衆議院

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第一四五回

参第一八号

   労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案

 (労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部改正)

第一条 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。

  題名を次のように改める。

    労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

  目次中「派遣労働者の就業条件の整備等に関する措置」を「派遣労働者の保護等に関する措置」に改める。

  第一条中「の就業に関する条件の整備等を図り」を「を保護するための措置等を講じ」に改める。

  第二条の次に次の一条を加える。

  (労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分)

 第二条の二 請負の形式による契約により行う業務に自己の雇用する労働者を従事させることを業として行う事業主が当該業務に単に当該労働者の肉体的な労働力を提供する者であるときは、当該事業主は労働者派遣事業を行う事業主に該当するものとする。

 2 前項に定めるもののほか、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関し必要な事項は、労働省令で定める。

  第六条第一号中「規定で」を「規定(次号に規定する規定を除く。)で」に、「により」を「若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の規定(同法第四十八条の規定を除く。)により、若しくは刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯したことにより、」に改め、同条第五号を同条第六号とし、同条第四号中「前三号」を「前各号」に改め、同号を同条第五号とし、同条中第三号を第四号とし、第二号を第三号とし、第一号の次に次の一号を加える。

  二 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第八十七条若しくは第九十一条、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第六十八条若しくは第七十条、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第五十一条前段若しくは第五十四条第一項(同法第五十一条前段の規定に係る部分に限る。)、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第百二条第一項、第百四条(同法第百二条第一項の規定に係る部分に限る。)、第百八十二条第一項若しくは第二項若しくは第百八十四条(同法第百八十二条第一項若しくは第二項の規定に係る部分に限る。)、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号)第四十六条前段若しくは第四十八条第一項(同法第四十六条前段の規定に係る部分に限る。)又は雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第八十三条若しくは第八十六条(同法第八十三条の規定に係る部分に限る。)の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者

  第十条第五項及び第十一条第二項中「第三号」を「第四号」に改める。

  第十四条第一項第一号中「第三号」を「第四号」に改め、同項第二号中「第三章第四節」を「次章第四節」に改める。

  第二十一条第一項中「(第三号」を「(第四号」に、「同条第三号」を「同条第四号」に改め、同条第二項中「第三章第四節」を「次章第四節」に改める。

  第二十四条中「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」を「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に改める。

  第二十四条の二の次に次の二条を加える。

  (労働者派遣の受入れの制限)

 第二十四条の三 事業主の都合により当該事業主と当該事業主が常時雇用する労働者との雇用関係が終了した場合には、当該事業主は、当該雇用関係が終了した日の翌日から起算して一年間は、当該雇用関係が終了した労働者が従事していた業務について、労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。

  (秘密を守る義務等)

 第二十四条の四 派遣元事業主及びその代理人、使用人その他の従業者は、正当な理由がなく、その業務上取り扱つたことについて知り得た人の秘密を漏らしてはならない。派遣元事業主及びその代理人、使用人その他の従業者でなくなつた後においても、同様とする。

 2 派遣元事業主及びその代理人、使用人その他の従業者は、前項の秘密のほか、その業務に関して知り得た個人情報(個人に関する情報であつて、特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。以下同じ。)その他労働省令で定める者に関する情報を、みだりに他人に知らせてはならない。派遣元事業主及びその代理人、使用人その他の従業者でなくなつた後においても、同様とする。

  「第三章 派遣労働者の就業条件の整備等に関する措置」を「第三章 派遣労働者の保護等に関する措置」に改める。

  第二十六条に次の一項を加える。

 5 派遣元事業主から新たな労働者派遣契約に基づく労働者派遣の役務の提供を受けようとする者は、第一項の規定により当該労働者派遣契約を締結するに当たり、あらかじめ、当該派遣元事業主に対し、当該労働者派遣の役務の提供が開始される日以後第四十条の六の規定に抵触することとなる最初の日及び当該労働者派遣に係る派遣労働者が従事することとなる業務に係る当該者の事業所における賃金水準に関する事項であつて労働省令で定めるものを通知しなければならない。

  第三十条の次に次の一条を加える。

  (労働組合を組織する機会の確保)

 第三十条の二 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者が労働組合を組織する機会の確保に関し、労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)その他の法令に触れない範囲内で、必要な配慮をするように努めなければならない。

  第三十三条の次に次の二条を加える。

  (個人情報の収集の制限等)

 第三十三条の二 派遣元事業主は、労働者派遣に関し、労働者の個人情報を収集する場合には、当該労働者の有する技能、職業経験等その業務の目的の達成のために必要な情報として労働省令で定める情報以外の情報を収集してはならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な理由がある場合は、この限りでない。

 2 派遣元事業主は、労働者派遣に関し、その収集した労働者の個人情報を保管し、又は使用するに当たつては、当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な理由がある場合は、この限りでない。

 3 派遣元事業主は、労働者の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。

  (個人情報の開示請求等)

 第三十三条の三 派遣労働者、派遣労働者であつた者その他労働省令で定める者(以下この条において「派遣労働者等」という。)は、当該派遣労働者等の個人情報を保管する派遣元事業主に対し、自己の個人情報を記録した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られた記録をいう。)(以下単に「文書等」という。)の開示を請求することができる。

 2 派遣元事業主は、前項の請求があつたときは、当該請求をした者に対し、閲覧、写しの交付等の方法により、当該請求に係る文書等を開示しなければならない。

 3 派遣労働者等は、派遣元事業主が保管する当該派遣労働者等の個人情報について誤りがあると認めるときは、当該派遣元事業主に対し、当該個人情報の訂正、追加又は削除を請求することができる。

 4 派遣元事業主は、前項の請求があつたときは、必要な調査を行い、その請求の内容が事実であると認めるときは、当該請求の内容に応じて必要な措置をとらなければならない。

  第三十四条中「、労働省令で定めるところにより」を削り、「明示しなければならない」を「明らかにした書面を交付しなければならない」に改め、同条の次に次の二条を加える。

  (派遣労働者の賃金)

 第三十四条の二 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者に支払う賃金の額を定めるに当たつては、派遣先の事業所において当該派遣労働者が従事することとなる業務に係る当該事業所における賃金水準を勘案しなければならない。

  (有給休暇の取得)

 第三十四条の三 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の就業の実態を的確に把握するために必要な措置を講ずること等により、当該派遣労働者が労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)その他の法令の定めるところにより適正に有給休暇を取得することができるようにしなければならない。

  第三十五条中「氏名」の下に「、社会保険等の被保険者の資格に関する事項(健康保険法の規定による被保険者の資格、厚生年金保険法の規定による被保険者の資格及び雇用保険法の規定による被保険者の資格の有無その他これらの法律の規定による被保険者の資格に関する事項で労働省令で定めるものをいう。)」を加え、同条の次に次の四条を加える。

  (同一の派遣先への労働者派遣の禁止)

 第三十五条の二 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者のうち、二分の一以上の者を同時に同一の派遣先に派遣してはならない。ただし、当該派遣元事業主が雇用する派遣労働者のうち、十分の三以上の者が六十歳以上の者で労働省令で定めるものである場合は、この限りでない。

  (労働者派遣の期間)

 第三十五条の三 派遣元事業主は、派遣先が当該派遣元事業主から労働者派遣の役務の提供を受けたならば第四十条の六の規定に抵触することとなる場合には、当該抵触することとなる最初の日以降継続して労働者派遣を行つてはならない。

  (労働契約の解除の制限)

 第三十五条の四 派遣元事業主は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に当該労働者派遣契約が当該労働者派遣に係る派遣労働者の責めに帰すべき事由以外の事由により解除された場合には、当該解除を理由として、当該派遣労働者と締結した労働契約を解除してはならない。

  (新たな派遣就業の機会の確保)

 第三十五条の五 派遣元事業主は、前条に規定する場合において、当該派遣労働者が新たな労働者派遣に係る就業をすることを希望するときは、当該希望に応じた新たな就業の機会を確保するように努めなければならない。

  第三十六条中「第三号」を「第四号」に改め、同条第一号中「前二条」を「第三十四条、第三十五条」に改める。

  第四十条の見出し中「確保」を「確保等」に改め、同条第二項中「適正」の下に「かつ円滑」を加え、「ために」を「ようにするため、適切な就業環境の維持、診療所、給食施設等の施設であつて現に当該派遣先に雇用される労働者が通常利用しているものの利用に関する便宜の供与等」に、「講ずるように努めなければならない」を「講じなければならない」に改め、同条の次に次の八条を加える。

  (事前面接の禁止)

 第四十条の二 派遣先は、労働者派遣の役務の提供を受けるに当たり、あらかじめ、当該労働者派遣に係る派遣労働者に面接してはならない。

  (書面の交付を受けていない派遣労働者等の受入れの禁止)

 第四十条の三 派遣先は、派遣元事業主から第三十四条の規定による書面の交付を受けていない派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。

 2 派遣先は、派遣元事業主が、健康保険法の規定による被保険者の資格、厚生年金保険法の規定による被保険者の資格又は雇用保険法の規定による被保険者の資格を有する派遣労働者に関して、健康保険法第八条、厚生年金保険法第二十七条又は雇用保険法第七条その他の法令の規定により行うべき被保険者の資格の取得に関する報告又は届出をしていないときは、当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。

  (性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上及び指揮命令上の配慮)

 第四十条の四 派遣先は、当該派遣先の職場において行われる性的な言動に対するその指揮命令の下に労働させる女性である派遣労働者の対応により当該女性である派遣労働者がその就業条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該女性である派遣労働者の就業環境が害されることのないよう、雇用管理上及び指揮命令上必要な配慮をしなければならない。

  (派遣先との団体交渉)

 第四十条の五 派遣先は、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者が組合員となつている労働組合の代表者から、当該派遣就業に係る労働条件であつて、当該派遣先が現実的かつ具体的に支配し、及び決定することができるもの等について団体交渉の申入れがあつたときは、労働組合法その他の法令の規定に違反することのないように誠実に応対しなければならない。

  (労働者派遣の役務の提供を受ける期間)

 第四十条の六 派遣先は、当該派遣先の事業所ごとの同一の業務(その業務に従事する労働者について就業形態、雇用形態等の特殊性により特別の雇用管理を行う必要があると認められる業務であつて、当該業務に係る労働者派遣が労働者の職業生活の全期間にわたる能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行を損なわないと認められるものとして政令で定める業務を除く。)について、派遣元事業主から一年を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。

  (派遣労働者の雇用等)

 第四十条の七 派遣先が、子会社である派遣元事業主(当該派遣先が発行済株式の総数の二分の一を超える数の株式を有する株式会社又は資本の総額の二分の一を超える額に相当する出資口数を有する有限会社である派遣元事業主をいう。以下この条において同じ。)から、当該派遣先に常時雇用されていた労働者であつて六十歳以上の定年その他労働省令で定める事由以外の事由により当該派遣先との雇用関係が終了した後において当該子会社である派遣元事業主に派遣労働者として雇用されている者に係る労働者派遣の役務の提供を受けた場合には、当該派遣先と当該派遣労働者(当該派遣先のために初めて派遣就業をした日から起算して七日以内に、労働省令で定めるところにより、当該派遣先に雇用されることを当該派遣先に申し出た者に限る。)とは、労働省令で定めるところにより、当該申出があつた日に、期間の定めのない労働契約を締結したものとみなす。

 2 前項の申出があつたときは、当該子会社である派遣元事業主と当該派遣労働者との雇用関係は、当該申出があつた日に、終了したものとみなす。

 3 派遣先は、第一項の申出を受けたときは、労働省令で定めるところにより、当該申出を受けた旨を当該子会社である派遣元事業主に通知しなければならない。

 第四十条の八 派遣先が、労働者派遣の役務の提供を受けるに当たり、あらかじめ、当該労働者派遣に係る派遣労働者に面接した場合(当該派遣先が当該派遣労働者との面接を要求した場合その他労働省令で定める場合に限る。)において当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けたときは、当該派遣先と当該派遣労働者(当該派遣先のために初めて派遣就業をした日から起算して七日以内に、労働省令で定めるところにより、当該派遣先に雇用されることを当該派遣先に申し出た者に限る。)とは、労働省令で定めるところにより、当該申出があつた日に、期間の定めのない労働契約を締結したものとみなす。

 2 前項の申出があつたときは、当該派遣元事業主と当該派遣労働者との雇用関係は、当該申出があつた日に、終了したものとみなす。

 3 派遣先は、第一項の申出を受けたときは、労働省令で定めるところにより、当該申出を受けた旨を当該派遣元事業主に通知しなければならない。

 第四十条の九 派遣先が、当該派遣先の同一の事業所において派遣元事業主から継続して一年を超えて同一の派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けた場合には、当該派遣先と当該事業所において継続して一年間派遣就業をした派遣労働者(当該一年間が経過した日の前日までに、労働省令で定めるところにより、当該派遣先に雇用されることを当該派遣先に申し出た者に限る。)とは、労働省令で定めるところにより、当該一年間が経過した日に、期間の定めのない労働契約を締結したものとみなす。

 2 前項の申出があつたときは、当該派遣元事業主と当該派遣労働者との雇用関係は、当該一年間が経過した日に、終了したものとみなす。

 3 派遣先は、第一項の申出を受けたときは、労働省令で定めるところにより、当該申出を受けた旨を当該派遣元事業主に通知しなければならない。

  第四十三条中「第三十九条」の下に「及び第四十条の三第一項」を加える。

  第四十四条第一項中「(昭和二十二年法律第四十九号)」を削り、同条第二項中「第三十二条、第三十二条の二第一項、第三十二条の三、第三十二条の四第一項から第三項まで」を「第三十二条から第三十二条の四まで」に、「第三十三条から第三十五条まで、第三十六条第一項」を「第三十三条から第三十六条まで、第三十八条の二」に改め、同項後段を次のように改める。

   この場合において、同法第三十二条の二第一項中「就業規則その他これに準ずるものにより」とあるのは「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)第四十四条第三項に規定する派遣元の使用者(以下単に「派遣元の使用者」という。)が就業規則その他これに準ずるものにより」と、同法第三十二条の三中「就業規則その他これに準ずるものにより、」とあるのは「派遣元の使用者が就業規則その他これに準ずるものにより」と、「とした労働者」とあるのは「とした労働者であつて、当該労働者に係る労働者派遣法第二十六条第一項に規定する労働者派遣契約に基づきこの条の規定による労働時間により労働させることができるもの」とする。

  第四十四条第五項中「、同法第三十八条の二第二項中「当該事業場」とあるのは「当該事業場(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)第二十六条第一項に規定する派遣就業にあつては、労働者派遣法第四十四条第三項に規定する派遣元の事業の事業場)」と」を削り、「労働者派遣法第四十四条第一項」を「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)第四十四条第一項」に改める。

  第四十五条第一項から第四項まで、第八項、第九項、第十五項及び第十六項、第四十六条第一項、第三項、第六項、第十二項及び第十三項並びに第四十七条第一項及び第二項中「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」を「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に改める。

  第四十八条第一項中「第五十条及び第五十一条」を「第四十九条の三、第四十九条の四第一項、第四十九条の五、第四十九条の六第一項、第五十条及び第五十一条第一項」に改める。

  第四十九条の二第一項中「又は第二十四条の二」を「、第二十四条の二、第二十四条の三、第四十条第二項、第四十条の三又は第四十条の六」に改め、同条の次に次の四条を加える。

  (公共職業安定所長及び職業安定監督官)

 第四十九条の三 公共職業安定所長及び職業安定監督官は、労働省令で定めるところにより、この法律の施行に関する事務をつかさどる。

  (職業安定監督官の権限)

 第四十九条の四 職業安定監督官は、この法律を施行するために必要な限度において、労働者派遣事業を行う事業主及び当該事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者の事業所その他の施設に立ち入り、関係者に質問し、又は帳簿、書類その他の物件を検査することができる。

 2 前項の規定により立入検査をする職業安定監督官は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

 3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 第四十九条の五 職業安定監督官は、この法律の規定に違反する罪について、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定による司法警察員の職務を行う。

  (派遣労働者等の申告)

 第四十九条の六 労働者派遣をする事業主又は労働者派遣の役務の提供を受ける者がこの法律又はこれに基づく命令の規定に違反する事実がある場合においては、派遣労働者その他の労働者は、その事実を労働大臣、公共職業安定所長又は職業安定監督官に申告することができる。

 2 労働者派遣をする事業主及び労働者派遣の役務の提供を受ける者は、前項の申告をしたことを理由として、派遣労働者その他の労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

  第五十条の見出しを「(報告及び出頭)」に改め、同条中「労働大臣」の下に「、公共職業安定所長又は職業安定監督官」を加え、「及び当該事業主」を「、当該事業主」に改め、「受ける者」の下に「又は派遣労働者」を加え、「報告させる」を「報告させ、又は出頭を命ずる」に改める。

  第五十一条の見出しを「(労働大臣等の権限)」に改め、同条第一項中「労働大臣」の下に「又は公共職業安定所長」を加え、同条第三項を削り、同条第二項を次のように改める。

 2 第四十九条の四第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。

  第五十二条及び第五十三条を次のように改める。

  (相談及び援助)

 第五十二条 公共職業安定所は、派遣就業に関する事項について、労働者等の相談に応じ、及び必要な助言その他の援助を行うことができる。

  (労働者派遣事業適正運営協力員)

 第五十三条 労働大臣は、社会的信望があり、かつ、労働者派遣事業の運営及び派遣就業について専門的な知識経験を有する者のうちから、労働者派遣事業適正運営協力員を委嘱することができる。

 2 労働者派遣事業適正運営協力員は、労働者派遣事業の適正な運営及び適正な派遣就業の確保に関する施策に協力して、労働者派遣をする事業主、労働者派遣の役務の提供を受ける者、労働者等の相談に応じ、及びこれらの者に対する専門的な助言を行う。

 3 労働者派遣事業適正運営協力員は、正当な理由がある場合でなければ、その職務に関して知り得た秘密を他に漏らしてはならない。労働者派遣事業適正運営協力員でなくなつた後においても、同様とする。

 4 労働者派遣事業適正運営協力員は、その職務に関して、国から報酬を受けない。

 5 労働者派遣事業適正運営協力員は、予算の範囲内において、その職務を遂行するために要する費用の支給を受けることができる。

  第五十九条中「五十万円」を「百万円」に改める。

  第六十条第四号中「第二十二条」の下に「又は第四十九条の六第二項」を加える。

  第六十一条第三号中「第三十四条から第三十七条まで」を「第二十四条の四第一項、第三十四条、第三十五条、第三十六条、第三十七条」に改め、同条第五号を削り、同条第四号中「又は」を「若しくは」に、「した」を「し、又は出頭しなかつた」に改め、同号を同条第五号とし、同条第三号の次に次の一号を加える。

  四 第四十九条の四第一項又は第五十一条第一項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の陳述をした者

 (高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部改正)

第二条 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和四十六年法律第六十八号)の一部を次のように改正する。

  目次中「・第十一条の四」を削る。

  第十一条の三の前の見出しを削り、同条の表以外の部分中「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」を「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に改め、同条の表第十四条第一項第二号の項中「第三章第四節」を「次章第四節」に、「第五十条及び第五十一条」を「第四十九条の三、第四十九条の四第一項、第四十九条の五、第四十九条の六第一項、第五十条及び第五十一条第一項」に改め、「、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第十一条の四」を削り、同表第二十一条第二項の項中「第三章第四節」を「次章第四節」に改め、「、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第十一条の四」を削り、同表第二十五条の項中「及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第十一条の四」を削り、同表第二十六条第二項の項中「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第十一条の四第二号に掲げる労働省令で定める場合において労働者派遣を行うときにおける当該労働者派遣に係る業務」を「特定業務(同項の適用対象業務に相当する業務以外の業務であつて、労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行を損なわないと認められるものとして労働省令で定める業務をいう。以下同じ。)」に改め、同表第二十六条第二項の項の次に次のように加える。

第二十六条第五項、第三十五条の三

第四十条の六

読替え後のこの法律第四十条の六

第四十条の六

一年

一年(特定業務について労働者派遣が行われる場合にあつては、労働省令で定める期間)

  第十一条の三の表第四十一条第一号イの項中「、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第十一条の四」を削り、同表第四十八条第一項の項中「第五十条及び第五十一条」を「第四十九条の三、第四十九条の四第一項、第四十九条の五、第四十九条の六第一項、第五十条及び第五十一条第一項」に改め、「及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第十一条の四の規定」を削り、同表第五十条、第五十一条第一項の項中「第五十条」を「第四十九条の三、第四十九条の四第一項、第四十九条の五、第四十九条の六第一項、第五十条」に改め、「及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第十一条の四の規定」を削り、同表第五十五条の項中「又は高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第十一条の四」を削る。

  第十一条の四を削る。

 (育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部改正)

第三条 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)の一部を次のように改正する。

  第四十五条第一項中「をして育児休業」を「をして労働基準法第六十五条第一項及び第二項の規定による休業並びに育児休業」に改める。

  第四十六条の二の表以外の部分中「育児休業」を「労働基準法第六十五条第一項及び第二項の規定による休業並びに育児休業」に、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」を「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に改め、同条の表第十四条第一項第二号の項中「第三章第四節」を「次章第四節」に、「第五十条及び第五十一条」を「第四十九条の三、第四十九条の四第一項、第四十九条の五、第四十九条の六第一項、第五十条及び第五十一条第一項」に改め、同表第二十一条第二項の項中「第三章第四節」を「次章第四節」に改め、同表第二十六条第三項の項の次に次のように加える。

第二十六条第五項

当該労働者派遣の役務の提供が開始される日以後第四十条の六の規定に抵触することとなる最初の日及び当該労働者派遣

当該労働者派遣

第三十五条の三

第四十条の六

読替え後のこの法律第四十条の六

  第四十六条の二の表第三十七条第一項第七号、第四十二条第一項第六号の項及び第三十九条の項中「第四十六条の三第一項各号」を「第四十六条の三各号」に改め、同表第三十九条の項の次に次のように加える。

第四十条の六

業務(その業務に従事する労働者について就業形態、雇用形態等の特殊性により特別の雇用管理を行う必要があると認められる業務であつて、当該業務に係る労働者派遣が労働者の職業生活の全期間にわたる能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行を損なわないと認められるものとして政令で定める業務を除く。)

業務

第四十条の六

一年

育児・介護休業法第四十六条の三第二号に掲げる期間

  第四十六条の二の表第四十八条第一項の項中「第五十条及び第五十一条」を「第四十九条の三、第四十九条の四第一項、第四十九条の五、第四十九条の六第一項、第五十条及び第五十一条第一項」に改める。

  第四十六条の三第一項第一号及び第二号中「育児休業」を「労働基準法第六十五条第一項及び第二項の規定による休業並びに育児休業」に改め、同条第二項を削る。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成十二年一月一日から施行する。ただし、第一条中労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律第四十九条の二を改め、同条の次に四条を加える改正規定(同条の次に四条を加える部分に限る。)、同法第五十条の改正規定、同法第五十一条の改正規定及び同法第六十一条の改正規定(同条第三号の改正規定を除く。)並びに附則第十二条中労働省設置法(昭和二十四年法律第百六十二号)第五条の改正規定は、職業安定法等の一部を改正する法律(平成十一年法律第▼▼▼号)の施行の日から施行する。

 (労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部改正に伴う経過措置)

第二条 この法律の施行の際現に第一条の規定による改正前の労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(以下「旧労働者派遣法」という。)第五条第一項(第二条の規定による改正前の高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下「旧高年齢者法」という。)第十一条の三又は第三条の規定による改正前の育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「旧育児・介護休業法」という。)第四十六条の二の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の許可を受けている者に対する第一条の規定による改正後の労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「新労働者派遣法」という。)第十四条第一項の規定による当該許可の取消し又は同条第二項の規定による一般労働者派遣事業の全部若しくは一部の停止の命令に関しては、この法律の施行前に生じた事由については、なお従前の例による。

第三条 この法律の施行の際に旧労働者派遣法第十六条第一項(旧高年齢者法第十一条の三又は旧育児・介護休業法第四十六条の二の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定により届出書を提出している者に対する新労働者派遣法第二十一条第一項の規定による特定労働者派遣事業の廃止の命令又は同条第二項の規定による特定労働者派遣事業の全部若しくは一部の停止の命令に関しては、この法律の施行前に生じた事由については、なお従前の例による。

第四条 新労働者派遣法第二十四条の三の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後労働者との雇用関係が終了する場合について適用する。

第五条 新労働者派遣法第三十四条、第三十五条、第四十条の三及び第四十条の七から第四十条の九までの規定は、施行日以後締結された労働者派遣契約に基づく労働者派遣が行われる場合について適用する。

第六条 新労働者派遣法第四十条の六(第二条の規定による改正後の高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第十一条の三及び第三条の規定による改正後の育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第四十六条の二において読み替えて適用する場合を含む。)の規定は、施行日以後労働者派遣契約を締結する者について適用する。この場合において、当該者が施行日前から継続して労働者派遣の役務の提供を受けているときは、新労働者派遣法第四十条の六中「一年」とあるのは、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律(平成十一年法律第▼▼▼号)の施行の日以後締結された労働者派遣契約に基づく労働者派遣の役務の提供が行われる日から起算して一年」とする。

 (政令への委任)

第七条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。

 (罰則に関する経過措置)

第八条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (検討)

第九条 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、派遣労働者の保護に関する制度の実施状況その他の新労働者派遣法の施行状況等を総合的に勘案し、一般労働者派遣事業(新労働者派遣法第二条第四号に規定する一般労働者派遣事業をいう。)の在り方について、その廃止を含め検討し、その結果に基づいて法制の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。

 (港湾労働法の一部改正)

第十条 港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)の一部を次のように改正する。

  第十二条第二項第三号イ中「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」を「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に改める。

  第十五条中「第二十四条」の下に「、第二十四条の三及び第二十四条の四」を加え、「第四項まで」を「第五項まで、第三十四条の二、第三十五条の二から第三十五条の五まで、第四十条の六、第四十条の七」に改める。

 (労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部改正)

第十一条 労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法(平成四年法律第九十号)の一部を次のように改正する。

  第七条中「第三十二条の二第一項、第三十二条の三、第三十二条の四第一項及び第二項並びに第三十六条第一項の規定にあつては労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号。以下この条において「労働者派遣法」という。)第四十四条第二項の規定により読み替えて適用する場合を、労働基準法第三十八条の二第二項及び」を削り、「労働者派遣法第四十四条第五項」を「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第四十四条第五項」に改める。

 (労働省設置法の一部改正)

第十二条 労働省設置法の一部を次のように改正する。

  第四条第五十一号中「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」を「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に改める。

  第五条第四十九号の三中「及び当該事業主」を「、当該事業主」に改め、「受ける者」の下に「又は派遣労働者」を加え、「を求める」を「又は出頭することを要求する」に改める。

 (労働基準法等の一部改正)

第十三条 次に掲げる法律の規定中「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」を「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に改める。

 一 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第九十八条第二項

 二 職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第四条第一項第四号

 三 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第四条第一項第二号

 四 土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法(昭和四十二年法律第百三十一号)第八条第一項

 五 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)別表第一第二十号の十二

 六 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)別表第二十八号

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