本日、東日本大震災から九年を迎えました。数多くの方々が、尊い命を失い、行方不明となった、あの日を思うとき、今なお深い悲しみを覚えます。亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、御遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。そして、必死の思いで復旧・復興に向けて尽力してこられた被災者の方々、また、温かい支援を寄せられた国内外の方々をはじめ関係者の皆様全てに対し、改めて敬意と謝意を表します。
この間、被災地の復興の加速化に向けた努力が結実し、地震・津波被災地域では、住まいの再建はおおむね完了し、産業の再生も進んできています。原子力災害被災地域では、避難指示の解除が進み、本格的な復興が始まっているところです。
しかし一方で、現在も多くの方々が避難生活を強いられています。また、人間関係、居住環境の変化や、放射線と日常的に向き合う負担などにより、様々な戸惑いを抱えながら生活している方がいらっしゃいます。汚染水対策を含めた原発の廃炉作業や指定廃棄物の処分などには、中長期的に責任を持って取り組まなければなりません。私たちは、こうした現実を直視し、これまでの取組を不断に検証しつつ、被災されたそれぞれの方々にとっての真の復興を成し遂げるために、心を合わせて努力を続けていく必要があります。「復興五輪」として開催される東京オリンピック・パラリンピックを、そうした決意を新たにする契機としていかなければなりません。
我が国は、長い歴史の中で幾度も大災害に見舞われてきましたが、先人たち、そして私たちは、その度ごとに悲しみや苦しみの中で互いに助け合い、将来に向けた歩みを進めてきました。この足跡に深く思いを致し、地震や津波による広域複合大災害の発生が高い確度で予測されていることを踏まえ、冷静に震災への対応を振り返り、災害に強い国づくりに取り組むことは、震災を経験し、本日、御霊を思い、祈りをささげる私たちの使命であると存じます。衆議院といたしましては、引き続き諸課題に真摯に取り組み、復興・再生と防災・減災対策に全力を尽くしてまいる所存です。
ここに、震災の犠牲となられた方々の御冥福を衷心よりお祈りし、御遺族の皆様の御平安を切に祈念申し上げます。
(令和2年3月11日) |
※衆議院議長は、例年、政府主催の東日本大震災の追悼式に出席し、追悼の辞を述べていますが、本年の「東日本大震災九周年追悼式」が取りやめとなったことを受け、この談話が発出されました。