衆議院

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第一五五回

衆第一号

   公立の小中学校等における地震防災上改築又は補強を要する校舎等の整備の促進に関する臨時措置法

 (目的)

第一条 この法律は、公立の小中学校等の校舎等について地震防災上緊急にその安全性を確保する必要性が生じていることにかんがみ、教育の分野において地方公共団体に対する個別の補助金等に代えて地方公共団体が裁量的に使用することができる財源として交付金を一括して交付する制度が導入されるまでの間の当面の措置として、地方公共団体に対してその設置する小中学校等の校舎等に係る耐震診断の実施及びその結果等の公表を義務付けるとともに、当該校舎等の改築又は補強の速やかな実施及びこれに要する経費に対する国の負担又は補助の割合の特例等の措置等について定めることにより、当該校舎等に関する地震防災上必要な整備の促進を図ることを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「小中学校等」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する小学校、中学校、中等教育学校の前期課程並びに盲学校、聾学校及び養護学校の小学部及び中学部をいう。

2 この法律において「校舎等」とは、校舎及び屋内運動場をいう。

3 この法律において「地震防災上改築又は補強を要する校舎等」とは、地震防災上改築又は補強を要するものとして文部科学大臣の定める基準に該当する校舎等をいう。

4 この法律において「耐震診断」とは、文部科学大臣の定める方法により地震に対する安全性を評価することをいう。

 (耐震診断の実施及びその結果等の公表)

第三条 地方公共団体は、その設置する小中学校等の校舎等であって地震防災対策特別措置法(平成七年法律第百十一号)第二条第一項に規定する地震により著しい被害が生ずるおそれがあると認められる地区に存するもののうち、この法律の施行の際現に適用されている地震に対する安全性に係る建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に適合しない校舎等で同法第三条第二項の規定の適用を受けているものについて、耐震診断を実施しなければならない。ただし、耐震診断の実施を義務付ける必要がないものとして文部科学大臣の定めるものについては、この限りでない。

2 地方公共団体は、前項の耐震診断の結果及び同項ただし書に該当するものの状況を取りまとめ、これを公表しなければならない。

 (校舎等の改築又は補強の速やかな実施)

第四条 地方公共団体は、その設置する小中学校等の校舎等のうち、前条第一項の耐震診断の結果に基づき地震防災上改築又は補強を要する校舎等であると認められるもの(同項ただし書に該当するもののうち地震防災上改築又は補強を要する校舎等であると認められるものとして文部科学大臣の定めるものを含む。以下「要整備校舎等」という。)について、速やかにその改築又は補強を実施するよう努めなければならない。

 (国の負担又は補助の割合の特例等)

第五条 国は、地方公共団体に対して、第三条第一項の耐震診断の実施に要する経費の全部を補助するものとする。

2 地方公共団体が実施する要整備校舎等の改築又は補強に要する経費に対する国の負担又は補助の割合(以下「国の負担割合」という。)は、当該改築又は補強に関する法令の規定にかかわらず、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める割合とする。

 一 要整備校舎等の改築に要する経費 二分の一

 二 要整備校舎等の補強(次号に規定するものを除き、文部科学大臣の定める基準に適合するものに限る。)に要する経費 二分の一(政令で定める基準に該当する地方公共団体が実施するものにあっては、三分の二)

 三 要整備校舎等の補強のうち、小学校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程の木造以外の校舎の補強(文部科学大臣の定める基準に適合するものに限る。)に要する経費 三分の二

3 前項に規定する要整備校舎等の改築又は補強に要する経費に対する他の法令による国の負担割合が、同項の規定による国の負担割合を超えるときは、当該改築又は補強に要する経費に対する国の負担割合については、同項の規定にかかわらず、当該他の法令の定める割合による。

 (地方債についての配慮)

第六条 地方公共団体が要整備校舎等の改築又は補強に要する経費に充てるため起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情及び当該地方公共団体の財政状況が許す限り、特別の配慮をするものとする。

 (私立の小中学校等の校舎等についての配慮)

第七条 国及び地方公共団体は、この法律の趣旨を参酌し、私立の小中学校等の校舎等について、地震に対する安全性の向上が図られるよう配慮するものとする。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、平成十五年四月一日から施行する。

 (教育の分野における一括交付金の制度の導入)

2 国は、この法律の施行後速やかに、教育の分野において地方公共団体に対する個別の補助金等に代えて地方公共団体が裁量的に使用することができる財源として交付金を一括して交付する制度を導入するため、法制上の措置その他必要な措置を講ずるものとする。

 (失効)

3 この法律は、平成二十年三月三十一日限り、その効力を失う。ただし、その日より前に、前項の措置に係る法律が施行されるに至ったときは、当該法律の施行に併せて廃止するものとする。

     理 由

 公立の小中学校等の校舎等について地震防災上緊急にその安全性を確保する必要性が生じていることにかんがみ、教育の分野において交付金を一括して交付する制度が導入されるまでの間の当面の措置として、地方公共団体に対してその設置する小中学校等の校舎等に係る耐震診断の実施及びその結果等の公表を義務付けるとともに、当該校舎等の改築又は補強の速やかな実施及びこれに要する経費に対する国の負担又は補助の割合の特例等の措置等について定めることにより、当該校舎等に関する地震防災上必要な整備の促進を図る必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

   本案施行に要する経費

 本案施行に要する経費としては、平成十五年度約千億円の見込みである。

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