはりこの法律で気になるのが投資対効果のところでして、例えば、本事業の認定を受けた事業者は価格差支援であったり拠点整備支援が助成されるんですが、価格差支援だけで十五年で三兆円規模の投資になるので、それに対する効果はどうなんだということを先日確認させていただいたところ、大臣から、水素等で投資対効果も、GI基金とかも含めて十年で七兆円ぐらいの規模になるということを回答いただきました。それは官民投資、両方含めてということなんですけれども。

 そもそも、当該分野に投資される絶対額をもって投資対効果と僕は言えないと思っているので、むしろ、水素利用とかそれに付随する産業の付加価値が将来的に増えて税などを通じて回収されるところまで想定して、投資対効果というのは考えるべきだというふうに思っております。

 現段階ではそこまで精緻な評価というのはできないにしても、この十年で七兆円という数字は、どの事業が、そして官民どういう割合で、どのように見積もって出したのか、分かる範囲で教えてください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 GX実行会議におきまして、分野別投資戦略において、水素等の分野につきましては、御指摘のとおり、今後十年間で約七兆円規模の官民投資を見込んでいるというところでございます。

 この投資規模は一定の前提に基づく概算でございまして、主要項目は、一つには水素の商用規模のサプライチェーンの構築、二つ目はアンモニアの同様の商用規模のサプライチェーンの構築、それから三つ目は、水電解装置であるとか燃料電池などの研究開発や製造設備増強に向けた投資、そして最後に、FC商用車や水素ステーション等のモビリティー関連設備への投資といったようなものが総計で七兆円という形で、GX実行会議では議論されております。そういった意味では、御指摘の官民の詳細な内訳あるいは今申し上げた一から四までの内訳というものは示されてございません。

 政府としては、御指摘のとおり、投資効果、排出削減効果をしっかり踏まえてGX経済移行債による投資促進策を講じるとともに、規制、制度的措置あるいは市場創出に向けた取組等と一体的に講じる中で、百五十兆円超の官民GX投資の実現を目指していきたいというふうに考えております。

守島委員 全体の投資が百五十兆円で、今回、考え方があって水素投資に七兆円規模という、まあ考え方は分かったんですけれども、僕は、前回の質問で投資対効果について聞いたときにこの回答が出てきたので、あくまで官民で投資される規模、絶対額をもって効果と呼ぶのはちょっと違うかなと思っています。

 公共投資の投資額、絶対額を増やせば、それを効果というのであれば、その分投資額を増やせば効果が増えるということを言えちゃうし、官で一兆円投資して民で一兆円投資して、これで投資効果二兆円というのもおかしいですし、それは、官製の二兆円市場、官の割合が五〇%の市場ができたというだけであって、市場の形成を官がしたことは理解するけれども、投資対効果があったというふうには思えないので、やはり、GDPの伸びとか将来を含めた正味現在価値に換算して、利益ということを考えていかないといけないというふうに僕は思っています。

 そうした詳細な評価というのはこれからになると思いますけれども、そういうようなものを求めつつも、どんどんどんどん最近GXの予算とか法律が出てくるので、そうしたものを走らせながらも、費用対効果という点ではシビアに見ていきたいというふうに思っているんです。

 次に、具体的な細かいところだけ確認させていただきますと、例えば価格差に着目した支援でいうと、基準価格、これはまずは事業者が提示することになっていますし、その中で見ても、参照価格も、環境価値なども加味を含めた複数、三パターンぐらいの考え方で高いものを設定するということが書かれていて、炭素市場というのが確立されていない中で環境価値が機械的に適切に算出されて標準化されるのかなということに関しても、ちょっと個人的には疑問があって。

 なので、本法案で価格差支援をするのはいいんですけれども、基準価格の設定に事業者の裁量余地があるように見えてしまうんですけれども、それが想定以上の政府支出を生んだり事業者の超過利潤を生んだりしてしまわないかだけ確認させてください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 まずもって、先ほどおっしゃっておられたとおり、費用対効果をしっかり見ていくというのは我々も同じ考えでございますので、しっかりデータを取りながらやっていきたいと思います。

 また、御指摘の今の点につきましては、価格差に着目した支援制度、事業者がかなりのリスクを負いながら投資を判断できるような支援をする、他方で、委員御指摘のとおり、事業者に対して過剰な支援にならない、バランスを取った仕組みにするということが非常に大事だと考えておりまして、こうした観点から、企業が申請した基準価格については、専門的知見を有する第三者の意見を聞きながら、国が同様の案件におけるコスト等を考慮しながら適切かつ厳格に審査することで、プロジェクトごとに個別に決定することとしております。

 また、プロジェクトの選定に際しては、政策的重要性や事業完遂の見込みの観点から総合評価を行うのでございますけれども、同種事業での基準価格の低さ、あるいは自立のための事業者相応のリスク負担、工夫も評価項目としております。

 このため、仮に事業者が過大な利潤を織り込み基準価格を高く申請した場合には、総合評価において不利となる仕組みという形にする形で、過剰な利益を得ないようにという形で進めていきたいと考えております。

守島委員 是非お願いします。

 これは、厳格にしないと、理念がどれだけ崇高でも、特定企業の利益に政府が加担してしまうような現状になってしまっては元も子もないので、その点はしっかりとお願いしたいと思います。まあ、第三者が評価するということですが。

 続いて、低炭素水素の需要喚起に関して確認したいんです。

 大臣は、大規模な需要喚起策として、市場創出による利用拡大などに向けた投資に言及されていまして、中でも、例として最初に水素還元製鉄を挙げられました。電気とかの熱の生産者側の排出としてCO2を計算した場合は、エネルギー転換部門、エネルギー関係が一番、全産業の四割ぐらいで大きくなっているんですけれども、そこは、エネルギーというのは、分かりやすいというか、対処すべきだなというのは国民も理解しやすいと思っているんですけれども、各最終消費部門の電気とか熱の消費量に応じたCO2排出量でいうと、産業部門が一番大きくて、その中でも鉄鋼業が四割ぐらい占めていて、脱炭素においては製鉄分野のイノベーションというのが重要なのかなというふうに思っています。

 ちなみに、私は、社会人キャリアの最初が製鉄会社にいまして、実際に高炉がある製鉄所で生産管理とかをやって鉄の製造スケジュールとかを組んでいたんですけれども、たまたま来週も製鉄所の同期七、八人で、本当にたまたまなんですけれども、飲みに行くことになって、技術屋もいるので、実際どうなんだという話を聞いていきたいなというふうに思っていますが、それはさておいて。

 鉄作りというと、簡単に言うと鉄鉱石から純度の高い鉄を取り出すというのが最初の工程になってくるんですけれども、これを一般的に高炉という巨大などでかい窯で行うんです。鉄鉱石は酸化鉄、化学式でいうとFe2O3、FeOなんですけれども、鉄のFeと酸素のOでできていて、酸化鉄と石炭を蒸し焼きにしたコークスというものを高炉で化学反応させて鉄を取り出すんですけれども、コークスのもとは石炭なので、これはCなんですね。この石炭のCと酸化鉄のOをくっつけて一酸化炭素とか二酸化炭素を作って酸化鉄の酸素を除去していく、これを還元というんですけれども、こうした工程上、二酸化炭素を生み出してしまうという構造になっていて、産業の中で最も多く出してしまわざるを得ないという工程になっています。

 ここで、水素還元製鉄に言及を大臣にしていただきましたが、炭素じゃなくて水素によって鉄を還元させるというのを目指していて、言うなれば、CとOじゃなくて、HとOをくっつけてH2Oとかを作って酸化鉄の酸素を除去することを次世代技術としてずっとやっているわけですけれども、この技術の実装に向けたスケジュール感とか進捗であったり、今の取組を教えてください。

浦田政府参考人 お答えいたします。

 グリーンイノベーション基金における水素還元製鉄技術の開発状況でございますが、目標であるCO2排出五〇%以上の削減の達成に向けて、高炉を用いた水素還元技術につきまして、小型の試験炉において実証試験を進めているところでございまして、これまで三三%削減という効果を確認しているところでございます。

 今後のスケジュールにつきましては、昨年末までに、同基金による研究開発につきまして、試験規模の拡大などの支援拡充を行うとともに、目標である社会実装時期を当初の二〇四〇年代半ばから二〇四〇年に前倒しをしたところでございます。

 できるだけ早期に水素還元製鉄の社会実装を実現すべく、官民が連携して着実に研究開発を進めてまいりたいと考えております。

守島委員 二〇四〇年、前倒しということで実装に向けて取り組んでいただいていると思っておりますが、製鉄に関しては、高炉の利用、水素還元だけが全ての解決策じゃなくて、例えば、高炉以外には電炉というものがあります。

 これは、鉄のスクラップを主とした原材料を電極で、還元じゃなくて電極で溶かして鉄を作る方法なんですけれども、電炉由来の鉄の方が、先ほどのやり方と違うので、CO2の排出が少ないのでグリーンだと言われているんですけれども、設備自体が高炉みたいにでかくなくて、スクラップを使うので不純物とかもあって、高炉ほど製品の安定というか、化学式の安定がなかなか出せないというデメリットもあって。

 なので、比較的高付加価値なもの、高品質なものというのは高炉で作ることが多いんですけれども、それに加えて、鉄のスクラップの市場も供給量というのが限界があるので、よく電炉を使えばいいやんという話になるけれども、その供給量のそもそものポテンシャルも含めて、実際には今七割方、高炉で鉄というのは作られているので、単に電炉がグリーンだからってそれに切り替わるというのは難しいというふうには理解しているんですけれども。

 そんな中で、先日、たまたまNHKで、鉄のマーケットにおいても、電炉由来の鋼材、グリーン鋼材というのが調達ニーズが増えているというニュースを見かけたんですけれども、それって、本当に実際に市場に任せる形でグリーン鋼材の調達というのは増えているのか、そういった状況、グリーン市場の状況というのを確認したいと思いますので、分かる範囲で教えてください。

浦田政府参考人 お答えいたします。

 グリーン鋼材の市場につきましてですが、国内外において鉄鋼メーカーによる供給が始まっているところでございます。現時点では限定的な量にとどまっておりまして、本格的なグリーン鋼材市場の確立に向けては、まだ様々な課題があるというふうに承知をしております。

 具体的には、生産プロセスにおけるCO2排出削減量などのGX価値を共通の物差しで見える化していく必要があるということに加えまして、GX価値を有する製品に対して、継続的で予見性のある需要を創出していくということが必要となってまいります。

 鉄鋼製品のGX価値の見える化に向けまして、見える化の前提となりますCO2排出量の測定手法を国際的に共通化していくことが必要となってまいります。経済産業省といたしましては、昨年のG7気候・エネルギー・環境大臣会合におきまして、グローバル・データ・コレクション・フレームワークを提案し、合意を得て、具体的な議論も開始しているところでございます。

 今後、国際社会の中で、共通の考え方で排出量や炭素集約度を測定できるよう、取組をまず進めてまいりたいというふうに思っております。

 また、GX価値を有する製品に対する需要の創出に向けましては、官民による優先調達や消費者等への購入支援等の取組を通じて需要の拡大を図っていくということが重要であると考えておりまして、今後、具体的な対応に向けた検討を進めてまいりたいと思っております。

守島委員 今おっしゃっていただいたように、官民で需要を創出することが前提で、多分、マーケットに任せても、今限定的とおっしゃったように、グリーン調達というのは限定的なのかなというふうに思っています。

 GX価値の見える化ということに関しても言及していただきましたが、まだ、ここら辺に関しても、黎明期ということもあって、それこそカーボンプライシング的な発想での取引がこれから進んでいくんだろうという中、排出権取引などのスキームができ上がってくると思うし、例えば、パリ協定とかでも、相互間の合意で炭素市場のメカニズムというのは構築されてくると思っているんですが、こうした炭素市場のメカニズムありきじゃないと、特に最終消費財というか、みんな、一般の人が買うようなものじゃないエネルギーとか鉄ということに関しては、グリーン製品の購入動機というのは薄いのかなというふうに思っていて、能動的にグリーンコンシューマーが育っていくという分野じゃなかなかないんじゃないかなというふうに思っています。特に、市場に任すだけでシフトチェンジが起きる業界ではないというふうに感じていますし、経産省自体もそうだと思っているので、だからこそ、市場原理を一旦横に置いて、官民で需要をつくったりシフトチェンジを促していくべく、今回の法律を含めた昨今の様々な助成であったり、サプライチェーン全体を見てコストを下げるような取組を応援していくというような、そうした面倒を見ているというふうに思っています。

 だからといって、新たな製鉄とかエネルギーの生成に対して様々な補助を行って、そこで企業が採算を取れるようになれば、それが成功かというと、私自身は、政府も、やはり投資した分は、将来的には自立を目指しているということを先ほどの質疑とかでもずっとおっしゃっていたんですけれども、やはり回収していかないといけないと思っていますし、市場に介入し過ぎることに関しても、やや懐疑的に思っている派ではございます。

 そもそも、企業が採算を取れるようにしたとしても、川上部門で原材料を高騰させると、あらゆるものの物価高騰を招く可能性も含めて、そういった問題も起こり得るという中で、やはり、製造工程の変革は、フェアなマーケットベースでの採算性というのが重要で、新たに国による官製需要をつくったとかマーケットをつくった、それが回ってその企業が利益が出るようになればそれでいいんだよという話じゃないと僕自身は思っています。

 なので、GX投資は重要なんですけれども、市場に政府が肩入れし過ぎると、結果として、そこに甘えて、製造コストの増をそのマーケットで招いてしまったり、日本の今ある国際競争力を落としたりしかねないなというふうに思っています。二〇五〇年カーボンニュートラルという目標に関しては理解しているんですが、その手段としては、例えば鉄鋼でいうと、水素還元製鉄もそうですし、電炉を中心としたグリーン製鉄を伸ばすというのもそうかもしれないし、先ほどCCSの話をずっと皆さんされていますが、コークスで還元しても、直接高炉からCO2を取り出して、もう地下にCCSで貯留していく方が効率いいやんという可能性もあるし、道筋というのはいろいろあるというふうに思っているんですね。

 だから、荒井議員が先ほどおっしゃってくれたように、今パラレルで、それぞれの技術を確立すべく経産省を中心に応援してくれていますけれども、実装段階での技術動向であったりコストとか価格動向、現状を見て、それこそカーボンプライシングも、今は黎明期で制度設計段階ということで外部の状況とか環境を見ながら合理的なアプローチをしていくことが、それで荒井議員言ったように、いざとなれば撤退も選択肢の一つになってくると思いますので、脱炭素に向けては、それこそエネルギーの構成比率なんかもそうなんですけれども、計画に対してやはり柔軟な対応力が経産省には必要なんじゃないかなというふうに思っていますが、そうした考えに対する大臣の見解を教えてください。

齋藤(健)国務大臣 GXの実現に向けては、排出削減だけではなくて、産業競争力の強化につながる投資、こういったものを加速させていく必要がまず前提としてあります。その際、実装段階にある技術につきましては、市場メカニズムを活用して、コスト合理的な技術を優先的に導入をしていくこと、これは重要な視点なんだろうと思います。

 他方で、我が国が競争力を高め、カーボンニュートラルを実現するためには、例えば水素を活用した製鉄プロセスなど、現時点では研究開発や実証段階にある技術も活用することが併せて必要なんだろうと思っています。そうした技術については、一定の政策資源を投入しなければいつまでも導入が進まず、結果としてカーボンニュートラルの実現が難しくなってくるということでありますので、こういう問題意識の下で、GX実現の方向性や投資促進策、あるいは規制、制度的措置の見通しを示して、事業者の投資の予見可能性を高めるために、専門家の知見等も踏まえて、昨年末に十六分野において分野別投資戦略を策定をしたところであります。

 委員おっしゃるのは論理的には分かるんですが、まずはこれらの戦略に基づいて着実に民間投資を促進をしていくとともに、技術開発の動向などを踏まえて、進捗評価、これを定期的に実施をして必要な見直しを検討していく、こういう進め方しかないんじゃないかなというふうには思います。

守島委員 大臣、公の関与を真っ向から否定しているわけじゃなくて、その時々の合理的な選択で、最終的には将来の国益に資するという、その概念だけは共有していると思うので、そこに向けて冷静に進んでいきましょうということを僕からも訴えさせていただきました。

 大臣おっしゃってくれたように、今いろいろな制度を通じて、需要創出も含めて、カーボンニュートラルを実現していこうと動いているんですけれども、以前、トヨタの、今会長の豊田章男会長が、少し前に、EV化のためにガソ車を二〇三〇年までに廃止すると政府方針が出された当時、自動車ビジネスが崩壊する、内燃機関が敵なのかということを強くおっしゃられたことが印象に残っていまして、これは重要な示唆だと思っています。

 もちろんトヨタはEVに力も入れていますし、脱炭素は全く否定しているわけじゃなくて、現行のビジネスを生かした利益はしっかり得ていかなければいけないと思うし、既存技術における優位性で日本の経済というのは成り立ってきたと思うので、そうした優位性とか、そこで生み出した利益が次の投資の源泉になっているということは間違いないと思うので、そこは国益を考えてやってほしいなというふうに思っています。実際には、イギリスも、ガソ車の販売を二〇三〇年から五年、昨年延ばして二〇三五年にすると言ったし、EU自体も、ドイツが頑張って、合成燃料に関しては二〇三五年以降も販売可能、合成燃料車販売可能というような方向で、全て内燃機関ノーというようなことを言っているわけじゃなくて、この市場を先導しているEUであっても今の技術とか実際のマーケットということに配慮がなされているなということを踏まえると、やはり市場に対する現実的でフェアなアプローチが大切だというふうに思っています。

 改めて、最後に、脱炭素を目指して新たな市場とか技術イノベーションを誘発することは重要なんですけれども、投資の源泉たる利益を確保するための企業の競争力を担保していくために、しっかりと日本の企業の競争力を担保してほしいと思うんですけれども、GX投資というのは非常に裾野が広くて、多くやっていると思うんですけれども、これが政府の市場介入じゃないかという意見に対して、率直に大臣の思いを最後に聞かせていただけたらと思います。

齋藤(健)国務大臣 先ほども少し触れましたけれども、カーボンニュートラル実現に向けては、脱炭素効果の高い技術の導入、これが不可欠であるわけですが、そうした技術への投資というのは、技術成熟度が低くて、既存の技術と比べて割高である場合が多いんですよね。したがって、世界的に見ても民間企業のみでは投資が進まない状況である。特に環境対策というのはそういう傾向があろうかと思いますが。

 このため、欧州では排出量取引制度を中心とした投資促進策が、あるいは米国ではインフレ削減法に基づく支援策が講じられるなど、やはり各国政府がこの分野で大胆な支援を講じていて投資を誘導しているということ、こういう現実があるわけでありますので、日本の政策が取り立てて過度な市場介入であるというふうには私は考えていないということであります。

 我が国としては、こうした諸外国の取組を注視しながら、GX経済移行債を活用した投資支援策だけではなくて、カーボンプライシングですとか本法律案などの規制、制度的措置を効果的に組み合わせて、我が国のGXの取組を強力に推進をしていきたいということであります。

守島委員 大臣、ありがとうございます。

 以上で終わります。ありがとうございました。

岡本委員長 次に、笠井亮さん。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 今回の水素、CCS関連二法案の趣旨説明で、齋藤大臣は、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、鉄鋼や化学等の脱炭素化が難しい分野においてもGXを推進していく、このように述べられました。

 そこで、この鉄鋼や化学等という、この等という中には石炭火力発電は含まれますか。

齋藤(健)国務大臣 二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けては、鉄鋼や化学等の産業分野に加えまして、再エネの変動性を補う調整力や供給力、これらを確保する観点等から、引き続き重要である火力発電についても水素やCCS等を活用して脱炭素化を進めていくことが必要であるというふうに考えていますので、御指摘の等には石炭火力が含まれるということになります。

笠井委員 アンモニア混焼で、燃料を混ぜて使って、そして、排出されるCO2はCCSで地下に貯留しながら、今後も石炭火力は使い続けるということになるわけですか。

齋藤(健)国務大臣 結論から言えば、いつまでというのはありますけれども、当面は使い続けるということになるんです。

笠井委員 アンモニア混焼火力について、JERAの碧南火力発電所で実証実験が今行われていますが、石炭火力におけるアンモニア混焼率二〇%の本格運用の開始というのはいつと見込んでいるんでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 二〇二一年度から、NEDOによる支援の下で、株式会社JERAの碧南火力発電所においてアンモニア混焼の実証実験が開始されています。今月から、商用運転中の百万キロワットの実機において、二〇%混焼試験が開始される予定であります。

 アンモニアの供給に支障がないことを含めて、混焼試験の結果を確認した上で、二〇%混焼は二〇二〇年代後半には実用化する、そういう予定と認識をしています。

笠井委員 仮に実験がうまくいったとしても、二〇二〇年代の後半と。

 今年一月十一日に、電気事業低炭素社会協議会が説明して、産構審のワーキンググループに出したペーパーによると、二〇三〇年ということを言っているわけですが、昨年のCOP28期間中に、石炭火力発電のフェーズアウトを約束する脱石炭国際連盟にアメリカなどが新たに参加をいたしました。ジョン・ポデスタ米大統領上級顧問、国際気候政策担当も、三月十九日付の日本経済新聞に掲載されていますが、取材を受けて、日本でなお依存度が高い石炭火力発電について、温暖化ガス排出をいつどのように実質ゼロにするのか、実質ゼロ、明確な計画を示すことが大切だ、こう述べております。

 そこで、大臣、G7の中で唯一不参加で、そして石炭火力廃止を決めていないのは日本だけだと思うんですが、今後もこの石炭火力の廃止期限というのは決めないんですか。

齋藤(健)国務大臣 エネルギーをめぐる状況は、各国千差万別であります。資源が乏しく、周囲を海で囲まれた我が国においては、SプラススリーEの原則の下であらゆる選択肢を確保し、安全性、安定供給、経済効率性、環境適合を踏まえたベストミックスを考えていくことが重要、そういう国柄であります。

 他方、必要な供給力が必ずしも十分に確保されていない段階で、直ちに急激な石炭火力の抑制策を講じることになれば、電力の安定供給に支障を及ぼしかねない、これが現実であります。

 こうした中で、石炭火力については、廃止の期限を区切ることは考えておりませんが、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、安定供給を大前提にできる限り発電比率を引き下げていく、そういう考えであります。

 具体的には、二〇三〇年に向けて、非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めていきます。さらに、二〇五〇年に向けては、水素、アンモニアやCCUS等を活用して石炭火力を脱炭素型の火力に置き換える取組を加速をしていく、こういう方針で取り組んでいきたいと思っています。

笠井委員 エネルギーをめぐっては各国千差万別といいながら、千差万別の中でどうやってこの気候危機を世界が力を合わせて打開をするかということでありまして、そういう点から、石炭火力廃止を考えていないということは非常に極めて重大だと思うんですね。

 世界気象機関、WMOは、三月十九日に公表された年次報告で、観測史上最も暖かい一年、そして十年であった、こう述べて、過去一年間の世界の平均気温は、産業革命前に比べておよそ一・四五度上昇していると警告をいたしました。まさに、パリ協定に基づいて一・五度までに抑える気候危機打開の取組は待ったなしということだと思うんです。

 そういう中で、今回の二法案によってこれからも石炭火力を使い続ける仕組みをつくるということは、COP28の、化石燃料からの脱却に決定的に重要な十年に行動を加速させていくという合意に逆行するものになるんじゃないですか、このCOP28の合意に。

齋藤(健)国務大臣 笠井委員は、使い続ける、使い続けるとおっしゃいますけれども、できるだけ使わないで済むように段階的に我々は取り組んでいきたい、この法案もそういう趣旨の中での取組であります。

笠井委員 廃止を決めないで使っていくということになるわけです。そのための仕組みということで出されている。

 まさに、そういう点では、裏金の額の多かった前の前の経済産業大臣は、私の質疑の中で、二〇五〇年なんだ、カーボンニュートラル、そこまで駅伝なので往路であれでなくても復路で回復すればいいんだと言われたんだけれども、そうじゃなくて、まさにこれから一年一年、また、これは特にCOP28もそうですが、決定的に重要な十年にやらないと、その先はないんだということが問題になっていると思うんですね。

 CO2を回収して地下に貯留するからと、二〇五〇年に向けて化石燃料、石炭火力を使い続けてCO2を出し続けるという仕組みをつくって、アジアを始めとして他国も巻き込んで進めるということになりますと、これはやはり世界の脱炭素の取組への妨害にほかならないということになると思います。

 環境団体やNGO、NPOからは厳しい批判の声が上がっています。自然エネルギー財団は、CCSへの過剰な依存が日本のエネルギー政策をゆがめる、FoE Japanは、CCSは将来世代に気候変動対策を先送りする、気候ネットワークは、再エネ代替がある電力分野、括弧、火力は全て対象外とすべきというふうにしております。

 やはり、法案審議において、これらの意見に当委員会としても、参考人質疑もやるわけですが、しっかりと耳を傾けて、きちんとそういう意見も反映させるように、ふさわしい役割を委員会としても果たすべきだし、私もそのために尽力したいと思います。

 その上で、CCS事業法案について幾つかただしたいと思います。

 本法案は、CO2の貯留を進めるための試掘、貯留事業の許可制度の創設、試掘、貯留事業の実施計画の認可制度の創設を定めるものとしております。

 第六次エネルギー基本計画では、火力発電でのCCS活用について、二〇三〇年に向けて、技術的課題の克服、低コスト化を図ることが不可欠であり、CCSの商業化を前提に二〇三〇年までの導入をすることを検討するために必要な適地、技術開発、輸送実証、事業環境整備というふうにしております。

 そこで伺いますが、この火力発電でのCCS事業をいつまでに開始するという目標になっているのでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 CCS長期ロードマップでは、二〇三〇年までの事業開始に向けた事業環境を整備していくこととしておりまして、電力分野のトランジションロードマップにおきましても、電力分野の脱炭素化に向け、CCSを二〇三〇年代から実装、導入する見通しとしています。

 経済産業省としては、二〇三〇年までのCCS事業の開始に向けて、横展開可能なビジネスモデルを確立するため、火力発電におけるCCS事業を含む模範となる先進性のあるプロジェクトについて、令和五年度に先進的CCS事業で七つのプロジェクトを採択し、集中的に支援をしているということであります。

笠井委員 二年前のエネルギー合理化法改定の質疑の際にも議論をいたしましたが、元々、二〇〇八年七月に閣議決定された低炭素社会づくり行動計画で二〇二〇年までの実用化を目指すと記載されていましたが、達成できなかったと。今度は、今大臣言われた、二〇三〇年と言われているわけですが、もう残り六年しかないわけで、それまでに本当にできるのかという問題が問われていると思います。

 そこで伺いたいんですが、世界で現在稼働しているCCSつき石炭火力というのはどこでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 CCSの専門調査機関でありますグローバルCCSインスティテュートが提供するCCS施設データベースによれば、アメリカ、カナダでそれぞれ一か所、中国において二か所、これら、石炭火力発電所からCO2を回収し、石油の増産目的も含め、地下に貯留している事業が操業中であるというふうに認識してございます。

笠井委員 アメリカ、カナダそれぞれ一か所に中国二か所、四か所だけということでありました。

 カナダのプロジェクトというのは、装置の不具合などで長期間停止するなどによって、安定的なCO2回収ができておらず、実際の回収率は六割程度にとどまるとされております。アメリカのプロジェクトも、採算が合わずに一旦停止して、二〇一七年―二〇年の回収率は多くても六割以下というふうに見積もられているということです。しかも、いずれも原油の採掘量を上げるEOR、アメリカ、カナダですが、原油増進回収のタイプで、むしろそのことによって化石燃料の増産を促進しているということであります。

 そこで、齋藤大臣に伺いますが、IEA、国際エネルギー機関の二〇五〇年ネットゼロ報告書が二〇二一年の五月に出されておりますが、二〇五〇年の電源構成としては、自然エネルギー八八%の一方で、CCSつき火力というのは三%しか見込んでおりません。それを日本ではあと六年で事業化できるということが言えるんでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、経産省といたしましては、二〇三〇年までにCCS事業の開始をすべく、企業を募りまして、先進性のあるプロジェクトの実施主体を募集してございます。それで、七プロジェクトを選定しておりまして、彼らが今鋭意、二〇三〇年の事業開始に向けて、事業モデルの検討それから様々な設備等に関する設計などに着手しておりますので、これらを支援することで我が国としても二〇三〇年の事業開始が見込めるというふうに考えてございます。

笠井委員 七つのプロジェクトで鋭意着手しているということで、頑張るという話ですね、要するに。まだまだ実用化にはほど遠い状況だということだと思うんです。

 二〇二〇年に実用化と言っておきながら、二〇三〇年ということで十年間延ばして、またできないということになったときに、そこで慌てて、いや違う方法でやるかといっても、もう二〇五〇年カーボンニュートラルを掲げているというんだったら間に合わないことになってくる。やはり今ある技術、先ほども今ある技術という議論もありましたが、省エネ、再エネ含めて、それを最大限活用するということでどうやるのかということにもっと力も注がなければいけないんだと思います。

 更に伺いますが、高濃度のCO2は命の危険が高い物質であります。米国のミシシッピ州では二〇二〇年にCO2パイプラインが破損をして、三百人近い住民が避難をして、四十五人がCO2中毒症状で病院に運ばれたということでありますが、大臣、事故が起これば住民に大きな被害が出る、そういう認識は当然ございますね。

齋藤(健)国務大臣 高濃度CO2は、不活性ガスであり可燃性ガスではないものの、万が一、人が大量に吸い込んだ場合、呼吸困難などの人体に悪影響が出るというふうに承知をしておりまして、CCS事業の実施に当たっては安全確保に万全を期すこと、これが重要であります。

 そのため、貯留事業の実施に当たりましては、CO2の大規模な漏えいを防止する観点から、坑井、井戸からの噴出を防止するための措置などを事業者に求めていくことになります。

 加えて、CO2注入前の実施計画の認可時には、事業者が適切なリスクマネジメントを行っているか厳正に審査するとともに、計画認可後も継続的なモニタリングの実施、これを求めていくことになります。

 また、導管輸送事業においては、高圧状態のCO2導管輸送に耐えられる強度の確保や、緊急時に備えた遮断装置の整備などを含む技術基準について、今後専門家の御意見も聞きながら具体的な検討を行っていく所存であります。

 このような取組を通じて、安全かつ安定的なCCS事業を実施してまいりたいと考えております。

笠井委員 まさに、本当に高濃度のCO2というのは大変ですよね。無色無臭で空気より重いということで、高濃度で大気中に漏出した場合に、窒息等の健康被害、命に関わるというおそれがあるということで、大臣、今、漏えい防止ということで事業者にきちっと求める、それから審査もきちっと厳格にやる、モニタリングもきちっとやるんだと言われたんだけれども、それで本当に大丈夫かということも、本当にこれは何重にもやはり検討しなきゃいけない問題があると思うんです。

 例えばですが、CCSには、地中に注入することによって地震が誘発される可能性とか、あるいはCO2が漏れ出したときのリスクとか、水ストレスの増加とか、海洋酸性化などの環境に対する影響の懸念も出されております。

 特に、この間もそうですが、能登半島地震もそうでした、原発の問題がありました、地震大国日本でも、これが大丈夫、地下貯留の適地があるという、その点での、地震大国の日本という点での特徴から見て科学的根拠というのは何でしょうか。

齋藤(健)国務大臣 まず、CO2の貯留適地につきましては、一般的に深度八百から千メートルより深くCO2をためることができる貯留層とCO2の上部移動に対する蓋となる遮蔽層、これが組み合わさった地質構造が適しているものというふうに承知をしています。このことは気候変動に関する政府間パネル、IPCCが二〇〇五年に科学的根拠に基づきまとめたCCS特別報告書において示されているものであります。

 我が国では、既に苫小牧での実証で三十万トンのCO2を貯留した実績があり、既に貯留適地の存在は確認をされています。

 また、日本CCS調査株式会社が専門家の意見を踏まえて行った試算では、有望地点十一地点で合計約百六十億トンの貯留可能量があると推定されていると承知をしています。

 国としても、今後も新たな探査データを積み上げて、CO2貯留適地の調査を計画的に推進をしていきたいと思っています。

 その上で、正確にどの程度の貯留適地があるかについては、事業化の段階で事業者が法律に基づき探査や試掘を行うことを通じて、必要な精査が今後行われていくというふうに認識をしています。

笠井委員 地震大国日本ということでの科学的根拠を伺ったんですが、具体的にお示しになりませんでした。

 アルジェリアのCCS事業では、枯渇したガス田に二〇〇四年からCO2を圧入していたけれども、CO2が漏れ出ることを防ぐ地層の動きが認められて、漏出の危険もあって、二〇一一年に注入が中断をされました。こうしたリスクをやはり十分に踏まえるべきだということだと思うんです。

 そこで、関連してですが、本法案では、CCS事業の試掘や貯留事業者の許可、特定区域の指定、貯留事業、導管輸送事業の規制等、多くの権限が経済産業大臣、国の所管となります。都道府県知事と協議あるいは公告縦覧する条文はありますけれども、関係住民や関係自治体が意見を述べる機会は法的に担保されていない。

 齋藤大臣は三月十二日の本会議で、国が主導して地域ごとに説明会を行って、CCSの政策的意義や負担、安全性などを丁寧に説明と答弁されていますけれども、そこで関係住民、関係自治体の合意が得られない場合には、その地域での立地というのは断念するということでよろしいんですね。

齋藤(健)国務大臣 CCS事業を行うに当たりましては地元の皆様の理解を得ながら進める、これは重要であります。

 万が一、説明を尽くしても地元の理解を得られなかった場合には、地元の意見を踏まえた上で、許可要件に照らし、総合的に判断をしていくことになります。

 その上で、こうした事態が生じないよう、しっかりと御理解いただくため、事業者とともに地元の関係者の皆様に丁寧な説明を尽くしていく、このことに尽きます。

笠井委員 岸田政権が丁寧に説明というのは、もう決めて、問答無用ということではないか、辺野古しかりという声が多く上がっているわけであります。決してそんなことはやってはならないと申し上げておきたいと思います。

 では、経済合理性はどうか。

 齋藤大臣、改めて確認しますが、この事業においてCCSにどれだけのコストがかかると試算しているんでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 CCSは、世界的にも商用ベースの大規模プロジェクトがこれから本格的に稼働していく段階でありまして、そのコストは地理的条件、制度、プロジェクト固有の条件などに大きく左右されます。このため、現時点でCCSのコストについて一概に申し上げることは困難でございます。

 その上で、公益財団法人地球環境産業技術研究所、RITEにおきましては、現在のCCSコストをCO2一トン当たり一万二千八百円ないし二万二百円とした上で、二〇五〇年にはCCSのコストを現在の水準から四割程度低減させることができるとの試算を示してございます。

 CCSのコスト低減は重要な課題でございまして、経済産業省といたしましては、引き続き、新たな分離・回収技術や大容量化した液化CO2輸送船などの研究開発に取り組んでまいりたいと考えてございます。

笠井委員 CCS長期ロードマップは、「引き続き、コスト低減を可能にする技術の研究開発・実証を推進する。」と、今言われたそれがあるだけで、四割程度削減になっても、六割でも結局高額であります。

 アメリカのシンクタンク、IEEFA、エネルギー経済・財務分析研究所によれば、CCSを使用した火力発電の発電量当たりのコストは再エネと蓄電の組合せよりも少なくとも一・五倍から二倍になるとしております。そういう額というのは結局電気料金に上乗せされて、国民負担ということになるんじゃないですか。

定光政府参考人 お答えします。

 CCSの実施に伴いましては、その設備それから運営費に関して一定のコストがかかります。それに関しては、これから研究開発等によって下げる努力をしていく必要がございます。

 このコストをどのような形で負担していくかにつきましては、海外では、税制支援というような形でやっていたり補助金のような形でやっていたり、様々な工夫が講じられているところでございます。

 今回、事業実施のための許認可、それから安全規制などに関する事業法を提案させていただいておりますけれども、我が国としてこのCCSのコストをどのような形で負担していくか、あるいは事業者を支援していくかということについての枠組みについては、今後の検討課題というふうに考えてございます。

笠井委員 国民負担にならないとははっきり言われないわけで、電気料金なのか税なのかということはどうしても結局国民にかかってくるのではないかということになると思います。

 そこで、経産省に伺いますが、CCS事業コスト・実施スキーム検討ワーキンググループというのがあります。この第三回、二〇二二年十月三十一日において、「各企業の皆様、それから団体の皆様からCCS導入に向けた支援策に関する提言を頂くというのが今回の大きな目標値」、議事要旨の中にもそのように書かれていますが、その観点から、十九の企業、団体からかなり具体的な政府支援策の要望を受けているというふうに思うんですが、このときにプレゼンした企業、団体はどこでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 このCCS事業法の検討過程におきましては、学識経験者、あるいは消費者、労働組合の代表の方、自治体の代表の方などに幅広く御意見をお聞きしてきておりますけれども、御質問いただいておりますこの会合におきましては、CCSの事業化に必要な施策について意見を聴取するため、既にCCS技術を有し、CCSのバリューチェーンに関与している十九の企業、団体から要望について説明をお願いしたものでございます。

 具体的には、日本CCS調査株式会社、電源開発株式会社、株式会社INPEX、石油資源開発株式会社、JX石油開発株式会社、三菱商事株式会社、伊藤忠商事株式会社、三井物産株式会社、川崎汽船株式会社、株式会社商船三井、石油鉱業連盟、石油連盟、天然ガス鉱業会、日本ガス協会、日本製紙連合会、電気事業連合会、一般社団法人日本鉄鋼連盟、一般社団法人セメント協会、一般社団法人日本化学工業協会の以上十九でございます。

笠井委員 具体的にそこで出されたプレゼンでの要望項目というのを私も拝見しましたが、技術開発、実証への支援、CCS事業法の早期整備、コストの支援、具体的にそういうことも書いてありまして、かなり細かい具体的なことも言われていますが、結局、照らし合わせてみると、本法案はそれらを具体化したものになっているということが明らかになっていると思うんです。

 この二〇二二年にプレゼンした十九企業、団体のうち、半数近くの九団体、企業が献金を自民党の政治協会に行っております。三菱商事二千八百万円、伊藤忠商事二千八百万円、三井物産二千八百万円、商船三井二百万円、石油鉱業連盟四百万円、石油連盟五千万円、日本製紙連合会五百万円、日本鉄鋼連盟六千万円、セメント協会九百万円ということで、それが自民党の国民政治協会に政治献金として行われていて、その総額は二億一千四百万円にも上ります。それに加えて、政治資金パーティー券の購入もあるかもしれないということでありますが、齋藤大臣、この今回の法案というのは、そうした献金の見返りにこれら企業、団体の要望を結局取り入れているわけですから、丸のみしたと言われても仕方がないんじゃないんですか、そういうことじゃないんですか。

齋藤(健)国務大臣 こういう企業を呼んでプレゼンするときに、自民党に幾ら献金しているかとかいうことを考えて企業を選んでいるということはあり得ません。

笠井委員 あり得ないと言っても、そういう場をつくって、そういう方々から聞いて、そしてその企業、団体は献金をしているという関係がある。それで、結果としてそれが反映された法律案ができている。これらの企業、団体の要望を直接聞きながら、環境団体やNGO、NPOの要望は全く聞いていないわけですよ、そういう場で。

 CCSは、GX移行債で今後十年間に四兆円もの官民投資を見込んでいるわけで、法整備を要望している業界自らが、技術確立に係る不確実性が高い、多額の投資が必要となる一方でリスクも非常に高いとしております。大手電力とかガス、鉄鋼、化学などCO2多排出産業の要望に応えて、この事業に多額の国費を投入して投資を促して、コストとつけば電気代、税金として国民に転嫁されるなど到底認められない。

 石炭火力の延命、金の力で政策をゆがめる政治から脱却をして、省エネ、再エネへの転換、そして、企業・団体献金は政治資金パーティー券の購入も含めて禁止することこそ、やはりこれから進むべき道だ、そのことを強く申し上げて、今日の質問を終わります。

岡本委員長 次に、鈴木義弘さん。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。今日一日お疲れさまです。

 早速質問に入りたいんですけれども、先週の大臣所信でもお尋ねしたんですが、エネルギーを供給する国と消費する国との経済の覇権競争が激化する時代なのかなというふうに感じます。我が国の経済を維持しつつ地球環境を保全していくのは、やはり不断の努力が求められている、これは当たり前の話だと思います。

 しかし、我が国はこれまで、豊かさを求めるため、経済効率やコストだけに焦点を当て過ぎてしまい、大量生産、大量消費、大量廃棄の価値観によって経済活動を行ってきました。この価値観を変えなければならないし、また、これも先週お尋ねしたところの続きなんですけれども、制度に対してゲームチェンジを簡単に行ってしまう欧米によって、我が国が行う莫大な投資が無駄になるおそれはないのか、まずお尋ねしたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 御指摘のとおり、欧州始め国の内外で、大量生産、大量消費、大量廃棄の見直しを求める声が私は高まってきていると思います。そうした中で、我が国では、近年、サーキュラーエコノミーへの移行に向けた取組を産官学で進めてきています。

 こうした動向が今後も進展していく中で、古くから日本人が育み実践をしてきました、もったいないという価値観を土台に、サーキュラーエコノミーの考え方や取組を企業や個人の経済活動に更に浸透させていくこと、このことは、私は結果として持続的な成長につながっていくのではないかというふうに考えています。

 脱炭素に向けた世界の動向については、昨年、欧州の電動車販売規制を一部見直す動きが見られたことも事実ですけれども、他方、先月、EUが二〇四〇年までに一九九〇年比で排出量を九〇%削減する目標を新たに提案するなど、脱炭素に向けた大きな流れは、多少のぶれはあっても変わっていないものと認識をしています。

 政府としては、こうした国際動向も注視しながら、我が国が世界に誇る技術力を生かして、脱炭素等の国際公約と産業競争力強化、経済成長を共に実現をしていく、GX政策を強力に推進してまいりたいというふうに考えています。

鈴木(義)委員 去年のGXの法案のときにも質問したんですけれども、私の今のライフスタイルでどのぐらいのCO2を出しているのか。例えば、私のところも小さな企業を営んでいますけれども、うちの会社が今CO2をどのぐらい出しているんですかと。電気は東電から買っているんです。使っているトラックの燃料は、軽油はスタンドで経産省の認証を受けた燃料を使っているし、車も型式認証を取っているトラックを使っているんです。そういった企業にCO2を削減しろと言っても、自分が、じゃ、実質どのぐらい出しているのかが分からなければ、何をどう努力していいかが分からないだろうということなんですね。それなのに、国はどんどんどんどんいろいろなことを進めていこうとするんですけれども、それはみんな様子見になっちゃいますよね。だって、何がどのぐらい出ているか分からないんだもの。

 昨年の答弁では、今それを研究チームをつくってやっていますという答弁だったと思うんですけれども、いまだにまだ聞こえてこないんですね。まあ、時間もかかるでしょう。一つ一つの品目をどう捉えていくかというのはなかなか難しいと思うんですけれども、例えば、私たちが今飲んでいる、これはガラスのコップですけれども、これがもしプラスチックの容器だったら幾らCO2が出ているのか。ガラスを作るときにもCO2は出るでしょう。そこから逆算してでも何でもやらないと、私たちのライフスタイルとか私たちの事業活動をどう変えていけばCO2を削減できることにつながっていくのかというのは、一番の川下のところの議論になってしまうんですね。

 でも、今回の水素だとかCCSの、一般の家庭で出たCO2を、じゃ、何かで冷やして入れさせてくれるかというと、そんなことはないと思うんです。そこのところがまだ全然明確に見えてきていないんじゃないかなというふうに思います。

 それと、もう一点。国内産業がGXに向けて取組を促進させる法整備を、まあ今回のこともそうなんでしょう、矢継ぎ早に行っているんですけれども、一方、我が国は、海外で製造した素材や部品を輸入して、加工して製品を作っています。海外から輸入する素材や部品について、我が国が進める脱炭素化やGXに対応ができていない国から今までと同じように調達をしていて、いや、私の国はGXがこんなにうまくいったんだ、水素の社会になっていくんですといって世界が認めてくれるかということも考えなくちゃいけないんじゃないかと思うんですね。

 ある自動車屋でいけば、日本の外、海外から部品を調達して、日本で組み立てて輸出をして外貨を稼いでいる現実もあります。日本の中にある製造業が、全部日本で自前で作っている素材だとか部品ばかりじゃないわけですね。

 そういう状況の中で前のめりにどんどんどんどんやっていくのは、まあ時代の趨勢なんでしょうけれども、そこのところをどう捉えるか、どうジャッジされるのかというのは経産省としてお考えになっているのかどうか、まず初めにお尋ねしたいと思います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 新興国を含めたサプライチェーンのGXを推進していくということは、サプライチェーンでのGXの進展も評価されるようになってきておりますので、その意味で、我が国企業の競争力強化ですとか、あるいは世界の脱炭素化への貢献の観点から極めて重要になってきている、このように考えております。

 それから、製造時の二酸化炭素の排出量につきましても、一定のルールの下でユーザー側でカウントする仕組みも必要ではないか、こうした議論も世界では行われてきておりまして、必要な議論、検討を進めていく必要があります。この観点からも、新興国におけるGXの取組を併せて進めていくこと、この必要性も高まってきているというふうに思います。

 また、温暖化問題というのは世界規模で取り組まなければいけない、そういう課題でございまして、そうしたことから、多くの新興国がカーボンニュートラルを宣言している、こういう状況にございます。こうした新興国におけるGXの取組は、今後ますます重要になってまいります。

 こうしたことから、大きな経済成長ポテンシャルを持ち、かつ世界の排出量の過半を占めるアジアを巻き込んだGXの取組を推進していくことが、日本にとっても、また世界全体にとっても極めて重要であるというふうに考えておりまして、取組を進めてまいりたいと思います。

 一例としては、AZECにおきまして、昨年十二月に首脳会合を開催し、GXなどに関係します約七十のMOUを含む三百五十件以上の協力案件が成立をいたしました。今後、これらの取組を更に加速してまいりたいと思います。

 御指摘のように、アジア等の新興国におきまして、現段階ではまだGXに十分に対応できていない国があるのも事実でございます。一方で、そうした国からの調達、供給を今すぐ止めるというのが答えになるとは思っておりませんで、むしろ、そうした国におけるGXを支援もし、進めていくという対応を進めていきたい、このように考えているところでございます。

鈴木(義)委員 五年前だったんですけれども、ベトナムに行く機会があって、がたがた道、国道だというんですけれども、日本よりも全然整備がされていない。マイクロバスみたいなのに乗って移動したんですけれども、何か随分もくもく煙が上がっているなと思ったら、火力発電所ですって。石炭の火力発電所、五年前。GXを日本が支援するからといって、はい、分かりましたといって違うエネルギー源に変えられるというのはそう簡単じゃないと思うんですね。

 ただ、それをどんどんどんどん輸入をして、だって、貿易の自由化が、現政権もそうだし前の前の政権もそうですけれども、世界でネットワークを組んで、いろいろなものを日本にも入れてもらうんだという考えでやってきたわけじゃないですか。そうすると、そこで作って私たちが便利に豊かに使っているものの大半が、GXとは全然ほど遠い商品が入ってきていて、何かここでかけない限りは、国内で作ろうというふうにはインセンティブが働かないんじゃないかというふうに思います。

 そのためにも、低炭素水素等の法案で言っている国際ルールの確立を日本が先導していくべきというのは論をまたないと思うんです。それをどうやって先導していくかということですね。じゃ、水素の濃度を何%まで高めれば水素というのか、一%でも一〇%でも入っていれば水素というのか、一〇〇%じゃないと認めないのか、そういう基準を作っていくのと、じゃ、水素のタンクから、車なら車にチャージしましょう、そのノズルの規格をどうするかという、細かい話ですけれども、そういったことも全部必要になってくるし、それがみんな各ばらばらでやり始めたらコストは下がらないと思うんですね。そういったものをやはり国際標準で日本が先導してやっていくんだったら、やはりそういうものもきちっと整備していきましょうというのが大切だと思います。

 もう四十年ぐらい前の話ですけれども、パソコンのインターフェース、十六ピンもあれば三十二ピンもあったんです。それが、SCSIだとかSASIだとかと言っていた時代は私たちの世代で、今の世代の人には笑われちゃうんだけれども、今はUSBケーブルを差せばいい。それだけ技術が変わっているということです。

 だから、そうなる前に、やはり、今はほとんどのパソコン、こういう携帯も、スマホもそうですけれども、大体同じような端末になっていますよね。単純なことかもしれませんけれども、そういう規格をやはり世界にルール化しようというふうに呼びかけるのも大事なことだと思うんですけれども、それについての取組をお尋ねしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、CO2の排出量の算定方法に関する国際ルール作り、あるいは低炭素水素の判別方法の国際ルール作り、非常に重要だと考えてございます。

 現在、イギリスであるとかドイツであるとかアメリカであるとか、こういったところでは、低炭素水素の導入に向けた支援施策をどんどん講じようとしておりまして、各国が独自の算定、評価方式を採用しているところでございます。

 一方で、これは認識をそろえていく必要があるということで、昨年札幌で開催されたG7気候・エネルギー・環境大臣会合におきましては、我が国がG7議長国としての立場を生かしまして、水素製造について、炭素集約度に基づく温室効果ガス算定方法等に関する国際標準の開発というものを提案いたしまして、その重要性につきましてはG7各国の御理解を得ております。

 今後の進め方でございますけれども、こうした、やることの重要性についてのトップの理解は得ておりますので、主要国が参加する場での国際的な議論、これをリードしていく必要がございまして、今は米国、英国、ドイツあるいは韓国など主要国との二国間での対話を深めております。

 こうした協力関係の構築を進めて、G7、あるいは我が国が主催しております水素閣僚会議、こうしたところで国際ルールの確立に向けた議論を主導していければというふうに考えております。

鈴木(義)委員 まあ、頑張ってくださいと言うしか言いようがないんですけれども。

 今も答弁の中で、各国が独自な算定をしてCO2の排出量を積み上げていると。日本も、環境省が出しているCO2の量というのは、去年のうちも、二億、ちょっと数字が頭から抜けちゃっているんですけれども、じゃ、各国で排出しているCO2が、さっきの二番の問いに戻っていくんですけれども、そこの国でどのぐらいCO2が出ているのかという数字が正確に把握できて、そこの国から入れている素材がどのぐらいなので、そこの素材はどのぐらいCO2を出しているのかというのが、輸入している側からすれば、そこで分かってくるわけですよね。

 それができないと、結局、何がどのぐらい入っているか分からない中でどう対策を取れよといっても、代替のものをどこかで調達するとか自分の国内で作るとかというふうになっていかないんじゃないかと思うんですけれども、その辺のところがまだ全然見えてこない。

 だから、先ほどの繰り返しの話になるんですけれども、海外から調達したものからCO2がどのぐらい排出されているのかというのを、やはりこれだけ物がいろいろな形で自由に国内外に動いている時代の中でそれが把握できないと、下げていく努力をといっても、なかなかうまくいかないんじゃないかと思うんです。そこのところをもう一度、確認の意味で。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、水素のところにちょっと特化した形になっちゃって恐縮でございますけれども、水素につきましては、先ほど申し上げたような国際ルール作りが進んできておりますけれども、例えば、CO2算出方法、CO2を作るときの算出方法については、ISOの場における技術仕様書の検討が進んでおりまして、去年の十一月に発行はされております。

 ですが、今申し上げたような標準、こうしたものは作りつつあるんですけれども、じゃ、全ての国がそれにのっとって国内制度をつくっているかというと、まだそういう状況にはなっておりませんので、しっかりと引き続き対話を深めていく必要があるというふうに考えてございます。

鈴木(義)委員 どこの国でも自国の産業を守りたいというのが一番にありますよね。日本も同じだし、外国の国も同じだと思うんです。なかなかそこのところを足並みをそろえていくのは労力と時間もかかるかなというふうに思うんです。

 例えば、我が国は、二〇一七年に定めた水素戦略で、齋藤大臣の前の前の大臣だと思うんですけれども、フェーズ1、2、3をつくって、消費者に近いところから水素技術を導入していったんですけれども、EUでは、フェーズ1が、石油精製、化学産業などの既存産業のクリーン化、フェーズ2では、鉄鋼産業や運輸部門の一部への拡大、フェーズ3で、残りの運輸部門、あらゆる産業における水素利用を実現し、再エネ水素への移行を終えるという構想になっているんだそうです。

 私は、これはEUのやり方が一つ理にかなっているんじゃないかなと思うんですけれども、なぜ日本は、一番の川下のところ、消費者に近いところから整備していこうかと。水素自動車だとか水素バスだとか、そういったことを取り入れて、一番のCO2を出しているだろうという鉄鋼だとか電力、本当はそこを一番最初に対策を取り組んで、段階的に川上から川下に行ってみんなに了解を求めていくというやり方の方が、排出量だってどんどん削減する目標が立つんだと思うんです。

 一般の消費者にそれをやったって、価格の高低差で、どうしても今の状況では、高いものを買うということはしないですよ。それでどうやって進めていくのかと思うんですけれども、その辺について、EUと取り組み方が全然逆方向なんですけれども、大臣、どうですか。まあ、今からちょっと変えられるかどうかというのはあるんですけれども。

齋藤(健)国務大臣 御指摘のとおり、二〇一七年に策定した水素基本戦略等では、フェーズ1として、定置用燃料電池やFCVの利用を大きく広げて、そこから徐々に水素需要を拡大していくという戦略を描いていたんだと思います。

 これは、水素関連の技術的課題の克服と経済性の確保に要する期間、これがまだ少しかかるのではないかなということを考慮しながら、ステップ・バイ・ステップで水素社会の実現を目指すとの考え方の下でまとめたものだと認識をしています。

 当時、既に技術開発が進み、経済性の確保を見込むことができたエネファームとFCVの普及促進をフェーズ1として位置づけて、まずは官民一体で推し進めるということにしたんだと思います。

 他方、現在、足下では、技術の進歩等により状況が大きく変化をしているんだと思います。昨年の水素・アンモニア小委員会の中間取りまとめにおきましては、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向け、まさに鉄鋼、化学、商用車といった脱炭素化が困難な分野での低炭素水素等の利用を進めていくことが望ましいとされたところであります。技術の進歩等によりということですね。

 このため、水素社会推進法案においては、まずは、これらの脱炭素化が困難な分野での低炭素水素等の利用を支援していくことを想定をしているわけであります。

 国内外の情勢や技術動向等は変わり得るものでありまして、こういうものを踏まえながら、水素社会実現に向けて、必要な政策を講じていきたいというふうに考えています。

鈴木(義)委員 それであれば、二〇一七年に打ち出した戦略をどこかでちょっとチェンジするというのが必要なのかなというふうに思います。

 時間がないので、もう一つ。

 CCSのところで一番懸念するところは、人材と機材の調達ができるのかどうかということだと思います。

 今日も前任の方がいろいろ御質問されていたんですけれども、そういうことはないだろうなと思うんですけれども、エリアを決めて事業許可を、大臣が許可をするんですけれども、手を挙げる企業の中で、日本企業ばかりじゃなくて外国の企業も手を挙げた場合にどう扱うのかなと思うんです。

 それはなぜかといったときに、私の記憶間違いじゃなければ、大学で鉱山学を教えている大学が二つぐらいしかなかったと思います、今の日本では。じゃ、今からそこの定員を、教授を増やして、若い研究者というのかな、大学生をトレーニングしたとして、間に合うのかどうかということですね。

 国内ではなかなか、採掘をするという仕事に従事する人は、本当に限られた人数しかいない。結局、企業がないんですよね。海外に就職すれば別なんでしょうけれども。そういう中で、CCS事業で、確かに穴を掘ってそこに貯留していくんですけれども、それが民間の企業さんで、人材も機材もきちっと確保できる見通しが、あと六年しかないんですよね。一番は、やはり人を育てるというのが難儀だと思います。だって経験がないんだから。

 今日の答弁を聞いていても、砂岩層のところにガスを入れるんだ、CO2を入れるんだと言っているんですけれども、普通、砂岩層のところだったら水が入っちゃっていると思うんですよね、空間がぽつぽつあるわけじゃなくて。そうすると、水を抜かないと空間ができませんものね。素人の私でもそう考えますけれども。

 じゃ、その抜いた水はどこで処理するのか。海水に出しちゃうのか、陸で処理するのか。そこにCO2を入れながら抜いていくのか。そういう技術的な困難もあるんですけれども、私は鉱山学を習ってきた人間じゃないので、そこのところはよく分からないんですけれども、その辺の確保ができているか、できていないか。

 これからトレーニングしていくのか、外国の手慣れた技術者をリクルートしてくるのか、そういうふうにしなければ間に合わないと思うんですけれども、その辺を、今の見通しをお尋ねしたいと思います。

石井大臣政務官 鈴木委員の質問にお答えいたします。

 先ほどおっしゃられたとおり、人材、機材の調達ができるかという課題であります。

 まず、CCSに必要な技術は、石油や天然ガスの開発、生産に必要な技術と共通する部分も少なくないために、基本的にはこれらの人材や機材を活用することが可能であると考えております。

 しかしながら、今後、プロジェクトを円滑に立ち上げ、長年操業していくためには、人材確保、育成は重要な課題となるものと認識をしております。このため、CCSに関する研究者や実務者を育て、掘削、貯留などの事業の実施や最新技術の研究開発を担い、外部専門家として事業評価などを行える人材が輩出されるような環境整備について検討していくということが必要になってくると思います。

 そして、機材について、例えばリグなどの機材については、二〇三〇年までの事業開始に向けて、政府として集中的に支援している、先ほど来答弁の中でもありました先進的CCS事業の中で機材の使用予定を把握するとともに、資機材の調達が事業化の支障となるようであれば、必要な対応について引き続き検討を進めていくこととしております。

 以上でございます。

鈴木(義)委員 後で教えていただきたいんですけれども、どのぐらいの人材のボリュームで、今どのぐらい確保できているのか教えていただければと思います。

 以上で終わります。

岡本委員長 次回は、来る二十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十一分散会


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