第一四二回
衆第四四号行政評価基本法案
行政評価基本法案
(目的)
第一条 この法律は、効率的な行政を確立することが緊要な課題であることにかんがみ、行政に対する評価が適切に行われるようにするため、国等の会計制度の改革及び国の行う政策についての評価の制度の整備について、その基本理念及び国の責務を明らかにするとともに、その基本となる事項を定めることを目的とする。
(基本理念)
第二条 国等(国及び特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきものとされる法人(総務庁設置法(昭和五十八年法律第七十九号)第四条第十一号の規定の適用を受けない法人及び同号の規定の適用を受ける法人であって株式会社であるものを除く。)をいう。以下同じ。)の会計制度の改革及び国の行う政策についての評価(以下「政策評価」という。)の制度の整備は、財政及び行政の運営について国等が国民に説明する責任を明確にするとともに、財政の透明性及び行政の効率性の向上を図ることを旨として行われるものとする。
(国の責務)
第三条 国は、前条の基本理念にのっとり、会計制度の改革及び政策評価の制度の整備に関する必要な施策を推進する責務を有する。
(会計制度の改革)
第四条 国等の会計制度については、別に法律で定めるところにより、次に掲げる措置を内容とする改革を行うものとする。
一 国等の会計は、現金の収納又は支払の事実にかかわらず、財産の増減及び異動を、その発生の事実に基づいて経理するものとすること。
二 国等は、その財政状態及びその活動の成果を明らかにするため、次に掲げる書類を作成しなければならないものとすること。
イ 貸借対照表
ロ 成果報告書
ハ 正味財産増減計算書又は損益計算書
ニ 資金収支計算書
三 前号の書類は、別に法律で定める公会計の基準に従って作成するものとすること。
四 第二号の書類は、公開されなければならないものとすること。
(政策評価の制度の整備)
第五条 国は、別に法律で定めるところにより、次に掲げる措置を内容とする政策評価の制度を整備するものとする。
一 国は、その政策について、事前及び事後に評価を行い、その結果についての報告書を作成するものとすること。この場合において、事後の評価の結果についての報告書は、前条第二号ロの成果報告書とあわせて作成するものとすること。
二 政策評価は、経済性、効率性及び有効性の観点から行うものとすること。
三 国は、政策評価の結果に基づいて、当該政策について、その見直しを行うものとすること。
四 政策評価の方法及び基準(前号の見直しの基準を含む。次号において同じ。)は、評価の客観性が確保されるものでなければならないものとすること。
五 第一号の報告書並びに政策評価の方法及び基準は、公開されなければならないものとすること。
(実施の時期)
第六条 この法律に定める会計制度の改革及び政策評価の制度の整備は、この法律の施行後三年以内に行うものとする。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。