第157回国会は、平成15年9月22日に召集詔書が公布され、同月26日に召集された。
召集日には、衆議院本会議において、議席の指定を行い、会期を10月31日
までの36日間(10月10日に衆議院が解散され、15日間となった。)と議決した後、法務及び決算行政監視の両常任委員長の選挙を行うとともに、前国会まで設置されていた8特別委員会のうち国会等の移転に関する特別委員会及び個人情報の保護に関する特別委員会を除く災害対策特別委員会等の6特別委員会を設置した。
第157回国会における衆議院の各会派所属議員数及び役員等の氏名並びに内閣の閣僚氏名は、次のとおりである。
○各会派所属議員数(召集日現在)
会派名 | 所属議員数 |
---|---|
自由民主党 | 244 |
民主党・無所属クラブ | 138 |
公明党 | 31 |
日本共産党 | 20 |
社会民主党・市民連合 | 18 |
保守新党 | 10 |
フロンティア | 2 |
無所属 | 12 |
欠員 | 5 |
計 |
○衆議院役員等一覧
役職名 | 氏名(会派) | 備考 | |
---|---|---|---|
議長 | 綿貫 民輔君 | ||
副議長 | 渡部 恒三君 | ||
常任委員長 | 内閣委員長 | 佐々木 秀典君(民主) | |
総務委員長 | 遠藤 武彦君(自民) | ||
法務委員長 | 増田 敏男君(自民) | ||
外務委員長 | 池田 元久君(民主) | ||
財務金融委員長 | 小坂 憲次君(自民) | ||
文部科学委員長 | 古屋 圭司君(自民) | ||
厚生労働委員長 | 中山 成彬君(自民) | ||
農林水産委員長 | 小平 忠正君(民主) | ||
経済産業委員長 | 村田 吉隆君(自民) | ||
国土交通委員長 | 河合 正智君(公明) | ||
環境委員長 | 松本 龍君(民主) | ||
安全保障委員長 | 田並 胤明君(民主) | ||
国家基本政策委員長 | 瓦 力君(自民) | ||
予算委員長 | 藤井 孝男君(自民) | ||
決算行政監視委員長 | 渡海 紀三朗君(自民) | ||
議院運営委員長 | 大野 功統君(自民) | ||
懲罰委員長 | 鈴木 淑夫君(民主) | ||
特別委員長 | 災害対策特別委員長 | 米澤 隆君(民主) | 平15.9.26設置 |
政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員長 | 高橋 一郎君(自民) | 同上 | |
沖縄及び北方問題に関する特別委員長 | 平林 鴻三君(自民) | 同上 | |
青少年問題に関する特別委員長 | 青 山 二 三 君(公明) | 同上 | |
武力攻撃事態への対処に関する特別委員長 | 鳩山 邦夫君(自民) | 同上 | |
国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員長 | 衛藤 征士郎君(自民) | 同上 | |
憲法調査会会長 | 中山 太郎君(自民) | ||
政治倫理審査会会長 | 奥野 誠亮君(自民) | ||
事務総長 | 谷 福丸君 |
○内閣閣僚一覧
小泉第2次改造内閣(平15.9.22〜11.19) | 備考 | |
---|---|---|
内閣総理大臣 | 小泉 純一郎君(自民) | |
総務大臣 | 麻生 太郎君(自民) | |
法務大臣 | 野沢 太三君(自民) | |
外務大臣 | 川口 順子君 | |
財務大臣 | 谷垣 禎一君(自民) | |
文部科学大臣 | 河村 建夫君(自民) | |
厚生労働大臣 | 坂口 力君(公明) | |
農林水産大臣 | 亀井 善之君(自民) | |
経済産業大臣 | 中川 昭一君(自民) | |
国土交通大臣 | 石原 伸晃君(自民) | |
環境大臣 | 小池 百合子君(自民) | |
内閣官房長官 | 福田 康夫君(自民) | |
国家公安委員会委員長 | 小野 清子君(自民) | |
防衛庁長官 | 石破 茂君(自民) | |
沖縄及び北方対策担当大臣 | 茂木 敏充君(自民) | |
金融担当大臣 | 竹中 平蔵君 | |
経済財政政策担当大臣 | 竹中 平蔵君 | |
規制改革担当大臣 | 金子 一義君(自民) | |
産業再生機構担当大臣 | 金子 一義君(自民) | |
個人情報保護担当大臣 | 茂木 敏充君(自民) | |
食品安全担当大臣 | 小野 清子君(自民) | |
科学技術政策担当大臣 | 茂木 敏充君(自民) | |
防災担当大臣 | 井上 喜一君(保守新党) | |
男女共同参画担当大臣 | 福田 康夫君(自民) | |
青少年育成及び少子化対策担当大臣 | 小野 清子君(自民) | |
国立国会図書館連絡調整委員会委員 | 河村 建夫君(自民) |
この国会は、前国会からの課題であったテロ対策特別措置法の有効期限の延長をはじめとする当面の諸課題に対処するために召集されたものであり、国際テロリズムの根絶及びイラク復興支援への取組み、北朝鮮の核開発問題及び日本人拉致問題、雇用・中小企業対策、年金制度改革、郵政事業民営化及び道路4公団民営化等の構造改革問題などについて議論が集中することとなった。
議案としては、テロ対策特別措置法改正案、感染症法及び検疫法改正案、公職選挙法改正案などが重要な議題となった。
召集日当日、開会式に引き続き、衆参両院の本会議において、小泉内閣総理大臣の所信表明演説が行われた。
小泉内閣総理大臣は、日本再生に向けた改革にようやく芽が出始めたところであり、内閣改造を行い新しい体制の下で構造改革路線を堅持し、改革の芽を大きな木に育てていくと表明した。
次に、日米同盟と国際協調が日本外交の基本であり、国際社会が直面する課題に日本として積極的に貢献しなければならないと述べ、北朝鮮問題については、日朝平壌宣言を基本に拉致問題と安全保障問題の包括的解決を目指し、米韓両国と連携し、中国、ロシアとも協力しつつ粘り強く働きかけていくとの考えを示した。また、同時多発テロから2年が経過したが、テロとの闘いは終わっておらず、非人道的なテロに屈することなく、その防止・根絶を目指し、テロ対策特別措置法改正案の今国会での成立を期するとした。そして、イラクに対しては、各国との緊密な連携協力のもと、人道復興支援を進め、自衛隊や文民の派遣など我が国にふさわしい貢献を行うとした。さらに、イラクと中東地域の安定に向け、アラブ諸国との対話、交流を深めるとともに、中東和平への努力を続けるとした。
次に、国民の安全と安心の確保が政府の責務であると述べ、世界一安全な国、日本の復活を実現するため、警察官を増員し空き交番ゼロを目指すとともに、非行防止に努め少年犯罪を減らし、外国人犯罪に対して出入国管理体制、密輸・密航の取締りを強化するとした。また、若者と高齢者が支え合う、公平で持続可能な社会保障制度を構築し、国民が安心して暮らすことのできる社会を実現するため、年内に年金改革案を取りまとめ、来年の通常国会に法案を提出すると明言した。
次に、厳しい現下の経済状況においても構造改革の成果が現れつつあるとの認識を示し、平成16年度に不良債権問題を終結させるとした。また、雇用と中小企業政策に全力を挙げると述べ、企業への資金供給を円滑化し、産業再生機構を活用し、やる気と能力のある企業の再生を支援するとした。そして、530万人雇用創出に向けた施策の推進により、サービス分野を中心にこの3年間で約200万人の雇用が創出されたと見込まれ、規制や制度の改革や人材育成などをさらに進め、今後2年間で300万人の雇用創出を目指すとした。
次に、地方にできることは地方にとの原則に基づき、平成18年度までに補助金について約4兆円の廃止・縮減等、交付税の見直し、地方への税源移譲を行う三位一体の改革の具体化を進めると強調した。そして、民間にできることは民間にとの方針のもと、郵政事業民営化については、日本郵政公社の中期計画終了後の平成19年から実現させるために、来年秋ごろまでに民営化案をまとめ平成17年に改革法案を提出するとした。また、道路4公団については、民営化推進委員会の意見を尊重し、年内に具体案をまとめ、平成17年度から民営化すると明言した。
これに対する衆議院本会議の各党代表質問は、9月29日に行われ、財政運営、郵政事業・道路4公団民営化、イラク復興支援、北朝鮮拉致問題、年金制度改革、農業政策、憲法改正、教育改革などについて論議が展開された。
参議院については、同月30日に各党代表質問が行われた。
第156回国会に提出され継続審査となっていた、テロ対策特別措置法の有効期限を2年間延長するためのテロ対策特別措置法改正案は、9月30日のテロ防止特別委員会において、提案理由の説明を省略した後に質疑入りした。10月2日、民主提出の修正案の趣旨説明を聴取し、翌3日、同修正案は否決され、同法案は賛成多数で原案のとおり可決された。 同日の本会議において、同法案は委員長報告のとおり可決され、同月10日の参議院本会議で可決、成立した。
その他の主な内閣提出法案では、重症急性呼吸器症候群(SARS)対策を推進するための感染症法及び検疫法改正案などが成立した。
また、議員提出法案では、衆議院議員の総選挙や参議院議員の通常選挙において、政党が国政に関する重要政策等を記載したパンフレット又は書籍を選挙運動のために頒布することができるようにするための公職選挙法改正案などが成立した。
10月10日、小泉内閣総理大臣は閣議で「自らの構造改革路線などに対する国民の信を問う」との意向を表明し、小泉内閣で初めての衆議院解散を決定した。同日の本会議において、議長に解散詔書が伝達され、衆議院は解散された。
なお、解散に伴い、政党支部に対する企業・団体等からの寄附を制限する政治資金規正法改正案などは、審査未了となった。