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5 本会議の概況

(1) 国務大臣の演説及び質疑

1月31日に小泉内閣総理大臣の施政方針演説、川口外務大臣の外交演説、塩川財務大臣の財政演説、竹中経済財政政策担当大臣の経済演説が衆議院本会議において行われ、これに対して、2月3日及び4日に各党の代表質問が行われた。

ア 小泉内閣総理大臣の施政方針演説(1月31日)

(はじめに)

天皇陛下におかれましては、御病気御療養中であります。陛下の1日も早い御快癒を、国民とともに心からお祈り申し上げます。

内閣総理大臣として、今、私に与えられた職責は、我が国の経済と社会の再生です。小泉内閣として、「聖域なき構造改革」を推進するとの考えのもと、今後の国政に当たる基本方針を申し述べ、国民の皆様の御理解と御協力を得たいと思います。

日本経済は、世界的規模での社会経済変動の中、単なる景気循環ではなく、複合的な構造要因による停滞に直面しています。不良債権や財政赤字など負の遺産を抱え、戦後経験したことのないデフレ状態が継続し、経済活動と国民生活に大きな影響を与えています。大胆な構造改革を進め、21世紀にふさわしい仕組みを作ることによってこそ、こうした状況を抜け出し、日本の再生と発展が可能となります。我が国の経済社会に残る非効率な部分を取り除き、技術革新や新事業への積極的な挑戦を生む基盤を築く。そして、国民が安んじて将来を設計できる環境を整備する。これら多方面にわたる課題に一つ一つ着実に取り組んでいます。改革なくして成長なしとの路線を推進してまいります。

改革は道半ばにあり、成果が明確に現れるまでには、いまだしばらく時間が必要です。我が国には、高い技術力、豊富な個人資産、社会の安定など、経済発展を支える大きな基盤が存在します。厳しい環境の中でも、多くの人々や企業、そして地域が、前向きに挑戦を続けています。改革を進め、こうした力を1日も早く顕在化させることにより、我が国の発展につなげてまいります。

今国会には、動き出した改革路線を更に確固たる軌道に乗せるための関連法案を提出いたします。

(経済再生に向けた取組み)

日本経済を再生するため、あらゆる政策手段を動員する必要があり、歳出、税制、金融、規制の4つの改革を加速させます。政府は、日本銀行と一体となって、デフレ克服に取り組みます。

平成15年度予算は、42兆円の税収に対して36兆円に上る多額の国債発行に依存せざるを得ない状況の中、歳出の構造改革を進め、一般歳出を実質的に平成14年度の水準以下に抑制しました。その中で、セーフティネットの充実に配慮し、民間活力を引き出し雇用の創出につながる分野や、科学技術など将来の発展の基盤となる分野に大胆に重点配分しました。また、道路特定財源や義務教育費国庫負担金の見直しなどを進めました。

平成15年度予算の早期成立に努め、平成14年度補正予算と併せ、切れ目なく現下の情勢に対応してまいります。

2010年代初頭には、過去の借金の元利払い以外の歳出は新たな借金に頼らない財政構造を目指します。

税制改革については、あるべき税制の構築に向け、昨年1月より議論を重ね、多岐にわたる改正を一体として行うこととしました。特に、1,400兆円の個人金融資産を流動化する具体策として、相続と贈与を通じた新たな制度の下で贈与時の非課税枠を設け、住宅取得に充てる贈与については3,500万円まで非課税措置を講じます。この措置は、本年1月1日に遡って適用することとしています。また、土地の有効利用を促進するため、土地流通税を大幅に軽減します。平成15年度は、実質1兆8,000億円の減税を先行させ、多年度で税収をバランスさせます。

不良債権問題に全力で取り組み、平成16年度に終結させます。金融再生プログラムを着実に実施し、強固な金融システムを構築してまいります。金融危機は起こさせません。

産業再生機構を設立するとともに、産業再生法を抜本的に改正し、民間の英知と活力を最大限に生かしながら、産業再編や事業の早期再生に向けた取組みを強化します。

離職者に対する早期再就職の支援を充実し、雇用保険制度を見直すとともに、地域の創意工夫による雇用創出策を拡充するなど、セーフティネットを強化します。求人と求職を的確に結びつけ、労働者が多様な働き方を選択できるよう、制度を見直します。

中小企業の金融対策に万全を期します。技術力のある中小企業による創業や新事業への挑戦に対して、資金確保、技術開発、人材育成等、支援策を強化します。

貯蓄から投資への流れを加速するため、金融・証券税制を大幅に軽減・簡素化します。身近な金融機関などで証券を購入できるようにし、監査を充実強化することにより、個人投資家にとって参加しやすく、信頼できる証券市場とする改革を進めます。

公正取引委員会の体制を拡充するとともに、4月から内閣府の外局とし、公正かつ自由な経済社会のかぎとなる競争政策を強化します。

全国どこでも司法を身近に利用できる社会を実現するため、総合的かつ集中的に司法制度改革を進めます。第1審が2年以内に終わることを目指して裁判を迅速化するための法案など、改革関連法案を提出します。

(「官から民へ」「国から地方へ」)

私は、行財政改革で最も重要な課題は郵貯、年金を財源とする財政投融資を通じて特殊法人が事業を行う公的部門の改革であると主張してまいりました。これらの制度については、民業を圧迫し、また、楽観的な需要予測で国民負担を将来に先送りするなど、弊害が明らかになってきています。民間でできることは民間にゆだねることが基本です。この方針のもと、郵政事業、財政投融資、特殊法人の改革を一体のものとしてとらえ、簡素で効率的な質の高い政府に向け改革を進めます。

4月から、日本郵政公社が発足します。民間的な経営を取り入れ、質の高いサービスが提供されるものと考えます。民間の郵便事業参入も始まります。郵政事業は、実質的な民営化の第一歩を踏み出しました。国民的議論を踏まえ、更に改革を進めてまいります。

財政投融資については、郵貯、年金の預託の義務を既に廃止し、自ら財源を調達することとなりました。その規模も圧縮し、平成15年度当初計画の規模は、ピーク時である平成8年度のおよそ4割減としました。

163の特殊法人等のうち、石油公団の廃止など、118法人について既に改革に着手しました。事業を徹底して見直した上で、廃止、民営化、又は独立行政法人化し、透明性を高め、評価を厳正に行うことにより、新たな時代にふさわしい組織へと転換してまいります。住宅金融公庫を廃止することとし、新規貸出しを段階的に縮小するとの方針を示した結果、利用しやすい民間の住宅ローンが相次いで提供されています。

道路4公団の民営化については、民営化推進委員会の意見を基本的に尊重するとの方針のもと、建設コストを引き下げ、新会社の造る道路と税金で造る道路を区分するなど、改革の具体化を図ってまいります。

政府系金融機関は、当分の間、その活用を図り、中小企業等に対する円滑な金融を確保します。国として、必要な機能を厳選し、民間金融機能の正常化の状況を見ながら、大胆に統合集約化を進めてまいります。

このような公的部門の改革は、財政構造、経済構造、金融システムの改革につながり、将来、大きな果実を生むものと考えています。

公務員が国民全体の奉仕者として、志を持って行政に専念できる環境を整備するため、公務員制度改革の具体化を進めます。幹部職員の退職年齢の引上げに政府一体となって取り組み、いわゆる天下りの弊害を是正します。国家公務員の退職手当について、民間企業の状況を踏まえ、支給水準を引き下げます。

国と地方の関係については、平成15年度予算において、改革の芽を出しました。地方にできることは地方にゆだねるとの原則に基づき、国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分について三位一体の改革案を、6月を目途に取りまとめます。

市町村合併を更に推進してまいります。

(政治への信頼)

政治に対する国民の信頼は改革の原点です。あっせん収賄罪に問われた現職国会議員の有罪判決や、公職選挙法違反に問われた献金事件といった、一連の政治資金を巡る問題を重く受け止めています。先の通常国会で改正あっせん利得処罰法や官製談合防止法が成立したところであり、法を遵守することはもとより、国民の信頼を裏切ることのないよう、政治家一人一人が常に襟を正さなければなりません。公務員の政治的中立の確保についても、厳しい姿勢で臨んでまいります。

(潜在力を生かした挑戦)

小柴さん、田中さんのノーベル賞受賞は、日本人を勇気づけるすばらしいことでした。昨年、日本人の業績が世界で高く評価されたのは、ノーベル賞だけではありません。カーボン・ナノチューブを発見した飯島澄男さん、青色発光ダイオードを初めて実用化した中村修二さんは、ノーベル賞の登竜門とも言われる米国のベンジャミン・フランクリン・メダルを受賞しました。中西香爾さんは、生物活性物質の研究で、アラブのノーベル賞と言われるキングファイサル国際賞の栄誉に輝きました。建築家の安藤忠雄さんは、米国建築家協会の最高賞である金メダルを授与されました。

科学や技術の分野だけではありません。輸入が急増する厳しい経営環境の中、タオル産地、今治市の企業3社は、商品企画力を高く評価され、米国の国際展示会でグランプリの栄誉を得ました。アニメ映画「千と千尋の神隠し」は、芸術性が世界で高く評価され、ベルリン国際映画祭の最優秀作品賞や、ニューヨーク映画批評家協会のアニメ部門最優秀作品賞を受賞しています。今井千恵さんと谷口郁子さんの2人の日本人女性が、世界女性起業家賞に輝きました。日本は高く評価されています。

科学技術、バイオテクノロジー、知的財産、IT、都市再生、構造改革特区など、日本再生のかぎを握る分野について、政府を挙げて取り組み、政策の方向を示してきました。様々な分野での挑戦をしっかりと後押ししてまいります。

(科学技術と環境)

科学技術創造立国の実現に向け、平成15年度の一般歳出を厳しく抑制する中で、対前年度比3.9%増の科学技術振興予算を措置し、遺伝子レベルで個人個人に合った予防や治療を可能にする研究開発などを重点的に支援してまいります。また、1兆2,000億円に上る研究開発・投資減税を行います。

新たな技術への支援は、新たな産業の振興につながります。バイオベンチャー企業は急増しており、昨年までに300社を超えました。イネゲノムの解読は、昨年12月、日本の主導により終了しました。官民挙げて、バイオテクノロジーの発展に取り組んでまいります。

特許審査の迅速化、特許を巡る裁判制度の改革、模倣品・海賊版対策の強化を行い、知的財産立国を目指します。

地球温暖化への対応には、一刻の猶予も許されません。国、地方公共団体、事業者、国民、それぞれが、脱温暖化社会への構造改革に取り組む必要があります。環境と経済の両立がかぎです。科学技術の活用を進め、世界の先端を行く環境産業を振興します。

二酸化炭素を吸収する多様で健全な森林の育成を進めます。緑の雇用を推進し、雇用創出と森林整備の担い手の確保を図ります。

京都議定書の早期発効と、すべての国が参加する共通ルールの構築に最大限努力します。

平成15年度中には、一般公用車のうち7割を低公害車とし、平成16年度までにはすべてを低公害車にします。また、昨年、世界で初めて市販された燃料電池車を公用車として導入しました。規制を総点検し、燃料電池車の普及拡大を後押しします。平成17年から、ディーゼル自動車について、世界一厳しい排出ガス規制を実施します。同時に、次世代の低公害車や燃料などの開発と普及を支援します。

ごみゼロ社会の実現に、就任以来、取り組んでまいりました。食品、建設、自動車など、各種のリサイクルの仕組みは既に整備しました。今後は、循環型社会形成への道筋を示すとともに、ごみの不法投棄の一掃に向けて制度を整備します。年間350万台が廃棄されているパソコン処理の仕組みを合理化するなど、廃棄物の処理やリサイクルを一層促進します。身近な取組みとして、中央省庁の食堂で生ごみのリサイクルを進めています。トウモロコシから作る食器など環境に優しいバイオマス製品を、政府をはじめ公的機関で導入し、国民の身近な生活へと広げてまいります。

(日本の魅力再生)

我が国には、歴史に根差した文化や伝統、優れた人材や企業が各地にあります。地域が持つ潜在力や魅力を引き出し、日本を再構築します。

14の都市再生プロジェクトを推進するとともに、44の都市再生緊急整備地域において、優良な民間都市開発を支援します。大都市だけではありません。北海道の稚内では、ロシア・サハリン州との交流を軸にした国際観光・交流都市づくり、沖縄の石垣では、港を中心にしたまちづくりが進んでいます。四国の松山では、小説「坂の上の雲」がまちづくりのテーマです。地域の知恵と個性を生かした取組みを支援してまいります。

各地域で多様な形のタウンミーティングを開催し、国民との活発な対話を継続します。

4月には、構造改革特区第1号が誕生します。地域や民間から、600を超える第2次提案がありました。制度を一層充実し、教育分野への株式会社参入を含め、これまで規制されていた市場への民間参入の実現を図ります。特区をてこに、全国規模での規制改革を進めます。

観光の振興に政府を挙げて取り組みます。現在、日本からの海外旅行者が年間約1,600万人を超えているのに対し、日本を訪れる外国人旅行者は約500万人にとどまっています。2010年にこれを倍増させることを目標とします。

海外から日本への直接投資は、新しい技術や革新的な経営をもたらし、雇用機会の増大にもつながります。脅威として受け止めるのではなく、日本を外国企業にとって魅力ある進出先とするための施策を講じ、5年後には日本への投資残高の倍増を目指します。

(人の育成)

英国の作家、スマイルズの著書「自助論」は、明治の多くの青年たちの心をとらえたと言われます。自ら志を立て、懸命に学問を修め、勤勉努力した若者たちが主役となって、近代国家日本の基礎が築かれました。新しい時代を切り拓くのは、いつの時代でも、自助自律の精神のもと、他者への思いやりと高い志を持つ青年たちです。人こそ改革の原動力です。

アフリカのマラウイで数学や物理の教育を行う青年や、メキシコ南部の村で保健指導に従事する女性など、日本とは文化も価値観も異なる厳しい環境で、現在も約2,400名の青年海外協力隊員が開発途上国の国づくりのために活躍しています。

勇気を持って新しい時代に立ち向かう力を培うため、画一と受け身から自立と創造へと、教育の在り方を大きく転換してまいります。教育基本法の見直しについては、国民的な議論を踏まえ、しっかりと取り組んでまいります。確かな学力と豊かな心の育成を目指した初等中等教育の改革、知の世紀を担うにふさわしい大学改革を進めてまいります。

「必ず邑(むら)に不学の戸なく、家に不学の人なからしめんことを期す。」明治5年の太政官布告は、すべての国民に教育の機会を保障すると宣言しました。現在、意欲があれば、自らの意志と責任で、だれでも教育を受けることができます。一方、不登校児童の増加など、新しい状況が生じています。時代にふさわしい多様な教育機会の整備に努めてまいります。明日を担う人材が勉学の機会を失うことがないよう、奨学金制度の充実に努めます。世界に開かれた最高水準の教育研究を行う科学技術大学院大学の設立構想を、沖縄で推進します。

(暮らしの構造改革)

昭和30年代には洗濯機、冷蔵庫、白黒テレビ、40年代にはカー、クーラー、カラーテレビが、新しい生活を象徴する三種の神器と言われました。欲しいものがないと言われる現在でも、カメラ付携帯電話や薄型テレビ、食器洗い機など、新しい時代をとらえた商品の売行きは伸びています。自由な時間を自分を磨くためやボランティア活動に使う人は、着実に増えています。暮らしの質を高めたいという国民の意欲は、今でも健在です。

暮らしの構造改革を進め、国民が安心して将来を設計することのできる社会を構築してまいります。

新たな職業分野への進出など、女性の挑戦を支援し、先進諸国に遜色のない男女共同参画社会の形成を進めます。

子育てと仕事の両立を支援するため、平成16年度までに更に10万人の受入れ児童の増加を目指し、待機児童ゼロ作戦を引き続き推進します。小学生のための放課後児童クラブや、子育て中の親が集まって相談や情報交換ができる場を整備します。少子化の流れを変えるため、家庭・地域・企業が一体となって子育てを支援するための法案を提出します。

年金制度については、平成16年度に行う改革の検討に向けて、昨年、方向性と論点を取りまとめました。医療制度については、国民皆保険を守り、将来にわたり良質で効率的な医療を国民が享受できるよう、先般、大幅な改革を行いました。持続可能な社会保障制度を構築するため、給付と負担の在り方について正面から取り上げ、国民的な開かれた議論のもとに、改革を継続してまいります。

我が国の高速インターネットの利用料金は、3年間で月額8,000円から2,500円に下がり、今や、世界で最も低い水準にあります。高速インターネットや携帯電話の普及により、さまざまな情報提供や、遠隔医療・教育など、暮らしに密着したサービスが現れ、IT革命は国民生活に着実に浸透しつつあります。利用者の視点を重視した新IT戦略を策定し、2005年に世界最先端のIT国家を実現します。行政手続を1つの窓口で済ませることができる、身近で便利な電子政府・電子自治体や、家庭のIT基盤となる放送のデジタル化を推進します。

IT社会の基盤となる法制として、個人情報保護関連法案を、修正の上、再提出し、成立を期します。

原子力発電の安全確保に全力を挙げて取り組み、信頼回復に努めます。また、エネルギー安定供給の確保に的確に対応してまいります。

食品安全基本法を制定するとともに、安全性を科学的に評価する食品安全委員会を新設するなど、緊急事態に対処する体制を整備し、食の安全確保に万全を期してまいります。

農業・農村の改革を加速するため、米政策の改革と農業経営の規模拡大や法人化を推進し、意欲と能力のある経営体を集中的に後押しします。自然に恵まれた農山漁村と都市との交流を進めます。

凶悪な事件が多発し、国民の多くが治安の悪化に不安を抱いている状況を改善し、世界一安全な国の復活を目指します。不法滞在の外国人による組織的犯罪やハイテク犯罪などへの対策を強化します。大規模地震等への消防防災対策を強力に推進するとともに、被災者への支援や災害復旧復興対策に万全を期します。

昨年の交通事故による死者数は、過去最悪だった昭和45年の約1万7,000人から半減しました。今後10年間で交通事故死者を更に半減させ、道路交通に関して世界で一番安全な国とすることを目指します。

弱い立場にある人権侵害の被害者を実効的に救済する、新たな人権救済制度を整備します。

建築物や交通機関のみならず、制度や意識も含めて社会のバリアフリー化を促進し、年齢や障害の有無にかかわらず、国民が安心して生活できる社会を築いてまいります。

(危機管理と国際社会安定の実現に向けた取組み)

国際社会の一員として、テロの防止、根絶に引き続き取り組みます。武装不審船、大規模テロを含む国家の緊急事態への対処態勢を充実し、継続審査となっている有事関連法案の今国会における成立を期します。安全保障、危機管理に必要な情報収集能力を強化するため、我が国初となる情報収集衛星の今年度末打上げに向け、最終の準備を進めます。

国際平和への決意を具体的な行動に移すため、和平交渉の促進、難民支援や対人地雷除去、インフラの復旧整備、教育支援など、平和の定着と国づくりに積極的に取り組みます。昨年1月に東京で開催したアフガニスタン復興支援国際会議は、国際社会でも高い評価を得ました。今後も、スリランカやインドネシアのアチェなど、さまざまな地域で平和な国づくりに貢献してまいります。

(外交)

我が国の平和と安全、そして繁栄を確保するため、各国首脳との信頼関係を築き、国際社会が直面する課題に主体的に取り組んでまいります。我が国の文化と伝統を積極的に紹介し、文化や智の交流を進め、深い相互理解と幅広い協力関係を構築します。

北朝鮮については、日朝平壌宣言を踏まえ、国交正常化に取り組んでまいります。我が国は、米韓両国と緊密に連携し、また、中国、ロシアや国際機関とも協力しつつ、北朝鮮に対して、核兵器不拡散条約の遵守を求めるとともに、核兵器開発の放棄を強く求めてまいります。拉致被害者並びに御家族の立場を踏まえ、拉致問題の全面解決に最大限努力します。国際社会の責任ある一員となることが北朝鮮の利益に最もかなう選択であることを、粘り強く説得していく考えです。

私は、先般、日ロ関係に新たな息吹を吹き込みたいとの思いでロシアを訪問しました。日ロ行動計画に合意し、プーチン大統領との信頼関係を深めることができました。我が国固有の領土である4島の帰属問題の解決による平和条約の締結を目指し、民主主義と市場経済という2つの基本的な価値を共有する国として、政治、経済、文化など幅広い分野で、関係の発展に取り組みます。

イラクの大量破壊兵器を巡る問題は、国際社会全体への脅威です。イラクが査察に全面的かつ積極的に協力し、大量破壊兵器の廃棄をはじめ、関連する国連安全保障理事会の決議を履行することが重要であり、我が国として主体的な外交努力を継続してまいります。

本年は、ペリー提督率いる米国の黒船艦隊が浦賀に来航してから150年目に当たります。同盟国である米国との関係は、今後も我が国の平和と繁栄の基礎であり、日米安保体制の信頼性の向上に努めるとともに、政治、経済をはじめ多岐にわたる分野において緊密な連携や対話を続け、強固な日米関係を構築してまいります。また、普天間飛行場の移設、返還を含め、沖縄に関する特別行動委員会最終報告の実施に取り組み、沖縄県民の負担軽減に努力するとともに、地域の特性を生かし、沖縄の経済的自立を支援します。

ワールドカップサッカー大会の共催成功でより緊密な隣国となった韓国との未来志向の友好協力関係を一層発展させていくため、2月に発足する盧武鉉新政権と密接に協力してまいります。

本年は、日中平和友好条約締結25周年に当たります。両国国民の理解と信頼を基礎に、アジア地域、ひいては世界の平和・安定と繁栄の実現のため、中国との幅広い分野における協力関係を一層推進します。

日本とASEAN関係の新時代に向けた昨年1月の我が国の提案は、着実に具体化されてきました。交流年の事業も既に開始されています。年末に予定されている、我が国で初の日本ASEAN特別首脳会議などを通じ、協力関係を発展させてまいります。

国際社会での影響力を一層増しつつある欧州とは、広範な分野にわたって、より緊密な関係を築きます。

貿易自由化を進め、途上国を含めたすべての国が利益を得られる多角的貿易体制を強化するため、WTO新ラウンド交渉を推進します。

メキシコやASEAN、韓国との経済連携に積極的に取り組みます。

3月に関西で開催される世界水フォーラム、6月のエビアン・サミット、9月末に東京で開催予定の第3回アフリカ開発会議へと続く一連の国際会議を通じ、持続可能な開発、途上国の貧困問題・感染症対策など、重要課題の解決に主体的な役割を果たしてまいります。

ODAについては、効率化、透明性の向上に努めるとともに、アジアの安定と成長、紛争後の平和の定着、環境をはじめとする人間の安全保障分野に重点化するなど、戦略的に活用します。

科学的観点に立った水産資源の持続的利用を基本に、水産外交を展開いたします。

(むすび)

私が初めて当選してから、30年がたちました。初当選直後に第4次中東戦争が勃発し、我が国は、1年間で物価が20%以上も上昇する狂乱物価の時代を迎えました。インフレの抑制が最大の政治課題でした。

2度の石油ショック、そして円高ショックと、我が国はこの30年間、幾たびか、経済と国民生活の根幹を揺るがす危機に見舞われました。しかし、国を挙げて省エネ化を進めるとともに、企業においては、徹底した省力化投資と製品の高付加価値化による国際競争力の強化に取り組み、危機をバネにして、より強靱な経済社会を作り上げてきました。

我が国は、構造的な停滞の中で、戦後初めて、デフレという状況に直面しています。今こそ、幾多の危機を克服してきた経験と、これを支えた日本の力を思い起こすときです。

大事なことは、失敗しないことではなく、失敗を次の成功に生かすことです。人生で大切なことは、挫折してもくじけず、また立ち上がることだと思います。

明治維新の激動期も、敗戦後の混乱期も、先人たちは、難局に敢然と立ち向かって、今日の日本を築き上げてきました。悲観論から新しい挑戦は生まれません。厳しい経済状況下にあるとはいえ、今、私たちには、当時よりはるかに豊かな蓄積と、そこから生まれる大きな可能性があります。

歴史に学び、勇気と希望を持って、新しい日本を作り上げようではありませんか。

国民並びに議員各位の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。

イ 国務大臣の演説に対する質疑要旨(2月3日、4日)

1月31日の国務大臣の演説に対する質疑は、2月3日に岡田克也君(民主)、山崎拓君(自民)、伊藤英成君(民主)及び神崎武法君(公明)が行い、4日には小沢一郎君(自由)、穀田恵二君(共産)、土井たか子君(社民)及び熊谷弘君(保守新党)が行った。

質疑の主なものは、次のとおりである。

第1に、小泉内閣の改革への取組姿勢について、「[1]改革もなければ、成長もないと指摘される現状への認識、[2]公約の重さについての総理の見解、[3]改革に対する国論分裂への対処」等の質疑に対して、「[1]改革は道半ばにあり、改革の成果が明確に現れるまでにはまだしばらく時間が必要であるが、自信と希望を持って改革に立ち向かうことが、国民全体に明るい未来をもたらすためにたどるべき道だと考える、[2]先日の公約に関する発言は不適切なものだったと反省しているが、政策を遂行するに当たっては基本的な方針を堅持しつつ、情勢を見極めながら大胆かつ柔軟に対応していくことが必要である、[3]敵も味方、抵抗勢力も協力勢力だ、できるだけ多くの方々の協力を得られるように、すべてが最後はあるべき改革に協力してくれるであろうという希望と期待を持って、目指すべき改革を着実に進めていく」旨の答弁があった。

第2に、構造改革について、「[1]構造改革推進への決意、[2]規制改革への取組み・構造改革特区の推進、[3]構造改革が目指す社会の有様、[4]道路4公団民営化、[5]特殊法人改革」等の質疑に対して、「[1]我が国には、現在、高い技術力、豊富な個人資産、社会の安定など、経済発展を支える大きな基盤が存在している。こうした潜在力を顕在化させるための改革が構造改革であることを理解してもらうために今後も努力していく、[2]構造改革特区については、第2次提案募集で寄せられた構造改革にかける地方や民間の熱意を真摯に受け止め、規制改革の突破口として、更なる充実を図っていきたい。全国的な規制改革についても、総合規制改革会議を積極的に活用し、経済財政諮問会議とも連携を図りつつ、引き続き強力に推進していく、[3]簡素で効率的な質の高い政府のもとに、自助自律の精神で、国民一人一人や企業、地域が持っている大きな潜在力を自由に発揮できる、活力ある民間と個性ある地方が中心となった豊かな社会を実現し、民間にできることは民間に、地方にできることは地方にゆだねるという方針を貫いていきたい、[4]民営化推進委員会の審議では、最終的な意見の取りまとめ段階で残念な面もあったが、債務の確実な返済、建設コストの削減、ファミリー企業の在り方の見直しなどの点で成果が上がった。同委員会の意見を基本的に尊重し、与党とも協議しながら改革の具体化に取り組む、[5]肥大化した公的部門を抜本的に縮小し、簡素、効率的、透明な政府を実現させるために不可欠な改革である。道路4公団については民営化に向けた検討が行われ、郵政事業についても実質的な民営化の一歩を踏み出すなど着実に成果を上げている」旨の答弁があった。

第3に、財政、税制改革について、「[1]平成15年度予算の編成方針、[2]税制のあるべき姿、[3]自民党税調の廃止、[4]公約の国債発行30兆円枠突破、[5]地方分権の推進と税源配分の在り方、[6]社会保障の負担増・給付削減等大幅な国民負担増を行うことの是非、[7]公共事業主体から社会保障を中心に据えた歳出構造の根本的改革の必要性、[8]社会保険財源の基本的考え方、[9]年金積立金の運用の在り方」等の質疑に対して、「[1]経済活性化や将来の発展につながる分野へ予算を重点的に配分するとともに、徹底した単価の見直しなどによる効率化に大胆に取り組んだ、[2]戦略分野の成長を支援する研究開発・設備投資減税の集中・重点化、中小企業減税、次世代への資産移転円滑化に資する相続税、贈与税の一体化措置の導入、貯蓄から投資への改革に資する金融・証券税制の軽減・簡素化等の改革を一体として講じていく、[3]自由かつ徹底した議論を重ねた上で税制改革案を取りまとめる場であり、今後も政府税制調査会、経済財政諮問会議とともに、与党税調の議論を生かして税制改革を進めていく、[4]税収落込みやセーフティネット構築などに対応するため国債を追加発行し、結果として30兆円枠を突破したことは残念であるが、30兆円枠の精神が財政規律を維持するのに効果はあった、[5]国が地方行政に対する関与を縮小するとともに、地方の権限と責任を一層拡大することが必要と考える。今後、税源配分の在り方を検討し、改革案を取りまとめる、[6]個々の負担増のみ取り上げて議論するのではなく、社会保障給付の拡大等プラスの側面や先行減税効果にも目を向け、総合的に考えるべきである、[7]今年度予算における社会保障費については、前年度予算から3.9%増の約19兆円、これに対して、公共事業費は約8兆9,000億円と、前年比で3%以上削減され、緊急性等を勘案しつつ、雇用・民間需要拡大に資する分野へ重点配分を行っており、批判は当たらない。社会保障給付拡大等のプラスの側面や先行減税の効果を含め、総合的に考えるべきである、[8]将来の現役世代の負担が過大にならないような制度づくりや、国民年金の未納・未加入者問題等に取り組み、国民の年金に対する不安を払拭するとともに、少子化等の進行に柔軟に対応でき、持続的に安定した制度づくりを行う。社会保険財源などの解決策として安易に消費税に頼ることは考えておらず、在任中に消費税率を引き上げる考えはない、[9]年金資金運用基金の利差損は、平成13年度末で3兆円である。株式運用の比率は6%であり、郵貯、簡保と比べ特に高くはないが、年金資金運用の在り方は現在厚生労働省において議論が行われており、国民の信頼が得られるようしっかり対応していく。財政投融資による特殊法人等への貸付けについてはこれまですべて返済されている」旨の答弁があった。

第4に、経済、金融政策について、「[1]経済失政に関する責任、[2]デフレ克服のための政策及びそのための日本銀行との取組み、[3]ペイオフ解禁延期の責任、[4]日本経済と社会の再生に向けた取組み」等の質疑に対して、「[1]想定以上に厳しい内外経済環境が生じているが、改革を加速させ、デフレ克服に取り組むことにより、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を図り、日本経済を再生させていくことが私に課せられた責任であると考えている、[2]平成15年度予算においては、雇用創出や将来の発展の基盤となる分野に重点配分を行うとともに、先行減税を行うなど、経済活性化に向け対応を図った。また、金融再生プログラムを着実に実施し、日銀と協力して金融危機阻止に万全を期す。日銀とは、その独立性を尊重しつつ、今後とも経済財政諮問会議のほか、さまざまなレベルにおいて意見交換を行い、連携を取っていきたい、[3]ペイオフの延期については、金融円滑化に配慮する必要から、不良債権問題終結後に実施を延期したまでであり、より強固な金融システムの構築という大きな目標に変更はない、[4]構造改革に即効性のある政策はないため、各般の改革を着実に進めていくことにより、将来、民間需要主導の持続的な成長軌道にもっていきたいと考える」旨の答弁があった。

第5に、社会保障制度改革、雇用対策について、「[1]社会保障制度改革の方向性、[2]社会保障の負担増、[3]医療制度改革の基本方針、[4]健康保険の本人3割負担、[5]年金制度改革、[6]雇用対策への取組み、[7]少子化対策、[8]高齢社会対策」等の質疑に対して、「[1]社会保障制度を将来にわたり持続可能で安定的に運営するには、制度全般にわたる給付と負担の見直しが不可欠であり、国民的な議論のもと、改革を継続する、[2]少子高齢化社会の進展に伴い、今後の社会保障給付費は増大する見込みにある。社会保障制度を持続可能なものとするには、医療保険などの制度改革は不可欠である、[3]医療保険制度の体系の在り方、新しい高齢者医療制度の創設、診療報酬体系の見直し等の諸課題について、平成15年度中に基本方針を策定し、将来にわたり持続可能な制度としていくため更なる改革に取り組む、[4]国民皆保険を堅持し、保険料の引上げ幅を抑制するためにも、患者、加入者、医療機関といった関係者が等しく負担を分かち合うことは避けられず、予定どおり平成15年4月から医療費3割負担を実施することが必要である、[5]国民の安心を確保するという公的年金の役割を果たせるよう、持続的で安定した制度を確立することが不可欠である。平成16年に行う年金改正では、開かれた国民的議論のもと、少子高齢化社会に対応した給付と負担の均衡を確保できるような制度づくりに取り組む、[6]現下の厳しい雇用失業情勢を踏まえ、その対策に万全を期する。雇用のセーフティネットとして、将来にわたる安定的運営を確保するための雇用保険制度改革の実施のほか、平成14年度補正予算及び平成15年度予算においては、若年者の総合的な雇用対策の推進、早期再就職支援や雇用機会の創出対策などの施策を盛り込んだ、[7]少子化の進展は、今後、我が国の社会経済に重大な影響を与えるものであり、施策の充実を図るべく、平成14年9月に少子化対策プラスワンを取りまとめた。今後は、これを具体化するため、待機児童ゼロ作戦を引き続き推進する、次世代の育成支援のための法案を提出する等、総合的かつ効率的な取組みを進めていきたい、[8]疾病の予防に重点を置いた健康づくりの推進、就労やボランティア活動などの高齢者の社会参加促進や生涯学習の基盤整備など、高齢社会対策を総合的に推進する」旨の答弁があった。

第6に、外交政策について、「[1]米国の国家安全保障戦略に対する見解、[2]対中国・対韓国外交、[3]靖国参拝問題、[4]大量破壊兵器の拡散に対する我が国の責務」等の質疑に対して、「[1]米国が、国際社会と連携しつつ、冷戦後の新たな脅威に対し断固たる姿勢で臨む決意を示した点を評価している。この戦略は、米国が脅威への先制的対処のため必ず武力を行使するとしているわけではなく、先制を侵略のための口実としてはならない旨を明記しており、米国は国際法上の権利及び義務に合致して行動するものと考える、[2]良好な日中・日韓関係は、アジアの、ひいては世界の安定と繁栄にとっても極めて重要である。今後、中韓両国の新体制とも緊密な関係を構築し、中韓両国との間で、北朝鮮問題を含め、幅広い分野における友好協力関係を更に発展させていきたいと考えている、[3]靖国神社には、心ならずも国のために命を失わなければならなかった方々に対する敬意と感謝の意を込めて、二度と戦争を起こしてはいけない、現在の平和というものはそういう方々の尊い犠牲の上に成り立っているものだということを常に忘れてはならないという思いで参拝した。日中・日韓友好の気持ちは全く変わらない。今後とも、韓国、中国との友好に努力していきたい、[4]唯一の被爆国として、我が国は、核兵器を初めとする大量破壊兵器の廃絶に向けた積極的な外交努力を行ってきた。今後とも、現実的かつ着実な努力を継続していきたい」旨の答弁があった。

第7に、イラク問題について、「[1]新たな安保理決議の必要性、[2]国際社会の協調体制の必要性、[3]国連決議に基づかないイラク攻撃が行われた場合の対応」等の質疑に対して、「[1]新たな決議については、安保理において議論が行われると承知しており、今後の事態の推移を注視する必要がある。我が国は、現在行われている査察の状況、安保理の議論等を踏まえ、イラクが誠実に決議を履行するよう外交努力を継続していく、[2]安保理をはじめ国際社会が協調して毅然たる態度を維持し、イラクが査察に全面的かつ積極的に協力するように求めることが、何よりも重要である。米国に対しても、国際協調の維持の重要性を述べたところである、[3]米国は、イラク軍事行動を決定したとは言っていない。我が国としては、査察の状況、安保理の議論等、今後の事態の推移を注視して対応を判断していく」旨の答弁があった。

第8に、北朝鮮問題について、「[1]核開発問題、[2]拉致問題解決への方策、[3]脱北者への対応、[4]日朝国交正常化交渉」等の質疑に対して、「[1]日米韓3カ国の緊密な連携を維持し、その他の関係国や国際機関とも協力しつつ、北朝鮮に対して問題解決のための前向きな対応を引き続き強く求めていく、[2]被害者の方々及び御家族との連絡を引き続き密にし、その御意向も踏まえながら、北朝鮮側に対し、事実解明、被害者御家族の帰国の実現等を引き続き強く求めていく、[3]国内のさまざまな議論を踏まえ、関係者の身の安全、人道上の観点等の種々の観点を総合的に勘案しながら、真剣に対処する、[4]拉致問題や核問題への対応を巡り、現在、日朝間では国交正常化交渉を直ちに再開する状況にはないが、政府としては、日朝平壌宣言に基づいて諸懸案を解決し、地域の平和と安定に資する形で国交正常化を実現するという基本方針に変わりはなく、北朝鮮に対し、問題の解決に向け前向きに対応するよう、引き続き働きかけていく考えである」旨の答弁があった。

第9に、有事法制について、「[1]有事法制の必要性、[2]有事法制は立憲政治からの逸脱ではないか、[3]政府に対する国民の信頼の必要性、[4]国民保護法制の整備、[5]有事法制における人権、[6]テロ、武装工作船等への対策」等の質疑に対して、「[1]有事関連法案は、さまざまな緊急事態に対応できる態勢づくりを進めるため必要であり、幅広い国民の理解を得て、今国会における成立を期す、[2]有事関連法案で定める武力攻撃事態への対処は憲法の範囲内で実施するものであり、法案提出が立憲政治からの逸脱になるものではない、[3]今後とも、行政の説明責任を十分に果たすことにより国民の信頼確保に努める、[4]国民の権利義務と深い関係を有することから、地方公共団体や民間機関等の意見を聴き、幅広い理解を得ながら内容を深めていく、[5]武力攻撃事態対処法案では、基本理念として、憲法の保障する国民の自由、権利の尊重を定めている。今後の個別法制の整備においても、この基本理念にのっとり、国民の自由、権利の尊重に最大限配慮するとともに、ジュネーブ諸条約等の国際人道法の的確な実施を確保していく、[6]さまざまな緊急事態に対処できるよう、態勢の整備に一層努めていく」旨の答弁があった。

第10に、政治改革について、「[1]政治と金の問題、[2]公共事業受注企業からの献金禁止法案の立法化」等の質疑に対して、「[1]一連の問題を重く受け止め、改めるべきは改めるという姿勢で政治改革に臨み、国民から信頼される政治を目指して努力する、[2]自民党において検討が進められているところであり、一歩でも前進するような措置を講じたい」旨の答弁があった。

第11に、エネルギー政策について、「[1]エネルギー問題の現状と原子力政策、[2]名古屋高裁金沢支部で原子炉設置許可処分無効判決が出た「もんじゅ」計画の見直し」等の質疑に対して、「[1]資源に乏しい我が国は、エネルギーの供給に関し、安定供給の確保という課題に加え、地球環境面での対応が厳しく求められている。政府としては、代替エネルギーの開発を進めるとともに、安定性に優れ、発電過程で二酸化炭素を発生しないという特性を有する原子力発電について、安全審査に万全を期しつつ、安全の確保と国民の信頼の回復に全力で取り組み、その推進に引き続き努めていく、[2]先般の「もんじゅ」の設置許可無効の判決については、上訴したところであり、無効が確定しているものではないと承知している。エネルギー資源に乏しい我が国において、高速増殖炉開発を進めることは必要であり、計画を中断することは考えていない」旨の答弁があった。

第12に、教育改革について、「[1]教育改革の理念、[2]教育基本法の改正、[3]教育特区の実現」等の質疑に対して、「[1]勇気を持って新しい時代に立ち向かう人間を育成するために、画一と受け身から自立と創造へと、教育の在り方を大きく転換していく、[2]現在、中央教育審議会において検討が行われているところであり、今後、同審議会の答申を踏まえ、幅広く国民的な議論を深めながら、その見直しにしっかりと取り組んでいく、[3]地域や子供の実情に即したより良い教育を目指し、可能な限り実現を図っていく」旨の答弁があった。

第13に、治安対策について、「犯罪の増加とその対策」等の質疑に対して、「警察はもとより入管、税関、海上保安庁、刑務所など関係当局の体制や機能の強化に努めるとともに、相互の連携の向上を図り、世界一安全な国の復活を目指していく」旨の答弁があった。

その他、公務員制度改革、農業政策等の問題について、質疑が行われた。

国会用語のミニ解説[2]

 施政方針演説と所信表明演説

 各国会の会期の始めには、通常、開会式の後に、国務大臣の演説が行われているが、その中心である内閣総理大臣による演説には、施政方針演説と所信表明演説の2種類がある。

 施政方針演説は、常会において行われる演説で、総予算等の審議を行うに当たり、向こう1年間の内閣の施政の方針について述べられるものである。一方、所信表明演説は、臨時会あるいは特別会において行われる演説で、当面の問題を中心として、その国会における内閣の方針について述べられるものである。

 また、施政方針演説が行われるときは、外務大臣による外交演説、財務大臣による財政演説、そして経済財政政策担当大臣による経済演説もあわせて行われる。所信表明演説が行われるときにも、補正予算が提出された場合には、財政演説も行われることがある。

 これらの演説に対しては、各党・各会派を代表する議員が質疑(一般に「代表質問」と呼ばれている)を行い、内閣総理大臣をはじめ各国務大臣から答弁がある。

 演説は、通常、同日に、衆議院、参議院の順で行われているが、質疑は1日おいて、1日目は衆議院で、2日目は参議院、衆議院の順で、3日目は参議院で(両院通じて3日間)行われている。

 これらの演説及び質疑は、内閣の基本方針や各党の基本的な考え方が、主権者である国民に対し、表明されるという極めて重要な意義を有しているので、各党とも、党首あるいはそれに準ずる議員が演壇に立っている。なお、その審議の模様は、NHKテレビ、衆議院ホームページ等で実況中継が行われ、国民の皆様にリアルタイムで伝えられている。

(2) 主な議案等の審議

年月日 議案等
平成15年
1月20日
○国務大臣の演説
  • 塩川財務大臣の財政演説
1月21日 ○国務大臣の演説に対する質疑

質疑

石井一君(民主)、冬柴鐵三君(公明)、達増拓也君(自由)、吉井英勝君(共産)、中川智子君(社民)

答弁

小泉内閣総理大臣、塩川財務大臣、坂口厚生労働大臣、平沼経済産業大臣

1月27日 ○平成14年度一般会計補正予算(第1号)〈可決〉

○平成14年度特別会計補正予算(特第1号)〈可決〉

○平成14年度政府関係機関補正予算(機第1号)〈可決〉

討論(以上3件)

米澤隆君(民主)、杉浦正健君(自民)、樋高剛君(自由)、矢島恒夫君(共産)、山口わか子君(社民)

1月31日

○国務大臣の演説
  • 小泉内閣総理大臣の施政方針演説
  • 川口外務大臣の外交演説
  • 塩川財務大臣の財政演説
  • 竹中金融担当大臣・経済財政政策担当大臣の経済演説
2月3日 ○国務大臣の演説に対する質疑

質疑

岡田克也君(民主)、山崎拓君(自民)、伊藤英成君(民主)、神崎武法君(公明)

答弁

小泉内閣総理大臣、竹中金融担当大臣・経済財政政策担当大臣、遠山文部科学大臣、大島農林水産大臣

2月4日

○国務大臣の演説に対する質疑

質疑

小沢一郎君(自由)、穀田恵二君(共産)、土井たか子君(社民)、熊谷弘君(保守新党)

答弁

小泉内閣総理大臣

2月14日 ○趣旨説明
  • 平成15年度における公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出)
  • 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

塩川財務大臣

質疑

山花郁夫君(民主)、武山百合子君(自由)

答弁

塩川財務大臣、坂口厚生労働大臣、竹中金融担当大臣・経済財政政策担当大臣
2月18日 ○発言・趣旨説明
  • 平成15年度地方財政計画
  • 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
発言・説明

片山総務大臣

質疑

武正公一君(民主)、高橋嘉信君(自由)、春名直章君(共産)、菅野哲雄君(社民)

答弁

片山総務大臣、福田内閣官房長官、塩川財務大臣、平沼経済産業大臣、竹中金融担当大臣・経済財政政策担当大臣、遠山文部科学大臣、坂口厚生労働大臣、大島農林水産大臣
2月20日 ○趣旨説明
  • 株式会社産業再生機構法案(内閣提出)
  • 株式会社産業再生機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)
  • 産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

谷垣産業再生機構担当大臣、平沼経済産業大臣

質疑

小沢鋭仁君(民主)、土田龍司君(自由)、塩川鉄也君(共産)、大島令子君(社民)

答弁

小泉内閣総理大臣、竹中金融担当大臣・経済財政政策担当大臣、谷垣産業再生機構担当大臣、平沼経済産業大臣、坂口厚生労働大臣
2月28日 ○趣旨説明
  • 社会資本整備重点計画法案(内閣提出)
  • 社会資本整備重点計画法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)
  • 公共事業基本法案(第151回国会、前原誠司君外3名提出)
説明

扇国土交通大臣、鉢呂吉雄君(民主)

質疑

栗原博久君(自民)、阿久津幸彦君(民主)、一川保夫君(自由)、瀬古由起子君(共産)、原陽子君(社民)

答弁

小泉内閣総理大臣、扇国土交通大臣、佐藤謙一郎君(民主)、大谷信盛君(民主)、鴻池防災担当大臣、鈴木環境大臣
3月4日 ○平成15年度一般会計予算〈可決〉

○平成15年度特別会計予算〈可決〉

○平成15年度政府関係機関予算〈可決〉

  • 予算3案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議(細川律夫君外6名提出)〈否決〉
趣旨弁明(動議)

細野豪志君(民主)

討論(以上4件)

自見庄三郎君(自民)、田中慶秋君(民主)、東祥三君(自由)、松本善明君(共産)、重野安正君(社民)
3月7日 ○議員坂井隆憲君の逮捕について許諾を求めるの件〈許諾〉

○趣旨説明
  • 義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

遠山文部科学大臣

質疑

鎌田さゆり君(民主)

答弁

福田内閣官房長官、塩川財務大臣、遠山文部科学大臣、片山総務大臣
3月13日 ○趣旨説明
  • 食品安全基本法案(内閣提出)
説明

谷垣食品安全担当大臣

質疑

後藤斎君(民主)、山田正彦君(自由)、中林よし子君(共産)、山内惠子君(社民)

答弁

福田内閣官房長官、谷垣食品安全担当大臣、坂口厚生労働大臣
3月18日 ○趣旨説明
  • エネルギー等の使用の合理化及び再生資源の利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法及び石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

平沼経済産業大臣

質疑

山田敏雅君(民主)

答弁

川口外務大臣、鈴木環境大臣、平沼経済産業大臣

○趣旨説明
  • 本州四国連絡橋公団の債務の負担の軽減を図るために平成15年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案(内閣提出)
  • 高速自動車国道法及び沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

扇国土交通大臣

質疑

津川祥吾君(民主)

答弁

川口外務大臣、扇国土交通大臣
3月20日 ○イラクに対する武力行使後の事態への対応についての報告

報告

小泉内閣総理大臣

質疑

高村正彦君(自民)、岡田克也君(民主)、冬柴鐵三君(公明)、都築譲君(自由)、志位和夫君(共産)、土井たか子君(社民)、二階俊博君(保守新党)

答弁

小泉内閣総理大臣
3月25日 ○議員坂井隆憲君の議員辞職勧告に関する決議案(野田佳彦君外9  名提出)〈可決〉

○趣旨説明
  • 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 雇用保険の財政の安定化及び求職者等に対する能力開発支援のための緊急措置に関する法律案(城島正光君外4名提出)
説明

坂口厚生労働大臣、大島敦君(民主)

質疑

齋藤淳君(民主)、大森猛君(共産)、今川正美君(社民)

答弁

竹中金融担当大臣・経済財政政策担当大臣、坂口厚生労働大臣、加藤公一君(民主)
4月1日 ○趣旨説明
  • 保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

竹中金融担当大臣・経済財政政策担当大臣

質疑

松本剛明君(民主)

答弁

竹中金融担当大臣・経済財政政策担当大臣、片山総務大臣
4月3日 ○趣旨説明
  • 国立大学法人法案(内閣提出)
  • 独立行政法人国立高等専門学校機構法案(内閣提出)
  • 独立行政法人大学評価・学位授与機構法案(内閣提出)
  • 独立行政法人国立大学財務・経営センター法案(内閣提出)
  • 独立行政法人メディア教育開発センター法案(内閣提出)
  • 国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)
説明

遠山文部科学大臣

質疑

山口壯君(民主)、佐藤公治君(自由)、石井郁子君(共産)

答弁

遠山文部科学大臣、塩川財務大臣、福田内閣官房長官、片山総務大臣
4月8日 ○趣旨説明
  • 個人情報の保護に関する法律案(内閣提出)
  • 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出)
  • 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出)
  • 情報公開・個人情報保護審査会設置法案(内閣提出)
  • 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)
  • 個人情報の保護に関する法律案(枝野幸男君外8名提出)
  • 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案(枝野幸男君外8名提出)
  • 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案(枝野幸男君外8名提出)
  • 情報公開・個人情報保護審査会設置法案(枝野幸男君外8名提出)
説明

細田情報通信技術(IT)担当大臣、片山総務大臣、細野豪志君(民主)

質疑

今野東君(民主)、漆原良夫君(公明)、工藤堅太郎君(自由)、春名直章君(共産)、保坂展人君(社民)

答弁

小泉内閣総理大臣、山内功君(民主)、片山総務大臣、細田情報通信技術(IT)担当大臣、達増拓也君(自由)、吉井英勝君(共産)、坂口厚生労働大臣、北川れん子君(社民)
4月15日 ○趣旨説明
  • 裁判の迅速化に関する法律案(内閣提出)
  • 民事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 人事訴訟法案(内閣提出)
説明

森山法務大臣

質疑

山花郁夫君(民主)、中村哲治君(民主)

答弁

森山法務大臣、塩川財務大臣
4月22日 ○趣旨説明
  • 職業安定法及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

坂口厚生労働大臣

質疑

鍵田節哉君(民主)

答弁

坂口厚生労働大臣
5月6日 ○個人情報の保護に関する法律案(枝野幸男君外8名提出)〈否決〉

○行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案(枝野幸男君外8名提出)〈否決〉

○独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案(枝野幸男君外8名提出)〈否決〉

○情報公開・個人情報保護審査会設置法案(枝野幸男君外8名提出)〈否決〉

○個人情報の保護に関する法律案(内閣提出)〈可決〉

○行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出)〈可決〉

○独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出)〈可決〉

○情報公開・個人情報保護審査会設置法案(内閣提出)〈可決〉

○行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)〈可決〉

討論(以上9件)

石毛えい子君(民主)、桝屋敬悟君(公明)、黄川田徹君(自由)、春名直章君(共産)、保坂展人君(社民)

○趣旨説明
  • 労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

坂口厚生労働大臣

質疑

城島正光君(民主)、藤島正之君(自由)、山口富男君(共産)、金子哲夫君(社民)、山谷えり子君(保守新党)

答弁

小泉内閣総理大臣、坂口厚生労働大臣、森山法務大臣
5月9日 ○趣旨説明
  • 成田国際空港株式会社法案(内閣提出)
説明

扇国土交通大臣

質疑

大谷信盛君(民主)

答弁

扇国土交通大臣
5月13日 ○趣旨説明

  • 司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

森山法務大臣

質疑

平岡秀夫君(民主)

答弁

森山法務大臣
5月15日 ○安全保障会議設置法の一部を改正する法律案(第154回国会、内閣提出)〈修正〉

○武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案(第154回国会、内閣提出)〈修正〉

○自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(第154回国会、内閣提出)〈修正〉

討論(以上3件)

木島日出夫君(共産)、中谷元君(自民)、今川正美君(社民)、大島敦君(民主)、樋高剛君(自由)
5月20日 ○趣旨説明
  • 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

亀井農林水産大臣

質疑

筒井信隆君(民主)

答弁

亀井農林水産大臣
5月22日 ○国立大学法人法案(内閣提出)〈可決〉

○独立行政法人国立高等専門学校機構法案(内閣提出)〈可決〉

○独立行政法人大学評価・学位授与機構法案(内閣提出)〈可決〉

○独立行政法人国立大学財務・経営センター法案(内閣提出)〈可決〉

○独立行政法人メディア教育開発センター法案(内閣提出)〈可決〉

○国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)〈可決〉

討論(以上6件)

牧野聖修君(民主)、斉藤鉄夫君(公明)、佐藤公治君(自由)、児玉健次君(共産)、山内惠子君(社民)

○趣旨説明
  • 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 難民等の保護に関する法律案(今野東君外1名提出)
  • 説明

    森山法務大臣、今野東君(民主)

    質疑 近藤昭一君(民主)

    答弁

    森山法務大臣・外務大臣臨時代理、山花郁夫君(民主)
5月30日 ○趣旨説明
  • 保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

竹中金融担当大臣・経済財政政策担当大臣

質疑

増原義剛君(自民)、永田寿康君(民主)、中塚一宏君(自由)、吉井英勝君(共産)、植田至紀君(社民)

答弁

竹中金融担当大臣・経済財政政策担当大臣
6月5日 ○サンクトペテルブルク訪問及び第29回主要国首脳会議出席に関する報告

報告

小泉内閣総理大臣

質疑 伊藤英成君(民主)、都築譲君(自由)、松本善明君(共産)、東門美津子君(社民)、金子善次郎君(保守新党)

答弁

小泉内閣総理大臣
6月12日 ○保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

討論

松本剛明君(民主)、中塚一宏君(自由)、吉井英勝君(共産)、植田至紀君(社民)
6月17日 ○本国会の会期を7月28日まで40日間延長するの件(議長発議)〈可決〉

討論

藤村修君(民主)、佐藤静雄君(自民)、西村眞悟君(自由)、穀田恵二君(共産)、菅野哲雄君(社民)

6月24日 ○趣旨説明
  • イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法案(内閣提出)
  • 平成13年9月11日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

福田内閣官房長官

質疑

中川正春君(民主)、渡辺周君(民主)、太田昭宏君(公明)、一川保夫君(自由)、佐藤公治君(自由)、木島日出夫君(共産)、児玉健次君(共産)、金子哲夫君(社民)、北川れん子君(社民)

答弁

小泉内閣総理大臣、福田内閣官房長官、川口外務大臣、石破防衛庁長官
7月4日 ○イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法案(内閣提出)〈可決〉

討論

桑原豊君(民主)、江崎洋一郎君(保守新党)、達増拓也君(自由)、赤嶺政賢君(共産)、今川正美君(社民)
7月25日 ○小泉内閣不信任決議案(菅直人君外11名提出)〈否決〉

趣旨弁明

菅直人君(民主)

討論

額賀福志郎君(自民)、伊藤忠治君(民主)、都築譲君(自由)、穀田恵二君(共産)、東門美津子君(社民)
7月28日 ○請願352件〈採択〉

(3) 決議([ ]は提出会派)

○ 可決したもの

議員坂井隆憲君の議員辞職勧告に関する決議案(野田佳彦君外9名提出、決議第1号)[民主・自由・共産・社民](15.3.25)

本院は、議員坂井隆憲君の議員辞職を勧告する。

右決議する。

○ 否決したもの

小泉内閣不信任決議案(菅直人君外11名提出、決議第4号)[民主・自由・共産・社民](15.7.25)

本院は、小泉内閣を信任せず。

右決議する。

国会用語のミニ解説[3]

 会期と会期延長

 国会は常時活動しているのではなく、定められた期間のみ活動能力を有する。この活動能力を有する期間を会期という。

 国会は、会期中だけ活動するため、その意思は各会期ごとに独立したものとされ、また、会期中議決に至らなかった案件は次の会期に継続しないこととしている。つまり、次の会期で審議するためには、たとえ同一内容の議案でも再び提出しなくてはならない。これを、「会期独立の原則」ないしは「会期不継続の原則」という。

 しかし、国会法は例外を設け、常任委員会及び特別委員会は、各議院の議決で特に付託された案件について閉会中も審査を行うことができるものとしている。この場合、閉会中審査された議案及び懲罰事犯の件は次の会期に継続する。

 国会法の規定により、常会の会期は150日間とされている。ただし、常会の会期中に議員の任期が満限に達する場合は、その日をもって会期は終了する。臨時会及び特別会の会期については両議院一致の議決で定めることとなっている。

 臨時会及び特別会の会期は召集日に議決することとなっている。臨時会の場合は、議長が常任委員長会議、議院運営委員会及び参議院議長との協議を経て、議院に諮りこれを議決する。特別会の場合は、議長や議院運営委員を初めとする各常任委員が選任されていないので、各派の代表からなる各派協議会及び参議院議長との協議を経て、議長選挙の後、議長が議院に諮りこれを議決する。なお、会期は召集日当日から起算する。

 会期の延長については、国会法の規定により常会においては1回、特別会及び臨時会においては2回まで、両議院一致の議決により延長できるとされている。ただし、議員の任期が満限に達する場合には、その日を超えて会期の延長はできないとされている。

 なお、臨時会・特別会の会期の決定及び国会の会期の延長について、両議院の議決が一致しないとき又は参議院が議決しないときは、衆議院の議決によることとされており、衆議院の優越が認められている。


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