衆議院

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第4号 令和6年3月27日(水曜日)

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令和六年三月二十七日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 長坂 康正君

   理事 あかま二郎君 理事 泉田 裕彦君

   理事 小林 茂樹君 理事 武井 俊輔君

   理事 城井  崇君 理事 白石 洋一君

   理事 三木 圭恵君 理事 國重  徹君

      東  国幹君    石橋林太郎君

      尾崎 正直君    大西 英男君

      金子 俊平君    菅家 一郎君

      小島 敏文君    小林 鷹之君

      小林 史明君    小森 卓郎君

      佐々木 紀君    櫻田 義孝君

      田中 英之君    高木  啓君

      谷川 とむ君    土井  亨君

      中川 郁子君    中根 一幸君

      中村 裕之君    本田 太郎君

      宮路 拓馬君    武藤 容治君

      柳本  顕君    山口  晋君

      石川 香織君    枝野 幸男君

      おおつき紅葉君    鎌田さゆり君

      神津たけし君    寺田  学君

      中谷 一馬君    谷田川 元君

      吉田はるみ君    赤木 正幸君

      漆間 譲司君    高橋 英明君

      伊藤  渉君    日下 正喜君

      高橋千鶴子君    古川 元久君

      北神 圭朗君    たがや 亮君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      國場幸之助君

   国土交通大臣政務官    石橋林太郎君

   国土交通大臣政務官    こやり隆史君

   国土交通大臣政務官    尾崎 正直君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           渡辺 公徳君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小林  豊君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     鈴木 建一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 松井 信憲君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           増田 嗣郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           梶原 輝昭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通政策審議官)     石原  大君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  石坂  聡君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  村田 茂樹君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局長)          鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  海谷 厚志君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  稲田 雅裕君

   政府参考人

   (観光庁次長)      加藤  進君

   国土交通委員会専門員   國廣 勇人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十七日

 辞任         補欠選任

  谷  公一君     本田 太郎君

  中村 裕之君     中川 郁子君

  古川  康君     東  国幹君

  武藤 容治君     柳本  顕君

  石川 香織君     吉田はるみ君

  小宮山泰子君     鎌田さゆり君

  伴野  豊君     中谷 一馬君

  馬淵 澄夫君     寺田  学君

  谷田川 元君     おおつき紅葉君

  福島 伸享君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     山口  晋君

  中川 郁子君     中村 裕之君

  本田 太郎君     谷  公一君

  柳本  顕君     武藤 容治君

  おおつき紅葉君    谷田川 元君

  鎌田さゆり君     小宮山泰子君

  寺田  学君     馬淵 澄夫君

  中谷 一馬君     伴野  豊君

  吉田はるみ君     石川 香織君

  北神 圭朗君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  山口  晋君     宮路 拓馬君

同日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     古川  康君

    ―――――――――――――

三月二十一日

 流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)

同日

 建設労働者の雇用改善、担い手確保・育成に関する請願(平沢勝栄君紹介)(第五六〇号)

 同(鈴木庸介君紹介)(第六五二号)

 危険なライドシェアを許さず安全な公共交通を守ることに関する請願(伊藤俊輔君紹介)(第六三三号)

 同(神津たけし君紹介)(第六五三号)

同月二十七日

 建設労働者の雇用改善、担い手確保・育成に関する請願(小寺裕雄君紹介)(第六八七号)

 同(徳永久志君紹介)(第六八八号)

 同(近藤和也君紹介)(第七一九号)

 同(田野瀬太道君紹介)(第七二〇号)

 同(岡本三成君紹介)(第七八八号)

 同(牧義夫君紹介)(第七八九号)

 同(井坂信彦君紹介)(第八四七号)

 同(伊藤忠彦君紹介)(第八四八号)

 同(金田勝年君紹介)(第八四九号)

 同(福重隆浩君紹介)(第八五〇号)

 同(古川元久君紹介)(第八五一号)

 同(若林健太君紹介)(第八五二号)

 危険なライドシェアを許さず安全な公共交通を守ることに関する請願(渡辺創君紹介)(第六八九号)

 同(浅野哲君紹介)(第七九〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

長坂委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房公共交通政策審議官石原大君、不動産・建設経済局長塩見英之君、住宅局長石坂聡君、鉄道局長村田茂樹君、物流・自動車局長鶴田浩久君、海事局長海谷厚志君、港湾局長稲田雅裕君、観光庁次長加藤進君、内閣府規制改革推進室次長渡辺公徳君、警察庁長官官房審議官小林豊君、消防庁審議官鈴木建一君、法務省大臣官房審議官松井信憲君、外務省大臣官房審議官熊谷直樹君、厚生労働省大臣官房審議官増田嗣郎君、大臣官房審議官梶原輝昭君及び資源エネルギー庁電力・ガス事業部長久米孝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

長坂委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。武井俊輔君。

武井委員 ありがとうございます。自民党の武井俊輔です。

 私は、党の地方鉄道に関するPTの事務局長を務めておりまして、今日はその点からお伺いをしたいと思います。

 去年策定をしました地方鉄道に係る再構築協議会が、昨日、全国で初めて、広島県と岡山県を結ぶ芸備線について、広島市で開催をされました。今後の地方鉄道の在り方を左右する非常に重要な会議であるというふうに思いますが、この会議の模様、また議論の経緯などをお聞かせください。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、昨日二十六日でありますけれども、第一回目の芸備線再構築協議会が開催されました。この協議会では、まず、中国運輸局長を議長とするなどの協議会規約、あるいは実務的な議論を行う幹事会の設置、こういったことを決定いたしまして、続きまして、これまでの経緯、また、JR西日本からは、芸備線の現状について説明がございました。

 その上で、出席した沿線自治体などの皆様から、協議内容や進め方について、御意見あるいはお考えについて御発言がありまして、具体的には、例えば、引き続きJR西日本による運行を望むといった御意見や、また、必要なデータに基づく議論を行うべき、また、持続可能な交通体系や最適な交通の実現に向けて議論や検討をすべきといった様々な御意見がございました。

 また、今後のスケジュールについては、基本的には幹事会において、必要となる調査事業などの詳細につきまして検討を行っていくこととなりました。

 今後の協議会におきましては、客観的なファクトとデータに基づいた分析を活用しつつ、まちづくりや観光振興などの観点から、地域にとってあるべき公共交通とは何か、それを関係者の間でどのような役割分担で維持していくかなど、多面的な観点から議論を行っていく必要があると考えております。

 国土交通省といたしましても、廃止ありき、存続ありきという前提を置かず、中立的な立場から、自治体や利用者を始めとする地域の声をよく聞き、円滑に議論を進め、地域の実情に即した利便性や持続可能性の高い地域公共交通が実現するよう取り組んでまいります。

武井委員 ありがとうございます。

 ただ、なかなか、報道を見ても、非常に見解というのは大きく分かれています。いろいろな課題は、これからもあるというふうに思います。もちろん、我々も与党としてこの仕組みを制度設計したわけでありますが、全ての路線を現状のまま残すのが善だと言っているわけではありません。しかしながら、鉄道は、一度廃止をしてしまえば、これは再生は不可能でありまして、より慎重かつ丁寧な議論が必要であります。

 最近は、JR各社でも、JR発足後に入社した方がもう社長になるといったような会社も出てきたわけでありまして、かつて国として役割を担ってきた国鉄というのは、大分遠くになったなという感じもするわけであります。もちろん、スト権ストなど非合法な活動で莫大な赤字を出した国鉄を中曽根行革で分割・民営化をし、その後三十年余り、JR各社が様々な努力をされてきたのは、そのとおりであります。

 しかしながら、元々は国鉄であり、国民の財産であった会社であります。一等地のターミナルビルで大きな利益を上げますが、これも、もっと言えば、鉄道省以来の国の遺産でもあります。もちろん、一定の債務も負っていただいたわけではありますが、国鉄民営化に当たっては国鉄債務十六兆七千億円を国民負担としまして、今なお、たばこ税などの返済もしているわけであります。

 そういった経緯からしても、JRには、やはり、地方の赤字路線の問題について、より丁寧に、地方の理解、地域の理解を得ながら取組を進めていく必要があるというふうに考えております。国土交通省としてよく指導していただきたいと考えますが、大臣の見解をお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省では、国鉄改革の趣旨を踏まえ、JR各社に対し、JR会社法に基づく大臣指針により、現に営業する路線の適切な維持に努めること等を指導してまいりました。

 一方、輸送人員の減少によりまして、大量輸送機関としての鉄道の特性が生かされていない路線につきましては、鉄道事業者や地方公共団体など地域の関係者で十分な議論を行い、地域や利用者にとって最適な形で交通手段の維持、確保を図ることが重要です。

 これらを踏まえまして、昨年十月に施行された改正地域交通法に基づく基本方針においては、ローカル鉄道の再構築に当たり、鉄道輸送を維持する場合には、原則、JR各社が引き続き運行主体となること、バス等に転換する場合でも、転換後のバス等の持続的な運行や利便性の確保に向けて、JR各社においても十分な協力を行うべきであることなどを明示したところでございます。

 国土交通省としては、JR各社に対し、引き続き、大臣指針や基本方針を踏まえ、また、昨年この委員会で御議論いただいて成立していただいた改正地域交通法の精神を踏まえ、地域の関係者と真摯に議論を行い、丁寧な合意形成に努めるよう指導してまいりたいと思います。

武井委員 大臣のおっしゃることは全くそのとおりだと思いますが、ただ、その議論の前提として、やはり正確な情報やデータの開示というものが必要だと考えます。

 以前、こちらの菅家委員の下で、災害で大きなダメージを受けた只見線の再生の取組を一緒にさせていただいたんですが、様々な積算とかの数字が全てJR側の発表、JR側の資料に基づくもので、それが本当に適切なのかということを検証するのに非常に苦労したのを覚えているわけであります。

 現在えちごトキめき鉄道の社長で、元々千葉県のいすみ鉄道の社長でした鳥塚亮さんが、寄稿の中で、同じ房総半島のJR久留里線との比較の中で、このようなことを述べております。

 いすみ鉄道の旅客運輸収入が九千万であるのに対して久留里線が八千九百万というのは、どう考えても理解に苦しむ。例えば運輸雑入、運輸雑収入のことですが、これがどうなっているのか。車内や駅構内の広告収入など本来は運輸雑入に計上されますが、JRの場合は関連の別会社がほぼ独占する形で広告を取り扱っていて、恐らくこれは久留里線の収入にはなっていない、別の関連会社に計上されているのではないか。そう考えない限り、年間の運輸収入が八千九百万円というのはあり得ないと思う。つまり、本当はもっともっと収入があるにもかかわらず、お金のポケットの仕分の仕方が独特で、路線の収入にはカウントされない可能性が大きいと考えられると述べております。

 また、久留里線では十三億九百万の赤字であるのに対し、いすみ鉄道は一億七千九百万と、七倍以上もJRの方が赤字が大きい。ましてや、いすみ鉄道の沿線のいすみ市の人口は三万七千人、それに対して久留里線の沿線の木更津市の人口は十三万五千人である。ローカル鉄道の主役である高校生の数は基本的に人口に比例することを考えると、久留里線はまだまだ伸びる余地があり、JRがこういった数字を発表するということは、筆者、鳥塚さんですが、鳥塚さんの目から見ると、自分たちの営業努力が足りていませんと言っているように見えるというふうに述べておられます。非常に重要な指摘だというふうに思います。

 また、JRは、赤字路線については、営業係数と言われる、百円の収入を上げるためのコストを発表しています。芸備線では五万幾らだとか言っているわけですが、ただ、国鉄時代は、例えば山手線とか大阪環状線、全ての路線を公表していたわけですね。ところが、今JRは、黒字の路線は公表せずに赤字の路線だけを公表して、経営存続は厳しいということを言っているわけであります。

 やはりこれは、廃止を含めた路線の在り方を議論するわけですから、悪い部分だけではなくて、全ての情報をきちんと公開をして、より公平、客観的に検証可能なデータを出すように国交省が指導するべきだと考えますが、見解を求めます。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 JR各社による路線別収支に関する情報開示につきましては、地域にとってあるべき公共交通の姿を考えていく上でも、また、関係者の合意形成を図っていく上でも、鉄道事業者が対象線区に関する利用状況や経営状況を積極的に情報公開していくことは重要なことであると考えております。

 一方で、鉄道事業者がどの範囲で路線別収支を公表すべきかにつきましては、各社の事情に応じて、地域との対話の過程で鉄道事業者が適切に判断していくべき事柄と考えております。

 いずれにいたしましても、今後、各地域におきまして、関係者による公共交通の再構築に関する協議が円滑に進みますように、国土交通省としても適切に関与し、JR各社に対しましては必要な情報公開を求めてまいりたいと考えております。

武井委員 そこは国交省がやはり努力するべきところですよ。悪いところだけ出して、ここは赤字ですみたいなことで、地方自治体を追い込んでいくような議論はしちゃいけません。きちんと情報を出させることは、国交省として、これはもう是非大臣にもリーダーシップを発揮して取り組んでいただきたいというふうに思います。

 国は先週、一千億円の支援と事実上引換えに、JR北海道に対して監督命令を出しました。JR北海道の綿貫社長もインタビューで、これは最後の機会と捉えると大変厳しいコメントをされたところであります。JR北海道は、駅や路線の縮小など合理化の推進をしておりますが、やはり収支の状況は非常に苦しいものがあると思われます。

 しかし一方で、新幹線などで収益のあるJR東海は、赤字路線もその新幹線の収入で吸収できるということもあって、路線廃止もしない、ついては収支の公表もしないということで、大きく明暗が分かれているわけであります。

 交通権という考え方があります。これは国民の移動する権利でありまして、日本国憲法二十二条の居住、移転の自由、また二十五条の生存権、また十三条の幸福追求権などにも係る、これは人権だと定義をされているところであります。

 としたときに、やはり日本国内どこに住んでいても、適切、合理的な範囲の中で保障されるべきものであります。ドル箱路線や高収益な都市部の不動産などで大きな収入源がある旅客会社の地域に住む人と、そうでない地域に住んでいる人と、別にどこに住んでいるかというのはその人の責任じゃないわけですから、にもかかわらず、それでこんなに大きな差が出るというのは、これはやはり許されないことだと思うんですね。

 四国、北海道の二島会社、また私の地元の九州も、私の宮崎でも吉都線とか日南線とか非常に厳しい状況があるわけですが、もちろん、住んでいる地域によって差が出ないように経営安定基金も積んできたわけですけれども、御案内のとおり、低金利でこんなに、もうほとんど運用もできていない状況になっているわけであります。

 住んでいる地域によって、同じ赤字路線でも、こっちは残って、こっちはもう続けられないみたいなことはあってはならないわけでありまして、この辺はやはり国鉄民営化の最も課題たる部分であります。今後、こういったようなことについて、抜本的に、在り方も含めて、見直していくことも含めて、検討していく必要があるのではないかと考えますが、見解を求めます。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、JR北海道とJR四国でございますけれども、いずれも基幹的な公共交通サービスを提供しており、その持続的な経営の自立は、地域の経済や生活の維持、発展のために必要不可欠であります一方で、現在、人口減少やモータリゼーションの進展による輸送人員の減少や、あるいはコロナ禍の影響などによりまして、厳しい経営環境に置かれていると認識しております。

 この二社につきましては、国鉄分割・民営化に際しまして、将来にわたって安定的な経営を継続するため必要な収益調整措置といたしまして、JR本州三社とは異なり、長期債務を引き継がないということとした上で、今御指摘ありましたような経営安定基金を設置し、その運用益で営業損益を補うということとしておりました。

 しかしながら、議員御指摘のとおり、当初の想定とは異なり、低金利の長期化等によりまして、営業損失を補うだけの運用益が確保できない状況が生じたことから、国におきましては、鉄道・運輸機構の借入れによります運用益の下支えでありますとか、実質的な基金の積み増し、こういった支援を行っているところでございます。さらに、令和三年に改正された国鉄債務等処理法に基づきまして、生産性向上のための設備投資に必要な資金の出資等の支援も行っているところでございます。

 さらに、これらの支援と併せまして、地域の交通体系の在り方については、JR北海道とJR四国に対しまして、地域の関係者と一体となって徹底的に検討を行うよう強く指導を行っておりまして、国土交通省といたしましても地域の声をお伺いし、協力、相談してまいりたいと考えております。

 国土交通省といたしましては、JR北海道とJR四国の経営自立化に向けまして、引き続き支援を行うとともに、適切に指導監督してまいりたいと思います。

武井委員 三年間ということで、JR北海道はこの間に再建に取り組むということですが、なかなか厳しいと思いますし、しっかりと国として支えていかなければいけない。北海道に住んでいるから鉄道に乗れないというのは、これはあってはならないわけですね。やはり、国民の移動権というものは本当に人権だと思いますので、よくよくそこはお考えいただいて、取り組んでいただきたいと思います。

 続いて、ちょっと時間も限られてきましたので、バスの問題を一点させていただきます。

 二〇二四年問題でございますが、日本バス協会によりますと二・一万人の運転手が不足をしておりまして、路線も非常に厳しい状況になっております。

 さらに、貸切りバスも非常に深刻な問題が今ございまして、多くの声が寄せられております。例えば、修学旅行で長崎や函館なんかで夜景なんかを見ると、九時間のインターバルが取れずに翌朝乗務ができないとか、また、インバウンドで夜中に羽田に着くとかというのが今あるんですけれども、これを受けると翌日午前中は運転手を使えないとかで、もう受ける会社がないとか、たった一時間、羽田からホテルまで運ぶだけでもやってくれる会社がないとかと、非常に今課題が出ております。

 特に、やはりディズニーランドが非常に問題でありまして、八時半に花火が上がりまして、出てきてホテルに帰ると十時、車庫に帰ると十一時、そうすると、翌朝九時になるわけですね。ところが、実際には、ディズニーランドに午後に行けば、運転者さんは大体バスの中で休んでいるわけですね。ところが、休息の定義が、足が伸ばせないとか、要するに貸切りバスは休息に当たらないみたいな話になるわけですが、この辺は柔軟に対応しないと、団体旅行というのはなかなか、ほぼ成立しない。そうすると、結果として、粗悪な事業者であるとか白タクのこれは温床にもなりかねないわけであります。

 健康管理はもちろん重要ですから、そこはしなければいけないんですが、今お話ししたとおり、実質的にはずっと休んでいるというような状況もあるわけですので、こういったようなことも含めて、柔軟な対応をお願いしたいと考えますが、見解を求めます。

梶原政府参考人 お答えを申し上げます。

 貸切りバス等の運転者の休息期間等の基準を定めるいわゆる改善基準告示については、自動車運転の業務の時間外労働の上限規制が適用されることや過労死等の防止の観点から、業界団体の労使による御議論を踏まえて改正が行われ、本年四月から適用されます。

 このうち、一日の休息期間の基準につきましては、現行では継続八時間以上とされているところが、睡眠の確保による疲労回復の観点から、改正後は、継続十一時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続九時間以上を下回らないものというふうにいたしております。

 あわせて、この改正に合わせまして、業務の必要上、継続して九時間以上の休息期間を与えることが困難な場合については、分割休息の特例というものを設けております。勤務回数の二分の一を限度として、合計十一時間以上の休息期間を、拘束時間を挟んで一回四時間以上の範囲で二分割をして、休息四時間以上と、その後お仕事をしていただいて、また次の休みを合わせる。この前後の休息時間を合わせて十一時間以上あればよいという特例を設けております。

 先生から御指摘をいただいた事案の中にも、この分割休息の特例を活用できる例は入っておると思いますので、厚生労働省といたしましては、こうした特例を含む改善基準告示の改正内容について、国土交通省と連携をいたしまして、バス事業者や旅行会社等の関係者の皆様に周知に努めるとともに、四月以降の改善基準告示の運用状況につきまして業界関係者の意見を丁寧にお伺いをしながら、自動車運転者の労働条件の改善に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

武井委員 なかなか基準が人によって違ったり曖昧だったりするところがありますから、今のお話は非常に大事ですから、是非そこは明確にしていただいて、実際に運用が可能なようにしていただきたいと思います。

 最後に、今、国際線も戻ってきまして、なかなか人の動きも国際的にも活発になってきたんですが、唯一、全然回復していないのが日本人のアウトバウンドです。日本人がなかなか海外に行かなくなった。もちろん、円安もあったりもするんですけれども、これはやはり非常に課題で、ほとんど回復していない。特に地方空港の路線など、ほとんど向こうの人しか来ない。そうすると、自治体は、どんどんどんどん向こうの旅行会社の言い値で高いコストを払わなければいけないとか、非常に課題もあるわけです。

 私は個人的に、十八歳になったらパスポートを上げればいいと思うんですけれども、それぐらいの大胆なことをする必要があるというふうに思いますが、観光庁として、これからこの日本のアウトバウンドをどう高めていくか。そもそも、観光庁の中に、自分がアウトバウンドを増進するのが仕事だという人が、どういうポジションで、どういうふうにいるのかも、ちょっとなかなか分かりづらいところはあるんですが、今後、観光庁として、省を挙げて、どういうふうにこの日本のアウトバウンドの促進に取り組んでいこうとされているか、お伺いしたいと思います。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 日本人の海外旅行、いわゆるアウトバウンドの促進は、日本人の国際感覚の向上や国際間の相互理解の増進により、安定的な国際関係の構築につながることから大変重要な取組であると考えております。

 委員御指摘のとおり、本年二月の出国日本人数は約九十八万人となっており、コロナ前の二〇一九年二月と比べた回復率は単月で六割強となっております。全体としては回復基調にありますが、引き続き、本格的なアウトバウンドの回復に向けた取組をしっかり進めていくことが必要と考えております。

 このため、昨年より、観光庁と日本旅行業協会、さらには各国・地域の政府観光局などとの間で連携して取り組む体制をとり、例えば、当該国・地域の魅力の発信や、国民の皆様に海外旅行を呼びかけるなど、本格的なアウトバウンド回復に向けた機運醸成に取り組んできたところでございます。

 さらに、本年の日米観光交流年など、二国間の観光交流の機会を捉え、相手国の政府観光局と連携して双方向交流の活性化を進めるほか、若者の国際交流に資する海外教育旅行の促進に向けた取組を着実に実施し、本格的なアウトバウンドの早期回復について積極的に取り組んでまいります。

武井委員 御努力いただきたいと思います。

 公共交通も、大臣のますますのリーダーシップを御期待して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

長坂委員長 次に、城井崇君。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。斉藤国土交通大臣、本日もよろしくお願いいたします。

 早速、質問に入ります。

 港湾運送事業法の無許可問題、港湾倉庫、そして特定港湾倉庫の指定の在り方と職域の問題について国土交通大臣に伺います。

 これらの問題に関し、港湾で働く皆様から、港湾において、法律の解釈のねじ曲げ、あるいは法律の穴、抜け道によって、雇用と職場に関わる問題が発生している、また、国土交通省と厚生労働省に申入れを行ったが、問題の解決に至らず不安が残っているとの御意見をいただきました。

 具体的には、国土交通省所管の港湾法、港湾運送事業法、そして、厚生労働省所管の港湾労働法について、理解が不足している事業者が倉庫や営業所を構えて事業を行っており、法律を守って事業を行ってほしい、こういう意見であります。

 そこで、大臣、問題事例の一つ、大阪港近畿運輸局管内で港湾運送事業や倉庫業を、十数年の間、無許可、無免許で港湾運送事業法の許可なく事業が行われている件を確認させてください。無免許は明らかに法律違反です。国土交通大臣はどのように把握していらっしゃいますか。

斉藤(鉄)国務大臣 昨年二月に大阪港労働公共職業安定所から近畿運輸局に対し、大阪港において、ある事業者が無許可で港湾荷役を実施している疑いがあるとの情報提供がありました。

 近畿運輸局にて調査を行った結果、当該事業者は無許可で港湾荷役を行っており、また、港湾運送事業法の許可基準を満たしていないことが判明しました。

 このため、近畿運輸局からこの事業者に対し、違反事実を指摘するとともに、他の許可事業者に港湾荷役を代替させることにより違法状態を解消するよう、継続的に繰り返し指導しているところでございます。

城井委員 昨年に情報提供があり、調査、違反が判明し、その違反を指摘して、他者に代替するように繰り返し指導している、こういう答弁でございました。

 実際に、現場からの聞き取りにも符合するところもあります。近畿運輸局から検査に入り、事業者に違反と通告をしたということなんですが、残念ながら通告で終わっており、他者に代替するように繰り返し求めているということですが、他者の代替までは至っていないという状況。つまり、指導こそ行ったものの、事実上、無許可事業者が野放しの状況になってしまっています。

 大臣、この無許可事業者での労働環境は、最低賃金以下、労働基準監督署がいつ入ってもおかしくない低条件だというふうに聞いています。国土交通省は、この無許可事業者を代替するように繰り返し指導したと言いながら、結果として放置し続けるんでしょうか。大臣、どうなさいますか。

斉藤(鉄)国務大臣 一年以上にわたり違法状態が続いていることは問題であり、誠に遺憾でございます。

 先ほど答弁申し上げましたように、他の許可事業者に港湾荷役を代替させることにより違法状態を解消するよう、繰り返し継続して指導を行っているところでございます。

 港湾運送事業法を所管する国土交通省といたしましては、無許可で港湾荷役を実施している事業者を放置することなく、違法状態を解消するべく、引き続き必要な対応を取ってまいります。

 今後、期限を切って、可能な限り早期に違法状態の解消に努めることとし、違法状態が是正されない場合は、法的措置を視野に対応してまいります。

城井委員 期限を区切ってとおっしゃっていただきました。いつまでにやっていただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 できるだけ早期にということでございますけれども、これからも指導し、期限としては三か月程度ということを念頭に置いております。

城井委員 法的措置にも言及をいただきました。具体的にはどのようなことをされますか。

斉藤(鉄)国務大臣 法的措置、告発も視野に入れるということでございます。

城井委員 国からの告発ということでの検討ということでございました。

 私は、早期の、先ほど三か月をめどというお話が答弁からございましたが、それでは足りないのではないか、むしろ、ルールに潜む、港湾に関わる法律に潜む隙間を埋める必要があるというふうに考えています。

 次に伺います。特定港湾倉庫の定義、これを国土交通省とそして厚生労働省で統一すべきという観点から伺います。

 特定港湾倉庫の定義は、国土交通省とそして厚生労働省で違いがあります。

 国土交通省は、港湾運送事業法上の港湾となる陸域については法文上の明確な定めがないため、立法趣旨を勘案しながら、社会通念によって決めるべきものと捉えております、こういう説明をしています。

 一方、厚生労働省は、港湾運送事業法上の港湾から、港湾労働法が適用される港湾、いわゆる六大港を除いた港湾の水域の沿岸から五百メートル、水島港にあっては一千メートル、鹿児島港にあっては一千五百メートルの範囲内において厚生労働大臣が指定した区域、特定港湾告示で指定した区域内にある倉庫であって、船舶若しくははしけにより又はいかだに組んでする運送に係る貨物以外の貨物のみを取り扱うものでないものと説明しています。違うんですね。

 特定港湾倉庫の定義は、このように国土交通省と厚生労働省とで違いがあることは、特定港湾倉庫の指定の在り方と職域の問題が解決しない状態が続く原因の一つとなっています。

 この特定港湾倉庫の定義、国土交通省と厚生労働省で統一すべきだと考えますが、大臣、認識をお聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 委員御指摘の特定港湾倉庫につきましては、厚生労働省の所管する法令、労働者派遣法に基づくものであり、倉庫荷役を行う労働者の派遣が禁止されているものと承知しております。

 一方、国土交通省が所管する港湾運送事業法及びその関係法令におきましては、そもそも労働者の派遣について触れておらず、特定港湾倉庫といった用語、考え方はございません。

 したがいまして、国土交通省としては、特定港湾倉庫や労働者の派遣については厚生労働省の考え方に従うものであります。国土交通省と厚生労働省において特定港湾倉庫の定義が異なるということはございません。

城井委員 実際のところ、関わる事業者の皆さんが、今回の問題を起こしている無許可の事業者もそう、そして、その振る舞いに困っている周辺の事業者さんたちもそう、そこで働く方々は特にそうでありますが、今ほどの厚生労働省の考え方と、実際に、これまで国土交通省に確認を幾度も様々な場でされることがあって、そこで明確にならずに、そこがずれてきていて、今の状況で放置をされている。

 先ほどのお話のように、本来、港湾運送事業法に係る港の地域においての仕事をその免許を持っている方がきちんと代替をしてできているならば、少なくともそこで動いている事業者さんについては免許を持っている方が対応できる、こういう話だというふうに思います。

 ただ、先ほどのように、一つ目にお伺いをした無許可の事業者が他者に代替させることなく動いているという実情に目をつぶってきているところがあったのではないか。結局対応できずに来ている、これも、先ほど申した国土交通省と厚生労働省とのはざまにはまってきた、ここも一因があるというふうに思っているわけです。

 ですので、今の話、厚生労働省の見解ということでしたら、その部分について、国土交通省からも、では、同様に、今ほどの、特定港湾倉庫という考え方はないということでしたけれども、でも、港湾に関わる部分で、特に港湾運送事業と倉庫業の境目のところについてどのように扱うかという点、ここを法律としてきちんと厳正に、特に港湾運送事業法に違反するところについては厳正に対処するんだと、港湾運送事業法の法律では見逃さないんだと、この点についてはせめて確認をしたいと思うんですが、この点、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 おっしゃるとおりでございます。

 特定港湾倉庫の理解につきましては、この法律であります厚生労働省の法律に基づいて、きちんと、そこを議論するときに同じ定義で議論するようなことを徹底したい、このように思っておりますし、その上で、港湾運送事業法、国土交通省が港湾荷役等の事業について規定するこの事業法についての判断につきましては、その判断を、しっかり国土交通省の考え方を徹底していきたい、違反がないようにしていきたい、このように思います。

城井委員 大臣、大事なところなので、もう一回確認です。

 港湾運送事業法の法令違反には厳正に対応するということでよろしいか。この点、明言いただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 そこは国土交通省が所管する法律です。厳正に対応してまいります。

城井委員 大事な点を確認させていただきました。

 この港湾運送事業法など関係法令をしっかり守って、そして、そこで働く労働者を守る手だてが必要だというふうに、今回の一件を調べながら感じております。そのために、必要な手だてを増やす必要があると思っておりまして、一つ御提案であります。

 まずは、港湾倉庫や特定港湾倉庫に関する問題を解決するためには、国土交通省と厚生労働省の枠組みを超えた協議の場が必要だというふうに考えています。さらに、省庁の枠組みを超えて、行政、業者、労働組合が参画した形の、例えばでありますが、港湾機能対策会議といった名称での協議体を設けて、港湾労働の作業実態などの調査を行って、現場の実態に沿った必要な施策の改善を行うべき。必要であるならば、場合によっては法整備も念頭に検討すべきではないかと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 一つ前の質問とも関連いたしますけれども、関係法令を十分に理解していない事業者の違法行為を防止するためには、まずは、法令を所管する各省庁が、事業者に対して適切に指導を行うことが重要と認識しておりまして、国土交通省としても、港湾運送事業法などに基づき、引き続き監査等を通じて適切に指導してまいりたいと思いますし、先ほど申し上げましたように、きちっと法令を厳格に実行していきたいと思っております。

 また、先ほど、協議の場を設けるべきではないかという質問でございますけれども、これまで、関係省庁間で連携した対応を行うことも重要と認識しておりまして、例えば、国土交通省としては、厚生労働省の港湾労働政策を検討する、学識経験者、労働者代表、使用者代表から成る審議会に参加するなど、港湾運送事業法及び港湾労働法の適用に関し、連携を図ってきているところでございます。これに加え、港湾労働組合と国土交通省との定期的な意見交換も開催しております。

 こうした日頃の、関係省庁間、また、労、使、行政、学識経験者、これらの連携などをしっかりと行い、事業者を適切に指導してまいりたいと考えております。

城井委員 審議会への参加、また港湾労働者団体との意見交換ということも含めてということで今お触れをいただきましたが、今回申したこの省庁の協議の場の提起、あるいは関係者の協議体の提起というのは、これまでの審議会での取組や、また、国土交通省と港湾労働者団体との意見交換の場でのやり取りも含めて、どうも今回のこの近畿運輸局管内での問題も、議題には上がったものの、でも、そこでのやり取りで手が届かずに、この一年も結局解決に至らずに来てしまっていたというのが実態でございました。

 ですので、これまでの協議体、協議の場などの在り方で本当によかったかどうかというのは、いま一度立ち止まって考え直してもらって、ここは改善が必要だというふうに思うんですね。この点、御検討いただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど申し上げましたように、これまでも、審議会などを通じた協議の場、また、国土交通省としても、先ほど申し上げましたような実際に働く方との協議の場などを設けております。そういう場を活用しながら、しっかりと意思疎通、情報共有を行っていきたいと思います。

城井委員 今ほどは近畿運輸局管内での問題を御指摘申し上げましたが、この問題は、いわゆる六大港のどこでも起こり得る問題であると思いますし、実際に他の港で同様の問題もあります。先ほど大臣に確認をさせていただいた法令違反への厳正な対処など、国として適切な対応を速やかに行っていただくように強く要請したいと思います。よろしくお願いします。

 次に、港湾施設の老朽化対策について大臣に伺います。

 先日、福岡県北九州市にある太刀浦コンテナターミナルで働く皆様から、コンテナターミナルの老朽化が進んでおり、働く仲間の安全が確保できるか心配だとの御意見をいただきまして、現地の視察をしてまいりました。

 委員の皆様は資料を御覧ください。一枚目が国土交通省の資料、二枚目、三枚目が私の視察結果と国土交通省の説明を比較した資料であります。

 太刀浦第一ターミナルでは、ストラドルキャリア、コンテナを運ぶ車両ですね、これが、コンテナを運ぶ運搬路のアスファルト、これが大きく削れており、穴まで空いている有様でした。雨が降って水たまりになりますと、たまたま行ったときが雨の直後でした、こうした穴の存在も高い位置にある運転席からは見分けるのが困難との現場状況です。

 国土交通省からは、令和四年度、五年度に補修済みとの報告でしたが、実際には、ごく一部の補修や仮アスファルトでの部分的な補修にとどまっていた上、それも、日常の使用で運搬路は更に壊れて、周辺に砂利が散乱している有様でした。余りに傷みがひどい箇所は民間事業者の職員が自ら仮補修を行って急場をしのいでいる、こんな状況でございました。

 第二コンテナターミナルでは、コンテナを運ぶストラドルキャリアの通る部分が大きく削れて大きな溝になっております。万が一、運転席が高い位置にあるキャリアのタイヤがはまりますと、キャリアが横転するなどの大事故につながりかねない状況でした。

 国土交通省からは、来年度予算で対応予定と聞いていました。ちょっと安心していたわけですが、いざ現場に行ってみますと、二年前から危険な状況への対応を現場から訴えていましたが、二年間対応なしだったとの聞き取り結果であります。海上輸送、港湾運送の要であるコンテナターミナル、何より労働者の安全第一での事前対策が重要です。しかも、各地の港湾老朽化の実情に鑑みれば、これは、一事が万事と受け止めるべき問題だと考えます。

 大臣、聞くと見るとでは大違いでした。港湾の現場で見た状況と事前の国土交通省からの説明は大きな隔たりがありました。国土交通省による港湾施設の老朽化の調査は不十分であったと考えます。大臣のお考えをお聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 北九州港の太刀浦コンテナターミナルは、第一ターミナルと第二ターミナルがあり、いずれも港湾管理者である北九州市が管理しております。

 この両ターミナルにつきましては、令和四年に管理者である北九州市が点検、診断を実施し、岸壁背後の舗装に沈下をそれぞれ確認したことから、北九州市において、利用者との調整が整った第一ターミナルの補修を優先することとし、第一ターミナルについては、令和四年から緊急性の高い箇所から順次舗装の補修を実施しており、残る部分についても順次補修を実施する。第二ターミナルについては、利用者との調整に時間を要したため、来年度から補修を実施する。両ターミナルとも現在通常の利用には支障がない状況、このように聞いております。

 両ターミナルにつきましては、港湾管理者である北九州市において、点検、診断が適正に実施され、施設の状況が適切に評価された上で順次対策が講じられているもの、このように認識しております。

城井委員 北九州市がまずはということなんですが、それが追いついていればここでこの話はしないんです。実際に、港湾の老朽化対策を含めて、自治体の取組に加えて国からの補助や支援もあって、各々の地域で対策ができているというのは大臣も御承知のことかと思います。

 ですので、今ほどの話、単に港湾管理者にお任せということで解決する話ではありませんし、私の見てきた先ほどの話と、今、大臣も御答弁を読んでいただきながら、比べていただくと分かると思うんですが、少しずれがあるということについてはお感じいただけたというふうに思います。

 ですので、そうした国土交通省による港湾施設の老朽化の、先ほどの、今回の答弁に当たって現場に確認されたんだと思いますが、その聞き取りと今回私が見てきた現地の状況ですら、まだずれがあります。このような状況があるわけです。これが全国的に起こっているようでは困るというふうに思うわけであります。

 現在の把握状況、調査を見直して、改めて全国的な調査をやり直すなど、港湾の老朽化の現状、大臣が現場の声も含めて十分に把握できるように改善をすべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 現実、こういう状況にあるという話は今日はしっかりお聞きいたしました。

 それを受けて、今、城井委員からは、全国的に調査をすべきではないか、また、その際の調査の評価基準ということもしっかりすべきではないかという御趣旨の御質問かと思います。

 まず、調査の評価でございますが、これは国が策定したガイドラインに基づき行われております。このガイドラインは、有識者や港湾管理者の意見を踏まえて策定したものでございまして、最新の知見などを踏まえて随時見直しを行っております。港湾管理者は、このガイドラインに基づき行われた調査の結果を踏まえ、経過観察や補修の検討といった評価を実施しているところでございます。

 そして、これを、全国的な調査をやるべきではないかという御趣旨かと思いますけれども、このガイドラインに基づきまして全国で評価をきちんとやるように、随時見直しを行うように、随時見直しはガイドラインですね、ガイドラインに基づいて、港湾管理者が、老朽化の調査と評価が行われるように、我々も徹底していきたいと思います。

城井委員 現在のガイドラインで、やはり見逃し、ずれがあったというのは、今回の私からの指摘であります。十分に、見直し、改善をお願いしたいと思います。

 次に、国発注の公共工事の事業費について伺います。

 国が発注する公共工事で、人件費単価や物価の伸びを上回って、工事の着工後に事業費が増額する事例が生じているとの指摘があります。

 日本経済新聞によりますと、計画から十年以上がたった公共工事三百八十二件のうち四二%の公共工事において、合計五・二兆円も事業費が増額したとのことでした。例えば、二〇二六年度までに開業予定であった東関東道水戸線では、当初、二〇〇九年度に七百十億円を見込んでいましたが、二〇二一年度には二・五倍の一千七百六十億円に増えたとのことです。

 具体的には、軟弱地盤対策や残土処理の方法の変更や、伐採すべき樹木数を見誤って三万本から十三万本まで増えたとのことでありました。

 この案件について、国土交通省常総国道事務所は、日本経済新聞の取材に対し、事業規模が大きくなると見積りの精度が粗くなると説明したそうであります。

 ほかにも事例があるわけでありますが、こうした公共事業について指摘をされている、公共事業費の増額や完了予定の延長、大臣、これは事実でしょうか。どうした理由から生ずるのか。これは、国による計画に問題があったんじゃないか、見通しが甘かったんじゃないかと思うんですが、この点をお聞かせいただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、先ほど御指摘のありました東関東道水戸線でございますけれども、当初の全体事業費は約七百十億円でした。それに、地質調査を踏まえた軟弱地盤対策の追加、発生土の仮置場への運搬作業の追加、伐採が必要な樹木数の増加などの理由により、当初計画から約一千五十億円増額し、現在の全体事業費は約一千七百六十億円となっております。

 このように、事業費が増嵩する、これは、今、各地でいろいろな公共工事をやっております、全ての公共工事でそうなっているわけではありません。特に突出して増えたものの一例がこの東関東自動車道水戸線でございますけれども、当初予期しなかったこと、これは技術的課題等々がございますけれども、このような理由により増嵩したものでございます。

城井委員 時間が参りましたので終わりますが、この公共工事のなぜだか増額問題については、また改めて質疑でさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 終わります。

長坂委員長 次に、神津たけし君。

神津委員 立憲民主党の神津たけしです。

 本日は、ライドシェアについて質問させていただきます。

 私は、ライドシェアについては、将来的には、自動運転タクシーが始まっていく中においては、ライドシェアというのはいつかなくなるのではないかというふうに思っております。そうした意味においては、世界でも今既に自動運転タクシーの運行が始まっていますし、日本でも二〇二六年に自動運転タクシーの運行が始まってくると伺っております。

 ただ、自動運転タクシーが始まったとしても、タクシーのドライバーの方々の仕事が一気に失われるかというと、そうではないというふうに思っています。自動運転のタクシーが例えば事故を起こしたときの対応、それから車が故障したときの対応、あるいは車内が汚れてしまったときの対応とか、そういうときにタクシードライバーが駆けつけて対応しなければならないというふうに思っています。

 ただ、これから大幅に、じゃあタクシーのドライバーを増やしていくべきかというふうなことを問われれば、そうではないというふうに思っております。人々の自由な移動を確保するということは大前提だというふうに思っておりますが、世界各国では、やはり賃金に係る訴訟が起きているようなプラットフォーマー型のライドシェアというのは、日本も導入するべきかというのは、私は疑問に思っております。ただ、どうしてもライドシェアを導入するというのであれば、運行管理を行き渡らせて、台数を制限した上で、日本版のライドシェアというものを行っていくべきだというふうに思っています。

 そこで、大臣に伺いますが、四月一日から開始する予定としている日本版ライドシェアでは、どれくらいの人数のドライバーが従事することを想定しているのか。それから、日本版ライドシェアに従事する方々、もう少し給料が安定しているような、トラック、バス、タクシーの担い手となってもらえるような施策を実施すべきではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 本年四月から自家用車活用事業をスタートいたします。これは、タクシーが不足する地域、時期、時間帯において、その不足分を補うため、タクシー事業者の管理の下で、地域の自家用車、一般ドライバーを活用する運送サービスでございます。

 地域ごとのタクシーの不足数は、十三日に公表した四地域のほか、順次これから公表していく予定でございます。今後、この事業を実施するタクシー事業者において、不足数に応じて、必要な運転者数が確保されるということを期待しております。

 また、今、神津委員御指摘のとおり、タクシーやバスなどの交通サービスの担い手確保は非常に重要と認識しておりまして、国土交通省としては、二種免許取得費用の支援などを実施しているところでございます。

 今回、この自家用車活用事業における運転経験を通じて、タクシー運転手になりたい、また、バス運転手になりたい、トラック運転手になりたい、こういう方が増えるというのは非常に期待しているところでございまして、担い手確保に向けた取組への支援を行ってまいりたいと考えております。

神津委員 ありがとうございます。

 不足台数分、各事業者から聞き取り調査を行っていらっしゃると思うんですが、必要な台数というのは確保できそうな感じなんでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 ここは、今、現状について、局長から答弁させます。

鶴田政府参考人 先般公表しました不足台数分、これを踏まえまして、現在、各事業者において、ドライバーの募集を含めて、活動、準備を進めていただいております。そういう中で、相当の希望者も応募してきているというお話もございますので、しっかり不足分に応えられるように進めてまいりたいと思います。

神津委員 不足分を補えると理解いたしました。

 私、先ほどの、おっしゃられたところにちょっとコメントさせていただきますと、私自身、実は、過去にタクシー、それからハイヤーの運転手をやったことがありまして、その経験からいくと、よく周りの同僚の方々に話を聞くと、僕はトラックをやったことがある、バスの、タクシー運転手をやっていた、そういう方が非常に多かったですね。それから、タクシーを辞めるんだという方に、じゃ、次、仕事はどこへ行くんだと言うと、やはり、次、トラックのドライバーになる、あるいはバスのドライバーになるとか、そういう方が非常に多かったので、日本版のライドシェア、これは是非、ドライバーを職業とするきっかけ、入口となるような施策をお願いしたいというふうに思っております。

 ちょっと配付資料を御覧いただきたいんですが、一番上の行、これは二〇三〇年時点の不足運転者数の予測というところで、バス三・六万人、タクシーが分からないんですね、トラックが三十五万人というふうになっております。

 中長期的に、じゃ、タクシーのドライバーの不足人数、これはどのぐらいになるかというところを、実は国交省に問い合わせたんですが、そうしたら、分からないということだったんですね。私は、この中長期的な予測というものがない中においては、将来的にタクシーのドライバーを確保するのは難しくなってしまうのではないかというふうに思っています。

 それから、例えば、過去にタクシーの規制緩和をやって一気にタクシーの台数を増やしたと思うんですが、あのときには一気に台数が増えたけれども、結局一人当たりの給与は下がってしまったというようなことがあったと思います。結局、誰かの生活を犠牲にした上で利便性を向上させていくという方法でのやり方というのは、やはり変えるべきではないかというふうに思っております。

 ちょっと更問いとして伺わせていただきますが、自動運転の進捗を見極めながらドライバー人材を確保する戦略というものを進めていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

鶴田政府参考人 今御指摘いただきましたように、中長期的には自動運転で担い手を賄える部分も出てくると思いますが、それと並行して、御指摘のように、ドライバーが必要じゃなくなるということではございませんので、しっかりと確保していく。その際には、将来予測を前提としましても、やはり、処遇がどうなるかで随分と担い手になる人の層も変わってくるということで、そういった処遇向上もしっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。

神津委員 次に、配付資料の一番下の年間所得額を御覧いただきたいんですが、タクシーは三百六十一万円と、全産業平均の四百九十七万円から大きくやはり離れているというところがあります。タクシー、このまま低いままですと、なかなか、ライドシェアを始めたとしても、ライドシェアの方々の時給は結局低くなってしまう。それではやはり生活を賄っていくのが非常に難しいというところでは、タクシードライバーの給与水準というのを引き上げていくべきだというふうに思っておりますが、タクシーの規制緩和、これを具体的にやはりやっていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 運転者の確保に当たりましては、賃上げを始めとした職業の魅力向上が最も重要だと思います。そのため、運賃改定申請への迅速な対応などにより、既に九三%の地域が新たな運賃となっており、こうした取組によりまして、この一年間では、収入も少し上がる、一人当たりの稼ぎも上がる、それに伴いまして、運転者数も増加に転じております。引き続き、運賃改定を原資とした早期の賃上げによる担い手確保を促進してまいります。

 また、委員御指摘のとおり、タクシー事業の生産性を高めるための規制の合理化も重要と考えております。例えば、繁忙期の観光地における営業区域を越えたタクシーの応援などの取組も進めてきたところでございまして、引き続き、規制の合理化にも取り組んでいって、タクシー運転手、職業としての魅力、これを高めていきたいと思います。

神津委員 ありがとうございます。

 今のおっしゃったことに加えて、できれば、乗車率を向上させる取組ですとか、それから、一人当たりの営業収入、これは賃金に直結するところなので、そこを上げるような取組というのを是非実施していただきたいと思います。

 次に、四月一日から始まる自家用車活用事業、ここについて、もう少し詳細なところについて伺っていきたいというふうに思っております。

 自家用車活用事業はいわゆる日本版ライドシェアのことなのか、それから、また六月以降に新たなライドシェアを開始するような報道もありますが、どのような制度を予定しているのか、教えてください。

國場副大臣 本年四月から開始する自家用車活用事業は、タクシーが不足する地域、時期、時間帯において、その不足分を補うため、タクシー事業者の管理の下で、地域の自家用車、一般ドライバーを活用する運送サービスを指しております。この運送サービスを、関係者や報道において日本型ライドシェアと呼ばれることもあると承知しております。

 六月に向けての議論については、タクシー事業に関わる規制緩和や自家用有償旅客運送制度の改革に加え、ただいま申し上げた自家用車活用事業を含め、実施効果を検証した上で丁寧に進めることとしております。

神津委員 自家用車活用事業なんですけれども、六月までに、四月から始めてたったの二か月で検証するというのは非常に私は難しいことだというふうに思っております。新たな制度ですので、もし、六月以降導入するのであれば、しっかりともう少し議論をした上でやっていただきたいと思います。特に、今、世界の中でやはり訴訟が起きているというところと、あとは、ワーキングプアになってしまっているようなところがあると思います。

 この自家用車活用事業の法令、基となっているのは道路運送法の七十八条三号等あると思いますが、これは、公共の福祉のためにやむを得ないという文言によって、今回、新たなサービスを開始するというところだと思いますが、これが皮肉にも、公共の福祉のために実施した政策が結局ワーキングプアを生み出してしまうというような可能性があると思うので、そういった意味では、多方面から意見があるかもしれませんが、諸外国で問題となっているようなプラットフォーマー型のライドシェアの導入はしないでほしいというふうに要望させていただきたいというふうにお願いします。

 次に、日本版ライドシェアの情報公開の在り方について伺います。

 四月一日からこの制度を始めていくというふうに伺っているんですが、実は、私、いろいろな方と、話を伺っていると、この情報がどこにあるのか分からない、それから、例えば、国土交通省のホームページ上とか、e―Govという省庁全体のページに載っているとか、通達とか省令がどこになっているのか分からないというふうな御意見を非常に多く頂戴しておりますが、どこにこの四月一日から始めるライドシェアの制度について細かいところが記載されているのか、教えてください。

斉藤(鉄)国務大臣 自家用車活用事業の制度案につきましては、パブリックコメントを今行っておりまして、その内容を国土交通省のホームページなどで公表しております。また、交通政策審議会における議論についても、直ちに資料をホームページで公開することで、国民への情報提供を行っているところでございます。

 なお、パブリックコメントでは、約八千件の御意見をいただいたところであり、現在、その御意見の整理、検討をしているところです。これらの御意見も踏まえて、今週中に、自家用車活用事業に係る通達を発出することとしておりますが、その際には、速やかに、国土交通省のホームページにて、パブリックコメントの結果とともに、通達の内容を公表する予定でございます。

神津委員 四月一日から自家用車活用事業を始めるという整理をしたのであれば、本来であれば、やはりその前にきちんと準備をして、四月一日から始められるようにするというのが筋だったというふうに思っています。

 私は、これは決して国交省の事務方を責めるわけではなくて、やはり無理にちょっと政治の側でこの日から始めますということを決めてしまったばかりに、今、現場の方々、私、国交省の方と話していても、大分疲弊しているし、例えば準備についてもなかなか進んでいないような状況があると思っています。そうした意味では、もう少し余裕を持って、先ほど六月からまた別の制度の検討をされているというふうにおっしゃられていましたけれども、そういうところについてはもう少し時間を持って議論をしていただきたいなというふうに思っています。

 一つ伺わせていただきますが、本制度に関心を持つ自治体、それから、タクシー事業者から、制度実施に係るガイドライン、マニュアルの要望を寄せられているんですが、作成して公開してもらえないでしょうか。

鶴田政府参考人 今御指摘ありましたように、実際に制度ができてから、各事業者においてそれを活用していくという際には、相当、詳細にわたっても必要な情報というのがあると思います。

 したがいまして、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、今週中に通達を準備できるように今準備しておりますが、それを補足するような、いわゆるよくある御質問への回答集とか、そういったものも含めて、しっかりと準備を進めてまいりたいと思います。

神津委員 よろしくお願いします。

 次に、雇用についてちょっとお伺いします。

 ライドシェアについてはどういう、業務委託契約でライドシェアの方にお願いをするのか、それとも雇用契約にするのかというところで議論があると思いますが、国交省として、事業会社、ドライバーの双方に対して、公平公正な契約とするためにどのような契約形態を推奨するのか、教えていただけますでしょうか。

鶴田政府参考人 自家用車活用事業のドライバーは、タクシー会社の管理の下で働くということとしておりまして、実際の労働条件は、タクシードライバーと同様、労使間で決めていただくということになります。その際に、ドライバーが労働基準法上の労働者に該当すれば、法律上の、例えば最低賃金が保障されるとか、そういった保護の対象になります。

 そういった考え方を前提としまして、自家用車活用事業のドライバーとタクシー会社の関係は、現在のタクシードライバーとタクシー会社の関係と同様とすることを考えております。

 国交省に交通政策審議会というものがございますが、その場において、今申し上げましたようなタクシードライバーと同じような働き方を想定しているということにつきまして、厚生労働省にも出席をいただいて、そういう前提であれば、厚生労働省からは、このドライバーというのは労働基準法上の労働者に該当する、そういうふうに判断される蓋然性が高いというふうな見解をいただいております。

 このドライバーとタクシー会社の関係は様々な御意見がありますけれども、利用者の安全ですとか、適切な労働条件が確保される、これが大前提という考え方で引き続き議論をしてまいりたいと思います。

神津委員 ありがとうございます。

 今のお答えですと、契約形態としては雇用の契約に値する、恐らく答えられたのは九番、私が質問通告した九番のところも答えられたと思うんですが、ここの更問いのところでちょっとお伺いしたいと思うんですが、労働者の雇用契約の中では、タクシー事業者が労働者を管理していかなくちゃいけないというところにおいては、先日、国交省から、その質問をしたときにいただいたのが、副業・兼業の促進に関するガイドライン、これは厚生労働省からいただいた、厚生労働省が作成したものですが、ここには、時間外労働の割増し賃金の部分については通算で、本業とそれから副業を通算で考えてやらなくちゃいけないというところで、そうすると、タクシー事業者は時間外労働の割増し賃金の部分について支払わなければならないのか、教えていただけますでしょうか。

鶴田政府参考人 今御指摘をいただきましたように、ドライバーとタクシー会社の関係は様々な意見がありますので、引き続き議論をしてまいりますけれども、現在、制度開始に当たって想定しているのは、雇用契約でやっていただくということでございます。

 今年、自家用車活用事業で、ドライバーが過重労働とならないようにタクシー会社が適切に労働時間の管理を行う、こういうことを前提にした制度設計を行っているところでございます。労基法上の労働者に該当する場合には、今御指摘ありましたように、労働者保護の観点から、労働時間の規制ですとか、それから、使用者による副業、兼業時の労働時間の通算管理などが義務づけられるということでございます。

 厚生労働省には、先ほど申し上げた交通政策審議会における議論にも引き続き参画をいただいておりまして、今後とも、そういうことも含めまして、ドライバーの適切な労働条件の確保について十分議論をしてまいりたいと考えております。

神津委員 今私が伺った、時間外労働の割増し賃金を支払わなければならないのかというところ、お答えいただけていないと思うんですが、ここで今お答えいただけないのであれば、ガイドラインの方にしっかりと、もし支払わなければならないのであれば、きちんと明記していただきたいというふうにお願いします。

 今、九番に関連して十番のところも質問させていただきますが、自家用車の活用事業の保険なんですが、これはタクシー事業者が入るのか、ドライバー側が入るのか、どちらが入るかというところなんですが、ドライバーが入った場合には、事故時に恐らく会社に対して連帯責任を問えないと思うんですね。そうすると、被害者の方がきちんとした補償を受けられない可能性があるというところでは、会社とドライバーが共に責任を負うような保険を義務化すべきではないかというふうに私は思っております。

 そのときに、年間の保険の出費想定というもの、これは恐らく、ドライバーの方にとっても、それから会社側にとっても、幾らぐらいになるかなというところも、まだ見積りを取っていない方、いらっしゃるかもしれないのでお伺いしたいのと、あと、保険の補償額は、対人で八千万円、それから対物で二百万円という報道があるんですが、この金額とした根拠を教えてください。それから、補償し切れない部分については誰が支払うことになるのか、教えていただけますでしょうか。

鶴田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、保険に誰が入るのかという点ですけれども、これはタクシー会社に入っていただくということでございます。考え方としましては、今般の事業は、タクシー事業者が利用者との運送契約の主体となる、したがいまして、事故時の責任主体となるという考え方でございます。

 それから、年間の保険料につきましては、これはタクシー事業者の規模などによって会社ごとに異なるので、一概にお答えすることは難しいと思いますけれども、一般論で、タクシー事業において、現在、運送原価の中で保険料が占める割合というのは三%前後となっております。

 それから次に、八千万円、二百万円の根拠ということですけれども、これはタクシーと同等ということでございます。補償し切れない部分につきましては、当然、タクシー事業者が負うということになります。

神津委員 ちょっと時間がなくなってまいりましたので伺わせていただきたいんですが、八番の質問のところですが、今回、一種免許でもお客さんを乗せて運行することができるというところで、私はちょっと安全面がやはり心配なところがあります。

 研修をタクシー事業者が行っていくというところを伺っているんですが、タクシー事業者に全ての責任を放り投げてしまっているという私は印象がありまして、そういう意味においては、このタクシー事業者が研修を行う内容については、もう少し警察からの関与というものがあるべきではないかと思っています。

 特に、二種免許の方では、学科が例えば十九時間、それから技能で二十一時間取って、しっかりと安全面を教えていくというところがありますが、そこはやはり担保されないというところでは、警察の関与というものがあるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省におきまして、事業者に対する安全対策を進められているものと承知しておりますが、警察庁としても、今回の自家用車活用事業の運転者に対する研修について、必要な協力を行ってまいりたいと存じます。

神津委員 ありがとうございます。

 時間が来てしまいましたので、ここで終わらせていただきます。本日は、ありがとうございました。

長坂委員長 次に、白石洋一君。

白石委員 立憲民主党の白石洋一です。

 斉藤大臣、よろしくお願いします。

 まずは、路線バスの維持についてです。

 今、私の活動地域、愛媛県なんですけれども、路線バスを維持するのが大変だと。これは、お客さんがいるんだけれども運転手がいないというところが今課題になっています。具体的に言えば、路線バスを線引きしても、そこで運転手がいなかったら減便しないといけないということとか、あるいは、私が労働組合の事務所に行って、そこで専従のはずの方が、運転手がいないからということで駆り出されている、こういう具合になって、本当に運転手さんが少なくなっている。

 実際、全国的に、日本バス協会の数字によっても、今でさえ一万人足らなくて、それが、来月から始まる二〇二四問題によってぐんと広がって、そして二〇三〇年には三万六千人が不足する、こういう予測が出ております。

 ついては、運転手さんを増やしていくためには、これはやはり二種免許が一つのネックになっているんですね。バスの運転手さんであれば五十万円必要だ、二種免許を取るのに五十万円必要だと。これを、私、すっ飛ばすというのは非常に慎重です。やはり五十万円の価値はあると思うんです。そこで安全に関するスキルと経験を身につけて、お客さんを乗せることができる。だから、さっきの話もありましたけれども、ライドシェアというのは、これは本当に最後の最後の手段で、やはり二種免許を持っている方に運転していただく。ましてや路線バスはなおさらです。

 それで、もう直截的に提案なんですけれども、この二種免許を取るということは、ほかのところで見たら、例えば自衛官がありますよね。自衛官は、防衛大学に行って、そこでは授業料免除、さらには給料をもらえて、それで、卒業したら防衛省なりあるいは自衛隊に勤務する。これに匹敵するぐらいの公共性があるんだから、この五十万円という二種免許費用というのは全額支給する、そして、路線バスに従事したならば、それはもう返さなくていい、そのまま勤務してください、これぐらいのことをしなければならないんじゃないかなと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 令和四年度の補正予算によりまして、二種免許取得に要した費用について、バス会社に対して支援を行っております。この支援制度を通じましてバス会社も支援するということで、運転者個人の負担なく、国の支援とバス会社の負担により二種免許を取得することが可能となりました。こういう制度を使って、個人としては負担がないという、このことをよくPRしていきたいと思います。

白石委員 それで間に合うんでしょうか。

 令和四年から始めましたということなんですけれども、それは、加えて、バス会社に対する支援ですよね。だから、まずバス会社に就職するということが一つの条件です。その上で、免許を取るんだったら、大臣がおっしゃった支援で、国からは二分の一補助しますよと。

 私が想定しているのは、そうじゃなくて、ハローワークに行って、そして、やはりバスの運転手をしたいと思ったら、その時点で個人が申請して、個人が全額免除で二種免許を取ることができる。個人に注目して支援をしていくということが必要なんじゃないかなと。そうするともっと広がりますし、新卒とか、今バス会社に勤務していないところからも二種免許を持った人が出てくると思うんですけれども、それはいかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 まさに、個人に着目すれば負担はないということなんですが、支援が、個人に直接支援するか、会社を通して支援するかという違いかと思います。

 今、白石委員のそういう御提案につきまして、今それについてすぐ実行しますということではないわけですが、今の国の制度は、そういう形でバス会社を支援することになっておりますが、御提案としてちょっと受け止めさせていただきます。

白石委員 そのペースで間に合えばいいんですけれども、相当このペースだとまずいんじゃないかなと思って。

 それで、五十万円で、三万六千人を掛けたら百八十億です。だから、百八十億かけて、この三万六千人を国としても確保する、路線バスの維持のために。あるいは、日本バス協会ですから、それ以外のチャーターバスとか、そういったバス運転手さんも含めた形で三万六千人確保する。もう今までにない大胆なやり方で支援していく、いろいろな条件をつけないで採ってくださいと。

 さっき言った、防衛大学に入ったら、授業料はなしで、むしろ給料がもらえる、それに近い形を想定した制度をつくっていただくよう、また再度お願いします。

 次の質問に参ります。

 よく言われることなんですけれども、バスが大き過ぎるんじゃないか、バスが大き過ぎるからバスの便が少なくなるんじゃないかということで、バスをもっと小ぶりにしてマイクロバスみたいにしたら、そうしたらバス会社としても費用が抑えられるし、燃料代も節約できるわけだから、便数が増えるんじゃないかということを言われます。それで、バス会社さんにちょっと聞くと、いや、補助の対象としてバスのカタログに載っている、それは大型バスなんだということも言われるわけです。

 ここではっきりしたいんですけれども、マイクロバスや、あるいはそれよりも小さな十人乗りぐらいのバスに対しても、国として補助の対象とするべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 バス車両の購入費補助につきましては、厳しい経営状況にあるバス事業者が老朽更新などを行う際の負担軽減の観点から、車両価格が高額となる定員十一人以上の中・大型バス車両を対象に、購入費の一部を国において支援しております。

 委員御指摘の、定員十人以下の小型車両についても、地方公共団体が主体となって地域の利用者の利便性を高めるためにバス路線を再編する計画を策定するなど、一定の要件を満たせば補助対象としているところでございます。

 国土交通省としては、引き続き、地域の実情に合わせた移動の足の確保に努めてまいりたいと思います。

白石委員 買えるんだけれども条件がつくよ、地域公共団体の計画に載っていればということなんですけれども、やはり、そこはもう緩和してもいいんじゃないかなと。バス会社の経営判断で小ぶりのバスにします、それでちゃんと補助が出ますというふうにしていただきたい。地域交通協議会というのが確かにあって年に何回か開かれる、それは承知していますけれども、それをすっ飛ばしてでも買おうと思ったら買えるというふうにしていただきたいということをお願い申し上げます。

 そして、次なんですけれども、路線バスの運転手さんが不足する、これはやはり給与が低いということがあると思うんですね。給与は低いけれども、これを、じゃ、もっと給与を上げるためにはどうすればいいか。

 それに似たような形態なのが介護の分野だと思うんです。介護というのを介護報酬で、公定価格で運営しているけれども、それでもやはり介護士さんの報酬、給与が低いというところで、処遇改善手当というのを今やっているわけですね。

 これと同様に、特に路線バス、地域公共交通を担っているところについては、路線バスの運転手に手当を、処遇改善手当を支援するという制度があってもいいんじゃないかなと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 今、白石委員、介護職員の処遇改善の例を引き合いに出されました。

 介護職員の処遇改善については、保険料と公費で五割ずつ負担している介護保険制度の枠組みの下、国が定める介護職員処遇改善加算等により対応していると承知しております。一方、バス運転者の処遇改善につきましては、各バス事業者が毎年の事業実績等を踏まえて、原則として経営努力の中で対応していただいているところでございます。

 しかしながら、バス運転手の処遇改善、必要です。このため、国土交通省としては、処遇改善につながる運賃改定を促進するため、運賃改定時における運賃算定手法の見直しや運賃改定の迅速化を行うほか、来年度からは、運行費補助について、賃上げに資する運賃改定を行った事業者への支援強化を行うこととしております。このような処遇改善のための努力、支援も進めていきたいと思っております。

白石委員 大臣、直接的な支援じゃなくても、そういう間接的な支援ということをおっしゃいました。

 そうであるならば、今、交通確保維持事業があって、そこで補助対象経費というのは予測費用を基に計算しているんですね。予測費用というのは何かというと、事業者キロ当たりの経常費用見込み、この見込みの中に積算があって、人件費もあるんだと思います。その人件費のところで、ちゃんと一般の産業並みの給与をベースにするということを是非指導して、これは多分何か計算の手引があるんだと思います、その計算の手引も改定していただきたいと思います。

 次に参ります。

 GX、グリーントランスフォーメーションでフェードアウトをされようとしている石炭火力発電所なんですけれども、この石炭火力発電所がフェードアウトしていくことによって影響を受けるのは港湾運航事業者、そしてそこで働いている労働者です。

 それで、私がフェードアウトと申し上げました。それは、二〇二〇年に経産省は、二〇三〇年度までに非効率な石炭火力発電所を段階的に休廃止すると。その当時、百四十基ある石炭火力発電所のうち、非効率とされているのは百十四基あって、それらについて休廃止する方向で進めていくというふうに言っている、これが一つの大きな転機になっているわけですね。

 そこで、港湾で働いている人としては、今どうなっているのか、現在の状況はどうなのか、検索してもよく出てこない、報道もされない。これは今どうなっているんでしょうか。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 石炭火力につきましては、二酸化炭素の排出量が多いため、安定供給を大前提に、その発電比率を引き下げていくことが基本でありまして、二〇三〇年に向けて、非効率な石炭火力のフェードアウトを進めていく方針であります。

 その一環として、省エネ法に基づく火力発電ベンチマーク制度において、発電事業者に対して発電効率の目標を提示し、その達成を促しております。具体的には、石炭火力の発電効率目標について、最新鋭のUSC、超超臨界の水準に設定してございます。この制度の中で既に目標を達成している事業者名等を、毎年度公表してございます。

 他方で、個別の石炭火力の休廃止につきましては、フェードアウトの選択肢の一つとして、各社の経営判断として行われるものでありまして、政府として網羅的に把握してお示しすることは困難ではございますが、発電所の休廃止等につきましては、発電事業者が関係者へ丁寧な説明を行うことが重要でありまして、その旨は政府としても各社にお伝えしているところでございます。

白石委員 ベンチマークの実績については公表していますということでありました。それを基に、働いている人は、自分の関与している発電所はどうなっているのかと、そこから見ることができるし、実際のところは丁寧な説明をそれぞれの事業者がやってください、発電所がやってくださいということなんですけれども、これで十分なのかなというふうに思うわけですね。

 先ほどおっしゃったベンチマーク指標の実績で、クリアしているところは確かに公表している。そこで会社名が載っているのであれば、そこはもうこれ以上休廃止というのはないのかなと。ここに載っていないのであれば、まだベンチマークを達成していないわけですから休廃止があり得る、こういうふうに読み込まないといけないということですよね。うなずいていただきました。

 こういうことでいいのかなと。港湾で働いている人にとっては本当に生活がかかっているわけですから、こういうぐらいの情報では不安で仕方がないというのが実際のところだと思うんです。

 それで、このGX法を通過させるときに、GX推進法の附帯決議として「公正な移行」ということがうたわれ、そこでは「円滑な労働移動や新たな雇用の創出」という文言を入れ、「悪影響を可能な限り軽減する」というふうにされております。

 この「公正な移行」というのはドイツの例を念頭に置いています。ドイツではやはり同じようにGXを進めていて、そのためには石炭火力発電所を休廃止していくと。そこで、二〇二〇年の八月には、ドイツは法律で、その休廃止の計画と、そして、そこで働く方々に対する補償というのも法律で決めております。

 こういった形で、日本もちゃんと計画を立てて補償をしていくべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御紹介いただきました、ドイツにおける取組でございます。二〇二〇年八月に施行された脱石炭法におきまして、二〇三八年までの石炭火力発電所の全廃を規定すると同時に、同法に基づき、廃止に際しての補償を実施しているというふうに認識をしております。

 このように、ドイツ政府は、この脱石炭法において二〇三八年までの石炭火力発電所の全廃を規定しているということでございますけれども、我が国におきましては、必要な供給力が必ずしも十分に確保されていない段階で、直ちに急激な石炭火力の抑制策を講じることになれば電力の安定供給に支障を及ぼしかねないということから、ドイツとは異なりまして、石炭火力の廃止期限を定めることは想定しておりません。

 このため、我が国におきましては、個別の石炭火力の休廃止は各社の経営判断に基づき行われておりまして、こうした状況の下で、政府としては、石炭火力の廃止に対する補償を実施することは考えてございません。

白石委員 補償のところは考えていませんということなんですけれども、本当に、それで一体いいのだろうかということですね。

 その補償もどうするか。やはり実情を訴える場というのが必要だと思うんです。その場というのは、火力発電所を運営している事業者と、そして港湾事業者。港湾事業者というのは主に会社経営ということになりますけれども、加えて、港湾事業者というのは、会社として存続すればいいという判断に傾きかねない。一番の悪影響を受けるであろう労働者、その労働者の団体である労働組合、労働者の代表も含めた協議の場を設けるべきだと思うんですけれども、港湾労働を所管している国交省、斉藤大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 カーボンニュートラルの実現に向けた石炭火力発電所の段階的な休廃止により、石炭荷役をなりわいとしている港湾労働者の雇用及び就労への影響につきましては、港湾労働組合より懸念の声が上がっているということは承知しております。

 港湾運送事業を所管する国土交通省といたしましても、港湾労働者の雇用及び就労への影響の最小化に十分留意する必要があると認識しております。このため、石炭火力発電所の休廃止に伴う港湾労働者への影響について調査を行い、それを踏まえて、国土交通省として、対応について検討してまいりたいと思います。

白石委員 国土交通省としても対応を検討してまいりたいということなんですけれども、そもそも、このGX法というのを所管しているのは経産省、エネ庁ですから、そちらがやはり旗を振って、まだ港湾労働者以外にも悪い影響、悪影響を受けるところがあるかもしれない、そういった声を受け止める、そういう協議の場というのをつくっていくべきだと思うんですけれども、エネ庁としてはいかがでしょうか。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 火力発電は、電力供給を支える重要な電源でありますとともに、地元雇用や地域経済に貢献していただく中で、休廃止による影響を懸念する声があることは十分承知いたしております。

 こうした中で、関係者がしっかりとコミュニケーションを重ねていくことは重要だと認識しておりまして、資源エネルギー庁といたしましても、港湾労働組合とはこれまでも意見交換を重ねてきているところでありまして、引き続き、足下の政策動向などについて丁寧な御説明を続けていきたいというふうに思っております。

 発電事業者に対しても、発電所の休廃止等に対して、地域の関係者への丁寧な説明を行うよう伝えております。

 引き続き、関係者のお声も伺いながら、港湾運送事業を所管する国交省を始め、関係省庁とも連携して対応してまいりたいと思います。

白石委員 丁寧にということは言っているんですけれども、結局、バイの関係でやっていこうとしているようにも聞こえます。バイじゃなくてマルチで、関係者が一堂にこうやって集まって懸念点を話し合う、解決策を話し合う、そういう場をやはりエネ庁さんが旗を振って、場を提供していくべきだと思うんですけれども、そこのところをはっきりと答弁をお願いします。

長坂委員長 資源エネルギー庁久米電力・ガス事業部長、答弁は簡潔に願います。

久米政府参考人 引き続き、港湾運送事業を所管する国交省を始め関係省庁と連携して、しっかり対応してまいりたいと思います。

白石委員 相談して、是非マルチの協議の場をつくっていただくことをお願いしまして、私の質問とさせていただきます。

長坂委員長 次に、赤木正幸君。

赤木委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の赤木正幸です。会派を代表して質問させていただきます。

 本日は、物流二〇二四年問題にも関わるんですけれども、宅配便の再配達の質問をさせていただいた後に、子育てエコホーム支援事業について質問させていただきます。

 改めまして、貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 まずは、宅配便の再配達についてなんですけれども、これは皆様も実感値としてあると思うんですけれども、いわゆる令和四年の日本国内のBトゥーCのEコマース、いわゆる消費者向けの電子商取引と呼ばれるんですけれども、これは二十二兆円で、前年比ほぼほぼ一〇%増ですね。BトゥーBになると、これは四百二十兆円で、こちらも一三%増加しているという状況と認識しております。

 この中で、いわゆるEコマース化というか、ネット通販の率というのが、個人向けの消費でも九%、BトゥーBの場合は実はもう四〇%近くがネットでやり取りされているということで、なおかつ、それぞれが毎年増えている状況です。

 これは数字的に見ても非常に大きいんですけれども、実際、私も地元がかなり田舎な部分も抱えている選挙区なんですけれども、やはり支援者の方のおうちに行くと、大体ガレージとか軒先にアマゾンさんとかの段ボール箱が置いてあるという状況なので、実態としても、皆さん、結構、高齢者の方がかなりネットを使われていると認識しております。

 私の母親も、今七十五なんですけれども、最初はLINEとかSNSとか、写真を撮るのがメインだったのが、だんだん最近はネットで、ここら辺は子供と一緒で、すごい当たり前のようにアマゾンで買物をして、毎日のように何かが届いているということがあるので、結構、これはちょっと余談にもなりますけれども、やはり高齢者の方の足がなくて買物に行けないというところに関しては、すごく、とてもいい傾向だと思うんですけれども、一方で、再配達がすごく増えているという部分に関しては、やはり悩ましい状況と考えております。

 ちょっと前置きが長くなりましたが、ここで質問になりますが、宅配便の取扱個数の推移、今、実際、足下どれぐらいあって、ここ十年ぐらいでどれぐらい増加しているかということについて、一度確認させていただけますでしょうか。

鶴田政府参考人 宅配便の取扱個数、令和四年度で五十億五百八十八万個でございます。過去十年間で四二%増加しています。

赤木委員 ありがとうございます。

 今おっしゃられたみたいに、五十億というのはすごい、正直、よく分からないぐらい多い数ですし、それ以上に、十年間で一・四倍以上に増えている、この伸び率は非常に大きいと考えております。

 続けての質問になるんですけれども、これだけ宅配便が取り扱われている中で、今回のテーマにもある再配達の割合がどれぐらいあるのかということについても、直近の再配達というのがどれぐらい発生しているかというのと、ここ数年の再配達の割合の推移について、政府が把握されている状況をお答えいただけますでしょうか。

鶴田政府参考人 宅配便の再配達率ですけれども、半年ごとに数値を調査しておりまして、コロナ禍前の二〇一九年十月までは一五、六%程度でした。これが、コロナ禍で利用者の在宅時間が増加するなどありまして、一時的に、二〇二〇年四月には一旦八・五%まで改善しました。ただ、その後また増えて、一二%程度で推移しておりましたけれども、直近で、昨年は減少しておりまして、昨年の十月時点では約一一・一%となっております。

赤木委員 今お話しいただいたみたいに、元々が一五%とかなり高い、それが今一二%とか一一%に落ちているということで、私もまさに今回の質問に際していろいろネットを調べていたんですけれども、まず、四月から今年も再配達削減PR月間をされるということで、本当、ちょうどいいタイミングの質問になったんですけれども、いろいろと、関係省庁だけでなくて、宅配事業者さんとかネット通販のEコマース事業者さんとも連携されているということを見させていただいております。最近だと、ちびまる子ちゃんのPR動画も見させていただきました。

 ここで質問になるんですけれども、まず、宅配便の再配達による社会損失というものを政府としてどのように試算して、なおかつこれをどう評価されているかというのを、これは大臣じゃなくても大丈夫ですので、政府の見解を教えていただけますでしょうか。

鶴田政府参考人 社会的損失ですけれども、再配達はトラックで行われる場合がほとんどですので、再配達に要する時間を労働力に換算しますと、年間約六万人のトラックドライバーの労働力に相当します。

 それから、再配達でトラックから排出されるCO2の量は、これは年間で二十五・四万トンというふうに推計されております。

赤木委員 ありがとうございます。

 私もちょっと手元でも調べさせていただきました。今おっしゃられたみたいに、再配達のトラックから排出するCO2削減効果というのが二十五・四万トンとのことですが、これは正直、二十五万トンと言われても少し分かりづらかったので、実際どれぐらいなのかなと思って調べたら、東京二十三区の一・七倍に匹敵する杉林が年間に吸収するCO2の削減量と同規模ということなので、相当な数だと認識しております。

 あとは、再配達に係る労働者として、ドライバーさんが年間六万人のドライバーに匹敵するというのが、今、私の認識している限り、大体トラックドライバーさんは全国八十四万人ぐらいというふうに認識しているんですけれども、それに比べれば、相当、決して小さくない数だと考えております。

 宅配を取り巻く状況には、Eコマースの事業者さんだけではなくて、やはり、発送される会社さん、それを運ぶ宅配事業者さん、さらに、受け取る個人さんを含めて、かなり多様なプレーヤーが関わっていますし、あと、インフラというか、マンションなんかで受け取る場合はそもそも設備をどうするのかとか、あと、最近、コンビニで受け取れたりとか駅で受け取れたりするという意味では、いわゆる公共の施設なんかも絡んでくると考えております。

 ここで、今度こそ大臣への質問になるんですけれども、政府としてこうやって行っている宅配便の再配達の削減に向けた対策の今の実施状況ですね。それで、これまでされてきたことの結果、それを踏まえて、今後どういった方向性で進めていかれるのかというところについて、大臣よりお答えいただけますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省では、これまでも、置き配や宅配ボックスの活用など、多様な受取方法の普及に向けた働きかけを行うなど、再配達削減に向けた取組を進めてまいりました。こうした取組を踏まえ、事業者におきましても宅配便の多様な受取方法の導入が推進されている、このように認識しております。

 一方で、再配達率は、令和四年に約一二%程度となっており、宅配事業者の負担軽減等を図ることが必要でございます。そのため、昨年六月の政策パッケージにおきまして、令和六年度にこの再配達率を半減し、六%とすることを目指しております。

 国土交通省としては、昨年に続き、本年四月を再配達削減PR月間といたしまして、関係省庁や宅配、通販事業者の皆様と連携して、再配達削減に向けた呼びかけなどを実施するほか、令和五年度補正予算を活用した実証事業を実施するなど、再配達率半減に向け、全力を尽くしていきたいと思っております。

赤木委員 ありがとうございます。

 そうですね、今おっしゃられたみたいに、一二%を六%に下げるというのはかなり大変かなと考えております。それこそ、先ほどお答えいただいた、コロナ禍でみんな家にいるときでも八・五%だと思うんですけれども、それをさらに、一度で受け取ってもらうようにされていくということをお聞きして、理解いたしました。

 本当に、宅配ボックスも含めて、この後ちょっと質問にもあるんですけれども、置き配バッグとか、あとはスマートロックを使ったりとか、いろいろあると思うんですが、実は、新たな取組として、去年のたしか十二月頃だったと、今、大臣にもお答えいただいた内容につながるんですけれども、実証実験として、何かインターネットの通販会社には置き配一回当たり例えば最大五円ぐらいの補助をするという、置き配ポイントと呼ぶのがいいのか、再配達削減協力ポイントというのか、ネーミングはさておき、新たな施策を進められていると認識しているんですけれども、これについて、今、実際の進捗状況ですね。

 あとは、実際、本当にポイントとして、再配達を少なくするとユーザーさんがプラスになるような施策をされるのかということについて、これも斉藤大臣よりお答えいただけますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど答弁で実証事業と申し上げましたが、その内容ですけれども、宅配便の再配達削減に向けて、消費者が再配達削減に取り組むよう促すため、物流負荷軽減に資する受取方法等を消費者が選択した場合に、その消費者にポイントが還元される仕組みを社会実装すべく、令和五年度補正予算を活用して実証事業を実施することとしております。

 この事業につきましては、今月五日から十五日までの間、執行団体、すなわち、補助金給付事務を行う事業者の募集を実施し、現在、選定手続を進めているところでございます。

 国土交通省としては、この事業を速やかに実施し、宅配、通販事業者や関係省庁と連携して、再配達率の半減に向けて取り組んでまいりたいと思います。

赤木委員 ありがとうございます。

 そうですね、再配達削減に向けた緊急対策事業として、令和五年度補正予算として四十四億五千万円が積み上がっている、組まれていると認識しています。それをまさに今、大臣にお答えいただいた、執行団体を選定されているということなんですね。

 四十四億五千万というと、かなりすごい金額、かなり大きな金額と思われます。私も少し国交省の方にお話をお伺いすると、ただ単にその仕組みをつくるだけじゃなくて、Eコマースの、ネット通販のサイトを再構築したりとか、あとは発送事業者と配達事業者が連携を取りやすくするようなことも含めてされるということなんですが、ちょっと中身、これから執行団体が決まって、実証実験されるとは思うんですけれども、現場の配送される方もそうですし、実際、使っているユーザーさんにはまだまだ中身が分かっていない部分がありますので、分かり次第でも結構ですので、どんどん情報を発信していただければと考えております。

 では、時間がどんどん過ぎていきますので、続けて質問をさせていただきます。

 次は、もうちょっと具体的なお話になります。置き配の話になるんですけれども。置き配は、もう今更説明するまでもないかもしれないんですが、例えば、玄関先とかに配達事業者さんに置いておいてくださいとお願いして置いていくものなので、私自身、個人的にはすごく有効な方法であって、今となっては、これはもうなくすことができないサービスというか、方策だとは考えています。ただ、実は現場的には結構悩ましい問題が発生していて、その点について質問させていただきます。

 簡単に言うと、いわゆる消防法の第八条二の四項に定められているんですが、廊下とか階段、避難口になるようなところで、避難の支障になるようなものを放置しちゃ駄目だよ、そういう規定があって、それは、管理会社さんとか管理権原者はそれをきっちりと、そうならないようにやらなきゃいけないんですけれども、置き配の荷物がまさにこの避難上支障になるものなのかどうかというのが、結構明確に規定されていないんですね。

 なので、管理会社さんなんかは結構困っていて、こればっかりは、社会通念上、常識的に考えたら、それはよけて通れるだろうと言いながらも、やはりこれは人命に関わる話で、何年か前か、ちょっとはっきりと時期は言えないんですが、例えば、マンションじゃなくて商業ビルでしたけれども、新宿の歌舞伎町なんかで火事になって、避難経路にいっぱい物が置いてあって、逃げられなくて亡くなられたという痛ましい事故が、結構、不動産業者の方たちというのはすごく記憶にとどめられています。

 なので、結構、私も元々不動産をやっていたという関係もあって、ここはそれなりな数の相談が来ております。結果的に、よく、白黒つけられないから、だったら、もう真っ白な状態で何も置かない方がいいだろうということで、例えば、管理組合の規定なんかでも置き配は禁止みたいな形を取られているマンションなんかも、やはり実際にあると考えております。

 ここで質問になるんですけれども、置き配と消防法との関係というか、整合性に関して政府の見解をいただきたいというのと、あとは防火管理権原者、避難の邪魔になるようなものがあったらそれをどかすとかという管理をしなきゃいけない方たちが果たすべき責務というのを、政府はどのように考えているかについて御回答いただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 委員ただいま御指摘いただきましたように、消防法におきましては、火災時における避難経路を確保する観点から、建物の管理権原者に対しまして、廊下、階段などの避難上必要な施設につきましては、避難の支障となる物件が放置され、また、みだりに存置されないように管理するということを求めております。

 この規定に適合するかどうかにつきましては、事案ごとに、廊下、階段などの幅、形状、あるいは物の置き方、こういったものに応じて判断することになりますけれども、一般的に申し上げれば、避難の支障とならない少量又は小規模の宅配物を一時的に置く場合には、この規定に抵触することにはならないというふうに考えております。

 なお、これに関連しまして、消防庁から全国の消防本部にお示ししております違反処理標準マニュアルというのがございますが、こちらの方では、消火、避難などの支障となるために物件の除去等を命ずることが必要な場合の例といたしまして、倉庫代わりに、古新聞、段ボールなどの大量の可燃物が、廊下、階段などに存置されている場合などをお示ししているところでもございます。

 こうしたことから、置き配に関しまして、共同住宅などの管理者、管理権原者におかれましては、住民に対しまして、置き配を利用する場合には避難の支障とならないようにしていただきたいということを周知していただくということが必要というふうに考えております。

赤木委員 ありがとうございます。

 廊下、階段に、そういった、避難の支障にならないように管理しなければいけない、言い換えるなら、基本的には置いてはいけないけれども、置き配という部分においては、一時的にあるものについて、社会通念上、邪魔にならないなら大丈夫ということは理解は私もしましたし、現場の方もしているんですけれども、やはり、なかなかこうだという、言ったら、どこからNGなのかというものを是非出していただきたいなと考えております。

 先ほどお答えいただいた違反処理消防命令マニュアルのようなものが存在すること自体が、結構、やはり管理会社の方たちを含めてまだまだ知られていないというのがありますので、そこも周知していただければと思います。

 これは、先ほどお答えが、なかなか、何メートルは駄目、何センチは駄目と言えないというのは、まさにここは、階段の幅も違いますし、荷物の大きさも都度都度違うので、分かりづらいというのは、規定しづらいというのは分かるんですが、実は、結構現場で、言い方はあれですけれども、小さなトラブルがいっぱい起きているんですね。それは何かというと、置き配そのものをやはり嫌がる方がいらっしゃるみたいで、これは消防法云々というのもあるんですけれども、景観上、やはり、何かがしゃがしゃしているのが嫌だとか、あとは、放火されたら困るみたいなことを言われて、管理会社の方が質問されて、いや、これはこうこうこういう理由でオーケーなんですよというのを、やはり、なかなかそういう出すものがないという、ちょっと悩ましさがあるということがありますので、是非、何かしら、ここを超えたらもう駄目ですよみたいな、何かガイドラインみたいなものを可能であれば作っていただければなと考えております。

 次は置き配の質問の最後になるんですけれども、こちらもかなり細かい話なんですが、スマートロックというのが最近かなり普及しつつあります。既存のドアに元々ついているものもあれば、スマートフォンなんかで操作できるようなものなんですが、今、マンションのエントランスにスマートロックがついていて、それぞれの住宅の部屋の前まで行けるようにだんだんなってきているんですが、個別の住宅についても、後づけでスマートロックをつけて、それで家の中に荷物を置いてもらうとか、あとは、最近、ちょっと置き配とは話は変わるんですけれども、介護とか見守りとか、あとは、そういった家庭用のいろいろなサービスを受けるためのスマートロックというのがかなり普及しつつあります。

 そこで、防火の話にもつながるんですが、扉に、防火認定ドアという国土交通省の認定のドアが存在しているんですが、スマートロックを後からつけた場合に、そのドアというのはそもそも防火認定になるのかならないのかという、そういった問合せを最近受けることが多くなってきています。防火性能に影響のないスマートロックをつけているんだから基本的には大丈夫だろうというふうには思うんですけれども、やはり、認定という仕組みがある中で、もうちょっと難しい言い方をすると、構造方法等の範囲内に収まるようなスマートロックであれば、これは防火認定ドアはそのまま継続するのか、それとも、やはりそれは再取得しなきゃいけないのか、そういった現場の悩み事というのが発生しているんですけれども、ここで質問になりますが、防火性能に影響のないこと、若しくは構造方法の範囲内に収まるようなスマートロックをつけた場合でも、やはり防火認定ドアというのは取り直さなきゃいけないのか。あとは、そもそもの防火性能に影響がないというのを判断する主体というのは誰になるのかということについて御回答いただけますでしょうか。

石坂政府参考人 既存の防火設備の認定を取得したドアにスマートロックを後づけで設置する場合でございますけれども、可燃性の樹脂等でできておりますと、規定の遮炎性能を確保できない可能性というのがございます。

 この場合、大臣認定の範囲内に収まるかどうかということの判断でございますけれども、これは、建築物が所在する地方公共団体の建築主事が判断することになります。

 ドアにつきましては、スマートロックが設置されることを前提に防火設備の大臣認定を取得しているものが既にございます。これは、ですから、後づけの、元々最初からスマートロックがついているケース、あるいは、後からスマートロックをつけてもドアの性能は損なわれないケース、こういった大臣認定の制度を既に取得しているドアがございますけれども、一方で、そうしたスマートロックを設置することを想定していない場合、そういうドアの場合は、改めて大臣認定を取得していただくことが必要となるかと考えているところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 結局、スマートロックの形とかドアの形次第ということでは理解させていただきました。後からつけた場合は、そこは判断して、再認定の必要が基本的に高くなるということは理解いたしました。

 次は、質問の内容を移りまして、子育てエコホーム支援事業について、質問を移らせていただきます。

 子育てエコホーム支援事業は今年から始まっていますが、正直ちょっと、目的がいろいろあって、並んでいて、少し分かりにくくなっております。子育てなので、子育て世帯、若者夫婦世帯による子育ての支援なのか、そもそも住宅の取得の支援なのか、あとは、もっと言うと、カーボンニュートラルの実現なのかというふうに、目的が少し分かりづらくなっているんですけれども、斉藤大臣、子育てエコホーム事業の目的はどこに焦点が絞られているかをお答えいただけますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、一番大きな枠組みは、経済対策、この経済対策の中で規定されました。そして、その経済対策の中で、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた取組として位置づけられております。したがいまして、経済対策の下にカーボンニュートラルがある。その取組の一環として、子育て世帯や若者夫婦世帯の省エネ住宅の取得の支援を行うということで、子育て、そして夫婦の支援ということになっております。

 この閣議決定に基づき、子育て世帯などによる省エネ投資の下支えを行い、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を図る、そして、これが経済対策になる、こういう位置づけではないかと思います。

赤木委員 ありがとうございました。

 経済対策があって、その次はカーボンニュートラルというのがあるということをお聞きして、いろいろとちょっと理解できる部分が増えました。この後、質問にも出てくるんですけれども、住宅支援として百万円というのはかなり少ないなという思いを持っていたんですけれども。

 まず、この子育てエコホーム支援事業の前身、去年、こどもエコすまい支援事業が行われたと記憶しております。九月ぐらいにはもう枠に到達して停止されましたが、その更に前、二〇二二年には、こどもみらい住宅支援事業のときは、その受付終了時に少し混乱が発生したなというふうに認識しているんですが、去年のこどもエコすまい支援事業について、九月で締め切ったとはいえ、この申込数のスピード感とか数とか、そういったところは想定どおりだったのか。

 そして、今年行われる子育てエコホーム支援事業に、どの程度の申請数とか、いつ頃終わりそうなのかというところを想定しているかについて、政府の御見解をお願いいたします。

石坂政府参考人 昨年実施しましたこどもエコすまい事業でございますが、高い省エネ性能を有する住宅の取得や省エネリフォームを支援対象とし、支援期限は令和五年十二月の三十一日としていましたが、御指摘のとおり、予算の上限に達しまして、九月に終了しているところでございます。

 申請期限よりも早い昨年九月末の時点で予算上限に達し、受付を終了することになりましたが、エネルギー価格の高騰も加わって、省エネ住宅に対する国民の理解や関心が高まり、新築住宅を取得する子育て世帯やリフォームを行う方々の多くの方々が、本事業を活用を希望されたためではないかというふうに認識しているところでございます。

 今般実施しております子育てエコホーム支援事業でございますが、省エネ住宅に対する理解や関心の高まりに応じまして、申請件数の増加が見込まれることから、令和五年度補正予算において措置した二千百億円に加えまして、令和六年度当初予算案では、四百億円の予算を追加で盛り込んでいるところでございます。合計二千五百億円ということで用意しているところでございます。

 こどもエコすまい事業の予算額を大幅に上回る十分な予算を確保することとしており、円滑な事業実施に引き続き努めてまいりたいと考えているところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 そうですね。事業者の方とか、実際に住宅取得される方のお話を聞いても、言い方はあれですけれども、制度に大分皆さん慣れてこられたのかなというふうに考えております。

 ただ、実際にその「子育てエコホーム支援事業の内容について」というリーフレットを私も見させていただいたんですが、表紙に、かなり目立ちやすく、赤い色の字で、「予算上限に達した時点で受付を終了します。お早めの申請をおすすめします。」と記載されていますので、皆さん、心の準備もでき始めているのかなと思うんですが、やはり、二千五百億に拡大することによってたくさんの申請が来ると思いますので、是非円滑に進めていただければと思います。

 ところで、私、先ほどから、一生懸命紙を見ながら事業内容を話すのがすごい苦労しているんですが、二〇二二年はこどもみらい住宅支援事業、二〇二三年はこどもエコすまい支援事業、二〇二四年は子育てエコホーム支援事業と、微妙にネーミングが変わっていっているのは、これは何か理由があるんでしょうか。

石坂政府参考人 議員御指摘の事業につきましては、その時々の経済情勢を踏まえ、閣議決定される経済対策に位置づけられたことを受け、事業の内容を決定して実施しています。

 実は、補助対象や補助額など、これは全く同じではございませんで、毎回一部変更されているところでございます。こうしたことから、申請者にとっても分かりやすくなるよう、その名称を変更して別々な事業として運営しているところでございます。

赤木委員 理解いたしました。

 内容も微妙に変わっているゆえにネーミングも変わっているということですね。私がきちんと慣れればいいだけの話なので、言い間違えないように話をします。分かりました。

 それで、去年二〇二三年、これはこどもエコすまい支援事業ですね。これに関して、実績と成果について、目標をきっちり達成できたのかというところの検証結果と、あとは、それが二〇二四年の子育てエコホーム支援事業にどのようにフィードバックされているかに関して、御見解、お答えいただけますでしょうか。

石坂政府参考人 昨年のこどもエコすまい事業でございますが、こちらでは、約九千五百の事業者によりまして、約十三万五千戸のZEH基準の水準の省エネルギー性能が確保された住宅、いわゆるZEH水準住宅が供給されました。九千五百事業者ということでございまして、これは地域の中小工務店まで含めて、ZEH水準住宅に対応できる事業者の裾野が大きく広がったというふうに考えているところでございます。

 こうしたカーボンニュートラルの実現に向けた住宅の省エネ性能の向上の流れを一層加速するために、現在実施しています後継の子育てエコホーム支援事業におきましては、ZEH水準住宅の新築支援などを引き続き実施することで裾野拡大を図るとともに、更に一層の住宅の性能向上を図るために、ZEH水準住宅は、戸当たり、従来百万円、旧制度は百万円でしたけれども、今回は八十万円になる一方で、長期優良住宅については百万円とすることで、より誘導するような形で制度の見直しということを行って、実施しているところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 今お答えいただいたみたいに、もうZEH住宅が、十三万五千戸ですか、増えたというので、この制度以外でも増えているとは思うんですけれども、この制度を使った形で増えて、たしか、その前年度が四万戸ぐらいだったと思うので、ありがとうございます、すごい数が増えていっているという意味では、効果は出ているのかなと私も考えております。

 あともう一つ、今お答えいただいた中で、事業者数がすごく増えていっているというのが、これはやはり現場の感覚でも、すごく皆さん、周知が広まっていると思います。

 実際、この手の制度が出てきたときというのは、大手のハウスメーカーさんぐらいしか関係ないんじゃないのという、ちょっと言い方はあれですけれども、冷めた見方が現場は多かったんです。今回も、九千五百者で、事業者登録がたしか三万者ぐらいはもう増えて、その方たちが実際に申請するかどうかというのは分からないにしても、増えているということですので、是非、中小の工務店さんも、こういったものを使いながら、支援もできるし、なおかつ、ZEH住宅とかエコな住まいを子育て世代にどんどんどんどん広げていけるんだということのPRを既にされているとは思うんですけれども、実は、自分たちも使えるんだというふうに思っていただける会社って、まだまだいっぱい、地方も私の地元もそうですけれども、地方にありますので、是非もっと、そのPRに関しては進めていただければと考えております。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 先ほど、私、住宅支援として百万円は少ないんじゃないのと、ちょっとぽろっと言ってしまいましたが、今、住宅価格がすごく上がっているというふうに認識しています。これについて、住宅価格がどう推移しているかというのを政府としてどう認識しているかというところの御見解をいただきたいことと、あとは、住宅価格の上昇に対して、子育てエコホーム支援事業の、今私が言った、その百万円とかという額がそもそも適正と考えられているのか、若しくは、この補正額が、少ないけれども、何か違った方策でそこを支援する考えはないのかとかといった点についてお答えいただけますでしょうか。

石坂政府参考人 住宅購入価格につきましては、住宅金融支援機構のフラット35を利用した調査によれば、平均価格につきまして、二〇二二年度が土地つき注文住宅で約四千七百万円、新築マンション価格で約四千八百万円となっています。

 また、価格の推移といたしまして、不動産価格指数によれば、コロナ禍前である二〇一九年一月に比べ、二〇二三年十一月時点で、戸建て住宅は約八%、マンションは約三二%価格が上昇しており、住宅取得環境は厳しさを増しているものと考えているところでございます。

 例えば、子育てエコホーム支援事業では、子育て世帯などによる住宅の新築に対して、御指摘のとおり、最大百万円の支援をさせていただいております。

 こうした補助に加えまして、住宅ローン控除などの住宅税制や、フラット35といった融資など、補助、税制、融資など、あらゆる施策を総動員することで、引き続き、子育て世帯などが住宅を取得しやすい環境づくりにつながる取組を推進してまいりたいと考えているところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 そうですね。今お答えいただいたとおり、全国でも四千万に迫ろうとしていて、もっと言うと、東京都なんかでは五千万を超えている状況と認識しています。

 今お答えいただいたとおり、今回の子育てエコホーム支援事業だけではなくて、実は、住宅ローン減税とか融資制度を含めて、いろいろ複合的に支援されているということを、実際そういったパンフレットも私も目にはしましたが、まだまだ知られていない人もいますし、結構、工務店さんなんかにも、是非、さっきの話と一緒で、教えていただければなと思いますので、PRの方、続けてお願いいたします。

 これは、ちょっと時間がもう来ましたので、最後の質問になりますが、子育てエコホーム支援事業は、住宅取得者、いわゆる購入派に向けた支援であって、一方、賃貸派という、借りるのをよしとする方もいらっしゃいます。実際、賃貸住宅に関する子育て世帯、若者夫婦世帯への支援というものはどういったものがあるのか、これは拡充していく予定はないのかということについて、最後、斉藤大臣よりお答えいただけますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 子育て世帯、賃貸派への支援でございますけれども、子供の安全、安心に資する設備、例えば、転落防止の手すりの設置とか、子供を見守れるカウンターキッチンへの変更、こういう設備や、それから、親同士の交流機会の創出に資する施設、キッズルームとかプレイロットとか、こういうものを整備する場合に、補助事業による支援、子育て支援型共同住宅推進事業というものを実施しております。

 また、住宅金融支援機構が、賃貸住宅のオーナーに対して、子育て世帯向け省エネ賃貸住宅建設融資を提供しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、子育て世帯や若者夫婦世帯の多様なニーズを踏まえた賃貸住宅の整備を引き続き推進していきたいと思っております。

赤木委員 ありがとうございます。

 今お答えいただいた子育て支援共同住宅推進事業というのは、私、元々はオーナー向けだと思っていたのが、住まれている方も直接支援いただけるというのは、結構、勉強不足で知らなかったんですけれども、そういった施策があるということを是非広めていっていただければと思います。

 時間も参りました。ちなみに私は賃貸派ですので、賃貸向けの支援も是非拡充していただければと思います。

 質問、ありがとうございました。終わらせていただきます。

長坂委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 物流の二〇二四年問題が先週の本会議で審議入りをしましたが、先ほど来、複数の委員も発言をされているように、バス、タクシーも本当に深刻であります。

 東北六県で、二〇一七年から二二年度までに、路線バス約一千五百キロメートルが廃止されました。私が高校時代にスクールバスとして利用していた秋田の秋北バス会社、五年間で運転手が七十七人も退職し、ピーク時の半分以下、今、百四十二人にとどまっております。ですから、大幅減便をしています。岩手県交通は盛岡地区の運行数を二百四便、過去最大、一三・五%の減便だと報じられています。

 タクシー業界も、秋田市を主なエリアとするこまちタクシーや、岩手中央タクシーなどが、相次いで倒産、廃業に追い込まれております。

 国交省として、こうした交通空白が進んでいる現状をどうつかんでいるのか、またどのように見ているか、簡潔にお願いします。

鶴田政府参考人 まず、タクシーにつきましては、令和五年四月から令和六年、今年の一月末までの十か月間で、全国の四十八事業者から事業廃止届が出されています。

 また、一般路線バスにつきましては、同じ十か月間で、完全廃止された路線は全国で合計千四百二十五キロメートルでした。

 このように、地域公共交通は、人口減少による需要減、コロナ禍を経た利用者の更なる落ち込み、また運転者の人手不足等により、深刻な状況にあると認識しております。

高橋(千)委員 という答弁を受けて大臣に伺うんですが、岸田総理が所信表明演説で、地域交通の担い手不足や移動の足の不足といった深刻な社会問題に対応しつつライドシェアの課題に取り組むと言ったのが昨年十月ですが、その後、デジタル行財政改革会議などで議論を重ねてきました。

 これほど深刻な実態に対して、ライドシェアは救世主になり得ると思いますか。

斉藤(鉄)国務大臣 地域交通の担い手不足や移動の足の不足の解消といった喫緊の課題に対応するため、現行の法制度において、タクシー事業者の管理の下で、地域の自家用車、一般ドライバーを活用する運送サービスを四月から開始することとしました。道路運送事業法の七十八条第三号に相当するものです。

 また、既に全国約七百地域で御活用いただいている自家用有償旅客運送制度についても、より使いやすい制度とする観点から、昨年末に制度改善を行ったところであり、現在、更なる改善を準備中です。既に、一部の地域においては、改善後の制度を活用し、社会実装が始まっています。いわゆる七十八条の第二号に相当するものです。

 これらの制度の活用とともに、処遇改善を通じたタクシードライバーの増加や、タクシーの営業区域を越えた他地域への応援、タクシー規制の見直しなどにより、総合的に地域の足の不足解消に努めてまいりたいと思います。

高橋(千)委員 現行の法制度の枠内でということと、自家用有償旅客運送の拡充といいますか、というお答えでありました。当然、処遇改善、必要なんですが。

 ということは、私の質問に対しては、ライドシェアは救世主になり得ないという理解でよろしいですか。

斉藤(鉄)国務大臣 ライドシェアという言葉の定義が定まっておりません。

 我々は、お金をもらって有償で旅客を運送するという場合、車と運転手の安全、それから責任、そして労働環境、この三つは非常に重要である、このような観点から、現状の、実際に地域の足が不足しているということに対応していきたいと思っております。

高橋(千)委員 取りあえず、ありがとうございます。

 ということで、国交省は、今大臣もおっしゃったように、ライドシェアの定義は不明確ということで繰り返し答えてきたわけです。ただ、懸念を表明してくださっている。

 そこで、昨年十二月二十日のデジタル行財政改革会議で、今年四月から地域の自家用車や一般ドライバーを活用した新たな輸送サービスを開始すると総理が述べました。それを今大臣が御紹介していただいたと思うんですが、来月から始まる新たな輸送サービスとは何かということと、ライドシェアとの関係は。お願いします。

鶴田政府参考人 まず、四月から開始する事業、自家用車活用事業の内容につきましては、今委員からも御紹介をいただき、また大臣からも御答弁申し上げましたように、タクシーが不足する地域、時期、時間帯において、その不足分を補うため、タクシー事業者の管理の下で、地域の自家用車、一般ドライバーを活用する運送サービスであります。

 一方、ライドシェアにつきましては、これも先ほどのお話のとおり、一般的に申し上げれば、アプリ等で自家用車、ドライバーと利用者とをマッチングさせて輸送サービスを提供するものであるというふうに考えておりますけれども、決まった定義はないと認識しております。

 御質問のあった両者の関係ですけれども、仮にこのライドシェアという言葉を、この委員会でも長年議論されてきましたように、ちょっと長くなりますが、仮にこの言葉を、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態で有償の旅客輸送サービスを提供することという意味で用いるとしましたら、今回の事業はライドシェアではありません。一方で、関係者ですとか報道によっては、この自家用車活用事業が、例えば日本型ライドシェアといったように呼ばれているケースもあるというふうに承知しております。

 このように、人によって内容が異なり得る言葉ですので、国土交通省としては、この事業に自家用車活用事業という名称をつけているところでございます。

高橋(千)委員 まず、国交省的にはライドシェアではありませんというお答えでありました。日本型ライドシェアと答えているところもあるということですが、ただ、タクシー事業者が運送責任を負うという意味では、今局長がお話しされた責任を負う主体という点では、タクシー事業者が負うことになるわけですよ。それで、だけれども、タクシー事業者が普段雇用しているタクシー労働者ではない人がアプリによって契約をしてと、そこに矛盾が生じてくるということになります。

 そこで、進みますけれども、この自家用車活用事業において、お話しされた不足する地域、期間、時間帯、どのように定義しますか。

鶴田政府参考人 この新しい事業におきましては、タクシーが不足する地域、時期、時間帯、これを特定することとしておりますけれども、この方法につきまして、タクシー配車アプリの導入が進んでいる地域におきましては、配車アプリの依頼件数に対する承諾件数の比率、すなわちマッチング率を基に不足車両数を算出する。一方で、配車アプリの導入が進んでいない地域もございますので、そういった地域においても利用者利便を増進する観点から、対応を検討しているところでございます。

高橋(千)委員 アプリが進んでいない地域をどう定義するのかなというのが今ちょっと疑問に思ったわけですが、ちょっと時間がない関係もあって、進めてみたいと思います。

 一つ問いを飛ばして、後で戻ってきます。

 それで、資料の二枚目に、今お話しされた、アプリの導入率によって不足の地域を描き出しているわけですよね。上からいきますと、特別区が、月曜から金曜、不足車両数が千七百八十台、金、土で千百台とか、京浜でいうと九百四十台とか、こうした数字は、多分これは、でも、そうはいっても試算的な、イコールというのはなかなか難しいなというふうに思うんですけれども、結局、タクシーの営業している範囲の中で、しかし、非常にタクシーが少ない、不足する、そういうところの範囲、つまり、不足する台数の範囲でやろうとしているわけですよね。それを一つ確認で。

 そうなると、プロのドライバーさえも足りないようなところで、プロではないドライバーが果たしてこれの受皿としてあり得るのでしょうか。どんな人がなるのでしょうか。

鶴田政府参考人 まず一点目、お尋ねのありました、タクシーの足りない台数の範囲でやるのかという点に関しましては、そのとおりでございます。

 それから、二つ目に、タクシーが足りない分を補うのにプロでないドライバーで足りるのかということですけれども、先ほど大臣が申し上げました運送サービスに当たって大事な三つの点、これを満たすためにということで、タクシー会社の管理の下で、自家用車と一般ドライバーを活用することができるというたてつけとしているところでございます。

高橋(千)委員 今、足りない台数の範囲だというのを確認をしました。

 ただ、もうちょっと交通過疎が進んでいる地域ですと、元々タクシー会社が今言ったように廃業していたりして、ほとんどない、まるっと足りない。そうすると、ますます、担い手は一体どこから出てくるのかというのは考えていらっしゃいますか。

鶴田政府参考人 元々タクシーが非常に少ない地域のようなところにおきましては、これも一番最初に大臣が御答弁申し上げましたように、この新しい自家用車活用事業も一つの方策だと思いますが、それだけではなくて、自家用有償旅客運送を活用するとか、それは地域の実情に応じて、何らかの形で、自家用車を活用することも含めて、輸送サービスを確保するということだと思います。

高橋(千)委員 自家用有償はかなり広がってはいますけれども、いわゆる行政か、あるいはNPOという形でやっていますから、結局ここに、いわゆる、ここにというのは、この空白地域も含めたところに株式会社も含めた主体が必要だよねというのが昨年の中間報告、まとめではなかったかなと思うんですよ。だって、そうじゃなかったら、結局ドライバーをちゃんと確保しなかったらできないよねという非常に矛盾した話になるわけなんです。

 それで、問いを戻して厚労省に伺いますが、ドライバーの働き方について、あるいは労働者性について、審議会で議論がされています。第一回交通政策審議会陸上交通分科会の自動車部会において、労働基準法上の労働者に該当すると判断される蓋然性は高いという発言がありました。この趣旨を簡潔にお願いします。

増田政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、前提といたしまして、労働基準法上の労働者に該当するかどうかにつきましては、契約の形式や名称にかかわらず、実質的に使用従属関係にあるかどうかについて、働き方の実態等を勘案して総合的に判断されるものでございます。

 その上で、お尋ねにつきましては、御指摘の部会において、自家用車活用事業(仮称)のドライバーの想定される業務対応について国土交通省から御説明があり、その業務対応を前提とした場合に労働基準法上の労働者に該当するのかについて厚生労働省の見解を示すよう求められましたことから、厚生労働省から、実態を勘案して総合的に判断する必要があることから一律の判断は難しいが、労働基準法上の労働者性の判断基準に照らして、労働者性を肯定する方向に働く事情が多く、労働基準法上の労働者に該当すると判断される蓋然性は高いものと考える旨を発言させていただいたものでございます。

高橋(千)委員 今のところをもう少し、ちょっと追加して伺いたいなと思うんですが、結局、そのドライバー、いわゆる自家用車活用事業のドライバーになる方も登録をしなくちゃいけないわけですし、研修もしなくちゃいけない。誰でもいいというわけにはいかない。安全もちゃんと守らなきゃいけない。さっきお話があったように、保険もやらなきゃいけない。

 そうやって、やはりそうはいったって、お客さんを運ぶ以上はしっかりとした研修を受けた人でなければならない、その場その場でいきなり誰でもいいというわけにはいかない、そういう思想の下に構築されていって、そうした実態を見れば、やはり労働者である蓋然性が高いという判断をせざるを得ない、そうなるんじゃないかなと思うんですが、そういう理解でよろしいでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁させていただいて、総合的に判断する必要があるわけでございますが、労働者性の判断基準につきましては、使用従属性に関する判断基準といたしまして、指揮監督下の労働であるかどうか、また、労働者性の判断を補強する要素等も勘案して判断するということとされております。

 この部会において国土交通省から説明があった内容を前提とした場合には、先ほどの、蓋然性は高いものと考えるという形での発言をさせていただいたものでございます。

 以上でございます。

高橋(千)委員 内容を前提としてという、国交省の説明を聞いてということでしたので、私がお話ししたことが大体合っているのかなと思っております。

 それで、規制改革推進会議、働き方・人への投資ワーキング・グループ、ずっと進んでいますが、三月十二日に第四回の会合が開かれて、フリーランス、ギグワーカーの労働者性、保護の在り方についての議論も進めています。

 この中で、副業の考え方ですとか、そういうことが議論されているわけなんです。つまり、今、労働者性の問題、いわゆる自家用車活用事業の、誰が担い手になるかなという話をしてきたわけですが、結局、自家用車活用事業においても、その担い手においても、やはりそれが専業で、まるっとフルタイムで働いている人になったら、それはもう完全に雇用、労働者になっちゃうわけですから、やはり副業という形になるんじゃないかなと思っているんですね。それはどんなイメージで検討されているのか、伺います。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 地域の移動の足不足の問題につきましては、御指摘のように議論がされておりますけれども、自家用車活用事業などの取組が進められる中で、担い手の確保は確かに重要な課題であるというふうに認識をしております。

 議論の中では、ドライバーを確保するためには、安全の確保を前提としつつ、柔軟な働き方を可能とする必要があるとの指摘などを踏まえまして、どのような制度とすべきか、議論がなされております。

 今後も、自家用車活用事業等の実施状況等を踏まえながら、引き続き議論が行われていくものと考えておりますけれども、副業という御指摘もありましたけれども、いろいろなケースが想定されますので、今後議論がなされる中で、ちょっとそれを先取りするようなことは控えさせていただきたいと思います。

高橋(千)委員 今日は時間ですので、ここで終わりますけれども、ドライバーの不足しているというお話が、バスでもタクシーでもトラックでもそうだと。でも、一方ではリタイアが増えている。そういう中で、やはり結局、そういう本来の免許を持っている人が、こういう安い働き方に投入されかねない、そういう問題なんですよ。だから、これを真剣に考えなくちゃいけない。

 本来、大臣が最初におっしゃったように、きちんとしたプロの働き方を処遇できちっと扱って、誇りを持って働ける、そういう方向にすれば、ライドシェア、何とかしなきゃという話には本当はならないんだという立場で検討していきたいなと思っておりますので、今日はそこまでにします。

 ありがとうございました。

長坂委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 今日は、福島伸享さんがちょっとお疲れだということで、私は代打で、彼も疲れるらしいんです、それで私が代打で来たんですけれども、住宅政策について、大臣あるいは役所の皆さんの見解を伺いたいというふうに思います。

 一部の都市部では、かなり住宅が急激に上昇しています。例えば、私の地元の京都市では、これは去年の数字ですけれども、前年比で一五%、東京二十三区に至っては三九・四%、これは住宅というか、新築マンションの平均価格が上がっている。

 これは、資材が高騰しているとか、よくそういう説明がなされるんですけれども、結構一部に集中していて、例えば、同じ首都圏というか、大首都圏で見ても、東京二十三区は三九・四%上昇だけれども、例えばお隣の埼玉県だったらマイナス七・五%、マイナスなんですね。だから、その資材価格の高騰では説明できないというふうに思います。それから、京都市でいうとプラス一五%、ところが、近畿全体の平均でいうと〇・七%しか上がっていない。かなりの差がある。

 これはあくまで私の推測、私だけじゃないんですけれども、巷間言われているのは、これは結構、一部の外国人、外国資本とかあるいは外国人が、場合によっては投資、あるいは実需、実際に住もうと思って買っている、その結果ではないかというふうに言われています。

 皆さんの一番重要な住宅政策の基本法律というのは住生活基本法という法律で、私の資料にありますけれども、この第三条に、住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策の推進は、我が国における近年の急速な少子高齢化の進展、生活様式の多様化その他の社会経済情勢の変化に的確に対応しつつ、住宅の需要、供給に関する長期見通しに即し、かつ、居住者の負担能力を考慮して、現在及び将来における国民の住生活の基盤となる良質な住宅の供給ということがうたわれています。

 私は、素人として、今までの住生活基本法の経緯は承知しているつもりなんですが、やはり、この上の永住者の推移なんかで見ても分かるとおり、今や在留外国人というのは、特別永住者を除けば三百十三万人弱おられますし、永住者に至ってはこの二十年で三倍に数が膨れ上がっている。こういうことも、この人たちが、場合によっては、住宅価格、少なくとも新築マンションの価格をつり上げている可能性があるのではないか、その社会経済情勢の変化の中に当てはまるのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

石坂政府参考人 御指摘の住生活基本法第三条は、社会経済情勢等の変化を踏まえて、住宅単体についての質の向上を図り、良質な住宅ストックの形成を目指すべきことを趣旨として規定しているものでございます。

 このため、実際の居住ニーズに関わる経済社会情勢等の変化として、少子高齢社会の到来、ライフステージごとのライフスタイルの多様化、人口、世帯減少社会の到来といったことを考慮すべきものとして想定しております。

 この観点から、不動産の所有者が外国資本等に変化しているかどうかは、当該規定に定める経済情勢等の変化としては基本的には想定しておりませんけれども、議員御指摘のとおり、住宅の価格、これにつきましては、居住者のニーズに関わる指標の一つとして非常に重要だと考えてございますので、価格動向の把握に努めてまいりたいと考えているところでございます。

北神委員 ありがとうございます。

 事務方の説明では、全然関係ないというようなことをおっしゃっていましたけれども、今の答弁はそのとおりだというふうに思います。別に、これは差別するとか、そういう問題じゃなく、これは日本人でもそうなんです。投機とかによって住宅が手に届かない、一般の方にも手が届かないということであれば、やはり住宅政策の対象にすべきだということで、ありがとうございます。

 例えば、京都市では、価格が余りにも上がっていて、若い人たち、子育て世代なんかは京都市には住めないというのが一般的に言われています。人口流出ということで、お隣の大津市とか、あるいは京都府内のほかの自治体に引っ越しをせざるを得ない、こういう状況なので、ここは是非、国土交通省さんとしても目をみはっていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、次の質問ですけれども、私も今、あくまで推測で申し上げました。特定の地域ですから、恐らく特定の需要によって新築マンションの価格が上昇しているのではないか。ところが、国土交通省さんにはこの数字がない、統計がない。

 これは、私は、あえて外国人の購入実態というものを把握すべきだというふうに思いますけれども、別に外国人に限らず、今申し上げたように、一般的に、個人、企業、ファンド、それから場合によっては、これは当たり前の話ですからね、国民を優先するというのは当たり前なので、やはりそこには外国人という分類というものも設けるべきだというふうに思いますが、この数字がないということなので、私は、これはやはり統計は整備すべきだというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 現在の不動産価格の変動等の状況を見るときに、外国人、外国法人による不動産取得の実態の統計を取るべきではないか、こういう御質問だと思います。

 国土交通省では、住生活基本計画も踏まえ、住宅市場の状況等を継続的に把握する統計調査の充実を図る観点から、平成二十七年に不動産価格指数の本格運用を開始したほか、令和四年には法人の不動産取得量を指数化した法人取引量指数の試験運用を開始し、現在、本格運用を目指しているところでございます。住宅生活基本計画にある、統計調査の充実を図るということに対して、このように努力をしているところでございます。

 近年の新築マンション価格を見ますと、平均価格が上昇傾向にあります。その背景には、利便性、住環境に優れた都市中心部などへの堅調な住宅需要があり、結果として価格の高い物件や大型物件が多く供給されたこと、建設コストが高騰していることなど、様々な要因があると認識しております。

 国土交通省としても、随時、不動産事業者から市況の聞き取りを行う中で、外国人による一定の実需があることは承知しておりますが、現在のところ、不動産取得に顕著な傾向、外国人による取得についての顕著な傾向が生じている状況があるとは聞いておりません。

 不動産市場の実態把握は重要でありますので、今後とも、不動産事業者等への定期的なヒアリングなど、適切に対応してまいりたいと思います。

北神委員 ありがとうございます。

 今、建設コストの高騰とか、あるいは、利便性を求めて一部のいわゆる大都会に集中しているという話もありましたが、先ほど私申し上げたように、例えば東京二十三区では三九・四%新築マンションの価格が上がっている、ところが埼玉ではマイナス七・五、京都市でいうと一五%上昇しているけれども、近畿全体でいうと〇・七ですから、恐らくそれだけでは説明できない。

 そして、不動産会社ですか、不動産業界にも調査されているという話なんですが、私は、これはやはり利益相反があると思うんですよ。やはり、一部の不動産業者にしてみたら、別に日本人であろうと外国人であろうと、むしろ外国の、中国人の方がずっと大枚を払ってくれるということで、皆さんにそんな正直に実態を言うかどうかというのも、利益相反というのはあるというふうに思いますので、やはり国土交通省として把握すべきではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、京都の事例も引き合いに出されて、また、東京と埼玉の事例なんかもお話しいただきました。

 マンションの価格は、いろいろな要素で決まっているというふうに承知しております。もちろん、建設コストの問題もございますけれども、特に、東京の都区部のマンションの価格が上がったとされている大きな要因は、非常に利便性の高い地域で高額な、大規模な物件が供給されたことによる影響が大きいというふうに、民間の研究機関なども分析されているというふうに承知しております。

 また、京都におきましては、長年にわたって、全体として、床面積の供給を一定程度抑制的な姿勢で都市行政が行われてきたということも一因ではないかというふうに言われているものと承知をしております。

 その上で、国土交通省として価格などの実態をきちんと把握すべきではないかということでございますけれども、まずは業界のお話をよく丁寧にお聞きをし、そのお話をされていることが事実と間違っていないかどうかということは、複数の方面からお話をよく確認をしたいと思います。

 今、私が都区部や京都の事例で申し上げましたのは、民間の不動産業者とはまた別の研究機関のデータでもございます。そういう幅広い方々からお話をよく伺う中で、実態をよく丁寧に把握してまいりたいというふうに存じます。

北神委員 新築マンションだけ、これは富裕層だけの話だというふうに思われがちですけれども、やはりどんどん波及しますからね。新築マンションが上がれば中古マンションも上がるということで、これもデータがないので分かりませんけれども、さっき京都の話もしましたし、東京でもなかなか手が届かないという声も聞いておりますので。

 是非私は、この資料にもあります、さっき言った住生活基本法の第十五条に、基本的な計画を策定しなければいけないと。この策定をするに当たって、この計画の中には、本計画に基づく施策を推進するとともに、その効果を的確に分析・評価し、新たな施策の企画・立案に反映させるため、住宅ストックの現状や住宅市場の状況等を継続的に把握することとし、そのための重要な手段である統計調査についても充実を図るということが書いてありますので、是非、大臣、もうこれ以上言いませんけれども、ひとつ検討をしていただければというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 何でこんな、みんなそんなに消極的なのか、私には分からなくて、この資料の一番最後の四ポツにありますけれども、別に外国人の数字を取ることが、そんな何か聖域なのかどうか、ちょっと分からないんですけれども、外国を見ますと、これはカナダもイギリスもオーストラリアもシンガポール、韓国も取り始めています。これは最近の動きなんですね。イギリス、オーストラリアは前からやっていると思いますけれども、カナダなんかは二〇一七年からやっています。

 これもやはり、バンクーバーとかトロントで、中国人の投機によって、カナダの地元の人たちが住めなくなったんですよ。二〇一七年にその統計をちゃんと整備して、そして二〇二三年、去年の一月一日から法律で、二年間限定ですけれども、外国人には一切、土地、不動産を売ってはいけないという規制をかけているわけでありますので、世界の情勢というのはこういう情勢でありますので、日本だけが余りのんきに構えていたらえらいことになるということだけ指摘をしたいというふうに思います。

 それで、これは統計、役所としては面倒くさいことを言うな、作業がどんどん増えていってとなるけれども、法務省に伺いたいのは、これは当然、マンションとか住宅を買うときには不動産登記というものが必要ですね。その中に、私の知識では、居住者はちゃんと、外国人であろうと住民票というものを提出しないといけない。そこにちゃんと国籍が書いてあるんです。非居住者においては、たしか皆さんが今年の四月一日からパスポートも提出しないといけない、これも国籍が分かる。だから、国土交通省さんは、単にそれを集計するだけの話です。それはそれで手間だと思いますけれども、難しいことではないんですよ。

 法務省さん、どうですか。この外国人の情報というのは把握されているんでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 外国人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合にも、日本人と同様に、住所を証する情報を提供する必要があります。

 本年四月一日からは、外国に居住する外国人等の実在性をより確実に確認するため、その住所を証する情報として、本国や居住国の政府が作成する住所を証明する書面やパスポートの写し等の提出を求めることとしております。

 また、国内に居住する外国人等については、その住所を証する情報として、住民票の写し等の提出が必要でございます。

 登記官は、登記申請において提出された書類を保存するものとされており、先ほど申し上げた提出書類に国籍の記載がある場合には、登記名義人の国籍に関する情報を保有することとなっております。

北神委員 ということで、原データはあるということなので、あとは集計するだけです。もちろん、これは国内の国民も情報を集めて、そして個人であるのか、企業であるのか、ファンドであるのか、そういう統計をそろえていた方が、住宅政策をやって、これは投機で高騰しているのかとか、ではその原因はどこから来ているのかという分析をするために、すごく必要だというふうに私は思います。

 ですから、是非そこをお願いしたいんですけれども、大臣にもう一つ最後にお聞きしたいのは、この前、私が予算委員会で質問したときに、総理がこう言うんですね。外国人による不動産等の購入実態の把握については、国際法上の内外無差別の原則等に照らして慎重であるべきだとは考えますがと、あとは重要土地等調査法の話をされるんですけれども、私の感じでは、土地を外国人に対して限定的に規制をする場合は、確かにこの内外無差別の原則に抵触すると思います。しかし、統計を取るというのは、先ほど申し上げたとおり、シンガポールも、お隣の韓国も、カナダも、まあまあ普通の先進国が、そしてみんなWTOにも入っていますし、そういう意味で、総理が何を言われているのかなと。

 国交省さんとして、これについてどうお考えなのか、ちょっとお聞きしたいと思います。大臣、そこにおられたので、ちょっと教えていただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 私も予算委員会で北神委員の総理とのやり取りをその場で聞いておりました。

 外国人による不動産等の購入実態について、調査を行うだけで直ちに我が国が締結した内外無差別を定める国際約束との関係で問題となるものではないと承知しております。

 しかし、先ほどおっしゃったように、この調査を踏まえて、サービス、投資に関する土地取引等に関し、外国人に差別的な対応をすることについては内外無差別の原則に抵触し得るものであり、慎重であるべき、このように考えております。

 あのときに総理があのように答弁されたのは、外国人よりも日本人による住宅取得を優先させるため、外国人による不動産の取得を規制するという内外無差別の原則に抵触し得る対応を前提とする以上、外国人による不動産等の購入実態の把握については慎重であるべきとされたものと認識しておりまして、先ほど私が申しました、調査を行うだけで内外無差別を定める国際約束との関係で問題となるものではないということとは矛盾しない、このように思います。

北神委員 最後に、もう終わりますけれども、外国人であろうと国民であろうと、投機とか、そういうことで一般の人たちが住めなくなるというのはやはり問題なので、その議論はまた機会があれば大臣とやりたいと思いますので、今日はありがとうございました。

     ――――◇―――――

長坂委員長 次に、内閣提出、流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

    ―――――――――――――

 流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

斉藤(鉄)国務大臣 ただいま議題となりました流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 物流は、我が国における国民生活及び経済活動を支える基盤です。本年四月から、物流産業が魅力ある職場とするため、時間外労働の上限規制がトラックドライバーに適用される一方、何も対策を講じなければ物流の停滞を生じかねないという、いわゆる二〇二四年問題に直面しております。この二〇二四年問題は、喫緊の課題であると同時に、年々深刻化していく構造的な課題でもあるため、本年を物流革新元年と位置づけ、継続的に対応していく必要があります。

 こうした状況を踏まえ、荷主、物流事業者、一般消費者が協力して我が国の物流を支えていくための環境を整備するため、商慣行の見直し、物流の効率化、荷主・消費者の行動変容について、抜本的、総合的な対策が必要となっております。

 また、軽トラック事業者について、ラストマイル配送の需要拡大とともに、死亡・重傷事故件数が増加しており、安全対策の強化が急務となっております。

 このような趣旨から、この度この法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、物流負荷の軽減を図るため、荷主や物流事業者に対し、トラックドライバーの荷待ち時間及び荷役時間の短縮、トラックの積載率の向上等に資する取組を行う努力義務を課すとともに、一定規模以上の事業者に対して、計画の作成やその取組の実施状況の報告等を義務づけるほか、このうち荷主に対しては、当該計画の作成等の業務を統括管理する者の選任を義務づけることとしております。また、認定を受けた流通業務総合効率化事業について、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が必要な資金を出資できることとしております。

 第二に、トラック事業における多重下請構造の是正を図るため、元請事業者に対し、実運送事業者の名称等を記載した実運送体制管理簿の作成を義務づけるとともに、荷主及びトラック事業者等に対し、運送契約締結時の書面交付等を義務づけることとしております。また、トラック事業者等に対し、下請事業者の健全な事業運営の確保に資する取組を行う努力義務を課すとともに、一定規模以上の事業者に対して、当該取組に関する管理規程の作成等を義務づけることとしております。

 第三に、軽トラック事業の安全対策を強化するため、軽トラック事業者に対し、営業所ごとに貨物軽自動車安全管理者を選任し、当該管理者に講習を受講させること等を義務づけることとしております。

 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

長坂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

長坂委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十九分散会


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