衆議院

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第一四三回

衆第五号

   金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 金融機関の破綻の処理(第三条―第五条)

 第三章 金融機関の財務内容等の透明性の確保(第六条・第七条)

 第四章 破綻した金融機関の金融整理管財人による管理(第八条―第二十七条)

 第五章 破綻した銀行の特別公的管理(第二十八条―第四十五条)

 第六章 預金保険機構の業務の特例等(第四十六条―第五十二条)

 第七章 雑則(第五十三条―第五十八条)

 第八章 罰則(第五十九条―第六十六条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、金融機関の破綻が相次いで発生し、我が国の金融の機能が大きく低下するとともに、我が国の金融システムに対する内外の信頼が失われつつある状況にあることにかんがみ、我が国の金融の機能の安定及びその再生を図るため、金融機関の破綻の処理の原則を定めるとともに、破綻した金融機関の金融整理管財人による管理及び破綻した銀行の特別公的管理の制度を設けること等により信用秩序の維持と預金者等の保護を確保することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「銀行」とは、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行及び長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)第二条に規定する長期信用銀行をいう。

2 この法律において「金融機関」とは、預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第二条第一項に規定する金融機関をいう。

3 この法律において「預金等」とは、預金保険法第二条第二項に規定する預金等をいう。

4 この法律において「預金者等」とは、預金保険法第二条第三項に規定する預金者等をいう。

5 この法律において「被管理金融機関」とは、第八条第一項の規定により金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分を受けた金融機関をいう。

6 この法律において「特別公的管理銀行」とは、第二十八条第一項の規定により特別公的管理の開始の決定をされた銀行をいう。

   第二章 金融機関の破綻の処理

 (金融機関の破綻処理の原則)

第三条 我が国の金融の機能の安定及びその再生を図るため、金融再生委員会が講ずる金融機関の破綻に対する施策は、次に掲げる原則によるものとし、平成十三年三月三十一日までに、集中的に実施するものとする。

 一 破綻した金融機関の不良債権等の財務内容その他の経営の状況を開示すること。

 二 経営の健全性の確保が困難な金融機関を存続させないものとすること。

 三 破綻した金融機関の株主及び経営者等の責任を明確にするものとすること。

 四 預金者等を保護するものとすること。

 五 金融機関の金融仲介機能を維持するものとすること。

 六 金融機関の破綻処理に係る費用が最小となるようにすること。

 (金融再生委員会に対する意見の申出)

第四条 預金保険機構(以下「機構」という。)は、前条の原則により講ずべき施策に関する事項その他破綻した金融機関の処理の方法に関し、金融再生委員会に対して意見を述べることができる。

 (国会に対する報告)

第五条 政府は、おおむね六月に一回、又はその求めがあったときは直ちに、破綻した金融機関の処理のために講じた措置の内容その他金融機関の破綻の処理の状況を国会に報告しなければならない。

   第三章 金融機関の財務内容等の透明性の確保

 (資産の査定の報告)

第六条 金融機関は、決算期その他金融再生委員会規則で定める期日において資産の査定を行い、金融再生委員会規則で定めるところにより、資産査定等報告書を作成し、金融再生委員会(当該金融機関が一の都道府県の区域を越えない区域を地区とする信用協同組合である場合にあっては、当該信用協同組合の監督に係る都道府県知事とする。)に提出しなければならない。

2 前項の「資産の査定」とは、金融再生委員会規則で定める基準に従い、回収不能となる危険性又は価値の毀損の危険性に応じてその有する債権その他の資産を区分することをいう。

 (資産の査定の公表)

第七条 金融機関は、前条の規定による資産の査定を行ったときは、金融再生委員会規則で定めるところにより、その区分に係る資産の合計額その他の金融再生委員会規則で定める事項を公表しなければならない。

   第四章 破綻した金融機関の金融整理管財人による管理

 (業務及び財産の管理を命ずる処分)

第八条 金融再生委員会(この項に規定する処分に係る金融機関が一の都道府県の区域を越えない区域を地区とする信用協同組合である場合にあっては、当該信用協同組合の監督に係る都道府県知事とする。第三項(第十条第二項において準用する場合を含む。)、次条第二項、第十条第一項、第十二条第二項から第四項まで、第十四条、第十五条第一項から第三項まで、第五項及び第六項、第十六条、第二十条第一項、第二十六条、第五十四条並びに第五十五条において同じ。)は、平成十三年三月三十一日までを限り、信用秩序の維持及び預金者等の保護を図るため、金融機関がその財産をもって債務を完済することができない場合その他金融機関がその業務若しくは財産の状況に照らし預金等の払戻しを停止するおそれがあると認める場合又は金融機関が預金等の払戻しを停止した場合であって、次に掲げる要件に該当すると認めるときは、当該金融機関の本店又は主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の認可を受けて、当該金融機関に対し、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分(以下「管理を命ずる処分」という。)をすることができる。

 一 当該金融機関について営業譲渡等(他の金融機関への営業若しくは事業の譲渡若しくは他の金融機関との合併又は他の金融機関若しくは銀行持株会社等に株式を取得されることによりその子会社(銀行法第二条第八項に規定する子会社又は同項の規定により子会社とみなされる会社をいう。)となることをいう。以下同じ。)が行われないこと。

 二 その業務の全部の廃止又は解散が行われる場合には、当該金融機関が業務を行っている地域又は分野における資金の円滑な需給及び利用者の利便に大きな支障が生ずるおそれがあること。

2 前項に規定する「銀行持株会社等」とは、次に掲げる者をいう。

 一 銀行法第二条第十一項に規定する銀行持株会社

 二 株式を取得することにより銀行を子会社とする持株会社(銀行法第五十二条の二第一項に規定する銀行を子会社とする持株会社をいう。)となることについて同項の認可を受けた会社

 三 長期信用銀行法第十六条の四第一項に規定する長期信用銀行持株会社

 四 株式を取得することにより長期信用銀行を子会社とする持株会社(長期信用銀行法第十六条の二第一項に規定する長期信用銀行を子会社とする持株会社をいう。)となることについて同項の認可を受けた会社

3 金融再生委員会は、第一項の規定により管理を命ずる処分をしたときは、金融再生委員会規則で定めるところにより、これを公告しなければならない。

4 一の都道府県の区域を越えない区域を地区とする信用協同組合の監督に係る都道府県知事が当該信用協同組合に対して管理を命ずる処分をしたときは、直ちに、その旨を金融再生委員会に報告しなければならない。

 (裁判所の認可)

第九条 裁判所は、前条第一項の認可の申請があった場合において、当該申請が同項に規定する要件に該当すると認めるときは、当該申請のあった日又はその翌日において、当該申請に係る管理を命ずる処分の認可をしなければならない。

2 裁判所は、前項の認可をしたときは、その旨を金融再生委員会に通知しなければならない。

 (管理を命ずる処分の取消し)

第十条 金融再生委員会は、管理を命ずる処分について、その必要がなくなったと認めるときは、当該管理を命ずる処分を取り消さなければならない。

2 第八条第三項の規定は、前項の場合について準用する。

3 第八条第四項の規定は、都道府県知事が第一項の規定により管理を命ずる処分を取り消した場合について準用する。

 (株主の名義書換の禁止)

第十一条 被管理金融機関が銀行である場合において、金融再生委員会は、必要があると認めるときは、株主の名義書換を禁止することができる。

 (金融整理管財人の選任等)

第十二条 第八条第一項の規定による管理を命ずる処分があったときは、被管理金融機関を代表し、業務の執行並びに財産の管理及び処分を行う権利は、金融整理管財人に専属する。商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百四十七条(信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)第四十九条、中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第五十四条及び労働金庫法(昭和二十八年法律第二百二十七号)第五十四条において準用する場合を含む。)、商法第二百八十条ノ十五、同法第三百八十条(信用金庫法第五十二条第三項(同法第五十八条第五項において準用する場合を含む。)、中小企業等協同組合法第五十七条第三項(同法第五十七条の三第四項において準用する場合を含む。)及び労働金庫法第五十七条第三項(同法第六十二条第五項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)、商法第四百十五条(信用金庫法第六十一条、中小企業等協同組合法第六十六条及び労働金庫法第六十五条において準用する場合を含む。)及び商法第四百二十八条(信用金庫法第二十八条、中小企業等協同組合法第三十二条及び労働金庫法第二十八条において準用する場合を含む。)の規定による取締役(被管理金融機関が信用金庫、信用協同組合又は労働金庫である場合にあっては、理事。以下同じ。)の権利についても、同様とする。

2 金融再生委員会は、管理を命ずる処分と同時に、一人又は数人の金融整理管財人を選任しなければならない。この場合において、金融再生委員会は、機構の意見を聴かなければならない。

3 金融再生委員会は、必要があると認めるときは、前項の規定により金融整理管財人を選任した後においても、更に金融整理管財人を選任し、又は金融整理管財人が被管理金融機関の業務及び財産の管理を適切に行っていないと認めるときは、金融整理管財人を解任することができる。

4 金融再生委員会は、第二項若しくは前項の規定により金融整理管財人を選任したとき又は同項の規定により金融整理管財人を解任したときは、金融再生委員会規則で定めるところにより、被管理金融機関にその旨を通知するとともに、これを公告しなければならない。

5 第八条第四項の規定は、都道府県知事が第二項又は第三項の規定により金融整理管財人を選任した場合及び同項の規定により金融整理管財人を解任した場合について準用する。

6 会社更生法(昭和二十七年法律第百七十二号)第九十七条、第九十八条、第九十八条の四及び第二百八十五条の規定は金融整理管財人について、民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条第一項の規定は被管理金融機関について、それぞれ準用する。この場合において、会社更生法第九十七条第一項中「裁判所の許可」とあるのは「金融再生委員会(当該金融整理管財人の管理に係る金融機関が一の都道府県の区域を越えない区域を地区とする信用協同組合である場合にあつては、当該信用協同組合の監督に係る都道府県知事とする。以下同じ。)の承認」と、同法第九十八条中「管財人代理」とあるのは「金融整理管財人代理」と、同条第二項中「裁判所の許可」とあるのは「金融再生委員会の承認」と、同法第二百八十五条第一項中「裁判所」とあるのは「金融再生委員会」と、「管財人代理」とあるのは「金融整理管財人代理」と、民法第四十四条第一項中「理事其他ノ代理人」とあるのは「金融整理管財人」と読み替えるものとする。

第十三条 法人は、金融整理管財人又は金融整理管財人代理となることができる。

2 機構は、預金保険法第三十四条に規定する業務及び第四十八条に規定する業務のほか、金融整理管財人又は金融整理管財人代理となりその業務を行うことができる。

 (金融整理管財人の報告義務)

第十四条 金融整理管財人は、就職の後遅滞なく、次に掲げる事項を調査し、金融再生委員会に報告しなければならない。

 一 被管理金融機関が管理を命ずる処分を受ける状況に至った経緯

 二 被管理金融機関の業務及び財産の状況

 三 被管理金融機関に係る営業譲渡等の見込み

 四 前三号に掲げるもののほか、金融再生委員会規則で定める事項

 五 その他必要な事項

2 金融再生委員会は、金融整理管財人に対し、前項の規定による調査及び報告に関し必要な措置を命ずることができる。

 (業務及び財産の管理に関する計画の作成等)

第十五条 金融再生委員会は、被管理金融機関に係る営業譲渡等のため必要があると認めるときは、金融整理管財人に対し、次に掲げる事項を含む被管理金融機関の業務及び財産の管理に関する計画の作成を命ずることができる。

 一 被管理金融機関の資金の貸付けその他の業務の暫定的な維持継続に係る方針に関すること。

 二 被管理金融機関の業務の整理及び合理化に関する方針その他被管理金融機関に係る営業譲渡等を円滑に行うための方策に関すること。

2 金融整理管財人は、前項の計画を作成したときは、金融再生委員会の承認を得なければならない。

3 金融整理管財人は、やむを得ない事情が生じた場合には、金融再生委員会の承認を得て、第一項の計画を変更し、又は廃止することができる。

4 金融整理管財人は、第二項の規定による承認又は前項の規定による変更の承認があったときは、遅滞なく、当該承認を得た第一項の計画又は前項の規定による変更後の計画(以下この条及び次条において「計画」という。)を実行に移さなければならない。

5 金融再生委員会は、金融整理管財人に対し、計画の実行に関し必要な措置を命ずることができる。

6 金融再生委員会は、必要があると認めるときは、金融整理管財人に対し、計画の変更又は廃止を命ずることができる。

 (報告又は資料の提出)

第十六条 金融再生委員会は、必要があると認めるときは、金融整理管財人に対し、被管理金融機関の業務及び財産の状況、計画の実施の状況等に関し報告又は資料の提出を求めることができる。

 (金融整理管財人の調査等)

第十七条 金融整理管財人は、被管理金融機関の取締役、監査役(被管理金融機関が信用金庫、信用協同組合又は労働金庫である場合にあっては、監事。以下同じ。)及び支配人(被管理金融機関が信用協同組合又は労働金庫である場合にあっては、参事。)その他の使用人並びにこれらの者であった者に対し、被管理金融機関の業務及び財産の状況(これらの者であった者については、その者が当該被管理金融機関の業務に従事していた期間内に知ることのできた事項に係るものに限る。)につき報告を求め、又は被管理金融機関の帳簿、書類その他の物件を検査することができる。

2 金融整理管財人は、その職務を行うため必要があるときは、官庁、公共団体その他の者に照会し、又は協力を求めることができる。

 (金融整理管財人等の秘密保持義務)

第十八条 金融整理管財人及び金融整理管財人代理は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。金融整理管財人又は金融整理管財人代理がその職を退いた後も、同様とする。

2 金融整理管財人又は金融整理管財人代理が法人であるときは、金融整理管財人又は金融整理管財人代理の職務に従事するその役員及び職員は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その役員又は職員が金融整理管財人又は金融整理管財人代理の職務に従事しなくなった後においても、同様とする。

 (被管理金融機関の経営者の破綻の責任を明確にするための措置)

第十九条 金融整理管財人は、被管理金融機関の取締役若しくは監査役又はこれらの者であった者の職務上の義務違反に基づく民事上の責任を履行させるため、訴えの提起その他の必要な措置をとらなければならない。

2 金融整理管財人は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。

 (金融整理管財人と被管理金融機関との取引)

第二十条 金融整理管財人は、自己又は第三者のために被管理金融機関と取引するときは、金融再生委員会の承認を得なければならない。この場合においては、民法第百八条の規定は、適用しない。

2 前項の承認を得ないでした行為は、無効とする。ただし、善意の第三者に対抗することができない。

 (会社整理に関する商法の規定の不適用)

第二十一条 商法第三百八十一条第一項、第三百八十六条第一項(第六号から第九号までを除く。)及び第二項、第三百八十七条第一項、第三百八十八条から第三百九十一条まで、第三百九十七条並びに第三百九十八条の規定は、管理を命ずる処分があった場合における当該管理を命ずる処分に係る被管理金融機関については、適用しない。

 (株主総会等の特別決議等に関する特例)

第二十二条 被管理金融機関における商法第二百十四条第一項、第二百四十五条第一項、第二百八十条ノ二第二項、第三百四十六条若しくは第三百七十五条第一項の規定による決議、同法第三百四十三条、第三百四十五条第二項、第四百五条若しくは第四百八条第三項に規定する決議、信用金庫法第四十八条、中小企業等協同組合法第五十三条若しくは労働金庫法第五十三条の規定による議決又は金融機関の合併及び転換に関する法律(昭和四十三年法律第八十六号)第七条第三項(第一号において準用する商法第四百八条第三項に係る部分に限る。)若しくは金融機関の合併及び転換に関する法律第七条第六項の規定による合併決議は、これらの規定にかかわらず、出席した株主又は会員、組合員若しくは代議員若しくは総代(以下「株主等」という。)の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって、仮にすることができる。

2 被管理金融機関における商法第三百四十八条第一項若しくは第四百八条第四項の規定による決議又は金融機関の合併及び転換に関する法律第七条第三項(第一号において準用する商法第四百八条第四項に係る部分及び金融機関の合併及び転換に関する法律第七条第三項第二号に係る部分に限る。)の規定による合併決議若しくは同条第五項に規定する決議は、これらの規定にかかわらず、出席した株主の過半数であって出席した株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって、仮にすることができる。

3 第一項の規定により仮にした決議、議決又は合併決議(以下「仮決議等」という。)があった場合においては、各株主等に対し、当該仮決議等の趣旨を通知し、当該仮決議等の日から一月以内に再度の株主総会又は総会若しくは総代会(以下「株主総会等」という。)を招集しなければならない。

4 前項の株主総会等において第一項に規定する多数をもって仮決議等を承認した場合には、当該承認のあった時に、当該仮決議等をした事項に係る決議、議決又は合併決議があったものとみなす。

5 前二項の規定は、第二項の規定により仮にした決議又は合併決議があった場合について準用する。この場合において、前項中「第一項に規定する多数」とあるのは、「第二項に規定する多数」と読み替えるものとする。

 (株主総会等の特別決議等に代わる許可)

第二十三条 銀行である被管理金融機関がその財産をもって債務を完済することができない場合には、当該被管理金融機関は、商法第二百四十五条、第三百七十五条及び第四百五条の規定にかかわらず、裁判所の許可を得て、次に掲げる事項を行うことができる。

 一 営業の全部又は重要な一部の譲渡

 二 資本の減少

 三 解散

2 信用金庫、信用協同組合又は労働金庫である被管理金融機関がその財産をもって債務を完済することができない場合には、当該被管理金融機関は、信用金庫法第四十八条、中小企業等協同組合法第五十三条及び労働金庫法第五十三条の規定にかかわらず、裁判所の許可を得て、次に掲げる事項を行うことができる。

 一 解散

 二 事業の全部の譲渡

3 金融整理管財人は、商法第二百五十七条第一項(同法第二百八十条第一項において準用する場合を含む。)、信用金庫法第三十八条第一項、中小企業等協同組合法第四十一条第一項及び労働金庫法第四十一条第一項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得て、被管理金融機関の取締役又は監査役を解任することができる。

4 前三項に規定する許可(以下この条及び次条において「代替許可」という。)があったときは、当該代替許可に係る事項について株主総会等の決議又は議決があったものとみなす。

5 代替許可に係る事件は、当該被管理金融機関の本店又は主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。

6 非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第百三十三条ノ二第四項及び第五項の規定は、代替許可の申立てがあった場合について準用する。

7 代替許可の申立てに係る裁判に対しては、即時抗告をすることができる。この場合において、当該即時抗告が解散に係る代替許可の決定に対するものであるときは、執行停止の効力を有する。

8 前三項に規定するもののほか、代替許可に係る事件に関しては、非訟事件手続法第一編(第二条から第四条まで、第十五条及び第十六条を除く。)の規定を準用する。

 (代替許可に係る登記の特例)

第二十四条 前条第一項第二号若しくは第三号若しくは第二項第一号に掲げる事項又は同条第三項に定める事項に係る代替許可があった場合においては、当該事項に係る登記の申請書には、当該代替許可の決定書の謄本又は抄本を添付しなければならない。

 (債権者保護手続の特例)

第二十五条 銀行である被管理金融機関が資本減少の決議をした場合においては、預金者その他政令で定める債権者に対する商法第三百七十六条第二項において準用する同法第百条の規定による催告は、することを要しない。

 (管理の終了)

第二十六条 金融整理管財人は、管理を命ずる処分があった日から一年以内に、被管理金融機関の営業譲渡その他の方法により、その管理を終えるものとする。ただし、やむを得ない事情によりこの期限内にその管理を終えることができない場合には、金融再生委員会の承認を得て、一年を限り、この期限を延長することができる。

 (金融再生委員会規則への委任)

第二十七条 この章の規定を実施するための手続その他その執行について必要な事項は、金融再生委員会規則で定める。

   第五章 破綻した銀行の特別公的管理

 (特別公的管理の開始の決定)

第二十八条 金融再生委員会は、銀行がその財産をもって債務を完済することができない場合その他銀行がその業務若しくは財産の状況に照らし預金等の払戻しを停止するおそれがあると認める場合又は銀行が預金等の払戻しを停止した場合であって、次に掲げる要件に該当すると認めるときは、当該銀行の本店の所在地を管轄する地方裁判所の認可を受けて、当該銀行につき、特別公的管理の開始の決定(以下「特別公的管理開始決定」という。)をすることができる。

 一 当該銀行について営業譲渡等が行われないこと。

 二 当該銀行の業務の全部の廃止又は解散が行われる場合には、次に掲げるいずれかの事態を生じさせるおそれがあること。

  イ 他の金融機関等の連鎖的な破綻を発生させることとなる等により、我が国における金融の機能に極めて重大な障害が生ずることとなる事態

  ロ 当該銀行が業務を行っている地域又は分野における融資比率が高率である等の理由により、他の金融機関による金融機能の代替が著しく困難であるため、当該地域又は分野における経済活動に極めて重大な障害が生ずることとなる事態

 三 この章に定める特別公的管理以外の方法によっては前号イ又はロに掲げる事態を回避することができないこと。

2 金融再生委員会は、特別公的管理開始決定をしたときは、金融再生委員会規則で定めるところにより、これを公告しなければならない。

 (裁判所の認可)

第二十九条 裁判所は、前条第一項の認可の申請があった場合において、当該申請が同項に定める要件に該当すると認めるときは、当該申請のあった日又はその翌日において、当該申請に係る特別公的管理開始決定の認可をしなければならない。

2 裁判所は、前項の認可をしたときは、その旨を金融再生委員会に通知しなければならない。

 (特別公的管理銀行の株式の取得の決定)

第三十条 金融再生委員会は、特別公的管理開始決定と同時に、機構が当該特別公的管理開始決定に係る特別公的管理銀行の株式を取得することを決定するものとする。

2 金融再生委員会は、前項の決定をしたときは、金融再生委員会規則で定めるところにより、その旨を機構及び当該特別公的管理銀行に通知するとともに、これを公告しなければならない。

 (株式の取得等)

第三十一条 前条第二項の規定による公告があった場合には、特別公的管理銀行の株式は、当該公告があった時(以下「公告時」という。)に、機構が取得する。

2 前項の規定により機構が取得した株式(以下「取得株式」という。)に係る株券(端株券を含む。以下同じ。)は、公告時において無効とする。

3 第一項の規定による株式の取得については、商法第二百五条第一項及び第二百六条第一項の規定は、適用しない。

 (株式の対価)

第三十二条 株価算定委員会は、金融再生委員会規則で定める算定基準に従い、取得株式の対価を決定するものとする。

2 金融再生委員会は、前項の算定基準を定めたときは、これを公示するものとする。

3 第三十条第二項の規定は、第一項の規定により取得株式の対価を定めた場合について準用する。

 (株式の対価の支払の請求)

第三十三条 公告時において特別公的管理銀行の株主(端株主を含む。)であった者(以下「旧株主」という。)は、機構に対し、取得株式の対価の支払を請求することができる。

2 第三十一条第二項の規定により無効とされた株券の占有者は、公告時の適法な所持人と推定する。

3 第一項の規定による取得株式の対価の支払方法その他取得株式の対価の支払に関し必要な事項は、政令で定める。

 (供託)

第三十四条 機構は、次に掲げる場合には、取得株式の対価を供託することができる。

 一 取得株式の対価の支払を受けるべき者がその受領を拒んだとき、又は取得株式の対価を受領することができないとき。

 二 機構が過失がなくて取得株式の対価の支払を受けるべき者を確知することができないとき。

 三 機構が差押え又は仮差押えにより取得株式の対価の支払を禁じられたとき。

 四 その他政令で定める事由があるとき。

2 前項の規定による取得株式の対価の供託は、政令で定める供託所にしなければならない。

3 機構は、第一項の規定による供託をしたときは、遅滞なく、その旨を取得株式の対価を取得すべき者に通知しなければならない。

 (担保権の消滅等)

第三十五条 第三十一条第一項の規定により機構が特別公的管理銀行の株式を取得したときは、当該株式を目的とする質権その他の担保権は、消滅する。

2 前項の場合において、これらの権利は、第三十三条第一項の規定により旧株主が受けるべき取得株式の対価に対しても行うことができる。ただし、その支払の前に差押えをしなければならない。

 (政令への委任)

第三十六条 前二条に定めるもののほか、取得株式につき質権その他の担保権を有する者その他の政令で定める関係人がある場合における取得株式の対価の支払について必要な事項は、政令で定める。

 (旧株主等に周知させるための措置)

第三十七条 機構は、第三十条第二項の規定による公告があったときは、金融再生委員会規則で定めるところにより、同条第一項の規定による決定の内容その他金融再生委員会規則で定める事項について、旧株主その他関係人に周知させるため必要な措置を講じなければならない。

 (特別公的管理銀行の役員の選任及び解任の特例)

第三十八条 機構は、商法第二百五十四条第一項(同法第二百八十条第一項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、金融再生委員会の指名に基づき、特別公的管理銀行の取締役及び監査役を選任することができる。

2 機構は、商法第二百五十七条第一項(同法第二百八十条第一項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、金融再生委員会の承認を得て、特別公的管理銀行の取締役又は監査役を解任することができる。

 (特別公的管理銀行の報告義務)

第三十九条 特別公的管理銀行は、特別公的管理開始決定の後遅滞なく、次に掲げる事項を調査し、金融再生委員会に報告しなければならない。

 一 特別公的管理銀行について特別公的管理開始決定が行われる状況に至った経緯

 二 特別公的管理銀行の業務及び財産の状況

 三 前二号に定めるもののほか、金融再生委員会規則で定める事項

 四 その他必要な事項

2 金融再生委員会は、特別公的管理銀行に対し、前項の規定による調査及び報告に関し必要な措置を命ずることができる。

 (経営合理化計画の作成等)

第四十条 特別公的管理銀行は、金融再生委員会規則で定めるところにより、経営合理化計画を作成し、金融再生委員会の承認を得なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 前項の経営合理化計画(以下この条及び第四十二条において「計画」という。)には、次に掲げる事項を定めなければならない。

 一 特別公的管理銀行の資金の貸付けその他の業務の実施に係る方針

 二 特別公的管理銀行の業務の整理及び合理化に係る方針

 三 その他金融再生委員会規則で定める事項

3 金融再生委員会は、必要があると認めるときは、特別公的管理銀行に対し、計画の変更を命ずることができる。

 (特別公的管理銀行の業務)

第四十一条 特別公的管理銀行は、資金の貸付けその他の業務を行う基準を作成し、金融再生委員会の承認を得なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 (報告又は資料の提出)

第四十二条 金融再生委員会は、必要があると認めるときは、特別公的管理銀行に対し、その業務及び財産の状況、計画の実施の状況等に関し報告又は資料の提出を求めることができる。

 (特別公的管理銀行の経営者の破綻の責任を明確にするための措置)

第四十三条 特別公的管理銀行は、その取締役若しくは監査役又はこれらの者であった者の職務上の義務違反に基づく民事上の責任を履行させるため、訴えの提起その他の必要な措置をとらなければならない。

2 特別公的管理銀行の取締役及び監査役は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。

 (準用規定)

第四十四条 第二十五条の規定は、特別公的管理銀行が資本減少の決議をした場合について準用する。

 (特別公的管理の終了)

第四十五条 金融再生委員会は、平成十三年三月三十一日までに、機構又は特別公的管理銀行に次に掲げる措置を行わせることにより、この章に定める特別公的管理を終えるものとする。

 一 特別公的管理銀行の営業の譲渡

 二 特別公的管理銀行の株式の譲渡その他の処分

   第六章 預金保険機構の業務の特例等

 (機構の業務の特例)

第四十六条 機構は、預金保険法第三十四条に規定する業務のほか、第一条の目的を達成するため、次の業務を行うことができる。

 一 第三十一条第一項の規定により特別公的管理銀行の株式を取得すること。

 二 第三十八条の規定により特別公的管理銀行の取締役及び監査役を選任し、又は解任すること。

 三 次条の規定により特別公的管理銀行に対しその業務に必要な資金の貸付けを行うこと。

 四 第四十八条の規定により特別公的管理銀行に対しその業務の実施により生じた損失の補てんを行うこと。

 五 前各号の業務に附帯する業務を行うこと。

 (資金の貸付け)

第四十七条 機構は、金融再生委員会の承認を得て、特別公的管理銀行に対し、その業務に必要な資金を貸し付けることができる。

 (損失の補てん)

第四十八条 機構は、金融再生委員会の承認を得て、特別公的管理銀行に対し、その業務の実施により生じた損失の補てんを行うことができる。

 (区分経理)

第四十九条 機構は、第四十六条の規定による業務(以下「金融再生業務」という。)に係る経理については、その他の経理と区分し、特別の勘定(以下「金融再生勘定」という。)を設けて整理しなければならない。

 (借入金)

第五十条 機構は、金融再生業務を行うため必要があると認めるときは、政令で定める金額の範囲内において、金融再生委員会の認可を受けて、日本銀行、金融機関その他の者から資金の借入れ(借換えを含む。)をすることができる。

2 日本銀行は、日本銀行法(平成九年法律第八十九号)第四十三条第一項の規定にかかわらず、機構に対し、前項の資金の貸付けをすることができる。

3 農林中央金庫は、農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)第十六条の規定にかかわらず、機構に対し、第一項の資金の貸付けをすることができる。

 (政府保証)

第五十一条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、機構の前条第一項の借入れに係る債務の保証をすることができる。

 (金融再生勘定の廃止)

第五十二条 機構は、平成十二年度末において、金融再生勘定を廃止するものとする。

2 機構は、金融再生勘定の廃止の際、金融再生勘定に残余があるときは、当該残余の額を国庫に納付しなければならない。

   第七章 雑則

 (金融機関の申出)

第五十三条 金融機関は、平成十三年三月三十一日までを限り、その業務又は財産の状況に照らし預金等の払戻しを停止するおそれがあるときは、その旨及びその理由を、文書をもって、金融再生委員会(当該金融機関が一の都道府県の区域を越えない区域を地区とする信用協同組合である場合にあっては、当該信用協同組合の監督に係る都道府県知事とする。)に申し出なければならない。

 (通知及び登記)

第五十四条 金融再生委員会は、管理を命ずる処分をしたとき若しくは管理を命ずる処分を取り消したとき又は特別公的管理開始決定をしたとき若しくは特別公的管理を終了したときは、直ちに、被管理金融機関又は特別公的管理銀行の本店又は主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所にその旨を通知し、かつ、嘱託書に当該命令書又は決定書の謄本を添付して、被管理金融機関又は特別公的管理銀行の本店又は主たる事務所の所在地及び支店又は従たる事務所の所在地の登記所に、その登記を嘱託しなければならない。

 (裁判所の認可)

第五十五条 金融再生委員会は、第十条第一項の規定により管理を命ずる処分を取り消し、第十一条の規定により株主の名義書換を禁止し、第十二条第二項若しくは第三項の規定により金融整理管財人を選任し、若しくは解任し、第十五条第一項の規定により計画の作成を命じ、同条第二項若しくは第三項の規定により承認をし、同条第五項若しくは第六項の規定により必要な措置若しくは計画の変更若しくは廃止を命じ、第二十六条の規定により承認をし、第三十八条第一項の規定により指名をし、同条第二項の規定により承認をし、第四十条第一項の規定により承認をし、同条第三項の規定により計画の変更を命じ、又は第四十一条の規定により承認をしようとするときは、これらの処分その他の行為に係る被管理金融機関又は特別公的管理銀行の本店又は主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の認可を受けなければならない。

 (訴訟)

第五十六条 第三十二条第一項の規定により株価算定委員会が決定した取得株式の対価に不服のある者は、同条第三項において準用する第三十条第二項の規定による公告があった日から起算して六月以内に、訴えをもってその変更を請求することができる。

2 前項の規定による訴えにおいては、機構を被告としなければならない。

 (預金保険法の適用)

第五十七条 この法律により機構の業務が行われる場合には、この法律の規定によるほか、預金保険法を適用する。この場合において、同法第十五条第五号中「事項」とあるのは「事項(金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成十年法律第▼▼▼号。以下「金融機能再生緊急措置法」という。)の規定による機構の業務に係るものを除く。)」と、同法第四十四条、第四十五条第二項及び第四十六条第一項中「この法律」とあるのは「この法律又は金融機能再生緊急措置法」と、同法第五十一条第二項中「業務」とあるのは「業務(金融機能再生緊急措置法第四十六条に規定する業務を除く。)」と、同法第九十一条第一号中「この法律」とあるのは「この法律又は金融機能再生緊急措置法」と、「認可を受けなければならない」とあるのは「認可を受け、又は承認を得なければならない」と、「認可を受けなかつた」とあるのは「認可を受けず、又は承認を得なかつた」と、同条第三号中「第三十四条に規定する業務」とあるのは「第三十四条に規定する業務及び金融機能再生緊急措置法第四十六条に規定する業務」とする。

 (政令への委任)

第五十八条 この法律に規定するもののほか、この法律を実施するため必要な事項は、政令で定める。

   第八章 罰則

第五十九条 第六条第一項の資産査定等報告書に虚偽の記載をして提出した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

2 第六条第一項の規定に違反して、資産査定等報告書の提出をしない者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第六十条 金融整理管財人又は金融整理管財人代理がその職務に関し賄賂を収受し、又はこれを要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

2 金融整理管財人又は金融整理管財人代理が法人であるときは、金融整理管財人又は金融整理管財人代理の職務に従事するその役員又は職員がその職務に関し賄賂を収受し、又はこれを要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。金融整理管財人又は金融整理管財人代理が法人である場合において、その役員又は職員が金融整理管財人又は金融整理管財人代理の職務に関し金融整理管財人又は金融整理管財人代理に賂賂を収受させ、又はその供与を要求し、若しくは約束したときも、同様とする。

3 犯人又は法人たる金融整理管財人若しくは金融整理管財人代理の収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

第六十一条 前条第一項若しくは第二項に規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第六十二条 第十八条の規定に違反してその職務上知ることのできた秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第六十三条 被管理金融機関の取締役若しくは理事、監査役若しくは監事若しくは支配人若しくは参事その他の使用人又はこれらの者であった者が第十七条第一項(第十二条第一項の規定により読み替えて適用される場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は第十七条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第六十四条 第十六条又は第四十二条の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者は、五十万円以下の罰金に処する。

2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても同項の刑を科する。

第六十五条 法人の代表者又は代理人、使用人その他の従業者が、その法人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対しても当該各号に定める罰金刑を科する。

 一 第五十九条第一項 五億円以下の罰金刑

 二 第五十九条第二項 三億円以下の罰金刑

第六十六条 被管理金融機関の取締役又は理事が金融整理管財人に事務の引渡しをしないときは、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。

2 金融整理管財人が第十条第一項の規定により同項に規定する管理を命ずる処分が取り消されたにもかかわらず、被管理金融機関の取締役若しくは理事又は清算人に事務の引渡しをしないときは、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。

3 金融機関の取締役又は理事が第五十三条の規定に違反して、申出をせず、又は虚偽の申出をしたときは、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、金融再生委員会設置法(平成十年法律第▼▼▼号)の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 附則第三条、第四条、第十二条及び第十三条の規定 公布の日

 二 附則第五条から第十一条までの規定 預金保険法の一部を改正する法律(平成十年法律第▼▼▼号)第二条の規定の施行の日

 (経過措置)

第二条 金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律(平成十年法律第百七号)の施行の日の前日までの間における第二条第一項並びに第八条第一項及び第二項の規定の適用については、第二条第一項中「及び長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)第二条に規定する長期信用銀行」とあるのは「、長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)第二条に規定する長期信用銀行及び金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律(平成十年法律第百七号)第十二条の規定による廃止前の外国為替銀行法(昭和二十九年法律第六十七号)第二条第一項に規定する外国為替銀行」と、第八条第一項中「銀行法第二条第八項に規定する子会社又は同項の規定により子会社とみなされる会社」とあるのは「金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律による改正前の銀行法(以下「旧銀行法」という。)第五十二条の二第二項に規定する子会社又は同条第三項の規定により子会社とみなされる会社」と、同条第二項中「銀行法第二条第十一項」とあるのは「旧銀行法第五十二条の二第一項」と、「銀行法第五十二条の二第一項」とあるのは「旧銀行法第五十二条の三第一項」とする。

 (金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律の廃止)

第三条 金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律(平成十年法律第五号)は、廃止する。

 (金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律の廃止に伴う経過措置)

第四条 前条の規定による廃止前の金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律(以下「旧金融機能安定化法」という。)第三条第一項の規定に基づく金融機関等の自己資本充実のための業務の委託に関する協定(以下「旧協定」という。)に係る旧協定銀行(旧金融機能安定化法第二条第六項に規定する協定銀行をいう。以下同じ。)の業務(前条の規定の施行の際有する取得優先株式等(旧金融機能安定化法第三条第二項第三号に規定する取得優先株式等をいう。以下同じ。)及び取得貸付債権(同項第四号に規定する取得貸付債権をいう。以下同じ。)に係るものに限る。)及び当該業務に係る機構の業務については、附則第七条第一項第一号の規定の施行の日までの間、旧金融機能安定化法の規定は、なおその効力を有する。

第五条 機構は、整理回収機構が附則第七条第一項第一号の規定により旧協定銀行から譲り受けた営業に関する業務を終了するまでの間、預金保険法第三十四条に規定する業務のほか、次の業務を行うことができる。

 一 整理回収機構に対し、附則第七条第一項の規定による業務の実施により生じた損失について、政令で定めるところにより計算した金額の範囲内において、当該損失の補てんを行うこと。

 二 附則第七条第三項の規定に基づき整理回収機構から納付される金銭の収納を行うこと。

 三 前二号の業務に附帯する業務を行うこと。

2 機構は、前項の規定による業務に係る経理については、金融再生勘定において整理しなければならない。

3 機構は、第一項の規定による業務を行うため必要があるときは、整理回収機構に対し、附則第七条第一項の規定による業務の実施又は財務の状況に関し、報告を求めることができる。

第六条 前条の規定による機構の業務が行われる場合には、同条の規定によるほか、預金保険法を適用する。この場合において、同法第十五条第五号中「事項」とあるのは「事項(金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成十年法律第▼▼▼号。以下「金融機能再生緊急措置法」という。)附則第五条の規定による機構の業務に係るものを除く。)」と、同法第三十五条第一項中「以下同じ」とあるのは「第三十七条第一項を除き、以下同じ」と、同法第三十七条第一項中「金融機関」とあるのは「金融機関(金融機能再生緊急措置法附則第五条の規定による業務を行う場合にあつては、旧金融機能安定化法第二条第一項に規定する金融機関等。次項において同じ。)」と、同法第四十四条中「この法律」とあるのは「この法律又は金融機能再生緊急措置法附則第五条」と、同法第四十五条第二項及び第四十六条第一項中「この法律」とあるのは「この法律又は金融機能再生緊急措置法附則第五条の規定」と、同法第五十一条第二項中「業務」とあるのは「業務(金融機能再生緊急措置法附則第五条に規定する業務を除く。)」と、同法第九十一条第三号中「第三十四条に規定する業務」とあるのは「第三十四条に規定する業務及び金融機能再生緊急措置法附則第五条に規定する業務」とする。

第七条 整理回収機構は、預金保険法附則第六条の二十四に規定する業務のほか、次の業務を行うことができる。

 一 旧協定銀行から、その営業(旧金融機能安定化法第三条第二項に規定する金融機関等の自己資本充実のための業務に限る。)の全部を譲り受けること。

 二 機構から委託を受けて、前号の規定により旧協定銀行から譲り受けた取得優先株式等及び取得貸付債権について、金融再生委員会の定めるところにより、譲渡その他の処分を行うこと。

 三 前二号の業務に附帯する業務を行うこと。

2 整理回収機構は、取得優先株式等及び取得貸付債権については、できる限り早期に、譲渡その他の処分を行うものとする。

3 整理回収機構は、第一項の業務により利益が生じたときは、政令で定めるところにより、当該利益に相当する金額を機構に納付しなければならない。

4 整理回収機構は、第一項の業務に係る経理については、その他の経理と区分し、特別の勘定を設けて整理しなければならない。

第八条 前条の規定による整理回収機構の業務が行われる場合には、同条の規定によるほか、預金保険法を適用する。この場合において、同法附則第六条の三十中「読み替えるものとする」とあるのは「、第四十四条中「この法律」とあるのは「この法律又は金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成十年法律第▼▼▼号。以下「金融機能再生緊急措置法」という。)附則第七条」と読み替えるものとする」と、同法附則第六条の三十一中「準用する」とあるのは「準用する。この場合において、第四十五条第二項及び第四十六条第一項中「この法律」とあるのは「この法律又は金融機能再生緊急措置法附則第七条の規定」と読み替えるものとする」と、同法附則第二十六条第三号中「附則第六条の二十四に規定する業務」とあるのは「附則第六条の二十四に規定する業務及び金融機能再生緊急措置法附則第七条に規定する業務」とする。

第九条 附則第五条第三項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、五十万円以下の罰金に処する。

第十条 機構は、附則第一条第二号に掲げる規定の施行の際、附則第四条の規定によりなおその効力を有するものとされる旧金融機能安定化法第二十八条に規定する金融危機管理基金(以下「基金」という。)に旧金融機能安定化法第三十一条第二項の規定により交付された国債のうち償還されていないものがあるときは、その償還されていない国債を政府に返還しなければならない。

2 政府は、前項の規定により国債が返還された場合には、直ちに、これを消却しなければならない。

3 機構は、附則第一条第二号に掲げる規定の施行の際、第一項の規定により返還することとなる国債のほかに基金に残余があるときは、当該残余の額を国庫に納付しなければならない。

第十一条 機構は、附則第一条第二号に掲げる規定の施行の際、政令で定めるところにより、附則第四条の規定によりなおその効力を有するものとされる旧金融機能安定化法第十条に規定する金融危機管理勘定に属する資産及び負債を、金融再生勘定に帰属させるものとする。

第十二条 附則第三条の規定の施行前にした行為に対する罰則の規定の適用については、なお従前の例による。

第十三条 附則第二条及び第四条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

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