衆議院

メインへスキップ

  • 音声読み上げ 音声読み上げアイコン
  • サイト内検索
  • 本会議・委員会等
  • 立法情報
  • 議員情報
  • 国会関係資料
  • 各種手続
  • English

金融安定化に関する特別委員会

[1] 不動産に関連する権利等の調整に関する臨時措置法案(内閣提出第1号)

審査未了

本案は、我が国における金融の現状にかんがみ、関係者間の合意に基づき、不動産の効果的な処分を通じた債務者の事業の再建を図ることにより、その債務の弁済可能性を高めつつ金融機関の不良債権の処理を促進するため、臨時の措置として、不動産に関連する権利等の調整について調停及び仲裁を行う制度を設ける等の措置を講じ、金融の機能の健全化に対する信頼の回復を図ろうとするもので、その主な内容は次のとおりである。

一 債務者、金融機関その他の利害関係人の間における不動産に関連する権利等の調整等について調停及び仲裁を行う機関として、総理府に不動産関連権利等調整委員会を設置することとする。委員会は、内閣総理大臣が、両議院の同意を得て、人格が高潔で高い識見を有する者のうちから任命する委員長及び10人以内の委員をもって組織することとする。

二 債務者、金融機関、担保権者等は、委員会に対して不動産に関連する権利等の調整等について調停を求めることができることとする。委員会は、当事者間において、債務者の事業の再建を通じてその債務の弁済可能性を高めるとの観点から、公正かつ妥当で遂行可能な合意の形成を図るため、調停を行うこととする。なお、債務者に係る権利等の調整を円滑に進めるために必要な場合には、委員会は、所定の当事者の申立てにより、債務者がその債務を保証している所定の子会社等に係る債務等の調整につき、併せて調停を行うことができることとする。

三 債務者及び金融機関の全部又は一部を含む利害関係人が仲裁に付する旨の合意をした場合に、これらの者は、委員会に対して仲裁を求めることができることとする。委員会は、仲裁を行うに当たっては、債務者の事業の再建を通じてその債務の弁済可能性を高めるとの観点から、公正かつ妥当で遂行可能な仲裁判断を行うこととする。

四 委員会が行う調停等に関し、当該調停等により当事者の合意等が得られる場合における債権放棄等による損失の損金算入、債務免除益の累積欠損金との相殺等税制上の措置を定める等所要の措置を設けることとする。

五 この法律は、政令で定める施行の日から起算して5年を経過した日に効力を失うこととする。

六 この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとする。

 

[2] 金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律及び預金保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第2号)

審査未了

本案は、金融機関の破綻に際してその業務の適切な管理及び円滑な承継を図ることにより我が国における金融の機能の安定化を図るため、緊急の特例措置として、破綻した金融機関の業務及び財産を金融管理人に管理させる制度を創設するとともに、預金保険機構がその特例業務として金融管理人の管理に係る金融機関の業務を承継する銀行を確保するための銀行持株会社の設立等の業務を行うことができることとする等の措置を講ずるほか、預金保険機構の体制の整備等を行うことにより、信用秩序の維持と預金者等の保護を図ろうとするもので、その主な内容は次のとおりである。

一 金融管理人による管理

1 内閣総理大臣は、平成13年3月31日までを限り、金融機関が破綻した場合において、その金融機関に対し、金融管理人による業務及び財産の管理を命ずる処分をすることができることとする。

2 被管理金融機関の業務を執行する権利等は金融管理人に専属し、金融管理人は、被管理金融機関が管理を命ずる処分を受ける状況に至った経緯等を調査し、内閣総理大臣に報告しなければならないこととする。

3 内閣総理大臣は、金融管理人に対し、資金の貸付けその他の業務の暫定的な維持継続に係る方針、営業譲渡等を円滑に行うための方策を含む業務及び財産の管理に関する計画の作成を命ずることができることとする。

4 金融管理人は、被管理金融機関の取締役等及び取締役等であった者に対し、その業務及び財産の状況につき報告を求め、又はその帳簿、書類等を検査することができることとするとともに、金融管理人はその職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発に向けて所要の措置をとらなければならないこととする。

5 株主総会等の特別決議等に関する特例等の規定を設けることとする。

二 預金保険機構の業務の特例

1 預金保険機構は、銀行持株会社として承継銀行等の経営管理を行うことを主たる目的とする株式会社を設立、出資し、当該株式会社と基本協定を締結し、協定持株会社とすることとする。協定持株会社は金融危機管理審査委員会の決議があったときは、平成13年3月31日までを限り、承継銀行を子会社として設立するための出資をすること又は被管理金融機関である銀行を子会社とするための株式の取得をすることを実施するものとする。

2 預金保険機構は、協定持株会社に対し、貸付け又は債務の保証を行うことができることとするとともに、基本協定の定めによる業務の実施により生じた損失の補てんを行い、協定持株会社から納付される金銭の収納を行うことができることとする。

3 金融危機管理審査委員会の下に置かれた審査判定委員会は、金融危機管理審査委員会があらかじめ定め、公表した審査判定基準に従い、被管理金融機関の貸出債権その他の資産の内容を審査し、承継銀行等が保有する資産として適当であるか否かの判定を行うこととする。

4 協定持株会社は、融資審査委員会を設置し、その委員会において承継銀行等の資金の貸付けその他の業務の指針を審査判定基準との整合性に配慮しつつ作成し、公表することとする。

5 協定持株会社は、被管理金融機関に対する管理を命ずる処分の日から2年以内に、承継銀行等の合併、営業の全部の譲渡等により承継銀行等の経営管理を終了するものとし、ただし、やむを得ない事情によりこの期限内に経営管理を終了することができない場合には、預金保険機構の承認を受けて、1年ごとに3回までを限り、この期限を延長することができることとする。

三 預金保険機構の体制の整備等を行うこととする。

四 その他所要の規定の整備を図ることとする。

五 この法律は、公布の日から施行することとする。

[3] 債権管理回収業に関する特別措置法案(保岡興治君外3名提出、衆法第1号)《自民》

成立(平成10年法律第126号)

本案は、金融機関等が有する不良債権の実質的処理の促進を図り、国民経済の健全な発展に資するため、弁護士法の特例として債権回収会社が業として特定金銭債権の管理及び回収を行う制度を設けるとともに、債権回収会社について必要な規制を行うことにより、その業務の適正な運営の確保を図ろうとするもので、その主な内容は、次のとおりである。

一 債権管理回収業とは、弁護士以外の者が委託を受けて法律事件に関する法律事務である、金融機関、農水産業協同組合、保険会社等の有する貸付債権等特定金銭債権の管理及び回収を行う営業又は他人から譲り受けて訴訟、調停、和解その他の手段によって右特定金銭債権の管理及び回収を行う営業をいうこととし、この債権管理回収業は法務大臣の許可を受けた株式会社でなければ営むことができないものとすること。

なお、許可の基準として、その株式会社は、資本の額が5億円以上であること、取締役のうちに弁護士がいること、暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用するおそれのないこと等を要するものとすること。

二 債権回収会社の業務に従事する者は、その業務を行うに当たり、人を威迫し又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させてはならないこと、また、債権回収会社は、債権管理回収業に係る債権の管理又は回収を他の債権回収会社及び弁護士以外の者に委託してはならないこと等業務に関する規制をするものとすること。

三 法務大臣は、債権回収会社に対し、その業務若しくは財産に関して報告等を命じ、又は当該職員に、債権回収会社の営業所等に立ち入り、その業務等について検査をさせる等のことができるものとすること。

また、法務大臣は、必要があると認めるときは、債権回収会社に対し、業務改善命令、許可の取消し等の処分を行うことができるものとすること。

四 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。

(修正要旨)

一 本法が、金融機関等の不良債権処理が現下喫緊の課題となっている状況に対応するためのものであることを明記するものとすること。

二 取扱対象債権につき、原案で規定されていたもののうち、貸金業者の有する貸付債権については、金融機関系列の貸金業者が有する不動産担保付き事業者向け貸付債権に限定するものとすること。

三 悪質な取立て行為を防止し、債務者の人権を擁護するとの観点から、債権回収に当たり、偽りその他不正な手段を用いることの禁止、利息制限法に違反する約定のなされた債権の回収の禁止、貸金業者から借り入れて弁済することを要求する行為の禁止、法律上支払義務のない者に対する請求の禁止等について可能な限り具体的に法文に盛り込むこととしてその明確化を図った上、暴力団員等の使用、白紙委任状の取得及び虚偽広告の禁止について新たに罰則を設けるものとすること。

四 本制度については、本法施行後5年を目途として、実施状況等を勘案して検討を加え、必要な措置を講ずるものとすること。

 

[4] 金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律案(保岡興治君外3名提出、衆法第2号)《自民》

成立(平成10年法律第127号)

本案は、金融機関等が有する回収が困難となった債権であって不動産を担保とするものの処理が喫緊の課題となっている状況にかんがみ、金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化を図るための臨時の措置を定めようとするもので、その主な内容は次のとおりである。

一 根抵当権の担保すべき元本の確定

金融機関等が、その有する根抵当権の担保すべき債権の全部を特定債権回収機関に売却しようとする場合において、債務者に対し、その旨及び根抵当権の担保すべき元本を新たに発生させる意思を有しない旨を書面により通知したときは、民法の定める元本の確定事由に該当するものとみなすものとすること。ただし、根抵当権の担保すべき元本の確定すべき期日の定めのあるときは、この限りでないものとすること。

二 登記の申請の特例

一の規定により、根抵当権の担保すべき元本が確定した場合の登記については、その通知に係る特定債権回収機関に対する根抵当権の移転登記とともに申請する場合に限り、所要の書面を添付して、根抵当権者のみで申請することができるものとすること。

三 失効

この法律は、平成13年3月31日限り、その効力を失うものとすること。

四 施行期日

この法律は、公布の日から起算して1月を経過した日から施行するものとすること。

(修正要旨)

一 「金融機関等」として、新たに、保険会社を加えること。

二 「特定債権回収機関」として、新たに、住宅金融債権管理機構を加えること。

 

[5] 競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律案(保岡興治君外4名提出、衆法第3号)《自民》

成立(平成10年法律第128号)

本案は、不動産競売手続において不当な執行妨害行為により手続の遅延が生じている等の現状にかんがみ、手続のより円滑かつ適正な遂行を図る等のため必要な措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。

一 原裁判所による執行抗告の却下

執行抗告が民事執行の手続を不当に遅延させることを目的としてされたものであるときは、原裁判所は、執行抗告を却下しなければならないものとすること。

二 競売物件に対する執行官・評価人の調査権限の拡充

1 執行官等は、不動産の現況調査等のため必要がある場合には、市町村等に対し、不動産に対して課される固定資産税に関して保有する図面その他の資料の写し等の交付を請求することができるものとすること。

2 執行官等は、電気、ガス又は水道水の供給等を行う公益事業を営む法人に対し、必要な事項の報告を求めることができるものとすること。

三 買受けの申出をした差押債権者のための保全処分

売却手続を実施しても買受けの申出がなかった場合において、買受人に対抗できない占有者が、売却を困難にする行為をし、又はその行為をするおそれがあるときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、担保を立てさせて、その不動産を執行官又は差押債権者に保管させるべきことを命ずることができるものとすること。

四 売却の見込みのない場合の措置

売却の見込みのない場合の強制競売の手続の停止、取消し等の制度を設けること。

五 代金納付による登記の嘱託の特例

買受人の銀行ローン活用のための移転登記の嘱託方法を改善すること。

六 配当期日における送達方法の合理化

債権の届出をしていない債権者に対する配当期日の呼出状の送達は、事件の記録に表れた住所等においてすれば足りるものとすること。

七 施行期日

この法律は、公布の日から起算して2月を経過した日から施行するものとすること。

 

[6] 特定競売手続における現況調査及び評価等の特例に関する臨時措置法案(保岡興治君外4名提出、衆法第4号)《自民》

成立(平成10年法律第129号)

本案は、預金保険機構並びにその関与の下に不良債権の処理を進めている住宅金融債権管理機構及び整理回収銀行の申立てに係る競売手続について、その円滑な実施に資するため現況調査及び評価等に関し民事執行法の特例を定めようとするもので、その主な内容は次のとおりである。

一 現況調査の特例

執行裁判所は、特定競売手続について、預金保険機構等から不動産の現況を明らかにする書面の提出を受けた場合において、相当と認めるときは、現況調査を命じないことができるものとすること。

二 評価等の特例

執行裁判所は、特定競売手続について、預金保険機構等から不動産の評価を記載した書面の提出を受けた場合において、相当と認めるときは、評価人を選任することなく、その書面に記載された評価に基づいて最低売却価額を定めることができるものとすること。

三 失効

この法律は、施行の日から起算して10年を経過した日にその効力を失うものとすること。

四 施行期日

この法律は、公布の日から起算して2月を経過した日から施行するものとすること。

[7] 金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案(菅直人君外12名提出、衆法第5号)《民主、和、自由》

成立(平成10年法律第132号)

本案は、金融機関の破綻が相次いで発生し、我が国の金融の機能が大きく低下するとともに、我が国の金融システムに対する内外の信頼が失われつつある状況にあることにかんがみ、我が国の金融の機能の安定及びその再生を図るため、金融機関の破綻の処理の原則を定めるとともに、破綻した金融機関の金融整理管財人による管理、破綻した銀行の特別公的管理の制度を設けること等により信用秩序の維持と預金者の保護を図ろうとするもので、その主な内容は次のとおりである。

一 金融再生委員会が講ずる金融機関の破綻に対する施策は、次に掲げる原則によるものとし、平成13年3月31日までに、集中的に実施することとする。

1 破綻した金融機関の不良債権等の財務内容その他の経営の状況を開示することとする。

2 経営の健全性の確保が困難な金融機関を存続させないこととする。

3 破綻した金融機関の株主及び経営者等の責任を明確にすることとする。

4 預金者を保護することとする。

5 金融機関の金融仲介機能を維持することとする。

6 金融機関の破綻処理に係る費用が最小となるようにすることとする。

二 政府は、おおむね6月に1回、又はその求めがあったときは直ちに、破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等を国会に報告しなければならないこととする。

三 破綻金融機関の金融整理管財人による管理

1 金融再生委員会は、平成13年3月31日までを限り、金融機関が破綻した場合において一定の要件に該当すると認めるときは、裁判所の認可を受けて、その金融機関に対し、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分をすることができることとする。

2 被管理金融機関の業務を執行する権利等は、金融整理管財人に専属し、金融整理管財人は、被管理金融機関が管理を命ずる処分を受ける状況に至った経緯等を調査し、金融再生委員会に報告しなければならないこととする。

3 金融整理管財人は、被管理金融機関の取締役等又は取締役等であった者に対し、職務上の義務違反に基づく民事上の責任を履行させるため、訴えの提起その他の必要な措置をとらなければならないこととする。また、金融整理管財人は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発しなければならないこととする。

4 金融整理管財人は、管理を命ずる処分があった日から1年以内に、被管理金融機関の営業譲渡等により、その管理を終了することとする。ただし、やむを得ない事情により、この期限内にその管理を終了することができない場合には、金融再生委員会の承認を受けて、1年を限り、この期限を延長することができることとする。

四 破綻銀行の特別公的管理

1 金融再生委員会は、銀行が破綻した場合において一定の要件に該当すると認めるときは、裁判所の認可を受けて、その銀行の特別公的管理の開始を決定することができることとするとともに、預金保険機構がその決定に係る銀行の株式を取得することを決定することとする。

2 預金保険機構は、金融再生委員会の指名に基づき、特別公的管理銀行の取締役等を選任し、特別公的管理銀行は、金融再生委員会の承認を得て定める基準に従って、資金の貸付けその他の業務を行わなければならないこととする。

3 特別公的管理銀行は、取締役等であった者の職務上の義務違反に基づく民事上の責任を履行させるため、訴えの提起その他の必要な措置をとらなければならないこととする。また、特別公的管理銀行の役員は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならないこととする。

4 金融再生委員会は、平成13年3月31日までに、特別公的管理銀行の営業の譲渡等により、その管理を終了することとする。

五 預金保険機構は、金融再生委員会の承認を得て、特別公的管理銀行に対し、資金の貸付け、損失の補てんを行うことができることとするとともに、日銀等から資金の借入れをすることができることとする。

六 施行期日等

1 この法律は、金融再生委員会設置法の施行の日から施行することとする。ただし、2については、公布の日から施行することとする。

2 金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律は、廃止することとする。

3 その他所要の規定の整備を図ることとする。

(修正要旨)

一 金融機関の破綻の処理

  金融再生委員会に対する意見の申出の主体に、日本銀行を加えること。

二 金融整理管財人による管理

1 金融整理管財人による管理に係る裁判所の認可の規定を削除すること。

2 金融整理管財人による管理の開始事由に、「当該金融機関の業務の運営が著しく不適切であること」を加えること。

三 破綻した金融機関の業務承継

1 承継銀行(ブリッジバンク)は、預金保険機構が設立・出資する銀行持株会社(平成金融再生機構)が設立するものとせず、預金保険機構が直接設立するものとすること。

2 株式を取得する方式による承継銀行は、設けないものとすること。

四 特別公的管理

1 金融再生委員会は、銀行がその業務又は財産の状況に照らし預金等の払戻しを停止するおそれが生ずると認める場合にも、特別公的管理の開始の決定ができるものとすること。

2 特別公的管理に係る裁判所の認可の規定を削除すること。

3 取得株式の対価の算定基準は、純資産額を基礎とする旨を規定するものとすること。

五 金融機関等の資産の買取りに関する緊急措置

1 対象金融機関等は、次のとおりとすること。

(1) 被管理金融機関

(2) 承継銀行(ブリッジバンク)

(3) 特別公的管理銀行

(4) その他の金融機関等

六 預金保険機構の業務の特例等

1 預金保険機構が預金保険機構債券を発行できるものとすること。

2 預金保険機構は、特別公的管理銀行に対し、預金保険法による資金援助ができるものとすること。

3 預金保険機構は、破綻金融機関又は特別公的管理銀行の営業の譲受け又は株式の取得を行う銀行の発行する株式の引受け等ができるものとすること。

七 雑則

金融機関の破綻処理に係る裁判所の認可の規定を削除すること。

八 附則

1 施行期日を次に掲げるとおりとすること。

(1) 総理大臣代行部分 公布の日から起算して10日を超えない範囲内で政令で定める日

(2) 金融再生委員会部分 金融再生委員会設置の日(公布の日から起算して2月を超えない範囲内で政令で定める日)

2 金融再生委員会設置までの間は、金融再生委員会の権限を総理大臣が代行できる旨の規定を設けること。

[8] 金融再生委員会設置法案(菅直人君外12名提出、衆法第6号)《民主、和、自由》

成立(平成10年法律第130号)

本案は、国家行政組織法に基づき、総理府の外局として、金融再生委員会を設置するとともに、その所掌する行政事務を能率的に遂行するために必要な組織を定めようとするもので、その主な内容は次のとおりである。

一 金融再生委員会は、金融制度及び証券取引制度について調査、企画及び立案をするほか、金融機関の破綻に対し必要な措置を講ずるとともに、銀行業、保険業、証券業その他の金融業を営む民間事業者等について検査その他の監督をし、及び証券取引等の公正が確保されるようその監視をすることを主たる任務とすることとする。

二 金融再生委員会は、委員長及び委員4名をもって組織し、委員長は国務大臣を充て、委員は両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命することとする。

三 金融再生委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、説明その他の必要な協力を求めることができることとする。また、金融再生委員会及び大蔵大臣は、それぞれその所掌事務を適切に遂行するため、相互に緊密な連絡をとることとする。

四 金融再生委員会に、金融監督庁を置くこととする。

五 金融監督庁に、証券取引等監視委員会を置くこととする。

六 金融再生委員会に、株価算定委員会を置くこととし、その組織は、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命する委員5名とすることとする。

七 施行期日等

1 この法律は、公布の日から起算して1月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとする。

2 この法律は、平成13年3月31日までに廃止することとする。

3 その他所要の規定の整備を図ることとする。

(修正要旨)

一 所掌事務及び権限

1 金融再生委員会の所掌事務は、現行の金融行政に関する総理府の所掌事務と、金融機関の破綻の処理等に関する事務及び金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案事務とすること。

2 金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案事務及び預金保険機構の監督に関する事務は、金融再生委員会と大蔵大臣の共管とすること。農水産業協同組合貯金保険機構の監督に関する事務は、金融再生委員会と農林水産大臣及び大蔵大臣の共管とすること。

二 施行期日

この法律は、公布の日から起算して2月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。

 

[9] 預金保険法の一部を改正する法律案(菅直人君外12名提出、衆法第7号)《民主、和、自由》

成立(平成10年法律第133号)

本案は、金融機関の破綻の責任を明確にしつつ破綻の処理を円滑かつ効率的に行うことにより信用秩序の維持に資するため、預金保険機構の出資により、整理回収機構を設立しようとするもので、その主な内容は次のとおりである。

一 整理回収機構の創設

1 整理回収機構は、次の業務を行うこととする。

(1) 破綻金融機関からその営業を譲り受け、及びその整理を行うこと。

(2) 破綻金融機関からその資産を買い取り、及びその管理・処分を行うこと。

(3) 金融機関の更生事件における管財人の職務等を行うこと。

2 整理回収機構の職員は、債務者等が所有する不動産に立ち入り、現況を確認し、その者に質問し、又は帳簿等についての説明を求めることができることとする。

3 役員は、理事長1名、副理事長1名、理事10名、監事3名とし、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命することとする。なお、金融機関の役職員、大蔵省の職員、日本銀行の役職員又はこれらの職に在った者は、理事長又は副理事長となることができないこととする。

4 整理回収機構は、破綻金融機関から取得した債権について、その債務者その他の関係者が負うべき民事上の責任を履行させるために、訴えの提起その他必要な措置をとらなければならないこととする。

5 整理回収機構は、整理回収銀行及び住宅金融債権管理機構の営業の全部を引き継ぎ、その業務を行うことができることとする。

二 預金保険機構に係る改正

1 預金保険機構の役員は、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命することとする。

2 預金保険機構は、破綻金融機関から営業譲受け等を行う受皿金融機関の財務が健全であるときに限り、当該受皿金融機関に対して優先株式の取得等を行うことができることとする。

3 特例業務を終了した時点において、特例業務勘定に累積欠損金がある場合には、預金保険機構の借入金に係る政府の保証債務の履行により一般会計で負担することができることとする。

4 特定合併に係る資金援助は行わないこととする。

三 施行期日等

1 この法律は、整理回収銀行の廃止関係の規定を除き、金融再生委員会設置法の施行の日から施行することとする。

2 その他所要の規定の整備を図ることとする。

(修正要旨)

一 整理回収機構(日本版RTC)の創設

1 住宅金融債権管理機構と整理回収銀行を一体とした株式会社組織として、整理回収機構(日本版RTC)を創設すること。

2 その際、住管機構が整理回収銀行を吸収合併すること。

二 預金保険機構に係る改正

1 預金保険機構の業務の円滑化に関する事項

(1) 預金保険機構に役員として理事4人以内を置くことができること。

(2) 裁判等の代理人の選任を可能とすること。

(3) 借入金の調達先を日銀・金融機関以外にも拡大すること。

(4) 責任追及のため取締役等及び取締役等であった者に対する罰則付質問権を預金保険機構に付与すること。

2 特定合併

平成11年4月1日から、特定合併を廃止すること。

3 その他

(1) 特例業務基金及びこれに係る交付国債の規定は存続すること。

(2) 預金保険機構は、預金保険機構債券を発行できること。

4 預金保険機構の監督権限

預金保険機構の監督に関する事務は、金融再生委員会と大蔵大臣の共管とすること。

三 その他

1 整理回収機構の創設に伴い、特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する法律に所要の改正を行うこと。

2 この法律は、公布の日から起算して10日を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。

[10] 金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(菅直人君外12名提出、衆法第8号)《民主、和、自由》

成立(平成10年法律第131号)

本案は、金融再生委員会設置法の施行に伴い、総理府設置法その他の行政組織に関する法律及び銀行法、保険業法、証券取引法その他の関係法律について、所要の規定の整備を図るとともに、所要の経過措置を定めようとするものである。

(修正要旨)

金融再生委員会設置法の施行に伴い必要な関係法律の整備を行う原案について、金融再生委員会設置法案に次の修正が行われることに伴い、所要の修正を行うこと。

一 金融再生委員会の所掌事務は、現行の金融行政に関する総理府の所掌事務と、金融機関の破綻の処理等に関する事務及び金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案事務とすること。

二 金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案事務及び預金保険機構の監督に関する事務等は、大蔵大臣と金融再生委員会の共管等とすること。

[11] 信用保証協会法等の一部を改正する法律案(菅直人君外12名提出、衆法第9号)《民主、和、自由》

継続審査

要旨は、第144回国会参照

 

[12] 金融機能の正常化に関する特別措置法案(佐々木憲昭君外2名提出、衆法第10号)《共産》

審査未了

本案は、金融機関の破綻が相次いで発生し、我が国の金融の機能が大きく低下するとともに、金融機関の救済のために多額の公的資金が投入されている状況にあることにかんがみ、金融機関の自己責任の原則にのっとり我が国の金融の機能の安定及びその正常化を図るため、金融機関の破綻の処理の原則を定めるとともに、金融機関の貸付けの投機性等を明らかにした金融機関の財務内容の開示並びに破綻した金融機関の預金保険機構による管理及び承継銀行の設立の制度を設けようとするもので、その主な内容は次のとおりである。

一 金融監督委員会が講ずる金融機関の破綻に対する施策は、次に掲げる原則によるものとし、平成13年3月31日までに実施するものとする。

1 金融機能の安定及びその正常化を図るための費用は、自己責任の原則にのっとり金融機関の負担によるべきものであることとする。

2 預金者等を保護するものとする。

3 金融機関の金融仲介機能を維持するものとする。

4 金融機関の破綻処理に係る費用が最小となるようにすることとする。

二 破綻金融機関の預金保険機構による管理

1 金融監督委員会は、平成13年3月31日までを限り、金融機関が破綻した場合において、その金融機関に対し、預金保険機構による業務及び財産の管理を命ずる処分をすることができることとする。

2 被管理金融機関の業務を執行する権利等は、預金保険機構に専属し、預金保険機構は、被管理金融機関が管理を命ずる処分を受ける状況に至った経緯等を調査し、金融監督委員会に報告しなければならないこととする。

3 預金保険機構は、被管理金融機関の取締役等又は取締役等であった者に対し、その業務及び財産の状況につき報告を求め、又は帳簿、書類等を検査することができることとする。

4 預金保険機構は、被管理金融機関の取締役等又は取締役等であった者の職務上の義務違反に基づく民事上の責任を履行させるため、訴えの提起その他の必要な措置をとらなければならないこととする。また、預金保険機構は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならないこととする。

三 預金保険機構は、金融機関が破綻した場合において、その金融機関の営業譲渡等のあっせんを行うことができることとする。

四 預金保険機構の業務の特例

1 預金保険機構は、承継銀行を設立、出資し、その承継銀行と被管理金融機関の業務承継等に関する協定(以下、「協定」という。)を締結することとする。

2 預金保険機構は、協定承継銀行に対し、資金の貸付け又は債務の保証を行うことができることとするとともに、協定の定めによる業務の実施により生じた損失の補てんを行うことができることとする。

3 協定承継銀行は、融資審査委員会を設置し、その委員会において協定承継銀行の資金の貸付けその他の業務の指針を作成し、公表することとする。

五 金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律を廃止するものとする。

六 預金保険法の一部改正

1 特例業務基金及び交付国債の規定並びに預金保険機構の借入れに係る政府保証の規定を廃止することとする。

2 特例業務の実施に要する費用には、全額特別保険料を充てることとする。

七 施行期日等

1 この法律は、別に法律で定める日から施行することとする。

2 金融機関の検査その他の監督、預金保険機構の監督等を行う金融監督委員会の措置については、別に法律で定めることとする。

3 その他の所要の規定の整備を図ることとする。

 

[13] 金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案(保岡興治君外3名提出、衆法第15号)《自民》

成立(平成10年法律第143号)

本案は、我が国の金融システムに対する内外の信頼を回復することが現下の喫緊の課題であることにかんがみ、金融機関等の資本の増強に関する緊急措置の制度を設けること等により我が国の金融機能の早期健全化を図ろうとするもので、その主な内容は次のとおりである。

一 金融機能の早期健全化のために講ずる施策の原則

金融再生委員会がこの法律に基づいて講ずる施策の原則を定めることとする。

二 金融機関等の資本の増強に関する緊急措置

1 株式等の引受け等の承認等

(1) 預金保険機構(以下「機構」という。)は、株式等の引受け等を協定銀行に委託することができることとする。

(2) 株式等の発行等を行おうとする金融機関等は、協定銀行に対し、平成13年3月31日までにその申込みを行うとともに、機構に対し、金融再生委員会の承認を求めるよう申請しなければならないこととする。

2 経営の健全化のための計画

1の(2)の申請を行った金融機関等は、金融再生委員会に対し、経営の合理化、責任ある経営体制の確立、財務内容の健全性及び業務の健全かつ適切な運営の確保のための方策等を定めた経営の健全化計画を、提出しなければならないこととする。

3 議決権のある株式の引受け

金融再生委員会は、次に掲げる要件のすべてに該当する場合に限り、議決権のある株式の引受けの承認をすることができることとする。

(1) 協定銀行による株式の引受けによりその資本の増強が図られなければ、信用秩序の維持又は企業活動若しくは雇用の状況に甚大な影響を及ぼす等経済の円滑な運営に極めて重大な支障が生ずるおそれがあること。

(2) (1)に掲げる事態を避けるために、議決権のある株式の引受けが不可欠であること。

(3) 債務超過等当該銀行の存続が極めて困難であると認められる場合でなく、かつ、取得株式等の処分をすることが著しく困難であると認められる場合でないこと。

(4) 当該銀行の自己資本の充実の状況に係る区分が著しい過少資本の状況にあるものとして金融再生委員会規則で定める区分に該当すること。

(5) 経営の健全化計画の確実な履行等を通じて、金融再生委員会が定めて公表する基準に従った経営の合理化、経営責任の明確化、株主責任の明確化等の実行が見込まれること。

4 議決権のある株式の引受け以外の株式等の引受け等

金融再生委員会は、3の(1)、(3)及び(5)の要件のすべてに該当する場合に限り、議決権のある株式以外の株式等の引受け等の承認をすることができることとする。この場合において、3の(5)の基準は、自己資本の充実の状況に係る区分として金融再生委員会規則で定める区分その他の要素を勘案して定めることとする。

5 合併等を行う金融機関等に係る株式等の引受け等

金融再生委員会は、合併等により自己資本の充実の状況が悪化したこと等の要件に該当する場合に限り、合併等を行う金融機関等に係る株式等の引受け等の承認をすることができることとする。

6 資本の減少等を行う場合の特例

申請をした銀行が、資本の減少を行う場合の、商法上の債権者保護の手続の特例を設けることとする。

7 協定の締結等

(1) 機構は、預金保険法に規定する協定銀行と、株式等の引受け等及び取得株式等の処分等の業務の委託に関する協定を締結しなければならないこととする。

(2) 機構は、協定において、協定銀行が、株式の発行に係る銀行が協定銀行の子会社となったときは、原則として1年以内に当該銀行が子会社でなくなるよう株式の譲渡等の処分を行うことその他の事項を実施すべき旨を定めなければならないこととする。

三 預金保険機構の業務の特例等

1 機構は、協定銀行に対し、資金の貸付け等を行うことができることとし、金融機能の早期健全化のための業務については、金融機能早期健全化勘定を設けて整理することとする。

2 機構は、金融機能早期健全化業務を行うために必要があると認めるときは、政令で定める金額の範囲内において、日本銀行等から資金の借入れ等をすることができることとし、政府は、国会の議決を経た金額の範囲内において借入れ等に係る債務の保証をすることができることとする。

四 施行期日等

1 この法律は、公布の日から起算して10日を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとする。

2 平成10年度において政府が三の2の債務の保証をする場合及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づいて債務の保証をする場合には、10兆円の範囲内において、これをすることができることとする。

(修正要旨)

一 法案の目的規定に「不良債権の処理を速やかに進める」旨を追加すること。

二 金融機能の早期健全化のために講ずる施策の原則に掲げる「情報等の適切かつ十分な開示に努めること」という規定を、「情報等の適切かつ十分な開示を行うこと」に改めること。

三 金融機関等は、金融再生委員会がこの法律に基づいて施策を講ずる前提として、金融機関等が適切に資産の査定、引当て及び有価証券の評価等を行うことにより財務内容等の健全性を確保するものとすること。

四 金融再生委員会は、特に著しい過少資本の状況にある金融機関等に対して、自己資本の充実、大幅な業務の縮少、合併又は銀行業の廃止等の措置のいずれかを選択した上、実施することを命ずるものとすること。

五 経営の健全化のための計画に、株式等の発行等に係る株式等の消却等のための財源を確保するための方策を加えるとともに、同計画の履行状況の公表を義務化すること。

六 協定銀行による株式の引受けの要件に、当該銀行が特に著しい過少資本の状況にあるときは、当該銀行の存続が地域経済にとって必要不可欠等である場合を加えること。

七 金融機関等が健全な自己資本の状況に該当するときの優先株式等の引受け等は、経営状況が悪化している金融機関等の合併等を行う場合、急激かつ大幅な信用収縮の回避のために不可欠である場合等とすること。

八 経営の健全化のための計画に、虚偽事実の記載があった場合の罰則規定を設けること。


衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.