成立(平成12年法律第18号)
本案は、国民年金及び厚生年金保険について、将来世代の保険料負担の上昇を抑制するため、給付水準の適正化及び給付額の改定方式の変更並びに老齢厚生年金の支給開始年齢の引上げ等を行うとともに、総報酬制の導入等を行い、あわせて国民年金及び厚生年金保険の積立金を自主運用することにより、国民の老後保障等の充実並びに国民年金制度及び厚生年金保険制度の長期的な安定等を図ろうとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 基礎年金の額については、来年度より、年額80万4,200円を物価の変動に応じて改定した額とすること。また、厚生年金の報酬比例部分については、5%の適正化を図ることとするが、従前の年金額算定方式による年金額を物価スライドした額は保証すること。さらに、厚生年金及び基礎年金の支給を受ける者が65歳に到達した以後は、物価の変動のみに応じた年金額の改定を行うこと。
2 老齢厚生年金の支給開始年齢を、一般男子については平成25年度から37年度にかけて、女子については平成30年度から42年度にかけて、段階的に65歳に引き上げること。これに伴い、60歳台前半の者は、老齢厚生年金の支給繰上げを請求できることとすること。
3 厚生年金において、平成14年度より、60歳台後半の者を被保険者とするとともに、この者に支給する老齢厚生年金について、年金額と賃金との合計額が一定以上の者は、年金の支給を制限すること。
4 学生である国民年金の被保険者については、本人の所得が一定以上の場合を除いて保険料の納付を要しないこととする納付特例の措置を導入すること。また、比較的低所得の国民年金の被保険者については、平成14年度より、保険料の半額を免除する措置を講ずること。
5 厚生年金保険の保険料の賦課及び年金額算定の方式については、現行の主として月給によった方式から、平成15年度より、月給と賞与を同様に取り扱う総報酬制とすること。
6 基礎年金については、財政方式を含めてその在り方を幅広く検討し、当面平成16年までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の2分の1への引上げを図るものとすること。
7 厚生年金基金については、厚生年金保険の保険料率が据え置かれることに伴い、免除保険料率の算定方法を凍結すること。また、厚生年金基金等の資産運用や事業運営に係る規制を緩和するとともに、上場株式を一定の条件の下に掛金として拠出することを認めることとし、公布の日から3ヵ月以内に実施すること。
8 厚生年金保険及び国民年金の積立金については、厚生大臣が、被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に自主運用を行うこと。このため、厚生大臣は、保険料拠出者や経済、金融等の専門家の意見を聴いて、運用に関する基本方針を策定するとともに、責任体制の明確化及び情報開示の徹底を図ること。なお、年金積立金の自主運用は、財政投融資制度の抜本改革の実施に合わせて実施すること。
9 その他所要の措置を講ずるとともに、関係法律について所要の改正を行うこと。
10 この法律は、別段の定めがあるものを除き、平成12年4月1日から施行すること。なお、基礎年金国庫負担の3分の1から2分の1への引上げに向けての検討過程において基礎年金の給付水準について検討することとすること。
(衆議院修正要旨)(第146回国会)
附則第2条を「基礎年金については、給付水準及び財政方式を含めてその在り方を幅広く検討し、当面平成16年までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の2分の1への引上げを図るものとする。」(傍線部は修正部分)に改めること。
(参議院修正要旨)
本法律案の審査が越年したことに伴い、法律番号及び法律の略称に係る暦年表示について、「平成11年」を「平成12年」に改める整理を行うものである。
成立(平成12年法律第19号)
本案は、厚生年金保険及び国民年金の積立金の自主運用に当たり、厚生大臣から寄託された資金の管理及び運用を行う専門機関として、年金資金運用基金を設立し、その責任体制の明確化及び専門性の確保を図るとともに、運用実績等に関する詳細な情報の公開により年金資金運用の透明性を確保しようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 年金資金運用基金(以下「基金」という。)は、厚生大臣から寄託された資金を厚生大臣が定める運用に関する基本方針に沿って管理及び運用するとともに、その収益を国庫に納付することにより、厚生年金保険事業及び国民年金事業の運営の安定に資することを目的とすること。
2 基金は、資金の管理及び運用の目標に関する事項等を内容とする管理運用方針を策定し、民間運用機関への運用委託及び自家運用により資金の管理及び運用を行うこと。
3 理事長及び理事をもって組織する理事会を基金に置くこととし、理事会は、経済又は金融に関して高い識見を有する投資専門委員の意見を聴いて、基金における管理運用業務の重要事項を審議し、決定すること。
4 基金の役員及び職員に対し、その職分に応じた注意義務及び忠実義務、秘密保持義務等を課すとともに、それに違反した者に対し制裁を課すこと。
5 基金は、その業務を行うに当たり、適切な情報の公開により業務の運営における透明性を確保するとともに、毎事業年度、詳細な業務概況書、財務諸表、決算報告書、外部監査報告書等を公表すること。
6 その他、基金の役員及び職員、財務及び会計、監督、設立手続に関する規定等所要の規定を設けること。
7 この法律は、財政投融資制度の抜本的な改革の実施に合わせて別に法律で定める日から施行すること。ただし、基金の設立準備等に関する規定は、公布の日から施行すること。
(参議院修正要旨)
本法律案の審査が越年したことに伴い、法律番号に係る暦年表示について、「平成11年」を「平成12年」に改める整理を行うものである。
成立(平成12年法律第20号)
本案は、平成9年6月6日の閣議決定「特殊法人等の整理合理化について」に基づき、年金福祉事業団を解散させるとともに、同事業団が行ってきた住宅資金の貸付け等を、被保険者、地域経済、雇用等への影響を考慮して別途定めるまでの間、年金資金運用基金において実施させ、また、年金受給権を担保とする小口の資金の貸付けを、社会福祉・医療事業団において新たに実施させようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 年金福祉事業団は、年金資金運用基金の設立の日に解散することとし、その一切の権利及び義務は、その時において年金資金運用基金が承継すること。
2 年金資金運用基金は、資金運用業務に係る長期借入金の償還が終了するまでの間、年金福祉事業団から承継した資金の管理及び運用を行うとともに、別に法律又は政令で定める日までの間、大規模年金保養基地資産の譲渡及び譲渡するまでの間の管理又は運営、住宅資金の貸付け並びに教育資金貸付けのあっせんを行うこと。
3 社会福祉・医療事業団は、その業務の特例として、年金福祉事業団が実施していた年金受給権を担保とする小口の資金の貸付けを行うこと。
4 その他、年金福祉事業団から年金資金運用基金への権利及び義務の承継、年金資金運用基金及び社会福祉・医療事業団の業務の特例等に係る所要の規定を設けるとともに、関係法律の改正を行うこと。
5 この法律は、財政投融資制度の抜本的な改革の実施に合わせて別に法律で定める日から施行すること。
(参議院修正要旨)
本法律案の審査が越年したことに伴い、法律番号に係る暦年表示について、「平成11年」を「平成12年」に改める整理を行うものである。
成立(平成12年法律第32号)
本案は、戦傷病者、戦没者遺族等の処遇の改善を図るため、障害年金、遺族年金等の額を引き上げようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 障害年金、遺族年金等の額を、平成12年4月分から次のとおり引き上げること。
(1) 障害年金(第5項症の場合)
区分 | 現行 | 改正後 |
---|---|---|
公務傷病 | 2,508,000円 | 2,514,000円 |
勤務関連傷病 | 1,933,900円 | 1,938,700円 |
(2) 遺族年金及び遺族給与金
区分 | 現行 | 改正後 | |
---|---|---|---|
公務死 | 1,948,700円 | 1,956,200円 | |
勤務関連死 | 1,546,700円 | 1,553,200円 | |
平病死 | 公務(重症) | 1,546,700円 | 1,553,200円 |
公務(軽症)及び勤務関連(重症) | 488,410円 | 493,410円 | |
勤務関連(軽症) | 389,310円 | 393,510円 | |
併発死 | 公務傷病併発 | 389,310円 | 393,510円 |
勤務関連傷病併発 | 270,310円 | 273,710円 |
2 施行期日
この法律は、平成12年4月1日から施行すること。
成立(平成12年法律第34号)
本案は、平成12年度において特例として、国民年金法による年金たる給付、厚生年金保険法による年金たる保険給付、児童扶養手当、特別児童扶養手当、障害児福祉手当、特別障害者手当等、原子爆弾被爆者に対する医療特別手当等、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法及び農林漁業団体職員共済組合法による年金である給付並びに農業者年金基金法による年金給付について、平成10年の年平均の消費者物価指数に対する平成11年の年平均の消費者物価指数の比率を基準とする額の改定の措置を講じないこととするものである。
なお、この法律は、平成12年4月1日から施行することとしている。
成立(平成12年法律第84号)
本案は、総合的な少子化対策を推進する一環として、子育てを行う家庭の経済的負担の軽減等を図る観点から、当分の間の措置として、3歳以上義務教育就学前の児童を養育する父母等に対し、児童手当に相当する給付を行おうとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 当分の間、3歳以上義務教育就学前の児童を養育する父母等に対し、児童手当に相当する給付(以下「就学前特例給付」という。)を行うこととすること。
2 就学前特例給付の所得制限の限度額は、児童手当の所得制限の限度額として政令で定める額とすること。
3 就学前特例給付の額は、児童手当の額と同額とすること。
4 就学前特例給付に係る費用の負担は、公務員以外の者にあっては、国、都道府県及び市町村(特別区を含む。)が、それぞれ費用の6分の4、6分の1及び6分の1を負担し、国家公務員又は地方公務員にあっては、それぞれ国又は地方公共団体が、費用の全額を負担すること。
5 当分の間、所得制限により就学前特例給付が支給されない被用者又は公務員に対して、その所得が児童手当法上の特例給付の所得制限の限度額として政令で定める額未満であるときは、就学前特例給付に準じた給付を行うこととすること。
6 この法律は、平成12年6月1日から施行すること。ただし、認定請求に関する経過措置は、公布の日から施行すること。
7 認定請求等に関する経過措置を設けるほか、所要の規定の整備を行うこと。
政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。
1 児童手当制度については、今後、子育てを行う家庭の経済的負担を軽減する観点から、児童養育費の実態を踏まえつつ、雇用・賃金、扶養控除の見直し等税制の在り方、他の子育て支援策との関連に十分留意し、その在り方について可及的速やかに明確な基本方針を示し、国民的合意の形成を図ること。
2 これを踏まえ、速やかに児童手当の支給対象児童の範囲、支給期間、手当額、所得制限、財源と費用負担等について抜本的に再検討し、制度の充実を図ること。
成立(平成12年法律第111号)
本案は、社会福祉の一層の増進を図るため、福祉サービスに関する情報の提供、利用の援助及び苦情の解決に関する規定を整備し、福祉サービスの利用者の利益の保護を図るとともに、身体障害者、知的障害者、障害児等に係る福祉サービスに関し市町村等による措置から利用者の申請に基づき支援費を支給する制度に改めるほか、市町村地域福祉計画等の作成その他の地域福祉の推進を図るための規定を整備する等の所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 利用者の立場に立った社会福祉制度の構築のため、身体障害者等の福祉サービスについて、行政が内容を決定する制度から利用者が選択して利用する制度へ改めるとともに、利用者に対し直接、支援費を支給する方式を導入すること。また、利用者からの苦情を解決するための仕組みの導入等、利用者保護のための規定を設けること。
2 社会福祉事業の充実及び活性化を図るため、福祉需要の多様化に対応し、福祉サービス利用援助事業、手話通訳事業、盲導犬訓練施設を経営する事業等の9事業を社会福祉事業として追加すること。また、社会福祉法人の設立を容易にするため、政令で定める社会福祉事業について人数規模要件を緩和すること。
3 福祉サービスの質の向上と事業経営の透明性を確保するため、社会福祉事業の経営者は、福祉サービスの質の向上に努めなければならないこととするとともに、社会福祉法人の財務諸表等の開示義務、国、地方公共団体等による福祉サービスに関する情報提供の責務等の規定を設けること。
4 地域福祉の推進を図るため、市町村地域福祉計画の策定手続を整備するとともに、社会福祉協議会、共同募金会、民生委員及び児童委員について、機能の強化を図る等の改正を行うこと。
5 社会福祉施設職員等退職手当共済制度を見直すとともに、関係法律について所要の規定の整備を行うこと。
6 この法律は、平成12年4月1日から施行すること。ただし、盲導犬訓練施設を経営する事業の社会福祉事業への追加、社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直し等の事項については、平成13年4月1日から、身体障害者等が福祉サービスを利用した場合に支援費を支給する方式の導入等の事項については平成15年4月1日から施行すること。
(修正要旨)
原案において「平成12年4月1日」となっている施行期日を「公布の日」に改めること。
政府は、次の事項について適切に措置すべきである。
1 本法の施行に当たっては、これまでの措置制度の功罪を十分に認識し、改革の理念である自立支援を基本において、事業者と対等な関係に立って利用者自らが福祉サービスを選択し決定できるよう、利用者、社会福祉事業者等の関係者への啓発と周知徹底を図ること。特に、福祉サービス利用援助事業、苦情解決制度、情報の提供及び公開等の利用者のサービス利用を支援するための仕組みが効果的かつ適切に機能するよう、社会福祉事業者への指導に努めること。また、市町村、都道府県が利用者に対する斡旋、調整、利用の要請を適切に行えるよう、その環境整備を図ること。
2 障害者福祉サービスにおける支援費支給方式の導入に当たっては、障害者のサービス利用に支障をきたさないよう、指定事業者に応諾義務を課すなど必要な措置を講じるとともに、代理受領による方式の運用状況をみた上で、バウチャー方式を含め支給の在り方について検討を行うこと。
3 利用者負担については、介護保険との関係を整理した上で、応益負担を加味した制度への移行も含め、その基本的在り方の検討を行うこと。また当面、在宅福祉サービスを利用する20歳以上の障害者の自己負担の算定に際し、扶養義務者を加えることの是非について検討すること。さらに低所得者の負担については現行水準を上回ることのないよう十分配慮すること。
4 都道府県社会福祉協議会が実施する福祉サービス利用援助事業については、権利擁護の充実の観点から、NPOやボランティア団体などできる限り多様な主体と提携を図って柔軟な体制で実施されるよう指導するとともに、成年後見制度との連携を図るよう努めること。
5 都道府県社会福祉協議会に設置される運営適正化委員会の業務が公正、中立に行われるよう、苦情解決担当委員の選任に当たり、利用者の代表を委員にするなど、利用者等の意見が反映できるようにすること。
6 福祉サービスの質の向上を図るため、社会福祉士、介護福祉士及び社会福祉主事について、福祉をめぐる諸条件の変化に即応して、それぞれ福祉専門職として期待されている役割を果たすことができるよう、適切な養成・確保に努めるとともに、社会福祉施設職員について、勤労条件等の改善、養成力の強化、潜在マンパワーの就業の促進を図ること。
7 サービスの質の向上のため、利用者の意見を反映した客観的評価基準の策定に努めるとともに、第三者機関や評価システムの構築に努めること。
8 社会福祉法人に対する規制及び助成については、公益法人、住民参加型民間団体、民間企業等他の事業主体との適切な競争が行われる条件の整備に十分配慮しつつ、社会環境の変化に応じた弾力的運営を図っていくこと。
9 小規模作業所の法定施設への移行に当たっては、地域の実情を踏まえ、円滑に移行が行われるよう、運営の安定化に向けた財政的支援に十分配慮すること。
10 さまざまな需要に応える多様な民間のサービス提供主体の参入が促進されるよう環境整備に努めること。
11 幅広い国民の社会福祉に関する活動への参加を促進するため、NPOやボランティア活動等の住民参加型福祉サービスが円滑に行われるよう基盤整備づくりを推進すること。
12 地域福祉計画の策定に当たっては、各福祉分野における個別計画との整合性に留意することとし、地域におけるサービス提供基盤の整備や保健・医療・介護分野との連携システムを確立するため、数値目標の設定も視野に入れ、全市町村が速やかに策定できるよう、地方分権の趣旨を踏まえつつ、財政的、技術的な支援を講じること。
13 地域福祉を推進するため、社会福祉協議会は、地域住民の意向を的確に反映することができるよう広く住民の参加を求め、組織の強化、運営の適正化を図ることにより、その活動の一層の充実に努めるとともに、他機関・団体との積極的な連携により、必要に応じた福祉サービスの利用が容易にできる地域環境づくりを進めていくこと。また、民生委員・児童委員については、地域における住民の多様な要望に応えられるよう、市町村との連携を図りつつ、年齢構成等その任命の在り方について配慮するとともに、委員に対する研修の強化を図ること。
14 福祉サービスの提供体制の確保等に関する国及び地方公共団体の責務が明確化されたことを踏まえ、利用者の多様な選択を可能にするよう、障害者プランの確実な推進を図るとともに、必要に応じてその見直しを行うなど、障害者福祉サービスの一層の拡充に努めること。特に、遅れの目立つ居宅生活支援事業、デイサービス事業及び居宅介護支援事業等の在宅サービスの充実を図ること。
15 障害者の自立を促進するため、所得保障及び雇用確保の在り方について速やかに検討を進めること。
16 社会福祉基礎構造改革を踏まえた今後の社会福祉の状況変化や規制緩和、地方分権の進展、介護保険の施行状況等を踏まえつつ、介護保険制度の施行5年後を目途とした同制度全般の見直しの際に、介護保険サービスを行う社会福祉事業や養護老人ホーム等今回法改正の対象とならなかった社会福祉事業の在り方、障害者に対するサービスの在り方及び生活保護の在り方について、十分検討を行うこと。
成立(平成12年法律第105号)
本案は、廃棄物について適正な処理体制を整備し、不適正な処分を防止するため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 環境大臣は、廃棄物の排出の抑制、再生利用等による廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本方針を定めなければならないものとすること。
2 都道府県は、廃棄物の減量その他その適正な処理に関する計画を定めなければならないものとし、国及び都道府県はその達成に必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。
3 都道府県を中心に実施されている廃棄物処理センターについて、国又は地方公共団体の出資に係る法人等を指定の対象とする等とすること。
4 主として民間の優良な産業廃棄物の処理施設の整備を促進するため、一定規模以上の焼却施設、最終処分場等と共同利用施設等から構成される一群の施設について支援措置を講ずること。
5 廃棄物処理業及び廃棄物処理施設の許可等について、暴力団員であること等を産業廃棄物処理業等の欠格要件に加えるとともに、廃棄物処理施設の譲受けに許可制を設けること。
6 産業廃棄物の発生から最終処分が終了するまでの処理が適正に行われるよう、産業廃棄物管理票制度の見直しを行い、これに違反した者、不法投棄等を要求した者等を原状回復等の措置命令の対象とするとともに、排出事業者等が適正な対価を負担していないとき等の場合には、措置命令の対象とすること。
7 虚偽の産業廃棄物管理票の交付の禁止、廃棄物の焼却の禁止等の規定を設けるとともに、罰則の規定を整備すること。
8 この法律は、一部の事項を除き、平成12年10月1日から施行すること。
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずるべきである。
1 政府一丸となって循環型社会の実現を期すため、環境省等関係省庁間の十分な連携を図り、廃棄物・リサイクル関係法案との有機的かつ整合的な運用を行うとともに、今後とも諸外国の例も踏まえつつ、望ましい法体系のあり方につき検討すること。
2 リサイクル名目で不適正な処理が行われている事例が発生していることから、環境面での現行の規制を徹底するとともに、さらに規制のあり方について検討すること。
3 廃棄物の定義及び区分について、処理責任との関係、適正かつ効率的な処理の推進、発生抑制やリサイクルの推進などの観点から検討すること。
4 必要な廃棄物処理施設の確保のため、公共関与による施設整備の促進などを含め、国民の理解を得ながら安心できる施設整備を図ること。
5 安定型処分場に搬入される廃棄物については、分別を徹底し、環境を汚染するおそれのある廃棄物を混入させないよう監視を強化し、措置を徹底すること。
6 最終処分場等から化学物質等の拡散を防止するため、有害化学物質などについて、それを含む製品の製造段階から廃棄後の回収・無害化処理までの一貫した対策を強化すること。また、過去の負の遺産であるPCBについて、当面の安全かつ適正な保管を徹底するとともに、早急に処理体制の整備を図ること。
7 廃棄物の発生抑制やリサイクルを推進する立場からデポジット制度等の経済的手法について製品毎の特性や実態を踏まえながら検討すること。
8 産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度の信頼性を高め、円滑な運用を図るため、電子化の一層の推進を図ること。
9 多量排出事業者が実効ある処理計画を作成することができるよう、国又は地方公共団体は事業者に対して適切な情報提供を行うとともに、業種の特性も踏まえたガイドラインを作成するなど支援を図ること。
10 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)及び特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)について、その施行状況につき不断の検討を行い、必要な見直しを行うとともに、使用済み自動車のリサイクル措置について事業者への義務づけを含む措置など新たな仕組みの構築について検討すること。
11 既に廃止されたものを含め、焼却施設や最終処分場周辺の土壌及び地下水に係る汚染の実態を把握し、結果を公開するとともに土壌汚染の防止と回復措置のあり方について検討すること。
成立(平成12年法律第83号)
本案は、日英両国の年金制度への二重加入の防止を目的に締結された「社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の協定」を実施するため、厚生年金保険法を始めとする公的年金各法について、被保険者の資格に関する特例等を設けようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 被保険者の資格に関する特例
英国から我が国に一時的に派遣された者であって、派遣期間が5年を超えない者等は、国民年金法、厚生年金保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法及び農林漁業団体職員共済組合法の被保険者としないなどの特例を設けること。
2 被保険者の加入に関する特例
日本から英国に一時的に派遣された者が、派遣期間が長期に及んだことなどによって、英国の年金法令の適用を受けることとなった場合、申し出により厚生年金保険の被保険者等となることができる特例を設けること。
3 施行期日
この法律は、協定の効力発生の日から施行すること。
成立(平成12年法律第39号)
本案は、環境衛生関係営業を取り巻く状況にかんがみ、営業者の自主的、主体的な取り組みを支援する体制の整備等を図ろうとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 法律の題名及び目的規定に環境衛生関係営業の振興を加えること。
2 環境衛生同業組合及び環境衛生同業組合連合会の事業に、組合員の営業に係る老人の福祉その他の地域社会の福祉の増進に関する事業についての指導その他当該事業の実施に資する事業を加えること。
3 厚生大臣は、利用者又は消費者の選択の利便の増進に資するため、標準営業約款に関する情報を提供するよう努めるものとすること。
4 国及び地方公共団体は、環境衛生同業組合等に対して必要な助成その他の援助を行うよう努めなければならないものとすること。
5 「環境衛生」を「生活衛生」に改めるとともに、関係法律について同様の改正を行うこと。
6 この法律は、公布の日から1月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。ただし、5は、平成13年1月6日から施行すること。
成立(平成12年法律第38号)
本案は、生活習慣病の予防が国民の健康面における大きな課題となっており、これら疾病の発症と進行を防ぐには食生活の改善が重要であることにかんがみ、管理栄養士制度の見直し等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 管理栄養士を傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導、個人の身体の状況、栄養状態等に応じた高度の専門的知識及び技術を要する健康保持増進のための栄養の指導等を行う者として位置付けること。また、管理栄養士が傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導を行うに当たっては、主治の医師の指導を受けること。
2 管理栄養士の資格を登録制から免許制にすること。
3 管理栄養士国家試験の受験資格を見直し、管理栄養士として必要な知識及び技能の一層の高度化を図ること。
4 その他所要の改正を行うこと。
5 この法律は、平成14年4月1日から施行すること。
成立(平成12年法律第106号)
本案は、多量の雑排水が処理されないまま放流されている現状にかんがみ、生活環境の保全及び公衆衛生の向上の観点から、原則として、今後設置される浄化槽をすべて合併処理浄化槽とし、合併処理浄化槽で処理した後でなければ雑排水の放流をしてはならないこととするため必要な措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 浄化槽の定義からし尿のみを処理する浄化槽を除外すること。
2 何人も、浄化槽で処理した後でなければ、浄化槽をし尿の処理のために使用する者が排出する雑排水を公共用水域等に放流してはならないものとすること。
3 何人も、便所と連結してし尿を処理し、終末処理下水道以外に放流するための設備等として、浄化槽以外のものを設置してはならないものとすること。ただし、下水道の予定処理区域内については、この限りでないものとすること。
4 この法律は、平成13年4月1日から施行すること。
5 既存の単独処理浄化槽について所要の経過措置を設けるとともに、既存の単独処理浄化槽を使用する者は、浄化槽の設置等に努めなければならないものとすること。
成立(平成12年法律第115号)
本案は、薬剤一部負担金を含む老人医療の一部負担金の見直しまでの間、国は老人が医療機関等に支払うべき薬剤一部負担金に相当する額を臨時老人薬剤費特別給付金として支給するための措置を講ずるものである。
なお、この法律は、平成12年7月1日から施行する。
成立(平成12年法律第80号)
本案は、都道府県知事の指定を受けて受胎調節の実地指導を行う者が、受胎調節のために必要な医薬品を販売することができる期間を5年間延長しようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
1 受胎調節の実地指導を行う者が、受胎調節のために必要な医薬品を販売することができる期間を平成17年7月31日までとすること。
2 この法律は、公布の日から施行すること。
政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるべきである。
1 国連の国際人口・開発会議で採択された行動計画及び第4回世界女性会議で採択された行動綱領を踏まえ、男女共同参画社会基本法による男女共同参画社会の実現に向けて、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康・権利)の観点から、女性の生涯を通じた身体的、精神的及び社会的な健康にかかわる総合的な施策を展開すること。
2 リプロダクティブ・ヘルス/ライツについて、女性のライフ・ステージに対応して正しい知識の普及に努めるとともに、きめ細かな相談・指導体制の整備を図ること。
3 女性の主体的な避妊を図る観点から、技術の進歩など情勢の変化も踏まえ、受胎調節実地指導員の養成・活用について検討を進めること。