衆議院

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【第170回国会】

1 内閣総理大臣の指名

第170回国会は平成20年9月24日に召集された。第169回国会閉会中の9月1日に福田内閣総理大臣が辞任を表明、召集日当日の午前、福田内閣は総辞職した。同日午後の本院本会議において、麻生太郎君を内閣総理大臣に指名するに決したが、一方参議院本会議においては、小沢一郎君が指名された。衆参の指名が異なるため、同日、両院協議会が開催されたが、意見の一致をみず、憲法第67条第2項の規定により、麻生太郎君を内閣総理大臣に指名する本院の議決が国会の議決となった。

2 国務大臣の演説及び質疑

9月29日に麻生内閣総理大臣の所信表明演説、中川財務大臣の財政演説が衆議院本会議において行われ、これに対して、10月1日及び2日に各党の代表質問が行われた。

臨時国会冒頭の首班指名選挙(第170回国会)
臨時国会冒頭の首班指名選挙(第170回国会)

(1) 麻生内閣総理大臣の所信表明演説

演説に先立ち、申し上げさせていただきます。

まず、内閣が突然交代することとなり、国民の皆様に御迷惑をおかけしたことをおわびいたします。

また、中山国土交通大臣にかえ、金子国土交通大臣を任命しました。中山前大臣の一連の発言は閣僚としてまことに不適切であります。関係者の方々、国民の皆様に深くおわびを申し上げます。

(就任に当たって)

私、麻生太郎は、このたび、国権の最高機関による指名、かしこくも御名御璽をいただき、第92代内閣総理大臣に就任をさせていただきました。

私の前に58人の総理が列しておいでです。118年になんなんとする憲政の大河があります。新総理の任命を憲法上の手続にのっとって続けてきた統治の伝統があり、日本人の苦難と幸福、悲しみと喜び、あたかもあざなえる縄のごとき連綿たる集積があるのであります。

その末端に連なる今このとき、私は、担わんとする責任の重さに、うたた厳粛たらざるを得ません。

この言葉よ届けと念じます。ともすれば元気を失いがちなお年寄り、若者、いや全国民の皆様のもとに。

申し上げます。日本は強くあらねばなりません。強い日本とは、難局に臨んで動じず、むしろこれを好機として一層の飛躍をなし遂げる国であります。

日本は明るくなければなりません。幕末、我が国を訪れた外国人が、驚嘆とともに書きつけた記録の数々を通じて、私ども日本人とは、決して豊かでないにもかかわらず、実によく笑い、ほほ笑む国民だったことを知っております。この性質は今に脈々と受け継がれているはずであります。よみがえらせなくてはなりません。

日本国と日本国民の行く末に平和と安全を。人々の暮らしに落ちつきと希望を。そして、子どもたちの未来に夢を。私は、これらをもたらし、盤石のものとすることに本務があると深く肝に銘じ、内閣総理大臣の職務に一身をなげうって邁進する所存であります。

私は、悲観しません。

私は、日本と日本人の底力に一点の疑念も抱いたことがありません。時代は、内外の政治と経済において、その変化に奔流の勢いを呈するがごとくであります。しかし、私は、変化を乗り切って大きく脱皮する日本人の力をどこまでも信じて疑いません。そして、私は決して逃げません。

私は、自由民主党と公明党の連立政権の基盤に立ち、責任と実行力ある政治を行うことを国民の皆様にお誓いします。

(国会運営)

初めに、国会運営について申し上げます。

さきの国会で、民主党は、みずからが勢力を握る参議院において税制法案をたなざらしにしました。その結果、2か月も意思決定がなされませんでした。政局を第一義とし、国民の生活を第二義、第三義とする姿勢に終始したのであります。

与野党の論戦と政策をめぐる攻防は、もとより議会制民主主義が前提とするところです。しかし、合意の形成をあらかじめ拒む議会は、およそその名に値しません。

政治とは国民の生活を守るためにある、民主党の標語であります。議会人たるもの、何人も異を唱えぬでありましょう。ならば、今、まさしくその本旨を達するため、合意形成のルールを打ち立てるべきであります。

民主党にその用意はあるか。それとも、国会での意思決定を否定し、再び国民の暮らしを第二義とすることで、みずからの信条をすら裏切ろうとするのか。国民はひとみを凝らして見ているでありましょう。

本所信において、私は、あえて喫緊の課題についてのみ主張を述べます。その上で、民主党との議論に臨もうとするものであります。

(着実な経済成長)

緊急な上にも緊急の課題は、日本経済の立て直しであります。これに3段階を踏んで臨みます。当面は景気回復、中期的に財政再建、中長期的には改革による経済成長。

第1段階は、景気対策であります。

政府・与党には、安心実現のための緊急総合対策があります。その名のとおり、物価高、景気後退の直撃を受けた人々や農林水産業、中小零細企業、雇用や医療に不安を感じる人々に安心をもたらすとともに、改革を通じて経済成長を実現するものです。

本年度内に定額減税を実施します。家計に対する緊急支援のためであります。米国経済と国際金融市場の行方から目を離さず、実体経済への影響を見定め、必要に応じ、更なる対応も弾力的に行います。

民主党に要請します。

緊急総合対策実施の裏付けとなる、補正予算、その成立こそはまさしく焦眉の急であります。検討の上、のめない点があるのなら、論拠とともに代表質問でお示しをいただきたい。独自の案を提示されるももちろん結構。ただし、財源を提示していただきます。双方の案を突き合わせ、国民の前で競いたいものであります。

あわせて、民主党の抵抗によって1か月分穴があきました地方道路財源を補てんする関連法案をできるだけ速やかに成立させる必要があります。この法案についての賛否もお伺いします。

第2段階は、財政再建です。

我が国は巨額の借金を抱えており、経済や社会保障に悪い影響を与えないため、財政再建は当然の課題です。国、地方の基礎的財政収支を黒字にする、2011年度までに、目標を立てました。これを達成すべく努力します。

しかし、目的と手段を混同してはなりません。財政再建は手段、目的は日本の繁栄です。経済成長なくして財政再建はない。あり得ません。麻生内閣の目的は、日本経済の持続的で安定した繁栄にこそある。我が内閣は、これを基本線として踏み外さず、財政再建に取り組みます。

第3段階として、改革による成長を追い求めます。

改革による成長とは何でありましょうか。それは、日本経済の王道を行くことです。すなわち、新たな産業や技術を生み出すこと、それによって新規の需要と雇用を生み出すことにほかなりません。新経済成長戦略を強力に推し進めます。

阻むものは何か、改革すべきものは何か。それは、規制にあり、税制にある。廃すべきは廃し、改めるべきはものは改めます。

強みは何か。勤勉な国民であり、すぐれた科学と技術の力です。底力を解き放ちます。日本経済は、幾度となく厳しい試練に対して果敢に応じ、その都度、強くなってきました。再びそのときが来たのであります。

以上、3段階について申し上げました。目途をつけるに大体3年、日本経済は全治3年と申し上げます。3年で日本は脱皮できる、せねばならぬと信じるものであります。

(暮らしの安心)

暮らしの安心について申し上げます。

不満とは、行動のばねになる。しかし、不安とは、人をしてうつむかせ、立ちすくませる。実に忌むべきは不安であります。国民の暮らしから不安を取り除き、強く、明るい日本を、再び我が物としなくてはなりません。

消えた年金や消された年金という不安があります。個人の記録、したがって年金給付の確実さが信用できなくなっております。ひたすら手間と暇を惜しまず、確かめ続けていくしか方法はありません。また、不祥事を行った職員に対しては、厳正なる処分を行います。私は、ここにこうべを垂れ、国民の御理解、御協力をこいねがうものであります。あわせて、年金などの社会保障の財源をどう安定させるか、その道筋を明確化すべく、検討を急ぎます。

医療に信をおけない場合、不安もまた募ることは言うまでもありません。私はまず、長寿医療制度が、説明不足もあり、国民をいたずらに混乱させた事実を虚心に認め、強く反省するものであります。しかし、この制度をなくせば解決するものではありません。高齢者に納得していただけるよう、1年を目途に必要な見直しを検討します。

救急医療のたらい回し、産科や小児科の医師不足、妊娠や出産費用の不安、介護の人手不足、保育所の不足。いつ自分を襲うやもしれぬ問題であります。日々不安を感じながら暮らさなくてはならないとすれば、こんな憂うつなことはありません。私は、これら不安を我が事として、一日も早く解消するよう努めます。

次代の日本を担う若者に希望を持ってもらわなくては、国の土台が揺らぎます。

困っている若者に自立を促し、そして手を差し伸べます。そのための、若者を支援する新法も検討します。最低賃金の引上げと、労働者派遣制度の見直しも進めます。あわせて、中小零細企業の底上げを図ります。

学校への信頼が揺らいでいます。教育に不安が生じています。子どもを通わせる学校を信頼できるようにしなければなりません。保護者が納得するに足る、質の高い教育を実現します。

子どもの痛ましい事件が続いています。治安への信頼を取り戻します。

ここで、いわゆる事故米について述べます。事故米と知りつつ流通させた企業の責任は、断固処断されるべきものとして、これを見逃した行政に対する国民の深い憤りは、当然至極と言わねばなりません。私は、行政の長として、幾重にも反省を誓います。再発を絶対に許さないため、全力を挙げます。

すべからく、消費者の立場に立ち、その利益を守る行政が必要なゆえんであります。既存の行政組織には、事業者を育てる仕組みがあり、そのため訓練された公務員がありました。全く逆の発想をし、消費者、生活者の味方をさせるためにつくるのが消費者庁であります。国民が泣き寝入りしなくて済むよう、身近な相談窓口を一元化するとともに、何か商品に重大な事故が起きた場合、その販売を禁止する権限も持たせます。悪質業者は市場から駆逐され、まじめな業者も救われます。

行政の発想そのものをめぐる改革であればあるだけ、甲論乙駁はもっともであります。しかし、国民の不安と怒りを思えば、悠長な議論はしておられません。消費者庁創設に、御賛同いただけるのか否か。民主党に問うものです。否とおっしゃるなら、成案を早く得るよう、話し合いに応じていただけるのか。問いを投げかけるものであります。

(簡素にして温かい政府)

行政改革を進め、無駄を省き、政府規模を縮小することは当然です。

しかし、ここでも、目的と手段を履き違えてはなりません。政府の効率化は、国民の期待にこたえる政府とするためです。簡素にして国民に温かい政府を私はつくりたいと存じます。地方自治体にも、それを求めます。

私は、その実現のため、現場も含め、公務員諸君に粉骨砕身働いてもらいます。国家国民のために働くことを喜びとしてほしい。官僚とは、私と私の内閣にとって敵ではありません。しかし、信賞必罰で臨みます。

私が先頭に立って彼らを率います。彼らは、国民に奉仕する政府の経営資源であります。その活用をできぬものは、およそ政府経営の任にたえぬものであります。

(地域の再生)

目を、地域に転じます。

ここで目指すべきは、地域の活力を呼び覚ますことです。それぞれの地域が誇りと活力を持つことが必要です。

しかし、その処方せんは、地域によって一つずつ違うのが当たり前。中央で考えた一律の策は、むしろ有害ですらあります。だからこそ、知事や市町村長には、真の意味で地域の経営者となってもらわなければなりません。そのため、権限と責任を持てるようにします。それが、地方分権の意味するところです。

進めるに際して、霞が関の抵抗があるかもしれません。私が決断します。

国の出先機関の多くには、二重行政の無駄があります。国民の目も届きません。これを地方自治体に移します。最終的には地域主権型道州制を目指すと申し上げておきます。

農林水産業については、食料自給の重要さを改めて見直すことが第一の課題となります。50%の自給率を目指します。農業を直ちに保護の対象ととらえる発想は、この過程で捨てていかねばなりません。攻めの農業へ、農政を転換するのであります。

10月1日に発足の運びとなる観光庁の任務に、観光を通じた地域の再生があることを申し添えておきます。沖縄の声に耳を傾け、沖縄の振興に、引き続き取り組みます。

昨今は、集中豪雨や地震など、自然災害が相次いでおります。被災された方に、心よりお見舞い申し上げます。復旧復興には、無論、万全を期してまいります。

(持続可能な環境)

環境問題、とりわけ地球温暖化問題の解決は、今を生きる我々の責任です。自然と共生できる循環型社会を次の世代へと引き継ぐことが求められております。資源高時代に対応した経済構造転換も求められます。

なすべきは、第1に、成長と両立する低炭素社会を世界に先駆けて実現するということ。第2に、我が国が強みを持つ環境・エネルギー技術には新たな需要と雇用を生む力があることを踏まえ、これを育てていくこと。そして第3に、世界で先頭を行く環境・省エネ国家として、国際的なルールづくりを主導していくということです。

(誇りと活力ある外交・国際貢献)

次に、外交について、私が原則とするところを申し述べます。

日米同盟の強化。これが常に第1であります。

以下、順序を付けにくいのをお断りした上で、隣国である中国、韓国やロシアを始めアジア太平洋諸国の国々とともに地域の安定と繁栄を築き、ともに伸びていく。これが第2です。

人類が直面する地球規模の課題、テロ、温暖化、貧困、水問題などに取り組む。第3です。

我が国が信奉するかけがえのない価値が若い民主主義諸国に根づいていくよう助力を惜しまない。第4です。

そして第5に、北朝鮮への対応です。朝鮮半島の安定化を心がけながら、拉致、核、ミサイル問題を包括的に解決し、不幸な過去を清算し、日朝国交正常化を図るべく、北朝鮮側の行動を求めてまいります。すべての拉致被害者の一刻も早い帰国の実現を図ります。

以上を踏まえて、民主党に伺います。

今後日本の外交は日米同盟から国連に軸足を移すといった発言が、民主党の幹部諸氏から聞こえてまいります。私は、日本国と日本国民の安寧にとって、日米同盟は今日いささかもその重要性を失わないと考えます。事が国家、世界の安全保障にかかわる場合、現在の国連は、少数国の方針で左右され得るなど、国運をそのままゆだね得る状況ではありません。

日米同盟と、国連と、両者をどう優先劣後させようとしているか。民主党には、日本国民と世界に対し、明確にする責任があると存じます。論拠とともに伺いたいと存じます。

第2に伺います。海上自衛隊によるインド洋での補給支援活動を、私は、我が国が我が国の国益をかけ、我が国自身のためにしてきたものと考えてきました。テロとの闘いは、まだ到底出口が見えてまいりません。とうとい犠牲を出しながら、幾多の国々はアフガニスタンへのかかわりをむしろふやそうとしております。このときに当たって、国際社会の一員たる日本が活動から手を引く選択はあり得ません。

民主党はそれでもいいと考えるのでしょうか。見解を問うものであります。

(おわりに)

私が本院に求めるのは、与野党の政策をめぐる協議であります。内外多事多難、時間を浪費することは、すなわち国民に対する責任の不履行を意味します。

今、景気後退の上に、米国発の金融不安が起きております。私が提案しております緊急総合対策を裏付ける補正予算、地方道路財源を補てんする関連法案を速やかに成立させることが、国民に対する政治の責任ではないでしょうか。

再び、民主党を始め野党の諸君に、国会運営への協力を強く要請します。当面の論点を以上に御提示をいたしました。お考えをお聞かせ願いたく、私の所信表明を終えさせていただきます。

(2) 中川財務大臣の財政演説

今般、さきに決定されました安心実現のための緊急総合対策を受けまして、平成20年度補正予算を提出することとなりました。その御審議をお願いするに当たり、補正予算の大要について御説明申し上げます。

(最近の経済情勢と安心実現のための緊急総合対策)

まず、最近の経済情勢と、安心実現のための緊急総合対策につきまして申し述べます。

我が国経済は、バブル経済崩壊後の長い低迷から脱却し、持続的な景気回復を続けてまいりましたが、このところ弱含みを見せております。

また、我が国経済を取り巻く情勢を概観いたしますと、米国を始め、欧州や新興国など、世界経済全体において成長が鈍化してきております。国際金融市場が動揺するとともに、資源・食料価格も歴史的に見て高い水準にあるなど、世界経済の先行きは不透明感を増しております。

こうした経済情勢のもと、資源・食料価格の動向により、価格の転嫁が困難な立場にある中小企業や賃金が十分に上がらない雇用者の皆様などは、大きな影響を受けておられると承知しております。

新たな価格体系への移行期におきまして、国民の皆様が感じておられる痛みや不安に対処するとともに、将来にわたり日本経済をより強固なものとするため、政府は、8月29日、安心実現のための緊急総合対策を決定いたしました。

本対策におきましては、第1に、生活者の不安の解消を目指すこととしております。そのため、非正規雇用対策等の推進などによる生活、雇用の支援を行うとともに、高齢者医療の円滑運営対策の充実や医療体制の確保などの医療、年金、介護の強化を図ります。また、新待機児童ゼロ作戦の集中・重点実施など、子育て、教育の支援を実施することとしております。

第2に、持続可能社会への変革を加速するため、省エネ・新エネ設備等の導入加速などにより低炭素社会の実現に向けた取組を進めるとともに、学校等耐震化などの住まい・防災対策を推進いたします。また、省エネ・省資源型への構造転換を促進すること等により、強い農林水産業を創出いたします。

第3に、新価格体系への移行と成長力強化のため、原材料価格高騰対応等緊急保証の導入と政府系金融機関が行うセーフティーネット貸付の拡充による総額9兆円規模の事業を実施し、中小零細企業の資金繰りに万全の対策を講じます。あわせて、下請事業者対策の強化等を通じて中小零細企業の活力向上を目指します。

税制改正に関わる施策につきましては、特別減税の実施を含め、本年の税制全般にわたる抜本的改革の検討とあわせて結論を得ることとしております。

なお、地方公共団体がこの緊急総合対策に取り組み、地域の活性化を実現するために必要な経費を措置するとともに、道路特定財源に関する地方の減収分についても適切に財源措置することとしております。

(平成20年度補正予算(第1号、特第1号及び機第1号)の大要)

次に、今般提出いたしました平成20年度補正予算の大要について御説明申し上げます。

今回の補正予算は、財政健全化路線のもと、真に必要な対策に財源を集中し、旧来型の経済対策とは一線を画するとの緊急総合対策の基本的な考え方を踏まえ、財政規律を維持し、特例公債は発行しないことを基本方針とし、既存の歳出を見直す中で最大限の経費の節減を行った上で編成いたしました。

まず、歳出面においては、緊急総合対策関連として、生活者の不安解消について3,518億円、住まいと防災対策について7,296億円、低炭素社会の実現と強い農林水産業創出について1,881億円、中小企業等の活力向上について4,469億円及び地方公共団体に対する配慮につきまして916億円の合計1兆8,081億円を計上しております。あわせて、国債整理基金特別会計への繰入れを計上する一方、既定経費の節減等を行っております。

他方、歳入面におきましては、前年度の決算上の剰余金6,319億円を計上し、さらに、税外収入の増加を372億円見込んでおります。

以上によってなお不足する歳入につきましては、やむを得ざる措置として、3,950億円の公債の追加発行を行うこととしております。その際、建設公債に限って追加発行を行うこととしております。今回の措置により、平成20年度の公債発行額は25兆7,430億円となり、公債依存度は30.6%となります。

これらの結果、平成20年度一般会計補正後予算の総額は、当初予算に対し歳入歳出とも1兆641億円増加し、84兆1,255億円となります。

以上の一般会計補正等に関連して、特別会計予算及び政府関係機関予算についても所要の補正を行うこととしております。

また、財政投融資計画につきましては、緊急総合対策を実施するため、この補正予算において1,778億円を追加することとしております。

以上、平成20年度補正予算の大要について御説明いたしました。何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願いを申し上げます。

麻生内閣総理大臣の所信表明演説(第170回国会)
麻生内閣総理大臣の所信表明演説(第170回国会)

(3) 国務大臣の演説に対する質疑要旨

国務大臣の演説(9月29日)に対する質疑は、10月1日に小沢一郎君(民主)、細田博之君(自民)及び鳩山由紀夫君(民主)が行い、2日には太田昭宏君(公明)、志位和夫君(共産)、重野安正君(社民)及び亀井久興君(国民)が行った。

質疑の主なものは、次のとおりである。

(政権運営)

[1]「政権交代の是非」に関する質疑に対して、「与党が政権を担う担当能力を失ったならば、直ちに野党に政権を渡し、総選挙を行うのが議会制民主主義の筋道ではないかとのお尋ねがあった。私は、確固たる政権担当能力を持ち、日本の未来に責任を持てるのは我が自由民主党であるとかたく信じている」旨の答弁があった。

[2]「解散・総選挙の実施」に関する質疑に対して、「国会において、各党の主張を明確にし、結論を導くことに異存はない。いたずらに審議を長引かせ、結論を先送りすることは、国民に対する責任の不履行。結論を出すことこそが国民の負託にこたえた国会の責務と考える。解散については、私が決める」旨の答弁があった。

[3]「現憲法下の統治原理の認識」に関する質疑に対して、「日本の統治原理は、戦前の天皇主権から戦後の日本国憲法による国民主権へ転換している。憲政に基づく内閣総理大臣の任命が一世紀を超えて続いているという伝統、その集積の重みと、末端に連なる責任の重さを申し述べた」旨の答弁があった。

[4]「歴史認識における村山談話の継承」に関する質疑に対して、「御指摘の談話や平成17年8月15日の小泉内閣総理大臣の談話は、さきの大戦をめぐる政府としての認識を示すもの。我が内閣においても引き継いでいく」旨の答弁があった。

[5]「総理の目指す国家像」に関する質疑に対して、「私が目指すのは、強くて明るい日本。社会に活力があり、国民が暮らしに安心できる日本をつくり上げたいと考える」旨の答弁があった。

[6]「辞任した中山前国土交通大臣の任命責任」に関する質疑に対して、「中山前大臣の一連の発言は、閣僚としてまことに不適切。任命責任は私にある。今後、仕事で成果を出すことにより、国民に対して責任を果たしていく」旨の答弁があった。

[7]「いわゆる郵政解散の正当性」に関する質疑に対して、「郵政民営化法案が参議院で否決されたときに、衆議院を解散している。法案を賛成した衆議院を解散したことについて、様々な議論があったことは承知。政治的適否はともかくも、法律的には、憲法に基づく内閣総理大臣としての権限の行使と考える」旨の答弁があった。

[8]「国会運営の与野党間のルール形成」に関する質疑に対して、「与野党が主張を明確にしつつも、国民生活にとって重要な政策については双方が協議して早急に結論を出す仕組みが必要だと訴えている。結論を先送りする国会は、国民の負託にこたえぬものと思う」旨の答弁があった。

(現下の経済情勢)

[1]「現下の経済情勢の認識とその打開に向けての総理の決意」に関する質疑に対して、「現在の日本は、景気への不安、暮らしへの不安、加えてアメリカ発の金融不安が襲い、極めて厳しい状況にあると考える。私は、公明党とともにその難局に立ち向かっていく」旨の答弁があった。

[2]「世界的な金融不安への対応」に関する質疑に対して、「米国を始めとする関係各国と緊密に連携しつつ、国際金融資本市場の安定化に努める。我が国には、バブル崩壊以降、金融安定化の問題に取り組んできた経験と知識があり、国際会議などの機会を通じてできる限りこれを伝えることで、世界の金融市場の安定化に貢献していく」旨の答弁があった。

[3]「内需主導経済への転換」に関する質疑に対して、「安心実現のため緊急経済総合対策実施の裏付けとなる補正予算を成立させ、必要となる政策を速やかに実行していく。中長期的には、新経済成長戦略を強力に推進するなど改革による成長を追い求めることで、新たな産業や技術により、新規の需要と雇用を生み出していく」旨の答弁があった。

[4]「日本の経済は一流ではないとの閣僚の発言」に関する質疑に対して、「日本と日本人の底力に一点の疑問も抱いたことはない。経済の面において、変化を乗り切って大きく脱皮する日本人の力をどこまでも信じて疑ったことはない」旨の答弁があった。

(民主党の政策構想)

[1]「民主党の基本政策についての総理の所見」に関する質疑に対して、「私が(民主党に)お尋ねしたいのは、国民生活の安心、国際社会での日本の在るべき姿を示すため、今国会で実現しなければならないと考える3点に対する民主党の姿勢、補正予算への賛否、消費者庁法案への賛否、インド洋での補給活動継続への賛否である」旨の答弁があった。

[2]「民主党政策の財源的裏付けに関する財務大臣の所見」に関する質疑に対して、「民主党が掲げる政策はすべて恒久的な施策であり、その実施のためには恒久的な財源が必要。民主党は特別会計の積立金などの一時的な財源も当てにしており、必要な財源が手当てされているとは必ずしもいいがたい印象を受ける」旨の答弁があった。

[3]「民主党の老人保健制度一元化構想」に関する質疑に対して、「民主党が主張するように、長寿医療制度を廃止し、老人保健医療制度に戻した場合、高齢世代の保険料の扱いが不明確なまま現役世代に負担が回される仕組みに逆戻りとなるなど問題の多い老人保健制度を復活させる」旨の答弁があった。

(経済対策一般)

[1]「経済成長実現のための構造改革の推進」に関する質疑に対して、「改革による成長とは、日本経済の王道を行くこと、すなわち、新たな産業や技術により新規の需要と雇用を生み出して新経済成長戦略を強力に推進する」旨の答弁があった。

[2]「経済成長に資する経済政策の実施」に関する質疑に対して、「日本の潜在力を生かすことは重要。そのため取り組むべき税制上の課題は多岐にわたる。省エネ設備等の投資促進や海外子会社利益の国内還流のための環境整備を含め、年末に向けて検討を進める」旨の答弁があった。

[3]「景気対策が時宜を外したことへの政治の責任」に関する質疑に対して、「我が国経済は、現在、景気後退の上、米国発の金融不安が起こるなど、厳しい局面に立たされている。当面は景気対策、中期的には財政再建、中長期的には改革による経済成長という3段階で臨む」旨の答弁があった。

(当面の経済対策)

[1]「減税対策の実施」に関する質疑に対して、「家計に対する緊急支援策として、今年度内に定額減税を実施する」旨の答弁があった。

[2]「定額減税の財源措置」に関する質疑に対して、「定額減税や臨時福祉特別給付金について、安心実現のための緊急総合対策に基づき、今年度内に実施すべく検討を進める。財源については、財政規律に配慮しつつ、今後検討する必要がある」旨の答弁があった。

[3]「2次補正予算の提出」に関する質疑に対して、「先月取りまとめた緊急総合対策を着実に実施していくことが当面最も重要。そのため、まずは補正予算を早急に成立させることが必要。本対策がどのような効果を持つのかを見極めた上で、必要に応じ、更なる対応を弾力的に行っていく必要がある」旨の答弁があった。

[4]「中小企業にかかる経済対策」に関する質疑に対して、「年末を間近に迎え、多くの中小零細企業の経営者が資金繰りに不安を感じている。この不安に対して、しっかりとした財政措置のもとに、十分な金融対策を講じる。各都道府県における相談体制の拡充など、きめ細かい下請対策を講じる。こうした政策を通じて、中小零細企業の安心を実現していく」旨の答弁があった。

(財政運営)

[1]「麻生内閣の財政の基本方針」に関する質疑に対して、「財政再建は当然の課題。麻生内閣として、日本経済の持続的で安定した繁栄を図ることを基本線として踏み外さず、財政再建に取り組む」旨の答弁があった。

[2]「基礎的財政収支の黒字化、財政再建目標の堅持」に関する質疑に対して、「我が国の経済や社会保障に悪い影響を与えないため、2011年度までに国、地方の基礎的財政収支を黒字にするという目標を達成すべく努力していく」旨の答弁があった。

[3]「特別会計の積立金問題−埋蔵金の存否」に関する質疑に対して、「埋蔵金が何を指すのか明らかではない。仮に、特別会計の積立金などを指すのであれば、特別会計の財務諸表などはすべて公表されており、埋蔵金という表現は適切ではない。特別会計の積立金はこれまでも財政健全化のために活用してきており、今後も同様の方針で可能な限り活用していく」旨の答弁があった。

[4]「行財政の無駄の徹底排除」に関する質疑に対して、「不適切な支出を徹底的に見直し、行政全般に対する国民の信頼を回復する必要がある。行政支出総点検会議を開催し、国から公益法人向け支出の3割削減などについて検討を行っている」、また、「行政の無駄をなくすことは当然。公共事業についても必要性を厳格に検証する」旨の答弁があった。

(税制改正)

[1]「消費税率の引上げ」に関する質疑に対して、「社会保障制度を将来にわたり持続可能で安心できるものとすることは国民の不安を払拭するためにも極めて重要であり消費税は重要な役割を果たすものと認識」、また、「消費税の引上げは避けて通れないだろうと考える。ただし現在の経済状況においては困難。経済動向などを注視して判断をしなければならない」旨の答弁があった。

[2]「道路特定財源の一般財源化と新道路計画」に関する質疑に対して、「5月の閣議決定に沿って、平成21年度からの一般財源化を現実のものとしていく。本当に必要とする道路整備は何か、地方や道路の利用者の声を真摯に聞くとともに、さきの通常国会での様々な御指摘も踏まえて、今後5年の道路整備の方針を示す計画を策定する」旨の答弁があった。

(地方活性化、地方自治制度)

[1]「地方の活性化対策」に関する質疑に対して、「それぞれの地域が誇りと活力を持てるよう、地域再生戦略に基づき、政府一丸となって地域の元気を応援していく。このため、必要な地方税財源の確保に努めるとともに、一次産業の活性化について、農商工連携などに加えて、地域力の発掘を担う人材への直接支援などの取組を推進する」旨の答弁があった。

[2]「道州制の導入」に関する質疑に対して、「地方自治体の権限と責任で地域の経営を行えるよう、地方分権を進め、最終的には地域主権型道州制を目指す。そのため、道州制基本法の制定に向けて、内閣に検討機関を設置し作業を進める」旨の答弁があった。

[3]「地方財政の充実策」に関する質疑に対して、「地方の税財源については、これを緊急に確保できるよう頑張っていくこともある。制度的に、いわゆる国税対地方税が6対4、これを1対1に近付ける、そういう努力も麻生カラーを出しながら頑張っていく」旨の答弁があった。

[4]「地方財政制度改革の評価」に関する質疑に対して、「総務大臣として、地方分権を進めるため、三位一体改革に取り組んだ。日本経済の悪化と国、地方を通じた財政状況の厳しさから、公共投資総額や地方税財源が減少し、地域が厳しい状況にあることは承知している。地域再生に必要な税財源を確保し、地域の元気回復に取り組んでいく」旨の答弁があった。

(社会保障制度)

[1]「社会保障費の財源問題」に関する質疑に対して、「平成21年度予算の概算要求では、社会保障費の自然増の抑制を行うことに加え、最終的には、財源も勘案の上、予算編成過程で検討する」旨の答弁があった。

[2]「国民生活の安心を支える社会保障制度の構築」に関する質疑に対して、「国民の暮らしから不安を取り除き、強く明るい日本を取り戻すためにも、社会保障制度の持続可能性を高めるとともに、安心を支える機能の強化に努める」旨の答弁があった。

(年金制度問題)

[1]「基礎年金国庫負担増問題」に関する質疑に対して、「基礎年金国庫負担割合の2分の1への引上げを含め、年金などの社会保障の財源をどう安定させるかについては、その道筋を明確にすべく年末までに結論を得たい」旨の答弁があった。

[2]「無年金・低年金対策」に関する質疑に対して、「納付方法の多様化など国民年金の未納・未加入対策の徹底が重要。御指摘の受給資格期間の短縮、保険料追納期間の延長も一つの選択肢。さらによく議論を進めていく」旨の答弁があった。

[3]「年金記録問題」に関する質疑に対して、「一日も早く年金記録の誤りを訂正し、正しく年金をお支払いすることにより、国民の信頼回復を図ることが重要である」旨の答弁があった。

[4]「社会保険庁職員による標準報酬の改ざん問題」に関する質疑に対して、「標準報酬の改ざん問題については、事実関係を徹底して調査し、社会保険庁の職員の不正が明らかになった場合には、厳正なる処分を行う」旨の答弁があった。

[5]「社会保険庁職員のやみ専従問題」に関する質疑に対して、「私(厚生労働大臣)のもとに直属の、弁護士などの外部有識者から成る服務違反調査委員会を設置し、刑事告発などについて御検討いただいている。10月末を目途に結論を取りまとめ、その結果に基づき厳正な対応を行う」旨の答弁があった。

(医療制度、介護制度)

[1]「安心できる医療制度の実現、医師の養成、緊急医療制度の再構築」に関する質疑に対して、「臨床研修制度の見直しに向けて文部科学省と合同で検討会を立ち上げており、その検討を踏まえ、早期に制度の改善を行う。勤務医の勤務環境の改善等を図ることにより、医師不足が深刻な地域や産科、小児科などを担う医師の確保に努める。救急医療情報システムの改善、小児救急電話相談事業の推進など、救急医療体制の整備に努める」旨の答弁があった。

[2]「後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の見直し」に関する質疑に対して、「長寿医療制度については、この制度をなくせば問題が解決できるものではない。廃止するのではなく、高齢者に納得していただけるように改めることが必要。高齢者を始め多くの方々の御意見をしっかり受けとめる必要がある。1年を目途に幅広い検討を進める」旨の答弁があった。

[3]「高齢障害者の後期高齢者医療制度(長寿医療制度)への組み込み等障害者福祉対策」に関する質疑に対して、「障害者自立支援法については、現在、利用者負担の軽減や事業者の経営基盤の強化などの緊急措置を講じている。障害児に対する福祉サービスの在り方など、制度全般にわたる見直しや21年4月の報酬改定について検討を進める」旨の答弁があった。

[4]「がん対策の推進」に関する質疑に対して、「平成19年6月に閣議決定されたがん対策推進基本計画に定める目標等を確実に達成するため、本基本計画の進捗状況を把握することが極めて重要。来年度末を目途に中間報告を行いたい」旨の答弁があった。

[5]「介護従事者の人材確保対策」に関する質疑に対して、「介護従事者の処遇改善を図るため、労働環境の整備など多様な取組を進める必要がある。介護従事者の参入促進、定着支援、雇用管理改善に取り組む事業主に対する支援などを通じ、介護従事者の確保に総合的に取り組んでいく」旨の答弁があった。

(外交・防衛政策)

[1]「外交の基本姿勢」に関する質疑に対して、「日米同盟を基軸としつつ、近隣との協調、国連を中心とする国際協調を重要な柱として、誇りと活力のある外交を推進する」旨の答弁があった。

[2]「米海軍の原子力空母の日本配備問題」に関する質疑に対して、「米国の原子力艦は、1964年以来、1,300回以上、我が国に寄港している。人体及び環境に影響を及ぼす放射能の放出は1件も発生していない。在日米軍において、日本及びその地域の平和と安全を確保する観点からも、その駐留の確保が重要。在日米軍再編は、抑止力を維持しつつ地元負担の軽減を図るため、着実に進める」旨の答弁があった。

(対テロ政策)

[1]「対テロ政策の見直し」に関する質疑に対して、「テロとの闘いは正念場にある。国際社会の一員として、治安・テロ対策と人道復興支援を車の両輪として引き続き真剣に取り組む」旨の答弁があった。

[2]「新テロ特措法の延長、アフガニスタン復興支援活動の継続」に関する質疑に対して、「補給支援活動は継続がぜひとも必要。我が国の国益をかけ、我が国自身のためにしてきた活動の一つ。テロとの闘いは依然継続しており、多くの国がとおとい犠牲を出しながらアフガニスタンでの取組を強化している。この中で、国際社会の一員たる日本がその活動から手を引く選択はない」旨の答弁があった。

(対北朝鮮外交)

[1]「北朝鮮核問題の解決」に関する質疑に対して、「拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を図るとの基本方針は不変。北朝鮮の核問題は、我が国の安全保障上看過することはできない。六者会合を通じた核放棄を実現すべく、米国などの関係国と緊密に連携していく」旨の答弁があった。

[2]「拉致問題の解決」に関する質疑に対して、「拉致問題について、すべての被害者の一刻も早い帰国の実現に向け、全力を尽くす。北朝鮮に対し、8月の日朝間の合意に従い、早期に全面的な調査のやり直しを開始するよう強く求める」旨の答弁があった。

(地球環境問題)

[1]「地球環境問題への取組」に関する質疑に対して、「地球環境問題の解決は、今を生きる我々の責任。成長と両立する低炭素社会を、我が国において世界に先駆けて実現しなければならない。世界の先頭を行く環境・省エネ国家として世界全体の取組をリードしていく」旨の答弁があった。

[2]「低炭素社会の実現に向けての施策」に関する質疑に対して、「我が国が強みを持つ環境・エネルギー技術を更に伸ばす必要がある。二酸化炭素の排出抑制には、社会の在り方や国民のライフスタイルの変革が必要。炭素に価格を付ける経済的手法の活用も進める。成長と両立する低炭素社会の実現に全力で取り組む」旨の答弁があった。

[3]「レアメタルの回収」に関する質疑に対して、「携帯電話などの使用済み小型家電からレアメタルを回収し、リサイクルすることは喫緊の課題。レアメタルや重金属の回収に全力で取り組む」旨の答弁があった。

(消費者行政の推進、食の安全問題)

[1]「消費者庁設置に関する総理の所見」に関する質疑に対して、「消費者、生活者の味方をさせるためにつくるのが消費者庁。事故米問題や食品の表示偽装などに対する国民の不安や怒りを思えば、悠長な議論はできない。国会に提出した消費者庁関連3法案の早期成立に全力を尽くし、消費者、生活者が主役となる社会の実現を目指す」旨の答弁があった。

[2]「事故米対策」に関する質疑に対して、「事故米と知りつつ流通させた企業の責任は当然としても、これを見過ごした行政の責任にも重いものがある。行政の長として、事態の全容解明と情報提供、行政の責任の明確化、再発防止等に万全を期する」旨の答弁があった。

[3]「中国産冷凍ギョーザ問題」に関する質疑に対して、「中国での捜査が進展し、一日も早く真相究明がなされることが何よりも重要。政府として、消費者の安全確保の観点から、引き続き中国政府に早期解決を求める」旨の答弁があった。

(食料・農林水産政策)

[1]「食料・農業政策の基本姿勢」に関する質疑に対して、「食料自給率の向上は喫緊の課題であり、米、麦、大豆などについて、経営所得安定対策により、意欲と能力にすぐれた担い手を育成していく。畜産、酪農や林業、漁業についても、燃油高騰対策などを的確に進めながら、経営安定対策などにより、力強い農林水産業構造の確立を目指す」旨の答弁があった。

[2]「食料危機に直面しての我が国農業の立て直し策」に関する質疑に対して、「経営安定対策による担い手への支援、農地の確保と有効利用を加速する農地政策改革の具体化、耕作放棄地の解消など生産面の強化に加え、海外への農産物の輸出といった取組を進め、我が国農業が若者にとっても魅力あるものにしていかねばならない」旨の答弁があった。

[3]「WTO農業協定の抜本的見直し」に関する質疑に対して、「食料の貿易ルールについては、現在、WTO農業交渉において議論が行われている。我が国としては、多様な農業の共存を基本理念とする貿易ルールの確立を目指して積極的に取り組んでいる」旨の答弁があった。

[4]「米政策の見直し」に関する質疑に対して、「生産調整は、休耕を義務付ける減反とは異なり、主食用米から他作物への生産転換を進めるもの。50%の食料自給率を目指すには、水田をフル活用することが重要である」旨の答弁があった。

[5]「森林整備の必要性」に関する質疑に対して、「林業の担い手の確保を図りつつ、広葉樹林への転換などにより、多様で健全な森林整備を進める」旨の答弁があった。

(雇用対策等)

[1]「労働法制の見直し」に関する質疑に対して、「日雇い派遣の原則禁止などのための労働者派遣法の見直しを早急に行うとともに、法定割増し賃金率、いわゆる残業手当引上げのための労働基準法改正の早期成立に全力を挙げる」旨の答弁があった。

[2]「非正規雇用者対策」に関する質疑に対して、「派遣労働者などの雇用の安定を確保することは重要な課題と認識。労働者派遣法については、日雇い派遣を原則禁止するとともに、違法派遣を受け入れた派遣先に対し、その労働者の雇用を促す制度を創設するなどの改正を行う」旨の答弁があった。

[3]「若者支援構想の内容」に関する質疑に対して、「ニート、引きこもりなど、様々な困難に直面している若者を社会全体で支援していけるよう、地域における支援体制の整備、市町村窓口など、新法について検討を進める」旨の答弁があった。

[4]「格差・貧困問題への取組」に関する質疑に対して、「格差・貧困問題への取組は、暮らしの不安を取り除くという観点から重要と考える。困難を抱える若者を支援する新法を検討するほか、最低賃金の引上げ、労働者派遣制度の見直しなどを進めていく」旨の答弁があった。

(郵政民営化)

[1]「郵政民営化に対する総理の評価」に関する質疑に対して、「真に地域の住民、国民のためになる民営化を実現したい。政府としては、民営化後の状況を十分に検証し、郵便局ネットワーク水準の維持及び国民の利便性の向上の観点から、必要な対応をとる」旨の答弁があった。

[2]「郵政民営化の効果」に関する質疑に対して、「民営化各社は、新たなサービスを展開してきているなど、民営化のメリットが発揮されるよう努力してきている」旨の答弁があった。

(公務員制度改革)

「公務員制度改革」に関する質疑に対して、「簡素にして国民に温かい政府を実現するため、公務員諸君には、省益を捨て国益に徹し、国家国民のために粉骨砕身働いてもらうのは当然。国家公務員制度改革基本法に基づき、公務員一人ひとりが誇りを持って職務に専念できるよう、改革を推進する」旨の答弁があった。

3 主な議案等の審議

年月日 議案等
平成20年
9月24日
○内閣総理大臣の指名

  • 麻生太郎君を内閣総理大臣に指名
(休憩)

  • 参議院において小沢一郎君を内閣総理大臣に指名した旨の通知受領及び内閣総理大臣の指名について両院の議決が一致しなかったため、両院協議会の開催を求められた旨の議長報告
  • 内閣総理大臣の指名両院協議会協議委員の選挙
  • (休憩)
  • 内閣総理大臣の指名両院協議会協議委員議長報告(成案を得ず)
  • 両院の意見が一致しないので憲法第67条第2項により、本院の指名が国会の議決となった旨の議長宣告
9月29日 ○国務大臣の演説

  • 麻生内閣総理大臣の所信表明演説
  • 中川財務大臣の財政演説

10月1日

○国務大臣の演説に対する質疑

質疑

小沢一郎君(民主)、細田博之君(自民)、鳩山由紀夫君(民主)

答弁

麻生内閣総理大臣、中川財務大臣、鳩山総務大臣、舛添厚生労働大臣

10月2日 ○国務大臣の演説に対する質疑

質疑

太田昭宏君(公明)、志位和夫君(共産)、重野安正君(社民)、亀井久興君(国民)

答弁

麻生内閣総理大臣、斉藤環境大臣、舛添厚生労働大臣
10月8日 ○平成20年度一般会計補正予算(第1号)〈可決〉

○平成20年度特別会計補正予算(特第1号)〈可決〉

○平成20年度政府関係機関補正予算(機第1号)〈可決〉

討論(以上3件)

笠井亮君(共産)、岩永峯一君(自民)、日森文尋君(社民)、上田勇君(公明)、下地幹郎君(国民)
10月21日 ○国際的なテロリズムの防止及び根絶のためのアフガニスタン復興支援等に関する特別措置法案(第168回国会、参議院提出)〈否決〉

○テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

討論(以上2件)

伴野豊君(民主)、木村勉君(自民)、赤嶺政賢君(共産)、佐藤茂樹君(公明)、阿部知子君(社民)
10月28日 ○趣旨説明

  • 金融機能の強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

中川国務大臣

質疑

竹本直一君(自民)、中川正春君(民主)、石井啓一君(公明)、佐々木憲昭君(共産)、阿部知子君(社民)

答弁

麻生内閣総理大臣、中川国務大臣・財務大臣、石破農林水産大臣、与謝野国務大臣
11月6日 ○金融機能の強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)〈修正〉

○保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

討論(以上2件)

松野頼久君(民主)、吉田六左エ門君(自民)、佐々木憲昭君(共産)、谷口隆義君(公明)、阿部知子君(社民)、糸川正晃君(国民)
11月18日 ○金融・世界経済に関する首脳会合出席等に関する報告

報告

麻生内閣総理大臣

質疑

平沢勝栄君(自民)、下条みつ君(民主)、上田勇君(公明)、佐々木憲昭君(共産)、日森文尋君(社民)、下地幹郎君(国民)

答弁

麻生内閣総理大臣、中川財務大臣・国務大臣
11月28日 ○本国会の会期を12月25日まで25日間延長するの件(議長発議)〈可決〉

討論

加藤公一君(民主)、小野寺五典君(自民)、佐々木憲昭君(共産)、保坂展人君(社民)
12月11日 ○日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案(第168回国会、参議院提出)〈否決〉

討論

原口一博君(民主)、塩川鉄也君(共産)、重野安正君(社民)、亀井久興君(国民)
12月12日 ○参議院からテロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案を否決した旨の通知受領及び返付を受けた旨の議長報告

  • 憲法第59条第2項に基づき、テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案の本院議決案を議題とし、直ちに再議決すべしとの動議(大島理森君外100名提出)〈可決〉
討論

三谷光男君(民主)、高木毅君(自民)、赤嶺政賢君(共産)、阿部知子君(社民)

  • テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案、本院議決案〈出席議員の3分の2以上の多数をもって可決〉
〇金融機能の強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院回付)〈修正に不同意〉

討論

佐々木憲昭君(共産)、階猛君(民主)、菅野哲雄君(社民)

(休憩)

  • 憲法第59条第2項に基づき、金融機能の強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案の本院議決案を議題とし、直ちに再議決すべしとの動議(大島理森君外100名提出)〈可決〉
討論

仙谷由人君(民主)、山本明彦君(自民)、佐々木憲昭君(共産)、伊藤渉君(公明)、日森文尋君(社民)、下地幹郎君(国民)

  • 金融機能の強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案、本院議決案〈出席議員の3分の2以上の多数をもって可決〉
12月24日 ○内定取消しの規制等のための労働契約法の一部を改正する法律案(参議院提出)〈否決〉

○派遣労働者等の解雇の防止に関する緊急措置法案(参議院提出)〈否決〉

○雇用保険法の一部を改正する法律案(参議院提出)〈否決〉

○期間の定めのある労働契約の規制等のための労働契約法の一部を改正する法律案(参議院提出)〈否決〉

討論(以上4件)

山田正彦君(民主)、西川京子君(自民)、高橋千鶴子君(共産)、阿部知子君(社民)

○衆議院解散要求に関する決議案(鳩山由紀夫君外2名提出)〈否決〉

趣旨弁明

鳩山由紀夫君(民主)

討論

林幹雄君(自民)、川内博史君(民主)、笠井亮君(共産)

○請願 177件〈採択〉

4 決議

否決したもの

衆議院解散要求に関する決議案(鳩山由紀夫君外2名提出)[民主提出](20.12.24)

政府は、速やかに衆議院を解散すべし。

右決議する。

衆議院
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電話(代表)03-3581-5111
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