衆議院

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第一四六回

衆第一二号

   貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案

 (貸金業の規制等に関する法律の一部改正)

第一条 貸金業の規制等に関する法律(昭和五十八年法律第三十二号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第三十六条―第四十二条」を「第三十五条の二─第四十二条の二」に改める。

  第十三条を次のように改める。

  (過剰貸付け等の禁止)

 第十三条 貸金業者は、貸付けの金額が、資金需要者の資力又は信用等に関し総理府令・大蔵省令で定める基準を超えると認められる貸付けに係る契約を締結してはならない。

 2 貸金業者は、その担保する債権の額が、保証人の資力又は信用等に関し総理府令・大蔵省令で定める基準を超えると認められる保証契約を締結してはならない。

 3 貸金業者は、貸付けに係る契約について、総理府令・大蔵省令で定める基準に照らし必要と認められる程度を超えて、保証契約を締結してはならない。

  第十六条の次に次の二条を加える。

  (根保証契約)

 第十六条の二 貸金業者が締結する主たる債務者との間の一定の範囲に属する不特定の債権に係る保証契約においては、次に掲げる事項が定められていなければならない。

  一 保証の期間。ただし、その期間は、一年以内でなければならない。

  二 保証の限度額

  三 主たる債務者と当該保証契約に係る貸付けに係る契約を締結したときは、その都度、遅滞なく、当該貸付けに係る契約に係る第十七条第一項各号に掲げる事項を保証人に書面で通知すべき旨

  四 保証人が、前号の書面を受領した日から起算して八日を経過するまでの間に申し出た場合には、当該貸付けに係る契約に基づく債権が当該保証契約に係る保証の対象とならない旨

 2 前項の規定に反する契約は、無効とする。

  (保証契約締結前の説明)

 第十六条の三 貸金業者は、貸付けに係る契約について保証契約を締結しようとするときは、その相手方に対し、当該保証契約を締結するまでに、総理府令・大蔵省令で定めるところにより、当該貸付けに係る契約及び当該保証契約の内容を明らかにする事項、主たる債務者に対する貸付けの状況その他総理府令・大蔵省令で定める事項について説明しなければならない。

  第十七条の次に次の一条を加える。

  (書面による解除)

 第十七条の二 資金需要者である顧客は、その締結した貸付けに係る契約について前条第一項の書面を受領した日から起算して八日を経過するまでの間、書面により当該貸付けに係る契約を解除することができる。

 2 保証人は、その締結した貸付けに係る契約に係る保証契約について前条第二項の書面を受領した日から起算して八日を経過するまでの間、書面により当該保証契約を解除することができる。

 3 前二項の解除は、その解除をする旨の書面を発した時に、その効力を生ずる。

 4 第一項又は第二項の規定による解除があつた場合には、当該貸金業者は、その解除に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。

 5 前各項の規定に反する特約で、資金需要者である顧客又は保証人に不利なものは、無効とする。

  第十九条の次に次の二条を加える。

  (帳簿の閲覧)

 第十九条の二 債務者及び保証人は、貸金業者に対し、前条の帳簿(自己の貸付けに係る契約に関する部分又は自己の貸付けに係る契約に係る保証契約に関する部分に限る。)の閲覧を請求することができる。この場合において、貸金業者は、閲覧を拒むことについて正当な理由があると認められるときを除き、その閲覧を拒むことができない。

  (保証人に対する報告義務)

 第十九条の三 貸金業者は、貸付けに係る契約について保証契約を締結しているときは、総理府令・大蔵省令で定めるところにより、保証人に対し、毎月、主たる債務者に対する貸付けの状況、当該債務者の債務の弁済の状況その他総理府令・大蔵省令で定める事項について報告をしなければならない。

  第二十一条に次の一項を加える。

 3 貸金業者又は貸金業者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく保証債権の取立てをするに当たつては、保証人の置かれている経済状況等に配慮しなければならず、一括して債務を弁済することをみだりに要求する等のことをしてはならない。

  第二十四条第一項中「第十七条、第十八条、第二十条」を「第十六条の三、第十七条、第十八条、第十九条の三」に改め、同条第二項中「第十七条、第十八条、第二十条」を「第十六条の三、第十七条、第十八条、第十九条の三」に、「、第十七条、第十八条第一項」を「、第十六条の三、第十七条、第十八条第一項、第十九の三」に、「、第十七条第一項」を「、第十六条の三中「、貸付けに係る契約」とあるのは「、当該譲り受けた債権」と、「当該貸付けに係る契約」とあるのは「当該譲り受けた債権」と、第十七条第一項」に改め、「額。」と、」の下に「第十九条の三中「貸付けに係る契約」とあるのは「当該譲り受けた債権」と、」を加え、「第四十二条第一項及び第二項」を「第四十二条第一項」に改める。

  第二十七条に次の一項を加える。

 3 前項の契約約款の内容となるべき事項は、資金需要者である顧客及び保証人の正当な利益を害するものであつてはならない。

  第五章中第三十六条の前に次の一条を加える。

  (是正命令)

 第三十五条の二 金融再生委員会はその登録を受けた貸金業者に対して、都道府県知事は当該都道府県の区域内において貸金業を営む者に対して、貸金業者の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該貸金業者に対し、業務の運営の是正のために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

  第三十六条第一項第一号中「、第十四条から第二十三条まで」を「から第十六条まで、第十六条の三、第十七条、第十八条、第十九条、第十九条の三、第二十条、第二十一条第一項若しくは第二項、第二十二条、第二十三条」に改め、同項第四号を同項第五号とし、同項第三号を同項第四号とし、同項第二号を同項第三号とし、同項第一号の次に次の一号を加える。

  二 前条の規定による命令に違反したとき。

  第四十二条第一項中「報告をさせる」を「報告をさせ、又はその職員に営業所若しくは事務所に立ち入り、帳簿、書類その他業務に関係のある物件を検査し、若しくは関係者に質問させる」に改め、同条第二項を削り、同条第三項を同条第二項とし、同条第四項中「第二項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とする。

  第五章中第四十二条の次に次の一条を加える。

  (違反事実の申出)

 第四十二条の二 何人も、この法律の規定に違反する事実があると認めるときは、金融再生委員会又は都道府県知事に対し、その旨を申し出て、適当な措置をとるべきことを求めることができる。

 2 金融再生委員会又は都道府県知事は、前項の規定による申出があつたときは、必要な調査を行い、その申出の内容が事実であると認めるときは、この法律に基づく措置その他適当な措置をとらなければならない。

 3 金融再生委員会又は都道府県知事は、第一項の申出に係る事項について適当な措置をとり、又は措置をとらないこととしたときは、速やかに、その旨を当該申出をした者に通知しなければならない。

  第四十三条を次のように改める。

  (過剰貸付けに係る契約の無効等)

 第四十三条 貸金業者が、資金需要者である顧客の資力又は信用等に照らし、その者の返済能力を著しく超えると認められる貸付けに係る契約を締結したときは、当該貸付けに係る契約は無効とする。

 2 貸金業者が、貸付けに係る契約について、保証人の資力又は信用等に照らし、その者の保証能力を著しく超えると認められる保証契約を締結したときは、当該保証契約は無効とする。

  第四十三条の次に次の一条を加える。

  (保証契約の取消し)

 第四十三条の二 貸金業者が、貸付けに係る契約について保証契約を締結するに際し、保証人に対し、保証人の判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項につき、事実を告げず、又は不実のことを告げたときは、保証人は、当該保証契約を取り消すことができる。

 2 民法第九十六条第三項及び第百二十条から第百二十六条までの規定は、前項の取消しについて準用する。

  第四十七条の次に次の一条を加える。

 第四十七条の二 第二十一条第一項(第二十四条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、一年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

  第四十八条第三号を次のように改める。

  三 第三十五条の二の規定による命令に違反した者

  第五十条第五号を次のように改める。

  五 第四十二条第一項(第二十四条第二項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、第四十二条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者

  第五十条第六号を削る。

  第五十一条第一項中「この項」の下に「及び次項」を加え、「前四条」を「第四十七条から前条まで」に改め、同条第二項中「前項」を「前二項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

 2 法人の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第四十七条の二の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対し一億円以下の罰金刑を、その人に対し同条の罰金刑を科する。

 (貸金業の規制等に関する法律の一部を改正する法律の一部改正)

第二条 貸金業の規制等に関する法律の一部を改正する法律(平成三年法律第七十四号)の一部を次のように改正する。

  附則第二条を次のように改める。

 第二条 削除

 (出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部改正)

第三条 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和二十九年法律第百九十五号)の一部を次のように改正する。

  第五条第二項を次のように改める。

 2 前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に定める割合を超える割合による利息の契約をし、又はこれを超える割合による利息を受領したときは、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

  一 元本が十万円未満の場合 年二十・○〇二パーセント(二月二十九日を含む一年については年二十・〇五六八パーセントとし、一日当たりについては○・〇五四八パーセントとする。)

  二 元本が十万円以上百万円未満の場合 年十八・○〇一八パーセント(二月二十九日を含む一年については年十八・〇五一一二パーセントとし、一日当たりについては○・〇四九三二パーセントとする。)

  三 元本が百万円以上の場合 年十五・○〇一五パーセント(二月二十九日を含む一年については年十五・〇四二六パーセントとし、一日当たりについては○・〇四一一パーセントとする。)

 (出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律の一部改正)

第四条 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律(昭和五十八年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。

  附則第八項から第十六項までを削る。

 (利息制限法の一部改正)

第五条 利息制限法(昭和二十九年法律第百号)の一部を次のように改正する。

  第一条を次のように改める。

  (利息の最高限)

 第一条 金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約は、その利息が次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に定める利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分につき無効とする。

  一 元本が十万円未満の場合 年二十・○〇二パーセント(二月二十九日を含む一年については年二十・〇五六八パーセントとし、一日当たりについては○・〇五四八パーセントとする。)

  二 元本が十万円以上百万円未満の場合 年十八・○〇一八パーセント(二月二十九日を含む一年については年十八・〇五一一二パーセントとし、一日当たりについては○・〇四九三二パーセントとする。)

  三 元本が百万円以上の場合 年十五・○〇一五パーセント(二月二十九日を含む一年については年十五・〇四二六パーセントとし、一日当たりについては○・〇四一一パーセントとする。)

  第二条中「前条第一項」を「前条」に、「こえる」を「超える」に改める。

  第三条中「前二条」の下に「及び次条第一項」を加え、同条ただし書中「但し」を「ただし」に改める。

  第四条第一項中「第一条第一項に規定する率の二倍をこえる」を「当該消費貸借上の約定利率(当該消費貸借上の利息の元本に対する割合をいう。)の二倍又は第一条に規定する率のいずれか低い方を超える」に改め、同条第二項を削り、同条第三項中「前二項」を「前項」に改め、同項を同条第二項とする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成十二年一月一日から施行する。

 (経過措置)

第二条 第一条の規定による改正後の貸金業の規制等に関する法律第十六条の二、第十七条の二、第十九条の三、第四十三条及び第四十三条の二の規定は、この法律の施行の日(以下この条において「施行日」という。)前に締結された貸付けに係る契約及び保証契約については、適用しない。

2 第三条の規定による改正後の出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律及び第四条の規定による改正後の出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律の規定は、施行日以後に締結される金銭を目的とする消費貸借上の利息(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律第五条第六項の規定により利息とみなされるもの及び債務の不履行について予定される賠償額を含む。以下この項において同じ。)の契約について適用し、施行日前に締結された金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約については、なお従前の例による。

3 第五条の規定による改正後の利息制限法(以下この項において「新利息制限法」という。)の規定は、施行日以後に締結される金銭を目的とする消費貸借上の利息(新利息制限法第三条の規定により利息とみなされるもの及び債務の不履行について予定される賠償額を含む。)の契約について適用し、施行日前に締結された金銭を目的とする消費貸借上の利息(この法律による改正前の利息制限法第三条の規定により利息とみなされるもの及び債務の不履行について予定される賠償額を含む。)の契約については、なお従前の例による。

 (罰則に関する経過措置)

第三条 この法律の施行前にした行為並びに前条第二項及び第三項の規定により従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (質屋営業法の一部改正)

第四条 質屋営業法(昭和二十五年法律第百五十八号)の一部を次のように改正する。

  第三十六条中「四十・〇〇四パーセント」とあるのは「百九・五パーセント」と、「四十・一一三六パーセント」とあるのは「百九・八パーセント」と、「〇・一〇九六パーセント」とあるのは「〇・三パーセント」」を「「次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に定める割合」とあるのは、「年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)」」に改める。

 (暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部改正)

第五条 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の一部を次のように改正する。

  第九条第六号中「第一条第一項」を「第一条」に改める。

 (債権管理回収業に関する特別措置法の一部改正)

第六条 債権管理回収業に関する特別措置法(平成十年法律第百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第十八条第五項中「第一条第一項」を「第一条」に改める。

 (地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の一部改正)

第七条 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成十一年法律第八十七号)の一部を次のように改正する。

  第百二十二条中貸金業の規制等に関する法律第二十四条第二項の改正規定の次に次のように加える。

   第三十五条の二中「金融再生委員会は」を「金融再生委員会又は都道府県知事は、」に改め、「、都道府県知事は当該都道府県の区域内において貸金業を営む者に対して」を削る。

  第百二十二条のうち貸金業の規制等に関する法律第四十二条第一項及び第二項の改正規定中「及び第二項」を削る。

  第百二十二条中貸金業の規制等に関する法律第四十三条第二項第一号の改正規定を削る。

  附則第五十五条第二項を同条第三項とし、同条第一項中「第百二十二条の規定による改正前の貸金業の規制等に関する法律(以下この条において「旧貸金業の規制等に関する法律」という。)」を「旧貸金業の規制等に関する法律」に、「第百二十二条の規定による改正後の貸金業の規制等に関する法律(以下この条において「新貸金業の規制等に関する法律」という。)」を「新貸金業の規制等に関する法律」に改め、同項を同条第二項とし、同条に第一項として次の一項を加える。

   第百二十二条の規定による改正前の貸金業の規制等に関する法律(以下この条において「旧貸金業の規制等に関する法律」という。)第三十五条の二の規定により都道府県知事が金融再生委員会の登録を受けた貸金業者に対してした業務の運営の是正のために必要な措置をとるべきことを命ずる処分は、第百二十二条の規定による改正後の貸金業の規制等に関する法律(以下この条において「新貸金業の規制等に関する法律」という。)第三十五条の二の規定により金融再生委員会がした処分とみなす。

 (政令への委任)

第八条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

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