衆議院

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第一五三回

衆第一三号

   国際平和協力法案

 (目的)

第一条 この法律は、日本国憲法の国際協調主義の理念を踏まえ、国際連合の決議等に基づき行われる国際の平和及び安全の維持又は回復を図るための活動等に対し、我が国が適切かつ迅速な協力を行うため、国際平和協力業務実施計画及びその実施について定めるとともに、当該活動等に対する物資協力のための措置を講じ、もって我が国が国際社会の一員として国際連合を中心とする国際の平和及び安全の維持又は回復を図るための努力に積極的に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 一 国際連合決議等に基づく平和維持回復活動等 国際連合の総会若しくは安全保障理事会が行う決議に基づいて行われる国際の平和及び安全の維持若しくは回復を図るための活動又は国際連合の総会、安全保障理事会若しくは経済社会理事会が行う決議若しくは国際連合、国際連合の総会によって設立された機関若しくは国際連合の専門機関、国際移住機関若しくは地域的機関(国際連合憲章第五十二条に規定する機関をいう。)が行う要請に基づいて行われる人道的な国際救援活動若しくは国際的な選挙監視活動をいう。

 二 国際平和協力業務 国際連合決議等に基づく平和維持回復活動等のために我が国が実施する業務であって、我が国以外の領域(公海を含む。)で行われるものをいう。

 三 物資協力 国際連合決議等に基づく平和維持回復活動等を行っている国際連合その他の国際機関又は国際連合加盟国その他の国に対して、その活動に必要な物品を無償又は時価よりも低い対価で譲渡することをいう。

 四 関係行政機関 次に掲げる機関で政令で定めるものをいう。

  イ 内閣府並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関並びに国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関

  ロ 内閣府設置法第四十条及び第五十六条並びに国家行政組織法第八条の三に規定する特別の機関

 (実施計画)

第三条 内閣総理大臣は、国際連合決議等に基づく平和維持回復活動等が行われる場合において、国際平和協力業務を実施することが適当であると認めるときは、国際平和協力業務を実施すること及び国際平和協力業務の実施計画(以下「実施計画」という。)の案につき閣議の決定を求めなければならない。

2 実施計画に定める事項は、次のとおりとする。

 一 実施すべき国際平和協力業務の内容

 二 国際平和協力業務を実施する地域及び期間

 三 派遣する人員の規模及び構成

 四 自衛隊の部隊等(自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八条に規定する部隊等をいう。)を派遣する場合には、その規模及び構成並びに装備

 五 その他当該国際平和協力業務の実施に関する重要事項

3 第一項の規定は、実施計画の変更について準用する。

 (国会への報告)

第四条 内閣総理大臣は、次の各号に掲げる事項を、遅滞なく、国会に報告しなければならない。

 一 実施計画の決定又は変更があったときは、その内容

 二 実施計画に定める国際平和協力業務が終了したときは、その結果

 (国際平和協力業務の実施)

第五条 関係行政機関の長は、実施計画に従い、国際平和協力業務を実施するものとする。

 (職員の採用等)

第六条 関係行政機関の長は、国際平和協力業務に従事させるため、選考により任期を定めて職員を採用することができる。

2 前項の規定により採用される職員については、職員になる前に、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百三条第一項に規定する営利企業(以下この条において「営利企業」という。)を営むことを目的とする団体の役員、顧問若しくは評議員(以下この条において「役員等」という。)の職に就き、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等の職に就き、若しくは事業に従事し、若しくは事務を行っていた場合においても、同項及び同法第百四条の規定は、適用しない。

 (国際平和協力手当)

第七条 国際平和協力業務に従事する者には、国際平和協力業務を実施する地域の勤務環境及び国際平和協力業務の特質にかんがみ、国際平和協力手当を支給することができる。

2 前項の国際平和協力手当に関し必要な事項は、政令で定める。

3 内閣総理大臣は、前項の政令の制定又は改廃に際しては、人事院の意見を聴かなければならない。

 (武器の貸与)

第八条 関係行政機関の長は、第五条の規定により国際平和協力業務を実施するに当たり、現地の治安の状況等を勘案して任務を遂行するため特に必要と認める場合には、当該国際平和協力業務に従事する職員が当該国際平和協力業務を実施する地域に滞在する間、政令で定める種類の武器を当該職員に貸与することができる。

2 武器の貸与の基準、管理等に関し必要な事項は、政令で定める。

 (武器の使用)

第九条 国際平和協力業務に従事する職員は、当該国際平和協力業務に従事する地域において、任務を遂行するため、国際法規及び国際連合の定める基準その他確立された国際的な基準に従い武器を使用することができる。

 (物資協力)

第十条 政府は、国際連合決議等に基づく平和維持回復活動等に協力するため適当と認めるときは、物資協力を行うことができる。

2 内閣総理大臣は、物資協力につき閣議の決定を求めなければならない。

 (政令への委任)

第十一条 この法律に特別の定めがあるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の廃止)

第二条 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成四年法律第七十九号)は、廃止する。

 (経過措置)

第三条 この法律の施行の際、前条の規定による廃止前の国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の規定により現に実施されている同法第三条第三号に規定する国際平和協力業務(以下この項において「旧国際平和協力業務」という。)について現に定められている同法第六条第一項の国際平和協力業務実施計画は第三条第一項の規定により定められた実施計画と、同法第九条第一項の規定により現に国際平和協力隊が行っている旧国際平和協力業務は第五条の規定により関係行政機関の長が実施する国際平和協力業務と、旧国際平和協力業務に現に従事する者はこの法律の規定により実施される国際平和協力業務に従事する者とみなす。

2 前項に定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。

 (海上保安庁法の一部改正)

第四条 海上保安庁法(昭和二十三年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。

  第二十八条の二中「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成四年法律第七十九号)」を「国際平和協力法(平成十三年法律第▼▼▼号)第三条に規定する実施計画」に、「行わせ、及び輸送の委託を受けてこれを実施させる」を「行わせる」に改める。

 (行政機関の職員の定員に関する法律の一部改正)

第五条 行政機関の職員の定員に関する法律(昭和四十四年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。

  第一条第二項第五号を次のように改める。

  五 国際平和協力法(平成十三年法律第▼▼▼号)第六条第一項の規定により採用される職員

 (中央省庁等改革基本法の一部改正)

第六条 中央省庁等改革基本法(平成十年法律第百三号)の一部を次のように改正する。

  第四十七条第四号中「及び国際平和協力隊の隊員」を削る。

 (内閣府設置法の一部改正)

第七条 内閣府設置法の一部を次のように改正する。

  第四条第三項第五十二号中「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成四年法律第七十九号)第三条第三号」を「国際平和協力法(平成十三年法律第▼▼▼号)第二条第二号」に、「同条第四号」を「同条第三号」に改める。

  第四十条第三項の表国際平和協力本部の項を削る。

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