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憲法調査会の設置

1.憲法調査会設置に至る経緯と背景

(1) 経緯と背景

(2) 国会における審議経過

2.国会法の一部改正及び憲法調査会規程の概要

(1)「国会法の一部を改正する法律」の概要

(2)「衆議院憲法調査会規程」の概要

3.憲法調査会設置に関する申合せ

 

1.憲法調査会設置に至る経緯と背景

(1) 経緯と背景

昭和22年(1947)に日本国憲法が施行されてから、50年余が経過した。

この誕生してから半世紀以上を経過した日本国憲法を、国権の最高機関である国会で、広範かつ総合的に調査し、議論しようというのが、第145回国会において衆参両院に設置が決まった「憲法調査会」である。「国会法の一部を改正する法律」並びに「衆議院憲法調査会規程」及び「参議院憲法調査会規程」から成る今回の改正は、平成12年1月に召集される次の常会から動き出すことになる。

かつて、昭和30年代に同名の憲法調査会が存在し、やはり同様に、日本国憲法について調査審議を行ったことがあるが、それは、内閣(政府)に設置された憲法調査会であった。この憲法調査会は、昭和31年、鳩山内閣時代に、議員立法による「憲法調査会法」(昭和31年法律第140号)によって設けられたものであり、昭和32年の岸内閣時代から39年の池田内閣時代に至る約7年間にわたって精力的に調査審議が行われ、同年7月に内閣及び国会に対して、最終の報告書が提出されている。最終報告書は、本文と別冊の12の附属文書からなり、総計5,400ページにも上る膨大な文書であった。

今回の改正は、全国民を代表する国会議員が、国権の最高機関で国の唯一の立法機関である国会という場で、日本国憲法についての広範かつ総合的な調査を行うということであって、国民ないしは社会に及ぼす影響は、非常に大きいものと思われる。

さて、今回の憲法調査会の設置についてであるが、とりあえず、超党派議連の発足から、その経緯を概観することとする。

超党派の議員からなる「憲法調査委員会設置推進議員連盟」(会長 中山太郎衆議院議員)が発足したのは、平成9年5月23日である。この超党派議連での協議と平行して、各党の内部でも議論が進められ、そうした議論の中から、一時は、「憲法調査委員会」という名称の常任委員会方式が浮上した時期もあった。

その後、本年平成11年に入って、2月5日に、まず民主・公明・改革クラブの3党が、[1]議案提出権のない調査会を設置すること、及び[2]議院運営委員会、議会制度協議会で協議をすることを合意し、次いで2月25日、超党派議連の総会で、自民・民主・公明・自由・改革クラブの5党が、先の3党合意と同じ内容の合意をするに至った。こうして、最終的な「憲法調査会」の設置に向け、大きな一歩が踏み出されることになった。

3月には、1日の与野党幹事長会談を経て、翌2日に、自民・民主・明改・自由の5党4会派の幹事長が、中川秀直衆議院議院運営委員長に対し、議案提出権のない憲法調査会を衆議院に設置するよう申入れを行い、これを受け中川議運委員長は、伊藤宗一郎衆議院議長に報告を行い、議会制度協議会(衆議院議長の私的諮問機関)において協議を開始することの了承を得た。

議会制度協議会においては、3月24日(第1回)、4月13日(第2回)、4月21日(第3回)、5月12日(第4回)、5月21日(第5回)と5回にわたり協議が行われ、必ずしも全会派の一致を見るには至らなかったものの、5月25日に議会制度協議会の座長から衆議院議長に対して、協議結果の報告がなされた。

(2) 国会における審議経過

その後、協議の舞台は、衆議院議院運営委員会の「国会法改正等に関する小委員会」に移され、まず、6月8日に自民党より、法律案及び規程案の要綱(素案)が提示された。その後、6月15日、24日、29日、7月6日と、都合5回に及ぶ協議を重ね、同日、「国会法の一部を改正する法律案」と「衆議院憲法調査会規程案」を小委員会の起草案とすることと協議決定し、直後に開かれた議院運営委員会において、これを議院運営委員会提出の法律案及び規程案とすることと決した(第145回国会衆法第27号、衆規程第2号)。これらは、同日中に衆議院本会議に緊急上程され、可決。国会法改正案は、参議院に送付されることとなった。各会派の賛否については、共産党及び社民党が反対の態度であった(参議院においても同様である)。

参議院においては、7月13日に議院運営委員会に付託され、同月26日に、提出者(衆議院議院運営委員長)に対する質疑が行われた後、参議院にも憲法調査会を設置する旨の修正を加え、可決。同時に、衆議院とほぼ同様の内容の参議院憲法調査会規程案も、議院運営委員会における成案と決定され、いずれも、同日の本会議において、可決された。このうち、修正が加えられた国会法改正案については、衆議院に回付され、衆議院では、7月29日の本会議において、参議院からの回付案に同意し、同改正法は成立に至った。公布は、8月4日である(平成11年法律第118号)。

なお、衆議院、参議院のいずれも、議院運営委員会の理事会で、ほぼ同じ内容の申合せが行われている。

 

2.国会法の一部改正及び憲法調査会規程の概要

(1) 「国会法の一部を改正する法律」の概要

「国会法の一部を改正する法律」の概要は、次のとおりである。

[1] 憲法調査会の設置

日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行うため、各議院に憲法調査会を設けることとした(第102条の6)。

国会法の中に、新しく「第11章の2」を設け、憲法調査会についての規定を置いた。この第102条の6は、設置の根拠規定となっており、今回新たに衆参の各議院に置かれることとなった憲法調査会は、本条に基づき設けられることになる。

憲法調査会が行う調査の期間については、国会法及び憲法調査会規程のいずれにも規定は置かれていないが、議院運営委員会理事会における申合せにより、「概ね5年程度を目途とする」こととされている。

また、今回の憲法調査会は、規定上、いわゆる議案提出権は認められていないが、なお確認のために、「憲法調査会は、議案提出権がないことを確認する」という申合せが行われている。

[2] 各議院の議決への委任

[1]に定めるもののほか、憲法調査会に関する事項は、各議院の議決により定めることとした(第102条の7)。

国会法においては、[1]の設置の根拠規定のほかは、具体的な実体規定は一切設けず、すべて各議院の議決に委ねることとしている。国会法の改正と同時に議決された衆議院憲法調査会規程及び参議院憲法調査会規程は、本条の委任規定を受けてのものである。こうした規定の仕方は、既に、政治倫理審査会(国会法第15章の2参照)で採られている方式である。

[3] 施行期日等

この法律は、次の常会の召集の日、すなわち平成12年1月に召集される常会の召集日から施行される(附則第1項)。そのほか、「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」(昭和22年法律第80号)及び「議院に出頭する証人等の旅費及び日当に関する法律」(昭和22年法律第81号)について、所要の改正を行っている(附則第2項・第3項)

(2) 「衆議院憲法調査会規程」の概要

新設された国会法第102条の7の委任規定を受けて、「衆議院憲法調査会規程」が議決された(なお、参議院においても、ほぼ同じ内容の「参議院憲法調査会規程」が定められている)。その主な概要は、次のとおりである。

[1] 報告書の提出等

憲法調査会は、調査を終えたときは、調査の経過及び結果を記載した(最終の)報告書を作成し、会長から議長に提出する。このほか、憲法調査会は、調査の経過を記載した中間報告書を作成し、会長から議長に提出することができる。なお、議長は、報告書及び中間報告書を印刷して、各議員に配付することになる(第2条)。

[2] 委員

憲法調査会は、50人の委員で組織する(第3条)。ちなみに、参議院の憲法調査会の委員は、45人である(参議院憲法調査会規程第3条参照)。これらの数字は、結果として、各議院の予算委員会の委員数と同じである。

委員は、各会派の所属議員数の比率に応じて割り当てられ、会期の始めに、議院において、議長の指名により選任される。選任された委員は、議員の任期中、その任にある(第4条)。

[3] 会長及び幹事

憲法調査会の会長は、憲法調査会において、委員の互選により選出される(第5条)。互選の期日、方法などは、特別委員会の場合と同様である。会長は、議事整理権及び秩序保持権を有するほか、憲法調査会を代表する(第6条)。

幹事は、委員会の場合の理事に相当するものであり、委員の互選により数人の幹事が選ばれる。会長は、憲法調査会の運営に関し協議するため、幹事会を開くことができる。会長に事故があるときは、幹事が会長の職務を行う(第7条)。なお、議院運営委員会理事会において、「会長が会長代理を指名し、野党第一党の幹事の中から選定する」との申合せがなされているところである。

[4] 小委員会

憲法調査会は、小委員会を設けることができる(第8条)。

[5] 開会及び定足数

憲法調査会は、会期中、閉会中を問わず、いつでも開会することができる(第9条)。また、開会の日時は、会長が定める(第10条)。なお、委員の半数以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない(第11条)。

[6] 発言

委員は、議題について、自由に質疑し、意見を述べることができる(第12条)。また、憲法調査会は、調査中の案件に関して、必要と認めたとき又は委員でない議員からの申出があったときは、委員でない議員の出席を求めて意見を聴くことができる(第13条)。いわゆる、委員外発言を認めた規定である。

[7] 出席説明及び報告・記録の提出要求

憲法調査会は、調査のため必要があるときは、議長を経由して、国務大臣、最高裁判所長官及び会計検査院長の出席説明(第15条)を求め、あるいは、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出(第16条)を求めることができる。

[8] 会議の公開及び傍聴

憲法調査会の会議は、公開とする。ただし、憲法調査会の決議により非公開とすることができる。また、会長は、秩序保持のため、傍聴を制限し、又は傍聴人の退場を命ずることができる(第22条)。

現在の委員会は、規定上は、委員長の許可を得なければ傍聴が許されないことになっている(国会法第52条第1項)が、憲法調査会においては、公開を原則とすることとした。なお、非公開とする場合の決議は、通常の過半数による決議である。

[9] 事務局

憲法調査会の事務を処理するため、事務局が置かれる。事務局には、事務局長その他必要な職員が置かれ、事務局長は、会長の命を受け、局務を掌理する(第24条)。

[10] その他

その他、委員の派遣(第14条)、公聴会(第17条)、参考人(第18条)、会議の秩序保持及び議事整理(第19条〜第21条)、会議録の作成及び印刷配付(第23条)などに関し、所要の規定が置かれている。

[11] 細則

この規程に定めるものほか、議事その他運営等に関し必要な事項は、憲法調査会の議決により定める(第25条)。

今回の憲法調査会は、委員会や参議院の調査会とは別の新しい類型の機関であるので、必ずしも、従来の委員会等の運営方法がそのまま適用できるとは限らない。そこで、憲法調査会の議事、運営等の細則については、実際に憲法調査会の活動が始まってから、憲法調査会自らが議決して定めることとしている。

[12] 施行期日

この規程は、「国会法の一部を改正する法律(平成11年法律第118号)」の施行の日(=次の常会の召集日)から施行される(附則)。

 

3.憲法調査会設置に関する申合せ

衆議院議院運営委員会における採決に先立ち、議院運営委員会の理事会において次の申合せがなされ、委員会にその内容が報告されている。なお、参議院の議院運営委員会理事会においても、ほぼ同じ内容の申合せが行われている。

〇 憲法調査会設置に関する申合せ

平成11年7月6日

1 憲法調査会は、議案提出権がないことを確認する。

2 調査期間は、概ね5年程度を目途とする。

3 会長が会長代理を指名し、野党第一党の幹事の中から選定する。


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