衆議院

メインへスキップ



第一四五回

衆第一三号

   行政監視院による行政監視の手続等に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 行政監視の開始の手続(第三条―第五条)

 第三章 行政監視の方法(第六条―第十条)

 第四章 報告書の提出等(第十一条―第十四条)

 第五章 罰則(第十五条―第十八条)

 附則

   第一章 総則

 (趣旨)

第一条 この法律は、別に定める法律により国会に設置される行政監視員七人をもって組織される行政監視院による行政監視の開始の手続及び方法、報告書の提出等に関し必要な事項を定めるものとする。

 (常任委員会等及び議員による行政監視の要求)

第二条 各議院の常任委員会及び特別委員会並びに参議院の調査会(以下「常任委員会等」という。)並びに各議院の議員(以下単に「議員」という。)は、行政監視院に対し、国の行政機関(法律の規定に基づき内閣に置かれる各機関、内閣の統轄の下に行政事務をつかさどる機関として置かれる各機関及び内閣の所轄の下に置かれる機関をいう。第六条第一項において同じ。)の業務に関する監視、調査及び評価(以下「行政監視」という。)を行うよう要求することができる。

   第二章 行政監視の開始の手続

 (常任委員会等の要求に基づく行政監視)

第三条 前条の規定に基づく常任委員会等による行政監視の要求は、書面をもって当該行政監視の対象となる事項を特定して、行うものとする。

2 行政監視院は、前項の要求があったときは、当該要求に係る事項について行政監視を行わなければならない。

 (議員の要求に基づく行政監視)

第四条 第二条の規定に基づく議員による行政監視の要求は、書面をもって当該行政監視の対象となる事項を特定し、かつ、当該議員が属する議院の議長を経由して、行うものとする。

2 行政監視院は、前項の要求があった場合において、行政監視員会議の全会一致の議決をもって前条第二項の規定による行政監視の業務に支障がない旨の確認をしたときは、次項から第五項までに定めるところにより、当該要求に係る事項について行政監視を行うことができる。

3 行政監視院は、前項の規定による行政監視を行おうとする場合は、あらかじめ、その旨を両議院の議院運営委員会に通知しなければならない。

4 各議院の議院運営委員会は、前項の通知を受けたときは、当該通知に係る行政監視を行うことに異議があるかどうかを議決するものとし、その議決の結果を行政監視院に通知するものとする。

5 行政監視院は、各議院又は両議院の議院運営委員会から第一項の要求に係る行政監視を行うことに異議がある旨の議決の通知を受けたときは、当該行政監視を行うことができない。

 (自発的な行政監視)

第五条 前二条に定める場合のほか、行政監視院は、行政監視員会議の全会一致の議決をもって特に必要があると認めるときは、次項から第四項までに定めるところにより、当該特に必要があると認める事項について行政監視を行うことができる。

2 行政監視院は、前項の規定による行政監視を行おうとする場合は、あらかじめ、その旨及び当該行政監視を行おうとする事項を記載した書面をもって、両議院の議院運営委員会に通知しなければならない。

3 各議院の議院運営委員会は、前項の通知を受けたときは、当該通知に係る行政監視を行うことを承認するかどうかを議決するものとし、その議決の結果を行政監視院に通知するものとする。

4 行政監視院は、両議院の議院運営委員会から第一項の規定による行政監視を行うことについて承認する旨の議決の通知を受けるまでは、当該行政監視を行うことができない。

   第三章 行政監視の方法

 (報告又は記録の提出)

第六条 行政監視院は、行政監視のため必要があると認めるときは、国の行政機関、地方公共団体その他の者に対して、報告又は記録の提出を要求することができる。

2 前項の要求に係る報告又は記録が行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第▼▼▼号)第五条各号に掲げる情報のいずれかが記録されている行政文書に該当する場合であっても、当該要求を受けた行政機関(同法第二条第一項に規定する行政機関をいう。)は、当該報告又は記録を行政監視院に提出しなければならない。

 (参考人の出頭)

第七条 行政監視院は、行政監視のため必要があると認めるときは、参考人の出頭を求め、その意見を聴くことができる。

 (証人としての出頭及び証言並びに書類の提出)

第八条 行政監視院は、行政監視のため必要があると認めるときは、何人に対しても、証人としての出頭及び証言並びに書類の提出を求めることができる。

2 行政監視院は、前項の規定による証人としての出頭及び証言並びに書類の提出の要求を行おうとする場合は、あらかじめ、両議院の議院運営委員会の承認を得なければならない。この場合においては、第五条第二項から第四項までの規定を準用する。

 (議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律の準用)

第九条 議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(昭和二十二年法律第二百二十五号)第一条の二から第五条の四までの規定は、前条第一項の規定による証人としての出頭及び証言並びに書類の提出の要求について準用する。この場合において、同法第一条の四第一項及び第五条の二中「各議院の議長若しくは委員長又は両議院の合同審査会の会長」とあるのは「行政監視院長」と、同法第五条の三第一項中「委員長又は両議院の合同審査会の会長」とあるのは「行政監視院長」と、「委員会又は両議院の合同審査会に諮り」とあるのは「議院運営委員会に諮り」と読み替えるものとする。

 (立入調査)

第十条 行政監視院は、行政監視のため必要があると認めるときは、調査員に官公署その他必要な場所に立ち入らせて、必要な調査をさせることができる。

2 行政監視院は、前項の規定による立入調査を行おうとする場合は、あらかじめ、両議院の議院運営委員会の承認を得なければならない。この場合においては、第五条第二項から第四項までの規定を準用する。

3 第一項の規定により立入調査を行う調査員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者の要求があるときは、これを提示しなければならない。

4 第一項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

   第四章 報告書の提出等

 (報告書の提出)

第十一条 行政監視院は、第三条第二項の規定による行政監視が終了したときは、その結果を記載した報告書を、当該行政監視の要求をした常任委員会等(当該常任委員会等がない場合にあっては、当該常任委員会等が属していた議院の議長)に提出しなければならない。

2 行政監視院は、第四条第二項の規定による行政監視が終了したときは、その結果を記載した報告書を、当該行政監視の要求をした議員の属する議院の議長を経由して当該要求をした議員(当該要求をした議員が当該行政監視が終了したときに当該要求をした際に属していた議院の議員でない場合にあっては、当該要求をした際に属していた議院の議長)に提出しなければならない。

3 行政監視院は、第五条第一項の規定による行政監視が終了したときは、その結果を記載した報告書を、両議院の議長に提出しなければならない。

 (関係資料の提示)

第十二条 前条第一項又は第二項の規定により報告書の提出を受けた常任委員会等又は議員は、行政監視院に対して、当該報告書に係る行政監視によって得たすべての関係資料の提示を求めることができる。

2 前項の規定に基づく議員による関係資料の提示の要求は、当該議員が属する議院の議長を経由して行うものとする。

 (中間報告)

第十三条 第二条の規定による行政監視の要求をした常任委員会等及び議員(当該要求をした際に属していた議院の議員である者に限る。)は、特に必要があると認めるときは、行政監視院に対して、当該要求に係る事項であって現に行政監視を行っているものについて、当該事項に係る行政監視の状況等に関し、中間報告を求めることができる。

2 前項の規定に基づく議員による中間報告の要求については前条第二項の規定を、当該要求に係る中間報告の提出については第十一条第二項の規定を準用する。

 (常任委員会等における報告及び説明)

第十四条 行政監視院長その他の行政監視員及び行政監視院長の指定する調査員は、常任委員会等の求めに応じ、行政監視院の所掌事務に関し、報告及び説明をすることができる。

   第五章 罰則

第十五条 第九条において準用する議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律第二条の規定により宣誓をした証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。

2 前項の罪を犯した者が当該行政監視の終了する前であって、かつ、犯罪の発覚する前に自白したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。

第十六条 正当な理由がなくて、証人が出頭せず、現在場所において証言すべきことの要求を拒み、若しくは要求された書類を提出しないとき又は証人が宣誓若しくは証言を拒んだときは、一年以下の禁錮又は十万円以下の罰金に処する。

2 前項の罪を犯した者は、情状により、禁錮及び罰金を併科することができる。

第十七条 第十五条第一項及び前条第一項の罪は、行政監視院の告発がなければ公訴を提起することができない。

2 行政監視院が前項の告発をするには、あらかじめ、両議院の議院運営委員会の承認を得なければならない。この場合において、各議院の議院運営委員会が告発することを承認する旨の議決をするには、それぞれその出席委員の三分の二以上の多数によることを要する。

第十八条 証人又はその親族に対し、当該証人の出頭、証言又は書類の提出に関し、正当な理由がなくて、面会を強要し、又は威迫する言動をした者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、行政監視院設置法(平成十一年法律第▼▼▼号)の施行の日から施行する。

 (参考人等に対する旅費及び日当の支給)

2 第七条及び第八条の規定により行政監視院に出頭し、又は陳述した参考人及び証人には、別に法律で定めるところにより、旅費及び日当を支給するものとする。

 (検討)

3 衆議院及び参議院の常任委員会及びその所管等については、この法律の施行の状況等を勘案し、検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.