審査未了
本案は、民事訴訟における証拠収集手続の一層の充実を図るため、公務員又は公務員であった者がその職務に関し保管し、又は所持する文書(以下「公文書」という。)についての文書提出命令の制度を拡充するため、所要の改正を行おうとするもので、その内容は次のとおりである。
1 公文書に係る文書提出命令について、私文書においても提出義務が除外されている文書のほか、その提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある文書等を除いて、文書提出義務があるものとすること。
2 公文書に係る文書提出命令の申立てがあったときには、文書提出義務を除外された文書に該当するかどうかについて裁判所が判断するものとし、公務員の職務上の秘密に関する文書で、その提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるものに該当するかどうかについて、当該監督官庁の意見を聴かなければならないものとすること。
3 裁判所が文書提出義務を判断するための手続としていわゆるインカメラ手続を設け、裁判所は、提出義務除外文書に該当するかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、文書の所持者にその提示をさせることができるものとすること。この場合においては、何人も、その提示された文書の開示を求めることができないものとすること。
4 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。
審査未了
本案は、少年審判における事実認定手続の一層の適正化を図るため、裁定合議制度の導入、検察官及び弁護士たる付添人が関与した審理の導入、観護措置期間の延長、検察官に対する事実認定及び法令の適用に関する抗告権の付与並びに保護処分終了後における救済手続等の整備を行うほか、被害者等に対し少年審判の結果を通知する制度を設けるとともに、併せて家事審判についても裁定合議制度を導入しようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 少年法の一部改正
(1) 少年審判における事実認定の手続に検察官が関与した審理を導入することとし、検察官が審判の手続に関与する場合において、少年に弁護士である付添人がないときには、家庭裁判所が弁護士である付添人を付すること。
(2) 一定の場合には、観護措置の期間の更新を、現行の1回を超えて、更に4回を限度として最長12週間まで行うことができることとし、併せて、観護措置及びその更新の決定に対する不服申立制度を整備すること。
(3) 検察官に事実認定及び法令の適用に関する抗告権を付与すること。
(4) 保護処分終了後において、審判に付すべき事由の存在が認められないにもかかわらず保護処分をしたことを認め得る明らかな資料を新たに発見した場合の救済手続を整備すること。
(5) 家庭裁判所が被害者等に対し少年審判の結果等を通知する制度を導入すること。
2 裁判所法の一部改正
家庭裁判所の少年審判及び家事審判等に裁定合議制度を導入すること。
3 家事審判法の一部改正
家事審判について合議体で審理をする場合の受命裁判官に関する規定を設けること。
成立(平成12年法律第27号)
本案は、下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図るため、裁判所の職員の員数を増加しようとするもので、その内容は次のとおりである。
1 判事補の員数を70人増加すること。
2 裁判官以外の裁判所の職員の員数を16人増加すること。
3 この法律は、平成12年4月1日から施行すること。
成立(平成12年法律第55号)
本案は、民事法律扶助事業が司法制度の充実に寄与する公共性の高いものであることにかんがみ、国民がより利用しやすい司法制度の実現に資することを目的として、民事法律扶助事業の整備及び発展を図るために必要な制度を創設するための措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 「民事法律扶助事業」とは、裁判所における民事事件、家事事件又は行政事件に関する手続において自己の権利を実現するための準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない国民等又はその支払により生活に著しい支障を生ずる国民等を援助する事業であって、訴訟代理費用、書類作成費用等の立替え及び法律相談の実施等の業務を行うものをいうものとすること。
2 国は、民事法律扶助事業の統一的な運営体制の整備及び全国的に均質な遂行のために必要な措置を講ずるよう努めるものとするとともに、地方公共団体は、その地域において行われる同事業に対して必要な協力をすることができるものとすること。
3 日本弁護士連合会及び弁護士会は、民事法律扶助事業の実施に関し、会員である弁護士による協力体制の充実を図る等同事業の適正な運営の確保等に必要な支援をするよう努めるものとするとともに、弁護士は、同事業の実施のために必要な協力をするよう努めるものとすること。
4 法務大臣は、民事法律扶助事業を行う公益法人を全国に一を限って指定することができることとした上、指定法人に対する法務大臣の監督等に関する規定を設けるものとすること。
5 指定法人は、民事法律扶助事業の統一的な運営体制の整備及び全国的に均質な遂行の実現に努めるとともに、同事業が国民等に利用しやすいものとなるよう配慮しなければならないものとすること。
6 指定法人は、民事法律扶助事業の実施に関する規程を定め、法務大臣の認可を受けなければならないものとし、同規程には、民事法律扶助事業の実施に係る援助の申込み及びその審査の方法に関する事項、1の立替えに係る報酬及び実費の基準並びにそれらの償還に関する事項等を記載しなければならないものとすること。
7 指定法人は、毎事業年度、事業計画書及び収支予算書を作成し、法務大臣の認可を受けなければならないものとするとともに、毎事業年度終了後、事業報告書、収支決算書等を作成し、法務大臣の承認を受けなければならないものとすること。
8 国は、予算の範囲内において、指定法人に対し、民事法律扶助事業に要する費用の一部を補助することができるものとすること。
9 この法律は、平成12年10月1日から施行するものとすること。
7本法の施行に伴い、関係者は、次の事項について格段の配慮をすべきである。
1 民事法律扶助制度が憲法第32条の裁判を受ける権利を実質的に保障する制度であることにかんがみ、これが広く国民等に理解され、できる限り多くの者が利用することができるよう、その趣旨・内容について、周知徹底に努めること。
2 政府は、指定法人が民事法律扶助事業の統一的な運営体制の整備及び全国的に均質な運営が行えるよう、財政措置を含む必要な措置を講ずるよう努めること。
3 国民の多様な法的ニーズに迅速かつ適正に対応するため、民事法律扶助制度の拡充のみならず、法人に対する法的支援制度や、少年事件、被疑段階における刑事弁護をも視野に入れた刑事に関する総合的な公的弁護制度の導入などについて、司法制度改革審議会の審議結果等を踏まえ、鋭意検討すること。
成立(平成12年法律第40号)
本案は、最近における高度情報化社会の進展にかんがみ、電子計算機により処理された情報を電気通信回線により伝達して行ういわゆる電子取引等を確実かつ円滑に行うことができるようにするため、登記官においてこれらの情報の作成者を確認する方法の証明を行う電子認証制度並びに公証人において電子計算機等を用いて電磁的記録の認証及び確定日付の付与の事務を行う電子公証制度を創設しようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 商業登記法の一部改正
(1) 法務大臣の指定する登記所に印鑑を提出した法人代表者等について、その者が電磁的記録の作成者を示す措置を講じたことを確認するために必要な事項等を登記官が証明する制度を創設するものとすること。
(2) 法務大臣の指定する登記所間においては、印鑑を提出した登記所以外の登記所に対しても、印鑑証明書の交付を請求することができるものとすること。
2 公証人法の一部改正
法務大臣の指定する公証人が、電磁的記録について認証を行うとともに、電磁的方式によって認証を受けた電磁的記録を保存し、その内容に関する証明等を行う制度を創設するものとすること。
3 民法施行法の一部改正
(1) 法務大臣の指定する公証人が、電磁的記録に記録された情報に、日付を内容とする情報を電磁的方式により付したときは、当該情報は、確定日付ある証書とみなすものとすること。
(2) 法務大臣の指定する公証人は、確定日付を付与した電磁的記録を保存し、その内容に関する証明等を行う制度を創設するものとすること。
4 施行期日
この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。
政府は、この法律の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
1 電子認証制度及び電子公証制度の運用に当たっては、公開鍵暗号方式における秘密鍵の管理の重要性及び登録時又は嘱託時における本人確認の重要性等について、利用者及び運用関係者に対し、広報及び研修を行うなどして、本制度の周知徹底に努めること。
2 電子認証制度及び電子公証制度の運用に当たっては、その信頼性及び安全性について万全を期し、特にセキュリティー対策について、今後の技術の進展に機敏に対応できるよう、調査・研究に努めること。
3 電子公証制度利用に際しての利便性向上のため、制度の充実と公証人適格者の確保等の方策について、必要な措置をとること。
4 電子取引の一層の進展と利用者の利便性向上の観点から、法人のみならず個人の電子認証制度の確立のための基盤整備に努めるとともに、その際には、プライバシーの保護について、十分に対処されるよう配慮すること。
成立(平成12年法律第90号)
本案は、会社をめぐる最近の社会経済情勢にかんがみ、会社分割の制度を創設するため、商法、有限会社法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律を改正しようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 商法の一部改正
(1) 会社分割の形態として、分割によって設立する株式会社に分割をする株式会社の営業を承継させる新設分割の制度及び既に存在する他の株式会社に分割をする株式会社の営業を承継させる吸収分割の制度を創設するものとすること。
(2) 分割によって設立する株式会社又は分割によって営業を承継する株式会社が分割に際して発行する株式を、分割をする株式会社又はその会社の株主のいずれにも割り当てることができるものとすること。
(3) 株式会社が分割を行うには、分割計画書等を作成して株主総会の特別決議による承認を受け、また、事前に分割をする株式会社の貸借対照表、分割計画書等を本店に備え置いて株主及び債権者の閲覧等に供すべきものとするとともに、分割に反対した株主に株式買取請求権を認め、さらに、債権者に対しては債権者保護手続を経ることにより、株主及び債権者の保護を図るものとすること。
(4) 分割によって設立する株式会社等が分割をする株式会社から承継する財産の価額が、その会社の総資産の価額の20分の1を超えないとき等には、その会社は、分割計画書等につき株主総会の承認を要しないこととし、分割手続の簡素化を図るものとすること。
(5) 分割によって設立した株式会社等は、分割計画書等の記載に従い、分割をした株式会社の権利義務を包括的に承継するものとすること。
(6) 分割の手続等に瑕疵があった場合等には、株主、分割を承認しなかった債権者等は、分割無効の訴えを提起することができるものとすること。
2 有限会社法の一部改正
分割によって設立する会社を有限会社とする新設分割を有限会社又は株式会社が行うこと及び吸収分割を有限会社と他の有限会社又は株式会社との間で行うことができるものとし、債権者保護手続等について、株式会社の場合と同様の規定を設けるものとすること。
3 株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部改正
会社分割の制度の創設に伴い、所要の改正をするものとすること。
4 施行期日
この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。
(修正要旨)
1 分割計画書及び分割契約書に記載すべき事項について、分割をする会社より承継する権利義務として債権債務、雇傭契約を例示するものとすること。
2 この法律による改正後の商法及び有限会社法の規定に基づく会社の分割に伴う労働契約の承継に関しては、分割をする会社は、分割計画書又は分割契約書を本店に備え置くべき日までに、労働者と協議をするものとすること。
附帯決議(12.5.10)
政府は、本法の施行に当たっては、次の事項について格段の配慮をすべきである。
1 分割の当事者となる会社の株主及び債権者等の保護並びに企業経営の健全化を図るため、分割に際しての備置き書面に透明性のある情報開示がされるよう指導に努めるとともに、反対株主の株式買取請求権及び債権者保護手続並びに分割無効の訴えの制度等の趣旨の周知に努めること。
2 会社分割に伴う労働契約の承継に関して、会社が労働者と事前協議をすべきものとする制度の周知を図るとともに、本制度が労働者の意思を尊重する趣旨であることの周知に努めること。
3 会社分割制度が労働者解雇の手段として利用されることがないよう、会社の組織の再編成のみを理由として労働者を解雇することができないとする確立した判例法理について周知を図ること。
4 経済構造改革の進展に伴い、幅広い経営選択が行われており、これらにより会社組織の多様な再編成が行われていることにかんがみ、企業の再編成に伴う労働契約の承継に関連して必要となる労働者の保護方策に関しては、立法上の措置を含め、その対応の在り方について更に検討すること。
成立(平成12年法律第74号)
本案は、刑事手続において犯罪被害者等に対するより適切な配慮と一層の保護を図るため、親告罪である強姦罪等の告訴期間の撤廃、証人尋問手続における証人の負担を軽減するための手続及び被害者等による公判期日における被害に関する意見陳述の制度を導入し、検察審査会に対する審査申立権者の範囲の拡大等を行うため、刑事訴訟法及び検察審査会法の改正を行おうとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 刑事訴訟法の一部改正
(1) 性犯罪の告訴期間の撤廃
親告罪の告訴期間の制限は、強制わいせつ罪及び強姦罪等については、適用しないものとすること。
(2) 証人尋問の際の証人への付添い
裁判所は、適当と認める者を、証人の供述中、証人に付き添わせることができるものとすること。
(3) 証人尋問の際の証人の遮へい
裁判所は、被告人等と証人との間で、相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができるものとすること。
(4) いわゆるビデオリンク方式による証人尋問
裁判所は、裁判官及び訴訟関係人が在席する場所以外の場所に証人を在席させ、映像と音声により相手の状態を相互に認識しながら通話する方法で尋問をすることができるものとすること。
(5) 被害者等による心情その他の意見の陳述
裁判所は、被害者等から、被害に関する心情その他の被告事件に関する意見の陳述の申出があるときは、公判期日において、その意見を陳述させるものとすること。
2 検察審査会法の一部改正
被害者が死亡した場合におけるその配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹は、検察官の公訴を提起しない処分に不服があるときは、検察審査会にその処分の当否の審査の申立てをすることができるものとするとともに、審査申立人は、検察審査会に意見書又は資料を提出することができるものとすること。
3 施行期日
この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。ただし、刑事訴訟法の性犯罪の告訴期間撤廃の改正規定及び検察審査会法の改正規定は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行するものとし、刑事訴訟法のいわゆるビデオリンク方式による証人尋問に係る部分の改正規定は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。
1 政府及び国の関係機関は、犯罪被害者等に対する保護及び配慮が喫緊の課題であることにかんがみ、両法律の趣旨を広く周知徹底すること。
2 政府及び国の関係機関は、両法律について、犯罪被害者等の保護の趣旨とともに、刑事司法の適正な運営及び反対尋問権の保障を含む被告人の権利に配慮しつつ、適正な運用の確保に努めること。
3 政府は、現行法上採り得る犯罪被害者等の保護に資する措置については、両法律の施行前においても、両法律の趣旨を踏まえた運用がなされるよう努めること。
4 政府は、犯罪被害者等が、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障されるべき存在であることにかんがみ、関係省庁の密接な連携及び民間支援組織との協力の下に、犯罪被害者等が受けた被害の回復及び社会復帰を支援するため、犯罪被害給付制度の拡充、民間の被害者支援組織等への援助、犯罪被害者等に対する相談・カウンセリング体制の整備等の精神的支援、経済的支援などを含めた総合的な犯罪被害者対策の推進に努めること。
成立(平成12年法律第75号)
本案は、犯罪により害を被った者(以下「被害者」という。)及びその遺族がその被害に係る刑事事件の審理の状況及び内容について深い関心を有するとともに、これらの者の受けた身体的、財産的被害その他の被害の回復には困難を伴う場合があることにかんがみ、刑事手続に付随するものとして、被害者及びその遺族の心情を尊重し、かつその被害の回復に資するための措置を定め、もってその保護を図ることを目的とし、刑事手続に付随する措置について、所要の法整備を行おうとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 公判手続の傍聴
刑事被告事件の係属する裁判所の裁判長は、当該被告事件の被害者等(被害者又は被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。以下同じ。)又は当該被害者の法定代理人から、公判手続の傍聴の申出があるときは、申出をした者が傍聴できるよう配慮しなければならないものとすること。
2 公判記録の閲覧及び謄写
刑事被告事件の係属する裁判所は、第1回の公判期日後当該被告事件の終結までの間において、当該被告事件の被害者等若しくは当該被害者の法定代理人又はこれらの者から委託を受けた弁護士から、訴訟記録の閲覧又は謄写の申出があるときは、申出をした者にその閲覧又は謄写をさせることができるものとすること。
3 民事上の争いについての刑事訴訟手続における和解
刑事被告事件の被告人と被害者等は、両者の間における民事上の争いについて合意が成立した場合には、当該被告事件の係属する第一審裁判所又は控訴裁判所に対し、共同して当該合意の公判調書への記載を求める申立てをすることができるものとし、その合意が公判調書に記載されたときは、その記載は、裁判上の和解と同一の効力を有するものとすること。
4 施行期日
この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。
(注)前記[7]附帯決議と同文。
成立(平成12年法律第91号)
本案は、商法等の一部を改正する法律の施行に伴い、民法ほか149の関係法律について規定の整備をするとともに、所要の経過措置を定めようとするものである。
審査未了
本案は、最近における国民の価値観の多様化及び女性の地位の向上、これらを反映した世論の動向等にかんがみ、婚姻制度に関しては、選択的夫婦別氏制の導入並びに婚姻最低年齢及び再婚禁止期間の見直し等を行い、相続制度に関しては、嫡出でない子の相続分を嫡出である子の相続分と同一とする等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 婚姻の成立要件
婚姻適齢を男女とも満18歳とし、再婚禁止期間を6箇月から100日間に短縮するものとすること。
2 夫婦等の氏
(1) 夫婦は、婚姻の際、夫若しくは妻の氏を称するか、各自の婚姻前の氏を称するかを定めるものとすること。
(2) 嫡出である子は、父母の氏又はその出生時における父母の協議で定められた父若しくは母の氏を称するものとすること。
3 相続の効力
嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分と同一とするものとすること。
4 施行期日
この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。
5 経過措置
改正法施行前に婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、婚姻中に限り、改正法施行後2年以内に、配偶者との合意に基づく届出によって、婚姻前の氏に復することができるものとすること。これにより父又は母と氏を異にすることとなった子は、父母が右届出をした日から3月以内の届出によって、婚姻前の氏に復した父又は母の氏を称することができるものとすること等所要の経過措置を設けるものとすること。
成立(平成12年法律第28号)
本案は、会社をめぐる最近の社会経済情勢にかんがみ、公開会社について、資本準備金をもってする自己株式の消却を行うことができる期間を、2年間延長し、平成14年3月31日までとするものである。
なお、この法律は、公布の日から施行するものである。
政府は、次の事項について格段の配慮をすべきである。
1 会社の資本準備金による自己株式の消却については、本法律が2年の限時法である趣旨を関係者に対し周知徹底すること。
2 資本準備金による自己株式の消却については、今後2年を目途に、会社をめぐる最近の社会経済情勢とその変化に対応できるものとなるよう、具体策を検討し、必要な措置をとること。
審査未了
本案は、犯罪被害者等が、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有することにかんがみ、国及び地方公共団体に犯罪被害者等が受けた被害の回復及び犯罪被害者等の社会復帰を支援する責務があることを明らかにするとともに、犯罪被害者等を支援するための施策(以下「犯罪被害者等支援対策」という。)の基本となる事項を定めること等により、犯罪被害者等支援対策を総合的に推進し、もって犯罪被害者等の福祉の増進に寄与しようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 基本理念
犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、被害の状況等に応じた適切な処遇を保障される権利を有するものとするとともに、何人も犯罪被害者等の名誉及び生活の平穏を害してはならないものとすること。
2 国及び地方公共団体の責務
国及び地方公共団体は、犯罪被害者等支援対策等を策定し実施することにより、犯罪被害者等が受けた被害の回復及び犯罪被害者等の社会復帰を支援する責務を有すること。
3 犯罪被害者等支援基本計画
政府は、犯罪被害者等支援対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、犯罪被害者等の支援に関する基本的な計画を定めなければならないこと。
4 基本的施策
(1) 国は、犯罪被害者等が、被害の程度等に応じ相談、医療の提供、給付金の支給等を、安全及び生活の平穏の確保を図るため一時保護、情報の提供等を受けられるよう必要な施策を講ずるものとすること。
(2) 国は、刑事手続に関し犯罪被害者等に対して意見の表明の機会の付与等適切な取扱いがされるよう必要な措置を講ずるものとすること。
(3) 国は、民間の団体が犯罪被害者等の受けた被害の回復等に関して行う活動を支援するため、資金の融通、情報の提供等必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。
(4) 地方公共団体は、国の施策に準じた施策及び当該地域の状況に応じた施策を実施するものとすること。
5 犯罪被害者等支援対策審議会
総理府に、犯罪被害者等支援基本計画案作成に関する事項の処理、犯罪被害者等の支援に関する基本的かつ総合的な政策及び重要事項について調査審議するための犯罪被害者等支援対策審議会を置くこと。
6 施行期日
この法律は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。