(参議院において継続審査)
要旨は、第147回国会参照。
審査未了
本案は、我が国の証券市場の実情にかんがみ、市場の公正性と健全性に対する投資者の信頼を確保するため、有価証券の売買等における仮名取引を禁止し、及び証券会社に顧客の本人確認を義務付けるとともに、顧客の要求による場合に限らず顧客が証券会社から有価証券の売買等によって生じた損失の補てんを受けること等を禁止する措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 証券取引法の一部改正
(1) 仮名取引の禁止及び証券会社の本人確認義務
ア 証券会社は、顧客が自己の名義以外の名義を使用して有価証券の売買その他の取引又は有価証券指数等先物取引等、有価証券オプション取引等、外国市場証券先物取引等若しくは有価証券店頭デリバティブ取引等(イにおいて「有価証券の売買その他の取引等」という。)に関する注文をしていることを知りながら、当該注文を受けてはならないこととする。
イ 証券会社の顧客は、証券会社に対し、自己の名義以外の名義を使用して有価証券の売買その他の取引等に関する注文をしてはならないこととする。
ウ 証券会社は、顧客と有価証券の取引に関する契約を締結しようとするときは、総理府令・大蔵省令で定めるところにより、顧客の本人確認をしなければならないこととする。
エ アに違反した者は、30万円以下の罰金に処することとする。
(2) 顧客に係る損失補てん等の禁止規定の改正
顧客が証券会社から有価証券の売買等によって生じた損失の補てんを受ける行為等について、顧客が要求した場合に限らず罰せられるよう改めることとする。
(3) その他所要の規定の整備を行うものとする。
2 外国証券業者に関する法律の一部改正
証券取引法の一部改正に準じ、仮名取引の禁止及び外国証券会社の本人確認義務並びに顧客に係る損失補てん等の禁止規定について所要の規定の整備を行うこととする。
3 施行期日
この法律は、公布の日から起算して1月を経過した日から施行することとする。
審査未了
本案は、資本の金額又は出資金額が1億円以上である法人等が一定額を超える使途秘匿金の支出をした場合において当該一定額を超える額について特別税率を設けるとともに、使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例の適用期限を廃止する等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 使途秘匿金の支出についての課税の特例の適用期限の廃止
使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例の適用期限を廃止するものとすること。
2 大法人の使途秘匿金に対する課税の特例
(1) 各事業年度終了の時における資本の金額若しくは出資金額が1億円以上である法人又は当該事業年度の売上高が50億円以上である法人が当該事業年度に1,000万円を超える使途秘匿金の支出をした場合においては、当該1,000万円を超える額についての法人税の追加課税の税率は、100%とすること。
(2) 税務署長は、(1)の適用を受けた法人について、大蔵省令で定めるところにより、その法人の名称、当該使途秘匿金の支出の額その他の事項を公示しなければならないものとすること。
3 施行期日等
(1) この法律は、平成12年4月1日から施行するものとすること。
(2) 経過措置その他所要の規定を整備するものとすること。
否決
本案は、最近における社会経済情勢にかんがみ、貸金業を営む者が金銭の貸付けを行う場合における高金利を是正するため、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という。)に規定する上限金利を引き下げる等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 出資法の一部改正
貸金業を営む者による高金利での金銭の貸付けの処罰に関し、その制限利息を元本の額に応じ次のとおり引き下げることとする。
(1) 元本が10万円未満の場合 年20.002%
(2) 元本が10万円以上100万円未満の場合 年18.0018%
(3) 元本が100万円以上の場合 年15.0015%
2 利息制限法の一部改正
(1) 金銭消費貸借上の制限利息を1と同一にすることとする。
(2) 債務者が制限超過利息を任意に支払ったときはその返還を請求することができないとする規定を削除することとする。
(3) 金銭消費貸借上の債務不履行による賠償額予定の制限について、賠償額の元本に対する割合が(1)の率の2倍までとされているのを1倍に引き下げることとする。
(4) 債務者が制限超過賠償額を任意に支払ったときはその返還を請求することができないとする規定を削除することとする。
3 貸金業の規制等に関する法律の一部改正
債務者が制限超過利息を任意に支払ったときは、有効な利息債務の弁済とみなす規定を削除することとする。
4 その他所要の規定を整備することとする。
否決
本案は、最近における貸金業の業務の運営の実状にかんがみ、資金需要者である顧客及び保証人の利益の保護を図るため、過剰貸付け及び過剰保証の禁止について規定を整備するとともに、契約締結前の説明義務、追加貸付けの際の根保証人に対する書面の交付義務、保証人による保証契約の取消し等について規定を設け、併せて、貸金業者に対する監督を強化する等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 過剰貸付けの禁止等
(1) 貸金業者は、省令で定める基準に照らし、顧客の返済能力を超えると認められる貸付けに係る契約を締結してはならないこととする。
(2) 貸金業者は、省令で定める基準に照らし、貸付けに係る契約について、保証人の保証能力を超えると認められる保証契約を締結してはならないこととする。
(3) 貸金業者は、省令で定める基準に照らし必要と認められる程度を超えて、保証契約を締結してはならないこととする。
2 契約締結前の説明義務
(1) 顧客に対する事前の説明義務
貸金業者は、貸付けに係る契約を締結しようとするときは、その相手方に対し、当該契約の内容を明らかにする事項について書面を交付して説明しなければならないこととする。
(2) 保証人に対する事前の説明義務
貸金業者は、貸付けに係る契約について保証契約を締結しようとするときは、その相手方に対し、当該貸付けに係る契約及び当該保証契約の内容を明らかにする事項等について、書面を交付して説明しなければならないこととする。
3 追加貸付けの場合における根保証人に対する書面の交付
貸金業者は、貸付けに係る契約について根保証契約を締結している場合において、主たる債務者と追加貸付けに係る契約を締結したときは、その都度、遅滞なく、当該追加貸付けに係る契約の内容を明らかにする事項等を記載した書面を根保証人に交付しなければならないこととする。
4 求償権等の債権の取立行為の規制
貸金業者との貸付けの契約に基づく債務の弁済により求償権等を有する者等は、当該求償権等の債権の取立てをするに当たって、人を威迫し又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させてはならないこととする。
5 保証人の保証契約の取消権
貸金業者が貸付けに係る契約について保証契約を締結するに際し、保証人に対し、保証の範囲、主たる債務者の借入れの状況その他の重要な事項につき、事実を告げず、又は不実のことを告げたときは、保証人は、当該保証契約を取り消すことができることとする。
6 1から4までに違反した貸金業者に対しては業務停止処分を行うことができることとし、情状が特に重い場合は、当該貸金業者の貸金業の登録を取り消すことができることとする。
7 4に違反して、求償権等の債権の取立てをするに当たって人を威迫し又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動によりその者を困惑させた者は、6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとする。また、2又は3に違反して書面を交付しなかった者は、30万円以下の罰金に処することとする。
8 貸金業者は、広告等に貸付条件として利率を表示するときは、みなし利息を含む利息の元本に対する割合として算出した実質利率を表示しなければならない旨法律に明記することとする。
9 その他所要の規定の整備を行うこととする。
成立(平成11年法律第155号)
本案は、最近における貸金業の業務の運営の実状にかんがみ、資金需要者及び保証人の利益の保護を図るため、保証契約締結前及び債務者への追加貸付けの際の保証人に対する書面の交付義務についての規定を整備するほか、取立て行為の規制の強化及び所要の罰則の強化を行い、併せて、業として金銭の貸付けを行う者が貸付けを行う場合の上限金利を引き下げる等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 貸金業の規制等に関する法律の一部改正
(1) 貸付条件の掲示等に係る貸付利率の表示
貸金業者が貸付けの利率を掲示する場合等においては、利息及びみなし利息の総額を元本の額で除して得た年率を表示すべきことを法律上明記することとする。
(2) 保証人に対する書面の交付
ア 貸金業者は、貸付けに係る契約について保証契約を締結しようとするときは、当該保証契約の内容を説明する書面を当該保証人となろうとする者に交付しなければならないこととする。
イ 貸金業者は、貸付けに係る契約について根保証契約を締結した場合において、主たる債務者と当該根保証契約に係る貸付けに係る契約を締結したときは、遅滞なく、当該貸付けに係る契約の内容を明らかにする書面を当該保証人に交付しなければならないこととする。
ウ ア又はイの違反に対しては、業務の停止その他の行政処分及び刑事罰の対象とすることとする。
(3) 求償権等を取得した者等に対する規制
ア 貸金業者の貸付けに係る契約について貸金業者と保証契約を締結した保証業者等であって当該貸付けの契約に係る債務を弁済したことにより求償権等を取得した者に対し、取立て行為の規制、債務者等に対する書面の交付義務等につき、貸金業者と同様の規制を課すこととし、その違反行為に対しては、所要の罰則を設けることとする。
イ 当該貸金業者と密接な関係にある求償権等を取得した者等が取立て行為規制の違反行為等をした場合において、当該貸金業者がこれらの者がこれらの違反行為等をしないように相当な注意を払ったことを証明できなかったときは、当該貸金業者に対して業務停止その他の行政処分を行うことができることとする。
(4) 貸金業規制法違反の罰則について全面的に強化することとする。
2 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部改正
金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合における金利の上限を、年40.004%から年29.2%に引き下げることとする。
3 利息制限法の一部改正
金銭消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定の制限について、現在利息の上限の2倍とされているものを、1.46倍に引き下げることとする。
4 この法律は、平成12年6月1日から施行することとする。
5 この法律による改正後の出資法の上限金利については、この法律の施行後3年を経過した場合において、資金需給の状況その他の経済・金融情勢、貸金業者の業務の実態等を勘案して検討を加え、必要な見直しを行うこととする。
6 その他所要の規定の整備を行うこととする。
附帯決議(11.12.8)
本法施行に当たり、次の事項について、十分配慮すべきである。
1 上限金利の見直しの検討に当たっては、資金需要者の利益の保護等に配慮すること。
1 いわゆる商工ローン問題等については、背景に貸し渋り等の問題があることにかんがみ、我が国の金融システムの在り方を更に真剣に検討し、早急に対応すること。
1 昨今の超低金利時代にありながら、その恩恵に浴せないでいる中小企業や個人事業者が存在することを念頭に置き、実態に即応した施策を講ずること。
否決
本案は、最近における貸金業の業務の運営の実状にかんがみ、資金需要者である顧客及び保証人の利益の保護を図るため、過剰貸付けの禁止等についての規定、貸金業者に対する監督の強化のための規定等を整備するとともに、根保証契約に対する規制、保証契約締結前の説明、書面による解除、保証契約の取消し等について規定を設け、併せて、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律に規定する上限金利を引き下げる等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 貸金業の規制等に関する法律の一部改正
(1) 過剰貸付け等の禁止
ア 貸金業者は、貸付けの金額が、省令で定める基準を超えると認められる貸付けに係る契約を締結してはならないこととする。
イ 貸金業者は、その担保する債権の額が、省令で定める基準を超えると認められる保証契約を締結してはならないこととする。
ウ 貸金業者は、貸付けに係る契約について、省令で定める基準に照らし必要と認められる程度を超えて、保証契約を締結してはならないこととする。
(2) 根保証契約に対する規制
ア 根保証契約においては、保証期間及び保証の限度額を定めなければならないこととする。
イ 主たる債務者と追加貸付けに係る契約を締結したときは、遅滞なく、当該契約の内容を明らかにする事項を書面で根保証人に通知すべき旨及び根保証人が一定の期間内に申し出た場合には、当該追加貸付けに係る契約に基づく債権が保証の対象とならない旨を定めなければならないこととする。
ウ ア、イに反する契約は、無効とすることとする。
(3) 貸金業者は、貸付けに係る契約について保証契約を締結しようとするときは、その相手方に対し、当該貸付けに係る契約及び当該保証契約の内容を明らかにする事項等について説明しなければならないこととする。また、顧客又は保証人は、一定の期間内において、書面により貸付けに係る契約又は保証契約を解除することができることとする。
(4) 貸金業者に対する監督の強化
ア 金融再生委員会等は、貸金業者に対し、業務運営の是正を命ずることができるとともに、(1)、(3)に違反した貸金業者に対しては、業務停止処分その他の行政処分を行うことができることとする。
イ 金融再生委員会等は、貸金業規制法を施行するため必要があると認めるときは、貸金業者に対し、報告をさせ、また立入検査を行うことができることとする。
ウ 何人も、貸金業規制法違反の事実があると認めるときは、金融再生委員会等に対し、その旨を申し出て、適当な措置をとるべきことを求めることができるとともに、金融再生委員会等は、当該申出について適当な措置をとること等としたときは、その旨を当該申出をした者に通知しなければならないこととする。
(5) 債務者が制限超過利息を任意に支払った場合のみなし弁済規定を削除することとする。
(6) 貸金業者が、顧客の返済能力を著しく超えると認められる貸付けに係る契約を締結したとき、又は保証人の保証能力を著しく超えると認められる保証契約を締結したときは、貸付けに係る契約又は保証契約は無効であることとする。
(7) 貸金業者が、貸付けに係る契約について保証契約を締結するに際し、保証人の判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項につき、事実を告げず、又は不実のことを告げたときは、保証人は、当該保証契約を取り消すことができることとする。
(8) 貸金業者等が、貸付けに係る契約に基づく債権の取立てをするに当たって、人を威迫し又はその私生活等の平穏を害するような言動によってその者を困惑させた場合の罰則を強化することとする。
2 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部改正
金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合における刑罰金利を、元本の額に応じ次のとおり引き下げることとする。
(1) 元本が10万円未満の場合 年20.002%
(2) 元本が10万円以上100万円未満の場合 年18.0018%
(3) 元本が100万円以上の場合 年15.0015%
3 利息制限法の一部改正
(1) 金銭消費貸借上の制限利息を2と同一にすることとする。
(2) 債務者が制限超過利息を任意に支払ったときはその返還を請求することができないとする規定を削除することとする。
(3) 金銭消費貸借上の債務不履行による賠償額の予定の制限について、賠償額の元本に対する割合が(1)の率の2倍までとされているのを当該消費貸借上の約定利率の2倍又は(1)の率のいずれか低い方とすることとする。
(4) 債務者が制限超過賠償額を任意に支払ったときはその返還を請求することができないとする規定を削除することとする。
4 その他所要の規定の整備を行うこととする。
継続審査
要旨は、第147回国会参照。